説明

シクロブトキシ基を含む化合物

本発明は、シクロブトキシ基を含む式(I)の化合物、それらの調製方法、該化合物を含む医薬組成物、並びに軽度認知障害、アルツハイマー病、学習及び記憶障害、認知障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、統合失調症、認知症、うつ病、癲癇、発作、痙攣、睡眠/覚醒及び覚醒障害(例えば、過眠症及びナルコレプシー)、痛み及び/又は肥満を含めて、中枢神経系の疾患又は病状の治療及び予防に有用な医薬品としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロブトキシ基を含む化合物、それらの調製方法、該化合物を含む医薬組成物、及び医薬品としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンH受容体は、数年来知られており、1983年にArrang,J.M.等(Nature 1983、302、832〜837頁)によって薬理学的に確認された。1999年のヒトヒスタミンH受容体のクローニング以来、ヒスタミンH受容体は、ラット、モルモット、マウス及びサルを含めて、様々な種による配列相同性によって順次クローン化されてきた。
【0003】
ヒスタミンH−受容体アゴニスト、アンタゴニスト及びインバースアゴニストは文献、例えば、Stark,H.、Exp.Opin.Ther.Patents 2003、13、851〜865頁、及びLeurs R.等、Nature Review Drug Discovery 2005、4、107〜120頁において記載されているような、予想される治療上の用途を示した。
【0004】
ヒスタミンH受容体は、哺乳動物の中枢神経系において主に発現されるが、自律神経系においてもまた見出すことができる。ヒスタミンH受容体が高い構成的活性を示し、この活性は内因性ヒスタミン又はH−受容体アゴニストの不存在下に現れることが実証された。このため、ヒスタミンH−受容体アンタゴニスト及び/又はインバースアゴニストは、この活性を阻害できると思われる。
【0005】
−受容体サブタイプを含めて、ヒスタミンH受容体の一般薬理学は、Hancock、A.A、Life Sci.2003、73、3043〜3072頁で報告されている。ヒスタミンH受容体は、ヒスタミン作動性ニューロンのシナプス前自己受容体としてだけでなく、また非ヒスタミン作動性ニューロンの異種受容体とも見なされる(Barnes,W.等、Eur.J.Pharmacol.2001、431、215〜221頁)。事実、ヒスタミンH受容体は、ヒスタミンの放出を調節するが、また、アセチルコリン、ドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリン及びγ−アミノ酪酸(GABA)を含めて、他の重要な神経伝達物質の放出も調節することが示された。
【0006】
こうして、ヒスタミンH受容体は、新しい治療法の開発にとって目下の関心事であり、新規ヒスタミンH−受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストは、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー病、学習及び記憶障害、認知障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病、統合失調症、認知症、うつ病、癲癇、発作(seizure)若しくは痙攣(convulsion)、睡眠/覚醒障害、ナルコレプシー、痛み及び/又は肥満を含めて、中枢神経系の疾患又は病態の治療及び予防に有用であり得ることを文献は示唆する。
【0007】
−受容体リガンドは、また、Morisset,S.等、Eur.J.Pharmacol.1996、315、R1−R2で報告されているように、単独で、又はアセチルコリンエステラーゼ阻害剤と組み合わせて、コリン作動性欠陥障害、軽度認知障害及びアルツハイマー病の治療にも有用であり得る。
【0008】
−受容体リガンドは、McLeod,R.等、J.Pharmacol.Exp.Ther.2003、305、1037〜1044頁で報告されているように、単独で、又はヒスタミンH−受容体アンタゴニストと組み合わせて、上気道アレルギー障害の治療に有用であり得る。
【0009】
−受容体リガンドは、Keith,J.M.等、Bioorg.Med.Chem.Lett.2007、17、702〜706頁で報告されているように、単独で、又はセロトニン再取込み阻害剤と組み合わせて、うつ病の治療に有用であり得る。
【0010】
国際特許出願WO02/072093に記載されているように、H−受容体リガンドは、単独で、又はムスカリン性受容体リガンド、特に、ムスカリン性M−受容体アンタゴニストと組み合わせて、認知障害、アルツハイマー病、注意欠陥多動性障害の治療に有用であり得る。
【0011】
−受容体リガンドは、また、Passani,M.B.等、Trends Pharmacol.Sci.2004、25(12)、618〜625頁によれば、過眠症、及びナルコレプシーのような睡眠/覚醒(sleep/wake)及び覚醒(arousal/vigilance)障害の治療にも有用であり得る。
【0012】
一般に、H−受容体リガンド、特にH−受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストは、Hancock,A.A、Fox,G.B.、Expert Opin.Invest.Drugs 2004、13、1237〜1248頁で報告されているように、全てのタイプの認知関連障害の治療に有用であり得る。
【0013】
特に、ヒスタミンH−受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストは、軽度認知障害、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ダウン症候群のような疾患における認知機能障害の治療において、さらには、非精神刺激剤として注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療において有用であり得る(例えば、Witkin,J.M.等、Pharmacol.Ther.2004、103(1)、1〜20頁を参照)。
【0014】
−受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストは、また、精神障害(例えば統合失調症)、偏頭痛、摂食障害(例えば肥満)、炎症、痛み、不安、ストレス、うつ病及び心臓血管障害(特に、急性心筋梗塞)の治療にも有用であり得る。
【0015】
したがって、H−受容体リガンドとして働き得る可能性のある新しい化合物を製造することが求められている。
【0016】
初期の文献による報告(例えば、Ali,S.M.等、J.Med.Chem.1999、42、903〜909頁、及びStark,H.等、Drugs Fut.1996、21、507〜520頁)は、イミダゾール官能基が高親和性のヒスタミンH−受容体リガンドにとって必要不可欠であることを記載し、これは、例えば、米国特許US6,506,756B2、US6,518,287B2、US6,528,522B2及びUS6,762,186B2によって確認されており、これらの特許は、H−受容体アンタゴニスト活性又はヒスタミンH−受容体及びH−受容体アンタゴニスト二重活性を有する置換イミダゾール化合物に関する。
【0017】
国際特許出願WO02/12214は、ヒスタミン受容体によって影響される障害及び病状の治療のための、非イミダゾールのアリールオキシアルキルアミンに関する。
【0018】
国際特許出願WO02/076925は、ヒスタミンH受容体アンタゴニストとしての、非イミダゾールのアリールアルキルアミン化合物に関する。
【0019】
国際特許出願WO2004/037800は、Hリガンドとしてのアリールアルコキシアミン誘導体を記載する。
【0020】
国際特許出願WO2006/136924は、H−受容体アンタゴニストとしてのフェノキシシクロブチル誘導体を記載する。
【0021】
米国特許出願US2005/171181は、H−受容体モジュレータとしてのシクロブチル−アリールアミンを開示する。
【0022】
国際特許出願WO2006/132914及びWO2007/038074は、H−受容体モジュレータとしてのシクロブチルアミン誘導体を記載する。
【0023】
国際特許出願WO2008/128919は、シクロブトキシ基を含む化合物を開示する。
【0024】
欧州特許出願第08001308.9号は、H−受容体リガンドの調製に含まれる合成中間体として、4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)スルファニル]ベンズアミド、4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)スルファニル]ベンゼンカルボチオアミド、N−(4−クロロピリジン−3−イル)−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンズアミド、及び関連するシクロブチルオキシベンズアミドを開示する。
【0025】
国際特許出願第PCT/EP2009/050719号は、H−受容体リガンドの調製に含まれる合成中間体として、N−(2−オキソアゼパン−3−イル)−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンズアミド、及びN−(3−アミノピリジン−4−イル)−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンズアミド、及び関連するシクロブチルオキシベンズアミドを開示する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
今回、驚くべきことに、式(I)の化合物が、H−受容体リガンドとして働き得ること、したがって、下に記載の1種又は複数の病変に対して治療効果のある特性を示し得ることが見出された。
【0027】
本発明は、式(I)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物に関し、
【化1】


式中、
Aは、アミノ窒素を通してシクロブチル基に結合した置換又は非置換アミノ基であり、
は、CH、C−ハロゲン、C−アルコキシ若しくはNであり、
Yは、O又はSであり、
Bは、アミノ窒素を通して、カルボニル又はチオカルボニル基に結合した、置換又は非置換アミノ基であり、
Xは、O又はSであり、
は、水素又はC1〜6アルキル又はハロゲン又はC1〜6アルコキシである。
【0028】
特に、本発明は、N−(2−オキソアゼパン−3−イル)−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンズアミドとは異なる式(I)の化合物に関する。
【0029】
より特別には、本発明は、XがOであり、YがOである式(I)の化合物に関する。
【0030】
Bは、式(IX)の基とは異なり、
【化2】


式中、Rは、スルホニル、アミノ、置換又は非置換C1〜6アルキル、置換又は非置換C2〜6アルケニル、置換又は非置換C2〜6アルキニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換C3〜8シクロアルキル、置換又は非置換の3〜8員のヘテロシクロアルキル、アシル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアリール、置換又は非置換C1〜6−アルキルヘテロアリール、置換又は非置換C2〜6−アルケニルアリール、置換又は非置換C2〜6−アルケニルヘテロアリール、置換又は非置換C2〜6−アルキニルアリール、置換又は非置換C2〜6−アルキニルヘテロアリール、置換又は非置換C1〜6−アルキルシクロアルキル、置換又は非置換C1〜6−アルキルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換C2〜6−アルケニルシクロアルキル、置換又は非置換C2〜6−アルケニルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換C2〜6−アルキニルシクロアルキル、置換又は非置換C2〜6−アルキニルヘテロシクロアルキル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルカルボキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルアシル、置換又は非置換アリールアシル、置換又は非置換ヘテロアリールアシル、置換又は非置換C3〜8−(ヘテロ)シクロアルキルアシル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアシルオキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルアルコキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルアルコキシカルボニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアミノカルボニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアシルアミノ、アシルアミノ、アシルアミノカルボニル、ウレイド、置換又は非置換C1〜6−アルキルウレイド、置換又は非置換C1〜6−アルキルカルバメート、置換又は非置換C1〜6−アルキルアミノ、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルホニルオキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルホニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルフィニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルファニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアミノスルホニル、ヒドロキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルヒドロキシ、ホスホネート、置換又は非置換C1〜6−アルキルホスホネート、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、オキソ及びチオキソを含む又はからなる群から選択され、
は、Cl又はNHであり、
nは、0、1、2又は3に等しい。
【0031】
より一層特別には、本発明は、Bが、−NHとは異なるアミノ基である式(I)の化合物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特定の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び全ての可能な混合物に関し、
【化3】


式中、
Aは、アミノ窒素を通してシクロブチル基に結合した置換又は非置換アミノ基であり、
は、CH、C−ハロゲン、C−アルコキシ又はNであり、
Yは、O又はSであり、
Bは、アミノ窒素を通して、カルボニル又はチオカルボニル基に結合した、置換又は非置換環状アミノ基であり、
Xは、O又はSであり、
は、水素又はC1〜6アルキル又はハロゲン又はC1〜6アルコキシである。
【0033】
本明細書で用いられる場合、用語「アルキル」は、線状(無分岐)若しくは分岐状部分、又はこれらの組合せを有し、1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む、1価の飽和炭化水素基を表し、より好ましくはアルキル基は1〜4個の炭素原子を有する。
【0034】
本発明での「アルキル」基は、非置換であるか又は置換されていてもよい。本発明でのアルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルである。好ましいアルキル基はイソプロピルである。
【0035】
「アルキル」基は、ハロゲンを含めて、1つ又は複数の置換基によって置換されていてもよい。
【0036】
本明細書で用いられる場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を表す。本発明での好ましいハロゲンはフッ素である。
【0037】
本明細書で用いられる場合、用語「ヒドロキシ」は、式−OHの基を表す。
【0038】
本明細書で用いられる場合、用語「水素」は、水素原子の全ての同位体を包含する。
【0039】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルヒドロキシ」は、1個又は複数の「ヒドロキシ」によって置換された、上で定義されたアルキルを表す。
【0040】
本明細書で用いられる場合、用語「C3〜8シクロアルキル」は、飽和環状炭化水素から導かれる、3から8個の炭素原子の1価の基を表す。本発明でのC3〜8シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロへプチルである。好ましいC3〜8シクロアルキルは、シクロブチルである。
【0041】
本明細書で用いられる場合、用語「C3〜8シクロアルケニル」は、部分的に不飽和である環状炭化水素から導かれる、3から8個の炭素原子の1価の基を表す。
【0042】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルシクロアルキル」は、ここに上で定義されたシクロアルキル置換基を有するC1〜6アルキルを表す。
【0043】
本明細書で用いられる場合、用語「アルキレン」は、式−(CH−の基を表し、式中、xは、2と6間を含み、好ましくは3と6の間を含む。
【0044】
本明細書で用いられる場合、用語「メチレン」は、式−CH−の基を表す。
【0045】
用語「C2〜6アルケニル」は、好ましくは、2から6個の炭素原子を有し、少なくとも1又は2つのアルケニル不飽和サイトを有するアルケニル基を表す。
【0046】
用語「C2〜6アルキニル」は、好ましくは、2から6個の炭素原子を有し、少なくとも1又は2つのアルキニル不飽和サイトを有するアルキニル基を表す。
【0047】
本明細書で用いられる場合、用語「アリール」は、単環(例えばフェニル)又は縮合多環(例えばナフチル)を有する、6から14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基を表す。「アリール」基は、非置換であっても、本明細書において定義されているハロゲン、C1〜4アルキル又はC1〜4アルコキシから独立に選択される1から4個の置換基によって置換されていてもよい。
【0048】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルアリール」は、ここに上で定義されたアリール置換基を有するC1〜6アルキルを表す。
【0049】
本明細書で用いられる場合、用語「ヘテロアリール」は、1個又は複数の炭素原子が、O、S若しくはNから選択される1個又は複数のヘテロ原子によって置き換えられた、ここに上で定義されたアリール基を表す。
【0050】
用語「C1〜6−アルキルヘテロアリール」は、ここに上で定義されたヘテロアリール置換基を有するC1〜6アルキルを表す。
【0051】
本明細書で用いられる場合、用語「C2〜6−アルケニルアリール」は、ここに上で定義されたアリールによって置換されたC2〜6アルケニルを表す。
【0052】
本明細書で用いられる場合、用語「C2〜6−アルケニルヘテロアリール」は、ここに上で定義されたヘテロアリールによって置換されたC2〜6アルケニルを表す。
【0053】
本明細書で用いられる場合、用語「C2〜6−アルキニルアリール」は、ここに上で定義されたアリールによって置換されたC2〜6アルキニルを表す。
【0054】
本明細書で用いられる場合、用語「C2〜6−アルキニルヘテロアリール」は、ここに上で定義されたヘテロアリールによって置換されたC2〜6アルキニルを表す。
【0055】
本明細書で用いられる場合、用語「アルコキシ」は、式−ORの基を表し、式中、Rは、上で定義されたアルキル又はアリール基である。
【0056】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルアルコキシ」は、ここに上で定義されたアルコキシ置換基を有するC1〜6アルキル基を表す。
【0057】
本明細書で用いられる場合、用語「カルボニル」は、式−C(=O)−の基を表す。
【0058】
本明細書で用いられる場合、用語「チオカルボニル」は、式−C(=S)−の基を表す。
【0059】
本明細書で用いられる場合、用語「アシル」は、式−C(=O)Rの基を表し、式中、Rは、本明細書において定義されているC1〜6アルキル、C1〜6−アルキルヒドロキシ、C1〜6−アルキルアミノ、又はC1〜6−アルキルアミノカルボニルである。
【0060】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルアシル」は、ここに上で定義されたアシル置換基を有するC1〜6アルキルを表す。
【0061】
本明細書で用いられる場合、用語「3〜8員ヘテロシクロアルキル」は、1、2又は3個の炭素原子が、O、S若しくはNから選択される1、2又は3個の原子によって置き換えられている、ここに上で定義されたC3〜8シクロアルキルを表す。ヘテロシクロアルキルは、非置換であっても、適切な何らかの基(これらに限らないが、本明細書において定義されているアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボニル、アミノ、C3〜8シクロアルキル及びC1〜6−アルキルヒドロキシから選択される1個又は複数の、通常は1、2又は3個の部分が含まれる)によって置換されていてもよい。
【0062】
本発明での3〜8員ヘテロシクロアルキルの例は、モルホリニル、4,4−ジフルオロピペリジニル、ピペリジニル、4−イソプロピルピペラジニル、4−ヒドロキシピペリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル、ピロリジニル、3,3−ジフルオロピロリジニル、4−アセチルピペラジニル、2−メチルピロリジニル、(2S)−2−メチルピロリジニル、(2R)−2−メチルピロリジニル、3−ヒドロキシアゼチジニル、4−オキソイミダゾリジニル、2−(メトキシメチル)ピロリジニル、4−ヒドロキシイソオキサゾリジニル、1,3−チアゾリジニル、3−オキソピラゾリジニル、1,4−オキサゼパニル、4−カルバモイルピペリジニル及び4−オキソピペリジニルである。
【0063】
本明細書で用いられる場合、用語「C3〜8−(ヘテロ)シクロアルキルアシル」は、ここに上で定義されたアシル置換基を有する3〜8員のヘテロシクロアルキル基を表す。C3〜8(ヘテロ)シクロアルキルアシルの例は、4−アセチルピペラジニルである。
【0064】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルヘテロシクロアルキル」は、ここに上で定義されたヘテロシクロアルキルによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0065】
本明細書で用いられる場合、用語「C2〜6−アルケニルヘテロシクロアルキル」は、ここに上で定義されたヘテロシクロアルキルによって置換されたC2〜6アルケニルを表す。
【0066】
本明細書で用いられる場合、用語「C2〜6−アルキニルシクロアルキル」は、ここに上で定義されたシクロアルキルによって置換されたC2〜6アルキニルを表す。
【0067】
本明細書で用いられる場合、用語「C2〜6−アルキニルヘテロシクロアルキル」は、ここに上で定義されたヘテロシクロアルキルによって置換されたC2〜6アルキニルを表す。
【0068】
本明細書で用いられる場合、用語「アリールアシル」は、ここに上で定義されたアシル置換基を有するアリール基を表す。
【0069】
本明細書で用いられる場合、用語「ヘテロアリールアシル」は、ここに上で定義されたアシル置換基を有するヘテロアリール基を表す。
【0070】
本明細書で用いられる場合、用語「アミノ基」は、式−NRの基(式中、R及びRは、独立に、水素、「C1〜6アルキル」、「C2〜6アルケニル」、「C2〜6アルキニル」、「C3〜8シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜6−アルキルシクロアルキル」又は「C1〜6−アルキルヘテロシクロアルキル」基を表す);或いは、式−NRの環状基(式中、R及びRは、共にNに結合していて、本明細書において定義されている、3から8員、より好ましくは5から7員のヘテロシクロアルキルを形成している)を表す。
【0071】
本発明での「アミノ基」の例は、モルホリン−4−イル、4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、4−イソプロピルピペラジン−1−イル、4−ヒドロキシピペラジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル、3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル、3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル、4−アセチルピペラジン−1−イル、(3−クロロピリジン−4−イル)アミノ、(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ、2−メチルピロリジン−1−イル、(2S)−2−メチルピロリジン−1−イル、(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル、4−オキソイミダゾリジン−1−イル、2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル、4−ヒドロキシイソオキサゾリジン−2−イル、1,3−チアゾリジン−3−イル、3−オキソピラゾリジン−1−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、4−カルバモイルピペリジン−1−イル及び4−オキソピペリジン−1−イルである。
【0072】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルアミノ」は、上で定義されたアミノ基によって置換されたC1〜6アルキル基を表す。
【0073】
本明細書で用いられる場合、用語「カルバモイル」は、式−C(O)NHの基を表す。
【0074】
本明細書で用いられる場合、用語「アミノカルボニル」は、式−C(O)NRの基を表し、式中、R及びRは、アミノ基に対して、ここに上で定義された通りである。
【0075】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルアミノカルボニル」は、ここに上で定義されたアミノカルボニルによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0076】
本明細書で用いられる場合、用語「C3〜8−シクロアルキルアミノ」は、ここに上で定義されたアミノ基によって置換されたC3〜8シクロアルキル基を表す。
【0077】
本明細書で用いられる場合、用語「アシルアミノ」は、式−NRC(O)Rの基を表し、式中、R及びRは、アミノ基に対して、ここに上で定義された通りである。
【0078】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルアシルアミノ」は、ここに上で定義されたアシルアミノによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0079】
本明細書で用いられる場合、用語「カルボキシ」は、式−COOHの基を表す。
【0080】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルカルボキシ」は、カルボキシ基によって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0081】
本明細書で用いられる場合、用語「シアノ」は、式−CNの基を表す。
【0082】
用語「アルコキシカルボニル」は、基−C(O)ORを表し、式中、Rには、「C1〜6アルキル」、「C2〜6アルケニル」、「C2〜6アルキニル」、「C3〜8シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜6−アルキルアリール」又は「C1〜6−アルキルヘテロアリール」、「C2〜6−アルキルシクロアルキル」、「C1〜6−アルキルヘテロシクロアルキル」が含まれる。本発明でのアルコキシカルボニルの例は、tert−ブトキシカルボニル及びメトキシカルボニルである。
【0083】
用語「C1〜6アルキルアルコキシカルボニル」は、置換基として、ここに上に定義されたアルコキシカルボニルを有するC1〜6アルキルを表す。
【0084】
本明細書で用いられる場合、用語「アシルオキシ」は、式−OC(=O)Rの基を表し、式中、Rはアシル基に対して、ここに上で定義された通りである。
【0085】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルアシルオキシ」は、ここに上で定義されたアシルオキシによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0086】
用語「アシルアミノカルボニル」は、基−C(O)NRC(O)Rを表し、式中、R及びRは、独立に、水素、「C1〜6アルキル」、「C2〜6アルケニル」、「C2〜6アルキニル」、「C3〜8シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜6−アルキルアリール」又は「C1〜6−アルキルヘテロアリール」、「C2〜6−アルキルシクロアルキル」、「C1〜6−アルキルヘテロシクロアルキル」を表す。
【0087】
本明細書で用いられる場合、用語「ウレイド」は、式−NRC(O)NRの基を表し、式中、Rは、R又はRに対して、ここに上で定義された通りであり、R及びRは、アミノ基に対して、ここに上で定義された通りである。Rは通常、水素又はC1〜4アルキルである。
【0088】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルウレイド」は、ここに上で定義されたウレイドによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0089】
本明細書で用いられる場合、用語「カルバメート」は、式−NRC(O)ORの基を表し、式中、R及びRは、アミノ基に対して、ここに上で定義された通りである。
【0090】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルカルバメート」は、ここに上で定義されたカルバメートによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0091】
本明細書で用いられる場合、用語「オキソ」は、=Oを表す。
【0092】
本明細書で用いられる場合、用語「チオキソ」は、=Sを表す。
【0093】
本明細書で用いられる場合、用語「スルホニル」は、式「−SO−R」の基を表し、式中、Rは、H、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜6アルキル」、ハロゲンにより置換された「C1〜6−アルキル」(例えば、−SO−CF基)、「C2〜6アルケニル」、「C2〜6アルキニル」、「C3〜8シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C1〜6−アルキルアリール」又は「C1〜6−アルキルヘテロアリール」、「C2〜6−アルケニルアリール」、「C2〜6−アルケニルヘテロアリール」、「C2〜6−アルキニルアリール」、「C2〜6−アルキニルヘテロアリール」、「C1〜6−アルキルシクロアルキル」又は「C1〜6−アルキルヘテロシクロアルキル」から選択される。
【0094】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルスルホニル」は、ここに上で定義されたスルホニルによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0095】
本明細書で用いられる場合、用語「スルホニルオキシ」は、式「−OSO−R」の基を表し、式中、Rは、スルホニル基に対して、ここに上で定義された通りである。
【0096】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルスルホニルオキシ」は、ここに上で定義されたスルホニルオキシによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0097】
本明細書で用いられる場合、用語「アミノスルホニル」は、式「−SO−NR」の基を表し、式中、R及びRは、アミノ基に対して、ここに上で定義された通りである。
【0098】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルアミノスルホニル」は、ここに上で定義されたアミノスルホニルによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0099】
本明細書で用いられる場合、用語「スルフィニル」は、式「−S(O)−R」の基を表し、式中、Rは、スルホニル基に対して、ここに上で定義された通りである。
【0100】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルスルフィニル」は、ここに上で定義されたスルフィニルによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0101】
本明細書で用いられる場合、用語「スルファニル」は、式−S−Rの基を表し、ここで、Rは、スルホニル基に対して、ここに上で定義された通りである。
【0102】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルスルファニル」は、ここに上で定義されたスルファニルによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0103】
本明細書で用いられる場合、用語「スルホニルアミノ」は、基−NRSO−Rを表し、式中、Rは、スルホニル基に対して、ここに上で定義された通りであり、Rは、アミノ基に対して、ここに上で定義された通りである。
【0104】
本明細書で用いられる場合、用語「C1〜6−アルキルスルホニルアミノ」は、ここに上で定義されたスルホニルアミノによって置換されたC1〜6アルキルを表す。
【0105】
本明細書で用いられる場合、用語「ホスホネート」は、式−P(O)−(ORの基を表し、式中、Rは、本明細書において定義されたアルキル基である。
【0106】
用語「C1〜6−アルキルホスホネート」は、ここに上で記載されたホスホネートによって置換されたC1〜6アルキル基を表す。
【0107】
個々の置換基の定義によって、別の仕方で拘束されるのでなければ、上で列挙された全ての基は、「置換又は非置換」であり得る。
【0108】
個々の置換基の定義によって、別の仕方で拘束されるのでなければ、本明細書で用いられる場合、「置換又は非置換」は、「C1〜6アルキル」、「C2〜6アルケニル」、「C2〜6アルキニル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」などのような上に列挙された基は、「C1〜6アルキル」、「C2〜6アルケニル」、「C2〜6アルキニル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「C1〜6−アルキルヘテロシクロアルキル」、「アミノ」、「ハロゲン」、「ヒドロキシ」などからなる群から選択される1から5個の置換基によって任意選択で置換されていてもよいことを意味するものとする。
【0109】
本発明による一実施形態において、Aは、式−NRの基を表し、式中、R及びRは、独立に、置換又は非置換C1〜6アルキル、置換又は非置換C2〜6アルケニル、置換又は非置換C2〜6アルキニル、置換又は非置換C3〜8シクロアルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアリール、置換又は非置換C1〜6−アルキルヘテロアリール、置換又は非置換C1〜6−アルキルシクロアルキル、又は置換又は非置換C1〜6−アルキルヘテロシクロアルキル基である;或いは、Aは、窒素原子を通してシクロブチル基に結合した3から8員の置換又は非置換ヘテロシクロアルキルである。
【0110】
本発明による別の実施形態において、Aは、基−NRであり、式中、R及びRは、独立に、置換又は非置換C1〜6アルキルである;或いは、Aは、窒素原子を通してシクロブチル基に結合した、3から8員の置換又は非置換ヘテロシクロアルキルである。
【0111】
本発明による特定の実施形態において、Aは、窒素原子を通してシクロブチル基に結合した、3から8員のヘテロシクロアルキルである。
【0112】
本発明による別の特定の実施形態において、Aは、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、置換又は非置換のモルホリン−4−イル、置換又は非置換のピロシジン−1−イル、置換又は非置換のピペラジン−1−イル、置換又は非置換のアゼパン−1−イル、又は置換又は非置換のチオモルホリン−4−イルを含む又はからなる群から選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルを表す。
【0113】
本発明による特定の一実施形態において、Aは、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、及び置換又は非置換のピロリジン−1−イルから選択される。
【0114】
別の特定の実施形態において、Aは、ピペリジン−1−イル、2−メチルピロリジン−1−イル、(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル、又は(2S)−2−メチルピロリジン−1−イルである。
【0115】
通常、Aは、CH、C−F、C−Cl、C−O−CH又はNである。特定の実施形態において、Aは、CH、C−F、又はC−Clである。別の特定の実施形態において、Aは、CHである。
【0116】
本発明による一実施形態において、Bは、式−NRの基を表し、式中、R及びRは、独立に、水素、置換又は非置換C1〜6アルキル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換ヘテロアリールであるが、但し、R及びRの少なくとも一方は、水素とは異なる。このような−NR基の典型的な例は、(3−クロロピロジン−4−イル)アミノ、(4−アミノピリジン−3−イル)アミノ、及び(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノである。
【0117】
本発明による別の実施形態において、Bは、窒素原子を通して、カルボニル又はチオカルボニル基に結合した、3から8員の置換又は非置換ヘテロシクロアルキルである。
【0118】
本発明による別の特定の実施形態において、Bは、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、置換又は非置換のモルホリン−4−イル、置換又は非置換のピロリジン−1−イル、置換又は非置換のピペラジン−1−イル、置換又は非置換のチオモルホリン−4−イル、置換又は非置換のアゼチジン−1−イル、置換又は非置換のイミダゾリジン−1−イル、置換又は非置換のイソオキサゾリジン−2−イル、置換又は非置換の1,3−チアゾリジン−3−イル、置換又は非置換のピラゾリジン−1−イル、及び置換又は非置換の1,4−オキサゼパン−4−イルを含む又はからなる群から選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルを表す。
【0119】
本発明でのBの典型的な例には、モルホリン−4−イル、4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、4−イソプロピルピペラジン1−イル、4−ヒドロキシピペラジン−1−イル、チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル、3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル、3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル、4−アセチルピペラジン−1−イル、4−オキソイミダゾリジン−1−イル、2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル、4−ヒドロキシイソオキサゾリジン−2−イル、1,3−チアゾリジン−3−イル、3−オキソピラゾリジン−1−イル、4−ヒドロキシオキサゾリジン−2−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、4−カルバモイルピペリジン−1−イル及び4−オキソピペリジン−1−イルが含まれる。
【0120】
本発明による特定の一実施形態において、Bは、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、置換又は非置換のモルホリン−4−イル、置換又は非置換のピロリジン−1−イル、又は置換又は非置換の1,4−オキサゼパン−4−イルから選択される。
【0121】
本発明による別の特定の実施形態において、Bは、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、及び置換又は非置換のモルホリン−4−イルから選択される。
【0122】
本発明による特定の実施形態において、XはOである。本発明の別の特定の実施形態において、XはSである。
【0123】
本発明による特定の実施形態において、YはOである。本発明による別の特定の実施形態において、YはSである。
【0124】
本発明による一実施形態において、Rは、水素、C1〜6アルコキシ、又はハロゲンである。
【0125】
本発明による別の実施形態において、Rは、水素、メトキシ、塩素又はフッ素である。
【0126】
本発明による特定の実施形態において、Rは水素である。
【0127】
特定の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物に関し、
【化4】


式中、
Aは、窒素原子を通してシクロブチル基に結合した、3から8員の置換又は非置換ヘテロシクロアルキルであり、
は、CH、C−Cl、C−F又はC−O−CHであり、
YはOであり、
Bは、窒素原子を通してカルボニル基に結合した3から8員の置換又は非置換ヘテロシクロアルキルである;又は、Bは、式−NRの基を表し、式中、R及びRは、独立に、水素、置換又は非置換C1〜6アルキル、置換又は非置換アリール、又は置換又は非置換ヘテロアリールであるが、但し、R及びRの少なくとも一方は、水素とは異なり、
XはOであり、
は、水素、塩素、フッ素又はメトキシである。
【0128】
別の特定の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物に関し、
【化5】


式中、
Aは、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、置換又は非置換のモルホリン−4−イル、置換又は非置換のピロリジン−1−イル、置換又は非置換のピペラジン−1−イル、置換又は非置換のアゼパン−1−イル、又は置換又は非置換のチオモルホリン−4−イルを含む又はからなる群から選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルであり、
は、CH、C−Cl、C−F、又はC−O−CHであり、
YはOであり、
Bは、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、置換又は非置換のモルホリン−4−イル、置換又は非置換のピロリジン−1−イル、置換又は非置換のピペラジン−1−イル、置換又は非置換のチオモルホリン−4−イル、置換又は非置換のアゼチジン−1−イル、置換又は非置換のイミダゾリジン−1−イル、置換又は非置換のイソオキサゾリジン−2−イル、置換又は非置換の1,3−チアゾリジン−3−イル、置換又は非置換のピラゾリジン−1−イル、及び置換又は非置換の1,4−オキサゼパン−4−イルを含む又はからなる群から選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルであり、
XはOであり、
は、水素、塩素、フッ素又はメトキシである。
【0129】
別の特定の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物に関し、
【化6】


式中、
Aは、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、又は置換又は非置換のピロリジン−1−イルを含む又はからなる群から選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルであり、
は、CHであり、
YはOであり、
Bは、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、又は置換又は非置換のモルホリン−4−イルを含む又はからなる群から選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルであり、
XはOであり、
は水素である。
【0130】
一態様において、本発明は、式(Ia)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物に関し、
【化7】


式中、A、A、B、X、Y及びRは、本明細書において定義された通りである。
【0131】
式(I)の化合物におけるA、A、X、Y、B及びRに対して先に記載の実施形態は、また、式(Ia)の化合物におけるA、A、X、Y、B及びRにも適用される。
【0132】
別の態様において、本発明は、式(Ib)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物に関し、
【化8】


式中、X及びRは、本明細書において定義された通りであり、
Bは、アミノ窒素を通してカルボニルに結合した、置換又は非置換の3〜8員のヘテロシクロアルキルである。
【0133】
式(I)の化合物におけるR及びXに対して先に記載の実施形態は、また、式(Ib)の化合物におけるR及びXにも適用される。
【0134】
別の態様において、本発明は、式(Ic)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物に関し、
【化9】


式中、X及びRは、本明細書において定義された通りであり、
Bは、アミノ窒素を通してカルボニルに結合した、置換又は非置換の3〜8員のヘテロシクロアルキルである。
【0135】
式(I)の化合物におけるR及びXに対して先に記載の実施形態は、また、式(Ic)の化合物におけるR及びXにも適用される。
【0136】
式(I)、(Ib)及び(Ic)の化合物の特定の実施形態によれば、A−シクロブチル−Xの部分におけるシクロブチルに結合したA及びX基は、トランス配置にある。
【0137】
本発明による化合物の例は、
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}モルホリン;
4,4−ジフルオロ−1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン;
1−{トランス−3−[4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
1−イソプロピル−4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペラジン;
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−オール;
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}チオモルホリン;
1−{トランス−3−[4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}チオモルホリン 1,1−ジオキシド;
1−(トランス−3−{4−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]フェノキシ}シクロブチル)ピペリジン;
1−アセチル−4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペラジン;及び
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}アゼチジン−3−オール;
4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド;
4−[4−({トランス−3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル}オキシ)ベンゾイル]モルホリン;4−[4−({トランス−3−[(2S)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル}オキシ)ベンゾイル]モルホリン;
4−(4−{[トランス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンゾイル)モルホリン;
4−{[4−({トランス−3−[(2S)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル}オキシ)フェニル]カルボノチオイル}モルホリン;
4−{3−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}モルホリン;
1−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イミダゾリジン−4−オン;
4−{2−フルオロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}モルホリン;
1−[トランス−3−(3−クロロ−4−{[2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル]カルボニル}フェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
2−{3−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イソオキサゾリジン−4−オール;
1−{トランス−3−[3−クロロ−4−(1,3−チアゾリジン−3−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピラゾリジン−3−オン;
2−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イソオキサゾリジン−4−オール;
4−{3−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}−1,4−オキサゼパン;
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ}ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボキサミド;
1−{トランス−3−[3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
4−{2−フルオロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}−1,4−オキサゼパン;
1−[トランス−3−(4−{[2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル]カルボニル}フェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
4−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}−1,4−オキサゼパン;
2−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イソオキサゾリジン−4−オール;
1−{3−フルオロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−オン;
1−{トランス−3−[4−(1,3−チアゾリジン−3−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
1−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボキサミド;
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イミダゾリジン−4−オン;
1−[トランス−3−(3−フルオロ−4−{[2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル]カルボニル}フェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−{3−メトキシ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イミダゾリジン−4−オン;
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}−1,4−オキサゼパン;
4−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}モルホリン;
1−{トランス−3−[3−フルオロ−4−(1,3−チアゾリジン−3−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)チオ]ベンゾイル}モルホリン;
及び
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)チオ]ベンゾイル}ピペリジン−4−オンである。
【0138】
本発明の化合物は、ヒスタミンH−受容体リガンドである。一実施形態において、それらは、ヒスタミンH−受容体アンタゴニストであり、別の実施形態において、それらは、ヒスタミンH−受容体インバースアゴニストである。
【0139】
一実施形態において、本発明の化合物は、特に有利な薬剤特性を有する、すなわち、それらは、H−受容体に対する良好な親和性を有し、同時に、他の受容体又はタンパク質に対しては低い親和性を有し、それらは、有利な薬物動態学及び薬力学を有し、同時に、副作用、例えば、心臓毒性のような毒性が、ほとんどない。薬剤化合物の心臓血管リスクを確認するための、知られている多くの方法の1つは、hERGチャネルに対する試験化合物の結合を検討評価することである。
【0140】
本発明の化合物は、hERGチャネルに特に低い親和性を示す。
【0141】
さらに、本発明による好ましい化合物は、良好な脳H受容体占有率を示す。
【0142】
本発明での「薬学的に許容される塩」は、式(I)の化合物が生成できる、無毒の酸の治療上活性な塩の形を含む。
【0143】
その遊離形において塩基として見出される式(I)の化合物の酸付加塩の形は、遊離塩基を、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など;又は、有機酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パルモ(palmoic)酸などのような適切な酸により処理することによって得ることができる。
【0144】
逆に、前記塩の形は、適切な塩基により処理することによって遊離の形に変換できる。
【0145】
式(I)の化合物及びそれらの塩は、溶媒和化合物の形であることができ、これは、本発明の範囲内に含まれる。このような溶媒和化合物には、例えば、水和物、アルコール溶媒和物(alcoholate)などが含まれる。
【0146】
式(I)の化合物のあるもの及びそれらの中間体のあるものは、それらの構造中に、少なくとも1つの不斉中心(stereogenic center)を有する。この不斉中心は、R又はSの立体配置で存在することができ、このR及びSの表記は、Pure Appl.Chem.1976、45、11〜30頁に記載の規則に合わせて用いられる。
【0147】
本発明はまた、式(I)の化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体の形のような全ての立体異性体、並びにこれらの混合物(立体異性体の可能な全ての混合物を含めて)にも関する。
【0148】
本発明に関しては、特定の異性体が具体的に参照されていなければ、1種又は複数の化合物への参照は、その可能な異性体のそれぞれ、及びそれらの混合物としての該化合物を包含するものとする。
【0149】
本明細書において用いられる場合、表現「エナンチオマー的に純粋」は、95%を超えるエナンチオマー過剰率(ee)を有する化合物を表す。
【0150】
本発明による化合物は、様々な多形として存在し得る。上の式でははっきりと表現されて示されていないが、このような形は本発明の範囲内に含まれる。
【0151】
本発明はまた、その範囲内に、式(I)の化合物のプロドラッグ形、及びその様々な下位範囲(sub−scope)及び下位グループも含む。
【0152】
本明細書において用いられる場合、用語「プロドラッグ」は、例えば血液中の加水分解によって、本発明による親化合物に、in vivoで迅速に変換される化合物形を含む。プロドラッグは、それらの薬理学的作用を示す前に、生体内変化によって除去される基を有する化合物である。このような基は、それを有する化合物からin vivoで容易に開裂される部分を含み、開裂後にその化合物は、薬理学的に活性なままである、又は活性になる。代謝により開裂可能な基は、当業者によく知られた一群の基を成す。それらには、これらに限らないが、アルカノイル(すなわち、アセチル、プロピオニル、ブチリルなど)、非置換及び置換された炭素環式アロイル(例えば、ベンゾイル、置換されたベンゾイル、及び1−及び2−ナフトイル)、アルコキシカルボニル(例えば、エトキシカルボニル)、トリアルキルシリル(例えば、トリメチル−及びトリエチルシリル)、ジカロボン酸で生成するモノエステル(例えば、サクシニル)、ホスフェート、サルフェート、スルホネート、スルホニル、スルフィニルなどのような基が含まれる。代謝により開裂可能な基を有する化合物は、それらが、代謝により開裂可能な基の存在のおかげで親化合物に付与される向上した溶解性及び/又は吸収速度の結果として、向上した生物学的利用能を示し得るという利点を有する。T.Higuchi、V.Stella、「新規デリバリーシステムとしてのプロドラッグ(Pro−drugs as Novel Delivery System)」、A.C.S.Symposium Seriesの14巻;「薬剤設計におけるバイオリバーシブルキャリア(Bioreversible Carriers in Drug Design)」、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年。
【0153】
本発明による式(I)の化合物は、有機合成化学の当業者に知られている通常の方法に従って調製され得る。
【0154】
一実施形態によれば、YがOである式(I)の化合物は、次の式に従って、式(II)の化合物のアミノカルボニル化によって調製され得る。
【化10】


式中、Halは、ヨウ素又は臭素であり、YはOであり、A、A、R、X及びBは、式(I)の化合物に対する上の一般式におけるものと同じ定義を有する。
【0155】
この反応は、無水テトラヒドロフランのような溶媒中、ヘキサカルボニルモリブデンのような一酸化炭素源、酢酸パラジウムのような適切な触媒、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンのような塩基の存在下に、Letavic M.等、Tetrahedron Lett.、2007年、48、2339〜2343頁に記載の方法に従って、又は当業者に知られている任意の他の方法に従って、マイクロ波照射の下で、実施され得る。
【0156】
代わりに、式(I)の化合物は、式(II)の化合物から、ブチルリチウム又は当業者に知られている他のリチウム放出剤の存在下におけるリチウム−ハロゲン交換、これに続く、二酸化炭素若しくはクロロギ酸エチル又は当業者に知られている他の適切な試薬による処理によって調製され得る。次いで、得られるカルボン酸又はエステルは、当業者に知られている何らかの方法によって所望のアミドに容易に変換される。
【0157】
A.1.
がCH又はC−ハロゲンである式(II)のいくつかの化合物は、次の式に従って、式(IV)の化合物と式(III)の化合物との反応によって調製され得る。
【化11】


式中、Aは、CH又はC−ハロゲンであり、A、R及びXは、式(I)の化合物に対する上の一般式におけるものと同じ定義を有する。
【0158】
この反応は、塩基、例えば、水酸化ナトリウムの存在下に、溶媒、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド中、不活性雰囲気下に、50℃から80℃の範囲の温度で、或いは、当業者が適切であると考える任意の他の条件で、当業者に似られている通常の方法に従って実施され得る。
【0159】
式(IV)の化合物は市販されている、又は、当業者に知られている任意の通常の方法に従って調製され得る。
【0160】
式(III)の化合物は、次の式に従って、式(V)の化合物とp−トルエンスルホニルクロリドとの反応によって調製され得る。
【化12】


式中、XはOであり、Aは、式(I)の化合物に対して上に記載されたものと同じ定義を有する。
【0161】
この反応は、トリエチルアミン又はN−メチルイミダゾールのような塩基を用い、ジクロロメタンのような溶媒中、0℃から25℃の範囲の温度で、不活性雰囲気(アルゴン又は窒素)下に、或いは、当業者に知られている通常の何らかの方法に従って調製され得る。
【0162】
XがOである式(V)の化合物は、次に式に従って、式(VI)の化合物から調製され得る。
【化13】


式中、XはOであり、Aは、式(I)の化合物に対して上に記載されたものと同じ定義を有する。
【0163】
この反応は、水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を用い、エタノールのようなプロトン性溶媒中、0℃から60℃の範囲の温度で、或いは、当業者に知られている通常の何らかの方法に従って実施され得る。
【0164】
XがSである式(V)の化合物は、次の式に従って、式(III)の化合物から調製され得る。
【化14】


式中、XはSであり、Aは、式(I)の化合物に対して上に記載されたものと同じ定義を有する。
【0165】
この反応は、Oh,C.−H.、Sho,J.−H.、Eur.J.Med.Chem.2006、41、50〜55頁に記載の方法に従って、すなわち、不活性雰囲気(アルゴン又は窒素)下に、0℃から100℃の範囲の温度で、塩基(例えば、水素化ナトリム)及び不活性溶媒(例えばジメチルホルムアミド)の存在下にトリフェニルメチルチオールを用い、その後、トリフルオロ酢酸/トリエチルシランの還元系を用いる、トリフェニルメチル基の脱保護によって実施され得る。代わりに、この反応スキームは、当業者に知られている他の通常の何らかの方法によって実施されてもよい。
【0166】
式(VI)の化合物は市販されている、又は、次の式に従って、シクロブタン−1,3−ジオン(VII)から、式AHのアミンとの反応によって調製され得る。
【化15】


式中、Aは、式(I)の化合物に対して上に記載されたものと同じ定義を有する。
【0167】
この反応は、ジオキサンのような溶媒中、0℃から60℃の範囲の温度で、或いは、当業者に知られている通常の何らかの方法に従って実施され得る。シクロブタン−1,3−ジオンは市販されている、或いは、当業者に知られている通常の何らかの方法に従って調製され得る。
【0168】
A.2.
がNである式(II)の化合物のいくつかは、次の式に従って、式(VIII)の化合物と式(V)の化合物との反応によって調製され得る。
【化16】


式中、AはNであり、A、R及びXは、式(I)の化合物に対する上の一般式におけるものと同じ定義を有する。この反応は、N,N−ジメチルアセトアミドのような溶媒中、カリウムtert−ブチラートのような塩基の存在下に、25℃から120℃の間で、或いは、当業者に知られている他の何らかの方法に従って実施され得る。
【0169】

別の実施形態において、YがSである式(I)の化合物のいくつかは、YがOである式(I)の親カルボニル化合物のチオネーション(thionation)によって調製され得る。この反応は、テトラヒドロフラン中、ローソン試薬により、或いは、当業者に知られている他の何らかの方法に従って実施され得る。
【0170】
本発明による式(I)の化合物の合成に用いられる合成中間体の例は、次の通りである:
N−シクロヘキシルシクロヘキサンアミニウム 3−オキソシクロブト−1−エン−1−オレート;
3−ピペリジン−1−イルシクロブト−2−エン−1−オン;
シス−3−ピペリジン−1−イルシクロブタノール;
シス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル 4−メチルベンゼンスルホネート;
1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブト−2−エン−1−オン;
シス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブタノール;
シス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル 4−メチルベンゼンスルホネート;
1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]−2−メチルピロリジン;
(2S)−1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]−2−メチルピロリジン;
(2R)−1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]−2−メチルピロリジン;
シス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル 4−ブロモベンゼンスルホネート;
4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]スルファニル}安息香酸;
1−[トランス−3−(4−ブロモフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−[トランス−3−(4−ブロモ−2−フルオロフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−[トランス−3−(4−ブロモ−2−メトキシフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−[トランス−3−(4−ブロモ−2−クロロフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−[トランス−3−(4−ブロモ−3−フルオロフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−[トランス−3−(4−ブロモ−3−クロロフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;
3−フルオロ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;
3−メトキシ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;
3−クロロ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;
2−フルオロ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;及び
2−クロロ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸。
【0171】
本発明による式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩は、様々な内科的障害に有用であることが今や見出された。
【0172】
例えば、本発明による化合物は、軽度認知障害、アルツハイマー病、学習及び記憶障害、認知障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、統合失調症、認知症、うつ病、癲癇、発作、痙攣、睡眠/覚醒及び覚醒障害(例えば、過眠症及びナルコレプシー)、痛み及び/又は肥満を含めて、中枢神経系の疾患又は病態の治療及び予防に有用である。
【0173】
さらに、単独で、又は抗癲癇薬(AED)と組み合わせて、本発明による化合物は、癲癇、発作又は痙攣の治療に有用であり得る。H−受容体リガンドとAEDとの組合せは、覚醒の低下、鎮静又は認知の問題のような副作用が減少すると共に、効能に付加的な相乗効果を生じ得ることが文献から分かる。
【0174】
さらに、単独で、又はヒスタミンHアンタゴニストと組み合わせて、一般式(I)の化合物は、また、上気道アレルギー障害の治療に使用され得る。
【0175】
本発明の特定の実施形態において、単独で、又はムスカリン性受容体リガンドと、特にムスカリン性Mアンタゴニストと組み合わせて、一般式(I)の化合物は、また、認知障害、アルツハイマー病、及び注意欠陥多動性障害の治療に有用であり得る。
【0176】
特に、単独で、又は、一酸化窒素(NO)放出剤と組み合わせて、NO−ドナー性を示す一般式(I)の化合物は、認知機能障害の治療に有用であり得る。
【0177】
一般式(I)の化合物は、また、多発性硬化症(MS)の治療及び予防に用いられ得る。
【0178】
通常、一般式(I)の化合物は、全てのタイプ認知関連障害の治療及び予防に用いられ得る。
【0179】
一実施形態において、一般式(I)の化合物は、軽度認知障害、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ダウン症候群のような疾患における認知機能障害の治療及び予防に、さらには、注意欠陥多動性障害の治療に用いられ得る。
【0180】
別の実施形態において、一般式(I)の化合物は、精神障害、例えば統合失調症の治療及び予防に、又は、摂食障害、例えば肥満の治療に、又は、炎症及び痛みの障害の治療に、又は、不安、ストレス、うつ病の治療に、又は、心臓血管障害、例えば、心筋梗塞の治療に、又は、多発性硬化症(MS)の治療及び予防にも用いられ得る。
【0181】
痛みの障害には、神経因性の痛み(例えば、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、外傷後末梢神経障害、幻肢痛に伴うもの、癌及び抗腫瘍薬による治療によって誘発される神経障害に伴うもの)、多発性硬化症のような脱髄性疾患に伴う神経損傷に起因する痛み、HIVに伴う神経障害、術後の痛み、角膜の痛み、出産の痛み(分娩中又は帝王切開後の痛みの緩和)、内臓の痛み、炎症性の痛み(例えば関節リウマチに伴うもの)、腰痛/坐骨神経痛、手根管症候群、アロディニアの痛み(例えば、線維筋痛症)、複合性局所疼痛症候群(CRPS)に伴う慢性の痛み、並びに慢性筋肉痛(これに限らないが、背中の痙攣(back spasm)に伴うもの)が含まれる。
【0182】
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、神経因性の痛みの治療及び予防に用いられ得る。
【0183】
一実施形態において、本発明による式(I)の化合物は、治療薬として用いられ得る。
【0184】
別の実施形態において、本発明による式(I)の化合物は、軽度認知障害、アルツハイマー病、学習及び記憶障害、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、統合失調症、認知症、うつ病、癲癇、発作、痙攣、睡眠/覚醒障害、認知機能障害、ナルコレプシー、過眠症、肥満、上気道アレルギー障害、ダウン症候群、不安、ストレス、心臓血管障害、炎症、痛みの障害、特に、神経因性の痛み、又は多発性硬化症の治療又は予防に用いられ得る。
【0185】
特定の実施形態において、本発明による式(I)の化合物は、軽度認知障害、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ダウン症候群の治療に、さらには、注意欠陥多動性障害の治療に用いられ得る。
【0186】
さらなる実施形態において、本発明は、軽度認知障害、アルツハイマー病、学習及び記憶障害、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、統合失調症、認知症、うつ病、癲癇、発作、痙攣、睡眠/覚醒障害、認知機能障害、ナルコレプシー、過眠症、肥満、上気道アレルギー障害、ダウン症候群、不安、ストレス、心臓血管障害、炎症、痛みの障害、特に、神経因性の痛み、又は多発性硬化症の治療及び予防のための治療薬の製造のための、式(I)の化合物、若しくはそれらの薬学的に許容される塩の、又は該化合物の有効量を含む医薬組成物の使用に関する。
【0187】
別の実施形態において、本発明は、軽度認知障害、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ダウン症候群のような疾患における認知機能障害の治療のための、さらには、注意欠陥多動性障害の治療のための治療薬の製造のための、式(I)の化合物、若しくはそれらの薬学的に許容される塩、又は該化合物の有効量を含む医薬組成物の使用に関する。
【0188】
本発明の方法は、前記病状又は障害を病む哺乳動物(好ましくは、ヒト)に、障害又は病状を軽減又は予防するのに十分な量の本発明による化合物を投与することを含む。
【0189】
化合物は、これに限らないが、単位剤形当たり3から3000mgの活性成分を含むものを含めて、適切な任意の単位剤形として都合よく投与される。
【0190】
本明細書において用いられる場合、用語「治療」は、病気を治す治療及び予防するための治療を含む。
【0191】
「病気を治す」によって、障害又は病状の目下の症状の出現を治療する際の有効性を意味する。
【0192】
「予防」によって、障害又は病状の出現又は再来の予防を意味する。
【0193】
本明細書において用いられる場合、用語「認知障害」は、認知の乱れた状態を表し、認知は、知覚、学習及び推論を、又は別の用語で、情報を選択的に獲得し、蓄え、そして想起する生理学的(心的な/ニューロンによる)過程を包含する。
【0194】
本明細書において用いられる場合、用語「注意欠陥多動性障害」(ADHD)は、不注意、過活動、衝動性、又はこれらの組合せによる問題を表す。これらの問題がADHDと診断されるためには、それらが、子供の年齢及び発達に対する正常な範囲から逸脱していなければならない。用語「注意欠陥障害」(ADD)もまた同じ障害に対して一般に用いられる。
【0195】
本明細書において用いられる場合、用語「アルツハイマー病」(AD)は、脳における異常集塊(アミロイド斑)及び間違って配置されたタンパク質からなる絡まった繊維束(神経原線維変化(neurofibrillary tangle))を特徴とする、進行性の神経変性疾患を表す。年齢は、ADの最も重要な危険因子であり、この疾患を有する人の数は、65歳を超えると、5年毎に2倍になる。早発性(家族性)ADを引き起こす3つの遺伝子が、発見されている。アミロイドタンパク質の過度の集積を引き起こす他の遺伝的突然変異は、年齢に関連する(散発性)ADに結び付けられる。ADの症状には、記憶喪失、言語劣化、視覚情報を心的に操作する能力の損傷、劣った判断、混乱、落ち着きの無さ、気分の周期的変動が含まれる。最終的に、ADは、認知、人格、及び活動する能力を破壊する。ADの初期の症状(これらには、忘れっぽさ、集中の低下が含まれる)は、それらが加齢の自然な徴候に似ているために、しばしば見過ごされる。
【0196】
本明細書において用いられる場合、用語「パーキンソン病」(PD)は、ドーパミン産生脳細胞の喪失の結果である、運動系障害と呼ばれる一群の病状を表す。PDの主な4つの症状は、振戦、すなわち手、腕、足、顎及び顔の震え;四肢及び胴体の強剛、又は固縮;動作緩慢、すなわち動きの遅さ;並びに、姿勢保持障害、すなわち平衡及び協同の障害である。これらの症状がより顕著になるにつれて、患者は、歩行、会話、又は他の単純な作業をやり遂げるのが難しくなり得る。PDは通常、50歳を超えた人を冒す。PDの初期症状は、捉え難く、徐々に現れる。ある人々では、この疾患は、他の人より速く進行する。疾患が進行するにつれ、PD患者の大多数に影響を及ぼす、身震い、又は振戦が、日々の活動を妨げ始め得る。他の症状には、うつ病及び他の感情の変化;嚥下、咀嚼、及び発話における困難;泌尿器の問題又は便秘;皮膚の問題;並びに不眠(sleep disruption)が含まれ得る。
【0197】
本明細書において用いられる場合、用語「ダウン症候群」は、通常は21番染色体の過剰複製に起因する、染色体異常を表す。この症候群は、常にではないが、通常は、精神遅滞及び他の病状を生じる。用語「精神遅滞」は、18歳前に現れる適応行動における欠陥を伴う、平均未満の一般的知的機能を表す。
【0198】
本明細書において用いられる場合、用語「軽度認知障害」は、正常な加齢と初期アルツハイマー病との間の、認知障害の移行段階を表す。それは、特に、記憶障害があるが、他の点では十分に機能しており、認知症の臨床基準に満たない個人の臨床段階を表す。
【0199】
本明細書において用いられる場合、用語「肥満」は、30kg/mを超えるボディマス指数(BMI)を表す。
【0200】
本明細書において用いられる場合、用語「認知症」は、進行性の脳機能障害を含む一群の症状を表す。米国老年医学会(American Geriatrics Society)は、衰えつつある心的能力(特に記憶)の状態として、認知症を表す。人は、小切手帳を持ち続ける、安全に車を運転する、又は食事の計画を立てるといった、彼又は彼女が、かつてすることができたことをすることが困難になり得る。彼又は彼女は、しばしば、正しい言葉を見出すことが困難になり、同時にすべき余りに多くのことを与えられると混乱するようになり得る。認知症を有する個人は、また、人格が変わり、攻撃的に、偏執病に、又はうつ状態になり得る。
【0201】
本明細書において用いられる場合、用語「統合失調症」は、思考、知覚、注意、情動、行動、及びコミュニケーションにおける、6カ月より長く続く障害によって特徴付けられる一群の精神障害を表す。それは、人が現実及び非現実の経験の間の違いを知ること、論理的に考えること、他人に対して正常な情緒反応をすること、及び社会的状況で正常に行動することを困難にする疾患である。
【0202】
本明細書において用いられる場合、用語「不安」は、心配又は恐れの感情を表す。不安は、しばしば、引きつり又は震え、筋肉の緊張、頭痛、発汗、口腔乾燥、嚥下の困難及び/又は腹痛を含めて、身体の症状を伴う。
【0203】
本明細書において用いられる場合、用語「ナルコレプシー」は、制御できない眠気及び日中の頻繁な睡眠を伴う睡眠障害を表す。
【0204】
本明細書において用いられる場合、用語「うつ病」は、気分障害を表し、日々の通常の活動における関心又は喜びの喪失によって特徴付けられる。うつ状態になった人は、数週間、数カ月、又はさらには数年も続けて、「意気消沈した」状態にあると感じ得る。以下の症状のいくつかはうつ病の症状であり得る:持続する、悲しい、不安な、若しくは「空虚な」気分;希望のない気持ち、厭世主義;罪、価値のない、助けのない気持ち;セックスを含めて、かつては楽しかった趣味及び活動における関心若しくは喜びの喪失;活力の低下、疲労、「元気がなくなった」状態;集中、想起、決定をすることの難しさ;不眠症、早朝の目覚め、若しくは寝坊;食欲及び/若しくは体重の低下、又は過食及び体重の増加;死若しくは自殺を考えること;自殺の試み;落ち着かないこと、怒りやすいこと;治療に反応しない持続的な身体症状、例えば、頭痛、消化障害、並びに慢性の痛み。
【0205】
本明細書において用いられる場合、用語「癲癇」は、脳の神経細胞、すなわちニューロンの集団が、時々、異常に信号を発する脳の障害を表す。癲癇においては、ニューロン活動の正常なパターンが乱された状態になり、異様な感覚、情動、及び行動、又は、時として、痙攣(convulsion)、筋肉の痙攣(muscle spasm)、及び意識の喪失を引き起こす。癲癇は、多くの可能な原因を有する障害である。ニューロン活動の正常なパターンを乱すものは何でも−病気から、脳の損傷ないし異常な脳の発達まで−発作に導き得る。癲癇は、脳の配線の異常、神経伝達物質と呼ばれる神経信号物質の不均衡、又はこれらの要因の何らかの組合せのために、起こるようになり得る。発作を起こすことは、人が癲癇であることを必ずしも意味しない。人が2回以上の発作を起こした時にだけ、彼又は彼女は癲癇であると見なされる。
【0206】
本明細書において用いられる場合、用語「発作」は、脳ニューロン集団の、秩序のない、同調した周期的な発火に起因する一時的な行動の変化を表す。
【0207】
本明細書において用いられる場合、用語「偏頭痛」は、強烈さ、頻度、及び持続時間が広く変わる、繰り返される頭痛の発症によって特徴付けられる障害を意味する。偏頭痛の痛みは、しばしば、頭の1つの領域における強烈な脈動する、又はズキズキする痛みとして記述される。それは、しばしば、光及び音に対する極端な敏感さ、吐き気、並びに嘔吐を伴う。ある個人は、偏頭痛の発症を、それに先立って、閃光、ジグザグの線又は一時的な視覚の喪失として現れる視覚の乱れである、「前兆(aura)」があるために、予想できる。偏頭痛をもつ人は、食物若しくは睡眠の欠如、光への暴露、又はホルモンの異常(女性においてのみ)によって引き起こされる発症を繰り返す傾向がある。不安、ストレス、又はストレスの後の解放もまた引き金であり得る。長年、科学者達は、偏頭痛は、頭の中の血管の拡張及び収縮に関連していると考えていた。研究者達は、今では、偏頭痛は、脳の中の特定の細胞集団の活動を制御する遺伝子の遺伝による異常によって引き起こされると考えている。国際頭痛学会(International Headache Society(IHS)、1988年)は、偏頭痛の主なタイプとして、前兆を有する偏頭痛(典型的偏頭痛)、及び前兆のない偏頭痛(普通型偏頭痛)を区分する。
【0208】
本明細書において用いられる場合、用語「多発性硬化症」(MS)は、脳若しくは脊髄又は両方の全体に渡って所々でミエリンが徐々に破壊され、神経経路を妨げる、中枢神経系の慢性疾患である。益々多くの神経が冒されるにつれて、患者は、視覚、発話、歩行、筆記、及び記憶のような、神経系によって制御される機能への進行性の干渉を体験する。
【0209】
前記徴候のいずれかの活性は、言うまでもなく、特定の徴候に対して、当業者に知られているやり方での、及び/又は一般的臨床試験計画における、適切な臨床試験を実施することによって決めることができる。
【0210】
疾患の治療のために、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩は、有効な1日当たりの投薬量で用い、医薬組成物の形で投与され得る。
【0211】
したがって、本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される希釈剤若しくは担体と組み合わせて、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の有効量を含む医薬組成物に関する。
【0212】
本発明による医薬組成物を調製するために、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の1種又は複数は、当業者に知られている通常の医薬調合法に従って、医薬用希釈剤又は担体とよく混合される。
【0213】
適切な希釈剤及び担体は、所望の投与経路(例えば、経口、直腸、非経口又は鼻腔内)に応じて、多様な形態をとり得る。
【0214】
本発明による化合物を含む医薬組成物は、例えば、経口で、非経口で、すなわち、静脈内、筋肉内若しくは皮下に、包膜内(intrathecally)に、吸引によって又は鼻腔内に、投与され得る。
【0215】
経口投与に適する医薬組成物は、固体又は液体であってよく、例えば、錠剤、丸剤、糖衣錠、ゼラチンカプセル、溶液、シロップ、チューインガムなどの形態であり得る。
【0216】
この目的のために、活性成分は、デンプン若しくはラクトースのような、不活性希釈剤又は薬学的に許容される無毒の担体と混合され得る。任意選択で、これらの医薬組成物は、また、マイクロクロスタリンセルロース、トラガカントガム若しくはゼラチンのようなバインダー、アルギン酸のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような滑剤、コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤(glidant)、スクロース若しくはサッカリンのような甘味料、或いは着色剤、又はペパーミント若しくはサリチル酸メチルのような香味料も含み得る。
【0217】
本発明はまた、制御された仕方で活性物質を放出できる組成物も想定している。非経口投与に用いることができる医薬組成物は、アンプル、使い捨て注射器、ガラス若しくはプラスチックのバイアル、又は注入液容器に通常入れられた、水性若しくは油性の溶液又は懸濁液のような通常の形態にある。
【0218】
活性成分に加えて、これらの溶液若しくは懸濁液は、また、注入のための水、生理食ブライン、オイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール又は他の合成溶媒のような無菌の希釈剤、ベンジルアルコールのような抗菌剤、アスコルビン酸若しくは重亜硫酸ナトリウムのような酸化予防剤、エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩若しくはリン酸塩のような緩衝剤、及び浸透圧モル濃度を調節するための作用剤、例えば、塩化ナトリウム若しくはデキストロースも、任意選択で含み得る。
【0219】
これらの医薬形態は、製薬者によってごく普通に用いられる方法を用いて調製される。
【0220】
医薬組成物中の活性成分の量は、広い範囲の濃度内にあることができ、患者の性別、年齢、体重及び健康状態、さらには投与の方法のような様々な要素に応じて決まる。こうして、経口投与にための組成物における式(I)の化合物の量は、組成物の全重量に対して、少なくとも0.5重量%であり、80重量%までであり得る。
【0221】
好ましい経口組成物では、1日当たりの投薬量は、3から3000ミリグラム(mg)の式(I)の化合物の範囲にある。
【0222】
非経口投与のための組成物では、存在する式(I)の化合物の量は、組成物の全重量に対して、少なくとも0.5重量%であり、33重量%までであり得る。好ましい非経口組成物では、投薬単位は、3mgから3000mgの式(I)の化合物の範囲にある。
【0223】
1日当たりの投与量は、広い範囲の、式(I)の化合物の投薬単位に渡り得るが、通常、3から3000mgの範囲にある。しかし、具体的な投与量は、医師の裁量で、個別の要求に応じて特定の場合に適合させられ得ることが理解されるべきである。
【0224】
以下の例は、式(I)によって網羅される化合物がどのように合成され得るかを例示する。それらは、例示の目的でのみ記載されており、それは、如何なる仕方においても本発明を限定しようとするものではなく、また、そう解釈されるべきでない。当業者は、以下の例の、慣例となっている変更及び修正が、本発明の精神又は範囲を超えることなく成され得ることを理解するであろう。
【0225】
NMRスペクトルは、XWIN NMR 3.5ソフトウェアを実行するLinuxワークステーション、及び5mmのインバース1H/BBプローブヘッドを装備したBRUKER AVANCE 400 NMR分光計、或いは、XWIN NMR 2.6ソフトウェアを実行するSG Fuel、及び5mmインバース配置H/13C/19Fトリプルプローブヘッドを装備したBRUKER DRX 400 NMRで記録する。化合物は、d−ジメチルスルホキシド(又は、d−クロロホルム)溶液として、10mg/mlの濃度で、313K若しくは300Kのプローブ温度で調べる。装置は、d−ジメチルスルホキシド(又は、d−クロロホルム)のデューテリウムシグナルでロックする。化学シフトは、内部標準としたTMS(テトラメチルシラン)から低磁場側でのppmで記載される。
【0226】
HPLC分析は、次の装置の1つを用いて実施する。
−Agilent 1100シリーズHPLC装置、INERTSIL ODS 3 C18、DP 5μm、250×4.6mmカラムを装着。勾配は、100%の溶媒A(アセトニトリル、水、リン酸(5/95/0.001、v/v/v))から100%の溶媒B(アセトニトリル、水、リン酸(95/5/0.001、v/v/v))まで6分で流し、100%のBで4分間保持する。流量は、2.5ml/分に設定する。クロマトグラフィーは35℃で実施する。
−HP1090シリーズHPLC装置、HPLC Waters Symetry C18、250×4.6mmカラムを装着。勾配は、100%の溶媒A(メタノール、水、リン酸(15/85/0.001M、v/v/M))から100%の溶媒B(メタノール、水、リン酸(85/15/0.001M、v/v/M))まで10分で流し、100%のBで10分間保持する。流量は、1ml/分に設定する。クロマトグラフィーは40℃で実施する。
【0227】
LC/MSモードでの質量分析測定は、次の様に実施する。
HPLC条件
分析は、WATERS Alliance HPLC装置を用い、INERTSIL ODS 3、DP 5μm、250×4.6mmカラムを装着して実施する。
【0228】
勾配は、100%の溶媒A(アセトニトリル、水、トリフルオロ酢酸(10/90/0.1、v/v/v))から100%の溶媒B(アセトニトリル、水、トリフルオロ酢酸(90/10/0.1、v/v/v))まで7分で流し、100%のBで4分間保持する。流量は、2.5ml/分に設定し、API源の直前で、1/25のスプリットを用いる。
【0229】
MS条件
試料は、約250μg/mlの濃度で、アセトニトリル/水(70/30、v/v)に溶かす。APIスペクトル(+又は−)は、FINNIGAN LCQイオントラップ質量分析計を用いて実施する。APCI源は、450℃で、キャピラリーヒーターは160℃で運転する。ESI源は3.5kVで、キャピラリーヒーターは210℃で運転する。
【0230】
DIP/EIモードでの質量分析測定は、次の通り実施する:試料は、プローブを50℃から250℃に5分間で加熱することによって蒸発させる。EI(電子衝撃)スペクトルは、FINNIGAN TSQ 700タンデム四重極型質量分析計を用いて記録する。供給源の温度は150℃に設定する。
【0231】
GC/MSモードにおけるTSQ 700タンデム四重極型質量分析計(Finnigan MAT)での質量分析測定は、スプリット/スプリットレスのインジェクター、及びJ&W ScientificによるDB−5MS溶融シリカカラム(15m×0.25mm(内径)、1μm)を装備した、ガスクロマトグラフ3400型(Varian)により実施する。ヘリウム(純度99.999%)をキャリアガスとして用いる。インジェクター(CTC A200Sオートサンプラー)及び移送ラインは、それぞれ、290℃及び250℃で運転する。試料(1μl)は、スプリットレスモードで注入し、オーブンの温度は次の様にプログラムする:50℃で5分、280℃まで上昇(23℃/分)、そして10分間保持。TSQ 700分析計は、電子衝撃(EI)又は化学イオン化(CI/CH)モードで運転する(質量範囲33〜800、走査時間1.00秒)。供給源温度は150℃に設定する。
【0232】
高分解能質量分析測定は、ESI源と、ダイオードアレイ検出器を有するWaters Acquity UPLC(カラム:BEH C18(1.7μm、2.1×50mm))とを装備したWaters LCT飛行時間型質量分析計で行う。勾配は、98%の溶媒A(ギ酸アンモニウム(63mg/l)水溶液、30%アンモニア水(50μl/l))から95%のアセトニトリルまで流し、6分で戻る。供給源パラメータは、次の通りである:ESIキャピラリー電圧2.5kV、コーン電圧135V、供給源ブロック温度135℃、脱溶媒和温度350℃、コーンガス流20L/時(窒素)、脱溶媒和ガス流800L/時。検出器は、7.2KVのフライトチューブ、及び2,500VのMCP検出器により構成される。
【0233】
比旋光度は、Perkin−Elmer 341旋光計で記録する。回転角は、589nmで、25℃で、メタノール中1%溶液で記録する。
【0234】
融点は、Buchi 535又は545 Tottoli型融解計(fusionometre)で、補正せずに、又は、Perkin Elmer DSC 7での開始温度によって求める。
【0235】
分取クロマトグラフィーによる分離は、70と150ml/分の間の流量で、Novasepの軸方向圧縮カラム(内径80mm)を用い、シリカゲル60(Merck、粒径15〜40μm、参照番号1.15111.9025)で実施する。シリカゲルの量及び溶媒混合物は、個別の手順に記載の通り。逆相分離は、150ml/分の流量で、内径8cmのカラムにおいて、500gのKromasil C18(10μm)シリカゲル(酸性又は中性条件)、或いは、Phenomenex Gemini C18(10μM)(塩基性条件)のいずれかを用いて実施する。流出物は、特に断らなければ、215nmで検出する。
【0236】
分取キラルクロマトグラフィーによる分離は、社内で組み立てた装置を用い、±350ml/分で、低級アルコールとC5からC8の線状、分岐状又は環状アルカンの様々な混合物を用い、DAICEL Chiralpak AD(20μm)、100×500mmカラムで実施する。溶媒混合物は個別の手順に記載の通り。
【0237】
マイクロ波照射を必要とする実験は、バージョン2.0の操作ソフトウェアによりアップグレードしたBiotage Initiator Sixtyマイクロ波オーブンで実施する。実験は、できるだけ速く必要とされる温度に達するように行う(最大照射パワー:400W、外部冷却なし)。
【実施例】
【0238】
(例1)1−{トランス−3−[4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン(3)の合成
【化17】


1.1 3−ピペリジン−1−イルシクロブト−2−エン−1−オン(a2)の合成
トリフルオロ酢酸(64ml、0.825mol、1.1当量)を、N−シクロヘキシルシクロヘキサンアミニウム 3−オキソシクロブト−1−エン−1−オラート(a1)(200g、0.75mol、1当量)のジオキサン(1L)中の懸濁液に、撹拌しながら10分かけて加える。室温で4時間撹拌した後、得られる懸濁液を濾過し、ジオキサン(300ml)で洗う。次いで、濾液を室温で撹拌し、ピペリジン(96ml、0.975mol、1.3当量)を滴下して処理し、添加の間中(20分間)水浴で温度を30℃未満に保つ。次に、ジオキサンを減圧下に除去し、得られるオイルをジクロロメタン(400ml)に取り込む。有機層を、1Nの塩酸水溶液(400ml)、水(400ml)、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(400ml)及びブライン(400ml)で洗う。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、90.7gの赤色の固体を得る。次いで、固体を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 98:1.8:0.2)によって精製して、74.8gの3−ピペリジン−1−イルシクロブト−2−エン−1−オン(a2)を得る。
収率:66%
H NMR(CDCl)δ:4.47(s,1H)、3.22(m,4H)、2.95(s,2H)、1.53(m,6H)。
【0239】
1.2 シス−3−ピペリジン−1−イルシクロブタノール(a3)の合成
3−ピペリジン−1−イルシクロブト−2−エン−1−オン(a2)(10g、66.1mmol、1当量)のエタノール(200ml)溶液を、何回かに分けて水素化ホウ素ナトリウム(8.76g、231mmol、3.5当量)により処理する。添加が終わると、混合物を50℃で12時間撹拌し、20℃に冷却し、アセトン(20ml)により処理する。溶媒を減圧下に除去して、黄色のオイルを得て、これを酢酸エチル(200ml)で希釈する。この有機層を、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(100ml)、水(100ml)及びブライン(100ml)で洗い、次いで、減圧下に濃縮する。残留するオイルを、シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 95:4.5:0.5)によって精製して、8gのシス−3−ピペリジン−1−イルシクロブタノール(a3)を白色固体として得る。
収率:78%
H NMR(CDCl)δ:3.81(m,3H)、2.38(m,2H)、2.06(m,4H)、1.69(m,2H)、1.43(m,4H)、1.29(bs,2H)。
【0240】
1.3 シス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル 4−メチルベンゼンスルホネート(a4)の合成
シス−3−ピペリジン−1−イルシクロブタノール(a3)(1.0g、6.44mmol、1.0当量)及びN−メチルイミダゾール(1.03ml、12.88mmol、2.0当量)のジクロロメタン(10ml)溶液を、p−トルエンスルホニルクロリド(2.1g、10.95mmol、1.7当量)により処理する。混合物を、20℃で48時間撹拌し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(10ml)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、1.8gの赤色のオイルを得る。このオイルをシリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 99:0.9:0.1)によって精製して、1.1gのシス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル 4−メチルベンゼンスルホネート(a4)をオレンジ色の固体として得る。
収率:55%
LC−MS(MH):310
【0241】
1.4 1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン(a5)の合成
パラ−ヨードフェノール(15.46g、70.29mmol、1.5当量)の無水N,N−ジメチルアセトアミド(65ml)溶液を、アルゴン雰囲気下に、水素化ナトリウム(ミネラルオイル中の60%分散体、3.37g、84.35mmol、1.8当量)により処理する。30分後に、シス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル 4−メチルベンゼンスルホネート(a4)(14.5g、46.86mmol、1当量)を加え、混合物を80℃で一夜撹拌する。混合物を減圧下に濃縮し、酢酸エチル(200ml)で希釈し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で2回洗う。次いで、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/エタノール 98:2から93:7)によって精製して、11.5gの1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン(a5)をオレンジ色のオイルとして得る。
収率:69%
LC−MS(MH):358
【0242】
1.5 1−{トランス−3−[4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン(3)の合成
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(0.92ml、6.17mmol、3.15当量)を、1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン(a5)(0.7g、1.96mmol、1当量)、ピペリジン(0.58ml、5.88mmol、3当量)、酢酸パラジウム(88mg、0.39mmol、0.2当量)、ヘキサカルボニルモリブデン(569mg、2.16mmol、1.1当量)及び200mgのモレキュラーシーブの溶液に0℃で加える。混合物を、マイクロ波照射下に、125℃で20分間撹拌し、セライトで濾過し、減圧下に濃縮する。残留物を、ジクロロメタンに取り込み、水で3回、塩化ナトリウムの飽和水溶液で1回洗う。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。粗残留物を酢酸エチルに取り込み、濾過する。上澄みを濃縮し、シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 97:2.7:0.3)によって精製して、263mgの1−{トランス−3−[4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン(3)を、ピンク色の固体として得る。
収率:40%
LC−Ms(MH):343
【0243】
化合物1、2、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13及び14は、同じ方法に従って合成できる。
【0244】
(例2)4−(4−{[トランス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンゾイル)モルホリン(17)、及び4−{[4−({トランス−3−[(2S)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル}オキシ)フェニル]カルボノチオイル}モルホリン(18)の合成
【化18】


2.1 3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブト−2−エン−1−オン(a6)の合成
トリフルオロ酢酸(15.75ml、0.207mol、1.1当量)を、N−シクロヘキシルシクロヘキサンアミニウム 3−オキソシクロブト−1−エン−1−オラート(50g、0.19mol、1当量)のジオキサン(250ml)中の懸濁液に、撹拌しながら10分かけて加える。室温で20時間撹拌した後、得られる懸濁液を濾過し、ジオキサン(40ml)で洗う。濾液を室温で撹拌し、2−メチルピロリジン(20g、0.245mol、1.3当量)を滴下して処理し、添加の間中(20分間)水浴で温度を30℃未満に保つ。次いで、混合物を20℃で24時間撹拌する。ジオキサンを減圧下に除去し、得られるオイルを、シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 98:1.8:0.2)によって精製して、7.256gの3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブト−2−エン−1−オン(a6)を黄色のオイルとして得る。
収率:25%
RMN H(CDCl):δ 4.55(d,J=6.8Hz,1H)、3.94(m,1H)、3.81(m,1H)、3.53(m,2H)、3.35(m)、3.32(m,1H)、3.18(s,1H)、1.74(m,1H)、1.26(dd,J=9.2,6.6Hz,3H)。
【0245】
2.2 シス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブタノール(a7)の合成
水酸化ナトリウム水溶液(46%、1.5ml、0.5当量)のメタノール(85ml)溶液を、水素化ホウ素ナトリウム(6.2g、0.16mol、3.4当量)により処理し、次いで、3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブト−2−エン−1−オン(a6)(7.26g、78mmol、1当量)のメタノール(40ml)溶液を、20分かけて、滴下して加える。混合物を20℃で1時間半、次に、56℃で一夜撹拌し、減圧下に濃縮する。残留するペーストを水(40ml)に溶かし、ジクロロメタン(2×40ml、次に、20ml)で抽出する。有機層を集め、10%の水酸化ナトリウム水溶液(30ml)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥する。濃縮後、残留するオイル(6.35g)は、まだ出発物質を含んでいる。そこで、このオイルを前記反応条件に再度置き、同じ仕方で処理して、未精製のシス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブタノール(a7)をオイル(5.35g)として得る。この化合物を、さらに精製することなく、次のステップに用いる。
【0246】
2.3 シス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル 4−メチルベンゼンスルホネート(a8)の合成
シス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブタノール(a7)(2.67g、17.2mmol、1.0当量)及びN−メチルイミダゾール(1.51ml、19mmol、1.1当量)の酢酸エチル(45ml)溶液を、p−トルエンスルホニルクロリド(3.94g、20.7mmol、1.2当量)により処理する。混合物を20℃で2時間撹拌し、塩化アンモニウムの飽和水溶液(45ml)により処理する。水性相をジクロロメタン(90ml)で抽出し、有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮して、3.45gの赤色のオイルを得る。このオイルを、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン/メタノール 98:2から90:10)によって精製して、2.27gのシス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル 4−メチルベンゼンスルホネート(a8)をオレンジ色の固体として得る。
収率:42%
LC−MS(MH):310
【0247】
2.4 1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]−2−メチルピロリジン(a9)の合成
パラ−ヨードフェノール(2.035g、9.2mmol、1.5当量)の無水N,N−ジメチルアセトアミド(100ml)溶液を、アルゴン雰囲気下に、水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%分散体、444mg、11mmol、1.8当量)により処理する。30分後に、シス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル 4−メチルベンゼンスルホネート(a8)(1.908g、6.2mmol、1当量)を加え、混合物を60℃で一夜撹拌する。混合物を酢酸エチル(800ml)で希釈し、塩化ナトリウムの飽和水溶液で2回洗う。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 98/1.8/0.2から90/9/1)によって精製して、890mgの1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]−2−メチルピロリジン(a9)をオレンジ色のオイルとして得る。
収率:69%
LC−MS(MH):358
【0248】
(2S)−1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]−2−メチルピロリジン(a10)、及び(2R)−1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]−2−メチルピロリジン(a11)は、ラセミ混合物(a9)のキラルクロマトグラフィーによって得る(chiralcel OJ−H;イソプロパノール/ベンゼン/ジエチルアミン 10/90/1)。
【0249】
2.5 4−(4−{[トランス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンゾイル)モルホリン(17)の合成
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(666mg、4.4mmol、2.5当量)を、1−[トランス−3−(4−ヨードフェノキシ)シクロブチル]−2−メチルピロリジン(a9)(625mg、1.7mmol、1当量)、モルホリン(381mg、4.4mmol、2.5当量)、酢酸パラジウム(78mg、0.3mmol、0.2当量)、ヘキサカルボニルモリブデン(508mg、1.9mmol、1.1当量)及びモレキュラーシーブ(220mg)の溶液に0℃で加える。混合物を、マイクロ波照射下に、105℃で20分間撹拌し、セライトで濾過し、減圧下に濃縮する。残留物を酢酸エチル(100ml)に取り込み、水(50ml)で洗う。水性相を酢酸エチルで逆抽出する。合わせた有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア 90:9:1)によって精製して、100mgの黄色のオイルを得る。このオイルを、逆相HPLC(勾配:水/アセトニトリル/8%炭酸アンモニウム、85:5:10から5:95:0)によってさらに精製して、61.4mgの4−(4−{[トランス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンゾイル)モルホリン(17)を、黄色のオイルとして得る。
収率:10%
LC−MS(MH):343
【0250】
4−[4−({トランス−3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル)オキシ)ベンゾイル]モルホリン(15)及び4−[4−({トランス−3−[(2S)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル}オキシ)ベンゾイル]モルホリン(16)は、同じ方法に従って合成できる。
【0251】
2.6 4−{[4−({トランス−3−[(2S)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル}オキシ)フェニル]カルボノチオイル}モルホリン(18)の合成
4−(4−{[トランス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンゾイル)モルホリン(17)のテトラヒドロフラン(2ml)溶液を、ローソン試薬(1.5当量、0.3mmol、116.2mg)により処理する。反応混合物を20℃で12時間撹拌し、濾過し、得られる溶液を、Statosphere PL−SO3H酸性樹脂(0.6mmol)で濾過する。樹脂をテトラヒドロフランによりすすぎ洗いし、合わせた有機相を、減圧下に濃縮する。得られる固体を、逆相HPLC(勾配:水/アセトニトリル/8%炭酸アンモニウム 85:5:10から5:95:0)によって精製して、16mgの黄色のオイルを得る。
収率:54%
LC−MS(MH):361
【0252】
(例3)4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)チオ]ベンゾイル}モルホリン(43)の合成
【化19】


3.1 シス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル 4−ブロモベンゼンスルホネート(a12)の合成
シス−3−ピペリジン−1−イルシクロブタノール(a3)(310mg、2mmol、1当量.)の酢酸エチル(10ml)溶液を、4−ブロモベンゼンスルホニルクロリド(613mg、2.4mmol、1.2当量)及びN−メチルイミダゾール(240μl、3mmol、1.5当量)により処理する。混合物を室温で12時間撹拌する。反応混合物を濾過し、析出物を酢酸エチルで洗う。固体を酢酸エチルに溶かし、飽和炭酸水素ナトリウム、及び飽和塩化アンモニウムで洗う。有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥して、543mgのシス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル 4−ブロモベンゼンスルホネート(a12)を、黄色のオイルとして得る。
収率:72%
LC−MS(MH):374/376
【0253】
3.2 4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]スルファニル}安息香酸(a13)の合成
4−メルカプト安息香酸(0.73g、4.71mmol、2.25当量)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)溶液を、モレキュラーシーブ(4Aビーズ、0.53g)の上に入れ、チオ硫酸ナトリウム(0.7g、4.03mmol、1.93当量)により、1時間処理する。水素化ナトリウム(オイル中60%分散体、0.24g、6.02mmol、2.87当量)、次いで、シス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル 4−ブロモベンゼンスルホネート(a12)(0.78g、2.09mmol、1当量)を加え、混合物を20℃で2時間、50℃で12時間撹拌する。混合物を濃縮乾固する。得られる固体を、酢酸エチル(25ml)、アセトニトリル(2×25ml)及びジクロロメタン(25ml)中で磨砕する。次に、固体をメタノール(3×20ml)に取り込み、濾過する。メタノール相を合わせて、濃縮乾固する。次いで、得られる固体をシリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン/メタノール 100:0から0:100)によって精製して、0.56gの4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]スルファニル}安息香酸(a13)を得る。
収率:99%
LC−MS(MH):292
【0254】
3.3 4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)チオ]ベンゾイル}モルホリン(43)の合成
O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(1.36g、4.25mmol、2.6当量)のN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)溶液を、4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]スルファニル}安息香酸(a13)(0.45g、1.6mmol、1当量)により処理し、20℃で10分間撹拌する。次に、ジイソプロピルエチルアミン(0.5ml、3.02mmol、1.89当量)及びモルホリン(0.3ml、3.44mmol、2.15当量)の混合物を加える。得られる混合物を20℃で48時間撹拌し、5mlに濃縮し、1Nの塩酸(5ml)で処理する。混合物を濾過し、固体を酢酸エチル(2×10ml)で洗う。液体相を、炭酸カリウムによりpH10にし、水性相を酢酸エチル(3×25ml)で抽出する。合わせた有機層を、水(2×25ml)、ブライン(30ml)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥する。有機相を濃縮乾固して、残留固体を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン/メタノール 100:0:0から90:9:1まで)により精製して、4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)チオ]ベンゾイル}モルホリン(43)を得る。
収率:17%
LC−MS(MH):361
【0255】
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)チオ]ベンゾイル}ピペリジン−4−オン(44)は、同じ方法に従って合成できる。
【0256】
(例4)1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボキサミド(28)の合成
【化20】


4.1 1−[トランス−3−(4−ブロモフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン(a14)の合成
パラ−ブロモフェノール(2.5mmol)の無水THF(30ml)溶液に、15−クラウン−5(990μl、5mmol、2当量)を加え、その後、4Åモレキュラーシーブ(2.1g)を加える。混合物を、アルゴン雰囲気下に、30℃で30分間撹拌する。水素化ナトリウム(210mg、5.25mmol、2.1当量)のミネラルオイル中60%分散体を、1時間かけてゆっくりと加える。次いで、混合物を60℃で、さらに1時間加熱し、シス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル 4−ブロモベンゼンスルホネート(a12)(1029mg、2.75mmol、1.1当量)を加える。混合物を還流下に6日間撹拌する。混合物を冷却し、セライトで濾過し、真空下に濃縮する。酢酸エチル(250ml)を加え、有機層を、2MのNaOH(50ml)、ブライン(50ml)で2回洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン/メタノール 100:0から95:5)によって精製して、1−[トランス−3−(4−ブロモフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン(a14)を得る。
収率:81%
LC−MS(MH):310〜312
【0257】
次の化合物が、同じ方法に従って調製され得る。
【表1】

【0258】
4.2 4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸(a20)の合成
1−[トランス−3−(4−ブロモフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン(a14)(1.4mmol、1当量)の−70℃のヘキサン(10ml)溶液を、アルゴン雰囲気下に、ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、1.68ml、4.2mmol、3当量)により処理する。45分間の反応後、大過剰の固体二酸化炭素を加え、反応温度をゆっくりと室温まで上げる。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、水(2ml)を加え、混合物を減圧下に濃縮する。残留物を、塩基性逆相クロマトグラフィー(勾配:アセトニトリル/水/炭酸アンモニウム 5/95/0.1から95/5/0.1、12分)によって精製して、4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸(a20)を得る。
収率:66%
LC−MS(MH):276
【0259】
3−フルオロ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸(a21)は、同じ方法に従って合成できる。
収率:32%
LC−MS(MH):294
【0260】
別法:3−メトキシ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸(a22)の合成
1−[トランス−3−(4−ブロモ−2−メトキシフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン(a16)(0.5mmol)の−70℃の無水テトラヒドロフラン(10ml)溶液を、アルゴン雰囲気下に、ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、240μl、0.6mmol、1.2当量)により処理する。1時間の反応後に、クロロギ酸エチル(57.4μl、0.6mmol、1.2当量)を加え、−70℃で15分後に、反応温度をゆっくりと室温まで上げる。次いで、飽和炭酸カリウム(10ml)及び酢酸エチル(30ml)を加え、生成物を抽出する。有機層をブライン(10ml)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。残留物を、メタノールと水(1.5ml:0.5ml)の混合物で希釈し、水酸化ナトリウム(2M、300μl、0.6mmmol、1.2当量)を加える。混合物を室温で一夜撹拌する。残留物を減圧下に濃縮する。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(勾配:ジクロロメタン/メタノール 100:0から60/40)によって精製して、3−メトキシ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸(a22)を得る。
収率:33%
LC−MS(MH):306
【0261】
次の化合物が同じ方法に従って調製され得る。
【表2】

【0262】
4.3 1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボキサミド(28)の合成
4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸(a20)(40mg、145μmol)のDMF(500μl)溶液を、ピペリジン−4−カルボキサイミド(20.5mg、160μmol、1.1当量)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(49mg、152.5μmol、1.05当量)、及びジイソプロピルエチルアミン(75.9μl、435μM、3当量)により処理する。室温で1日後に、飽和炭酸ナトリウム(2ml)及び酢酸エチル(2ml)を加える。生成物を抽出し、水性相を酢酸エチル(2ml)で再度抽出する。有機層をブライン(1ml)で洗い、減圧下に濃縮する。残留物を、塩基性逆相クロマトグラフィー(勾配:アセトニトリル/水/炭酸水素アンモニウム 5/95/01から95/5/01、12分)によって精製して、33.9mgの1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボキサミド(28)を得る。
収率:61%.
LC−MS(MH):385
【0263】
化合物19、20、21、22、23、24、25、26、27、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41及び42は、同じ方法に従って合成され得る。
【0264】
表Iは、化合物のIUPAC名、質量分析で観察されたイオンピーク、H NMRの記述及び融点を示す。
【表3−1】


【表3−2】


【表3−3】


【表3−4】


【表3−5】


【表3−6】


【表3−7】


【表3−8】


【表3−9】

【0265】
(例5)ヒスタミンH−受容体に対する親和性;インバースアゴニスム、アンタゴニスム及びアゴニスム活性:[35S]GTPγS−結合アッセイ ヒトヒスタミンH−受容体
材料及び方法
試薬
試薬及び基準化合物は、分析グレードであり、様々な市販品供給元から入手できる。[H]−N−α−メチルヒスタミン(80〜85Ci/mmol)及び[35S]−GTPγS(1250Ci/mmol)は、Perkin Elmer(ベルギー)から購入する。細胞培養試薬は、Cambrex(ベルギー)から購入する。
【0266】
試験用及び基準化合物は、1mMの保存溶液を得るように、100%DMSOに溶かす。アッセイでの最終のDMSO濃度は1%を超えない。
【0267】
スプライスなしの完全長(445個のアミノ酸)ヒトHヒスタミン受容体を発現するCHO細胞系が、例えば、Euroscreen S.A.(ベルギー)から入手できる。
【0268】
細胞培養
細胞は、10%のウシ胎仔血清、100IU/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、1%のピルビン酸ナトリム、及び400μg/mlのゲンタマイシンを含むHAM−F12培地で成長させる。細胞は、95%の空気及び5%のCOからなる加湿雰囲気で、37℃に保つ。
【0269】
膜調製
集密細胞を、PBS/EDTA0.02%における、37℃での10分間のインキュベーションによって引き離す。細胞懸濁液を、1,500×gで10分間、4℃で遠心する。ペレットを、2mMのMgCl、0.3mMのEDTA、1mMのEGTAを含む15mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)(緩衝液A)中で、ホモジェナイザーにかける。粗ホモジェネートを、液体窒素で凍結し、解凍する。次いで、DNAse(1μl/ml)を加え、ホモジェネートを、25℃で10分間、さらにインキュベートし、その後、40,000×gで25分間、4℃で遠心する。ペレットを緩衝液Aに再び懸濁させ、同じ条件でもう一度洗う。最終の膜ペレットを、1〜3mg/mlのタンパク質濃度で、12.5mMのMgCl、0.3mMのEDTA、1mMのEGTA及び250mMのスクロールを加えた7.5mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に再懸濁し、使用するまで液体窒素中に保管する。
【0270】
結合アッセイ
H]−N−α−メチルヒスタミン結合アッセイ
ヒトヒスタミンH受容体に対する化合物の親和性は、[H]−N−α−メチルヒスタミンとの競合によって求めることができる。この結合アッセイは、ヒトであってもヒトでなくても、任意のH配列で実施できる。手短に言えば、ヒトHヒスタミン受容体を発現する膜(20〜40μgのタンパク質)を、2mMのMgCl、0.2nMの[H]−N−α−メチルヒスタミン及び増大する濃度の薬剤を含む0.5mlの50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)中、25℃でインキュベートする。非特異的結合(NSB)は、10μMのチオペラミド又はヒスタミン存在下に観察される残留結合として定義する。膜に結合した放射性リガンド及び遊離の放射性リガンドは、0.1%のPEIに予め浸したガラス繊維フィルターを通す急速濾過によって分離する。試料及びフィルターは、少なくとも6mlのよく冷やした50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)によって洗う。濾過の全手順は、1試料当たり、10秒を超えない。フィルター上に捕捉された放射能は、β−カウンターでの液体シンチレーションによって計数する。
【0271】
35S]−GTPγS結合アッセイ
ヒトHヒスタミン受容体を発現する膜への[35S]−GTPγSの結合の賦活(アゴニスト)又は阻害(インバースアゴニスト)は、いくつか修正して、Lorenzen等(Mol.Pharmacol.1993、44、115〜123頁)によって記載されたようにして求める。手短に言えば、ヒトHヒスタミン受容体を発現する膜(10〜20μgのタンパク質)を、3mMのMgCl、50mMのNaCl、1μMのGDP、2μgのサポニン及び増大する濃度の薬剤を含む0.2mlの50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)中、25℃でインキュベートする。15分間の予備インキュベーションの後、0.2nMの[35S]−GTPγSを試料に加える。非特異的結合(NSB)は、100μMのGpp(NH)pの存在下に観察される残留結合として定義する。膜に結合した放射性リガンド及び遊離の放射性リガンドは、ガラス繊維フィルターを通す急速濾過によって分離する。試料及びフィルターは、少なくとも6mlのよく冷やした50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)によって洗う。濾過の全手順は、1試料当たり、10秒を超えない。フィルター上に捕捉された放射能は、β−カウンターでの液体シンチレーションによって計数する。
【0272】
データ解析
pIC50/pKi/pEC50/pEC50INVの決定
解析
生のデータを、次の一般式に従って、XLfit(商標)(IDBS、英国)を用い、非線形回帰によって解析する。
B=MIN+[(MAX−MIN)/(1+(((10)/(10−pX50))nH))]
ここで、
Bは、無標識化合物の存在下における結合した放射性リガンドであり(dpm)、
MINは、観察された最少の結合であり(dpm)、
MAXは、観察された最大の結合であり(dpm)、
Xは、無標識化合物の濃度である(logM)。
pX50(−logM)は、その最大効果(放射性リガンドの結合の阻害又は賦活)の50%を生じる無標識化合物の濃度である。それは、[H]−N−α−メチルヒスタミンによる結合研究において受容体に対する化合物の親和性を求める時にはpIC50を、[35S]−GTPγSの結合を賦活する化合物(アゴニスト)のpEC50を、また[35S]−GTPγSの結合を阻害する化合物(インバースアゴニスト)のpEC50INVを表す。
は、ヒル係数である。
pKiは、次の式を適用することによって得ることができる(Cheng、Prusoff、1973年、Biochem.Pharmacol.、22 : 3099〜3108頁)。
pKi=pIC50+log(1+L/Kd)
ここで、
pKiは、無標識化合物の平衡解離定数であり(−logM)、
Lは、放射性リガンドの濃度であり(nM)、
Kdは、放射性リガンドの平衡解離定数である(nM)。
【0273】
本発明による式(I)の化合物は、ヒスタミンH受容体に対する、少なくとも7、好ましくは8を超えるpIC50値を示す。
【0274】
本発明による式(I)の化合物は、ヒスタミンH受容体に対する、典型的には8を超えるpEC50INV値を示した。
【0275】
(例6)アンタゴニスム活性:分離されたモルモット筋層間神経叢(myenteric plexus)の一定間隔電場刺激アッセイ
材料及び方法
試薬
試験される化合物の保存溶液(10−2M)及びさらなる希釈は、DMSO(WNR、Leuven ベルギー)で、新たに準備する。他の全ての試薬(R(−)−α−メチルヒスタミン、メピラミン、ラニチジン、プロプラノロール、ヨヒンビン及びクレブス液の成分)は、分析グレードのものであり、通常の市販品供給元から入手する。
【0276】
動物
4週齢の雄性Dunkin−Hartleyモルモット(200〜300g)が、Charles River(Sultfeld、ドイツ)によって供給される。全ての動物は、UCB Pharmaの倫理委員会によって承認されたプロトコール「orgisol−GP」の下で、管理し、用いる。動物は、12匹のグループでUCB動物施設において、ステンレス鋼の籠(75×50×30cm)に収容し、研究に用いる前に、最低1週間、環境に順応させる。40から70%の相対湿度で、室温は、20と24℃の間に保つ。12時間の明暗サイクルを用いる。動物は食物と水を自由に得られる。
【0277】
器官の準備
方法は、Menkveld等、Eur.J.Pharmacol.1990、186、343〜347頁に記載のものを改変して用いる。縦筋層間神経叢を、分離されたモルモット回腸から準備する。組織を、10−7Mのメピラミン、10−5Mのラニチジン、10−5Mのプロプラノロール及び10−6Mのヨヒンビンを含む修正クレブス液を入れた20mlの器官浴に入れる。浴の溶液を37℃に保ち、95%O−5%COのガスを供給する。組織は、0.5gの静止張力下で、60分間、平衡状態に置き、電場刺激(5〜20V、1ms及び0.1Hzのパルス)を実験の間ずっと加える。このような刺激は、安定した、再現性のある単収縮(twitch contraction)を引き起こす。等尺性収縮を、(i)自動データ取得、(ii)予め決められた時点又は信号の安定での電磁弁による自動流体循環による浴の洗浄、及び(iii)予め決められた時点又は信号の安定での浴の薬剤の自動希釈/注入、を制御できるコンピュータシステム(EMKA Technologies)に接続した増幅器に連結された力−変位トランスデューサによって測定する。
【0278】
プロトコール
60分間の安定化の後、組織を、10−6MのR(−)−α−メチルヒスタミンにより、30分間隔で2回刺激する。溶媒又はアンタゴニスト試験化合物の存在の下での60分間のインキュベーションの後、R(−)−α−メチルヒスタミンに対する累積的な濃度−応答が引き出される(10−10から10−4M)。アンタゴニストの1濃度だけを、それぞれの組織で試験する。
【0279】
データ解析
アゴニストとアンタゴニストとの間の相互作用の適切な評価は、増大するアンタゴニスト濃度のない又はある場合に観察される曲線群を調べることによって行うことができる。濃度−応答曲線の各々の妥当な各パラメータの値(pD及びEmax)は、4パラメータのロジスティック方程式に実験データをフィッティングする、コンピュータの反復ソフトウェア(XLfit、IDBS、Guildford、英国)によって計算する。試験物質のアンタゴニスト活性は、Van Rossum等、Arch.Int.Pharmacodyn.Ther.1963、143、299頁、及び/又は、Arunlakshana & Schild、Br.J.Pharmacol 1959、14、48頁に記載の方法に従って、pD’及び/又はpA値の計算することによって概算する。
【0280】
結果は、平均値±SDとして表す。観察の回数は、nとして示す。
【0281】
本発明による式(I)の化合物は、ヒスタミンH受容体に対して、典型的には8以上のpA値を示した。
【0282】
(例7)hERG研究
これは、hERG cDNAにより安定的にトランスフェクトされたHEK293細胞により記録される、ヒトether−a−go−go−関連遺伝子(hERG)がコードするチャネルのテール(tail)電流への試験化合物の潜在的作用を評価するための、in vitroの電気生理学的パッチクランプ研究である。細胞がその上に蒔かれたカバースリップを、記録チャンバに装着し、生理食ブラインを上に注ぐ。テール電流の記録は、電圧パッチクランプ方式で行う。基準物質、例えば、E−4031を、観察される電流が既知のhERGチャネル遮断薬によって阻害できることを確認するために用いる(Zhou,Z.等、Biophys.J.、1998年、74、230〜241頁)。
【0283】
本発明の化合物は、通常、弱いhERGチャネルへの親和性を示す。一般的に、式(I)の化合物のhERGチャネルへの親和性は1μM以上である。
【0284】
(例8)脳H受容体占有率
材料及び方法
試薬
H]−N−α−メチルヒスタミン(80〜85Ci/mmol)は、Perkin−Elmer(ベルギー)から購入する。大脳皮質組織での結合アッセイで用いる試薬及び基準化合物は、分析グレードのものであり、様々な市販品供給元から得る。基準化合物は、1mMの保存溶液を得るように、100%のジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かす。アッセイにおける最終のDMSO濃度は1%を超えない。
【0285】
動物及び処理
動物を含む実験手順は、ベルギーの法律による動物実験のための地域倫理委員会に従って実施する。体重200〜300gの若い雄性SPF Sprague−Dawleyラット(OFA由来、IFFA CREDO(ベルギー)によって供給される)を用いる。動物には、ビヒクル又は試験化合物を、i.p.投与経路によって与える。化合物は全て、メチルセルロース(MC)(1%)及びDMSO(5%)の混合物に溶かす。5ml/(1kgの体重)の投与容積を用いる。コントロールのグループには、等しい投与容積の、MC(1%)/DMSO(5%)を与える。動物は、1又は3時間後に殺す。終末期の血液試料を採取し、脳を速やかに取り出す。大脳皮質は、氷の上で、4℃で細かく切断する。
【0286】
膜の調製
大脳皮質組織を、50mM Tris−HCl及び250mMのスクロースを含む、2.5倍の容積のよく冷やした緩衝液(pH7.4)中で、素早くホモジェナイザーにかける。ホモジェネートを液体窒素で凍結し、使用するまで、−80℃で保存する。
【0287】
H]−N−α−メチルヒスタミン結合アッセイ
H]−N−α−メチルヒスタミン結合アッセイは、2mMのMgClを含む、50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)中で実施する。手短に言えば、使用前に、ホモジェネートを解凍し、室温で15分間、インキュベートする。ホモジェネート(500μgのタンパク質)を、0.2mlの緩衝液及び0.2nMの[H]−N−α−メチルヒスタミン中、25℃で5分間、インキュベートする。非特異的結合(NSB)は、10μMのチオペラミドの存在下に観察される残留結合として定義される。膜に結合した放射性リガンド及び遊離の放射性リガンドは、ガラス繊維フィルター(GF/C)(0.1%のPEIに予め浸した)を通す急速濾過によって分離する。試料及びフィルターは、8mlのよく冷やした50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)によって洗う。濾過の全手順は、1試料当たり、10秒を超えない。フィルター上に捕捉された放射能は、β−カウンターでの液体シンチレーションによって計数する。タンパク質濃度は、ウシ血清アルブミンを標準に用いて、BCA Pierce法を用いて求める。
【0288】
データ解析
受容体占有率パーセントは、次の様に定義した。
1−((B−NSB)(処理動物)/(B−NSB)(コントロール動物)))×100
式中、Bは、結合した放射性リガンド(dpm)であり、NSBは非特異的結合である。
【0289】
IC50の値(ex vivoでの放射性リガンドの結合の50%低下を生じるのに必要とされる投与量)は、次の一般式に従って、GraphPad Prism 4ソフトウェア(GraphPad Inc.、San Diego、米国)を用いる非線形回帰によって、i.p.投与量のlog10 vs.特異的結合%を、プロットし解析することによって求める。
Y=MIN+(MAX−MIN)/(1+10(LogIC50−X)*nH)
式中、Yは応答であり、Xは、濃度の対数であり、MINは、観察された最少結合(dpm)であり、MAXは、観察された最大結合(dpm)であり、nHはヒル係数である。
【0290】
本発明による式(I)の好ましい化合物は、1mg/kg ipの投与量で、典型的には、通常70%以上の受容体占有率パーセントを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物。
【化1】


[式中、
Aは、アミノ窒素を通してシクロブチル基に結合した置換又は非置換アミノ基であり、
は、CH、C−ハロゲン、C−アルコキシ若しくはNであり、
Yは、O又はSであり、
Bは、アミノ窒素を通して、カルボニル又はチオカルボニル基に結合した、置換又は非置換アミノ基であり、
Xは、O又はSであり、
は、水素又はC1〜6アルキル又はハロゲン又はC1〜6アルコキシであるが、
但し、式(I)の化合物は、N−(2−オキソアゼパン−3−イル)−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンズアミドとは異なり、
但し、Bは、−NHとは異なるアミノ基であり、
但し、XがOであり、YがOである場合、Bは次の式(IX)の基:
【化2】


(式中、Rは、スルホニル、アミノ、置換又は非置換C1〜6アルキル、置換又は非置換C2〜6アルケニル、置換又は非置換C2〜6アルキニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換C3〜8シクロアルキル、置換又は非置換の3〜8員のヘテロシクロアルキル、アシル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアリール、置換又は非置換C1〜6−アルキルヘテロアリール、置換又は非置換C2〜6−アルケニルアリール、置換又は非置換C2〜6−アルケニルヘテロアリール、置換又は非置換C2〜6−アルキニルアリール、置換又は非置換C2〜6−アルキニルヘテロアリール、置換又は非置換C1〜6−アルキルシクロアルキル、置換又は非置換C1〜6−アルキルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換C2〜6−アルケニルシクロアルキル、置換又は非置換C2〜6−アルケニルヘテロシクロアルキル、置換又は非置換C2〜6−アルキニルシクロアルキル、置換又は非置換C2〜6−アルキニルヘテロシクロアルキル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルカルボキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルアシル、置換又は非置換アリールアシル、置換又は非置換ヘテロアリールアシル、置換又は非置換C3〜8−(ヘテロ)シクロアルキルアシル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアシルオキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルアルコキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルアルコキシカルボニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアミノカルボニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアシルアミノ、アシルアミノ、アシルアミノカルボニル、ウレイド、置換又は非置換C1〜6−アルキルウレイド、置換又は非置換C1〜6−アルキルカルバメート、置換又は非置換C1〜6−アルキルアミノ、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルホニルオキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルホニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルフィニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルファニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルスルホニルアミノ、アミノスルホニル、置換又は非置換C1〜6−アルキルアミノスルホニル、ヒドロキシ、置換又は非置換C1〜6−アルキルヒドロキシ、ホスホネート、置換又は非置換C1〜6−アルキルホスホネート、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、オキソ及びチオキソを含む又はからなる群から選択され、
は、Cl又はNHであり、
nは、0、1、2又は3に等しい)
とは異なる]。
【請求項2】
式(I)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び全ての可能な混合物。
【化3】


[式中、
Aは、アミノ窒素を通してシクロブチル基に結合した置換又は非置換アミノ基であり、
は、CH、C−ハロゲン、C−アルコキシ若しくはNであり、
Yは、O又はSであり、
Bは、アミノ窒素を通してカルボニル又はチオカルボニル基に結合した、置換又は非置換環状アミノ基であり、
Xは、O又はSであり、
は、水素又はC1〜6アルキル又はハロゲン又はC1〜6アルコキシである]。
【請求項3】
A及びXの部分が互いにトランス配置にある、請求項1又は2に記載の式(Ia)の化合物、その薬学的に許容される塩、及び全ての可能な混合物
【化4】


[式中、A、A、B、X、Y及びRは、式(I)の化合物に対して上で定義した通りである]。
【請求項4】
が、CH、C−F、C−Cl、C−O−CH又はNである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
がCHである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
XがOである、請求項1から5までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
YがOである、請求項1から6までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Aが、窒素原子を通してシクロブチル基に結合した、3から8員のヘテロシクロアルキルである、請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Aが、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、置換又は非置換のモルホリン−4−イル、置換又は非置換のピロリジン−1−イル、置換又は非置換のピペラジン−1−イル、置換又は非置換のアゼパン−1−イル、又は置換又は非置換のチオモルホリン−4−イルを含む又はからなる群から選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルである、請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Aが、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、置換又は非置換のピリジン−1−イルを含む又はからなる群から選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルである、請求項1から9までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Bが、窒素原子を通してカルボニル又はチオカルボニル基に結合した、3から8員のヘテロシクロアルキルである、請求項1から10までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Bが、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、置換又は非置換のモルホリン−4−イル、置換又は非置換のピロリジン−1−イル、置換又は非置換のピペラジン−1−イル、置換又は非置換のチオモルホリン−4−イル、置換又は非置換のアゼチジン−1−イル、置換又は非置換のイミダゾリジン−1−イル、置換又は非置換のイソオキサゾリジン−2−イル、置換又は非置換の1,3−チアゾリジン−3−イル、置換又は非置換のピラゾリジン−1−イル、及び置換又は非置換の1,4−オキサゼパン−4−イルを含む又はからなる群から選択される、3から8員のヘテロシクロアルキル基である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
Bが、式−NRの基[式中、R及びRは、独立に、水素、C1〜6アルキル、アリール又はヘテロアリールであるが、但し、R及びRの少なくとも一方は、水素とは異なる]である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の式(Ib)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物。
【化5】


[式中、X及びRは、式(I)に対して上で定義された通りであり、
Bは、アミノ窒素を通してカルボニルに結合した、置換又は非置換の3〜8員のヘテロシクロアルキルである]。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の式(Ic)の化合物、その幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、薬学的に許容される塩、及び可能な全ての混合物。
【化6】


[式中、X及びRは、式(I)に対して上で定義された通りであり、
Bは、アミノ窒素を通してカルボニルに結合した、置換又は非置換の3〜8員のヘテロシクロアルキルである]。
【請求項16】
Bが、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、置換又は非置換のモルホリン−4−イル、置換又は非置換のピロリジン−1−イル、又は置換又は非置換の1,4−オキサゼパン−4−イルから選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルである、請求項1から12まで、14及び15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
Bが、置換又は非置換のピペリジン−1−イル、又は置換又は非置換のモルホリン−4−イルから選択される、3から8員のヘテロシクロアルキルである、請求項1から12まで、14、15及び16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
が、水素、メトキシ、塩素又はフッ素である、請求項1から17までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
が水素である、請求項1から18までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}モルホリン;
4,4−ジフルオロ−1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン;
1−{トランス−3−[4−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
1−イソプロピル−4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペラジン;
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−オール;
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}チオモルホリン;
1−{トランス−3−[4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}チオモルホリン 1,1−ジオキシド;
1−(トランス−3−{4−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)カルボニル]フェノキシ}シクロブチル)ピペリジン;
1−アセチル−4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペラジン;及び
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}アゼチジン−3−オール;
4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)ベンズアミド;
4−[4−({トランス−3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル}オキシ)ベンゾイル]モルホリン;4−[4−({トランス−3−[(2S)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル}オキシ)ベンゾイル]モルホリン;
4−(4−{[トランス−3−(2−メチルピロリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}ベンゾイル)モルホリン;
4−{[4−({トランス−3−[(2S)−2−メチルピロリジン−1−イル]シクロブチル}オキシ)フェニル]カルボノチオイル}モルホリン;
4−{3−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}モルホリン;
1−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イミダゾリジン−4−オン;
4−{2−フルオロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}モルホリン;
1−[トランス−3−(3−クロロ−4−{[2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル]カルボニル}フェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
2−{3−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イソオキサゾリジン−4−オール;
1−{トランス−3−[3−クロロ−4−(1,3−チアゾリジン−3−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピラゾリジン−3−オン;
2−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イソオキサゾリジン−4−オール;
4−{3−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}−1,4−オキサゼパン;
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボキサミド;
1−{トランス−3−[3−クロロ−4−(ピロリジン−1−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
4−{2−フルオロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}−1,4−オキサゼパン;
1−[トランス−3−(4−{[2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル]カルボニル}フェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
4−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}−1,4−オキサゼパン;
2−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イソオキサゾリジン−4−オール;
1−{3−フルオロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−オン;
1−{トランス−3−[4−(1,3−チアゾリジン−3−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
1−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}ピペリジン−4−カルボキサミド;
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イミダゾリジン−4−オン;
1−[トランス−3−(3−フルオロ−4−{[2−(メトキシメチル)ピロリジン−1−イル]カルボニル}フェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−{3−メトキシ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}イミダゾリジン−4−オン;
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}−1,4−オキサゼパン;
4−{2−クロロ−4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)オキシ]ベンゾイル}モルホリン;
1−{トランス−3−[3−フルオロ−4−(1,3−チアゾリジン−3−イルカルボニル)フェノキシ]シクロブチル}ピペリジン;
4−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)チオ]ベンゾイル}モルホリン;及び
1−{4−[(トランス−3−ピペリジン−1−イルシクロブチル)チオ]ベンゾイル}ピペリジン−4−オンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項21】
薬学的に許容される希釈剤又は担体と組み合わせて、式(I)、式(Ia)、式(Ib)若しくは式(Ic)の化合物の有効量を含む、或いは、請求項1から20までのいずれか一項に記載の式(I)、式(Ia)、式(Ib)若しくは式(Ic)の化合物、又は薬学的に許容されるこれらの塩の有効量を含む、医薬組成物。
【請求項22】
治療薬として用いるための、請求項1から20までのいずれか一項に記載の式(I)、式(Ia)、式(Ib)若しくは式(Ic)の化合物、又は請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
軽度認知障害、アルツハイマー病、学習及び記憶障害、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、統合失調症、認知症、うつ病、癲癇、発作、痙攣、睡眠/覚醒障害、認知機能障害、ナルコレプシー、過眠症、肥満、上気道アレルギー障害、ダウン症候群、不安、ストレス、心臓血管障害、炎症、痛みの障害、特に、神経因性の痛み、又は多発性硬化症の治療又は予防のための、請求項1から20までのいずれか一項に記載の式(I)、式(Ia)、式(Ib)若しくは式(Ic)の化合物、又は請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
1−[トランス−3−(4−ブロモ−2−フルオロフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−[トランス−3−(4−ブロモ−2−メトキシフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−[トランス−3−(4−ブロモ−2−クロロフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−[トランス−3−(4−ブロモ−3−フルオロフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
1−[トランス−3−(4−ブロモ−3−クロロフェノキシ)シクロブチル]ピペリジン;
4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;
3−フルオロ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;
3−メトキシ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;
3−クロロ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;
2−フルオロ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸;及び
2−クロロ−4−{[トランス−3−(ピペリジン−1−イル)シクロブチル]オキシ}安息香酸からなる群から選択される合成中間体。

【公表番号】特表2011−524344(P2011−524344A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512102(P2011−512102)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056758
【国際公開番号】WO2009/147149
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(507073918)ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム (70)
【Fターム(参考)】