説明

システムキッチン

【課題】本発明は、並設された3台以上のキャビネットの前面下部に幅方向に連続したニースペースを持つシステムキッチンを提供する。
【解決手段】本発明に係るシステムキッチン11Aは、並設された複数のキャビネット11A,11B,11Cとこれらキャビネット11A,11B,11Cの上部に設けられた共通の天板12とを備えたものである。システムキッチン11Aは、複数のキャビネット11A,11B,11Cは、隣接するキャビネットの隣り合う側板21同士を側面視逆L字状に構成し、キャビネット11A,11B,11Cの前面下部に連続したニースペースBを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のキャビネットと、該キャビネットの上部に載置される水槽付の天板とを備えたシステムキッチンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、流し台や洗面化粧台等において、実開平5−72237号公報(特許文献1)や特開平8−140759号公報(特許文献2)に開示されているように、身障者や高齢者が車椅子等に座ったままで調理や洗面等を行なうことができるように、膝をいれることができるニースペースが形成されたキャビネットが種々提案されている。また、健常者であっても、長時間調理をする際に椅子に座って作業したい場合があり、その場合もニースペースが形成されたキャビネットは好適である。
【特許文献1】実開平5−72237号公報
【特許文献2】特開平8−140759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のキャビネットにおいては、ニースペースは単体キャビネットで形成できる空間に限られており、単体キャビネットの製作可能横幅寸法に限定されているため、ニースペースに膝を入れて作業できる天板上の作業スペースもこの横幅寸法に限定されていた。
【0004】
本発明は、上記課題を解決する為になされたもので、天板スペースの、横幅寸法に限定された部分以外で調理等の作業を行なう際も、椅子に座ったままで作業できる並設されたキャビネットの幅方向に連続したニースペースを持つシステムキッチンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るシステムキッチンは、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、並設された複数のキャビネットとこれらキャビネットの上部に設けられた共通の天板とを備えたシステムキッチンにおいて、前記複数のキャビネットは、隣接するキャビネットの隣り合う側板同士を側面視逆L字状に構成し、前記キャビネットの前面下部に連続したニースペースを設けたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るシステムキッチンは、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、前記複数のキャビネットは少なくとも3台備え、並設された少なくとも3台のキャビネットは、隣り合う側板同士を前記連続したニースペースと同様の高さと奥行寸法の方形に切り欠いて側面視逆L字状に形成し、この側面視逆L字状の側板同士を隣接させて構成したことを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明に係るシステムキッチンは、上述した課題を解決するために、請求項3に記載したように、前面下部にニースペースが設けられた前記キャビネットは、その両側板が前記ニースペースと同様の高さと奥行寸法の方形に切り欠かれて側面視逆L字状に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るシステムキッチンによれば、並設された複数のキャビネットの前面下部に連続したニースペースを設けることで、例えば水槽下部以外の天板部下方の前部がキャビネット幅方向に延びる広い空間となり、高齢者や身障者等はこのキャビネットの前に椅子を置き、連続したニースペースに足を差し入れて、自然な姿勢で調理等の作業をすることができる。特に車椅子に乗っている人は車椅子の前部をキャビネット下部の空間の中に入れることによって天板に近づくことができるので、天板上の設備が使用しやすい。また、車椅子の回転、移動時にキャビネットの側板に当たることなく楽に動作できる。
【0009】
本発明に係るシステムキッチンによれば、少なくとも3台の並設されたキャビネットに同じ奥行、高さの連続するニースペースを設けることで、広いニースペースを並設されたキャビネットの幅方向に連続して確保でき、使用者が横方向へ移動しながら作業でき、また、複数人が同時に作業することもできる。また、キャビネット間の接続に違和感がなくデザイン性も向上すると共に、限定された天板スペース以外のスペースにおいても椅子に座って膝がキャビネットの扉等にあたることなく、安全に作業ができる等の効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係るシステムキッチンの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1はこの発明をシステムキッチンに適用した場合を示しており、このシステムキッチン10は並設された複数のキャビネット11A,11B,11Cとこれらキャビネット11A,11B,11Cの上部に設けられた水槽付き天板12とを備える。天板12の水槽部に流し台14が形成され、この流し台14は、ニースペースAをもつ側面視逆L字状に形成したキャビネット11Aと、このキャビネット11Aに隣接するキャビネット11Bと、これらのキャビネット11A,11Bの上部に装着された水槽付き天板12とで連続したニースペースAを形成している。
【0012】
このシステムキッチン10では、並設された複数の単体キャビネット11A,11B,11Cの幅寸法および/または引出しや開閉扉等の収納構造が異なって形成される。隣接するキャビネット11A,11Bの前面下部に連続して形成されるニースペースAは、その奥行き、床面からの高さが同一寸法に形成されている。
【0013】
もちろん、キャビネット11A、隣接するキャビネット11Bの片側もしくは両側に抽出しや扉付き収納部が形成されたキャビネット11Cを並列してシステムキッチン10を構成することもできる。
【0014】
キャビネット11Aはキャビネット本体20を有し、このキャビネット本体20は、図1および図2に示すように、両側端部に側板21と底板22と背板23及び両側板21,21の手前側上部に横方向に架設された前板24とから構成されており、上記両側板21,21と前板24にて両側面と上部を囲まれた、側面視逆L字状に形成したニースペースA(A)が形成されると共に、該ニースペースAの奥には観音開きタイプの扉25,25によって開閉される収納部26が形成されている。
【0015】
キャビネット11Bも上述同様の構造により側面視逆L字状に形成したニースペースAが形成されている。
【0016】
上記両側板21,21の手前側面部(前面部)は図2からも明らかなように、矩形形状に切り欠かれ、キャビネット11AのニースペースAと同様の高さと奥行寸法の方形に切り欠く形状にて連続したニースペースAが形成されている。
【0017】
キャビネット11Bについても同様に両側板27の手前側面部(前面部)が切り欠かれ、キャビネット11AのニースペースAと同様の高さと奥行寸法の方形に切り欠く形状にて側面視逆L字状に形成したニースペースAが形成されている。
【0018】
キャビネット11Aの収納部26には前記水槽14に接続する排水管が設置されるとともに、棚板等を設置することもできる。キャビネット11Bの収納部28にも棚板等を設置することができる。
【0019】
この実施例に係るシステムキッチン10は、以上説明したように、キャビネット11A、これに隣接するキャビネット11BのニースペースAを形成する両側板21及び両側板27をニースペースAと同様の高さと奥行寸法の方形に切り欠く形状としたことで、連立するキャビネット11A,11B間で同じ奥行きのニースペースAを連続して形成することが可能になり、上面の水槽付き天板12上を使って調理作業等をする際に、椅子に座った状態で膝を差し入れることが可能な範囲が単体のキャビネット11Aの製作寸法により限定されること無く大幅に拡大することができる。更に車椅子での作業中に左右に移動が必要な状態でも車椅子の前部がキャビネット11A,11Bの下部に差し入れた状態で移動でき、安心して作業ができる。
【0020】
更に、ニースペースAを有する単体キャビネット11A,11Bを組み合せて自由に設置できるため、必要に応じてニースペースAを有する空間を自由に選べることが可能になる。図3はシステムキッチン10A全体に連続するニースペースBを有する例であり、図1はシステムキッチン10の一部に連続するニースペースAを有する例である。図3に示されたシステムキッチン10Aを説明するに当り、図1に示されたシステムキッチン10と同じ構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0021】
図4は、システムキッチン10のキャビネット11A,11B上に載置される水槽付き天板14を示す斜視図であり、図5はシステムキッチン10に備えられる単体キャビネット11Aを示す斜視図である。また、図6はシステムキッチン10のキャビネット11Aに隣接して設けられる単体キャビネット11Bを示す斜視図である。図7は、システムキッチン10に備えられるキャビネット11Cの変形例を示すもので、単体キャビネット11Dを示す斜視図である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るシステムキッチンの第1実施形態の構成を示す斜視図。
【図2】図1に示されたシステムキッチンの構成を示す側断面図。
【図3】本発明に係るシステムキッチンの第2実施形態の構成を示す斜視図。
【図4】本発明のシステムキッチンに備えられる水槽付き天板の斜視図。
【図5】本発明のシステムキッチンに備えられるキャビネット11Aの斜視図。
【図6】本発明のシステムキッチンに備えられるキャビネット11Bの斜視図。
【図7】本発明のシステムキッチンに備えられるキャビネットの変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0023】
10 システムキッチン
11A,11B,11C キャビネット
12 水槽付天板
14 流し台(水槽部)
20 キャビネット本体
21,27 側板
22 底板
23 背板
24 前板
26,28 収納部
A,A,A,B ニースペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された複数のキャビネットとこれらキャビネットの上部に設けられた共通の天板とを備えたシステムキッチンにおいて、前記複数のキャビネットは、隣接するキャビネットの隣り合う側板同士を側面視逆L字状に構成し、前記キャビネットの前面下部に連続したニースペースを設けたことを特徴とするシステムキッチン。
【請求項2】
前記複数のキャビネットは少なくとも3台備え、並設された少なくとも3台のキャビネットは、隣り合う側板同士を前記連続したニースペースと同様の高さと奥行寸法の方形に切り欠いて側面視逆L字状に形成し、この側面視逆L字状の側板同士を隣接させて構成したことを特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。
【請求項3】
前面下部にニースペースが設けられた前記キャビネットは、その両側板が前記ニースペースと同様の高さと奥行寸法の方形に切り欠かれて側面視逆L字状に形成されたことを特徴とする請求項1記載のシステムキッチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−15162(P2006−15162A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248258(P2005−248258)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【分割の表示】特願2000−202719(P2000−202719)の分割
【原出願日】平成12年7月4日(2000.7.4)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】