シアノアクリレート処方の発熱制御
接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーと、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤及び重合促進剤と、を含む。生体組織処置用システムは、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含有する第1のリザーバと、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤及び促進剤を含有し、1のリザーバとは非接触関係にある第2のリザーバと、重合可能なシアノアクリレートモノマーと重合開始剤と促進剤とを混合して接着剤組成物を形成し、続いて接着剤組成物を生体組織に適用することができるアプリケータと、を含む。反応開始剤は、第4級アンモニウム塩であってよく、促進剤は、トリヒドロキシ第3級アミンであってよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化モノマー及び吸収性ポリマー接着剤及び封止剤組成物、並びに工業的及び医学的用途におけるそれらの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
モノマー及びポリマー接着剤/封止剤は、工業的(家庭用を含む)及び医学的/外科的の両方の用途で用いられる。これらの接着剤又は封止剤に含まれるものとして、シアノアクリレートモノマー及びそれらから形成されるポリマーがある。このようなモノマー及びポリマーの接着剤/封止剤特性の発見以来、硬化速度、形成する結合の強さ、及び比較的使いやすいことから、様々な用途で使用されている。これらの特徴から、多くの接着剤用途、例えばプラスチック、ゴム、ガラス、金属、木材、及び最近では、医学的、生物学的、又は生体組織の接着において、シアノアクリレート組成物が第一の選択肢となっている。
【0003】
シアノアクリレート組成物の医学的及び外科的用途としては、外科縫合、メッシュ及びステープル又は創縫合におけるその他医療デバイスの代替又は補助としての利用、並びに外傷、例えば裂傷、擦過傷、熱傷、口内炎(複数の口内炎)、潰瘍、及びその他外傷の被覆及び保護目的が挙げられる。シアノアクリレート組成物が適用される際、たいていはモノマー形状で適用され、形成されるポリマーが所望の接着接合又は封止剤強度をもたらす。
【0004】
シアノアクリレート接着剤の重合プロセスの間、組成物の温度を上昇させる発熱反応が起こる。組成物に使用されるモノマー及び用いられる添加剤により、温度の上昇度は異なる。具体的には、接着剤の粘度が上昇するにつれ、1回の使用でより厚い層の材料を適用できる。このように適用すると、より低い粘性の組成物を多層で用いて同じ厚さで適用する場合よりも、高い発熱が得られる可能性が出る。加えて、いくつかの用途において、接着剤が、表面に適用した際に流れ落ちたり、創傷内へ又は接着剤を必要としない領域に表面を伝って広がったりしないように、より粘性の高い接着剤の使用が望ましい。
【0005】
モノマー成分の発熱重合による接着剤組成物の温度上昇は、接着剤の組成により、低くて5℃、高くて70℃の場合がある。生体組織の表面上に置かれた接着剤組成物の温度上昇がわずか45℃であると、一般には不快感を引き起こす。60℃を超える温度は、一般に組織損傷を起こすと広く信じられている。
【0006】
参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第6,010,714号(「714特許」)に開示されるように、モノマーの重合による発熱量を抑えるため、放熱剤をシアノアクリレート接着剤に添加することが知られている。‘714特許は、エーテル、ケトン、クロロフルオロカーボン、アルカン、アルコール、アルケン及びこれらの混合物などの放熱剤の添加を開示する。‘714特許に開示される放熱剤は、比較的低い、例えば40〜50cpの粘度を有する接着剤組成物に有用である。接着剤を組織に適用した後に生体組織の熱損傷又は壊死を起こさない、比較的厚い外科的接着剤の必要性が残る。したがって、シアノアクリレートモノマーの重合中に放出される熱又は発生する熱量を削減する、添加剤又は添加剤の組み合わせが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーと、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤及び重合促進剤と、を含む接着剤組成物が提供される。重合開始剤として、第4級アンモニウム塩が挙げられる。重合促進剤として、トリヒドロキシ第3級アミンが挙げられる。
【0008】
接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の安定化剤、防腐剤、放熱剤、着色剤、又はこれらの組み合わせを更に含んでよい。第4級アンモニウム塩は、塩化ベンザルコニウムであってよい。トリヒドロキシ第3級アミンは、トリイソプロパノールアミン又はポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミンであってよい。
【0009】
一実施形態では、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含有する第1のリザーバと、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤及び促進剤を含有し、第1のリザーバとは非接触関係にある第2のリザーバと、重合可能なシアノアクリレートモノマーと重合開始剤と促進剤とを混合して接着剤組成物を形成し、続いて接着剤組成物を生体組織に適用することができるアプリケータと、を含む生体組織処置用システムが提供される。重合促進剤は、トリヒドロキシ第3級アミンを含んでよい。重合開始剤は、第4級アンモニウム塩を含んでよい。
【0010】
他の実施形態では、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーと、第4級アンモニウム塩を含む1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤と、トリヒドロキシ第3級アミンを含む1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合促進剤と、を含む、生体適合性接着剤組成物を生体組織に適用する工程、を含む、生体組織処置方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム系(110μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図2】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム系(110μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図3】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(55μg/903μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図4】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(55μg/903μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図5】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(45μg/803μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図6】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(45μg/803μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図7】組成物A1(1ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(55μg/903μg、45μg/803μg、及び45μg/691μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図8】組成物A1(1ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(55μg/903μg、45μg/803μg、及び45μg/691μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図9】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(55μg/907μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図10】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(55μg/907μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図11】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(45μg/829μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図12】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(45μg/829μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図13】組成物A(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(45μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図14】組成物A(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(45μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図15】組成物A(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(35μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図16】組成物A(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(35μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図17】組成物A1(1ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン系(55μg/907μg、45μg/829μg、45μg/706μg、及び35μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図18】組成物A1(1ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン系(55μ/907μg、45μg/829μg、45μg/706μg、及び35μ/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的において、用語「吸収性」又はその変化形は、接着剤又は封止剤の適用後、動物(ヒトを含む)組織により、完全に又は部分的に吸収、分解又は生分解されることを意味する。また、用語「実質的に吸収される」は、少なくとも90%が吸収されることを意味する。用語「非吸収性」又はその変化形は、接着剤又は封止剤の適用後、動物組織により、完全に又は部分的に吸収されることが、完全に又は実質的に不可能であることを意味する。
【0013】
用語「有効量」は、接着剤組成物に所望の性質をもたらすのに十分な量である。有効量は、シアノアクリレートモノマー、粘度調整剤、安定剤、反応開始剤又はその他の接着剤組成物の形成に用いられる成分の影響を受ける場合がある。
【0014】
本明細書で用いるとき、用語「安定性」又は「安定化された」は、ある期間にわたってシアノアクリレート組成物の粘度を測定することにより決定することができる。シアノアクリレート組成物の未成熟重合により、時間の経過とともに粘度が上昇する結果となるため、組成物の粘度を用いて組成物の安定性を決定できる。
【0015】
用語「生体適合性」は、材料が目的の場所に埋め込まれ又は適用されると、許容できない反応を起こすことなく、必要な期間、目的の機能を果たすように、長期間又は短期間埋め込み物に、又は非埋め込み用途で用いられる医療デバイスに好適で、かつデバイスの要件に合致した材料を意味する。長期間埋め込み物とは、30日を超えて埋め込まれる品目であると定義される。
【0016】
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含むシアノアクリレート接着剤組成物が提供される。モノマーシアノアクリレート接着剤組成物の発熱制御は、第4級アンモニウム塩などの反応開始剤と、トリヒドロキシ第3級アミンなどの促進剤と、を含む、反応開始剤組成物を、重合可能なモノマーシアノアクリレート組成物に加え、その結果シアノアクリレート接着剤組成物とすることにより達成される。反応開始剤組成物は、シアノアクリレートモノマーの重合時の発熱を低減できる。重合時の発熱を制御するために、促進剤を単独でモノマーシアノアクリレートに追加できることも想到される。
【0017】
好適な第4級アンモニウム塩は、反応開始剤として作用することができ、数秒から数分の短時間の硬化速度を有することができる。硬化速度は、組成物に添加される第4級アンモニウム塩の量又は濃度の選択により厳密に制御することができ、したがって、本開示を考慮すれば当業者が容易に制御できる。好適な第4級アンモニウム塩は、モノマー又は複数種のモノマーの重合が、特定の用途における所望の時間内に起こせるように、モノマー又は複数種のモノマーの、均一で、制御可能、かつ完全な重合をもたらす。
【0018】
第4級アンモニウム塩は、元のアンモニウムカチオンの4つの水素全てに対して有機基が置換されているアンモニウム塩の任意の群であってよい。実施形態では、第4級アンモニウム塩は、以下の一般式Aを有してよく、
【化1】
式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル基、置換若しくは非置換の芳香環、又は置換若しくは非置換のアラルキル基であり、ここで、アルキル基、芳香環又はアラルキル基は、O、N、及びSなどのヘテロ原子を任意に更に含んでよく、Xは、ハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物、若しくはフッ化物などのアニオン、又はヒドロキシルである。実施形態では、R1、R2、R3及びR4は、C1〜C8アルキル基、好ましくは、C1〜C4アルキル基、又はアラルキル基である。例として、第4級アンモニウム塩としては、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラオクチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化アセチルコリン、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。反応開始剤が塩化ベンザルコニウム(BAC)であることが、好ましい。
【0019】
重合可能なシアノアクリレートモノマーに添加される第4級アンモニウム塩の量は、典型的には、シアノアクリレートモノマー(1種又は複数種)、促進剤、粘度調整剤、安定剤、及び所望の重合速度に依存してよい。典型的には、第4級アンモニウム塩は、約10ppm〜約10,000ppm、好ましくは約200ppm〜約6000ppmの量で存在し得る。医療デバイスに応用するとき、その濃度は、約10μg〜約500μg、好ましくは約15μg〜約300μgの量であり得る。
【0020】
好適なトリヒドロキシ第3級アミンは、促進剤として作用することができる。反応開始剤と同様に、好適なトリヒドロキシ第3級アミンは、モノマー又は複数種のモノマーの重合が、特定の用途における所望の時間内に起こせるように、モノマー又は複数種のモノマーの、均一で、制御可能、かつ完全な重合をもたらす。加えて、第4級アンモニウム塩及びトリヒドロキシ第3級アミンを組み合わせて用いることで、シアノアクリレートモノマーの重合時に放出される熱量が低減される。
【0021】
実施形態では、トリヒドロキシ第3級アミンは、以下の一般式Bを有してよく、
【化2】
式中、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立して、C1〜C20置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル、又はアリール基である。トリヒドロキシ第3級アミンは、中心の窒素の周りに3つの同一の−ROH基を有するニトリロトリスであることが好ましい。例として、トリヒドロキシ第3級アミンとしては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、トリス(sec−ブタノールアミン)、3,3’,3”−ニトリロトリス−(1,2−プロパンジオール)、及び5,5’,5”−ニトリロトリス−(1−ペンタノール)が挙げられるが、これらに限定されない。反応開始剤がTIPAであることが、好ましい。
【0022】
トリヒドロキシ第3級アミンはまた、以下の一般式Cも有してよく、
【化3】
式中、R8、R9、R10、R11、R12、R13は、それぞれ独立して、C1〜C20の、アルキレン、置換アルキレン、環状若しくは置換シクロアルキレン、又はアリール基である。トリヒドロキシ第3級アミンは、中心の窒素の周りに3つの同一の−ROROH基を有するニトリロトリスであることが好ましい。例として、トリヒドロキシ第3級アミンとして、エトキシル化又はプロポキシル化ニトリロトリが挙げられるが、これらに限定されない。トリヒドロキシ第3級アミンがポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミン(E−17−5)であることが、好ましい。
【0023】
重合可能なシアノアクリレートモノマーに添加されるトリヒドロキシ第3級アミンの量は、典型的には、シアノアクリレートモノマー、反応開始剤、粘度調整剤、安定剤、及び所望の重合速度に依存してよい。典型的には、トリヒドロキシ第3級アミンは、約10ppm〜約10,000ppm、好ましくは約500ppm〜約20,000ppmの量で存在し得る。医療デバイスに応用するとき、その濃度は、約100μg〜約10,000μg、好ましくは約500μg〜2500μgの量であり得る。
【0024】
記載されるように反応開始剤及び促進剤を含むシアノアクリレート接着剤モノマー組成物、並びにそれから形成されるポリマーは、出血の予防又は開放創の被覆に、組織接着剤、封止剤として、及びその他生物医学的用途に有用である。接着剤組成物は、例えば、体液の漏出予防、体内の空気漏出の封止、組織の隣接、外科的に切られた又は外傷により裂かれた組織の並置、創傷からの血流の遅延、薬物送達、熱傷の包帯、皮膚又はその他表面若しくは深部組織の外傷(例えば、擦過傷、切り傷若しくは擦り傷、及び/又は口内炎)の包帯、並びに生体組織の修復及び再生の補助に使用される。本発明の接着剤組成物は、様々な生体組織、内臓器官及び血管における創傷の封止に広く応用され、例えば、血管の内部又は外部、及び様々な器官又は組織に適用できる。本発明の接着剤組成物はまた、工業用及び家庭用の用途、例えばゴム、プラスチック、木材、複合材料、布地、並びにその他天然及び合成材料の結合にも有用である。
【0025】
本発明で用いることができるモノマーは、容易に重合可能であり、例えばアニオン重合可能な若しくはフリーラジカル重合可能な、又は双性イオン若しくはイオン対により重合可能であり、ポリマーを形成する。このようなモノマーのいくつかは、例えば、Leungらへの米国特許第5,328,687号に開示され、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。好ましくは、シアノアクリレート接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含み、生体適合性である。1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含むシアノアクリレート接着剤組成物は、シアノアクリレートモノマーの組み合わせ又は混合物を含んでよい。
【0026】
好ましくは、接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含み、式(I)のシアノアクリレートモノマーの組み合わせ又は混合物を含んでよい。シアノアクリレートモノマーは、当該技術分野において既知であり、以下の式を有する。
【化4】
式中、R14は、水素であり、R15は、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基、式−R16−−O−R17−−O−R18を有する基(式中、R16は、2〜4個の炭素原子を有する1,2−アルキレン基であり、R17は、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、R18は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である)、又は以下の式を有する基であり、
【化5】
式中、R19は、以下であり、
【化6】
式中、nは、1〜10個、好ましくは1〜5個の炭素原子であり、R20は、有機部分である。有機部分R20は、置換又は非置換であってよく、直鎖、分枝又は環状の飽和、不飽和又は芳香族であってよい。好ましい有機ラジカルは、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、及びアルキニル部分、並びにそれらのハロ置換誘導体である。特に好ましいのは、4〜6個の炭素原子のアルキル部分である。
【0027】
式(I)のシアノアクリレートモノマーにおいて、R15は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、又は式−AOR21を有する基であってよく、ここで、Aは、2〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖又は分枝鎖アルキレン又はオキシアルキレン部分であり、R21は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル部分である。式−AOR21で表わされる基の例として、1−メトキシ−2−プロピル、2−ブトキシエチル、イソプロポキシエチル、2−メトキシエチル、及び2−エトキシエチルが挙げられる。
【0028】
式(I)のシアノアクリレートは、当該技術分野において既知の方法にしたがって調製することができる。例えば、シアノアクリレートは、非水性有機溶媒中、塩基性触媒の存在下でアルキルシアノアセテートをホルムアルデヒドと反応させ、続いて米国特許第2,721,858号及び同第3,254,111号に開示される重合阻害物質の存在下で、無水の中間体ポリマーを熱分解することにより調製することができる。R15が、式R16−−O−R17−−O−R18を有する基である式(I)のシアノアクリレートは、米国特許第4,364,876号に開示される方法にしたがって調製でき、R15が以下の式
【化7】
である式(I)のシアノアクリレートは、米国特許第3,995,641号に記載される方法にしたがって調製することができる。上記の特許はそれぞれ、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0029】
好適なシアノアクリレートモノマーを単独又は組み合わせで使用することができ、2−オクチルシアノアクリレート、ドデシルシアノアクリレート、2−エチルヘキシルシアノアクリレート、n−ブチルシアノアクリレートなどのブチルシアノアクリレート、エチルシアノアクリレート、メチルシアノアクリレート、メトキシエチルシアノアクリレート、2−エトキシエチルシアノアクリレート、3−メトキシブチルシアノアクリレート、2−ブトキシエチルシアノアクリレート、2−イソプロポキシエチルシアノアクリレート、及び1−メトキシ−2−プロピルシアノアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、モノマーは、エチル、n−ブチル、又は2−オクチルα−シアノアクリレートであってよい。
【0030】
接着剤/封止剤組成物に使用できるシアノアクリレートモノマーとして、アルキルエステルシアノアクリレートが挙げられる。アルキルエステルシアノアクリレートモノマーは、以下の式を有してよい。
【化8】
式中、R22及びR23は、独立して、H、直鎖、分枝若しくは環状アルキル、又は組み合わされて環状アルキル基であり、R24は、直鎖、分枝又は環状アルキル基であり、mは、1〜8である。好ましくは、R22は、H又はC1、C2若しくはC3アルキル基、例えばメチル又はエチルであり、R23は、H又はC1、C2若しくはC3アルキル基、例えばメチル又はエチルであり、R24は、C1〜C16アルキル基、より好ましくはC1〜C10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルであり、更により好ましくはC2、C3又はC4アルキル基であり、mは、好ましくは1〜4である。
【0031】
アルキルエステルシアノアクリレートの例としては、ブチルラクトイルシアノアクリレート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリレート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリレート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリレート(ELCA)、及びエチルグリコロイルシアノアクリレート(EGCA)、イソプロピルエチルシアノアクリレート(IPECA)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。BLCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、メチル、及びR24は、ブチルである。BGCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、H、及びR24は、ブチルである。IPGCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、H、及びR24は、イソプロピルである。ELCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、メチル、及びR24は、エチルである。ELCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、H、及びR24は、エチルである。
【0032】
アルキルエステルシアノアクリレートのその他の例としては、3−(2−シアノ−アクリロイルオキシ)−酪酸エチルエステル(Et−β−HBT−CA)、3−(2−シアノ−アクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル(Et−β−CPL−CA)、アルキルα−シアノアクリロイルカプロラクテート及びアルキルα−シアノアクリロイルブチロラクテート(alkyl alpha-cyanoacryloyl butrylactate)が挙げられる。
【0033】
アルキルエステルシアノアクリレートモノマーは、アルキルシアノアセテート、又は米国特許第3,995,641号に開示されるアルキルエステルシアノアセテートのパラホルムアルデヒドとのKnoevenagel反応により調製することができる。これにより、シアノアクリレートオリゴマーが生成される。続くオリゴマーの熱分解により、シアノアクリレートモノマーが生成される。更に蒸留した後、高純度(95.0%を超える、好ましくは99.0%を超える、及びより好ましくは99.8%を超える)のシアノアクリレートモノマーが得られる。低含水量で不純物を本質的に含まずに調製されたモノマー(例えば、外科用等級)が、生物医学的用途に好ましい。
【0034】
接着剤/封止剤組成物に使用できる他の又は更なるシアノアクリレートとしては、アルキルエーテルシアノアクリレートが挙げられる。アルキルエーテルシアノアクリレートは、以下の一般式を有する。
【化9】
式中、R22’は、直鎖、分枝又は環状アルキル、R23’は、直鎖、分枝又は環状アルキル基である。好ましくは、R22’は、C1、C2又はC3アルキル基、例えばメチル又はエチルであり、R23’は、C1〜C16アルキル基、より好ましくはC1〜C10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルであり、更により好ましくはC2、C3又はC4アルキル基である。
【0035】
アルキルエーテルシアノアクリレートの例としては、イソプロピルオキシエチルシアノアクリレート(isopropyoxy ethyl cyanoacrylate)(IPECA)及びメトキシブチルシアノアクリレート(MBCA)又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。IPECAは、上式で表わすことができ、ここで、R22’は、エチレン、R23’は、イソプロピルである。MBCAは、上式で表わすことができ、ここで、R22’は、n−ブチレン、R23’は、メチルである。
【0036】
アルキルエステルシアノアクリレート及びアルキルエーテルシアノアクリレートは、それらの生体組織及び関連体液による吸収性から、医学的用途に特に有用である。接着剤を生体組織に適用した後、3年未満、好ましくは約1〜24か月、より好ましくは1〜18か月、及び最も好ましくは3〜12か月の期間で、重合及び適用されたシアノアクリレート接着剤の100%が吸収されるのが望ましい。吸収時間は、特定の用途や取り込まれる組織により可変であってよい。吸収時間は、ある種の組織ではより長く、他の種の組織ではより短いことが望ましい場合がある。例えば、接着剤組成物が骨などの硬組織に適用されるとき、より長い吸収時間が望ましい場合があるが、接着剤組成物がよりやわらかい組織に適用されるとき、より短い吸収時間が望ましい場合がある。
【0037】
モノマーの選択は、生じるポリマーの吸収速度、並びにモノマーの重合速度に影響を与え得る。したがって、様々な吸収及び/又は重合速度を有する2つ又はそれ以上の異なるモノマーを組み合わせて使用し、生じるポリマーの吸収速度、並びにモノマーの重合速度をより良く制御できるようになる。接着剤組成物は、様々な吸収速度のモノマー種の混合物を含んでよい。異なる吸収速度を有する2つのモノマー種が用いられた場合、2つのモノマーの混合物が、2つのモノマーそれぞれの吸収速度とは事実上異なる第3の吸収速度を呈することができるよう、その吸収速度が十分に異なることが好ましい。これらの実施形態による組成物は、例えば、米国特許公開第2002/0037310号及び米国特許第6,620,846号に記載されており、両特許ともそれらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0038】
好適なモノマー組成物は、好適な量の2−オクチルα−シアノアクリレートなどのアルキルα−シアノアクリレートを、ブチルラクトイルシアノアクリレート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリレート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリレート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリレート(ELCA)、又はエチルグリコロイルシアノアクリレート(EGCA)のうちの1つと混合することにより、調製してよい。かかる混合物は、重量で約90:10〜約10:90、好ましくは重量で約75:25〜約25:75の比の範囲であってよい。
【0039】
安定剤又は安定化剤を組成物に添加し、未成熟重合を防止、又はシアノアクリレートモノマー組成物の貯蔵寿命を増加することができる。モノマーシアノアクリレート組成物への使用に好適なフリーラジカル安定化剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール、ベンゾキノン、2−ヒドロキシベンゾキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びt−ブチルヒドロキノン、並びにこれらの混合物又は組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。フリーラジカル安定化剤は、約5〜約10,000ppmの量で使用してよい。代表的な実施形態では、ヒドロキノンが用いられる場合、その量は、約5〜約2000ppmであってよく、約500〜約10,000ppmの量のブチル化ヒドロキシアニソールとともに用いてよい。
【0040】
シアノアクリレート接着剤組成物はまた、少なくとも1つのアニオン性蒸気相安定剤、及び少なくとも1つのアニオン性液相安定剤を任意に含んでもよい。かかるアニオン性剤の例は、例えば、米国特許第6,620,846号に記載されており、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0041】
アニオン性蒸気相安定剤は、二酸化イオウ、三フッ化ホウ素、又はフッ化水素を含むが、これらには限定されない、既知の安定剤から選んでよい。典型的には、それぞれのアニオン性蒸気相安定剤は、約200百万分の1(ppm)未満の濃度になるような量で添加される。代表的な実施形態では、それぞれのアニオン性蒸気相安定剤は、約1〜約200ppm、好ましくは約3〜約75ppm、更により好ましくは約3〜約50ppm、及び最も好ましくは約3〜約20ppmの量で存在する。
【0042】
液相アニオン性安定剤は、1.0未満の水性pKaを有する超強酸である。かかる超強酸の例としては、硫酸(pKa−3.0)、過塩素酸(pKa−5)、塩酸(pKa−7.0)、臭化水素酸(pKa−9)、フルオロスルホン酸(pKa<−10)、及びクロロスルホン酸(pKa−10)が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、超強酸液相アニオン性安定剤は、約1〜約200ppmの最終濃度になる量で添加される。超強酸液相アニオン性安定剤は、約5〜約80ppm、好ましくは約5〜約40ppmの濃度で存在してよい。例えば、超強酸液相アニオン性安定剤は、硫酸又はクロロスルホン酸であってよい。
【0043】
接着剤組成物は、少なくとも1つの二級アニオン性活性剤を任意に含んでよい。二級アニオン性活性剤を、接着剤の硬化速度及び安定性、並びに硬化した接着剤の分子量をより正確に制御するため、接着剤組成物に含んでよい。二級アニオン性活性剤は、典型的には、2〜8、好ましくは2〜6、及び最も好ましくは2〜5の範囲のより高いpKaを有する酸である。かかる好適な二級アニオン性活性剤の例として、リン酸(pKa 2.2)、有機酸、例えば酢酸(pKa 4.8)、安息香酸(pKa 4.2)、クロロ酢酸(pKa 2.9)、シアノ酢酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、酢酸及び/又は安息香酸の量は、約25〜約500ppmであってよい。酢酸について、その濃度は、典型的には約50〜約400ppm、好ましくは約75〜約300ppm、及びより好ましくは約100〜約200ppmであってよい。
【0044】
安定剤及び/又は二級アニオン性活性剤の任意の混合物を、その混合物が組成物の所望の重合速度を著しく阻害しない限り、接着剤組成物に含んでよい。組成物の重合速度は、約30秒〜約5分の範囲であることが一般に望ましい。したがって、重合速度が好ましい速度領域から外れるように重合を阻害する、安定剤及び/又は二級アニオン性活性剤の混合物は、望ましくない場合がある。更に、医療用接着剤組成物において、その混合物は容認できないレベルの毒性を示してはならない。当業者にとって、医療用途において容認できる毒性レベルは周知であろう。したがって、用いられる安定剤及び/又はアニオン性活性剤の量は、不要な実験を行わずして当業者により定めることができる。
【0045】
安定剤及び二級アニオン性活性剤は、シアノアクリレートモノマー、三フッ化ホウ素及びその他の安定剤を含む、選択された接着剤組成物、並びに梱包材料及び組成物の製造、及び包装に使用される設備に適合するように選択される。それゆえに、好適な組み合わせは、包装及び滅菌後に、粘稠で、安定化され、かつ実質的に非重合の接着剤組成物でなくてはならない。
【0046】
これらの安定化剤をシアノアクリレートモノマー組成物に加えることにより、組成物の硬化又は重合速度が影響を受ける場合がある。遅い重合を打開するために、シアノアクリレートモノマー又はシアノアクリレートモノマーの混合物の重合を開始又は促進させる適合剤を、モノマー組成物とともに用いてよい。いくつかの医学的用途では、モノマー組成物の吸収性を維持しつつも、より速い硬化速度をもたらす反応開始剤又は速度調整剤が好ましい。
【0047】
第4級アンモニウム塩反応開始剤は、上記で詳細を説明している。加えて、その他の反応開始剤又は速度調整剤を、第4級アンモニウム塩と組み合わせて使用してよい。好適な追加の反応開始剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,928,611号、同第6,620,846号、及び米国特許公開第2002/0037310号に記載されており、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0048】
代表的な実施形態では、重合開始剤として第4級アンモニウム塩化物及び臭化物塩が好ましい。例として、特に臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化アセチルコリンなどの第4級アンモニウム塩を使用することができる。ベンザルコニウムハロゲン化物が使用されるとき、それは、炭素鎖長の異なる化合物の混合物を含む未精製状態のベンザルコニウムハロゲン化物であってよく、あるいはC12、C13、C14、C15、C16、C17、及びC18化合物を含むがこれらに限定されない約12〜約18個の炭素原子の炭素鎖長を有するもののような任意の好適な精製化合物であってもよい。
【0049】
当業者は、不要な実験を行わずして他の開始剤又は速度調整剤を選択することが可能である。こうした好適な開始剤又は速度調整剤としては、洗剤組成物;例えばポリソルベート20(例えば、ICI Americas社より販売されるTween 20(商標))、ポリソルベート80(例えば、ICI Americasより販売されるTween 80(商標))及びポロキサマーなどの非イオン性界面活性剤、臭化テトラブチルアンモニウムなどの陽イオン性界面活性剤、テトラデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、及び水酸化ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウム、分子内塩などの両性又は双極性界面活性剤などの界面活性剤;イミダゾール、アルギニン及びポビジンなどのアミン、イミン及びアミド;トリフェニルホスフィン及びトリエチルホスファイトなどのホスフィン、ホスファイト及びホスホニウム塩;エチレングリコール、没食子酸メチルなどのアルコール;タンニン;亜硫酸水素ナトリウム、硫酸カルシウム及びケイ酸ナトリウムなどの無機塩基及びその塩;チオ尿素及びポリスルフィドなどの硫黄化合物;モネンシン、ノナクチン、クラウンエーテル、カリキサレン及びポリマーエポキシドなどのポリマー環状エーテル;ジエチルカーボネートなどの環状及び非環状カーボネート;Aliquat 336などの相間移動触媒;ナフテン酸コバルト及びマンガンアセチルアセトネートなどの有機金属;ジ−t−ブチルペルオキシド及びアゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤又は反応促進剤;並びに、触媒量のアミン活性化フリーラジカル反応開始剤、促進剤、又は速度調整剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
2つ又はそれ以上の反応開始剤又は速度調整剤の混合物を、少なくとも1つの第4級アンモニウムフッ化物塩及び/又は少なくとも1つの第4級アンモニウムエーテル塩とともに用いてよい。複数の反応開始剤又は速度調整剤の組み合わせが、重合可能なモノマー種の反応開始剤を調整するために有利である場合がある。例えば、モノマーの混合物を用いるとき、反応開始剤の混合物は、単独の反応開始剤と比較して優れた結果をもたらす場合がある。また、反応開始剤の混合物は、1つのモノマーの重合を優先的に開始する第1の反応開始剤と、別のモノマーの重合を優先的に開始する第2のモノマーを与えることもでき、又は両方のモノマー種が同じ若しくは所望の異なる速度で重合を開始されるのを確実にするのに役立つ開始速度を提供することもできる。この方法では、反応開始剤の混合物は、用いられる反応開始剤の量を有利に最小限にできる。更に、反応開始剤の混合物は、重合反応速度を有利に増大できる。
【0051】
反応開始剤又は速度調整剤は、粉末などの固体若しくは固体フィルムの形状で、又は粘稠若しくはペースト様材料などの液体の形状であってよい。反応開始剤又は速度調整剤はまた、界面活性剤又は乳化剤などの様々な添加剤を含んでもよい。好ましくは、反応開始剤又は促進剤は、モノマー組成物に可溶性で、及び/又は、実施形態では、反応開始剤若しくは促進剤がモノマー組成物と共溶出するのに役立つ少なくとも1つの界面活性剤を含むか、伴う。実施形態では、界面活性剤は、反応開始剤又は促進剤をモノマー組成物内に分散させるのに役立つことができる。
【0052】
反応開始剤又は速度調整剤は、モノマー組成物の前に処置される組織若しくは表面に適用することができ、あるいは組成物が組織に適用されるとき、モノマー組成物に直接適用することができる。反応開始剤又は速度調整剤は、存在するとき、組成物を組織に適用する直前に、モノマー組成物と組み合わせてよい。
【0053】
使用されるとき、反応開始剤又は速度調整剤の選択は、重合されたモノマーが生体組織に吸収される速度に影響を及ぼす場合がある。したがって、いくつかの医学的用途では、最も好適な反応開始剤又は速度調整剤は、3年未満で実質的に吸収されるポリマーを提供する一方で、医学的用途に好適な速度でモノマーの重合を開始又は促進するものである。本明細書の目的において、語句「医学的用途に好適」は、モノマーの重合が、5分未満又は3分未満、好ましくは2.5分未満、より好ましくは1分未満、及び多くの場合45秒未満に起こることを意味する。所望の重合時間は、様々な組成物及び/又は用途によって異なり得る。
【0054】
防腐剤、放熱剤、可塑剤、粘度調整剤、揺変性剤、及び着色剤を含むが、これらには限定されないその他の任意の成分が、重合可能なシアノアクリレート組成物内に存在してよく、本明細書で説明される。典型的には、これらの構成成分は、組成物の総重量に基づき、約25重量%まで、より好ましくは約10重量%まで、及び最も好ましくは約5重量%までの量で使用され得る。
【0055】
防腐剤は、パラベン及びクレゾールを含むが、これらには限定されない防腐剤から選択してよい。例えば、好適なパラベンとしては、アルキルパラベン及びその塩、例えば、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、エチルパラベン、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、ブチルパラベンなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適なクレゾールとしては、クレゾール、クロロクレゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。防腐剤はまた、ヒドロキノン、ピロカテコール、レゾルシノール、4−n−ヘキシルレゾルシノール、キャプタン(すなわち、3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−((トリクロロメチル)チオ)−1H−イソインドリ−1,3(2H)−ジオン)、安息香酸、ベンジルアルコール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、o−フェニルフェノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモール、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀及び酢酸フェニル水銀などのフェニル水銀化合物、ホルムアルデヒド、並びに防腐剤Germall II(登録商標)及びGermall 115(登録商標)(Sutton Laboratories,Charthan,N.J.から入手可能なイミダゾリジニル尿素)などのホルムアルデヒド発生源を含むが、これらには限定されない、その他の既知の剤から選択してもよい。その他の好適な防腐剤は、米国特許第6,579,469号に開示され、そのすべての開示を参考として引用し、本明細書に組み込む。実施形態では、2つ又はそれ以上の防腐剤の混合物を使用してもよい。
【0056】
放熱剤は、モノマーに可溶性又は不溶性であってよい液体又は固体を含むことができる。液体は揮発性であってよく、重合中に蒸発し、それにより組成物から熱を放出してよい。好適な放熱剤は、米国特許第6,010,714号中に含まれ、そのすべての開示を参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0057】
可塑化剤は、モノマーから形成されるポリマーに可撓性を付与する。可塑化剤は、好ましくは水分を少量含むか又は全く含まず、モノマーの安定性又は重合に大きく影響を与えてはならない。好適な可塑剤の例としては、アセチルトリブチルシトレート、ジメチルセバケート、トリエチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリ(p−クレシル)ホスフェート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、ジブチルセバケート、ジ−n−ブチルセバケート、ジエチルセバケート、ジオクチルアジパート、イソプロピルミリステート、ブチルステアレート、ラウリン酸、トリオクチルトリメリテート、ジオクチルグルタレート、ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい可塑剤としては、ジ−n−ブチルセバケートが挙げられる。実施形態では、好適な可塑剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)エステル及び末端保護されたPEGエステル又はエーテル、ポリエステルグルタレート及びポリエステルアジパートなどの高分子可塑剤が挙げられる。
【0058】
重合可能なシアノアクリレートモノマー若しくはモノマー類、及び/又はモノマー組成物の粘度は、粘度調整剤又は粘度調整構成成分の添加により制御できる。粘度調整剤は、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)及びセルロースアセテートブチラートを含むが、これらに限定されない既知の増粘剤から選択してよい。好適な増粘剤としては更に、例えば、ポリシアノアクリレート、ポリオキザラート、乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリカプロラクトン、乳酸−カプロラクトンコポリマー、ポリ(カプロラクトン+DL−ラクチド+グリコリド)、ポリオルトエステル、ポリアルキルアクリレート、アルキルアクリレート及びビニルアセテートのコポリマー、ポリアルキルメタクリレート、並びにアルキルメタクリレート及びブタジエンのコポリマーが挙げられる。アルキルメタクリレート及びアクリレートの例は、ポリ(ブチルメタクリレート)及びポリ(ブチルアクリレート)、また、種々のアクリレート及びメタクリレートモノマーのコポリマー、例えば、ポリ(ブチルメタクリレート−co−メチルメタクリレート)である。生分解性ポリマー増粘剤は、一部の外科的用途などの一部の用途に好ましい。
【0059】
好ましくは、粘度調整剤は、モノマー組成物を過度に加熱しなくてもモノマー組成物に添加でき、組成物中に均一に組み込まれたまま留まるように、室温(すなわち、20〜25℃)でモノマー組成物に可溶性である。
【0060】
モノマー組成物に添加される粘度調整剤の量は、粘度調整剤の分子量に依存する。粘度調整剤は、好ましくは、接着剤組成物の約0.5〜約25.0重量%で含まれる。好ましい実施形態では、粘度調整剤は、接着剤組成物の約1.0〜約10.0%、より好ましくは約1.0〜約5.0%で含まれる。実施形態では、粘度調整剤は、高い分子量、好ましくは少なくとも100,000、又は少なくとも500,000、又は少なくとも1,000,000を有する。粘度調整剤は、モノマーに適合する(すなわち、重合、結合強度、基本的特性、又は貯蔵寿命に悪影響を及ぼさない)ように選択される。用いられる粘度調整剤の量は、不要な実験を行わずして当業者が既知の手技を用いて決定することができる。
【0061】
実施形態では、接着剤組成物は、25℃においてBrookfield粘度計を用いて測定するとき、約20〜10,000センチポアズ、好ましくは30〜1,000センチポアズ、及びより好ましくは150(200が我々の規格の最低値であるため)〜1,000センチポアズの粘度を有する。
【0062】
好適な揺変性剤としては、シリルイソシアネートで処理したものなどのシリカゲルが挙げられるが、これらに限定されない。好適な揺変性剤の例は、例えば、米国特許第4,720,513号に開示され、その開示の全てを本明細書に組み込む。
【0063】
組成物はまた、少なくとも1つの天然又は合成ゴムを任意で含み、特に本発明の工業用組成物に好ましい耐衝撃性を付与してもよい。好適なゴムは、当業者に既知である。かかるゴムとしては、ジエン、スチレン、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なゴムの例は、例えば、米国特許第4,313,865号及び同第4,560,723号に開示され、その開示の全てを本明細書に組み込む。
【0064】
本発明の組成物は、毒性が低いか又は毒性がないと考えられる。それにもかかわらず、本発明の医療用組成物はまた、ポリマーの生体内生分解中に生成される活性ホルムアルデヒド濃度を減少するのに有効な、少なくとも1つの生体適合性剤(本明細書において「ホルムアルデヒド濃度低減剤」とも言う)を含んでもよい。好ましくは、この構成成分は、ホルムアルデヒド捕捉化合物である。ホルムアルデヒド捕捉化合物の例としては、亜硫酸塩;亜硫酸水素塩;亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩の混合物;亜硫酸アンモニウム塩;アミン;アミド;イミド;ニトリル;カルバメート;アルコール;メルカプタン;タンパク質;アミン、アミド、及びタンパク質の混合物;環状ケトン及びα−ジカルボニル基を有する化合物などの活性メチレン化合物;並びにカルボニル基を含まず、NH基を有する複素環化合物(窒素又は炭素原子で構成される環を有し、環は不飽和、又はフェニル基と融合するとき不飽和若しくは飽和であり、NH基は炭素又は窒素原子に結合しており、その原子は、別の炭素又は窒素原子に二重結合で直接結合している)が挙げられる。ホルムアルデヒド濃度低減化合物及び組成物のその他の例は、代表的な特許、米国特許第6,010,714号、同第5,624,669号、同第5,582,834号、及び同第5,575,997号に開示され、それらのすべての開示を参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0065】
本発明の組成物から形成される接着剤の貼着力を向上するため、二官能性モノマー架橋剤を本発明のモノマー組成物に添加してよい。かかる架橋剤は、既知である。代表的な架橋剤は、米国特許第3,940,362号に開示され、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。好適な架橋剤の例としては、アルキルビス(2−シアノアクリレート)、トリアリルイソシアヌレート、アルキレンジアクリレート、アルキレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びアルキルビス(2−シアノアクリレート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
適用面(例えば、組織表面)と本発明の組成物との間の接着を向上するため、プライミング剤を用いてシアノアクリレートモノマーの塗布前に適用面を調整することができる。好適なプライマーとしては、pH調整剤(例えば有機又は無機塩基)、イオン性及び非イオン性界面活性剤、並びに有機又は無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。本開示を考慮すれば当業者は、その他の好適なプライミング剤を容易に特定することができる。
【0067】
本発明の組成物は、繊維性補強剤、並びに染料、顔料、及び顔料染料などの着色剤を更に含んでよい。好適な繊維性補強剤の例としては、PGAマイクロファイバー、コラーゲンマイクロファイバー、セルロースマイクロファイバー、及びオレフィンマイクロファイバーが挙げられる。好適な着色剤の例としては、1−ヒドロキシ−4−[4−メチルフェニル−アミノ]−9,10アントラセンジオン(医薬品及び化粧品用バイオレット2号)、6−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)アゾ]−2−ナフタレン−スルホン酸の二ナトリウム塩(disodium salt of 6-hydroxy-5- [(4-sulfophenyl)axo]-2-naphthalene-sulfonic acid)(食品、医薬品及び化粧品用イエロー6号)、9−(o−カルボキシフェニル)−6−ヒドロキシ−2,4,5,7−テトラヨード−3H−キサンテン−3−オン二ナトリウム塩一水和物(9- (o-carboxyphen0yl)-6-hydroxy-2,4,5,7-tetraiodo-3H-xanthen-3-one, disodium salt, monohydrate)(食品、医薬品及び化粧品用レッド3号)、2−(1,3−ジヒドロ−3−オキソ−5−スルホ−2H−インドール−2−イリデン)−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1H−インドール−5−スルホン酸二ナトリウム塩(食品、医薬品及び化粧品用ブルー2号)、及び[フタロシアニン(2−)]銅が挙げられる。
【0068】
組成物はまた、少なくとも1つの生物学的製剤又は治療薬を任意に含んでもよい。本発明の接着剤組成物とともに用いることができる様々な生物学的製剤/治療薬は、広範である。一般的に、本発明の接着剤/封止剤組成物とともに投与できる生物学的製剤/治療薬としては、抗生物質、抗菌剤(例えば、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル又はこれらの組み合わせ)、防腐剤、バクテリオシン、静菌剤、消毒剤、殺真菌剤、抗菌、及び抗ウイルス剤などの抗感染剤;鎮痛剤及び鎮痛剤の組み合わせ;抗炎症剤;天然由来の又は遺伝子操作されたタンパク質、多糖類、糖タンパク質、又はリポタンパク質;オリゴヌクレオチド、抗体、抗原、コリン作用薬、細胞増殖抑制剤、ヘパリン中和剤;プロトロンビン、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、X/Xa因子、VII/VIIa因子、IX/IXa因子、XI/XIa因子、XII/XIIa因子、組織因子、バトロキソビン、アンクロッド、エカリン、フォンウィルブランド因子、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ゼラチン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン、バソプレシン類似体、エピネフィリン、セレクチン、凝血促進毒素、プラスミノゲン活性化剤抑制剤、血小板活性化剤、及び止血作用を有する合成ペプチドなどの凝血促進剤及び止血剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
組成物は、ステープル、縫合糸、テープ、メッシュなど主要な創縫合デバイスの補助として、外科的処置で使用し、気体、液体、又は固体の漏出可能性を封止してよい。外科的接着剤/封止剤を、外科的処置の一部として、例えば、液体、粉末、フィルム、スポンジ又は発泡体、含浸布、含浸スポンジ又は発泡体、及びスプレー等の種々の形態で組織に塗布してよい。瞬間接着剤組成物は、その吸収性から外科的な状況では特に有利である。
【0070】
接着剤組成物は、単独又は複数の用途に適用してよい。例えば、接着剤組成物を第1の層に適用でき、第1の層を完全に又は部分的に重合させた後、続いて層を追加することができる。このような方法を、創傷の寸法及びそれぞれの適用における接着剤の適用量により、多数回実施してよい。
【0071】
実施形態では、接着剤組成物を当業者には既知の任意の手段で適用してよい。例として、任意の好適なアプリケータを用いて、接着剤複合材料組成物を適用面に適用してよい。
【0072】
本明細書で説明する反応開始剤は、重合可能なモノマー組成物の重合を開始することができ、本明細書で説明する促進剤は、重合速度を上げることができる。これらの実施形態では、反応開始剤及び促進剤、並びに重合可能なモノマー組成物を別々に保管することが好ましい。
【0073】
例として、重合可能なモノマー又はモノマー類がシアノアクリレートモノマーの場合、シアノアクリレートモノマー又はモノマー類、及びシアノアクリレートモノマー(モノマー類)と関連する構成成分、例えば抑制剤、可塑剤、防腐剤などは、説明されるように、使用時まで反応開始剤及び促進剤とは別に保存するのが好ましい。例として、重合可能なシアノアクリレートモノマー又はモノマー類、及び任意の添加剤、例えば可塑剤、抑制剤、防腐剤又はその他所望の添加剤は、使用時まで反応開始剤及び促進剤とは別に、又は非接触関係で保存される、重合可能なシアノアクリレートモノマー組成物を形成してもよい。接着剤組成物が使用されるとき、又は直前に、別々の重合可能なモノマー組成物、並びに反応開始剤及び促進剤が組み合わされ、接着剤組成物を形成する。
【0074】
使用時まで構成成分の分離を可能にし、2構成成分系の混合を可能にするアプリケータは、当該技術分野において周知である。例として、Angiotech Pharmaceuticalから販売されるCoSeal Sealantのアプリケータが利用できる。加えて、本明細書に参考として組み込まれる特許出願第11/565,022号に開示されるアプリケータも利用できる。更なる例として、反応開始剤及び促進剤が1つの部分にあり、重合可能なモノマー組成物が別の部分にある、2室注射器システムが利用できる。構成成分を同時に押し出し、使用時に混合し、所望の適用先に分散された接着剤組成物を形成することができる。このような注射器システムは、例えば、T型形状のものを利用してよい。他の2構成成分システムは、例えば、米国特許第5,814,022号及び同第5,935,437号に示される。
【0075】
実施形態では、生体組織処置用システムは、生体適合性重合可能なモノマー組成物を含有する第1のリザーバ、反応開始剤及び促進剤を含有し、第1のリザーバとは非接触関係の第2のリザーバ、及びアプリケータを備える。反応開始剤は、好ましくは好適な第4級アンモニウム塩を含み、促進剤は、好ましくは好適なトリヒドロキシ第3級アミンを含む。実施形態では、反応開始剤は、BACであり、促進剤は、TIPAである。別の実施形態では、反応開始剤は、BACであり、促進剤は、E−17−5である。生体適合性重合可能なモノマー組成物は、好ましくは、1つ又は2つ以上のシアノアクリレートモノマーを含む。アプリケータは、生体適合性重合可能なモノマー組成物、並びに反応開始剤及び促進剤を混合して接着剤組成物を形成し、接着剤組成物を生体組織に適用することができる。
【0076】
実施形態では、重合可能なモノマー組成物と、反応開始剤及び促進剤との間の非接触関係が接着剤組成物の使用時まで維持される限り、反応開始剤及び促進剤はアプリケータ本体の1つの容器に入れられ、一方、重合可能なシアノアクリレートモノマー組成物はアプリケータ本体の別の容器に保存される。
【0077】
接着剤組成物は、ガラス、プラスチック、金属包装、及びフィルム形成包装を含むがこれらに限定されない材料から作られた、任意の種類の好適な容器に入れられてよい。好適な容器としては、好ましくは、容器又はモノマー組成物の構成成分に認容できない損傷を起こさずに、又はこれらの分解を起こさずに、組成物を分注し、滅菌できるものが挙げられる。そのすべての開示が参考により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2003/0039781号に開示されるように、少なくとも容器のモノマー接触面上に、ハロゲン化(例えば、フッ素化(fluourinated))後の、又はシラン処理した高分子バリア層があると、優れたモノマー組成物の貯蔵寿命がもたらされる。乾熱滅菌(典型的には少なくとも約140℃)に用いられる温度では多くのプラスチックで安定性を欠くため、乾熱により滅菌を達成するとき、ガラスが特に好ましい。容器の種類の例としては、アンプル、バイアル瓶、注射器、ピペットなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書に記載される接着剤組成物には、複数の医学的用途がある。例えば、体内の外科的接着剤及び封止剤として、接着剤は、組織と組織、組織と医療デバイス(例えば、メッシュ、クリップ及びフィルム)、及び医療デバイスと医療デバイスを結合できる。封止剤として、組成物は、組織上、医療デバイス上、又は医療デバイスと組織との境界面上を被覆して、漏れを防止することができる。組成物を使用して、その場でフィルムを形成することが可能であり、それは、外科的接着の防止用等の用途を有し得る。組成物を使用して、充填剤(例えば、死腔除去、再建手術、及び美容手術)、バルク剤、組織工学(例えば、足場)材料、並びに発泡体及びスポンジが有用なその他等の用途を有し得る、発泡体をその場で形成することが可能である。組成物が注入可能で、かつ組織に局部的及び接着するゲルをその場で形成するために使用され、それらが注入される部位に残留するように、組成物を処方することができる。この注入可能処方は、細胞並びに他の生物学的製剤、生物活性剤、及び医薬品又は栄養補給剤用の送達マトリックスとして、塞栓剤として、並びに造影剤を局在させる手段等の用途を有し得る。
【0079】
充填剤として、接着剤組成物を顔面、欠損又は空隙の充填剤として使用できる。例えば、組成物は、結果として生じるポリマーが内部空洞及び空隙を充填し、組織の間隙及び孔を貫通し、適合するように、内部空隙の隙間に適用し、かつその中で重合を可能にし得る。したがって、定型的乳房切除術(すなわち、癌治療のための乳房及び所属リンパ節除去)、乳房再生及び豊胸処理、再建的又は美容上の腹壁形成及び脂肪吸引、美顔手術、帝王切開及び肥満患者の子宮摘出、大腿領域の整形術、切開性ヘルニア修復、脂肪腫切除、及び外傷性損傷(すなわち、閉鎖性外傷)を含むが、これらに限定されない、死腔形成の潜在的な危険性を有する多くの処理後に、この組成物を使用し得る。
【実施例】
【0080】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することにより更に理解される。
【0081】
以下の実施例では、2つの接着剤組成物(A及びB)、並びに対照接着剤組成物(対照)を用いて、反応開始剤/促進剤系を評価した。組成物A及びBを200〜250センチポアズの粘度に処方した。対照組成物は、約40〜55センチポアズであった。表1は、それぞれの処方の一般処方の詳細である。2OCAは、安定化された2−オクチルシアノアクリレートを示す。
【表1】
【0082】
約0.70グラムの組成物で満たしたガラスアンプルを調製し、乾熱滅菌した。滅菌アンプルを平底ブチラート管の内側に置いた。この管を多孔質アプリケータチップで封止した。多孔質アプリケータチップは、目的の反応開始剤/促進剤系を含んだ。反応開始剤/促進剤系を、アセトンとメタノールの50/50(容量)溶液を用いて適用した。多孔質プラグ上に固着した反応開始剤/促進剤系を残して、溶媒を蒸発させた。デバイスをエチレンオキシドなどの既知の方法を用いて滅菌し、最終デバイスを生体組織に適用するために滅菌してよい。
【0083】
以下の実施例において、平均発熱は、あるデータセットにおいて達成した最大発熱の平均値として定義される。最大発熱もまた、比較目的で報告する。
【0084】
(実施例1)
組成物B及びトリヒドロキシ第3級アミントリイソプロパノールアミン(TIPA)のみを用いて重合を試みた。3つの濃度のTIPA、65、130、及び240μgを評価した。臨床的に許容できる時間範囲で、フィルムは固まらなかった。比較対象として、同じ組成物と塩化ベンザルコニウム(BAC)を用いると、フィルムは、118秒で固まり、平均発熱は、50.1℃、最大発熱は、57.9℃であった。これらのデバイスは最終的に滅菌しなかった。6つのユニットをテストする。
【0085】
(実施例2)
組成物B及びポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミン(E−17−5)のみを用いて重合を試みた。2つの濃度のE−17−5、107及び215μgを評価した。臨床的に許容できる時間範囲で、フィルムは固まらなかった。実施例1に記すように、同じ組成物と塩化ベンザルコニウム(BAC)を用いると、フィルムは118秒で固まり、平均発熱は、50.1℃、最大発熱は、57.9℃であった。これらのデバイスは最終的に滅菌しなかった。6つのユニットをテストした。
【0086】
(実施例3)
組成物A及びBを塩化ベンザルコニウム(BAC)のみを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)を評価した。3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)もまた評価した。1つの濃度のBAC、110μgを評価した。対照組成物は、40μgのBACを用いて反応開始した。評価中の組成物について、これら反応開始剤の濃度により臨床的に許容できる時間範囲でフィルムを形成できた。デバイスは、エチレンオキシドを用いて滅菌した。12個のデバイスについて平均及び最大発熱を評価した。図1は、平均固化温度を示す。図2は、最大固化温度を示す。表2では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表2】
【0087】
実施例4〜10において、全てのデバイスは、エチレンオキシドを用いて滅菌した。反応開始剤/促進剤系の組み合わせを評価した。組み合わせ系は、40μgのBACで反応開始した対照組成物と比較した。全てのフィルムは、臨床的に許容できる時間範囲で重合した。12個のデバイスの全てをそれぞれの測定に用いた。デバイスは、エチレンオキシドを用いて滅菌した。
【0088】
(実施例4)
組成物A及びBを、塩化ベンザルコニウム(BAC)/E−17−5からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)並びに3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)を55μg/903μgのBAC/E−17−5の組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図3は、平均固化温度を示す。図4は、最大固化温度を示す。表3では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表3】
【0089】
(実施例5)
組成物A及びBを、塩化ベンザルコニウム(BAC)/E−17−5からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)並びに3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)を45μg/803μgのBAC/E−17−5の組み合わせを用いて評価した。この組成物は、40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図5は、平均固化温度を示す。図6は、最大固化温度を示す。表4では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表4】
【0090】
(実施例6)
組成物AのロットA1を、塩化ベンザルコニウム(BAC)/E−17−5からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3種の組み合わせのBAC/E−17−5(55μg/903μg、45μg/803μg、及び45μg/691μg)について、このロットで評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図7は、平均固化温度を示す。図8は、最大固化温度を示す。表5では、平均及び最大発熱、並びに、対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表5】
【0091】
(実施例7)
組成物A及びBを、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合する。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)並びに3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)を55μg/907μgのBAC/TIPAの組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図9は、平均固化温度を示す。図10は、最大固化温度を示す。表6では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表6】
【0092】
(実施例8)
組成物A及びBを、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)並びに3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)を45μg/829μgのBAC/TIPAの組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図9は、平均固化温度を示す。図10は、最大固化温度を示す。表6では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表7】
【0093】
(実施例9)
組成物Aを、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)を、45μg/706μgのBAC/TIPAの組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図13は、平均固化温度を示す。図14は、最大固化温度を示す。表8では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表8】
【0094】
(実施例10)
組成物Aを、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)を、35μg/706μgのBAC/TIPAの組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図15は、平均固化温度を示す。図16は、最大固化温度を示す。表9では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表9】
【0095】
(実施例11)
組成物AのロットA1を、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。4種の組み合わせのBAC/TIPA(55μg/907μg、45μg/829μg、45μg/706μg、及び35μg/706μg)について、このロットで評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図17は、平均固化温度を示す。図18は、最大固化温度を示す。表10では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表10】
【0096】
(実施例12)
組成物AのロットA1及び組成物BのロットB1を、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。2種の組み合わせのBAC/TIPA(78μg/1071μg、及び114μg/1071μg)について、このロットで評価した。ペン型の滅菌デバイスを実施例12に用いた。表11では、平均及び最大固化時間、並びに平均及び最大発熱を報告する。
【表11】
【0097】
(実施例13)
組成物AのロットA1及び組成物BのロットB3を、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。2種の組み合わせのBAC/TIPA(79μg/1089μg及び117μg/1088μg)について、このロットで評価した。綿棒型の滅菌デバイスを実施例13に用いた。表12では、平均及び最大固化時間、並びに平均及び最大発熱を報告する。
【表12】
【0098】
〔実施の態様〕
(1) 接着剤組成物であって、
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーと、
第4級アンモニウム塩を含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤と、
トリヒドロキシ第3級アミンを含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合促進剤と、を含む、組成物。
(2) 前記第4級アンモニウム塩が、式A
【化10】
の化合物を含み、
式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル基、置換若しくは非置換の芳香環、又は置換若しくは非置換のアラルキル基であり、ここで、前記アルキル基、芳香環又はアラルキル基は、O、N、及びSなどのヘテロ原子を任意に更に含んでよく、Xは、ハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物、若しくはフッ化物などのアニオンである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(3) 前記第4級アンモニウム塩が、塩化ベンザルコニウムである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(4) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、式B
【化11】
の化合物を含み、
式中、R5、R6、及びR7は、それぞれ、独立して、C1〜C20置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル、又はアリール基である、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(5) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、ニトリロトリスである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(6) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、トリイソプロパノールアミンである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(7) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、式C
【化12】
の化合物を含み、
式中、R8、R9、R10、R11、R12、R13は、それぞれ、独立して、C1〜C20のアルキレン、置換アルキレン、環状若しくは置換シクロアルキレン、又はアリール基である、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(8) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、ポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミンである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(9) 前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含有する第1のリザーバと、
トリヒドロキシ第3級アミンを含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための前記重合促進剤を含有し、該第1のリザーバとは非接触関係にある第2のリザーバと、
前記重合可能なシアノアクリレートモノマーと前記重合促進剤とを混合して接着剤組成物を形成し、続いて該接着剤組成物を生体組織に適用することができるアプリケータと、を含む、生体組織処置用システムにおける、実施態様1に記載の接着剤組成物の使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化モノマー及び吸収性ポリマー接着剤及び封止剤組成物、並びに工業的及び医学的用途におけるそれらの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
モノマー及びポリマー接着剤/封止剤は、工業的(家庭用を含む)及び医学的/外科的の両方の用途で用いられる。これらの接着剤又は封止剤に含まれるものとして、シアノアクリレートモノマー及びそれらから形成されるポリマーがある。このようなモノマー及びポリマーの接着剤/封止剤特性の発見以来、硬化速度、形成する結合の強さ、及び比較的使いやすいことから、様々な用途で使用されている。これらの特徴から、多くの接着剤用途、例えばプラスチック、ゴム、ガラス、金属、木材、及び最近では、医学的、生物学的、又は生体組織の接着において、シアノアクリレート組成物が第一の選択肢となっている。
【0003】
シアノアクリレート組成物の医学的及び外科的用途としては、外科縫合、メッシュ及びステープル又は創縫合におけるその他医療デバイスの代替又は補助としての利用、並びに外傷、例えば裂傷、擦過傷、熱傷、口内炎(複数の口内炎)、潰瘍、及びその他外傷の被覆及び保護目的が挙げられる。シアノアクリレート組成物が適用される際、たいていはモノマー形状で適用され、形成されるポリマーが所望の接着接合又は封止剤強度をもたらす。
【0004】
シアノアクリレート接着剤の重合プロセスの間、組成物の温度を上昇させる発熱反応が起こる。組成物に使用されるモノマー及び用いられる添加剤により、温度の上昇度は異なる。具体的には、接着剤の粘度が上昇するにつれ、1回の使用でより厚い層の材料を適用できる。このように適用すると、より低い粘性の組成物を多層で用いて同じ厚さで適用する場合よりも、高い発熱が得られる可能性が出る。加えて、いくつかの用途において、接着剤が、表面に適用した際に流れ落ちたり、創傷内へ又は接着剤を必要としない領域に表面を伝って広がったりしないように、より粘性の高い接着剤の使用が望ましい。
【0005】
モノマー成分の発熱重合による接着剤組成物の温度上昇は、接着剤の組成により、低くて5℃、高くて70℃の場合がある。生体組織の表面上に置かれた接着剤組成物の温度上昇がわずか45℃であると、一般には不快感を引き起こす。60℃を超える温度は、一般に組織損傷を起こすと広く信じられている。
【0006】
参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第6,010,714号(「714特許」)に開示されるように、モノマーの重合による発熱量を抑えるため、放熱剤をシアノアクリレート接着剤に添加することが知られている。‘714特許は、エーテル、ケトン、クロロフルオロカーボン、アルカン、アルコール、アルケン及びこれらの混合物などの放熱剤の添加を開示する。‘714特許に開示される放熱剤は、比較的低い、例えば40〜50cpの粘度を有する接着剤組成物に有用である。接着剤を組織に適用した後に生体組織の熱損傷又は壊死を起こさない、比較的厚い外科的接着剤の必要性が残る。したがって、シアノアクリレートモノマーの重合中に放出される熱又は発生する熱量を削減する、添加剤又は添加剤の組み合わせが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーと、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤及び重合促進剤と、を含む接着剤組成物が提供される。重合開始剤として、第4級アンモニウム塩が挙げられる。重合促進剤として、トリヒドロキシ第3級アミンが挙げられる。
【0008】
接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の安定化剤、防腐剤、放熱剤、着色剤、又はこれらの組み合わせを更に含んでよい。第4級アンモニウム塩は、塩化ベンザルコニウムであってよい。トリヒドロキシ第3級アミンは、トリイソプロパノールアミン又はポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミンであってよい。
【0009】
一実施形態では、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含有する第1のリザーバと、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤及び促進剤を含有し、第1のリザーバとは非接触関係にある第2のリザーバと、重合可能なシアノアクリレートモノマーと重合開始剤と促進剤とを混合して接着剤組成物を形成し、続いて接着剤組成物を生体組織に適用することができるアプリケータと、を含む生体組織処置用システムが提供される。重合促進剤は、トリヒドロキシ第3級アミンを含んでよい。重合開始剤は、第4級アンモニウム塩を含んでよい。
【0010】
他の実施形態では、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーと、第4級アンモニウム塩を含む1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤と、トリヒドロキシ第3級アミンを含む1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合促進剤と、を含む、生体適合性接着剤組成物を生体組織に適用する工程、を含む、生体組織処置方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム系(110μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図2】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム系(110μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図3】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(55μg/903μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図4】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(55μg/903μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図5】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(45μg/803μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図6】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(45μg/803μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図7】組成物A1(1ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(55μg/903μg、45μg/803μg、及び45μg/691μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図8】組成物A1(1ロット)の塩化ベンザルコニウム/E−17−5系(55μg/903μg、45μg/803μg、及び45μg/691μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図9】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(55μg/907μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図10】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(55μg/907μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図11】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(45μg/829μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図12】組成物A(3ロット)及びB(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(45μg/829μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図13】組成物A(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(45μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図14】組成物A(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(45μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図15】組成物A(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(35μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図16】組成物A(3ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン(TIPA)系(35μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【図17】組成物A1(1ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン系(55μg/907μg、45μg/829μg、45μg/706μg、及び35μg/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における平均温度を示すグラフ。
【図18】組成物A1(1ロット)の塩化ベンザルコニウム/トリイソプロパノールアミン系(55μ/907μg、45μg/829μg、45μg/706μg、及び35μ/706μg、対照組成物が40μgの塩化ベンザルコニウムを含むのに対して)における最高温度を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的において、用語「吸収性」又はその変化形は、接着剤又は封止剤の適用後、動物(ヒトを含む)組織により、完全に又は部分的に吸収、分解又は生分解されることを意味する。また、用語「実質的に吸収される」は、少なくとも90%が吸収されることを意味する。用語「非吸収性」又はその変化形は、接着剤又は封止剤の適用後、動物組織により、完全に又は部分的に吸収されることが、完全に又は実質的に不可能であることを意味する。
【0013】
用語「有効量」は、接着剤組成物に所望の性質をもたらすのに十分な量である。有効量は、シアノアクリレートモノマー、粘度調整剤、安定剤、反応開始剤又はその他の接着剤組成物の形成に用いられる成分の影響を受ける場合がある。
【0014】
本明細書で用いるとき、用語「安定性」又は「安定化された」は、ある期間にわたってシアノアクリレート組成物の粘度を測定することにより決定することができる。シアノアクリレート組成物の未成熟重合により、時間の経過とともに粘度が上昇する結果となるため、組成物の粘度を用いて組成物の安定性を決定できる。
【0015】
用語「生体適合性」は、材料が目的の場所に埋め込まれ又は適用されると、許容できない反応を起こすことなく、必要な期間、目的の機能を果たすように、長期間又は短期間埋め込み物に、又は非埋め込み用途で用いられる医療デバイスに好適で、かつデバイスの要件に合致した材料を意味する。長期間埋め込み物とは、30日を超えて埋め込まれる品目であると定義される。
【0016】
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含むシアノアクリレート接着剤組成物が提供される。モノマーシアノアクリレート接着剤組成物の発熱制御は、第4級アンモニウム塩などの反応開始剤と、トリヒドロキシ第3級アミンなどの促進剤と、を含む、反応開始剤組成物を、重合可能なモノマーシアノアクリレート組成物に加え、その結果シアノアクリレート接着剤組成物とすることにより達成される。反応開始剤組成物は、シアノアクリレートモノマーの重合時の発熱を低減できる。重合時の発熱を制御するために、促進剤を単独でモノマーシアノアクリレートに追加できることも想到される。
【0017】
好適な第4級アンモニウム塩は、反応開始剤として作用することができ、数秒から数分の短時間の硬化速度を有することができる。硬化速度は、組成物に添加される第4級アンモニウム塩の量又は濃度の選択により厳密に制御することができ、したがって、本開示を考慮すれば当業者が容易に制御できる。好適な第4級アンモニウム塩は、モノマー又は複数種のモノマーの重合が、特定の用途における所望の時間内に起こせるように、モノマー又は複数種のモノマーの、均一で、制御可能、かつ完全な重合をもたらす。
【0018】
第4級アンモニウム塩は、元のアンモニウムカチオンの4つの水素全てに対して有機基が置換されているアンモニウム塩の任意の群であってよい。実施形態では、第4級アンモニウム塩は、以下の一般式Aを有してよく、
【化1】
式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル基、置換若しくは非置換の芳香環、又は置換若しくは非置換のアラルキル基であり、ここで、アルキル基、芳香環又はアラルキル基は、O、N、及びSなどのヘテロ原子を任意に更に含んでよく、Xは、ハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物、若しくはフッ化物などのアニオン、又はヒドロキシルである。実施形態では、R1、R2、R3及びR4は、C1〜C8アルキル基、好ましくは、C1〜C4アルキル基、又はアラルキル基である。例として、第4級アンモニウム塩としては、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラオクチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化アセチルコリン、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。反応開始剤が塩化ベンザルコニウム(BAC)であることが、好ましい。
【0019】
重合可能なシアノアクリレートモノマーに添加される第4級アンモニウム塩の量は、典型的には、シアノアクリレートモノマー(1種又は複数種)、促進剤、粘度調整剤、安定剤、及び所望の重合速度に依存してよい。典型的には、第4級アンモニウム塩は、約10ppm〜約10,000ppm、好ましくは約200ppm〜約6000ppmの量で存在し得る。医療デバイスに応用するとき、その濃度は、約10μg〜約500μg、好ましくは約15μg〜約300μgの量であり得る。
【0020】
好適なトリヒドロキシ第3級アミンは、促進剤として作用することができる。反応開始剤と同様に、好適なトリヒドロキシ第3級アミンは、モノマー又は複数種のモノマーの重合が、特定の用途における所望の時間内に起こせるように、モノマー又は複数種のモノマーの、均一で、制御可能、かつ完全な重合をもたらす。加えて、第4級アンモニウム塩及びトリヒドロキシ第3級アミンを組み合わせて用いることで、シアノアクリレートモノマーの重合時に放出される熱量が低減される。
【0021】
実施形態では、トリヒドロキシ第3級アミンは、以下の一般式Bを有してよく、
【化2】
式中、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立して、C1〜C20置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル、又はアリール基である。トリヒドロキシ第3級アミンは、中心の窒素の周りに3つの同一の−ROH基を有するニトリロトリスであることが好ましい。例として、トリヒドロキシ第3級アミンとしては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、トリス(sec−ブタノールアミン)、3,3’,3”−ニトリロトリス−(1,2−プロパンジオール)、及び5,5’,5”−ニトリロトリス−(1−ペンタノール)が挙げられるが、これらに限定されない。反応開始剤がTIPAであることが、好ましい。
【0022】
トリヒドロキシ第3級アミンはまた、以下の一般式Cも有してよく、
【化3】
式中、R8、R9、R10、R11、R12、R13は、それぞれ独立して、C1〜C20の、アルキレン、置換アルキレン、環状若しくは置換シクロアルキレン、又はアリール基である。トリヒドロキシ第3級アミンは、中心の窒素の周りに3つの同一の−ROROH基を有するニトリロトリスであることが好ましい。例として、トリヒドロキシ第3級アミンとして、エトキシル化又はプロポキシル化ニトリロトリが挙げられるが、これらに限定されない。トリヒドロキシ第3級アミンがポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミン(E−17−5)であることが、好ましい。
【0023】
重合可能なシアノアクリレートモノマーに添加されるトリヒドロキシ第3級アミンの量は、典型的には、シアノアクリレートモノマー、反応開始剤、粘度調整剤、安定剤、及び所望の重合速度に依存してよい。典型的には、トリヒドロキシ第3級アミンは、約10ppm〜約10,000ppm、好ましくは約500ppm〜約20,000ppmの量で存在し得る。医療デバイスに応用するとき、その濃度は、約100μg〜約10,000μg、好ましくは約500μg〜2500μgの量であり得る。
【0024】
記載されるように反応開始剤及び促進剤を含むシアノアクリレート接着剤モノマー組成物、並びにそれから形成されるポリマーは、出血の予防又は開放創の被覆に、組織接着剤、封止剤として、及びその他生物医学的用途に有用である。接着剤組成物は、例えば、体液の漏出予防、体内の空気漏出の封止、組織の隣接、外科的に切られた又は外傷により裂かれた組織の並置、創傷からの血流の遅延、薬物送達、熱傷の包帯、皮膚又はその他表面若しくは深部組織の外傷(例えば、擦過傷、切り傷若しくは擦り傷、及び/又は口内炎)の包帯、並びに生体組織の修復及び再生の補助に使用される。本発明の接着剤組成物は、様々な生体組織、内臓器官及び血管における創傷の封止に広く応用され、例えば、血管の内部又は外部、及び様々な器官又は組織に適用できる。本発明の接着剤組成物はまた、工業用及び家庭用の用途、例えばゴム、プラスチック、木材、複合材料、布地、並びにその他天然及び合成材料の結合にも有用である。
【0025】
本発明で用いることができるモノマーは、容易に重合可能であり、例えばアニオン重合可能な若しくはフリーラジカル重合可能な、又は双性イオン若しくはイオン対により重合可能であり、ポリマーを形成する。このようなモノマーのいくつかは、例えば、Leungらへの米国特許第5,328,687号に開示され、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。好ましくは、シアノアクリレート接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含み、生体適合性である。1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含むシアノアクリレート接着剤組成物は、シアノアクリレートモノマーの組み合わせ又は混合物を含んでよい。
【0026】
好ましくは、接着剤組成物は、1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含み、式(I)のシアノアクリレートモノマーの組み合わせ又は混合物を含んでよい。シアノアクリレートモノマーは、当該技術分野において既知であり、以下の式を有する。
【化4】
式中、R14は、水素であり、R15は、ヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基、式−R16−−O−R17−−O−R18を有する基(式中、R16は、2〜4個の炭素原子を有する1,2−アルキレン基であり、R17は、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、R18は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である)、又は以下の式を有する基であり、
【化5】
式中、R19は、以下であり、
【化6】
式中、nは、1〜10個、好ましくは1〜5個の炭素原子であり、R20は、有機部分である。有機部分R20は、置換又は非置換であってよく、直鎖、分枝又は環状の飽和、不飽和又は芳香族であってよい。好ましい有機ラジカルは、1〜約8個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、及びアルキニル部分、並びにそれらのハロ置換誘導体である。特に好ましいのは、4〜6個の炭素原子のアルキル部分である。
【0027】
式(I)のシアノアクリレートモノマーにおいて、R15は、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、又は式−AOR21を有する基であってよく、ここで、Aは、2〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖又は分枝鎖アルキレン又はオキシアルキレン部分であり、R21は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル部分である。式−AOR21で表わされる基の例として、1−メトキシ−2−プロピル、2−ブトキシエチル、イソプロポキシエチル、2−メトキシエチル、及び2−エトキシエチルが挙げられる。
【0028】
式(I)のシアノアクリレートは、当該技術分野において既知の方法にしたがって調製することができる。例えば、シアノアクリレートは、非水性有機溶媒中、塩基性触媒の存在下でアルキルシアノアセテートをホルムアルデヒドと反応させ、続いて米国特許第2,721,858号及び同第3,254,111号に開示される重合阻害物質の存在下で、無水の中間体ポリマーを熱分解することにより調製することができる。R15が、式R16−−O−R17−−O−R18を有する基である式(I)のシアノアクリレートは、米国特許第4,364,876号に開示される方法にしたがって調製でき、R15が以下の式
【化7】
である式(I)のシアノアクリレートは、米国特許第3,995,641号に記載される方法にしたがって調製することができる。上記の特許はそれぞれ、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0029】
好適なシアノアクリレートモノマーを単独又は組み合わせで使用することができ、2−オクチルシアノアクリレート、ドデシルシアノアクリレート、2−エチルヘキシルシアノアクリレート、n−ブチルシアノアクリレートなどのブチルシアノアクリレート、エチルシアノアクリレート、メチルシアノアクリレート、メトキシエチルシアノアクリレート、2−エトキシエチルシアノアクリレート、3−メトキシブチルシアノアクリレート、2−ブトキシエチルシアノアクリレート、2−イソプロポキシエチルシアノアクリレート、及び1−メトキシ−2−プロピルシアノアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、モノマーは、エチル、n−ブチル、又は2−オクチルα−シアノアクリレートであってよい。
【0030】
接着剤/封止剤組成物に使用できるシアノアクリレートモノマーとして、アルキルエステルシアノアクリレートが挙げられる。アルキルエステルシアノアクリレートモノマーは、以下の式を有してよい。
【化8】
式中、R22及びR23は、独立して、H、直鎖、分枝若しくは環状アルキル、又は組み合わされて環状アルキル基であり、R24は、直鎖、分枝又は環状アルキル基であり、mは、1〜8である。好ましくは、R22は、H又はC1、C2若しくはC3アルキル基、例えばメチル又はエチルであり、R23は、H又はC1、C2若しくはC3アルキル基、例えばメチル又はエチルであり、R24は、C1〜C16アルキル基、より好ましくはC1〜C10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルであり、更により好ましくはC2、C3又はC4アルキル基であり、mは、好ましくは1〜4である。
【0031】
アルキルエステルシアノアクリレートの例としては、ブチルラクトイルシアノアクリレート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリレート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリレート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリレート(ELCA)、及びエチルグリコロイルシアノアクリレート(EGCA)、イソプロピルエチルシアノアクリレート(IPECA)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。BLCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、メチル、及びR24は、ブチルである。BGCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、H、及びR24は、ブチルである。IPGCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、H、及びR24は、イソプロピルである。ELCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、メチル、及びR24は、エチルである。ELCAは、上式で表わすことができ、式中、R22は、H、R23は、H、及びR24は、エチルである。
【0032】
アルキルエステルシアノアクリレートのその他の例としては、3−(2−シアノ−アクリロイルオキシ)−酪酸エチルエステル(Et−β−HBT−CA)、3−(2−シアノ−アクリロイルオキシ)−ヘキサン酸エチルエステル(Et−β−CPL−CA)、アルキルα−シアノアクリロイルカプロラクテート及びアルキルα−シアノアクリロイルブチロラクテート(alkyl alpha-cyanoacryloyl butrylactate)が挙げられる。
【0033】
アルキルエステルシアノアクリレートモノマーは、アルキルシアノアセテート、又は米国特許第3,995,641号に開示されるアルキルエステルシアノアセテートのパラホルムアルデヒドとのKnoevenagel反応により調製することができる。これにより、シアノアクリレートオリゴマーが生成される。続くオリゴマーの熱分解により、シアノアクリレートモノマーが生成される。更に蒸留した後、高純度(95.0%を超える、好ましくは99.0%を超える、及びより好ましくは99.8%を超える)のシアノアクリレートモノマーが得られる。低含水量で不純物を本質的に含まずに調製されたモノマー(例えば、外科用等級)が、生物医学的用途に好ましい。
【0034】
接着剤/封止剤組成物に使用できる他の又は更なるシアノアクリレートとしては、アルキルエーテルシアノアクリレートが挙げられる。アルキルエーテルシアノアクリレートは、以下の一般式を有する。
【化9】
式中、R22’は、直鎖、分枝又は環状アルキル、R23’は、直鎖、分枝又は環状アルキル基である。好ましくは、R22’は、C1、C2又はC3アルキル基、例えばメチル又はエチルであり、R23’は、C1〜C16アルキル基、より好ましくはC1〜C10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルであり、更により好ましくはC2、C3又はC4アルキル基である。
【0035】
アルキルエーテルシアノアクリレートの例としては、イソプロピルオキシエチルシアノアクリレート(isopropyoxy ethyl cyanoacrylate)(IPECA)及びメトキシブチルシアノアクリレート(MBCA)又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。IPECAは、上式で表わすことができ、ここで、R22’は、エチレン、R23’は、イソプロピルである。MBCAは、上式で表わすことができ、ここで、R22’は、n−ブチレン、R23’は、メチルである。
【0036】
アルキルエステルシアノアクリレート及びアルキルエーテルシアノアクリレートは、それらの生体組織及び関連体液による吸収性から、医学的用途に特に有用である。接着剤を生体組織に適用した後、3年未満、好ましくは約1〜24か月、より好ましくは1〜18か月、及び最も好ましくは3〜12か月の期間で、重合及び適用されたシアノアクリレート接着剤の100%が吸収されるのが望ましい。吸収時間は、特定の用途や取り込まれる組織により可変であってよい。吸収時間は、ある種の組織ではより長く、他の種の組織ではより短いことが望ましい場合がある。例えば、接着剤組成物が骨などの硬組織に適用されるとき、より長い吸収時間が望ましい場合があるが、接着剤組成物がよりやわらかい組織に適用されるとき、より短い吸収時間が望ましい場合がある。
【0037】
モノマーの選択は、生じるポリマーの吸収速度、並びにモノマーの重合速度に影響を与え得る。したがって、様々な吸収及び/又は重合速度を有する2つ又はそれ以上の異なるモノマーを組み合わせて使用し、生じるポリマーの吸収速度、並びにモノマーの重合速度をより良く制御できるようになる。接着剤組成物は、様々な吸収速度のモノマー種の混合物を含んでよい。異なる吸収速度を有する2つのモノマー種が用いられた場合、2つのモノマーの混合物が、2つのモノマーそれぞれの吸収速度とは事実上異なる第3の吸収速度を呈することができるよう、その吸収速度が十分に異なることが好ましい。これらの実施形態による組成物は、例えば、米国特許公開第2002/0037310号及び米国特許第6,620,846号に記載されており、両特許ともそれらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0038】
好適なモノマー組成物は、好適な量の2−オクチルα−シアノアクリレートなどのアルキルα−シアノアクリレートを、ブチルラクトイルシアノアクリレート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリレート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリレート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリレート(ELCA)、又はエチルグリコロイルシアノアクリレート(EGCA)のうちの1つと混合することにより、調製してよい。かかる混合物は、重量で約90:10〜約10:90、好ましくは重量で約75:25〜約25:75の比の範囲であってよい。
【0039】
安定剤又は安定化剤を組成物に添加し、未成熟重合を防止、又はシアノアクリレートモノマー組成物の貯蔵寿命を増加することができる。モノマーシアノアクリレート組成物への使用に好適なフリーラジカル安定化剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール、ベンゾキノン、2−ヒドロキシベンゾキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びt−ブチルヒドロキノン、並びにこれらの混合物又は組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。フリーラジカル安定化剤は、約5〜約10,000ppmの量で使用してよい。代表的な実施形態では、ヒドロキノンが用いられる場合、その量は、約5〜約2000ppmであってよく、約500〜約10,000ppmの量のブチル化ヒドロキシアニソールとともに用いてよい。
【0040】
シアノアクリレート接着剤組成物はまた、少なくとも1つのアニオン性蒸気相安定剤、及び少なくとも1つのアニオン性液相安定剤を任意に含んでもよい。かかるアニオン性剤の例は、例えば、米国特許第6,620,846号に記載されており、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0041】
アニオン性蒸気相安定剤は、二酸化イオウ、三フッ化ホウ素、又はフッ化水素を含むが、これらには限定されない、既知の安定剤から選んでよい。典型的には、それぞれのアニオン性蒸気相安定剤は、約200百万分の1(ppm)未満の濃度になるような量で添加される。代表的な実施形態では、それぞれのアニオン性蒸気相安定剤は、約1〜約200ppm、好ましくは約3〜約75ppm、更により好ましくは約3〜約50ppm、及び最も好ましくは約3〜約20ppmの量で存在する。
【0042】
液相アニオン性安定剤は、1.0未満の水性pKaを有する超強酸である。かかる超強酸の例としては、硫酸(pKa−3.0)、過塩素酸(pKa−5)、塩酸(pKa−7.0)、臭化水素酸(pKa−9)、フルオロスルホン酸(pKa<−10)、及びクロロスルホン酸(pKa−10)が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、超強酸液相アニオン性安定剤は、約1〜約200ppmの最終濃度になる量で添加される。超強酸液相アニオン性安定剤は、約5〜約80ppm、好ましくは約5〜約40ppmの濃度で存在してよい。例えば、超強酸液相アニオン性安定剤は、硫酸又はクロロスルホン酸であってよい。
【0043】
接着剤組成物は、少なくとも1つの二級アニオン性活性剤を任意に含んでよい。二級アニオン性活性剤を、接着剤の硬化速度及び安定性、並びに硬化した接着剤の分子量をより正確に制御するため、接着剤組成物に含んでよい。二級アニオン性活性剤は、典型的には、2〜8、好ましくは2〜6、及び最も好ましくは2〜5の範囲のより高いpKaを有する酸である。かかる好適な二級アニオン性活性剤の例として、リン酸(pKa 2.2)、有機酸、例えば酢酸(pKa 4.8)、安息香酸(pKa 4.2)、クロロ酢酸(pKa 2.9)、シアノ酢酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、酢酸及び/又は安息香酸の量は、約25〜約500ppmであってよい。酢酸について、その濃度は、典型的には約50〜約400ppm、好ましくは約75〜約300ppm、及びより好ましくは約100〜約200ppmであってよい。
【0044】
安定剤及び/又は二級アニオン性活性剤の任意の混合物を、その混合物が組成物の所望の重合速度を著しく阻害しない限り、接着剤組成物に含んでよい。組成物の重合速度は、約30秒〜約5分の範囲であることが一般に望ましい。したがって、重合速度が好ましい速度領域から外れるように重合を阻害する、安定剤及び/又は二級アニオン性活性剤の混合物は、望ましくない場合がある。更に、医療用接着剤組成物において、その混合物は容認できないレベルの毒性を示してはならない。当業者にとって、医療用途において容認できる毒性レベルは周知であろう。したがって、用いられる安定剤及び/又はアニオン性活性剤の量は、不要な実験を行わずして当業者により定めることができる。
【0045】
安定剤及び二級アニオン性活性剤は、シアノアクリレートモノマー、三フッ化ホウ素及びその他の安定剤を含む、選択された接着剤組成物、並びに梱包材料及び組成物の製造、及び包装に使用される設備に適合するように選択される。それゆえに、好適な組み合わせは、包装及び滅菌後に、粘稠で、安定化され、かつ実質的に非重合の接着剤組成物でなくてはならない。
【0046】
これらの安定化剤をシアノアクリレートモノマー組成物に加えることにより、組成物の硬化又は重合速度が影響を受ける場合がある。遅い重合を打開するために、シアノアクリレートモノマー又はシアノアクリレートモノマーの混合物の重合を開始又は促進させる適合剤を、モノマー組成物とともに用いてよい。いくつかの医学的用途では、モノマー組成物の吸収性を維持しつつも、より速い硬化速度をもたらす反応開始剤又は速度調整剤が好ましい。
【0047】
第4級アンモニウム塩反応開始剤は、上記で詳細を説明している。加えて、その他の反応開始剤又は速度調整剤を、第4級アンモニウム塩と組み合わせて使用してよい。好適な追加の反応開始剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,928,611号、同第6,620,846号、及び米国特許公開第2002/0037310号に記載されており、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0048】
代表的な実施形態では、重合開始剤として第4級アンモニウム塩化物及び臭化物塩が好ましい。例として、特に臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化アセチルコリンなどの第4級アンモニウム塩を使用することができる。ベンザルコニウムハロゲン化物が使用されるとき、それは、炭素鎖長の異なる化合物の混合物を含む未精製状態のベンザルコニウムハロゲン化物であってよく、あるいはC12、C13、C14、C15、C16、C17、及びC18化合物を含むがこれらに限定されない約12〜約18個の炭素原子の炭素鎖長を有するもののような任意の好適な精製化合物であってもよい。
【0049】
当業者は、不要な実験を行わずして他の開始剤又は速度調整剤を選択することが可能である。こうした好適な開始剤又は速度調整剤としては、洗剤組成物;例えばポリソルベート20(例えば、ICI Americas社より販売されるTween 20(商標))、ポリソルベート80(例えば、ICI Americasより販売されるTween 80(商標))及びポロキサマーなどの非イオン性界面活性剤、臭化テトラブチルアンモニウムなどの陽イオン性界面活性剤、テトラデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、及び水酸化ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウム、分子内塩などの両性又は双極性界面活性剤などの界面活性剤;イミダゾール、アルギニン及びポビジンなどのアミン、イミン及びアミド;トリフェニルホスフィン及びトリエチルホスファイトなどのホスフィン、ホスファイト及びホスホニウム塩;エチレングリコール、没食子酸メチルなどのアルコール;タンニン;亜硫酸水素ナトリウム、硫酸カルシウム及びケイ酸ナトリウムなどの無機塩基及びその塩;チオ尿素及びポリスルフィドなどの硫黄化合物;モネンシン、ノナクチン、クラウンエーテル、カリキサレン及びポリマーエポキシドなどのポリマー環状エーテル;ジエチルカーボネートなどの環状及び非環状カーボネート;Aliquat 336などの相間移動触媒;ナフテン酸コバルト及びマンガンアセチルアセトネートなどの有機金属;ジ−t−ブチルペルオキシド及びアゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤又は反応促進剤;並びに、触媒量のアミン活性化フリーラジカル反応開始剤、促進剤、又は速度調整剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
2つ又はそれ以上の反応開始剤又は速度調整剤の混合物を、少なくとも1つの第4級アンモニウムフッ化物塩及び/又は少なくとも1つの第4級アンモニウムエーテル塩とともに用いてよい。複数の反応開始剤又は速度調整剤の組み合わせが、重合可能なモノマー種の反応開始剤を調整するために有利である場合がある。例えば、モノマーの混合物を用いるとき、反応開始剤の混合物は、単独の反応開始剤と比較して優れた結果をもたらす場合がある。また、反応開始剤の混合物は、1つのモノマーの重合を優先的に開始する第1の反応開始剤と、別のモノマーの重合を優先的に開始する第2のモノマーを与えることもでき、又は両方のモノマー種が同じ若しくは所望の異なる速度で重合を開始されるのを確実にするのに役立つ開始速度を提供することもできる。この方法では、反応開始剤の混合物は、用いられる反応開始剤の量を有利に最小限にできる。更に、反応開始剤の混合物は、重合反応速度を有利に増大できる。
【0051】
反応開始剤又は速度調整剤は、粉末などの固体若しくは固体フィルムの形状で、又は粘稠若しくはペースト様材料などの液体の形状であってよい。反応開始剤又は速度調整剤はまた、界面活性剤又は乳化剤などの様々な添加剤を含んでもよい。好ましくは、反応開始剤又は促進剤は、モノマー組成物に可溶性で、及び/又は、実施形態では、反応開始剤若しくは促進剤がモノマー組成物と共溶出するのに役立つ少なくとも1つの界面活性剤を含むか、伴う。実施形態では、界面活性剤は、反応開始剤又は促進剤をモノマー組成物内に分散させるのに役立つことができる。
【0052】
反応開始剤又は速度調整剤は、モノマー組成物の前に処置される組織若しくは表面に適用することができ、あるいは組成物が組織に適用されるとき、モノマー組成物に直接適用することができる。反応開始剤又は速度調整剤は、存在するとき、組成物を組織に適用する直前に、モノマー組成物と組み合わせてよい。
【0053】
使用されるとき、反応開始剤又は速度調整剤の選択は、重合されたモノマーが生体組織に吸収される速度に影響を及ぼす場合がある。したがって、いくつかの医学的用途では、最も好適な反応開始剤又は速度調整剤は、3年未満で実質的に吸収されるポリマーを提供する一方で、医学的用途に好適な速度でモノマーの重合を開始又は促進するものである。本明細書の目的において、語句「医学的用途に好適」は、モノマーの重合が、5分未満又は3分未満、好ましくは2.5分未満、より好ましくは1分未満、及び多くの場合45秒未満に起こることを意味する。所望の重合時間は、様々な組成物及び/又は用途によって異なり得る。
【0054】
防腐剤、放熱剤、可塑剤、粘度調整剤、揺変性剤、及び着色剤を含むが、これらには限定されないその他の任意の成分が、重合可能なシアノアクリレート組成物内に存在してよく、本明細書で説明される。典型的には、これらの構成成分は、組成物の総重量に基づき、約25重量%まで、より好ましくは約10重量%まで、及び最も好ましくは約5重量%までの量で使用され得る。
【0055】
防腐剤は、パラベン及びクレゾールを含むが、これらには限定されない防腐剤から選択してよい。例えば、好適なパラベンとしては、アルキルパラベン及びその塩、例えば、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、エチルパラベン、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、ブチルパラベンなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適なクレゾールとしては、クレゾール、クロロクレゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。防腐剤はまた、ヒドロキノン、ピロカテコール、レゾルシノール、4−n−ヘキシルレゾルシノール、キャプタン(すなわち、3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−((トリクロロメチル)チオ)−1H−イソインドリ−1,3(2H)−ジオン)、安息香酸、ベンジルアルコール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、o−フェニルフェノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモール、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀及び酢酸フェニル水銀などのフェニル水銀化合物、ホルムアルデヒド、並びに防腐剤Germall II(登録商標)及びGermall 115(登録商標)(Sutton Laboratories,Charthan,N.J.から入手可能なイミダゾリジニル尿素)などのホルムアルデヒド発生源を含むが、これらには限定されない、その他の既知の剤から選択してもよい。その他の好適な防腐剤は、米国特許第6,579,469号に開示され、そのすべての開示を参考として引用し、本明細書に組み込む。実施形態では、2つ又はそれ以上の防腐剤の混合物を使用してもよい。
【0056】
放熱剤は、モノマーに可溶性又は不溶性であってよい液体又は固体を含むことができる。液体は揮発性であってよく、重合中に蒸発し、それにより組成物から熱を放出してよい。好適な放熱剤は、米国特許第6,010,714号中に含まれ、そのすべての開示を参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0057】
可塑化剤は、モノマーから形成されるポリマーに可撓性を付与する。可塑化剤は、好ましくは水分を少量含むか又は全く含まず、モノマーの安定性又は重合に大きく影響を与えてはならない。好適な可塑剤の例としては、アセチルトリブチルシトレート、ジメチルセバケート、トリエチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリ(p−クレシル)ホスフェート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、ジブチルセバケート、ジ−n−ブチルセバケート、ジエチルセバケート、ジオクチルアジパート、イソプロピルミリステート、ブチルステアレート、ラウリン酸、トリオクチルトリメリテート、ジオクチルグルタレート、ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい可塑剤としては、ジ−n−ブチルセバケートが挙げられる。実施形態では、好適な可塑剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)エステル及び末端保護されたPEGエステル又はエーテル、ポリエステルグルタレート及びポリエステルアジパートなどの高分子可塑剤が挙げられる。
【0058】
重合可能なシアノアクリレートモノマー若しくはモノマー類、及び/又はモノマー組成物の粘度は、粘度調整剤又は粘度調整構成成分の添加により制御できる。粘度調整剤は、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)及びセルロースアセテートブチラートを含むが、これらに限定されない既知の増粘剤から選択してよい。好適な増粘剤としては更に、例えば、ポリシアノアクリレート、ポリオキザラート、乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリカプロラクトン、乳酸−カプロラクトンコポリマー、ポリ(カプロラクトン+DL−ラクチド+グリコリド)、ポリオルトエステル、ポリアルキルアクリレート、アルキルアクリレート及びビニルアセテートのコポリマー、ポリアルキルメタクリレート、並びにアルキルメタクリレート及びブタジエンのコポリマーが挙げられる。アルキルメタクリレート及びアクリレートの例は、ポリ(ブチルメタクリレート)及びポリ(ブチルアクリレート)、また、種々のアクリレート及びメタクリレートモノマーのコポリマー、例えば、ポリ(ブチルメタクリレート−co−メチルメタクリレート)である。生分解性ポリマー増粘剤は、一部の外科的用途などの一部の用途に好ましい。
【0059】
好ましくは、粘度調整剤は、モノマー組成物を過度に加熱しなくてもモノマー組成物に添加でき、組成物中に均一に組み込まれたまま留まるように、室温(すなわち、20〜25℃)でモノマー組成物に可溶性である。
【0060】
モノマー組成物に添加される粘度調整剤の量は、粘度調整剤の分子量に依存する。粘度調整剤は、好ましくは、接着剤組成物の約0.5〜約25.0重量%で含まれる。好ましい実施形態では、粘度調整剤は、接着剤組成物の約1.0〜約10.0%、より好ましくは約1.0〜約5.0%で含まれる。実施形態では、粘度調整剤は、高い分子量、好ましくは少なくとも100,000、又は少なくとも500,000、又は少なくとも1,000,000を有する。粘度調整剤は、モノマーに適合する(すなわち、重合、結合強度、基本的特性、又は貯蔵寿命に悪影響を及ぼさない)ように選択される。用いられる粘度調整剤の量は、不要な実験を行わずして当業者が既知の手技を用いて決定することができる。
【0061】
実施形態では、接着剤組成物は、25℃においてBrookfield粘度計を用いて測定するとき、約20〜10,000センチポアズ、好ましくは30〜1,000センチポアズ、及びより好ましくは150(200が我々の規格の最低値であるため)〜1,000センチポアズの粘度を有する。
【0062】
好適な揺変性剤としては、シリルイソシアネートで処理したものなどのシリカゲルが挙げられるが、これらに限定されない。好適な揺変性剤の例は、例えば、米国特許第4,720,513号に開示され、その開示の全てを本明細書に組み込む。
【0063】
組成物はまた、少なくとも1つの天然又は合成ゴムを任意で含み、特に本発明の工業用組成物に好ましい耐衝撃性を付与してもよい。好適なゴムは、当業者に既知である。かかるゴムとしては、ジエン、スチレン、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適なゴムの例は、例えば、米国特許第4,313,865号及び同第4,560,723号に開示され、その開示の全てを本明細書に組み込む。
【0064】
本発明の組成物は、毒性が低いか又は毒性がないと考えられる。それにもかかわらず、本発明の医療用組成物はまた、ポリマーの生体内生分解中に生成される活性ホルムアルデヒド濃度を減少するのに有効な、少なくとも1つの生体適合性剤(本明細書において「ホルムアルデヒド濃度低減剤」とも言う)を含んでもよい。好ましくは、この構成成分は、ホルムアルデヒド捕捉化合物である。ホルムアルデヒド捕捉化合物の例としては、亜硫酸塩;亜硫酸水素塩;亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩の混合物;亜硫酸アンモニウム塩;アミン;アミド;イミド;ニトリル;カルバメート;アルコール;メルカプタン;タンパク質;アミン、アミド、及びタンパク質の混合物;環状ケトン及びα−ジカルボニル基を有する化合物などの活性メチレン化合物;並びにカルボニル基を含まず、NH基を有する複素環化合物(窒素又は炭素原子で構成される環を有し、環は不飽和、又はフェニル基と融合するとき不飽和若しくは飽和であり、NH基は炭素又は窒素原子に結合しており、その原子は、別の炭素又は窒素原子に二重結合で直接結合している)が挙げられる。ホルムアルデヒド濃度低減化合物及び組成物のその他の例は、代表的な特許、米国特許第6,010,714号、同第5,624,669号、同第5,582,834号、及び同第5,575,997号に開示され、それらのすべての開示を参考として引用し、本明細書に組み込む。
【0065】
本発明の組成物から形成される接着剤の貼着力を向上するため、二官能性モノマー架橋剤を本発明のモノマー組成物に添加してよい。かかる架橋剤は、既知である。代表的な架橋剤は、米国特許第3,940,362号に開示され、それらの全てを参考として引用し、本明細書に組み込む。好適な架橋剤の例としては、アルキルビス(2−シアノアクリレート)、トリアリルイソシアヌレート、アルキレンジアクリレート、アルキレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びアルキルビス(2−シアノアクリレート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
適用面(例えば、組織表面)と本発明の組成物との間の接着を向上するため、プライミング剤を用いてシアノアクリレートモノマーの塗布前に適用面を調整することができる。好適なプライマーとしては、pH調整剤(例えば有機又は無機塩基)、イオン性及び非イオン性界面活性剤、並びに有機又は無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。本開示を考慮すれば当業者は、その他の好適なプライミング剤を容易に特定することができる。
【0067】
本発明の組成物は、繊維性補強剤、並びに染料、顔料、及び顔料染料などの着色剤を更に含んでよい。好適な繊維性補強剤の例としては、PGAマイクロファイバー、コラーゲンマイクロファイバー、セルロースマイクロファイバー、及びオレフィンマイクロファイバーが挙げられる。好適な着色剤の例としては、1−ヒドロキシ−4−[4−メチルフェニル−アミノ]−9,10アントラセンジオン(医薬品及び化粧品用バイオレット2号)、6−ヒドロキシ−5−[(4−スルホフェニル)アゾ]−2−ナフタレン−スルホン酸の二ナトリウム塩(disodium salt of 6-hydroxy-5- [(4-sulfophenyl)axo]-2-naphthalene-sulfonic acid)(食品、医薬品及び化粧品用イエロー6号)、9−(o−カルボキシフェニル)−6−ヒドロキシ−2,4,5,7−テトラヨード−3H−キサンテン−3−オン二ナトリウム塩一水和物(9- (o-carboxyphen0yl)-6-hydroxy-2,4,5,7-tetraiodo-3H-xanthen-3-one, disodium salt, monohydrate)(食品、医薬品及び化粧品用レッド3号)、2−(1,3−ジヒドロ−3−オキソ−5−スルホ−2H−インドール−2−イリデン)−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1H−インドール−5−スルホン酸二ナトリウム塩(食品、医薬品及び化粧品用ブルー2号)、及び[フタロシアニン(2−)]銅が挙げられる。
【0068】
組成物はまた、少なくとも1つの生物学的製剤又は治療薬を任意に含んでもよい。本発明の接着剤組成物とともに用いることができる様々な生物学的製剤/治療薬は、広範である。一般的に、本発明の接着剤/封止剤組成物とともに投与できる生物学的製剤/治療薬としては、抗生物質、抗菌剤(例えば、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル又はこれらの組み合わせ)、防腐剤、バクテリオシン、静菌剤、消毒剤、殺真菌剤、抗菌、及び抗ウイルス剤などの抗感染剤;鎮痛剤及び鎮痛剤の組み合わせ;抗炎症剤;天然由来の又は遺伝子操作されたタンパク質、多糖類、糖タンパク質、又はリポタンパク質;オリゴヌクレオチド、抗体、抗原、コリン作用薬、細胞増殖抑制剤、ヘパリン中和剤;プロトロンビン、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、X/Xa因子、VII/VIIa因子、IX/IXa因子、XI/XIa因子、XII/XIIa因子、組織因子、バトロキソビン、アンクロッド、エカリン、フォンウィルブランド因子、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ゼラチン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン、バソプレシン類似体、エピネフィリン、セレクチン、凝血促進毒素、プラスミノゲン活性化剤抑制剤、血小板活性化剤、及び止血作用を有する合成ペプチドなどの凝血促進剤及び止血剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
組成物は、ステープル、縫合糸、テープ、メッシュなど主要な創縫合デバイスの補助として、外科的処置で使用し、気体、液体、又は固体の漏出可能性を封止してよい。外科的接着剤/封止剤を、外科的処置の一部として、例えば、液体、粉末、フィルム、スポンジ又は発泡体、含浸布、含浸スポンジ又は発泡体、及びスプレー等の種々の形態で組織に塗布してよい。瞬間接着剤組成物は、その吸収性から外科的な状況では特に有利である。
【0070】
接着剤組成物は、単独又は複数の用途に適用してよい。例えば、接着剤組成物を第1の層に適用でき、第1の層を完全に又は部分的に重合させた後、続いて層を追加することができる。このような方法を、創傷の寸法及びそれぞれの適用における接着剤の適用量により、多数回実施してよい。
【0071】
実施形態では、接着剤組成物を当業者には既知の任意の手段で適用してよい。例として、任意の好適なアプリケータを用いて、接着剤複合材料組成物を適用面に適用してよい。
【0072】
本明細書で説明する反応開始剤は、重合可能なモノマー組成物の重合を開始することができ、本明細書で説明する促進剤は、重合速度を上げることができる。これらの実施形態では、反応開始剤及び促進剤、並びに重合可能なモノマー組成物を別々に保管することが好ましい。
【0073】
例として、重合可能なモノマー又はモノマー類がシアノアクリレートモノマーの場合、シアノアクリレートモノマー又はモノマー類、及びシアノアクリレートモノマー(モノマー類)と関連する構成成分、例えば抑制剤、可塑剤、防腐剤などは、説明されるように、使用時まで反応開始剤及び促進剤とは別に保存するのが好ましい。例として、重合可能なシアノアクリレートモノマー又はモノマー類、及び任意の添加剤、例えば可塑剤、抑制剤、防腐剤又はその他所望の添加剤は、使用時まで反応開始剤及び促進剤とは別に、又は非接触関係で保存される、重合可能なシアノアクリレートモノマー組成物を形成してもよい。接着剤組成物が使用されるとき、又は直前に、別々の重合可能なモノマー組成物、並びに反応開始剤及び促進剤が組み合わされ、接着剤組成物を形成する。
【0074】
使用時まで構成成分の分離を可能にし、2構成成分系の混合を可能にするアプリケータは、当該技術分野において周知である。例として、Angiotech Pharmaceuticalから販売されるCoSeal Sealantのアプリケータが利用できる。加えて、本明細書に参考として組み込まれる特許出願第11/565,022号に開示されるアプリケータも利用できる。更なる例として、反応開始剤及び促進剤が1つの部分にあり、重合可能なモノマー組成物が別の部分にある、2室注射器システムが利用できる。構成成分を同時に押し出し、使用時に混合し、所望の適用先に分散された接着剤組成物を形成することができる。このような注射器システムは、例えば、T型形状のものを利用してよい。他の2構成成分システムは、例えば、米国特許第5,814,022号及び同第5,935,437号に示される。
【0075】
実施形態では、生体組織処置用システムは、生体適合性重合可能なモノマー組成物を含有する第1のリザーバ、反応開始剤及び促進剤を含有し、第1のリザーバとは非接触関係の第2のリザーバ、及びアプリケータを備える。反応開始剤は、好ましくは好適な第4級アンモニウム塩を含み、促進剤は、好ましくは好適なトリヒドロキシ第3級アミンを含む。実施形態では、反応開始剤は、BACであり、促進剤は、TIPAである。別の実施形態では、反応開始剤は、BACであり、促進剤は、E−17−5である。生体適合性重合可能なモノマー組成物は、好ましくは、1つ又は2つ以上のシアノアクリレートモノマーを含む。アプリケータは、生体適合性重合可能なモノマー組成物、並びに反応開始剤及び促進剤を混合して接着剤組成物を形成し、接着剤組成物を生体組織に適用することができる。
【0076】
実施形態では、重合可能なモノマー組成物と、反応開始剤及び促進剤との間の非接触関係が接着剤組成物の使用時まで維持される限り、反応開始剤及び促進剤はアプリケータ本体の1つの容器に入れられ、一方、重合可能なシアノアクリレートモノマー組成物はアプリケータ本体の別の容器に保存される。
【0077】
接着剤組成物は、ガラス、プラスチック、金属包装、及びフィルム形成包装を含むがこれらに限定されない材料から作られた、任意の種類の好適な容器に入れられてよい。好適な容器としては、好ましくは、容器又はモノマー組成物の構成成分に認容できない損傷を起こさずに、又はこれらの分解を起こさずに、組成物を分注し、滅菌できるものが挙げられる。そのすべての開示が参考により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2003/0039781号に開示されるように、少なくとも容器のモノマー接触面上に、ハロゲン化(例えば、フッ素化(fluourinated))後の、又はシラン処理した高分子バリア層があると、優れたモノマー組成物の貯蔵寿命がもたらされる。乾熱滅菌(典型的には少なくとも約140℃)に用いられる温度では多くのプラスチックで安定性を欠くため、乾熱により滅菌を達成するとき、ガラスが特に好ましい。容器の種類の例としては、アンプル、バイアル瓶、注射器、ピペットなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書に記載される接着剤組成物には、複数の医学的用途がある。例えば、体内の外科的接着剤及び封止剤として、接着剤は、組織と組織、組織と医療デバイス(例えば、メッシュ、クリップ及びフィルム)、及び医療デバイスと医療デバイスを結合できる。封止剤として、組成物は、組織上、医療デバイス上、又は医療デバイスと組織との境界面上を被覆して、漏れを防止することができる。組成物を使用して、その場でフィルムを形成することが可能であり、それは、外科的接着の防止用等の用途を有し得る。組成物を使用して、充填剤(例えば、死腔除去、再建手術、及び美容手術)、バルク剤、組織工学(例えば、足場)材料、並びに発泡体及びスポンジが有用なその他等の用途を有し得る、発泡体をその場で形成することが可能である。組成物が注入可能で、かつ組織に局部的及び接着するゲルをその場で形成するために使用され、それらが注入される部位に残留するように、組成物を処方することができる。この注入可能処方は、細胞並びに他の生物学的製剤、生物活性剤、及び医薬品又は栄養補給剤用の送達マトリックスとして、塞栓剤として、並びに造影剤を局在させる手段等の用途を有し得る。
【0079】
充填剤として、接着剤組成物を顔面、欠損又は空隙の充填剤として使用できる。例えば、組成物は、結果として生じるポリマーが内部空洞及び空隙を充填し、組織の間隙及び孔を貫通し、適合するように、内部空隙の隙間に適用し、かつその中で重合を可能にし得る。したがって、定型的乳房切除術(すなわち、癌治療のための乳房及び所属リンパ節除去)、乳房再生及び豊胸処理、再建的又は美容上の腹壁形成及び脂肪吸引、美顔手術、帝王切開及び肥満患者の子宮摘出、大腿領域の整形術、切開性ヘルニア修復、脂肪腫切除、及び外傷性損傷(すなわち、閉鎖性外傷)を含むが、これらに限定されない、死腔形成の潜在的な危険性を有する多くの処理後に、この組成物を使用し得る。
【実施例】
【0080】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することにより更に理解される。
【0081】
以下の実施例では、2つの接着剤組成物(A及びB)、並びに対照接着剤組成物(対照)を用いて、反応開始剤/促進剤系を評価した。組成物A及びBを200〜250センチポアズの粘度に処方した。対照組成物は、約40〜55センチポアズであった。表1は、それぞれの処方の一般処方の詳細である。2OCAは、安定化された2−オクチルシアノアクリレートを示す。
【表1】
【0082】
約0.70グラムの組成物で満たしたガラスアンプルを調製し、乾熱滅菌した。滅菌アンプルを平底ブチラート管の内側に置いた。この管を多孔質アプリケータチップで封止した。多孔質アプリケータチップは、目的の反応開始剤/促進剤系を含んだ。反応開始剤/促進剤系を、アセトンとメタノールの50/50(容量)溶液を用いて適用した。多孔質プラグ上に固着した反応開始剤/促進剤系を残して、溶媒を蒸発させた。デバイスをエチレンオキシドなどの既知の方法を用いて滅菌し、最終デバイスを生体組織に適用するために滅菌してよい。
【0083】
以下の実施例において、平均発熱は、あるデータセットにおいて達成した最大発熱の平均値として定義される。最大発熱もまた、比較目的で報告する。
【0084】
(実施例1)
組成物B及びトリヒドロキシ第3級アミントリイソプロパノールアミン(TIPA)のみを用いて重合を試みた。3つの濃度のTIPA、65、130、及び240μgを評価した。臨床的に許容できる時間範囲で、フィルムは固まらなかった。比較対象として、同じ組成物と塩化ベンザルコニウム(BAC)を用いると、フィルムは、118秒で固まり、平均発熱は、50.1℃、最大発熱は、57.9℃であった。これらのデバイスは最終的に滅菌しなかった。6つのユニットをテストする。
【0085】
(実施例2)
組成物B及びポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミン(E−17−5)のみを用いて重合を試みた。2つの濃度のE−17−5、107及び215μgを評価した。臨床的に許容できる時間範囲で、フィルムは固まらなかった。実施例1に記すように、同じ組成物と塩化ベンザルコニウム(BAC)を用いると、フィルムは118秒で固まり、平均発熱は、50.1℃、最大発熱は、57.9℃であった。これらのデバイスは最終的に滅菌しなかった。6つのユニットをテストした。
【0086】
(実施例3)
組成物A及びBを塩化ベンザルコニウム(BAC)のみを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)を評価した。3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)もまた評価した。1つの濃度のBAC、110μgを評価した。対照組成物は、40μgのBACを用いて反応開始した。評価中の組成物について、これら反応開始剤の濃度により臨床的に許容できる時間範囲でフィルムを形成できた。デバイスは、エチレンオキシドを用いて滅菌した。12個のデバイスについて平均及び最大発熱を評価した。図1は、平均固化温度を示す。図2は、最大固化温度を示す。表2では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表2】
【0087】
実施例4〜10において、全てのデバイスは、エチレンオキシドを用いて滅菌した。反応開始剤/促進剤系の組み合わせを評価した。組み合わせ系は、40μgのBACで反応開始した対照組成物と比較した。全てのフィルムは、臨床的に許容できる時間範囲で重合した。12個のデバイスの全てをそれぞれの測定に用いた。デバイスは、エチレンオキシドを用いて滅菌した。
【0088】
(実施例4)
組成物A及びBを、塩化ベンザルコニウム(BAC)/E−17−5からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)並びに3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)を55μg/903μgのBAC/E−17−5の組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図3は、平均固化温度を示す。図4は、最大固化温度を示す。表3では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表3】
【0089】
(実施例5)
組成物A及びBを、塩化ベンザルコニウム(BAC)/E−17−5からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)並びに3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)を45μg/803μgのBAC/E−17−5の組み合わせを用いて評価した。この組成物は、40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図5は、平均固化温度を示す。図6は、最大固化温度を示す。表4では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表4】
【0090】
(実施例6)
組成物AのロットA1を、塩化ベンザルコニウム(BAC)/E−17−5からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3種の組み合わせのBAC/E−17−5(55μg/903μg、45μg/803μg、及び45μg/691μg)について、このロットで評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図7は、平均固化温度を示す。図8は、最大固化温度を示す。表5では、平均及び最大発熱、並びに、対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表5】
【0091】
(実施例7)
組成物A及びBを、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合する。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)並びに3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)を55μg/907μgのBAC/TIPAの組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図9は、平均固化温度を示す。図10は、最大固化温度を示す。表6では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表6】
【0092】
(実施例8)
組成物A及びBを、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)並びに3つのロットの組成物B(B1、B2、及びB3)を45μg/829μgのBAC/TIPAの組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図9は、平均固化温度を示す。図10は、最大固化温度を示す。表6では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表7】
【0093】
(実施例9)
組成物Aを、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)を、45μg/706μgのBAC/TIPAの組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図13は、平均固化温度を示す。図14は、最大固化温度を示す。表8では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表8】
【0094】
(実施例10)
組成物Aを、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。3つのロットの組成物A(A1、A2、及びA3)を、35μg/706μgのBAC/TIPAの組み合わせを用いて評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図15は、平均固化温度を示す。図16は、最大固化温度を示す。表9では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表9】
【0095】
(実施例11)
組成物AのロットA1を、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。4種の組み合わせのBAC/TIPA(55μg/907μg、45μg/829μg、45μg/706μg、及び35μg/706μg)について、このロットで評価した。この組成物を40μgのBAC反応開始剤が適用された対照組成物に対して比較した。図17は、平均固化温度を示す。図18は、最大固化温度を示す。表10では、平均及び最大発熱、並びに対照組成物と比較したそれぞれの減少度もまた報告する。
【表10】
【0096】
(実施例12)
組成物AのロットA1及び組成物BのロットB1を、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。2種の組み合わせのBAC/TIPA(78μg/1071μg、及び114μg/1071μg)について、このロットで評価した。ペン型の滅菌デバイスを実施例12に用いた。表11では、平均及び最大固化時間、並びに平均及び最大発熱を報告する。
【表11】
【0097】
(実施例13)
組成物AのロットA1及び組成物BのロットB3を、BAC/トリイソプロパノールアミン(TIPA)からなる反応開始剤/促進剤系の組み合わせを用いて重合した。2種の組み合わせのBAC/TIPA(79μg/1089μg及び117μg/1088μg)について、このロットで評価した。綿棒型の滅菌デバイスを実施例13に用いた。表12では、平均及び最大固化時間、並びに平均及び最大発熱を報告する。
【表12】
【0098】
〔実施の態様〕
(1) 接着剤組成物であって、
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーと、
第4級アンモニウム塩を含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤と、
トリヒドロキシ第3級アミンを含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合促進剤と、を含む、組成物。
(2) 前記第4級アンモニウム塩が、式A
【化10】
の化合物を含み、
式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル基、置換若しくは非置換の芳香環、又は置換若しくは非置換のアラルキル基であり、ここで、前記アルキル基、芳香環又はアラルキル基は、O、N、及びSなどのヘテロ原子を任意に更に含んでよく、Xは、ハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物、若しくはフッ化物などのアニオンである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(3) 前記第4級アンモニウム塩が、塩化ベンザルコニウムである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(4) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、式B
【化11】
の化合物を含み、
式中、R5、R6、及びR7は、それぞれ、独立して、C1〜C20置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル、又はアリール基である、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(5) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、ニトリロトリスである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(6) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、トリイソプロパノールアミンである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(7) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、式C
【化12】
の化合物を含み、
式中、R8、R9、R10、R11、R12、R13は、それぞれ、独立して、C1〜C20のアルキレン、置換アルキレン、環状若しくは置換シクロアルキレン、又はアリール基である、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(8) 前記トリヒドロキシ第3級アミンが、ポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミンである、実施態様1に記載の接着剤組成物。
(9) 前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含有する第1のリザーバと、
トリヒドロキシ第3級アミンを含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための前記重合促進剤を含有し、該第1のリザーバとは非接触関係にある第2のリザーバと、
前記重合可能なシアノアクリレートモノマーと前記重合促進剤とを混合して接着剤組成物を形成し、続いて該接着剤組成物を生体組織に適用することができるアプリケータと、を含む、生体組織処置用システムにおける、実施態様1に記載の接着剤組成物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤組成物であって、
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーと、
第4級アンモニウム塩を含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤と、
トリヒドロキシ第3級アミンを含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合促進剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記第4級アンモニウム塩が、式A
【化1】
の化合物を含み、
式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル基、置換若しくは非置換の芳香環、又は置換若しくは非置換のアラルキル基であり、ここで、前記アルキル基、芳香環又はアラルキル基は、O、N、及びSなどのヘテロ原子を任意に更に含んでよく、Xは、ハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物、若しくはフッ化物などのアニオンである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記第4級アンモニウム塩が、塩化ベンザルコニウムである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、式B
【化2】
の化合物を含み、
式中、R5、R6、及びR7は、それぞれ、独立して、C1〜C20置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル、又はアリール基である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、ニトリロトリスである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、トリイソプロパノールアミンである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、式C
【化3】
の化合物を含み、
式中、R8、R9、R10、R11、R12、R13は、それぞれ、独立して、C1〜C20のアルキレン、置換アルキレン、環状若しくは置換シクロアルキレン、又はアリール基である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、ポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミンである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含有する第1のリザーバと、
トリヒドロキシ第3級アミンを含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための前記重合促進剤を含有し、該第1のリザーバとは非接触関係にある第2のリザーバと、
前記重合可能なシアノアクリレートモノマーと前記重合促進剤とを混合して接着剤組成物を形成し、続いて該接着剤組成物を生体組織に適用することができるアプリケータと、を含む、生体組織処置用システムにおける、請求項1に記載の接着剤組成物の使用。
【請求項1】
接着剤組成物であって、
1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーと、
第4級アンモニウム塩を含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合開始剤と、
トリヒドロキシ第3級アミンを含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための重合促進剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記第4級アンモニウム塩が、式A
【化1】
の化合物を含み、
式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、独立して、置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル基、置換若しくは非置換の芳香環、又は置換若しくは非置換のアラルキル基であり、ここで、前記アルキル基、芳香環又はアラルキル基は、O、N、及びSなどのヘテロ原子を任意に更に含んでよく、Xは、ハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物、若しくはフッ化物などのアニオンである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記第4級アンモニウム塩が、塩化ベンザルコニウムである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、式B
【化2】
の化合物を含み、
式中、R5、R6、及びR7は、それぞれ、独立して、C1〜C20置換若しくは非置換の直鎖、分枝若しくは環状アルキル、又はアリール基である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、ニトリロトリスである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、トリイソプロパノールアミンである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、式C
【化3】
の化合物を含み、
式中、R8、R9、R10、R11、R12、R13は、それぞれ、独立して、C1〜C20のアルキレン、置換アルキレン、環状若しくは置換シクロアルキレン、又はアリール基である、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記トリヒドロキシ第3級アミンが、ポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミンである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーを含有する第1のリザーバと、
トリヒドロキシ第3級アミンを含む前記1つ又は2つ以上の重合可能なシアノアクリレートモノマーのための前記重合促進剤を含有し、該第1のリザーバとは非接触関係にある第2のリザーバと、
前記重合可能なシアノアクリレートモノマーと前記重合促進剤とを混合して接着剤組成物を形成し、続いて該接着剤組成物を生体組織に適用することができるアプリケータと、を含む、生体組織処置用システムにおける、請求項1に記載の接着剤組成物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2011−529979(P2011−529979A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521256(P2011−521256)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/052006
【国際公開番号】WO2010/014641
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/052006
【国際公開番号】WO2010/014641
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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