説明

シクロパミンラクタム類似体及びその使用方法

本発明は、ヘッジホッグ経路関連障害、特に癌の処置に有用なステロイド系アルカロイドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にシクロパミン類似体、その医薬組成物ならびにそのような類似体及び組成物の使用方法に関する。これらの化合物及び組成物は癌及び乾癬などのヘッジホッグにより媒介される疾患ないし障害の処置に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
ヘッジホッグポリペプチドは、ヘッジホッグ経路においてシグナル伝達(ないしシグナリング)リガンドとして機能する分泌型タンパク質である。ヒトにおいては、ソニックヘッジホッグ(Shh)、デザートヘッジホッグ(Dhh)及びインディアンヘッジホッグ(Ihh)の3つの異なる形態のヘッジホッグタンパク質が発見されている。ソニックヘッジホッグは、哺乳類において最も一般的なヘッジホッグメンバーであり、また、ヘッジホッグファミリーの中で、最もよく特徴づけられたリガンドである。分泌前に、Shhは、分子内切断と脂質修飾反応を受ける。この脂質修飾されたペプチドがシグナル伝達活性を担う。
【0003】
ヘッジホッグ経路の阻害は、ある種の癌において、腫瘍増殖の阻害をもたらすことが示されている。例えば、抗ヘッジホッグ抗体は、ヘッジホッグ経路の機能に拮抗(ないしアンタゴナイズ)し、腫瘍の増殖を阻害することが示されている。また、ヘッジホッグ経路活性の小分子阻害(Small molecule inhibition)がいくつかの癌種(タイプ)で細胞死をもたらすことを示されている。
【0004】
この技術分野の研究は主としてヘッジホッグ経路の生物学の解明及び新たなヘッジホッグ経路阻害剤の発見に焦点を当てて来た。ヘッジホッグ経路の阻害剤は確認されているが、ヘッジホッグ経路のより有効ないし強力な阻害剤を特定する必要がなおある。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明は、ステロイド系アルカロイドの類似体、医薬組成物及びそれらの使用方法に関する。
【0006】
本発明は、式1の化合物、このような化合物の少なくとも1つを含む組成物、及びそれらの化合物及び組成物の使用方法を含み、式1は、

[式1中;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は[(W)−S]20であり;
、R及びR13は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
は、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合(ないしボンド:bond)を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
及びR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
あるいはR12及びR13は、一緒になって結合を形成し;
及びR10は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びR10は、一緒になって=O、=N(R20)、=N−OR20又は=Sを形成し;
11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又はC(S)N(R20)(R20)であるか;あるいはR11は、式−[C(R20−R21を有し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R)−R21(ここで、各Rは、独立して、H又はC1−C6アルキルである)であるか;
あるいは任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
又はその薬学上許容される塩である。
【0007】
他の視点において、本発明は、式15の化合物ならびにそのような化合物の少なくとも1つを含む組成物及び癌を含む、ヘッジホッグ経路により媒介される過剰増殖性疾患などの症状ないし状態の処置のためのそのような化合物及び組成物の使用方法を含む。式15の化合物は下記により表される。
式15:

[式15中、
A及びBは、それぞれ独立して、−N(R13)−、−(C=O)−又は−(C=S)−であり;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は[(W)−S]20であり;
、R及びR10は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
は、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びRは、一緒になって、=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;
あるいはR及びR10は、一緒になって結合を形成し;
11、R12、R14及びR15は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;
あるいはR11及びR12は、一緒になって結合を形成するか;
あるいはR及びR14は、一緒になって結合を形成し;
13は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又はC(S)N(R20)(R20)であるか;あるいはR13は、式−[C(R20−R21を有し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は[C(R)−R21(ここで、各Rは、独立して、H又はC1−C6アルキルである)であるか;あるいは任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る;
ただし、Aが−N(R13)−である場合には、Bは、−(C=O)−又は−(C=S)−でなければならず;かつ
Aが−(C=O)−又は−(C=S)−である場合には、Bは−N(R13)−でなければならない]
の化合物又はその薬学上許容される塩。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、A〜Fと表示された環を有するステロイド系アルカロイドの炭素骨格を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
本明細書で使用される用語の定義は、化学及び製薬分野の各用語に関して認識されている技術の現状を組み込むことを意図するものである。適宜、例を示す。これらの定義は、個々に又はより大きな群の一部として特定の例において限定される以外、本明細書で用いられる際の用語に当てはまる。
【0010】
本明細書において、例えば、アルキル、m、nなどの各表現の定義は、任意の構造において1回を超えて現れる場合、同じ構造の他所でのその定義とは独立であるものとする。
【0011】
本明細書において「アシル」とは、一般式R−C(=O)−(ここで、Rは、H、アルキル、アリール又はアラルキルであり得る)の基を指す。典型的なアシル基では、RはH又は任意に置換され(得)るC1−C6アルキルであるか、又はRはアラルキルであってもよく、ここで、このアラルキルのアリール部分は5〜7員の芳香族又は複素芳香環であり、かつ、そのアルキル部分はC1−C4アルキレン基であり;かつ、アルキル部分及びアリール部分の双方は、このような基に関して本明細書に記載されているように、任意に置換され(得)る。ベンジル、p−メトキシベンジル及びフェニルエチルは典型的なアラルキルの例である。
【0012】
「アシルアミノ」とは、一般式:

[この一般式中、R50は、以下に定義されるとおりであり、R54は、水素、アルキル、アルケニル又は−(CH2)−R61を表す(ここで、m及びR61は以下に定義されるとおりである)]によって表すことができる部分を指す。
【0013】
「アルケニル」及び「アルキニル」とは、少なくとも1つのそれぞれ二重結合又は三重結合を含むこと以外は以下に記載されるアルキルに、長さ及び可能な置換という点で類似する不飽和脂肪族基を指す。アルケニル及びアルキニル基は、利用可能な価数によって許容される範囲まで、アルキル基に対する置換基として適する同様の基で置換可能である。典型的なアルケニル及びアルキニル基はその主鎖構造に2〜10個の炭素を含む。
【0014】
「アルコキシル」又は「アルコキシ」とは、(それに結合した)酸素ラジカルを有する、以下で定義されるアルキル基を指す。代表的なアルコキシル基は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ及びtert−ブトキシなどを含む。アルコキシ基のアルキル部分はアルキル基様の大きさであり、利用可能な価数によって許容される範囲まで、アルキル基に対する置換基として適する同様の基で置換することができる。
【0015】
「アルキル」とは、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基及びシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基の基を指す。ある実施形態において、直鎖又は分枝鎖アルキルは、その主鎖に30以下(例えば、直鎖ではC−C30、分枝鎖ではC−C30)、20以下の炭素原子を有する。典型的には、アルキル基はその主鎖として1〜10個の炭素原子を含み、置換型であっても非置換型であってもよい。同様に、あるシクロアルキルは、その環構造に3〜10個の炭素原子を有し、他のものはその環構造に5、6又は7個の炭素を有する。特に断りのない限り、アルキル及びシクロアルキル基は、単独であれアラルキル基などの別の基の一部としてのものであれ、限定されるものではないが、ハロゲン、アジド、オキソ、アシル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、オキシミノ、アミド、アシルアミノ、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボン酸又はそれらのエステルもしくはアミド、シリル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又は複素芳香族部分、−CF及びCNなどのような好適な置換基により置換することができる。
【0016】
アルキル、アルケニル又はアルキニルがアルコキシ、アルキルチオなどの別の基の一部であるか、又は別の基上の置換基である場合、それは、しばしば、任意に置換された6個までの炭素原子を有する低級アルキル基又は低級アルケニル基又は低級アルキニル基である。このような目的では、典型的な置換基は、ハロ、−OR’、−SR’、−SOR’、−SONR’、COOR’、CONR’、オキソ、−NR’、NR’C(O)R’、NR’C(O)OR’、NR’SOR’、OC(O)R’を含む(ここで、各R’は、独立してH又は非置換C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル又はC2−C6アルキニルである)。
【0017】
「アルキルチオ」とは、(それに結合した)硫黄ラジカルを有する、上記で定義されたアルキル基を指す。ある実施形態では、「アルキルチオ」部分は−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル及びS−(CH−R61(m及びR61は以下に定義される)で表される。代表的なアルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオなどが挙げられる。
【0018】
「アミド」とは、アミノ置換カルボニルとして当該技術分野で認識(art recognized)されており、一般式:

(この一般式中、R50及びR51は以下に定義されるとおりである)
で表すことができる部分を含む。本発明においてアミドの或る実施形態には、不安定であり得るイミドは含まないだろう。
【0019】
「アミン」及び「アミノ」とは、当該技術分野で認識されており、非置換型及び置換型双方のアミン、例えば、一般式:

[この一般式中、R50、R51、R52及びR53は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−R61を表す(R61はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環又は多環を表し;mは0又は1〜8の整数である)、あるいはR50及びR51(又はアンモニウム種ではR50及びR52)はそれが結合しているN原子と一緒になって、環構造に4〜8原子を有する複素環を完成する]
で表すことができる部分を指す。他の実施形態では、R50及びR51(及び任意にR52)は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル又は(CH−R61を表す。したがって、「アルキルアミン」は、それと結合した置換又は非置換アルキルを有する(すなわち、R50及びR51の少なくとも1つがアルキル基である)、上記で定義されたアミン基を含む。
【0020】
本明細書において「アラルキル」とは、単独であれ、例えばアラルキルオキシなどの基の名称の一部としてのものであれ、本明細書に記載のアリール基(例えば、芳香族又は複素芳香族基)で置換された本明細書に記載のアルキル基を指す。各アラルキル基のアルキル部分及びアリール部分の双方は典型的には任意に置換され(得)る。典型的なアラルキル基としては、例えば、一般式Ar−(CH−(この一般式中、Arはアリール環を表し、tは1〜6の整数である)を含む。
【0021】
本明細書において「アリール」とは、単独であれ、例えば「アリールオキシ」などの別の名称の一部としてのものであれ、環員としてN、O及びSから選択される0〜4個のヘテロ原子を含み得る5員、6員及び7員の単環芳香族基、ならびに例えば、ベンゼン、アントラセン、ナフタレン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジンなどのような環を含んでなる縮合二環式系及び三環式系(fused bicyclic an tricyclic systems)を含む。環構造にヘテロ原子を有するアリール基は、「アリール複素環」又は「複素芳香族」とも称される。芳香環は、1以上の環位置において、上記のような、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボニル含有基、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部分、−CF又はCNなどの置換基で、利用可能な価数が許容するように置換されてもよい。「アリール」には、2以上の炭素が2つの隣接する環に共有されている(該環は「縮合環」である)2以上の環式環(多くの場合、2つ又は3つの環)を有する多環式環系も含む(この場合、これらの環の少なくとも1つは芳香族であり、例えば、他の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロシクリルである)。いくつかの実施形態では、各アリールはフェニル、チオフェン、フラン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール及びイソチアゾールから選択される。フェニルがときどき、好ましい。
【0022】
「ブレンステッド酸」とは、水素イオン(プロトン)供与体として働き得る任意の物質を指す。
【0023】
「カルボニル含有基」とは、一般式:

[この一般式中、X50は結合であるか、あるいは酸素又は硫黄を表し、R55及びR56は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−R61又は薬学上許容される塩を表す(ないし与える)陽イオンを表し、m及びR61は上記で定義されたとおりである]
により表し得るような部分を含む。カルボニル含有基が存在する場合のいくつかの実施形態では、それはカルボン酸又はエステル又はアシルオキシ基であり;X50は、このような実施形態ではOであり、かつ、R55又はR56は、存在する場合には、しばしば、H又は任意に置換されたアルキル基である。
【0024】
「ジラジカル」とは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアラルキル基(それぞれ任意に置換され(得)る)に由来する任意の一連の二価の基を指す。例えば、

はアルキルジラジカルであり;

もアルキルジラジカルであり;

はアラルキルジラジカルであり;また

は(アルキル)ヘテロアラルキルジラジカルである。典型的な例は、一般構造(CH(この一般構造式中、xは1〜6である)のアルキレン;2〜6個の炭素原子を有し、かつ1以上の二重結合又は三重結合を含む対応するアルケニレン及びアルキニレンリンカー;3〜8環員を有するシクロアルキレン基;(CHC(=O)(CH(この式中、a及びbは、それぞれ0〜4の整数である)などの基;及び

及びその異性体など、1つの開放原子価(ないしオ−プンバレンス:open valence)がアリール環上にあり、かつ1つ(他の開放原子価)がアルキル部分にあるアラルキル基を含む。ジラジカルのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアラルキル部分は、上記のように任意に置換され得る。
【0025】
本明細書において「ハロアルキル」とは、任意の位置の1〜全部の水素がハライドで置換されたアルキル基を指す。「パーハロアルキル」は、全部の水素がハライドで置換されたアルキル基を指す。
【0026】
本明細書において「ヘテロ原子」とは、炭素又は水素以外のいずれかの元素の原子を意味する。ヘテロ原子の例は、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄及びセレン(セレニウム)を含む。典型的には、ヘテロ原子は、N、O及びSから選択される。
【0027】
「ヘテロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」とは、本明細書に記載のアルキル及びシクロアルキル基を指す(そのアルキル又はシクロアルキル部分の少なくとも1つの炭素原子がN、O及びSから選択されるヘテロ原子で置換されている)。典型的な例は、メトキシメチル、アリルチオエチル、ジメチルアミノエチル及びテトラヒドロフラニルが挙げられる。
【0028】
「ヘテロシクリル」又は「複素環式基」とは、その環構造が少なくとも1つの炭素原子と、1〜4個のヘテロ原子とを含む、3〜10員の環構造、いくつかの例では3〜7員環を指す。複素環はまた多環でもあり得る。ヘテロシクリル基は、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム(アゼチジノン及びピロリジノンなど)、スルタム及びスルトンを含む。複素環式環は1以上の位置で、上記のように、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボニル含有基、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又は複素芳香族部分、−CF又はCNなどのような置換基で置換することができる。
【0029】
「ルイス酸」とは、電子対受容体として働き得る任意の物質を指す。
【0030】
炭素の数が特に明示されていなければ、本明細書において「低級アルキル」とは、その主鎖構造に1〜10個の炭素、いくつかの実施形態では1〜6個の炭素原子を有する上記で定義されたアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」も同様の鎖長を有する[アルケニル基及びアルキニル基を意味する]。あるアルキル基は、低級アルキルである。いくつかの実施形態において、本明細書にアルキルとして示されている置換基は低級アルキルである。
【0031】
本明細書において「ニトロ」とは−NOを意味し;「ハロゲン」とは−F、−Cl、−Br又はIを表し;「スルフヒドリル」とは−SHを意味し;「ヒドロキシル」とは−OHを意味し;そして「スルホニル」とは−SO−を意味する。
【0032】
本明細書において「任意に置換され(得)る、ないし任意に置換された」とは、明示された基が非置換型であってもよいし、あるいはその明示された基の利用可能な価数と一致するまで、1以上の置換基で置換され(得)ることを示す。いくつかの実施形態では、任意に置換され(得)る基は、それぞれ4個までの置換基又は0〜3個の置換基で置換される。
【0033】
「オキソ」とは、カルボニル酸素(=O)を指す。
【0034】
「ポリシクリル」又は「多環式基」とは、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通している2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロシクリル)を指し、例えば、それらの環は「縮合環」である。非隣接原子を介して結合されている環は「架橋」環と呼ばれる。この多環の各環は、上記のように、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボニル含有基、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又は複素芳香族部分、−CF又は−CNなどのような置換基で置換され得る。
【0035】
本明細書において「保護基」とは、所望でない化学変換から潜在的な反応性官能基を保護する一時的な置換基を意味する。このような保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびにアルデヒドのアセタール、ケトンのケタールそれぞれが挙げられる。保護基化学の分野は、総説されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 第二版; Wiley:New York、1991)。
【0036】
本明細書において「糖」とは、1以上のピラノース及び/又はフラノース環を含む天然又は非天然の単糖、二糖、オリゴ糖を指す。この糖は、本発明のステロイド系アルカロイドにエーテルの架橋(linkage)を介して、又はアルキルの架橋(linkage)を介して共有結合されてもよい。ある実施形態において、この糖部分は、本発明のステロイド系アルカロイドに、糖環のアノマー中心において共有結合されていてもよい。糖は、限定されるものではないが、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、グルコース及びトレハロースを含む。
【0037】
「トリフリル」、「トシル」、「メシル」及び「ノナフリル」とは、それぞれトリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル及びノナフルオロブタンスルホニル基を指す。「トリフレート」、「トシレート」、「メシレート」及び「ノナフレート」とは、それぞれ、トリフルオロメタンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホン酸エステル及びノナフルオロブタンスルホン酸エステル官能基及び前記の基を含む分子を指す。
【0038】
「チオキソ」とは、カルボニル硫黄(=S)を指す。
【0039】
省略形のMe、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msは、それぞれメチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル及びメタンスルホニルを指す。当技術分野の通常の知識を有する有機化学者が用いる省略形の総覧はJournal of Organic Chemistryの初版の各巻に見られ、この一覧は典型的にはStandard List of Abbreviationsと題された表に示される。
【0040】
「置換」又は「で置換された」とは、このような置換が置換された原子及び置換基の許容される原子価と一致し、かつ、該置換が安定な(例えば、再配列、環化、除去による変換などの変換を自然に起こさない)化合物になるという暗黙の条件を含むと理解される。
【0041】
2つの基が「一緒になって結合を形成する」場合であって、かつ、それ以外において互いに直接結合していない(2つの)原子に、これらの基が(それぞれ)結合している場合には、係る2つの基は、それらが結合している原子の間の結合を表す。これらの基が互いに直接結合している(2つの)原子上に(それぞれ)ある場合は、2つの基は互いに直接結合している2つの原子の間の付加的結合を表す。よって、例えば、R及びRが一緒になって結合を形成している場合、構造−C(A)R−C(B)R−は−C(A)=C(B)−を表す。
【0042】
本発明は、一視点において、式1:

[式1中、
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は[(W)−S]20であり;
、R及びR13は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
は、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
及びR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
あるいはR12及びR13は、一緒になって結合を形成し;
及びR10は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びR10は、一緒になって=O、=N(R20)、=N−OR20又は=Sを形成し;
11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又はC(S)N(R20)(R20)であるか;あるいはR11は、式−[C(R20−R21を有し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R)−R21(ここで、各Rは、独立してH又はC1−C6アルキルである)であるか;
あるいは任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21はそれぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
の化合物及びその薬学上許容される塩を含む。
【0043】
本発明のある化合物は、特に、幾何異性型又は立体異性型で存在し得る。本発明は、本発明の範囲内にあるものとして、シス−及びトランス−異性体、R−及びS−鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、それらのラセミ混合物、及びそれらの他の混合物を含む、このような化合物の全てを意図する。付加的な不斉炭素原子が、アルキル基のような置換基中に存在していてもよい。このような異性体ならびにそれらの混合物は全て、本発明中に含まれるものとする。本発明の化合物に互変異性型の可能性がある場合、本発明は各互変異性型を含む。キラル中心の立体化学が明白に描写又は記載されていなければ、その構造はその中心に各異性体を含む。構造の図に化合物の絶対的な立体化学が描写されている場合、その描写されている異性体は好ましい実施形態であり、具体的描写されている各化合物のラセミ混合物も本発明の実施形態である。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明は、R、R、R12及びR13がそれぞれHを表す式1の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、R11はH又は任意に置換されたC1−C6アルキルである。
【0045】
式1の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R及びRは双方ともHであるか;又はR及びRは、一緒になって=Oを形成する。
【0046】
前記実施形態のいくつかでは、R及びRは、一緒になって結合を形成し、従って、D環は二重結合を含む。このような実施形態では、Xは、ときには、結合であり、ときには、CHである。いくつかの実施形態では、R及びRは、それぞれHである。
【0047】
前記実施形態のいくつかでは、R及びR10は、それぞれHであり、他の場合では、R及びR10は、一緒になって=O又は=Sを形成し、従って、A環はラクタム又はチオラクタムである。いくつかの実施形態では、RはH又はMeである。
【0048】
前記実施形態のいくつかでは、Rは好ましくはH又は任意に置換されたC1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキルである。前記実施形態の他のものでは、Rは好ましくはC(O)R20、SO20又はCO20型のものであり、ここで、R20は任意に置換されたC1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキルである。ある実施形態では、RがCOOR20である場合、R20はベンジル、メチル、エチル又はtert−ブチルである。
【0049】
前記実施形態のいくつかでは、R11は好ましくはH又は任意に置換されたC1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキルである。前記実施形態の他のものでは、R11は好ましくはC(O)R20、SO20又はCO20型のものであり、ここで、R20は任意に置換されたC1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキルである。ある実施形態では、R11がCOOR20である場合、R20はベンジル、メチル、エチル又はtert−ブチルである。
【0050】
前記実施形態のいくつかでは、R及びRは双方ともHであり、他の実施形態では、R及びRがHでない場合、R及びRは、一緒になって結合を形成し、従って、A環は二重結合を含む。
【0051】
前記実施形態のいくつかでは、pは、それぞれ独立して、0又は1である。このような実施形態のいくつかでは、pは1である。
【0052】
いくつかの実施形態では、式1の化合物は式9の化合物又はその薬学上許容される塩である:

[式9中、
、R、R及びRは式1に関して上記で定義されたとおりであり、
及びR10は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;
あるいはR及びR10は、一緒になって=O、=N(R20)、=N−OR20又は=Sを形成し;
11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又は−C(S)N(R20)(R20)であるか;あるいはR11は、式−[C(R20−R21を有し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は[C(R)−R21(式中、各Rは、独立してH又はC1−C6アルキルである)であるか;あるいは任意の2つのR20は一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;かつ
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−CH−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]。
【0053】
式9の化合物のいくつかの実施形態では、Xは、−CH−である。他の実施形態では、Xは結合である。
【0054】
式9の化合物の前記実施形態のいくつかでは、Rは、H又は任意に置換されたC1−C6アルキルである。Rは、ときどき、Meである。
【0055】
式9の化合物のいくつかの実施形態では、RはHである。他の実施形態では、Rはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−C(O)N(R20)(R20)、COOR20、−[C(R20−R20、−[(W)−N(R20)C(O)]20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は−[(W)−S]20である。しばしば、Rは、H、任意に置換されたC1−C6アルキル、C(O)R20、SO20又はCOOR20である。ある実施形態では、RはH又はC(O)R20又はCOOR20である(ここで、R20は、ベンジル、メチル、エチル又はtert−ブチルである)。前記実施形態のいくつかでは、pは、それぞれ独立して、0又は1である。このようないくつかの実施形態では、pは、1である。
【0056】
式9の化合物のいくつかの実施形態では、R及びRは、双方ともHである。他のこのような実施形態においては、R及びRは、一緒になって結合を形成する。
【0057】
いくつかの実施形態では式9の化合物は、R及びR10は、一緒になって=O又は=Sを結合する。多くのこのような実施形態では、それらは、一緒になって=Oを形成する。
【0058】
いくつかの実施形態では、式9の化合物は、

及びこれらの化合物の薬学上許容される塩から選択される。
【0059】
別の視点において、本発明は、式15の化合物又はその薬学上許容される塩を提供する:

[式15中、
A及びBは、それぞれ独立して−N(R13)−、−(C=O)−又は−(C=S)−であり;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は[(W)−S]20であり;
、R及びR10は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
は、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;
あるいはR及びR10は、一緒になって結合を形成し;
11、R12、R14及びR15は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;あるいはR11及びR12は、一緒になって結合を形成し;
あるいはR及びR14は、一緒になって結合を形成し;
13は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又はC(S)N(R20)(R20)であるか;あるいは式−[C(R20−R21を有し;
20はそれぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は[C(R)−R21(ここで、各Rは、独立して、H又はC1−C6アルキルである)であるか;あるいは任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る;
ただし、Aが−N(R13)−である場合には、Bは、−(C=O)−又は−(C=S)−でなければならず;かつ
Aが−(C=O)−又は−(C=S)−である場合には、Bは、−N(R13)−でなければならない]。
【0060】
式15の化合物のいくつかの実施形態では、Aは、−N(R13)−であり、かつ、Bは、C=Oである。式15の化合物の他の実施形態では、Bは−N(R13)−であり、かつ、AはC=Oである。
【0061】
式15の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R13は、Hである。他のこのような実施形態においては、R13はCOOR20又はSO20である(ここで、R20はC1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキル(各アルキル及びアリールは任意に置換され(得)る)である)。ある実施形態では、R13がCOOR20である場合、R20は、ベンジル、メチル、エチル又はtert−ブチルである。
【0062】
式15の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R11及びR12は、それぞれHである。他の実施形態では、R11及びR12は、一緒になって結合を形成する。
【0063】
式15の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R及びRは、一緒になって結合を形成する。他の実施形態では、R及びRは、双方ともHである。
【0064】
式15の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R及びRは、それぞれHであり;このような実施形態の他のものでは、R及びRは、一緒になって=Oを形成する。
【0065】
式15の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R及びR10は、それぞれHである。式15の化合物の前記実施形態のいくつかでは、RがHでない場合、R及びR14は、一緒になって結合を形成する。他の実施形態では、R10がHでない場合、R10及びRは、ときどき、一緒になって結合を形成する。
【0066】
式15の化合物の前記実施形態のいくつかでは、Rは、Hである。このような実施形態の他のものでは、Rは、COOR20又はSO20である(ここで、R20は、C1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキル(各アルキル及びアリールは任意に置換され(得)る)であり)。ある実施形態では、RがCOOR20である場合、R20は、ベンジル、メチル、エチル又はtert−ブチルである。
【0067】
式15の化合物の前記実施形態のいくつかでは、Xは、CHである。このような実施形態の他のものでは、Xは結合である。
【0068】
前記実施形態のいくつかでは、pは、それぞれ独立して、0又は1である。このようないくつかの実施形態では、pは1である。
【0069】
式15の化合物のいくつかの実施形態では、式21:

[式21中、
、R、R、R、R14、R13、R、R20及びXは、式15に関して上記で定義されたとおりであり、かつ、Yは、O又はSである]
の化合物又はその薬学上許容される塩である。
【0070】
式21の化合物のいくつかの実施形態では、Xは、−CH−である。他の実施形態では、Xは、結合である。
【0071】
式21の化合物の前記実施形態のいくつかでは、Yは、Oである。このようないくつかの実施形態では、Rは、Hである。
【0072】
式21の化合物の前記実施形態のいくつかでは、Rは、Hである。他のこのような実施形態においては、Rは、COOR20又はSO20である(ここで、R20は、C1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキル(各アルキル及びアリールは任意に置換され(得)る)であり)。ある実施形態では、RがCOOR20である場合、R20はベンジル、メチル、エチル又はtert−ブチルである。
【0073】
式21の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R及びR14は双方ともHである。このような実施形態の他のものでは、R及びR14は、一緒になって結合を形成する。
【0074】
式21の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R及びRは双方ともHである。このような実施形態の他のものでは、R及びRは、一緒になって=Oを形成する。
【0075】
式21の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R13はH、又はメチルのようなC1−C6アルキルである。このような実施形態の他のものでは、R13は、COOR20又はSO20である(ここで、R20は、C1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキル(各アルキル及びアリールは任意に置換され(得)る)であり)。ある実施形態では、R13がCOOR20である場合、R20は、ベンジル、メチル、エチル又はtert−ブチルである。前記実施形態のいくつかでは、pは、それぞれ独立して0又は1である。このようないくつかの実施形態では、pは、1である。
【0076】
前記実施形態のいくつかでは、式21の化合物は式23:

[式23中、
、R13及びXは、式15に関して定義されたとおりであり、かつ、Yは、O又はSである]
を有し、又はその薬学上許容される塩である。
【0077】
式23の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、Hである。このような実施形態の他のものでは、RはCOOR20又はSO20である(ここで、R20は、C1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキル(各アルキル及びアリールは任意に置換され(得)る)であり)。ある実施形態では、RがCOOR20である場合、R20はベンジル、メチル、エチル又はtert−ブチルである。
【0078】
式23の化合物の前記実施形態のいくつかでは、R13はHである。このような実施形態の他のものでは、R13はCOOR20又はSO20である(ここで、R20は、C1−C6アルキル又はアリール−(C1−C6)−アルキル(各アルキル及びアリールは任意に置換され(得)る)であり)。ある実施形態では、R13がCOOR20である場合、R20はベンジル、メチル、エチル又はtert−ブチルである。
【0079】
式23の化合物の前記実施形態のいくつかでは、Xは、CHである。このような実施形態の他のものでは、Xは、結合である。
【0080】
式23の化合物の前記実施形態のいくつかでは、Yは、Oである。
【0081】
前記実施形態のいくつかでは、pは、それぞれ独立して、0又は1である。このようないくつか実施形態では、pは1である。
【0082】
いくつかの実施形態では、式15の化合物は



及びその薬学上許容される塩から選択される。
【0083】
本発明の化合物の薬学上許容される塩は、例えば、無毒の有機酸又は無機酸からの、化合物の通常の無毒の塩又は第四級アンモニウム塩を含む。例えば、このような通常の無毒の塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸に由来するもの;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などのような有機酸から調製される塩を含む。
【0084】
他の場合において、本発明の化合物は1以上の酸性官能基を含んでもよく、従って、製薬上許容される塩基で薬学上許容される塩を形成することができる。これらの例において、「薬学上許容される塩」とは、本発明の化合物の比較的無毒の無機塩基付加塩及び有機塩基付加塩を指す。これらの塩は同様に、投与ビヒクル中でin situで又は投与形態(薬剤)製造ステップで調製することもできるし、あるいは遊離酸の形態の精製化合物を、薬学上許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩などの好適な塩基と、又はアンモニアと、又は薬学上許容される有機第一級アミン、第二級アミンもしくは第三級アミンとを別に反応させて調製することもできる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウムの塩などを含む。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどを含む(例えば、上記Berge et al.,参照)。
【0085】
別の視点において、本発明は、上記の実施形態に記載の少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの薬学上許容される賦形剤とを混合して含む医薬組成物を提供する。
【0086】
別の視点において、本発明は、有効量の本明細書に記載の化合物を対象ないし被験者に投与することを含む、ヘッジホッグ経路により媒介される症状ないし状態を処置する方法を提供する。本発明はまた、有効量の本明細書に記載の化合物を対象に投与することを含む、対象においてヘッジホッグ経路に拮抗ないし対抗(アンタゴナイズ)する方法も提供する。本発明はまた、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物を対象に投与することを含む、対象において癌を処置する方法も提供する。このような癌は、中枢神経系の癌及び消化管の癌を含む。本発明はさらに、患者の細胞においてヘッジホッグ経路の活性化を低減ないし抑制するのに十分な量の本明細書に記載の化合物を患者に投与することを含む、過剰増殖性疾患を有すると診断された患者においてヘッジホッグ経路の活性化を阻害する方法を提供する。
【0087】
別の視点において、本発明は、対象(subject)に任意の上記実施形態に記載の少なくとも1つの化合物、その薬学上許容される塩又はその医薬(ないし薬剤)組成物を投与することを含む、ヘッジホッグ経路の過度な活性により影響を受けた対象を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、過剰増殖性疾患を有すると診断された対象であり、いくつかの実施形態では、過剰増殖性疾患は、癌である。
【0088】
ステロイド系アルカロイド化合物の合成
上記のステロイド系アルカロイド誘導体は、天然ステロイド系アルカロイド又はその合成類似体から直接調製することができる。ある例では、ステロイド系アルカロイド出発物質はシクロパミン又はジェルビン(jervine)であり得る。これらのステロイド系アルカロイドは商業的に購入もできるし、又はVeratrum californicumから抽出することもできる。
【0089】
ある例では、本発明の化合物は、6員の窒素含有A環を含み得る(図1参照)。これらの化合物は下記のように、A環に二重結合を有するステロイド系アルカロイドのA環の酸化切断によって取得ないしアクセスすることができる。A環の二重結合に位置によって、切断(ないし開裂:cleavage)及び環への窒素の組み込みの部位は変わり得る。以下の例では、二重結合はケトンと共役され、過ヨウ素酸ナトリウム及び過マンガン酸カリウムに曝された際に二重結合が酸化切断され、その環から炭素1個が除去される。得られたケト−エステルをアミン及び還元剤で処理して、6員のラクタムを形成することができる。以下の例では、6員のラクタムを形成するために、以下の酢酸アンモニウムが使用される。得られたラクタムをさらにアルキル化することがき、あるいは別法としては、第一級アミンを用いて第四級ラクタムを取得することができる。得られたラクタムを還元すれば、A環にアミンを有するステロイド系アルカロイドを得ることができる。
【0090】
ある例では、本発明の化合物は、7員の窒素含有A環を含み得る。これらの化合物はベックマン再配列によってA環オキシム誘導体から直接形成可能である。再配列された生成物は、そのアミドの窒素のアルキル化、そのアミドのアミンへの還元などによってさらに誘導体化することができる。以下の例では、A環オキシムをMsCl及び塩基で処理し、ベックマン再配列に影響を及ぼして第二級及び第三級A環拡大ラクタムを得る。
【0091】
ある例では、本発明の化合物は6員又は7員のD環を含み得る。6員のD環を有する化合物は、ジェルビン又はシクロパミンなどのある種の天然物から取得できる。要するに、スキームAの例で示されているように、7員のD環類似体は、好適なステロイド系アルカロイドのD環をシクロプロパン化した後に、得られたシクロプロパン化生成物をルイス酸又はブレンステッド酸で処理して、7員のD環類似体を生成する環拡大再配列を触媒することによって、得ることができる。
【0092】
スキームA 7員のD環の形成例

この環拡大は、A環の修飾が行われる前、又は行われた後に行うことができる。これらの環拡大類似体は、当技術分野で公知の種々の官能基化反応を用いてさらに官能基化することができる。代表的な例としては、アルケニルハライド又はアリールハライドへのパラジウムカップリング反応、酸化、還元、求核試薬との反応、求電子試薬との反応、ペリ環状反応、保護基の設置及び保護基の除去及びなどが挙げられる。
【0093】
医薬組成物(薬剤)
本明細書に開示される化合物又はその塩は、1以上の薬学上許容される担体(添加剤)及び/又は希釈剤を用いて投与に好適な組成物へと処方することができる。医薬組成物は、以下に適合したものを含む固体又は液体状で投与のために特別に処方することができる:(1)経口投与、例えば、水薬(水性又は非水性の溶液又は懸濁物)、錠剤、例えば口内、舌下及び全身吸収を対象とするもの、カプセル、ボーラス、粉末、顆粒、舌へ適用するためのペースト;(2)非経口投与、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、又は徐放性処方物などの皮下、筋肉内、静脈内又は硬膜外注射によるもの;(3)局所適用、例えば、クリーム、軟膏又は放出制御性パッチ若しくは皮膚へ適用されるスプレー;(4)膣内又は直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム又はフォームとしてのもの;(5)舌下投与;(6)眼球投与;(7)経皮投与;(8)肺投与;又は(9)経鼻投与。
【0094】
医薬組成物に採用され得る好適な水性又は非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物(液)、オリーブオイルなどの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用、分散物の場合には、要求される粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0095】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、滑沢剤及び/又は抗酸化剤などの助剤を含んでもよい。本明細書に開示されている化合物に対する微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール及びフェノールソルビン酸などを包含することによって確保することができる。また、糖類及び塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物に含ませるのも望ましい。さらに、注射可能薬剤形の吸収の延長は、モノステアリン酸アルブミンやゼラチンなど、吸収を遅らせる薬剤を包含させることによって達成することができる。
【0096】
これらの処方物又は組成物の調製方法は、化合物と担体及び任意的に1以上の補助成分とを会合させるステップを含む。一般的に、当該処方物は、化合物と液体担体もしくは微粉固体担体又はその両方とを均一かつ緊密に会合させた後、必要に応じてその製品を成形することによって調整される。
【0097】
本明細書に開示されている化合物がヒト及び動物に医薬として投与される場合、それ自体で与えることもできるし、あるいは例えば薬学上許容される担体と組み合わせた0.1〜99%、又は約10〜50%、又は約10〜40%、又は約10〜30%、又は約10〜20%、又は約10〜15%の有効成分を含む医薬組成物として与えることもできる。
【0098】
医薬組成物における当該有効成分の実際の投与レベルは、患者に毒性を与えることなく、特定の患者の所望の治療応答を達成するのに有効な有効成分量、組成及び投与様式が得られるように可変である。
【0099】
選択される用量レベルは、使用する特定の化合物又はそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用する特定の化合物の排泄又は代謝率、吸収の割合及び程度、処置期間、使用する特定の化合物と組み合わせて使用する他の薬剤、化合物及び/又は物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、健康状態及び病歴ないし治療暦、ならびに医薬分野において周知の同様の因子を含む種々の因子に依存するだろう。
【0100】
一般に、本明細書に開示されている化合物の好適な一日量は、治療効果を得るのに有効な最低用量の化合物量であるだろう。このような有効量は一般に、上記の諸因子に依存するだろう。一般に、患者のための当該化合物の経口用量、静脈内用量及び皮下用量は、示された効果のために用いられる場合、一日に体重1キログラム当たり約0.0001〜約200mg、又は約0.001〜約100mg、又は約0.01〜約100mg、又は約0.1〜約100mg、又は約1〜約50mgの範囲であるだろう。
【0101】
当該化合物は、毎日、1日おき、週に3回、週に2回、毎週、又は2週間おきに投与することができる。投与計画は「休薬」を含むことができ、すなわち、2週間投与して1週間休む、又は3週間投与して1週間休む、又は4週間投与して1週間休むなど、又は休薬なしに連続的に投与することができる。当該化合物は経口投与、静脈内投与、腹膜内投与、局所投与、経皮投与、筋肉内投与、皮下投与、鼻腔内投与、舌下投与又は他の任意の経路で投与することができる。
【0102】
この処置を受ける対象は、霊長類、特にヒト、ならびにウマ、ウシ、ブタ及びヒツジなどの他の哺乳類、一般には家禽及びペットを含む、必要とする任意の動物である。
【0103】
処置方法
ヘッジホッグシグナル伝達は、多くの発達段階、とりわけ左右対称の形成において、必須である。ヘッジホッグシグナル伝達の欠損又は減少は、複数の発達上の欠損及び形成異常(それらのうち最も著しいものの一つが単眼奇形である)をもたらす。
【0104】
多くの腫瘍及び増殖性症状がヘッジホッグ経路によるものであることが示されている。このような細胞の増殖及び生存は本明細書に開示されている化合物による処置によって影響を受け得る。最近、孤発性基底細胞癌において(Xie et al. (1998) Nature 391: 90-2)、また、中枢神経系の原始神経外胚葉性腫瘍において(Reifenberger et al. (1998) Cancer Res 58: 1798-803)、ヘッジホッグ経路突然変異の活性化が起こっていることが報告された。ヘッジホッグ経路の制御されない活性化はまた、膵臓癌、食道癌、胃癌を含む消化管癌(Berman et al. (2003) Nature 425: 846-51, Thayer et al. (2003) Nature 425: 851-56)、肺癌(Watkins et al. (2003) Nature 422: 313-317)、前立腺癌(Karhadkar et al. (2004) Nature 431: 707-12, Sheng et al. (2004) Molecular Cancer 3: 29-42, Fan et al. (2004) Endocrinology 145: 3961-70)、乳癌(Kubo et al. (2004) Cancer Research 64: 6071-74, Lewis et al. (2004) Journal of Mammary Gland Biology and Neoplasia 2: 165-181)、及び肝細胞癌(Sicklick et al. (2005) ASCO conference, Mohini et al. (2005) AACR conference)などの多数の癌種でも示されている。
【0105】
例えば、ヘッジホッグ経路の小分子阻害(Small molecule inhibition)は、基底細胞癌(Williams, et al., 2003 PNAS 100: 4616-21)、髄芽細胞腫(Berman et al., 2002 Science 297: 1559-61)、膵臓癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51)、胃腸癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51, 公開PCT出願WO05/013800)、食道癌(Berman et al., 2003 Nature 425: 846-51)、肺癌(Watkins et al., 2003. Nature 422: 313-7)及び前立腺癌(Karhadkar et al., 2004. Nature 431: 707-12)の成長を阻害することが示されている。
【0106】
さらに、例えば、乳癌(Kubo et al., 2004. Cancer Research 64: 6071-4)、肝細胞癌(Patil et al., 2005. 96th Annual AACR conference, abstract #2942 Sicklick et al., 2005. ASCO annual meeting, abstract #9610)、血液性悪性腫瘍(Watkins and Matsui, 未発表の結果)、基底癌(Bale & Yu, 2001. Human Molec. Genet. 10:757-762 Xie et al., 1998 Nature 391: 90-92)、髄芽細胞腫(Pietsch et al., 1997. Cancer Res. 57: 2085-88)及び胃癌(Ma et al., 2005 Carcinogenesis May 19, 2005 (Epub))などの多くの癌種がヘッジホッグ経路の制御されない活性化を有していることが示されている。さらに、研究者らは、ヘッジホッグ経路の小分子阻害が乾癬の症状を改善することを示している(Tas, et al., 2004 Dermatology 209: 126-131)。実施例に示されるように、本明細書に開示されている化合物はヘッジホッグ経路を調節(modulate)することが示され、選択された化合物が腫瘍成長を阻害(inhibit)することが示されている。従って、これらの化合物は種々の癌などの種々の過剰増殖性疾患を処置することに有用であり得ると考えられる。
【0107】
本明細書で開示されている方法を用いて処置することができる増殖性障害は、肺癌(小細胞肺癌及び非小細胞肺癌)、他の肺系の癌、髄芽細胞腫及び他の脳癌、膵臓癌、基底細胞癌、乳癌、前立腺癌及び他の尿生殖器癌、胃腸間質腫瘍(GIST)及び他の消化管の癌、結腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、造血系の癌(多発性骨髄腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫ならびに骨髄異形成症候群を含む)、真性赤血球増加症、ワルデンストロームマクログロブリン血症、重鎖病、軟組織肉腫(繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、黒色腫及び他の皮膚癌)、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、肝嚢胞腺癌(stadenocarcinoma[sic, cystadenocarcinoma])、髄様癌腫、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、膀胱癌及び他の尿生殖器癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭癌、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴覚神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、子宮内膜癌、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、原発性骨髄化生、過好酸球増加性症候群、全身性肥満細胞症、家族性過好酸球増加症、慢性好酸球性白血病、甲状腺癌、神経内分泌癌及びカルチノイド腫瘍が挙げられる。さらなる障害としては、ゴーリン症候群及び乾癬を含む。
【0108】
この処置を受ける対象は、霊長類、特にヒト、ならびにウマ、ウシ、ブタ及びヒツジなどの他の哺乳類、一般には家禽及びペットを含む、必要とする任意の動物である。
【0109】
本明細書で開示されているヘッジホッグ阻害剤は他の癌処置と組み合わせることができる。例えば、それらは外科処置;放射線;生物療法(例えば、インターフェロン、サイトカイン、例えば、インターフェロンα、インターフェロンγ及び腫瘍壊死因子、造血系成長因子、モノクローナル血清療法、ワクチン及び免疫賦活薬など);抗体(例えば、アバスチン(avastin)、エルビタックス(Erbitux)、リツキサン(Rituxan)及びベクサー(Bexxar));内分泌療法(ペプチドホルモン、コルチコステロイド、エストロゲン、アンドロゲン及びアロマターゼ阻害剤を含む);抗エストロゲン作用薬(例えば、タモキシフェン(Tamoxifen)、ラロキシフェン(Raloxifene)及びメゲストロール(Megestrol));LHRH作用薬(例えば、ゴスクルクリン(goscrclin)及び酢酸ロイプロリド(Leuprolide acetate);抗アンドロゲン作用薬(例えば、フルタミド(flutamide)及びビカルタミド(Bicalutamide));遺伝子療法;骨髄移植;光線力学療法(例えば、ベルテポルフィン(vertoporfin[sic、verteporfin])(BPD−MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4及びデメトキシ−ヒポクレリンA(2BA−2−DMHA));及び化学療法薬と組み合わせることができる。
【0110】
化学療法薬の例は、ゲムシタビン、メトトレキサート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルバジン、エトポシド、プレドニゾロン、デキサメタゾン、シタラビン(cytarbine[sic, cytarabine])、カンプトテシン(campathecins[sic, camptothecins])、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンが挙げられる。さらなる薬剤としては、ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン及びメルファラン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU))、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン及びトレオスルファン)、トリアゼン(例えば、ダカルバジン及びテモゾロマイド)、白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチン)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン)、タキソイド(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、エピポドフィリン(例えば、エトポシド、テニポシド、トポテカン、9−アミノカンプトテシン、カンプトイリノテカン、クリスナトール及びマイトマイシンC)、代謝拮抗剤、DHFR阻害剤(例えば、メトトレキサート及びトリメトレキサート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン及びEICAR)、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシ尿素及びデフェロキサミン)、ウラシル類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラチトレキセド及びカペシタビン)、シトシン類似体(例えば、シタラビン(ara C)、シトシンアラビノシド及びフルダラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン及びチオグアニン)、ビタミンD3類似体(例えば、EB1089、CB1093及びKH1060)、イソプレニル化阻害剤(例えば、ロバスタチン)、ドーパミン作動性神経毒(例えば、1−メチル−4−フェニルピリジニウムイオン)、細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン)、アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD及びダクチノマイシン)、ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2及びペプロマイシン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン及びミトキサントロン)、MDR阻害剤(例えば、ベラパミール)、Ca2+ATPアーゼ阻害剤(例えば、タプシガーギン)、イマチニブ、サリドマイド、レナリドミド、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ及びスニチニブ及びプロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブを含む)を含む。
【0111】
本明細書で開示されているヘッジホッグ阻害剤が付加的治療薬、放射線もしくは外科術のような他の処置と組み合わせて投与される場合、各薬剤又は療法の用量はほとんどの例で単剤療法の対応する用量よりも低くないし少なくなるだろう。また、一般に、本明細書に記載のヘッジホッグ阻害剤及び第二の治療薬は同じ医薬組成物で投与する必要はなく、異なる物理化学的特徴のために、異なる経路で投与してもよい。例えば、1つの化合物を経口投与し、第二の治療薬を静脈投与することができる。可能である場合、同じ医薬組成物での投与の様式及び適否(advisability)の決定は、十分に通常の知識を有する(当業)臨床医の技術範疇内である。最初の投与は当技術分野でステップの確立されたプロトコルに従って行なうことができ、その後、当業者臨床医によって、観察される効果に基づいて、用量、投与様式及び投与時間を修正することができる。
【0112】
ヘッジホッグ阻害剤及び第二の治療薬及び/又は放射線は、増殖性疾患の性質、患者の状態及び投与される第二の治療薬及び/又は放射線の実際の選択に応じて、並行(例えば、同時、本質的に同時もしくは同じ処置プロトコル内で)又は逐次(すなわち、一方の後に他方を任意の時間をあけて)投与することができる。
【0113】
ヘッジホッグ阻害剤及び第二の治療薬及び/又は放射線を同時に又は本質的に同時に投与しない場合には、最適な投与順序は、条件が異なれば異なり得る。よって、ある状況においては、最初に当該ヘッジホッグ阻害剤を投与した後に第二の治療薬及び/又は放射線を投与することができ、他の状況においては、最初に第二の治療薬及び/又は放射線を投与した後にヘッジホッグ阻害剤を投与することができる。この交互投与は単一の治療プロトコル内で繰り返してもよい。処置される疾病及び患者の状態を評価した後に、治療プロトコル内での各治療剤の投与順序及び投与の繰り返し回数を決定することは、十分に、通常の知識を有する医師の技術範疇内である。例えば、特に第二の治療薬が細胞毒性薬剤である場合に、第二の治療薬及び/又は放射線を最初に投与し、ヘッジホッグ阻害剤を投与し、ここで有利であると判断された場合に、第二の治療薬の投与及び/又は放射線治療をおこなうことによって、治療プロトコルが完了するまで処置を継続することができる。
【実施例】
【0114】
一般的に記載する本発明は、下記の実施例を参照すればより容易に理解されるであろう(なお、下記の実施例は、単に本発明のある視点及び実施形態を示すために含まれ、本発明を限定するものではない)。
実施例1

ステップA

シクロパミン2(5.02g、12.2mmol、1.0当量)を無水ピリジン(25mL)に溶解させた。DMAP(300mg、2.44mmol、0.2当量)及びトリエチルアミン(5.5mL、39.1mmol、3.2当量)、次いでBtO−Cbz(10.5g、39.1mmol、3.2当量)を加え、この混合溶液を40℃で2時間加熱した。この混合溶液を室温まで冷却し、30mLの水で処理し、均質な溶液が得られるまで加熱し、室温まで放冷した。生じた白色沈殿を濾取し、濾過ケーキを水(3×50mL)で洗浄し、風乾して、9.53gの未精製物質を得、これをトルエン/ヘプタン(1:9、70mL)から結晶化させて6.75gの目的生成物[3]を得た。
【0115】
ステップB

ビス(2,6−ジメチルフェニル)リン酸(6.76g、22.1mmol、3当量)を室温で無水DCM(50mL)に溶解させ、共沸させた(2回)。得られた固体を高真空下に12時間置いた。この固体をDCM(50mL)に懸濁させて透明な溶液を得た(フラスコA)。ビス−Cbz保護シクロパミン[3](5g、7.35mmol、1当量)を無水DCM(50mL)に溶解させ、共沸させた(2回)。得られた白色泡沫を高真空下に12時間置いた。乾燥したビス−Cbz保護シクロパミンを無水DCM(15mL)に溶解させた(フラスコB)。グローブボックス内で、火炎乾燥した500mLフラスコにジエチル亜鉛(2.63g、21.3mmol、2.9当量)を入れた。このフラスコをセプタム(septum)で密閉し、乾燥ボックスから出した。このフラスコをArバルーン下に置き、無水DCM(50mL)を入れた(フラスコC)。フラスコBを、カニューレを介してフラスコCに15分かけて加えた。この反応物を室温で20分間攪拌した。透明な溶液が得られた。フラスコAを、カニューレを介して反応フラスコCに10分かけて移した。この反応物をさらに5分間攪拌したところ、やや曇った黄色溶液が生じた。ジヨードメタン(1.78mL、22.1mmol、3当量)を室温で1分かけて加えた。この反応物を24時間攪拌した。飽和NHCl水溶液を加えることで反応を抑えた。層に分け、水層をDCMで逆抽出した。合わせた有機層を飽和NHCl水溶液(1回)、5%NaHCO(2回)、10%NaSO(1回)で洗浄した。この有機溶媒をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて発泡固体を得た。フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 95:5から8:2)により精製し、3.8gの目的物質[4]を得た。
【0116】
ステップC

丸底フラスコにビス−Cbz保護シクロプロピルシクロパミン[4](2g、2.88mmol、1当量)、MeOH(15mL)及びTHF(5mL)を入れ、2N NaOH(2mL)とともに55℃で3時間激しく攪拌した。減圧下でTHF及びMeOHを除去し、残渣をEtOAcで抽出した(3回)。合わせた有機層を鹹水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させて発泡固体を得た。フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 9:1から8:2)により精製し、1.1gの目的物質[5]を得た。
【0117】
ステップD

丸底フラスコにN−Cbz−シクロプロピルシクロパミン[5](2.3g、4.1mmol、1当量)、Al(OBu)(1.4g、5.76mmol、1.4当量)、トルエン(30mL)及び2−ブタノン(30mL)を入れた。この混合溶液をArの下、75℃で10時間加熱した。20%ロシェル塩水溶液を加えることで反応を抑えた。この二層混合溶液を40℃で20分間攪拌した。層に分け、水層をEtOAc/トルエン(1:1)で3回抽出した。合わせた有機層を20%ロシェル塩[溶液]で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、ヘプタンとともに2回の連続共沸蒸留を行うことにより濃縮乾固させた。未精製物質を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 4:1)を用いて精製し、859mgの目的生成物[6]を得た。
【0118】
ステップE

エノン誘導体[6](350mg、0.63mmol、1当量)をt−BuOH(5mL)に溶解させた後、NaCO(100mg、0.94mmol、1.5当量)水(5mL)溶液を加えた。この混合溶液を80℃に加熱し、NaIO(0.94g、4.4mmol、7当量)及びKMnO(7mg、0.043mmol、0.07当量)の水(5mL)溶液を入れた。60分後、この混合溶液を室温まで冷却した。この塩基性混合溶液を2N HClで酸性化し、EtOAcで抽出した(3回)。合わせた有機層を飽和NHCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。この物質をMTBEで2回、追跡した。この物質(373mg)をトルエン/MeOH(10mL;4:1、HPLC級)に溶解させ、2MのTMSCHNヘキサン[溶液](630μL、1.2mmol、2当量)で処理した。発泡が観察され、明黄色が持続した。この溶液に窒素を通じた後、その溶液を濃縮乾固させた。未精製物質(366mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 95:5から4:1)を用いて精製し、目的物質[7]を白色泡沫として得た(245mg)。
【0119】
ステップF

化合物7(237mg、0.4mmol、1当量)をMeOH(5mL)に溶解させ、室温で3時間、NHOAc(1.2g、16mmol、40当量)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(251mg、4mmol、10当量)で処理した。次に、この反応混合溶液にNHOAc(600mg、8mmol、20当量)を加え、50℃まで温め、4時間攪拌した。飽和NaHCO水溶液を加え、減圧下でMeOHを蒸留した。残渣をEtOAcで抽出した(3回)。合わせた有機層を1N NaOH(1回)、次いで飽和NHCl(1回)で洗浄すると、その後、層が明確に分かれた。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。未精製物質(257mg)を、フラッシュシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 1:9から100%EtOAc)を用いて精製し、5β還元ラクタム(82mg 化合物8)、次いで5α還元ラクタム(89mg、化合物9)を得た。
【0120】
ステップG

冷却(−78℃)した化合物9(82mg、0.15mmol、1当量)の無水DCM(3mL)溶液をBF−OEt(55μL、0.45mmol、3当量)で処理した。この混合溶液を−78℃で15分間攪拌した後、0℃まで温め、30分間攪拌した。飽和NaHCO水溶液を加えることで反応を抑えた。残渣をDCMで抽出した(3回)。合わせたDCM層を飽和NaHCO水溶液、水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。未精製物質(71mg)をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 1:9から100% EtOAc)により精製し、目的の5α還元ラクタム生成物[10]を固化油として得た(48mg)。
【0121】
ステップH

化合物10(42mg、0.075mmol、1当量)をEtOAc(3mL)に溶解させ、Pd/C 10%(8mg、湿潤、Aldrich Degussa タイプE101 ロット08331KC)で処理した。このフラスコを密閉し、水素でパージし(3回)、1気圧の水素下で10時間攪拌した。この混合溶液を0.2ミクロンのAcrosDiscフィルターで濾過し、46mgの未精製物質を得た。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(DCMからDCM/MeOH 92:8)により精製し、20mgの純粋な物質を得た([M+H]=427.4m/z)。
【0122】
実施例2

化合物11を、実施例1の手順に従い、ステップG及びHの化合物9の代わりに化合物8を用いて合成した。
【0123】
実施例3

ステップA

−20℃のジエチル亜鉛(572mg、482μL、4.63mmol、3当量)のDCM(5.0mL)溶液に、反応温度を−8℃未満に維持しつつ、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)リン酸(1.42g、4.63mmol、3当量)のDCM(15mL)溶液を加えた。この溶液を0℃で15分間熟成させ、無希釈ジヨード(1.24g、374μL、3当量)を加え、この混合溶液を0℃で15分間熟成させた後、(ビス−CBz−シクロパミン、1.05g、1.54mmol、1.0当量)のDCM(10mL)溶液を加えた。冷却浴を室温の水浴に置き換え、4.5時間室温で維持した。この混合溶液をドライアイス−アセトン浴で−76℃まで冷却し、反応温度を−74℃未満に維持しつつ、メタンスルホン酸DCM溶液(0.6mL 50%v/v溶液 4.63mmol、3.0当量)で滴下処理した。この混合溶液を15〜20分間熟成させ、反応温度を−65℃未満に維持しながら、モルホリン(2.69g、2.70mL、20当量)を滴下して[反応を]抑えた。冷却浴を取り外し、反応混合溶液を16〜18時間攪拌し、白色沈殿を濾別し、濾液を2.0M HCl(2×20mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×20mL)、水(2×20mL)及び鹹水(20mL)で連続的に洗浄した。その後、これを硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮して乾固させ、未精製物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 17:3→4:1)により精製し、924mg(1.33mmol、86%)の目的生成物[13]を得た。
【0124】
ステップB

化合物13(4.05g、5.83mmol、1当量)のEtOAc:トルエン(2:1、60mL)溶液に、炭素に担持した20%水酸化パラジウム(823mg、0.583mmol、0.1当量)を加えた。このフラスコを排気し、水素を3回充填した。この混合溶液を水素雰囲気下で1時間攪拌した。無希釈エチレンジアミン(0.38mL)を加え、この混合溶液を1時間攪拌した後、触媒を濾去した。濾過ケーキをEtOAc:トルエン(2:1、12mL)で2回洗浄した。合わせた濾液を2%エチレンジアミン水溶液(3×20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮し、2.46g[の目的生成物14]を白色の結晶固体として得た。
【0125】
ステップC

丸底フラスコにホモアリルアルコール14(7.50g、17.6mmol、1当量)、アルミニウムtert−ブトキシド(6.10g、24.8mmol、1.4当量)、無水トルエン(115mL)及び2−ブタノン(90g、1.24mol、7当量)を順次入れた。この懸濁液を窒素雰囲気下で、75℃にまで16時間加熱した。次に、反応温度を49℃まで放冷した。攪拌した懸濁液に20%(w/w)酒石酸カリウムナトリウム水溶液(226g)を加えた。懸濁液を室温で3.5時間攪拌した。層を分けた。有機層を20%ロシェル塩水溶液(2×250mL)及び水(225mL)で洗浄し、次に硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。残渣をトルエン(30mL)でリンスし、排出した。合わせた有機層を濃縮乾固させた。2−プロパノール(250mL 数回に分けて添加)から最終溶液質量が44gとなるまで濃縮することによって、この物質から残りの反応溶媒を除去した。2−プロパノールからn−ヘプタン(275mL 数回に分けて添加)に溶媒交換を行って最終溶液質量41gとしたところ、完全に目的生成物が沈殿した。懸濁液をさらなるn−ヘプタン(40mL)で希釈し、室温で1時間攪拌し、濾過した。この生成物をn−ヘプタン(17mL)で洗浄し、乾燥させ、5.4gの目的生成物[15]を得た。
【0126】
ステップD

丸底フラスコに出発物質[15](110mg、0.26mmol、1当量)及び炭素に担持した10%パラジウム(106mg)を入れた。これらの固体をピリジン(4mL)に懸濁させた。この懸濁液を水素雰囲気下(1気圧)に置き、この混合溶液を室温で一晩攪拌した。反応混合溶液をセライトで濾過し、濾液を真空濃縮した。未精製物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(MeOH/DCM 5:95)を用いて精製し、93mgの目的化合物[16]を得た。
【0127】
ステップE

丸底フラスコに化合物16(4.23g、9.94mmol、1当量)及びTHF(60mL)を入れた。トリエチルアミン(6.92mL、49.7mmol、5.0当量)及びクロロギ酸ベンジル(1.54mL、10.93mmol、1.1当量)を加え、この混合溶液を室温で1時間攪拌した。反応混合溶液を飽和炭酸水素水溶液(100mL)とEtOAc(100mL)とで分液した。層に分け、有機層を乾燥し(NaSO)、濃縮乾固させた。未精製物質をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 2:98→14:86)を用いて精製し、3.75gの物質[17]を得た。
【0128】
ステップF

化合物17(185mg、0.3mmol、1当量)のエタノール溶液(5ml)を塩酸ヒドロキシルアミン(140mg、2mmol、6当量)、酢酸ナトリウム(160mg、2mmol、6当量)及び水(0.5ml)で処理し、この混合溶液を室温で1時間攪拌した。この混合溶液をEtOAcと水(各50ml)とに分液した。有機層を鹹水(30ml)で洗浄し、で硫酸ナトリウム乾燥させ、濃縮して白色残渣とした。この未精製生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(エーテル/ヘキサン 2:3→1:1)により精製し、193mgのオキシム18を得た。
【0129】
ステップG

化合物18(50mg、0.087mmol、1.0当量)を無水ピリジン(1.0mL)に溶解させ、0℃にて塩化メタンスルホニル(20.0mg、0.174mmol、2.0当量)で処理した。2時間攪拌した後、この溶液を室温まで温め、5N水酸化ナトリウム(0.3ml、1.5mmol、18当量)で処理し、1時間攪拌した。この混合溶液をEtOAc(30mL)と1M塩化水素水溶液(15mL)とに分液した。有機層を水で洗浄し、鹹水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、透明な油状物とした。このラクタムの混合溶液をシリカゲルクロマトグラフィー(80〜100%酢酸エチル/ヘキサン、次いで1%メタノール酢酸エチル[溶液])により精製し、ラクタム位置異性体(regioisomers)の混合溶液を透明油状物として得た(34mg、収率68%)。
【0130】
攪拌棒及びゴム隔膜を備えたフラスコ内で、この生成カルバメートラクタムのをEtOAc(7ml)に溶解させた。この溶液を窒素でスパージし、10%Pd/C(湿潤,DegussaタイプE101,Aldrich,25mg)を加えた。この混合溶液を窒素、次いで水素ガスでスパージし、室温で3時間攪拌した。その後、この混合溶液を窒素でスパージし、0.45μmポリエチレン膜で濾過し、濃縮し、透明油状物とした。この油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5%水酸化アンモニウム/2〜20%MeOH/DCM)により精製し、純粋な分画を濃縮して油状物を得、これを7%水/tブタノールから凍結乾燥させ、未分離ラクタムの1:1混合物を白色粉末として得た(19mg:[M+H]=441.6m/z)。
【0131】
実施例4

化合物19は、実施例3に記載されているものと類似の手順を用いて作製した。
【0132】
実施例5

ステップA

化合物15(2.0g、4.7mmol、1.0当量)をDCM(20.0mL)及びTHF(20.0mL)に溶解させ、室温にてトリエチルアミン(3.3ml、23.6mmol、5.0当量)及びCbz−Cl(0.73ml、5.2mmol、1.1当量)で処理した。4−ジメチルアミノピリジン(50mg)を加え、この混合溶液を室温で60分間攪拌した。この混合溶液をEtOAc(200mL)と5%炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)とに分液した。有機層を鹹水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5→40%EtOAc/ヘキサン)により精製し、目的のカルバメート[20]を白色泡沫として得た(2.4g)。
【0133】
ステップB

化合物20(200.0mg、0.36mmol、1.0当量)をEtOH(3.0mL)及び水(0.3mL)に溶解させ、室温にて塩酸ヒドロキシルアミン(150mg、2.1mmol、6.0当量)及び酢酸ナトリウム(176mg、2.1mmol、6当量)で処理した。この混合溶液を70℃で10分間加熱した。この混合溶液をEtOAc(30mL)及び水(15mL)とに分液した。有機層を鹹水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、オキシム21を白色泡沫として得た(202mg)。
【0134】
ステップC

化合物21(200.0mg、0.34mmol、1.0当量)を無水ピリジン(1.0mL)に溶解させ、0℃にて塩化メタンスルホニル(120.0mg、1.05mmol、3.0当量)で処理した。2時間攪拌した後、この溶液を室温まで温め、5N水酸化ナトリウム(0.75ml、4.25mmol、12当量)で処理し、12時間攪拌した。この混合溶液をEtOAc(30mL)と1m HCl水溶液(15mL)とに分液した。有機層を水、次いで鹹水(各15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、O−メタンスルホン酸オキシムを透明な油状物として得た。この油状物をMeOH(5mL)に懸濁させ、濃HCl水溶液(0.75mL)で処理し、60℃で2時間加熱した。この暗褐色の混合溶液を真空濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(50→100% EtOAc/ヘキサン、次いで1→5%MeOHのEtOAc)により精製し、不飽和ラクタムを異性体的に純粋な白色固体として得た(45mg)。
【0135】
攪拌棒及びゴム隔膜を備えたフラスコ内で、この生成物カルバメートラクタムをピリジン(7ml)に溶解させた。この溶液を窒素でスパージし、10%Pd/C(湿潤,DegussaタイプE101,Aldrich,25mg)を加えた。この混合溶液を窒素、次いで水素ガスでスパージし、室温で48時間攪拌した。その後、この混合溶液を窒素でスパージし、0.45μmポリエチレン膜で濾過し、濃縮し、透明油状物とした。この油状物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0.5%水酸化アンモニウム/2→20%MeOH/DCM)により精製し、純粋な分画を濃縮して油状物を得、これを7%水/t−ブタノールから凍結乾燥させ、生成物[19]を白色粉末として得た(14mg:[M+H]=441.7m/z)。
【0136】
実施例6

ステップA

乾燥丸底フラスコにKOtBu(0.57g、5.1mmol、7当量)及びtBuOH(6mL)を入れ、この溶液を室温で10分間攪拌した。化合物17(0.3g、0.73mmol、1当量)を加え、5分間攪拌した。白色懸濁液は黄色の透明な溶液となった。ギ酸エチル(0.35mL、4.4mmol、6当量)を滴下したところ、この溶液はやや不透明となり、気泡を生じた。この泥状物を室温で48時間攪拌した。次に、この混合溶液をMTBE/1%NaOH(2×20mL)で分液した。水層をpHが5となるまで2N HClで酸性化した後、クロロホルムで抽出した(2回)。合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮乾固させ、200mgの淡黄色泡沫を得た。この物質[22]をそれ以上精製せずに次のステップで用いた。
【0137】
ステップB

丸底フラスコに化合物22(2.0g、3.40mmol、1当量)を入れ、トルエン(25mL)に溶解させた。この反応物にDDQ(0.849g、3.74mmol、1.1当量)を入れた。この混合溶液を室温で0.5時間攪拌した。次に、この反応混合溶液を元の容量の10%まで真空濃縮した。残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 10%→20%)を用いて精製し、目的物質[23]を得た。
【0138】
ステップC

丸底フラスコに化合物23(1.10g、1.88mmol、1当量)を入れ、トルエン(25mL)に溶解させた。この反応[溶液]にウィルキンソン触媒(1.77g、1.92mmol、1.02当量)を入れた。この混合溶液を80℃まで加熱し、0.5時間攪拌した。この反応混合溶液を冷却し、元の容量の10%まで真空濃縮した。この残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 10%→15%)を用いて精製し、目的物質[24]を得た。
【0139】
ステップD

丸底フラスコに化合物24(750mg、1.34mmol、1当量)を入れ、EtOH(10mL)及び水(1mL)に溶解させた。この反応[溶液]に塩酸ヒドロキシルアミン(662mg、8.07mmol、6.0当量)及び酢酸ナトリウム(561mg、8.07mmol、6当量)を入れた。この混合溶液を室温で0.5時間攪拌した。この反応混合溶液を水とEtOAcとに分液した。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮乾固させた。この残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 10%→25%)を用いて精製し、目的物質[25]を得た。
【0140】
ステップE

丸底フラスコに化合物25(770mg、1.34mmol、1当量)を入れ、ピリジン(10mL)に溶解させた。この反応[溶液]に塩化メタンスルホニル(462mg、4.03mmol、3.0当量)を入れた。この混合溶液を室温で0.5時間攪拌した。この反応混合溶液を1N HCl水溶液とEtOAcとに分液した。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮乾固させた。この残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン15%→20%)を用いて精製し、目的物質[26]を得た。
【0141】
ステップF

丸底フラスコに化合物26(765mg、1.18mmol、1当量)を入れ、MeOH(30mL)に溶解させた。この反応[溶液]に濃HCl(300mg、3.54mmol、7.0当量)を入れた。この混合溶液を60℃まで加熱し、17時間攪拌した。この反応混合溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とEtOAcとに分液した。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮乾固させた。この残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン50%→90%)を用いて精製し、目的物質[27]を得た。
【0142】
ステップG

丸底フラスコに化合物27(142mg、0.248mmol、1当量)を入れ、炭素に担持した10%パラジウム(30mg)を加えた。これらの固体をEtOH(3mL)に懸濁させた。この懸濁液を水素雰囲気下に置き、この混合溶液を室温で2時間攪拌した。この反応混合溶液をセライトで濾過し、濾液を濃縮乾固させた。この残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(MeOH/DCM 0%→5%)を用いて精製し、目的物質[12]を得た([M+H]=441.5m/z)。
【0143】
実施例7

ステップA

丸底フラスコに出発物質[27](51mg、0.09mmol、1当量)を入れた。この固体を5mLのテトラヒドロフランに溶解させた。この溶液を−78℃まで冷却した。0.5Mカリウムビス(トリメチルシリル)アミドのトルエン溶液(0.207mL、0.104mmol、1.2当量)を入れ、この溶液を−78℃で0.5時間攪拌した。次に、この反応物にヨウ化メチル(11μL、0.179mmol、2当量)を入れ、この反応物を25℃まで温めた。この反応物を一晩攪拌した後、水及び酢酸エチルを入れた。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮乾固させた。この残渣をDCMに溶解させ、SiO(シリカゲルクロマトグラフィー)にかけた。50→90%EtOAc/ヘキサンで溶出し、化合物32を得た([M+H]=587.8m/z)。
【0144】
ステップB

丸底フラスコに出発物質[32](50mg、0.085mmol、1当量)及び10%パラジウム/炭素(10mg)を入れた。これらの固体を3mLのエタノールに懸濁させた。この懸濁液を水素雰囲気下に置き、この混合溶液を25℃で4時間攪拌した。LCMSは、出発物質の完全な消失を示す。この反応混合溶液をセライトで濾過し、濾液を濃縮乾固させた。この残渣をDCMに溶解させ、SiO(シリカゲルクロマトグラフィー)にかけた。0→8%MeOH/DCMで溶出し、目的生成物の化合物31を得た([M+H]=455.5m/z)。
【0145】
実施例8

丸底フラスコに化合物31(10mg、0.022mmol、1当量)及びジクロロメタン(1mL)を入れた。この溶液にトリエチルアミン(3.2μL、0.066mmol、3当量)及び塩化メタンスルホニル(14μL、0.088mmol、4当量)を入れ、この溶液を0.5時間攪拌した。この反応混合溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルとに分液した。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮乾固させた。この残渣をDCMに溶解させ、SiO(シリカゲルクロマトグラフィー)にかけた。75→90%EtOAc/ヘキサンで溶出し、目的物質化合物35を得た([M+H]=533.8m/z)。
【0146】
実施例9

丸底フラスコに化合物12(16mg、0.036mmol、1当量)及びジクロロメタン(1mL)を入れた。この溶液にトリエチルアミン(8.0μL、0.109mmol、3当量)及び塩化メタンスルホニル(20μL、0.149mmol、4当量)を入れ、この溶液を0.5時間攪拌した。この反応混合溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルとに分液した。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮乾固させた。この残渣をDCMに溶解させ、SiO(シリカゲルクロマトグラフィー)にかけた。75→90%EtOAc/ヘキサンで溶出し、目的物質化合物40を得た([M+H]=519.8m/z)。
【0147】
実施例10

丸底フラスコに出発物質(1.15g、2.06mmol、1当量)及びエタノール(15mL)を入れた。この溶液に酢酸ナトリウム(1.015g、12.37mmol、6当量)を入れ、N−メチルヒドロキシルアミンHCl(0.189g、2.27mmol、1.1当量)を入れ、この溶液を70℃に加熱し、6時間攪拌した。この反応混合溶液を室温まで冷却し、濃縮した。この残渣を水と酢酸エチルとに分液した。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮乾固させた。この残渣をDCMに溶解させ、SiO(シリカゲルクロマトグラフィー)にかけた。0→10%MeOH/DCMで溶出し、目的物質を得た([M+H]=587.9m/z)。
【0148】

丸底フラスコに出発物質(1.10g、1.875mmol、1当量)を入れ、ピリジン(15mL)及び水(0.7mL)に溶解させた。この溶液に塩化トシル(0.430g、2.249mmol、1.2当量)を入れ、この溶液を室温で0.5時間攪拌した。この反応混合溶液を室温まで冷却し、濃縮した。この残渣を水とMTBEとに分液した。有機層を分離し、乾燥させ、濃縮乾固させた。この残渣をDCMに溶解させ、SiO(シリカゲルクロマトグラフィー)にかけた。10→80%EtOAc/Hexで溶出し、目的物質を得た([M+H]=587.9m/z)。
【0149】

丸底フラスコに出発物質(100mg、0.170mmol、1当量)及び炭素に担持した10%パラジウム(50mg)を入れた。これらの固体を3mLの酢酸エチルに懸濁させた。この懸濁液を水素雰囲気下に置き、この混合溶液を25℃で4時間攪拌した。この反応混合溶液をセライトで濾過し、濾液を濃縮乾固させた。この残渣をDCMに溶解させ、SiO(シリカゲルクロマトグラフィー)にかけた。0→10%MeOH/DCMで溶出し、目的化合物41を得た([M+H]=453.5m/z)。
【0150】
実施例11

ステップA

乾燥フラスコに[化合物]46(355mg、0.806mmol、1当量)及び乾燥THF(5mL)及びピリジン(326μL、4.03mmol、5当量)を入れた。この冷却(0℃)溶液を過酸化ベンゾイル(585mg、2.42mmol、3当量)で処理した。この混合溶液を0℃で1時間攪拌した後、この溶液を25℃まで徐々に温めた。2時間後、この混合溶液をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。水層をEtOAcでもう一度抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。この油状物をCHClに溶解させ、ヘキサン/EtOAc(40→100%)で溶出するSiOカラムにより精製し、238mgの目的化合物47を得た。
【0151】
ステップB

丸底フラスコに47(229mg、0.41mmol、1当量)及びMeOH(5mL)を入れた。この溶液を25℃にて2N KOH(1mL、2mmol、5当量)の存在下で処理した。この混合溶液を3時間攪拌した。窒素流(stream)により溶媒を除去し、この溶液を500μLの1N HClで中和した。水層を3分画(portions)のCHClで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。未精製物質(220mg)をCHClで溶解させ、SiOカラム(12g)にかけ、CHCl/MeOH(0%→100%)で溶出し、ヒドロキシルアミン45を得た。この物質をヘプタン/2−プロパノールから再結晶させ、目的物質3を得た([M+H]=547.5m/z)。
【0152】
化合物50は、上記のものと類似の技術を用いて製造した。

【0153】
実施例12
シクロパミンの類似体を用いた培養細胞におけるヘッジホッグ経路の阻害
ヘッジホッグ経路特異的癌細胞死滅作用は、以下のアッセイを用いて確認することができる。C3H10T1/2細胞はソニックヘッジホッグペプチド(Shh−N)と接触した際に骨芽細胞へ分化する。分化に際し、これらの骨芽細胞は、酵素アッセイで測定可能な高レベルのアルカリ性ホスファターゼ(AP)を生成する(Nakamura et al., BBRC(1997) 237: 465)。従って、C3H10T1/2の骨芽細胞への分化(Shh依存現象)を遮断する化合物は、AP生成の低下によって同定することができる(van der Horst et al., Bone(2003) 33: 899)。アッセイの詳細を以下に記載する。分化アッセイの結果(阻害のEC50)を下記の表1に示す。
【0154】
アッセイプロトコル
細胞培養
マウス胚性中胚葉線維芽細胞C3H10T1/2細胞(ATCCから入手)を、空気雰囲気下、5%CO、37℃で、10%熱失活FBS(Hyclone)、50ユニット/mlペニシリン及び50μg/mlストレプトマイシン(Gibco/Invitrogen)を添加した基本MEM培地(Gibco/Invitrogen)で培養した。
【0155】
アルカリ性ホスファターゼアッセイ
C3H10T1/2細胞を96ウェルプレートに8×10細胞/ウェルの密度で蒔いた。細胞を集密状態まで(72時間)増殖させた。ソニックヘッジホッグ(250ng/ml)及び/又は化合物で処理した後、細胞を、110μlの溶解バッファー(50mM トリス pH7.4、0.1%トライトンX100)に溶解させ、プレートを超音波処理し、溶解物を0.2μmPVDFプレート(Corning)を介してスピンした。40μlの溶解物を、1mg/ml p−ニトロフェニルリン酸を含むアルカリ性バッファー溶液(Sigma)内でAP活性についてアッセイした。37℃で30分間インキュベートした後、プレートをEnvisionプレートリーダーにて405nmで読み取った。Pierce社のBCAタンパク質アッセイキットを製造者の説明書に従って用いて総タンパク質を定量した。AP活性を全タンパク質に対してノーマライズ(ないし規格化)した。注)「A」は、IC50が20nM未満であることを示し、「B」は、IC50が20〜100nMであることを示し、「C」は、IC50が>100nMであることを示す。
【0156】
表1 阻害の概略EC50

【0157】
実施例13
膵臓癌モデル
化合物12の活性をヒト膵臓モデル(:BXPC−3細胞をマウス右足の側部に皮下移植した)でさらに試験した。腫瘍移植42日後に、マウスをビヒクル(30%HPBCD)又は化合物12のいずれかの投与を受ける2つの群に無作為に区分(ないし、無作為にグループ分け)した。化合物12を30mg/kg/日で経口投与した。25回の日用量投与を受けた後、化合物12は、ビヒクルコントロールと比べて、腫瘍量の成長を16%低減した。この実験の終了時に、HH経路遺伝子のq−RT−PCR分析により標的応答を評価するため、最後の投与から4時間後に腫瘍を採取した。ヒトGli−1の分析では変化は見られなかった。マウスGli−1 mRNAレベルの分析では、ビヒクル処理群に比べた場合、化合物処理群に強い抑制制御(ダウンレギュレーション)が見られた。ヒト腫瘍細胞では示されなかったが、マウス細胞におけるヘッジホッグ経路の阻害は、ヘッジホッグ阻害剤の1つの作用が腫瘍と間質の相互作用に影響を及ぼすことを示す。
【0158】
実施例14
髄芽細胞腫モデル
化合物12の活性はまた、髄芽細胞腫のトランスジェニックマウスモデルでも評価された。腫瘍抑制因子Patched1(Ptch1)及びHypermethylated in Cancer(Hic1)における機能欠損型突然変異の異系接合であるマウスは自発性髄芽細胞腫を発達させる。ヒト髄芽細胞腫と同様に、これらの腫瘍は、残存しているHic1対立遺伝子の完全な過剰メチル化プロモーター、ならびに野生型Ptch1対立遺伝子の発現の欠損を示す。皮下同種移植片として受け渡された場合、これらの腫瘍は急速に増殖し、ヘッジホッグ経路に依存的である。このモデルを採用し、経口投与された化合物の有効性を評価し、活性と、血漿及び腫瘍における薬剤曝露との関連付けを行った。化合物12の単回用量の経口投与(PO)は、投与8時間後のGli−1 mRNA発現の低下により測定されたように、皮下移植腫瘍においてHH経路の用量依存的ダウンレギュレーションをもたらした。
【0159】
化合物POの毎日(QD)投与は、腫瘍増殖の用量依存的阻害をもたらし、高用量の投与では明白な腫瘍退縮が見られた。腫瘍増殖を50%阻害(ED50)する有効な概略1日経口用量は3〜7.5mg/kgの間である。これは、ヘッジホッグ阻害化合物12が、ヘッジホッグ経路と、遺伝子突然変異に起因するヘッジホッグ経路依存性腫瘍における腫瘍成長の双方を阻害することを示す。
【0160】
実施例15
多発性骨髄腫
化合物12の、in vitroにおいて多発性骨髄腫細胞(MM)の増殖を阻害する能力を、ヒト多発性骨髄腫細胞系統(NCI−H929及びKMS12)ならびにMMを有する患者に由来する一次臨床骨髄検体を用いて試験した。細胞を化合物で96時間処理し、洗浄した後、メチルセルロースに蒔いた。処理後の細胞増殖能の指標として、10〜21日後に腫瘍コロニーを定量した。細胞系統又は一次患者検体の処理は、非処理コントロールに比べて細胞増殖の低下をもたらした。非処理コントロールが100%の細胞増殖を示す場合、処理細胞系統ならびに臨床サンプルは、それぞれ約25%未満の増殖を示した。
【0161】
実施例16
急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群
化合物12の、急性骨髄性白血病(AML、細胞系統U937)及び骨髄異形成症候群(MDS、細胞系統KG1及びKG1a)を有する患者に由来するヒト細胞系統のin vitro増殖を阻害する能力を試験した。各細胞系統を化合物12(1.0μM)で72時間処理した後、メチルセルロースに蒔いた。下表にまとめられるように、これらの細胞系統の増殖は化合物12により阻害された。
【0162】
表2 AML及びMDSにおける細胞成長の阻害

【0163】
実施例17
非ホジキンリンパ腫(NHL)及びホジキン病(HD)
化合物12の、非ホジキンリンパ腫(細胞系統RL及びJeko−1)及びホジキン病(細胞系統L428)を有する患者に由来するヒト細胞系統のin vitro増殖を阻害する能力を試験した。各細胞系統を化合物12(1.0μM)で72時間処理した後、メチルセルロースに蒔いた。下表にまとめられるように、これらの細胞系統の増殖は化合物12により阻害された。
【0164】
表3 HD及びNHLにおける細胞成長の阻害

【0165】
実施例18
プレB細胞急性リンパ性白血病(ALL)
3種類のプレB細胞急性リンパ性白血病細胞系統(REH、RS4−11及びNalm−6)に対する化合物12(1μM)の活性を、Gli応答性(reponsive[sic, responsive])ルシフェラーゼリポーターが細胞に一次的にトランスフェクトされた一時的トランスフェクションアッセイを用いて試験した。化合物12での処理は、ビヒクル処理コントロールに比べて、ルシフェラーゼ活性を抑制した(表4)。これは、化合物12がヘッジホッグ経路の有効な拮抗因子ないしアンタゴニストであることを示す。
【0166】
表4 ルシフェラーゼ活性の抑制

【0167】
in vitroで72時間処理した場合の、これら2つの細胞系統の増殖に対する化合物12の作用も試験した。処理後、細胞を洗浄し、メチルセルロースに蒔いた。コロニー形成の阻害はほとんどなかったが、その後、再びプレートに蒔いたコロニーは、細胞増殖の有意な阻害を示した(表5)。
【0168】
表5 ALLにおける細胞増殖の阻害

【0169】
引用による組み込み
本明細書で引用された米国特許及び米国公開特許出願の全ては、引用により本書に組み込み、記載される。
【0170】
等価物
当業者ならば、ルーチン的実験を行うだけで本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識し、又は確認することができる。このような等価物は、(以下の)特許請求の範囲の請求項に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:

[式1中;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は[(W)−S]20であり;
、R及びR13は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
は、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
及びR12は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
あるいはR12及びR13は、一緒になって結合を形成し;
及びR10は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びR10は、一緒になって=O、=N(R20)、=N−OR20又は=Sを形成し;
11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又はC(S)N(R20)(R20)であるか;あるいはR11は、式−[C(R20−R21を有し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R)−R21(ここで、各Rは、独立して、H又はC1−C6アルキルである)であるか;
あるいは任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
の化合物又はその薬学上許容される塩。
【請求項2】
、R、R12及びR13がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRが双方ともHであるか;
あるいはR及びRが一緒になって=Oを形成する、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが一緒になって結合を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
及びR10がそれぞれHであるか;
あるいはR及びR10が一緒になって=O又は=Sを形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
及びRが双方ともHである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
及びR10が一緒になって=O又は=Sを形成する、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
及びR11がH、C(O)R20、SO20及びCOOR20から独立して選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
式9:

[式9中、
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は[(W)−S]20であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
及びR10は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;
あるいはR及びR10は、一緒になって=O、=N(R20)、=N−OR20又は=Sを形成し;
11は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又は−C(S)N(R20)(R20)であるか;あるいはR11は、式−[C(R20−R21を有し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は[C(R)−R21(ここで、各Rは、独立して、H又はC1−C6アルキルである)であるか;あるいは任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;かつ
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−CH−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
の化合物又はその薬学上許容される塩。
【請求項10】
Xが−CH−である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がH又はアルキルである、請求項9又は請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
がH、任意に置換されたC1−C6アルキル、C(O)R20、SO20又はCOOR20である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
及びR10が一緒になって=O又は=Sを形成する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】

及びその薬学上許容される塩からなる群から選択される化合物。
【請求項15】
式15:

[式15中、
A及びBは、それぞれ独立して−N(R13)−、−(C=O)−又は−(C=S)−であり;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は[(W)−S]20であり;
、R及びR10は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであり;
は、Hであるか;
あるいはR及びRは、一緒になって結合を形成し;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;
あるいはR及びR10は、一緒になって結合を形成し;
11、R12、R14及びR15は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;あるいはR11及びR12は、一緒になって結合を形成し;
あるいはR及びR14は、一緒になって結合を形成し;
13は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又はC(S)N(R20)(R20)であるか;あるいは式−[C(R20−R21を有し;
20はそれぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は[C(R)−R21(ここで、各Rは、独立して、H又はC1−C6アルキルである)であるか;あるいは任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る;
ただし、Aが−N(R13)−である場合には、Bは、−(C=O)−又は−(C=S)−でなければならず;かつ
Aが−(C=O)−又は−(C=S)−である場合には、Bは、−N(R13)−でなければならない]
の化合物又はその薬学上許容される塩。
【請求項16】
Aが−N(R13)−であり、かつ、BがC=Oである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Bが−N(R13)−であり、かつ、AがC=Oである、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
及びRが一緒になって結合を形成する、請求項16又は請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
及びR10がそれぞれHである、請求項15〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
11及びR12がそれぞれHである、請求項15〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
式21:

[式21中
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は[(W)−S]20であり;
及びRは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ニトリル、アラルキル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか;あるいはR及びRは、一緒になって=O、=S、=N(R20)、=N−OR20又は=N(N(R20)を形成し;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであり;
は、独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、アルキルセレノ、アラルキルセレノ、アリールセレノ、アルキルチオ、アラルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又はニトリルであり;
13は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又は−C(S)N(R20)(R20)であるか;あるいはR13は、式−[C(R20−R21を有し;
14は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアラルキルであるか;
あるいはR及びR14は、一緒になって結合を形成し;
20は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R20−R21であるか;あるいは任意の2つのR20は一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
22は、それぞれ独立して、H、ハライド、エステル、アミド又はニトリルであり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−C(R22−であり;かつ
Yは、O又はSであり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]
の化合物。
【請求項22】
Xが−CH−である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
請求項21に記載の化合物は、式23:

[式23中、
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、アルコキシル、−SR20、−OR20、−N(R20)(R20)、−C(O)R20、−CO20、−OC(O)R20、−C(O)N(R20)(R20)、−N(R20)C(O)R20、−N(R20)C(O)N(R20)(R20)、−S(O)R20、−S(O)20、−S(O)N(R20)(R20)、−N(R20)S(O)20、−[(W)−C(O)]20、−[(W)−C(O)O]20、−[(W)−OC(O)]20、−[(W)−SO20、−[(W)−N(R20)SO20、−[(W)−C(O)N(R20)]20、−[(W)−O]20、−[(W)−N(R20)]20又は[(W)−S]20であり;
13は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、−C(O)R20、−C(S)R20、−CO20、−SO20、−C(O)N(R20)(R20)又はC(S)N(R20)(R20)であるか;あるいはR13は、式−[C(R20−R21を有し;
20はそれぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル又は−[C(R20−R21であるか;あるいは任意の2つのR20は、一緒になって、N、O、S及びPから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む任意に置換された4〜8員環を形成することができ;
21は、それぞれ独立して、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシル、アリールオキシ、アシルオキシ、ハライド、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アミド又はカルボニル含有基であり;
pは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
qは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
Wは、ジラジカルであり;
Xは、結合又は−CH−であり;
Yは、O又はSであり;かつ
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、単独であれ別の基の一部であれ、任意に置換され(得)る]を有するか、
又はその薬学上許容される塩を有する、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】



及びそ(れら)の薬学上許容される塩からなる群から選択される化合物。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物であって、
少なくとも1つの薬学上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項26】
in vitro又はex vivoにおいてヘッジホッグ経路の活性化を阻害する方法であって、ヘッジホッグ経路の活性化を抑制するのに十分な量の請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物を患者に投与することを含む、方法。
【請求項27】
治療における、請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項28】
薬剤の製造における、請求項1〜24のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項29】
薬剤がヘッジホッグ経路により媒介される症状ないし状態の処置のための薬剤である、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
症状ないし状態が過剰増殖性疾患である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
癌が中枢神経系の癌である、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
癌が消化管の癌である、請求項31に記載の使用。
【請求項34】
癌が血液性の癌である、請求項31に記載の使用。
【請求項35】
癌が白血病である、請求項31に記載の使用。
【請求項36】
癌が膵臓癌、髄芽細胞腫、多発性骨髄腫、骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病及び急性リンパ性白血病から選択される、請求項31に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−520310(P2010−520310A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552909(P2009−552909)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/056229
【国際公開番号】WO2008/109829
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(506418758)インフィニティ・ディスカバリー・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】INFINITY DISCOVERY, INC.
【Fターム(参考)】