シェービング剤組成物
【課題】剃毛時に髭や体毛を柔軟にし、カミソリとの摩擦抵抗を低減して剃りやすくし、肌に弾力性を付与して肌をカミソリから保護し、また、剃毛後にカミソリ負けがなく、肌をしっとりと柔らかく仕上げるスキンケア効果に優れたシェービング剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)酸性ムコ多糖、(B)カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物、並びに(C)多価アルコール20〜50質量%を含有するシェービング剤組成物。
【解決手段】(A)酸性ムコ多糖、(B)カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物、並びに(C)多価アルコール20〜50質量%を含有するシェービング剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシェービング剤組成物に関し、詳しくは、剃毛時に髭や体毛を柔軟にし、カミソリとの摩擦抵抗を低減して剃りやすくし、肌に弾力性を付与して肌をカミソリから保護し、また、剃毛後にカミソリ負けがなく、肌をしっとりと柔らかく仕上げるスキンケア効果に優れたシェービング剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カミソリで髭や体毛を剃る際には、カミソリをスムーズに動かして皮膚を傷つけないことを目的としてシェービング剤が用いられる。一般的にシェービング剤には、起泡剤として脂肪酸石鹸等が配合され、脂肪酸石鹸によるカミソリのすべり効果を利用し、泡立てた後に皮膚に塗布して使用される。これらシェービング剤の具体例としては、固形石鹸のほか、シェービングソープ、シェービングクリーム、エアゾール型シェービングフォーム、後発泡ゲルクリーム等(例えば、非特許文献1参照。)が開発され、各種の製品が市販されている。
【0003】
しかしながら、皮膚表面がなめらかでないと、カミソリが引っかかり、肌の古い角質層も削り取られるため、刺激等の影響を受けやすいと考えられ、更に強い力でカミソリを動かすことにより、皮膚を傷つけて出血が発生することが多く、カミソリが皮膚表面をスムーズに動かすことができるシェービング剤が強く求められてきた。この点を解決する方法として、例えば、尿素と特定のHLB値の非イオン性界面活性剤を配合した髭剃り用組成物(例えば、特許文献1参照。)、高級脂肪酸、スチレン系ポリマー、多糖類系ポリマー、およびカルボキシビニルポリマーを組み合わせたシェービング剤組成物(例えば、特許文献2参照。)が開示されているが、これら界面活性剤や各種の高分子ポリマーを添加することにより、カミソリの刃を滑りやすくすることは多少解消されるが、十分満足できる技術には至っていない。
【0004】
さらに、シェービング後の肌状態についても、スキンケア意識が高まってきており、肌に負担が少なく、カミソリまけがなく仕上がり感の優れたものが求められている。一般的なシェービング剤において主成分として用いられている脂肪酸石鹸は、肌に対する影響が比較的大きいため、脂肪酸石鹸を主成分としたシェービング剤を用いて剃毛した場合、かさつき、つっぱり感、カミソリ負け等を起こす懸念がある。また、水中のカルシウムイオンと反応して皮膚上に吸着することで、急速にカミソリ滑りを低下させるため、剃り心地が悪く、刃先で肌を傷つけやすくなるという問題もあった。そこで、カルボキシビニルポリマー、塩基、非イオン界面活性剤と保湿剤を含有するむだ毛及び産毛用シェービング組成物(例えば、特許文献3参照。)、アクリル酸重合体、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を配合したゲル状シェービング化粧料(例えば、特許文献4参照。)、ゲル化剤としてアクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとの共重合体と、数平均分子量が200万〜400万の高重合ポリエチレンオキサイドとを特定の配合割合で併用したフォーム状のシェービング剤組成物(例えば、特許文献5参照。)が開示されている。しかしながら、これら発明の技術によっても、剃毛後に肌のつっぱり、肌の乾燥や肌荒れが発生して、シェービング後の肌感触においては十分満足できるレベルに至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−316233号公報
【特許文献2】特許第3999728号公報
【特許文献3】特開平8−310927号公報
【特許文献4】特開2003−12482号公報
【特許文献5】特許第4148546号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「新化粧品学」、南山堂、第2版、2001年、p.392−396
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記背景技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は剃毛時に髭や体毛を柔軟にし、カミソリとの摩擦抵抗を低減して剃りやすくし、肌に弾力性を付与して肌をカミソリから保護し、また、剃毛後にカミソリ負けがなく、肌をしっとりと柔らかく仕上げるスキンケア効果を有するシェービング剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、酸性ムコ多糖、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物、並びに特定量の多価アルコールを組み合わせることにより、髭や体毛の柔軟化、カミソリとの摩擦抵抗の低減、皮膚の柔軟化により、剃毛と肌の保護を併せ持つ効果を有し、更に剃毛後のカミソリ負けがなく、肌をしっとりと柔らかく仕上げるスキンケア効果を有するシェービング剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記成分(A)〜(C)を含有することを特徴とするシェービング剤組成物である。
(A)酸性ムコ多糖
(B)カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物
(C)多価アルコール20〜50質量%
【発明の効果】
【0010】
本発明のシェービング剤組成物は、剃毛時に髭や体毛を柔軟にし、カミソリとの摩擦抵抗を低減して剃りやすくし、肌に弾力性を付与して肌をカミソリから保護し、また、剃毛後にカミソリ負けがなく、肌をしっとりと柔らかく仕上げるスキンケア効果に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明で使用する成分(A)酸性ムコ多糖としては、例えばヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸並びにこれらの塩類が挙げられ、通常化粧料又は医薬品等に用いられるものであれば特に制限されない。これら酸性ムコ多糖は市販品を使用することができ、例えば、ヒアルロンサンHA−L510、同HA−LQ(いずれもキューピー社製)、ヒアルロン酸ナトリウム(ホルス社製)、ヒアルロン酸FCH(紀文社製)、コンドロイチン硫酸ナトリウム(マルハニチロ社製)、コンドロイチン硫酸ナトリウム(生化学工業社製)が挙げられる。本発明においては、これら酸性ムコ多糖は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、これら酸性ムコ多糖の中でも、機能性およびコストの観点から、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸及びこれらの塩類が好ましい。
【0012】
本発明で使用する成分(A)の含有量は、特に限定されないが、髭剃り時のカミソリの滑り性、皮膚の弾力性を向上させて皮膚を保護する機能の観点から、シェービング剤組成物の総量を基準として、好ましくは0.01〜10質量%(以下、「質量%」を「%」と略す。)であり、更に好ましくは、0.1〜3%である。酸性ムコ多糖の含有量がこの範囲
を超えると、カミソリの滑り性が不足したり、髭剃り中や使用後のべたつき感を生じたりする場合がある。
【0013】
本発明で使用する成分(B)合成高分子化合物は、塗布時のシェービング組成物ののびと安定性を向上させる目的で配合され、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物が選択され、通常化粧料又は医薬品等に用いられるものであれば特に制限されない。カルボキシビニルポリマーは市販品を使用することができ、例えば、カーボポール940、同941、同980、同981Ultrez10(いずれもLubrizol Advanced Meterials社製)、ハイビスワコー105(和光純薬製)を使用することができる。アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体であって、市販品を使用することができ、例えば、カーボポール1382、PEMULEN TR−1、同 TR−2(いずれもLubrizol Advanced Materials社製)などを挙げることができる。本発明においてこれら合成高分子化合物は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0014】
本発明で使用する成分(B)合成高分子化合物の配合量は、シェービング剤組成物の総量を基準として0.01〜5%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2.0%である。合成高分子化合物の含有量がこの範囲を超えると、組成物の粘性が不十分で塗布しにくい場合や、逆に塗布時に組成物を延ばしにくくなり、不均一に塗布され、洗い落ちが悪くなる場合がある。
【0015】
また、これら合成高分子化合物は、アルカリ剤によって中和されることにより、適度な粘性を持たせることがき、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等の有機アルカリにより適宜中和される。
【0016】
本発明で使用する成分(C)多価アルコールは、シェービング組成物を皮膚に塗布してカミソリで剃った後すぐに皮膚が乾燥してしまうことを抑制し、皮膚の適度な湿潤状態を保つ目的、更にシェービング剤組成物の粘性や延びを改善して皮膚に均一に塗布する目的で配合される。多価アルコールの具体例としては、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が10,000以下)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジプレピレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、トレハロース、グルコシルトレハロース、キシリトール、フルクトース、ラフィノース、ラクトース、トリメチルグリシン、ソルビトール、マルチトール、イノシトール、デカンジオール、乳糖、フィタントリオール、1,2−ヘキサンジオール等が挙げられる。本発明においては、これら多価アルコールは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0017】
本発明で使用する成分(C)多価アルコールの配合量は、シェービング剤組成物の総量を基準として20〜50%が好ましく、さらに好ましくは30〜45%である。多価アルコールの含有量が20%未満の場合、皮膚の湿潤効果が不十分となり剃毛後の肌の保湿の向上が発揮されにくく、50%を超えると、カミソリのすべりが悪くなり、剃毛後の皮膚のべたつきを生じて好ましくない。
【0018】
本発明においては、更に成分(D)ポリアスパラギン酸ナトリウムを含有させることにより、髭や皮膚の柔軟効果を向上させ、カミソリの摩擦抵抗を低減し、スキンケア効果を高めることができる。ポリアスパラギン酸ナトリウムは、通常化粧料又は医薬品等 に用いられるものであれば特に制限されない。ポリアスパラギン酸ナトリウムの平均分子量は5
00以上、100000以下が好ましく、より好ましくは1000以上、10000以下のものが好適に用いられる。ポリアスパラギン酸ナトリウムは市販品を使用することができ、例えば、アクアデュウSPA−30(味の素株式会社製)、ルブラジェルCG(ISPジャパン社製)などを挙げることができる。
【0019】
本発明で使用する成分(D)ポリアスパラギン酸ナトリウムの配合量は、シェービング剤組成物の総量を基準として0.01〜10%が好ましく、より好ましくは0.1〜5%である。
【0020】
本発明のシェービング剤組成物の剤型は液状、乳液状、クリーム状、油状、ゲル状、エアゾール、固形状、スティック状、エアゾール状などが挙げられるが、皮膚への伸ばしやすさ、塗布しやすさ、たれ落ちの無さ、カミソリの刃との摩擦力を低減する効果を発揮する剤型として、使用時における粘度が5,000〜50,000mPa・sの範囲の性状を有する剤型状が好ましい。
【0021】
本発明のシェービング剤組成物は、必要に応じて一般的に化粧料に使用されている界面活性剤を配合することができる。乳化剤としてはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を挙げることができ、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
乳化剤の具体例を示すと、アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンメチルタウリンナトリウム等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;等が挙げられる。
【0023】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0024】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデ
シル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アミドアミン型両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0025】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0026】
また、本発明のシェービング剤組成物は、必須成分に加えて所望により本発明の効果を損なわない範囲で通常使用されている任意の成分を使用することが出来る。これらの成分としては、油分、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、保湿剤、ポリマー類、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アルコール、糖誘導体、アミノ酸誘導体、糖誘導体、水、酸化防止剤、抗炎症剤、薬剤、ビタミン類、色剤、香料等が挙げられる。
【実施例】
【0027】
次に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、これに限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0028】
使用感触(のび及びつきの良さ)試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を髭剃り前に顔に塗布した時の、のび、つきの良さを評価した。試験結果は、のび、及びつきが良いと回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(評価基準)
◎:のび、及びつきが良いと認めたパネラーが7名以上
○:のび、及びつきが良いと認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:のび、及びつきが良いと認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:のび、及びつきが良いと認めたパネラーが3名未満
【0029】
髭の柔軟性評価試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を髭剃り前に塗布したときの、髭の柔軟性を評価した。試験結果は、髭が柔らかくなったと回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(評価基準)
◎:髭が柔らかくなったと認めたパネラーが7名以上
○:髭が柔らかくなったと認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:髭が柔らかくなったと認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:髭が柔らかくなったと認めたパネラーが3名未満
【0030】
カミソリの滑り性評価試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を用いて髭剃りをさせ、カミソリの滑り性評価を行った。髭剃りは、洗顔しタオルで水気をふき取った後、シェービング組成物を手で髭に適応しカミソリを用いて行った。試験結果は、カミソリの滑りが良いと回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(判断基準)
◎:カミソリの滑りが良いと認めたパネラーが7名以上
○:カミソリの滑りが良いと認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:カミソリの滑りが良いと認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:カミソリの滑りが良いと認めたパネラーが3名未満
【0031】
使用感触(髭剃り後の肌のなめらかさ)試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を用いて髭剃りをさせ、髭剃り後の肌のなめらかさを評価した。髭剃りは、洗顔しタオルで水気をふき取った後、シェービング組成物を手で髭に適応しカミソリを用いて行った。試験結果は、髭剃り後肌がしっとりとなめらかになったと回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(評価基準)
◎:肌がしっとりとなめらかになったと認めたパネラーが7名以上
○:肌がしっとりとなめらかになったと認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:肌がしっとりとなめらかになったと認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:肌がしっとりとなめらかになったと認めたパネラーが3名未満
【0032】
使用感触(髭剃り後の保湿感)試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を用いて髭剃りをさせ、髭剃り後の保湿感の評価を行った。髭剃りは、洗顔しタオルで水気をふき取った後、シェービン
グ組成物を手で髭に適応しカミソリを用いて行った。試験結果は、保湿感があると回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(評価基準)
◎:保湿感があると認めたパネラーが7名以上
○:保湿感があると認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:保湿感があると認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:保湿感があると認めたパネラーが3名未満
【0033】
実施例1〜18、比較例1〜6
表1に示したシェービング剤組成物を常法により調製し、前記各評価試験を実施した。その結果を表1に併せて示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1より明らかなように本発明の成分を用いた実施例のシェービング組成物はいずれも優れた性能を有していた。一方、必須成分のいずれかを欠いたものの比較例では、のび、つき、刃滑り性のよさ、肌のなめらかさのいずれかの面で劣っており、本発明の目的を達成
できなかった。
【0036】
以下、本発明シェービング組成物のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例のシェービング組成物についても、前記の組成物ののび、つき、髭の柔軟性、刃滑り性のよさ、肌のなめらかさ、肌の保湿感の各項目を評価したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。尚、これらの実施例におけるシェービング組成物の製造方法はそれぞれにおける製造方法として一般的に用いられている方法に従った。
【0037】
実施例19 透明シェービングジェル
(1)エタノール 3.0%
(2)濃グリセリン 20.0%
(3)1,3−ブチレングリコール 20.0%
(4)グリコシルトレハロース 1.0%
(5)ヒアルロン酸ナトリウム 1.0%
(6)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1%
(7)カルボキシビニルポリマー 0.4%
(8)水酸化カリウム 0.15%
(9)ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.5%
(10)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(11)精製水 残部
【0038】
実施例20 シェービングクリーム
(1)グリセリン 30.0%
(2)ジプレピレングリコール 10.0%
(3)アセチルグルコサミン 0.1%
(4)カルボキシビニルポリマー 0.5%
(5)アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 0.2%
(6)水酸化カリウム 0.25%
(7)スクワラン 10.0%
(8)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2%
(9)マルチトール 1.0%
(10)コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1%
(11)ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.1%
(12)フェノキシエタノール 5.0%
(13)パラオキシ安息香酸メチル 0.1%
(14)エデト酸二ナトリウム 0.05%
(15)香料 0.5%
(16)精製水 残部
【0039】
実施例21 シェービングクリーム
(1)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2%
(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5%
(3)キサンタンガム 0.1%
(4)流動パラフィン 1.0%
(5)グリセリン 10.0%
(6)ジプロピレングリコール 10.0%
(7)1,3−プロパンジオール 10.0%
(8)水酸化ナトリウム 0.1%
(9)スクワラン 1.0%
(10)コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.05%
(11)N−アセチルグルコサミン 0.1%
(12)ヒアルロン酸ナトリウム 0.2%
(13)エデト酸二ナトリウム 0.01%
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(15)精製水 残部
【技術分野】
【0001】
本発明はシェービング剤組成物に関し、詳しくは、剃毛時に髭や体毛を柔軟にし、カミソリとの摩擦抵抗を低減して剃りやすくし、肌に弾力性を付与して肌をカミソリから保護し、また、剃毛後にカミソリ負けがなく、肌をしっとりと柔らかく仕上げるスキンケア効果に優れたシェービング剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カミソリで髭や体毛を剃る際には、カミソリをスムーズに動かして皮膚を傷つけないことを目的としてシェービング剤が用いられる。一般的にシェービング剤には、起泡剤として脂肪酸石鹸等が配合され、脂肪酸石鹸によるカミソリのすべり効果を利用し、泡立てた後に皮膚に塗布して使用される。これらシェービング剤の具体例としては、固形石鹸のほか、シェービングソープ、シェービングクリーム、エアゾール型シェービングフォーム、後発泡ゲルクリーム等(例えば、非特許文献1参照。)が開発され、各種の製品が市販されている。
【0003】
しかしながら、皮膚表面がなめらかでないと、カミソリが引っかかり、肌の古い角質層も削り取られるため、刺激等の影響を受けやすいと考えられ、更に強い力でカミソリを動かすことにより、皮膚を傷つけて出血が発生することが多く、カミソリが皮膚表面をスムーズに動かすことができるシェービング剤が強く求められてきた。この点を解決する方法として、例えば、尿素と特定のHLB値の非イオン性界面活性剤を配合した髭剃り用組成物(例えば、特許文献1参照。)、高級脂肪酸、スチレン系ポリマー、多糖類系ポリマー、およびカルボキシビニルポリマーを組み合わせたシェービング剤組成物(例えば、特許文献2参照。)が開示されているが、これら界面活性剤や各種の高分子ポリマーを添加することにより、カミソリの刃を滑りやすくすることは多少解消されるが、十分満足できる技術には至っていない。
【0004】
さらに、シェービング後の肌状態についても、スキンケア意識が高まってきており、肌に負担が少なく、カミソリまけがなく仕上がり感の優れたものが求められている。一般的なシェービング剤において主成分として用いられている脂肪酸石鹸は、肌に対する影響が比較的大きいため、脂肪酸石鹸を主成分としたシェービング剤を用いて剃毛した場合、かさつき、つっぱり感、カミソリ負け等を起こす懸念がある。また、水中のカルシウムイオンと反応して皮膚上に吸着することで、急速にカミソリ滑りを低下させるため、剃り心地が悪く、刃先で肌を傷つけやすくなるという問題もあった。そこで、カルボキシビニルポリマー、塩基、非イオン界面活性剤と保湿剤を含有するむだ毛及び産毛用シェービング組成物(例えば、特許文献3参照。)、アクリル酸重合体、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を配合したゲル状シェービング化粧料(例えば、特許文献4参照。)、ゲル化剤としてアクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとの共重合体と、数平均分子量が200万〜400万の高重合ポリエチレンオキサイドとを特定の配合割合で併用したフォーム状のシェービング剤組成物(例えば、特許文献5参照。)が開示されている。しかしながら、これら発明の技術によっても、剃毛後に肌のつっぱり、肌の乾燥や肌荒れが発生して、シェービング後の肌感触においては十分満足できるレベルに至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−316233号公報
【特許文献2】特許第3999728号公報
【特許文献3】特開平8−310927号公報
【特許文献4】特開2003−12482号公報
【特許文献5】特許第4148546号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「新化粧品学」、南山堂、第2版、2001年、p.392−396
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記背景技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は剃毛時に髭や体毛を柔軟にし、カミソリとの摩擦抵抗を低減して剃りやすくし、肌に弾力性を付与して肌をカミソリから保護し、また、剃毛後にカミソリ負けがなく、肌をしっとりと柔らかく仕上げるスキンケア効果を有するシェービング剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、酸性ムコ多糖、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物、並びに特定量の多価アルコールを組み合わせることにより、髭や体毛の柔軟化、カミソリとの摩擦抵抗の低減、皮膚の柔軟化により、剃毛と肌の保護を併せ持つ効果を有し、更に剃毛後のカミソリ負けがなく、肌をしっとりと柔らかく仕上げるスキンケア効果を有するシェービング剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記成分(A)〜(C)を含有することを特徴とするシェービング剤組成物である。
(A)酸性ムコ多糖
(B)カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物
(C)多価アルコール20〜50質量%
【発明の効果】
【0010】
本発明のシェービング剤組成物は、剃毛時に髭や体毛を柔軟にし、カミソリとの摩擦抵抗を低減して剃りやすくし、肌に弾力性を付与して肌をカミソリから保護し、また、剃毛後にカミソリ負けがなく、肌をしっとりと柔らかく仕上げるスキンケア効果に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明で使用する成分(A)酸性ムコ多糖としては、例えばヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸並びにこれらの塩類が挙げられ、通常化粧料又は医薬品等に用いられるものであれば特に制限されない。これら酸性ムコ多糖は市販品を使用することができ、例えば、ヒアルロンサンHA−L510、同HA−LQ(いずれもキューピー社製)、ヒアルロン酸ナトリウム(ホルス社製)、ヒアルロン酸FCH(紀文社製)、コンドロイチン硫酸ナトリウム(マルハニチロ社製)、コンドロイチン硫酸ナトリウム(生化学工業社製)が挙げられる。本発明においては、これら酸性ムコ多糖は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、これら酸性ムコ多糖の中でも、機能性およびコストの観点から、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸及びこれらの塩類が好ましい。
【0012】
本発明で使用する成分(A)の含有量は、特に限定されないが、髭剃り時のカミソリの滑り性、皮膚の弾力性を向上させて皮膚を保護する機能の観点から、シェービング剤組成物の総量を基準として、好ましくは0.01〜10質量%(以下、「質量%」を「%」と略す。)であり、更に好ましくは、0.1〜3%である。酸性ムコ多糖の含有量がこの範囲
を超えると、カミソリの滑り性が不足したり、髭剃り中や使用後のべたつき感を生じたりする場合がある。
【0013】
本発明で使用する成分(B)合成高分子化合物は、塗布時のシェービング組成物ののびと安定性を向上させる目的で配合され、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物が選択され、通常化粧料又は医薬品等に用いられるものであれば特に制限されない。カルボキシビニルポリマーは市販品を使用することができ、例えば、カーボポール940、同941、同980、同981Ultrez10(いずれもLubrizol Advanced Meterials社製)、ハイビスワコー105(和光純薬製)を使用することができる。アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体であって、市販品を使用することができ、例えば、カーボポール1382、PEMULEN TR−1、同 TR−2(いずれもLubrizol Advanced Materials社製)などを挙げることができる。本発明においてこれら合成高分子化合物は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0014】
本発明で使用する成分(B)合成高分子化合物の配合量は、シェービング剤組成物の総量を基準として0.01〜5%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2.0%である。合成高分子化合物の含有量がこの範囲を超えると、組成物の粘性が不十分で塗布しにくい場合や、逆に塗布時に組成物を延ばしにくくなり、不均一に塗布され、洗い落ちが悪くなる場合がある。
【0015】
また、これら合成高分子化合物は、アルカリ剤によって中和されることにより、適度な粘性を持たせることがき、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等の有機アルカリにより適宜中和される。
【0016】
本発明で使用する成分(C)多価アルコールは、シェービング組成物を皮膚に塗布してカミソリで剃った後すぐに皮膚が乾燥してしまうことを抑制し、皮膚の適度な湿潤状態を保つ目的、更にシェービング剤組成物の粘性や延びを改善して皮膚に均一に塗布する目的で配合される。多価アルコールの具体例としては、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が10,000以下)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジプレピレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、トレハロース、グルコシルトレハロース、キシリトール、フルクトース、ラフィノース、ラクトース、トリメチルグリシン、ソルビトール、マルチトール、イノシトール、デカンジオール、乳糖、フィタントリオール、1,2−ヘキサンジオール等が挙げられる。本発明においては、これら多価アルコールは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0017】
本発明で使用する成分(C)多価アルコールの配合量は、シェービング剤組成物の総量を基準として20〜50%が好ましく、さらに好ましくは30〜45%である。多価アルコールの含有量が20%未満の場合、皮膚の湿潤効果が不十分となり剃毛後の肌の保湿の向上が発揮されにくく、50%を超えると、カミソリのすべりが悪くなり、剃毛後の皮膚のべたつきを生じて好ましくない。
【0018】
本発明においては、更に成分(D)ポリアスパラギン酸ナトリウムを含有させることにより、髭や皮膚の柔軟効果を向上させ、カミソリの摩擦抵抗を低減し、スキンケア効果を高めることができる。ポリアスパラギン酸ナトリウムは、通常化粧料又は医薬品等 に用いられるものであれば特に制限されない。ポリアスパラギン酸ナトリウムの平均分子量は5
00以上、100000以下が好ましく、より好ましくは1000以上、10000以下のものが好適に用いられる。ポリアスパラギン酸ナトリウムは市販品を使用することができ、例えば、アクアデュウSPA−30(味の素株式会社製)、ルブラジェルCG(ISPジャパン社製)などを挙げることができる。
【0019】
本発明で使用する成分(D)ポリアスパラギン酸ナトリウムの配合量は、シェービング剤組成物の総量を基準として0.01〜10%が好ましく、より好ましくは0.1〜5%である。
【0020】
本発明のシェービング剤組成物の剤型は液状、乳液状、クリーム状、油状、ゲル状、エアゾール、固形状、スティック状、エアゾール状などが挙げられるが、皮膚への伸ばしやすさ、塗布しやすさ、たれ落ちの無さ、カミソリの刃との摩擦力を低減する効果を発揮する剤型として、使用時における粘度が5,000〜50,000mPa・sの範囲の性状を有する剤型状が好ましい。
【0021】
本発明のシェービング剤組成物は、必要に応じて一般的に化粧料に使用されている界面活性剤を配合することができる。乳化剤としてはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を挙げることができ、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
乳化剤の具体例を示すと、アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンメチルタウリンナトリウム等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;等が挙げられる。
【0023】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0024】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデ
シル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アミドアミン型両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0025】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0026】
また、本発明のシェービング剤組成物は、必須成分に加えて所望により本発明の効果を損なわない範囲で通常使用されている任意の成分を使用することが出来る。これらの成分としては、油分、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、保湿剤、ポリマー類、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アルコール、糖誘導体、アミノ酸誘導体、糖誘導体、水、酸化防止剤、抗炎症剤、薬剤、ビタミン類、色剤、香料等が挙げられる。
【実施例】
【0027】
次に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、これに限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0028】
使用感触(のび及びつきの良さ)試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を髭剃り前に顔に塗布した時の、のび、つきの良さを評価した。試験結果は、のび、及びつきが良いと回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(評価基準)
◎:のび、及びつきが良いと認めたパネラーが7名以上
○:のび、及びつきが良いと認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:のび、及びつきが良いと認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:のび、及びつきが良いと認めたパネラーが3名未満
【0029】
髭の柔軟性評価試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を髭剃り前に塗布したときの、髭の柔軟性を評価した。試験結果は、髭が柔らかくなったと回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(評価基準)
◎:髭が柔らかくなったと認めたパネラーが7名以上
○:髭が柔らかくなったと認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:髭が柔らかくなったと認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:髭が柔らかくなったと認めたパネラーが3名未満
【0030】
カミソリの滑り性評価試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を用いて髭剃りをさせ、カミソリの滑り性評価を行った。髭剃りは、洗顔しタオルで水気をふき取った後、シェービング組成物を手で髭に適応しカミソリを用いて行った。試験結果は、カミソリの滑りが良いと回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(判断基準)
◎:カミソリの滑りが良いと認めたパネラーが7名以上
○:カミソリの滑りが良いと認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:カミソリの滑りが良いと認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:カミソリの滑りが良いと認めたパネラーが3名未満
【0031】
使用感触(髭剃り後の肌のなめらかさ)試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を用いて髭剃りをさせ、髭剃り後の肌のなめらかさを評価した。髭剃りは、洗顔しタオルで水気をふき取った後、シェービング組成物を手で髭に適応しカミソリを用いて行った。試験結果は、髭剃り後肌がしっとりとなめらかになったと回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(評価基準)
◎:肌がしっとりとなめらかになったと認めたパネラーが7名以上
○:肌がしっとりとなめらかになったと認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:肌がしっとりとなめらかになったと認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:肌がしっとりとなめらかになったと認めたパネラーが3名未満
【0032】
使用感触(髭剃り後の保湿感)試験
(評価方法)
専門パネル10名について、実施例のシェービング組成物を用いて髭剃りをさせ、髭剃り後の保湿感の評価を行った。髭剃りは、洗顔しタオルで水気をふき取った後、シェービン
グ組成物を手で髭に適応しカミソリを用いて行った。試験結果は、保湿感があると回答した人数を用いて、下記評価基準により判断した。
(評価基準)
◎:保湿感があると認めたパネラーが7名以上
○:保湿感があると認めたパネラーが5名以上〜7名未満
△:保湿感があると認めたパネラーが3名以上〜5名未満
×:保湿感があると認めたパネラーが3名未満
【0033】
実施例1〜18、比較例1〜6
表1に示したシェービング剤組成物を常法により調製し、前記各評価試験を実施した。その結果を表1に併せて示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1より明らかなように本発明の成分を用いた実施例のシェービング組成物はいずれも優れた性能を有していた。一方、必須成分のいずれかを欠いたものの比較例では、のび、つき、刃滑り性のよさ、肌のなめらかさのいずれかの面で劣っており、本発明の目的を達成
できなかった。
【0036】
以下、本発明シェービング組成物のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例のシェービング組成物についても、前記の組成物ののび、つき、髭の柔軟性、刃滑り性のよさ、肌のなめらかさ、肌の保湿感の各項目を評価したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。尚、これらの実施例におけるシェービング組成物の製造方法はそれぞれにおける製造方法として一般的に用いられている方法に従った。
【0037】
実施例19 透明シェービングジェル
(1)エタノール 3.0%
(2)濃グリセリン 20.0%
(3)1,3−ブチレングリコール 20.0%
(4)グリコシルトレハロース 1.0%
(5)ヒアルロン酸ナトリウム 1.0%
(6)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1%
(7)カルボキシビニルポリマー 0.4%
(8)水酸化カリウム 0.15%
(9)ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.5%
(10)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(11)精製水 残部
【0038】
実施例20 シェービングクリーム
(1)グリセリン 30.0%
(2)ジプレピレングリコール 10.0%
(3)アセチルグルコサミン 0.1%
(4)カルボキシビニルポリマー 0.5%
(5)アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 0.2%
(6)水酸化カリウム 0.25%
(7)スクワラン 10.0%
(8)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2%
(9)マルチトール 1.0%
(10)コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1%
(11)ポリアスパラギン酸ナトリウム 0.1%
(12)フェノキシエタノール 5.0%
(13)パラオキシ安息香酸メチル 0.1%
(14)エデト酸二ナトリウム 0.05%
(15)香料 0.5%
(16)精製水 残部
【0039】
実施例21 シェービングクリーム
(1)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2%
(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5%
(3)キサンタンガム 0.1%
(4)流動パラフィン 1.0%
(5)グリセリン 10.0%
(6)ジプロピレングリコール 10.0%
(7)1,3−プロパンジオール 10.0%
(8)水酸化ナトリウム 0.1%
(9)スクワラン 1.0%
(10)コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.05%
(11)N−アセチルグルコサミン 0.1%
(12)ヒアルロン酸ナトリウム 0.2%
(13)エデト酸二ナトリウム 0.01%
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(15)精製水 残部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(C)を含有することを特徴とするシェービング剤組成物。
(A)酸性ムコ多糖、
(B)カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物
(C)多価アルコール20〜50質量%
【請求項2】
更に(D)ポリアスパラギン酸ナトリウムを含有する請求項1記載のシェービング剤組成物。
【請求項1】
下記成分(A)〜(C)を含有することを特徴とするシェービング剤組成物。
(A)酸性ムコ多糖、
(B)カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーから選ばれる少なくとも1種以上の合成高分子化合物
(C)多価アルコール20〜50質量%
【請求項2】
更に(D)ポリアスパラギン酸ナトリウムを含有する請求項1記載のシェービング剤組成物。
【公開番号】特開2013−95674(P2013−95674A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237193(P2011−237193)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
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