説明

シクロデキストリン封入複合体および該複合体を調製する方法

本発明は、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを含む産物であって、該産物中、ゲストがより安定であり、そしてシクロデキストリンを伴わずに同じゲストを含む産物と同じくらい迅速には分解されない、前記産物を提供する。さらに、本発明は、シクロデキストリンでゲストを安定化させ、そしてゲスト分解産物の形成を減少させる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
[0001]本出願は、どちらも本明細書に援用される、2006年12月27日出願の米国出願第60/877,489号、および2006年12月27日出願の米国出願第60/877,463号の優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
[0002]以下の米国特許は、多様なゲスト分子を複合体化するためのシクロデキストリンの使用を開示し、そして本明細書に完全に援用される:Bordenに対する米国特許第4,296,137号、第4,296,138号および第4,348,416号(チューインガム、歯磨剤、化粧品などで使用するためのフレーバー物質);Gandolfoらに対する第4,265,779号(洗剤組成物における泡抑制剤);Hyashiらに対する第3,816,393号および第4,054,736号(医薬品として使用するためのプロスタグランジン);Mifuneらに対する第3,846,551号(殺虫剤および殺ダニ組成物);Nodaらに対する第4,024,223号(メントール、サリチル酸メチルなど);Akitoらに対する第4,073,931号(ニトロ−グリセリン);Szjetliらに対する第4,228,160号(インドメタシン);Bernsteinらに対する第4,247,535号(補体阻害剤);Kawamuraらに対する第4,268,501号(抗喘息活性剤);Szjetliらに対する第4,365,061号(強い無機酸複合体);Pithaに対する第4,371,673号(レチノイド);Szjetliらに対する第4,380,626号(ホルモン性植物生長制御剤)、Waguらに対する第4,438,106号(コレステロールを減少させるのに有用な長鎖脂肪酸);Satoらに対する第4,474,822号(ティー・エッセンス複合体);Szjetliらに対する第4,529,608号(蜂蜜芳香)、Kunoらに対する第4,547,365号(ウェーブヘア活性複合体);Pithaに対する第4,596,795号(性ホルモン);Hiraiらに対する第4,616,008号(抗細菌複合体);Shibanaiに対する第4,636,343号(殺虫剤複合体)、Ningerらに対する第4,663,316号(抗生物質);Fukazawaらに対する第4,675,395号(ヒノキチオール);Shibanaiらに対する第4,732,759号および第4,728,510号(入浴剤);Karlらに対する第4,751,095号(アスパルテーム(aspartamane));第4,560,571号(コーヒー抽出物);Okonogiらに対する第4,632,832号(インスタントクリーミングパウダー);Trinhらに対する第5,571,782号、第5,660,845号および第5,635,238号(香水、フレーバー、および医薬品);Kuboらに対する第4,548,811号(ウェービングローション);Prasadらに対する第6,287,603号(香水、フレーバー、および医薬品);Peraに対する第4,906,488号(嗅覚因子(olfactant)、フレーバー、薬品、および殺虫剤);ならびにQiらに対する第6,638,557号(魚油)。
【0003】
[0003]シクロデキストリンは、やはり本明細書に援用される、以下の刊行物にさらに記載される: (1)Reineccius, T.A.ら “Encapsulation of flavors using cyclodextrins: comparison of flavor retention in alpha, beta, and gamma types.” Journal of Food Science. 2002;67(9):3271−3279; (2)Shiga, H.ら “Flavor encapsulation and release characteristics of spray−dried powder by the blended encapsulant of cyclodextrin and gum arabic.” Marcel Dekker, Incl., www.dekker.com. 2001; (3)Szente L.ら “Molecular Encapsulation of Natural and Synthetic Coffee Flavor with β−cyclodextrin.” Journal of Food Science. 1986;51(4):1024−1027; (4)Reineccius, G.A.ら “Encapsulation of Artificial Flavors by β−cyclodextrin.” Perfumer & Flavorist(ISSN 0272−2666) An Allured Publication. 1986:11(4):2−6;および(5)Bhandari, B.R.ら “Encapsulation of lemon oil by paste method using β−cyclodextrin: encapsulation efficiency and profile of oil volatiles.” J. Agric. Food Chem. 1999;47:5194−5197。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,296,137号
【特許文献2】米国特許第4,296,138号
【特許文献3】米国特許第4,348,416号
【特許文献4】米国特許第4,265,779号
【特許文献5】米国特許第3,816,393号
【特許文献6】米国特許第4,054,736号
【特許文献7】米国特許第3,846,551号
【特許文献8】米国特許第4,024,223号
【特許文献9】米国特許第4,073,931号
【特許文献10】米国特許第4,228,160号
【特許文献11】米国特許第4,247,535号
【特許文献12】米国特許第4,268,501号
【特許文献13】米国特許第4,365,061号
【特許文献14】米国特許第4,371,673号
【特許文献15】米国特許第4,380,626号
【特許文献16】米国特許第4,438,106号
【特許文献17】米国特許第4,474,822号
【特許文献18】米国特許第4,529,608号
【特許文献19】米国特許第4,547,365号
【特許文献20】米国特許第4,596,795号
【特許文献21】米国特許第4,616,008号
【特許文献22】米国特許第4,636,343号
【特許文献23】米国特許第4,663,316号
【特許文献24】米国特許第4,675,395号
【特許文献25】米国特許第4,732,759号
【特許文献26】米国特許第4,728,510号
【特許文献27】米国特許第4,751,095号
【特許文献28】米国特許第4,560,571号
【特許文献29】米国特許第4,632,832号
【特許文献30】米国特許第5,571,782号
【特許文献31】米国特許第5,660,845号
【特許文献32】米国特許第5,635,238号
【特許文献33】米国特許第4,548,811号
【特許文献34】米国特許第6,287,603号
【特許文献35】米国特許第4,906,488号
【特許文献36】米国特許第6,638,557号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Reineccius, T.A.ら “Encapsulation of flavors using cyclodextrins: comparison of flavor retention in alpha, beta, and gamma types.” Journal of Food Science. 2002;67(9):3271−3279
【非特許文献2】Shiga, H.ら “Flavor encapsulation and release characteristics of spray−dried powder by the blended encapsulant of cyclodextrin and gum arabic.” Marcel Dekker, Incl., www.dekker.com. 2001
【非特許文献3】Szente L.ら “Molecular Encapsulation of Natural and Synthetic Coffee Flavor with β−cyclodextrin.” Journal of Food Science. 1986;51:(4);1024−1027
【非特許文献4】Reineccius, G.A.ら “Encapsulation of Artificial Flavors by β−cyclodextrin.” Perfumer & Flavorist(ISSN 0272−2666) An Allured Publication. 1986:11(4):2−6
【非特許文献5】Bhandari, B.R.ら “Encapsulation of lemon oil by paste method using β−cyclodextrin: encapsulation efficiency and profile of oil volatiles.” J. Agric. Food Chem. 1999;47:5194−5197
【発明の概要】
【0006】
[0004]本発明は、シクロデキストリンと複合体化されたゲストおよびゲスト分解産物を含む産物であって、少なくとも約88°Fの温度で少なくとも約30日間保存された際、少なくとも約5:1のゲスト対ゲスト分解産物比を有する、前記産物を提供する。
【0007】
[0005]本発明はまた、少なくとも約88°Fの温度で約30日間中、産物中のゲスト濃度が、約25%より多くは減少しない、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを含む産物も提供する。
【0008】
[0006]さらに、本発明は、ゲスト濃度がある期間に渡って減少し、そして約30日後の産物中のゲスト濃度の減少が、対照中のゲスト濃度の減少より少ない、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを含む産物を提供する。
【0009】
[0007]さらに、本発明は、ゲスト分解産物が、約30日後、約30日後の対照中のゲスト分解産物濃度未満の濃度で存在する、シクロデキストリンと複合体化されたゲストおよびゲスト分解産物を含む産物を提供する。
【0010】
[0008]本発明はまた、ゲスト分解産物の形成が、対照中のゲスト分解産物の形成と比較した際、少なくとも約200%減少する、シクロデキストリンと複合体化されたゲストおよびゲスト分解産物を含む産物も提供する。
【0011】
[0009]本発明は、ポリ不飽和脂肪酸がシクロデキストリンに複合体化されている、ポリ不飽和脂肪酸およびシクロデキストリンを含む産物を提供する。
[0010]さらに、本発明は、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを産物に添加する工程を含み、ここでゲストが乳化剤の存在下でシクロデキストリンと複合体化され、そしてゲストの分解が、シクロデキストリンとゲストの複合体化によって、対照と比較した際に約25%減少している、長期に渡る産物中のゲストの分解を減少させるための方法を提供する。
【0012】
[0011]さらに、本発明は、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを産物に添加する工程を含み、ここでゲスト濃度の減少が、シクロデキストリンとゲストの複合体化によって、対照と比較した際に少なくとも約25%減少している、長期に渡る産物中のゲスト濃度の減少を減少させるための方法を提供する。
【0013】
[0012]本発明はまた、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを産物に添加する工程を含み、ここでフレーバー安定性が、対照と比較した際、少なくとも約25%改善されている、光に曝露された際の産物のフレーバー安定性を改善するための方法も提供する。
【0014】
[0013]本発明の他の特徴および側面は、詳細な説明および付随する図を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】[0014]図1は、空洞、および空洞内に保持されるゲスト分子を有するシクロデキストリン分子の略図である。
【図2】[0015]図2は、自己組み立てシクロデキストリン分子およびゲスト分子によって形成されたナノ構造の略図である。
【図3】[0016]図3は、ジアセチル−シクロデキストリン封入複合体の形成の略図である。
【図4】[0017]図4は、自己組み立てシクロデキストリン分子およびジアセチル分子によって形成されるナノ構造の略図である。
【図5】[0018]図5は、シトラール−シクロデキストリン封入複合体の形成の略図である。
【図6】[0019]図6は、自己組み立てシクロデキストリン分子およびシトラール分子によって形成されるナノ構造の略図である。
【図7】[0020]図7は、シトラールの分解機構を例示する。
【図7A】[0021]図7Aは、ゲスト−シクロデキストリン−溶媒系を表すよう用いられる三相モデルの略図である。
【図8】[0022]図8は、実施例20にしたがって形成されるシトラールおよびオフノート(off−note)のレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図9】図9は、実施例20にしたがって形成されるシトラールおよびオフノートのレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図10】図10は、実施例20にしたがって形成されるシトラールおよびオフノートのレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図11】図11は、実施例20にしたがって形成されるシトラールおよびオフノートのレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図12】[0023]図12は、実施例21にしたがって形成されるシトラールおよびオフノートのレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図13】図13は、実施例21にしたがって形成されるシトラールおよびオフノートのレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図14】図14は、実施例21にしたがって形成されるシトラールおよびオフノートのレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図15】図15は、実施例21にしたがって形成されるシトラールおよびオフノートのレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図16】[0024]図16は、実施例34に記載する官能分析の結果を例示する。
【図17】図17は、実施例34に記載する官能分析の結果を例示する。
【図18】[0025]図18は、実施例35〜37にしたがって形成されたキーノートフレーバーおよびオフノートのレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図19】図19は、実施例35〜37にしたがって形成されたキーノートフレーバーおよびオフノートのレベルに対するシクロデキストリンの影響を例示する。
【図20】[0026]図20は、実施例38に示す実験の結果を示す。
【図21】[0027]図21は、実施例40に示す実験のビン飲料を示す。
【図22】図22は、実施例40に示す実験のビン飲料を示す。
【図23】図23は、実施例40に示す実験のビン飲料を示す。
【図24】[0028]図24は、実施例40A由来のシトラールに関する典型的なオフノートに関する結果を示す。
【図25】図25は、実施例40A由来のシトラールに関する典型的なオフノートに関する結果を示す。
【図26】図26は、実施例40A由来のシトラールに関する典型的なオフノートに関する結果を示す。
【図27】[0029]図27は、多様なゲストに関するlog(P)値を示す。
【図28】[0030]図28は、シトラール−シクロデキストリン複合体の安定性/方法開発を示す。
【図29】[0031]図29は、シトラールおよびシクロデキストリンの多様な量および型を含有する4つの飲料の安定性比較を示す。
【図30】[0032]図30は、シトラールおよびシクロデキストリンの多様な量および型を含有する2つの飲料の安定性比較を示す。
【図31】[0033]図31は、シクロデキストリンを含む、シトラールの安定化、色およびビタミン含量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0035]本発明の任意の態様を詳細に説明する前に、本発明が、その適用において、以下の説明に示すかまたは以下の図に例示する構成要素の構築および配置の詳細に限定されないことが理解されるものとする。本発明は、他の態様および実施が可能であるか、あるいは多様な方式で実行可能である。また、本明細書で用いる表現および専門用語は、説明の目的のためであり、そして限定として見なされてはならないことが理解されるものとする。「含まれる」、「含む」、または「有する」およびそれらの変形の本明細書における使用は、後に列挙する項目およびその同等物とともに、さらなる項目を含むよう意味される。別に明記されるかまたは限定されない限り、用語「搭載」、「連結」、「支持」、および「カップリング」およびその変形は、広く用いられ、そして直接および間接両方の搭載、連結、支持、およびカップリングを含む。さらに、「連結」および「カップリング」は、物理的または機械的連結またはカップリングに制限されない。
【0017】
[0036]本明細書に列挙される任意の数値範囲には、より低い値からより高い値までのすべての値が含まれることもまた理解される。例えば、濃度範囲が1%〜50%と記載される場合、本明細書において、2%〜40%、10%〜30%、または1%〜3%などの値が明確に列挙される。これらは具体的に意図されるものの例でしかなく、そして列挙される最低値および最高値の間の数値のすべてのありうる組み合わせが、本出願に明らかに記載されると見なされるものとする。
【0018】
[0037]1つの態様において、本発明は、少なくとも1つのゲスト−シクロデキストリン封入複合体および少なくとも1つのゲスト分解産物を含む産物であって、88°Fまたは100°Fなどの促進された保存条件下で、少なくとも60日間、少なくとも約10:1のゲスト対ゲスト分解産物比を有する、前記産物を提供する。適切には、比は、少なくとも約5:1、約7:1、約15:1または約20:1であってもよい。適切には、安定性を、約30日間、約45日間、約75日間または約90日間、測定してもよい。
【0019】
[0038]別の態様において、本発明は、ゲストが42日間などのある期間に渡って産物中で減少する濃度を有し、産物中のゲストの濃度減少が、少なくとも1つの複合体化されていないゲストを含む第二の産物中の同じゲストの濃度減少より少ない、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを含む産物を提供する。例えば、シクロデキストリンと複合体化されている場合、ゲストの濃度減少は、複合体化されていないゲストの濃度減少よりも、約55%少ない。適切には、シクロデキストリンと複合体化されている場合、ゲストの濃度減少は、複合体化されていないゲストの濃度減少よりも、約25%少ないか、あるいは複合体化されていないゲストの濃度減少よりも、約45%少ないかまたは約75%少ない。適切には、安定性を、約30日間、約45日間、約60日間、約75日間または約90日間、測定してもよい。
【0020】
[0039]さらに別の態様において、本発明は、少なくとも1つのゲスト−シクロデキストリン封入複合体を含む産物であって、少なくとも1つのゲスト分解産物を含有し、そして約30日後のゲスト分解産物濃度が、約30日後の少なくとも1つの複合体化されていないゲストを含む第二の産物中のゲスト分解産物濃度未満である、前記産物を提供する。適切には、安定性を、約45日間、約60日間、約75日間または約90日間、測定してもよい。
【0021】
[0040]さらなる態様において、本発明は、ゲスト−シクロデキストリン封入複合体を含む産物であって、産物中のゲスト濃度が、88°Fまたは100°Fなどの促進された保存条件下で、約30日間、約25%より多くは減少しない、前記産物を含む。適切には、減少は約35%より多くはないか、または約50%より多くはない。適切には、安定性を、約45日間、約60日間、約75日間または約90日間、測定してもよい。
【0022】
[0041]さらなる態様において、本発明は、少なくとも1つのゲスト−シクロデキストリン封入複合体および少なくとも1つのゲスト分解産物を含む産物であって、ある期間に渡る、ゲスト分解産物の形成が、少なくとも1つの複合体化されていないゲストを含む第二の産物中のゲスト分解産物の形成と比較した際、約500%減少する、前記産物を提供する。適切には、安定性を、約30日間、約45日間、約60日間、約75日間または約90日間、測定してもよい。適切には、ゲスト分解産物の形成は、約200%または約250%または約300%または約400%減少する。
【0023】
[0042]さらに別の態様において、本発明はまた、光曝露に反応した、産物中のゲストの分解を減少させるための方法であって:シクロデキストリンと複合体化されたゲストを産物に添加する工程を含み、ゲストが複合体化されていないことを例外として、同じ産物および同じゲストを用いる同じ方法よりも、より優れてゲストの分解を減少させる、前記方法も提供する。例えば、ゲスト分解産物の形成によって、分解を測定可能である。異なる時点で、ゲスト分解産物に対するゲストの比を決定することによって、ゲスト分解産物の形成を測定可能である。産物中に存在するゲスト分解産物の割合を計算することによってもまた、形成を測定可能である。ガスクロマトグラフィー−質量分析を用いて試料を分析する際、ガスクロマトグラムの対応する部分の曲線下の面積を決定することによってもまた形成を測定可能である。
【0024】
[0043]さらに別の態様において、本発明は、長期に渡る産物中のゲスト濃度の減少を減少させるための方法であって:シクロデキストリンと複合体化されたゲストを産物に添加する工程を含み、ゲストが複合体化されていないことを例外として、同じ産物および同じゲストを用いる同じ方法よりも、より優れて長期に渡る産物中のゲスト濃度の減少を減少させる、前記方法を提供する。濃度の減少は、異なる時点で、産物中のゲストの割合を計算することによって、決定可能である。例えば、保護された系(右)および保護されていない系(左)の総フレーバー強度およびオフノート発生を比較する図18において;フレーバー強度に関する生面積カウントの実際の値は:保護された系では5,674,300,000であり、そして保護されていない系では3,662,300,000であるか、または第42日で、保護されていない系と比較して、保護された系では強度が155%高かった。オフノート形成の値もまた:保護されていない系で見られるような1,424,300,000と比較して、保護された系では108,161,000であり、これは、保護されていない系において13.2倍のオフノートレベルが形成されたのに等しい。系の振る舞いは、等式5、6および7、[00132]、[00134]および[00137]に代数的に記載されている。
【0025】
[0044]別の態様において、本発明は、光に曝露された際の産物のフレーバー安定性を改善するための方法であって、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを産物に添加する工程を含み、ゲストが複合体化されていないことを例外として、同じ産物および同じゲストを用いる同じ方法よりも、より優れて長期に渡って光に曝露された際の産物のフレーバー安定性を改善する、前記方法を提供する。フレーバー安定性は、例えば、長期に渡ってゲスト分解産物形成を測定するか、または長期に渡って産物中のゲスト濃度を測定することによって、計算可能である。
【0026】
[0045]さらなる態様において、本発明は、ポリ不飽和脂肪酸およびシクロデキストリンを含み、ポリ不飽和脂肪酸がシクロデキストリンと複合体化されている、産物を提供する。
【0027】
[0046]パラグラフ42〜44に示す方法各々は、シクロデキストリンおよび乳化剤を混合し、そして/または溶媒およびゲストを混合して、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを形成する工程をさらに含んでもよい。あるいは、シクロデキストリン、乳化剤および増粘剤を混合して、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを形成してもよい。いくつかの態様において、シクロデキストリン、乳化剤および増粘剤を乾式混合してもよい。別の態様において、シクロデキストリン、乳化剤および増粘剤を混合して、第一の混合物を形成し、第一の混合物を溶媒と混合して、第二の混合物を形成し、そして第二の混合物をゲストと混合して、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを形成してもよい。別の態様において、シクロデキストリン、乳化剤および増粘剤を混合し(例えば乾式混合によって)、そしてゲスト(または溶媒およびゲスト)と混合してもよく、ここで、シクロデキストリンに対する乳化剤の重量パーセントは、少なくとも約0.5wt%であり、そしてシクロデキストリンに対する増粘剤の重量パーセントは、少なくとも約0.01wt%である。いくつかの態様において、複合体化されていないシクロデキストリンをモル過剰で添加して、さらなる安定化効果を提供する。方法は、飲料を含む産物に特に適している。
【0028】
[0047]本明細書において、そして付随する請求項において、用語「シクロデキストリン」は、デンプンの酵素変換によって形成される環状デキストリン分子を指してもよい。特定の酵素、例えば多様な型のシクログリコシルトランスフェラーゼ(CGTアーゼ)は、デンプン中に存在するらせん構造を分解して、例えば6、7または8グルコース分子と三次元ポリグルコース環を有する特定のシクロデキストリン分子を形成する。例えば、α−CGTアーゼは、6グルコース単位を有するα−シクロデキストリンにデンプンを変換可能であり、β−CGTアーゼは、7グルコース単位を有するβ−シクロデキストリンにデンプンを変換可能であり、そしてγ−CGTアーゼは、8グルコース単位を有するγ−シクロデキストリンにデンプンを変換可能である。シクロデキストリンには、限定されるわけではないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれる。β−シクロデキストリンは、何らかの毒性効果を持つことは知られておらず、世界GRASとされ(すなわち一般的に安全と見なされている)、そして天然で、そしてFDAに認可されている。α−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンもまた、天然産物と見なされ、そして米国およびE.U. GRASとされている。
【0029】
[0048]適切なように、シクロデキストリンを誘導体化してもよい。適切な誘導体化シクロデキストリンには、2−ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、3−ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、およびヒドロキシエチルβ−シクロデキストリンなどのヒドロキシアルキル化シクロデキストリン、ならびにメチルβ−シクロデキストリンなどのメチル化シクロデキストリンが含まれる。
【0030】
[0049]本明細書において、そして付随する請求項において、「対照」は、同じゲストを含むが、シクロデキストリンを含まない、同じ産物である。
[0050]シクロデキストリン分子10の三次元環状構造(すなわち大環状構造)を図1に模式的に示す。シクロデキストリン分子10は外部部分12を含み、該部分は、一級および二級ヒドロキシル基を含み、そして親水性である。シクロデキストリン分子10はまた、三次元空洞14を含み、該空洞は、炭素原子、水素原子およびエーテル連結を含み、そして疎水性である。シクロデキストリン分子の疎水性空洞14は、ホストとして作用可能であり、そして疎水性部分を含む多様な分子またはゲスト16を保持し、シクロデキストリン封入複合体を形成可能である。
【0031】
[0051]本明細書において、そして付随する請求項において、用語「ゲスト」は、少なくとも部分が、シクロデキストリン分子中に存在する三次元空洞内に保持されるかまたは捕捉されてもよい任意の分子を指すことも可能であり、限定されるわけではないが、フレーバー、嗅覚因子、薬学的剤、栄養補助剤(例えばクレアチン、あるいはビタミンA、CまたはE)、着色剤、およびその組み合わせが含まれる。
【0032】
[0052]フレーバーの例には、限定なしに、アルデヒド、ケトンまたはアルコールに基づくフレーバーが含まれてもよい。アルデヒドフレーバーの例には、限定なしに:アセトアルデヒド(リンゴ);ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)、アニスアルデヒド(甘草、アニス);桂皮アルデヒド(桂皮);シトラール(例えばゲラニアール、アルファ・シトラール(レモン、ライム)およびネラール、ベータ・シトラール(レモン、ライム));デカナール(オレンジ、レモン);エチルバニリン(バニラ、クリーム);ヘリオトロピン、すなわちピペロナール(バニラ、クリーム);バニリン(バニラ、クリーム);a−アミル桂皮アルデヒド(スパイシーでフルーティなフレーバー);ブチルアルデヒド(バター、チーズ);バレルアルデヒド(バター、チーズ);シトロネラル(修飾剤、多種);デセナール(柑橘果実);アルデヒドC−8(柑橘果実);アルデヒドC−9(柑橘果実);アルデヒドC−12(柑橘果実);2−エチルブチルアルデヒド(液果類);ヘキセナール、すなわちトランス−2(液果類);トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド);ベラトルアルデヒド(バニラ);2−6−ジメチル−5−ヘプテナール、すなわちメロナールTM(メロン);2,6−ジメチルオクタナール(熟していない果実);2−ドデセナール(柑橘、マンダリン);およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0033】
[0053]ケトンフレーバーの例には、限定なしに:d−カルボン(キャラウェイ);l−カルボン(スペアミント);ジアセチル(バター、チーズ、「クリーム」);ベンゾフェノン(フルーティでそしてスパイシーなフレーバー、バニラ);メチルエチルケトン(液果類);マルトール(液果類)、メントン(ミント)、メチルアミルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルアミルケトン(液果類、核果);ピルビン酸(いぶしたような、木の実の味のフレーバー);アセトアニソール(サンザシ、ヘリオトロープ);ジヒドロカルボン(スペアミント);2,4−ジメチルアセトフェノン(ペパーミント);1,3−ジフェニル−2−プロパノン(アーモンド);アセトクメン(オリスおよびバジル、スパイシー);イソジャスモン(ジャスミン);d−イソメチルイオノン(オリス様、スミレ);イソブチルアセトアセテート(ブランディー様);ジンゲロン(ショウガ);プレゴン(メントール);d−ピペリトン(ミントの香り);2−ノナノン(バラおよび紅茶様);およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0034】
[0054]アルコールフレーバーの例には、限定なしに、アニスアルコールまたはp−メトキシベンジルアルコール(フルーティ、桃);ベンジルアルコール(フルーティ);カルバクロールまたは2−p−シメノール(刺激性の温かい匂い);カルベオール;シンナミルアルコール(花の匂い);シトロネロール(バラ様);デカノール;ジヒドロカルベオール(スパイシー、コショウのような);テトラヒドロゲラニオールまたは3,7−ジメチル−1−オクタノール(バラの匂い);オイゲノール(クローブ);p−メンタ−1,8−ジエン−7−Oλまたはペリリルアルコール(花に似た松の香り);アルファ・テルピネオール;メンタ−1,5−ジエン−8−オール1;メンタ−1,5−ジエン−8−オール2;p−シメン−8−オール;およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0035】
[0055]嗅覚因子の例には、限定なしに、天然香料、合成香料、合成エッセンシャルオイル、天然エッセンシャルオイル、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0036】
[0056]合成香料の例には、限定なしに、テルペン性炭化水素、エステル、エーテル、アルコール、アルデヒド、フェノール、ケトン、アセタール、オキシム、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0037】
[0057]テルペン性炭化水素の例には、限定なしに、ライムテルペン、レモンテルペン、リモネン二量体、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
[0058]エステルの例には、限定なしに、γ−ウンデカラクトン、グリシド酸エチルメチルフェニル、カプロン酸アリル、サリチル酸アミル、安息香酸アミル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、酢酸ブチル、酪酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、酢酸セドリル、酢酸シトロネリル、ギ酸シトロネリル、酢酸p−クレシル、2−t−ペンチル−シクロヘキシルアセテート、酢酸シクロヘキシル、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルサリチレート、酢酸ジメチルベンジル、フタル酸ジエチル、δ−デカ−ラクトン、フタル酸ジブチル、酪酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、酢酸フェンチル、酢酸ゲラニル、γ−ドデカラトン、ジヒドロジャスモン酸メチル、酢酸イソボルニル、β−イソプロポキシエチルサリチレート、酢酸リナリル、安息香酸メチル、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、サリチル酸メチル、ブラシル酸エチレン、ドデカン酸エチレン、酢酸メチルフェニル、イソ酪酸フェニルエチル、酢酸フェニルエチルフェニル、酢酸フェニルエチル、酢酸メチルフェニルカルビニル、3,5,5−トリメチルヘキシルアセテート、酢酸テルピニル、クエン酸トリエチル、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、酢酸ベチベル、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0038】
[0059]エーテルの例には、限定なしに、p−クレシルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−β−2−ベンゾピラン、フェニルイソアミルエーテル、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0039】
[0060]アルコールの例には、限定なしに、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、β−フェニルエチルジメチルカルビノール、ジメチルベンジルカルビノール、カルビトールジヒドロミルセノール、ジメチルオクタノール、ヘキシレングリコールリナロール、青葉アルコール、ネロール、フェノキシエタノール、γ−フェニル−プロピルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、メチルフェニルカルビノール、テルピネオール、テトラヒドロアロオシメノール、テトラヒドロリナロール、9−デセン−1−オール、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0040】
[0061]アルデヒドの例には、限定なしに、n−ノニルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒド、2−ヘキシルヘキサナール、アヘキシル桂皮アルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、p−t−ブチル−a−メチルヒドロ−桂皮アルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、α−アミル桂皮アルデヒド、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0041】
[0062]フェノールの例には、限定なしに、メチルオイゲノールが含まれてもよい。
[0063]ケトンの例には、限定なしに、l−カルボン、α−ダマスコン、イオノン、4−t−ペンチルシクロヘキサノン、3−アミル−4−アセトキシテトラヒドロピラン、メントン、メチルイオノン、p−t−アミシクロヘキサノン、アセチルセドレン、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0042】
[0064]アセタールの例には、限定なしに、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールが含まれてもよい。
[0065]オキシムの例には、限定なしに、5−メチル−3−ヘプタノンオキシムが含まれてもよい。
【0043】
[0066]ゲストにはさらに、限定なしに、脂肪酸、脂肪酸トリグリセリド、ポリ不飽和脂肪酸およびそのトリグリセリド、トコフェロール、ラクトン、テルペン、ジアセチル、ジメチルスルフィド、プロリン、フラネオール、リナロール、アセチルプロピオニル、ココア製品、天然エッセンス(例えばオレンジ、トマト、リンゴ、桂皮、ラズベリーなど)、エッセンシャルオイル(例えばオレンジ、レモン、ライムなど)、甘味料(例えばアスパルテーム、ネオテーム、アセスルファム−K、サッカリン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、甘草、およびステビア由来甘味料)、サビネン、p−シメン、p,a−ジメチルスチレン、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0044】
[0067]ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)の例には、限定なしに、C18、C20およびC22、オメガ−3脂肪酸、ならびにC18、C20およびC22、オメガ−6脂肪酸が含まれてもよい。例えば、適切なポリ不飽和脂肪酸には、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタン酸(EPA)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸(ARA)としてもまた知られる)、ガンマリノレン酸(GLA)、ステアリドン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸が含まれる。PUFAは、一般的に、天然では、モノ、ジおよびトリグリセリドとして存在するため、遊離酸およびその結合型の両方が本発明で使用するのに適していることもまた理解される。
【0045】
[0068]図3は、ジアセチル−シクロデキストリン封入複合体形成の略図を示し、そして図5は、シトラール−シクロデキストリン封入複合体形成の略図を示す。
[0069]本明細書において、そして付随する請求項において、用語「ゲスト分解産物」は、光および熱などの環境要因に曝露された際に、ゲストが分解するにつれて形成される化合物を指す。ゲスト分解産物の存在は、産物中でゲスト濃度が減少していることを示す。例えば、ゲストがフレーバーである場合、産物は、そのフレーバーのある程度を失い、そしてオフノートを発展させうる。オフノートは、はるかにより強力なテーストの剤である。フレーバー強度の喪失と組み合わさって、産物の品質は迅速にそして劇的に減少する。ゲストがビタミンまたは栄養補助剤である場合、産物はそのビタミンまたは栄養補助剤の利点のある程度を失う。
【0046】
[0070]本明細書において、そして付随する請求項において、用語「log(P)」または「log(P)値」は、標準的参照表に見出されうる物質の特性であり、そして物質のオクタノール/水分配係数を指す。一般的に、物質のlog(P)値は、親水性/疎水性の表現である。Pは、水中の物質濃度に対するオクタノール中の物質濃度の比として定義される。したがって、関心対象の物質のlog(P)は、水中の物質濃度が、オクタノール中の物質濃度より高いならば、負である。オクタノール中で濃度がより高ければlog(P)値は正であり、そして関心対象の物質の濃度が、水中でオクタノール中と同じであれば、ゼロであろう。したがって、ゲストは、そのlog(P)値によって特徴付けられうる。参考のため、図27に示す表1は、多様な物質に関するlog(P)値を列挙し、このうちいくつかは、本発明のゲストであってもよい。
【0047】
[0071]比較的大きい正のlog(P)値(例えば約2より大きいもの)を有するゲストの例には、限定されるわけではないが、シトラール、リナロール、アルファ・テルピネオール、およびその組み合わせが含まれる。比較的小さい正のlog(P)値(例えば約1未満であるが、ゼロより大きいもの)を有するゲストの例には、限定されるわけではないが、ジメチルスルフィド、フラネオール、エチルマルトール、アスパルテーム、およびその組み合わせが含まれる。比較的大きい負のlog(P)値(例えば約−2未満)を有するゲストの例には、限定されるわけではないが、クレアチン、プロリン、およびその組み合わせが含まれる。比較的小さい負のlog(P)値(例えば0未満であるが約−2より大きいもの)を有するゲストの例には、限定されるわけではないが、ジアセチル、アセトアルデヒド、マルトール、およびその組み合わせが含まれる。
【0048】
[0072]log(P)値は、食品およびフレーバー化学反応の多くの側面で重要である。log(P)値の表を上記に提供する。ゲストのlog(P)値は、最終産物(例えば食品およびフレーバー)の多くの側面に対して重要でありうる。一般的に、正のlog(P)を有する有機ゲスト分子は、シクロデキストリン中に成功裡に被包されうる。いくつかのゲストを含む混合物中では、競合が存在する可能性もあり、そしてlog(P)値は、どのゲストが成功裡に被包される可能性がより高いかを決定する際に有用でありうる。マルトールおよびフラネオールは、類似のフレーバー特性(すなわち甘い特質)を有するが、log(P)値が異なるため、シクロデキストリン被包の成功レベルが異なる、2つのゲストの例である。log(P)値は、高い含水量または水性環境を有する食品生産物において重要でありうる。有意なそして正のlog(P)値を持つ化合物は、定義によって、最も可溶性でなく、そしてしたがって、最初に移動し、分離され、そして次いでパッケージ中の変化に最初に曝露される。しかし、高いlog(P)値は、産物中にシクロデキストリンを添加することによって、有効に捕捉され、そして保護されることを可能にする。適切には、ゲストは、約1.0より大きいか、または約1.50より大きいか、または約1.75より大きいlog(P)を有する。
【0049】
[0073]シトラール(log(P)=3.45)は、酸性飲料などの多様な適用で使用可能な柑橘またはレモンフレーバーである。酸性飲料には、限定されるわけではないが、レモネード、7UP(登録商標)レモンライムフレーバー・ソフトドリンク(Dr Pepper/Seven−Up, Inc.の登録商標)、SPRITE(登録商標)レモンライムフレーバー・ソフトドリンク(The Coca−Cola、ジョージア州アトランタの登録商標)、SIERRA MIST(登録商標)レモンライムフレーバー・ソフトドリンク(Pepsico、ニューヨーク州パーチェスの登録商標)、紅茶(例えばLIPTON(登録商標)およびBRISK(登録商標)、Liptonの登録商標)、アルコール飲料、およびその組み合わせが含まれてもよい。アルファ・テルピネオール(log(P)=3.33)はライムフレーバーであり、シトラールに関して上に列挙するものと類似の産物中で使用可能である。
【0050】
[0074]ベンズアルデヒド(log(P)=1.48)はチェリーフレーバーであり、酸性飲料を含む、多様な適用で使用可能である。ベンズアルデヒドでフレーバーを付けてもよい酸性飲料の例には、限定されるわけではないが、CHERRY COKE(登録商標)チェリーコーラフレーバー・ソフトドリンク(The Coca−Cola Company、ジョージア州アトランタの登録商標)が含まれる。
【0051】
[0075]バニリン(log(P)=1.05)はバニラフレーバーであり、限定されるわけではないが、バニラフレーバー飲料、焼き菓子など、およびその組み合わせを含む、多様な適用で使用可能である。
【0052】
[0076]アスパルテーム(log(P)=0.07)は非スクロース甘味料であり、限定されるわけではないが、ダイエットソフトドリンクを含む、多様なダイエット食品および飲料で使用可能である。ネオテームもまた非スクロース甘味料であり、ダイエット食品および飲料で使用可能である。
【0053】
[0077]アセトアルデヒド(log(P)=−0.17)はリンゴフレーバーであり、限定されるわけではないが、食品、飲料、キャンディなど、およびその組み合わせを含む、多様な適用で使用可能である。
【0054】
[0078]クレアチン(log(P)=−3.72)は栄養補助剤であり、限定されるわけではないが栄養補助配合物を含む、多様な適用で使用可能である。栄養補助配合物の例には、限定されるわけではないが、ミルク、水または別の液体、およびその組み合わせと組み合わせてもよい粉末配合物が含まれる。
【0055】
[0079]上述のように、本発明で使用するシクロデキストリンには、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびその組み合わせが含まれてもよい。より親水性のゲスト(すなわちより小さいlog(P)値を有する)を用いる態様では、α−シクロデキストリンを用いて(すなわち単独でまたは別のタイプのシクロデキストリンと組み合わせて)、シクロデキストリン中のゲストの被包を改善する。例えば、比較的親水性のゲストを使用する態様において、α−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリンの組み合わせを用いて、シクロデキストリン封入複合体の形成を改善してもよい。
【0056】
[0080]本明細書において、そして付随する請求項において、用語「シクロデキストリン封入複合体」は、三次元空洞内にゲスト分子を捕捉しそして保持することにより、1以上のシクロデキストリン分子で、1以上のゲスト分子の少なくとも部分を被包する(分子レベルでの被包)ことによって形成される複合体を指す。ゲストは、水素結合および親水性−疎水性相互作用の少なくとも1つによって、ファンデルワールス力により空洞内の適所に保持されうる。シクロデキストリン封入複合体を水に溶解すると、ゲストが空洞から放出されうる。シクロデキストリン封入複合体はまた、本明細書において、「ゲスト−シクロデキストリン複合体」とも称されうる。シクロデキストリンの空洞は、外部と比較して疎水性であるため、正のlog(P)値(特に比較的大きい正のlog(P)値)を有するゲストは、シクロデキストリン中に容易に封入され、そしてゲストは水性環境よりもシクロデキストリン空洞を熱力学的に好むであろうため、水性環境中で安定なシクロデキストリン封入複合体を形成するであろう。いくつかの態様において、1より多いゲストを複合体化することが望ましい場合、各ゲストを別個に被包して、関心対象のゲストを被包する効率を最大限にしてもよい。
【0057】
[0081]本明細書において、そして付随する請求項において、用語「複合体化されていないシクロデキストリン」は、一般的に、ゲストを実質的に含まず、そしてシクロデキストリン封入複合体を形成していないシクロデキストリンを指す。「ゲストを実質的に含まない」シクロデキストリンは、一般的に、空洞中にゲストを含まないシクロデキストリンを高い割合で含むシクロデキストリン供給源を指す。
【0058】
[0082]本明細書において、そして付随する請求項において、用語「ヒドロコロイド」は、一般的に、水を含むゲルを形成する物質を指す。ヒドロコロイドには、限定なしに、キサンタンゴム、ペクチン、アラビアゴム(またはアカシアゴム)、トラガカント、グアー、カラゲナン、ローカストビーン、およびその組み合わせが含まれてもよい。
【0059】
[0083]本明細書において、そして付随する請求項において、用語「ペクチン」は、植物組織中(例えば熟した果実および野菜中)に存在しうるヒドロコロイド多糖を指す。ペクチンには、限定なしに、ビートペクチン、果実ペクチン(例えば柑橘果皮由来)、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれてもよい。使用するペクチンは、多様な分子量のものであってもよい。
【0060】
[0084]本発明のシクロデキストリン封入複合体を多様な適用または最終産物中で用いてもよく、これには、限定なしに、食品(例えば炭酸飲料、柑橘飲料、レモネード、ジュース、ソフトドリンク、スポーツドリンク、ビタミン強化飲料などの飲料、サラダドレッシング、ポップコーン、シリアル、アップルソース、コーヒー、クッキー、ブラウニー、ゼラチン、他のデザート、他の焼き菓子、調味料など)、チューインガム、練り歯磨きおよび口内洗浄剤などの歯磨剤、キャンディ、香味料、香料、薬剤(例えば咳止めシロップ調製物など)、栄養補助剤、化粧品、農業適用(例えば除草剤、殺虫剤など)、写真乳剤、およびその組み合わせの少なくとも1つが含まれる。いくつかの態様において、さらにプロセシングされ、単離されそして乾燥されるべき中間体単離マトリックスとして(例えば廃棄物流とともに用いるものとして)、シクロデキストリン封入複合体を用いてもよい。
【0061】
[0085]シクロデキストリン封入複合体を用いて、ゲストの安定性を増進させ、ゲストを自由流動粉末に変換し、あるいは別の方式でゲストの可溶性、送達または性能を修飾してもよい。被包可能なゲスト分子の量は、ゲスト分子の分子量に直接関連する。いくつかの態様において、シクロデキストリンの1モルは、ゲストの1モルを被包する。このモル比にしたがって、そして例のみとして、ゲストとしてジアセチル(分子量86ダルトン)、およびβ−シクロデキストリン(分子量1135ダルトン)を使用する態様において、最大理論的保持は、(86/(86+1135))x100=7.04wt%である。
【0062】
[0086]いくつかの態様において、シクロデキストリンは、溶液中で自己組み立てして、図2に例示するナノ構造20などのナノ構造を形成可能であり、これは2モルのシクロデキストリン分子に対して3モルのゲスト分子を取り込み可能である。例えば、ゲストとしてジアセチルを使用する態様において、10.21wt%のジアセチル保持が可能であり、そしてゲストとしてシトラールを使用する態様において、少なくとも10wt%のシトラールのwt%保持が可能である(例えば10〜14wt%保持)。図4は、ジアセチル分子3モルおよびシクロデキストリン分子2モルの間で形成可能なナノ構造の略図を示す。図6は、シトラール分子3モルおよびシクロデキストリン分子2モルの間で形成可能なナノ構造の略図を示す。ペクチンなどの他の複合体増進剤が自己組み立てプロセスを補助可能であり、そして乾燥の間中、ゲスト:シクロデキストリンの3:2のモル比を維持可能である。いくつかの態様において、シクロデキストリン分子のナノ構造内への自己組み立てのため、ゲスト:シクロデキストリンの5:3のモル比が可能である。
【0063】
[0087]シクロデキストリン封入複合体は、溶液中で形成される。乾燥プロセスは、シクロデキストリン空洞中にゲストの少なくとも一部を一時的にロックし、そしてシクロデキストリン封入複合体を含む、乾燥した自由流動粉末を産生可能である。
【0064】
[0088]シクロデキストリン空洞の疎水性(水不溶性)性質は、最も容易には、より水溶性(親水性)のゲストを犠牲にして、類似の(疎水性)ゲストを優先的に捕捉する。この現象は、典型的なスプレー乾燥と比較した際の構成要素の不均衡、および劣った全体の収量を生じうる。
【0065】
[0089]本発明のいくつかの態様において、親水性および疎水性効果の間の競合は、別個に被包すべき重要な成分を選択することによって回避される。例えば、バターフレーバーの場合、脂肪酸およびラクトンは、ジアセチルよりより容易にシクロデキストリン封入複合体を形成する。しかし、これらの化合物は、バターと関連する重要な特性影響化合物ではなく、そしてこれらはジアセチル、ならびに他の水溶性および揮発性成分の全体の収量を減少させるであろう。いくつかの態様において、バターフレーバー中の重要な成分(すなわちジアセチル)を最大化して、影響力が高く、より安定で、そしてより経済的な産物を生じる。さらなる例として、レモンフレーバーの場合、大部分のレモンフレーバー構成要素は、シクロデキストリン中に等しくよく被包されるであろう。しかし、テルペン(レモンフレーバーの構成要素)は、ほとんどフレーバーの価値を持たず、そしてそれでもレモンフレーバー混合物のおよそ90%を構成し、一方、シトラールがレモンフレーバーの重要なフレーバー成分である。いくつかの態様において、シトラールのみが被包される。重要な成分(例えばジアセチル、シトラールなど)を選択して別個に被包することによって、出発材料の複雑さが減少し、操作工程およびプロセスの経済性を最適化することが可能である。
【0066】
[0090]いくつかの態様において、シクロデキストリン封入複合体を形成するための封入プロセスは、モル過剰のゲストを添加することによって完了するよう駆動される。例えば、いくつかの態様において(例えば用いるゲストがジアセチルである場合)、3:1のモル比のゲスト:シクロデキストリンで、ゲストをシクロデキストリンと合わせてもよい。いくつかの態様において、複合体を形成する際にモル過剰のゲストを用いると、シクロデキストリン封入複合体の形成が駆動されるだけでなく、例えば揮発性ゲストを使用する態様において、プロセス中のゲストのいかなる喪失も補填可能である。
【0067】
[0091]いくつかの態様において、シクロデキストリンおよびゲスト分子を溶媒中で混合することによって形成される懸濁物、エマルジョンまたは混合物の粘性が制御され、そして固体含量の増加などの他の調整を伴わずに、一般的なスプレー乾燥技術との適合性が維持される。乳化剤(例えば増粘剤、ゲル化剤、多糖、ヒドロコロイド、キサンタンなどのゴム、およびポリグルクロン酸ならびにその誘導体)を添加して、シクロデキストリンおよびゲストの間の緊密な接触を維持し、そして封入プロセスを補助してもよい。特に、低分子量ヒドロコロイドが使用可能である。1つの好ましいヒドロコロイドはペクチン、特にビートペクチンである。乳化剤は、封入プロセスにおいて高熱または共溶媒(例えばエタノール、アセトン、イソプロパノールなど)の使用を必要とすることなく、可溶性が増加するよう補助しうる。
【0068】
[0092]いくつかの態様において、懸濁物、エマルジョンまたは混合物の含水量を減少させて、ゲストが疎水性化合物として振る舞うよう、本質的に強いる。このプロセスは、アセトアルデヒド、ジアセチル、ジメチルスルフィドなどの比較的親水性のゲストであってさえ、保持を増加させうる。含水量を減少させるとまた、スプレードライヤーを通じたスループットが最大化され、そして全収量を減少させる可能性もあるプロセス中で、揮発性ゲストが吹き飛ばされる機会を減少させることも可能である。
【0069】
[0093]本発明のいくつかの態様において、シクロデキストリン封入複合体を以下のプロセスによって形成してもよく、これには、以下の工程のいくつかまたはすべてが含まれてもよい:
[0094](1)シクロデキストリンおよび乳化剤(例えばペクチン)を乾式混合する;
[0095](2)シクロデキストリンおよび乳化剤の乾燥混合物を、反応装置中の水などの溶媒と合わせ、そして攪拌する;
[0096](3)ゲストを添加し、そして攪拌する(例えばおよそ5〜8時間);
[0097](4)反応装置を冷却する(例えばクーリングジャケットを作動させる);
[0098](5)混合物を攪拌する(例えばおよそ12〜36時間);
[0099](6)乳化する(例えばタンク内照明ミキサーまたは高剪断ドロップインミキサーで);および
[00100](7)シクロデキストリン封入複合体を乾燥させて粉末を形成する。
【0070】
[00101]これらの工程は、必ずしも、列挙する順序で行わなくてもよい。さらに、上記プロセスは、温度、混合時間、および他のプロセスパラメーターにおける変動を用いても実行可能であることから、非常に頑強であることが証明されている。
【0071】
[00102]いくつかの態様において、上記プロセス中の工程1は、反応装置中のタンク内ミキサーを用いて達成可能であり、これに、工程2において、熱水を添加する。例えば、いくつかの態様において、温度制御用のジャケットを備えた1000ガロン反応装置および直列高剪断ミキサーを用いて、上記プロセスを完了し、そして反応装置をスプレードライヤーに直接連結する。いくつかの態様において、シクロデキストリンおよび乳化剤を、別個の装置(例えばリボンブレンダーなど)中で乾式混合し、そして次いで反応装置に添加してもよく、この中で上記プロセスの残りを完了させる。
【0072】
[00103]シクロデキストリンに対する乳化剤の多様な重量パーセントが使用可能であり、これには限定なしに、少なくとも約0.5%、特に少なくとも約1%、そしてより詳細には少なくとも約2%の乳化剤:シクロデキストリン重量パーセントが含まれる。さらに、約10%未満、特に約6%未満、そしてより詳細には約4%未満の乳化剤:シクロデキストリン重量パーセントが使用可能である。
【0073】
[00104]上記プロセス中の工程2は、加熱、冷却、または両方のためにジャケットを装着されている反応装置中で達成可能である。いくつかの態様において、混合および攪拌を室温で行ってもよい。いくつかの態様において、混合および攪拌を室温より高い温度で行ってもよい。反応装置サイズは、産生サイズに依存しうる。例えば、100ガロンの反応装置を用いてもよい。反応装置には、パドル攪拌装置およびコンデンサー装置が含まれてもよい。いくつかの態様において、工程1は反応装置中で完了し、そして工程2において、熱い脱イオン水を、同じ反応装置中のシクロデキストリンおよびペクチンの乾燥混合物に添加する。
【0074】
[00105]工程3は密封反応装置中で達成可能であるし、またはゲストが添加される間、反応装置を一時的に環境に曝露してもよいし、そしてゲストの添加後に反応装置を再密封してもよい。ゲストを添加する際に、そして工程3の攪拌中に、熱を加えてもよい。例えば、いくつかの態様において、混合物を約55〜60℃に加熱する。
【0075】
[00106]クーリングジャケットを含むクーラント系を用いて、工程4を達成してもよい。例えば、反応装置をプロピレングリコール・クーラントおよびクーリングジャケットで冷却してもよい。
【0076】
[00107]工程2中の攪拌、工程3中の攪拌、および工程5中の攪拌は、振盪、攪拌、転回、およびその組み合わせの少なくとも1つによって達成可能である。
[00108]工程6において、高剪断ミキサー(例えばROSSブランド・ミキサー(例えば10,000RPMで90秒間)、またはSILVERSTONブランド・ミキサー(例えば10,000RPMで5分間))、照明ミキサー、または単純混合後、スプレードライヤーの一部であるホモジナイズポンプへの移動、およびその組み合わせの少なくとも1つを用いて、シクロデキストリン、乳化剤、水およびゲストの混合物を乳化してもよい。
【0077】
[00109]上述のプロセス中の工程7は、空気乾燥、真空乾燥、スプレー乾燥(例えばノズルスプレードライヤー、回転ディスクスプレードライヤーなど)、オーブン乾燥、およびその組み合わせの少なくとも1つによって達成可能である。
【0078】
[00110]いくつかの態様において、複合体化プロセスは、ペースト法を利用してもよく、そして混合物を上述のように乾燥させてもよい。他の態様において、スプレー乾燥のため、混合物を適切に希釈してもよい。シクロデキストリン封入複合体を含む液体またはエマルジョン型の形成を含む、シクロデキストリン封入複合体の製造可能性および安定性を改善するための異なる方法が、同時継続出願PCT/US2006/012529およびPCT/US2006/012528の主題であり、該出願のすべての内容が本明細書に援用される。
【0079】
[00111]上述のように、ゲスト分子の被包は、オフノート形成を引き起こすであろう他の構成要素との相互作用および反応からのゲスト分子の隔離;ならびに分解(例えば加水分解、酸化など)に対するゲスト分子の安定化を提供可能である。分解に対するゲストの安定化は、被包されたゲストを含む、生じた商業的生産物の所望の効果または機能(例えばテースト、匂いなど)を改善するかまたは増進させることも可能である。
【0080】
[00112]多くのゲストが分解され、そして主なまたは所望の効果または機能を損ないうるオフノートを生成しうる。例えば、多くのフレーバーまたは嗅覚因子が分解され、そして商業的生産物の所望のフレーバーまたは匂いを損ないうるオフノートフレーバーまたは匂いを生成しうる。ゲストはまた、光酸化によっても分解されうる。例えば、図7は、シトラールの分解機構を示す。ゲストの分解速度(すなわちオフノート(単数または複数)の形成速度)は、一般的に、以下の一般的な動力学速度公式によって支配される:
【0081】
【化1】

【0082】
式中、[ゲスト]は、溶液中のゲストのモル濃度を指し、[RC]はゲストと反応しそして分解するのに関与する、溶液中の反応性化合物(例えば酸)のモル濃度を指し、そして[オフノート]は、形成されるオフノートのモル濃度を指す。指数x、yおよびzは、関心対照のゲスト、および溶液中に存在する、対応する反応性化合物(単数または複数)の間に起こり、オフノートを産生する反応に依存する、力学的次数を示す。したがって、ゲストの分解速度は、反応の力学的次数によって決定された指数に累乗された、ゲストおよび任意の反応性化合物のモル濃度の積に比例する。
【0083】
[00113]例えば、以下の等式は、任意の所定の温度および濃度で、オフノートを形成する酸性溶液中のシトラールの分解を示す:
【0084】
【化2】

【0085】
[00115]式中、図7に示すシトラールの分解機構に基づいて、
【0086】
【化3】

【0087】
[00116]この方式で、上述のゲストのいずれかを保護し、そして安定化させてもよい。例えば、シクロデキストリンを用いて、多様なゲスト分子を保護しそして/または安定化させて、産物の所望の効果または機能を増進させてもよく、ゲストには、限定されるわけではないが、以下のゲスト分子が含まれる:シトラール、ベンズアルデヒド、アルファ・テルピネオール、バニリン、アスパルテーム、ネオテーム、アセトアルデヒド、クレアチン、およびその組み合わせ。この現象の例を実施例21に記載し、そして表2および図12〜15に示す。具体的には、この現象は、すべて添加されたシトラールを含む試料1BH3、1BH4、および1BH5;ならびにすべて水溶性ローズマリー(WSR)を含む試料3FH3、3FH4および3FH5を、BCD試料と比較することによって立証された。メンタ1,5−ジエン−8−オールは、1BHおよび3FH試料においてp−シメン−8−オールに変換され、そして例えばメンタ1,5−ジエン−8−オールの濃度は減少し、そしてp−シメン−8−オールの濃度は増加することが観察された。しかしこれらの反応または変化は、保護されたBCD試料では起こらなかった。
【0088】
[00117]「ゲスト安定化系」は、関心対象のゲスト(単数または複数)を安定化させ、そしてゲストを分解から保護する任意の系を指してもよい。本発明には、ゲスト安定化系のいくつかの態様が含まれ、また、以下により詳細に記載されるであろう。
【0089】
[00118]ゲストの保護および/または安定化は、過剰なシクロデキストリン(例えば複合体化されていないシクロデキストリン)をシクロデキストリン封入複合体の最終粉末産物に提供することによって達成可能である。言い換えると、複合体化されていないシクロデキストリンと上述のプロセスの工程7で形成された乾燥粉末を乾式混合すると、多様な適用または商業的生産物において使用可能な、所望の量のゲストおよびシクロデキストリン(すなわち過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含む)を含む、乾燥自由流動粉末(本明細書において、「ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物」と称される)が生じうる。ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物中のゲスト−シクロデキストリン複合体の比率は、ゲストの強度(例えばゲストがフレーバーである場合、フレーバー値)、および最終産物における所望の効果に応じる。ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物中の過剰な複合体化されていないシクロデキストリンは、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物が、関心対象の産物に添加されるかまたは該産物中で用いられた場合、ゲストを保護しそして/または安定化するよう作用する(光酸化からを含む)。例えば、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を含むフレーバー粉末は、飲料適用において、フレーバーの分解速度を減少させる一方、その飲料に適切なフレーバープロフィールを提供するのに有効でありうる。
【0090】
[00119]ゲストの保護および/または安定化のために、多様な系を使用して、過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを添加してもよい。いくつかの態様において、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を乾燥粉末として、最終産物に添加する(例えば、産物に対して約0.05wt%〜約0.50wt%の範囲のゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物対産物の重量パーセント、特に、約0.15wt%〜約0.30wt%、そしてより詳細には、約0.2wt%)。
【0091】
[00120]いくつかの態様において、粉末の可溶性が許容するならば、ゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を液体産物、エマルジョンまたはエマルジョン適合性産物(例えばフレーバーエマルジョン)に添加し、これを次いで最終産物に添加して(例えば、産物に対して約0.05wt%〜約0.50wt%、特に、約0.15wt%〜約0.30wt%の範囲、そしてより詳細には、約0.2wt%のゲスト−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物重量パーセント)、ゲストの重量パーセントが最終産物において所望のフレーバーレベルを達成するようにする。いくつかの態様において、過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを、工程6で形成したシクロデキストリン封入複合体を含む組成物に添加し、それによって工程7(乾燥工程)をスキップして、そして上に列挙する重量パーセント範囲で最終産物に添加可能な、安定なエマルジョンまたはエマルジョン適合産物を形成してもよい。エマルジョン適合産物を別の最終産物(例えば飲料、サラダドレッシング、デザート、および/または調味料等)に添加してもよい。いくつかの態様において、エマルジョン適合産物をシロップまたはコーティング混合物の形で提供しても、あるいはシロップまたはコーティング混合物に添加してもよく、これを安定なコーティングとして支持体上にスプレーしてもよい(例えばシリアル、デザート、調味料、栄養補助バー、および/またはプレッツェル、チップスなどのスナック食品上にスプレーされたフレーバーエマルジョン)。
【0092】
[00121]液体型中にシクロデキストリン封入複合体を提供すると、そうする必要があるわけではないが、いくつかの利点を有しうる。第一に、液体型は、飲料に液体濃縮物の形でフレーバー組成物を添加するのに慣れている飲料顧客にとって、よりなじみ深くそして利用しやすい可能性もある。第二に、液体型は、上に列挙するものを含む乾燥食品産物上に容易にスプレーして、フレーバー組成物を含む均一分布および安定コーティングを達成可能である。現存するスプレーオン適用とは異なり、シクロデキストリン封入複合体を含むスプレーオンフレーバー組成物は、乾燥支持体上にフレーバー組成物を維持するために、典型的な揮発性溶媒またはさらなるコーティングまたは保護層を必要としない。第三に、シクロデキストリンは、吸湿性でないため、こうした食品生産物の保存寿命を延長させることが可能であり、そしてしたがってベースとなる食品生産物または飲料の腐敗、気が抜けた状態(flatness)、または新鮮さの減少を導かないであろう。第四に、乾燥プロセスは、高価である可能性もあり、そしていくつかのゲスト(例えば遊離ゲストまたはシクロデキストリン封入複合体中に存在するゲスト)は乾燥中に失われる可能性もあり、このことから、乾燥工程を最適化し、そして経済的に実行することが困難になりうる。これらの理由および本明細書に具体的に言及していない他の理由のため、いくつかの態様において、液体型でシクロデキストリン封入複合体を提供することが有益でありうる。シクロデキストリン封入複合体のエマルジョン型を最終産物(例えば飲料または食品生産物)に添加して、最終産物に適切なゲストプロフィール(例えばフレーバープロフィール)を与え、一方、最終産物中のシクロデキストリンが、その所定の産物に関する法的限界内であることを確実にしてもよい(例えば同じ産物の0.2wt%以下であるか、またはいくつかの産物の2wt%以下である)。
【0093】
[00122]シクロデキストリンでのゲストの被包、ならびに遊離(または複合体化されていない)ゲスト分子およびシクロデキストリン分子の間に確立された平衡があるため、複合体化されていない過剰なシクロデキストリンを系に添加すると、平衡がゲストの被包へと強いられうる。上述のように、系中の遊離ゲストの量が減少すると、ゲストの分解速度およびオフノートの形成速度が減少する。さらに、特に飲料または他の液体適用において、ゲストは、熱力学的にそして/または動力学的に、被包されないよりも、シクロデキストリン中に被包されることを好む可能性もある。この現象は、過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを添加することによって誇張されうる。あるとすれば少量の形成されるオフノート分子は、シクロデキストリン中に被包されて、そして最終産物から本質的に「マスキング」されることもまた可能である。言い換えると、いくつかの態様において、オフノートが化学的に構成されるため、オフノートは、シクロデキストリンに非常に安定して結合可能であり、このことから、形成されうるいかなるオフノートの影響もマスキングするように導かれうる。したがって、いくつかの態様において、過剰な複合体化されていないシクロデキストリンは、産物の所望の効果または機能に干渉しうる、系中の他の水混和性構成要素をマスキングするかまたは単離する、スカベンジャーとして作用しうる。
【0094】
[00123]図7Aは、ゲスト−シクロデキストリン−溶媒系を示す、三相モデルを例示する。図7Aで用いるゲストはシトラールであり、そして用いる溶媒は水であるが、シトラールおよび水は、例示のみの目的のために図7A中に示されることを理解しなければならない。しかし、一般の当業者は、図7Aに示す三相モデルを用いて、非常に多様なゲストおよび溶媒を示すことも可能であることを理解するであろう。図7に例示するものに類似の三相モデルに関するさらなる情報は、本明細書に援用される、Lantzら, “Use of the three−phase model and headspace analysis for the facile determination of all partition/association constants for highly volatile solute−cyclodextrin−water systems,” Anal Bioanal Chem(2005)383:160−166に見出されうる。
【0095】
[00124]この三相モデルを用いて、(1)シクロデキストリン封入複合体形成中、(2)シクロデキストリン封入複合体の飲料適用中、および/または(3)フレーバーエマルジョン中で生じる現象を説明することも可能である。フレーバーエマルジョンには、例えば、乾燥前に、または乾燥を伴わずに上述のプロセス中の工程5または6で形成されるスラリー、あるいは溶媒中で、シクロデキストリン封入複合体を含む乾燥粉末を再懸濁することによって形成されるスラリーが含まれてもよい。上述のようにこうしたフレーバーエマルジョンを飲料適用に(例えば濃縮物として)添加してもよいし、または支持体上にスプレーしてもよい。
【0096】
[00125]図7Aに示すように、ゲストが存在可能な3つの相があり、すなわち気相、水相、およびシクロデキストリン相(ときに「偽相(pseudophase)」とも称される)である。3つの平衡、およびその関連平衡定数(すなわちK、KP1およびKP2)は、これらの三相中のゲストの存在を記載するのに用いられる:
【0097】
【化4】

【0098】
[00130]式中、「S」は下付き文字に示す、系の対応する相における系の溶質(すなわちゲスト)を示し、「g」は気相を示し、「aq」は水相を示し、「CD」はシクロデキストリン相を示し、「Cs」は対応する相(すなわちaqまたはCD、上付き文字中に示す)中の溶質濃度を示し、そして「Ps」は気相中の溶質の部分圧を示す。
【0099】
[00131]図7A中に示す三相系中にあるゲストのすべてを計上するため、ゲストの総モル数(n)は、以下の等式で示されうることになる:
【0100】
【化5】

【0101】
[00133]定常状態の産物(例えば飲料またはフレーバーエマルジョン)中のゲストのいかなる喪失も計上するため、感覚に利用可能なゲストの総モル数(n;例えば、飲料またはフレーバーエマルジョン中の味に関する)は以下の等式によって示されうる:
【0102】
【化6】

【0103】
[00135]式中、f(P)は、例えば、フレーバーエマルジョンの飲料が含有されるバリアまたは容器(例えばポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレート(PET)で形成されるプラスチックビン)を通じた、ゲストのいかなる移動(または喪失)も示す、分配関数である。
【0104】
[00136]大きな正のlog(P)値を有するゲストに関しては、シクロデキストリン中のゲストの被包が熱力学的に好ましいであろう(すなわちKP1およびKP2は1より大きいであろう)し、そして以下の関係が生じるであろう:
【0105】
【化7】

【0106】
[00138]したがって、系に存在するゲストの大部分は、シクロデキストリン封入複合体の形であろう。水相および気相中の遊離ゲストの量が最小限であるだけでなく、バリアまたは容器を通じたゲストの移動もまた最小限であろう。したがって、感覚に利用可能なゲストの大部分は、シクロデキストリン相中に存在し、そして感覚に利用可能なゲストの総モル数(n)は、以下のように近似可能である:
【0107】
【化8】

【0108】
[00140]ゲストおよびシクロデキストリン間の溶液中のシクロデキストリン封入複合体の形成は、以下の等式によって、より完全に示されうる:
【0109】
【化9】

【0110】
[00142]実験的に、本発明を支持するデータは、ゲストのlog(P)値がシクロデキストリン封入複合体の形成および安定性における要因でありうることを示してきた。すなわち、実験的データは、上の等式9に示す平衡が、溶液中の被包プロセスに付随する純エネルギー喪失によって右に駆動され、そして平衡は、関心対象のゲストのlog(P)値によって少なくとも部分的に予測可能であることを示してきた。ゲストのlog(P)値は、高い含水量または水性環境を伴う最終産物における要因でありうることが見出されてきた。例えば、比較的大きい正のlog(P)値を持つゲストは、典型的には最も水溶性でなく、そして最終産物から移動しそして分離されることも可能であり、そしてパッケージ内の環境において、変化を受けやすい可能性もある。しかし、シクロデキストリンを最終産物に添加することによって、比較的大きいlog(P)値は、こうしたゲストが有効に捕捉され、そして保護されることを可能にしうる。言い換えると、いくつかの態様において、伝統的に安定化が最も困難であったゲストは、本発明の方法を用いると容易に安定化可能である。
【0111】
[00143]ゲストのlog(P)値の効果を計上するため、系におけるゲストの安定性を示す平衡定数(KP2’)は、以下の等式によって示されうる:
【0112】
【化10】

【0113】
[00145]式中、log(P)は系における関心対象のゲスト(S)のlog(P)値である。等式10は、ゲストのlog(P)を考慮したモデルを確立する。等式10は、比較的大きい正のlog(P)値を有するゲストを含むシクロデキストリン封入複合体をまず形成することから、どのようにして熱力学的に安定な系が生じうるかを示す。例えば、いくつかの態様において、安定な系(すなわちゲストを安定化する系)は、正のlog(P)値を有するゲストを用いて形成可能である。いくつかの態様において、少なくとも約+1のlog(P)値を有するゲストを用いて、安定な系を形成可能である。いくつかの態様において、少なくとも約+2のlog(P)値を有するゲストを用いて、安定な系を形成可能である。いくつかの態様において、少なくとも約+3のlog(P)値を有するゲストを用いて、安定な系を形成可能である。さらに、正のlog(P)値を有するゲストを用いるだけでなく、さらなる複合体化されていないシクロデキストリンをこのシクロデキストリン封入複合体に添加して、上記等式9に示す平衡の右側をさらに支持し、そして遊離のまたは複合体化されていないゲストに対する複合体化されたゲストの比を増加させて、ゲストを分解からさらに安定化することによって、熱力学的に安定な系が、どのように生じうるかがわかる。
【0114】
[00146]log(P)値は、優れた実験的指標でありうるし、そしていくつかの参考文献から入手可能であるが、別の重要な基準は、特定のゲストに関する結合定数である(すなわち、複合体が形成されたならば、ゲストがシクロデキストリン空洞にいかに強く結合しているか)。不運なことに、ゲストに関する結合定数は、実験的に決定される。例えば、リモネンおよびシトラールの場合、シトラールは、log(P)値が類似であったとしても、はるかにより強い複合体を形成可能である。その結果、高いリモネン濃度の存在下であってさえ、シトラールは結合定数がより高いため、消費されるまで優先的に保護される。これは予期されぬ利点であり、そして現在の科学的文献からは直接予測されない。
【0115】
[00147]本発明のいくつかの態様において、等式10によって支持されるように、複合体化されない型で、ゲストを産物、系または適用(例えば飲料)に添加し、そして複合体化されていないシクロデキストリンを同じ産物、系または適用に添加する。等式10によって示唆されるように、こうした系におけるゲストの安定性(および分解からのゲストの保護)は、ゲストのlog(P)値に少なくとも部分的に依存するであろう。例えば、ゲストを系に添加して、系におけるゲストの所望の濃度を得てもよいし、そして複合体化されていないシクロデキストリンを系に添加して、ゲストを安定化させ、そして分解からゲストを保護してもよい。いくつかの態様において、系におけるゲスト濃度は、少なくとも約1ppm、特に少なくとも約5ppm、そしてより詳細には少なくとも約10ppmである。いくつかの態様において、系におけるゲスト濃度は、約200ppm未満、特に約150ppm未満、そしてより詳細には約100ppm未満である。いくつかの態様において、柑橘構成要素の総濃度は、例えば、1000ppmを超えてもよい(例えばリモネンが存在する場合)。しかし、これは、本発明の安定化/保護スキームに対する障害であるとは証明されていない。
【0116】
[00148]いくつかの態様において、1:1より大きいシクロデキストリン:ゲストのモル比で、シクロデキストリンを系に添加する。等式10に示すように、シクロデキストリンによる、系におけるゲストの安定化は、ゲストのlog(P)値によって予測可能である。いくつかの態様において、選択したゲストは、正のlog(P)値を有する。いくつかの態様において、ゲストは、約+1より大きいlog(P)値を有する。いくつかの態様において、ゲストは、約+2より大きいlog(P)値を有する。いくつかの態様において、ゲストは、約+3より大きいlog(P)値を有する。
【0117】
[00149]産物、系または適用に、遊離の/複合体化されていないゲスト、またはシクロデキストリンに被包されたゲストのいずれが含まれていても、ゲストを添加して、最終産物、系または適用において、ゲストの所望の濃度を達成してもよく、そして複合体化されていないシクロデキストリンを産物、系または適用に添加して、シクロデキストリンの総重量パーセントを法的限界内に維持することも可能である。例えば、いくつかの態様において、系に対するシクロデキストリンの重量パーセントは、約0.05wt%〜約0.50wt%、特に、約0.15wt%〜約0.30wt%の範囲、そしてより詳細には、約0.2wt%である。いくつかの態様において、複合体化されていないシクロデキストリンをゲストと合わせて、そして次いで系に添加する。いくつかの態様において、複合体化されていないシクロデキストリンをゲストとは別個に系に直接添加する。実施例20は、シトラールを含む溶液に添加された複合体化されていないα−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリンの安定化効果を例示する。実施例20に説明するように、シトラールが分解から保護され、そしてオフノート形成が阻害される。等式10は、シトラールの安定化効果が、シトラールの比較的大きいlog(P)値(すなわち3.45)に部分的による可能性もあることを示唆する。
【0118】
[00150]ゲストのlog(P)を考慮に入れることによって、シクロデキストリンを含む系において、ゲストの安定性を予測することが可能である。溶液中の複合体化の熱力学を利用することによって、ゲストにとって保護性でそして安定な環境を形成することも可能であり、そしてこれは、過剰な複合体化されていないシクロデキストリンの添加によってさらに駆動されうる。シクロデキストリンからのゲストの放出特性は、ゲストの空気/水分配係数であるKによって支配される可能性もある。シクロデキストリン封入複合体を含む系が、口などの非平衡状況に置かれている場合、Kは、log(P)と比較して大きい可能性もある。一般の当業者は、1より多いゲストが系に存在していてもよく、そして系の各ゲストに対して、類似の等式および関係を適用可能であることを理解するであろう。
【0119】
[00151]ゲストがフレーバーであり、そして商業的生産物が飲料(または他の液体)である態様において、シクロデキストリンは、液体生産物において、フレーバーを分解から保護可能であるが、液体が口の味蕾に接触することを可能にされた際に、被包からフレーバーを放出可能である。したがって、産物の所望のフレーバーまたはエッセンスを維持可能であり、そして適切なフレーバーまたはエッセンスプロフィールを送達し、一方、そのフレーバーまたはエッセンスが分解するのを防止し、そして一方、飲料にシクロデキストリンの法的に許容されうる量を供給することも可能である。この現象は、実施例21〜22にさらに記載され、そして表2および3ならびに図7〜10にさらに例示される。
【0120】
[00152]β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンのいずれかによって安定化された飲料の直接比較は、驚くべき、そして予期されぬ結果を生じた。ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは、優れた色安定性(実施例40に示すようなもの)を生じうる;水溶性がはるかに高いため、どちらの様式の保護も増進していると考えられたが、フレーバーオフノートを防止するには、β−シクロデキストリンより有効ではなかった。したがって、β空洞サイズ、ならびにすべて25℃で測定したα−シクロデキストリン(14.5g/100ml)およびγ−シクロデキストリン(23.2g/100ml)と比較した際のβ−シクロデキストリンの予期されぬ低い水溶性(1.85g/100ml)は、ナノエマルジョン発展および安定化効果が観察されるのに必要な熱力学環境を提供するようである。β−シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの混合物を用いて、色安定性を獲得し、そしてかつオフノートを防止してもよい。適切には、β−シクロデキストリンは、最終産物中で約0.01wt%〜約0.1wt%で存在し、一方、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは、最終産物中、約0.05wt%〜約0.3wt%で存在する。適切には、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリンは、約2:1〜約1:30の比で存在する。
【0121】
[00153]本発明の多様な特徴および側面が以下の実施例に示され、該実施例は、例示を意図され、そして限定を意図されない。すべての実施例は、別に記載しない限り、大気圧で実行された。
【実施例】
【0122】
実施例1:β−シクロデキストリンおよびジアセチル、乳化剤としてのペクチンを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00154]大気圧で、100ガロン反応装置中、49895.1600g(110.02lb)のβ−シクロデキストリンを、997.9g(2.20lb)のビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合して、乾燥混合物を形成した。100ガロンの反応装置には、加熱および冷却のためジャケットが取り付けられ、パドル攪拌装置が含まれ、そしてコンデンサー装置が含まれた。反応装置に、およそ40°F(4.5℃)で、プロピレングリコール・クーラントを供給した。プロピレングリコール・クーラント系を最初に停止させ、そしてジャケットはいくぶん、反応装置の絶縁体として作用する。124737.9g(275.05lb)の熱い脱イオン水をβ−シクロデキストリンおよびペクチンの乾燥混合物に添加した。水は、およそ118°F(48℃)の温度を有した。反応装置のパドル攪拌装置を用いて、混合物をおよそ30分間攪拌した。次いで、反応装置を一時的に開放し、そして11226.4110g(24.75lb)のジアセチルを添加した(本明細書において以後、実施例中の「ジアセチル」は、Aldrich Chemical、ウィスコンシン州ミルウォーキーから購入したジアセチルを指す)。反応装置を再密封し、そして生じた混合物に熱を加えずに、これを8時間攪拌した。次いで、反応装置ジャケットをプロピレングリコール・クーラント系に連結した。クーラントを作動させて、およそ40°F(4.5℃)にし、そして混合物をおよそ36時間攪拌した。次いで、スプレー乾燥操作で典型的に用いられるものなどの高剪断タンク混合装置を用いて、混合物を乳化した。次いで、およそ410°F(210℃)の注入口温度およびおよそ221°F(105℃)の排出口温度を有するノズルドライヤー上で、混合物をスプレー乾燥した。シクロデキストリン封入複合体中で、ジアセチルの12.59wt%の保持パーセントを達成した。水分含量は、4.0%と測定された。シクロデキストリン封入複合体には、0.3%未満の表面ジアセチルが含まれ、そしてシクロデキストリン封入複合体の粒子サイズは、80メッシュのスクリーンを99.7%通過すると測定された。当業者は、加熱および冷却が、他の手段によって制御可能であることを理解するであろう。例えば、室温スラリーにジアセチルを添加してもよく、そして自動的に加熱および冷却してもよい。
【0123】
実施例2:α−シクロデキストリンおよびジアセチル、乳化剤としてのペクチンを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00155]実施例1のβ−シクロデキストリンをα−デキストリンと置き換えて、そして1wt%ペクチン(すなわち1wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合した。混合物をプロセシングし、そして実施例1に示す方法によって乾燥させた。シクロデキストリン封入複合体中のジアセチルの保持パーセントは11.4wt%であった。
【0124】
実施例3:β−シクロデキストリンおよびオレンジエッセンス、乳化剤としてのペクチンを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00156]ジュース製造由来の水性廃棄物流であるオレンジエッセンスを、実施例1に示すプロセスにしたがって形成されたβ−シクロデキストリンおよび2wt%ペクチンの乾燥混合物に、水相として添加した。さらなる水を添加せず、固体含量はおよそ28%であった。実施例1に示す方法によって、シクロデキストリン封入複合体を形成した。乾燥封入複合体は、およそ3〜4wt%のアセトアルデヒド、およそ5〜7wt%の酪酸エチル、およそ2〜3wt%のリナロールおよび他の柑橘増進ノートを含有した。生じたシクロデキストリン封入複合体は、飲料にトップノートを与える(top−noting)際に有用でありうる。
【0125】
実施例4:β−シクロデキストリンおよびアセチルプロピオニル、乳化剤としてのペクチンを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00157]実施例1に示す方法にしたがって、モル過剰のアセチルプロピオニルをβ−シクロデキストリンおよび水中の2wt%ペクチンの乾燥混合物に添加した。シクロデキストリン封入複合体中のアセチルプロピオニルの保持パーセントは、9.27wt%であった。該混合物は、ジアセチル不含バター系にトップノートを与える際に有用でありうる。
【0126】
実施例5:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00158]635gの水、403.75gのマルトデキストリン、および21.25gのビートペクチン(Degussa−Franceより入手可能、製品番号XPQ EMP 5)を含む水相に、オレンジオイル(すなわちOrange Bresil;75g)を添加した。穏やかに攪拌しながらオレンジオイルを水相に添加し、その後、10,000RPMで強く攪拌して混合物を形成した。次いで、混合物を250バールでホモジナイザーに通過させて、エマルジョンを形成した。およそ180℃の注入口温度およびおよそ90℃の排出口温度を有するNIROブランド・スプレードライヤーを用いて、エマルジョンを乾燥させて、乾燥産物を形成した。次いで、乾燥産物100g中の油量(g)を出発混合物中の油含量によって割ったものとして、フレーバー保持パーセントを定量化した。オレンジオイルの保持パーセントはおよそ91.5%であった。
【0127】
実施例6:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00159]オレンジオイル(75g)を、635gの水、297.50gのマルトデキストリン、および127.50gのアラビアゴム(Colloids Naturels Internationalより入手可能)を含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ91.5%であった。
【0128】
実施例7:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00160]オレンジオイル(75g)を、635gの水、297.50gのマルトデキストリン、123.25gのアラビアゴム(Colloids Naturels Internationalより入手可能)、および4.25gの脱重合柑橘ペクチンを含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ96.9%であった。
【0129】
実施例8:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00161]オレンジオイル(75g)を、635gの水、297.50gのマルトデキストリン、123.25gのアラビアゴム(Colloids Naturels Internationalより入手可能)、および4.25gのビートペクチン(Degussa−Franceより入手可能、製品番号XPQ EMP 5)を含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ99.0%であった。
【0130】
実施例9:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00162]オレンジオイル(75g)を、635gの水、403.75gのマルトデキストリン、および21.25gの脱重合柑橘ペクチンを含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ90.0%であった。
【0131】
実施例10:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00163]オレンジオイル(75g)を、635gの水、340.00gのマルトデキストリン、および85.00gのアラビアゴム(Colloids Naturels Internationalより入手可能)を含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ91.0%であった。
【0132】
実施例11:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00164]オレンジオイル(75g)を、635gの水および425.00gのマルトデキストリンを含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ61.0%であった。
【0133】
実施例12:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00165]オレンジオイル(75g)を、635gの水、420.75gのマルトデキストリン、および4.25gのペクチンを含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ61.9%であった。
【0134】
実施例13:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00166]オレンジオイル(75g)を、635gの水、403.75gのマルトデキストリン、および21.50gのペクチンを含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ71.5%であった。
【0135】
実施例14:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00167]オレンジオイル(75g)を、635gの水、420.75gのマルトデキストリン、および4.75gの脱重合柑橘ペクチンを含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ72.5%であった。
【0136】
実施例15:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00168]オレンジオイル(75g)を、635gの水、420.75gのマルトデキストリン、および4.75gのビートペクチン(Degussa−Franceより入手可能、製品番号XPQ EMP 5)を含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ78.0%であった。
【0137】
実施例16:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00169]オレンジオイル(75g)を、635gの水、414.40gのマルトデキストリン、および10.60gの脱重合柑橘ペクチンを含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ85.0%であった。
【0138】
実施例17:オレンジオイルフレーバー産物および該産物を形成するためのプロセス
[00170]オレンジオイル(75g)を、635gの水、414.40gのマルトデキストリン、および10.60gのビートペクチン(Degussa−Franceより入手可能、製品番号XPQ EMP 5)を含む水相に添加した。オレンジオイルを水相に添加し、そして実施例5に示す方法にしたがって乾燥させた。フレーバー保持パーセントはおよそ87.0%であった。
【0139】
実施例18:β−シクロデキストリンおよびシトラール、乳化剤としてのペクチンを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00171]大気圧で、1L反応装置中、200gのβ−シクロデキストリンを、4.0gのビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合して、乾燥混合物を形成した。500gの脱イオン水をβ−シクロデキストリンおよびペクチンの乾燥混合物に添加して、スラリーまたは混合物を形成した。実験室規模の水槽加熱および冷却装置を介した加熱および冷却用に1L反応装置を設定した。混合物を55〜60℃に5時間加熱し、そして攪拌することによって攪拌した。27gのシトラール(Citrus & Alliedより入手可能な天然シトラール、SAP番号921565、ロット番号10000223137)を添加した。反応装置を密封し、そして生じた混合物を約55〜60℃で5時間攪拌した。次いで、加熱および冷却実験室装置の冷却部分を作動させ、そして混合物を約5〜10℃で一晩攪拌した。次いで、およそ210℃の注入口温度およびおよそ105℃の排出口温度を有するBUCHI B−191実験室スプレードライヤー(Buchi、スイスより入手可能)上で混合物をスプレー乾燥した。シクロデキストリン封入複合体中の11.5wt%のシトラールの保持パーセントを達成した。生じた乾燥粉末には、0.08wt%表面オイル(遊離シトラール)が含まれた。
【0140】
実施例19A:シクロデキストリン被包シトラールおよび過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含むフレーバー組成物
[00172]実施例18に示す方法にしたがって、被包シトラールを産生した。シクロデキストリン被包シトラールを含む、生じた乾燥粉末を、さらなるβ−シクロデキストリンと乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中の約1.0wt%の実施例18の複合体または約0.1wt%のシトラールのwt%を達成した(「シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物」)。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、飲料の総重量に対して約0.2wt%の乾燥粉末混合物(すなわちβ−シクロデキストリン被包シトラールに加えて、さらなるβ−シクロデキストリン)のwt%で、酸性飲料に添加した。これは、酸性飲料に、10〜15ppmのシトラールおよび約0.2wt%のβ−シクロデキストリンを提供した。
【0141】
実施例19B:シクロデキストリン被包シトラールおよび過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含むフレーバー組成物
[00173]実施例18に示す方法にしたがって、被包シトラールを産生する。シクロデキストリン被包シトラールを含む、生じた乾燥粉末を、さらなるβ−シクロデキストリンと乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中の約0.1wt%のシトラールのwt%を達成する(「シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物」)。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、トップノートとして飲料に添加する。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、飲料の総重量に対して約0.2wt%の乾燥粉末混合物(すなわちβ−シクロデキストリン被包シトラールに加えて、さらなるβ−シクロデキストリン)のwt%で添加する。
【0142】
[00174]0.2wt%の活性シトラールを達成するため、さらなる過剰なβ−シクロデキストリンを含む、実施例18に示す被包シトラールのさらなる希釈/乾燥ブレンド。この付加された希釈は、同一レベルのシトラールを提供しながら、飲料中の0.1%β−シクロデキストリンの効果を研究するのに必要である。
【0143】
実施例19C:シクロデキストリン被包シトラールおよび過剰な複合体化されていないヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンを含むフレーバー組成物
[00175]実施例18に示す方法にしたがって、被包シトラールを産生する。シクロデキストリン被包シトラールを含む、生じた乾燥粉末を、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(Aldrich Chemical、ウィスコンシン州ミルウォーキー)と乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中の約0.1wt%のシトラールのwt%を達成した(「シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物」)。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、飲料の総重量に対して約0.2wt%の乾燥粉末混合物(すなわちβ−シクロデキストリン被包シトラールに加えて、さらなるヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン)のwt%で、酸性飲料に添加した。これは、10〜15ppmのシトラールおよび約0.2wt%のヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンを提供した。
【0144】
[00176]0.2wt%の活性シトラールを達成するため、さらなる過剰なヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンを含む、実施例18に示す被包シトラールのさらなる希釈/乾燥ブレンド。この付加された希釈は、同一レベルのシトラールを提供しながら、飲料中の0.1%ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンの効果を研究するのに必要である。
【0145】
実施例20:シクロデキストリンでのシトラールの安定化
[00177]シトラール(Citrus & Alliedより入手可能な天然シトラール、SAP番号921565、ロット番号10000223137)をエタノール中でカットして、そしてクエン酸中で希釈して、所望のフレーバーレベルを得た(例えば2Lの0.6%クエン酸あたり3mL(EtOH中、1%シトラール);表2に「対照」または「新鮮に作製した対照」と示す)。次いで、0.1wt%および0.2wt%のα−シクロデキストリンまたはβ−シクロデキストリンを対照に添加し、そして40°Fまたは90°Fで18時間、36時間、または48時間維持して、多様な保存寿命をシミュレーションした。多様な型のシトラールまたは特性に影響を及ぼす柑橘フレーバー化合物(すなわちネラール、ゲラニアール、ならびにネラールおよびゲラニアールの総計である総シトラール)、ならびに一般的な柑橘フレーバー・オフノート化学物質(例えばカルベオール、p−シメンまたはp−シメン−8−オール、p,a−ジメチルスチレン、メンタ−1,5−ジエン−8−オール1、およびメンタ−a,5−ジエン−8−オール2)およびクロロシクロヘキサン内部標準(表2中で、「CCH内部標準」と示される)を含む多様な他の化合物の生面積カウントを、表2に示すように、実験の各順列に関して測定した。本明細書において、用語「生面積カウント」は、ガスクロマトグラフィー−質量分析、すなわちPEGASUS II時間飛行質量分析計(TOF−MS;LECO Corp.、ミシガン州セントジョセフより入手可能)を用いて試料を分析した際、ガスクロマトグラムの対応する部分の曲線下の面積を指すよう用いられる。関心対象の他の化合物の生面積カウントを基準化することを試みるため、飲料あたり10ppmでクロロシクロヘキサン内部標準が含まれた。表2(図28)に示すように、シクロデキストリン(そして特に、β−シクロデキストリン)の添加は、溶液中のシトラールの量を増加させ、そして形成されるオフノートの量を減少させた。具体的には、この現象は、シミュレーションした保存寿命が増加するのにつれて観察された(すなわち、シクロデキストリン、そして特にβ−シクロデキストリン、および対照を含有する溶液間で、時間および温度が増加するにつれて、より大きな違いが観察された)。これは、β−シクロデキストリンの添加でのオフノート形成の阻害を例示する、図8および図9を比較することによってわかる。これは、β−シクロデキストリンの添加を用いた、より後の時間間隔での、飲料に対する持続するシトラール(および他の特性に影響を及ぼす柑橘フレーバー)寄与、およびより後の時間間隔でのオフノートの欠如を例示する、図10および図11を比較することによってわかる。
【0146】
実施例21:酸におけるシクロデキストリン被包シトラールの安定性
[00178]表3(図29)に示すように、4つの異なるバージョンの試料酸飲料を分析した。多様な型のシトラールを低pHレモネード・ベース、または「酸−糖」溶液(例えば水中の0.5%クエン酸および8%糖)に添加することによって、4つの試料飲料を形成した。表3において「シトラールなし」と称される第一の飲料は、酸−糖溶液に非シトラール柑橘フレーバー構成要素を添加することによって形成された。第二の飲料、「シトラール添加」は、酸−糖溶液に、2Lの0.6%クエン酸あたり3mL(EtOH中、1%シトラール)(用いたシトラールはCitrus & Alliedより入手可能な天然シトラール、SAP番号921565、ロット番号10000223137)を添加して、約10〜15ppmのシトラール濃度を達成することによって形成された。第三の飲料、「0.2%BCD−シトラール」は、実施例19Aで形成した0.2wt%のシトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を酸−糖溶液に添加して、約10〜15ppmのシトラール濃度を達成することによって形成された。第四の飲料、「0.2%WSR」は、第二の飲料に、0.2wt%の水溶性ローズマリーを添加しつつ、シトラール濃度を約10〜15ppmに維持することによって形成された。水溶性ローズマリー(「WSR」)は、本明細書において、水混和性香味料を安定化させる際に用いる産業標準を指す。
【0147】
[00179]多様な型のシトラールまたは特性に影響を及ぼす柑橘フレーバー化合物(すなわちサビネン、p−シメン、ネラール、およびゲラニアール)、ならびに一般的なシトラール・オフノート化学物質(例えばp,a−ジメチルスチレン、p−シメン−8−オール、およびメンタ−1,5−ジエン−8−オール1)を含む多様な他の化合物の生面積カウントを、4つの飲料各々に関して測定した。40°Fで1日後、88°Fで1日後、40°Fで2日後、88°Fで2日後、40°Fで7日後、100°Fで7日後、40°Fで14日後、100°Fで14日後、40°Fで21日後、および100°Fで21日後に測定を行って、多様な保存寿命をシミュレーションした。さらに、Country Time(登録商標)ブランド・レモネードの缶における上記化合物の生面積カウントを決定した。
【0148】
[00180]表3、ならびに図12および図13に示すように、より温かい温度(すなわち88°Fおよび100°F)で、第三の飲料には、他の飲料と類似のシトラールおよび他の柑橘フレーバー化合物の生面積カウントが含まれた(図12を参照されたい)が、すべての時間間隔で、オフノートの最低の生面積カウントが形成された(図13を参照されたい)。図14および15に示すように、より低い温度で(すなわち40°F)、第三の飲料には、他の飲料と類似のシトラールおよび他のシトラスフレーバー化合物の生面積カウントが含まれた(図14を参照されたい)が、すべての時間間隔で、第二および第三の飲料よりも低いオフノートの生面積カウントが形成され、そしてシトラールが添加されていない第一の飲料中で形成されるオフノートと同じ生面積カウントが形成された(表2および図15中の「合わせたオフノート」列を参照されたい)。
【0149】
[00181]表3(図29)に示すように、メンタ−1,5−ジエン−8−オールは、保護されていないシトラールから形成される最初のオフノートであり、これはさらに、長期に渡ってp−シメン−8−オールに分解される。しかし、第三の飲料中にはどちらのオフノートも存在せず、該飲料には、シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物が含まれる。また、0.2%BCD−シトラールは、産業標準WSRよりも、シトラールおよび他の柑橘フレーバー化合物をよりよく安定化させた。
【0150】
実施例22:酸におけるシクロデキストリン被包シトラールの安定性
[00182]表4のID列中、「.3%BCD」と称される第一の飲料は、実施例19Aで形成した0.3wt%のシトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、酸−糖溶液に添加して、約20ppmのシトラール濃度を達成することによって形成された。第二の飲料、「.3%WSR」は、実施例21の第二の飲料に、0.3wt%のWSRを添加しつつ、シトラール濃度を約10〜15ppmに維持することによって形成された。多様な型のシトラールまたは柑橘フレーバー化合物(すなわちサビネン、p−シメン、ネラール、およびゲラニアール)、ならびに一般的なシトラール・オフノート化学物質(例えばp,a−ジメチルスチレン、p−シメン−8−オール、およびメンタ−1,5−ジエン−8−オール1)を含む多様な他の化合物の生面積カウントを、2つの飲料各々に関して測定した。40°Fで7日後、100°Fで7日後、40°Fで14日後、100°Fで14日後、40°Fで21日後、および100°Fで21日後に測定を行って、多様な保存寿命をシミュレーションした。表4(図30)に示すように、より温かい温度およびより冷たい温度では、他の飲料と類似のシトラール(および他の特性に影響を及ぼす柑橘フレーバー)寄与の維持が含まれたが、すべての時間間隔でオフノート形成の阻害が増進した。飲料容器との相互作用のため、揮発性の一般的な減少が注目された。しかし、シトラールおよびβ−シクロデキストリン間に形成される非常に強い複合体は、シトラールのヘッドスペース値の減少に部分的に関与しうる。シトラールは、にもかかわらず、官能分析(実施例34、ならびに図16および17)に示すように、そして先に記載するように、味に利用可能である。
【0151】
実施例23:β−シクロデキストリンおよびレモンオイル3x、乳化剤としてのペクチンを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00183]大気圧で、1L反応装置中、400gのβ−シクロデキストリンを、8.0gのビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合して、乾燥混合物を形成した。1Lの脱イオン水をβ−シクロデキストリンおよびペクチンの乾燥混合物に添加して、スラリーまたは混合物を形成した。実験室規模の水槽加熱および冷却装置を介した加熱および冷却用に1L反応装置を設定した。混合物を約30分間攪拌した。21gの3x(すなわち3倍)カリフォルニアレモンオイル(Citrus & Alliedより入手可能)を添加した。反応装置を密封し、そして生じた混合物を約55〜60℃で4時間攪拌した。次いで、加熱および冷却実験室装置の冷却部分を作動させ、そして混合物を約5〜10℃で一晩攪拌した。次いで、およそ210℃の注入口温度およびおよそ105℃の排出口温度を有するBUCHI B−191実験室スプレードライヤー(Buchi、スイスより入手可能)上で混合物をスプレー乾燥した。シクロデキストリン封入複合体中の4.99wt%のレモンオイル3xの保持パーセントを達成した。
【0152】
実施例24A:飲料生産物において用いられる、シクロデキストリン被包レモンオイル3xおよび過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含むフレーバー組成物
[00184]シクロデキストリン被包レモンオイル3xを含む、実施例23から生じた乾燥粉末を、さらなるβ−シクロデキストリンと乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中、約1wt%のレモンオイル3xのwt%を達成する(「レモンオイル3x−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物」)。次いで、レモンオイル3x−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、飲料の総重量に対して約0.05wt%〜約0.30wt%の範囲の乾燥粉末混合物(すなわちβ−シクロデキストリン被包シトラールに加えて、さらなるβ−シクロデキストリン)のwt%で、飲料に添加する。これは、飲料に添加した乾燥粉末混合物の量に応じて、20〜30ppmのレモンオイル3xおよび約0.05wt%〜約0.30wt%のβ−シクロデキストリンを飲料に提供すると予期される。
【0153】
実施例24B:飲料生産物において用いられる、シクロデキストリン被包レモンオイル3xおよび過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含むフレーバー組成物
実施例18由来のシトラール−シクロデキストリン封入複合体と混合した実施例24由来の乾燥粉末の組み合わせを混合し(5部分シトラール/3部分3xレモン)、そしてさらなるβ−シクロデキストリンと混合して、シクロデキストリン中の1%の活性フレーバーを達成した。混合物は、高い酸含量(酢)のスパイスおよび香辛料中、またはより不透明なジュース様の外見が望ましい場合の飲料において、安定な剥がしたての(peely)フレッシュなレモン特性を送達するのに有用である。
【0154】
実施例25:β−シクロデキストリンおよびアルファ−トコフェロール、乳化剤としてのペクチンを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00185]大気圧で、1L反応装置中、200gのβ−シクロデキストリンを、4.0gのビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合して、乾燥混合物を形成した。500gの脱イオン水をβ−シクロデキストリンおよびペクチンの乾燥混合物に添加して、スラリーまたは混合物を形成した。実験室規模の水槽加熱および冷却装置を介した加熱および冷却用に1L反応装置を設定した。混合物を約30分間攪拌した。23gのD,L−アルファ−トコフェロール(BASFより入手可能なKosher、SAP#1020477)を添加した。反応装置を密封し、そして生じた混合物を約55〜60℃で一晩攪拌した。次いで、加熱および冷却実験室装置の冷却部分を作動させ、そして混合物を約5〜10℃で一晩攪拌した。次いで、およそ210℃の注入口温度およびおよそ105℃の排出口温度を有するBUCHI B−191実験室スプレードライヤー(Buchi、スイスより入手可能)上で混合物をスプレー乾燥した。シクロデキストリン封入複合体中の10.31wt%のアルファ−トコフェロールの保持パーセントを達成した。β−シクロデキストリン中のアルファ・トコフェロールの1:1のモル比は、27.52wt%に相当するであろうが、文献は、これが油性ペーストであると報告する。10.31wt%産物は、乾燥自由流動粉末であり、水中に容易に分散可能である。10.31wt%アルファ・トコフェロール複合体は、0.1%で用いた際、水中に容易に分散する(すなわち過剰な複合体化されていないβ−シクロデキストリンに割り込む)。
【0155】
実施例26:飲料生産物において用いられる、シクロデキストリン被包アルファ−トコフェロールおよび過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含む組成物
[00186]シクロデキストリン被包アルファ−トコフェロールを含む、実施例25から生じる乾燥粉末を、さらなるβ−シクロデキストリンと乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中、約1wt%のアルファ−トコフェロールのwt%を達成する(「アルファ−トコフェロール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物」)。次いで、アルファ−トコフェロール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、飲料総重量に対して約0.2wt%の乾燥粉末混合物(すなわちβ−シクロデキストリン被包アルファ−トコフェロールに加えて、さらなるβ−シクロデキストリン)のwt%で、A.C.E.飲料(すなわちA=ビタミンA、C=ビタミンC、およびE=ビタミンE)に、酸化防止剤および/または栄養補助剤として添加する。これは、10ppmのアルファ−トコフェロールおよび約0.2wt%のβ−シクロデキストリンを酸性飲料に提供すると予期される。
【0156】
実施例27:飲料生産物において用いられる、シクロデキストリン被包アルファ−トコフェロールおよび過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含むフレーバー組成物
[00187]シクロデキストリン被包アルファ−トコフェロールを含む実施例25から生じた乾燥粉末を、他のフレーバー組成物(例えば、実施例18にしたがって形成されたシトラール−β−シクロデキストリン、および/または実施例23にしたがって形成されたレモンオイル3x−β−シクロデキストリン)と合わせ、そして次いで、さらなるβ−シクロデキストリンと乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中、所望のレベルのフレーバー構成要素およびアルファ−トコフェロールを達成する。次いで、生じた乾燥粉末混合物を、酸化防止剤/栄養補助剤/フレーバー組成物として飲料に添加する。これは、飲料に適切な量の酸化防止剤/栄養補助剤およびフレーバープロフィールを、そして飲料に適切な量のβ−シクロデキストリン(例えば0.2wt%)を送達すると期待される。飲料において、こうした組み合わせは、フレーバー、濁り(すなわちジュース様の外見)を提供すると予期され、柑橘構成要素に安定性を添加し、そしてフレーバーレベル、濁りおよび機能性を混合可能であるという利点を示す。少なくとも部分的に、脂質保護が付加されるのと組み合わされて、柑橘保護が増進されるため、こうした系は、サラダドレッシングおよび調味料ミックスにおいて、非常に有効であると予期される。
【0157】
実施例28:β−シクロデキストリンおよびレモンライムオイル、乳化剤としてのペクチン、および増粘剤としてのキサンタンゴムを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00188]1L反応装置中、400gのβ−シクロデキストリン(Wackerより入手可能なW7 β−シクロデキストリン)、8gのビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、および1.23gのキサンタンゴム(CP Kelcoより入手可能なKELTROLキサンタンゴム、SAP番号15695)と一緒に乾式混合して、乾燥混合物を形成した。800mLの脱イオン水を乾燥混合物に添加して、スラリーまたは混合物を形成した。実験室規模の水槽加熱および冷却装置を介した加熱および冷却用に1L反応装置を設定した。混合物を約30分間攪拌することによって攪拌した。21gのレモンライムフレーバー043−03000(SAP#1106890、Degussa Flavors & Fruit Systemsより入手可能)を添加した。反応装置を密封し、そして生じた混合物を約55〜60℃で4時間攪拌した。次いで、加熱および冷却実験室装置の冷却部分を作動させ、そして混合物を約5〜10℃で一晩攪拌した。次いで、およそ210℃の注入口温度およびおよそ105℃の排出口温度を有するBUCHI B−191実験室スプレードライヤー(Buchi、スイスより入手可能)上で混合物をスプレー乾燥した。シクロデキストリン封入複合体中の約4.99wt%のレモンライムオイルの保持パーセントを達成した。
【0158】
実施例29:β−シクロデキストリンおよびレモンライムオイル、乳化剤としてのペクチン、および増粘剤としてのキサンタンゴムを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00189]1L反応装置中、300gのβ−シクロデキストリン(Wackerより入手可能なW7 β−シクロデキストリン)、6gのビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、および1.07gのキサンタンゴム(CP Kelcoより入手可能なKELTROLキサンタンゴム、SAP番号15695)と一緒に乾式混合して、乾燥混合物を形成した。750mLの脱イオン水を乾燥混合物に添加して、スラリーまたは混合物を形成した。実験室規模の水槽加熱および冷却装置を介した加熱および冷却用に1L反応装置を設定した。混合物を約30分間攪拌することによって攪拌した。16gのレモンライムフレーバー043−03000(SAP#1106890、Degussa Flavors & Fruit Systemsより入手可能)を添加した。反応装置を密封し、そして生じた混合物を約55〜60℃で4時間攪拌した。次いで、加熱および冷却実験室装置の冷却部分を作動させ、そして混合物を約5〜10℃で一晩攪拌した。次いで、高剪断タンクミキサー(Silverston Machines Ltd.、英国チェシャムより入手可能なHP 5 1PQミキサー)を用いて、混合物を乳化した。シクロデキストリン封入複合体中の約5.06wt%のレモンライムオイルの保持パーセントを達成した。
【0159】
実施例30:飲料生産物において用いられる、シクロデキストリン被包レモンライムオイルおよび過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含むフレーバー組成物
[00190]シクロデキストリン被包レモンライムオイルを含む実施例28から生じる乾燥粉末、および/または実施例29から生じるエマルジョンを、さらなるβ−シクロデキストリンと乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中、約1wt%のレモンライムオイルのwt%を達成する(「レモンライムオイル−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物」)。次いで、レモンライムオイル−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、飲料の総重量に対して約0.05wt%〜約0.30wt%の範囲の乾燥粉末混合物(すなわちβ−シクロデキストリン被包レモンライムオイルに加えて、さらなるβ−シクロデキストリン)のwt%で、飲料に添加する。これは、飲料に添加した乾燥粉末混合物の量に応じて、50〜100ppmのレモンライムオイルおよび約0.05wt%〜約0.30wt%のβ−シクロデキストリンを飲料に提供すると予期される。
【0160】
実施例31:β−シクロデキストリンおよびシトラール、乳化剤としてのペクチン、および増粘剤としてのキサンタンゴムを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00191]1L反応装置中、300gのβ−シクロデキストリン(Wackerより入手可能なW7 β−シクロデキストリン)、6gのビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、および0.90gのキサンタンゴム(CP Kelcoより入手可能なKELTROLキサンタンゴム、SAP番号15695)と一緒に乾式混合して、乾燥混合物を形成した。575mLの脱イオン水を乾燥混合物に添加して、スラリーまたは混合物を形成した。実験室規模の水槽加熱および冷却装置を介した加熱および冷却用に1L反応装置を設定した。混合物を約30分間攪拌することによって攪拌した。18gのシトラール(Citrus & Alliedより入手可能な天然シトラール、SAP番号921565、ロット番号10000223137)を添加した。反応装置を密封し、そして生じた混合物を約55〜60℃で4時間攪拌した。次いで、加熱および冷却実験室装置の冷却部分を作動させ、そして混合物を約5〜10℃で週末に渡って攪拌した。次いで、混合物を2つに分けて半分にした。高剪断タンクミキサー(Silverston Machines Ltd.、英国チェシャムより入手可能なHP 5 1PQミキサー)を用いて、一方の半分をそのまま(neat)乳化した。1wt%アラビアゴムをもう一方の半分に添加して、そして同じ高剪断タンクミキサーを用いて、生じた混合物を乳化した。シクロデキストリン封入複合体中の約2.00wt%のシトラールの保持パーセントを達成した。
【0161】
実施例32:食品または飲料生産物において用いられる、シクロデキストリン被包シトラールを含むフレーバーエマルジョン
[00192]シクロデキストリン被包シトラールを含む、実施例31から生じたエマルジョンの一方または両方を食品または飲料生産物に直接添加して、適切なフレーバープロフィールを持つ安定な産物を得る。エマルジョンを食品または飲料生産物に直接添加するか、あるいは食品支持体上にスプレーする。
【0162】
実施例33:飲料生産物において用いられる、シクロデキストリン被包シトラールおよび過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含むフレーバーエマルジョン
[00193]シクロデキストリン被包シトラールを含む、実施例31にしたがって形成された、生じたエマルジョンの一方(または両方の混合物)を、さらなるβ−シクロデキストリンと合わせ、生じたフレーバーエマルジョン中、約1wt%のシトラールのwt%を達成する(「シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン・エマルジョン」)。シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン・エマルジョンを、飲料の総重量に対して約0.05wt%〜約0.30wt%の範囲のフレーバーエマルジョン(すなわちβ−シクロデキストリン被包シトラールに加えて、さらなるβ−シクロデキストリン)のwt%で、飲料に添加する。これは、飲料に添加されるフレーバーエマルジョンの量に応じて、10〜20ppmのシトラールおよび約0.05wt%〜約0.30wt%のβ−シクロデキストリンを飲料に提供すると予期される。一般の当業者は、過剰な複合体化されていないβ−シクロデキストリンをフレーバーエマルジョンに最初に添加する必要はなく、むしろ、過剰な複合体化されていないβ−シクロデキストリンおよび実施例31にしたがって形成されたフレーバーエマルジョンを飲料生産物に同時に添加してもよいことを認識するであろう。
【0163】
実施例34:対照レモネード飲料に対する、シクロデキストリン被包シトラールを含むレモネード飲料の官能分析
[00194]実施例18に示す方法にしたがって、被包されたシトラールを産生した。シクロデキストリン被包シトラールを含む、生じた乾燥粉末を、さらなるβ−シクロデキストリンと乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中、約1wt%のシトラールのwt%を達成した(「シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物」)。次いで、シトラール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、標準的スプレー乾燥レモンオイルフレーバー、073−00531(32.0部分)(Degussa Flavors & Fruit Systems)と混合して、フレーバー組成物を形成した。飲料の総重量に対して約0.2wt%の乾燥粉末混合物(すなわちβ−シクロデキストリン被包シトラールに加えて、さらなるβ−シクロデキストリン)のwt%で、フレーバー組成物をレモネード飲料ベースに添加した。レモネード飲料ベースには、10.5gのフレーバー組成物、0.54gの糖、0.04gのクエン酸、0.13gの安息香酸ナトリウム、および88.79gの水が含まれた。これは、酸性飲料に、10ppmのシトラールおよび約0.2wt%のβ−シクロデキストリンを提供した。この飲料は、図16および17に例示する官能分析に関して「CD」として同定された。
【0164】
[00195]スプレー乾燥したシトラール(Citrus & Alliedより入手可能な天然シトラール、SAP番号921565、ロット番号1000223137)およびスプレー乾燥したレモンオイルフレーバー073−00531(32.0部分)(Degussa Flavors & Fruit Systems)を合わせることによって、第一の対照フレーバー組成物を調製した。一般の当業者に知られる標準的スプレー乾燥法にしたがって、フレーバーのスプレー乾燥型を調製した。第一の対照フレーバー組成物を上述のものと同じレモネード・ベース飲料に添加して、10ppmのシトラールフレーバーレベルを有する第一の対照レモネード飲料を生成した。第一の対照レモネード飲料とCD飲料を比較した官能分析の結果を図16に示す。飲料を暗所中、110°Fで3週間保存した後、官能分析を実行して、古くなった飲料をシミュレーションした。官能分析は、コンセンサスアプローチおよび参照標準を用いて、訓練された6人の専門テイスターの官能委員会によって実行した記述的分析であった。図16に示すように、CD飲料は、第一の対照レモネード飲料と比較して、全フレーバー強度が類似であり、剥がしたてのフレーバーが類似であり、フレッシュなレモンフレーバーがより高く、そして脂肪性/蝋様の、酸化された、フェノール性の、アセトフェノンのおよび樟脳性のフレーバーがより低かった。この官能分析によって、キーノートフレーバーであるシトラールを安定化させる際の、そしてレモネード飲料のフレッシュなレモンフレーバーを損ない、そして減少させるオフノートフレーバーの形成を防止する際のシクロデキストリンの能力を例示する。
【0165】
[00196]シトラールのエマルジョン(Citrus & Alliedより入手可能な天然シトラール、SAP番号921565、ロット番号1000223137)およびレモンオイルフレーバー073−00531(Degussa Flavors & Fruit Systems)を合わせることによって、第二の対照フレーバー組成物を調製した。一般の当業者に知られる標準的乳化法にしたがって、エマルジョンを調製した。第二の対照フレーバー組成物を上述のものと同じレモネード・ベース飲料に添加して、10ppmのシトラールフレーバーレベルを有する第二の対照レモネード飲料を生成した。第二の対照レモネード飲料とCD飲料を比較した官能分析の結果を図17に示す。飲料を暗所中、110°Fで3週間保存した後、官能分析を実行して、古くなった飲料をシミュレーションした。官能分析は、コンセンサスアプローチおよび参照標準を用いて、訓練された6人の専門テイスターの官能委員会によって実行した記述的分析であった。図17に示すように、CD飲料は、第二の対照レモネード飲料と比較して、全フレーバー強度が類似であり、剥がしたてのフレーバーが類似であり、フレッシュなレモンフレーバーがより高く、そして脂肪性/蝋様の、酸化された、フェノール性の、アセトフェノンのおよび樟脳性のフレーバーがより低かった。この官能分析によって、キーノートフレーバー、シトラールを安定化させる際の、そしてレモネード飲料の新鮮なレモンフレーバーを損ないそして減少させるオフノートフレーバーの形成を防止する際のシクロデキストリンの能力を例示する。図16および17を比較することによって例示されるように、第二の対照レモネード飲料は、第一の対照レモネード飲料よりもより高く知覚されるレベルの酸化およびアセトフェノンフレーバーを有した。これは、第二の対照フレーバー組成物が液体型であり、該液体型は、キーノートフレーバーのより加速された分解およびオフノート形成につながった可能性もあるためでありうる。
【0166】
実施例35:β−シクロデキストリンおよびシトラール、乳化剤としてのペクチン、および増粘剤としてのキサンタンゴムを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00197]5L反応装置中、86.25gのβ−シクロデキストリン(Wackerより入手可能なW7 β−シクロデキストリン)、1.70gのビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、および0.35gのキサンタンゴム(CP Kelcoより入手可能なKELTROLキサンタンゴム、SAP番号15695)と一緒に乾式混合して、乾燥混合物を形成した。216.50mLの脱イオン水を乾燥混合物に添加して、スラリーまたは混合物を形成した。実験室規模の水槽加熱および冷却装置を介した加熱および冷却用に5L反応装置を設定した。混合物を約30分間攪拌した。11.7gのシトラール(Citrus & Alliedより入手可能な天然シトラール、SAP番号921565、ロット番号10000223137)を添加した。このベース配合物を拡大して、2200gを生じた。反応装置を密封し、そして生じた混合物を約55〜60℃で4時間攪拌した。次いで、加熱および冷却実験室装置の冷却部分を作動させ、そして混合物を約5〜10℃で一晩攪拌した。次いで、およそ210℃の注入口温度およびおよそ105℃の排出口温度を有するNiro Basic実験室ドライヤー(Niro Corp.メリーランド州コロンビア)上で混合物をスプレー乾燥した。シクロデキストリン封入複合体中の約11.5wt%のシトラールの保持パーセントを達成した。
【0167】
実施例36:β−シクロデキストリンおよびレモンオイル3x、乳化剤としてのペクチン、および増粘剤としてのキサンタンゴムを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00198]5L反応装置中、92.95gのβ−シクロデキストリン(Wackerより入手可能なW7 β−シクロデキストリン)、1.8gのビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)、および0.35gのキサンタンゴム(CP Kelcoより入手可能なKELTROLキサンタンゴム、SAP番号15695)のベース配合物を一緒に乾式混合して、乾燥混合物を形成した。235.00mLの脱イオン水を乾燥混合物に添加して、スラリーまたは混合物を形成した。実験室規模の水槽加熱および冷却装置を介した加熱および冷却用に5L反応装置を設定した。混合物を約30分間攪拌した。4.9gの3xカリフォルニアレモンオイル(Citrus & Alliedより入手可能)を添加した。このベース配合物を拡大して、2200gの産物を生じた。反応装置を密封し、そして生じた混合物を約55〜60℃で4時間攪拌した。次いで、加熱および冷却実験室装置の冷却部分を作動させ、そして混合物を約5〜10℃で一晩攪拌した。次いで、およそ210℃の注入口温度およびおよそ105℃の排出口温度を有するNiro Basic実験室ドライヤー(Niro Corp.メリーランド州コロンビア)上で混合物をスプレー乾燥した。シクロデキストリン封入複合体中の約5wt%のレモンオイル3xの保持パーセントを達成した。
【0168】
実施例37:シクロデキストリン不含対照飲料に対する、シクロデキストリン被包シトラール、シクロデキストリン被包レモンオイル3x、および過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含むレモネード飲料のオフノート形成の比較
[00199]89.79gの水、9.42gのグラニュー糖、0.04gの細顆粒状クエン酸ナトリウム、および0.50gのクエン酸(無水、細粒)を合わせることによって、レモネード・ベースを調製した。保存剤を飲料に添加しなかったが、飲料をパスチャライズ熱パックに供した。8Lの最終飲料を産生するようにこのベースを拡大した。
【0169】
[00200]「CD」と同定される飲料は、実施例35にしたがって形成されたシトラール−シクロデキストリン封入複合体(「シトラール−CD」)および実施例36にしたがって形成されたレモンオイル3x−シクロデキストリン封入複合体(「レモン−CD」)を含んで形成された。「CD」フレーバー組成物は、32.00gのスプレー乾燥レモンオイル(Degussa Flavors & Fruit Systemより入手可能な073−00531)、5.20gのシトラール−CD(Degussa Flavors & Fruit Systemより入手可能な073−00339)、3.20gのレモン−CD、および59.60gの過剰な複合体化されていないβ−シクロデキストリン(Wackerより入手可能なW7 β−シクロデキストリン)を乾式混合することによって調製された。均一になるまでCDフレーバー組成物を混合し、そしておよそ30メッシュのスクリーンを用いてスクリーニングした。次いで、レモネード・ベースに0.25gのCDフレーバー組成物を添加することによって、CD飲料を調製し、そしてP.E.T.容器中にパッケージングした。
【0170】
[00201]59.60gのマルトデキストリンとともに、32.00gのスプレー乾燥レモンオイル、5.20gのスプレー乾燥シトラール、および3.20gのスプレー乾燥レモンオイル3x(すべてTate & Lyleより入手可能なマルトデキストリン、SAP番号15433上にスプレーする)を乾式混合することによって、対照フレーバー組成物を調製した。一般の当業者に知られる標準的スプレー乾燥法にしたがってマルトデキストリンとともに、各スプレー乾燥フレーバーをスプレー乾燥した。対照フレーバー組成物は、シクロデキストリンを完全に含まなかった。レモネード・ベースに0.25gの対照フレーバー組成物を添加することによって、対照飲料(「保護されていない」と称する)を調製し、そしてP.E.T.容器中にパッケージングした。
【0171】
[00202]CD飲料のフレーバー保持およびオフノート形成を対照飲料のものと比較した。最小限の試料調製時間で、高度な自動化および感度を可能にする分析ヘッドスペース技術である固相マイクロ抽出(SPME)を用いて、シトラールおよびオフノートの量を決定した。SPMEは、液体−液体抽出および蒸溜技術と同じ100万分の1未満の感度を有するが、試料を極端な温度に曝露しないし、また混入物質を添加する可能性もあり、そして分析前に除去する必要がある溶媒を多量に用いない。SPMEは、ポリマー(50/30μm DVB/CarboxenTM/PDMS StableFlexTM、Supelco、ペンシルバニア州ベルフォンテより入手可能)でコーティングした2cmファイバーアセンブリーを用いる。分析試料を10mLクリンプトップ(crimp−top)バイアルに入れる。ファイバーを、分析試料の上部に存在するヘッドスペースに曝露することによって、ガスクロマトグラフ(GC)またはGC−質量分析装置(PEGASUS III時間飛行質量分析装置をこの研究に用いた(GC/TOF−MS;LECO Corp.、ミシガン州セントジョセフより入手可能))の注入ポート内に熱的に脱着されるまで、有機物をポリマー中に捕捉する。GCはAgilent 6890であり、そして1ミクロンフィルム厚を持つ60メートルx0.32mmのDB−5カラム(Restek、ペンシルバニア州ベルフォンテより入手可能)上で、分析を行った。100,000から1,000,000の桁の濃度効果が容易に得られる。本研究において、2mLの各試料を10mLバイアルに入れ、これを50℃で10分間温度調節し、そして15分間抽出して、100万分の1未満の感度を得た。
【0172】
[00203]図18において、88°Fでのフレーバー保持および総オフノート成長が、保護されていない飲料およびCD飲料に関して示される(より色が薄いバーは、総フレーバープロフィール(すなわち検出されるすべてのフレーバー構成要素)を示し、そしてより濃いバーは、保護されていない飲料およびCD飲料に関する総オフノート成長に相当する)。図18に示すように、CD飲料は、保護されていない飲料より長く、有意に大きいフレーバープロフィールを保持し、そしてCD飲料は、保護されていない飲料よりも低く観察される総オフノート形成を有した。パッケージ材料内へのフレーバー移動が、文献およびパッケージ設計会社からの商業的情報でよく立証されている。フレーバー移動の防止または仲介は有意であり、そしてフレーバー安定性に加えて、予期されぬ利点である。長期に渡って(すなわち、両方の飲料において、88°Fでの21日間の保存後、88°Fでの33日間の保存後、および88°Fでの42日間の保存後)、4種のオフノートの形成を測定し、そして結果を図19に示す。すなわち、分析した4つのオフノートは、p−メチルアセトフェノン、p−シメン−8−オール、メンタ−1,5−ジエン−8−オール1およびメンタ−1,5−ジエン−8−オール2であった。図19に示すように、CD飲料は、すべての4つのオフノートを、保護されていない飲料より低いレベルで形成し、そして特に、保護されていない飲料より低いレベルのp−シメン−8−オールを形成した。続くオフノートの選択は、図7に詳述するスキーム由来である。しかし、p−クレゾールは、水溶性が高いため、SPMEによって検出するのが非常に困難であり、したがってp−クレゾールは、官能パネルによって特徴付けられた。例えば、p−クレゾールがフェノール性ノート/特質として含まれる、図16および17を参照されたい。
【0173】
実施例38:β−シクロデキストリンによって提供される「日射障害(sun−struck)」現象における保護効果
[00204]飲料生産物内へのシクロデキストリンの取り込みによって提供される他の保護効果を研究するため、「日射障害」(光酸化)現象の予備的研究を行った。具体的には、商業的産物によって経験された太陽曝露を研究した。実施例20におけるように、シトラール(Citrus & Alliedより入手可能な天然シトラール、SAP番号921565)を1.0%のレベルでエタノール中に希釈した。2つのシミュレーションする飲料ベースを作製した:対照、水中の0.6%クエン酸、および保護されている、水中の0.6%クエン酸および0.2%β−シクロデキストリン。エタノール溶液中の1.0%シトラールを0.1%で各飲料ベースに添加した(10ppmシトラール);シミュレーションした飲料はどちらも、ガラスジュースビン中にあり、そしてこれを、強い日光を浴びる、南東曝露の実験室窓中に5日間置いた。各シミュレーション飲料の2つ組のビンをオーブンに入れ、そして110°Fで維持した。5日後、各ビンから試料採取し、そしてこの研究を通じて使用した同ヘッドスペース法(SPME)によって分析した。結果を図20にグラフで示す。シトラール光安定性に対しては非常にわずかな情報しか入手可能でないが、保護されていない試料中のオフノートの検査は、非常に類似の化合物および濃度を示す。したがって、酸性媒体中の熱および光触媒された分解において、類似の反応経路が活性であると仮定される(例えば図7を参照されたい)。図20において、保護された試料(BCDと表示)は、保護されていない試料(CITと表示)と比較して、反応性中間体オフノート、p−メンタ−ジエン−8−オールの形成を示さない。保護された系において、p−シメンの形成がはるかに減少していることもまた明らかである。
【0174】
実施例39:シクロデキストリンを用いた、シトラール、色およびビタミン含量の安定化
[00205]地元の食料品店で購入した商業的なビタミン強化飲料(GLACEAUマルチvレモネード(a−zinc))に、実施例18由来の0.2wt%の「シトラール−シクロデキストリン/β−シクロデキストリン混合物」および0.01wt%の赤40色素を添加する。混合物を元来の容器に戻し、そして密封する。密封したビンを南向きの窓に5〜6週間、または色変化が認められるまで置く。
【0175】
実施例40:シクロデキストリンを用いた、シトラール、色およびビタミン含量の安定化
[00206]地元の食料品店で購入した商業的なビタミン強化飲料(GLACEAUマルチvレモネード(a−zinc))に、実施例19A由来の0.2wt%の「シトラール−シクロデキストリン/HP β−シクロデキストリン混合物」および0.01wt%の赤40色素を添加する。混合物を元来の容器に戻し、そして密封する。密封したビンを南向きの窓に5〜6週間、または色変化が認められるまで置く。余分な飲料をコップに入れて冷蔵保存する。結果を表5(図31)に示す。ビンに入れた飲料の視覚的画像を図21〜23に示す。ビンは、赤40色素が光への曝露に際して分解することを示す。色安定性は、ヒドロキシルプロピルβ−シクロデキストリンを用いると最適である。
【0176】
実施例40A:シクロデキストリンを用いた、日光に対するシトラールの安定化
[00207]上記実施例におけるように夏の太陽に7日間曝露することによって、実施例19の被包シトラール産物を研究したが、目的は、2つの異なる濃度のシクロデキストリンを用いて熱および光酸化産物を監視することであった。本発明者らは、先に、光酸化が、酸性媒体中の熱酸化と類似の反応経路にしたがい、そしてβ−シクロデキストリンを用いて保護が提供されることを立証した;ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンに関して、こうした情報はまったく存在しない。シトラール複合体を2つの異なる濃度で研究し、そしてこれらは、10%スクロースおよび0.5%クエン酸からなる酸性飲料ベース中、0.1wt%または0.2wt%で用いた際、一定のシトラールレベルを送達するよう設計された。エタノール中の0.1wt%シトラールを対照として用いた。500mlの各試料を調製し、そして6つの4オンス試料に分け、ヘッドスペースを許容せずにそして密封した。先に報告するように、SPMEおよびLECO Pegasus III GC/TOF−MSを用いて分析を行った;「ラテン方格」試料採取プロトコルを用いて、試料を3つ組で分析した。典型的なオフノートに関する結果を以下の図24〜26に示す。β−シクロデキストリン保護飲料のどちらにおいても、p−α−ジメチルスチレンは検出されなかった。
【0177】
実施例41:β−シクロデキストリンおよびフラネオール、乳化剤としてのペクチンを含むシクロデキストリン封入複合体、ならびに該複合体を形成するためのプロセス
[00208]大気圧で、1L反応装置中、200gのβ−シクロデキストリンを、4.0gのビートペクチン(2wt%のペクチン:β−シクロデキストリン;Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 5ビートペクチン)と乾式混合して、乾燥混合物を形成した。500gの脱イオン水をβ−シクロデキストリンおよびペクチンの乾燥混合物に添加して、スラリーまたは混合物を形成した。実験室規模の水槽加熱および冷却装置を介した加熱および冷却用に1L反応装置を設定した。混合物を50℃で0.5時間加熱し、そして攪拌することによって攪拌した。Cargillの一部門のAlfrebro、オハイオ州モンローより入手可能な、エタノール溶液中の15%天然フラネオール(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)フラノン)FEMA#3174を150g添加した。反応装置を密封し、そして生じた混合物を約50℃で4時間攪拌した。次いで、加熱および冷却実験室装置の冷却部分を作動させ、そして混合物を約5〜10℃で一晩攪拌した。次いで、およそ210℃の注入口温度およびおよそ105℃の排出口温度を有するBUCHI B−191実験室スプレードライヤー(Buchi、スイスより入手可能)上で混合物をスプレー乾燥した。シクロデキストリン封入複合体中の4.6wt%(45.5%の収量)のフラネオールの保持パーセントを達成した。
【0178】
実施例42:シクロデキストリン被包フラネオールおよび過剰な複合体化されていないシクロデキストリンを含むフレーバー組成物
[00209]実施例41に示す方法にしたがって、被包フラネオールを産生した。シクロデキストリン被包フラネオールを含む、生じた乾燥粉末を、さらなるβ−シクロデキストリンと乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中の約0.05wt%のフラネオールのwt%を達成する(「フラネオール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物」)。フラネオール−シクロデキストリン/シクロデキストリン混合物を、飲料の総重量に対して約0.2wt%の乾燥粉末混合物(すなわちβ−シクロデキストリン被包フラネオールに加えて、さらなるβ−シクロデキストリン)のwt%で、クリームソーダ飲料に添加する。これは、酸性飲料に、5〜10ppmのフラネオールおよび約0.2wt%のβ−シクロデキストリンを提供する。この組成は、シス−3−ヘキセノール、フラネオール、バニリン、ラズベリーケトンイオノンなどのフレーバー;赤40などの色を保護し、そしてフレーバー(および/または)他の成分がプラスチック容器内に移動するのを防止するよう意図される。
【0179】
実施例43:シクロデキストリン被包フラネオールおよび過剰な複合体化されていない誘導体化シクロデキストリンを含むフレーバー組成物
[00210]実施例41に示す方法にしたがって、被包フラネオールを産生した。シクロデキストリン被包フラネオールを含む、生じた乾燥粉末を、さらなるHP−β−シクロデキストリンと乾式混合して、生じた乾燥粉末混合物中の約0.05wt%のフラネオールのwt%を達成する(「フラネオール−シクロデキストリン/HP−βシクロデキストリン混合物」)。フラネオール−シクロデキストリン/HP−βシクロデキストリン混合物を、飲料の総重量に対して約0.2wt%の乾燥粉末混合物(すなわちβ−シクロデキストリン被包フラネオールに加えて、さらなるβ−シクロデキストリン)のwt%で、クリームソーダ飲料に添加する。これは、酸性飲料に、5〜10ppmのフラネオールおよび約0.2wt%のβ−シクロデキストリンを提供する。この組成は、シス−3−ヘキセノール、フラネオール、バニリン、ラズベリーケトンイオノンなどのフレーバー;赤40などの色を保護し、そしてフレーバー(および/または)他の成分がプラスチック容器内に移動するのを防止するよう意図される。
【0180】
実施例44:分析測定値
[00211]実施例39、40、42および43中の配合物用に、最初の分析プロフィールを生成する。実施例37に詳述するように、ヘッドスペース分析のため容器から2mlの試料を抜き取る(しかし異なるフレーバー化合物およびオフノートが分析される)。UV検出を備えたHPLCによってバニリンおよび赤40濃度を監視する。
【0181】
実施例45:アラキドン酸(40%)を含む巨大粒子シクロデキストリン封入複合体の形成
[00212]不活性大気を提供するグローブバッグ内に装備された産業ミキサー(Kitchen Aid Proline、Kitchen Aid、ミシガン州セントジョセフ)中、1000.0000gの□−シクロデキストリンを、800.0000gの蒸留水および20.00gのビートペクチン(2.0wt%ペクチン、Degussa−Franceより入手可能なXPQ EMP 4ビートペクチン)と、低速で30分間混合して、練り粉混合物中のペーストを形成した。混合物を高速で2分間混合して、残ったいかなる溶解空気も除去した。300.0000gのアラキドン酸(40%)(Cargill、ミネソタ州ミネアポリス)を混合しながら90分間ゆっくり添加した。
【0182】
[00213]混合物を真空乾燥のため、2つのパンに移した。窒素大気下で全プロセスを行った。79℃および0.1トールで9時間、混合物を乾燥させた。生じた産物は36wt%保持ARAを含む細かい粉末であった;表面の油は認められなかった。
【0183】
実施例46:調製粉乳における使用
[00214]実施例45にしたがって産生したシクロデキストリン被包アラキドン酸を調製粉乳に取り込む。
【0184】
[00215]本明細書に引用するすべての特許、刊行物および参考文献は、本明細書に完全に援用される。本開示、ならびに取り込まれた特許、刊行物および参考文献の間に不一致がある場合は、本開示が統制するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロデキストリンと複合体化されたゲストおよびゲスト分解産物を含む産物であって、少なくとも約88°Fの温度で少なくとも約30日間保存された際、少なくとも約5:1のゲスト対ゲスト分解産物比を有する、前記産物。
【請求項2】
少なくとも約88°Fの温度で少なくとも約30日間保存された際、ゲスト対ゲスト分解産物比が少なくとも約10:1である、請求項1の産物。
【請求項3】
少なくとも約88°Fの温度で少なくとも約60日間保存された際、ゲスト対ゲスト分解産物比が少なくとも約5:1である、請求項1の産物。
【請求項4】
少なくとも約88°Fの温度で少なくとも約90日間保存された際、ゲスト対ゲスト分解産物比が少なくとも約5:1である、請求項1の産物。
【請求項5】
少なくとも約88°Fの温度で約30日間保存された際、産物中のゲスト濃度が、約25%より多くは減少しない、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを含む産物。
【請求項6】
少なくとも約88°Fの温度で約30日間保存された際、濃度が、約45%より多くは減少しない、請求項5の産物。
【請求項7】
少なくとも約88°Fの温度で約90日間保存された際、濃度が、約25%より多くは減少しない、請求項5の産物。
【請求項8】
ゲスト濃度がある期間に渡って減少し、そして約30日後の産物中のゲスト濃度の減少が、対照中のゲスト濃度の減少より少ない、シクロデキストリンと複合体化されたゲストを含む産物。
【請求項9】
ゲスト分解産物が、約30日後、約30日後の対照中のゲスト分解産物濃度未満の濃度で存在する、シクロデキストリンと複合体化されたゲストおよびゲスト分解産物を含む産物。
【請求項10】
ゲスト分解産物の形成が、対照中のゲスト分解産物の形成と比較した際、少なくとも約200%減少する、シクロデキストリンと複合体化されたゲストおよびゲスト分解産物を含む産物。
【請求項11】
ゲスト分解産物の形成が、対照中のゲスト分解産物の形成と比較した際、少なくとも約500%減少する、請求項10の産物。
【請求項12】
ポリ不飽和脂肪酸がシクロデキストリンに複合体化されている、ポリ不飽和脂肪酸およびシクロデキストリンを含む産物。
【請求項13】
ポリ不飽和脂肪酸がオメガ−3脂肪酸である、請求項12の産物。
【請求項14】
シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンを含む、請求項1〜13のいずれか一項記載の産物。
【請求項15】
β−シクロデキストリンが置換β−シクロデキストリンを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
置換β−シクロデキストリンがヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンを含む、請求項15記載の産物。
【請求項17】
β−シクロデキストリンがヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリン(cycodextrin)の混合物を含む、請求項16記載の産物。
【請求項18】
ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリンが、約2:1〜約1:30の比で存在する、請求項17記載の産物。
【請求項19】
過剰なシクロデキストリンを含有する、請求項1〜18のいずれか一項記載の産物。
【請求項20】
ゲストがフレーバーを含む、請求項1〜11および13〜19のいずれか一項記載の産物。
【請求項21】
フレーバーがシトラールを含む、請求項20の産物。
【請求項22】
ゲストが着色剤を含む、請求項1〜11および13〜19のいずれか一項記載の産物。
【請求項23】
ゲストが栄養補助剤を含む、請求項1〜11および13〜19のいずれか一項記載の産物。
【請求項24】
飲料である、請求項1〜23のいずれか一項記載の産物。
【請求項25】
飲料が炭酸飲料である、請求項24記載の産物。
【請求項26】
産物が食品生産物である、請求項1〜23のいずれか一項記載の産物。
【請求項27】
シクロデキストリンが、約0.05wt%〜約0.50wt%の量で存在する、請求項1〜26のいずれか一項記載の産物。
【請求項28】
シクロデキストリンが約0.2wt%の量で存在する、請求項27記載の産物。
【請求項29】
シクロデキストリンが約0.1wt%の量で存在する、請求項27記載の産物。
【請求項30】
シクロデキストリン:ゲスト比が約1:1である、請求項1〜18および20〜29のいずれか一項記載の産物。
【請求項31】
シクロデキストリン:ゲスト比が約1:1より大きい、請求項1〜29のいずれか一項記載の産物。
【請求項32】
シクロデキストリンと複合体化されたゲストを産物に添加する工程を含み、ここでゲストが乳化剤の存在下でシクロデキストリンと複合体化され、そしてゲストの分解が、シクロデキストリンとゲストの複合体化によって、対照と比較した際に約25%減少している、長期に渡る産物中のゲストの分解を減少させるための方法。
【請求項33】
ゲストの分解が光への曝露による、請求項32記載の方法。
【請求項34】
シクロデキストリンと複合体化されたゲストを産物に添加する工程を含み、ここでゲスト濃度の減少が、シクロデキストリンとゲストの複合体化によって、対照と比較した際に少なくとも約25%減少している、長期に渡る産物中のゲスト濃度の減少を減少させるための方法。
【請求項35】
ゲストの分解が光への曝露による、請求項34記載の方法。
【請求項36】
シクロデキストリンと複合体化されたゲストを産物に添加する工程を含み、ここでフレーバー安定性が、対照と比較した際、少なくとも約25%改善されている、光に曝露された際の産物のフレーバー安定性を改善するための方法。
【請求項37】
フレーバー安定性が、対照と比較した際、少なくとも約45%改善されている、請求項36記載の方法。
【請求項38】
複合体化されていないポリ不飽和脂肪酸およびシクロデキストリンを混合して、複合体を形成し;そして該複合体を産物に添加する工程を含む、ポリ不飽和脂肪酸を含有する産物を作製するための方法。
【請求項39】
ポリ不飽和脂肪酸が、乳化剤の存在下で、シクロデキストリンと複合体化されている、請求項38記載の方法。
【請求項40】
ゲストが乳化剤の存在下でシクロデキストリンと複合体化されている、請求項32〜37記載の方法。
【請求項41】
シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンを含む、請求項32〜40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
β−シクロデキストリンが置換β−シクロデキストリンを含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
置換β−シクロデキストリンがヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンを含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
β−シクロデキストリンがヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリンの混合物を含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリンが、約2:1〜約1:30の比で存在する、請求項44記載の方法。
【請求項46】
過剰なシクロデキストリンを含有する、請求項32〜45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
ゲストがフレーバーを含む、請求項32〜45のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
フレーバーがシトラールを含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
ゲストが着色剤を含む、請求項32〜46のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
ゲストが栄養補助剤を含む、請求項32〜46のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
飲料である、請求項32〜50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
飲料が炭酸飲料である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
産物が食品生産物である、請求項32〜50のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
シクロデキストリンが、約0.05wt%〜約0.50wt%の量で存在する、請求項32〜53のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
シクロデキストリンが約0.2wt%の量で存在する、請求項54記載の方法。
【請求項56】
シクロデキストリンが約0.1wt%の量で存在する、請求項54記載の方法。
【請求項57】
シクロデキストリン:ゲスト比が約1:1である、請求項32〜45および47〜56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
シクロデキストリン:ゲスト比が約1:1より大きい、請求項32〜56のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2010−514794(P2010−514794A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544263(P2009−544263)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/088929
【国際公開番号】WO2008/083213
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(397058666)カーギル インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】