シクロデキストリン包接複合体及びその製造方法
シクロデキストリン包接複合体、ゲスト安定化系、並びにその製造及び使用方法。本発明の幾つかの具体例は、ゲスト安定化系の製造方法を提供する。方法は、シクロデキストリン、溶媒及びゲストを混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成することを含むことができる。方法は、複合体になっていないシクロデキストリンをシクロデキストリン包接複合体に加えて、ゲスト安定化系を形成することをさらに含むことができる。本発明の幾つかの具体例は、複合体になっていないシクロデキストリン、ゲスト及び溶媒を混合して、飲料を形成することを含むことができる、飲料の製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
2005年6月13日に出願され、全内容を本明細書において参考のために引用する米国仮特許出願第60/690,181号に対する優先権を本明細書により請求する。
【背景技術】
【0002】
以下の米国特許は、様々なゲスト分子を複合体にするためのシクロデキストリンの使用を開示し、本明細書において参考のために十分に引用される:Bordenに付与された米国特許第4,296,137号、同第4,296,138号、及び同第4,348,416号(チューインガム、歯磨き剤、化粧品等において使用するための香味料材料);Gandolfo et al.に付与された同第4,265,779号(洗剤組成物における泡抑制剤);Hyashi et al.に付与された同第3,816,393号及び同第4,054,736号(薬剤として使用するためのプロスタグランジン);Mifune et al.に付与された同第3,846,551号(殺虫及び殺ダニ組成物);Noda et al.に付与された同第4,024,223号(メントール、サリチル酸メチル、及びその他同様なもの);Akito et al.に付与された同第4,073,931号(ニトロ−グリセリン);Szjetli et al.に付与された同第4,228,160号(インドメタシン);Bernstein et al.に付与された同第4,247,535号(補体阻害剤);Kawamura et al.に付与された同第4,268,501号(抗ぜんそく活性物質);Szjetli et al.に付与された同第4,365,061号(強無機酸複合体);Pithaに付与された同第4,371,673号(レチノイド);Szjetli et al.に付与された同第4,380,626号(ホルモン性植物成長調節物質)、Wagu et al.に付与された同第4,438,106号(コレステロールを低減するために有用な長鎖脂肪酸);Sato et al.に付与された同第4,474,822号(茶エッセンス複合体);Szjetli et al.に付与された同第4,529,608号(蜂蜜芳香)、Kuno et al.に付与された同第4,547,365号(毛髪にウェーブをかける活性複合体);Pithaに付与された同第4,596,795号(性ホルモン);Hirai et al.に付与された同第4,616,008号(抗菌性複合体);Shibanaiに付与された同第4,636,343号(殺虫剤複合体)、Ninger et al.に付与された同第4,663,316号(抗生物質);Fukazawa et al.に付与された同第4,675,395号(ヒノキチオール);Shibanai et al.に付与された同第4,732,759号及び同第4,728,510号(風呂添加剤);Karl et al.に付与された同第4,751,095号(アスパルタマン);同第4,560,571号(コーヒー抽出物);Okonogi et al.に付与された同第4,632,832号(即席クリーミングパウダー);Trinh et al.に付与された同第5,571,782号、同第5,660,845号及び同第5,635,238号(香料、香味料、及び薬剤);Kubo et al.に付与された同第4,548,811号(ウェーブをかけるローション);Prasad et al.に付与された同第6,287,603号(香料、香味料、及び薬剤);Peraに付与された同第4,906,488号(嗅覚作用物(olfactant)、香味料、薬剤、及び殺虫剤);並びにQi et al.に付与された同第6,638,557号(魚油)。
【0003】
シクロデキストリンはさらに以下の刊行物において説明されており、これをまた本明細書において参考のために引用する:(1) Reineccius, T.A., et al. "Encapsulation of flavors using cyclodextrins: comparison of flavor retention in alpha, beta, and gamma types." Journal of Food Science. 2002; 67(9): 3271-3279; (2) Shiga, H., et al. "Flavor encapsulation and release characteristics of spray-dried powder by the blended encapsulant of cyclodextrin and gum arabic." Marcel Dekker, Incl., www.dekker.com. 2001; (3) Szente L., et al. "Molecular Encapsulation of Natural and Synthetic Coffee Flavor with β-cyclodextrin." Journal of Food Science. 1986; 51(4): 1024-1027; (4) Reineccius, G. A., et al. "Encapsulation of Artificial Flavors by β-cyclodextrin." Perfumer & Flavorist (ISSN 0272-2666) An Allured Publication. 1986: 11(4): 2-6; and (5) Bhandari, B.R., et al. "Encapsulation of lemon oil by paste method using β-cyclodextrin: encapsulation efficiency and profile of oil volatiles." J. Agric. Food Chem. 1999; 47: 5194-5197。
【発明の開示】
【0004】
本発明の幾つかの具体例は、シクロデキストリン包接複合体の製造方法を提供する。方法は、シクロデキストリン及び乳化剤を混合して、乾式混合物を形成することと、溶媒及びゲストを乾式混合物と混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成することとを含むことができる。
【0005】
本発明の幾つかの具体例においては、シクロデキストリン包接複合体の製造方法が提供される。方法は、シクロデキストリン及び乳化剤を混合して、第1の混合物を形成することと、第1の混合物を溶媒と混合して、第2の混合物を形成することと、ゲストを第2の混合物と混合して、第3の混合物を形成することとを含むことができる。
【0006】
本発明の幾つかの具体例は、シクロデキストリン包接複合体の製造方法を提供する。方法は、シクロデキストリン及びペクチンを乾式混合して、第1の混合物を形成することと、第1の混合物を水と混合して、第2の混合物を形成することと、ジアセチルを第2の混合物と混合して、第3の混合物を形成することとを含むことができる。
【0007】
本発明の幾つかの具体例においては、ゲスト安定化系の作製方法が提供される。方法は、シクロデキストリン及び乳化剤を混合して、混合物を形成することと、溶媒及びゲストを混合物と混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成することと、複合体になっていないシクロデキストリンをシクロデキストリン包接複合体に加えて、ゲスト安定化系を形成することとを含むことができる。
【0008】
本発明の幾つかの具体例は、ゲスト安定化系の作製方法を提供する。方法は、シクロデキストリン、溶媒及びゲストを混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成することを含むことができる。ゲストを、ゲスト対シクロデキストリンの過剰のモル比で加えることができる。方法は、複合体になっていないシクロデキストリンをシクロデキストリン包接複合体に加えて、ゲスト安定化系を形成することをさらに含むことができる。複合体になっていないシクロデキストリンを、全シクロデキストリン対ゲストの過剰のモル比で加えて、ゲスト安定化系中の複合体になっているゲスト対遊離ゲストの比を増大させて、ゲストを劣化からさらに安定化することができる。
【0009】
本発明の幾つかの具体例においては、飲料の製造方法が提供される。方法は、複合体になっていないシクロデキストリン、ゲスト及び溶媒を混合して、飲料を形成することを含むことができる。ゲストは正のlog(P)値を有することができる。シクロデキストリンを、約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたるシクロデキストリン対飲料という重量%で飲料に加えることができる。
【0010】
本発明の他の特徴及び態様は、詳細な説明及び添付図面を検討することによって明瞭になろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の任意の具体例を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明において述べるかまたは以下の図面において示す構成要素の構成及び配置の詳細への適用に限定されないことは理解できるはずである。本発明は、他の具体例及び様々な様式で実施するかまたは実行することが可能である。また、本明細書において使用する語句及び用語は、説明のためであり、限定されるとみなすべきではないことは理解できるはずである。“含むこと(including)”、“含むこと(comprising)”または“有すること(having)”及び本明細書におけるこれらの変形の使用は、その後列記する項目及びその同等物並びに追加の項目を包含するためのものである。他に指定するかまたは限定しない限り、“取り付けた”、“接続した”、“支持した”、及び“結合した”という用語並びにこれらの変形を広く使用し、直接並びに間接的な取り付け、接続、支持、及び結合の両方を包含する。さらに、“接続した”及び“結合した”は、物理的または機械的接続若しくは結合に限定されない。
【0012】
また、本明細書において記載する任意の数値の範囲は、下方の値から上方の値まで全ての値を含むことは理解される。例えば、濃度範囲を1%〜50%として述べる場合、値の例えば2%〜40%、10%〜30%、または1%〜3%等は、本明細書において特に列挙されることを意図されている。こうしたものは、特に意図されたものの例であるのみであり、列挙された最低の値と最高の値との間の数値の全ての可能な組合せが本出願において特に述べられるとみなされるべきである。
【0013】
本発明は一般に、シクロデキストリン包接複合体及びその形成方法に関する。本発明の幾つかのシクロデキストリン包接複合体は、揮発性の及び反応性のゲスト分子の封じ込めに対処したものである。幾つかの具体例においては、ゲスト分子の封じ込めは、以下のもののうちの少なくとも1つを提供することができる:(1)市販の製品における香味料強度の欠如をもたらすかもしれない、揮発性のまたは反応性のゲストが市販の製品から逃げることの防止;(2)オフノート形成(off note formation)を引き起こすと思われる他の成分との相互作用及び反応からのゲスト分子の分離;(3)劣化(例えば、加水分解、酸化等)に対するゲスト分子の安定化;(4)他の生成物または化合物からのゲスト分子の選択的抽出;(5)ゲスト分子の水溶性の増強;(6)市販の製品の味または臭気の改良または増強;(7)マイクロ波及び従来のベーキング用途におけるゲストの熱保護;(8)香味または臭気の徐放及び/または持続性放出(例えば、シクロデキストリン包接複合体においてジアセチルをゲスト分子として用いる具体例においては、これは、溶けかかったバターの知覚を提供することができる);及び(9)ゲスト分子の安全な取り扱い。
【0014】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“シクロデキストリン”という用語は、デンプンの酵素転換によって形成された環状デキストリン分子を指すことができる。特定の酵素、例えば、様々な形態のシクログリコシルトランスフェラーゼ(cycloglycosyltransferase)(CGTアーゼ)は、デンプン中に生じるらせん構造を分解して、例えば、6、7、または8個のグルコース分子を有する三次元ポリグルコース環を有する特定のシクロデキストリン分子を形成することができる。例えば、α−CGTアーゼは、デンプンを、6グルコース単位を有するα−シクロデキストリンに転換することができ、β−CGTアーゼは、デンプンを7グルコース単位を有するβ−シクロデキストリンに転換することができ、γ−CGTアーゼは、デンプンを、8グルコース単位を有するγ−シクロデキストリンに転換することができる。シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つが挙げられるがこれらに限定されるものではない。β−シクロデキストリンは、何らかの有毒な影響を有することが知られておらず、世界的にGRAS(すなわち、一般に安全とみなされている)であり、天然であり、FDAにより承認されており、α−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンもまた天然物とみなされており、U.S、及びE.U.GRASである。
【0015】
シクロデキストリン分子10の三次元環状構造(すなわち、大環状構造)を図1に概略で示す。シクロデキストリン分子10は、第一級及び第二級ヒドロキシル基を含み、親水性の外部部分12を含む。シクロデキストリン分子10はまた、炭素原子、水素原子及びエーテル結合を含み、疎水性の三次元のくぼみ14を含む。シクロデキストリン分子の疎水性のくぼみ14はホストとして働き、疎水性部分を含む様々な分子、またはゲスト16を保持して、シクロデキストリン包接複合体を形成することができる。
【0016】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“ゲスト”という用語は、その少なくとも一部分が、シクロデキストリン分子中に存在する三次元のくぼみ内部に保持されるかまたは捕捉されることができる任意の分子を指すことができ、こうしたものとしては、香味料、嗅覚作用物、薬剤、機能性食品(例えば、クレアチン)、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0017】
香味料の例としては、アルデヒド、ケトンまたはアルコールに基づく香味料を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。アルデヒド香味料の例としては:アセトアルデヒド(りんご);ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド);アニシックアルデヒド(カンゾウ、アニス);シンナミックアルデヒド(シナモン);シトラール(例えば、ゲラニアール、アルファシトラール(レモン、ライム)及びネラール、ベータシトラール(レモン、ライム));デカナール(オレンジ、レモン);エチルバニリン(バニラ、クリーム);ヘリオトロピン、すなわちピペロナール(バニラ、クリーム);バニリン(バニラ、クリーム);a−アミルシンナムアルデヒド(スパイスのきいた果物のような香味料);ブチルアルデヒド(バター、チーズ);バレルアルデヒド(バター、チーズ);シトロネラール(変性物(modifies)、多くのタイプ);デセナール(柑橘類の果実);アルデヒドC−8(柑橘類の果実);アルデヒドC−9(柑橘類の果実);アルデヒドC−12(柑橘類の果実);2−エチルブチルアルデヒド(漿果);ヘキセナール、すなわちトランス−2(漿果);トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド);ベラトルアルデヒド(バニラ);2−6−ジメチル−5−ヘプテナール、すなわちメロナールTM(MelonalTM)(メロン);2,6−ジメチルオクタナール(熟していない果実);2−ドデセナール(柑橘類、マンダリン);及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0018】
ケトン香味料の例としては:d−カルボン(キャラウエー);1−カルボン(スペアミント);ジアセチル(バター、チーズ、“クリーム”);ベンゾフェノン(果物のような及びスパイスのきいた香味料、バニラ);メチルエチルケトン(漿果);マルトール(漿果)メントン(ハッカ)、メチルアミルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルアミルケトン(漿果、核果);ピルビン酸(煙のような、堅果のような香味料);アセトアニソール(サンザシヘリオトロープ);ジヒドロカルボン(スペアミント);2,4−ジメチルアセトフェノン(ハッカ);1,3−ジフェニル−2−プロパノン(アーモンド);アセトクメン(オリス及びバジル、スパイスのきいた);イソジャスモン(ジャスミン);d−イソメチルイオノン(オリス様、すみれ);イソブチルアセトアセテート(ブランデー様);ジンゲロン(ショウガ);プレゴン(ハッカ−ショウノウ);d−ピペリトン(ハッカのような);2−ノナノン(バラ及び茶様);及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0019】
アルコール香味料の例としては、アニシックアルコールまたはp−メトキシベンジルアルコール(果物のような、桃);ベンジルアルコール(果物のような);カルバクロールまたは2−p−シメノール(刺激性の暖かい臭気);カルベオール;ケイ皮アルコール(花のような臭気);シトロネロール(バラ様);デカノール;ジヒドロカルベオール(スパイスのきいた、こしょうのような);テトラヒドロゲラニオールまたは3,7−ジメチル−1−オクタノール(バラの臭気);オイゲノール(丁字);p−メンタ−1,8ジエン−7−Oλまたはペリリルアルコール(花のような−マツ);アルファテルピネオール;メンタ−1,5−ジエン−8−オール1;メンタ−1,5−ジエン−8−オール2;p−シメン−8−オール;及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
嗅覚作用物の例としては、天然芳香物質、合成芳香物質、合成精油、天然精油、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0021】
合成芳香物質の例としては、テルペニック炭化水素、エステル、エーテル、アルコール、アルデヒド、フェノール、ケトン、アセタール、オキシム、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0022】
テルペニック炭化水素の例としては、ライムテルペン、レモンテルペン、リモネンダイマー、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0023】
エステルの例としては、γ−ウンデカラクトン、エチルメチルフェニルグリシデート、アリルカプロエート、アミルサリチレート、アミルベンゾアート、酢酸アミル、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、ベンジルサリチレート、ベンジルプロピオナート、酢酸ブチル、ベンジルブチレート、ベンジルフェニルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、p−クレシルアセテート、2−t−ペンチル−シクロヘキシルアセテート、酢酸シクロヘキシル、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルサリチレート、ジメチルベンジルアセテート、フタル酸ジエチル、δ−デカ−ラクトンジブチルフタレート、酪酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、フェンキルアセテート、ゲラニルアセテート、γ−ドデカラトン、メチルジヒドロジャスモネート、酢酸イソボルニル、β−イソプロポキシエチルサリチレート、酢酸リナリル、安息香酸メチル、o−t−ブチルシロヘキシルアセテート、サリチル酸メチル、エチレンブラッシレート、エチレンドデカノエート、メチルフェニルアセテート、フェニルエチルイソブチレート、フェニルエチルフェニルアセテート、フェニルエチルアセテート、メチルフェニルカルビニルアセテート、3,5,5−トリメチルヘキシルアセテート、テルピニルアセテート、クエン酸トリエチル、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、ベティバーアセテート、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
エーテルの例としては、p−クレシルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−β−2−ベンゾピラン、フェニルイソアミルエーテル、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0025】
アルコールの例としては、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、β−フェニルエチルジメチルカルビノール、ジメチルベンジルカルビノール、カルビトールジヒドロミセノール、ジメチルオクタノール、ヘキシレングリコールリナロオール、リーフアルコール(leaf alcohol)、ネロール、フェノキシエタノール、γ−フェニル−プロピルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、メチルフェニルカルビノール、テルピネオール、テトラフィドロアルオオシメノール、テトラヒドロリナロオール、9−デセン−1−オール、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
アルデヒドの例としては、n−ノニルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒド、2−ヘキシルヘキサナール、アヘキシルシンナミックアルエヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、p−t−ブチル−a−メチルヒドロ−シンナミックアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、α−アミルシンナミックアルデヒド、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
フェノールの例としては、メチルオイゲノールを挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0028】
ケトンの例としては、1−カルボン、α−ダマスコン、イオノン、4−t−ペンチルシクロヘキサノン、3−アミル−4−アセトキシテトラヒドロピラン、メントン、メチルイオノン、p−t−アミシクロヘキサノン、アセチルセドレン、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0029】
アセタールの例としては、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールを挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0030】
オキシムの例としては、5−メチル−3−ヘプタノンオキシムを挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0031】
ゲストとしてはさらに、脂肪酸、ラクトン、テルペン、ジアセチル、硫化ジメチル、プロリン、フラネオール、リナロオール、アセチルプロピオニル、天然エッセンス(例えば、オレンジ、トマト、りんご、シナモン、ラズベリー等)、精油(例えば、オレンジ、レモン、ライム等)、甘味料(例えば、アスパルテーム、ネオテーム等)、サビネン、p−シメン、p,a−ジメチルスチレン、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0032】
図3は、ジアセチル−シクロデキストリン包接複合体の形成の略図を示し、図5は、シトラール−シクロデキストリン包接複合体の形成の略図を示す。
【0033】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“log(P)”または“log(P)値”という用語は、標準的な参考文献の表において見い出すことができ、材料のオクタノール/水分配係数を指す材料の特性である。一般に、材料のlog(P)値は、その親水性/疎水性の表現である。Pは、オクタノール中の材料の濃度対水中の材料の濃度の比と定義される。従って、水中の材料の濃度がオクタノール中の材料の濃度よりも高い場合、考察の対象となっている材料のlog(P)は負である。濃度がオクタノール中でより高い場合、log(P)値は正であり、考察の対象となっている材料の濃度が水中でオクタノール中と同じである場合、log(P)値はゼロである。従って、ゲストはそのlog(P)値を特徴とすることができる。参考のために、表1Aは、幾つかは本発明のゲストとしてよい様々な材料のためのlog(P)値を列記する。
【表1】
【0034】
比較的に大きな正のlog(P)値(例えば、約2を超える)を有するゲストの例としては、シトラール、リナロオール、アルファテルピネオール、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない。比較的に小さな正のlog(P)値(例えば、約1未満であるがゼロを超える)を有するゲストの例としては、硫化ジメチル、フラネオール、エチルマルトール、アスパルテーム、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない。比較的に大きな負のlog(P)値(例えば、約−2未満)を有するゲストの例としては、クレアチン、プロリン、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない。比較的に小さな負のlog(P)値(例えば、0未満であるが約−2を超える)を有するゲストの例としては、ジアセチル、アセトアルデヒド、マルトール、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0035】
log(P)値は、食品及び香味料化学の多くの面において重要である。log(P)値の表を上記に提供する。ゲストのlog(P)値は、最終製品(例えば、食品及び香味料)の多くの面にとって重要となり得る。一般に、正のlog(P)を有する有機ゲスト分子は、シクロデキストリン中に成功裏に封じ込めることができる。幾つかのゲストを含む混合物においては、競争が存在し得、log(P)値は、どのゲストが成功裏に封じ込められるためにより有望であるかを決定する際に有用であり得る。マルトール及びフラネオールは、同様の香味料特性(すなわち、甘い特性)を有するが、それらの異なるlog(P)値が理由となって、シクロデキストリン封じ込めにおける異なるレベルの成功を有すると思われる2つのゲストの例である。log(P)値は、高い水性含量または環境を有する食品製品において重要であることがある。かなりの及び正のlog(P)値を有する化合物は、定義により、最も可溶ではなく、従って最初に移動し、分離し、次に包装中での変化にさらされるものである。高いlog(P)値は、しかしながら、製品中にシクロデキストリンを加えることによってこれを有効に捕捉し、保護することがある。
【0036】
上記に言及したように、本発明と共に使用するシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及びこれらの組合せを含むことができる。より親水性のゲスト(すなわち、より小さなlog(P)値を有する)を使用する具体例においては、α−シクロデキストリンを使用して(すなわち、単独でまたは別のタイプのシクロデキストリンと組み合わせて)、シクロデキストリン中のゲストの封じ込めを改良してよい。例えば、α−シクロデキストリン及びβ−シクロデキストリンの組合せは、比較的に親水性のゲストを用いる具体例において使用して、シクロデキストリン包接複合体の形成を改良することできる。
【0037】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“シクロデキストリン包接複合体”という用語は、ゲスト分子を三次元のくぼみ内部に捕捉し、保持することによって、1つ以上のシクロデキストリン分子を用いて1つ以上のゲスト分子の少なくとも一部分を封じ込めること(分子レベルの封じ込め)によって形成された複合体を指す。ゲストは、水素結合及び親水性−疎水性相互作用のうちの少なくとも1つによるくぼみ内部にワンデルワール力によって所定の位置に保持されることができる。シクロデキストリン包接複合体が水中に溶解した時に、ゲストはくぼみから放出されることができる。シクロデキストリン包接複合体をまた本明細書において、“ゲスト−シクロデキストリン複合体”と呼ぶ。シクロデキストリンのくぼみはその外面と比較して疎水性であるので、正のlog(P)値(特に、比較的に大きな正のlog(P)値)を有するゲストは、シクロデキストリン中に容易に封じ込められ、水性環境中で安定なシクロデキストリン包接複合体を形成しよう、というのは、ゲストは、水性環境よりもシクロデキストリンのくぼみの方を熱力学的に好むであろうからである。幾つかの具体例においては、1を超えるゲストを複合体にすることが望ましい場合、各ゲストを別個に封じ込めて、考察の対象となっているゲストを封じ込める効率を最大にすることができる。
【0038】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“複合体になっていないシクロデキストリン”という用語は一般に、ゲストを実質的に含まず、シクロデキストリン包接複合体を形成していないシクロデキストリンを指す。“ゲストを実質的に含まない”シクロデキストリンは一般に、くぼみ中にゲストを含まないシクロデキストリンの大きな部分を含むシクロデキストリンの源を指す。
【0039】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“ヒドロコロイド”という用語は一般に、水と共にゲルを形成する物質を指す。ヒドロコロイドとしては、キサンタンガム、ペクチン、アラビアゴム(またはガムアカシア)、トラガカント、グアー、カラギーナン、イナゴマメ、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0040】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“ペクチン”という用語は、植物組織中(例えば、熟した果実及び野菜中)に生じ得るヒドロコロイド多糖を指す。ペクチンとしては、ビートペクチン、果実ペクチン(例えば、柑橘類の皮から)、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。用いられるペクチンは、様々な分子量を有することができる。
【0041】
本発明のシクロデキストリン包接複合体を様々な用途または最終製品において使用することができ、こうしたものとしては、食品(例えば、飲料、ソフトドリンク、サラダ用ドレッシング、ポップコーン、シリアル、コーヒー、クッキー、ブラウニー、他のデザート、他の焼いた品物、調味料等)、チューインガム、歯磨き剤、キャンディー、香味料、芳香物質、薬剤、機能性食品、化粧品、農業用途(例えば、除草剤、殺虫剤等)、写真乳剤、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つが挙げられるがこれらに限定されるものではない。幾つかの具体例においては、シクロデキストリン包接複合体を、さらに処理し、単離し、乾燥するための中間単離マトリックスとして使用できる(例えば、廃棄物流れと共に使用する時に)。
【0042】
シクロデキストリン包接複合体は、ゲストの安定性を増強するか、これを自由流れ粉末(free flowing powder)に転換するか、またはさもなければその溶解度、送達若しくは性能を修正するために使用することができる。封じ込めることができるゲスト分子の量は、ゲスト分子の分子量に直接に関係がある。幾つかの具体例においては、1モルのシクロデキストリンは1モルのゲストを封じ込める。このモル比に従って、また一例としてのみ、ゲストとしてのジアセチル(分子量86ドルトン)、及びβ−シクロデキストリン(分子量1135ドルトン)を用いる具体例においては、最大理論保持は(86/(86+1135))×100=7.04重量%である。
【0043】
幾つかの具体例においては、シクロデキストリンは、溶液中で自己集合して、3モルのゲスト分子対2モルのシクロデキストリン分子を取り入れることができるナノ構造、例えば図2に示すナノ構造20を形成することができる。例えば、ゲストとしてジアセチルを用いる具体例においては、ジアセチルの10.21重量%の保持が可能であり、ゲストとしてシトラールを用いる具体例においては、シトラールの重量%保持として少なくとも10重量%が可能である(例えば、10〜14重量%の保持)。図4は、3モルのジアセチル分子及び2モルのシクロデキストリン分子の間で形成することができるナノ構造の略図を示す。図6は、3モルのシトラール分子及び2モルのシクロデキストリン分子の間で形成することができるナノ構造の略図を示す。他の複合体増強剤、例えばペクチン、は、自己集合プロセスを助けることができ、乾燥の間中ゲスト:シクロデキストリンの3:2のモル比を維持することができる。幾つかの具体例においては、シクロデキストリン分子のナノ構造への自己集合が理由となって、ゲスト:シクロデキストリンの5:3のモル比が可能である。
【0044】
シクロデキストリン包接複合体は溶液中で形成される。乾燥プロセスは、ゲストの少なくとも一部分をシクロデキストリンのくぼみ中で一時的に動けなくし、シクロデキストリン包接複合体を含む乾燥した自由流れ粉末を製造することができる。
【0045】
シクロデキストリンのくぼみの疎水性(非水溶性)の性質は、より多くの水溶性(親水性)のゲストを犠牲にして、同様な(疎水性の)ゲストを最も容易に優先的に捕捉しよう。この現象は、典型的な噴霧乾燥と比較して成分の不均衡及び不満足な全収率をもたらし得る。
【0046】
本発明の幾つかの具体例においては、別個に封じ込めるための主要な成分を選択することによって、親水性及び疎水性の影響の間の競争を避ける。例えば、バター香味料の場合には、脂肪酸及びラクトンは、ジアセチルよりもシクロデキストリン包接複合体を容易に形成する。しかしながら、こうした化合物は、バターに関連した主要な特徴をもつ影響化合物(key character impact compound)ではなく、これらは、ジアセチル並びに他の水溶性及び揮発性成分の全収率を低減しよう。幾つかの具体例においては、バター香味料における主要な成分(すなわち、ジアセチル)を最大にして、高影響で、より安定、より経済的な製品を製造する。さらなる例として、レモン香味料の場合には、大部分のレモン香味料成分は、等しく申し分なくシクロデキストリン中に封じ込められるだろう。しかしながら、テルペン(レモン香味料の成分)は、香味料価値がほとんど無く、しかもなおレモン香味料混合物の約90%を構成するが、シトラールは、レモン香味料の主要な香味料成分である。幾つかの具体例においては、シトラールを単独で封じ込める。別個に封じ込めるための主要な成分(例えば、ジアセチル、シトラール等)を選択することによって、出発原料の複雑さが低減し、技術工程及びプロセスの経済性の最適化を可能にする。
【0047】
幾つかの具体例においては、シクロデキストリン包接複合体を形成するための包接プロセスを、モル過剰のゲストを加えることによって完了させる。例えば、幾つかの具体例においては(例えば、使用するゲストがジアセチルである場合)、ゲスト:シクロデキストリンの3:1のモル比で、ゲストをシクロデキストリンと組み合わせることができる。幾つかの具体例においては、複合体を形成する際にモル過剰のゲストを使用することは、シクロデキストリン包接複合体を形成させるのみならず、プロセスにおける、例えば、揮発性のゲストを用いる具体例におけるゲストの任意の損失を埋め合わせることができる。
【0048】
幾つかの具体例においては、シクロデキストリン及びゲスト分子を溶媒中で混合することによって形成された懸濁液、エマルションまたは混合物の粘度を制御し、他の調節、例えば固形物含有量を増大させること無しに、一般的な噴霧乾燥技術との適合性を維持する。乳化剤(例えば、増粘剤、ゲル化剤、多糖、ヒドロコロイド)を、シクロデキストリンとゲストとの間の密着を維持するために、及び包接プロセスを助けるために加えることができる。特に、低分子量ヒドロコロイドを使用できる。1つの好ましいヒドロコロイドはペクチンである。乳化剤は、溶解度を増大させるために高熱または共溶媒(例えば、エタノール、アセトン、イソプロパノール等)の使用を必要とすること無く、包接プロセスを助けることができる。
【0049】
幾つかの具体例においては、懸濁液、エマルションまたは混合物の水分を低減して、ゲストに疎水性化合物として振る舞うことを事実上強いる。このプロセスは、比較的に親水性のゲスト、例えばアセトアルデヒド、ジアセチル、硫化ジメチル等でさえも保持を増大させることができる。水分を低減することはまた、噴霧乾燥器を通るスループットを最大にすることができ、全収率を低減し得る、揮発性のゲストがプロセスにおいて吹き飛ばされる機会を低減できる。
【0050】
本発明の幾つかの具体例においては、以下の工程の幾つかまたは全てを含んでよい以下のプロセスによって、シクロデキストリン包接複合体を形成できる:
【0051】
(1)シクロデキストリン及び乳化剤(例えば、ペクチン)を乾式混合する;
【0052】
(2)反応器中で、シクロデキストリン及び乳化剤の乾式混合物を溶媒の例えば水と組み合わせ、撹拌する;
【0053】
(3)ゲストを加え、撹拌する(例えば、約5〜8時間);
【0054】
(4)反応器を冷却する(例えば、冷却ジャケットを作動させる);
【0055】
(5)混合物を撹拌する(例えば、約12〜36時間);
【0056】
(6)乳化する(例えば、インタンク急速ミキサー(in-tank lightning mixer)または高剪断ドロップインミキサー(high shear drop-in mixer)を用いる);
【0057】
(7)シクロデキストリン包接複合体を乾燥して、粉末を形成する。
【0058】
こうした工程は、必ずしも列記した順序で実行する必要はない。加えて、上記のプロセスは、プロセスを、温度、混合の時間、及び他のプロセスパラメータの変化を使用して実行できるという点で非常に強健であることが判明した。
【0059】
幾つかの具体例においては、上記に説明したプロセスにおける工程1は、反応器中のインタンクミキサーを使用して成し遂げることができ、工程2においてこれに熱水を加えるだろう。例えば、幾つかの具体例においては、上記のプロセスを、温度制御のためのジャケット及びインライン高剪断ミキサーを備えた1000ガロン反応器を使用して成し遂げ、反応器は噴霧乾燥器に直接に接続している。幾つかの具体例においては、シクロデキストリン及び乳化剤を別個の装置(例えば、リボンブレンダ等)中で乾式混合し、次に反応器に加え、ここで上記のプロセスの残りを完了することができる。
【0060】
様々な重量%の乳化剤対シクロデキストリンを使用でき、乳化剤:シクロデキストリン重量%少なくとも約0.5%、特に、少なくとも約1%、より詳細には、少なくとも約2%を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。加えて、乳化剤:シクロデキストリン重量%約10%未満を使用でき、特に、約6%未満、より詳細には、約4%未満である。
【0061】
上記に説明したプロセスにおける工程2は、加熱、冷却、または両方のためにジャケットを備えた反応器中で成し遂げることができる。幾つかの具体例においては、組み合わせ、撹拌することは、室温で実行することができる。幾つかの具体例においては、組み合わせ、撹拌することは、室温を超える温度で実行することができる。反応器サイズは、製造サイズに依存し得る。例えば、100ガロン反応器を使用できる。反応器は、パドル撹拌機及び凝縮器ユニットを含むことができる。幾つかの具体例においては、工程1を反応器中で完了し、工程2において、同じ反応器中で高温の脱イオン水をシクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加える。
【0062】
工程3は、密閉された反応器中で成し遂げることができ、または、ゲストを加える間反応器を一時的に環境にさらすことができ、ゲストを加えた後に反応器を再密閉することができる。工程3のゲストを加える時に及び撹拌の最中に、熱を加えることができる。例えば、幾つかの具体例においては、混合物を約55〜60℃に加熱する。
【0063】
工程4は、冷却ジャケットを含む冷却材系を使用して成し遂げることができる。例えば、反応器を、プロピレングリコール冷却材及び冷却ジャケットを用いて冷却することができる。
【0064】
工程2における撹拌、工程3における撹拌、及び工程5における撹拌を、振とう、撹拌、タンブリング、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つによって成し遂げることができる。
【0065】
工程6においては、シクロデキストリン、乳化剤、水及びゲストの混合物を、高剪断ミキサー(例えば、ロス−ブランドミキサー(ROSS-brand mixer)(例えば、10,000RPMで90秒間)、またはシルバーストン−ブランドミキサー(SILVERSTON-brand mixer)(例えば、10,000RPMで5分間))、急速ミキサー、または、単純な混合に続いて、噴霧乾燥器の一部分である均質化ポンプに移すこと、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを使用して乳化することができる。
【0066】
上記に説明したプロセスにおける工程7を、空気乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥(例えば、ノズル噴霧乾燥器、スピニングディスク噴霧乾燥器等を用いる)、オーブン乾燥、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つによって成し遂げることができる。
【0067】
上記に略述したプロセスを使用して、様々な用途または最終製品のための様々なゲストを有するシクロデキストリン包接複合体を提供することができる。例えば、本発明の具体例の幾つかは、バター香味として様々な食品製品のために使用できる(例えば、電子レンジ用ポップコーン、焼いた品物等において)、ジアセチルを含むゲストを有するシクロデキストリン包接複合体を提供する。加えて、幾つかの具体例は、酸安定な飲料(acid stable beverage)のために使用できる、シトラールを含むゲストを有するシクロデキストリン包接複合体を提供する。その上、幾つかの具体例は、ジアセチルのバター香味を模倣することができる、ゲストとして香味料分子の組合せを有するシクロデキストリン包接複合体を提供する。例えば、シクロデキストリン包接複合体は他に、ゲストとして硫化ジメチル(揮発性の硫黄化合物)、プロリン(アミノ酸)及びフラネオール(甘さ増強剤)のうちの少なくとも1つを含むことができる。このジアセチルを含まないシクロデキストリン包接複合体を使用して、食品製品、例えば上記に説明したものにバター香味を提供することができる。電子レンジで加熱できる製品において使用できるシクロデキストリン包接複合体の場合、ゲストの非常に近い会合は、例えば、メイラード及び褐変反応(browning reaction)を増強し、これは、新たな及び別個の芳香を生じることができる。
【0068】
上記に言及したように、ゲスト分子の封じ込めは、オフノート形成を引き起こすと思われる他の成分との相互作用及び反応からのゲスト分子の分離;並びに劣化(例えば、加水分解、酸化等)に対するゲスト分子の安定化を提供することができる。劣化に対するゲスト分子の安定化は、封じ込められたゲストを含む得られた市販の製品の所望の影響または機能(例えば、味、臭気等)を改良するかまたは増強することができる。
【0069】
多くのゲストは劣化し得、主要なまたは所望の影響または機能を損ね得るオフノートを生じ得る。例えば、多くの香味料または嗅覚作用物は劣化し得、市販の製品の所望の香味料または臭気を損ね得るオフノート香味料または臭気を生じ得る。ゲストはまた、光酸化によって劣化し得る。一例として、図7は、シトラールの劣化機構を示す。ゲストの劣化の速度(すなわち、単数または複数のオフノートの形成の速度)は一般に、以下の一般的な動力学的反応速度式によって支配される:
【化1】
[式中、[ゲスト]は、溶液中のゲストのモル濃度を指し、[RC]は、ゲストと反応し、ゲストを劣化させる原因である溶液中の反応性化合物(例えば、酸)のモル濃度を指し、[オフノート]は、形成されたオフノートのモル濃度を指す。べき指数x、y及びzは、液剤中に存在する考察の対象となっているゲスト及び単数または複数の対応する反応性化合物との間に起きる、オフノートを生成する反応に依存する、反応次数を表す。]従って、ゲストの劣化の速度は、反応の反応次数によって決定されるべき指数を累乗したゲスト及び任意の反応性化合物のモル濃度の積に比例する。
【0070】
例えば、以下の式は、任意の与えられた温度及び濃度でオフノートを形成する酸性溶液中のシトラールの劣化を表す:
【0071】
【化2】
【0072】
[式中、図7に示す、シトラールの劣化機構に基づいて、
【化3】
である。]
【0073】
上述のゲストのいずれでも、このようにして保護し、安定化することができる。例えば、シクロデキストリンを使用して、様々なゲスト分子を保護する及び/また安定化して、製品の所望の影響または機能を増強することができ、こうしたものとしては、以下のゲスト分子が挙げられるがこれらに限定されるものではない:シトラール、ベンズアルデヒド、アルファテルピネオール、バニリン、アスパルテーム、ネオテーム、アセトアルデヒド、クレアチン、及びこれらの組合せ。この現象の例を、実施例21において説明し、表2及び図12〜15に示す。特に、この現象を、全て加えられたシトラールを有する試料1BH3、1BH4、及び1BH5;並びに全て水溶性ローズマリー(WSR)を有する試料3FH3、3FH4及び3FH5とBCD試料とを比較することによって証明した。1BH及び3FH試料中で、メンタ1,5−ジエン−8−オールはp−シメン−8−オールに転換され、メンタ1,5−ジエン−8−オールの濃度は、例えば、減少し、p−シメン−8−オールの濃度は増大したことが観測された。しかしながら、これはBCD試料においては起きなかった。
【0074】
“ゲスト安定化系”は、考察の対象となっているゲスト(または複数のゲスト)を安定化し、ゲストを劣化から保護する任意の系を指すことができる。本発明は、より詳細に下記に説明するゲスト安定化系の幾つかの具体例を含む。
【0075】
シトラール(log(P)=3.45)は、様々な用途、例えば酸性飲料において使用できる柑橘類またはレモン香味料である。酸性飲料としては、レモネード、7アップ(登録商標)(7UP(登録商標))レモンライム香味ソフトドリンク(ドクターペッパー/セブンアップ、Inc.(Dr Pepper/Seven-Up, Inc.)の登録商標)、スプライト(登録商標)(SPRITE(登録商標))レモンライム香味ソフトドリンク(ザ・コカコーラ・カンパニー、アトランタ、GA(The Coca-Cola Company, Atlanta, GA)の登録商標)、シエラミスト(登録商標)(SIERRA MIST(登録商標))レモンライム香味ソフトドリンク(ペプシコ、パーチャス、NY(Pepsico, Purchase, NY)の登録商標)、茶(例えば、リプトン(登録商標)(LIPTON(登録商標))及びブリスク(登録商標)(BRISK(登録商標))、リプトンの登録商標)、アルコール性飲料、及びこれらの組合せを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。アルファテルピネオール(log(P)=3.33)は、シトラールに関して上記に列記したものと同様の製品において使用できるライム香味料である。
【0076】
ベンズアルデヒド(log(P)=1.48)は、酸性飲料を含む様々な用途において使用できるチェリー香味料である。ベンズアルデヒドを用いて香味付けできる酸性飲料の例としては、チェリーコーク(登録商標)(CHERRY COKE(登録商標))チェリー−コーラ香味ソフトドリンク(ザ・コカコーラ・カンパニー、アトランタ、GAの登録商標)が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0077】
バニリン(log(P)=1.05)は、バニラ香味飲料、焼いた品物等、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない様々な用途において使用できるバニラ香味料である。
【0078】
アスパルテーム(log(P)=0.07)は、ダイエット用のソフトドリンクが挙げられるがこれに限定されるものではない様々なダイエット用の食品及び飲料において使用できる非スクロース甘味料である。ネオテームもまた、ダイエット用の食品及び飲料において使用できる非スクロース甘味料である。
【0079】
アセトアルデヒド(log(P)=−0.17)は、食品、飲料、キャンディー等、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない様々な用途において使用できるりんご香味料である。
【0080】
クレアチン(log(P)=−3.72)は、機能性食品配合物が挙げられるがこれに限定されるものではない様々な用途において使用できる機能性食品である。機能性食品配合物の例としては、乳、水または別の液体、及びこれらの組合せと組み合わせることができる粉末配合物が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0081】
ゲストの保護及び/または安定化は、過剰のシクロデキストリン(例えば、複合体になっていないシクロデキストリン)をシクロデキストリン包接複合体の最終粉末製品に提供することによって成し遂げることができる。すなわち、複合体になっていないシクロデキストリンを、上記に説明したプロセスの工程7において形成した乾燥粉末と乾式混合することは、様々な用途または市販の製品において使用できる所望の量のゲスト及びシクロデキストリン(すなわち、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む)を有する乾燥した自由流れ粉末(本明細書において、“ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”と呼ぶ)を生成できる。ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物中のゲスト−シクロデキストリン複合体の比率は、最終製品におけるゲストの効力(例えば、ゲストが香味料である場合、香味料価値)、及び所望の影響に依存する。ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、考察の対象となっている製品に加えるか、またはこれにおいて使用する場合に、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物中の過剰の複合体になっていないシクロデキストリンは、ゲストを保護する及び/または安定化する(光酸化からを含む)ために働く。例えば、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を含む香味料粉末は、飲料用途における香味料の劣化の速度を減少する際に有効となることができ、同時に、適切な香味料プロフィルをその飲料に提供する。
【0082】
様々な系を用いて、ゲストの保護及び/または安定化のために、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを加えることができる。幾つかの具体例においては、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、乾燥粉末として最終製品に加える(例えば、約0.05重量%〜約0.50重量%の範囲にわたるゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物対製品という重量%、特に、約0.15重量%〜約0.30重量%、より詳細には、約0.2重量%で)。
【0083】
幾つかの具体例においては、粉末の溶解度が許す場合、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、液体製品、エマルションまたはエマルション適合性製品(例えば、香味料エマルション)に加え、次に最終製品に加える(例えば、約0.05重量%〜約0.50重量%の範囲にわたるゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物対製品という重量%、特に、約0.15重量%〜約0.30重量%、より詳細には、約0.2重量%で、その結果、ゲストの重量%は、最終製品における所望の香味料レベルを実現する。幾つかの具体例においては、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを、工程6において形成したシクロデキストリン包接複合体を含む組成物に加えることができ、それによって工程7(乾燥工程)を飛ばし、上記に列記した重量%の範囲内で最終製品に加えることができる安定なエマルションまたはエマルション適合性製品を形成する。エマルション適合性製品を、別の最終製品(例えば、飲料、サラダ用ドレッシング、デザート、及び/または調味料等)に加えることができる。幾つかの具体例においては、エマルション適合性製品を、シロップまたはコーティング混合物の形態で提供するかまたはこれらに加えることができ、これを、安定なコーティングとして基体の上に噴霧できる(例えば、シリアル、デザート、調味料、栄養のある棒、及び/またはスナック食品の例えばプレッツェル、チップ等の上に噴霧される香味料エマルション)。
【0084】
シクロデキストリン包接複合体を液体形態で提供することは、幾つかの利点を有することができるが、その必要は無い。第1に、液体形態は、香味料組成物を液体濃縮物の形態で飲料に加えることに慣れている飲料顧客にとってよりなじみがあり、使用者に便利であることができる。第2に、液体形態は、香味料組成物を含み、均一に分布し、安定なコーティングを実現するために、上記に列記したものを含む乾燥食品製品の上に容易に噴霧することができる。既存のスプレー−オン適用と異なり、シクロデキストリン包接複合体を含むスプレード−オン香味料組成物は、乾燥基体の表面に香味料組成物を維持するために、典型的な揮発性溶媒または追加のコーティングまたは保護層を必要としないと思われる。第3に、シクロデキストリンは、このような食品製品の貯蔵寿命を伸ばすことができ、というのは、シクロデキストリンは吸湿性ではなく、従って、ベース食品製品または飲料の品質の劣化、味のなさ、または低減された新鮮さを生じないだろうからである。第4に、乾燥プロセスは高価となり得、幾つかのゲスト(例えば、遊離ゲストまたはシクロデキストリン包接複合体中に存在するゲスト)は、乾燥の最中に失われ得、これは、乾燥工程を最適化し、経済的に実行するのを困難にし得る。こうした理由で及び本明細書において特に言及しない他の理由で、幾つかの具体例においてシクロデキストリン包接複合体を液体形態で提供することは、有益となり得る。シクロデキストリン包接複合体のエマルション形態を、最終製品(例えば、飲料または食品製品)に加えて、適切なゲストプロフィル(例えば、香味料プロフィル)を最終製品に与えることができ、同時に、最終製品中のシクロデキストリンが、その与えられた製品の法律の制限の範囲内(例えば、幾つかの製品の0.2重量%以下、または幾つかの製品の2重量%以下)にあることを確実にする。
【0085】
シクロデキストリン包接複合体を含む液体またはエマルション形態の形成を含むシクロデキストリン包接複合体の製造性(manufacturability)を改良することは、本明細書と同じ日に出願された同時係属の米国特許出願第 号の主題であり、その全内容を、本明細書において参考のために引用する。
【0086】
シクロデキストリンを用いたゲストの封じ込めと遊離(または複合体になっていない)ゲスト分子及びシクロデキストリン分子との間に確立された平衡が存在するので、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを系に加えることは、平衡をゲストの封じ込めへと強いることができる。上記に説明したように、系中の遊離ゲスの量を減少することは、ゲストの劣化の速度及びオフノートの形成の速度を減少する。加えて、特に飲料または他の液体用途においては、ゲストは、熱力学的に及び/または動力学的に、シクロデキストリン中に封じ込められることの方を封じ込められないことよりも好むことがある。この現象は、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを加えることによって誇張されることができる。また、形成された少量のオフノート分子は、たとえあったとしても、シクロデキストリン中に封じ込められることがあり、最終製品から本質的に“マスクされる”ことも可能である。すなわち、幾つかの具体例においては、オフノートの化学的メーキャップが理由となって、オフノートは、シクロデキストリンと非常に安定して結合でき、これは、形成されることがある任意のオフノートのマスキング効果を生じることができる。従って、幾つかの具体例においては、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンは、製品の所望の影響または機能を妨げることがある、系中の他の水混和性成分を、マスクするかまたは分離するためのスカベンジャーとして働くことができる。
【0087】
図7Aは、ゲスト−シクロデキストリン−溶媒系を表す三相モデルを示す。図7Aにおいて使用するゲストはシトラールであり、使用する溶媒は水であるが、シトラール及び水を図7Aにおいて説明のためにのみ示すことは理解できるはずである。当業者は、しかしながら、図7Aに示す三相モデルを使用して、広く様々なゲスト及び溶媒を表すことができることを理解しよう。図7に示すものと同様の三相モデルに関する追加の情報は、Lantz et al., "Use of the three-phase model and headspace analysis for the facile determination of all partition/association constants for highly volatile solute-cyclodextrin-water systems," Anal Bioanal Chem (2005) 383: 160-166において見い出すことができ、これを、本明細書において参考のために引用する。
【0088】
この三相モデルを使用して、(1)シクロデキストリン包接複合体の形成の最中に、(2)シクロデキストリン包接複合体の飲料用途において、及び/または(3)香味料エマルションにおいて起きる現象を説明することができる。香味料エマルションは、例えば、上記に説明したプロセスにおける工程5若しくは6において乾燥の前に若しくは乾燥無しで形成されたスラリー、または、シクロデキストリン包接複合体を含む乾燥粉末を溶媒中に再懸濁させることによって形成されたスラリーを含むことができる。このような香味料エマルションを、飲料用途に加えることができ(例えば、濃縮物として)、または上記に説明したように基体の上に噴霧することができる。
【0089】
図7Aに示すように、ゲストが存在することができる三相、すなわち、気相、水性相、及びシクロデキストリン相(また時々“擬似相”と呼ぶ)が存在する。3つの平衡、及びそれらの関連した平衡定数(すなわち、KH、KP1及びKP2)を使用して、こうした三相におけるゲストの存在を説明する:
【0090】
【化4】
【0091】
【化5】
【0092】
【化6】
【0093】
【化7】
【0094】
[式中、“S”は、下つき文字で示される系の対応する相中の系の溶質(すなわち、ゲスト)を表し、“g”は気相を表し、“aq”は水性相を表し、“CD”はシクロデキストリン相を表し、“Cs”は、対応する相(すなわち、上付き文字で示されるaqまたはCD)中の溶質の濃度を表し、“Ps”は、気相中の溶質の分圧を表す。]
【0095】
図7Aに示す三相系中のゲストの全てを説明するために、当然、ゲストのモルの総数(nstotal)は以下の式によって表すことができる:
【0096】
【化8】
【0097】
定常状態での製品(例えば、飲料または香味料エマルション)中のゲストの任意の損失を説明するために、感覚のために利用できるゲストのモルの総数(nstaste;例えば、飲料または香味料エマルションにおける味のための)は以下の式によって表すことができる:
【0098】
【化9】
【0099】
[式中、f(P)は、例えば、障壁または香味料エマルションの飲料が含まれる容器(例えば、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレート(PET)で形成されたプラスチック瓶)を通るゲストの任意の移動(または損失)を表す分配関数である。]
【0100】
大きな正のlog(P)値を有するゲストの場合、シクロデキストリン中のゲストの封じ込めは、熱力学的に有利であろうし(すなわち、KP1及びKP2は1を超えよう)、以下の関係が生じよう:
【0101】
【化10】
【0102】
その結果、系中に存在するゲストの大部分は、シクロデキストリン包接複合体の形態であろう。水性及び気相中の遊離ゲストの量が最小になるでろうのみならず、障壁または容器を通るゲストの移動が最小になるだろう。従って、感覚のために利用できるゲストの大部分は、シクロデキストリン相中に存在しようし、感覚のために利用できるゲストのモルの総数(nstaste)は次の通り近似できる:
【0103】
【化11】
【0104】
ゲスト及びシクロデキストリンの間の溶液中のシクロデキストリン包接複合体の形成は、以下の式によってより完全に表される:
【0105】
【化12】
【0106】
実験的に、本発明を支持するデータは、ゲストのlog(P)値は、シクロデキストリン包接複合体の形成及び安定性においてファクターとなることができることを示した。すなわち、実験データは、上記の式9に示した平衡は、溶液中の封じ込めプロセスを伴う正味のエネルギー損失によって右に駆動されることと、平衡は、考察の対象となっているゲストのlog(P)値によって少なくとも部分的に予測できることを示した。ゲストのlog(P)値は、高い水性含量または環境を有する最終製品においてファクターとなることができることが見い出された。例えば、比較的に大きな正のlog(P)値を有するゲストは、典型的に最も水溶性ではなく、最終製品から移動し、分離し得、包装内部の環境の変化を受けやすい。しかしながら、比較的に大きなlog(P)値は、シクロデキストリンを最終製品に加えることによって、このようなゲストを有効に捕捉し、保護することができる。すなわち、幾つかの具体例においては、従来安定化することが最も困難だったゲストは、本発明の方法を使用して安定化することが容易となり得る。
【0107】
ゲストのlog(P)値の影響を説明するために、系中のゲストの安定性を表す平衡定数(KP2’)は、以下の式によって表すことができる:
【0108】
【化13】
【0109】
[式中、log(P)は、系中の考察の対象となっているゲスト(S)のためのLog(P)値である。]式10は、ゲストのlog(P)値を考慮したモデルを確立する。式10は、いかにして熱力学的に安定な系が、比較的に大きな正のlog(P)値を有するゲストを用いてシクロデキストリン包接複合体を最初に形成することから生じることができるかを示す。例えば、幾つかの具体例においては、安定な系(すなわち、ゲスト安定化系)は、正のlog(P)値を有するゲストを使用して形成できる。幾つかの具体例においては、安定な系は、log(P)値として少なくとも約+1を有するゲストを使用して形成できる。幾つかの具体例においては、安定な系は、log(P)値として少なくとも約+2を有するゲストを使用して形成できる。幾つかの具体例においては、安定な系は、log(P)値として少なくとも約+3を有するゲストを使用して形成できる。その上、正のlog(P)値を有するゲストを使用することによってのみならず、追加の、複合体になっていないシクロデキストリンをそのシクロデキストリン包接複合体に加えて、上記の式9に示す平衡の右側をさらに有利にし、複合体になっているゲスト対遊離のまたは複合体になっていないゲストの比を増大させて、ゲストを劣化からさらに安定化することによって、どのようにして熱力学的に安定な系が生じることができるかを了解することができる。
【0110】
log(P)値は、良好な実験的指標となり得、幾つかの参考文献から入手可能であるが、別の重要な基準は、特定のゲストのための結合定数である(すなわち、一旦複合体が形成されると、いかに強くゲストがシクロデキストリンのくぼみ中で結合するか)。あいにく、ゲストのための結合定数は実験的に決定される。リモネン及びシトラールの場合には、例えば、たとえlog(P)値が同様でも、シトラールははるかに強い複合体を形成することができる。この結果、より高い結合定数が理由となって、高いリモネン濃度の存在下でさえも、シトラールは消費まで優先的に保護される。これは予想外の利益であり、現在の科学文献から直接に予測されない。
【0111】
本発明の幾つかの具体例においては、式10によって支持されるように、ゲストを、製品、系または用途(例えば、飲料)に、複合体になっていない形態で加え、複合体になっていないシクロデキストリンを、その同じ製品、系または用途に加える。式10によって示唆されるように、このような系におけるゲストの安定性(及び劣化からのゲストの保護)は、少なくとも部分的にゲストのlog(P)値に依存しよう。例えば、ゲストを系に加えて、系中の所望の濃度を得ることができ、複合体になっていないシクロデキストリンを系に加えて、ゲスト安定化し、ゲストを劣化から保護することができる。幾つかの具体例においては、系中のゲストの濃度は、少なくとも約1ppm、特に、少なくとも約5ppm、より詳細には、少なくとも約10ppmである。幾つかの具体例においては、系中のゲストの濃度は、約200ppm未満、特に、約150ppm未満、より詳細には、約100ppm未満である。幾つかの具体例においては、柑橘類成分の全濃度は、例えば、1000ppmを超えることができる(例えば、リモネンが存在する場合)。しかしながら、これは、本発明の安定化/保護スキームに対する障害であるとは証明されていない。
【0112】
幾つかの具体例においては、シクロデキストリンを、シクロデキストリン:ゲストの1:1を超えるモル比で系に加える。式10に示すように、クロデキストリンによる系中のゲストの安定化を、ゲストのlog(P)値によって予測できる。幾つかの具体例においては、選択したゲストは、正のlog(P)値を有する。幾つかの具体例においては、ゲストは、約+1を超えるlog(P)値を有する。幾つかの具体例においては、ゲストは、約+2を超えるlog(P)値を有する。幾つかの具体例においては、ゲストは、約+3を超えるlog(P)値を有する。
【0113】
製品、系または用途が、遊離/複合体になっていないゲストを含もうと、シクロデキストリンによって封じ込められたゲストを含もうと、ゲストを加えて、最終製品、系または用途中のゲストの所望の濃度を実現でき、複合体になっていないシクロデキストリンを製品、系または用途に加えて、シクロデキストリンの総重量%を法律の制限の範囲内に維持できる。例えば、幾つかの具体例においては、シクロデキストリン対系の重量%は、約0.05重量%〜約0.50重量%の範囲にわたり、特に、約0.15重量%〜約0.30重量%、より詳細には、約0.2重量%である。幾つかの具体例においては、複合体になっていないシクロデキストリンをゲストと組み合わせ、次に系に加える。幾つかの具体例においては、複合体になっていないシクロデキストリンを、ゲストと別個に直接に系に加える。実施例20は、シトラールを含む溶液に加えた複合体になっていないα−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリンの安定化効果を示す。実施例20において説明するように、シトラールは劣化から保護され、オフノート形成が阻害される。式10は、シトラールの安定化効果は少なくとも部分的に、シトラールの比較的に大きなlog(P)値(すなわち、3.45)が理由となり得ることを示唆する。
【0114】
ゲストのlog(P)を考慮することによって、シクロデキストリンを含む系中のゲストの安定性を予測することが可能である。溶液中の複合体形成反応の熱力学を利用することによって、ゲストのための保護のための及び安定な環境を形成でき、これは、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンの添加によってさらに駆動される。シロデキストリン(cylodextrin)からのゲストの放出特性は、KH、ゲストの空気/水分配係数によって支配できる。シクロデキストリン包接複合体を含む系が、非平衡状態、例えば口中に置かれた場合、KHは、log(P)と比較して大きくなり得る。当業者は、1を超えるゲストが系中に存在でき、同様の式及び関係を系の各ゲストに適用できることを理解しよう。
【0115】
ゲストが香味料であり、市販の製品が飲料(または他の液体)であるような具体例においては、シクロデキストリンは、香味料を液体製品中の劣化から保護することができるが、液体が口中で味蕾と接触させられる時に、香味料を封じ込めから放出することができる。従って、製品の所望の香味料またはエッセンスを維持でき、適切な香味料またはエッセンスプロフィルを送達でき、同時に、その香味料またはエッセンスの劣化を防ぎ、同時に、法律的に許容できる量のシクロデキストリンを飲料に供給する。この現象を、実施例21〜22においてさらに説明し、表2及び3及び図7〜10においてさらに示す。
【0116】
本発明の様々な特徴及び態様を以下の実施例において述べ、これは、例示であることを意図されており、限定するものではない。特に断らない限り、実施例の全ては大気圧で実行された。実施例1〜19A、20〜23、25、28、29、31、34〜37は実例である。実施例19B、24A、24B、26、27、30、32及び33は予言的な実施例である。
【実施例】
【0117】
実施例1:β−シクロデキストリン及びジアセチル、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
大気圧で100ガロン反応器中、49895.1600g(110.02lb)のβ−シクロデキストリンを、997.9g(2.20lb)のビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランス(Degussa-France)から入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と共に乾式混合して、乾式混合物を形成した。100ガロン反応器は加熱及び冷却のためにジャケットを備え、パドル撹拌機を含み、凝縮器ユニットを含んだ。反応器に、プロピレングリコール冷却材を約40°F(4.5℃)で供給した。プロピレングリコール冷却材系を最初停止させ、ジャケットはある程度反応器のための絶縁体として働く。124737.9g(275.05lb)の高温の脱イオン水を、β−シクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加えた。水は温度約118°F(48℃)を有した。反応器のパドル撹拌機を使用して、混合物を約30分間撹拌した。反応器を次に一時的に開け、11226.4110g(24.75lb)のジアセチルを加えた(下文で使用するように、実施例における“ジアセチル”は、オールドリッチ・ケミカル、ミルウォーキー、WI(Aldrich Chemical, Milwaukee, WI)から購入したジアセチルを指す)。反応器を再密閉し、得られた混合物を、熱を加えずに8時間撹拌した。次に、反応器ジャケットをプロピレングリコール冷却材系に接続した。冷却材を約40°F(4.5℃)に作動させ、混合物を約36時間撹拌した。混合物を次に、高剪断タンクミキサー、例えば典型的に噴霧乾燥操作において使用されるものを使用して乳化した。混合物を次に、入口温度約410°F(210℃)及び出口温度約221°F(105℃)を有するノズル乾燥器上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の12.59重量%のジアセチルというパーセント保持を実現した。含水率を4.0%で測定した。シクロデキストリン包接複合体は0.3%未満の表面ジアセチルを含み、シクロデキストリン包接複合体の粒度を、80メッシュスクリーンを通して99.7%として測定した。当業者は、加熱及び冷却は他の手段によって制御できることを理解しよう。例えば、ジアセチルを室温スラリーに加えることができ、自動的に加熱及び冷却できる。
実施例2:α−シクロデキストリン及びジアセチル、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0118】
実施例1のβ−シクロデキストリンをα−シクロデキストリンで置き換え、1重量%のペクチン(すなわち、1重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と共に乾式混合した。混合物を、実施例1において述べた方法によって処理し、乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中のジアセチルのパーセント保持は、11.4重量%だった。
実施例3:β−シクロデキストリン及びオレンジエッセンス、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0119】
オレンジエッセンス、ジュース製造からの水性廃棄物流れ、を、実施例1において述べたプロセスに従って形成したβ−シクロデキストリン及び2重量%のペクチンの乾式混合物に水性相として加えた。追加の水を加えず、固形物含有量は約28%だった。シクロデキストリン包接複合体を、実施例1において述べた方法によって形成した。乾燥した包接複合体は、約3〜4重量%のアセトアルデヒド、約5〜7重量%の酪酸エチル、約2〜3重量%のリナロオール及び他の柑橘類増強ノートを含んだ。得られたシクロデキストリン包接複合体は、トップノーティング飲料(top-noting beverage)において有用となり得る。
実施例4:β−シクロデキストリン及びアセチルプロピオニル、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0120】
モル過剰のアセチルプロピオニルを、水中でβ−シクロデキストリン及び2重量%のペクチンの乾式混合物に加え、実施例1において述べた方法に従った。シクロデキストリン包接複合体中のアセチルプロピオニルのパーセント保持は、9.27重量%だった。混合物は、トップノーティングでジアセチルを含まないバター系において有用となり得る。
実施例5:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0121】
オレンジ油(すなわち、オレンジブレジル(Orange Bresil);75g)を、635gの水、403.75gの麦芽デキストリン、及び21.25gのビートペクチン(デガッサ−フランスから入手可能、製品no.XPQ EMP 5)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、穏やかに撹拌しながら水性相に加え、続いて10,000RPMで強く撹拌して、混合物を形成した。混合物を次に、ホモジナイザーを250barで通過させて、エマルションを形成した。エマルションを、入口温度約180℃及び出口温度約90℃を有するニロ−ブランド噴霧乾燥器(NIRO-brand spray drier)を使用して乾燥して、乾燥した生成物を形成した。パーセント香味料保持を次に、100gの乾燥した生成物中の油の量として(g単位で)定量化し、出発混合物中の油含量で割った。オレンジ油のパーセント保持は約91.5%だった。
実施例6:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0122】
オレンジ油(75g)を、635gの水、297.50gの麦芽デキストリン、及び127.50gのアラビアゴム(コロイズ・ナチュレルス・インターナショナル(Colloids Naturels International)から入手可能)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約91.5%だった。
実施例7:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0123】
オレンジ油(75g)を、635gの水、297.50gの麦芽デキストリン、123.25gのアラビアゴム(コロイズ・ナチュレルス・インターナショナルから入手可能)、及び4.25gの解重合した柑橘類ペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約96.9%だった。
実施例8:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0124】
オレンジ油(75g)を、635gの水、297.50gの麦芽デキストリン、123.25gのアラビアゴム(コロイズ・ナチュレルス・インターナショナルから入手可能)、及び4.25gのビートペクチン(デガッサ−フランスから入手可能、製品no.XPQ EMP 5)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約99.0%だった。
実施例9:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0125】
オレンジ油(75g)を、635gの水、403.75gの麦芽デキストリン、及び21.25gの解重合した柑橘類ペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約90.0%だった。
実施例10:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0126】
オレンジ油(75g)を、635gの水、340.00gの麦芽デキストリン、及び85.00gのアラビアゴム(コロイズ・ナチュレルス・インターナショナルから入手可能)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約91.0%だった。
実施例11:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0127】
オレンジ油(75g)を、635gの水及び425.00gの麦芽デキストリンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約61.0%だった。
実施例12:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0128】
オレンジ油(75g)を、635gの水、420.75gの麦芽デキストリン、及び4.25gのペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約61.9%だった。
実施例13:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0129】
オレンジ油(75g)を、635gの水、403.75gの麦芽デキストリン、及び21.50gのペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約71.5%だった。
実施例14:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0130】
オレンジ油(75g)を、635gの水、420.75gの麦芽デキストリン、及び4.75gの解重合した柑橘類ペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約72.5%だった。
実施例15:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0131】
オレンジ油(75g)を、635gの水、420.75gの麦芽デキストリン、及び4.75gのビートペクチン(デガッサ−フランスから入手可能、製品no.XPQ EMP 5)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約78.0%だった。
実施例16:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0132】
オレンジ油(75g)を、635gの水、414.40gの麦芽デキストリン、及び10.60gの解重合した柑橘類ペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約85.0%だった。
実施例17:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0133】
オレンジ油(75g)を、635gの水、414.40gの麦芽デキストリン、及び10.60gのビートペクチン(デガッサ−フランスから入手可能、製品no.XPQ EMP 5)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約87.0%だった。
実施例18:β−シクロデキストリン及びシトラール、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0134】
大気圧で1L反応器中、200gのβ−シクロデキストリンを、4.0gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と共に乾式混合して、乾式混合物を形成した。500gの脱イオン水を、β−シクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を約55〜60℃で5時間加熱し、撹拌することによって撹拌した。27gのシトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライド(Citrus & Allied)から入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を5時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するブチ B−191(BUCHI B-191)実験室噴霧乾燥器(ブチ、スイス(BUCHI, Switzerland)から入手可能)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の11.5重量%のシトラールというパーセント保持を実現した。得られた乾燥粉末は、0.08重量%の表面油(遊離シトラール)を含んだ。
実施例19A:シクロデキストリンによって封じ込められたシトラール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0135】
封じ込められたシトラールを、実施例18において述べた方法に従って製造した。シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む得られた乾燥粉末を追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のシトラールという重量%を実現した。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、約0.2重量%の乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量という重量%で酸性飲料に加えた。これは、10〜15ppmのシトラール及び約0.2重量%のβ−シクロデキストリンを酸性飲料に提供した。
実施例19B:シクロデキストリンによって封じ込められたシトラール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0136】
封じ込められたシトラールを、実施例18において述べた方法に従って製造する。シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む得られた乾燥粉末を追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約0.1重量%のシトラールという重量%を実現する。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、トップノートとして飲料に加える。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、約0.2重量%の乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量という重量%で加える。
実施例20:シクロデキストリンを用いたシトラールの安定化
【0137】
シトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)をエタノール中に溶かし(cut)、クエン酸中で希釈して、所望の香味料レベル(例えば、3mL(EtOH中の1%シトラール)/2Lの0.6%クエン酸;表1Bにおいて“対照”または“作りたての対照”と呼ぶ)を得た。次に、0.1重量%及び0.2重量%のα−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリンを対照に加え、40°Fまたは90°Fで18時間、36時間、または48時間維持して、様々な貯蔵寿命をシミュレートした。様々な形態のシトラールまたはキャラクターインパクト柑橘類香味料化合物(すなわち、ネラール、ゲラニアール、及びシトラール合計、ネラール及びゲラニアールの和)、及び一般的な柑橘類香味料オフノート化学物質(例えば、カルベオール、p−シメンまたはp−シメン−8−オール、p,a−ジメチルスチレン、メンタ−1,5−ジエン−8−オール1、及びメンタ−a,5−ジエン−8−オール2)を含む様々な他の化合物及びクロロシクロヘキサン内標準(表1Bにおいて“CCH int std”と呼ぶ)の生の面積計算を、表1Bに示すように、実験の各入れ替えにつき測定した。本明細書において使用する“生の面積計算”という用語を使用して、試料を、ガスクロマトグラフィー−質量分析法分析、すなわち、ペガサスII(PEGASUS II)飛行時間型質量分析計(TOF−MS;レコCorp.、セントジョーゼフ、ミシガン(LECO Corp., St. Joseph, Michigan)から入手可能)を使用して分析した場合の、ガスクロマトグラムの対応する部分の曲線の下の面積を指す。クロロシクロヘキサン内標準を10ppm/飲料で含ませて、考察の対象となっている他の化合物の生の面積計算を基準化しようと試みた。表1Bに示すように、シクロデキストリン(特に、β−シクロデキストリン)の添加は、溶液中のシトラールの量を増大し、形成されたオフノートの量を減少した。特に、この現象は、シミュレートされた貯蔵寿命が増大するにつれて観測された(すなわち、時間及び温度が増大するにつれて、より大きな差異が、シクロデキストリン、特に、β−シクロデキストリンを含む溶液と対照との間に観測された)。これは、β−シクロデキストリンの添加を用いたオフノート形成の阻害を示す図8及び図9を比較することによって了解できる。これは、より後の時間間隔での飲料への持続したシトラール(及び他のキャラクターインパクト柑橘類香味料)の寄与及びβ−シクロデキストリンの添加を用いたより後の時間間隔でのオフノートの欠如を示す図10及び図11を比較することによってさらに了解できる。
【表2】
実施例21:酸中のシクロデキストリンによって封じ込められたシトラールの安定性
【0138】
表2に示すように、試料酸飲料の4つの異なる版を分析した。4つの試料飲料を、様々な形態のシトラールを低pHレモネードベース、または“酸−糖”溶液(例えば、水中の0.5%クエン酸及び8%糖)に加えることによって形成した。表2において“シトラール無し”と呼ぶ第1の飲料を、非シトラール柑橘類香味料成分を酸−糖溶液に加えることによって形成した。第2の飲料である“シトラールを加える”は、3mL(EtOH中の1%シトラール)/2Lの0.6%クエン酸(使用したシトラールは、天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能、だった)を酸−糖溶液に加えて、シトラール濃度約10〜15ppmを実現することによって形成した。第3の飲料である“0.2%BCD−シトラール”は、実施例19Aにおいて形成した0.2重量%のシトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を酸−糖溶液に加えて、シトラール濃度約10〜15ppmを実現することによって形成した。第4の飲料である“0.2%WSR”は、0.2重量%の水溶性ローズマリーを第2の飲料に加えることによって形成し、同時に、シトラール濃度約10〜15ppmを維持した。本明細書において使用する水溶性ローズマリー(“WSR”)は、水混和性香味料を安定化する際に使用する産業標準を指す。
【0139】
様々な形態のシトラールまたはキャラクターインパクト柑橘類香味料化合物(すなわち、サビネン、p−シメン、ネラール、及びゲラニアール)、及び一般的な柑橘類オフノート化学物質(例えば、p,a−ジメチルスチレン、p−シメン−8−オール、及びメンタ−1,5−ジエン−8−オール1)を含む様々な他の化合物を、4つの飲料の各々に関して測定した。40°Fで1日、88°Fで1日、40°Fで2日、88°Fで2日、40°Fで7日、100°Fで7日、40°Fで14日、100°Fで14日、40°Fで21日、及び100°Fで21日の後に測定して、様々な貯蔵寿命をシミュレートした。加えて、カントリータイム(登録商標)(Country Time(登録商標))−ブランドレモネードの缶中の上記の化合物の生の面積計算を決定した。
【0140】
表2、図12及び図13に示すように、より暖かい温度(すなわち、88°F及び100°F)で、第3の飲料は、他の飲料と同様のシトラール及び他の柑橘類香味料化合物の生の面積計算を含んだ(図12を参照されたい)が、全ての時間間隔で形成されたオフノートの最低の生の面積計算を有した(図13を参照されたい)。図14及び15に示すように、より冷たい温度(すなわち、40°F)で、第3の飲料は、他の飲料と同様のシトラール及び他の柑橘類香味料化合物の生の面積計算を含んだ(図14を参照されたい)が、全ての時間間隔で第2及び第3の飲料よりも低い形成されたオフノートの生の面積計算及びシトラールを加えなかった第1の飲料における形成されたオフノートの同じ生の面積計算(表2における“合わせたオフノート”の列及び図15を参照されたい)を有した。
【0141】
表2に示すように、メンタ−1,5−ジエン−8−オールは、保護されないシトラールから形成される最初のオフノートであり、時間と共にさらにp−シメン−8−オールに劣化する。しかしながら、どちらのオフノートも、シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を含む第3の飲料中に存在しなかった。また、0.2%BCD−シトラールは、シトラール及び他の柑橘類香味料化合物を安定化する際に産業標準WSRよりも良好だった。
【表3】
実施例22:酸中のシクロデキストリンによって封じ込められたシトラールの安定性
【0142】
表3のIDの列において“.3%BCD”と呼ぶ第1の飲料を、実施例19Aにおいて形成した0.3重量%のシトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を酸−糖溶液に加えて、シトラール濃度20ppmを実現することによって形成した。第2の飲料である“.3%WSR”は、0.3重量%のWSRを実施例21の第2の飲料に加えることによって形成し、同時に、シトラール濃度約10〜15ppmを維持した。様々な形態のシトラールまたは柑橘類香味料化合物(すなわち、サビネン、p−シメン、ネラール、及びゲラニアール)、及び一般的な柑橘類オフノート化学物質(例えば、p,a−ジメチルスチレン、p−シメン−8−オール、及びメンタ−1,5−ジエン−8−オール1)を含む様々な他の化合物を、2つの飲料の各々に関して測定した。40°Fで7日、100°Fで7日、40°Fで14日、100°Fで14日、40°Fで21日及び100°Fで21日の後に測定して、様々な貯蔵寿命をシミュレートした。表3に示すように、より暖かい温度及びより冷たい温度で、第1の飲料は、他の飲料と同様のシトラール(及び他のキャラクターインパクト柑橘類香味料)の寄与の維持を含んだが、全ての時間間隔でオフノートの形成の増強された阻害を含んだ。飲料容器との相互作用が理由となって、揮発性物質の一般的な減少が認められた。しかしながら、シトラール及びβ−シクロデキストリンの間に形成される非常に強い複合体は、部分的には、シトラールの場合のヘッドスペース値の低減の原因であるかもしれない。感覚分析(sensory analysis)(実施例34及び図16及び17)に示すように、及び先に説明したように、シトラールは、それにもかかわらず、味覚にとって利用できる。
【表4】
実施例23:β−シクロデキストリン及びレモン油3X、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0143】
大気圧で1L反応器中、400gのβ−シクロデキストリンを8.0gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合して、乾式混合物を形成した。1Lの脱イオン水を、β−シクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を約30分撹拌した。21gの3X(すなわち、3倍)カリフォルニアレモンオイル(California Lemon Oil)、シトラス&アライドから入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するブチ B−191実験室噴霧乾燥器(ブチ、スイスから入手可能)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の4.99重量%のレモン油3Xというパーセント保持を実現した。
実施例24A:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたレモン油3X及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0144】
シクロデキストリンによって封じ込められたレモン油3Xを含む実施例23から生じた乾燥粉末を、追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“レモン油3X−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のレモン油3Xという重量%を実現する。レモン油3X−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を次に、乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量として約0.05重量%〜約0.30重量%の範囲にわたる重量%で飲料に加える。これは、飲料に加えた乾燥粉末混合物の量に依存して、20〜30ppmのレモン油3X及び約0.05重量%〜約0.30重量%のβ−シクロデキストリンを飲料に提供することが予想される。
実施例24B:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたレモン油3X及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
実施例18からのシトラール−シクロデキストリン包接複合体と混合した実施例24からの乾燥粉末の組合せを混合し(5部のシトラール/3部の3Xレモン)、追加のβ−シクロデキストリンと混合して、シクロデキストリン中の1%活性香味料を実現する。混合物は、高い酸分(酢酸の)を有するスパイス及び薬味におけるまたは高い安定性を有するより不透明なジュース様外観が望ましい飲料における安定な果皮のような(peely)新鮮なレモン特徴を送達する際に有用である。
実施例25:β−シクロデキストリン及びアルファ−トコフェロール、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0145】
大気圧で1L反応器中、200gのβ−シクロデキストリンを、4.0gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合して、乾式混合物を形成した。500gの脱イオン水を、β−シクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を約30分撹拌した。23gのD,L−アルファ−トコフェロール(コシャー(Kosher)、SAP#1020477、BASFから入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を一晩、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するブチ B−191実験室噴霧乾燥器(ブチ、スイスから入手可能)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の10.31重量%のアルファ−トコフェロールというパーセント保持を実現した。β−シクロデキストリン中のアルファ−トコフェロールの1:1モル比は27.52重量%に対応すると思われるが、文献は、これは油性のペーストであると報告している。10.31重量%の生成物は、容易に水中に分散することができる乾燥した自由流れ粉末である。0.1%で使用する場合、10.31重量%のアルファ−トコフェロール複合体は、容易に水中に分散する(すなわち、過剰の複合体になっていないβ−シクロデキストリン中に溶ける)。
実施例26:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む組成物
【0146】
シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロールを含む実施例25から生じた乾燥粉末を、追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“アルファ−トコフェロール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のアルファ−トコフェロールという重量%を実現する。アルファ−トコフェロール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を次に、約0.2重量%の乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量という重量%で、A.C.E.飲料(すなわち、A=ビタミンA、C=ビタミンC、及びE=ビタミンE)のための抗酸化剤及び/または機能性食品として飲料に加える。これは、10ppmのアルファ−トコフェロール及び約0.2重量%のβ−シクロデキストリンを酸性飲料に提供することが予想される。
実施例27:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0147】
シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロールを含む実施例25から生じた乾燥粉末を、他の香味料組成物(例えば、実施例18に従って形成したシトラール−β−シクロデキストリン及び/または実施例23に従って形成したレモン油3X−β−シクロデキストリン)と組み合わせ、次に追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物中の所望のレベルの香味料成分及びアルファ−トコフェロールを実現する。得られた乾燥粉末混合物を次に、抗酸化剤/機能性食品/香味料組成物として飲料に加える。これは、適切な量の抗酸化剤/機能性食品及び香味料プロフィルを飲料に、及び適切な量のβ−シクロデキストリンを飲料に送達することが予想される(例えば、0.2重量%)。飲料において、このような組合せは、香味料、曇り(すなわち、ジュース様外観)、加えられた安定性を柑橘類成分に提供することが予想され、香味料レベル、曇り及び機能性を混合することができることの利点を証明する。このような系は、少なくとも部分的には、加えられた脂質保護と結合した増強された柑橘類保護が理由となって、サラダ用ドレッシング及び調味料混合物において非常に有効であることが予想される。
実施例28:β−シクロデキストリン及びレモンライム油、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0148】
1L反応器中、400gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカー(Wacker)から入手可能)、8gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び1.23gのキサンタンガム(ケルトロール(KELTROL)キサンタンガム、CPケルコ(CP Kelco)から入手可能、SAPNo.15695)を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。800mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌することによって撹拌した。21gのレモンライム香味料043−03000(SAP#1106890、デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズ(Degussa Flavors & Fruit Systems)から入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するブチ B−191実験室噴霧乾燥器(ブチ、スイスから入手可能)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の約4.99重量%のレモンライム油というパーセント保持を実現した。
実施例29:β−シクロデキストリン及びレモンライム油、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0149】
1L反応器中、300gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)、6gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び1.07gのキサンタンガム(ケルトロールキサンタンガム、CPケルコから入手可能、SAPNo.15695)を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。750mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌することによって撹拌した。16gのレモンライム香味料043−03000(SAP#1106890、デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズから入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、高剪断タンクミキサー(HP 5 1PQミキサー、シルバーストン・マシンズLtd.、チェシャム、イギリス(Silverston Machines Ltd., Chesham England)から入手可能)を使用して乳化した。シクロデキストリン包接複合体中の約5.06重量%のレモンライム油というパーセント保持を実現した。
実施例30:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたレモンライム油及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0150】
シクロデキストリンによって封じ込められたレモンライム油を含む実施例28から生じた乾燥粉末及び/または実施例29から生じたエマルションを、追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“レモンライム油−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のレモンライム油という重量%を実現する。レモンライム油−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を次に、乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたレモンライム油プラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量として約0.05重量%〜約0.30重量%の範囲にわたる重量%で飲料に加える。これは、飲料に加えた乾燥粉末混合物の量に依存して、50〜100ppmのレモンライム油及び約0.05重量%〜約0.30重量%のβ−シクロデキストリンを飲料に提供することが予想される。
実施例31:β−シクロデキストリン及びシトラール、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0151】
1L反応器中、300gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)、6gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び0.90gのキサンタンガム(ケルトロールキサンタンガム、CPケルコから入手可能、SAPNo.15695)を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。575mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌することによって撹拌した。18gのシトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を週末にわたって約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に二等分した。半分を、高剪断タンクミキサー(HP 5 1PQミキサー、シルバーストン・マシンズLtd.、チェシャム、イギリスから入手可能)を使用して、ニートで乳化した。1重量%のガムアカシアを他の半分に加え、得られた混合物を、同じ高剪断タンクミキサーを使用して乳化した。シクロデキストリン包接複合体中の約2.00重量%のシトラールというパーセント保持を実現した。
実施例32:食品または飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む香味料エマルション
【0152】
シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む実施例31から得られたエマルションの片方または両方を直接に食品または飲料製品に加えて、適切な香味料プロフィルを有する安定な製品を得る。エマルションを直接に食品若しくは飲料製品に加えるか、または食品基体の上に噴霧する。
実施例33:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたシトラール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料エマルション
【0153】
シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む実施例31に従って形成した得られたエマルションの1つ(または両方の混合物)を追加のβ−シクロデキストリンと組み合わせて、得られた香味料エマルション(“シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリンエマルション”)中の約1重量%のシトラールという重量%を実現する。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリンエマルションを、香味料エマルション(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量として約0.05重量%〜約0.30重量%の範囲にわたる重量%で飲料に加える。これは、飲料に加えた香味料エマルションの量に依存して、10〜20ppmのシトラール及び約0.05重量%〜約0.30重量%のβ−シクロデキストリンを飲料に提供することが予想される。過剰の複合体になっていないβ−シクロデキストリンを最初に香味料エマルションに加える必要は無いが、むしろ、過剰の複合体になっていないβ−シクロデキストリン及び実施例31に従って形成した香味料エマルションを同時に飲料製品に加えることができることは、当業者であれば認識できよう。
実施例34:シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含むレモネード飲料対対照レモネード飲料の感覚分析
【0154】
封じ込められたシトラールを、実施例18において述べた方法に従って製造した。シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む得られた乾燥粉末を追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のシトラールという重量%を実現した。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を次に、標準的な噴霧乾燥したレモン油香味料073−00531(32.0部)(デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズ)と混合して、香味料組成物を形成した。香味料組成物を、約0.2重量%の乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量という重量%で、レモネード飲料ベースに加えた。レモネード飲料ベースは、10.5gの香味料組成物、0.54gの糖、0.04gのクエン酸、0.13gの安息香酸ナトリウム、及び88.79gの水を含んだ。これは、10ppmのシトラール及び約0.2重量%のβ−シクロデキストリンを酸性飲料に提供した。この飲料を、図16及び17に示す感覚分析のために“CD”として識別した。
【0155】
第1の対照香味料組成物を、噴霧乾燥したシトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)及び噴霧乾燥したレモン油香味料073−00531(32.0部)(デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズ)を組み合わせることによって製造した。噴霧乾燥した形態の香味料を、当業者には周知の標準的な噴霧乾燥手順に従って製造した。第1の対照香味料組成物を、上記に説明したのと同じレモネードベース飲料に加えて、シトラール香味料レベル10ppmを有する第1の対照レモネード飲料を生じた。第1の対照レモネード飲料とCD飲料を比較する感覚分析の結果を図16に示す。老化した飲料をシミュレートするために飲料を暗所に110°Fで3週間貯蔵した後に、感覚分析を実行した。感覚分析は、一致方法(consensus approach)及び参照標準を使用して6人の専門の味の鑑定者の訓練を受けた感覚パネルによって実行される記述的分析(descriptive analysis)だった。図16に示すように、CD飲料は、第1の対照レモネード飲料と同様の全香味料強度、同様の果皮のような香味、より高い新鮮なレモン香味、並びにより低いあぶらっこい/ろうのような、酸化された、フェノール系の、アセトフェノンの及びショウノウ特有の香味を有した。この感覚分析は、キーノート香味料、シトラールを安定化する際の、及びレモネード飲料の新鮮なレモン香味を損ね、減少させるオフノート香味料の形成を防ぐ際のシクロデキストリンの能力を示す。
【0156】
第2の対照香味料組成物を、シトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)のエマルション及びレモン油香味料073−00531(デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズ)を組み合わせることによって製造した。エマルションを、当業者には周知の標準的な乳化手順に従って製造した。第2の対照香味料組成物を、上記に説明したのと同じレモネードベース飲料に加えて、シトラール香味料レベル10ppmを有する第2の対照レモネード飲料を生じた。第2の対照レモネード飲料とCD飲料を比較する感覚分析の結果を図17に示す。老化した飲料をシミュレートするために飲料を暗所に110°Fで3週間貯蔵した後に、感覚分析を実行した。感覚分析は、一致方法及び参照標準を使用して6人の専門の味の鑑定者の訓練を受けた感覚パネルによって実行される記述的分析だった。図17に示すように、CD飲料は、第2の対照レモネード飲料と同様の全香味料強度、同様の果皮のような香味、より高い新鮮なレモン香味、並びにより低いあぶらっこい/ろうのような、酸化された、フェノール系の、アセトフェノンの及びショウノウ特有の香味を有した。この感覚分析は、キーノート香味料、シトラールを安定化する際の、及びレモネード飲料の新鮮なレモン香味を損ね、減少させるオフノート香味料の形成を防ぐ際のシクロデキストリンの能力を示す。図16及び17を比較することによって示されるように、第2の対照レモネード飲料は、第1の対照レモネード飲料よりも高い知覚されるレベルの酸化された及びアセトフェノン香味を有した。これは、第2の対照香味料組成物は液体形態だったからである可能性があり、これは、より加速されたキーノート香味料の劣化及びオフノート形成を生じた可能性がある。
実施例35:β−シクロデキストリン及びシトラール、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0157】
5L反応器中、86.25gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)、1.70gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び0.35gのキサンタンガム(ケルトロールキサンタンガム、CPケルコから入手可能、SAPNo.15695)のベース配合を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。216.50mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。5L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌した。11.7gのシトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)を加えた。このベース配合物を量って、2200gを生成した。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するニロベーシックラブドライヤー(Niro Basic Lab Dryer)(ニロCorp.コロンビア、メリーランド(Niro Corp. Columbia, Maryland))上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の約11.5重量%のシトラールというパーセント保持を実現した。
実施例36:β−シクロデキストリン及びレモン油3X、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0158】
5L反応器中、92.95gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)、1.8gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び0.35gのキサンタンガム(ケルトロールキサンタンガム、CPケルコから入手可能、SAPNo.15695)のベース配合物を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。235.00mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。5L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌した。4.9gの3Xカリフォルニアレモンオイル(シトラス&アライドから入手可能)を加えた。このベース配合を比例拡大して、2200gの生成物を生成した。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するニロベーシックラブドライヤー(ニロCorp.コロンビア、メリーランド)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の約5重量%のレモン油3Xというパーセント保持を実現した。
実施例37:シクロデキストリンによって封じ込められたシトラール、シクロデキストリンによって封じ込められたレモン油3X、及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含むレモネード飲料対シクロデキストリンを含まない対照飲料のオフノート形成比較
【0159】
レモネードベースを、89.79gの水、9.42gのグラニュー糖、0.04gの微細に造粒したクエン酸ナトリウム、及び0.50gのクエン酸(無水、微細)を組み合わせることによって製造した。保存剤を飲料に加えなかったが、飲料を低温殺菌ホットパックにさらした。このベースを量って、8Lの完成した飲料を生成した。
【0160】
“CD”として識別した飲料を、実施例35に従って形成したシトラール−シクロデキストリン包接複合体(“シトラール−CD”)及び実施例36に従って形成したレモン油3X−シクロデキストリン包接複合体(“レモン−CD”)を含めて形成した。“CD”香味料組成物を、32.00gの噴霧乾燥したレモン油(073−00531、デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズから入手可能)、5.20gのシトラール−CD(073−00339、デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズから入手可能)、3.20gのレモン−CD、及び59.60gの過剰の複合体になっていないβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)を乾式混合することによって製造した。CD香味料組成物を均一になるまで混合し、約30メッシュスクリーンを使用してふるいにかけた。CD飲料を次に、0.25gのCD香味料組成物をレモネードベースに加えることによって製造した。
【0161】
対照香味料組成物を、32.00gの噴霧乾燥したレモン油、5.20gの噴霧乾燥したシトラール、及び3.20gの噴霧乾燥したレモン油3Xを、59.60gの麦芽デキストリン(全て、麦芽デキストリン(SAPNo.15433、テート&ライル(Tate & Lyle)から入手可能)表面に噴霧した)と乾式混合することによって製造した。噴霧乾燥した香味料の各々を、当業者には周知の標準的な噴霧乾燥手順に従って、麦芽デキストリンと共に噴霧乾燥した。対照香味料組成物には、シクロデキストリンが完全に無かった。対照飲料(“保護されない”と呼ぶ)を、0.25gの対照香味料組成物をレモネードベースに加えることによって製造した。
【0162】
CD飲料の香味料保持及びオフノート形成を、対照飲料のものと比較した。シトラール及びオフノートの量を、高度の自動化及び感度と最小の試料調製時間を可能にする分析ヘッドスペース技術である固相動的抽出(Solid Phase Dynamic Extraction)(SPDE)を使用して決定した。SPDEは、液−液抽出及び蒸留技術と同じ百万分率以下の感度を有するが、試料を温度の両極端にさらさず、汚染物を加え得る、分析の前に除去される必要がある多量の溶媒を使用することもない。SPDEは、吸収性ポリマー(カルボキセン(carboxen)−クロムシス、アレクサンドリア、VA(Chromsys, Alexandria VA)から入手可能)でコーティングした内部針壁を有する2mLの静的ヘッドスペースシリンジを使用する。分析試料を、10mLのクリンプ−トップバイアル中に置いた。ポリマー層の上で、分析試料よりも上に存在するヘッドスペースを繰り返し引くことによって、有機化合物を、ガスクロマトグラフ(GC)またはGC−質量分析計(ペガサスII飛行時間型質量分析計をこの研究において使用した(GC/TOF−MS;レコCorp.、セントジョーゼフ、ミシガンから入手可能)の注入口中に熱的に脱着されるまで、ポリマー中に捕捉した。GCはアジレント6890(Agilent 6890)であり、分析を、1ミクロンの膜厚を有する60メートル−x−0.32mm−カーボワックス(carbowax)カラム(レステク、ベルフォント、PA(Restek Bellefonte, PA)から入手可能)上で実行した。約100,000〜1,000,000の濃縮効果が容易に得られる。この研究において、2mLの各試料を10mLのバイアル中に置き、これを50℃で10分恒温に保ち、12分抽出して、百万分率以下の感度を得た。
【0163】
88°Fでの香味料保持及び全オフノート成長を、保護されない飲料及びCD飲料に関して図18に示す。(より明るい棒は、保護されない飲料及びCD飲料に関するキーノート香味料(すなわち、シトラール)を表し、より暗い棒は、全オフノート成長を表す。)図18に示すように、CD飲料は、キーノート香味料(すなわち、シトラール)を、保護されない飲料よりも長く保持し、CD飲料は、保護されない飲料よりも目立って低い全オフノート形成を有した。4つのタイプのオフノートの形成を、時間と共に測定し(すなわち、両方の飲料において88°Fでの21日の貯蔵の後に、88°Fでの33日の貯蔵の後に、及び88°Fでの42日の貯蔵の後に、及び結果を図19に示す。すなわち、分析された4つのオフノートは、p−メチルアセトフェノン、p−シメン−8−オール、メンタ−1,5−ジエン−8−オール1及びメンタ−1,5−ジエン−8−オール2だった。図19に示すように、CD飲料は、保護されない飲料よりも低いレベルの全ての4つのオフノートを形成し、特に、保護されない飲料よりも低いレベルのp−シメン−8−オールを形成した。
実施例38:“日光に当った(sun-struck)”現象においてβ−シクロデキストリンによって提供される保護効果。
飲料製品中へのシクロデキストリンの取り入れによって提供される他の保護効果を研究するために、“日光に当った”(光酸化)現象への予備研究を行った。特に、市販の製品によって経験される日光への露出を研究した。実施例20におけるように、シトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、シトラス&アライドから入手可能)を、エタノール中で1.0%のレベルで希釈した。2つのシミュレートされた飲料ベースを作製した:対照、水中の0.6%クエン酸及び保護された、水中の0.6%クエン酸及び0.2%β−シクロデキストリン。エタノール溶液中の1.0%シトラールを、0.1%(10ppmシトラール)で各飲料ベースに加え;両方のシミュレートされた飲料は、ガラスのジュース瓶中にあり、実験室の窓に置かれ、強い日光を5日間経験する南東に暴露された。各シミュレートされた飲料の重複の瓶をオーブン中に置き、110°Fで維持した。5日後に、各瓶を、この研究の間中用いた同じヘッドスペース方法(SPDE)によってサンプリングし、分析した。結果を図20に図示する。非常に少ない情報がシトラールの光安定性に関して入手可能であるが、保護されない試料におけるオフノートの調査は、非常に類似の化合物及び濃度を示す。従って、酸性媒質中の熱及び光触媒劣化において、同様の反応経路が活性であることが推測される(例えば、図7を参照されたい)。図20において、保護された試料(BCDとラベルを付けた)は、保護されないもの(CITとラベルを付けた)と比較して、反応性中間オフノートであるp−メンタ−ジエン−8−オールの形成を示さない。また、p−シメンの形成は、保護された系においてはるかに低減していることも明白である。
本明細書において引用する全ての特許、刊行物及び参考文献を、本明細書において参考のために十分に引用する。本開示と引用した特許、刊行物及び参考文献との間に矛盾がある場合、本開示が支配するべきである。本発明の様々な特徴及び態様を請求の範囲において述べる。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】くぼみを有するシクロデキストリン分子、及びくぼみ内部に保持されたゲスト分子の略図である。
【図2】自己集合したシクロデキストリン分子及びゲスト分子によって形成されたナノ構造の略図である。
【図3】ジアセチル−シクロデキストリン包接複合体の形成の略図である。
【図4】自己集合したシクロデキストリン分子及びジアセチル分子によって形成されたナノ構造の略図である。
【図5】シトラール−シクロデキストリン包接複合体の形成の略図である。
【図6】自己集合したシクロデキストリン分子及びシトラール分子によって形成されたナノ構造の略図である。
【図7】シトラールの場合の劣化機構を示す。 図7Aは、ゲスト−シクロデキストリン−溶媒系を表すために使用される三相モデルの略図である。
【図8】シトラール及び実施例20に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図9】シトラール及び実施例20に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図10】シトラール及び実施例20に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図11】シトラール及び実施例20に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図12】シトラール及び実施例21に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図13】シトラール及び実施例21に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図14】シトラール及び実施例21に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図15】シトラール及び実施例21に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図16】実施例34において説明する感覚分析の結果を示す。
【図17】実施例34において説明する感覚分析の結果を示す。
【図18】キーノート香味料及び実施例35〜37に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図19】キーノート香味料及び実施例35〜37に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図20】実施例38において述べる実験の結果を示す。
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
2005年6月13日に出願され、全内容を本明細書において参考のために引用する米国仮特許出願第60/690,181号に対する優先権を本明細書により請求する。
【背景技術】
【0002】
以下の米国特許は、様々なゲスト分子を複合体にするためのシクロデキストリンの使用を開示し、本明細書において参考のために十分に引用される:Bordenに付与された米国特許第4,296,137号、同第4,296,138号、及び同第4,348,416号(チューインガム、歯磨き剤、化粧品等において使用するための香味料材料);Gandolfo et al.に付与された同第4,265,779号(洗剤組成物における泡抑制剤);Hyashi et al.に付与された同第3,816,393号及び同第4,054,736号(薬剤として使用するためのプロスタグランジン);Mifune et al.に付与された同第3,846,551号(殺虫及び殺ダニ組成物);Noda et al.に付与された同第4,024,223号(メントール、サリチル酸メチル、及びその他同様なもの);Akito et al.に付与された同第4,073,931号(ニトロ−グリセリン);Szjetli et al.に付与された同第4,228,160号(インドメタシン);Bernstein et al.に付与された同第4,247,535号(補体阻害剤);Kawamura et al.に付与された同第4,268,501号(抗ぜんそく活性物質);Szjetli et al.に付与された同第4,365,061号(強無機酸複合体);Pithaに付与された同第4,371,673号(レチノイド);Szjetli et al.に付与された同第4,380,626号(ホルモン性植物成長調節物質)、Wagu et al.に付与された同第4,438,106号(コレステロールを低減するために有用な長鎖脂肪酸);Sato et al.に付与された同第4,474,822号(茶エッセンス複合体);Szjetli et al.に付与された同第4,529,608号(蜂蜜芳香)、Kuno et al.に付与された同第4,547,365号(毛髪にウェーブをかける活性複合体);Pithaに付与された同第4,596,795号(性ホルモン);Hirai et al.に付与された同第4,616,008号(抗菌性複合体);Shibanaiに付与された同第4,636,343号(殺虫剤複合体)、Ninger et al.に付与された同第4,663,316号(抗生物質);Fukazawa et al.に付与された同第4,675,395号(ヒノキチオール);Shibanai et al.に付与された同第4,732,759号及び同第4,728,510号(風呂添加剤);Karl et al.に付与された同第4,751,095号(アスパルタマン);同第4,560,571号(コーヒー抽出物);Okonogi et al.に付与された同第4,632,832号(即席クリーミングパウダー);Trinh et al.に付与された同第5,571,782号、同第5,660,845号及び同第5,635,238号(香料、香味料、及び薬剤);Kubo et al.に付与された同第4,548,811号(ウェーブをかけるローション);Prasad et al.に付与された同第6,287,603号(香料、香味料、及び薬剤);Peraに付与された同第4,906,488号(嗅覚作用物(olfactant)、香味料、薬剤、及び殺虫剤);並びにQi et al.に付与された同第6,638,557号(魚油)。
【0003】
シクロデキストリンはさらに以下の刊行物において説明されており、これをまた本明細書において参考のために引用する:(1) Reineccius, T.A., et al. "Encapsulation of flavors using cyclodextrins: comparison of flavor retention in alpha, beta, and gamma types." Journal of Food Science. 2002; 67(9): 3271-3279; (2) Shiga, H., et al. "Flavor encapsulation and release characteristics of spray-dried powder by the blended encapsulant of cyclodextrin and gum arabic." Marcel Dekker, Incl., www.dekker.com. 2001; (3) Szente L., et al. "Molecular Encapsulation of Natural and Synthetic Coffee Flavor with β-cyclodextrin." Journal of Food Science. 1986; 51(4): 1024-1027; (4) Reineccius, G. A., et al. "Encapsulation of Artificial Flavors by β-cyclodextrin." Perfumer & Flavorist (ISSN 0272-2666) An Allured Publication. 1986: 11(4): 2-6; and (5) Bhandari, B.R., et al. "Encapsulation of lemon oil by paste method using β-cyclodextrin: encapsulation efficiency and profile of oil volatiles." J. Agric. Food Chem. 1999; 47: 5194-5197。
【発明の開示】
【0004】
本発明の幾つかの具体例は、シクロデキストリン包接複合体の製造方法を提供する。方法は、シクロデキストリン及び乳化剤を混合して、乾式混合物を形成することと、溶媒及びゲストを乾式混合物と混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成することとを含むことができる。
【0005】
本発明の幾つかの具体例においては、シクロデキストリン包接複合体の製造方法が提供される。方法は、シクロデキストリン及び乳化剤を混合して、第1の混合物を形成することと、第1の混合物を溶媒と混合して、第2の混合物を形成することと、ゲストを第2の混合物と混合して、第3の混合物を形成することとを含むことができる。
【0006】
本発明の幾つかの具体例は、シクロデキストリン包接複合体の製造方法を提供する。方法は、シクロデキストリン及びペクチンを乾式混合して、第1の混合物を形成することと、第1の混合物を水と混合して、第2の混合物を形成することと、ジアセチルを第2の混合物と混合して、第3の混合物を形成することとを含むことができる。
【0007】
本発明の幾つかの具体例においては、ゲスト安定化系の作製方法が提供される。方法は、シクロデキストリン及び乳化剤を混合して、混合物を形成することと、溶媒及びゲストを混合物と混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成することと、複合体になっていないシクロデキストリンをシクロデキストリン包接複合体に加えて、ゲスト安定化系を形成することとを含むことができる。
【0008】
本発明の幾つかの具体例は、ゲスト安定化系の作製方法を提供する。方法は、シクロデキストリン、溶媒及びゲストを混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成することを含むことができる。ゲストを、ゲスト対シクロデキストリンの過剰のモル比で加えることができる。方法は、複合体になっていないシクロデキストリンをシクロデキストリン包接複合体に加えて、ゲスト安定化系を形成することをさらに含むことができる。複合体になっていないシクロデキストリンを、全シクロデキストリン対ゲストの過剰のモル比で加えて、ゲスト安定化系中の複合体になっているゲスト対遊離ゲストの比を増大させて、ゲストを劣化からさらに安定化することができる。
【0009】
本発明の幾つかの具体例においては、飲料の製造方法が提供される。方法は、複合体になっていないシクロデキストリン、ゲスト及び溶媒を混合して、飲料を形成することを含むことができる。ゲストは正のlog(P)値を有することができる。シクロデキストリンを、約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたるシクロデキストリン対飲料という重量%で飲料に加えることができる。
【0010】
本発明の他の特徴及び態様は、詳細な説明及び添付図面を検討することによって明瞭になろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の任意の具体例を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明において述べるかまたは以下の図面において示す構成要素の構成及び配置の詳細への適用に限定されないことは理解できるはずである。本発明は、他の具体例及び様々な様式で実施するかまたは実行することが可能である。また、本明細書において使用する語句及び用語は、説明のためであり、限定されるとみなすべきではないことは理解できるはずである。“含むこと(including)”、“含むこと(comprising)”または“有すること(having)”及び本明細書におけるこれらの変形の使用は、その後列記する項目及びその同等物並びに追加の項目を包含するためのものである。他に指定するかまたは限定しない限り、“取り付けた”、“接続した”、“支持した”、及び“結合した”という用語並びにこれらの変形を広く使用し、直接並びに間接的な取り付け、接続、支持、及び結合の両方を包含する。さらに、“接続した”及び“結合した”は、物理的または機械的接続若しくは結合に限定されない。
【0012】
また、本明細書において記載する任意の数値の範囲は、下方の値から上方の値まで全ての値を含むことは理解される。例えば、濃度範囲を1%〜50%として述べる場合、値の例えば2%〜40%、10%〜30%、または1%〜3%等は、本明細書において特に列挙されることを意図されている。こうしたものは、特に意図されたものの例であるのみであり、列挙された最低の値と最高の値との間の数値の全ての可能な組合せが本出願において特に述べられるとみなされるべきである。
【0013】
本発明は一般に、シクロデキストリン包接複合体及びその形成方法に関する。本発明の幾つかのシクロデキストリン包接複合体は、揮発性の及び反応性のゲスト分子の封じ込めに対処したものである。幾つかの具体例においては、ゲスト分子の封じ込めは、以下のもののうちの少なくとも1つを提供することができる:(1)市販の製品における香味料強度の欠如をもたらすかもしれない、揮発性のまたは反応性のゲストが市販の製品から逃げることの防止;(2)オフノート形成(off note formation)を引き起こすと思われる他の成分との相互作用及び反応からのゲスト分子の分離;(3)劣化(例えば、加水分解、酸化等)に対するゲスト分子の安定化;(4)他の生成物または化合物からのゲスト分子の選択的抽出;(5)ゲスト分子の水溶性の増強;(6)市販の製品の味または臭気の改良または増強;(7)マイクロ波及び従来のベーキング用途におけるゲストの熱保護;(8)香味または臭気の徐放及び/または持続性放出(例えば、シクロデキストリン包接複合体においてジアセチルをゲスト分子として用いる具体例においては、これは、溶けかかったバターの知覚を提供することができる);及び(9)ゲスト分子の安全な取り扱い。
【0014】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“シクロデキストリン”という用語は、デンプンの酵素転換によって形成された環状デキストリン分子を指すことができる。特定の酵素、例えば、様々な形態のシクログリコシルトランスフェラーゼ(cycloglycosyltransferase)(CGTアーゼ)は、デンプン中に生じるらせん構造を分解して、例えば、6、7、または8個のグルコース分子を有する三次元ポリグルコース環を有する特定のシクロデキストリン分子を形成することができる。例えば、α−CGTアーゼは、デンプンを、6グルコース単位を有するα−シクロデキストリンに転換することができ、β−CGTアーゼは、デンプンを7グルコース単位を有するβ−シクロデキストリンに転換することができ、γ−CGTアーゼは、デンプンを、8グルコース単位を有するγ−シクロデキストリンに転換することができる。シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つが挙げられるがこれらに限定されるものではない。β−シクロデキストリンは、何らかの有毒な影響を有することが知られておらず、世界的にGRAS(すなわち、一般に安全とみなされている)であり、天然であり、FDAにより承認されており、α−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンもまた天然物とみなされており、U.S、及びE.U.GRASである。
【0015】
シクロデキストリン分子10の三次元環状構造(すなわち、大環状構造)を図1に概略で示す。シクロデキストリン分子10は、第一級及び第二級ヒドロキシル基を含み、親水性の外部部分12を含む。シクロデキストリン分子10はまた、炭素原子、水素原子及びエーテル結合を含み、疎水性の三次元のくぼみ14を含む。シクロデキストリン分子の疎水性のくぼみ14はホストとして働き、疎水性部分を含む様々な分子、またはゲスト16を保持して、シクロデキストリン包接複合体を形成することができる。
【0016】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“ゲスト”という用語は、その少なくとも一部分が、シクロデキストリン分子中に存在する三次元のくぼみ内部に保持されるかまたは捕捉されることができる任意の分子を指すことができ、こうしたものとしては、香味料、嗅覚作用物、薬剤、機能性食品(例えば、クレアチン)、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0017】
香味料の例としては、アルデヒド、ケトンまたはアルコールに基づく香味料を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。アルデヒド香味料の例としては:アセトアルデヒド(りんご);ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド);アニシックアルデヒド(カンゾウ、アニス);シンナミックアルデヒド(シナモン);シトラール(例えば、ゲラニアール、アルファシトラール(レモン、ライム)及びネラール、ベータシトラール(レモン、ライム));デカナール(オレンジ、レモン);エチルバニリン(バニラ、クリーム);ヘリオトロピン、すなわちピペロナール(バニラ、クリーム);バニリン(バニラ、クリーム);a−アミルシンナムアルデヒド(スパイスのきいた果物のような香味料);ブチルアルデヒド(バター、チーズ);バレルアルデヒド(バター、チーズ);シトロネラール(変性物(modifies)、多くのタイプ);デセナール(柑橘類の果実);アルデヒドC−8(柑橘類の果実);アルデヒドC−9(柑橘類の果実);アルデヒドC−12(柑橘類の果実);2−エチルブチルアルデヒド(漿果);ヘキセナール、すなわちトランス−2(漿果);トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド);ベラトルアルデヒド(バニラ);2−6−ジメチル−5−ヘプテナール、すなわちメロナールTM(MelonalTM)(メロン);2,6−ジメチルオクタナール(熟していない果実);2−ドデセナール(柑橘類、マンダリン);及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0018】
ケトン香味料の例としては:d−カルボン(キャラウエー);1−カルボン(スペアミント);ジアセチル(バター、チーズ、“クリーム”);ベンゾフェノン(果物のような及びスパイスのきいた香味料、バニラ);メチルエチルケトン(漿果);マルトール(漿果)メントン(ハッカ)、メチルアミルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルアミルケトン(漿果、核果);ピルビン酸(煙のような、堅果のような香味料);アセトアニソール(サンザシヘリオトロープ);ジヒドロカルボン(スペアミント);2,4−ジメチルアセトフェノン(ハッカ);1,3−ジフェニル−2−プロパノン(アーモンド);アセトクメン(オリス及びバジル、スパイスのきいた);イソジャスモン(ジャスミン);d−イソメチルイオノン(オリス様、すみれ);イソブチルアセトアセテート(ブランデー様);ジンゲロン(ショウガ);プレゴン(ハッカ−ショウノウ);d−ピペリトン(ハッカのような);2−ノナノン(バラ及び茶様);及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0019】
アルコール香味料の例としては、アニシックアルコールまたはp−メトキシベンジルアルコール(果物のような、桃);ベンジルアルコール(果物のような);カルバクロールまたは2−p−シメノール(刺激性の暖かい臭気);カルベオール;ケイ皮アルコール(花のような臭気);シトロネロール(バラ様);デカノール;ジヒドロカルベオール(スパイスのきいた、こしょうのような);テトラヒドロゲラニオールまたは3,7−ジメチル−1−オクタノール(バラの臭気);オイゲノール(丁字);p−メンタ−1,8ジエン−7−Oλまたはペリリルアルコール(花のような−マツ);アルファテルピネオール;メンタ−1,5−ジエン−8−オール1;メンタ−1,5−ジエン−8−オール2;p−シメン−8−オール;及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
嗅覚作用物の例としては、天然芳香物質、合成芳香物質、合成精油、天然精油、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0021】
合成芳香物質の例としては、テルペニック炭化水素、エステル、エーテル、アルコール、アルデヒド、フェノール、ケトン、アセタール、オキシム、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0022】
テルペニック炭化水素の例としては、ライムテルペン、レモンテルペン、リモネンダイマー、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0023】
エステルの例としては、γ−ウンデカラクトン、エチルメチルフェニルグリシデート、アリルカプロエート、アミルサリチレート、アミルベンゾアート、酢酸アミル、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、ベンジルサリチレート、ベンジルプロピオナート、酢酸ブチル、ベンジルブチレート、ベンジルフェニルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、p−クレシルアセテート、2−t−ペンチル−シクロヘキシルアセテート、酢酸シクロヘキシル、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルサリチレート、ジメチルベンジルアセテート、フタル酸ジエチル、δ−デカ−ラクトンジブチルフタレート、酪酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、フェンキルアセテート、ゲラニルアセテート、γ−ドデカラトン、メチルジヒドロジャスモネート、酢酸イソボルニル、β−イソプロポキシエチルサリチレート、酢酸リナリル、安息香酸メチル、o−t−ブチルシロヘキシルアセテート、サリチル酸メチル、エチレンブラッシレート、エチレンドデカノエート、メチルフェニルアセテート、フェニルエチルイソブチレート、フェニルエチルフェニルアセテート、フェニルエチルアセテート、メチルフェニルカルビニルアセテート、3,5,5−トリメチルヘキシルアセテート、テルピニルアセテート、クエン酸トリエチル、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、ベティバーアセテート、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
エーテルの例としては、p−クレシルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−β−2−ベンゾピラン、フェニルイソアミルエーテル、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0025】
アルコールの例としては、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、β−フェニルエチルジメチルカルビノール、ジメチルベンジルカルビノール、カルビトールジヒドロミセノール、ジメチルオクタノール、ヘキシレングリコールリナロオール、リーフアルコール(leaf alcohol)、ネロール、フェノキシエタノール、γ−フェニル−プロピルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、メチルフェニルカルビノール、テルピネオール、テトラフィドロアルオオシメノール、テトラヒドロリナロオール、9−デセン−1−オール、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
アルデヒドの例としては、n−ノニルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒド、2−ヘキシルヘキサナール、アヘキシルシンナミックアルエヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、p−t−ブチル−a−メチルヒドロ−シンナミックアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、α−アミルシンナミックアルデヒド、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
フェノールの例としては、メチルオイゲノールを挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0028】
ケトンの例としては、1−カルボン、α−ダマスコン、イオノン、4−t−ペンチルシクロヘキサノン、3−アミル−4−アセトキシテトラヒドロピラン、メントン、メチルイオノン、p−t−アミシクロヘキサノン、アセチルセドレン、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0029】
アセタールの例としては、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールを挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0030】
オキシムの例としては、5−メチル−3−ヘプタノンオキシムを挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0031】
ゲストとしてはさらに、脂肪酸、ラクトン、テルペン、ジアセチル、硫化ジメチル、プロリン、フラネオール、リナロオール、アセチルプロピオニル、天然エッセンス(例えば、オレンジ、トマト、りんご、シナモン、ラズベリー等)、精油(例えば、オレンジ、レモン、ライム等)、甘味料(例えば、アスパルテーム、ネオテーム等)、サビネン、p−シメン、p,a−ジメチルスチレン、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0032】
図3は、ジアセチル−シクロデキストリン包接複合体の形成の略図を示し、図5は、シトラール−シクロデキストリン包接複合体の形成の略図を示す。
【0033】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“log(P)”または“log(P)値”という用語は、標準的な参考文献の表において見い出すことができ、材料のオクタノール/水分配係数を指す材料の特性である。一般に、材料のlog(P)値は、その親水性/疎水性の表現である。Pは、オクタノール中の材料の濃度対水中の材料の濃度の比と定義される。従って、水中の材料の濃度がオクタノール中の材料の濃度よりも高い場合、考察の対象となっている材料のlog(P)は負である。濃度がオクタノール中でより高い場合、log(P)値は正であり、考察の対象となっている材料の濃度が水中でオクタノール中と同じである場合、log(P)値はゼロである。従って、ゲストはそのlog(P)値を特徴とすることができる。参考のために、表1Aは、幾つかは本発明のゲストとしてよい様々な材料のためのlog(P)値を列記する。
【表1】
【0034】
比較的に大きな正のlog(P)値(例えば、約2を超える)を有するゲストの例としては、シトラール、リナロオール、アルファテルピネオール、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない。比較的に小さな正のlog(P)値(例えば、約1未満であるがゼロを超える)を有するゲストの例としては、硫化ジメチル、フラネオール、エチルマルトール、アスパルテーム、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない。比較的に大きな負のlog(P)値(例えば、約−2未満)を有するゲストの例としては、クレアチン、プロリン、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない。比較的に小さな負のlog(P)値(例えば、0未満であるが約−2を超える)を有するゲストの例としては、ジアセチル、アセトアルデヒド、マルトール、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0035】
log(P)値は、食品及び香味料化学の多くの面において重要である。log(P)値の表を上記に提供する。ゲストのlog(P)値は、最終製品(例えば、食品及び香味料)の多くの面にとって重要となり得る。一般に、正のlog(P)を有する有機ゲスト分子は、シクロデキストリン中に成功裏に封じ込めることができる。幾つかのゲストを含む混合物においては、競争が存在し得、log(P)値は、どのゲストが成功裏に封じ込められるためにより有望であるかを決定する際に有用であり得る。マルトール及びフラネオールは、同様の香味料特性(すなわち、甘い特性)を有するが、それらの異なるlog(P)値が理由となって、シクロデキストリン封じ込めにおける異なるレベルの成功を有すると思われる2つのゲストの例である。log(P)値は、高い水性含量または環境を有する食品製品において重要であることがある。かなりの及び正のlog(P)値を有する化合物は、定義により、最も可溶ではなく、従って最初に移動し、分離し、次に包装中での変化にさらされるものである。高いlog(P)値は、しかしながら、製品中にシクロデキストリンを加えることによってこれを有効に捕捉し、保護することがある。
【0036】
上記に言及したように、本発明と共に使用するシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及びこれらの組合せを含むことができる。より親水性のゲスト(すなわち、より小さなlog(P)値を有する)を使用する具体例においては、α−シクロデキストリンを使用して(すなわち、単独でまたは別のタイプのシクロデキストリンと組み合わせて)、シクロデキストリン中のゲストの封じ込めを改良してよい。例えば、α−シクロデキストリン及びβ−シクロデキストリンの組合せは、比較的に親水性のゲストを用いる具体例において使用して、シクロデキストリン包接複合体の形成を改良することできる。
【0037】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“シクロデキストリン包接複合体”という用語は、ゲスト分子を三次元のくぼみ内部に捕捉し、保持することによって、1つ以上のシクロデキストリン分子を用いて1つ以上のゲスト分子の少なくとも一部分を封じ込めること(分子レベルの封じ込め)によって形成された複合体を指す。ゲストは、水素結合及び親水性−疎水性相互作用のうちの少なくとも1つによるくぼみ内部にワンデルワール力によって所定の位置に保持されることができる。シクロデキストリン包接複合体が水中に溶解した時に、ゲストはくぼみから放出されることができる。シクロデキストリン包接複合体をまた本明細書において、“ゲスト−シクロデキストリン複合体”と呼ぶ。シクロデキストリンのくぼみはその外面と比較して疎水性であるので、正のlog(P)値(特に、比較的に大きな正のlog(P)値)を有するゲストは、シクロデキストリン中に容易に封じ込められ、水性環境中で安定なシクロデキストリン包接複合体を形成しよう、というのは、ゲストは、水性環境よりもシクロデキストリンのくぼみの方を熱力学的に好むであろうからである。幾つかの具体例においては、1を超えるゲストを複合体にすることが望ましい場合、各ゲストを別個に封じ込めて、考察の対象となっているゲストを封じ込める効率を最大にすることができる。
【0038】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“複合体になっていないシクロデキストリン”という用語は一般に、ゲストを実質的に含まず、シクロデキストリン包接複合体を形成していないシクロデキストリンを指す。“ゲストを実質的に含まない”シクロデキストリンは一般に、くぼみ中にゲストを含まないシクロデキストリンの大きな部分を含むシクロデキストリンの源を指す。
【0039】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“ヒドロコロイド”という用語は一般に、水と共にゲルを形成する物質を指す。ヒドロコロイドとしては、キサンタンガム、ペクチン、アラビアゴム(またはガムアカシア)、トラガカント、グアー、カラギーナン、イナゴマメ、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0040】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用する“ペクチン”という用語は、植物組織中(例えば、熟した果実及び野菜中)に生じ得るヒドロコロイド多糖を指す。ペクチンとしては、ビートペクチン、果実ペクチン(例えば、柑橘類の皮から)、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。用いられるペクチンは、様々な分子量を有することができる。
【0041】
本発明のシクロデキストリン包接複合体を様々な用途または最終製品において使用することができ、こうしたものとしては、食品(例えば、飲料、ソフトドリンク、サラダ用ドレッシング、ポップコーン、シリアル、コーヒー、クッキー、ブラウニー、他のデザート、他の焼いた品物、調味料等)、チューインガム、歯磨き剤、キャンディー、香味料、芳香物質、薬剤、機能性食品、化粧品、農業用途(例えば、除草剤、殺虫剤等)、写真乳剤、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つが挙げられるがこれらに限定されるものではない。幾つかの具体例においては、シクロデキストリン包接複合体を、さらに処理し、単離し、乾燥するための中間単離マトリックスとして使用できる(例えば、廃棄物流れと共に使用する時に)。
【0042】
シクロデキストリン包接複合体は、ゲストの安定性を増強するか、これを自由流れ粉末(free flowing powder)に転換するか、またはさもなければその溶解度、送達若しくは性能を修正するために使用することができる。封じ込めることができるゲスト分子の量は、ゲスト分子の分子量に直接に関係がある。幾つかの具体例においては、1モルのシクロデキストリンは1モルのゲストを封じ込める。このモル比に従って、また一例としてのみ、ゲストとしてのジアセチル(分子量86ドルトン)、及びβ−シクロデキストリン(分子量1135ドルトン)を用いる具体例においては、最大理論保持は(86/(86+1135))×100=7.04重量%である。
【0043】
幾つかの具体例においては、シクロデキストリンは、溶液中で自己集合して、3モルのゲスト分子対2モルのシクロデキストリン分子を取り入れることができるナノ構造、例えば図2に示すナノ構造20を形成することができる。例えば、ゲストとしてジアセチルを用いる具体例においては、ジアセチルの10.21重量%の保持が可能であり、ゲストとしてシトラールを用いる具体例においては、シトラールの重量%保持として少なくとも10重量%が可能である(例えば、10〜14重量%の保持)。図4は、3モルのジアセチル分子及び2モルのシクロデキストリン分子の間で形成することができるナノ構造の略図を示す。図6は、3モルのシトラール分子及び2モルのシクロデキストリン分子の間で形成することができるナノ構造の略図を示す。他の複合体増強剤、例えばペクチン、は、自己集合プロセスを助けることができ、乾燥の間中ゲスト:シクロデキストリンの3:2のモル比を維持することができる。幾つかの具体例においては、シクロデキストリン分子のナノ構造への自己集合が理由となって、ゲスト:シクロデキストリンの5:3のモル比が可能である。
【0044】
シクロデキストリン包接複合体は溶液中で形成される。乾燥プロセスは、ゲストの少なくとも一部分をシクロデキストリンのくぼみ中で一時的に動けなくし、シクロデキストリン包接複合体を含む乾燥した自由流れ粉末を製造することができる。
【0045】
シクロデキストリンのくぼみの疎水性(非水溶性)の性質は、より多くの水溶性(親水性)のゲストを犠牲にして、同様な(疎水性の)ゲストを最も容易に優先的に捕捉しよう。この現象は、典型的な噴霧乾燥と比較して成分の不均衡及び不満足な全収率をもたらし得る。
【0046】
本発明の幾つかの具体例においては、別個に封じ込めるための主要な成分を選択することによって、親水性及び疎水性の影響の間の競争を避ける。例えば、バター香味料の場合には、脂肪酸及びラクトンは、ジアセチルよりもシクロデキストリン包接複合体を容易に形成する。しかしながら、こうした化合物は、バターに関連した主要な特徴をもつ影響化合物(key character impact compound)ではなく、これらは、ジアセチル並びに他の水溶性及び揮発性成分の全収率を低減しよう。幾つかの具体例においては、バター香味料における主要な成分(すなわち、ジアセチル)を最大にして、高影響で、より安定、より経済的な製品を製造する。さらなる例として、レモン香味料の場合には、大部分のレモン香味料成分は、等しく申し分なくシクロデキストリン中に封じ込められるだろう。しかしながら、テルペン(レモン香味料の成分)は、香味料価値がほとんど無く、しかもなおレモン香味料混合物の約90%を構成するが、シトラールは、レモン香味料の主要な香味料成分である。幾つかの具体例においては、シトラールを単独で封じ込める。別個に封じ込めるための主要な成分(例えば、ジアセチル、シトラール等)を選択することによって、出発原料の複雑さが低減し、技術工程及びプロセスの経済性の最適化を可能にする。
【0047】
幾つかの具体例においては、シクロデキストリン包接複合体を形成するための包接プロセスを、モル過剰のゲストを加えることによって完了させる。例えば、幾つかの具体例においては(例えば、使用するゲストがジアセチルである場合)、ゲスト:シクロデキストリンの3:1のモル比で、ゲストをシクロデキストリンと組み合わせることができる。幾つかの具体例においては、複合体を形成する際にモル過剰のゲストを使用することは、シクロデキストリン包接複合体を形成させるのみならず、プロセスにおける、例えば、揮発性のゲストを用いる具体例におけるゲストの任意の損失を埋め合わせることができる。
【0048】
幾つかの具体例においては、シクロデキストリン及びゲスト分子を溶媒中で混合することによって形成された懸濁液、エマルションまたは混合物の粘度を制御し、他の調節、例えば固形物含有量を増大させること無しに、一般的な噴霧乾燥技術との適合性を維持する。乳化剤(例えば、増粘剤、ゲル化剤、多糖、ヒドロコロイド)を、シクロデキストリンとゲストとの間の密着を維持するために、及び包接プロセスを助けるために加えることができる。特に、低分子量ヒドロコロイドを使用できる。1つの好ましいヒドロコロイドはペクチンである。乳化剤は、溶解度を増大させるために高熱または共溶媒(例えば、エタノール、アセトン、イソプロパノール等)の使用を必要とすること無く、包接プロセスを助けることができる。
【0049】
幾つかの具体例においては、懸濁液、エマルションまたは混合物の水分を低減して、ゲストに疎水性化合物として振る舞うことを事実上強いる。このプロセスは、比較的に親水性のゲスト、例えばアセトアルデヒド、ジアセチル、硫化ジメチル等でさえも保持を増大させることができる。水分を低減することはまた、噴霧乾燥器を通るスループットを最大にすることができ、全収率を低減し得る、揮発性のゲストがプロセスにおいて吹き飛ばされる機会を低減できる。
【0050】
本発明の幾つかの具体例においては、以下の工程の幾つかまたは全てを含んでよい以下のプロセスによって、シクロデキストリン包接複合体を形成できる:
【0051】
(1)シクロデキストリン及び乳化剤(例えば、ペクチン)を乾式混合する;
【0052】
(2)反応器中で、シクロデキストリン及び乳化剤の乾式混合物を溶媒の例えば水と組み合わせ、撹拌する;
【0053】
(3)ゲストを加え、撹拌する(例えば、約5〜8時間);
【0054】
(4)反応器を冷却する(例えば、冷却ジャケットを作動させる);
【0055】
(5)混合物を撹拌する(例えば、約12〜36時間);
【0056】
(6)乳化する(例えば、インタンク急速ミキサー(in-tank lightning mixer)または高剪断ドロップインミキサー(high shear drop-in mixer)を用いる);
【0057】
(7)シクロデキストリン包接複合体を乾燥して、粉末を形成する。
【0058】
こうした工程は、必ずしも列記した順序で実行する必要はない。加えて、上記のプロセスは、プロセスを、温度、混合の時間、及び他のプロセスパラメータの変化を使用して実行できるという点で非常に強健であることが判明した。
【0059】
幾つかの具体例においては、上記に説明したプロセスにおける工程1は、反応器中のインタンクミキサーを使用して成し遂げることができ、工程2においてこれに熱水を加えるだろう。例えば、幾つかの具体例においては、上記のプロセスを、温度制御のためのジャケット及びインライン高剪断ミキサーを備えた1000ガロン反応器を使用して成し遂げ、反応器は噴霧乾燥器に直接に接続している。幾つかの具体例においては、シクロデキストリン及び乳化剤を別個の装置(例えば、リボンブレンダ等)中で乾式混合し、次に反応器に加え、ここで上記のプロセスの残りを完了することができる。
【0060】
様々な重量%の乳化剤対シクロデキストリンを使用でき、乳化剤:シクロデキストリン重量%少なくとも約0.5%、特に、少なくとも約1%、より詳細には、少なくとも約2%を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。加えて、乳化剤:シクロデキストリン重量%約10%未満を使用でき、特に、約6%未満、より詳細には、約4%未満である。
【0061】
上記に説明したプロセスにおける工程2は、加熱、冷却、または両方のためにジャケットを備えた反応器中で成し遂げることができる。幾つかの具体例においては、組み合わせ、撹拌することは、室温で実行することができる。幾つかの具体例においては、組み合わせ、撹拌することは、室温を超える温度で実行することができる。反応器サイズは、製造サイズに依存し得る。例えば、100ガロン反応器を使用できる。反応器は、パドル撹拌機及び凝縮器ユニットを含むことができる。幾つかの具体例においては、工程1を反応器中で完了し、工程2において、同じ反応器中で高温の脱イオン水をシクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加える。
【0062】
工程3は、密閉された反応器中で成し遂げることができ、または、ゲストを加える間反応器を一時的に環境にさらすことができ、ゲストを加えた後に反応器を再密閉することができる。工程3のゲストを加える時に及び撹拌の最中に、熱を加えることができる。例えば、幾つかの具体例においては、混合物を約55〜60℃に加熱する。
【0063】
工程4は、冷却ジャケットを含む冷却材系を使用して成し遂げることができる。例えば、反応器を、プロピレングリコール冷却材及び冷却ジャケットを用いて冷却することができる。
【0064】
工程2における撹拌、工程3における撹拌、及び工程5における撹拌を、振とう、撹拌、タンブリング、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つによって成し遂げることができる。
【0065】
工程6においては、シクロデキストリン、乳化剤、水及びゲストの混合物を、高剪断ミキサー(例えば、ロス−ブランドミキサー(ROSS-brand mixer)(例えば、10,000RPMで90秒間)、またはシルバーストン−ブランドミキサー(SILVERSTON-brand mixer)(例えば、10,000RPMで5分間))、急速ミキサー、または、単純な混合に続いて、噴霧乾燥器の一部分である均質化ポンプに移すこと、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを使用して乳化することができる。
【0066】
上記に説明したプロセスにおける工程7を、空気乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥(例えば、ノズル噴霧乾燥器、スピニングディスク噴霧乾燥器等を用いる)、オーブン乾燥、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つによって成し遂げることができる。
【0067】
上記に略述したプロセスを使用して、様々な用途または最終製品のための様々なゲストを有するシクロデキストリン包接複合体を提供することができる。例えば、本発明の具体例の幾つかは、バター香味として様々な食品製品のために使用できる(例えば、電子レンジ用ポップコーン、焼いた品物等において)、ジアセチルを含むゲストを有するシクロデキストリン包接複合体を提供する。加えて、幾つかの具体例は、酸安定な飲料(acid stable beverage)のために使用できる、シトラールを含むゲストを有するシクロデキストリン包接複合体を提供する。その上、幾つかの具体例は、ジアセチルのバター香味を模倣することができる、ゲストとして香味料分子の組合せを有するシクロデキストリン包接複合体を提供する。例えば、シクロデキストリン包接複合体は他に、ゲストとして硫化ジメチル(揮発性の硫黄化合物)、プロリン(アミノ酸)及びフラネオール(甘さ増強剤)のうちの少なくとも1つを含むことができる。このジアセチルを含まないシクロデキストリン包接複合体を使用して、食品製品、例えば上記に説明したものにバター香味を提供することができる。電子レンジで加熱できる製品において使用できるシクロデキストリン包接複合体の場合、ゲストの非常に近い会合は、例えば、メイラード及び褐変反応(browning reaction)を増強し、これは、新たな及び別個の芳香を生じることができる。
【0068】
上記に言及したように、ゲスト分子の封じ込めは、オフノート形成を引き起こすと思われる他の成分との相互作用及び反応からのゲスト分子の分離;並びに劣化(例えば、加水分解、酸化等)に対するゲスト分子の安定化を提供することができる。劣化に対するゲスト分子の安定化は、封じ込められたゲストを含む得られた市販の製品の所望の影響または機能(例えば、味、臭気等)を改良するかまたは増強することができる。
【0069】
多くのゲストは劣化し得、主要なまたは所望の影響または機能を損ね得るオフノートを生じ得る。例えば、多くの香味料または嗅覚作用物は劣化し得、市販の製品の所望の香味料または臭気を損ね得るオフノート香味料または臭気を生じ得る。ゲストはまた、光酸化によって劣化し得る。一例として、図7は、シトラールの劣化機構を示す。ゲストの劣化の速度(すなわち、単数または複数のオフノートの形成の速度)は一般に、以下の一般的な動力学的反応速度式によって支配される:
【化1】
[式中、[ゲスト]は、溶液中のゲストのモル濃度を指し、[RC]は、ゲストと反応し、ゲストを劣化させる原因である溶液中の反応性化合物(例えば、酸)のモル濃度を指し、[オフノート]は、形成されたオフノートのモル濃度を指す。べき指数x、y及びzは、液剤中に存在する考察の対象となっているゲスト及び単数または複数の対応する反応性化合物との間に起きる、オフノートを生成する反応に依存する、反応次数を表す。]従って、ゲストの劣化の速度は、反応の反応次数によって決定されるべき指数を累乗したゲスト及び任意の反応性化合物のモル濃度の積に比例する。
【0070】
例えば、以下の式は、任意の与えられた温度及び濃度でオフノートを形成する酸性溶液中のシトラールの劣化を表す:
【0071】
【化2】
【0072】
[式中、図7に示す、シトラールの劣化機構に基づいて、
【化3】
である。]
【0073】
上述のゲストのいずれでも、このようにして保護し、安定化することができる。例えば、シクロデキストリンを使用して、様々なゲスト分子を保護する及び/また安定化して、製品の所望の影響または機能を増強することができ、こうしたものとしては、以下のゲスト分子が挙げられるがこれらに限定されるものではない:シトラール、ベンズアルデヒド、アルファテルピネオール、バニリン、アスパルテーム、ネオテーム、アセトアルデヒド、クレアチン、及びこれらの組合せ。この現象の例を、実施例21において説明し、表2及び図12〜15に示す。特に、この現象を、全て加えられたシトラールを有する試料1BH3、1BH4、及び1BH5;並びに全て水溶性ローズマリー(WSR)を有する試料3FH3、3FH4及び3FH5とBCD試料とを比較することによって証明した。1BH及び3FH試料中で、メンタ1,5−ジエン−8−オールはp−シメン−8−オールに転換され、メンタ1,5−ジエン−8−オールの濃度は、例えば、減少し、p−シメン−8−オールの濃度は増大したことが観測された。しかしながら、これはBCD試料においては起きなかった。
【0074】
“ゲスト安定化系”は、考察の対象となっているゲスト(または複数のゲスト)を安定化し、ゲストを劣化から保護する任意の系を指すことができる。本発明は、より詳細に下記に説明するゲスト安定化系の幾つかの具体例を含む。
【0075】
シトラール(log(P)=3.45)は、様々な用途、例えば酸性飲料において使用できる柑橘類またはレモン香味料である。酸性飲料としては、レモネード、7アップ(登録商標)(7UP(登録商標))レモンライム香味ソフトドリンク(ドクターペッパー/セブンアップ、Inc.(Dr Pepper/Seven-Up, Inc.)の登録商標)、スプライト(登録商標)(SPRITE(登録商標))レモンライム香味ソフトドリンク(ザ・コカコーラ・カンパニー、アトランタ、GA(The Coca-Cola Company, Atlanta, GA)の登録商標)、シエラミスト(登録商標)(SIERRA MIST(登録商標))レモンライム香味ソフトドリンク(ペプシコ、パーチャス、NY(Pepsico, Purchase, NY)の登録商標)、茶(例えば、リプトン(登録商標)(LIPTON(登録商標))及びブリスク(登録商標)(BRISK(登録商標))、リプトンの登録商標)、アルコール性飲料、及びこれらの組合せを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。アルファテルピネオール(log(P)=3.33)は、シトラールに関して上記に列記したものと同様の製品において使用できるライム香味料である。
【0076】
ベンズアルデヒド(log(P)=1.48)は、酸性飲料を含む様々な用途において使用できるチェリー香味料である。ベンズアルデヒドを用いて香味付けできる酸性飲料の例としては、チェリーコーク(登録商標)(CHERRY COKE(登録商標))チェリー−コーラ香味ソフトドリンク(ザ・コカコーラ・カンパニー、アトランタ、GAの登録商標)が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0077】
バニリン(log(P)=1.05)は、バニラ香味飲料、焼いた品物等、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない様々な用途において使用できるバニラ香味料である。
【0078】
アスパルテーム(log(P)=0.07)は、ダイエット用のソフトドリンクが挙げられるがこれに限定されるものではない様々なダイエット用の食品及び飲料において使用できる非スクロース甘味料である。ネオテームもまた、ダイエット用の食品及び飲料において使用できる非スクロース甘味料である。
【0079】
アセトアルデヒド(log(P)=−0.17)は、食品、飲料、キャンディー等、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されるものではない様々な用途において使用できるりんご香味料である。
【0080】
クレアチン(log(P)=−3.72)は、機能性食品配合物が挙げられるがこれに限定されるものではない様々な用途において使用できる機能性食品である。機能性食品配合物の例としては、乳、水または別の液体、及びこれらの組合せと組み合わせることができる粉末配合物が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0081】
ゲストの保護及び/または安定化は、過剰のシクロデキストリン(例えば、複合体になっていないシクロデキストリン)をシクロデキストリン包接複合体の最終粉末製品に提供することによって成し遂げることができる。すなわち、複合体になっていないシクロデキストリンを、上記に説明したプロセスの工程7において形成した乾燥粉末と乾式混合することは、様々な用途または市販の製品において使用できる所望の量のゲスト及びシクロデキストリン(すなわち、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む)を有する乾燥した自由流れ粉末(本明細書において、“ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”と呼ぶ)を生成できる。ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物中のゲスト−シクロデキストリン複合体の比率は、最終製品におけるゲストの効力(例えば、ゲストが香味料である場合、香味料価値)、及び所望の影響に依存する。ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、考察の対象となっている製品に加えるか、またはこれにおいて使用する場合に、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物中の過剰の複合体になっていないシクロデキストリンは、ゲストを保護する及び/または安定化する(光酸化からを含む)ために働く。例えば、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を含む香味料粉末は、飲料用途における香味料の劣化の速度を減少する際に有効となることができ、同時に、適切な香味料プロフィルをその飲料に提供する。
【0082】
様々な系を用いて、ゲストの保護及び/または安定化のために、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを加えることができる。幾つかの具体例においては、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、乾燥粉末として最終製品に加える(例えば、約0.05重量%〜約0.50重量%の範囲にわたるゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物対製品という重量%、特に、約0.15重量%〜約0.30重量%、より詳細には、約0.2重量%で)。
【0083】
幾つかの具体例においては、粉末の溶解度が許す場合、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、液体製品、エマルションまたはエマルション適合性製品(例えば、香味料エマルション)に加え、次に最終製品に加える(例えば、約0.05重量%〜約0.50重量%の範囲にわたるゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物対製品という重量%、特に、約0.15重量%〜約0.30重量%、より詳細には、約0.2重量%で、その結果、ゲストの重量%は、最終製品における所望の香味料レベルを実現する。幾つかの具体例においては、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを、工程6において形成したシクロデキストリン包接複合体を含む組成物に加えることができ、それによって工程7(乾燥工程)を飛ばし、上記に列記した重量%の範囲内で最終製品に加えることができる安定なエマルションまたはエマルション適合性製品を形成する。エマルション適合性製品を、別の最終製品(例えば、飲料、サラダ用ドレッシング、デザート、及び/または調味料等)に加えることができる。幾つかの具体例においては、エマルション適合性製品を、シロップまたはコーティング混合物の形態で提供するかまたはこれらに加えることができ、これを、安定なコーティングとして基体の上に噴霧できる(例えば、シリアル、デザート、調味料、栄養のある棒、及び/またはスナック食品の例えばプレッツェル、チップ等の上に噴霧される香味料エマルション)。
【0084】
シクロデキストリン包接複合体を液体形態で提供することは、幾つかの利点を有することができるが、その必要は無い。第1に、液体形態は、香味料組成物を液体濃縮物の形態で飲料に加えることに慣れている飲料顧客にとってよりなじみがあり、使用者に便利であることができる。第2に、液体形態は、香味料組成物を含み、均一に分布し、安定なコーティングを実現するために、上記に列記したものを含む乾燥食品製品の上に容易に噴霧することができる。既存のスプレー−オン適用と異なり、シクロデキストリン包接複合体を含むスプレード−オン香味料組成物は、乾燥基体の表面に香味料組成物を維持するために、典型的な揮発性溶媒または追加のコーティングまたは保護層を必要としないと思われる。第3に、シクロデキストリンは、このような食品製品の貯蔵寿命を伸ばすことができ、というのは、シクロデキストリンは吸湿性ではなく、従って、ベース食品製品または飲料の品質の劣化、味のなさ、または低減された新鮮さを生じないだろうからである。第4に、乾燥プロセスは高価となり得、幾つかのゲスト(例えば、遊離ゲストまたはシクロデキストリン包接複合体中に存在するゲスト)は、乾燥の最中に失われ得、これは、乾燥工程を最適化し、経済的に実行するのを困難にし得る。こうした理由で及び本明細書において特に言及しない他の理由で、幾つかの具体例においてシクロデキストリン包接複合体を液体形態で提供することは、有益となり得る。シクロデキストリン包接複合体のエマルション形態を、最終製品(例えば、飲料または食品製品)に加えて、適切なゲストプロフィル(例えば、香味料プロフィル)を最終製品に与えることができ、同時に、最終製品中のシクロデキストリンが、その与えられた製品の法律の制限の範囲内(例えば、幾つかの製品の0.2重量%以下、または幾つかの製品の2重量%以下)にあることを確実にする。
【0085】
シクロデキストリン包接複合体を含む液体またはエマルション形態の形成を含むシクロデキストリン包接複合体の製造性(manufacturability)を改良することは、本明細書と同じ日に出願された同時係属の米国特許出願第 号の主題であり、その全内容を、本明細書において参考のために引用する。
【0086】
シクロデキストリンを用いたゲストの封じ込めと遊離(または複合体になっていない)ゲスト分子及びシクロデキストリン分子との間に確立された平衡が存在するので、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを系に加えることは、平衡をゲストの封じ込めへと強いることができる。上記に説明したように、系中の遊離ゲスの量を減少することは、ゲストの劣化の速度及びオフノートの形成の速度を減少する。加えて、特に飲料または他の液体用途においては、ゲストは、熱力学的に及び/または動力学的に、シクロデキストリン中に封じ込められることの方を封じ込められないことよりも好むことがある。この現象は、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを加えることによって誇張されることができる。また、形成された少量のオフノート分子は、たとえあったとしても、シクロデキストリン中に封じ込められることがあり、最終製品から本質的に“マスクされる”ことも可能である。すなわち、幾つかの具体例においては、オフノートの化学的メーキャップが理由となって、オフノートは、シクロデキストリンと非常に安定して結合でき、これは、形成されることがある任意のオフノートのマスキング効果を生じることができる。従って、幾つかの具体例においては、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンは、製品の所望の影響または機能を妨げることがある、系中の他の水混和性成分を、マスクするかまたは分離するためのスカベンジャーとして働くことができる。
【0087】
図7Aは、ゲスト−シクロデキストリン−溶媒系を表す三相モデルを示す。図7Aにおいて使用するゲストはシトラールであり、使用する溶媒は水であるが、シトラール及び水を図7Aにおいて説明のためにのみ示すことは理解できるはずである。当業者は、しかしながら、図7Aに示す三相モデルを使用して、広く様々なゲスト及び溶媒を表すことができることを理解しよう。図7に示すものと同様の三相モデルに関する追加の情報は、Lantz et al., "Use of the three-phase model and headspace analysis for the facile determination of all partition/association constants for highly volatile solute-cyclodextrin-water systems," Anal Bioanal Chem (2005) 383: 160-166において見い出すことができ、これを、本明細書において参考のために引用する。
【0088】
この三相モデルを使用して、(1)シクロデキストリン包接複合体の形成の最中に、(2)シクロデキストリン包接複合体の飲料用途において、及び/または(3)香味料エマルションにおいて起きる現象を説明することができる。香味料エマルションは、例えば、上記に説明したプロセスにおける工程5若しくは6において乾燥の前に若しくは乾燥無しで形成されたスラリー、または、シクロデキストリン包接複合体を含む乾燥粉末を溶媒中に再懸濁させることによって形成されたスラリーを含むことができる。このような香味料エマルションを、飲料用途に加えることができ(例えば、濃縮物として)、または上記に説明したように基体の上に噴霧することができる。
【0089】
図7Aに示すように、ゲストが存在することができる三相、すなわち、気相、水性相、及びシクロデキストリン相(また時々“擬似相”と呼ぶ)が存在する。3つの平衡、及びそれらの関連した平衡定数(すなわち、KH、KP1及びKP2)を使用して、こうした三相におけるゲストの存在を説明する:
【0090】
【化4】
【0091】
【化5】
【0092】
【化6】
【0093】
【化7】
【0094】
[式中、“S”は、下つき文字で示される系の対応する相中の系の溶質(すなわち、ゲスト)を表し、“g”は気相を表し、“aq”は水性相を表し、“CD”はシクロデキストリン相を表し、“Cs”は、対応する相(すなわち、上付き文字で示されるaqまたはCD)中の溶質の濃度を表し、“Ps”は、気相中の溶質の分圧を表す。]
【0095】
図7Aに示す三相系中のゲストの全てを説明するために、当然、ゲストのモルの総数(nstotal)は以下の式によって表すことができる:
【0096】
【化8】
【0097】
定常状態での製品(例えば、飲料または香味料エマルション)中のゲストの任意の損失を説明するために、感覚のために利用できるゲストのモルの総数(nstaste;例えば、飲料または香味料エマルションにおける味のための)は以下の式によって表すことができる:
【0098】
【化9】
【0099】
[式中、f(P)は、例えば、障壁または香味料エマルションの飲料が含まれる容器(例えば、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレート(PET)で形成されたプラスチック瓶)を通るゲストの任意の移動(または損失)を表す分配関数である。]
【0100】
大きな正のlog(P)値を有するゲストの場合、シクロデキストリン中のゲストの封じ込めは、熱力学的に有利であろうし(すなわち、KP1及びKP2は1を超えよう)、以下の関係が生じよう:
【0101】
【化10】
【0102】
その結果、系中に存在するゲストの大部分は、シクロデキストリン包接複合体の形態であろう。水性及び気相中の遊離ゲストの量が最小になるでろうのみならず、障壁または容器を通るゲストの移動が最小になるだろう。従って、感覚のために利用できるゲストの大部分は、シクロデキストリン相中に存在しようし、感覚のために利用できるゲストのモルの総数(nstaste)は次の通り近似できる:
【0103】
【化11】
【0104】
ゲスト及びシクロデキストリンの間の溶液中のシクロデキストリン包接複合体の形成は、以下の式によってより完全に表される:
【0105】
【化12】
【0106】
実験的に、本発明を支持するデータは、ゲストのlog(P)値は、シクロデキストリン包接複合体の形成及び安定性においてファクターとなることができることを示した。すなわち、実験データは、上記の式9に示した平衡は、溶液中の封じ込めプロセスを伴う正味のエネルギー損失によって右に駆動されることと、平衡は、考察の対象となっているゲストのlog(P)値によって少なくとも部分的に予測できることを示した。ゲストのlog(P)値は、高い水性含量または環境を有する最終製品においてファクターとなることができることが見い出された。例えば、比較的に大きな正のlog(P)値を有するゲストは、典型的に最も水溶性ではなく、最終製品から移動し、分離し得、包装内部の環境の変化を受けやすい。しかしながら、比較的に大きなlog(P)値は、シクロデキストリンを最終製品に加えることによって、このようなゲストを有効に捕捉し、保護することができる。すなわち、幾つかの具体例においては、従来安定化することが最も困難だったゲストは、本発明の方法を使用して安定化することが容易となり得る。
【0107】
ゲストのlog(P)値の影響を説明するために、系中のゲストの安定性を表す平衡定数(KP2’)は、以下の式によって表すことができる:
【0108】
【化13】
【0109】
[式中、log(P)は、系中の考察の対象となっているゲスト(S)のためのLog(P)値である。]式10は、ゲストのlog(P)値を考慮したモデルを確立する。式10は、いかにして熱力学的に安定な系が、比較的に大きな正のlog(P)値を有するゲストを用いてシクロデキストリン包接複合体を最初に形成することから生じることができるかを示す。例えば、幾つかの具体例においては、安定な系(すなわち、ゲスト安定化系)は、正のlog(P)値を有するゲストを使用して形成できる。幾つかの具体例においては、安定な系は、log(P)値として少なくとも約+1を有するゲストを使用して形成できる。幾つかの具体例においては、安定な系は、log(P)値として少なくとも約+2を有するゲストを使用して形成できる。幾つかの具体例においては、安定な系は、log(P)値として少なくとも約+3を有するゲストを使用して形成できる。その上、正のlog(P)値を有するゲストを使用することによってのみならず、追加の、複合体になっていないシクロデキストリンをそのシクロデキストリン包接複合体に加えて、上記の式9に示す平衡の右側をさらに有利にし、複合体になっているゲスト対遊離のまたは複合体になっていないゲストの比を増大させて、ゲストを劣化からさらに安定化することによって、どのようにして熱力学的に安定な系が生じることができるかを了解することができる。
【0110】
log(P)値は、良好な実験的指標となり得、幾つかの参考文献から入手可能であるが、別の重要な基準は、特定のゲストのための結合定数である(すなわち、一旦複合体が形成されると、いかに強くゲストがシクロデキストリンのくぼみ中で結合するか)。あいにく、ゲストのための結合定数は実験的に決定される。リモネン及びシトラールの場合には、例えば、たとえlog(P)値が同様でも、シトラールははるかに強い複合体を形成することができる。この結果、より高い結合定数が理由となって、高いリモネン濃度の存在下でさえも、シトラールは消費まで優先的に保護される。これは予想外の利益であり、現在の科学文献から直接に予測されない。
【0111】
本発明の幾つかの具体例においては、式10によって支持されるように、ゲストを、製品、系または用途(例えば、飲料)に、複合体になっていない形態で加え、複合体になっていないシクロデキストリンを、その同じ製品、系または用途に加える。式10によって示唆されるように、このような系におけるゲストの安定性(及び劣化からのゲストの保護)は、少なくとも部分的にゲストのlog(P)値に依存しよう。例えば、ゲストを系に加えて、系中の所望の濃度を得ることができ、複合体になっていないシクロデキストリンを系に加えて、ゲスト安定化し、ゲストを劣化から保護することができる。幾つかの具体例においては、系中のゲストの濃度は、少なくとも約1ppm、特に、少なくとも約5ppm、より詳細には、少なくとも約10ppmである。幾つかの具体例においては、系中のゲストの濃度は、約200ppm未満、特に、約150ppm未満、より詳細には、約100ppm未満である。幾つかの具体例においては、柑橘類成分の全濃度は、例えば、1000ppmを超えることができる(例えば、リモネンが存在する場合)。しかしながら、これは、本発明の安定化/保護スキームに対する障害であるとは証明されていない。
【0112】
幾つかの具体例においては、シクロデキストリンを、シクロデキストリン:ゲストの1:1を超えるモル比で系に加える。式10に示すように、クロデキストリンによる系中のゲストの安定化を、ゲストのlog(P)値によって予測できる。幾つかの具体例においては、選択したゲストは、正のlog(P)値を有する。幾つかの具体例においては、ゲストは、約+1を超えるlog(P)値を有する。幾つかの具体例においては、ゲストは、約+2を超えるlog(P)値を有する。幾つかの具体例においては、ゲストは、約+3を超えるlog(P)値を有する。
【0113】
製品、系または用途が、遊離/複合体になっていないゲストを含もうと、シクロデキストリンによって封じ込められたゲストを含もうと、ゲストを加えて、最終製品、系または用途中のゲストの所望の濃度を実現でき、複合体になっていないシクロデキストリンを製品、系または用途に加えて、シクロデキストリンの総重量%を法律の制限の範囲内に維持できる。例えば、幾つかの具体例においては、シクロデキストリン対系の重量%は、約0.05重量%〜約0.50重量%の範囲にわたり、特に、約0.15重量%〜約0.30重量%、より詳細には、約0.2重量%である。幾つかの具体例においては、複合体になっていないシクロデキストリンをゲストと組み合わせ、次に系に加える。幾つかの具体例においては、複合体になっていないシクロデキストリンを、ゲストと別個に直接に系に加える。実施例20は、シトラールを含む溶液に加えた複合体になっていないα−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリンの安定化効果を示す。実施例20において説明するように、シトラールは劣化から保護され、オフノート形成が阻害される。式10は、シトラールの安定化効果は少なくとも部分的に、シトラールの比較的に大きなlog(P)値(すなわち、3.45)が理由となり得ることを示唆する。
【0114】
ゲストのlog(P)を考慮することによって、シクロデキストリンを含む系中のゲストの安定性を予測することが可能である。溶液中の複合体形成反応の熱力学を利用することによって、ゲストのための保護のための及び安定な環境を形成でき、これは、過剰の複合体になっていないシクロデキストリンの添加によってさらに駆動される。シロデキストリン(cylodextrin)からのゲストの放出特性は、KH、ゲストの空気/水分配係数によって支配できる。シクロデキストリン包接複合体を含む系が、非平衡状態、例えば口中に置かれた場合、KHは、log(P)と比較して大きくなり得る。当業者は、1を超えるゲストが系中に存在でき、同様の式及び関係を系の各ゲストに適用できることを理解しよう。
【0115】
ゲストが香味料であり、市販の製品が飲料(または他の液体)であるような具体例においては、シクロデキストリンは、香味料を液体製品中の劣化から保護することができるが、液体が口中で味蕾と接触させられる時に、香味料を封じ込めから放出することができる。従って、製品の所望の香味料またはエッセンスを維持でき、適切な香味料またはエッセンスプロフィルを送達でき、同時に、その香味料またはエッセンスの劣化を防ぎ、同時に、法律的に許容できる量のシクロデキストリンを飲料に供給する。この現象を、実施例21〜22においてさらに説明し、表2及び3及び図7〜10においてさらに示す。
【0116】
本発明の様々な特徴及び態様を以下の実施例において述べ、これは、例示であることを意図されており、限定するものではない。特に断らない限り、実施例の全ては大気圧で実行された。実施例1〜19A、20〜23、25、28、29、31、34〜37は実例である。実施例19B、24A、24B、26、27、30、32及び33は予言的な実施例である。
【実施例】
【0117】
実施例1:β−シクロデキストリン及びジアセチル、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
大気圧で100ガロン反応器中、49895.1600g(110.02lb)のβ−シクロデキストリンを、997.9g(2.20lb)のビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランス(Degussa-France)から入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と共に乾式混合して、乾式混合物を形成した。100ガロン反応器は加熱及び冷却のためにジャケットを備え、パドル撹拌機を含み、凝縮器ユニットを含んだ。反応器に、プロピレングリコール冷却材を約40°F(4.5℃)で供給した。プロピレングリコール冷却材系を最初停止させ、ジャケットはある程度反応器のための絶縁体として働く。124737.9g(275.05lb)の高温の脱イオン水を、β−シクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加えた。水は温度約118°F(48℃)を有した。反応器のパドル撹拌機を使用して、混合物を約30分間撹拌した。反応器を次に一時的に開け、11226.4110g(24.75lb)のジアセチルを加えた(下文で使用するように、実施例における“ジアセチル”は、オールドリッチ・ケミカル、ミルウォーキー、WI(Aldrich Chemical, Milwaukee, WI)から購入したジアセチルを指す)。反応器を再密閉し、得られた混合物を、熱を加えずに8時間撹拌した。次に、反応器ジャケットをプロピレングリコール冷却材系に接続した。冷却材を約40°F(4.5℃)に作動させ、混合物を約36時間撹拌した。混合物を次に、高剪断タンクミキサー、例えば典型的に噴霧乾燥操作において使用されるものを使用して乳化した。混合物を次に、入口温度約410°F(210℃)及び出口温度約221°F(105℃)を有するノズル乾燥器上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の12.59重量%のジアセチルというパーセント保持を実現した。含水率を4.0%で測定した。シクロデキストリン包接複合体は0.3%未満の表面ジアセチルを含み、シクロデキストリン包接複合体の粒度を、80メッシュスクリーンを通して99.7%として測定した。当業者は、加熱及び冷却は他の手段によって制御できることを理解しよう。例えば、ジアセチルを室温スラリーに加えることができ、自動的に加熱及び冷却できる。
実施例2:α−シクロデキストリン及びジアセチル、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0118】
実施例1のβ−シクロデキストリンをα−シクロデキストリンで置き換え、1重量%のペクチン(すなわち、1重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と共に乾式混合した。混合物を、実施例1において述べた方法によって処理し、乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中のジアセチルのパーセント保持は、11.4重量%だった。
実施例3:β−シクロデキストリン及びオレンジエッセンス、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0119】
オレンジエッセンス、ジュース製造からの水性廃棄物流れ、を、実施例1において述べたプロセスに従って形成したβ−シクロデキストリン及び2重量%のペクチンの乾式混合物に水性相として加えた。追加の水を加えず、固形物含有量は約28%だった。シクロデキストリン包接複合体を、実施例1において述べた方法によって形成した。乾燥した包接複合体は、約3〜4重量%のアセトアルデヒド、約5〜7重量%の酪酸エチル、約2〜3重量%のリナロオール及び他の柑橘類増強ノートを含んだ。得られたシクロデキストリン包接複合体は、トップノーティング飲料(top-noting beverage)において有用となり得る。
実施例4:β−シクロデキストリン及びアセチルプロピオニル、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0120】
モル過剰のアセチルプロピオニルを、水中でβ−シクロデキストリン及び2重量%のペクチンの乾式混合物に加え、実施例1において述べた方法に従った。シクロデキストリン包接複合体中のアセチルプロピオニルのパーセント保持は、9.27重量%だった。混合物は、トップノーティングでジアセチルを含まないバター系において有用となり得る。
実施例5:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0121】
オレンジ油(すなわち、オレンジブレジル(Orange Bresil);75g)を、635gの水、403.75gの麦芽デキストリン、及び21.25gのビートペクチン(デガッサ−フランスから入手可能、製品no.XPQ EMP 5)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、穏やかに撹拌しながら水性相に加え、続いて10,000RPMで強く撹拌して、混合物を形成した。混合物を次に、ホモジナイザーを250barで通過させて、エマルションを形成した。エマルションを、入口温度約180℃及び出口温度約90℃を有するニロ−ブランド噴霧乾燥器(NIRO-brand spray drier)を使用して乾燥して、乾燥した生成物を形成した。パーセント香味料保持を次に、100gの乾燥した生成物中の油の量として(g単位で)定量化し、出発混合物中の油含量で割った。オレンジ油のパーセント保持は約91.5%だった。
実施例6:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0122】
オレンジ油(75g)を、635gの水、297.50gの麦芽デキストリン、及び127.50gのアラビアゴム(コロイズ・ナチュレルス・インターナショナル(Colloids Naturels International)から入手可能)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約91.5%だった。
実施例7:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0123】
オレンジ油(75g)を、635gの水、297.50gの麦芽デキストリン、123.25gのアラビアゴム(コロイズ・ナチュレルス・インターナショナルから入手可能)、及び4.25gの解重合した柑橘類ペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約96.9%だった。
実施例8:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0124】
オレンジ油(75g)を、635gの水、297.50gの麦芽デキストリン、123.25gのアラビアゴム(コロイズ・ナチュレルス・インターナショナルから入手可能)、及び4.25gのビートペクチン(デガッサ−フランスから入手可能、製品no.XPQ EMP 5)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約99.0%だった。
実施例9:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0125】
オレンジ油(75g)を、635gの水、403.75gの麦芽デキストリン、及び21.25gの解重合した柑橘類ペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約90.0%だった。
実施例10:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0126】
オレンジ油(75g)を、635gの水、340.00gの麦芽デキストリン、及び85.00gのアラビアゴム(コロイズ・ナチュレルス・インターナショナルから入手可能)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約91.0%だった。
実施例11:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0127】
オレンジ油(75g)を、635gの水及び425.00gの麦芽デキストリンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約61.0%だった。
実施例12:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0128】
オレンジ油(75g)を、635gの水、420.75gの麦芽デキストリン、及び4.25gのペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約61.9%だった。
実施例13:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0129】
オレンジ油(75g)を、635gの水、403.75gの麦芽デキストリン、及び21.50gのペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約71.5%だった。
実施例14:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0130】
オレンジ油(75g)を、635gの水、420.75gの麦芽デキストリン、及び4.75gの解重合した柑橘類ペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約72.5%だった。
実施例15:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0131】
オレンジ油(75g)を、635gの水、420.75gの麦芽デキストリン、及び4.75gのビートペクチン(デガッサ−フランスから入手可能、製品no.XPQ EMP 5)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約78.0%だった。
実施例16:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0132】
オレンジ油(75g)を、635gの水、414.40gの麦芽デキストリン、及び10.60gの解重合した柑橘類ペクチンを含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約85.0%だった。
実施例17:オレンジ油香味料製品及びその形成方法
【0133】
オレンジ油(75g)を、635gの水、414.40gの麦芽デキストリン、及び10.60gのビートペクチン(デガッサ−フランスから入手可能、製品no.XPQ EMP 5)を含む水性相に加えた。オレンジ油を、実施例5において述べた方法に従って水性相に加え、乾燥した。パーセント香味料保持は約87.0%だった。
実施例18:β−シクロデキストリン及びシトラール、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0134】
大気圧で1L反応器中、200gのβ−シクロデキストリンを、4.0gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と共に乾式混合して、乾式混合物を形成した。500gの脱イオン水を、β−シクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を約55〜60℃で5時間加熱し、撹拌することによって撹拌した。27gのシトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライド(Citrus & Allied)から入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を5時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するブチ B−191(BUCHI B-191)実験室噴霧乾燥器(ブチ、スイス(BUCHI, Switzerland)から入手可能)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の11.5重量%のシトラールというパーセント保持を実現した。得られた乾燥粉末は、0.08重量%の表面油(遊離シトラール)を含んだ。
実施例19A:シクロデキストリンによって封じ込められたシトラール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0135】
封じ込められたシトラールを、実施例18において述べた方法に従って製造した。シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む得られた乾燥粉末を追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のシトラールという重量%を実現した。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、約0.2重量%の乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量という重量%で酸性飲料に加えた。これは、10〜15ppmのシトラール及び約0.2重量%のβ−シクロデキストリンを酸性飲料に提供した。
実施例19B:シクロデキストリンによって封じ込められたシトラール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0136】
封じ込められたシトラールを、実施例18において述べた方法に従って製造する。シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む得られた乾燥粉末を追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約0.1重量%のシトラールという重量%を実現する。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、トップノートとして飲料に加える。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、約0.2重量%の乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量という重量%で加える。
実施例20:シクロデキストリンを用いたシトラールの安定化
【0137】
シトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)をエタノール中に溶かし(cut)、クエン酸中で希釈して、所望の香味料レベル(例えば、3mL(EtOH中の1%シトラール)/2Lの0.6%クエン酸;表1Bにおいて“対照”または“作りたての対照”と呼ぶ)を得た。次に、0.1重量%及び0.2重量%のα−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリンを対照に加え、40°Fまたは90°Fで18時間、36時間、または48時間維持して、様々な貯蔵寿命をシミュレートした。様々な形態のシトラールまたはキャラクターインパクト柑橘類香味料化合物(すなわち、ネラール、ゲラニアール、及びシトラール合計、ネラール及びゲラニアールの和)、及び一般的な柑橘類香味料オフノート化学物質(例えば、カルベオール、p−シメンまたはp−シメン−8−オール、p,a−ジメチルスチレン、メンタ−1,5−ジエン−8−オール1、及びメンタ−a,5−ジエン−8−オール2)を含む様々な他の化合物及びクロロシクロヘキサン内標準(表1Bにおいて“CCH int std”と呼ぶ)の生の面積計算を、表1Bに示すように、実験の各入れ替えにつき測定した。本明細書において使用する“生の面積計算”という用語を使用して、試料を、ガスクロマトグラフィー−質量分析法分析、すなわち、ペガサスII(PEGASUS II)飛行時間型質量分析計(TOF−MS;レコCorp.、セントジョーゼフ、ミシガン(LECO Corp., St. Joseph, Michigan)から入手可能)を使用して分析した場合の、ガスクロマトグラムの対応する部分の曲線の下の面積を指す。クロロシクロヘキサン内標準を10ppm/飲料で含ませて、考察の対象となっている他の化合物の生の面積計算を基準化しようと試みた。表1Bに示すように、シクロデキストリン(特に、β−シクロデキストリン)の添加は、溶液中のシトラールの量を増大し、形成されたオフノートの量を減少した。特に、この現象は、シミュレートされた貯蔵寿命が増大するにつれて観測された(すなわち、時間及び温度が増大するにつれて、より大きな差異が、シクロデキストリン、特に、β−シクロデキストリンを含む溶液と対照との間に観測された)。これは、β−シクロデキストリンの添加を用いたオフノート形成の阻害を示す図8及び図9を比較することによって了解できる。これは、より後の時間間隔での飲料への持続したシトラール(及び他のキャラクターインパクト柑橘類香味料)の寄与及びβ−シクロデキストリンの添加を用いたより後の時間間隔でのオフノートの欠如を示す図10及び図11を比較することによってさらに了解できる。
【表2】
実施例21:酸中のシクロデキストリンによって封じ込められたシトラールの安定性
【0138】
表2に示すように、試料酸飲料の4つの異なる版を分析した。4つの試料飲料を、様々な形態のシトラールを低pHレモネードベース、または“酸−糖”溶液(例えば、水中の0.5%クエン酸及び8%糖)に加えることによって形成した。表2において“シトラール無し”と呼ぶ第1の飲料を、非シトラール柑橘類香味料成分を酸−糖溶液に加えることによって形成した。第2の飲料である“シトラールを加える”は、3mL(EtOH中の1%シトラール)/2Lの0.6%クエン酸(使用したシトラールは、天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能、だった)を酸−糖溶液に加えて、シトラール濃度約10〜15ppmを実現することによって形成した。第3の飲料である“0.2%BCD−シトラール”は、実施例19Aにおいて形成した0.2重量%のシトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を酸−糖溶液に加えて、シトラール濃度約10〜15ppmを実現することによって形成した。第4の飲料である“0.2%WSR”は、0.2重量%の水溶性ローズマリーを第2の飲料に加えることによって形成し、同時に、シトラール濃度約10〜15ppmを維持した。本明細書において使用する水溶性ローズマリー(“WSR”)は、水混和性香味料を安定化する際に使用する産業標準を指す。
【0139】
様々な形態のシトラールまたはキャラクターインパクト柑橘類香味料化合物(すなわち、サビネン、p−シメン、ネラール、及びゲラニアール)、及び一般的な柑橘類オフノート化学物質(例えば、p,a−ジメチルスチレン、p−シメン−8−オール、及びメンタ−1,5−ジエン−8−オール1)を含む様々な他の化合物を、4つの飲料の各々に関して測定した。40°Fで1日、88°Fで1日、40°Fで2日、88°Fで2日、40°Fで7日、100°Fで7日、40°Fで14日、100°Fで14日、40°Fで21日、及び100°Fで21日の後に測定して、様々な貯蔵寿命をシミュレートした。加えて、カントリータイム(登録商標)(Country Time(登録商標))−ブランドレモネードの缶中の上記の化合物の生の面積計算を決定した。
【0140】
表2、図12及び図13に示すように、より暖かい温度(すなわち、88°F及び100°F)で、第3の飲料は、他の飲料と同様のシトラール及び他の柑橘類香味料化合物の生の面積計算を含んだ(図12を参照されたい)が、全ての時間間隔で形成されたオフノートの最低の生の面積計算を有した(図13を参照されたい)。図14及び15に示すように、より冷たい温度(すなわち、40°F)で、第3の飲料は、他の飲料と同様のシトラール及び他の柑橘類香味料化合物の生の面積計算を含んだ(図14を参照されたい)が、全ての時間間隔で第2及び第3の飲料よりも低い形成されたオフノートの生の面積計算及びシトラールを加えなかった第1の飲料における形成されたオフノートの同じ生の面積計算(表2における“合わせたオフノート”の列及び図15を参照されたい)を有した。
【0141】
表2に示すように、メンタ−1,5−ジエン−8−オールは、保護されないシトラールから形成される最初のオフノートであり、時間と共にさらにp−シメン−8−オールに劣化する。しかしながら、どちらのオフノートも、シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を含む第3の飲料中に存在しなかった。また、0.2%BCD−シトラールは、シトラール及び他の柑橘類香味料化合物を安定化する際に産業標準WSRよりも良好だった。
【表3】
実施例22:酸中のシクロデキストリンによって封じ込められたシトラールの安定性
【0142】
表3のIDの列において“.3%BCD”と呼ぶ第1の飲料を、実施例19Aにおいて形成した0.3重量%のシトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を酸−糖溶液に加えて、シトラール濃度20ppmを実現することによって形成した。第2の飲料である“.3%WSR”は、0.3重量%のWSRを実施例21の第2の飲料に加えることによって形成し、同時に、シトラール濃度約10〜15ppmを維持した。様々な形態のシトラールまたは柑橘類香味料化合物(すなわち、サビネン、p−シメン、ネラール、及びゲラニアール)、及び一般的な柑橘類オフノート化学物質(例えば、p,a−ジメチルスチレン、p−シメン−8−オール、及びメンタ−1,5−ジエン−8−オール1)を含む様々な他の化合物を、2つの飲料の各々に関して測定した。40°Fで7日、100°Fで7日、40°Fで14日、100°Fで14日、40°Fで21日及び100°Fで21日の後に測定して、様々な貯蔵寿命をシミュレートした。表3に示すように、より暖かい温度及びより冷たい温度で、第1の飲料は、他の飲料と同様のシトラール(及び他のキャラクターインパクト柑橘類香味料)の寄与の維持を含んだが、全ての時間間隔でオフノートの形成の増強された阻害を含んだ。飲料容器との相互作用が理由となって、揮発性物質の一般的な減少が認められた。しかしながら、シトラール及びβ−シクロデキストリンの間に形成される非常に強い複合体は、部分的には、シトラールの場合のヘッドスペース値の低減の原因であるかもしれない。感覚分析(sensory analysis)(実施例34及び図16及び17)に示すように、及び先に説明したように、シトラールは、それにもかかわらず、味覚にとって利用できる。
【表4】
実施例23:β−シクロデキストリン及びレモン油3X、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0143】
大気圧で1L反応器中、400gのβ−シクロデキストリンを8.0gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合して、乾式混合物を形成した。1Lの脱イオン水を、β−シクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を約30分撹拌した。21gの3X(すなわち、3倍)カリフォルニアレモンオイル(California Lemon Oil)、シトラス&アライドから入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するブチ B−191実験室噴霧乾燥器(ブチ、スイスから入手可能)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の4.99重量%のレモン油3Xというパーセント保持を実現した。
実施例24A:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたレモン油3X及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0144】
シクロデキストリンによって封じ込められたレモン油3Xを含む実施例23から生じた乾燥粉末を、追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“レモン油3X−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のレモン油3Xという重量%を実現する。レモン油3X−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を次に、乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量として約0.05重量%〜約0.30重量%の範囲にわたる重量%で飲料に加える。これは、飲料に加えた乾燥粉末混合物の量に依存して、20〜30ppmのレモン油3X及び約0.05重量%〜約0.30重量%のβ−シクロデキストリンを飲料に提供することが予想される。
実施例24B:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたレモン油3X及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
実施例18からのシトラール−シクロデキストリン包接複合体と混合した実施例24からの乾燥粉末の組合せを混合し(5部のシトラール/3部の3Xレモン)、追加のβ−シクロデキストリンと混合して、シクロデキストリン中の1%活性香味料を実現する。混合物は、高い酸分(酢酸の)を有するスパイス及び薬味におけるまたは高い安定性を有するより不透明なジュース様外観が望ましい飲料における安定な果皮のような(peely)新鮮なレモン特徴を送達する際に有用である。
実施例25:β−シクロデキストリン及びアルファ−トコフェロール、乳化剤としてのペクチンを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0145】
大気圧で1L反応器中、200gのβ−シクロデキストリンを、4.0gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合して、乾式混合物を形成した。500gの脱イオン水を、β−シクロデキストリン及びペクチンの乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を約30分撹拌した。23gのD,L−アルファ−トコフェロール(コシャー(Kosher)、SAP#1020477、BASFから入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を一晩、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するブチ B−191実験室噴霧乾燥器(ブチ、スイスから入手可能)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の10.31重量%のアルファ−トコフェロールというパーセント保持を実現した。β−シクロデキストリン中のアルファ−トコフェロールの1:1モル比は27.52重量%に対応すると思われるが、文献は、これは油性のペーストであると報告している。10.31重量%の生成物は、容易に水中に分散することができる乾燥した自由流れ粉末である。0.1%で使用する場合、10.31重量%のアルファ−トコフェロール複合体は、容易に水中に分散する(すなわち、過剰の複合体になっていないβ−シクロデキストリン中に溶ける)。
実施例26:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む組成物
【0146】
シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロールを含む実施例25から生じた乾燥粉末を、追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“アルファ−トコフェロール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のアルファ−トコフェロールという重量%を実現する。アルファ−トコフェロール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を次に、約0.2重量%の乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量という重量%で、A.C.E.飲料(すなわち、A=ビタミンA、C=ビタミンC、及びE=ビタミンE)のための抗酸化剤及び/または機能性食品として飲料に加える。これは、10ppmのアルファ−トコフェロール及び約0.2重量%のβ−シクロデキストリンを酸性飲料に提供することが予想される。
実施例27:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0147】
シクロデキストリンによって封じ込められたアルファ−トコフェロールを含む実施例25から生じた乾燥粉末を、他の香味料組成物(例えば、実施例18に従って形成したシトラール−β−シクロデキストリン及び/または実施例23に従って形成したレモン油3X−β−シクロデキストリン)と組み合わせ、次に追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物中の所望のレベルの香味料成分及びアルファ−トコフェロールを実現する。得られた乾燥粉末混合物を次に、抗酸化剤/機能性食品/香味料組成物として飲料に加える。これは、適切な量の抗酸化剤/機能性食品及び香味料プロフィルを飲料に、及び適切な量のβ−シクロデキストリンを飲料に送達することが予想される(例えば、0.2重量%)。飲料において、このような組合せは、香味料、曇り(すなわち、ジュース様外観)、加えられた安定性を柑橘類成分に提供することが予想され、香味料レベル、曇り及び機能性を混合することができることの利点を証明する。このような系は、少なくとも部分的には、加えられた脂質保護と結合した増強された柑橘類保護が理由となって、サラダ用ドレッシング及び調味料混合物において非常に有効であることが予想される。
実施例28:β−シクロデキストリン及びレモンライム油、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0148】
1L反応器中、400gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカー(Wacker)から入手可能)、8gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び1.23gのキサンタンガム(ケルトロール(KELTROL)キサンタンガム、CPケルコ(CP Kelco)から入手可能、SAPNo.15695)を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。800mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌することによって撹拌した。21gのレモンライム香味料043−03000(SAP#1106890、デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズ(Degussa Flavors & Fruit Systems)から入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するブチ B−191実験室噴霧乾燥器(ブチ、スイスから入手可能)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の約4.99重量%のレモンライム油というパーセント保持を実現した。
実施例29:β−シクロデキストリン及びレモンライム油、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0149】
1L反応器中、300gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)、6gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び1.07gのキサンタンガム(ケルトロールキサンタンガム、CPケルコから入手可能、SAPNo.15695)を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。750mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌することによって撹拌した。16gのレモンライム香味料043−03000(SAP#1106890、デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズから入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、高剪断タンクミキサー(HP 5 1PQミキサー、シルバーストン・マシンズLtd.、チェシャム、イギリス(Silverston Machines Ltd., Chesham England)から入手可能)を使用して乳化した。シクロデキストリン包接複合体中の約5.06重量%のレモンライム油というパーセント保持を実現した。
実施例30:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたレモンライム油及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料組成物
【0150】
シクロデキストリンによって封じ込められたレモンライム油を含む実施例28から生じた乾燥粉末及び/または実施例29から生じたエマルションを、追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“レモンライム油−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のレモンライム油という重量%を実現する。レモンライム油−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を次に、乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたレモンライム油プラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量として約0.05重量%〜約0.30重量%の範囲にわたる重量%で飲料に加える。これは、飲料に加えた乾燥粉末混合物の量に依存して、50〜100ppmのレモンライム油及び約0.05重量%〜約0.30重量%のβ−シクロデキストリンを飲料に提供することが予想される。
実施例31:β−シクロデキストリン及びシトラール、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0151】
1L反応器中、300gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)、6gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び0.90gのキサンタンガム(ケルトロールキサンタンガム、CPケルコから入手可能、SAPNo.15695)を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。575mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。1L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌することによって撹拌した。18gのシトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)を加えた。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を週末にわたって約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に二等分した。半分を、高剪断タンクミキサー(HP 5 1PQミキサー、シルバーストン・マシンズLtd.、チェシャム、イギリスから入手可能)を使用して、ニートで乳化した。1重量%のガムアカシアを他の半分に加え、得られた混合物を、同じ高剪断タンクミキサーを使用して乳化した。シクロデキストリン包接複合体中の約2.00重量%のシトラールというパーセント保持を実現した。
実施例32:食品または飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む香味料エマルション
【0152】
シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む実施例31から得られたエマルションの片方または両方を直接に食品または飲料製品に加えて、適切な香味料プロフィルを有する安定な製品を得る。エマルションを直接に食品若しくは飲料製品に加えるか、または食品基体の上に噴霧する。
実施例33:飲料製品において使用される、シクロデキストリンによって封じ込められたシトラール及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含む香味料エマルション
【0153】
シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む実施例31に従って形成した得られたエマルションの1つ(または両方の混合物)を追加のβ−シクロデキストリンと組み合わせて、得られた香味料エマルション(“シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリンエマルション”)中の約1重量%のシトラールという重量%を実現する。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリンエマルションを、香味料エマルション(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量として約0.05重量%〜約0.30重量%の範囲にわたる重量%で飲料に加える。これは、飲料に加えた香味料エマルションの量に依存して、10〜20ppmのシトラール及び約0.05重量%〜約0.30重量%のβ−シクロデキストリンを飲料に提供することが予想される。過剰の複合体になっていないβ−シクロデキストリンを最初に香味料エマルションに加える必要は無いが、むしろ、過剰の複合体になっていないβ−シクロデキストリン及び実施例31に従って形成した香味料エマルションを同時に飲料製品に加えることができることは、当業者であれば認識できよう。
実施例34:シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含むレモネード飲料対対照レモネード飲料の感覚分析
【0154】
封じ込められたシトラールを、実施例18において述べた方法に従って製造した。シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールを含む得られた乾燥粉末を追加のβ−シクロデキストリンと乾式混合して、得られた乾燥粉末混合物(“シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物”)中の約1重量%のシトラールという重量%を実現した。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を次に、標準的な噴霧乾燥したレモン油香味料073−00531(32.0部)(デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズ)と混合して、香味料組成物を形成した。香味料組成物を、約0.2重量%の乾燥粉末混合物(すなわち、β−シクロデキストリンによって封じ込められたシトラールプラス追加のβ−シクロデキストリン)対飲料の総重量という重量%で、レモネード飲料ベースに加えた。レモネード飲料ベースは、10.5gの香味料組成物、0.54gの糖、0.04gのクエン酸、0.13gの安息香酸ナトリウム、及び88.79gの水を含んだ。これは、10ppmのシトラール及び約0.2重量%のβ−シクロデキストリンを酸性飲料に提供した。この飲料を、図16及び17に示す感覚分析のために“CD”として識別した。
【0155】
第1の対照香味料組成物を、噴霧乾燥したシトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)及び噴霧乾燥したレモン油香味料073−00531(32.0部)(デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズ)を組み合わせることによって製造した。噴霧乾燥した形態の香味料を、当業者には周知の標準的な噴霧乾燥手順に従って製造した。第1の対照香味料組成物を、上記に説明したのと同じレモネードベース飲料に加えて、シトラール香味料レベル10ppmを有する第1の対照レモネード飲料を生じた。第1の対照レモネード飲料とCD飲料を比較する感覚分析の結果を図16に示す。老化した飲料をシミュレートするために飲料を暗所に110°Fで3週間貯蔵した後に、感覚分析を実行した。感覚分析は、一致方法(consensus approach)及び参照標準を使用して6人の専門の味の鑑定者の訓練を受けた感覚パネルによって実行される記述的分析(descriptive analysis)だった。図16に示すように、CD飲料は、第1の対照レモネード飲料と同様の全香味料強度、同様の果皮のような香味、より高い新鮮なレモン香味、並びにより低いあぶらっこい/ろうのような、酸化された、フェノール系の、アセトフェノンの及びショウノウ特有の香味を有した。この感覚分析は、キーノート香味料、シトラールを安定化する際の、及びレモネード飲料の新鮮なレモン香味を損ね、減少させるオフノート香味料の形成を防ぐ際のシクロデキストリンの能力を示す。
【0156】
第2の対照香味料組成物を、シトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)のエマルション及びレモン油香味料073−00531(デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズ)を組み合わせることによって製造した。エマルションを、当業者には周知の標準的な乳化手順に従って製造した。第2の対照香味料組成物を、上記に説明したのと同じレモネードベース飲料に加えて、シトラール香味料レベル10ppmを有する第2の対照レモネード飲料を生じた。第2の対照レモネード飲料とCD飲料を比較する感覚分析の結果を図17に示す。老化した飲料をシミュレートするために飲料を暗所に110°Fで3週間貯蔵した後に、感覚分析を実行した。感覚分析は、一致方法及び参照標準を使用して6人の専門の味の鑑定者の訓練を受けた感覚パネルによって実行される記述的分析だった。図17に示すように、CD飲料は、第2の対照レモネード飲料と同様の全香味料強度、同様の果皮のような香味、より高い新鮮なレモン香味、並びにより低いあぶらっこい/ろうのような、酸化された、フェノール系の、アセトフェノンの及びショウノウ特有の香味を有した。この感覚分析は、キーノート香味料、シトラールを安定化する際の、及びレモネード飲料の新鮮なレモン香味を損ね、減少させるオフノート香味料の形成を防ぐ際のシクロデキストリンの能力を示す。図16及び17を比較することによって示されるように、第2の対照レモネード飲料は、第1の対照レモネード飲料よりも高い知覚されるレベルの酸化された及びアセトフェノン香味を有した。これは、第2の対照香味料組成物は液体形態だったからである可能性があり、これは、より加速されたキーノート香味料の劣化及びオフノート形成を生じた可能性がある。
実施例35:β−シクロデキストリン及びシトラール、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0157】
5L反応器中、86.25gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)、1.70gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び0.35gのキサンタンガム(ケルトロールキサンタンガム、CPケルコから入手可能、SAPNo.15695)のベース配合を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。216.50mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。5L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌した。11.7gのシトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、ロットNo.10000223137、シトラス&アライドから入手可能)を加えた。このベース配合物を量って、2200gを生成した。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するニロベーシックラブドライヤー(Niro Basic Lab Dryer)(ニロCorp.コロンビア、メリーランド(Niro Corp. Columbia, Maryland))上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の約11.5重量%のシトラールというパーセント保持を実現した。
実施例36:β−シクロデキストリン及びレモン油3X、乳化剤としてのペクチン及び増粘剤としてのキサンタンガムを有するシクロデキストリン包接複合体及びその形成方法
【0158】
5L反応器中、92.95gのβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)、1.8gのビートペクチン(2重量%のペクチン:β−シクロデキストリン;デガッサ−フランスから入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、及び0.35gのキサンタンガム(ケルトロールキサンタンガム、CPケルコから入手可能、SAPNo.15695)のベース配合物を一緒に乾式混合して、乾式混合物を形成した。235.00mLの脱イオン水を乾式混合物に加えて、スラリーまたは混合物を形成した。5L反応器を、実験室規模の水浴の加熱及び冷却装置によって、加熱及び冷却のためにセットアップした。混合物を、約30分撹拌した。4.9gの3Xカリフォルニアレモンオイル(シトラス&アライドから入手可能)を加えた。このベース配合を比例拡大して、2200gの生成物を生成した。反応器を密閉し、得られた混合物を4時間、約55〜60℃で撹拌した。加熱及び冷却の実験室装置の冷却部分を次に作動させ、混合物を一晩、約5〜10℃で撹拌した。混合物を次に、入口温度約210℃及び出口温度約105℃を有するニロベーシックラブドライヤー(ニロCorp.コロンビア、メリーランド)上で噴霧乾燥した。シクロデキストリン包接複合体中の約5重量%のレモン油3Xというパーセント保持を実現した。
実施例37:シクロデキストリンによって封じ込められたシトラール、シクロデキストリンによって封じ込められたレモン油3X、及び過剰の複合体になっていないシクロデキストリンを含むレモネード飲料対シクロデキストリンを含まない対照飲料のオフノート形成比較
【0159】
レモネードベースを、89.79gの水、9.42gのグラニュー糖、0.04gの微細に造粒したクエン酸ナトリウム、及び0.50gのクエン酸(無水、微細)を組み合わせることによって製造した。保存剤を飲料に加えなかったが、飲料を低温殺菌ホットパックにさらした。このベースを量って、8Lの完成した飲料を生成した。
【0160】
“CD”として識別した飲料を、実施例35に従って形成したシトラール−シクロデキストリン包接複合体(“シトラール−CD”)及び実施例36に従って形成したレモン油3X−シクロデキストリン包接複合体(“レモン−CD”)を含めて形成した。“CD”香味料組成物を、32.00gの噴霧乾燥したレモン油(073−00531、デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズから入手可能)、5.20gのシトラール−CD(073−00339、デガッサ・フレーバーズ&フルート・システムズから入手可能)、3.20gのレモン−CD、及び59.60gの過剰の複合体になっていないβ−シクロデキストリン(W7β−シクロデキストリン、ワッカーから入手可能)を乾式混合することによって製造した。CD香味料組成物を均一になるまで混合し、約30メッシュスクリーンを使用してふるいにかけた。CD飲料を次に、0.25gのCD香味料組成物をレモネードベースに加えることによって製造した。
【0161】
対照香味料組成物を、32.00gの噴霧乾燥したレモン油、5.20gの噴霧乾燥したシトラール、及び3.20gの噴霧乾燥したレモン油3Xを、59.60gの麦芽デキストリン(全て、麦芽デキストリン(SAPNo.15433、テート&ライル(Tate & Lyle)から入手可能)表面に噴霧した)と乾式混合することによって製造した。噴霧乾燥した香味料の各々を、当業者には周知の標準的な噴霧乾燥手順に従って、麦芽デキストリンと共に噴霧乾燥した。対照香味料組成物には、シクロデキストリンが完全に無かった。対照飲料(“保護されない”と呼ぶ)を、0.25gの対照香味料組成物をレモネードベースに加えることによって製造した。
【0162】
CD飲料の香味料保持及びオフノート形成を、対照飲料のものと比較した。シトラール及びオフノートの量を、高度の自動化及び感度と最小の試料調製時間を可能にする分析ヘッドスペース技術である固相動的抽出(Solid Phase Dynamic Extraction)(SPDE)を使用して決定した。SPDEは、液−液抽出及び蒸留技術と同じ百万分率以下の感度を有するが、試料を温度の両極端にさらさず、汚染物を加え得る、分析の前に除去される必要がある多量の溶媒を使用することもない。SPDEは、吸収性ポリマー(カルボキセン(carboxen)−クロムシス、アレクサンドリア、VA(Chromsys, Alexandria VA)から入手可能)でコーティングした内部針壁を有する2mLの静的ヘッドスペースシリンジを使用する。分析試料を、10mLのクリンプ−トップバイアル中に置いた。ポリマー層の上で、分析試料よりも上に存在するヘッドスペースを繰り返し引くことによって、有機化合物を、ガスクロマトグラフ(GC)またはGC−質量分析計(ペガサスII飛行時間型質量分析計をこの研究において使用した(GC/TOF−MS;レコCorp.、セントジョーゼフ、ミシガンから入手可能)の注入口中に熱的に脱着されるまで、ポリマー中に捕捉した。GCはアジレント6890(Agilent 6890)であり、分析を、1ミクロンの膜厚を有する60メートル−x−0.32mm−カーボワックス(carbowax)カラム(レステク、ベルフォント、PA(Restek Bellefonte, PA)から入手可能)上で実行した。約100,000〜1,000,000の濃縮効果が容易に得られる。この研究において、2mLの各試料を10mLのバイアル中に置き、これを50℃で10分恒温に保ち、12分抽出して、百万分率以下の感度を得た。
【0163】
88°Fでの香味料保持及び全オフノート成長を、保護されない飲料及びCD飲料に関して図18に示す。(より明るい棒は、保護されない飲料及びCD飲料に関するキーノート香味料(すなわち、シトラール)を表し、より暗い棒は、全オフノート成長を表す。)図18に示すように、CD飲料は、キーノート香味料(すなわち、シトラール)を、保護されない飲料よりも長く保持し、CD飲料は、保護されない飲料よりも目立って低い全オフノート形成を有した。4つのタイプのオフノートの形成を、時間と共に測定し(すなわち、両方の飲料において88°Fでの21日の貯蔵の後に、88°Fでの33日の貯蔵の後に、及び88°Fでの42日の貯蔵の後に、及び結果を図19に示す。すなわち、分析された4つのオフノートは、p−メチルアセトフェノン、p−シメン−8−オール、メンタ−1,5−ジエン−8−オール1及びメンタ−1,5−ジエン−8−オール2だった。図19に示すように、CD飲料は、保護されない飲料よりも低いレベルの全ての4つのオフノートを形成し、特に、保護されない飲料よりも低いレベルのp−シメン−8−オールを形成した。
実施例38:“日光に当った(sun-struck)”現象においてβ−シクロデキストリンによって提供される保護効果。
飲料製品中へのシクロデキストリンの取り入れによって提供される他の保護効果を研究するために、“日光に当った”(光酸化)現象への予備研究を行った。特に、市販の製品によって経験される日光への露出を研究した。実施例20におけるように、シトラール(天然シトラール、SAPNo.921565、シトラス&アライドから入手可能)を、エタノール中で1.0%のレベルで希釈した。2つのシミュレートされた飲料ベースを作製した:対照、水中の0.6%クエン酸及び保護された、水中の0.6%クエン酸及び0.2%β−シクロデキストリン。エタノール溶液中の1.0%シトラールを、0.1%(10ppmシトラール)で各飲料ベースに加え;両方のシミュレートされた飲料は、ガラスのジュース瓶中にあり、実験室の窓に置かれ、強い日光を5日間経験する南東に暴露された。各シミュレートされた飲料の重複の瓶をオーブン中に置き、110°Fで維持した。5日後に、各瓶を、この研究の間中用いた同じヘッドスペース方法(SPDE)によってサンプリングし、分析した。結果を図20に図示する。非常に少ない情報がシトラールの光安定性に関して入手可能であるが、保護されない試料におけるオフノートの調査は、非常に類似の化合物及び濃度を示す。従って、酸性媒質中の熱及び光触媒劣化において、同様の反応経路が活性であることが推測される(例えば、図7を参照されたい)。図20において、保護された試料(BCDとラベルを付けた)は、保護されないもの(CITとラベルを付けた)と比較して、反応性中間オフノートであるp−メンタ−ジエン−8−オールの形成を示さない。また、p−シメンの形成は、保護された系においてはるかに低減していることも明白である。
本明細書において引用する全ての特許、刊行物及び参考文献を、本明細書において参考のために十分に引用する。本開示と引用した特許、刊行物及び参考文献との間に矛盾がある場合、本開示が支配するべきである。本発明の様々な特徴及び態様を請求の範囲において述べる。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】くぼみを有するシクロデキストリン分子、及びくぼみ内部に保持されたゲスト分子の略図である。
【図2】自己集合したシクロデキストリン分子及びゲスト分子によって形成されたナノ構造の略図である。
【図3】ジアセチル−シクロデキストリン包接複合体の形成の略図である。
【図4】自己集合したシクロデキストリン分子及びジアセチル分子によって形成されたナノ構造の略図である。
【図5】シトラール−シクロデキストリン包接複合体の形成の略図である。
【図6】自己集合したシクロデキストリン分子及びシトラール分子によって形成されたナノ構造の略図である。
【図7】シトラールの場合の劣化機構を示す。 図7Aは、ゲスト−シクロデキストリン−溶媒系を表すために使用される三相モデルの略図である。
【図8】シトラール及び実施例20に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図9】シトラール及び実施例20に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図10】シトラール及び実施例20に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図11】シトラール及び実施例20に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図12】シトラール及び実施例21に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図13】シトラール及び実施例21に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図14】シトラール及び実施例21に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図15】シトラール及び実施例21に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図16】実施例34において説明する感覚分析の結果を示す。
【図17】実施例34において説明する感覚分析の結果を示す。
【図18】キーノート香味料及び実施例35〜37に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図19】キーノート香味料及び実施例35〜37に従って形成されたオフノートのレベルにシクロデキストリンが及ぼす影響を示す。
【図20】実施例38において述べる実験の結果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲスト安定化系の製造方法であって:
シクロデキストリン及び乳化剤を混合して、混合物を形成することと;
溶媒及びゲストを前記混合物と混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成することと;
複合体になっていないシクロデキストリンを前記シクロデキストリン包接複合体に加えて、ゲスト安定化系を形成することと;を含む方法。
【請求項2】
前記ゲストは、香味料、嗅覚作用物、薬剤、機能性食品、抗酸化剤、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゲストは、ジアセチル、シトラール、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、精油、アスパルテーム、クレアチン、アルファ−トコフェロール、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載のゲスト安定化系を最終製品に加えることを含む、最終製品の製造方法。
【請求項5】
前記最終製品は、飲料、食品製品、チューインガム、歯磨き剤、キャンディー、香味料、芳香物質、薬剤、機能性食品、化粧品、農産物、写真乳剤、廃棄物流れ系、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最終製品は飲料を含み、ゲスト安定化系対該飲料の重量%は約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたって、前記飲料中に所望の香味料プロフィルを得、シクロデキストリン対前記飲料の重量%は約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲストは正のlog(P)値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ゲストは少なくとも約+2のlog(P)値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記乳化剤はペクチンを含み、前記溶媒は水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
溶媒及びゲストを前記混合物と混合することは、前記シクロデキストリン包接複合体を含む第2の混合物を形成し、該第2の混合物を乾燥して、前記シクロデキストリン包接複合体を含む乾燥粉末を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の混合物を乾燥することは、空気乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、オーブン乾燥、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複合体になっていないシクロデキストリンは前記乾燥粉末と乾式混合される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲストは、ゲスト対シクロデキストリンの過剰のモル比で加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記シクロデキストリンはβ−シクロデキストリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン及びβ−シクロデキストリンの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ゲスト安定化系の製造方法であって:
シクロデキストリン、溶媒及びゲストを混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成し、前記ゲストは、ゲスト対シクロデキストリンの過剰のモル比で加えられることと;
複合体になっていないシクロデキストリンを前記シクロデキストリン包接複合体に加えて、ゲスト安定化系を形成し、前記複合体になっていないシクロデキストリンは、全シクロデキストリン対ゲストの過剰のモル比で加えられて、前記ゲスト安定化系中の複合体になっているゲスト対遊離ゲストの比を増大させて、前記ゲストを劣化からさらに安定化することと;を含む方法。
【請求項17】
前記ゲストは、香味料、嗅覚作用物、薬剤、機能性食品、抗酸化剤、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ゲストは、ジアセチル、シトラール、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、精油、アスパルテーム、クレアチン、アルファ−トコフェロール、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ゲストは負のlog(P)値を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項16に記載のゲスト安定化系を最終製品に加えることを含む、最終製品の製造方法。
【請求項21】
前記最終製品は、飲料、食品製品、チューインガム、歯磨き剤、キャンディー、香味料、芳香物質、薬剤、機能性食品、化粧品、農産物、写真乳剤、廃棄物流れ系、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記最終製品は飲料を含み、ゲスト安定化系対該飲料の重量%は約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたって、前記飲料中に所望の香味料プロフィルを得、シクロデキストリン対前記飲料の重量%は約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記シクロデキストリン、前記溶媒及び前記ゲストを混合することは、前記シクロデキストリン包接複合体を含む混合物を形成し、該混合物を乾燥して、前記シクロデキストリン包接複合体を含む乾燥粉末を形成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の混合物を乾燥することは、空気乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、オーブン乾燥、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複合体になっていないシクロデキストリンは前記乾燥粉末と乾式混合される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記シクロデキストリンはβ−シクロデキストリンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
飲料の製造方法であって:
複合体になっていないシクロデキストリン、ゲスト及び溶媒を混合して、飲料を形成し、前記ゲストは正のlog(P)値を有し、
前記シクロデキストリンは、シクロデキストリン対前記飲料の約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたる重量%で前記飲料に加えられることを含む方法。
【請求項28】
前記シクロデキストリンはβ−シクロデキストリンを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ゲストは、香味料、嗅覚作用物、薬剤、機能性食品、抗酸化剤、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ゲストは、ジアセチル、シトラール、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、精油、アスパルテーム、クレアチン、アルファ−トコフェロール、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記ゲストは少なくとも約+1のlog(P)値を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記シクロデキストリンは、シクロデキストリン対前記飲料の約0.15重量%〜約0.2重量%の範囲にわたる重量%で加えられる、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記シクロデキストリンは、シクロデキストリン対前記飲料の約0.2重量%という重量%で加えられる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記ゲストは、前記飲料中の約5ppm〜約100ppmの範囲にわたる濃度を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記ゲストはシトラールを含み、該シトラールは、前記飲料中の約10ppm〜約15ppmの範囲にわたる濃度を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記飲料中のシクロデキストリン包接複合体を、前記複合体になっていないシクロデキストリン及び前記ゲストの間に形成して、前記ゲストを安定化することをさらに含み、前記シクロデキストリン包接複合体の形成は、少なくとも部分的に前記ゲストの前記log(P)値の大きさに依存する、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記飲料中のシクロデキストリン:ゲストのモル比は1:1を超える、請求項27に記載の方法。
【請求項1】
ゲスト安定化系の製造方法であって:
シクロデキストリン及び乳化剤を混合して、混合物を形成することと;
溶媒及びゲストを前記混合物と混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成することと;
複合体になっていないシクロデキストリンを前記シクロデキストリン包接複合体に加えて、ゲスト安定化系を形成することと;を含む方法。
【請求項2】
前記ゲストは、香味料、嗅覚作用物、薬剤、機能性食品、抗酸化剤、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゲストは、ジアセチル、シトラール、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、精油、アスパルテーム、クレアチン、アルファ−トコフェロール、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載のゲスト安定化系を最終製品に加えることを含む、最終製品の製造方法。
【請求項5】
前記最終製品は、飲料、食品製品、チューインガム、歯磨き剤、キャンディー、香味料、芳香物質、薬剤、機能性食品、化粧品、農産物、写真乳剤、廃棄物流れ系、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最終製品は飲料を含み、ゲスト安定化系対該飲料の重量%は約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたって、前記飲料中に所望の香味料プロフィルを得、シクロデキストリン対前記飲料の重量%は約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲストは正のlog(P)値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ゲストは少なくとも約+2のlog(P)値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記乳化剤はペクチンを含み、前記溶媒は水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
溶媒及びゲストを前記混合物と混合することは、前記シクロデキストリン包接複合体を含む第2の混合物を形成し、該第2の混合物を乾燥して、前記シクロデキストリン包接複合体を含む乾燥粉末を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の混合物を乾燥することは、空気乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、オーブン乾燥、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複合体になっていないシクロデキストリンは前記乾燥粉末と乾式混合される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲストは、ゲスト対シクロデキストリンの過剰のモル比で加えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記シクロデキストリンはβ−シクロデキストリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン及びβ−シクロデキストリンの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ゲスト安定化系の製造方法であって:
シクロデキストリン、溶媒及びゲストを混合して、シクロデキストリン包接複合体を形成し、前記ゲストは、ゲスト対シクロデキストリンの過剰のモル比で加えられることと;
複合体になっていないシクロデキストリンを前記シクロデキストリン包接複合体に加えて、ゲスト安定化系を形成し、前記複合体になっていないシクロデキストリンは、全シクロデキストリン対ゲストの過剰のモル比で加えられて、前記ゲスト安定化系中の複合体になっているゲスト対遊離ゲストの比を増大させて、前記ゲストを劣化からさらに安定化することと;を含む方法。
【請求項17】
前記ゲストは、香味料、嗅覚作用物、薬剤、機能性食品、抗酸化剤、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ゲストは、ジアセチル、シトラール、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、精油、アスパルテーム、クレアチン、アルファ−トコフェロール、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ゲストは負のlog(P)値を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項16に記載のゲスト安定化系を最終製品に加えることを含む、最終製品の製造方法。
【請求項21】
前記最終製品は、飲料、食品製品、チューインガム、歯磨き剤、キャンディー、香味料、芳香物質、薬剤、機能性食品、化粧品、農産物、写真乳剤、廃棄物流れ系、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記最終製品は飲料を含み、ゲスト安定化系対該飲料の重量%は約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたって、前記飲料中に所望の香味料プロフィルを得、シクロデキストリン対前記飲料の重量%は約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記シクロデキストリン、前記溶媒及び前記ゲストを混合することは、前記シクロデキストリン包接複合体を含む混合物を形成し、該混合物を乾燥して、前記シクロデキストリン包接複合体を含む乾燥粉末を形成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の混合物を乾燥することは、空気乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、オーブン乾燥、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複合体になっていないシクロデキストリンは前記乾燥粉末と乾式混合される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記シクロデキストリンはβ−シクロデキストリンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
飲料の製造方法であって:
複合体になっていないシクロデキストリン、ゲスト及び溶媒を混合して、飲料を形成し、前記ゲストは正のlog(P)値を有し、
前記シクロデキストリンは、シクロデキストリン対前記飲料の約0.05重量%〜約0.3重量%の範囲にわたる重量%で前記飲料に加えられることを含む方法。
【請求項28】
前記シクロデキストリンはβ−シクロデキストリンを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ゲストは、香味料、嗅覚作用物、薬剤、機能性食品、抗酸化剤、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ゲストは、ジアセチル、シトラール、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、精油、アスパルテーム、クレアチン、アルファ−トコフェロール、及びこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記ゲストは少なくとも約+1のlog(P)値を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記シクロデキストリンは、シクロデキストリン対前記飲料の約0.15重量%〜約0.2重量%の範囲にわたる重量%で加えられる、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記シクロデキストリンは、シクロデキストリン対前記飲料の約0.2重量%という重量%で加えられる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記ゲストは、前記飲料中の約5ppm〜約100ppmの範囲にわたる濃度を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記ゲストはシトラールを含み、該シトラールは、前記飲料中の約10ppm〜約15ppmの範囲にわたる濃度を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記飲料中のシクロデキストリン包接複合体を、前記複合体になっていないシクロデキストリン及び前記ゲストの間に形成して、前記ゲストを安定化することをさらに含み、前記シクロデキストリン包接複合体の形成は、少なくとも部分的に前記ゲストの前記log(P)値の大きさに依存する、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記飲料中のシクロデキストリン:ゲストのモル比は1:1を超える、請求項27に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2008−543831(P2008−543831A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516863(P2008−516863)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/012529
【国際公開番号】WO2006/137959
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(397058666)カーギル インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/012529
【国際公開番号】WO2006/137959
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(397058666)カーギル インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】
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