説明

サーミスタ装置

【課題】外部電極間でトラッキング現象が発生することを抑制できると共に、サーミスタが本体から容易に脱落することを抑制できるサーミスタ装置を提供することである。
【解決手段】サーミスタ装置は、サーミスタ22、支持部76及び端子電極T2,T4を備えている。サーミスタ22は、サーミスタ素体60及び外部電極62a,62bを含んでいる。サーミスタ素体22は、互いに対向している端面を有している。外部電極62a,62bは、サーミスタ素体60の両端面のそれぞれに設けられている。端子電極T2,T4はそれぞれ、外部電極62a,62bに圧接している。支持部76は、端面間を繋ぐ側面に対して接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーミスタ装置に関し、より特定的には、サーミスタを内蔵しているサーミスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサーミスタの実装方法としては、例えば、回路基板上にはんだを用いて実装する表面実装方法が知られている。図13は、サーミスタが回路基板上に表面実装された様子を示した図である。
【0003】
サーミスタ500は、サーミスタ素体502及び外部電極504a,504bを備えている。サーミスタ素体502は、直方体状をなしている。外部電極504a,504bはそれぞれ、サーミスタ素体502の端面に設けられている。外部電極504a,504bはそれぞれ、はんだ506a,506bにより回路基板510の図示しないランド電極に接続されている。
【0004】
ところで、前記サーミスタ500を備えたサーミスタ装置が、例えば、冷蔵庫のコンプレッサのモータ起動用回路に用いられると、以下に説明するように、トラッキング現象が発生するおそれがある。より詳細には、冷蔵庫のコンプレッサのモータ起動用回路は、高温・多湿環境下で用いられる。そのため、長期にわたる使用により、水分によって、回路基板510の表面を伝って、外部電極504aと外部電極504bとの間に電流が流れるおそれがある。すなわち、サーミスタ装置において、トラッキング現象が発生するおそれがある。
【0005】
外部電極504a,504b間でのトラッキング現象の発生を抑制するためには、例えば、特許文献1に記載の積層チップ部品のように、金属端子によってチップ部品を挟んで支持することが考えられる。図14は、特許文献1に記載の積層チップ部品600が実装された様子を示した図である。
【0006】
積層チップ部品600は、本体602及び外部電極604a,604bを備えている。本体602は、直方体状をなしている。外部電極604a,604bはそれぞれ、本体602の端面に設けられている。回路基板610には、金属端子612a,612bが設けられている。金属端子612a,612bは、回路基板の上方に向かって延在しており、外部電極604a,604bに圧接している。これにより、積層チップ部品600は、回路基板610の主面から離間した状態で、外部電極604a,604bにより支持されている。積層チップ部品600では、本体602の側面が回路基板610から離れているので、回路基板610の表面を伝って、外部電極604a,604b間に電流が流れることがない。よって、サーミスタ装置において、トラッキング現象が発生することが抑制される。
【0007】
ところで、特許文献1に記載の積層チップ部品600は、回路基板610に接触していないため、金属端子612a,612bのみによって支持されている。そのため、振動等が加わった場合には、積層チップ部品600が回路基板610から脱落するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−324031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、外部電極間でトラッキング現象が発生することを抑制できると共に、サーミスタが本体から容易に脱落することを抑制できるサーミスタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係るサーミスタ装置は、サーミスタ、第1の支持部、第1の端子電極及び第2の端子電極を備えているサーミスタ装置であって、前記第1のサーミスタは、互いに対向している第1の面及び第2の面を有するサーミスタ素体と、前記第1の面及び前記第2の面のそれぞれに設けられている第1の外部電極及び第2の外部電極と、を含んでおり、前記第1の端子電極及び前記第2の端子電極はそれぞれ、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極に圧接しており、前記第1の支持部は、前記第1の面と前記第2の面との間を繋ぐ側面に対して接触していること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部電極間でトラッキング現象が発生することを抑制できると共に、サーミスタが本体から容易に脱落することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】サーミスタ装置を含むモータ起動用回路の等価回路図である。
【図2】サーミスタ装置の外観斜視図である。
【図3】サーミスタ装置の分解斜視図である。
【図4】サーミスタ装置内部を平面視した図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るサーミスタの構成図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るサーミスタの構成図である。
【図7】端子電極及びサーミスタを平面視した図である。
【図8】サーミスタ近傍の断面構造図である。
【図9】変形例に係るサーミスタ装置の分解斜視図である。
【図10】変形例に係るサーミスタ装置内部を平面視した図である。
【図11】変形例に係るサーミスタ装置のサーミスタ近傍の断面構造図である。
【図12】その他の実施形態に係るサーミスタの接触部を示した図である。
【図13】サーミスタが回路基板上に表面実装された様子を示した図である。
【図14】特許文献1に記載の積層チップ部品が実装された様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一形態に係るサーミスタ装置について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(サーミスタ装置の構成)
まず、サーミスタ装置を含むモータ起動用回路の回路構成について説明する。図1は、サーミスタ装置10を含むモータ起動用回路1の等価回路図である。
【0015】
モータ起動用回路1は、冷蔵庫のコンプレッサに使用されるモータの起動用回路であり、サーミスタ装置10、モータ12、交流電源14、スイッチ16及びコンデンサ18を備えている。また、モータ12は、主コイル12a及び補助コイル12bを含んでいる。また、サーミスタ装置10は、サーミスタ20,22、トライアック24及び外部端子26a,28a,28bを備えている。
【0016】
主コイル12aは、交流電源14と外部端子28aとの間に接続されている。補助コイル12bは、交流電源14と外部端子26aとの間に接続されている。
【0017】
外部端子26aは、トライアック24のアノードに接続されている。サーミスタ20は、正特性サーミスタであり、トライアック24のカソードと外部端子28a,28bとの間に接続されている。サーミスタ22は、正特性サーミスタであり、トライアック24のゲートと外部端子28a,28bとの間に接続されている。
【0018】
コンデンサ18は、外部端子26aと外部端子28bとの間に接続されている。スイッチ16は、外部端子28aと交流電源14との間に接続されている。
【0019】
次に、モータ起動用回路1の動作について説明する。スイッチ16が閉じられると、交流電源14を介してモータ12に対して電力が供給される。応じて、主コイル12aに電流が流れる。トライアック24のゲートにサーミスタ22を介してトリガ信号が印加されることにより、トライアック24が通電される。これにより、サーミスタ20を介して補助コイル12bに対して電流が流れる。モータ12は、主コイル12a及び補助コイル12bによって駆動を開始する。
【0020】
モータ12の起動から一定時間が経過したら、サーミスタ20の温度が自己発熱によって上昇し、サーミスタ20の抵抗値が上昇する。これにより、サーミスタ20を流れる電流が減少する。また、サーミスタ22の温度が自己発熱によって上昇し、サーミスタ22の抵抗値が上昇する。これにより、サーミスタ22を流れる電流が減少する。応じて、トライアック24に流れる電流が減少し、トライアック24が遮断状態となる。よって、サーミスタ20を介して補助コイル12bに対して電流が流れなくなり、サーミスタ22を介して補助コイル12bにわずかに電流が流れるのみとなる。そのため、モータ12は、主コイル12aによって駆動を継続するようになる。
【0021】
次に、サーミスタ装置10の構成について図面を参照しながら説明する。図2は、サーミスタ装置10の外観斜視図である。図3は、サーミスタ装置10の分解斜視図である。図4は、サーミスタ装置10内部を平面視した図である。以下では、図3において、上下方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときに、ケース32の長手方向をx軸方向と定義し、ケース32の短手方向をy軸方向と定義する。
【0022】
サーミスタ装置10は、図2及び図3に示すように、サーミスタ20,22、トライアック24、ケース32及び端子電極T1〜T4を備えている。ケース32は、概略、直方体状をなしており、図3に示すように、サーミスタ20,22、トライアック24及び端子電極T1〜T4を収容している。ケース32は、例えば、樹脂により作製され、上ケース32a及び下ケース32bにより構成されている。
【0023】
下ケース32bは、ケース32のz軸方向の負方向側の半分を構成している。下ケース32bには、図3及び図4に示すように、z軸方向から平面視したときに、貫通孔H1〜H3が設けられていると共に、隔壁により空間Sp1〜Sp4に区分されている。
【0024】
貫通孔H1は、下ケース32bにおいて、y軸方向の負方向側であってx軸方向の負方向側の角近傍をz軸方向に貫通している。貫通孔H2は、下ケース32bにおいて、y軸方向の正方向側であってx軸方向の正方向側の角近傍をz軸方向に貫通している。貫通孔H3は、下ケース32bにおいて、y軸方向の正方向側であってx軸方向の負方向側の角近傍をz軸方向に貫通している。
【0025】
また、空間Sp1は、z軸方向から平面視したときに、下ケース32bの中央においてx軸方向に延在している長方形状の空間である。空間Sp2は、z軸方向から平面視したときに、下ケース32bのy軸方向の負方向側であってx軸方向の正方向側の角に設けられている長方形状の空間である。空間Sp4は、z軸方向から平面視したときに、空間Sp2のy軸方向の正方向側に設けられており、x軸方向に延在している長方形状の空間である。空間Sp3は、z軸方向から平面視したときに、空間Sp2のy軸方向の正方向側に設けられており、y軸方向に延在していると共に空間Sp4と繋がっている長方形状の空間である。
【0026】
以上のように構成された下ケース32bには、以下に説明するように、サーミスタ20,22、トライアック24及び端子電極T1〜T4が取り付けられる。
【0027】
サーミスタ20は、温度が上昇すると抵抗値が上昇する正特性のサーミスタである。以下に、図5を参照しながらサーミスタ20の構成について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るサーミスタ20の構成図である。図5(a)は、サーミスタ20を主面の法線方向から平面視した図であり、図5(b)は、図5(a)のサーミスタ20のA−Aにおける断面構造図である。
【0028】
サーミスタ20は、温度が上昇すると抵抗値が増加する正の抵抗温度特性を有している。サーミスタ20は、図5(a)及び図5(b)に示すように、サーミスタ素体50及び外部電極52(52a,52b),54(54a,54b)を備えている。
【0029】
サーミスタ素体50は、正の抵抗温度特性を有する半導体材料(例えば、チタン酸バリウム系半導体セラミック)により作製されており、図5(a)に示すように、直径が14mm以上17mm以下であり厚さが2mm以上3mm以下である円板形状をなしている。
【0030】
外部電極52は、図5(a)及び図5(b)に示すように、サーミスタ素体50の両主面(表面)の全面に設けられているニッケル(Ni)からなる電極であり、直径が14mm以上17mm以下であり膜厚が5μm以下である円形をなしている。すなわち、外部電極52は、サーミスタ素体50の側面には形成されていない。外部電極52は、サーミスタ素体50に対してオーミック接触している。そのため、外部電極52は、サーミスタ素体50に対してオーミック接触し得る材料で作製されていればよい。よって、外部電極52の材料は、ニッケルに限らず、例えば、アルミニウム等であってもよい。ただし、外部電極52の材料は、外部電極52a,52b間でトラッキング現象が発生することを防止するために、イオンマイグレーションが発生しにくい(イオン化しにくい)材料が望ましい。
【0031】
外部電極54は、図5(a)及び図5(b)に示すように、外部電極52上に設けられている銀(Ag)を含有する金属粉からなる電極であり、直径が12mm以上15mm以下であり膜厚が2μm以上15μm以下である円形をなしている。外部電極52a,54aは、サーミスタ素体50に対して電圧を印加するための一つの外部電極を構成している。同様に、外部電極52b,54bは、サーミスタ素体50に対して電圧を印加するための一つの外部電極を構成している。
【0032】
また、外部電極54の外縁は、図5(a)に示すように、外部電極52の外縁及びサーミスタ素体50の外縁内に収まっている。これにより、外部電極54中の銀がイオンマイグレーションによってサーミスタ素体50の側面上に析出して外部電極54a,54b間でトラッキング現象が発生することを防止している。
【0033】
以上のように構成されたサーミスタ20は、外部電極52a,54aがy軸方向の正方向側を向き、外部電極52b,54bがy軸方向の負方向側を向くように、空間Sp1に取り付けられる。
【0034】
サーミスタ22は、温度が上昇すると抵抗値が上昇する正特性のサーミスタである。以下に、図6を参照しながらサーミスタ22の構成について説明する。図6は、本発明の一実施形態に係るサーミスタ22の構成図である。
【0035】
サーミスタ22は、図6に示すように、サーミスタ素体60及び外部電極62(62a,62b)を備えている。
【0036】
サーミスタ素体60は、正の抵抗温度特性を有する半導体材料(例えば、チタン酸バリウム系半導体セラミック)により作製されており、図6に示すように、長手方向において互いに対向する2つの端面を有する直方体状をなしている。サーミスタ素体60のサイズは、例えば、1.2mm×1.2mm×2.5mmである。
【0037】
外部電極62は、図6に示すように、サーミスタ素体60の両端面に設けられており、Cr層と、Ni/Cu層と、Ag層と、Sn層とが下層から上層へと重なって構成されている。Cr層は、サーミスタ素体60に対してオーミック接触している。また、外部電極62は、サーミスタ素体60の端面からはみ出していない。以上のように構成されたサーミスタ22は、図3及び図4に示すように、空間Sp3に取り付けられる。
【0038】
トライアック24は、図3に示すように、直方体状をなしており、端子24a〜24cを含んでいる。端子24a〜24cは、トライアック24の本体のz軸方向の正方向側の面から突出している。端子24aは、アノード端子である。端子24bは、ゲート端子である。端子24cは、カソード端子である。
【0039】
端子電極T1は、一枚の金属板が折り曲げ加工されることによって作製されており、外部端子26a及び保持部26bを含んでいる。外部端子26aは、z軸方向に延在する長方形状の板状をなしており、貫通孔H1に挿入されている。これにより、端子電極T1は、下ケース32bに取り付けられている。また、外部端子26aは、図2に示すように、ケース32外に露出している。保持部26bは、外部端子26aのz軸方向の正方向側の端部からz軸方向の正方向側に延在している2枚の板状部材により構成されている。保持部26bは、端子24aを狭持する。これにより、トライアック24のアノードは、図1に示すように、保持部26bを介して外部端子26aに接続されている。
【0040】
端子電極T4は、1枚の金属板が折り曲げ加工されることによって作製されており、接触部38a、保持部38b、接続部38c及び取り付け部38dを含んでいる。接触部38a及び取り付け部38dは、E字型を構成している。すなわち、接触部38a及び取り付け部38dは、z軸方向に延在する3本の棒状部材のz軸方向の正方向側の端部が、x軸方向に延在する棒状部材によって接続されることによって構成されている。接触部38aは、z軸方向に延在する3本の棒状部材の内の真ん中の棒状部材である。また、取り付け部38dは、E字型の部材の接触部38aを除く残余の部分である。取り付け部38dが空間Sp4に挿入されることにより、端子電極T4は、下ケース32bに取り付けられている。接触部38aは、取り付け部38dに対してy軸方向の正方向側に折り曲げられており、空間Sp3内に進入している。これにより、接触部38aは、サーミスタ22の外部電極62bに圧接している。
【0041】
接続部38cは、取り付け部38dに対してy軸方向の負方向側に折り曲げられた棒状部材であり、y軸方向に延在している。保持部38bは、接続部38cのy軸方向の負方向側の端部からz軸方向の正方向側に延在している2枚の板状部材により構成されている。保持部38bは、端子24bを狭持する。これにより、トライアック24のゲートは、図1に示すように、端子電極T4を介してサーミスタ22に接続されている。
【0042】
端子電極T3は、1枚の金属板が折曲げ加工されることによって作製されており、接触部36a、保持部36b及び取り付け部36cを含んでいる。接触部36a及び取り付け部36cは、E字型を構成している。すなわち、接触部36a及び取り付け部36cは、z軸方向に延在する3本の棒状部材のz軸方向の正方向側の端部が、x軸方向に延在する棒状部材によって接続されることによって構成されている。接触部36aは、3本の棒状部材の内の真ん中の棒状部材である。また、取り付け部36cは、E字型の部材の接触部36aを除く残余の部分である。なお、接触部36aを構成している棒状部材は、取り付け部36cを構成している棒状部材よりも幅広に構成されている。そして、接触部36aは、取り付け部36cに対してy軸方向の正方向側に折り曲げられている。端子電極T3は、空間Sp1内において、サーミスタ20と空間Sp1のy軸方向の負方向側の内周面との間に取り付けられている。これにより、接触部36aは、サーミスタ20の外部電極54bに圧接している。
【0043】
保持部36bは、取り付け部36cのx軸方向の正方向側の端部からz軸方向の正方向側に延在している2枚の板状部材により構成されている。保持部36bは、端子24cを狭持する。これにより、トライアック24のカソードは、図1に示すように、端子電極T3を介してサーミスタ20に接続されている。
【0044】
端子電極T2は、1枚の金属板が折り曲げ加工されることによって作製されており、外部端子28a,28b、接続部28c、接触部28d、折り曲げ部28e及び接触部28fを含んでいる。外部端子28aは、z軸方向に延在する長方形状の板状をなしており、貫通孔H2に挿入されている。これにより、外部端子28aは、図2に示すように、ケース32外に露出している。また、外部端子28bは、z軸方向に延在する長方形状の板状をなしており、貫通孔H3に挿入されている。これにより、外部端子28bは、図2に示すように、ケース32外に露出している。外部電極28a,28bが貫通孔H2,H3に挿入されることにより、端子電極T2は、下ケース32bに取り付けられている。
【0045】
接触部28dは、y軸方向(サーミスタ素体50の主面の法線方向)から平面視したときに、外部電極54aの外縁内に収まっていると共に、外部電極54aに接触している。以下に、接触部28dについて図面を参照しながらより詳細に説明する。図7は、端子電極T2及びサーミスタ20を平面視した図である。
【0046】
接触部28dは、y軸に垂直な面であり、空間Sp1内において、サーミスタ20と空間Sp1のy軸方向の正方向側の内周面との間に取り付けられている。これにより、接触部28dは、サーミスタ20の外部電極54aに対向している。また、接触部28dは、外部電極54aよりも小さな面積を有する四角形状をなしており、外部電極54aの外縁内に収まっている。すなわち、接触部28dは、y軸方向から平面視したときに、外部電極54aからはみ出していない。
【0047】
また、接触部28dには、図3及び図4に示すように、y軸方向の負方向側に向かって(すなわち、外部電極54aに向かって)突出している3つの突起40a〜40cが設けられている。そして、突起40a〜40cは、外部電極54aに接触している。なお、突起40a〜40cは、外部電極54aの中心と略一致する重心を有する正三角形の頂点に位置している。
【0048】
接続部28cは、接触部28dのx軸方向の負方向側の端部に接続され、かつ、接触部28dに対してy軸方向の正方向側に向かって(すなわち、外部電極54aから遠ざかる方向に向かって)折り曲げられており、y軸方向に延在している。接続部28cは、図7に示すように、y軸方向から平面視したときに、外部電極54aと重なっている。よって、接続部28cは、y軸方向から平面視したときに、外部電極52aとは重なっていない。また、接触部28cのy軸方向の正方向側の端部は、外部端子28bに接続されている。これにより、外部端子28bは、接続部28c及び接触部28dを介してサーミスタ20に接続されている。
【0049】
折り曲げ部28eは、接触部28dのx軸方向の正方向側の端部に接続され、かつ、接触部28dに対してy軸方向の正方向側に向かって(すなわち、外部電極54aから遠ざかる方向に向かって)折り曲げられており、y軸方向に延在している。折り曲げ部28eは、図7に示すように、y軸方向から平面視したときに、外部電極54aと重なっている。よって、折り曲げ部28eは、y軸方向から平面視したときに、外部電極52aとは重なっていない。
【0050】
接触部28f(対向部)は、折り曲げ部28eのy軸方向の正方向側の端部に接続され、かつ、折り曲げ部28eに対してx軸方向の正方向側に折り曲げられることによって、x軸方向に延在している。すなわち、接触部28d、折り曲げ部28e及び接触部28fは、階段状をなしており、接触部28dと接触部28fとの間には段差が形成されている。更に、接触部28fは、接触部28dよりもサーミスタ素体50のy軸方向の正方向側の主面から離れた位置において外部電極52aと対向している。
【0051】
また、接触部28fには、図4に示すように、y軸方向の負方向側に向かって突出している突起42が設けられている。そして、突起42は、サーミスタ22の外部電極62aに圧接している。
【0052】
更に、接触部28fのx軸方向の正方向側の端部は、外部端子28aに接続されている。これにより、外部端子28aは、図1に示すように、接触部28fを介してサーミスタ22と接続されていると共に、接触部28f、折り曲げ部28e及び接触部28dを介してサーミスタ20と接続されている。
【0053】
サーミスタ20,22、トライアック24及び端子電極T1〜T4が取り付けられた下ケース32bには、上ケース32aが取り付けられる。この際、上ケース32a及び下ケース32bにより、サーミスタ22が支持される。以下に、サーミスタ22の支持構造について図面を参照しながら説明する。図8は、サーミスタ22近傍の断面構造図である。
【0054】
下ケース32bは、支持部76を備えている。支持部76は、サーミスタ素体60の2つの端面の間を繋ぐ面(すなわち、z軸方向の負方向側の側面)に対して接触しており、接触部74a,74bを有している。接触部74a,74bは、端面が対向している方向(すなわち、y軸方向)に離間して並んでおり、z軸方向の正方向側に向かって突出する棒状部材である。接触部74a,74bは、z軸方向の正方向側の端部において、サーミスタ素体60のz軸方向の負方向側の側面に接触している。よって、支持部76は、端面が対向している方向(すなわち、y軸方向)において、サーミスタ素体60のz軸方向の負方向側の側面全体に接触しておらず、サーミスタ素体60のz軸方向の負方向側の側面の一部に接触している。
【0055】
上ケース32aは、支持部72を備えている。支持部72は、サーミスタ素体60の2つの端面の間を繋ぐ面(すなわち、z軸方向の正方向側の側面)に対して接触しており、接触部70a,70bを有している。接触部70a,70bは、端面が対向している方向(すなわち、y軸方向)に離間して並んでおり、z軸方向の負方向側に向かってに突出する棒状部材である。接触部70a,70bは、z軸方向の負方向側の端部において、サーミスタ素体60のz軸方向の正方向側の側面に接触している。よって、支持部72は、端面が対向している方向(すなわち、y軸方向)において、サーミスタ素体60のz軸方向の正方向側の側面全体に接触しておらず、サーミスタ素体60のz軸方向の正方向側の側面の一部に接触している。これにより、サーミスタ22は、支持部70と支持部72とによりz軸方向の両側から挟まれている。
【0056】
また、端子電極T2と端子電極T4とは、図3、図4及び図8に示すように、外部電極62aに端子電極T2が接触している部分(接触部28fの突起42)と外部電極62bに端子電極T4が接触している部分(接触部38a)とにおいて最も近接している。
【0057】
(効果)
以上のように構成されたサーミスタ装置10は、外部電極62a,62b間においてトラッキング現象が発生することを抑制できる。より詳細には、サーミスタ装置10では、支持部72,76が、図8に示すように、サーミスタ素体60のz軸方向の両側面に接触している。支持部72,76は、サーミスタ素体60の側面全面に接触しているのではなく、棒状の接触部70a,70b,74a,74bの先端においてサーミスタ素体60の側面の一部に接触している。更に、支持部72,76と端子電極T2,T4とは接触していない。したがって、高温・多湿環境下において長期間使用されても、水分によって、支持部72,76を伝って、外部電極62aと外部電極62bとの間に電流が流れるおそれがない。すなわち、サーミスタ装置10では、トラッキング現象が発生することが抑制される。
【0058】
また、サーミスタ装置10では、サーミスタ22は、支持部72,76によって支持されているので、振動等によって、ケース32から容易に脱落することが抑制される。
【0059】
また、サーミスタ装置10では、端子電極T2と端子電極T4とは、図3、図4及び図8に示すように、外部電極62aに端子電極T2が接触している部分(接触部28fの突起42)と外部電極62bに端子電極T4が接触している部分(接触部38a)とにおいて最も近接している。これにより、端子電極T2,T4間においてトラッキング現象が発生することが低減される。
【0060】
(変形例)
以下に変形例に係るサーミスタ装置10aについて図面を参照しながら説明する。図9は、変形例に係るサーミスタ装置10aの分解斜視図である。図10は、変形例に係るサーミスタ装置10a内部を平面視した図である。図11は、変形例に係るサーミスタ装置10aのサーミスタ22近傍の断面構造図である。
【0061】
サーミスタ装置10では、サーミスタ22は、直方体状をなしていた。一方、サーミスタ装置10aでは、サーミスタ22は、円柱状をなしている。このように、サーミスタ22の形状は、直方体状であってもよいし、円柱状であってもよい。サーミスタ22が円柱状である場合には、支持部72は、サーミスタ素体60の側面のz軸方向の正方向側の部分に対して接触している。支持部76は、サーミスタ素体60の側面のz軸方向の負方向側の部分に対して接触している。
【0062】
なお、サーミスタ装置10,10aにおいて、支持部72は、2つの接触部70a,70bにおいてサーミスタ素体60に接触し、支持部76は、2つの接触部74a,74bにおいてサーミスタ素体60に接触している。しかしながら、支持部72,76はそれぞれ、1つの接触部においてサーミスタ素体60に接触していてもよい。
【0063】
なお、接触部38aは、図3に示すように、z軸方向の正方向側の端部において、取り付け部38dに対してy軸方向の正方向側に向かって折り曲げられている。しかしながら、接触部38aの形状はこれに限らない。図12は、その他の実施形態に係るサーミスタ10の接触部38aを示した図である。
【0064】
図12に示すように接触部38aは、取り付け部38dの接続部分においてz軸方向の正方向側に向かって折り曲げられた後に、z軸方向の負方向側に向かって折り曲げられていてもよい。これにより、接触部38aは、S字型をなしている。そのため、接触部38aは、外部電極54bに接触する際に、折り畳まれるようにy軸方向に圧縮され、z軸方向に殆ど変位しなくなる。
【0065】
上ケース32a及び下ケース32bはそれぞれ、支持部72,76以外にも支持部を更に備えていてもよい。具体的には、上ケース32a,32bは、2つの支持部を更に備えていてもよい。一方の支持部は、サーミスタ素体60のx軸方向の正方向側の側面に対して、x軸方向の正方向側(すなわち、支持部72,76に対して直交する方向)から接触している。他方の支持部は、サーミスタ素体60のx軸方向の負方向側の側面に対して、x軸方向の負方向側(すなわち、支持部72,76に対して直交する方向)から接触して
いる。これにより、サーミス22は、これら2つの支持部とにより挟まれている。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明は、サーミスタ装置に有用であり、特に、外部電極間でトラッキング現象が発生することを抑制できると共に、サーミスタが本体から容易に脱落することを抑制できる点において優れている。
【符号の説明】
【0067】
H1〜H3 貫通孔
Sp1〜Sp4 空間
T1〜T4 端子電極
1 モータ起動用回路
10,10a サーミスタ装置
12 モータ
12a 主コイル
12b 補助コイル
14 交流電源
16 スイッチ
18 コンデンサ
20,22 サーミスタ
24 トライアック
24a〜24c 端子
26a,28a,28b 外部端子
26b,36b,38b 保持部
28c,38c 接続部
28d,28f,36a,38a 接触部
28e 折り曲げ部
32 ケース
32a 上ケース
32b 下ケース
36c,38d 取り付け部
40a〜40c,42 突起
50,60 サーミスタ素体
52a,52b,54a,54b,62a,62b 外部電極
72,76 支持部
70a,70b,74a,74b 接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーミスタ、第1の支持部、第1の端子電極及び第2の端子電極を備えているサーミスタ装置であって、
前記第1のサーミスタは、
互いに対向している第1の面及び第2の面を有するサーミスタ素体と、
前記第1の面及び前記第2の面のそれぞれに設けられている第1の外部電極及び第2の外部電極と、
を含んでおり、
前記第1の端子電極及び前記第2の端子電極はそれぞれ、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極に圧接しており、
前記第1の支持部は、前記第1の面と前記第2の面との間を繋ぐ側面に対して接触していること、
を特徴とするサーミスタ装置。
【請求項2】
前記第1の支持部は、前記第1の面と前記第2の面とが対向している方向において前記側面の一部に接触していること、
を特徴とする請求項1に記載のサーミスタ装置。
【請求項3】
前記第1の端子電極と前記第2の端子電極とは、前記第1の外部電極に該第1の端子電極が接触している部分と前記第2の外部電極に該第2の端子電極が接触している部分とにおいて最も近接していること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のサーミスタ装置。
【請求項4】
前記第1の支持部は、前記第1の面と前記第2の面とが対向している方向に離間して並んでいる複数の接触部を有していること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のサーミスタ装置。
【請求項5】
前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極はそれぞれ、前記第1の面及び前記第2の面からはみ出していないこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のサーミスタ装置。
【請求項6】
前記サーミスタ装置は、第2の支持部を、更に備えており、
前記第2の支持部は、前記第1の面と前記第2の面との間を繋ぐ面に対して接触しており、
前記サーミスタは、前記第1の支持部と前記第2の支持部とにより挟まれていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のサーミスタ装置。
【請求項7】
前記サーミスタ装置は、第3の支持部を、更に備えており、
前記第3の支持部は、前記第1の面と前記第2の面との間を繋ぐ面に対して、前記第1の支持部及び前記第2の支持部に対して直交する方向から接触していること、
を特徴とする請求項6に記載のサーミスタ装置。
【請求項8】
前記サーミスタ装置は、第4の支持部を、更に備えており、
前記第4の支持部は、前記第1の面と前記第2の面との間を繋ぐ面に対して、前記第1の支持部及び前記第2の支持部に対して直交する方向から接触しており、
前記サーミスタは、前記第3の支持部と前記第4の支持部とにより挟まれていること、
を特徴とする請求項7に記載のサーミスタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−55324(P2013−55324A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115442(P2012−115442)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】