説明

シクロアルキルメチルアミンの合成、使用方法および組成物

本発明は、新規シクロアルキルメチルアミン類似体、およびシクロアルキルメチルアミン類似体の調製方法を提供する。また本発明は、シクロアルキルメチルアミン類似体の使用方法およびシクロアルキルメチルアミン類似体の組成物も提供する。本発明の化合物の医薬組成物は、肥満および肥満関連の共存症の治療および/または予防に有効に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2006年9月15日に出願の米国仮出願第60/825,868号の利益を主張するものとし、前記仮出願は、参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする。
【0002】
1. 本発明の分野
本発明は、シクロアルキルメチルアミン、シクロアルキルメチルアミンの合成、ならびに肥満および肥満関連の共存症(co-morbid indication)の薬物治療にシクロアルキルメチルアミンを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 本発明の背景
肥満は、世界中で(とりわけ先進国で)何百万人もの人々が罹患している慢性病である。肥満は過剰体脂肪により定義され、一般にはヒトBMI(肥満度指数)を計算することで測定される。ヒトのBMIが30以上である場合、彼(または彼女)らは肥満しているものと考えられる。肥満は、多くの健康上の問題(例えば、2型糖尿病、冠性心疾患、高血中トリグリセリド、高血圧および卒中など)を直接的または間接的に引き起こす可能性がある。また肥満は、ある種のタイプの癌のリスクを高める。肥満の人は、標準体重の人に比べると、結腸、直腸および前立腺の癌で死亡することが多いようである。肥満の女性は、肥満でない女性に比べると、胆嚢癌、乳癌、子宮癌、子宮頸癌および卵巣癌で死亡する可能性が高いようである。一部の癌による死亡は、肥満が癌の初期段階での検出を困難にしているという理由による可能性が高い(例えば、肥満女性では、乳癌の初期の小さなしこりを感じにくい)。最近の研究は、肥満がアルツハイマー病タイプの認知症のリスクを高めることを示唆している。肥満に関連する他の疾患および健康上の問題としては、胆嚢疾患、胆石、変形性関節症、痛風または関節痛、睡眠時無呼吸、心理的問題および社会的問題が挙げられる。
【0004】
肥満は複数の要因によって生じるが、主要要因は遺伝的なものである。これは肥満に関する一要因であるが、これに関しては個体はどうすることもできない。他の肥満に関与する重要な要因としては、脂肪貯蔵の機序;エネルギー摂取とエネルギー消費の間のバランス;個々のライフスタイル:食習慣およびエクササイズ;ならびに心理的、文化的および社会経済的な影響が挙げられる。この疾患は外見にはっきりとした進行が見受けられるにもかかわらず、この症状の薬物療法の進展には限りがあった。肥満の治療薬は、次の3つのグループに分けることができる:食物摂取を低減するものまたは食欲抑制薬;代謝を変化させるものまたは脂肪吸収を遮断するもの;および熱発生を増加させるもの。現在、FDAによって承認されている肥満の長期治療薬はわずか2種類であり、それは脂肪吸収遮断薬のオルリスタット(XENICAL(登録商標))と食欲抑制薬のシブトラミン(MERIDIA(登録商標))である。既に試験されている唯一の熱発生薬の組み合わせはエフェドリンとカフェインであるが、監督官庁はこの治療を承認していない。
【0005】
脂肪吸収遮断薬のオルリスタットは、胃腸管内で、脂肪の消化に必要な酵素を遮断することにより作用する。ヒトが消費する脂肪の3分の1以下が、腸から吸収される代わりに便として排泄される。それに加え、オルリスタットは、必須の脂溶性ビタミンA、D、EおよびK、ならびにβ-カロチンの吸収を遮断する。これは、肥満治療でこの薬剤を長期使用するに際に非常に不利な点の1つとなる。オルリスタットについて最も一般に報告されている他の副作用は、膨満感、下痢および油状便である。
【0006】
食欲抑制薬のカテゴリーにおいては、2-アリールエチルアミンのファミリーに属するいくつかのノルアドレナリン作動性およびセロトニン作動性薬を肥満治療のマーケットで現在利用することができる。ノルアドレナリン作動薬、例えば、フェニルプロパノラミン(ACUTRIM(登録商標)、DEXATRIM(登録商標))、ジエチルプロピオン(TENUATE(登録商標))、およびフェンテルミン(FASTIN(登録商標)、IONAMIN(登録商標))は、肥満の短期治療用に承認されている。一方、ノルアドレナリン作動性およびセロトニン作動性薬のシブトラミン(MERIDIA(登録商標))は、食欲抑制薬のカテゴリーで肥満の長期治療用に現在承認されている唯一の薬剤である。シブトラミンはシクロブタンメチルアミン主鎖を有しており、その主鎖が主としてそのユニークな薬理学的性質を担っている。
【0007】
過去10年にわたり、シブトラミンが、肥満に加えて多種多様の疾患および/または障害の治療および/または予防に単独または他の治療薬との併用で使用できる可能性について、数多く報告されてきている(Montana, J. G. 国際公開公報第WO 2004/058237号;Lulla, A.ら、国際公開公報第WO 2004/096202号;Jerussi, T. P.ら、国際公開公報第WO 02/060424号;Senanayake, C. H.ら、国際公開公報第WO 01/51453号;Heal, D. J.、国際公開公報第WO 01/00205号;Birch, A. M.ら、国際公開公報第WO 01/00187号;Mueller, P.、国際公開公報第WO 00/32178号;Bailey, C.、国際公開公報第WO 98/11884号;Kelly, P.、国際公開公報第WO 98/13034号を参照されたい)。例えば、悪心、嘔吐および関連症状;認知機能障害;摂食障害;体重増加;過敏性腸症候群;強迫性障害;血小板粘着;無呼吸、情動障害(例えば、注意欠陥障害、うつ病および不安神経症);男性および女性の性機能障害;下肢静止不能症候群;変形性関節症;ニコチンおよびコカインの常用を含む物質濫用;ナルコレプシー;疼痛、例えば、神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害および慢性的疼痛;片頭痛;脳機能障害;月経前症候群などの慢性疾患;および失禁の治療が挙げられる。
【0008】
一般に、シブトラミンには、そのユニークな薬理学的性質ゆえに多くの治療効果がある。しかし、肥満ならびに他の疾患および障害の治療でシブトラミンを治療的に使用することは、この薬剤に伴うある種の欠点および副作用が原因で現在満足に利用されていない。報告されている(場合によっては生命にかかわるような)主な有害事象としては、血圧上昇、および薬物相互作用から生じる副作用、例えばセロトニン症候群が挙げられる。これらの有害事象の大部分は、ある程度、代謝に基づいている。シブトラミンは、主に、その二次(M1)アミン代謝産物および一次(M2)アミン代謝産物を介してその薬理作用を及ぼす。シブトラミンは、肝臓中で、主としてシトクロムP450(3A4)アイソザイムによって脱メチル代謝産物のM1およびM2に代謝される。さらにこれらの活性代謝産物は、ヒドロキシル化および結合(conjugation)により、薬理学的に不活性な代謝産物のM5およびM6に代謝される。治療学的に活性のある一次代謝産物および二次代謝産物のM1およびM2の排出半減期は、それぞれ14時間および16時間である。多数の文献の報告によると、シトクロムP450介在型の代謝および活性代謝産物(M1およびM2)の長時間半減期が、血圧上昇などの有害事象およびシブトラミンの薬物相互作用から生じる副作用に大いに関与していることが明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 2004/058237
【特許文献2】WO 2004/096202
【特許文献3】WO 02/060424
【特許文献4】WO 01/51453
【特許文献5】WO 01/00205
【特許文献6】WO 01/00187
【特許文献7】WO 00/32178
【特許文献8】WO 98/11884
【特許文献9】WO 98/13034
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、肥満を治療するためのより安全で、より有効な次世代食欲抑制薬が必要とされており、かつ需要も大きい。このクラスの理想的な薬剤は有効な食欲抑制活性を有していなければならず、また脂肪減少に関する有効な効果が短期投与および長期投与中に十分に認容され、かつシブトラミンおよびフェンテルミンと比べた場合に副作用が減少していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
3. 本発明の概要
本発明は、新規シクロアルキルメチルアミン類似体の組成物、ならびに肥満および関連の共存症状を治療するための組成物の使用に関する。本発明は、かかるシクロアルキルメチルアミン類似体の合成方法を提供する。また本発明は、肥満ならびに共存(co-morbid)疾患および/または障害を治療または予防するためにシクロアルキルメチルアミン類似体およびシクロアルキルメチルアミン類似体の医薬組成物を用いる方法も提供する。
【0012】
当該発明の化合物は、次世代ノルアドレナリン作動性およびセロトニン作動性活性食欲抑制薬を提供するものであって、肥満および共存疾患および/または障害の治療に特に有効かつ安全である。これらの化合物は、その好ましい代謝プロファイル、薬物動態学的プロファイルおよび薬理学的プロファイルから効果がある。特にこれらの化合物は、シトクロムP450酵素によってではなく、加水分解酵素によって主として代謝される。これらの化合物の薬物動態学的プロファイルは十分予測可能であり、またそれらの代謝産物は活性薬に比べると全身曝露が少ないため特に都合がよい。
【0013】
一態様においては、本発明は、構造式(I):
【化1】

【0014】
(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
R1およびR2は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであるように独立して選択されるか、あるいは、
場合により、R1およびR2は、R1およびR2が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであるように選択可能であり;
R4は、水素、アルキルまたは置換アルキルであるように選択可能である)
で表される化合物、またはその製薬上許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物(ただし、本発明の化合物は、直接的にまたはスペーサーを介して置換基R1、R2およびR3の1つに結合されているソフト部分(soft-moiety)を含む)を含んでなるシクロアルキルメチルアミン誘導体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
4. 本発明の詳細な説明
本発明は、肥満および肥満関連の共存疾患および/または障害を薬物治療するための化合物、医薬組成物および方法を提供する。また本発明は、主として加水分解酵素により代謝される新規食欲抑制薬の合成方法も提供する。しかし、本発明をさらに詳細に説明する前に、まず以下の用語を定義する。
【0016】
4.1 定義
特記しない限り、本明細書および特許請求の範囲を含む本願で使用している以下の用語は、下記の定義を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形の「1つの("a"、"an")」および「その(この)("the")」という記載は、その内容に明らかに特別の指定のない限り、複数の指示語を含んでいることに注意されたい。標準の化学用語の定義は、Carey and Sundberg (1992) 「Advanced Organic Chemistry 第3版」 Vols. A and B, Plenum Press, New Yorkをはじめとする参考資料で確認することができる。本発明の実施は、特段の指示のない限り、当技術分野内の質量分析法、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬学の従来法を用いる。本明細書に記載した組成物および製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版 (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990)で利用可能な製薬上許容可能な賦形剤および塩を用いて実施することができる。
【0017】
「本発明の化合物」は、本明細書中に開示されている構造式(I)〜(IV)により包含される化合物を意味し、その構造が本明細書中に開示されている前記式の範囲内のすべての具体的な化合物を含んでいる。本発明の化合物は、それらの化学構造および/または化学名によって同定することができる。化学構造と化学名が矛盾する場合、化学構造は化合物の特性の決定要因である。本発明の化合物は、1種もしくは複数のキラル中心および/または二重結合を含有していてもよい。このため、二重結合異性体(すなわち幾何異性体)、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体などの立体異性体として存在し得る。したがって、本明細書に記載した化学構造は、立体異性的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋な形態、エナンチオマー的に純粋な形態、またはジアステレオマー的に純粋な形態)をはじめとする、説明した化合物のあらゆるエナンチオマーおよび立体異性体、ならびにエナンチオマーおよび立体異性体の混合物を包含する。エナンチオマーおよび立体異性体の混合物は、当業者に周知の分離技術またはキラル合成技術を用いて、それらの成分のエナンチオマーまたは立体異性体へ分離することができる。また本発明の化合物は、エノール型、ケト型およびそれらの混合物を含む様々な互変異性型で存在していてもよい。したがって、本明細書に記載されている化学構造は、説明した化合物のあらゆる互変異性型を包含する。また本発明の化合物は、同位元素で標識した化合物も包含し、その場合には、1種または複数の原子が従来自然界で発見されている原子質量とは異なる原子質量を有している。本発明の化合物へ加えることができる同位元素の例としては、2H、3H、13C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明の化合物の部分的構造を説明する場合、ダッシュのブラケットは、その部分的構造がその分子の残りの部分に結合している点を示すものと理解されたい。
【0018】
「本発明の組成物」とは、少なくとも1種の本発明の化合物、および本化合物と一緒に患者に投与される製薬上許容可能なビヒクルを意味する。本発明の化合物は、患者に投与する場合、単独の形態(これは、合成有機反応混合物から単離された形態を意味する)で投与される。
【0019】
「アルキル」は、親アルカン、親アルケンまたは親アルキンの一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより得られる、飽和または不飽和の分岐鎖、直鎖または環状の一価炭化水素基を意味する。典型的なアルキル基としては、これらに限定されるものではないが、メチル;エチル群、例えば、エタニル、エテニル、エチニル;プロピル群、例えば、プロパン-1-イル、プロパン-2-イル、シクロプロパン-1-イル、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、シクロプロパ-1-エン-1-イル、シクロプロパ-2-エン-1-イル、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イルなど;ブチル群、例えば、ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2-メチル-プロパン-1-イル、2-メチル-プロパン-2-イル、シクロブタン-1-イル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチル-プロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロブタ-1-エン-1-イル、シクロブタ-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イルなどが挙げられる。
【0020】
「アルキル」という用語は、具体的には、あらゆる飽和度または飽和レベルを有する基、すなわち、炭素−炭素単結合のみを有する基、1個または複数の炭素−炭素二重結合を有する基、1個または複数の炭素−炭素三重結合を有する基、および炭素−炭素の単結合、二重結合、三重結合の混在したものを有する基を含むものとする。特定の飽和レベルを意図する場合、「アルカニル」、「アルケニル」および「アルキニル」という表現を用いる。好ましくは、アルキル基は1〜20個の炭素原子を含み、より好ましくは、1〜10個の炭素原子を含んでいる。
【0021】
「アルカニル」とは、親アルカンの一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより得られる、飽和の分岐鎖、直鎖または環状のアルキル基を意味する。典型的なアルカニル基としては、これらに限定されるものではないが、メタニル;エタニル;プロパニル群、例えば、プロパン-1-イル、プロパン-2-イル(イソプロピル)、シクロプロパン-1-イルなど;ブタニル群、例えば、ブタン-1-イル、ブタン-2-イル(sec-ブチル)、2-メチル-プロパン-1-イル(イソブチル)、2-メチル-プロパン-2-イル(t-ブチル)、シクロブタン-1-イルなどが挙げられる。
【0022】
「アルケニル」とは、親アルケンの一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより得られる、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和の分岐鎖、直鎖または環状のアルキル基を意味する。前記基は、1つまたは複数の二重結合に関し、シスまたはトランスのいずれの構造であってもよい。典型的なアルケニル基としては、これらに限定されるものではないが、エテニル;プロペニル群、例えば、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、プロパ-2-エン-2-イル、シクロプロパ-1-エン-1-イル、シクロプロパ-2-エン-1-イル;ブテニル群、例えば、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチル-プロパ-1-エン-1-イル(2-methyl-prop-1-en-1-yl)、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロブタ-1-エン-1-イル、シクロブタ-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イルなどが挙げられる。
【0023】
「アルキニル」とは、親アルキンの一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより得られる、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和の分岐鎖、直鎖または環状のアルキル基を意味する。典型的なアルキニル基としては、これらに限定されるものではないが、エチニル;プロピニル群、例えば、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イルなど;ブチニル群、例えば、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イルなどが挙げられる。
【0024】
「アシル」とは、基-C(O)R(式中、Rは、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどが挙げられる。
【0025】
「アシルオキシアルキルオキシカルボニル」は、基-C(O)OCR'R''OC(O)R'''(式中、R'、R''、およびR'''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-C(O)OCH2OC(O)CH3、-C(O)OCH2OC(O)CH2CH3、-C(O)OCH(CH3)OC(O)CH2CH3、-C(O)OCH(CH3)OC(O)C6H5などが挙げられる。
【0026】
「アシルアルキルオキシカルボニル」とは、基-C(O)OCR'R''C(O)R'''(式中、R'、R''、およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-C(O)OCH2C(O)CH3、-C(O)OCH2C(O)CH2CH3、-C(O)OCH(CH3)C(O)CH2CH3、-C(O)OCH(CH3)C(O)C6H5などが挙げられる。
【0027】
「アシルオキシアルキルオキシカルボニルアミノ」とは、基-NRC(O)OCR'R''OC(O)R'''(式中、R、R'、R''、およびR'''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-NHC(O)OCH2OC(O)CH3、-NHC(O)OCH2OC(O)CH2CH3、-NHC(O)OCH(CH3)OC(O)CH2CH3、-NHC(O)OCH(CH3)OC(O)C6H5などが挙げられる。
【0028】
「アシルアルキルオキシカルボニルアミノ」とは、基-NRC(O)OCR'R''C(O)R'''(式中、R、R'、R''、およびR'''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-NHC(O)OCH2C(O)CH3、-NHC(O)OCH2C(O)CH2CH3、-NHC(O)OCH(CH3)C(O)CH2CH3、-NHC(O)OCH(CH3)C(O)C6H5などが挙げられる。
【0029】
「アシルアミノ」とは、本明細書で定義した「アミド」を意味する。
【0030】
「アルキルアミノ」とは、基-NHR(式中、Rは、本明細書で定義したアルキルまたはシクロアルキル基(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)を表す)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、メチルアミノ、エチルアミノ、1-メチルエチルアミノ、シクロヘキシルアミノなどが挙げられる。
【0031】
「アルコキシ」は、基-OR(式中、Rは、本明細書で定義したアルキルまたはシクロアルキル基(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)を表す)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
【0032】
「アルコキシカルボニル」とは、基-C(O)-アルコキシ(式中、アルコキシは本明細書で定義した通りである)を意味する。
【0033】
「アルコキシカルボニルアルコキシ」とは、基-OCR'R''C(O)-アルコキシ(式中、アルコキシは本明細書で定義した通りである)を意味する。同様に、式中、R'およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-OCH2C(O)OCH3、-OCH2C(O)OCH2CH3、-OCH(CH3)C(O)OCH2CH3、-OCH(C6H5)C(O)OCH2CH3、-OCH(CH2C6H5)C(O)OCH2CH3、-OC(CH3)(CH3)C(O)OCH2CH3などが挙げられる。
【0034】
「アルコキシカルボニルアルキルアミノ」とは、基-NRCR'R''C(O)-アルコキシ(式中、アルコキシは本明細書で定義した通りである)を意味する。同様に、式中、R、R'、R'およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-NHCH2C(O)OCH3、-N(CH3)CH2C(O)OCH2CH3、-NHCH(CH3)C(O)OCH2CH3、-NHCH(C6H5)C(O)OCH2CH3、-NHCH(CH2C6H5)C(O)OCH2CH3、-NHC(CH3)(CH3)C(O)OCH2CH3などが挙げられる。
【0035】
「アルキルスルホニル」とは、基-S(O)2R(式中、Rは、本明細書で定義したアルキルまたはシクロアルキル基(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニルなどが挙げられる。
【0036】
「アルキルスルフィニル」とは、基-S(O)R(式中、Rは、本明細書で定義したアルキルまたはシクロアルキル基(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニルなどが挙げられる。
【0037】
「アルキルチオ」とは、基-SR(式中、Rは、本明細書で定義したアルキルまたはシクロアルキル基(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどが挙げられる。
【0038】
「アミドまたはアシルアミノ」とは、基-NR'C(O)R''(式中、R'およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、ホルミルアミノアセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルメチルカルボニル-アミノ、ベンゾイルアミノ、ベンジルカルボニルアミノなどが挙げられる。
【0039】
「アミノ」とは、基-NH2を意味する。
【0040】
「アリール」とは、親芳香族環系の一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって得られる一価芳香族炭化水素基を意味する。典型的なアリール基としては、これらに限定されるものではないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フッ素、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタリン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどが挙げられる。好ましくは、アリール基は、6〜12個の炭素原子を含み、さらに好ましくは6〜20個の炭素原子を含む。
【0041】
「アリールアルキル」とは、炭素原子(典型的には末端炭素原子またはsp3炭素原子)に結合している水素原子の1個がアリール基で置換されている、非環状アルキル基を意味する。典型的なアリールアルキル基としては、これらに限定されるものではないが、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、2-ナフチルエテン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イルなどが挙げられる。特定アルキル部分を意図する場合、アリールアルカニル(arylalkany)、アリールアルケニルおよび/またはアリールアルキニルという名称が用いられる。好ましくは、アリールアルキル基は、例えばアリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が(C1-C10)であり、またアリール部分が(C6-C20)であるような(C6-C30)アリールアルキルである。より好ましくは、アリールアルキル基は、例えばアリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が(C1-C8)であり、またアリール部分が(C6-C12)であるような(C6-C20)アリールアルキルである。
【0042】
「アリールアルコキシ」とは、-O-アリールアルキル基(式中、アリールアルキルは、本明細書で定義した通りであり、これは場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)を意味する。
【0043】
「アリールアルコキシカルボニルアルコキシ」とは、基-OCR'R''C(O)-アリールアルコキシ(式中、アリールアルコキシは本明細書で定義した通りである)を意味する。同様に、式中、R'およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-OCH2C(O)OCH2C6H5、-OCH(CH3)C(O)O CH2C6H5、-OCH(C6H5)C(O)O CH2C6H5、-OCH(CH2C6H5)C(O)O CH2C6H5、-OC(CH3)(CH3)C(O)O CH2C6H5などが挙げられる。
【0044】
「アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ」とは、基-NRCR'R''C(O)-アリールアルコキシ(式中、アリールアルコキシは本明細書で定義した通りである)を意味する。同様に、式中、R、R'、R'およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これらは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-NHCH2C(O)OCH2C6H5、-N(CH3)CH2C(O)OCH2C6H5、-NHCH(CH3)C(O)OCH2C6H5、-NHCH(C6H5)C(O)OCH2C6H5、-NHCH(CH2C6H5)C(O)OCH2C6H5、-NHC(CH3)(CH3)C(O)OCH2C6H5などが挙げられる。
【0045】
「アリールオキシカルボニル」とは、基-C(O)-O-アリール(式中、アリールは本明細書で定義した通りであり、これは場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)を意味する。
【0046】
「アリールオキシカルボニルアルコキシ」とは、基-OCR'R''C(O)-アリールオキシ(式中、アリールオキシは本明細書で定義した通りである)を意味する。同様に、式中、R'およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-OCH2C(O)OC6H5、-OCH(CH3)C(O)OC6H5、-OCH(C6H5)C(O)OC6H5、-OCH(CH2C6H5)C(O)OC6H5、-OC(CH3)(CH3)C(O)OC6H5などが挙げられる。
【0047】
「アリールオキシカルボニルアルキルアミノ」とは、基-NRCR'R''C(O)-アリールオキシ(式中、アリールオキシは本明細書で定義した通りである)を意味する。同様に、式中、R、R'、R'およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これらは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、-NHCH2C(O)OC6H5、-N(CH3)CH2C(O)OC6H5、-NHCH(CH3)C(O)OC6H5、-NHCH(C6H5)C(O)OC6H5、-NHCH(CH2C6H5)C(O)OC6H5、-NHC(CH3)(CH3)C(O)OC6H5などが挙げられる。
【0048】
「カルバモイル」とは、基-C(O)N(R)2(式中、R基は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これらは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。
【0049】
「カーバメート」とは、基-NR'C(O)OR''(式中、R'およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、メチルカーバメート(-NHC(O)OCH3)、エチルカーバメート(-NHC(O)OCH2CH3)、ベンジルカーバメート(-NHC(O)OCH2C6H5)などが挙げられる。
【0050】
「カーボネート」とは、基-OC(O)OR(式中、Rは、本明細書で定義したアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、メチルカーボネート(-C(O)OCH3)、シクロヘキシルカーボネート(-C(O)OC6H11)、フェニルカーボネート(-C(O)OC6H5)、ベンジルカーボネート(-C(O)OCH2C6H5)などが挙げられる。
【0051】
「カルボキシ」とは、基-C(O)OHを意味する。
【0052】
「シアノ」とは、基-CNを意味する。
【0053】
「シクロアルキル」とは、置換または非置換の環状アルキル基を意味する。特定の飽和レベルを意図する場合、「シクロアルカニル」または「シクロアルケニル」の名称が用いられる。典型的なシクロアルキル基としては、これらに限定されるものではないが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから得られる基が挙げられる。好ましい実施形態では、シクロアルキル基は(C3-C10)シクロアルキルであり、さらに好ましくは(C3-C7)シクロアルキルである。
【0054】
「シクロヘテロアルキル」とは、1個または複数の炭素原子(および任意の関連水素原子)が独立して同一のまたは異なるヘテロ原子で置換されている、飽和または不飽和の環状アルキル基を意味する。1個または複数の炭素原子を置換する典型的ヘテロ原子としては、N、P、O、S、Siなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の飽和レベルを意図する場合、「シクロヘテロアルカノイル」または「シクロヘテロアルケニル」という名称が用いられる。典型的シクロヘテロアルキル基としては、これらに限定されるものではないが、エポキシド、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、キヌクリジンなどから得られる基が挙げられる。
【0055】
「シクロヘテロアルコキシカルボニル」とは、基-C(O)-OR(式中、Rは、本明細書で定義したシクロヘテロアルキルである)を意味する。
【0056】
「ジアルキルアミノ」とは、基-NRR'(式中、RおよびR'は、独立して、本明細書で定義したアルキルまたはシクロアルキル基を表わす)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ-(1-メチルエチル)アミノ、(シクロヘキシル)(メチル)アミノ、(シクロヘキシル)(エチル)アミノ、(シクロヘキシル)(プロピル)アミノなどが挙げられる。
【0057】
「薬剤に由来する」とは、かかる薬剤と構造的に関連しているフラグメント(fragment)を意味する。このフラグメントの構造は、ヘテロ原子(NまたはO)に結合している水素原子が別の基(典型的にはプロ部分ー(promoiety))への共有結合で置換されている以外は、当該薬剤と同じである。薬剤がカルボン酸、ホスホン酸またはリン酸の塩形態である場合、かかる薬剤に由来する対応構造フラグメントは、プロトン化酸の形態に由来するものと考えられる点に留意されたい。
【0058】
「薬(剤)」とは、有効量が患者または哺乳動物へ投与された場合に、治療有用性および/または予防有用性および/または診断有用性を示す化合物を意味する。
【0059】
「エステル」とは、基-C(O)OR(式中、Rは、本明細書で定義したアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルである)を意味する。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、メチルエステル(-C(O)OCH3)、シクロヘキシルエステル(-C(O)OC6H11)、フェニルエステル(-C(O)OC6H5)、ベンジルエステル(-C(O)OCH2C6H5)などが挙げられる。
【0060】
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0061】
「ヘテロアルコキシ」とは、-O-ヘテロアルキル基(式中、ヘテロアルキルは本明細書で定義した通りである)を意味する。
【0062】
「ヘテロアルキル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル」とは、1個または複数の炭素原子(および結合しているすべての水素原子)が各々独立して同一のまたは異なるヘテロ原子基で置換されているアルキル、アルカニル、アルケニルおよびアルキニル基をそれぞれ意味する。典型的なヘテロ原子基としては、これらに限定されるものではないが、-O-、-S-、-O-O-、-S-S-、-O-S-、-NR'-、=N-N=、-N=N-、-N=N-NR'-、-PH-、-P(O)2-、-O-P(O)-、-S(O-、-S(O)2-、-SnH2-(前記式中、R'は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリールまたは置換アリールである)などが挙げられる。
【0063】
「ヘテロアリール」とは、親芳香族複素環系の一原子から1個の水素原子を除去することにより得られる一価複素環式芳香族基を意味する。典型的なヘテロアリール基としては、これらに限定されるものではないが、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから得られる基が挙げられる。好ましくは、ヘテロアリール基は、5〜20員のヘテロアリールであり、特に好ましいのは5〜10員のヘテロアリールである。好ましいヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾールおよびピラジンから得られるものである。
【0064】
「ヘテロアリールオキシカルボニル」とは、基-C(O)-OR(式中、Rは、定義したヘテロアリールである)を意味する。
【0065】
「ヘテロアリールアルキル」とは、炭素原子(典型的には末端炭素原子またはsp3炭素原子)に結合している水素原子の1つがヘテロアリール基で置換されている、非環状アルキル基を意味する。特定のアルキル部分を意図する場合、ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニルおよび/またはヘテロアリールアルキニルの名称が用いられる。好ましくは、ヘテロアリールアルキル基は、例えばヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が1〜10員であり、またヘテロアリール部分が5〜20員ヘテロアリールであるような、炭素6〜30員のヘテロアリールアルキルである。さらに好ましくは、例えばヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が1〜8員であり、またヘテロアリール部分が5〜12員ヘテロアリールであるような、6〜20員のヘテロアリールアルキルである。
【0066】
「ヒドロキシ」とは、基-OHを意味する。
【0067】
「オキソ」とは、二価の基=Oを意味する。
【0068】
本明細書では、「患者」という用語は、哺乳動物および非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、これらに限定されるものではないが、哺乳類の部類を構成するすべてのもの:ヒト、ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジー、および他の類人猿および猿類;家畜類、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなど;ペット類(domestic animals)、例えばウサギ、イヌおよびネコなど;齧歯類を含む実験動物、例えばラット、マウスおよびモルモットなどが挙げられる。非哺乳動物の例としては、これらに限定されるものではないが、鳥類、魚類などが挙げられる。この用語は、特定の年齢および性別は意味しない。
【0069】
「製薬上許容可能な」とは、動物(より具体的にはヒト)における使用に関し、連邦政府または州政府の監督官庁により認可済みであるか、承認見込みであることを意味し、あるいは米国薬局方または他の一般的に認可されている薬局方に記載されていることを意味する。
【0070】
「製薬上許容可能な塩」とは、製薬上許容可能であって、かつ親化合物の所望の薬理活性を保持する、本発明の化合物の塩を意味する。かかる塩としては、次のものが挙げられる:(1)酸付加塩、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)を用いて形成されたもの;または有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、珪皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2,2,2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などを用いて形成されたもの;あるいは、(2)親化合物中に存在する酸性陽子が金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオン)で置換されている場合に形成される塩;または有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなど)との配位化合物。
【0071】
「製薬上許容可能なビヒクル」は、本発明の化合物と一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体を意味する。
【0072】
「ホスフェート」とは、基-OP(O)(OR')(OR'')(式中、R'およびR''は、各々独立して、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。
【0073】
「予防する」または「予防」とは、疾患または障害にかかるリスクを低減すること意味する(すなわち、疾患に暴露され得るか罹患傾向にあり得るが、疾患の症状をまだ経験していないか、示していない患者において、疾患の臨床的症状の少なくとも1つを発症させないことを意味する)。
【0074】
「プロドラッグ」とは、活性薬剤を放出するために体内で変換される必要がある薬剤分子の誘導体を意味する。プロドラッグは、必ずしもというわけではないが、親薬剤に変換されるまで薬理学的に不活性である場合が多い。
【0075】
「プロ部分(promoiety)」とは、薬剤分子内の官能基をマスクするために用いる場合に、薬剤をプロドラッグに変換する保護基の形態を意味する。典型的には、プロ部分は、酵素的または非酵素的手段によってin vivoで切断される1つまたは複数の結合を介して薬剤に結合させることができる。
【0076】
「保護基」とは、分子マスク中の反応基に結合させる場合に、その反応性を低減または阻害する原子の一群を意味する。保護基の例は、Greenら、「Protective Groups in Organic Chemistry」、(Wiley, 第2版、1991)、およびHarrisonら、「Compendium of Synthetic Organic Methods」、第1〜8巻、(John Wiley and Sons, 1971-1996)で確認することができる。代表的なアミノ保護基としては、これらに限定されるものではないが、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZまたはCbz」)、tert-ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(「SES」)、トリチル基および置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが挙げられる。代表的なヒドロキシル保護基としては、これらに限定されるものではないが、ヒドロキシ基がアシル化またはアルキル化されているもの、例えばベンジル、ならびにトリアルキルシリルエーテルおよびアリルエーテルが挙げられる。
【0077】
「ラセミ化合物」とは、キラル分子のエナンチオマーの等モル混合物を意味する。
【0078】
「ソフト部分(soft moiety)」とは、加水分解可能な結合を含有している部分を意味し、本発明の化合物に組み入れることができるかかる結合としては、これらに限定されるものではないが、アミド結合、エステル結合、炭酸結合、リン酸結合、硫酸結合、尿素結合、ウレタン結合、グリコシド結合または加水分解酵素によって切断可能な他の結合が挙げられる。
【0079】
「スペーサー」とは、置換基、例えば、O、S、アルキル、置換アルキル、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、アミノ、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールアルコキシ、置換アリールアルコキシ、カルボキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、およびヒドロキシなどを意味する。
【0080】
「置換(された)」とは、1個または複数の水素原子が各々独立して同一のまたは異なる1個または複数の置換基で置換されている基を意味する。典型的な置換基としては、これらに限定されるものではないが、-X、-R54、-O-、=O、-OR54、-SR54、-S、=S、-NR54R55、=NR54、-CX3、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)2O-、-S(O)2OH、-S(O)2OR54、−OS(O)2O31、-OS(O)2R54、-P(O)(O-)2、-P(O)(OR14)(O31)、-OP(O)(OR54)(OR55)、-C(O)R54、-C(S)R54、-C(O)OR54、-C(O)NR54R55、-C(O)O-、-C(S)OR54、-NR56C(O)NR54R55、-NR56C(S)NR54R55、-NR57C(NR56)NR54R55、および-C(NR56)NR54R55(式中、各Xは、独立してハロゲンであり;R54、R55、R56およびR57は、各々独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、-NR58R59、-C(O)R58または-S(O)2R58であるか、あるいは、場合により、R58およびR59は、それらが共に結合している原子と一緒になって、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環を形成しており;またR58およびR59は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルである)が挙げられる。
【0081】
「スルフェート」とは、基-OS(O)(O)OR(式中、Rは、本明細書で定義した水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル(これは、場合により本明細書で定義した通り置換されていてもよい)である)を意味する。
【0082】
「チオ」とは、基-SHを意味する。
【0083】
任意の疾患または障害の「治療すること」または「治療」とは、一実施態様では、疾患または障害の改善(すなわち、疾患またはその臨床症状の少なくとも1つの発症を抑止または低減すること)を意味する。別の実施態様では、「治療すること」または「治療」とは、患者により識別不可能な少なくとも1種の物理的パラメーターの改善を意味する。さらに別の実施態様では、「治療すること」または「治療」とは、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体パラメーターの安定化)、またはその両方で疾患または障害を抑制することを意味する。さらに別の実施態様では、「治療すること」または「治療」とは、疾患または障害の発症を遅らせることを意味する。
【0084】
「治療上有効な量」とは、疾患を治療する目的で患者に投与された時に、その疾患に対するかかる治療を達成するのに十分な化合物の量を意味する。「治療上有効な量」は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療を受ける患者の年齢、体重等によって変わり、それは、当業者が過度の試験を行うことなく決定することができる。
【0085】
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。本発明を好ましい実施態様と結びつけて説明するが、これらの好ましい実施態様により本発明が限定されることはないものと理解されたい。それとは反対に、添付の特許請求の範囲に記載したような本発明の趣旨および範囲内に含まれ得る代替案、変更および等価物は網羅されるものとする。
【0086】
4.2 本発明の化合物
本発明は、構造式(I):
【化2】

【0087】
(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
R1およびR2は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであるように独立して選択されるか、あるいは、
場合により、R1およびR2は、R1およびR2が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであるように選択可能であり;
R4は、水素、アルキルまたは置換アルキルであるように選択可能である)
で表される化合物、またはその製薬上許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物(ただし、本発明の化合物は、直接的にまたはスペーサーを介して置換基R1、R2またはR3の1つに結合されているソフト部分を含む)を含んでなるシクロアルキルメチルアミン誘導体を提供する。*印の付いた炭素は、光学的に活性であり得る炭素を示す。本発明の化合物は、R化合物およびS化合物、ならびにR化合物およびS化合物の両方の混合物を包含する。本化合物はソフト部分を含んでいるのが好ましく、この場合、かかるソフト部分とは加水分解酵素により切断可能な結合である。したがって、ソフト部分は、アミド結合、エステル結合、炭酸結合、リン酸結合、硫酸結合、尿素結合などであってもよい。本発明の別の態様では、ソフト部分はスペーサーを含み得る。
【0088】
本発明の一態様では、構造式(II):
【化3】

【0089】
(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
「SP」は、スペーサーを意味し;
Xは、O、SまたはNR15(式中、R15は、Hまたは低級アルキルであり得る)であることが可能であり;
R2は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであることが可能であり、あるいは、場合により、R2およびR5または「SP」(スペーサー)のいずれかは、R2およびR5または「SP」が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであることが可能であり;
R4は、水素、アルキルまたは置換アルキルであることが可能であり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル;好ましくは、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アミノ、アリールアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルコキシ、カルバモイル、カーバメート、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロ、ヘテロアルコキシ、ヒドロキシ;またはホスフェート;ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであることが可能であり;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであることが可能である)
で表される化合物を記載する。
【0090】
*印の付いた炭素は、光学的に活性であり得る炭素を示す。本発明の化合物は、R化合物およびS化合物、ならびにR化合物およびS化合物の両方の混合物を包含する。基R6XC(O)-スペーサーはソフト部分を示し、この場合、かかるソフト部分は加水分解酵素により切断され得る結合を含む。本発明の別の態様では、ソフト部分は、アミド結合、エステル結合、炭酸結合、リン酸結合、硫酸結合、尿素結合などであり得る。
【0091】
本発明の別の態様では、化合物は、構造式(III):
【化4】

【0092】
(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
「SP」は、スペーサーを意味し;
Xは、O、SまたはNR15(式中、R15は、Hまたは低級アルキルであり得る)であることが可能であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであることが可能であり;
R4は、水素、アルキルまたは置換アルキルであることが可能であり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル;好ましくは、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アミノ、アリールアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルコキシ、カルバモイル、カーバメート、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロ、ヘテロアルコキシ、ヒドロキシまたはホスフェートであることが可能であり;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル;好ましくは、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アミノ、アリールアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルコキシ、カルバモイル、カーバメート、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロ、ヘテロアルコキシ、ヒドロキシまたはホスフェートであることが可能であり;あるいは、場合により、R5およびR7は、R5およびR7が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであることが可能である)
を含む。
【0093】
*印の付いた炭素は、光学的に活性であり得る炭素を示す。本発明の化合物は、R化合物およびS化合物、ならびにR化合物およびS化合物の両方の混合物を包含する。
【0094】
また別の態様では、本発明は、構造式(IV):
【化5】

【0095】
(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であることが可能であり;
「SP」は、スペーサーを意味し;
Xは、O、SまたはNR15(式中、R15は、Hまたは低級アルキルであり得る)であることが可能であり;
R2は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであることが可能であり、あるいは、場合により、R2およびR5またはR7のいずれかは、R2およびR5またはR7が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R4は、水素、アルキルまたは置換アルキルであることが可能であり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル;アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アミノ、アリールアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルコキシ、カルバモイル、カーバメート、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロ、ヘテロアルコキシ、ヒドロキシまたはホスフェートであることが可能であり;あるいは、場合により、R5およびR7は、R5およびR7が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル;好ましくは、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アミノ、アリールアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルコキシ、カルバモイル、カーバメート、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロ、ヘテロアルコキシ、ヒドロキシまたはホスフェートであることが可能であり;あるいは、場合により、R5およびR7は、R5およびR7が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであることが可能である)
で表される化合物を提供する。
【0096】
*印の付いた炭素は、光学的に活性であり得る炭素を示す。本発明の化合物は、R化合物およびS化合物、ならびにR化合物およびS化合物の両方の混合物を包含する。
【0097】
本明細書に記載した本発明の化合物は、以下の特徴または特性の1つまたは複数を有している可能性がある:
1. 本発明の化合物は、ドーパミン、ノルエピネフリンおよびセロトニン再取り込み阻害特性を有し得る;
2. 本発明の化合物は、ドーパミン輸送体(DAT)、ノルエピネフリン輸送体(NET)およびセロトニン輸送体(SERT)阻害特性を有し得る;
3. 本発明に記載の化合物は、加水分解酵素によって非酸化的に切断され得る少なくとも1つの加水分解可能な結合を含有している;
4. 本発明の化合物の一次代謝産物は、本化合物の非酸化型代謝によるものである;
5. 一次代謝産物のIKr(HERG)チャンネルの阻害活性は、親薬剤の電気生理学的特性に関係なく、血漿中での親薬剤の通常の治療濃度では無視できるものである(例えば、IKrチャンネルでの活性が観察される前には、代謝産物の濃度は、親化合物の通常の治療濃度より少なくとも5倍は高くなければならない);
6. 本発明の化合物ならびにその代謝産物は、他の薬剤を同時投与した時に代謝性薬物相互作用(DDI)を引き起こさない;
7. 本発明の化合物ならびにその代謝産物は、単独投与した時に、肝機能検査(LFT)の値を上昇させない;
8. 本化合物の経口バイオアベイラビリティは、標準の経口医薬製剤を用いる経口投与と一致しているが、本化合物およびその組成物は、経時的に一定で制御可能な血中濃度が得られるあらゆる送達系を用いて投与することもできる。
【0098】
一部の実施形態において、当該発明は、上記で示した特徴または特性の任意の2つ以上を有する化合物を提供する。他の実施形態は、上記で示した特徴または特性の少なくとも任意の3つ以上を有する化合物を提供する。別の実施形態では、本化合物およびその組成物は、上記で示した特徴または特性の4〜8つの任意の組み合わせを有する。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、8つのすべての特徴または特性を有する。
【0099】
好ましくは、本発明化合物の一次代謝産物のIKr(HERG)チャンネルでの阻害活性は、親薬剤の電気生理学的特性に関係なく、血漿中での薬剤の通常の治療濃度では無視できるものである。言いかえれば、代謝産物の濃度は、IKrチャンネルでの活性が観察される前に、親化合物の通常の治療濃度より少なくとも5倍は高いのが好ましい。また、代謝産物の濃度は、IKrチャンネルでの活性が観察される前に、親化合物の通常の治療濃度より少なくとも10倍は高いのが好ましい。
【0100】
本発明に記載の化合物は、主として、それらの構造中へ組み込まれている加水分解可能な結合を介して、内因性加水分解酵素により代謝される。この代謝経路から生じる一次代謝産物は水溶性であり、他の医薬品(薬剤)と一緒に投与した場合に、DDIを示さないか、その発生率が低いことが明らかである。本発明の化合物へ組み入れることができる加水分解可能な結合の例としては、これらに限定されるものではないが、アミド結合、エステル結合、炭酸結合、リン酸結合、硫酸結合、尿素結合、ウレタン結合、グリコシド結合、または加水分解酵素によって切断可能な他の結合が挙げられる。
【0101】
本明細書に開示されている化合物のさらなる修飾は、当業者によって容易に行うことができる。したがって、例示した化合物の類似体および塩は当該発明の範囲内である。熟練の化学者は、当該発明の化合物に関する知識を用いれば、入手可能な基質から公知の方法を用いてこれらの化合物を合成することができる。本願で用いられる「類似体」という用語は、例えば、追加の側鎖基を加えることによって修飾されていること以外は実質的にはもう一つの化合物と同じで化合物を意味する。また、本願で用いられる「類似体」という用語は、化合物中の特定の位置で原子置換または分子置換を有する以外は実質的にもう一つの化合物と同じである化合物を意味していてもよい。
【0102】
さらに、当該発明は、エナンチオマー的に単離された化合物、および前記化合物を含む組成物に関する。本発明の化合物の単離鏡像異性形態は、お互いを実質的に含まない(すなわち、エナンチオマー過剰にある)。言いかえれば、本化合物の「R」体は本化合物の「S」体を実質的に含まず、したがって、「S」体をエナンチオマー的に超過している。反対に、本化合物の「S」体は本化合物の「R」体を実質的に含まず、したがって、「R」体をエナンチオマー的に超過している。本発明の一実施形態では、本単離エナンチオマー化合物は、エナンチオマー過剰率が少なくとも約80%である。好ましい実施形態では、本化合物は、エナンチオマー過剰率が少なくとも約90%である。より好ましい実施形態では、本化合物は、エナンチオマー過剰率が少なくとも約95%である。より一層好ましい実施形態では、本化合物は、エナンチオマー過剰率が少なくとも約97%である。最も好ましい実施形態では、本化合物は、エナンチオマー過剰率が少なくとも99%以上である。
【0103】
4.3 本発明の化合物の合成
本発明の化合物は、スキーム1〜11に例示した合成法によって得ることができる。本発明の化合物の好ましい合成経路が式(I)、(II)、(III)および(IV)のシクロアルキルメチルアミンにソフト部分を結合または付加させることからなることは、当業者には理解されよう。シクロアルキルメチルアミン類似体を合成するいくつかの方法が当技術分野で開示されている(例えば、Mattson, R. J.ら、米国特許第5,596,019号;Lulla, A.ら、国際公開公報第WO 2004/096202号;Senanayake, C. H.ら、国際公開公報第WO 02/083631号;Vyas, S. K.ら、国際公開公報第WO 02/36540号;Jerussi, T. P.ら、国際公開公報第WO 02/060424号;Jeffery, J. E.ら、J. Chem. Soc. Perkin Trans 1, 1996, 2583〜2589を参照されたい)。シクロアルキルメチルアミンの合成に関する他の方法は当技術分野で公知であり、当業者はそれを容易に入手することができる。そのスペーサーに結合されているソフト部分は、市販されているか、または既に確立されている方法によって調製することができる(例えば、Greenら,「Protective Groups in Organic Synthesis」(Wiley, 第4版, 2006);Harrisonら,「Compendium of Synthetic Organic Methods」, 第1〜8巻 (John Wiley and Sons, 1971-1996);「Beilstein Handbook of Organic Chemistry」, Frankfurt, Germany; Feiserら,「Reagents for Organic Synthesis」, 第1〜45巻, Karger, 1991;March , 「Advanced Organic Chemistry」, Wiley Interscience, 第4版, 1992;Larock, 「Comprehensive Organic Transformations」、Wiley-VCH Publishers, 第2版, 1999;Paquette, 「Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis」, John Wiley and Sons, 第1版, 1995を参照されたい)。
【0104】
したがって、本発明の化合物およびその中間体を調製するのに有用な出発物質は市販されているか、または公知の合成法によって調製することができる。本明細書に記載されているシクロアルキルメチルアミンの他の合成方法は、当技術分野で開示されているか、あるいは、上記の参考文献を参照することにより当業者には容易に理解され、本発明の化合物の合成に用いることができる。したがって、本明細書のスキームで示した方法は、包括的というよりはむしろ例示的である。
【0105】
式(I)〜(IV)の化合物を合成するある一般法をスキーム1に記載している。適切な溶媒(例えばエーテル、THF、ジオキサン、DMF、DMSO)中、10〜100℃、好ましくは20〜75℃の温度で、塩基(例えばNaH、KOH)の存在下において、適切な置換フェニルアセトニトリル(1)をジブロモアルカン(2)と反応させると、シクロアルキルニトリル(3)が得られる。このシクロアルキルニトリル化合物を、タンデム型グリニャール還元法を使用し、化合物(6)の合成に用いる。代表的な方法としては、適切な溶媒(例えばエーテル、THF、トルエン)の存在下において、0〜90℃の温度で1〜24時間、化合物(3)を適切なグリニャール試薬(R11MgBr)と反応させることが挙げられる。次いで、得られた付加物を、標準方法または既に確立された方法(Jefferyら, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 1996, 2583-2589を参照)に従って、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を使用して還元反応に供すると、いかなる後処理も必要なく対応するシクロアルキルメチルアミン(6)が得られる。化合物6中のアミノ基は、適切なハロゲン化アルキルを用いて直接的にアルキル化させるか、あるいは当技術分野で公知の標準方法を用いて逐次的に還元的アルキル化法を行うことによりアルキル化させて化合物(10)を得ることができる。ある方法では、DCCまたはDICなどの標準ペプチドカップリング剤を用いて、化合物(6)に適切なカルボン酸を結合させ、続いて、当技術分野で周知の標準的還元条件下でボランなどの還元剤を用いて対応するアミド(9)を還元することができる。化合物(10)は、標準条件下で好適な塩基(例えばTEA、DIEA、ピリジン、炭酸セシウム)の存在下において、適切なハロゲン化アルキルを用いてさらにアルキル化することができる。
【0106】
式(I)〜(IV)の化合物を合成する別の一般法では、スキーム2に記載したように、シクロアルキルメチルアミン(6)から調製することができる。当技術分野で周知の標準アルキル化条件下で、ソフト部分(13)を有する適切なスペーサーと化合物(6)を反応させると、対応するシクロアルキルメチルアミン(14)を得ることができる。
【化6】

【化7】

【0107】
式(I)〜(IV)の化合物を合成するための別の一般法は、スキーム3に示したような段階的方法で、適切なシクロアルキルニトリル(3)から開始する。この場合、マスク化官能基(例えば、保護されているヒドロキシル部分など)を有する適切なグリニャール試薬(15)と化合物(3)を反応させ、続いて、その場で、対応するイミン(16)をスキーム1の化合物(6)の合成に関して上述した水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元すると、対応するシクロアルキルメチルアミン(17)が得られる。この反応では、マスク化官能基または前官能基(pro-functional groups)を有する多数のグリニャール試薬を使用することができるが、最も好ましい官能基はヒドロキシ(OH)である。マスク化官能基を有するいくつかのグリニャール試薬は市販されており、また当業者に周知の方法によりこれらを調製することもできる。次いで、市販の試薬クロロギ酸ベンジルで処理することにより包括的保護基のベンジルオキシカルボニル(Cbz)基でアミノ部分を保護し、続いて、標準条件下でtert-ブチルジメチルシラン(TBS)保護基を脱保護すると、対応するN-ベンジルオキシカルボニル(N-Cbz)保護のシクロアルキルメチルアミン(18)が得られる。ピリジニウム塩化クロム(PCC)または他の標準的酸化剤を使用して化合物(18)を酸化するとカルボン酸が得られ、その後、適切なアルコール(R14OH)またはアミン(R14NH2)と反応させると、対応するN-Cbz保護のシクロアルキルメチルアミンのカルボン酸エステルまたはアミド誘導体(22)が得られる。水素雰囲気中、パラジウム活性炭でCbz保護基を脱保護することにより、化合物(23)が得られる。シクロアルキルメチルアミン(23)のアミノ部分は、スキーム1およびスキーム2の化合物(12)および(14)に関してそれぞれ記載したように、当技術分野で周知の標準反応条件下でハロゲン化アルキル(R13L)を用いて、さらに誘導体化することができる。
【0108】
式(I)〜(IV)の化合物を合成するための別の一般法は、スキーム4で示したような段階的方法で、適切なシクロアルキルニトリル(3)から開始する。この場合、マスク化アルデヒド基を有する適切なグリニャール試薬(25)と化合物(3)を反応させ、続いて、その場で、対応するイミン(26)をスキーム1およびスキーム3の化合物(6)および化合物(17)の合成に関してそれぞれ上述した水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元すると、対応するシクロアルキルメチルアミン(27)が得られる。この反応では、マスク化アルデヒド官能基を有する多数のグリニャール試薬を使用することができるが、最も好ましいのは、5員および6員の環状アセタールである。マスク化官能基を有するいくつかのグリニャール試薬は市販されており、また当業者に周知の方法によりこれらを調製することもできる。次いで、市販の試薬クロロギ酸ベンジルで処理することにより包括的保護基のベンジルオキシカルボニル基でアミノ部分を保護し、続いて、標準条件下で環状アセタール保護基を酸触媒により切断すると、対応するN-Cbz保護のシクロアルキルメチルアミン(29)が得られる。ピリジニウム塩化クロム(PCC)または他の標準的酸化剤を使用して化合物(29)を酸化するとカルボン酸(30)が得られ、その後、適切なアルコール(R14OH)またはアミン(R14NH2)と反応させると、それぞれ、対応するN-Cbz保護のシクロアルキルメチルアミンのカルボン酸エステルまたはアミド誘導体(22)が得られる。これは、スキーム3で説明したように、さらに化合物23および化合物24へ変換することができる。
【化8】

【化9】

【0109】
式(I)〜(IV)の化合物を合成するための別の一般法をスキーム5に示す。この場合、エステラーゼで切断可能な基(例えば、カルボン酸エステルおよびアミドなど)を持つ適切な置換基を有するシクロアルキルメチルアミンを合成する。代表的な例では、周囲温度〜125℃、好ましくは25℃〜95℃の温度で、溶媒(例えばアセトン、DMF)中、塩基(例えば炭酸カリウム、炭酸セシウム)の存在下において、保護したヒドロキシル基を有する適切なハロゲン化物(31)とフェニルアセトニトリル(3)を反応させると、予想した化合物(32)が得られる。ソフト部分を有するシクロアルキルメチルアミン(37)および(38)は、スキーム4に示した段階的方法で、またスキーム1〜3に記載した方法を使用することによって、化合物(32)から調製することができる。
【化10】

【化11】

【0110】
式(I)〜(IV)の化合物を合成するための別の一般法をスキーム6に示す。この場合、末端エステル基またはアミド基を持つ適切な置換基を有するシクロアルキルメチルアミンを合成する。代表的な例では、フェノールのOH部分を有するフェニルアセトニトリル(3、R10=OH)の反応系を標準反応条件下でtert-ブチルジメチルシリル(TBS)基などの適切な保護基で保護すると、化合物39が得られる。化合物39を、スキーム1の化合物6の合成に関して記載した適切なグリニャール試薬4(R11 MgBr)と反応させると、化合物41が得られる。ソフト部分を有するシクロアルキルメチルアミン(45)および(46)は、スキーム5に示した段階的方法で、またスキーム1〜4に記載した方法を使用することによって、化合物(41)から調製することができる。
【化12】

【0111】
ある方法では、選択したシクロブタンアルキルアミンを含む式(IV)をスキーム7に示した通りに調製した。適切に置換されたフェニルアセトニトリル(47)を1,3-ジブロモプロパン(48)と無水テトラヒドロフラン中で氷浴温度〜室温において反応させると、対応するシクロアルキルニトリル(49)が得られた。このシクロアルキルニトリル化合物(49)を、シクロアルキルメチルアミンの合成に関する一般法で記載し、またスキーム1で例示したタンデム型グリニャール還元法を用いて、化合物(52)の合成に使用した。化合物52中のアミノ基を、室温〜60℃で極性非プロトン性溶媒DMF中の炭酸セシウムを用いて、末端エステル部分を有する適切なハロゲン化アルキルを使用して直接アルキル化し、対応するN-アルキル化化合物54を得た。この反応混合物中にヨウ化テトラブチルアンモニウムが存在した場合、54の収率が増加するとともに、反応の終了が非常に速くなることも分かった。
【化13】

【0112】
シクロアルキルアミンを含む式(I)および(IV)を合成するための別法は、スキーム8に示した通りに調製した。末端カルボン酸エステル部分54aを有するシクロアルキルアミンは、還元剤としてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いて、還元的アルキル化条件下でエチルグリオキシレートと反応させることにより調製した。末端カルボン酸エステル部分54eを有するシクロアルキルアミンは、スキーム8に示したように3工程でシクロアルキルアミン52aから調製した。化合物57は、標準条件下で52aをベンズアルデヒドにより還元的アルキル化させることによって良好な収率で調製された。これを強塩基のn-ブチルリチウム(n-BuLi)を用いて、5-ブロモ吉草酸でさらにアルキル化することで、対応するトリアルキル化合物58を得た。化合物58中のベンジル基は、水素雰囲気下でパラジウム活性炭を用いる標準水素化分解条件で、また溶媒としての酢酸エチル中に含む数滴の塩酸で切断し、対応するアミン54eを得た。
【化14】

【0113】
構成単位47の合成は、スキーム9に示した。4-クロロフェニルアセトニトリル(47a)は市販されており、Aldrichから購入した。化合物47b〜dは、4-ヒドロキシフェニルアセトニトリル(59)から調製した。化合物47bは、溶媒のDMF中で塩基の炭酸カリウムを用いて、59を臭化ベンジルでアルキル化することにより良好な収率で調製した。同様に、化合物47cは、59を4-メトキシベンズアルデヒドでアルキル化することにより良好な収率で合成した。ジクロロメタンに溶解した10mol%のN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)と塩基イミダゾールの存在下で、tert-ブチルジメチルシリルクロライド(TBSCl)を59と反応させると、対応する47dが良好な収率で得られた。
【化15】

【0114】
別法では、シクロブタンアルキルアミンを含む式(I)および式(IV)をスキーム10に記載した通り調製した。スキーム4で示したマスク化アルデヒド官能基63を有する市販グリニャール試薬と4-クロロフェニルシクロブタンアセトニトリル(49a)を反応させると、対応するマスク化アルデヒド官能基65を有する対応するシクロブタンアルキルアミンが得られた。さらに化合物65を誘導体化して、スキーム4で示したエステルおよびアミドを有するシクロブタンアルキルアミンを得ることができる。
【0115】
別法では、末端エステルまたはアミドを有する選択例のシクロアルキルアミンを含む一般式(I)および(II)を、スキーム11に記載した通り調製した。シクロブタンアルキルアミン52d中のアミン部分をtert-ブチルオキシカルボニル(BOC)基で保護することで、N-BOC保護のアミン66を得た。次いで、50〜90℃で水性DMSOを用いて中性条件下で66上のTBS保護基を切断すると、67が得られた。N-BOC保護のフェノール67を、無水DMF中、塩基の炭酸セシウムを用いて、標準アルキル化条件においてブロモ酢酸エチルでアルキル化したところ、化合物69が得られた。その後、これをDCM中のトリフルオロ酢酸で処理して、対応する末端カルボン酸エステル置換基を持つシクロブタンアルキルアミン70を得た。
【化16】

【0116】
4.4 構造式の化合物の治療用途
本発明は、肥満および関連の共存症状を治療および予防する方法を提供する。本明細書で使用されている「肥満に関連の共存症状(co-morbid conditions)」とは、肥満に関連していることが当業者に知られている病状を意味する。この用語には、インスリン非依存性糖尿病を含む糖尿病、耐糖能異常、高血圧症、冠状動脈血栓症、卒中、うつ病、不安神経症、精神病(例えば統合失調症)、遅発性ジスキネジー、薬物依存、薬物乱用、認知障害、アルツハイマー病、脳虚血、強迫神経症、パニック発作、社会恐怖症、摂食障害(例えば、過食症(bulimia)、拒食症、間食およびむちゃ食い(binge eating))、脂質症候群、高血糖、高脂血症、ならびに哺乳動物(特にヒト)のストレスが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
さらに、本発明の化合物、組成物および方法は、それらから生じる代謝性疾患および症状、すなわち例えば、エクササイズではない活動による熱量産生(non exercise activity thermogenesis)および代謝率増加、性機能不全、睡眠時無呼吸、月経前症候群、緊張性尿失禁を含む尿失禁、多動性障害、裂孔ヘルニア(hiatial hernia)、および逆流性食道炎、疼痛、特に神経障害性疼痛、薬物療法に伴う体重増加、慢性疲労症候群、変形性関節症および痛風、体重増加の伴う癌、月経機能不全、胆石、起立性低血圧および肺高血圧症の治療または予防で用いることができる。
【0118】
本発明の化合物、組成物および方法は、心血管疾患の予防、および血小板粘着性の低減、妊娠後の体重減量の促進、喫煙欲求の低減、禁煙後の体重減量の促進に有用であり得る。本発明はまた、哺乳動物(特にヒト)における尿酸レベルおよび脂質レベルを低下させるのに有用となり得る。
【0119】
本発明によれば、構造式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物および/または前記化合物を含有している組成物は、肥満ならびに関連の共存疾患および/または障害に罹患している患者(好ましくはヒト)に投与される。さらに、ある実施形態では、本発明の化合物および/または組成物は、各種疾患または障害の予防対策として、患者(好ましくはヒト)に投与される。したがって、構造式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物および/または1種または複数の前記化合物を含有している組成物は、肥満ならびに関連の共存疾患および/または障害に関する個体素因を有している患者に予防対策として投与される(Montana, J. G., 国際公開公報第WO 2004/058237号;Lulla, A.ら, 国際公開公報第WO 2004/096202号;Jerussi, T. P.ら, 国際公開公報第WO 02/060424号;Senanayake, C. H.ら., 国際公開公報第WO 01/51453号;Heal, D. J., 国際公開公報第WO 01/00205号;Birch, A. M.ら, 国際公開公報第WO 01/00187号;Mueller, P., 国際公開公報第WO 00/32178号;Bailey, C., 国際公開公報第WO 98/11884号;Kelly, P., 国際公開公報第WO 98/13034号を参照されたい)。
【0120】
したがって、当業者は、構造式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物および/または1種または複数の前記化合物を含有する組成物を容易に分析し、これらを用いて肥満ならびに関連の共存疾患および/または障害を治療することができる。
【0121】
4.5. 治療的/予防的投与
構造式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物、および/または1種または複数の前記化合物を含有する組成物は、ヒトの医療において有効に使用することができる。上記の4.4の項で既に記載したように、構造式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物および1種または複数の前記化合物を含有する組成物は、肥満ならびに関連の共存疾患および/または障害を治療または予防するのに有用である。
【0122】
本発明の化合物および/または組成物は、上記の疾患または障害を治療または予防する目的で用いられる場合、単独で、また他の薬剤と組み合わせて投与または適用することができる。本発明の化合物および/または組成物は、単独で、また製薬上活性のある薬剤(本発明の他の化合物および/または組成物を含む)と組み合わせて投与または適用することができる。
【0123】
本発明は、治療上有効な量の本発明の組成物および/または化合物を患者に投与することによる治療および予防方法を提供する。患者は、動物、さらに好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトであり得る。
【0124】
本発明の当該化合物および/または組成物(これは、本発明の1種または複数の化合物および/または組成物を含む)は、経口で投与するのが好ましい。また本発明の化合物および/または組成物は、他の都合のよい経路によって、例えば、静注またはボーラス注入によって、上皮層または粘膜皮膚上皮層(例えば口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)からの吸収によって投与することもできる。投与は、全身投与であっても局所投与であってもよい。本発明の化合物および/または組成物の投与に使用可能な各種送達系(例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセル等中へのカプセル化)は公知である。投与方法は、これらに限定されるものではないが、皮内投与、筋内投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、経鼻投与、硬膜外投与、経口投与、舌下投与、経鼻投与、脳内投与、膣内投与、経皮投与、直腸投与、吸入投与、あるいは局所投与、特に耳、鼻、眼部または皮膚への投与が挙げられる。
【0125】
特に好ましい実施形態では、本発明の化合物および/または組成物は、徐放性系(好ましくは経口徐放性系)により送達することができる。一実施形態では、ポンプを使用することができる(Langer, 上掲;Sefton, 1987, CRC Crit. Ref Biomed. Eng. 14:201;Saudekら, 1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照されたい)。
【0126】
別の実施形態では、高分子材料を用いることができる(「Medical Applications of Controlled Release」, LangerおよびWise (編者), Wiley, New York (1984);RangerおよびPeppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol Chem. 23:61を参照;また、Levyら, 1985, Science 228:190;Duringら, 1989, Ann. Neurol. 25:351;Howardら, 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照のこと)。好ましい実施形態では、経口徐放性送達にポリマー材料を用いる。好ましいポリマーとしては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースが挙げられ、最も好ましいのはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。他の好ましいセルロースエーテル類は、当技術分野で開示されている(Bambaら, Int. J. Pharm., 1979, 2, 307)。
【0127】
別の実施形態では、腸溶性製剤が経口徐放性投与に用いることができる。好ましいコーティング物質としては、pH依存性溶解度を有する(すなわち、pH制御放出)ポリマー、低速またはpH依存性の膨潤、溶解または浸食を有する(すなわち、時間制御放出)ポリマー、酵素により分解される(すなわち、酵素制御放出)ポリマー、ならびに圧力の増加により破壊される堅い層を形成する(すなわち、圧力制御放出)ポリマーが挙げられる。
【0128】
さらに別の実施形態では、浸透圧性送達系が経口徐放性投与に用いられる(Vermaら, Drug Dev. Ind. Pharm., 2000, 26:695-708)。好ましい実施形態では、Alza Corporation (Mountain View, California)から販売されているOROS(登録商標)浸透圧性送達系が経口徐放性送達器具に用いられる(例えば、Theeuwesら, 米国特許第3,845,770号;およびTheeuwesら, 米国特許第3,916,899号を参照されたい)。
【0129】
さらに別の実施形態では、徐放系は、本発明の化合物および/または組成物の標的の近くに置くことができるため、全身投与量の何分の一ほどしか必要とされない(例えば、Goodson, 「Medical Applications of Controlled Release」, 上掲, 第2巻, pp. 115-138 (1984)を参照されたい)。Langer, 1990, Science 249:1527-1533で論じられている他の徐放系を用いてもよい。
【0130】
本発明の構造式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物、および/または1種または複数の前記化合物を含有する組成物は、化学的および/または酵素的に切断することができる。哺乳動物の胃、腸管腔、腸組織、血液、肝臓、脳または他の適切な組織に存在する1種または複数の酵素は、本発明の化合物および/または組成物を酵素的に切断することができる。
【0131】
4.6 本発明の組成物
本組成物は、患者への適切な投与剤形を提供するため、好ましくは精製形態の治療上有効な量の本発明の1種または複数の化合物を、適切な量の製薬上許容可能なビヒクルと一緒に含有する。本発明の化合物および製薬上許容可能なビヒクルは、患者に投与される場合、滅菌されているのが好ましい。本発明の化合物を静脈内投与する場合、好ましいビヒクルは水である。液体ビヒクル(特に注射剤用)として、生理的食塩水および水性デキストロースおよびグリセリン溶液を使用することもできる。また適切な医薬品ビヒクルとしては、賦形剤、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等を挙げることができる。本製剤は、またはpH緩衝剤を用いてもよい。さらに、補助剤、安定化剤、増粘剤、平滑剤および着色剤を用いてもよい。
【0132】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、慣用的混合、溶解、造粒、糖衣剤製造、粉末化、および乳化、カプセル化、封入化または凍結乾燥法により製造することができる。医薬組成物は、本発明の化合物を製薬上許容可能な調製物に加工するのを容易にする、1種または複数の生理学上許容可能な担体、希釈剤、賦形剤または助剤を用いて慣用的方法で製剤化することができる。適切な製剤は、選択された投与経路によって決まる。
【0133】
本組成物は、溶液剤、懸濁液剤、乳剤(emulsion)、錠剤、ピル剤、ペレット剤およびカプセル剤、液体を含有するカプセル剤、散剤、徐放性製剤、座剤、エマルション剤(emulsions)、エアロゾル剤、噴霧剤、懸濁液剤、または使用に適したすべての他の剤形をとり得る。一実施形態では、製薬上許容可能なビヒクルはカプセルである(例えば、Grosswaldら, 米国特許第5,698,155号を参照)。適切な医薬品ビヒクルの他の例は、当技術分野で開示されている(Remington's Pharmaceutical Sciences, Philadelphia College of Pharmacy and Science, 第17版, 1985を参照)。本発明の好ましい組成物は、経口送達(特に経口徐放性投与)用に製剤化される。
【0134】
経口送達用の組成物は、例えば、錠剤、ロゼンジ剤、水性または油性の懸濁液剤、顆粒剤、散剤、エマルション剤、カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤の剤形であってもよい。経口投与組成物は、1種または複数の任意の物質、例えば甘味剤、例えばフルクトース、アスパルテームまたはサッカリン;風味剤、例えばペパーミント、冬緑油、またはチェリー色素剤および防腐剤を含有させ、製薬上口当たりの良い製剤を提供することができる。さらに、錠剤またはピル剤の場合、組成物を被覆して消化管中での崩壊および吸収を遅らせ、それにより長時間にわたって持続作用を提供することができる。浸透活性駆動化合物(osmotically active driving compound)の周囲の選択透過性膜も、本発明の経口投与化合物に適している。これらの後者のプラットフォームでは、カプセル周囲の環境からの流体が駆動化合物により吸収され、それが膨潤して、開口部を通して製剤または製剤組成物を排出する。これらの送達プラットフォームは、即効性放出製剤のスパイクプロフィールと比べると、本質的にゼロオーダーの送達プロフィールを提供することができる。グリセロールモノステアレートまたはグリセロールステアレートなどの時間遅延物質を用いてもよい。経口組成物は、標準ビヒクル、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等を含み得る。かかるビヒクルは、医薬用等級のものが好ましい。
【0135】
経口液体製剤、例えば懸濁液剤、エリキシル剤および溶液剤については、適切な担体、賦形剤または希釈剤としては、水、生理的食塩水、アルキレングリコール(例えばプロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール(例えばポリエチレングリコール)油、アルコール、pH4〜pH6の弱酸性バッファー(例えば、約mM〜約50mMの酢酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩)等が挙げられる。さらに、風味剤、防腐剤、着色剤、胆汁酸塩、アシルカルニチン等を加えることができる。
【0136】
他の経路による投与用組成物も検討することができる。口腔内投与の場合、組成物は、従来法で製剤化された錠剤、ロゼンジ剤などの剤形をとってもよい。噴霧器および液体噴霧器具およびEHDエアロゾル器具を用いて使用するのに適した液体製剤は、典型的には、本発明の化合物を製薬上許容可能なビヒクルと共に含む。好ましくは、製薬上許容可能なビヒクルは、液体、例えば、アルコール、水、ポリエチレングリコールまたはパーフルオロカーボンなどである。場合により、別の物質を加えて、本発明の化合物の溶液または懸濁液のエアロゾル特性を変更することができる。好ましくは、この物質は、アルコール、グリコール、ポリグリコールまたは脂肪酸などの液体である。エアロゾル器具での使用に適した液体製剤の溶液または懸濁液を製剤化する他の方法は、当業者には公知である(例えば、Biesalski, 米国特許第5,112,598号; Biesalski, 米国特許第5,556,611号を参照)。また本発明の化合物は、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する直腸用または膣用組成物(坐剤または持続性浣腸剤など)に製剤化することができる。これまでに記載した製剤に加えて、本発明の化合物は、持効性製剤としても製剤化することができる。かかる長時間作用型製剤は、移植(例えば皮下移植もしくは筋肉内移植)によって、または筋肉注射によって投与することができる。したがって、例えば本発明の化合物は、適切な高分子物質または疎水性物質(例えば、許容可能な油中のエマルションとして)、またはイオン交換樹脂とともに、あるいは難溶性誘導体として(例えば難溶性塩として)製剤化することができる。
【0137】
本発明の化合物が酸性の場合、それは遊離酸、製薬上許容可能な塩、溶媒和物または水和物として上記のいずれかの製剤に含まれ得る。製薬上許容可能な塩は、実質的には遊離酸の活性を維持し、塩基との反応により調製することが可能であり、また対応する遊離酸形態に比べると、水性溶媒および他のプロトン性溶媒中で可溶性が高いようである。
【0138】
4.7 使用方法および用量
本発明の化合物またはその組成物は、一般に所定の目的を達成するのに有効な量で用いられる。肥満および関連の共存疾患および/または障害の治療または予防に使用するには、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物および式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物を含有する組成物を治療上有効な量で投与または適用する。
【0139】
本明細書中に記載されている特定の障害または症状の治療に有効である本発明の化合物の量は、障害または症状の性質によって決まり、前述のような当業界で公知の標準的な臨床技術により決定することができる。さらに、最適な投薬範囲を確定しやすくするために、in vitroまたはin vivoアッセイを用いることもできる。投与される本発明の化合物の量は、もちろん、他の要因のうち、特に治療を受ける被験者、被験者の体重、疾患の重症度、投与方法および処方医師の判断によって決まる。例えば、投与量は、単回投与により、多回投与または制御放出により、製剤組成物中で送達され得る。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、経口徐放性投与により送達される。好ましくは、この実施形態では、本発明の化合物は1日2回(さらに好ましくは1日1回)投与される。投与は断続的に繰り返すことが可能であり、単独で、または他の薬剤と組み合わせて提供することができる。また、疾患状態または障害の有効治療に必要とされる限り継続することができる。
【0140】
肥満および関連の共存症を薬物治療するための構造式(I)〜(IV)の化合物および/または1種または複数のかかる化合物を含有する組成物は、1日1回または複数回の投与において0.1mg〜500mgの範囲で、好ましくは1mg〜100mgの範囲で、さらに好ましくは5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、35mgまたは50mg、最も好ましくは25mgで投与することができる。
【0141】
本発明の化合物は、ヒトで使用する前に、所望の治療活性または予防活性に関してin vitroおよびin vivoでアッセイされるのが好ましい。また本発明の化合物は、動物モデル系を用いて有効かつ安全であることを証明することもできる。
【0142】
本明細書に記載されている本発明の化合物の有効量は、実質的な毒性を引き起こすことなく治療上の効果を提供するのが好ましい。本発明の化合物の毒性は、標準の製薬技術を用いて確定することが可能で、当業者によって容易に確かめることができる。毒性作用と治療効果の用量比は治療係数である。本発明の化合物は、疾患および障害の治療する際に、特に高い治療係数を示すのが好ましい。本明細書に記載されている本発明の化合物の用量は、有効用量を含み、毒性がほとんどないか全くなく、一連の血中濃度内であるのが好ましい。
【0143】
4.8 併用療法
本発明のある実施形態では、本発明の化合物は、少なくとも1種の他の治療薬との併用療法で用いることができる。本発明の化合物とその治療薬は、相加的に、さらに好ましくは相乗的に作用し得る。好ましい実施形態では、本発明の化合物を含む組成物は、別の治療薬の投与と同時に投与されるが、その場合、前記治療薬は同一組成物の一部であってもよい。別の実施形態では、本発明の化合物を含む組成物は、別の治療薬を投与する前または後に投与される。
【0144】
5. 実施例
本発明の化合物および組成物の調製、ならびに本発明の化合物および組成物を使用するためのアッセイを詳細に記載する以下の実際例を参照することにより、本発明をさらに説明する。本発明の範囲を逸脱しない限り、物質および方法の双方に対して多くの変更が行われ得ることは、当業者には理解されよう。
【0145】
下記の実施例では、以下の略語は次の意味を有する。略語が定義されていない場合、それは一般に認められている意味を有しているものとする。
【0146】
AcOH = 酢酸
Atm = 大気
Cbz = カルボベンジルオキシ
DCM = ジクロロメタン
DMAP = 4-N,N-ジメチルアミノピリジン
DMF = N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
g = グラム
h = 時間
L = リットル
LC/MS = 液体クロマトグラフィー/質量分析法
M = モル
mL = ミリリットル
mmol = ミリモル
TBS = tert-ブチルジメチルシリル
TEA = トリエチルアミン
THF = テトラヒドロフラン
TFA = トリフルオロ酢酸
【実施例1】
【0147】
49a〜dの合成に関する基本手順(スキーム7)
ButlerおよびPolatzによって報告されているプロトコル(J. Org. Chem. 1971, 36, 1308)に従って、フェニルシクロブタンニトリル49a〜dを調製した。氷浴温度で窒素雰囲気下にある無水テトラヒドロフラン(THF)25mL中の水素化ナトリウム(NaH)(0.1モル、2.4g)の撹拌懸濁液に、THF50mLに溶解した1,3-ジブロモプロパン(11.10g、0.055モル)および適切なベンジルニトリル47a〜d(0.05モル)の溶液を滴下添加した。得られた混合物を室温までゆっくりと温め、室温で一晩(12時間)撹拌を継続した。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターした。この反応系を砕氷(200g)上に注ぎ入れ、次いで、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた抽出物を水(100mL×2)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥させ、減圧下で蒸発させたところ、対応するフェニルシクロブタンニトリル49a〜dが得られた。これを酢酸エチルおよびヘキサンの0〜50%勾配を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィー法により良好な収率で精製した。この純生成物49a〜dからは、申し分のない1H NMRデータおよび/または質量スペクトルデータが得られた。
【0148】
1-(4-クロロフェニル)シクロブタンカルボニトリル(49a)
無色の油状物(7.60g、79%)。またこれは、販売元のAldrichから購入した。合成した49aの1H NMRデータはその報告値と一致しており、またそのデータは市販の化合物から得られた値とも一致している。
【0149】
1-[(4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ)フェニル]シクロブタンカルボニトリル(49b)
無色の油状物(10.30g、72%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.01 (6H, s); 0.78 (9H, s); 1.86 (2H, m); 2.37 (2H, m); 2.59 (2H, m); 6.50 (2H, d, J=7.5 Hz); 7.05 (2H, d, J=7.5 Hz)。MS (ESI): m/z = 575.40 (M×2+H+)。
【0150】
1-[(4-ベンジルオキシ)フェニル]シクロブタンカルボニトリル(49c)
無色の油状物(8.55g、65%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 2.02 (2H, m); 2.25 (2H, m); 2.81 (2H, m); 5.08 (2H, s); 6.95 (2H, broad d); 7.32 (7H, m)。
【0151】
1-[4-(4-メトキシベンジルオキシ)フェニル]シクロブタンカルボニトリル(49d)
黄色の固形物(8.90g、61%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 2.03 (2H, m); 2.59 (2H, m); 2.78 (2H, m); 3.80 (3H, s); 5.97 (2H, s); 6.94 (4H, m); 7.33 (4H, m)。
【実施例2】
【0152】
52a〜dを合成するための基本手順(スキーム7)
室温で窒素雰囲気下にあるジエチルエーテル(0.04モル、20mL))中の2Mイソブチル臭化マグネシウムの撹拌溶液に、無水THFまたはトルエン20mLに溶解した適切なシクロブタンニトリル49a〜d(0.025モル)の溶液を滴下添加した。得られた混合物を18〜24時間還流した。反応の進行はTLCによってモニターした。別の丸底フラスコ中に無水イソプロパノール25mLをとり、室温でイソプロパノールに水素化ホウ素ナトリウム(3.00g、0.08モル)を少量ずつ加えた。10分間撹拌した後、窒素雰囲気下のイソプロパノール中の水素化ホウ素ナトリウム撹拌溶液に、反応フラスコから得たグリニャール付加物を直接加えた。得られた混合物を12〜18時間還流した。反応の進行をTLCによってモニターした。砕氷(200g)および重炭酸ナトリウム(5.00g)の混合物上に、その反応混合物をゆっくりと注いだ。混合物を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた抽出物をブライン(100mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、減圧下で蒸発させたところ、対応するフェニルシクロブタンアミン52a〜dが得られた。これを酢酸エチルおよびヘキサンの0〜100%勾配を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィー法により良好な収率で精製した。純アミン52a〜dからは、申し分のない1H NMRデータおよび/または質量スペクトルデータが得られた。
【0153】
1-[1-(4-クロロフェニル)シクロブチル]-3-メチルブタン-1-アミン(52a)
無色の油状物(5.60g、89%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.77 (3H, d, J = 4 Hz); 0.84 (3H, d, J=4 Hz); 1.60 (2H, m); 1.75 (1H, m); 1.90 (2H, m); 2.11 (2H, m); 2.55 (4H, m); 2.94 (1H, m); 7.01 (2H, d, J=4.1 Hz); 7.19 (2H, d, J=4.1 Hz)。
【0154】
4-[1-(1-アミノ-3-メチルブチル)シクロブチル]フェノール(52b)
化合物52bを実施例11のステップ2(スキーム11)で記載したようにして中間体67から調製した。実施例11ステップ4で化合物70の合成に関する方法で記載したようにして(スキーム11)、化合物67を8時間室温でジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で処理した。化合物が73%収率で淡黄色の液体として単離された。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.78 (3H, broad s); 0.84 (3H, broad s); 1.61 (1H, m); 1.83 (2H, m); 1.93 (2H, m); 2.28 (2H, m); 2.45 (2H, m); 2.67 (2H, m); 3.22 (1H, m); 6.73 (2H, d, J=4 Hz); 7.14 (2H, d, J=4 Hz)。MS (ESI): m/z = 234.10 (M+H+)。
【0155】
1-[1-(4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ)フェニル)シクロブチル]-3-メチルブタン-1-アミン(52c)
無色の油状物(6.80g、79%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.25 (6H, s); 0.69 (3H, d, J = 4 Hz); 0.77 (3H, d, J=4 Hz); 0.82 (9H, s); 1.54 (3H, m); 1.65 (2H, m); 1.78 (2H, m); 2.00 (2H, m); 2.17 (2H, m); 2.80 (1H, m); 6.60 (2H, d, J=4 Hz); 6.82 (2H, d, J=4 Hz)。MS (ESI): m/z = 348.10 (M+H+)。
【0156】
1-[1-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)シクロブチル]-3-メチルブタン-1-アミン(52d)
無色の油状物(5.25g、65%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.90 (3H, d, J = 4 Hz); 0.96 (3H, d, J=4 Hz); 1.61 (3H, m); 2.09 (2H, m); 2.21 (2H, m); 2.58 (2H, m); 2.80 (3H, m); 5.09 (2H, s); 6.90 (2H, broad d); 7.34 (3H, m); 7.01 (4H, m)。
【0157】
1-[1-(4-(4-メトキシベンジルオキシ)フェニル)シクロブチル]-3-メチルブタン-1-アミン(5e)
無色の油状物(5.00g、57%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.88 (3H, d, J = 4 Hz); 0.94 (3H, d, J=4 Hz); 1.69 (3H, m); 1.98 (2H, m); 2.18 (1H, m); 2.36 (4H, m); 3.00 (1H, m); 3.77 (3H, s); 5.31 (2H, s); 6.71-7.01 (8H, m)。MS (ESI): m/z = 354.00 (M+H+)。
【実施例3】
【0158】
54a〜eを合成するための基本手順(スキーム7)
室温で窒素雰囲気下において、無水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)20mL中の炭酸セシウム(Cs2CO3)(1.30g、0.004モル)の撹拌懸濁液に、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)(1.47g、0.004モル)を加えた後、適切なシクロブタンアミン52a〜d(0.0035モル)を加えた。30分間撹拌した後、DMF5mL中に溶解した適切なブロモアルキルカルボキシルエステル53の溶液をその反応混合物へ滴下添加した。得られた混合物を18〜24時間撹拌し、反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、CELITE(登録商標)充填材によって濾過し、酢酸エチル(15mL×3)でCELITE(登録商標)充填材を洗浄した。合わせた濾液をブライン(50mL)、水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、蒸発させた。酢酸エチルおよびヘキサンの0〜50%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィー法により残渣を精製したところ、対応するアミン54が良好な収率で得られた。シクロブタンアミン54a〜eからは、申し分のない1H NMRデータおよび/または質量スペクトルデータが得られた。
【0159】
2-(1-(1-(4-クロロフェニル)シクロブチル)-3-メチルブチルアミノ]酢酸エチル(54a)
無色の油状物(0.69g、59%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.80 (3H, d, J = 4 Hz); 0.84 (3H, d, J=4 Hz); 1.25 (3H, t, J=4.25Hz); 1.60 (2H, m); 1.78 (1H, m); 2.19 (2H, m); 2.27 (2H, m); 2.36 (2H, m); 2.75 (1H, m); 3.48 (2H, s); 4.16 (2H, q, J=4.25 Hz); 7.16 (2H, d, J=4 Hz); 7.23 (2H, d, J=4 Hz)。MS (ESI): m/z = 338.00 (M+H+)。
【0160】
2-(1-(1-(4-クロロフェニル)シクロブチル)-3-メチルブチルアミノ]ブタン酸エチル(54b)
無色の油状物(1.10g、84%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.82 (3H, d, J = 4 Hz); 0.85 (3H, d, J=4 Hz); 1.24 (3H, t, J=4.25Hz); 1.60 (2H, m); 1.71 (3H, m); 1.88 (2H, m); 2.02 (1H, broad s); 2.15 (2H, m); 2.23 (2H, m); 2.38 (2H, m); 2.76 (3H, m); 4.10 (2H, q, J=4.25 Hz); 7.14 (2H, d, J=4 Hz); 7.24 (2H, d, J=4 Hz)。MS (ESI): m/z = 366.20 (M+H+)。
【0161】
2-(1-(1-(4-クロロフェニル)シクロブチル)-3-メチルブチルアミノ]ブタン酸イソプロピル(54c)
無色の油状物(1.05g、80%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.83(3H, broad s); 0.85 (3H, broad s); 1.24 (3H, broad s); 1.26 (3H, broad s); 1.67 (3H, m); 1.94 (4H, m); 2.00 (3H, m); 2.21 (4H, m); 2.36 (3H, m); 2.85 (1H, m); 5.02 (1H, m); 7.05 (2H, broad d); 7.29 (2H, broad d)。MS (ESI): m/z = 382.10 (M+H+)。
【0162】
2-(1-(1-(4-クロロフェニル)シクロブチル)-3-メチルブチルアミノ]ブタン酸イソブチル(54d)
無色の油状物(1.15g、83%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.94(6H, broad s); 0.97 (6H, broad s); 1.61 (2H, m); 1.76 (2H, m); 1.94 (4H, m); 2.20 (3H, m); 2.42 (2H, m); 2.53 (2H, m); 2.80 (1H, m); 3.87 (2H, broad d); 7.16 (2H, broad d); 7.27 (2H, broad d)。MS (ESI): m/z = 394.20 (M+H+)。
【0163】
2-(1-(1-(4-クロロフェニル)シクロブチル)-3-メチルブチルアミノ]ブタン酸ベンジル(54e)
無色の油状物(1.13g、76%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.80(3H, d, J=4 Hz); 0.85 (3H, d, J=4 Hz); 1.58 (1H, m); 1.73 (2H, m); 1.84 (2H, m); 2.18 (4H, m); 2.33 (1H, m); 2.49 (4H, m); 2.72 (2H, m); 3.44 (1H, m); 5.11 (2H, broad s); 7.13 (2H, d, J=5.25 Hz); 7.24 (2H, d, J=5.25 Hz); 7.33 (5H, m)。MS (ESI): m/z = 428.30 (M+H+)。
【0164】
2-(1-(1-(4-クロロフェニル)シクロブチル)-3-メチルブチルアミノ]ペンタン酸エチル(54f)
無色の油状物(1.17g、88%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.81 (3H, d, J = 4 Hz); 0.86 (3H, d, J=4 Hz); 1.24 (3H, t, J=4.5Hz); 1.47 (2H, m); 1.60 (2H, m); 1.78 (3H, m); 1.88 (4H, m), 2.31 (3H, m); 2.78 (2H, m); 3.17 (1H, m); 4.12 (2H, q, J=4.25 Hz); 7.14 (2H, d, J=5 Hz); 7.23 (2H, d, J=5 Hz)。MS (ESI): m/z = 380.3 (M+H+)。
【実施例4】
【0165】
54aを合成するための代替経路(スキーム8)
溶媒DMFおよび酢酸(割合99:1)の混合物20mLに溶解したシクロブタンアミン52a(0.68g、0.0027モル)およびエチルグリオキシレート(トルエン中50%溶液)(1.02g、0.01モル)の撹拌溶液に、室温で15分かけてナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(2.11g、0.01モル)を少量ずつ添加した。得られた混合物を室温で8時間撹拌し、反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(50mL)中に注ぎ入れ、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた抽出物を水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、蒸発させた。溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの0〜50%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、45%(0.41g)の収率で無色の液体として純粋な54aが得られた。1H NMRデータおよび質量スペクトルデータは、54a〜e(実施例3、スキーム7)の合成に関して記載したプロトコルを用いて合成した化合物と同じである。
【実施例5】
【0166】
14eを合成するための代替経路(スキーム8)
ステップ1。メタノール50mLに溶解したシクロブタンアミン52a(2.51g、0.01モル)の撹拌溶液に、室温で窒素雰囲気下においてベンズアルデヒド(1.27g、0.012モル)を加えた。室温で2時間撹拌した後、反応混合物を0℃まで冷却し、次いで、20分かけて水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)(0.55g、0.15モル)を少量ずつ加えた。反応混合物を5時間撹拌し、反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(100mL)で希釈した。得られた混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(50mL)、水(50mL×2)で連続して洗浄し、硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、蒸発させた。酢酸エチルおよびヘキサンの0〜50%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、収率90%(3.06g)で無色の液体として対応するN-ベンジルアミン57が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.82 (3H, broad s); 0.85 (3H, broad s); 1.03-1.34 (3H, m); 1.67-1.88 (3H, m); 2.16-2.46 (4H, m); 2.87 (1H, m); 3.92 (2H, s); 7.24-7.34 (9H, m)。
【0167】
ステップ2。無水THF(25mL)に溶解したN-ベンジルアミン57(2.56g、0.0075モル)の撹拌溶液に、-78℃の窒素雰囲気下においてヘキサン中のn-ブチルリチウム(n-BuLi)(0.8mL、0.008モル)の10M溶液を加えた。得られた混合物を0℃まで温めた。反応混合物を再び-78℃まで冷却した後、5-ブロモ吉草酸エチル(3.13g、0.01モル)を含むTHF(10mL)の溶液を滴下添加した。反応混合物をゆっくりと室温まで温め、5時間室温で撹拌を継続した。反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物を砕氷(100g)上に注ぎ入れ、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた抽出物を水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、蒸発させた。溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの0〜50%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、収率69%(2.43g)で無色の液体として対応するアミン58が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 0.84 (3H, broad d); 0.87 (3H, broad d); 1.25-1.46 (7H, m); 1.50-2.00 (6H, m); 2.34 (4H, m); 3.09 (1H, broad s); 3.89 (2H, s); 4.14 (2H, broad q); 6.78-7.09 (4H, m); 7.35 (5H, m)。
【0168】
ステップ3。10%パラジウム炭素(Pd-C)(0.5g)の撹拌懸濁液に、酢酸エチル(25mL)中の58(1.17g、0.0025モル)の溶液を加え、続いて濃塩酸(HCl)を数滴加えた。得られた混合物を大気圧で12時間水素ガス雰囲気下で撹拌し、反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物を濾過し、沈殿物を酢酸エチルおよびエタノールの1:1混合物(15mL×3)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮し、残渣を溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの0〜50%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製したところ、81%(0.77g)の良好な収率で無色の液体として純粋なアミノエステル54eが得られた。このアミノエステル54eからは申し分のない1H NMRデータおよび質量スペクトルデータが得られ、これらは、実施例3に述べた基本手順(スキーム7)を用いて調製した化合物と同じであった。
【実施例6】
【0169】
4-クロロベンジルニトリル47aの合成(スキーム7)
構成単位47aは、販売元から購入した。
【実施例7】
【0170】
2-[4-(ベンジルオキシ)フェニル]アセトニトリル(47b)の合成(スキーム9)
無水DMF(50mL)に溶解した炭酸カリウム(K2CO3)(7g、0.05モル)の撹拌懸濁液に、4-ヒドロキシベンジルニトリル(59)(6.65g、0.05モル)を加えた後、臭化ベンジル(8.55g、0.05モル)を加えた。得られた混合物を10〜12時間70℃で加熱し、反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、濾過した。濾液を水(100mL×2)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣を溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの0〜50%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製したところ、88%(9.82g)の良好な収率で白色固体として純粋な4-ベンジルオキシベンジルニトリル(47b)が得られた。純粋な47bからは申し分のない1Hデータおよび質量スペクトルデータが得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 3.70 (2H, s); 5.08 (2H, s); 6.98 (2H, broad s); 7.23 (2H, broad s); 7.40 (5H, m)。MS (ESI): m/z = 223.10 (M+H+)。
【実施例8】
【0171】
4-(4-メトキシベンジルオキシ)ベンジルニトリル(47c)の合成(スキーム9)
4-(4-メトキシベンジルオキシ)ベンジルニトリル(47c)は、47bの合成に関して述べたプロトコルに従い、76%(9.60g)の収率で調製した。
【実施例9】
【0172】
2-[4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)フェニル]アセトニトリル(47d)の合成(スキーム9)
ジクロロメタン(DCM)75mL中の4-ヒドロキシベンジルニトリル(59)(6.65g、0.05モル)の撹拌溶液に、イミダゾール(3.40g、0.05モル)およびN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(1.2g、0.01モル)を加えた。10分間撹拌した後、DCM50ml中のtert-ブチルジメチルシリルクロライド(8.29g、0.055モル)の溶液を氷浴温度で滴下添加した。得られた混合物を8時間撹拌し、反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物を冷水(100mL×2)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの0〜25%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、97%(12.58g)の収率で無色の高粘度液体として純粋な47dが得られた。純粋な47dからは、申し分のない1Hデータおよび質量スペクトルデータが得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.00 (6H, s); 0.78 (9H, s); 3.47 (2H, s); 6.55 (2H, d, J=5.2 Hz); 6.97 (2H, d, J=5.2 Hz)。
【実施例10】
【0173】
1-[1-(4-クロロフェニル)シクロブチル]-3-(1,3-ジオキサン-2-イル)プロパン-1-アミン(65)の合成(スキーム10)。
【0174】
シクロブタンアルキルアミン65は、スキーム7で52a〜dに関して述べたプロトコルに従って、良好な収率で調製した。無色の油状物(79%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 1.53-1.85 (6H, m); 1.90-2.06 (2H, m); 2.20-2.34 (6H, m); 2.89 (1H, m); 3.72 (2H, m); 4.05 (2H, m); 4.45 (1H, t, J=4 Hz); 7.05 (2H, d, J=5.25 Hz); 7.24 (2H, d, J=5.25 Hz)。MS (ESI): m/z = 310.10 (M+H+)。
【実施例11】
【0175】
2-[4-(1-(1-アミノ-3-メチルブチル)シクロブチル)フェノキシ]酢酸エチル(70)の合成(スキーム11)
ステップ1。1-[1-(4-tert-ブチルジメチルシリルオキシ)フェニル)シクロブチル]-3-メチルブチルカルバミン酸tert-ブチル(66)の合成
室温でDCM(25mL)中の52d(5.20g、0.014モル)およびトリエチルアミン(TEA)(2mL、0.014モル)の撹拌溶液に、DCM(25mL)中のジ-tert-ブチルジカーボネート(BOC無水物)(3.20g、0.015モル)の溶液を加えた。得られた混合物を12時間室温で撹拌し、反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物をDCM(50mL)で希釈し、水(50mL×3)で洗浄し、硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、蒸発させた。溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの0〜25%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、98%(6.30g)の収率で無色の液体として純粋なN-BOC保護のアミン66が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.27 (6H, s); 0.73 (3H, d, J = 4 Hz); 0.80 (3H, d, J=4 Hz); 0.89 (9H, s); 1.45 (9H, broad s); 1.50-1.55 (2H, m); 1.62-1.66 (1H, m); 1.75-1.78 (2H, m); 1.91-2.05 (2H, m); 2.17 (2H, m); 3.20 (1H, m); 6.72 (2H, broad d); 6.95 (2H, broad d)。MS (ESI): m/z = 348.10 (M - BOC)。
【0176】
ステップ2。1-[1-(4-ヒドロキシフェニル)シクロブチル]-3-メチルブチル-カルバミン酸tert-ブチル(67)の合成
OTB基の脱保護は、文献のプロトコルに従って実施した(Maiti, G.およびRoy, S. C., Tetrahedron Letters 1997, 38, 495)。ジメチルスルホキシドおよび水の混合物(割合95:5)20mLに溶解したN-BOC保護のアミン66(2.29g、0.005モル)の撹拌溶液を6時間90℃で加熱した。反応の進行はTLCによってモニターした。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈した後、ブライン(50mL)、水(50mL)で連続的に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、蒸発させた。溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの0〜50%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、79%(1.31g)の収率で無色の液体として純粋なフェノール酸誘導体67が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.78 (3H, broad s); 0.80 (3H, broad s); 1.70 (9H, broad s); 1.52-1.69 (3H, m); 2.24 (2H, m); 2.43 (2H, m); 2.78 (2H, m); 3.40 (1H, m); 6.69 (2H, broad d); 7.09 (2H, broad d)。MS (ESI): m/z = 667.00 (2×M+H+)。
【0177】
ステップ3。2-[4-(1-(1-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブチル)-シクロブチル)フェノキシ]-酢酸エチル(69)の合成
無水DMF25mL中のフェノール67(0.5g、0.0015モル)の撹拌溶液に、炭酸セシウム(Cs2CO3)を加えた。得られた混合物を12時間70℃で加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、ブロモ酢酸エチルを加えた。反応混合物を8時間70℃でさらに撹拌し、反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(50mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、蒸発させた。溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの0〜50%勾配を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製したところ、61%(0.38g)の収率で無色の液体として純粋なエステル69が得られた。MS (ESI): m/z = 420.00 (M+H+)。
【0178】
ステップ4。2-[4-(1-(1-アミノ-3-メチルブチル)シクロブチル)フェノキシ]酢酸エチル(70)の合成。
【0179】
DCMおよびトリフルオロ酢酸(TFA)の1:1混合物20mLに溶解した69(0.25g、0.0005モル)の溶液を8時間室温で撹拌した。反応の進行をTLCによってモニターした。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をDCM(50mL)で希釈し、ブライン(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(Na2SO4)で乾燥させ、蒸発させた。溶離液として酢酸エチルおよびヘキサンの0〜100%勾配によって残渣を精製したところ、85%(0.13g)収率で無色の油状物として純粋なアミン70が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 0.85 (3H, broad s); 0.83 (3H, broad s); 1.25 (3H, t, J=4.5 Hz); 1.59 (1H, m); 1.85 (2H, m,); 1.93 (2H, m); 2.20 (2H, m); 2.42 (2H, m); 2.68 (2H, m); 3.21 (1H, m); 4.08 (2H, q, J=4.5 Hz); 5.09 (2H, s); (6.81 (2H, broad d); 7.13 (2H, broad d)。
【実施例12】
【0180】
in vitroにおける薬理試験結果
選択した化合物(54bおよび54d)のモノアミン輸送体阻害活性を本明細書で報告する。これらの化合物は、十分に確立されている放射性リガンド結合アッセイプロトコル(Galli, A.ら, J. Exp. Biol. 1995, 198, 2197-2212;Giros, B.ら, Trends Pharmcol. Sci. 1993, 14, 43-49;Gu, H.ら, J. Biol. Chem. 1994, 269(10), 7124-7130;Shearman, L. P.ら, Am. J. Physiol., 1998, 275(6 Pt 1), C1621-1629;Wolf, W. A.ら, J. Biol. Chem. 1992, 267(29), 20820-20825)を用いて、MDSファーマサービス(MDS Pharma services)(22011 Drive SE, Bothell, WA 98021, USA)において評価された。このin vitroアッセイに対しては、ヒト組換え型輸送体タンパク質のドーパミン(DAT)、ノルエピネフリン(NET)およびセロトニン(SERT)を選択した。ヒト組換え型ドーパミン輸送体(DAT)(MDSカタログ220320)で発現されるCHO-K1細胞をドーパミン輸送体阻害活性の評価に用いた。一方、ヒト組換え型輸送体のノルエピネフリン(NET)(MDSカタログ番号204410)およびセロトニン(SERT)(MDSカタログ番号274030)で発現されるMDCK細胞を用いて、それぞれノルエピネフリン輸送体(NET)およびセロトニン輸送体(SERT)の阻害活性を評価した。放射性リガンド結合アッセイは4種類の様々な試験濃度で実施した。前記試験濃度は、1nM、10nM、0.1μMおよび1μMであった。
【0181】
これらのアッセイは二連で行ない、量的データはIC50、KiおよびnHとして報告した。IC50値を示す場合、それはMathIQ(商標)(ID Business Solutions Ltd. UK)を用いる非線形最小二乗回帰分析により決定した。阻害定数(Ki)を示す場合、ChengおよびPrusoffの方程式(Cheng, Y., Prusoff, W. H., Biochem. Pharmacol. 1973, 22:3099-3108)を使用し、試験化合物で確認されたIC50、アッセイで使用の放射性リガンド濃度およびリガンドのKDに対するヒストリカル値(historical values)(MDS Pharma Servicesで実験的に得られたもの)を用いてKi値を計算した。競合的結合曲線の勾配を定義するヒル係数(nH)を示す場合、MathIQ(商標)を用いて計算した。
【0182】
放射性リガンド結合アッセイを用いた選択化合物(54bおよび54d)のモノアミン輸送体阻害活性を以下の表に報告する。
【表1】

【0183】
本願中で引用されているすべての公表済みの特許および刊行物は、ここでの参照によりその全体を本明細書に組み入れるものとする。
【0184】
本発明の好ましい実施形態をこれまで説明し記載してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を本発明において実施することができることは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)で表され、直接的にまたはスペーサーを介してR1、R2またはR3に結合しているソフト部分を含有する、シクロアルキルメチルアミン誘導体、またはその製薬上許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物。
【化1】

(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
R1およびR2は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであるように独立して選択されるか、あるいは、
場合により、R1およびR2は、R1およびR2が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
R4は、水素、アルキルおよび置換アルキルであり;
ソフト部分+は、加水分解酵素により切断可能な結合を含む)
【請求項2】
構造式(II):
【化2】

(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
「SP」は、直接結合またはスペーサーであり;
Xは、O、S、NH、またはN-アルキルであり;
R2は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであるか、あるいは、場合により、R2およびR5または「SP」(スペーサー)のいずれかは、R2およびR5または「SP」が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
R4は、水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル;好ましくは、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アミノ、アリールアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルコキシ、カルバモイル、カーバメート、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロ、ヘテロアルコキシ、ヒドロキシ;またはホスフェート;ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルである)
で表されるシクロアルキルメチルアミン誘導体、またはその製薬上許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項3】
構造式(III):
【化3】

(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
「SP」は、直接結合またはスペーサーであり;
Xは、O、S、NH、またはN-アルキルであり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
R4は、水素、アルキル、および置換アルキルであり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル;好ましくは、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アミノ、アリールアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルコキシ、カルバモイル、カーバメート、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロ、ヘテロアルコキシ、ヒドロキシまたはホスフェートであり;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル;好ましくは、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アミノ、アリールアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルコキシ、カルバモイル、カーバメート、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロ、ヘテロアルコキシ、ヒドロキシまたはホスフェートであるか;あるいは、場合により、R5およびR7は、R5およびR7が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合により、フェニル、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよい)
で表されるシクロアルキルメチルアミン誘導体、またはその製薬上許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項4】
構造式(IV):
【化4】

(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
「SP」は、直接結合またはO、S、アルキル、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、アミノ、カルボキシおよびヒドロキシルからなる群から選択されるスペーサーであり;
Xは、O、S、NH、またはN-アルキルであり;
R2は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであるか、あるいは、場合により、R2およびR5またはR7のいずれかは、R2およびR5またはR7が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R4は、水素、アルキル、および置換アルキルであり;
R5は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル;アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルコキシ、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アミノ、アリールアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルコキシ、アリールアルコキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルコキシ、カルバモイル、カーバメート、カルボキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロ、ヘテロアルコキシ、ヒドロキシまたはホスフェートであるか;あるいは、場合により、R5およびR7は、R5およびR7が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R6は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
R7は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであるか;あるいは、場合により、R5およびR7は、R5およびR7が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよい)
で表されるシクロアルキルメチルアミン誘導体、またはその製薬上許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項5】
nが0、1または2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R1が置換フェニルまたはアリールである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R1がフェニルであり、アリール基がハロゲン、低級アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、またはソフト部分を有する置換基で置換されている、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R2がアルキル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
アルキル基がエチル、n-プロピル、イソ-プロピルまたはn-ブチル、イソブチル、s-ブチル、またはt-ブチルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
アルキル基がn-ブチルまたはイソブチルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R3がH、アルキルまたは置換アルキルまたはソフト部分を有するアルキル置換基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項12】
R3が(CH2)mC(O)Oアルキル(式中、mは0、1、2、3、4、5、6または7である)である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
nが0であり、R1がp-クロロフェニルであり、R2が低級アルキルまたはイソブチルであり、R3が(CH2)mC(O)OR'(式中、mは0、1、2、3、4、もしくは5であり、R'はエチル、イソプロピル、アルキルもしくは置換アルキルである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
R4がHである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
ソフト部分がアミド、エステル、カーボネート、ホスフェート、スルフェートまたは尿素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
ソフト部分がさらにスペーサーを含む、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
スペーサーがO、S、アルキル、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、アミノ、カルボキシまたはヒドロキシルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
スペーサーがアルキル、置換アルキルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
肥満または肥満関連の共存症を治療および/または予防する方法であって、構造式(I)で表され、直接的にまたはスペーサーを介してR1、R2またはR3に結合しているソフト部分を含有する、シクロアルキルメチルアミン誘導体、またはその製薬上許容可能な塩、水和物もしくは溶媒和物を含む組成物を患者に投与することを含む、前記方法。
【化5】

(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
R1およびR2は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであるように独立して選択されるか、あるいは、
場合により、R1およびR2は、R1およびR2が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
R4は、水素、アルキルおよび置換アルキルであり;
ソフト部分は、加水分解酵素により切断可能な結合を含む)
【請求項20】
肥満または肥満関連の共存症が悪心、嘔吐、認知機能障害、アルツハイマー病、摂食障害、過敏性腸症候群、強迫性障害、血小板粘着;睡眠時無呼吸、多動性障害、統合失調症、うつ病、不安神経症、男性および女性の性機能障害、下肢静止不能症候群、変形性関節症、物質濫用、ナルコレプシー、疼痛、片頭痛、脳機能障害、月経前症候群および失禁である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
nが0、1または2である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
R1がアリールであり、アリール基がハロゲン、低級アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ基またはソフト部分を有する置換基で置換されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
R2がエチル、n-プロピル、イソ-プロピルまたはn-ブチル、イソブチル、s-ブチル、またはt-ブチルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
R3が(CH2)mC(O)Oアルキル(式中、mは、0、1、2、3、4、5、6または7である)である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
nが0、1または2であり、R1がp-クロロフェニルであり、R2がn-ブチルまたはイソブチルであり、R3が(CH2)mC(O)OR'(式中、mは0、1、2、3、4、または5であり、R'はエチル、イソブチル、アルキルまたは置換アルキルである)である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
R4がHである、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
結合がアミド結合、エステル結合、炭酸結合、リン酸結合、硫酸結合または尿素結合である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ソフト部分がさらにスペーサーを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
スペーサーがO、S、アルキル、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、アミノ、カルボキシルまたはヒドロキシルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
スペーサーがアルキル、置換アルキルである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
構造式(I)で表され、直接的にまたはスペーサーを介してR1、R2またはR3に結合しているソフト部分を含有する、シクロアルキルメチルアミン誘導体を合成する方法であって、
【化6】

(式中、
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
R1およびR2は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルであるように独立して選択されるか、あるいは、場合により、R1およびR2は、R1およびR2が結合している原子と一緒になって、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環(これは、場合によりアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環に縮合していてもよい)を形成していてもよく;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであり;
R4は、水素、アルキルおよび置換アルキルである)
式(V):
【化7】

の化合物をソフト部分と反応させて対応するシクロアルキルメチルアミンを得ることを含む、前記方法。
【請求項32】
ソフト部分が加水分解酵素により切断可能な結合を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
結合がアミド結合、エステル結合、炭酸結合、リン酸結合、硫酸結合または尿素結合である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ソフト部分がさらにスペーサーを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
スペーサーがO、S、アルキル、アシル、アシルアミノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルチオ、アミノ、カルボキシルまたはヒドロキシルである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
スペーサーがアルキル、置換アルキルである、請求項35に記載の方法。

【公表番号】特表2010−503709(P2010−503709A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528524(P2009−528524)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/078682
【国際公開番号】WO2008/034142
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509072249)レビバ ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】