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シアン化物非含有ホワイトブロンズの接着促進
説明

シアン化物非含有ホワイトブロンズの接着促進

【課題】銅または銅合金下層上での接着促進を可能にするシアン化物非含有スズ/銅浴からホワイトブロンズめっき方法を提供する。
【解決手段】銅下層を被覆する空隙抑制層上に、シアン化物非含有スズ/銅浴からホワイトブロンズが電気めっきされる。この空隙抑制金属層は1種以上の空隙抑制金属を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシアン化物非含有ホワイトブロンズ(white bronze)の、銅または銅合金下層上での接着促進に関する。より具体的には、本発明は、銅または銅合金下層を被覆した空隙抑制金属含有金属層上に、シアン化物非含有ホワイトブロンズ電気めっき浴からホワイトブロンズが電気めっきされる、シアン化物非含有ホワイトブロンズの、銅または銅合金下層上での接着促進に関する。
【背景技術】
【0002】
シアン化物含有浴からホワイトブロンズまたはスズ/銅合金を電気めっきする方法は一般的である。この従来のシアン化物ベースのホワイトブロンズ電気めっき方法は、典型的には、ニッケルがそのアレルギー特性のせいで望まれない装飾用途のために、または高価な銀もしくはパラジウムの代替物として使用されている。このような用途においては、鏡面光沢、低表面ラフネス装飾仕上げを達成するために、高平滑酸銅または銅合金下層が多くの場合使用されている。しかし、装飾用途に取り組む産業に加えて、ニッケル代替物は、電子部品をコーティングするための、または機械工学における、およびベアリングオーバーレイおよび摩擦層をコーティングするためのプロセス技術における、並びにニッケルの磁性が望ましくないいくつかのコネクター用途におけるようないくつかの技術分野においても重要性を増している。
【0003】
しかし、この従来のシアン化物ベースのホワイトブロンズ浴は毒性であり、これはその使用を環境の観点から問題のあるものにし、並びにこの浴を使用する作業者に対して危険性がある。何年にもわたって、シアン化物非含有浴を開発するように後押しされてきたが、この浴の電解質の変更は技術的および経済的双方の不利益をもたらしていた。例えば、ピロリン酸塩またはシュウ酸塩をベースにした電解質は、5〜9のpH範囲で稼働するが、遅い堆積速度を有している。電解質の変更から生じうる別の問題には、望まれない堆積物をもたらす堆積物の物理的特性、例えば、粒子サイズ、形態または合金組成が挙げられる。よって、経済的および技術的観点から充分に確立されたニッケルプロセスに匹敵しかつ最終的に置き換わりうるシアン化物非含有ホワイトブロンズプロセスの開発は困難であり、そして実質的にうまくいっていない。
【0004】
ニッケル代替物についての技術的要求を満たすために、シアン化物非含有酸性浴からのスズ/銅ホワイトブロンズを使用する試みがなされてきたが、シアン化物非含有酸性スズ/銅めっき浴から電気めっきされた金属間化合物層は、高平滑電気めっき酸銅下層のような銅下層に対して劣った接着性を有していた。この接着欠陥は空隙の形成のせいである。この空隙は多くの場合カーケンダル(Kirkendall)ボイドと称される。カーケンダルボイド形成の現象はよく知られている。この空隙はアルカリ性シアン化物含有浴を用いると観察されないが、そのシアン化物浴の危険性のせいで、この浴は産業界では望ましくない。カーケンダルボイドは、シアン化物非含有酸性スズ/銅浴から堆積された電気めっきされたスズ/銅金属間化合物層と、銅との間の界面における銅およびスズイオンの相互拡散のせいで形成される。さらに、スズ/銅合金および銅層が曝される温度が高くなるにつれて、拡散速度が大きくなり、それによって空隙形成も増大しかつ接着性も低下する。80℃以上の温度に曝された後では、典型的に明らかな空隙形成が観察される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、銅または銅合金上での、シアン化物非含有電気めっき浴から電気めっきされたホワイトブロンズの接着性を向上させる方法についての必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
方法は、銅含有層を提供し、前記銅含有層に隣接して1種以上の空隙抑制金属を含む金属層を堆積させ、並びに前記1種以上の空隙抑制金属を含む金属層に隣接して、シアン化物非含有スズ/銅電気めっき浴からスズ/銅合金層を電気めっきすることを含む。本方法は、銅含有層へのスズ/銅合金の良好な接着を提供し、それに加えて、高温への曝露の後でさえ、スズ/銅層と銅含有層との間の界面に多くの場合認められる空隙を低減させる。
【0007】
本方法は、電子部品をコーティングするためのエレクトロニクス産業において、およびベアリングオーバーレイおよび摩擦層をコーティングするためのプロセス技術において使用されうる。本方法は、装飾用途においてニッケル代替物としておよび宝飾品を製造するためにも使用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、基体上の銅または銅合金層上の空隙抑制金属層上のホワイトブロンズ層を有する物品の断面図である。
【図2】図2は、300℃で1時間の熱処理後の、介在亜鉛層を伴う銅堆積物上にめっきされたホワイトブロンズの15,000倍のFE−SEM断面である。
【図3】図3は、300℃で1時間の熱処理後の、介在銅/亜鉛層を伴う銅堆積物上にめっきされたホワイトブロンズの15,000倍のFE−SEM断面である。
【図4】図4は、めっきされたときの、銅堆積物上のホワイトブロンズの14,390倍のFE−SEM断面である。
【図5】図5は、300℃で0.5時間の熱処理後の銅堆積物上のホワイトブロンズの15,000倍のFE−SEM断面である。
【図6】図6は、300℃で1時間の熱処理後の、介在ニッケル層を伴う銅堆積物上のホワイトブロンズの20,000倍のFE−SEM断面である。
【図7】図7は、300℃で1時間の熱処理後の、介在銅/ビスマス層を伴う銅堆積物上のホワイトブロンズの15,000倍のFE−SEM断面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書全体にわたって使用される場合には、文脈が明らかに他のことを示さない限りは、以下の略語は以下の意味を有する:℃=摂氏度;mg=ミリグラム;g=グラム;L=リットル;mL=ミリリットル;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;A=アンペア;dm=デシメートル;ASD=アンペア/平方デシメートル;V=ボルト;FE−SEM=電界放射型走査電子顕微鏡;PVD=物理蒸着;CVD=化学蒸着;EO/PO=エチレンオキシド/プロピレンオキシド;μm=ミクロン=マイクロメートル;およびppm=100万分率;用語「電気めっき」、「めっき」および「堆積」は本明細書全体にわたって交換可能に使用され;用語「膜」および「層」は本明細書全体にわたって交換可能に使用され;「隣接」は「隣にあってかつ結合している」ことを意味する。全ての数値範囲は包括的であって、およびそのような数値範囲が合計で100%になることに制約されることが論理的である場合を除いて任意に組み合わせ可能である。
【0010】
銅含有層は銅であることができ、または銅合金、例えば、これに限定されないが、スズ/銅、銀/銅、金/銅、銅/亜鉛、銅/ニッケル、銅/ベリリウム、スズ/銀/銅、およびスズ/銅/ビスマスであることができる。このようなスズ合金は10%未満のスズ含量を有する。このような銅/亜鉛合金は4%未満の亜鉛含量を有する。このようなビスマス合金は10%未満のビスマス含量を有する。好ましくは、銅含有層は銅、銀/銅、金/銅、またはニッケル/銅であり、より好ましくは銅含有層は銅、銀/銅、またはニッケル/銅である。最も好ましくは、銅含有層は銅である。
【0011】
銅含有層は商業的に得られることができ、または銅含有層は当該技術分野および文献において知られている従来の方法によって基体に隣接して堆積されうる。この方法には、これに限定されないが、電気めっき、無電解めっき、浸漬めっき、PVDおよびCVDが挙げられる。好ましくは、基体表面に隣接する銅含有層は電気めっき、無電解めっきおよび浸漬めっきによって堆積される。より好ましくは、銅含有層は電気めっきまたは無電解めっきによって堆積され、最も好ましくは電気めっきによって堆積される。銅または銅合金を基体上に堆積させるために、従来の銅浴および銅合金浴が使用されうる。好ましくは、銅または銅合金は高平滑銅または銅合金浴から電気めっきされる。典型的には、銅または銅合金は室温〜80℃の温度で、または例えば、室温〜50℃の温度でめっきされる。銅または銅合金が電気めっきされる場合には、電流密度は0.1ASD〜10ASD、好ましくは1〜5ASDの範囲であり得る。堆積された銅含有層は少なくとも5μm、または例えば、10μm〜1000μm、または例えば、20μm〜500μmの厚さを有する。
【0012】
金属源の形態は、金属を堆積させるのに使用される方法に応じて変化しうる。典型的には、金属がPVDおよびCVDによって堆積される場合には、その金属はその還元金属形態で最初に提供される。金属が電気めっき、無電解および浸漬浴から堆積される場合には、その金属は典型的には水溶性塩の形態である。銅イオン源には、これに限定されないが、第一銅塩または第二銅塩が挙げられる。第一銅塩(Cu)には、これに限定されないが、酸化第一銅、塩化第一銅、臭化第一銅およびヨウ化第一銅が挙げられる。第二銅塩(Cu2+)には、これに限定されないが、有機スルホン酸第二銅、例えば、メタンスルホン酸第二銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、酸化第二銅、リン酸第二銅、ピロリン酸第二銅、酢酸第二銅、クエン酸第二銅、グルコン酸第二銅、酒石酸第二銅、乳酸第二銅、コハク酸第二銅、スルファミン酸第二銅、ホウフッ化第二銅、ギ酸第二銅、およびケイフッ化第二銅が挙げられる。好ましくは、第一銅塩および第二銅塩は水溶性である。銅塩は従来の量で含まれうる。典型的には、これらは0.1g/L〜200g/L、または例えば、0.5g/L〜150g/L、または例えば、1g/L〜50g/Lの量で含まれる。
【0013】
銅めっき浴は1種以上の従来の添加剤、例えば、これに限定されないが、電解質、光沢剤、平滑化剤、硬化剤、湿潤剤、界面活性剤、延性調節剤(ductility modifier)、抑制剤、酸化防止剤、緩衝剤、pH調節剤、還元剤、キレート化および錯化剤を含むことができる。銅合金めっき浴は、1種以上の合金形成金属も従来の量で含む。この添加剤は当該技術分野および文献において周知であり、かつ従来の量で銅浴中に含まれうる。好ましくは、銅または銅合金電気めっき浴は1種以上の平滑化剤を、高平滑銅電気めっき浴を提供する濃度で含む。高平滑性は実質的に滑らかな表面を提供し、1種以上の空隙抑制金属を含む金属層並びにホワイトブロンズ上層を受けるために望まれる。典型的には、平滑化剤、例えば、限定されないが、染料、および光沢剤化合物、例えば、限定されないがジスルフィドが銅浴中に500ppm〜1g/L、好ましくは750ppm〜1g/Lの量で含まれる。この平滑化剤は当該技術分野および文献において周知である。
【0014】
銅または銅合金浴のpH範囲は1未満から14までの範囲であり得るが、好ましくは、銅または銅合金浴は7未満である。より好ましくは、銅浴のpHは1未満〜6、または例えば、1未満〜4、または例えば、1未満〜3である。この酸銅および酸銅合金浴は滑らかかつ光沢の表面の形成を可能にするので、装飾用途においては、例えば、宝飾品の製造においては、酸銅および酸銅/合金浴が好ましい。装飾品の製造においては、酸銅浴が最も好ましい。所望の酸環境を提供するために、1種以上の無機および有機酸が典型的には銅または銅合金浴に添加される。
【0015】
基体は導電性材料であることができるか、または基体が誘電体である場合には、基体は当該技術分野および文献で知られた誘電性材料を導電性にするための従来の方法を用いて導電性にされることができる。基体は電子デバイスのための部品、例えば、コネクタ、リードフレーム、パッケージング、光電子部品およびプリント回路板、並びに装飾目的に使用されるあらゆる基体、例えば、限定されないが宝飾品である。基体は鉄、鉄合金、銅、銅合金、ニッケルおよびニッケル合金のような導電性材料から造られていて良い。誘電性材料には、これに限定されないが、ポリアニリンおよびポリチオフェンが挙げられる。導電性充填剤を含むアクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン/ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリウレタン、アクリルおよびエポキシ樹脂のようなプラスチックが電解質組成物でめっきされうる。この基体は、従来のクリーニング方法および材料、例えば、これに限定されないが、浸漬クリーナー、アノードおよびカソード脱脂、その後の脱脂された表面の活性化を用いて金属化のために準備されうる。この方法および生成物は当該技術分野および文献においてすでに知られている。
【0016】
空隙抑制接着層の金属は、当該技術分野および文献において知られている従来の方法によって銅含有層に隣接して堆積される。この方法には、これに限定されないが、電気めっき、無電解めっき、浸漬めっき、PVDおよびCVDが挙げられる。好ましくは、この金属は電気めっき、無電解めっきまたは浸漬めっきによって、より好ましくは電気めっきまたは無電解めっきによって、最も好ましくは電気めっきによって堆積される。一般に、めっき浴温度は室温以上、典型的には室温〜100℃、より典型的には室温〜60℃である。この金属または金属合金が電気めっきされる場合には、電流密度は0.01ASD〜5ASD、典型的には0.1ASD〜3ASDの範囲であり得る。
【0017】
この空隙抑制接着促進層は厚さ少なくとも0.02μm、または好ましくは0.05μm〜10μm、より好ましくは0.05μm〜5μmである。この金属は、シアン化物非含有電気めっき浴から堆積されたホワイトブロンズと銅含有層との間の界面に典型的に生じるカーケンダルボイドとして知られている空隙の形成を抑制する。このホワイトブロンズおよび銅含有層を80℃以上の温度に加熱した後でさえ、このホワイトブロンズと銅含有層との間の界面でカーケンダルボイドは生じず、または実質的に低減される。この空隙抑制金属には、これに限定されないが、亜鉛、ビスマスおよびニッケルが挙げられる。好ましくは、空隙抑制金属は亜鉛およびビスマスから選択される。より好ましくは、空隙抑制金属は亜鉛から選択される。空隙抑制金属接着促進層は単一の空隙抑制金属、または空隙抑制金属の二元もしくは三元合金であってよい。あるいは、接着促進層は空隙抑制金属と、空隙抑制性でない1種以上の金属との二元、三元または四元合金であってよい。一般に、この空隙抑制性でない金属には、これに限定されないが、銅、スズ、金、白金、ルテニウム、ロジウムおよびイリジウムが挙げられる。好ましくは、この金属は銅、スズおよび金から選択される。最も好ましくは、この金属は銅およびスズから選択される。最も好ましくは、この金属は銅である。この空隙抑制性でない金属の従来のソースが使用されうる。一般に、1種以上の空隙抑制金属が、空隙抑制性でない金属との二元、三元、または四元合金の一部分である場合には、その空隙抑制金属は合金中に少なくとも4重量%、好ましくは10重量%〜90重量%、より好ましくは15重量%〜70重量%、最も好ましくは20重量%〜50重量%の量で含まれる。空隙抑制性でない金属と組み合わせて、亜鉛が空隙抑制金属である場合には、亜鉛含量は少なくとも4%、好ましくは5%〜90%である。ビスマスが空隙抑制性でない金属と組み合わせられる場合には、ビスマス含量は少なくとも10%、好ましくは10%〜30%である。しかし、具体的な使用のために空隙抑制金属および空隙抑制性でない金属の量を決定するためには、わずかな実験が行われるだけでよい。
【0018】
空隙抑制金属の従来のソースが使用されうる。金属の形態は金属を堆積するのに使用される方法に応じて変化しうる。典型的には、金属がPVDおよびCVDで堆積される場合には、金属はその還元金属形態で最初に提供される。金属が電気めっき、無電解および浸漬浴から堆積される場合には、金属は典型的には水溶性塩の形態である。従来の金属および金属合金めっき浴が使用されうる。亜鉛塩には、これに限定されないが、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、乳酸亜鉛および硝酸亜鉛が挙げられる。ビスマス塩には、これに限定されないが、アルカンスルホン酸ビスマス、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス、酸化ビスマスおよび酒石酸ビスマスが挙げられる。ニッケル塩には、これに限定されないが、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、リン酸ニッケルおよび塩化ニッケルが挙げられる。空隙抑制金属を提供する金属塩はその従来の量で使用されうる。一般に、そのような金属塩は少なくとも0.01g/L、または例えば、0.1g/L〜100g/L、または例えば、1g/L〜70g/Lの量で含まれる。好ましくは、空隙抑制金属塩は2g/L〜60g/Lの量で含まれる。
【0019】
空隙抑制金属めっき浴は、1種以上の従来の添加剤、例えば、これに限定されないが、電解質、光沢剤、平滑化剤、硬化剤、湿潤剤、界面活性剤、延性調節剤、抑制剤、酸化防止剤、緩衝剤、pH調節剤、還元剤、キレート化および錯化剤を含むことができる。この添加剤は当該技術分野および文献において周知であり、かつ従来の量でめっき浴中に含まれうる。
【0020】
空隙抑制層が実質的に亜鉛から構成される場合には、場合によっては亜鉛および銅下層を有する基体の後処理が行われる。めっきされた部分は亜鉛めっき後に圧縮空気で乾燥させられ、0.5〜2時間にわたって100℃〜200℃で加熱されて、黄銅層を形成する。この黄銅層は空隙抑制層であり、典型的には黄色で、80%〜64%の銅と20%〜36%の亜鉛とを含む。次いで、ホワイトブロンズを堆積させる前に、黄銅層は脱脂され、そして活性化される。基体を空気乾燥し、脱脂し、活性化しおよび加熱するために従来の方法が使用されうる。
【0021】
ホワイトブロンズの層は空隙抑制金属層上に堆積される。シアン化物非含有である電気めっき浴からスズ/銅層を電気めっきすることによりホワイトブロンズは堆積される。スズ/銅合金層を堆積させるために、シアン化物非含有で任意の安定なホワイトブロンズ電気めっき浴が使用されうることが想定されるが、好ましくは、以下に記載されるホワイトブロンズ配合物が使用される。
【0022】
ホワイトブロンズ電気めっき浴は1種以上のスズイオン源、1種以上の銅イオン源、およびメルカプトトリアゾールおよびメルカプトテトラゾールからなる群から選択される1種以上のメルカプタンを含む。この水性電解質組成物はシアン化物を含まず、かつ環境に優しくかつ作業者に優しい。廃棄物処理はより低コストかつ低危険性であり、そして毒性化学物質と共に作業することの、またはこの浴を使用する作業者の危険性は有意に低減される。
【0023】
スズ源には、これに限定されないが、有機スルホン酸第一スズ、例えば、メタンスルホン酸第一スズ、硫酸第一スズ、グルコン酸第一スズ、クエン酸第一スズ、乳酸第一スズ、およびハロゲン化第一スズ、例えば、臭化第一スズ、塩化第一スズ、塩化第一スズ二水和物が挙げられる。この第一スズ塩の多くは市販されている。第一スズ塩の含量はスズ(II)の重量に換算した量を基準にして、1g/L〜150g/L、または例えば、5g/L〜30g/Lの範囲であり得る。
【0024】
銅源は酸銅浴に使用される銅浴について上述したのと同じであり得る。1種以上の銅源はスズ/銅浴中に、0.5g/L〜150g/L、または例えば、10g/L〜50g/Lの量で含まれうる。
【0025】
メルカプタンはメルカプトトリアゾールおよびメルカプトテトラゾールからなる群から選択される化合物を含む。このメルカプタンは文献から製造されることができ、または商業的に得られうる。理論に拘束されないが、このメルカプタンはスズおよび銅イオンをその低い酸化状態に安定化し、よってスズ/銅合金の均質性を向上させると考えられる。このメルカプタンは組成物中に0.001g/L〜100g/L、または例えば、0.01g/L〜50g/L、または例えば、1g/L〜10g/Lの量で含まれる。
【0026】
メルカプトトリアゾールは下記一般式を有する:
【化1】

式中、Mは水素、NH、ナトリウムまたはカリウムであり、RおよびRは独立して、置換もしくは非置換の(C−C18)アルキル、または置換もしくは非置換の(C−C10)アリールである。置換基には、これに限定されないが、アルコキシ、フェノキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、スルホ、スルファミル、置換スルファミル、スルホニルフェニル、スルホニル−アルキル、フルオロスルホニル、スルホンアミドフェニル、スルホンアミド−アルキル、カルボキシ、カルボキシラート、ウレイド、カルバミル、カルバミル−フェニル、カルバミルアルキル、カルボニルアルキルおよびカルボニルフェニルが挙げられる。このメルカプトトリアゾールには、これに限定されないが、5−エチル−3−メルカプト−4−フェニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−フェニル−4−フェニル−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−フェニル−5−ウンデシル−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジエチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−エチル−3−メルカプト−5−ペンチル−1,2,4−トリアゾール、4−エチル−3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、5−p−アミノフェニル−4−エチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−p−アセトアミドフェニル−4−エチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−p−カプロンアミドフェニル−4−エチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、および4−エチル−5−p−ラウロアミドフェニル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールが挙げられる。
【0027】
メルカプトテトラゾールは下記一般式を有する:
【化2】

式中、Mは水素、NH、ナトリウムまたはカリウムであり、Rは置換もしくは非置換の(C−C20)アルキル、または置換もしくは非置換の(C−C10)アリールである。置換基には、これに限定されないが、アルコキシ、フェノキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、置換アミノ、スルホ、スルファミル、置換スルファミル、スルホニルフェニル、スルホニル−アルキル、フルオロスルホニル、スルホアミドフェニル、スルホンアミド−アルキル、カルボキシ、カルボキシラート、ウレイド カルバミル、カルバミル−フェニル、カルバミルアルキル、カルボニルアルキルおよびカルボニルフェニルが挙げられる。このメルカプトテトラゾールには、これに限定されないが、1−(2−ジメチルアミノエチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(2−ジエチルアミノエチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(3−ウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−((3−N−カルボキシメチル)−ウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−((3−N−エチルオキサルアミド)フェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−アセタミドフェニル)−5−メルカプト−テトラゾール、および1−(4−カルボキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾールが挙げられる。
【0028】
典型的には、メルカプトテトラゾールはスズ/銅合金組成物において使用される。より典型的には、Rが置換もしくは非置換のアミノ置換基を含むメルカプトテトラゾールが組成物中に含まれる。
【0029】
組成物は1種以上の任意の添加剤を含むこともできる。この添加剤には、これに限定されないが、界面活性剤または湿潤剤、錯化またはキレート化剤、酸化防止剤、光沢剤、結晶粒微細化剤(grain refiner)、緩衝剤および導電剤が挙げられる。
【0030】
界面活性剤または湿潤剤には、これに限定されないが、1以上のアルキル基を含む脂肪族アルコールのEOおよび/またはPO誘導体、または芳香族アルコールのEOおよび/またはPO誘導体が挙げられる。脂肪族アルコールは飽和または不飽和であってよい。この脂肪族および芳香族アルコールは、例えば、スルファートまたはスルホナート基でさらに置換されていてよい。適切な湿潤剤には、これに限定されないが、12モルのEOを含むエトキシ化ポリスチレン化フェノール、5モルのEOを含むエトキシ化ブタノール、16モルのEOを含むエトキシ化ブタノール、8モルのEOを含むエトキシ化ブタノール、12モルのEOを含むエトキシ化オクタノール、12モルのEOを含むエトキシ化オクチルフェノール、エトキシ化/プロポキシ化ブタノール、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、8〜13モルのEOを含むエトキシ化ベータ−ナフトール、10モルのEOを含むエトキシ化ベータ−ナフトール、10モルのEOを含むエトキシ化ビスフェノールA、13モルのEOを含むエトキシ化ビスフェノールA、30モルのEOを含むスルファート化エトキシ化ビスフェノールA、および8モルのEOを含むエトキシ化ビスフェノールAが挙げられる。典型的には、この非イオン性界面活性剤または湿潤剤は0.1g/L〜50g/L、および好ましくは0.5g/L〜10g/Lの量で添加される。
【0031】
錯化またはキレート化剤には、これに限定されないが、カルボン酸およびその塩、例えば、ジカルボン酸、これには、限定されないが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸およびリンゴ酸が挙げられ、トリカルボン酸、これには限定されないが、クエン酸およびトリカルバリル酸が挙げられ、芳香族カルボン酸、これには限定されないが、フェニル酢酸、安息香酸、およびアニス酸、並びにアミノカルボン酸、これには、限定されないが、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン−ジコハク酸およびジエチレントリアミンペンタ酢酸、N−複素環式カルボン酸、例えば、ピコリン酸、ジピコリン酸、ピラジンカルボン酸およびピラジンジカルボン酸が挙げられる。上記酸の塩も使用されうる。この塩には、これに限定されないが、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウムおよびリチウム塩が挙げられる。この錯化またはキレート化剤は、組成物中に10g/L〜100g/L、または例えば、15g/L〜50g/Lの量で含まれる。
【0032】
酸化防止剤は可溶性の二価の状態にスズを維持するのを助けるために組成物に添加されうる。この酸化防止剤には、これに限定されないが、カルボン酸、例えば、没食子酸および酢酸、クレゾール、ヒドロキノン、ヒドロキノンスルホン酸およびヒドロキシ化芳香族化合物、例えば、レゾルシノール、カテコールおよびピロカテコールが挙げられる。この酸化防止剤は、組成物中に0.1g/L〜5g/Lの量で含まれる。
【0033】
第一スズの酸化を最小限にするのを助けることができる他の化合物には、これに限定されないが、芳香族ジオール、例えば、非置換および置換のベンゼンジオール、ナフタレンジオール、アントラセンジオールまたはこれらの混合物が挙げられる。置換ベンゼンジオールおよびナフタレンジオール上に存在しうる置換基には、これに限定されないが、12以下の炭素原子のアルキル、ハロゲン、例えば、クロロ、シクロアルキル、例えば、シクロヘキシル、並びにアリール、例えば、フェニルが挙げられる。芳香族ジオールには、これに限定されないが、1,2−ベンゼンジオール、メチル−1,4−ベンゼンジオール、シクロヘキシル−1,4−ベンゼンジオール、フェニル−1,4−ベンゼンジオール、1,2−ナフタレンジオールおよび1,4−ナフタレンジオールが挙げられる。芳香族ジオールは組成物中に0.05g/L〜10g/Lの量で含まれうる。
【0034】
スズ/銅合金組成物に添加されうる任意の光沢剤には、これに限定されないが、芳香族アルデヒド、例えば、クロロベンズアルデヒド、芳香族アルデヒドの誘導体、例えば、ベンザルアセトン、並びに脂肪族アルデヒド、例えば、アセトアルデヒドおよびグルタルアルデヒドが挙げられる。他の適切な光沢剤には、これに限定されないが、硝酸ビスマス、硝酸コバルト、塩化アンチモンおよびセレン酸が挙げられる。この光沢剤は組成物中に0.5g/L〜3g/Lの量で含まれる。
【0035】
電気めっき中に組成物における適切な電流を維持するために、導電剤が電解質組成物中に含まれうる。この導電剤には、これに限定されないが、アルカリ金属硫酸塩、例えば、硫酸ナトリウム、アルカリ金属アルカンスルホン酸塩、例えば、メタンスルホン酸ナトリウム、アルカリ金属塩化物、例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、硫酸アンモニウム、メタンスルホン酸、硫酸、クエン酸、酢酸ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、希釈可溶性クエン酸塩、例えば、クエン酸アンモニウム、乳酸塩、グルコン酸塩、例えば、グルコン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、またはこれらの混合物が挙げられる。この導電剤は組成物のpHを維持するのも助ける。導電剤は、例えば、5g/L〜300g/L、または例えば、20g/L〜150g/Lの量で使用されうる。
【0036】
結晶粒微細化剤は堆積物外観および操作電流密度範囲をさらに向上させるために添加されうる。この結晶粒微細化剤には、これに限定されないが、アルコキシラート、例えば、ポリエトキシ化アミンであるジェファーミン(JEFFAMINE)T−403またはトライトン(TRITON)RW、スルファート化アルキルエトキシラート、例えば、トライトンQS−15およびゼラチンまたはゼラチン誘導体が挙げられる。この結晶粒微細化剤の量は0.01〜20mL/L、または例えば、0.5〜8mL/L、または例えば、1〜5mL/Lの範囲である。
【0037】
ホワイトブロンズ二元合金は10%〜60%のスズおよび40%〜90%の銅、または例えば、10%〜40%のスズおよび60%〜90%の銅を含む。典型的には、酸性電解質から電気めっきされるホワイトブロンズ堆積物は平衡および非平衡構造、例えば、CuSnまたはCuSnを有する。ホワイトブロンズ二元合金は均一で白く明るい色を有し、これはクロムのような金属上層をポスト電気めっきするのを助ける。また、この二元合金は安定である。
【0038】
基体は、0.01μm〜20μm、または例えば、0.1μm〜10μm、または例えば、1μm〜5μmの範囲のホワイトブロンズ膜を空隙抑制層に隣接して電気めっきするのに充分な時間にわたって、電気めっき浴と接触させられる。この電気めっき浴は、基体が浴中に浸漬される垂直適用によって適用されることができ、または水平電気めっきにおけるように電気めっき浴が基体の空隙抑制層上に噴霧されうる。電気めっきの他の例には、これに限定されないが、ラックめっき、バレルめっきおよび高速めっき、例えば、フープめっきもしくはジェットめっきが挙げられる。
【0039】
電流密度は0.01ASD〜20ASDの範囲であり得る。この範囲は、使用される方法に応じて変動しうる。例えば、ラックめっきにおいては、電流密度は0.5ASD〜5ASD、または例えば、1ASD〜3ASDの範囲であり得る。バレルめっきにおいては、電流密度は0.01ASD〜1ASD、または例えば、0.1ASD〜0.5ASDの範囲であり得る。アノードは、スズ、銅、またはスズ/銅合金のように可溶性であることができ、または三酸化イリジウムまたは二酸化白金のような不溶性アノードでありうる。不溶性および可溶性アノードの他のタイプも適する。めっき温度は15℃〜100℃、または例えば、20℃〜50℃の範囲であり得る。浴のpHは1未満〜10、好ましくは0〜8、より好ましくは0〜5の範囲である。
【0040】
図1は異なる金属層の基本的な配置を示す。図1は銅または銅合金層に隣接している空隙抑制層に隣接しているホワイトブロンズ層を含む物品である。この銅または銅合金層は基体に隣接している。
【0041】
本方法は、スズ/銅合金と銅含有層との良好な接着を提供し、これと共に、このめっきされた基体を80℃以上の高温に曝した場合でさえ、スズ/銅層と銅含有層との間の界面で多くの場合認められる空隙を低減させる。
【0042】
以下の実施例は本発明をさらに説明することを意図しているが、その範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0043】
実施例1
クリーニングされた黄銅パネル基体(70%Cu/30%Zn)5cm×5cmが、標準的な条件下で、カパーグリーム(COPPER GLEAM(商標))DL900高平滑酸銅電気めっき液(マサチューセッツ州マルボロのロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLCから入手可能)からの銅でめっきされた。この銅層は8〜10μmの厚さであった。水ですすいだ後、次いで、この銅層は表1に示される配合を有する水性亜鉛浴からの亜鉛で電気めっきされた。
【0044】
【表1】

【0045】
亜鉛電気めっきは室温で30秒間にわたって0.5ASDで行われた。対電極は二酸化白金不溶性アノードであった。0.05μmの亜鉛接着層が銅下層上に堆積された。次いで、亜鉛めっきされた部分は圧縮空気で乾燥させられ、コンベンショナル対流オーブンで1.5時間にわたって150℃で加熱されて、黄銅層を形成した。次いで、このパネルは、標準的な条件下で、ロナンクリーン(RONANCLEAN(商標))DLFクリーニング配合物およびロナソルト(RONASALT(商標))369活性化配合物(マサチューセッツ州マルボロのロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLCから入手可能)で脱脂および活性化され、その後、表2に示される水性ホワイトブロンズ配合物を用いて電気めっきされた。
【0046】
【表2】

【0047】
このホワイトブロンズ電気めっき浴のpHは1未満に維持され、かつこの浴の温度は室温に維持された。アノードは二酸化白金不溶性アノードであった。電気めっきは5分間にわたって3ASDで行われて、黄銅層上に5μm厚さのホワイトブロンズ層を堆積させた。
【0048】
次いで、このサンプルは接着性について試験された。このサンプルははさみで半分に切断された。ホワイトブロンズのフレークは観察されなかった。このサンプルは、ワイルドM3光学顕微鏡で観察すると、銅下層からのホワイトブロンズ層のいかなる剥離も示さなかった。
【0049】
次いで、このサンプルはコンベンショナル対流オーブン内で1時間にわたって300℃に加熱された。前記接着試験が繰り返され、300℃での加熱前と同じ結果であった。接着欠陥の徴候はなかった。ツァイス(Zeiss)からのEDXを備えたシグマSEMを用いて、図2に示されるようなこのサンプルの15,000倍のFE−SEM断面がとられた。酸銅堆積物は図2の右側にあり、それに続いて、ホワイトブロンズと銅層とを隔てる白抜き矢印によって示される黄銅の薄層がある。この図の左側の暗色層は埋込み材料である。ホワイトブロンズ堆積物中に小さなカーケンダルボイドが示されるが、ホワイトブロンズと銅層との界面には空隙は生じていない。
【0050】
実施例2
空隙抑制層が、以下の表3に開示される水性銅/亜鉛配合物から電気めっきされた銅/亜鉛合金(4%Zn)であったことを除いて、同じタイプの黄銅パネル基体を用いて実施例1に記載された方法が繰り返された。
【0051】
【表3】

【0052】
このpHは8.5に調節され、維持された。電気めっきは0.5ASDで5分間にわたって行われた。浴温度は32℃に維持された。対電極は二酸化白金不溶性アノードであった。銅下層上の銅/亜鉛合金堆積物は厚さ0.3μmであった。その後、このパネルは表2におけるホワイトブロンズ配合物でめっきされた。ホワイトブロンズのためのめっき条件およびパラメータは実施例1におけるのと同じであった。
【0053】
接着性分析は実施例1に記載されたのと同じ方法によって行われた。このサンプルは、銅下層からのホワイトブロンズ層のいかなる剥離も示さなかった。300℃で1時間にわたって加熱されたこのサンプルの20,000倍FE−SEM断面分析が図3に示される。酸銅層はこの図の上側に位置し、下側の暗層は埋込み材料である。ホワイトブロンズ堆積物はこれら2層の間に位置する。白抜き矢印によって薄い銅/亜鉛層が示される。いくつかのカーケンダルボイドが形成されているが、それらはほとんどホワイトブロンズ層内に位置しており、ホワイトブロンズと下層との間の界面に位置していない。このサンプルはいかなる接着欠陥も示さなかった。
【0054】
例3
銅下層上にホワイトブロンズを電気めっきする前に空隙抑制金属層が堆積されなかったことを除いて、実施例1に記載された方法が繰り返された。銅電気めっき液とホワイトブロンズ配合物、並びにめっきパラメータは実施例1におけるのと同じであった。
【0055】
このサンプルに熱処理は適用されなかった。接着は良好であったが、切断の際に、銅層からのホワイトブロンズの幾分かの剥離が観察された。図4はこのサンプルの14,390倍FE−SEM断面である。白抜き矢印はホワイトブロンズと銅層とで形成された界面を示す。ホワイトブロンズ堆積物中に、またはこの界面に空隙は観察されなかった。
【0056】
サンプルが300℃で0.5時間にわたる加熱に曝されたことを除いて、前記方法が繰り返された。切断の際に、ホワイトブロンズ層のかなりのフレーキングが生じた。ふくれ形成も明らかとなったと共に、ホワイトブロンズの大きな部分が銅から剥離した。また、刃先において、銅からホワイトブロンズ堆積物の大きな部分が剥離した。図5はこのサンプルの15,000倍FE−SEMであり、空隙がホワイトブロンズと銅層との間の界面に形成されたことを示す。1つの白抜き矢印は界面を示し、2つめの白抜き矢印は大きな空隙を示す。
【0057】
実施例4
空隙抑制層が、以下の表4に開示される水性ニッケル配合物から電気めっきされたニッケル堆積物であったことを除いて、同じタイプの黄銅パネル基体を用いて実施例1に記載された方法が繰り返された。
【0058】
【表4】

【0059】
この溶液のpHは4.2に調節され、維持された。電気めっきは1ASDで30秒間にわたって行われた。浴温度は55℃に維持された。対電極は可溶性ニッケルアノードであった。銅下層上のニッケル堆積物は厚さ0.08μmであった。その後、このサンプルは表2におけるホワイトブロンズ配合物でめっきされた。ホワイトブロンズのためのめっき条件およびパラメータは実施例1におけるのと同じであった。
【0060】
次いで、このサンプルは接着性について試験された。切断の際にフレーキングは観察されず、加熱前または加熱処理後で銅下層からのホワイトブロンズ層の剥離はなかった。300℃で1時間にわたって加熱された後でのこのサンプルの20,000倍FE−SEM断面分析が図6に示される。白抜き矢印はホワイトブロンズと銅層との間のニッケル界面を示す。この界面にカーケンダルボイドは形成されず、かつホワイトブロンズ堆積物内での空隙形成も回避され、このことはニッケルは、銅およびスズイオンに対する充分な拡散バリアであったことを示す。
【0061】
実施例5
空隙抑制層が、以下の表5に開示される水性配合物から電気めっきされた銅/ビスマス(10%Bi)堆積物であったことを除いて、同じタイプの黄銅パネル基体を用いて実施例1に記載された方法が繰り返された。
【0062】
【表5】

【0063】
電気めっきは1ASDで1分間にわたって行われた。対電極は可溶性銅アノードであった。銅下層上の銅/ビスマス合金堆積物は厚さ0.5μmであった。その後、このパネルは表2におけるホワイトブロンズ配合物でめっきされた。ホワイトブロンズのためのめっき条件およびパラメータは実施例1におけるのと同じであった。
【0064】
次いで、このサンプルは接着性について試験された。切断の際にフレーキングはなく、加熱前または加熱後で銅下層からのホワイトブロンズ層のいかなる剥離の徴候もなかった。300℃で1時間にわたって加熱された後でのこのサンプルの15000倍FE−SEM断面分析が図7に示される。銅/ビスマス界面層での空隙形成は完全には回避されなかったが、例3および図5に示されるような酸銅とその後の熱処理と比べて、この界面における空隙形成は低減された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)銅含有層に隣接して、1種以上の空隙抑制金属を含む金属層を堆積させ、および
b)前記1種以上の空隙抑制金属を含む金属層に隣接して、シアン化物非含有スズ/銅電気めっき浴からスズ/銅合金層を電気めっきする、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記1種以上の空隙抑制金属が、亜鉛、亜鉛合金、ビスマス、ビスマス合金およびニッケルから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記亜鉛合金が少なくとも4%の亜鉛を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ビスマス合金が少なくとも10%のビスマスを含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記1種以上の空隙抑制金属を含む金属層が少なくとも0.02μmの厚さである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属層が0.05μm〜10μmの厚さを有する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スズ/銅層が少なくとも0.01μm〜20μmの厚さである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1の方法に従って製造された物品。
【請求項9】
前記物品が電子デバイスの部品または装飾部品である請求項8に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−49921(P2013−49921A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−181697(P2012−181697)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】