説明

ザクロ種子抽出エキス、及びその医薬組成物、飲食物、化粧品、並びにその使用方法

【課題】ザクロの種子から有効にエストラジオールを抽出し、そのエキス、及び、その有効成分を含有する医薬組成物、飲食物、化粧品、並びに、それらの使用方法を提供すること。
【解決手段】ザクロの種子を粉砕した粉砕試料から抽出したエストラジオールを含有するザクロ種子抽出エキスとする。エストラジオールは、ザクロ種子の粉砕試料から抽出溶媒により一次溶液を抽出し、それを減圧濃縮後に希釈し、アルキル鎖化学結合型の分離剤に通液し、抽出溶媒により二次溶液を抽出し、次いで、それを減圧濃縮し、イオン交換型の分離剤に通液し、有機溶媒により抽出してもよい。アスタキサンチンまたはプラチナシルバーコロイド溶液を添加してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ザクロの種子から抽出したエキス、及び、その有効成分を含有する医薬組成物、飲食物、化粧品、並びに、それらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会が急速に進んでいるなか、医薬品、飲食品、化粧品などの分野においても、抗老化対策が求められている。特に、副作用なく、安全性が高く、有効な作用を有する組成物が望まれている。
【0003】
その組成物として、エストロゲンと同様の作用を有するエストロゲン様物質が注目を浴びている。
エストロゲンは、人間の体内で合成分泌される女性ホルモンであり、エストラジオール、エストリオール、エストロンの3種が代表的なものである。
加齢に伴い、ホルモン分泌細胞の減少、血流量の減少、ホルモン分泌臓器の老化、酸化ストレスなどにより、分泌量が低下する。特に、女性は、閉経後に、分泌量が急激に減少することが知られている。
エストロゲンの作用としては、血管拡張作用、血圧コントロール作用、脂質代謝コントロール、抗酸化酵素SODの生成促進すなわち抗酸化作用、自律神経の調整などが挙げられ、皮膚の健康増進やアルツハイマー病などの予防や改善等に役立つとされている。
【0004】
エストロゲン様物質がザクロから得られることが、従来から知られていた。
例えば、特許文献1〜6などには、ザクロ、エストロゲン様物質、エストロゲンに関連した事項が開示されている。特に、特許文献5〜6には、ザクロ由来のエストラジオールを医薬等に用いることが開示されている。しかし、ザクロの種子からエストラジオールを得る具体的な抽出方法については開示されていない。また、非特許文献1などには、ザクロからエストロゲンは有意に得られないとの報告もあった。
そのため、エストロゲンはザクロからは得られないとの判断が主流であった。
【0005】
それに対し、本発明者は、ザクロの種子からエストラジオールを有効に抽出する方法を発明し、特許文献7で開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−143491 「老化用の化粧料」
【特許文献2】特開2007−23010 「閉経後のホルモンバランス調整及びパーキンソン症の予防改善目的の経口組成物」
【特許文献3】特表2007−534747 「肥満、肥満に関連する障害、および他の障害の治療/管理におけるプレグナン配糖体の使用」
【特許文献4】特開2008−127373 「エストロゲン様組成物」
【特許文献5】特開2003−113028 「ザクロの種子成分の混合物」
【特許文献6】特表2003−514865 「ザクロ種油及び果汁生成物の混合物」
【特許文献7】特許第4024734号 「エストラジオールの抽出方法」
【特許文献8】特開2006−16340 「ザクロ抽出物を有効成分とする、血中尿酸値低下剤」
【特許文献9】特開2004−359732 「抗酸化剤」
【特許文献10】特開2005−73504 「食品素材及びその製造方法」
【特許文献11】特開2006−51035 「栄養補助食品及び関連方法」
【特許文献12】特開2008−127373 「エストロゲン様組成物」
【特許文献13】特開2005−213196 「毛髪調整剤、染毛剤、パーマ用第1剤」
【特許文献14】特開2005−247792 「染毛剤」
【特許文献15】特開2006−193432 「頭髪処理剤及び頭髪処理方法」
【特許文献16】特開2008−290977 「毛髪保護組成物、毛髪化粧料、及び毛髪の保護方法」
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】国民生活センター、自主調査テスト No.H12−1、「エストロゲンは本当に含まれているの?ザクロを使った健康志向食品」、平成12 年4月6日、(http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20000406_2.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、特許文献7によるエストラジオール抽出方法を基にして、ザクロの種子から有効にエストラジオールを抽出し、そのエキス、及び、その有効成分を含有する医薬組成物、飲食物、化粧品、並びに、それらの使用方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
すなわち、本発明のザクロ種子抽出エキスは、ザクロの種子から抽出したエキスであって、ザクロの種子を粉砕した粉砕試料から抽出したエストラジオールを含有することを特徴とする。
【0010】
ここで、エストラジオールは、ザクロ種子の粉砕試料から抽出溶媒により一次溶液を抽出し、それを減圧濃縮後に希釈し、アルキル鎖化学結合型の分離剤に通液し、抽出溶媒により二次溶液を抽出し、次いで、それを減圧濃縮し、イオン交換型の分離剤に通液し、有機溶媒により抽出して得られるものとしてもよい。
【0011】
本発明の医薬組成物は、前記のザクロ種子抽出エキスから得られるエストラジオールを、有効成分として含有することを特徴とする。
【0012】
ここで、アスタキサンチンを有効成分として含有させてもよい。
【0013】
本発明の飲食物は、前記のザクロ種子抽出エキスから得られるエストラジオールを、有効成分として含有することを特徴とする。
【0014】
ここで、アスタキサンチンを有効成分として含有させてもよい。
【0015】
本発明の化粧品は、前記のザクロ種子抽出エキスから得られるエストラジオールを、有効成分として含有することを特徴とする。
【0016】
ここで、アスタキサンチンを有効成分として含有させてもよい。
【0017】
さらに、プラチナを有効成分として含有させてもよい。
【0018】
そのプラチナとしては、プラチナシルバーコロイド溶液として含有されることが好適である。
【0019】
化粧品としては、毛髪料に有用に適用できる。
【0020】
毛髪料に、アミノ酸、グリセリン、ウレタン樹脂、両性樹脂、ヨクイニン、海苔タンパク、アスコルビン酸ナトリウムから成る群から選択される少なくとも1種を含有させてもよい。
【0021】
本発明の医薬組成物の使用方法は、前記の医薬組成物を、その有効量処方し、少なくとも抗酸化作用を得ることを特徴とする。
【0022】
本発明の飲食物の使用方法は、前記の飲食物を、その有効量摂取し、少なくとも抗酸化作用を得ることを特徴とする。
【0023】
本発明の化粧品の使用方法は、前記の化粧品を、その有効量適用し、少なくとも抗酸化作用を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、本発明者の発明(特許文献7)を基に、ザクロの種子からエストラジオールを有効に抽出したエキスによって、抗酸化作用などエストロゲンによる作用を、医薬組成物、飲食物、化粧品等の形態で容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ザクロの種子にエストロゲンが含有されていることを示す試験結果の証明書
【図2】ザクロ種子エキスのサンプルを示す表
【図3】ザクロ種子エキスのサンプルにエストロゲンが含有されていることを示す試験結果の証明書
【図4】同、別サンプルにエストロゲンが含有されていることを示す試験結果の証明書
【図5】ザクロ種子エキスのサンプルに他の有用成分が含有されていることを示す試験結果の証明書
【図6】ザクロ種子エキスのサンプルに他の有用成分が含有されていることと、有用な化学作用を示す試験結果の証明書
【図7】ザクロの種子エキス、花エキス、種子及び花の混合エキスのサンプルについて、化学作用の有無を示す試験結果の表
【図8】化粧クリームのサンプルの組成を示す表
【図9】同サンプルのモニター結果を示す表
【図10】毛髪料のサンプルの組成を示す表
【図11】同サンプルのモニター結果を示す表
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記の例示に限らず、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で、前記文献など従来公知の技術を用いて適宜設計変更可能である。
【0027】
図1は、ザクロの種子にエストロゲンが含有されていることを示す試験結果の証明書である。
まず、ザクロの種子に確かにエストロゲンが含有されているかを確認した。その結果、β−エストラジオールが有意に確認された。また、有効成分として、リノレン酸も有意に確認された。
【0028】
次に、本発明者の発明(特許文献7)を基に、ザクロの種子からエキスを抽出した。
図2は、ザクロ種子エキスのサンプルを示す表であり、図3及び4は、そのザクロ種子エキスの各サンプルにエストロゲンが含有されていることを示す試験結果の証明書である。
サンプルとしては、ザクロ種子をミキサーで粉砕後、95%エタノールまたは80%メタノールで抽出した2通りを作成した。抽出溶媒には、ザクロ種子の粉砕物の10倍の量を用い、粉砕物を除去後、濃縮し、軟エキス状の液体を、抽出溶媒で回収した。
95%エタノールで抽出したサンプルには、 図3に示した通り、β−エストラジオールが有意に確認された。また、有効成分として、リノレン酸も有意に確認された。
80%メタノールで抽出したサンプルにも、 図4に示した通り、β−エストラジオールが有意に確認された。また、有効成分として、リノレン酸も有意に確認された。
【0029】
図5及び6は、ザクロ種子エキスのサンプルに他の有用成分が含有されていることと、化学作用を示す試験結果の証明書である。
上記サンプルと同様に作成した95%エタノール抽出サンプルについて、他の有用成分が含有されているかを試験した。その結果、図5に示した通り、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸、図6に示した通り、β−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロールが有意に確認された。
また、図6に示した通り、スーパーオキシドの消去活性、DPPHラジカルの消去活性も有意に確認され、有用な化学作用が有意に作用することも確認された。
【0030】
図7は、ザクロの種子エキス、花エキス、種子及び花の混合エキスのサンプルについて、化学作用の有無を示す試験結果の表である。
上記サンプルと同様に作成したザクロの種子エキス、花エキス、種子及び花の混合エキスのサンプルに、SOD様作用、DPPHラジカルの消去活性、チロシナーゼの活性阻害作用、コラゲナーゼの活性阻害作用、レクターゼの活性阻害作用、リパーゼの活性阻害作用、タンパクの凝集作用、収斂作用、エストロゲン様作用が有意に作用することが確認された。
また、SOD様作用、DPPHラジカルの消去活性、チロシナーゼの活性阻害作用、コラゲナーゼの活性阻害作用、レクターゼの活性阻害作用、リパーゼの活性阻害作用、エストロゲン様作用については、花エキスより種子エキスによる作用が高いことも確認された。
【0031】
ザクロの種子からエストラジオールを含有するエキスを抽出するには、例えば、下記の方法が利用可能である。
すなわち、ザクロの種子を粉砕した粉砕試料から抽出溶媒により一次溶液を抽出し、その一次溶液を減圧濃縮後に希釈してアルキル鎖化学結合型の第1の分離剤に通液し、その第1の分離剤から前記抽出溶媒により二次溶液を抽出し、その二次溶液を減圧濃縮してイオン交換型の第2の分離剤に通液し、その第2の分離剤から有機溶媒によりエストラジオールを抽出する。
【0032】
ここで、第2の分離剤には、少なくとも強陽イオン交換層と強陰イオン交換層と弱陰イオン交換層とを有した3層構造のものを用いてもよい。
また、強陽イオン交換層と強陰イオン交換層と弱陰イオン交換層は、別個独立の分離容器にそれぞれ充填し、分離容器が連結されることによって3層構造を形成する構成にしてもよい。
【0033】
強陽イオン交換層には、プロピルスルホン酸、強陰イオン交換層には、トリメチルアミノプロピル、弱陰イオン交換層には、1級、2級アミンが利用できる。
また、有機溶媒には、アセトンとヘキサンとを混合したものが利用できる。
第1の分離剤には、オクタデシルシリカが利用できる。
一次溶液を抽出する抽出溶媒及び二次溶液を抽出する抽出溶媒には、メチルアルコールが利用できる。
【0034】
本発明によるエストラジオールを含有するザクロ種子エキスは、医薬品、飲食品、化粧品など様々な用途に使用可能である。医薬組成物及び飲食物としての用途については、特許文献8〜12などの従来公知技術を適宜援用でき、化粧品としての用途については、特許文献13〜16などの従来公知技術を適宜援用できる。
エストラジオールの含有量は、用途によって異なるが、一般的には、少なくともエストロゲン様作用、特に抗酸化作用を生じれば任意である。また、有効成分の効果に実質的な影響を及ぼさない限り、その他の各種成分を含有させてもよい。
【0035】
本発明による医薬組成物は、例えば、エストロゲン欠乏を補うものであり、抗エストロゲン欠乏症に対して効果を発揮する。具体的には、エストロゲン欠乏に伴う疾病、不安定愁訴、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化、自律神経失調症、更年期障害、肌トラブル、しわ、たるみなどの予防または改善または治癒に有効である。
【0036】
本発明による医薬組成物は、経口及び非経口(例えば、直腸投与、経皮投与)のいずれかの投与経路で、生体に投与することができる。投与経路に応じた適切な剤形として提供されることが好ましく、例えば、液剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ錠などの経口剤、直腸投与剤などの種々に調製して使用することが可能である。
【0037】
医薬組成物としての効果をより確実なものとするために、例えば、賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、pH調製剤など、薬学上許容される担体または添加剤を適宜選択し、組み合わせたものを本発明による医薬組成物に添加してもよい。
使用可能な添加剤は、例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、シロップワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0038】
本発明による飲食物は、医薬組成物と同様に、例えば、エストロゲン欠乏を補うものであり、抗エストロゲン欠乏症に対して効果を発揮する。具体的には、エストロゲン欠乏に伴う症状、不安定愁訴、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化、自律神経失調症、更年期障害、肌トラブル、しわ、たるみなどの予防または改善に有効である。
【0039】
本発明による飲食物は、食品、飲料、保健用飲食品、機能性食品、調味料、食品添加物などして利用可能であり、例えば、顆粒状、粒状、ペースト状、ゲル状、固形状、液体状に任意に成形することができる。これらには、食品中に含有することが認められている各種物質、例えば、結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤、pH調製剤などを適宜含有させてもよい。
【0040】
含有させる対象の具体例としては、麺類、パン、米飯、餅等の穀物加工品、マーガリン、マヨネーズ等の油脂加工品、ハム、ソーセージ等の食肉加工品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工品、ヨーグルト、バター、チーズ、アイスクリーム等の乳製品、ジャムなどの果実加工品、漬物などの野菜加工品、チョコレート、クッキー、ケーキ、キャンディー、チューイングガム、ゼリー等の菓子類、ジュース、コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、炭酸飲料、牛乳等の各種飲料、醤油、ソース、みりん等の調味料などが挙げられる。
【0041】
本発明による化粧品は、例えば、エストロゲン欠乏を補うものであり、抗エストロゲン欠乏症に対して効果を発揮する。具体的には、エストロゲン欠乏に伴う症状、皮膚及び頭髪の老化防止作用、抗酸化作用、保湿作用、美白作用、肌トラブル、しわ、たるみなどの予防または改善に有効である。
【0042】
本発明による化粧品には、例えば、保湿剤、紫外線吸収剤、複合脂質、活性酸素消去作用を有する物質、抗炎症剤、ビタミン及びその誘導体、油性成分、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、コレステロール類、植物ステロール類、リポプロテイン類、微生物由来成分、藻類抽出物、血行促進剤、抗脂漏剤、増粘剤、着色料などの成分を含有させてもよい。
【0043】
化粧品の具体例としては、クリーム、乳液、ローション、洗顔料、パック等の基礎化粧料、口紅、ファンデーション等のメイクアップ化粧料、ボディソープ、石鹸等の洗剤、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアーセットローション、ヘアーブロー剤、ヘアークリーム、ヘアーコート等のヘアー製品、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント等の頭髪用トイレタリー等のヘアーケア製品などが挙げられる。
【0044】
医薬組成物及び飲食物には、抗酸化作用を特に高めるために、アスタキサンチンも有効成分として含有させることが好ましい。
化粧品には、アスタキサンチンとプラチナの少なくとも一方も有効成分として含有させることが好ましい。プラチナは、プラチナシルバーコロイド溶液として含有させるのが好適である。
【0045】
アスタキサンチンは、カロテノイドの一種であり、強い抗酸化作用を有し、主として酸化による老化現象を抑える特徴がある。
プラチナ及びシルバーは、抗菌力を有するので、プラチナはプラチナシルバーコロイド溶液としての利用が好ましい。プラチナとシルバーとの相乗効果により優れた抗菌、抗カビ力を発揮でき、パラベンなど防腐剤を含まない化粧品の製造が可能となり、また、他成分との親和性に優れるため、幅広いpH領域でも使用できる利点も有する。
【0046】
アスタキサンチンとプラチナの少なくとも一方をも有効成分として含有させた化粧品としては、例えば、抗酸化作用を活用し、ダメージヘアを保護する効果のある毛髪化粧料が提供できる。
毛髪は、ポリペプチド鎖から主として構成され、80%以上のタンパク質と10〜12%の水分で構成され、ヘアカラー、ブリーチ、乾燥、紫外線、ストレス等の要因によりダメージを受け、キューティクルが剥がれ、アミノ酸が流出し、水分保持機能が弱くなり、ぱさついて光沢がなくなるが、本発明による毛髪料によると、これが防止される。
【0047】
具体的な毛髪料としては、ワックスタイプ、ムースタイプ、スプレータイプ、ミストタイプ、クリームタイプ、ジェルタイプ、ローションタイプ、ウォータタイプのいずれでもよい。例えば、ワックスタイプとしては、通常、炭化水素(ワセリン、固形パラフィン、流動パラフィン、セリシン、マイクロクリスタリンワックス等)、植物由来油脂(キャンデリラワックス、ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油等)、ロウ(蜜蝋、モクロウ、ラノリン、カルナバロウ等)、植物由来エステル油(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等)を主とし、合成高分子、非イオン界面活性剤、各種保護補修剤、アミノ酸、保湿剤、天然エキス等の機能性薬剤を配合しているものなどが挙げられる。
これら毛髪料の成分は、毛髪を処理するための他の成分との混合物の形態で毛髪に適用することが可能であり、例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、パーマ用溶剤、トリートメント剤、整髪料などの形態でも使用可能である。
【0048】
毛髪料に、アミノ酸成分を含有させてもよい。アミノ酸成分としては、グルタミン酸、リジンなど、ケラチンを構成するアミノ酸、具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン、トリプトファン、シスチン、メチオニン等が挙げられる。これらアミノ酸成分の配合により毛髪に対してハリコシを与えることができ、スタイリングを行いやすくすることが可能である。
また、グリセリン、アスコルビン酸ナトリウムをさせてもよい。グリセリンやアスコルビン酸ナトリウムの配合により加熱や、再整髪時の酸化を積極的に防止することが可能である。
また、ウレタン樹脂をさせてもよい。ウレタン樹脂は、高湿度でもセット保持性を有する。
【0049】
また、両性樹脂、整髪用高分子をさせてもよい。これは、自然な髪形を維持すること、風邪になびくような髪形にすること、強風でも髪形が崩れないことなどに寄与する。具体的な両性樹脂、整髪用高分子としては、水/アルコールへの溶解性を改善した整髪用高分子、例えば、N−メタクリロイルオキシエチルN、N−ジメチルアンモニウム・α-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸共重合体、LPGへの溶解性を改善した整髪用高分子、例えば、ビニルピロリドン・酢酸ビニル・プロピオン酸ビニル共重合体、洗浄性、耐フレーキング性を改善した整髪用高分子、例えば、N−tert-ブチルアミド・アクリル酸アミド・アクリル酸共重合体、自然な仕上がりが得られる整髪用高分子、例えば、メタクリロイルベタイン・メタクリル酸ブチル共重合体、透明なヘアゲル製品に適した整髪用高分子、例えば、メタクリル酸ジメチルアミノエチルのジエチル硫酸塩とビニルピロリドンとの共重合体、シャンプーに配合する整髪力のある高分子、例えば、特定の両性高分子とキサンタンガムなどの配合タンパク質誘導体と特定のリン酸エステル系界面活性剤、整髪力のあるシリコーン誘導体、例えば、アクリル酸とシリコーンのマクロモノマーを共重合させたものなどが挙げられる。
【0050】
また、ヨクイニン、海苔タンパク、アスコルビン酸ナトリウムを含有させてもよい。ヨクイニンは、主として保湿効果があり、海苔タンパクは、乾燥、紫外線、活性酸素等多くの環境ストレスに対する効果があり、アスコルビン酸ナトリウムは、加熱再整髪時の酸化を防止する効果がある。
【実施例】
【0051】
図8は、化粧クリームのサンプルの組成を示す表であり、図9は、そのサンプルのモニター結果を示す表である。
化粧クリームのサンプルとして、ザクロ種子エキス、アスタキサンチン、プラチナシルバーコロイド溶液の有無を変えて6例作成した。
10名のモニターにより、朝晩2回、顔及び手への塗布を、28日継続し、その後の使用感を、肌荒れ、ハリ、キメについて官能評価した。
その結果、ザクロ種子エキス、アスタキサンチン、プラチナシルバーコロイの全てを含有する化粧クリームが最も高い評価であった。
【0052】
図10は、毛髪料のサンプルの組成を示す表であり、図11は、そのサンプルのモニター結果を示す表である。
毛髪料のサンプルとして、ザクロ種子エキス、アスタキサンチン、プラチナシルバーコロイド溶液の有無を変えて4例作成した。
各5名のモニターにより、朝1回、頭髪左半部に対照サンプル(サンプル1)、頭髪右半部に各サンプル(サンプル2〜4)の塗布を、28日継続し、その後の抜け毛、毛髪根部の太さ、ハリ及びコシの官能評価を行った。
その結果、ザクロ種子エキス、アスタキサンチン、プラチナシルバーコロイの全てを含有する毛髪料が最も高い評価であった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によると、ザクロの種子からエストラジオールを有効に抽出したエキスによって、抗酸化作用などエストロゲンによる作用を、医薬組成物、飲食物、化粧品など様々な形態で容易に提供することができるので、用途が非常に広く実用的であり産業上利用価値が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ザクロの種子から抽出したエキスであって、
ザクロの種子を粉砕した粉砕試料から抽出したエストラジオールを含有する
ことを特徴とするザクロ種子抽出エキス。
【請求項2】
エストラジオールが、
ザクロ種子の粉砕試料から抽出溶媒により一次溶液を抽出し、それを減圧濃縮後に希釈し、アルキル鎖化学結合型の分離剤に通液し、抽出溶媒により二次溶液を抽出し、次いで、それを減圧濃縮し、イオン交換型の分離剤に通液し、有機溶媒により抽出して得られるものである
請求項1に記載のザクロ種子抽出エキス。
【請求項3】
医薬組成物であって、
請求項1または2に記載のザクロ種子抽出エキスから得られるエストラジオールを、有効成分として含有する
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項4】
アスタキサンチンを、有効成分として含有する
請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
飲食物であって、
請求項1または2に記載のザクロ種子抽出エキスから得られるエストラジオールを、有効成分として含有する
ことを特徴とする飲食物。
【請求項6】
アスタキサンチンを、有効成分として含有する
請求項5に記載の飲食物。
【請求項7】
化粧品であって、
請求項1または2に記載のザクロ種子抽出エキスから得られるエストラジオールを、有効成分として含有する
ことを特徴とする化粧品。
【請求項8】
アスタキサンチンを、有効成分として含有する
請求項7に記載の化粧品。
【請求項9】
プラチナを、有効成分として含有する
請求項7または8に記載の化粧品。
【請求項10】
プラチナが、プラチナシルバーコロイド溶液として含有される
請求項9に記載の化粧品。
【請求項11】
化粧品が、毛髪料である
請求項7ないし10のいずれかに記載の化粧品。
【請求項12】
毛髪料が、アミノ酸、グリセリン、ウレタン樹脂、両性樹脂、ヨクイニン、海苔タンパク、アスコルビン酸ナトリウムから成る群から選択される少なくとも1種を含有する
請求項11に記載の化粧品。
【請求項13】
医薬組成物の使用方法であって、
請求項3または4に記載の医薬組成物を、その有効量処方し、少なくとも抗酸化作用を得る
ことを特徴とする医薬組成物の使用方法。
【請求項14】
飲食物の使用方法であって、
請求項3または4に記載の飲食物を、その有効量摂取し、少なくとも抗酸化作用を得る
ことを特徴とする飲食物の使用方法。
【請求項15】
化粧品の使用方法であって、
請求項3または4に記載の化粧品を、その有効量適用し、少なくとも抗酸化作用を得る
ことを特徴とする化粧品の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−162513(P2011−162513A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29504(P2010−29504)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(397021235)株式会社サニープレイス (5)
【Fターム(参考)】