説明

シクロデキストリン、リポソーム及び生分解性ポリマー並びに/或いはそれらの混合物及び生成物を用いる、ペプチドアンギオテンシン−(1−7)並びにその類似体、作動薬及び拮抗薬の製剤の調製方法

【課題】温血動物における動脈性高血圧症及び他の心血管疾患並びにその合併症、創傷、火傷、紅斑、腫瘍、糖尿病、精子の運動性、腎症、胃腸及び婦人科障害、血管新生、血管形成、脱毛症並びに血液疾患の研究又は治療のため、又はGタンパク質共役型受容体MASのリガンドとしての研究のための医薬製剤の提供。
【解決手段】親水性シクロデキストリン、リポソーム、生分解性ポリマー及びその誘導体を用いるD−Ala−アンギオテンシン−(1−7)(A−779)及び類似体及び誘導体、D−Pro−アンギオテンシン−(1−7)及び類似体又は誘導体、Ang−(1−7)類似体又は誘導体の製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にシクロデキストリン、及び誘導体、リポソーム、及び生分解性ポリマー、並びに/或いはそれらの系及び/又は誘導生成物の混合物を用いる、ヘプタペプチドアンギオテンシン−(1−7)並びにその類似体、作動薬及び拮抗薬の製剤の調製方法であることを特徴とする。また、本発明は、心血管疾患、腎疾患、生殖疾患、皮膚科学的疾患、腫瘍性疾患、神経学的疾患及び血液疾患における研究及び治療のために、封入製剤を用い又は用いずに、G共役型受容体、MASと、アンギオテンシン−(1−7)及びその類似体との間のリガンド−受容体相互作用を同定することを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
世界のほとんどの国において、成人人口のうち15%から25%は、高い動脈血圧を示す[MacMahon Sら、血圧、脳卒中、及び冠状動脈性心臓病(Blood pressure、stroke、and coronary heart disease)Lancet、335巻、765〜774ページ、1990年]。心血管系疾患の危険性は、動脈圧のレベルとともに増加する。動脈圧が高くなればなるほど、脳血管障害及び冠動脈疾患の危険性は大きくなる。高血圧は、冠動脈疾患、脳血管疾患及び腎血管疾患を引き起こす主要因とされており、成人の死亡及び不能化の主因である。
【0003】
心不全は、世界的に60から80歳の年齢層における患者での入院の主な原因である。高齢化は、すでに心不全発生率の増加の重要な要因となっており、他方25から54歳の年齢幅においては1%の人が心不全を呈し、高齢者になればなるほど発生率は極めて高くなり、75歳を超える人では約10%に達する[Kaannel W.B.他、心不全の疫学的特徴の変化(Changing epidemiological features of cardiac failure)Br.Heart J、72巻(補遺)、S3〜S9ページ、1994年]。
【0004】
心不全は、その臨床的特徴からすれば、悪化に伴って患者の生活の質を低下させる拘束性疾患(a restrictive disease)であり、進行した症状では、今日でさえ最初の年の死亡率が60%を上回る悪性疾患として特徴付けられる[Oliveira、M.T.進行うっ血性心不全の臨床的特徴及び患者の予後(Clinical characteristics and patient′s prognostic with advanced congestive heart failure)Faculty of Medicine、USP、1999年]。今日、先進工業国に限っても1500万人の患者が罹患しており、例えば、米国に限っても1973年から1990年の間に症例数は450%増加したと見積もられている[Kannel、W.B.他、心不全の疫学的特徴の変化(Changing epidemiological features of cardiac failure)Br.Heart J、72巻(補遺)、S3〜S9ページ、1994年]。
【0005】
高血圧は、数えきれないほどの有害作用及び高い罹患死亡率の原因となる、複雑で多因子性の罹患率の高い疾患である[Kaplan、N.M.心血管系危険因子としての血圧:予防及び治療(Blood pressure the cardiovascular risk factor:prevention ant treatment)JAMA、275巻、1571〜1576ページ、1996年]。高血圧の過程をより良く理解するため、一般的グループ及び特別なグループにおける集団において高血圧の管理の有効性を評価することを目指していくつかの研究が展開されてきた。関連危険因子(糖尿病、肥満、喫煙など)の医薬品を用いずに、幅広い治療によることなく正常レベルの血圧に制御することは、冠動脈疾患に関する限りでは、一般に、死亡率の低下の点で動脈性高血圧の長期治療のメリットを低減させたり、あるいは無にすることさえある[Wilson、P.W.他、高血圧、心血管疾患の危険因子及び危険(Hypertension、the risk factors and the risk of cardiovascular disease)Raven Press。94〜114ページ]。
【0006】
高血圧は、心血管のアテローム性動脈硬化症に大きな影響を与える病変である[高血圧の発見、診断、及び治療についての米国合同委員会の第5次報告(The fifth Report of the Joint National Committee on detection、evaluation、and treatment of High Blood Pressure)。National Institute of Health(VJNC)Arch.Intern.Med.、153巻、154〜181ページ、1994年]。統計資料によれば、アメリカ人4人のうち一人は高血圧であり、心不全は478万人と推定される。毎年、40万の新症例が診断され、80万件の入院を招き、治療には米ドルで178億ドルが費やされる。
【0007】
ブラジルでは、National System of Health(SUS)からのデータが、1997年、心不全は、心臓疾患の中でも入院の主因であり、治療には政府から約1億5千万レアルが費やされ、これは健康に関する全支出の4.6%に相当することを示している[Filho、Albanesi F.、ブラジルにおける心不全(Heart failure in Brazil)Arq.Bras.Cardiol、71巻、561〜562ページ、1998年]。
【0008】
レニン−アンギオテンシン系(RAS)は、生理的条件及び病的条件において見られるように、動脈圧、心血管の恒常性及び水電解質平衡の調節に関与する[Krieger、E.M.;Santos、R.A.S.アンギオテンシン生理的側面(Angiotensins−physiologic aspects)Hypertension、1巻、7〜10ページ、1998年]。アンギオテンシンII(Ang II)は、RASの主要なペプチドであり、いくつかの作用、すなわち昇圧剤、副腎ステロイド合成の刺激因子、増殖作用(線維芽細胞、脈管構造の平滑筋)及び肥大作用(心筋細胞)を有している。その生成経路は、肝臓からのアンギオテンシノーゲンの産生及び傍糸球体装置におけるレニン産生を含む。これらの物質は血液中に放出され、アンギオテンシノーゲンはレニンによって加水分解されてAng Iを生成し、これが主に肺循環でアンギオテンシン変換酵素(ACE)によってAng IIに変換され、Ang IIが生成する。この最後のペプチドは、その産生場所から遠く離れた標的器官で作用する[Krieger、E.M.;Santos、R.A.S.アンギオテンシン−生理的側面(Angiotensins−physiologic aspects)Hypertension、1巻、7〜10ページ、1998年]。
【0009】
最近、循環中でAng IIを生成する循環RASと並行して、おそらく局所作用のために様々な組織中でAng IIを生成する独立した系が存在することが発見された。RASのすべての成分が、血管の壁内、子宮内、膵臓の外分泌部分、眼、心臓、副腎皮質、精巣、卵巣、脳下垂体の前葉及び中葉、松果体及び脳で見い出された。これらの組織RASの機能は、あまり理解されていない[Ardaillou、R.;Michel、J.B.循環及び組織レニン−アンギオテンシン系の相対的役割(The relative roles of circulating and tissue renin−angiotensin systems)Nephrol.Dial.Transplant.、14巻、283〜286ページ、1999年]。RASの局所作用は、ペプチドを産生する細胞のレベルで(自己分泌又は細胞内分泌機能として)、又は隣接する細胞上で(傍分泌機能として)、又は産生領域から離れた部位において(内分泌機能)起きることがある。
【0010】
最近の知見から、RASの重要な末梢性及び脳の作用が、アンギオテンシン−III[Ang−(2−8)]、アンギオテンシン−IV[Ang−(3−8)]及びアンギオテンシン−(1−7)を含むより小さな配列のアンギオテンシン作動性ペプチドによって仲介されることが明らかにされている。我々は、アンギオテンシン−I[Ang−(1−10)]とアンギオテンシン−II[Ang−(1−8)]は共に、生体内変換工程を受け、生物学的に活性なアンギオテンシンペプチドの全「ファミリー」を産生し得ることを検討している[Santos、R.A.S.;Campagnole−Santos、M.J.;Andrade、S.P.アンギオテンシン−(1−7):最新情報(Angiotensin−(1−7):an update)Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年]。
【0011】
アンギオテンシン−(1−7)は、アンギオテンシン「ファミリー」の生物学的に活性なペプチドであり、ACEとは無関係な経路によって生成される。エンドペプチダーゼによるAng Iのプロセシング又はプロリル−ペプチダーゼ又はカルボキシ−ペプチダーゼによるAng IIのプロセシングにより、ヘプタペプチドであるAng−(1−7)が生成できる。Ang−(1−7)は、アミノ−ペプチダーゼによって加水分解されて、Ang−(2−7)及びAng−(3−7)を生成することができる。ACEによるAng−(1−7)の加水分解により、Ang−(1−5)が生成する[Santos、R.A.S.;Campagnole−Santos、M.J.;Andrade、S.P.アンギオテンシン−(1−7):最新情報(Angiotensin−(1−7):an update)Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年]。
【0012】
アンギオテンシン−(1−7)及びAng IIは、RASの主要なエフェクターである。しかしながら、2つの重要な特徴によって、アンギオテンシン−(1−7)はAng IIとは区別される。即ち、アンギオテンシン−(1−7)は、極めて特異的な生物学的作用を有し、その生成経路はACEと無関係である[Santos、R.A.S.;Campagnole−Santos、M.J.;Andrade、S.P.アンギオテンシン−(1−7):最新情報(Angiotensin−(1−7):an update)Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年]。
【0013】
高血圧治療の主目的は、経費削減(fall expenses)を追求するばかりでなく、生活の質を向上させ、必要な場合には投薬を行うことにより末端器官の損傷を予防することである[高血圧の発見、診断、及び治療についての米国合同委員会の第5次報告(The Fifth Report of the Joint National Committee on detection、evaluation、 and treatment of High Blood Pressure)National Institute of Health(VJNC).Arch.Intern.Med.、153巻、154〜181ページ、1994年]。
【0014】
患者が、3から6カ月にわたる生活様式の変化に応答せず、末端器官の損傷(左心室肥大、心筋虚血、脳卒中、又は高血圧性網膜症)が存在する場合、抗高血圧薬の使用が必要となる。収縮期動脈圧が180mmHg以上であるか拡張期動脈圧が110mmHg以上である患者はすべて、他とは無関係に薬理学的治療を受け入れなければならない[Report of the Canadian Hypertension Society。Consensus Conference。3。本態性高血圧症の薬理学的治療(Pharmacological treatment of essential hypertension)。Xan.Med.Assoc.J.149巻(3号)、575〜584ページ、1993年]。
【0015】
しかしながら、1970年代から1980年代には、高い動脈圧の治療にとって抗高血圧薬は重要な道具となった[Menard、J.レニン−アンギオテンシン系の選集:アンギオテンシンII拮抗薬への100文献アプローチ(Anthology of renin−angiotensin system:The one hundred reference approach to angiotensin antagonistic II)。J.Hypertension、11巻(補遺3):S3〜S11ページ、1993年]。ここ40年間で、薬理学的研究により、高血圧を治療する新しい種類の薬物、すなわち60年代には利尿薬、70年代にはベータ遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、アンギオテンシンII拮抗薬及びACE阻害剤が生まれた。
【0016】
利尿薬は、3つの種類、すなわちチアジド系利尿薬、ループ利尿薬及びカリウム保持性利尿薬に分けることができる。チアジド系利尿薬及び類似体には、クロロチアジド及びヒドロクロロチアジドが含まれ、これらは主に、細胞外容積の減少並びに利尿及びナトリウム排泄の増加により、治療の1日目に動脈圧の10〜15%の減少を引き起こす。6カ月後、血液容量及び心拍出量はベースラインレベルまで戻り、末梢血管抵抗の減少によって動脈圧の減少は維持される[Frolich、E.高血圧の治療における最近の手法(Current Approaches in the treatment of Hypertension)、405〜469ページ]。これらの薬物は、常に単独療法として用いられ、黒人患者において最良の結果が得られており、高齢の患者では低用量で使用される。利尿薬は、付随的作用として、末梢のインスリン抵抗性の増加、中性脂肪レベルの増加、LDLの増加、低カルシウム血症、高尿酸血症を有する。ループ利尿薬には、フロセミド、ブメタニド及びトリアムテレン(trianterene)があり、それらは、チアジド系利尿薬よりはるかに強力である。ループ利尿薬は、主にヘンレ係蹄の髄質及び皮質部分で作用する。それらは、チアジド系利尿薬化合物と同一の付随的作用を示す。しかしながら、カリウム保持性利尿薬には、アミロライド(amolonide)、トリアムテレン及びスピロノラクトンが含まれ、これらは弱い利尿作用を持つ薬物であり、単独で使用されることはほとんどない。
【0017】
アテノロール及びナドロールなどのベータ遮断剤は、ベータ1及びベータ2に分類され、作用機序は完全に解明されていない。ベータ遮断剤は、付随的作用として、インスリンに対する応答の変化、低血糖性昏睡の延長、中性脂肪レベルの増加及び腎流量の減少によるクレアチニンの増加を示す。
【0018】
カルシウムチャネル遮断剤は、少なくとも25年間用いられている(Frolich、E.D.高血圧の治療における最近の手法(Current Approaches in the Treatment of Hypertension)、405〜469ページ、1994年)。カルシウムチャネル遮断剤は、薬理作用に従って、2つの主要グループ、すなわちベラパミル及びジルチアゼムなどの、刺激の伝導においてより大きな作用を有するカルシウムチャネル遮断剤と、ジヒドロピリジンから誘導されるカルシウムチャネル遮断剤(ニフェジピン及びその他)のような主に血管拡張作用を示すカルシウムチャネル遮断剤とに分類することができる[Frolich、E.D.、高血圧症(Hypertension)。Adult Clinical Cardiology Self Assessment Program(ACCSAP)、6巻、3〜19ページ、1995年]。カルシウムチャネル遮断剤は、付随的作用として、下肢(inferior member)の浮腫及び頻脈を示す。
【0019】
ACE阻害剤の主作用は、アンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの変換を阻害することである。したがって、アンギオテンシンIIの基本的な血管収縮作用は最小限に抑えられる。臨床的に使用された最初のACE阻害剤であるテプロチドは、経口投与した場合に不活性であるため、静脈内経路によって投与された場合にのみ抗高血圧作用を発揮し、その事がその使用を制限した。現在、ACEは、複数の作用を持つ酵素であること、すなわちいくつかの基質において作用することが知られている。アンギオテンシンI及びブラジキニンにおいて、ジペプチダーゼとして作用する他に、ナトリウム利尿ペプチドのペプチド鎖を加水分解する能力もあり、この酵素がいくつかの組織において作用することができることを示している。ACEは、循環及び組織Ang−(1−7)の不活性化に重要な役割を有している。このペプチドの循環濃度は、Ang II濃度と類似しており、ACEの阻害後に増加することが判明している。この増加は、前駆体(Ang I)の増加とACEによる前駆体分解の減少の双方によると考えられる[Santos、R.A.S.;Campagnole−Santos、M.J.;Andrade、S.P.アンギオテンシン−(1−7):最新情報(Angiotensin−(1−7):an update)Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年]。ACE阻害剤は、単独療法として投与された場合に優れており、60から70%の高血圧患者で比較的速やかな動脈圧の降下を引き起こす[Ganong、W.心血管コントロールにおける神経ペプチド(Neuropeptides in cardiovascular control)J.Hypertens、2巻(補遺3):15〜22ページ、1984年]。さらに、それらは、一般的に耐性が良好であるが、その使用は付随的作用及び有害な反応を引き起こすことがあり、それらの一部、とりわけ血管性浮腫、皮膚発疹及び乾性咳は比較的重症である(8から10%)。
【0020】
Ang II拮抗薬を開発する試みは、70年代の初頭から始まり、それらの試みは、Ang IIに類似したペプチドの開発に集中された。最初の拮抗薬は、サララシン、すなわち1−サルコシン、8−イソロイシンアンギオテンシンIIであり、その後他の拮抗薬が続いた。しかしながら、それらの拮抗薬は、部分的な作動薬としての活性を示したため、臨床的に受け入れられなかった。1982年、非ペプチド性を特徴とするAT受容体に対する2種類の選択的拮抗薬が初めて開発された(S−8307及びS8308)。しかしながら、それらの拮抗薬は、作動薬としての活性もなく極めて特異的であったが、Ang IIの受容体に対して弱い結合を示した。これら2種類の前駆体の分子構造に一連の修飾を行い、効能を改善し、選択性を保持し、さらに薬物動態学的特性に達成するため、経口的に活性で、強力かつ高い特異性の新たな製品ロサルタンが開発された。それ以来、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、タソサルタン及びゾラサルタンなどの非ペプチド起源である他の多くの拮抗薬が開発された。
【0021】
アンギオテンシン−(1−7)、(Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro)及びその誘導体の一つ[Sar]−Ang−(1−7)は、ヒト[Ueda S、Masumori−Maemoto S、Ashino K、Nagahara T、Gotoh及び、Umemura S、Ishii M。アンギオテンシン−(1−7)は、ヒトにおいてアンギオテンシンIIによって引き起こされる血管収縮を軽減するが、ノルアドレナリンによって引き起こされる血管収縮を軽減しない(Angiotensin−(1−7) attenuates vasoconstriction evoked by angiotensin II but not by noradrenaline in man)。Hypertension、35巻、998〜1001ページ、2000年]及びマウス[Bovy PR、Trapani AJ、McMahon EG、Palomo M。アンギオテンシンIIのカルボキシ末端切断型類似体[Sar]−アンギオテンシンII−(1−7)−アミドは、新たな種類のアンギオテンシンII拮抗薬への入口を提供する(The carboxy−terminus truncated analogue of angiotensin II [Sar]−angiotensin II−(1−7)−amide,provides an entry to the new class of angiotensin II antagonists)。J Med Chem、32巻、520〜522ページ、1989年]において、Ang IIの昇圧作用と拮抗する。ウサギ及びヒトの摘出動脈においてAng IIによって引き起こされた収縮も、アンギオテンシン−(1−7)によって軽減される[Bovy PR、Trapani AJ、McMahon EG、Palomo M。アンギオテンシンIIのカルボキシ末端切断型類似体[Sar]−アンギオテンシンII−(1−7)−アミドは、新たな種類のアンギオテンシンII拮抗薬への入口を提供する(The carboxy−terminus truncated analogue of angiotensin II [Sar]−angiotensin II−(1−7)−amide,provides an entry to the new class of angiotensin II antagonists)。J Med Chem.、32巻、520〜522ページ、1989年。Roks AJ、Van−Geel PP、Pinto YM、Buikema H、Henning RH、of Zeeuw D、van−Gilst WH。アンギオテンシン−(1−7)は、ヒトのレニン−アンギオテンシン系の調節因子である(Angiotensin−(1−7) is a modulator of the human renin−angiotensin system)。Hypertension、34巻(2号)、296〜301ページ、1999年]。
【0022】
ごく最近まで、Ang−(1−7)応答の伝達に関与する受容体は同定されておらず、Ang−(1−7)のシグナル伝達に関しては多くの可能性が揚げられた。Ang−(1−7)作用のためのシグナル伝達に様々な受容体及び/又は様々な機序が存在するという初めての証拠は、いくつかのAng−(1−7)作用が、Ang IIに帰せられる作用とは異なり、正反対でさえあるという立証に基づくものであった。最近、ヘプタペプチドD−[Ala]−Ang−(1−7)(A−779)が、Ang−(1−7)作用に対する強力な拮抗薬として見なされた[Santos RAS、Campagnole−Santos MJ、Baracho NCV、Fontes MAP、Silva LCS、Neves LAA、Oliveira DR、Caligiorne SM、Rodrigues ARV、Gropen Jr. C、Carvalho WS、Silva ACS、Khosla MC。アンギオテンシン−(1−7)に対して選択的な新しいアンギオテンシン拮抗薬の特徴:アンギオテンシン−(1−7)の作用が、特異的なアンギオテンシン受容体によって仲介される証拠(Characterization of the new angiotensin antagonist selective goes angiotensin−(1−7):Evidence that the actions of angiotensin−(1−7) it plows mediated by specific angiotensin receptors)Brain Res.Bull.、35巻、293〜299ページ、1994年]。この研究の結果は、この類似体が、いくつかの生物学的調製物において作動薬としての活性を示さないAng−(1−7)の選択的拮抗薬であることを示した。A−779は、水を過負荷したラットにおいてAng−(1−7)の抗利尿作用に強力に拮抗することが判明した。ウサギの輸入性細動脈においてAng−(1−7)によって生じる血管拡張、RVLMにおけるAng−(1−7)の昇圧作用、in vivoにおける腸間膜の微小循環において生じる血管拡張は、A−779の投与によって完全に阻止され、選択的Ang II拮抗薬によって影響を受けない。ウシの内皮細胞、イヌの冠状動脈、SHR大動脈、ヒトの上皮線維芽細胞、ヒトの心臓線維芽細胞及び腎切片を用いた他の研究は、A−779によって遮断することができるAng−(1−7)の特異的受容体が存在するという立証を裏付けた[Santos、RAS.;Campagnole−Santos、MJ.;Andrade、SP。アンギオテンシン−(1−7):最新情報(Angiotensin−(1−7):an update)。Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年]。
【0023】
A−779と、Sar1−D−Ala 7−Ang−(1−7)[Bovy PR、Trapani AJ、McMahon EG、Palomo M。アンギオテンシンIIのカルボキシ末端切断型類似体[Sar]−アンギオテンシンII−(1−7)−アミドは、新たな種類のアンギオテンシンII拮抗薬への入口を提供する(The carboxy−terminus truncated analogue of angiotensin II [Sar]−angiotensin II−(1−7)−amide,provides an entry to the new class of angiotensin II antagonists)J Med Chem.、32巻、520〜522ページ、1989年]、及びD−Pro7−Ang−(1−7)[Naves−Santos、V.、Khosla、M.C.、Oliveira、R.C.、Campagnole−Santos、M.J.、Lima、D.X.、Santos、RAS。アンギオテンシン−(1−7)の中心昇圧作用の類似体[D−Pro7]−アンギオテンシン−(1−7)による選択的阻害(Selective inhibition of the effect central pressor of angiotensin−(1−7) for its similar one [D−Pro7]−angiotensin−(1−7))XI Reuniao Annual of the Federation of Society of Experimental Biology、1996年、Caxambu、MG]などのその類似体は、Ang−(1−7)の生物学的作用を解明するための道具として極めて役に立つ。
【0024】
Ang−(1−7)は、RAS内でこの系の対抗制御(contraregulatory)ペプチドとして働き、複数の地点で作用することが立証されている[Ferrario CM、Chappell MC、Dean RH、Iyer SN。新規アンギオテンシンペプチドは、血圧、内皮機能、及びナトリウム利尿を調節する(Novel angiotensin peptides regulate blood pressure、endothelial function、and natriuresis)。J Am Soc Nephrol。9巻、1716〜1722ページ、1998年。Santos、RAS.;Campagnole−Santos、MJ.;Andrade、SP。アンギオテンシン−(1−7):最新情報(Angiotensin−(1−7):an update)。Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年。Heringer−Walther S、Batista EN、Walther T、Khosla MC、Santos RAS、Campagnole−Santos MJ。ACE阻害後のSHRにおける圧反射改善は、アンギオテンシン−(1−7)を必要とする(Baroreflex improvement in SHR after ACE inhibitors involves angiotensin−(1−7)。Hypertension、37巻、1309〜1313ページ、2001年)]。
【0025】
Ang−(1−7)は、血管新生及び細胞増殖を減少させるため(Machado、RDP、Santos、RAS、Andrade、SP。アンギオテンシン−(1−7)の機序は、血管新生の阻害を引き起こした(Mechanisms of angiotensin−(1−7) induced inhibition of angiogenesis)。Am J Physiol、280巻、994〜1000ページ、2001年。Rodgers K、Xiong S、Felix J、Rotates N、Espinoza T、Maldonado S、Dizerega G。皮膚修復を促進する薬剤としてのアンギオテンシン−(1−7)の開発(Development of angiotensin−(1−7) the in the agent to acelerate dermal repair)。Wound Repair Regen、9巻、238〜247ページ、2001年)組織障害の治療の可能性を示す。Ang−(1−7)は、それが基質として働く当該酵素のアミノ末端ドメイン、更にはそれが阻害剤として働くc末端ドメイン内において、ACE阻害剤として働くことができる[Deddish PA、Marcic B、Jackman HL、Wang HZ、Skidgel RA、Erdos EG。アンギオテンシン変換酵素のNドメイン特異的基質及びCドメイン阻害剤:アンギオテンシン−(1−7)及びケトACE(N−domain−specific substrate and C−domain inhibitors of angiotenisn−converting enzyme:angiotensin−(1−7) and keto−ACE)。Hypertension。31巻、912〜917ページ、1998年。Tom B、Of Vries R、Saxena PR、Danser AHJ。アンギオテンシン−(1−7)及びACE阻害剤によるブラジキニン増強は、ACEのC及びNドメイン遮断と相関する(Bradykinin potentiation by angiotensin−(1−7) and ACE inhibitors correlates with ACE C− and N−domain blockade)Hypertension、38巻、95〜99ページ、2001年]。ACEの阻害に関するIC50は、約1マイクロモルである[Chappell MC、Pirro NT、Sykes THE、Ferrario CM。アンギオテンシン変換酵素によるアンギオテンシン−(1−7)の代謝(Metabolism of angiotensin−(1−7) by angiotensin−converting enzyme)。Hypertension。31巻(パート2)、362〜367ページ、1998年。Paula、RD、Lima、CV、Britto、RR、Campagnole−Santos、MJ、Khosla、MC、Santos、RAS。アンギオテンシン−(1−7)関連ペプチドによるブラジキニンの血圧低下作用の増強(Potentiation of the hypotensive effect of bradykinin by angiotensin−(1−7)−related peptides)。Peptides、20巻、493〜500ページ、1999年。Deddish PA、Marcic B、Jackman HL、Wang HZ、Skidgel RA、Erdos EG。アンギオテンシン変換酵素のNドメイン特異的基質及びCドメイン阻害剤:アンギオテンシン−(1−7)及びケトACE(N−domain−specific substrate and C−domain inhibitors of angiotenisn−converting enzyme:angiotensin−(1−7) and keto−ACE)。Hypertension。31巻、912〜917ページ、1998年]。
【0026】
ACE阻害活性に加えて、Ang−(1−7)は、以下の2つの異なる機序により、Ang II作用を阻害する:
1)AT受容体上の結合を競合すること
[Bovy PR、Trapani AJ、McMahon EG、Palomo M。アンギオテンシンIIのカルボキシ末端切断型類似体[Sar]−アンギオテンシンII−(1−7)−アミドは、新たな種類のアンギオテンシンII拮抗薬への入口を提供する(The carboxy−terminus truncated analogue of angiotensin II [Sar]−angiotensin II−(1−7)−amide,provides an entry to the new class of angiotensin II antagonists)。J Med Chem.、32巻、520〜522ページ、1989年。−Ueda S、Masumori−Maemoto S、Ashino K、Nagahara T、Gotoh及び、Umemura S、Ishii M。アンギオテンシン−(1−7)は、ヒトにおいてアンギオテンシンIIによって引き起こされる血管収縮を軽減するが、ノルアドレナリンによって引き起こされる血管収縮は軽減しない(Angiotensin−(1−7) attenuates vasoconstriction evoked by angiotensin II but not by noradrenaline in man)。Hypertension、35巻、998〜1001ページ、2000年。Roks AJ、Van−Geel PP、Pinto YM、Buikema H、Henning RH、deZeeuw D、van−Gilst WH。アンギオテンシン−(1−7)は、ヒトのレニン−アンギオテンシン系の調節因子である(Angiotensin−(1−7) is a modulator of the human renin−angiotensin system)。Hypertension、34巻(2号)、296〜301ページ、1999年。Rowe BP、Saylor DL、Speth RC、Absher DR。ラット脳内のアンギオテンシンII受容体において結合するアンギオテンシン−(1−7)(Angiotensin−(1−7) binding at angiotensin II receptors in the rat brain)。Regul Pep。56巻(2号)、139〜146ページ、1995年。Mahon JM、Carrr RD、Nicol AK、Hendersn IW。アンギオテンシン−(1−7)は、1型アンギオテンシンII受容体における拮抗薬である(Angiotensin−(1−7) is an antagonist at the type 1 angiotensin II receptor)。J Hypertension、12巻、1377〜1381ページ、1994年]、及び
2)おそらく細胞内カルシウムの利用能を変化させることにより、Ang II作用によるシグナル伝達機序を変化させること
[Chansel D、Vandermeerch S、Andrzej T、Curat C、Ardaillou R。メサンギウム細胞における基礎的なアンギオテンシンII刺激性サイトゾルCa+2に対するアンギオテンシンIV及びアンギオテンシン−(1−7)の影響(Effects of angiotensin IV and angiotensin−(1−7) on basal angiotenin II−stimulated cytosolic Ca+2 in mesangial cells)。Eur J Pharmacol。414巻、165〜175ページ、2001年)によってAng II作用を阻害する。Ang−(1−7)が心血管系に対するAng IIの有害な作用に拮抗することができる第三の機序は、ブラジキニン作用の増強である(Paula、RD;It Rasps、CV、Khosla、MC、Santos、RAS。アンギオテンシン−(1−7)は、覚醒ラットにおいてブラジキニンの血圧低下作用を増強する(Angiotensin−(1−7) potentiates the hypotensive effect of bradykinin in concious rats)。Hypertension、26巻、1154〜1159ページ、1995年。Li P、Chappell MC、Ferrario CM、Brosnihan KB。アンギオテンシン−(1−7)は、ACEと競合して一酸化窒素を放出することにより、ブラジキニン誘発血管拡張を増強する(Angiotensin−(1−7) augments bradykinin−induced vasodilation by competing with ACE and releasing nitric oxide)。Hypertension。29巻(パート2)、394〜400ページ、1997年)。
【0027】
ブラジキニンは、強力な血管拡張作用を持つ内因性ペプチドである[Rocha及びSilva、M、Beraldo、WT、Rosenfeld、G。ヘビ毒及びトリプシンにより血漿グロブリンから放出される血圧低下及び平滑筋刺激因子であるブラジキニン(Bradykinin、 the hypotensive and smooth muscle stimulating factor releases from shapes globulin by snake venoms and by trypsin)。Am.J.Physiol.、156巻、261〜273ページ、1949年]。
心臓におけるブラジキニンの有益な作用についても記載されている[Linz W、Wohlfart P、Scholkens BA、Malinski T、Wiemer G。ACE、キニンとNO間の相互作用(Interactions among ACE、 kinins and NO)。Cardiovasc Res。43巻、549〜561ページ、1999年]。Ang−(1−7)は、血管内[Paula、R.D.;Lima、C.V.;Khosla、M.C.;Santos、R.A.S.。アンギオテンシン−(1−7)は、覚醒ラットにおいてブラジキニンの血圧低下作用を増強する(Angiotensin−(1−7) potentiates the hypotensive ffect of bradykinin in concious rats)。Hypertension、26巻、1154〜1159ページ、1995年。Li P、Chappell MC、Ferrario CM、Brosnihan KB。アンギオテンシン−(1−7)は、ACEと競合して一酸化窒素を放出することにより、ブラジキニン誘発血管拡張を増強する(Angiotensin−(1−7) augments bradykinin−induced vasodilation by competing with ACE and releasing nitric oxide)。Hypertension。29巻(パート2)、394〜400ページ、1997年]、及び心臓内[Almeida、AP、Frabregas、BC、Madureira、MM、Santos、RJ S、Campagnole−Santos、MJ、Santos、RAS。アンギオテンシン−(1−7)は、摘出ラット心臓におけるブラジキニンの冠拡張作用を増強する(Angiotensin−(1−7) potentiates the coronary vasodilatory effect of bradykinin in the isolated rat heart)。Braz.J.of Medical and Biological Research、33巻、709〜713ページ、2000年]でブラジキニンの作用を増強する。
【0028】
体内分布、薬物動態及び溶解性などの性質を変えるため、特定の薬物を化学的に修飾することができる。薬物の溶解性及び安定性を高めるために様々な方法が用いられ、特に有機溶媒の使用、エマルジョン又はリポソーム内への取り込み、pHの調整、化学的修飾及びシクロデキストリンとの複合体形成が挙げられる。
【0029】
シクロデキストリンは、環状オリゴ糖ファミリーであり、グルコピラノース6、7又は8単位を含む。3次元的な相互作用により、シクロデキストリン(CD)は、内部に無極性の空洞を持つ(円錐台)の形をした環状構造を形成する。シクロデキストリンは、位置選択的に修飾することができる化学的に安定な化合物である。シクロデキストリンはホストとして、それらの空洞内で様々な疎水性ゲストと複合体を形成する。Szejtli、J.、Chemical Reviews、98巻、1743〜1753ページ、1998年。Szejtli、J.、J.Mater.Chem.、7巻、575〜587ページ、1997年によって記載されたように、CDは、薬物、香料及び芳香剤の可溶化及び封入のために使用されてきた。
【0030】
[Rajewski、R.A.、Stella、V.、J.Pharmaceutical Sciences、85巻、1142〜1169ページ、1996年]に記載のシクロデキストリンに関する毒性、変異原性、催奇形性及び癌原性の詳細な研究によれば、Szejtli、J.シクロデキストリン:性質及び応用(Cyclodextrins:properties and applications)Drug investing.、2巻(補遺4)、11〜21ページ、1990年で報告されているように、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの毒性は特に低いことが述べられている。ある程度高濃度で赤血球に害を及ぼす一部の誘導体を除けば、これらの生成物は健康に対して一般に無害である。食品中の添加物としてのシクロデキストリンの使用は、日本やハンガリーなどの国々においてすでに認可されており、より具体的な応用例についてはフランス及びデンマークにおいてすでに認可されている。これに加え、シクロデキストリンは、アミドの分解物である再生可能な起源から得られる。これらの特徴はすべて、新たな応用に関する研究結果に対する高い動機付けとなる。CDの分子の構造は、ほぼCn対称の円錐台に似ている。最初の水酸基は、分子内水素の結合によって円錐の最も狭い側に位置し、この構成要素は、規則正しい形において相当の逸脱を可能にする程十分な柔軟性がある。
【0031】
知られているシクロデキストリン誘導体は、それらの極性、サイズ、生物活性などに従って分類することができる。それらの実際的な使用法に関しては以下のように分類される:1.生物活性物質のための坦体(可溶化剤、安定化剤);2.酵素モデル;3.分離剤(クロマトグラフィ又はバッチ操作用);4.触媒及び添加剤(界面活性剤、粘性調整剤などとして)、L.Szente及びJ.Szejtli、Adv.Drug Deliv.Rev.、36巻、17ページ、1999年。CDは、水、メタノール及びエタノールには適度に溶解し、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びピリジンなどの極性溶媒には容易に溶解する。
【0032】
包接化合物の利用を経るシクロデキストリンを用いて、水にほとんど溶解しないゲストの水への溶解性を高める効果に関する多数の研究が文献に存在し、Szejtli、J.、Chemical Reviews、98巻、1743〜1753ページ、1998年。Szejtli、J.、J.Mater.Chem.、7巻、575〜587ページ、1997年に記載されている。
【0033】
薬物送達系(DDS)を設計するため、必要量の薬物を効率的かつ正確に、必要な時間に標的部位へ送達するための様々な種類の高性能坦体材料が開発されている。シクロデキストリン、生分解性ポリマー又は非生分解性ポリマー、リポソーム、エマルジョン、多重エマルジョンは、ゲスト分子の物理的、化学的及び生物学的性質を変化させるそれらの能力のため、そのような役割の潜在的候補である。
【0034】
シクロデキストリンのほかに、ポリマーマイクロカプセル、微小粒子、リポソーム及びエマルジョンを含む多くの薬物送達系が検討されてきた。これらの多くは、ポリアンヒドリド及びポリ(ヒドロキシ酸)などの合成生分解性ポリマーから調製される。これらの系では、薬物をポリマーミクロスフェアに取り込み、少量かつ制御された1日投与量で、数日間、数カ月間、又は数年間で、その薬物を生体内で放出する。
【0035】
制御放出系では、いくつかのポリマー、例えば、その弾力性に関してポリウレタン、良好な絶縁であることに関してポリシロキサン又はシリコン、その物理的力に関してポリメタクリル酸メチル、その疎水性及び抵抗性に関してポリビニルアルコール、その硬さ及び不浸透性に関してポリエチレンがすでにテストされている(Gilding、D.K.生分解性ポリマー[Biodegradable polymers)。Biocompat. Clin.Impl.Mater.、2巻、209〜232ページ、1981年]。生分解性ポリマー及び生体適合性ポリマーは、表面分解を受ける性能のため、制御放出系の媒体として広く検討されてきた。このような種類のポリマーは、Tamada及びLanger(J.Biomater.Sci.Polym.Edn、3巻(4号)、315〜353ページ)によって記載されたように、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリアクリルアミド、乳酸由来のポリマー(PLA)、グリコール酸由来のポリマー(PGA)、及びそれぞれのコポリマー(PLGA)、及びポリ(アンヒドリド)から選ぶことができる。
【0036】
また、本発明の製剤は、薬学的に許容される賦形剤などの他の成分を含むことができる。例えば、本発明の製剤は、防御される動物が忍容できる賦形剤で製剤化することができる。賦形剤は、緩衝液の等張性及び化学的安定性を高める物質などの少量の添加物を含有することができる。標準的な製剤は、注射可能な液体であるか、注射用もしくは経口製剤用の懸濁液もしくは溶液として適当な液体に加えることができる固体のどちらであってもよい。適当な制御放出媒体には、生体適合性ポリマー、他のポリマーマトリックス、カプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、微小粒子、ナノ粒子、ボーラス製剤、浸透圧ポンプ、拡散装置、リポソーム、リポスフェア及び埋込み可能又は埋込み可能でない経皮送達系が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
最近の数年間に、薬物吸収を改善し、薬物安定性を高めて特定の細胞集団を標的とするためにいくつかの薬物送達系が研究されてきた。これらの研究は、薬物を輸送及び送達するためのシクロデキストリン、エマルジョン、リポソーム及びポリマーをベースとするいくつかの製品の開発につながった。これらの製剤は、筋肉内、静脈内、皮下注射、経口投与、吸入又は埋込みすることができる装置を介して投与することができる。
【0038】
リポソームは、患者に投与した後に、薬物の制御放出を達成する目的で、分子、例えば薬物を封入する水性の内部区画を有する脂質小胞である。
【0039】
リポソームの調製には多くの様々な技法が提案されてきた[米国特許第4,552,803号、Lenk;米国特許第4,310,506号、Baldeschwieler;米国特許第4,235,871号、Papahadjopoulos;米国特許第4,224,179号、Schneider;米国特許第4,078,052号、Papahadjopoulos;米国特許第4,394,372号、Tailor;米国特許第4,308,166号、Marchetti;米国特許第4,485,054号、Mezei;及び米国特許第4,508,703号、Redziniak;Woodle及びPapahadjopoulos、Methods Enzymol.、171巻、193〜215ページ、1989年]。単ラメラ小胞は、単一膜を示し[Huang、Biochemistry、8巻、334〜352ページ、1969年]、一方、多重ラメラ小胞(MLV)は、多数の同心円状の膜を有する[Bangham他、J.Mol.Biol.、13巻、238〜252ページ、1965年]。Bangham[J.Mol.Biol.、13巻、238〜252ページ、1965年]の手順は、水性区画の間で不均一な溶質分布を示し、結果的に浸透圧の差異を示す「普通のMLV」を生成する。Lenk他(米国特許第4,522,803号、第5,030,453号及び第5,169,637号)、Fountain他(米国特許第4,588,578号)、Cullis他(米国特許第4,975,282号)及びGregoriadis他(特許W.O.99/65465)は、区画の間で実質的に均一な溶質分布を示すMLVの調製方法を紹介した。異なる区画の間の同じような溶質分布は、より大きな薬物封入効率を意味するとともに、浸透圧の差異が小さくこのMLVを普通のMLVより安定にすることを意味する。単ラメラ小胞は、MLVの超音波処理により[Papahadjopoulos他、1968年]、又はポリカーボネート膜を通す押出により[Cullis他(米国特許第5,008,050号)及びLoughrey他(米国特許第5,059,421号)]作成することができる。
【0040】
好適な脂質としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、コレステロール、ホスファチジン酸、スフィンゴ脂質、糖脂質、脂肪酸、ステロール、ホスファチジルエタノールアミン、重合又は非重合形態の重合可能な脂質、これらの脂質の混合物がある。
【0041】
リポソームの組成は、ある器官又はある細胞タイプに特異的になるように操作することができる。リポソームのターゲティングは、解剖学的要素に基づき、あるいは環境とのそれらの相互作用の機序に基づいて分類されてきた。解剖学的分類は、それらの選択性のレベル、例えば、器官特異的又は細胞特異的であるかに基づいている。機序の観点から、ターゲティングは、受動的か能動的かで考えることができる。
【0042】
受動的ターゲティングは、細網内皮系の細胞、すなわち、主に肝臓、脾臓及び骨髄に定着しているマクロファージによって捕捉される従来型のリポソームの生来の性向を利用している。立体構造上安定化されたリポソーム(「PEGリポソーム」の別名でもよく知られている)の特徴は、血液循環からの消去速度の低下である[Lasic及びMartin、ステルスリポソーム(Stealth Liposomes)、CRC Press、Inc.、Boca Raton、Fla.、1995年]。PEGリポソームは、オプソニンなどの血漿タンパク質との相互作用を減少させ、細胞による取り込み速度を低下させる、あるリン脂質の先端の基と結合したポリエチレングリコールポリマーである。得られる立体障害は、従来のリポソームに比べ、これらのリポソームを循環内により長時間とどめさせる[Lasic及びMartin、ステルスリポソーム(Stealth Liposomes)、CRC Press、Inc.、Boca Raton、Fla.、1995年;Woodle他、Biochim.Biophys.Acta、1105巻、193〜200ページ、1992年;Litzinger他、Biochim.Biophys.Acta、1190巻、99〜107ページ、1994年;Bedu Addo他、Pharm.Res.、13巻、718〜724ページ、1996年]。PEGリポソーム内に薬物を封入すると、多くの化学療法剤[Lasic及びMartin、ステルスリポソーム(Stealth Liposomes)、CRC Press、Inc.、Boca Raton、Fla.、1995年]及び生理活性ペプチド[Allen T.M.リポソーム、新系、応用の新たな動向(Liposomes、New Systems、New Trends in their Applications)(F.Puisieux、P.Couvreur、J.Delattre、J.−P.Devissaguet編)、Editions de la Sante、France、1995年、125ページ中]の有効性が向上した。
【0043】
この分野の研究により、PEGリポソームの有効性には様々な要素が影響することが判明した。理想的には、小胞の直径は200nm以下で、PEGの単位数は約2.000で、ペグ化脂質の比率は3から5mol%でなければならない[Lasic及びMartin、ステルスリポソーム(Stealth Liposomes)、CRC Press、Inc.、Boca Raton、Fla.、1995年;Woodle他、Biochim.Biophys.Acta、1105巻、193〜200ページ、1992年;Litzinger他、Biochim.Biophys.Acta、1190巻、99〜107ページ、1994年;Bedu Addo他、Pharm.Res.、13巻、718〜724ページ、1996年]。
【0044】
能動的ターゲティングは、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、タンパク質、ポリマーなどのリガンドとの会合による、又は従来のリポソームを蓄積する器官及び細胞とは異なる器官及び細胞を標的にするために脂質組成又はリポソームサイズを変えることによるリポソームの変更を含む。
【0045】
抗生物質、ホルモン及び抗腫瘍剤を含む多種多様な薬理学的に活性な物質のために、リポソームをベースとする媒体が提案されてきた[リポソームの医学的応用(Medical applications of liposomes)(D.D.Lasic、D.Papahadjopoulos編)、Elsevier Science B.V.、Holland、1998年]。
【0046】
Ang−(1−7)及びその類似体は、心臓血管障害を含むいくつかの疾患の研究及び治療に大きな可能性を有している。RASに関連する別の重要な態様は、新たな治療戦略の開発をなだめることができる生理学的作用に関する知識を拡充する明確な必要性と関連している。しかしながら、大部分の抗高血圧薬、特にアンギオテンシン及び誘導体のような生物学的に活性なペプチドを投与するための従来の方法は、ペプチドの短い半減期のために制限を受ける。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0047】
【非特許文献1】MacMahon Sら、Blood pressure、stroke、and coronary heart disease、Lancet、335巻、765〜774ページ、1990年
【非特許文献2】Kaannel W.B.他、Changing epidemiological features of cardiac failure、Br.Heart J、72巻(補遺)、S3〜S9ページ、1994年
【非特許文献3】Oliveira、M.T.Clinical characteristics and patient′s prognostic with advanced congestive heart failure、Faculty of Medicine、USP、1999年
【非特許文献4】Kaplan、N.M.、Blood pressure the cardiovascular risk factor:prevention ant treatment、JAMA、275巻、1571〜1576ページ、1996年
【非特許文献5】Wilson、P.W.他、Hypertension、the risk factors and the risk of cardiovascular disease、Raven Press。94〜114ページ]
【非特許文献6】The fifth Report of the Joint National Committee on detection、evaluation、and treatment of High Blood Pressure)。National Institute of Health(VJNC)Arch.Intern.Med.、153巻、154〜181ページ、1994年
【非特許文献7】Filho、Albanesi F.、Heart failure in Brazil、Arq.Bras.Cardiol、71巻、561〜562ページ、1998年
【非特許文献8】Krieger、E.M.;Santos、R.A.S.、Angiotensins−physiologic aspects、Hypertension、1巻、7〜10ページ、1998年
【非特許文献9】Ardaillou、R.;Michel、J.B.、The relative roles of circulating and tissue renin−angiotensin systems、Nephrol.Dial.Transplant.、14巻、283〜286ページ、1999年
【非特許文献10】Santos、R.A.S.;Campagnole−Santos、M.J.;Andrade、S.P.アンギオテンシン−(1−7):Angiotensin−(1−7):an update、Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年
【非特許文献11】Report of the Canadian Hypertension Society、Consensus Conference3、Pharmacological treatment of essential hypertension、Xan.Med.Assoc.J.149巻(3号)、575〜584ページ、1993年
【非特許文献12】Menard、J.Anthology of renin−angiotensin system:The one hundred reference approach to angiotensin antagonistic II)。J.Hypertension、11巻(補遺3):S3〜S11ページ、1993年
【非特許文献13】Frolich、E.、Current Approaches in the treatment of Hypertension、405〜469ページ
【非特許文献14】Frolich、E.D.、Hypertension、Adult Clinical Cardiology Self Assessment Program(ACCSAP)、6巻、3〜19ページ、1995年
【非特許文献15】Santos、R.A.S.;Campagnole−Santos、M.J.;Andrade、S.P.Angiotensin−(1−7):an update)Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年
【非特許文献16】Ganong、W.、Neuropeptides in cardiovascular control、J.Hypertens、2巻(補遺3):15〜22ページ、1984年
【非特許文献17】Ueda S、Masumori−Maemoto S、Ashino K、Nagahara T、Gotoh及び、Umemura S、Ishii M。Angiotensin−(1−7) attenuates vasoconstriction evoked by angiotensin II but not by noradrenaline in man)。Hypertension、35巻、998〜1001ページ、2000年
【非特許文献18】Bovy PR、Trapani AJ、McMahon EG、Palomo M、The carboxy−terminus truncated analogue of angiotensin II [Sar1]−angiotensin II−(1−7)−amide,provides an entry to the new class of angiotensin II antagonists、J Med Chem、32巻、520〜522ページ、1989年
【非特許文献19】Roks AJ、Van−Geel PP、Pinto YM、Buikema H、Henning RH、of Zeeuw D、van−Gilst WH、Angiotensin−(1−7) is a modulator of the human renin−angiotensin system、Hypertension、34巻(2号)、296〜301ページ、1999年
【非特許文献20】Santos RAS、Campagnole−Santos MJ、Baracho NCV、Fontes MAP、Silva LCS、Neves LAA、Oliveira DR、Caligiorne SM、Rodrigues ARV、Gropen Jr. C、Carvalho WS、Silva ACS、Khosla MC、Characterization of the new angiotensin antagonist selective goes angiotensin−(1−7):Evidence that the actions of angiotensin−(1−7) it plows mediated by specific angiotensin receptors)Brain Res.Bull.、35巻、293〜299ページ、1994年
【非特許文献21】Santos、RAS.;Campagnole−Santos、MJ.;Andrade、SP、Angiotensin−(1−7):an update)。Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年
【非特許文献22】Bovy PR、Trapani AJ、McMahon EG、Palomo M、The carboxy−terminus truncated analogue of angiotensin II [Sar1]−angiotensin II−(1−7)−amide,provides an entry to the new class of angiotensin II antagonists)J Med Chem.、32巻、520〜522ページ、1989年
【非特許文献23】Naves−Santos、V.、Khosla、M.C.、Oliveira、R.C.、Campagnole−Santos、M.J.、Lima、D.X.、Santos、RAS、Selective inhibition of the effect central pressor of angiotensin−(1−7) for its similar one [D−Pro7]−angiotensin−(1−7))XI Reuniao Annual of the Federation of Society of Experimental Biology、1996年、Caxambu、MG
【非特許文献24】Ferrario CM、Chappell MC、Dean RH、Iyer SN、Novel angiotensin peptides regulate blood pressure、endothelial function、and natriuresis)。J Am Soc Nephrol。9巻、1716〜1722ページ、1998年。
【非特許文献25】Santos、RAS.;Campagnole−Santos、MJ.;Andrade、SP、Angiotensin−(1−7):an update)。Regulatory Peptides、91巻、45〜62ページ、2000年。
【非特許文献26】Heringer−Walther S、Batista EN、Walther T、Khosla MC、Santos RAS、Campagnole−Santos MJ、Baroreflex improvement in SHR after ACE inhibitors involves angiotensin−(1−7)、Hypertension、37巻、1309〜1313ページ、2001年)
【非特許文献27】Machado、RDP、Santos、RAS、Andrade、SP、Mechanisms of angiotensin−(1−7) induced inhibition of angiogenesis、Am J Physiol、280巻、994〜1000ページ、2001年。
【非特許文献28】Rodgers K、Xiong S、Felix J、Rotates N、Espinoza T、Maldonado S、Dizerega G、Development of angiotensin−(1−7) the in the agent to acelerate dermal repair、Wound Repair Regen、9巻、238〜247ページ、2001年
【非特許文献29】Deddish PA、Marcic B、Jackman HL、Wang HZ、Skidgel RA、Erdos EG、N−domain−specific substrate and C−domain inhibitors of angiotenisn−converting enzyme:angiotensin−(1−7) and keto−ACE、Hypertension、31巻、912〜917ページ、1998年。
【非特許文献30】Tom B、Of Vries R、Saxena PR、Danser AHJ、Bradykinin potentiation by angiotensin−(1−7) and ACE inhibitors correlates with ACE C− and N−domain blockade)Hypertension、38巻、95〜99ページ、2001年
【特許文献31】Chappell MC、Pirro NT、Sykes THE、Ferrario CM、Metabolism of angiotensin−(1−7) by angiotensin−converting enzyme、Hypertension、31巻(パート2)、362〜367ページ、1998年。
【特許文献32】Paula、RD、Lima、CV、Britto、RR、Campagnole−Santos、MJ、Khosla、MC、Santos、RAS、Potentiation of the hypotensive effect of bradykinin by angiotensin−(1−7)−related peptides、Peptides、20巻、493〜500ページ、1999年
【特許文献33】Deddish PA、Marcic B、Jackman HL、Wang HZ、Skidgel RA、Erdos EG、N−domain−specific substrate and C−domain inhibitors of angiotenisn−converting enzyme:angiotensin−(1−7) and keto−ACE、Hypertension、31巻、912〜917ページ、1998年
【非特許文献34】Bovy PR、Trapani AJ、McMahon EG、Palomo M、The carboxy−terminus truncated analogue of angiotensin II [Sar1]−angiotensin II−(1−7)−amide,provides an entry to the new class of angiotensin II antagonists)。J Med Chem.、32巻、520〜522ページ、1989年。
【非特許文献35】−Ueda S、Masumori−Maemoto S、Ashino K、Nagahara T、Gotoh及び、Umemura S、Ishii M、Angiotensin−(1−7) attenuates vasoconstriction evoked by angiotensin II but not by noradrenaline in man)。Hypertension、35巻、998〜1001ページ、2000年。
【非特許文献36】BRoks AJ、Van−Geel PP、Pinto YM、Buikema H、Henning RH、deZeeuw D、van−Gilst WH、Angiotensin−(1−7) is a modulator of the human renin−angiotensin system)。Hypertension、34巻(2号)、296〜301ページ、1999年
【非特許文献37】Rowe BP、Saylor DL、Speth RC、Absher DR、Angiotensin−(1−7) binding at angiotensin II receptors in the rat brain、Regul Pep、56巻(2号)、139〜146ページ、1995年
【非特許文献38】Mahon JM、Carrr RD、Nicol AK、Hendersn IW、Angiotensin−(1−7) is an antagonist at the type 1 angiotensin II receptor)。J Hypertension、12巻、1377〜1381ページ、1994年
【非特許文献39】Chansel D、Vandermeerch S、Andrzej T、Curat C、Ardaillou R、Effects of angiotensin IV and angiotensin−(1−7) on basal angiotenin II−stimulated cytosolic Ca+2 in mesangial cells、Eur J Pharmacol、414巻、165〜175ページ、2001年
【非特許文献40】Paula、RD;It Rasps、CV、Khosla、MC、Santos、RAS、Angiotensin−(1−7) potentiates the hypotensive effect of bradykinin in concious rats)。Hypertension、26巻、1154〜1159ページ、1995年
【非特許文献41】Li P、Chappell MC、Ferrario CM、Brosnihan KB、Angiotensin−(1−7) augments bradykinin−induced vasodilation by competing with ACE and releasing nitric oxide、Hypertension、29巻(パート2)、394〜400ページ、1997年
【非特許文献42】Rocha及びSilva、M、Beraldo、WT、Rosenfeld、G、Bradykinin、 the hypotensive and smooth muscle stimulating factor releases from shapes globulin by snake venoms and by trypsin、Am.J.Physiol.、156巻、261〜273ページ、1949年
【非特許文献43】Linz W、Wohlfart P、Scholkens BA、Malinski T、Wiemer G、Interactions among ACE、 kinins and NO、Cardiovasc Res、43巻、549〜561ページ、1999年
【非特許文献44】Paula、R.D.;Lima、C.V.;Khosla、M.C.;Santos、R.A.S.、Angiotensin−(1−7) potentiates the hypotensive ffect of bradykinin in concious rats)。Hypertension、26巻、1154〜1159ページ、1995年。Li P、Chappell MC、Ferrario CM、Brosnihan
【非特許文献45】KB、Angiotensin−(1−7) augments bradykinin−induced vasodilation by competing with ACE and releasing nitric oxide)。Hypertension。29巻(パート2)、394〜400ページ、1997年
【非特許文献46】Almeida、AP、Frabregas、BC、Madureira、MM、Santos、RJ S、Campagnole−Santos、MJ、Santos、RAS、Angiotensin−(1−7) potentiates the coronary vasodilatory effect of bradykinin in the isolated rat heart)、Braz.J.of Medical and Biological Research、33巻、709〜713ページ、2000年
【非特許文献47】Szejtli、J.、Chemical Reviews、98巻、1743〜1753ページ、1998年。Szejtli、J.、J.Mater.Chem.、7巻、575〜587ページ、1997年
【非特許文献48】Rajewski、R.A.、Stella、V.、J.Pharmaceutical Sciences、85巻、1142〜1169ページ、1996年
【非特許文献49】Szejtli、J.、Cyclodextrins:properties and applications)Drug investing.、2巻(補遺4)、11〜21ページ、1990年
【非特許文献50】L.Szente及びJ.Szejtli、Adv.Drug Deliv.Rev.、36巻、17ページ、1999年
【非特許文献51】Szejtli、J.、Chemical Reviews、98巻、1743〜1753ページ、1998年。Szejtli、J.、J.Mater.Chem.、7巻、575〜587ページ、1997年
【非特許文献52】Biodegradable polymers)。Biocompat. Clin.Impl.Mater.、2巻、209〜232ページ、1981年]
【非特許文献53】Redziniak;Woodle及びPapahadjopoulos、Methods Enzymol.、171巻、193〜215ページ、1989年
【非特許文献54】[Huang、Biochemistry、8巻、334〜352ページ、1969年
【非特許文献55】Bangham他、J.Mol.Biol.、13巻、238〜252ページ、1965年、J.Mol.Biol.、13巻、238〜252ページ、1965年
【非特許文献56】Papahadjopoulos他、1968年
【非特許文献57】Lasic及びMartin、Stealth Liposomes、CRC Press、Inc.、Boca Raton、Fla.、1995年
【非特許文献57】Woodle他、Biochim.Biophys.Acta、1105巻、193〜200ページ、1992年
【非特許文献58】Litzinger他、Biochim.Biophys.Acta、1190巻、99〜107ページ、1994年;Bedu Addo他、Pharm.Res.、13巻、718〜724ページ、1996年
【非特許文献59】Allen T.M.、Liposomes、New Systems、New Trends in their Applications、F.Puisieux、P.Couvreur、J.Delattre、J.−P.Devissaguet編、Editions de la Sante、France、1995年、125ページ中
【非特許文献60】Bedu Addo他、Pharm.Res.、13巻、718〜724ページ、1996年
【非特許文献61】Medical applications of liposomes、D.D.Lasic、D.Papahadjopoulos編、Elsevier Science B.V.、Holland、1998年
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】米国特許第4,552,803号
【特許文献2】米国特許第4,310,506号
【特許文献3】米国特許第4,235,871号
【特許文献4】米国特許第4,224,179号
【特許文献5】米国特許第4,078,052号
【特許文献6】米国特許第4,394,372号
【特許文献7】米国特許第4,308,166号
【特許文献8】米国特許第4,485,054号
【特許文献9】米国特許第4,508,703号
【特許文献10】米国特許第4,522,803号
【特許文献11】米国特許第5,030,453号
【特許文献12】米国特許第5,169,637号
【特許文献13】米国特許第4,588,578号
【特許文献14】米国特許第4,975,282号
【特許文献15】W.O.99/65465
【特許文献16】米国特許第5,008,050号
【特許文献17】米国特許第5,059,421号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0049】
その意味において、本発明は、アンギオテンシン及び誘導体の制御放出系としてリポソーム、シクロデキストリン及び生分解性ポリマーを使用し、それらの生物学的利用能、それらの生物学的作用の持続時間及び強度を高めることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0050】
本発明の製剤の特徴は、Ang−(1−7)及び/又は類似体に薬学的に許容される賦形剤を使用することである。賦形剤の例としては、水、食塩溶液、緩衝リン酸溶液、リンゲル液、ブドウ糖溶液、ハンク液、ポリエチレングリコールを含む、又は含まない生体適合性の食塩溶液がある。不揮発性油、ゴマ油、オレイン酸エチル、又はトリグリセリドのような非水系媒体も使用することができる。他の有用な製剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランのような粘性を増加できる物質が挙げられる。
【0051】
また、賦形剤は、物質又は緩衝液の等張性及び化学的安定性を高める物質などの添加物を少量含有することができる。緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液及びトリス緩衝液があり、保存剤の例としては、チメロサール、m−又はo−クレゾール、ホルマリン及びベンジルアルコールがある。製剤の状態は、液体又は固体のどちらであってもよい。非液状製剤の場合、賦形剤としては、ブドウ糖、ヒト血清アルブミン、保存剤などがあり、投与前に水又は滅菌食塩溶液を添加することができる。
【0052】
また、本発明の特徴は、Gタンパク質共役型であるMASと、リガンド−受容体相互作用させるための、Ang−(1−7)及び/又はその類似体を含有する制御放出系を調製することにある。制御放出の好適な系には、シクロデキストリン、生体適合性ポリマー、生分解性ポリマー、他のポリマーマトリックス、カプセル、マイクロカプセル、微小粒子、ボーラス製剤、浸透圧ポンプ、拡散装置、リポソーム、リポスフェア、及び経皮投与の系が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の制御放出の他の組成物には、温度変化を受けた場合にin situで固体又はゲルを形成する液剤が含まれる。
【0053】
MAS受容体[Young、D.、Waitches、G.、Birchmeier、C.、Fasano、O.、及びWigler、M.複数の可能性のある膜貫通ドメインを持つタンパク質をエンコードする新たな細胞性癌遺伝子の単離及び特徴(Isolation and characterization of a new cellular oncogene encoding a protein with multiple potential transmembrane domains)Cell、45巻、711〜719ページ、1986年]は、当初アンギオテンシンII受容体として記載されていたが[Jackson、T.R.、Blair、A.C.、Marshall、J.、Goedert、M.及びHanley、M.R.mas癌遺伝子は、アンギオテンシン受容体をエンコードする(The mas oncogene encodes an angiotensin receptor)。Nature、335巻、437〜440ページ、1988年]、その後の研究により、その仮説は正しくないことが判明した[Ambroz、C.、Clark、A.J.L.、及びCatt、K.J.mas癌遺伝子は、既存のアンギオテンシンII受容体と共に細胞内でアンギオテンシン誘発性[Ca2+]i 反応を亢進する(The mas oncogene enhances angiotensin−induced [Ca2+]i responses in cells with preexisting angiotensin II receptors)。Biochem.Biophys.Acta、1133巻、107〜111ページ、1991年]。このタンパク質は、脳内[Bunnemann、B.、Fuxe、K.、Metzger、R.、Mullins、J.、Jackson、T.R.、Hanley、M.R.及びGanten、D.In situハイブリダイゼーションを用いる成獣ラット脳におけるmasプロト癌遺伝子mRNAのオートラジオグラフィー的局在化(Autoradiographic localization of mas proto−oncogene mRNA in adult rat brain using in situ hybridization)Neurosci.Lett.、114巻、147〜153ページ、1990年]及び他の組織において発現される。アンギオテンシン−(1−7)又はその類似体とMASとの相互作用についての説明は文献中に存在しない。
【0054】
本発明の特徴は、シクロデキストリン及び/又はその誘導体を用いてヘプタペプチドアンギオテンシン−(1−7)及び/又はその誘導体の制御放出系を得、生体系におけるペプチドのより大きなバイオディスポニビリティ(biodisponibility)を意味する胃腸の治療(TGI)におけるペプチドの分解を低減することにある。本発明の特徴は、シクロデキストリンと共に生分解性ポリマー、リポソーム又はそれらの系の混合物を用いてヘプタペプチドアンギオテンシン−(1−7)及び/又はその類似体の制御放出系を得、ペプチドのバイオディスポニビリティを高めることである。
【0055】
現在まで、シクロデキストリンもしくはそれらの誘導体、生分解性ポリマー又はリポソームと併せてヘプタペプチドアンギオテンシン−(1−7)又はその類似体、拮抗薬及び作動薬を用いるいかなる応用例も報告されていない。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下の実施例により本発明をより良く理解することができる。
【実施例1】
【0057】
この実施例は、立体構造上安定化されたリポソームの封入形態でのAng−(1−7)の調製及びその形態で投与した場合のAng−(1−7)の生物学的利用能の改善について記載する。
【0058】
Ang−(1−7)のリポソームへの封入は、Kirby及びGregoriadis[Biotechnology、2巻、979〜984ページ、1984年]に従って行い、続いて孔径200nmのポリカーボネート膜を通してリポソーム懸濁液を押し出した[Nayar他、Biochim.Biophys.Acta、986巻、200〜206ページ、1989年]。次いで、ペプチド含有リポソームを、透析によって封入されていないペプチドから分離し、最後に0.22マイクロメートルの滅菌膜を通して濾過することにより滅菌した。モル比5:4:0.3でジステアロイル−ホスファチジルコリン、コレステロール及びジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール(2,000)の脂質組成を選んだ。封入されたペプチドの量は、Ang−(1−7)の固有の蛍光を利用して測定した。封入は、12%の効率及び0.03のペプチド/脂質比(p/p)で行われた。リポソームのサイズは、動的光散乱技法により測定した。平均小胞直径は、0.19マイクロメートルと測定された。
【0059】
Ang−(1−7)含有リポソーム(LAng)は、脳内にゆっくりと挿入した針(30G)により、ウィスターラットの吻側延髄腹外側野(rostroventrolateral medulla)(RVLM)の片側に、単独で微量注入(200nL中Ang−(1−7)35ng)した。また、空のリポソーム(LEmp)を、同じ脂質量を同様に微量注入した。平均動脈血圧(MAP)は、自由に運動し平静な動物への微量注入の4日前及び12日後に遠隔測定により測定した。LAngの微量注入は、昼間に有意な昇圧作用を生じ、5日間維持された。最高MAPは3日目に得られ(114±4mmHg)、0日目に記録されたMAP(100±3mmHg)と優位に異なっていた。予想どおり、LEmpは、MAPの有意な変化を生じなかった(3日目の94±5mmHgに対し0日目の90±5mmHg)。さらに、昼間のMAPは、1、2及び3日目には、Lemp群におけるよりもLAng群において有意に高値であった。昼間のMAPとは対照的に、夜間のMAPは、LAngの微量注入によって有意に影響されなかった。
【0060】
これまでの研究から、同様の用量(25〜50ng)でのRVLMにおける遊離Ang−(1−7)(封入されていない)の微量注入は、約10分間PAMに15mmHgの上昇を生じさせることが明らかにされていた。この作用の短い持続時間は、遊離形態であるペプチドの代謝の増加のせいであった。
【0061】
したがって、本技術は、慢性状態においてRVLMのレベルでのAng−(1−7)の昇圧作用を立証した。また、本技術の特徴は、ペプチドの生物学的利用能を増加させる能力によって特徴付けられる。
【実施例2】
【0062】
ペプチドの制御放出のためのAng−(1−7)の生分解性ポリマー(PLGA)をベースとするミクロスフェアの調製。
【0063】
まず、ジクロロメタンに溶かしたポリ(乳酸−グリコール酸)(PLGA)を構成要素とする有機相と、Ang−(1−7)1.8mgを構成要素とする水相とからなるエマルジョンを構築する。次いで、エマルジョンを30秒間、超音波処理にかけ、1%(PVA)溶液に加えて第二のエマルジョンを生成させ、1分間撹拌してマイクロエマルジョンの均質化を達成する。この系を、溶媒が蒸発するまで2時間、加熱せずに撹拌下に維持する。混合物を2〜3回遠心分離し、水で3回洗浄して表面に吸着したPVAを除去し、最後に、水2mLに再懸濁して凍結乾燥する。次いで、熱分析及び走査型電子顕微鏡SEMにより、固体ミクロスフェアの特徴を明らかにした。ミクロスフェアのDSC曲線は、PLGAポリマーで観察されたのとほぼ同じガラス転移を示した。それぞれのSEM顕微鏡写真は、50ミクロンの粒子サイズを示した。ミクロスフェアの多孔性表面はまだ立証されていない。ペプチド封入の測定は、ラジオイムノアッセイ[Neves他、Biochem.Pharmacol.、50巻、1451〜1459ページ、1995年]によって行った。15%のペプチド封入が得られた。動態プロフィールは、60%のペプチドが約8時間以内に、約90%のペプチドが48時間以内に放出することを示した。
【実施例3】
【0064】
β−シクロデキストリンとAng−(1−7)間の包接化合物の調製
調製は、等モルのシクロデキストリンとAng−(1−7)で行う。手短に言えば、β−シクロデキストリン及び/又はその誘導体を、撹拌及び加熱を用いて水に溶かす。次いで、それぞれの量のアンギオテンシン−(1−7)を水溶液に加える。溶解後、液体窒素中で混合物を凍結し、凍結乾燥工程にかけて乾燥した固体を得る。次いで、得られた固体を、FT赤外分光法、熱分析(TG/DTG及びDSC)、X線回折並びに1H及び13C NMR分光法及びT1緩和時間を用いて物理化学的特徴を測定した。
【実施例4】
【0065】
この実施例は、アンギオテンシン−(1−7)及びその類似体とGタンパク質共役型受容体、MASとの間の相互作用の同定について記載する。
【0066】
125Iで標識したアンギオテンシン−(1−7)又は蛍光性のローダミン−アンギオテンシン−(1−7)を、正常動物又はMASノックアウト動物からのマウス腎切片と共にインキュベートした。4℃における不定間隔でのインキュベーション後、切片をオートラジオグラフィーのフィルムに暴露するか、蛍光顕微鏡により分析した。ノックアウトマウスでは、アンギオテンシン−(1−7)との特異的結合は消失したが、対照として使用したAng II又はAng IVとの結合は変化しなかった。野性型マウスの腎切片におけるAng_(1−7)結合は、D−Ala−アンギオテンシン−(1−7)及びD−Pro−アンギオテンシン−(1−7)によって示された。ノックアウトマウスにおける結合の欠如に関する機能テストは、水利尿モデル(体重の5%の水を投与)を用いて行った。野性型マウスにおけるAng−(1−7)処置(4pmol/10gBW)は、尿量の減少を生じた(抗利尿)。MASノックアウトマウスでは、Ang−(1−7)の抗利用作用は無かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性シクロデキストリンと複合化された、Sar1−アンギオテンシン(1−7)、D−Ala7−アンギオテンシン(1−7)、D−Pro7−アンギオテンシン(1−7)及び生物学的に活性なそれらの誘導体からなる群から選択されるアンギオテンシン−(1−7)又はその類似体若しくは誘導体を含む、医薬製剤。
【請求項2】
前記複合体が、リポソームに包まれている、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記複合体が、合成生分解性ポリマー又はその誘導体に包まれている、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記親水性シクロデキストリンは、α−、β−、又はγ−シクロデキストリンである、請求項1から3の何れか1項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記親水性シクロデキストリンは、6−O−マルトシルシクロデキストリン、スルフォブチルシクロデキストリン、2−ヒドロキシエチルシクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、3−ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロピルシクロデキストリンからなる群から選択される、請求項1から4の何れか1項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
生分解性ポリマーと複合化された、Sar1−アンギオテンシン(1−7)、D−Ala7−アンギオテンシン(1−7)、D−Pro7−アンギオテンシン(1−7)及び生物学的に活性なそれらの誘導体からなる群から選択されるアンギオテンシン−(1−7)又はその類似体若しくは誘導体を含む、医薬製剤。
【請求項7】
リポソームに包まれた、Sar1−アンギオテンシン(1−7)、D−Ala7−アンギオテンシン(1−7)、D−Pro7−アンギオテンシン(1−7)及び生物学的に活性なそれらの誘導体からなる群から選択されるアンギオテンシン−(1−7)又はその類似体若しくは誘導体を含む、医薬製剤。
【請求項8】
前記リポソームは、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、コレステロール、ホスファチジン酸、スフィンゴ脂質、糖脂質、脂肪酸、ステロール、ホスファチジルエタノールアミン、重合又は非重合形態の重合可能な脂質、及びこれらの脂質の組合せからなる群から選択される1以上の脂質を含む、請求項2又は7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記リポソームは、ポリエチレングリコール−脂質で構造上安定化されている、請求項2、7及び8の何れか1項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記リポソームの直径は約200nm以下である、請求項2、7、8及び9の何れか1項に記載に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記ポリマーは、ポリアンヒドリド、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ヒドロキシ)酸、ポリウレタン、ポリシロキサン、シリコン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリアクリルアミド、乳酸由来のポリマー(PLA)、グリコール酸由来のポリマー(PGA)、及びこれらのコポリマー(PLGA)からなる群から選択される、請求項3又は6に記載の医薬製剤。
【請求項12】
ポリエチレングリコール、油、ゴマ油、オレイン酸エチル、トリグリセリド、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストラン、チメロサール、m−若しくはo−クレゾール、ホルマリン、ベンジルアルコール又は血清アルブミンを含む又は含まない、水、食塩溶液、緩衝溶液、ブドウ糖溶液、ハンク液、及び生体適合性の食塩溶液からなる群から選択される賦形剤をさらに含む、請求項1から11の何れか1項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
動物における心血管疾患又は腫瘍性疾患を治療又は予防するための、請求項1から12の何れか1項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記心血管疾患は、左心室肥大、心筋虚血、脳卒中、心不全、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、狭心症、及び内皮機能不全からなる群から選択される、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項15】
Gタンパク質共役型受容体MASによる作用又は刺激を低減することにより引き起こされる疾患を治療又は予防するための、請求項1から12の何れか1項に記載の医薬製剤。
【請求項16】
内皮機能不全、左心室肥大、心筋虚血、脳卒中、高血圧性の網膜症、アテローム性動脈硬化症及び心不全からなる群から選択される、動脈性高血圧症及びその合併症を治療するための、請求項1から12の何れか1項に記載の医薬製剤。
【請求項17】
アンギオテンシン−(1−7)の産生が低減することにより引き起こされる疾患を治療又は予防するための、請求項1から12の何れか1項に記載の医薬製剤。
【請求項18】
親水性シクロデキストリンと複合化された、アンギオテンシン−(1−7)又はその類似体若しくは誘導体を含む医薬製剤を製造する方法であって、
親水性シクロデキストリンを含む溶液を、アンギオテンシン−(1−7)又はその類似体若しくは誘導体の水性溶液と接触させることを含む、方法。
【請求項19】
ポリエチレングリコール、油、ゴマ油、オレイン酸エチル、トリグリセリド、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストラン、チメロサール、m−若しくはo−クレゾール、ホルマリン、ベンジルアルコール又は血清アルブミンを含む又は含まない、水、食塩溶液、緩衝溶液、ブドウ糖溶液、ハンク液、及び生体適合性の食塩溶液からなる群から選択される賦形剤を混合する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項20】
請求項1から12の何れか1項に記載の医薬製剤を含む、アンギオテンシン−(1−7)又はその類似体若しくは誘導体を制御放出するための医療装置。

【公開番号】特開2011−37868(P2011−37868A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215646(P2010−215646)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2003−541528(P2003−541528)の分割
【原出願日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願人】(503374053)ユニベルシダデ フェデラル デ ミナス ジェライス − ユーエフエムジー (2)
【Fターム(参考)】