説明

シクロヘキサンジアミンモノアミド誘導体の製造方法及びその中間体

【課題】MCH1受容体拮抗薬として有用なシス−1,4−シクロヘキサンジアミンモノアミド誘導体の、安価で大量生産に適した製造方法、クロロピリミジンの効率的なジメチルアミノ化法、及びびこれらの製造工程で製造される新規な中間体化合物を提供する。
【解決手段】式(I)


の製造方法で、(II)をアミド化し、さらにカルボキシル基をアミノ基に変換する工程からなる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MCH受容体拮抗薬として有用なシス−1,4−シクロヘキサンジアミンモノアミド誘導体の製造方法ならびにクロロピリミジンのジメチルアミノ化法に関する。また、本発明は、この製造工程で製造される新規な中間体化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレスはうつ病及び不安障害の発症の成因として考えられているが、近年、脳内で生合成される種々の神経ペプチドがストレス反応において中心的役割を果たす分子として注目されている。神経ペプチドの一つであるメラニン凝集ホルモン(melanin-concentrating hormone:MCH)は19個のアミノ酸から生合成され、脳では辺縁系などに幅広く分布する(特許文献1参照)。MCH受容体はこれまでにメラニン凝集ホルモン1型受容体(MCH1R)とメラニン凝集ホルモン2型受容体(MCH2R)の2つのサブタイプが知られている。MCH2Rはげっ歯類には発現しておらず、未だその生理機能は解明されていないが、MCH1Rは摂食行動及びエネルギー代謝と深く関連することが明らかとなっている。また、MCH1Rはストレス応答及び情動の調節にも深く関与することが報告されている。MCHによる視床下部−下垂体−副腎皮質(hypothalamus-pituitary-adrenal:HPA)系活性化は、MCH1R拮抗剤及び副腎皮質刺激ホルモン放出因子(corticotropin-releasing factor:CRF)の中和抗体で拮抗される。MCHは視床下部からのCRF遊離促進を介し、HPA系を活性化させると推測される。さらに、MCH1Rは意欲及び報酬に関与する側坐核に多く分布しているが、この部位にMCHを注入すると強制水泳試験においてうつ様症状が認められ、逆にMCH遺伝子欠損マウスは抗うつ様症状を示す。また、MCH1R遺伝子欠損マウスを用いた検討により、MCH1Rは側坐核において報酬に関与するドーパミン神経の活性を抑制的に制御していることが示されている。さらに,非ペプチド性MCH1R拮抗剤であるATC0175は実験動物モデルにおいて抗うつ及び抗不安様作用を示す(非特許文献1参照)。以上の事実より、MCH1Rは摂食行動及びエネルギー代謝のみならず、うつ及び不安にも関与することが示唆され、MCH受容体拮抗剤、特にMCH1R拮抗剤はこれまでの作用機序と異なる抗うつ及び抗不安薬となる可能性があると期待できる。
【0003】
これまでにMCH1R拮抗物質として有用なピリミジン誘導体が報告されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
特許文献2に記されたピリミジン誘導体の中間体であるcis-1,4-シクロヘキサンジアミンモノアミド誘導体の製造には、その原料として、
式(XI)
【0004】
【化1】

(式中R4はC1-6アルキル基を示す)
の化合物を用いているが、この化合物は非常に高価であり、また入手困難である。したがって、医薬品として有用なMCH1R拮抗物質であるピリミジン誘導体を大量生産するためには、より安価で入手容易な原料化合物を用いた製造法の開発が期待される。
【0005】
一方、4位にジメチルアミノ基を有するピリミジンは、対応するクロロ誘導体にジメチルアミンを作用させる方法(例えば非特許文献2参照)、又はN,N-ジメチルホルムアミド(以下DMFと略す)を塩基触媒の存在下(例えば非特許文献3参照)又は非存在下(例えば非特許文献4参照)作用させる方法によって得られることが報告されている。その場合、ジメチルアミンは低沸点であり水溶液としての扱いのみ容易であることから、クロロ基自体の加水分解が進行する副反応が見られることが多い。一方、DMFを用いた場合、200℃以上の高温条件を必要とすることが多く、反応時間も20時間以上を要する。また塩基触媒条件下では、分子内に他の反応点が存在(例えば、他の芳香環上にハロゲン原子が存在)する場合は、これらにも一部ジメチルアミノ基が導入されてしまい、反応の選択性確保が困難となる場合がある。
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/087669号
【特許文献2】国際公開第2005/095357号
【非特許文献1】Drug Development Research 65, 278-290, 2005.
【非特許文献2】J. Med. Chem. 33, 196-202, 1990.
【非特許文献3】J. Am. Chem. Soc. 114, 10314-10321, 1992.
【非特許文献4】J. Heterocycl. Chem. 13, 633-638, 1976.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
MCH1受容体拮抗薬として有用なシス−1,4−シクロヘキサンジアミンモノアミド誘導体の、安価で大量生産に適した製造方法、及びクロロピリミジンの効率的なジメチルアミノ化法の提供、さらには、この製造工程で製造される新規な中間体化合物の提供。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意努力した結果、1,4−ニ置換シクロヘキサン誘導体を原料に用いることにより、安価で効率的なシス−1,4−シクロヘキサンジアミンモノアミド誘導体を製造する方法、及びDMF中において酸触媒を共存させることにより、より温和な条件下でクロロピリミジンをジメチルアミノ化する方法を見出し、大量生産に適した操作法を確立し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)式(I)
【0009】
【化2】

(式中、R1は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)に示される化合物及びその薬理学的に許容される塩の製造方法であって、下記スキーム中式(II)に示される化合物をアミド化して、式(III)に示される化合物を得る工程、及び式(III)に示される化合物のカルボキシル基をアミノ基に変換して式(I)に示される化合物を得る工程からなる製造方法、
【0010】
【化3】

【0011】
(2)R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基、又は3,4,5−トリフルオロフェニル基である(1)に記載の製造方法、
(3)式(I)に示される化合物及びその薬理学的に許容される塩の製造方法であって、下記スキーム中式(IV)で示される化合物をアミド化して、式(V)に示される化合物を得る工程、式(V)に示される化合物のヒドロキシ基を縮合して式(VI){式(VI)中R2はC1-6アルキル基、トリフルオロメチル基、又はフェニル基(ここで、フェニル基は同一又は異なって、水素原子あるいはC1-6アルキル基から選ばれる置換基を1から5個有してもよい)を示す}に示される化合物を得る工程、式(VI)に示される化合物をアジド化して式(VII)に示される化合物を得る工程、及び式(VII)に示される化合物のアジド基を還元して、式(I)に示される化合物を得る工程からなる製造方法、
【0012】
【化4】

【0013】
(4)R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基、又は3,4,5−トリフルオロフェニル基である(3)に記載の製造方法、
(5)式(I)に示される化合物及びその薬理学的に許容される塩の製造方法であって、下記スキーム中式(VIII)に示される化合物をモノアミド化して、式(I)に示される化合物を得る工程からなる製造方法、
【0014】
【化5】

(6)R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基、又は3,4,5−トリフルオロフェニル基である(5)に記載の製造方法、
(7)式(IX)
【0015】
【化6】

(式中R3は水素原子及びC1-4アルキル基を示し、Xは窒素原子、C-HあるいはC-R4(R4はC1-4アルキル基を示す)を示し、Yは窒素原子又はC-Hを示し、R1は前記と同様である。)に示される化合物のクロロ基を、酸触媒の存在下においてDMF中でジメチルアミノ化し、式(X)
【0016】
【化7】

(式中X、Y、R1及びR3は前記と同様である。)に示される化合物を得る工程からなる製造方法、
【0017】
(8)R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基、又は3,4,5−トリフルオロフェニル基である(7)に記載の製造方法、
(9)式(III)
【0018】
【化8】

(式中、R1は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)で示される化合物又はその塩、
(10)式(V)
【0019】
【化9】

(式中、R1は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)で示される化合物又はその塩、
(11)式(VI)
【0020】
【化10】

{(式中、R1は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)、R2はC1-6アルキル基、フェニル基(ここで、フェニル基は同一又は異なって、水素原子あるいはC1-6アルキル基から選ばれる置換基を1から5個有してもよい)、トリフルオロメチル基を示す}で示される化合物又はその塩、
(12)式(VII)
【0021】
【化11】

(式中、R1は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)で示される化合物又はその塩、である。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、MCH受容体拮抗薬として有用なピリミジン誘導体の、安価で効率的な、また大量生産に適した製造方法を提供することができた。また、酸触媒の存在により、DMF中においてより温和な条件下でクロロピリミジンをジメチルアミノ化する方法を見出した。さらに、本発明により、この製造工程で製造される新規な中間体化合物を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、例示されたものに特に限定されるものではない。
【0024】
式(I)で示される化合物としては、好ましくはR1が1〜3個のクロロ基、フルオロ基又は両方にて置換されたフェニル基の化合物であり、より好ましくは3−クロロ−4−フルオロフェニル基又は3,4,5−トリフルオロフェニル基の化合物である。
【0025】
式(VI)で示される化合物としては、好ましくはR2がメチル基、4−メチルフェニル基で示される化合物であり、より好ましくはメチル基を示す化合物である。
【0026】
式(IX)で示される化合物としては、好ましくはXが窒素原子の場合、YがC-H、R3がC1-4アルキル基である化合物、又はYが窒素原子の場合、XがCR4(ここでR4はC1-4アルキル基である)、R3が水素原子である化合物であり、より好ましくはX、Y、R3がそれぞれ窒素原子、CH、CH3である化合物、又はC-CH3、窒素原子、水素原子である化合物である。
【0027】
式(II)あるいは(IV)のアミド化の方法は、例えば対応するカルボン酸クロリドを、塩基の存在下極性又は非極性溶媒中作用させる方法、対応するカルボン酸をカルボジイミド、BOP試薬等の脱水縮合剤を用い、塩基の存在又は非存在下極性又は非極性溶媒中作用させる方法、クロロギ酸イソブチルに代表されるクロロギ酸エステル等を用いる酸無水物法あるいはコハク酸イミドエステルを経由する活性エステル法により活性化した後、塩基の存在又は非存在下極性又は非極性溶媒中作用させる方法が挙げられる。
【0028】
式(III)で示される化合物から式(I)で示される化合物への変換反応は、例えばカルボン酸クロリドを経由しアジドアニオンを作用してカルボン酸アジドとした後転位する方法又はジフェニルホスホリルアジド(以下DPPAと略す)を用いる方法によりイソシアナート体へと導いた後、2−メチル−2−プロパノール等のアルコールを作用し対応するカルバメート体へと変換しその後酸又は塩基の存在下加水分解する方法、もしくはイソシアナート体を直接酸性水又は塩基性水の共存下加水分解する方法が挙げられる。
【0029】
式(V)で示される化合物から式(VI)で示される化合物への変換反応は、例えば対応するスルホニルクロリド又はスルホン酸無水物を塩基存在下極性又は非極性溶媒中作用させる方法が挙げられる。
【0030】
式(VI)で示される化合物から式(VII)で示される化合物への変換反応は、例えばアジ化ナトリウム等のアジドアニオンを極性溶媒中作用させる方法が挙げられる。
【0031】
式(VII)で示される化合物から式(I)で示される化合物への還元反応は、例えばパラジウム等の金属触媒の共存下水素ガスを作用させる方法、トリアルキルホスフィンを水の共存下極性又は非極性溶媒中還元する方法が挙げられる。
【0032】
式(VIII)で示される化合物のモノアミド化は、例えば1当量の9−ボラビシクロノナン(以下9−BBNと略す)の存在下、約1当量の対応するカルボン酸クロリドを作用させることにより行うことができる(Org. Lett. Vol. 5,No.19,p.3399-3402, 2003)。
【0033】
式(IX)で示される化合物のジメチルアミノ化の際に用いる酸触媒は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸、ボロントリフルオリド等のルイス酸が挙げられ、当量は0.1〜5当量用いることができ、反応温度は100〜200℃で進行する。好ましくは、無機酸を1〜3当量用いた方法であり、より好ましくは37%塩酸1当量を用い120〜160℃にて行う方法である。
【0034】
なお上記中、C1-6のアルキル基とは、炭素数1から6個を有する直鎖状アルキル基、又は炭素数3個から6個を有する分岐鎖状アルキル基を示し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−メチル−2−プロピル基、n−プロピル基、n−へキシル基等である。
【0035】
C1-6のアルコキシ基とは、炭素数1から6個を有する直鎖状アルコキシ基、又は炭素数3個から6個を有する分岐鎖状アルコキシ基を示し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチル−2−プロピルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等である。
【0036】
C2-7のアルコキシカルボニル基とは、C1-6のアルコキシ基を有するカルボニル基を示し、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチル−2−プロピルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−へキシルオキシカルボニル基等である。
【0037】
酸とは、式(IX)のジメチルアミノ化に使用するものとして記載したものを示す。塩基とは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン等の有機塩基を示す。
【0038】
極性溶媒とは水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ジメチルスルホキシド、DMF、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン(以下THFと略す)等の溶媒を示す。
非極性溶媒とは、ジエチルエーテル、(2−メチルプロピル)メチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタン等の溶媒を示す。
【0039】
式(III)で示される化合物の塩とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、セシウム、アンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム塩等を示す。
【実施例】
【0040】
以下に、実施例をあげて本発明の製造法をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの記載によって限定的に解釈されるものではない。又、下記実施例における収率については出発原料の純度などにより収率が影響を受けているものがある。個々の化合物について製造するための最適化条件を選択することによって、さらに高い収率にすることが可能である。
【0041】
実施例1
シス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸(上記式(II)で表される化合物)を原料に用いた、N−(シス−4−アミノシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンズアミド(上記式(I)中、R1が3,4,5−トリフルオロフェニル基で表される化合物)の合成
(1)3,4,5−トリフルオロ安息香酸40.0g(0.227mol)、塩化チオニル29.8g(0.251mol)及びDMF0.17g(2.3mmol)をトルエン(200mL)に溶解させ加熱還流下攪拌した。1時間後、トルエンを減圧留去し3,4,5−トリフルオロ安息香酸クロリド23.1g(0.12mol)を得た。
H-NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm) 7.70-7.87 (m, 2 H).
(2)3M水酸化ナトリウム水溶液87mL(0.26mol)を1℃で攪拌した。これにシス−4−アミノシクロヘキシルカルボン酸17.0g (0.12mol)及びトルエン(40mL)を加えた。この懸濁液に上記(1)で得た3,4,5−トリフルオロ安息香酸クロリド23.1g(0.12mol)のトルエン溶液(35mL)を加え、2℃にて2時間攪拌した。有機層と水層を分離し、水層に3M塩酸水溶液(56mL)を内温1℃にて攪拌下加えた。1時間攪拌した後反応混合物を濾過し、濾過物を水(30mL)で2回洗浄後乾燥してシス−4−(3,4,5−トリフルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキサン−1−カルボン酸34.6g(0.115mol)を得た。
MS(ESI) m/z 324.1[M+Na]+
H-NMR(600 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.46-1.60 (m, 4 H), 1.60-1.70 (m, 2 H), 1.94-2.03 (m, 2 H), 3.33 (br s, 1 H), 3.84 (br s, 1 H), 7.78-7.84 (m, 2 H), 8.35 (d, J=7.79 Hz, 1 H).
【0042】
(3)シス−4−(3,4,5−トリフルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキサン−1−カルボン酸50.0g(0.166mol)をトルエン(500mL)に溶解させ、トリエチルアミン18.5g(0.183mol)を加え95℃で攪拌した。この溶液にジフェニルホスホリルアジド50.2g(0.182mol)を加え、95℃で1.5時間攪拌した後、3℃まで冷却した。反応溶液に6M塩酸水溶液(250mL)を加え、室温まで昇温させた後16時間攪拌した。有機層と水層を分離した後、水層にトルエン(250mL)を加え減圧濃縮した。残渣にトルエン(100mL)を加え室温で30分間攪拌した後、生じた沈殿を濾取した。この沈殿物を1.5M水酸化ナトリウム水溶液(443mL)に加え、室温で15時間攪拌した。反応混合物を3℃に冷却しさらに1時間攪拌した後、濾過した。濾過物を水(50mL)で2回洗浄後乾燥してN−(シス−4−アミノシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンズアミド27.9g(0.102mol)を得た。
MS(ESI) m/z 273.0[M+H]+
H-NMR(300 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.35 (br s, 2H), 1.42-1.61 (m, 6 H), 1.66-1.88 (m, 2 H), 2.92 (br s, 1 H), 3.70-3.87 (m, 1 H), 7.73-7.90 (m, 2 H), 8.29 (d, J=7.46 Hz, 1 H).
【0043】
実施例2
シス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸(上記式(II)で表される化合物)を原料に用いた、N−(シス−4−アミノシクロヘキシル)−3−クロロ−4−フルオロベンズアミド(上記式(I)中、R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基で表される化合物)の合成
(1)3−クロロ−4−フルオロ安息香酸50.0g (0.286mol)、DMF0.212g(2.9mmol)及び塩化チオニル40.9g (0.344mol)をトルエン(250mL)に溶解させ加熱還流下攪拌した。1時間後トルエンを減圧留去した後、トルエン(100mL)にてさらに2回濃縮を行い、3−クロロ−4−フルオロ安息香酸クロリドを得た。
(2)3M水酸化ナトリウム水溶液210mL(0.63mol)を2℃で攪拌した。この水溶液にシス−4−アミノシクロヘキシルカルボン酸41.0g (0.286mol)及びトルエン(100mL)を加えた。この溶液に上記(1)で得た3−クロロ−4−フルオロ安息香酸クロリドのトルエン溶液(100mL)を加え、1時間攪拌した。有機層と水層を分離した後、水層を2℃で攪拌した。これに3M塩酸水溶液(135mL)を加えた。1時間攪拌した後、反応混合物を濾過し、濾過物を水(50mL)で2回洗浄した後乾燥してシス−4−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキサン−1−カルボン酸78.7g(0.263mol)を得た。
MS(ESI) m/z 322.2[M+Na]+
H-NMR(600 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.48-1.60 (m, 4 H), 1.60-1.71 (m, 2 H), 1.93-2.06 (m, 2 H), 3.33 (br s, 1 H), 3.84 (br s, 1 H), 7.44-7.54 (m, 1 H), 7.83-7.93 (m, 1 H), 8.04-8.13 (m, 1 H), 8.33 (d, J=7.79 Hz, 1 H), 12.19 (br s, 1 H).
【0044】
(3)上記(2)で得たシス−4−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキサン−1−カルボン酸200g(0.667mol)をトルエン(1L)に懸濁させ、トリエチルアミン74.3g (0.734mol)を加え、95℃で攪拌した。この溶液にジフェニルホスホリルアジド202g (0.734mol)を加え、91℃で1.5時間攪拌した後3℃まで冷却した。反応溶液に6M塩酸水溶液(1L)を加え、室温まで昇温させ16時間攪拌した後減圧濃縮した。残渣に水(1L)とトルエン(400mL)を加え70℃まで加熱をした後、有機層と水層を分液し、有機層を6M塩酸水溶液(1L)と6M塩酸水溶液(400mL)で抽出した。それぞれの水層を減圧濃縮し残渣を合わせ、水(800mL)を加え攪拌した。この懸濁液に3M水酸化ナトリウム水溶液(480mL)を加え2℃に冷却し、1時間攪拌した後濾過した。濾過物を水(200mL)で2回洗浄した後乾燥してN−(シス−4−アミノシクロヘキシル)−3−クロロ−4−フルオロベンズアミド139g(0.513mol)を得た。
H-NMR(600 MHz, CDCl3) δ (ppm) 1.18-1.37 (m, 2 H), 1.37-1.51 (m, 2 H), 1.67-1.89 (m, 6 H), 2.92-3.08 (m, 1 H), 4.06-4.21 (m, 1 H), 6.13 (d, J=5.96 Hz, 1 H), 7.14-7.24 (m, 1 H), 7.58-7.69 (m, 1 H), 7.78-7.87 (m, 1 H).
【0045】
実施例3
トランス−4−アミノシクロヘキサノール(上記式(IV)で表される化合物)を原料に用いた、N−(シス−4−アミノシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンズアミド(上記式(I)中、R1が3,4,5−トリフルオロフェニル基で表される化合物)の合成
(1)トランス−4−アミノシクロヘキサノール6.54g(56.79mmol)を3M水酸化ナトリウム水溶液20.8mL(62.47mol)に懸濁させ、0℃で攪拌した。この懸濁液に実施例1(1)と同様の操作で得た3,4,5−トリフルオロ安息香酸クロリド(56.79mmol)のアセトニトリル溶液を10分間で滴下し、さらに2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾過物を水(20mL)で2回洗浄した後乾燥してトランス−4−(3,4,5−トリフルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキサノール 13.25g(48.48mmol)を得た。
H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.15-1.45 (m, 4 H),1.75-1.90 (m, 4H),3.20-3.50 (m, 1 H) ,3.60-3.80 (m, 1 H) ,4.60 (d, J=5Hz, 1H), 7.70-7.90 (m, 2 H), 8.29 (d, J=7.5 Hz, 1 H).
【0046】
(2)上記(1)で得たトランス−4−(3,4,5−トリフルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキサノール 13.00g(47.58mmol)をTHF(65mL)に懸濁させ、トリエチルアミン5.78g(57.09mmol)を加え0℃で攪拌した。この懸濁液にメタンスルホニルクロリド6.54g(57.09mmol)を15分間で滴下した。1時間後反応混合物に水(65mL)を加えさらに1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾過物を乾燥してトランス−4−(3,4,5−トリフルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキシル メタンスルホネート14.74g(41.95mmol)を得た。
H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.40-1.70 (m, 4 H), 1.80-2.00 (m, 2 H), 2.00-2.20 (m, 2 H),3.20 (s, 3 H),3.70-3.90 (m, 1 H), 4.55-4.70 (m, J=5Hz, 1 H), 7.70-7.90 (m, 2 H), 8.42 (d, J=7.5 Hz, 1 H).
【0047】
(3)上記(2)で得たトランス−4−(3,4,5−トリフルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキシル メタンスルホネート70g(0.199mol)をDMF(210mL)に溶解させ、アジ化ナトリウム14.3g(0.219mol)を加え70℃で15時間攪拌した。室温まで冷却した後、反応混合物にトルエン(280g)及び水(630g)を加え攪拌した。有機層と水層を分離した後、有機層を水(350g)にて4回洗浄した後減圧濃縮し、残渣にトルエン(156g)を加え80℃で攪拌した。この溶液にヘプタン(123g)を加えた後、0℃で攪拌した。生じた沈殿を濾取し乾燥してN−(シス−4−アジドシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンズアミド57.4g(0.192mol)を得た。
H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm) 1.50-2.00 (m, 8 H), 3.80-3.90 (m, 1 H), 3.90-4.10 (m, 1 H), 5.80-6.10 (m, 1 H), 7.30-7.50 (m, 2 H).
【0048】
(4)上記(3)で得たN−(シス−4−アジドシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンズアミド40.7g(0.137mol)をメタノール(407mL)に溶解させ、5%パラジウム-炭素4.07gを加え、水素気流下室温で5時間攪拌した。触媒をセライト濾過により濾別し、濾液を減圧濃縮した。残渣を1M塩酸(407mL)に溶解しトルエン(163g)を加え分離した。水層を0℃まで冷却した後、3M水酸化ナトリウム水溶液(122mL)を滴下した。生じた沈殿を濾取し、水(80g)で洗浄した後乾燥してN−(シス−4−アミノシクロヘキシル)−3,4,5−トリフルオロベンズアミド24.0g(0.088mol)を得た。
MS(ESI) m/z 272.9[M+H]+
H-NMR(300 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.20-1.61 (m, 8 H), 1.66-1.88 (m, 2 H), 2.90-3.00 (m, 1 H), 3.75-3.90 (m, 1 H), 7.73-7.90 (m, 2 H), 8.29 (d, J=7.46 Hz, 1 H).
【0049】
実施例4
トランス−4−アミノシクロヘキサノール(上記式(IV)で表される化合物)を原料に用いた、N−(シス−4−アミノシクロヘキシル)−3−クロロ−4−フルオロベンズアミド(上記式(I)中、R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基で表される化合物)の合成
(1)3−クロロ−4−フルオロ安息香酸100.0g(0.573mol)を原料に用い実施例2(1)と同様の操作を行って、3−クロロ−4−フルオロ安息香酸クロリド103gを得た。
【0050】
(2)トランス−4−アミノシクロヘキサノール66.0g (0.573mol)を3M水酸化ナトリウム水溶液210.1mL(0.63mol)に懸濁させ、内温15℃で攪拌した。この懸濁液に上記(1)で得た3−クロロ−4−フルオロ安息香酸クロリド103gをアセトニトリル(198mL)にて調製した溶液を45分間で滴下し、さらに室温で2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾過物を水(150mL)で2回洗浄した後乾燥してトランス−4−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキサノール 131.5g(0.484mol)を得た。
MS(ESI) m/z 272.1[M+H]+
H-NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.15-1.42 (m, 4 H), 1.73-1.92 (m, 4 H), 3.30-3.50 (m, 1 H), 3.62-3.75 (m, 1 H), 4.60 (d, J=4.58 Hz, 1 H), 7.51 (t, J=8.94 Hz, 1 H), 7.79-7.92 (m, 1 H), 8.05 (dd, J=7.34, 2.29 Hz, 1 H), 8.32 (d, J=7.79 Hz, 1 H).
【0051】
(3)上記(2)で得たトランス−4−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキサノール121.5g(0.447mol)をテトラヒドラフラン(608mL)に懸濁させ、トリエチルアミン54.3g(0.537mol)を加え内温10℃以下で攪拌した。メタンスルホニルクロリド61.5g(0.537mol)を50分間で滴下した。1時間攪拌後反応混合物に水(610mL)を内温10℃以下で加えさらに1時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾過物を水(200mL)で3回洗浄後乾燥してトランス−4−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキシル メタンスルホネート141.62g(0.405mol)を得た。
MS(ESI) m/z 350.2[M+H]+
H-NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.40-1.68 (m, 4 H), 1.91 (d, J=10.55 Hz, 2 H), 2.10 (dd, J=12.38, 2.75 Hz, 2 H), 3.20 (s, 3 H), 3.70-3.86 (m, 1 H), 4.51-4.67 (m, 1 H), 7.52 (t, J=8.94 Hz, 1 H), 7.82-7.92 (m, 1 H), 8.06 (dd, J=7.34, 2.29 Hz, 1 H), 8.40 (d, J=7.34 Hz, 1 H).
【0052】
(4)上記(3)で得たトランス−4−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)シクロヘキシル メタンスルホネート150g (0.429mol)をDMF(750mL)に溶解し、アジ化ナトリウム42.7g(0.644mol)を加え75℃で12時間攪拌した。反応混合物にトルエン(750mL)及び50℃の水(750mL)を加え、内温58℃にて5分間攪拌後有機層と水層を分離した。約50℃にて有機層を0.01M塩酸(750mL)を用いて2回洗浄後さらに0.1M炭酸水素ナトリウム水溶液(750mL)及び水(750mL)にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後減圧濃縮してN−(シス−4−アジドシクロヘキシル)−3−クロロ−4−フルオロベンズアミド114.1gを得た。
H-NMR (600 MHz, CDCl3) δ (ppm) 1.59-1.66 (m, 4 H), 1.70-1.77 (m, 2 H), 1.85-1.90 (m, 2 H), 3.83 (s, 1 H) 3.98-4.05 (m, 1 H) 5.97 (d, J=6.42 Hz, 1 H) 7.19 (td, J=8.48, 2.75 Hz, 1 H) 7.64 (ddd, J=8.71, 4.58, 2.29 Hz, 1 H) 7.80-7.86 (m, 1 H).
【0053】
(5)上記(4)で得たN−(シス−4−アジドシクロヘキシル)−3−クロロ−4−フルオロベンズアミド111gをメタノール(1.11L)に懸濁し、5%パラジウム-炭素5.55gを加え、水素ガスを反応系内に吹き込みながら室温で5時間攪拌した。触媒をセライトにより濾別し、固形物をメタノール(250mL)で3回洗浄後洗液を濾液と合わせ、これを減圧濃縮した。残渣に1M塩酸(444mL)及びトルエン(330mL)を加え、内温65℃にて30分攪拌後分液した。水層を内温28℃まで冷却した後、3M水酸化ナトリウム水溶液(225mL)を20分かけて滴下し、氷冷下1.5時間攪拌後生じた沈殿を濾取した。得られた濾過物を水(220mL)にて2回洗浄した後、60℃にて減圧乾燥してN−(シス−4−アミノシクロヘキシル)−3−クロロ−4−フルオロベンズアミド76.3g(0.282mol)を得た。
MS(ESI) m/z 271.2[M+H]+
H-NMR(600 MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 1.29-1.93 (m, 10 H), 2.93-3.09 (m, 1 H), 4.06-4.22 (m, 1 H), 6.12 (d, J=6.42 Hz, 1 H), 7.19 (t, J=8.48 Hz, 1 H), 7.60-7.68 (m, 1 H), 7.83 (dd, J=7.11, 2.06 Hz, 1 H).
【0054】
実施例5
N−{シス−4−[(4−クロロ−2−メチルピリミジン−6−イル)アミノ]シクロヘキシル}−3,4,5−トリフルオロベンズアミド(上記式(IX)中、R1が3,4,5−トリフルオロフェニル基、R3がメチル基で表される化合物)を用いた、N−{シス−4−[(4−ジメチルアミノ−2−メチルピリミジン−6−イル)アミノ]シクロヘキシル}−3,4,5−トリフルオロベンズアミド(上記式(X)中、R1が3,4,5−トリフルオロフェニル基、R3がメチル基で表される化合物)のメタンスルホン酸塩の合成
【0055】
(1)PCT特許WO2005095357に記載の方法にて合成したN−{シス−4−[(4−クロロ−2−メチルピリミジン−6−イル)アミノ]シクロヘキシル}−3,4,5−トリフルオロベンズアミド2.00g (5.01mmol)をDMF(12mL)に溶解させ、36%塩酸0.508g (5.02mmol)を加え125-127℃で11時間攪拌した。反応液を3℃まで冷却した後、1.5M水酸化ナトリウム水溶液(12mL)及び酢酸エチル(12mL)を加えた。有機層と水層を分離し、水層を酢酸エチル(8mL)で抽出して有機層を合わせ、これを0.5M水酸化ナトリウム水溶液(6mL)で洗浄した。有機層を2℃まで冷却し、メタンスルホン酸0.53g (5.52mmol)を加えた。2℃で2時間攪拌した後、生じた沈殿を濾取し、酢酸エチル(6mL)で2回洗浄し、N−{シス−4−[(4−ジメチルアミノ−2−メチルピリミジン−6−イル)アミノ]シクロヘキシル}−3,4,5−トリフルオロベンズアミド メタンスルホン酸塩1.95g(0.088mol)を得た。
MS(ESI) m/z 430.1[M+Na]+ フリー体
H-NMR(300 MHz, CDCl3) δ (ppm) 1.61-1.78 (m, 2 H), 1.79-2.07 (m, 6 H), 2.48 (s, 3H), 2.92 (s, 3H), 3.07 (br s, 3H), 3.30 (br s, 3H), 3.70-3.80 (m, 1H), 4.10-4.24 (m, 1H), 5.17 (s, 1H), 7.64-7.84 (m, 4H).
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明により、MCH受容体拮抗薬として有用なピリミジン誘導体の大量生産が可能となり、医薬品生産に寄与することが期待される。また、本発明は、この製造工程で製造される新規な中間体化合物を提供することにより、同じく医薬品生産に寄与することが期待される。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、R1は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)に示される化合物及びその薬理学的に許容される塩の製造方法であって、下記スキーム中式(II)に示される化合物をアミド化して、式(III)に示される化合物を得る工程、及び式(III)に示される化合物のカルボキシル基をアミノ基に変換して式(I)に示される化合物を得る工程からなる製造方法。
【化2】

【請求項2】
R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基、又は3,4,5−トリフルオロフェニル基である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
式(I)
【化3】

(式中、R1は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)に示される化合物及びその薬理学的に許容される塩の製造方法であって、下記スキーム中式(IV)で示される化合物をアミド化して、式(V)に示される化合物を得る工程、式(V)に示される化合物のヒドロキシ基を縮合して式(VI){式(VI)中R2はC1-6アルキル基、トリフルオロメチル基、又はフェニル基(ここで、フェニル基は同一又は異なって、水素原子あるいはC1-6アルキル基から選ばれる置換基を1から5個有してもよい)を示す}に示される化合物を得る工程、式(VI)に示される化合物をアジド化して式(VII)に示される化合物を得る工程、及び式(VII)に示される化合物のアジド基を還元して、式(I)に示される化合物を得る工程からなる製造方法。
【化4】

【請求項4】
R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基、又は3,4,5−トリフルオロフェニル基である請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
式(I)
【化5】

(式中、R1は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)に示される化合物及びその薬理学的に許容される塩の製造方法であって、式(VIII)に示される化合物をモノアミド化して式(I)に示される化合物を得る工程からなる製造方法。
【化6】

【請求項6】
R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基、又は3,4,5−トリフルオロフェニル基である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
式(IX)
【化7】

(式中R3は水素原子又はC1-4アルキル基を示し、Xは窒素原子、C-HあるいはC-R4(R4はC1-4アルキル基を示す)を示し、Yは窒素原子又はC-Hを示し、R1は前記と同様である。)に示される化合物のクロロ基を、酸触媒の存在下においてN,N-ジメチルホルムアミド中でジメチルアミノ化し、式(X)
【化8】

(式中X、Y、R1及びR3は前記と同様である。)に示される化合物を得る工程からなる製造方法。
【請求項8】
R1が3−クロロ−4−フルオロフェニル基、又は3,4,5−トリフルオロフェニル基である請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
式(III)
【化9】

(式中、R1は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)で示される化合物又はその塩。
【請求項10】
式(V)
【化10】

(式中、R1は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)で示される化合物又はその塩。
【請求項11】
式(VI)
【化11】

{(式中、R1は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)、R2はC1-6アルキル基、フェニル基(ここで、フェニル基は同一又は異なって、水素原子あるいはC1-6アルキル基から選ばれる置換基を1から5個有してもよい)、トリフルオロメチル基を示す}で示される化合物又はその塩。
【請求項12】
式(VII)
【化12】

(式中、R1は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6のアルキル基、C1-6のアルコキシ基、C2-7のアルコキシカルボニル基、アセチル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を1から5個有してもよいフェニル基)で示される化合物又はその塩。



【公開番号】特開2008−163016(P2008−163016A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315975(P2007−315975)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【出願人】(504127991)アリーナ ファーマシューチカルズ インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】