システム制御装置、システム制御方法及びプログラム
【課題】ポートに対して給電の優先順位が設定されている場合に、ハブ側で給電容量の切り替えをスムーズに行うことができるようにする。
【解決手段】第1のカメラの動作モードをローパワーモードからハイパワーモードへ変更するイベントが発生し、ハブ側で給電能力に余裕がない場合は、サーバ装置は第2のカメラに対して動作モードをローパワーモードにして給電の優先順位を下位にする指示を送信する。次に、第2のカメラからACK応答を受信すると、MIBの第2のカメラに関する内容を更新し、第1のカメラに対して動作モードをハイパワーモードにして給電の優先順位を上位にする指示を送信する。そして、第1のカメラからACK応答を受信すると、MIBの第1のカメラに関する内容を更新する。
【解決手段】第1のカメラの動作モードをローパワーモードからハイパワーモードへ変更するイベントが発生し、ハブ側で給電能力に余裕がない場合は、サーバ装置は第2のカメラに対して動作モードをローパワーモードにして給電の優先順位を下位にする指示を送信する。次に、第2のカメラからACK応答を受信すると、MIBの第2のカメラに関する内容を更新し、第1のカメラに対して動作モードをハイパワーモードにして給電の優先順位を上位にする指示を送信する。そして、第1のカメラからACK応答を受信すると、MIBの第1のカメラに関する内容を更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシステム制御装置、システム制御方法及びプログラムに関し、特に、PoEの規格に従ってハブから電力を供給するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、監視市場の拡大とともにネットワークカメラの需要が拡大している。このようなネットワークカメラは工事を簡略化したり、設置を容易にしたりするためにPoEを備えるものが多い。また、PoEの規格としてIEEE802.3atが制定され、受電装置に対しての動的な電力変更が可能になった。例えば、利用者の在席状況を推定し、LANスイッチにPoEによる給電の指示を自動的に行うサーバを備えたネットワークシステムを開示されている。また、利用者が手動でLANスイッチにPoEによる給電の指示を行うサーバを備えたネットワークシステムも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−3502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEEE802.3atでは、端末に使用できる電力がIEEE802.3afの12.95Wと比べて、25.5Wに増加している。多数のポートを有するPSE(Power Sourcing Equipment)装置においては、全ポートに最大電力を許容するため電源部が巨大化し、PSE装置が大型で高価な装置になってしまう。そこで一般的なPoE−Hubでは、最大電力を許容するポートに対して給電に優先順位を付ける制限を設けている。ところが、給電に優先順位を付ける制限を設けると、ポートごとの消費電力に変化が生じた場合に、十分な対応ができないという問題点がある。
【0005】
本発明は前述の問題点に鑑み、ポートに対して給電の優先順位が設定されている場合に、ハブ側で給電容量の切り替えをスムーズに行うことができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシステム制御装置は、複数のネットワークカメラと、前記ネットワークカメラに電力を供給するハブを介して接続されたシステム制御装置であって、前記複数のネットワークカメラの中の第1のカメラの動作モードをより消費電力の大きいモードに変更する場合の前記ハブの給電能力を判断する判断手段と、前記判断手段による判断の結果、前記ハブの給電能力を超える場合に、前記複数のネットワークカメラの中の第2のカメラに対して動作モードをより消費電力の小さいモードへ変更するよう指示する第1の指示手段と、前記第1の指示手段による指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された後に、前記第1のカメラに対して動作モードをより消費電力の大きいモードに変更するよう指示する第2の指示手段と、前記第1の指示手段による指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された旨、及び前記第2の指示手段による指示に応じて前記第1のカメラの動作モードが変更された旨の情報を受信する受信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カメラがより消費電力の大きい動作モードに切り替えるような場合であっても、スムーズに動作モードを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るネットワークカメラシステムの構成例を示す図である。
【図2】第1及び第2の実施形態に係るネットワークカメラシステムの内部構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態において、サーバ装置におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態において、第2のカメラによる動作モードの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態のネットワークカメラシステムにおける動作モードの変更手順のシーケンスを示す図である。
【図6】第1の実施形態におけるサーバ装置が保有するMIBの内容の履歴の一例を示す図である。
【図7】ハブの管理テーブルの構成例を示す図である。
【図8】第2の実施形態において、第1のカメラによる動作モードの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態において、サーバ装置におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態のネットワークカメラシステムにおける動作モードの変更手順のシーケンスを示す図である。
【図11】第3の実施形態に係るネットワークカメラシステムの内部構成例を示すブロック図である。
【図12】第3の実施形態において、サーバ装置におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施形態のネットワークカメラシステムにおける動作モードの変更手順のシーケンスを示す図である。
【図14】第3の実施形態におけるカメラ登録テーブルの一例を示す図である。
【図15】第3の実施形態におけるサーバ装置が保有するMIBの内容の履歴の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施形態におけるPoEの給電容量の切替制御及び給電優先順位の変更制御について説明する。
図1は、本実施形態に係るネットワークカメラシステムの構成例を示す図である。
図1において、ハブ101は、LLDP(Link Layer Discovery Protocol)をサポートしたIEEE802.3atに準拠するタイプ2のPSE(Power Sourcing Equipment)機能を備えている。ここで、LLDPとは、LANケーブルに接続された機器を検出して管理を行うことができるプロトコルである。本実施形態において、ハブ101は複数個のネットワーク接続コネクタを有し、電源供給としていずれかの接続コネクタからIEEE802.3atに準じた電力25.5Wを供給することができる。
【0010】
サーバ装置102は、SNMP(Simple Network Management Protocol)が実装されたシステム制御装置であり、LANケーブル104aによりハブ101に接続されている。ここで、SNMPとは、ネットワークに接続されたルータやハブなどの機器を制御することができるプロトコルである。ネットワークカメラ103a〜cは、IEEE802.3atに準拠するタイプ2のPD(Powered Device)機能を備えており、それぞれがLANケーブル104b〜dによりハブ101に接続されている。
【0011】
図2は、本実施形態に係るネットワークカメラシステムの内部構成例を示すブロック図である。なお、図2には、ネットワークカメラ103aが接続されている例を示しているが、他のネットワークカメラ103b、cについても同様の構成となっている。
【0012】
図2において、ハブ101の電力供給制御部211は、図1に示すネットワークカメラ103a〜cのそれぞれに供給する電力の量を制御する。記憶部212には、以下に説明する管理テーブル201が記憶されている。管理テーブル201には、ハブ101のポート毎の給電容量と電力を供給する優先順位とが登録されている。また、プロトコルスタック202はハブ101のプロトコルスタックを示している。
【0013】
サーバ装置102の制御部221は、サーバ装置102全体を制御するためのものである。記憶部222には、後述するMIB(Management information base)204及びハブ登録テーブル205が記憶されている。
【0014】
プロトコルスタック203はサーバ装置102のプロトコルスタックを示している。MIB204には、ネットワークカメラシステム内のネットワークカメラ103の管理情報が登録されている。なお、MIB204はサーバ装置102が蓄積している情報であり、蓄積情報は定義内容が標準化されている。したがって、サーバ装置102のSNMPを実行することにより蓄積情報を参照することができ、また、ハブ101のLLDPを実行することによっても蓄積情報を参照することができる。ハブ登録テーブル205は、ハブ101のトータル給電能力を記録するテーブルである。
【0015】
ネットワークカメラ103aの撮像部241は、被写体を撮像して画像データを生成するためのものである。制御部242は、ネットワークカメラ103a全体を制御するためのものである。また、記憶部243には、撮像部241により生成された画像データや、後述するMIB207が記憶されている。プロトコルスタック206はネットワークカメラ103aのプロトコルスタックを示している。また、MIB207は、ネットワークカメラ103a自身のMIBである。
【0016】
ネットワークカメラ103aのプロトコルスタック206及びサーバ装置102のプロトコルスタック203は、物理層L1〜アプリケーション層L7で構成され、SNMPはアプリケーション層の管理アプリケーションとして実装される。ハブ101は、機能により物理層L1とデータリンク層L2とで構成されるL2−Switchと、物理層L1〜ネットワーク層L3で構成されるL3−Switchとがある。本実施形態では、ハブ101はL2−Switchとして説明する。
【0017】
また、LLDPは、PoEの情報要素を受け渡しするためのデータリンク層L2の機能として実装されるため、PoEの機能を備えていないサーバ装置102には実装されていない。したがって、ネットワークカメラ103aとサーバ装置102との間での管理情報の受け渡しは、SNMPなどの上位層の管理プロトコルを用い、ハブ101とネットワークカメラ103aとの間での管理情報の受け渡しはLLDPを用いる。
【0018】
図3は、本実施形態において、サーバ装置102におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図3に示す各処理は、制御部221の制御により行われる。以下の説明では、ネットワークカメラ103cをローパワーモードからハイパワーモードへ変更する第1のカメラとし、ネットワークカメラ103aをハイパワーモードからローパワーモードへ変更する第2のカメラとして説明する。
【0019】
まず、サーバ装置102はイベントの発生を検出するまで待機する(S301)。ここでは、第1のカメラの動作モードを消費電力の小さいローパワーモードから消費電力の大きいハイパワーモードへ変更するイベントが発生したことを検出するまで待機する。上記イベントを検出する方法としては、内部に設定されたタイマーや、外部からの操作等により検出する方法などが挙げられる。
【0020】
S301でイベントを検出すると、ハブ登録テーブル205とMIB204とを参照してハブ101の給電能力を確認する(S302)。そして、第1のカメラがハイパワーモードであっても給電能力に余裕があるか否かを判断する(S303)。給電能力に余裕があり、給電可能と判断する条件としては、ハブ101に接続されている全てのネットワークカメラに対してハイパワーモードで給電可能な場合である。もしくは、第1のカメラへ電力を供給する優先順位が他の接続されているネットワークカメラがハイパワーモードとなっても大丈夫なランクに設定されている場合である。
【0021】
S303の判断の結果、給電能力に余裕がある場合は、第1のカメラに対してハイパワーモードへの移行を指示する指示コマンドをSNMPにより送信する(S304)。そして、MIB204の第1のカメラの情報要素の消費電力に該当する項目を変更する(S305)。
【0022】
一方、S302の判断の結果、給電能力に余裕がない場合は、MIB204を参照し、第1のカメラ以外でハイパワーモードに現在設定されており、かつ優先度がハイパワーモードに設定されているカメラを探索する。そして、このカメラをローパワーモードに落とす処理を行うことになる。以下の説明では、ローパワーモードの落とすカメラを第2のカメラとして説明する。
【0023】
S302の判断の結果、給電能力に余裕がない場合は、第1の指示として、サーバ装置102は第2のカメラに対してローパワーモードへ変更するとともに給電の優先順位を下げる指示コマンドをSNMPにより送信する(S306)。このとき、空いている順位であって、第1のカメラ以外のネットワークカメラが全てハイパワーモードになっても給電能力に支障が出ない優先順位を設定する。
【0024】
図4は、本実施形態において、第2のカメラによる動作モードの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図4に示す各処理は、制御部242の制御により行われる。
まず、第2のカメラはハイパワーモードで動作しており、図3のS306により送信された指示コマンドを受信するまで待機する(S401)。そして、第2のカメラがサーバ装置102からの指示コマンドを受信すると、ハブ101に対してLLDPによりローパワーモードの給電容量へ変更するととともに給電の優先順位を変更する変更要求を送信する(S402)。
【0025】
次に、ハブ101から応答を受信し、ハブ101からACK(変更OK)を受信したか否かを判断する(S403)。この判断の結果、ACKを受信した場合は、動作モードをローパワーモードに変更する(S404)。そして、自身のMIB207を変更し(S405)、ローパワーモードへの変更と給電の優先順位の変更とが完了した完了応答をSNMPでサーバ装置102へ送信する(S406)。このとき、ハブ101から第2のカメラに対して送られたコマンドに対する応答としてACKを送信する。
【0026】
一方、S403の判断の結果、ハブ101からNACK(変更不可)を受信した場合は、ローパワーモードへの変更と給電の優先順位の変更とが失敗したことをSNMPでサーバ装置102へ送信する(S407)。このとき、ハブ101から第2のカメラに対して送られたコマンドに対する応答としてNACKを送信する。
【0027】
図3の説明に戻り、S306で第2のカメラに対して指示コマンドを送信した後、第2のカメラからの応答が図4のS406で送信するACKであるか否かを判断する(S307)。この判断の結果、第2のカメラからの応答が図4のS406で送信するACKではなく、S407で送信するNACKである場合は、エラー処理を実施する(S308)。上記エラー処理は画面上への表示、登録している管理者へのエラーメールの送信等が挙げられる。
【0028】
一方、S307の判断の結果、第2のカメラからの応答がACKである場合は、MIB204内の第2のカメラの情報要素を変更する(S309)。そして、第2の指示として、第1のカメラに対してハイパワーモードへ変更するとともに給電の優先順位を上げるように変更する指示コマンドをSNMPで送信する(S310)。そして、第1のカメラでは、図4に示した手順と同様に、ハブ101に対して動作モード及び変更を要求する。そして、ACKを受信した場合には、ACKをサーバ装置102に送信し、ハブ101からNACKを受信した場合には、NACKをサーバ装置102に送信する。
【0029】
次に、第1のカメラからの応答がACK応答であるか否かを判断する(S311)。この判断の結果、第1のカメラからの応答がNACK応答である場合は、エラー処理を実施する(S312)。S312におけるエラー処理は、S308におけるエラー処理と同等である。
【0030】
S308のエラー処理は、ハブ101が第2のカメラに対する給電容量を下げるのを拒絶したことによって行われる処理である。これに対してS312のエラー処理が行われる条件は、ハイパワーモードで動作していた第2のカメラがローパワーモードに変更されていることが条件である。このことからハブ101は第1のカメラに対してハイパワーモードで給電可能である。それにもかかわらず、第1のカメラに対してハイパワーモードで給電することを拒絶するような場合には、S312のエラー処理が行われる。したがって、S312のエラー処理は通常は起こらないエラー処理である。
【0031】
一方、S311の判断の結果、第1のカメラからの応答がACK応答である場合は、MIB204内の第1のカメラの情報要素を変更する(S313)。S305での変更と異なる点は、S305では変更される項目がカメラの動作モードに応じた給電容量だけなのに対して、S313ではカメラの動作モードに応じた給電容量と給電の優先順位との2項目が変更される点である。
【0032】
次に、第1のカメラをローパワーモードからハイパワーモードに変更する場合のシーケンス例について図5を参照しながら説明する。
第1のカメラの動作モードをローパワーモードからハイパワーモードへ変更するイベントが発生し、ハブ101側で給電能力に余裕がない場合は、以下のような処理が行われる。まず、第2のカメラをローパワーモードにする必要があるため、サーバ装置102は第2のカメラに対して動作モードをローパワーモードにして給電の優先順位を下位にする指示(Power:L/Pri:L)をSNMPのコマンドで送信する(S501)。この処理は、図3のS306に相当する処理である。
【0033】
S501によるコマンドを受信した第2のカメラは、ハブ101に対してLLDPを使用し、ローパワーモードの給電容量にして給電の優先順位を下位にする変更を要求する(S502)。この処理は、図4のS402に相当する処理である。S502で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S503)。ACKを受信した第2のカメラは、S501によるコマンドに対しての完了応答としてSNMPによりACKを送信する(S504)。このS504の処理は、図4のS406に相当する処理である。
【0034】
次に、サーバ装置102は、第2のカメラからACK応答を受信すると、第1のカメラに対して動作モードをハイパワーモードにして給電の優先順位を上位にする指示(Power:H/Pri:H)をSNMPのコマンドで送信する(S505)。この処理は、図3のS310に相当する処理である。S505によるコマンドを受信した第1のカメラは、ハブ101に対してLLDPを使用し、ハイパワーモードの給電容量にして給電の優先順位を上位にする変更を要求する(S506)。S506で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S507)。ACKを受信した第1のカメラは、S505によるコマンドに対しての完了応答としてSNMP上でACKを送信する(S508)。
【0035】
次に、図5に示したシーケンスに従ったサーバ装置102内のMIB204の変更履歴について図6を参照しながら説明する。
図6に示すように、図5のシーケンスを開始する前の状態のMIB204では、第1のカメラはローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位であり、第2のカメラはハイパワーモードの給電容量で給電の優先順位が上位である。
【0036】
第2のカメラから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図3のS309でサーバ装置102はMIB204において第2のカメラの情報要素を変更する。したがって、図5の状態X1の段階では、第1のカメラ及び第2のカメラは、ともにローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位である。
【0037】
この後、第1のカメラから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図3のS313で第1のカメラの情報要素を変更する。したがって、図5の状態X2の段階でMIB204の内容は、第1のカメラはハイパワーモードの給電容量で給電の優先順位が上位となり、第2のカメラはローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位となる。
【0038】
図7は、ハブ101の管理テーブル201の構成例を示す図である。図7に示すように、管理テーブル201にはポート番号ごとにPower Class(給電容量)とPriority(優先順位)とが設定されている。この管理テーブル201も、第1のカメラ及び第2のカメラからの変更要求を受信し、ACKを返した段階でそれぞれ変更される。
【0039】
以上のように本実施形態によれば、動作モードに応じた給電容量を変更するとともに給電の優先順位も変更することにより、第1のカメラのハイパワーモードでの動作を保障することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、図1、図6、及び図7〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態におけるPoEの給電容量の切替制御及び給電優先順位の変更制御について説明する。なお、本実施形態におけるネットワークカメラシステム及びプロトコルスタックの構成についてはそれぞれ図1及び図2と同様であるため、説明は省略する。また、以下の説明では、ネットワークカメラ103cをローパワーモードからハイパワーモードへ変更する第1のカメラとし、ネットワークカメラ103aをハイパワーモードからローパワーモードへ変更する第2のカメラとして説明する。
【0041】
図8は、本実施形態において、第1のカメラにおける動作モードの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図8に示す各処理は、制御部242の制御により行われる。
まず、第1のカメラはハイパワーモードへ切り替えるイベントが発生するまで待機する(S801)。なお、上記イベントは内部に設定されたタイマー、動き検出等の設定されているトリガー等が挙げられる。そして、イベントが発生すると、ハブ101に対してローパワーモードの給電容量からハイパワーモードの給電容量に変更するようにLLDPを使用して変更要求を送信する(S802)。
【0042】
次に、ハブ101から応答を受信し、ハブ101から給電容量の切替完了を示すACKを受信したか否かを判断する(S803)。この判断の結果、ACKを受信した場合は、第2のカメラは動作モードをローパワーモードからハイパワーモードへ変更する(S804)。そして、サーバ装置102へSNMPを使用して動作モードを変更した旨を送信する(S805)。これにより、サーバ装置102では、MIB204内の第1のカメラの情報要素を変更することになる。
【0043】
一方、S803の判断の結果、ハブ101からNACK(切替不可)を受信した場合は、サーバ装置102に対してSNMPを使用してローパワーモードからハイパワーモードへの変更要求を送信する(S806)。
【0044】
図9は、本実施形態において、サーバ装置102におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図9に示す各処理は、制御部221の制御により行われる。
まず、図8のS806の処理により第1のカメラから変更要求を受信するまで待機する(S901)。変更要求を受信すると、サーバ装置102はMIB204を参照する(S902)。そして、第1のカメラ以外で、ハイパワーモードで現在動作していてローパワーモードに変更可能なカメラの有無を確認する(S903)。この確認の結果、ローパワーモードに変更可能なカメラが存在しない場合は、第1のカメラに対して変更不可を示すNACKを送信する(S904)。この場合、第1のカメラはハイパワーモードへ変更することができない。
【0045】
一方、S903の確認の結果、ローパワーモードへ変更可能なカメラが存在する場合は、第1の指示として、サーバ装置102は第2のカメラに対してローパワーモードへの変更と給電の優先順位の変更とを指示する指示コマンドをSNMPで送信する(S905)。このとき、空いている順位であって、第1のカメラ以外のカメラが全てハイパワーモードになっても給電能力に支障が出ない優先順位を設定する。なお、第2のカメラにおける動作モード及び給電の優先順位の変更手順は図4と同様であるため、説明は省略する。
【0046】
次に、第2のカメラから応答を受信し、動作モード及び給電の優先順位を変更したことを示すACKを受信したか否かを判断する(S906)。この判断の結果、第2のカメラからNACKを受信した場合は、エラー処理を行う(S907)。上記エラー処理は、画面上への表示、登録している管理者へのエラーメールの送信等が挙げられる。
【0047】
一方、S906の判断の結果、第2のカメラからACKを受信した場合は、ハブ101では第2のカメラの動作モードに係る給電容量及び給電の優先順位の変更が完了していることになる。したがって、サーバ装置102はMIB204内の第2のカメラの情報要素を変更する(S908)。そして、第2の指示として、第1のカメラに対してハイパワーモードへの変更と給電の優先順位の変更とを許可する指示コマンドとしてACKをSNMPにより送信する(S909)。
【0048】
図8の説明に戻り、S806でサーバ装置102に変更要求を送信した後、サーバ装置102からの応答が、図9のS909で送信するACKであるか否かを判断する(S807)。この判断の結果、サーバ装置102からの応答が、図9のS909で送信するACKではなく図9のS904で送信するNACKである場合は、ハイパワーモードへの変更ができないため、処理を終了する。
【0049】
一方、S807の判断の結果、サーバ装置102からの応答が図9のS909で送信するACKである場合は、第1のカメラは、ハブ101にハイパワーモードの給電容量への変更と給電の優先順位の変更とを要求する変更要求をLLDPで送信する(S808)。そして、ハブ101からの応答がACKであるか否かを判断する(S809)。この判断の結果、NACKである場合は、第1のカメラはサーバ装置102へ変更不可の応答としてNACKを送信する(S810)。
【0050】
一方、S809の判断の結果、ハブ101からの応答がACKである場合は、第1のカメラは動作モードをハイパワーモードに変更するとともに自身のMIB207を更新する(S811)。そして、サーバ装置102へ動作モードの切替が完了した完了応答としてACKを送信する(S812)。なお、S805では、動作モードのみを変更内容としてサーバ装置102に送信するのに対し、S812では、動作モード及び給電の優先順位の変更内容をサーバ装置102に送信する。
【0051】
再び図9の説明に戻り、S909で第1のカメラに指示コマンドを送信した後、指示コマンドに対する応答を受信し、この応答が図8のS812で送信するACKであるか否かを判断する(S910)。この判断の結果、図8のS812で送信するACKではなく、図8のS810で送信するNACKである場合は、エラー処理を行う(S911)。このエラー処理はS907のエラー処理と同様である。一方、S910の判断の結果、図8のS812で送信するACKである場合は、サーバ装置102はMIB204内の第1のカメラの情報要素を変更する(S912)。
【0052】
次に、第1のカメラからの起動によりローパワーモードからハイパワーモードに変更する場合のシーケンス例について図10を参照しながら説明する。以下の説明では、ハブ101側で給電能力に余裕がない状況を前提として説明する。
第1のカメラにおいて動作モードをローパワーモードからハイパワーモードへ変更するイベントが発生した場合、第1のカメラはハブ101に対してハイパワーモードの給電容量へ変更する変更要求(Power:H)をLLDPにより送信する(S1001)。この処理は、図8のS802に相当する処理である。
【0053】
次に、ハブ101は給電能力に余裕がないため、第1のカメラに拒否を示すNACKを送信する(S1002)。そこで、他のネットワークカメラをローパワーモードにするために、第1のカメラは、サーバ装置102にハイパワーモードへの変更要求を送信する(S1003)。この処理は、図8のS806に相当する処理である。
【0054】
一方、サーバ装置102は、第2のカメラに対してローパワーモードへ変更するとともに給電の優先順位を下位に変更する指示(Power:L/Pri:L)をSNMPのコマンドで送信する(S1004)。この処理は、図9のS905に相当する処理である。S1004により送信されたコマンドを受信した第2のカメラは、ハブ101に対してLLDPを使用してローパワーモードの給電容量へ変更するとともに給電の優先順位を下位に変更するよう変更要求を送信する(S1005)。S1005で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1006)。そして、ACKを受信した第2のカメラは、S1004で送信されたコマンドに対する完了応答として、SNMP上でACKをサーバ装置102に送信する(S1007)。
【0055】
サーバ装置102は、第2のカメラからACKを受信すると、第1のカメラに対してハイパワーモードに変更するとともに給電の優先順位を上位にすることを指示するコマンドとしてSNMPによりACKを送信する(S1008)。この処理は、図9のS909に相当する処理である。
【0056】
サーバ装置102からACKを受信すると、第1のカメラは、ハブ101に対してLLDPを使用してハイパワーモードの給電容量に変更するとともに給電の優先順位を上位にする変更要求を送信する(S1009)。この処理は、図8のS808に相当する処理である。そして、S1009で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1010)。ハブ101からACKを受信した第1のカメラは、S1008で送信されたコマンドに対する完了応答としてSNMP上でACKをサーバ装置102に送信する(S1011)。この処理は、図8のS812に相当する処理である。
【0057】
次に、図10に示したシーケンスに対するサーバ装置102内のMIB204の変更履歴について説明する。
図10のシーケンスを開始する前の状態のMIB204では、第1のカメラは、ローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位であり、第2のカメラは、ハイパワーモードの給電容量で給電の優先順位が上位である。
【0058】
第2のカメラから動作モードの切替の完了応答を受信すると、図9のS908でサーバ装置102は第2のカメラの情報要素を変更する。したがって、図10の状態X1'の段階では、第1のカメラ及び第2のカメラは、ともにローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位である。
【0059】
この後、第1のカメラから動作モードの切替の完了応答を受信すると、図9のS912でサーバ装置102は第1のカメラの情報要素を変更する。したがって、図10の状態X2'の段階でMIB204の内容は、第1のカメラはハイパワーモードの給電容量で給電の優先順位が上位となり、第2のカメラはローパワーモードの給電容量で宮殿の優先順位が下位となる。
【0060】
以上のように本実施形態によれば、動作モードに応じた給電容量を変更するとともに給電の優先順位も変更することにより、第1のカメラのハイパワーモードでの動作を保障することができる。
【0061】
(第3の実施形態)
以下、図11〜図15を参照して、本発明の第3の実施形態におけるPoEの給電容量の切替制御及び給電の優先順位の変更制御について説明する。なお、本実施形態においては、図1と同様のネットワークカメラシステムの構成例であるため、その説明は省略する。
【0062】
図11は、本実施形態に係るネットワークカメラシステムの内部構成例を示すブロック図である。なお、図2と重複する構成については説明を省略し、図2と異なる点について説明する。
図11において、サーバ装置1102は、ネットワークカメラの動作モードとその動作モードに対応した消費電力(給電容量)とを登録するカメラ登録テーブル1101を記憶部222に記憶している。
【0063】
図14は、カメラ登録テーブル1101の一例を示す図である。本実施形態では、ネットワークカメラとしてカメラi、カメラk及びカメラnがネットワークカメラシステムに接続されている例について説明する。
カメラi、カメラk及びカメラnはモード1〜3へ動作モードを設定することが可能である。ここで、図14に示すように、カメラiのモード1、2、3に対応する消費電力(給電容量)をそれぞれA、B、Cとする。同様に、カメラkのモード1、2、3に対応する消費電力(給電容量)をそれぞれD、E、Fとし、カメラnのモード1、2、3に対応する消費電力(給電容量)をそれぞれX、Y、Zとする。また、カメラi、カメラk及びカメラnはともにモード1、2、3の順序でハブ101の給電容量が小さくなり、給電容量の関係では、以下の式(1)かつ式(2)の条件を満たすものとする。
A>B>C、D>E>F、X>Y>Z ・・・(1)
(X−Z)>(A−B)、(X−Z)>(D−E)、(X−Z)<(A−B)+(D−E) ・・・(2)
【0064】
本実施形態においては、カメラnをモード3からモード1へ変更し、カメラi及びカメラkをモード1からモード2へ変更する例について説明する。
【0065】
図12は、本実施形態において、サーバ装置1102におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図12に示す各処理は、制御部221の制御により行われる。
まず、サーバ装置1102はイベントの発生を検出するまで待機する(S1201)。ここでは、カメラnの動作モードをモード3からモード1へ変更するイベントの待ち状態となる。上記イベントを検出する方法としては、内部に設定されたタイマーや、外部からの操作等により検出する方法などが挙げられる。
【0066】
S1201でイベントの発生を検出すると、ハブ登録テーブル205とMIB204とを参照してハブ101の給電能力を確認する(S1202)。そして、カメラnがモード1であっても給電能力に余裕があるか否かを判断する(S1203)。給電能力に余裕があり、給電可能と判断する条件としては、ハブ101に接続されている全てのネットワークカメラに対してモード1で給電可能な場合である。もしくは、カメラnの給電の優先順位が他の接続されているネットワークカメラがモード1となっても大丈夫なランクに設定されている場合である。
【0067】
S1203の判断の結果、給電能力に余裕がある場合は、カメラnに対してSNMPコマンドを使用してモード1への移行を指示する指示コマンドを送信する(S1204)。そして、MIB204のカメラnの情報要素を変更する(S1205)。
【0068】
一方、S1203の判断の結果、給電能力に余裕がない場合は、MIB204とカメラ登録テーブル1101とを参照する(S1206)。そして、カメラn以外でモード1又はモード2に設定されていて、かつ優先度がカメラnよりも上位に設定されているネットワークカメラ、すなわち設定変更が可能なネットワークカメラが存在するか否かを判断する(S1207)。
【0069】
S1207の判断の結果、設定変更が可能なネットワークカメラが存在しない場合、或いは変更してもカメラnがモード1に移行できない場合は、カメラnに対して、動作モードの変更ができないことを示す応答としてNACKを返す(S1208)。この場合、カメラnでは動作モードの変更が行わないことになる。
【0070】
一方、S1207の判断の結果、設定変更が可能なネットワークカメラが存在する場合は、このネットワークカメラを現状よりも消費電力の低い動作モードに落とす処理を行うことになる。そこで、カメラi及びカメラkをそれぞれモード1からモード2に変更するカメラとして選定する(S1209)。次に、第1の指示として、サーバ装置1102はカメラi及びカメラkそれぞれに対して、動作モードをモード1からモード2へ変更するとともに給電の優先順位を変更する指示コマンドをSNMPにより送信する(S1210)。このとき、空いている順位であって、カメラn以外のネットワークカメラが全てモード1になっても給電能力に支障が出ない優先順位を設定する。
【0071】
S1210の処理が行われる時点では、カメラi及びカメラkはそれぞれモード1で動作し、コマンド待ち状態である。カメラi及びカメラkは、サーバ装置1102からモード1からモード2への指示コマンドを受信すると、制御部242によりハブ101に対してLLDPによりそれぞれの消費電力に該当する値への給電容量の変更と給電の優先順位の変更とを要求する。
【0072】
そして、ハブ101からACK(変更OK)を受信した場合は、動作モードをモード2に変更するとともに、自身のMIB207を変更する。さらに、動作モード及び給電の優先順位の変更が完了したことを示す完了応答としてSNMPでサーバ装置1102へACKを送信する。一方、ハブ101からNACK(変更不可)を受信した場合は、動作モード及び給電の優先順位の変更が失敗したことを示すNACKをSNMPでサーバ装置1102へ送信する。
【0073】
サーバ装置1102は、S1210により指示コマンドをカメラi及びカメラkに送信した後にそれぞれのカメラから応答を受信し、いずれも応答がACKであるか否かを判断する(S1211)。この判断の結果、少なくとも何れかからNACKを受信した場合は、エラー処理を実施する(S1212)。上記エラー処理は、画面上への表示、登録している管理者へのエラーメールの送信等が挙げられる。
【0074】
一方、S1211の判断の結果、いずれも応答がACKである場合は、MIB204内のカメラi及びカメラkの情報要素を変更する(S1213)。そして、第2の指示として、カメラnに対してモード1へ変更するとともに給電の優先順位を上位へ変更する指示コマンドをSNMPで送信する(S1214)。
【0075】
カメラnでは、S1214により送信された指示コマンドを受信すると、前述したカメラi及びカメラkと同様の手順によりハブ101に変更要求を行い、その応答結果に応じてサーバ装置1102にACKまたはNACKを送信する。
【0076】
サーバ装置1102は、カメラnから応答を受信し、応答がACKであったか否かを判断する(S1215)。この判断の結果、応答がNACKである場合は、エラー処理を実施する(S1216)。なお、S1216におけるエラー処理は、S1212におけるエラー処理と同等である。
【0077】
一方、S1215の判断の結果、応答がACKである場合は、MIB204内のカメラnの情報要素を変更する(S1217)。S1205での変更と異なる点は、S1205では変更される項目がカメラの動作モードに応じた給電容量だけなのに対して、S1217ではカメラの動作モードに応じた給電容量と給電の優先順位との2項目が変更される点である。
【0078】
次に、カメラnをモード3からモード1に変更する場合のシーケンス例について図13を参照しながら説明する。
カメラnの動作モードをモード3からモード1へ変更するイベントが発生し、ハブ101側で給電能力に余裕がない場合は、以下のような処理が行われる。まず、カメラi及びカメラkをそれぞれモード1からモード2に変更する必要がある。そこで、サーバ装置1102はカメラi及びカメラkに対して動作モードをモード2に変更するとともに給電の優先順位を下位にする指示(Mode2/Pri:L)をSNMPのコマンドで送信する(S1301及びS1302)。この処理は、図12のS1210に相当する処理である。
【0079】
S1301によるコマンドを受信したカメラiは、ハブ101に対してLLDPを使用し、モード2の給電容量(B)に変更するとともに給電の優先順位を下位に変更する変更要求(Power:B/Pri:L2)を送信する(S1303)。なお、L2の"2"は、単に移行した順序で付されているものである。S1303で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1304)。
【0080】
さらに、S1302によるコマンドを受信したカメラkは、ハブ101に対してLLDPを使用し、モード2の給電容量(E)に変更するとともに給電の優先順位を下位に変更する変更要求(Power:E/Pri:L3)を送信する(S1305)。S1305で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1306)。
【0081】
次に、ACKを受信したカメラiは、S1301により送信されたコマンドに対する完了応答として、SNMP上でACKをサーバ装置1102に送信する(S1307)。さらにACKを受信したカメラkは、S1302により送信されたコマンドに対する完了応答としてSNMP上でACKをサーバ装置1102に送信する(S1308)。
【0082】
次に、サーバ装置1102は、カメラi及びカメラkからACKを受信すると、カメラnに対して動作モードをモード1に変更するとともに給電の優先順位を上位にする指示(Mode1/Pri:H0)をSNMPのコマンドで送信する(S1309)。
【0083】
S1309によるコマンドを受信したカメラnは、ハブ101に対してLLDPを使用し、モード1の給電容量(X)に変更するとともに給電の優先順位を上位に変更する変更要求(Power:X/Pri:H0)を送信する(S1310)。S1310で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1311)。ACKを受信したカメラnは、S1309により送信されたコマンドに対する完了応答としてSNMP上でACKをサーバ装置1102に送信する(S1312)。
【0084】
次に、図13に示したシーケンスに従ったサーバ装置1102内のMIB204の変更履歴について図15を参照しながら説明する。
図15に示すように、図13のシーケンスを開始する前の状態のMIB204の内容は、以下の通りである。すなわち、カメラiはモード1で動作しており、給電容量はAで給電の優先順位は上位のH1であり、カメラkはモード1で動作しており、給電容量はDで給電の優先順位は上位のH2である。また、カメラnはモード3で動作しており、給電容量はZで給電の優先順位は下位のL1である。
【0085】
カメラiから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図12のS1213でサーバ装置1102はMIB204においてカメラiの情報要素を変更する。したがって、図13の状態Y1の段階では、カメラiはモード2で動作し、給電容量はBで給電の優先順位は下位のL2となる。
【0086】
さらに、カメラkから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図12のS1213でサーバ装置1102はMIB204においてカメラkの情報要素を変更する。したがって、図13の状態Y2の段階では、カメラkはモード2で動作し、給電容量はEで給電の優先順位は下位のL3となる。
【0087】
この後、カメラnから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図12のS1217でサーバ装置1102はMIB204においてカメラnの情報要素を変更する。したがって、図13の状態Y3の段階では、MIB204の内容は、以下の通りである。すなわち、カメラiはモード2で動作しており、給電容量はBで給電の優先順位は下位のL1であり、カメラkはモード2で動作しており、給電容量はEで給電の優先順位は下位のL2である。また、カメラnはモード1で動作し、給電容量はXで給電の優先順位は上位のH0となる。
【0088】
以上のように本実施形態によれば、動作モードに応じた給電容量に変更するとともに給電の優先順位も変更することにより、カメラnのモード1での動作を保障することができる。
【0089】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0090】
204 MIB
205 ハブ登録テーブル
221 制御部
222 記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明はシステム制御装置、システム制御方法及びプログラムに関し、特に、PoEの規格に従ってハブから電力を供給するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、監視市場の拡大とともにネットワークカメラの需要が拡大している。このようなネットワークカメラは工事を簡略化したり、設置を容易にしたりするためにPoEを備えるものが多い。また、PoEの規格としてIEEE802.3atが制定され、受電装置に対しての動的な電力変更が可能になった。例えば、利用者の在席状況を推定し、LANスイッチにPoEによる給電の指示を自動的に行うサーバを備えたネットワークシステムを開示されている。また、利用者が手動でLANスイッチにPoEによる給電の指示を行うサーバを備えたネットワークシステムも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−3502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEEE802.3atでは、端末に使用できる電力がIEEE802.3afの12.95Wと比べて、25.5Wに増加している。多数のポートを有するPSE(Power Sourcing Equipment)装置においては、全ポートに最大電力を許容するため電源部が巨大化し、PSE装置が大型で高価な装置になってしまう。そこで一般的なPoE−Hubでは、最大電力を許容するポートに対して給電に優先順位を付ける制限を設けている。ところが、給電に優先順位を付ける制限を設けると、ポートごとの消費電力に変化が生じた場合に、十分な対応ができないという問題点がある。
【0005】
本発明は前述の問題点に鑑み、ポートに対して給電の優先順位が設定されている場合に、ハブ側で給電容量の切り替えをスムーズに行うことができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシステム制御装置は、複数のネットワークカメラと、前記ネットワークカメラに電力を供給するハブを介して接続されたシステム制御装置であって、前記複数のネットワークカメラの中の第1のカメラの動作モードをより消費電力の大きいモードに変更する場合の前記ハブの給電能力を判断する判断手段と、前記判断手段による判断の結果、前記ハブの給電能力を超える場合に、前記複数のネットワークカメラの中の第2のカメラに対して動作モードをより消費電力の小さいモードへ変更するよう指示する第1の指示手段と、前記第1の指示手段による指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された後に、前記第1のカメラに対して動作モードをより消費電力の大きいモードに変更するよう指示する第2の指示手段と、前記第1の指示手段による指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された旨、及び前記第2の指示手段による指示に応じて前記第1のカメラの動作モードが変更された旨の情報を受信する受信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カメラがより消費電力の大きい動作モードに切り替えるような場合であっても、スムーズに動作モードを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るネットワークカメラシステムの構成例を示す図である。
【図2】第1及び第2の実施形態に係るネットワークカメラシステムの内部構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態において、サーバ装置におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態において、第2のカメラによる動作モードの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態のネットワークカメラシステムにおける動作モードの変更手順のシーケンスを示す図である。
【図6】第1の実施形態におけるサーバ装置が保有するMIBの内容の履歴の一例を示す図である。
【図7】ハブの管理テーブルの構成例を示す図である。
【図8】第2の実施形態において、第1のカメラによる動作モードの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態において、サーバ装置におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態のネットワークカメラシステムにおける動作モードの変更手順のシーケンスを示す図である。
【図11】第3の実施形態に係るネットワークカメラシステムの内部構成例を示すブロック図である。
【図12】第3の実施形態において、サーバ装置におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施形態のネットワークカメラシステムにおける動作モードの変更手順のシーケンスを示す図である。
【図14】第3の実施形態におけるカメラ登録テーブルの一例を示す図である。
【図15】第3の実施形態におけるサーバ装置が保有するMIBの内容の履歴の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施形態におけるPoEの給電容量の切替制御及び給電優先順位の変更制御について説明する。
図1は、本実施形態に係るネットワークカメラシステムの構成例を示す図である。
図1において、ハブ101は、LLDP(Link Layer Discovery Protocol)をサポートしたIEEE802.3atに準拠するタイプ2のPSE(Power Sourcing Equipment)機能を備えている。ここで、LLDPとは、LANケーブルに接続された機器を検出して管理を行うことができるプロトコルである。本実施形態において、ハブ101は複数個のネットワーク接続コネクタを有し、電源供給としていずれかの接続コネクタからIEEE802.3atに準じた電力25.5Wを供給することができる。
【0010】
サーバ装置102は、SNMP(Simple Network Management Protocol)が実装されたシステム制御装置であり、LANケーブル104aによりハブ101に接続されている。ここで、SNMPとは、ネットワークに接続されたルータやハブなどの機器を制御することができるプロトコルである。ネットワークカメラ103a〜cは、IEEE802.3atに準拠するタイプ2のPD(Powered Device)機能を備えており、それぞれがLANケーブル104b〜dによりハブ101に接続されている。
【0011】
図2は、本実施形態に係るネットワークカメラシステムの内部構成例を示すブロック図である。なお、図2には、ネットワークカメラ103aが接続されている例を示しているが、他のネットワークカメラ103b、cについても同様の構成となっている。
【0012】
図2において、ハブ101の電力供給制御部211は、図1に示すネットワークカメラ103a〜cのそれぞれに供給する電力の量を制御する。記憶部212には、以下に説明する管理テーブル201が記憶されている。管理テーブル201には、ハブ101のポート毎の給電容量と電力を供給する優先順位とが登録されている。また、プロトコルスタック202はハブ101のプロトコルスタックを示している。
【0013】
サーバ装置102の制御部221は、サーバ装置102全体を制御するためのものである。記憶部222には、後述するMIB(Management information base)204及びハブ登録テーブル205が記憶されている。
【0014】
プロトコルスタック203はサーバ装置102のプロトコルスタックを示している。MIB204には、ネットワークカメラシステム内のネットワークカメラ103の管理情報が登録されている。なお、MIB204はサーバ装置102が蓄積している情報であり、蓄積情報は定義内容が標準化されている。したがって、サーバ装置102のSNMPを実行することにより蓄積情報を参照することができ、また、ハブ101のLLDPを実行することによっても蓄積情報を参照することができる。ハブ登録テーブル205は、ハブ101のトータル給電能力を記録するテーブルである。
【0015】
ネットワークカメラ103aの撮像部241は、被写体を撮像して画像データを生成するためのものである。制御部242は、ネットワークカメラ103a全体を制御するためのものである。また、記憶部243には、撮像部241により生成された画像データや、後述するMIB207が記憶されている。プロトコルスタック206はネットワークカメラ103aのプロトコルスタックを示している。また、MIB207は、ネットワークカメラ103a自身のMIBである。
【0016】
ネットワークカメラ103aのプロトコルスタック206及びサーバ装置102のプロトコルスタック203は、物理層L1〜アプリケーション層L7で構成され、SNMPはアプリケーション層の管理アプリケーションとして実装される。ハブ101は、機能により物理層L1とデータリンク層L2とで構成されるL2−Switchと、物理層L1〜ネットワーク層L3で構成されるL3−Switchとがある。本実施形態では、ハブ101はL2−Switchとして説明する。
【0017】
また、LLDPは、PoEの情報要素を受け渡しするためのデータリンク層L2の機能として実装されるため、PoEの機能を備えていないサーバ装置102には実装されていない。したがって、ネットワークカメラ103aとサーバ装置102との間での管理情報の受け渡しは、SNMPなどの上位層の管理プロトコルを用い、ハブ101とネットワークカメラ103aとの間での管理情報の受け渡しはLLDPを用いる。
【0018】
図3は、本実施形態において、サーバ装置102におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図3に示す各処理は、制御部221の制御により行われる。以下の説明では、ネットワークカメラ103cをローパワーモードからハイパワーモードへ変更する第1のカメラとし、ネットワークカメラ103aをハイパワーモードからローパワーモードへ変更する第2のカメラとして説明する。
【0019】
まず、サーバ装置102はイベントの発生を検出するまで待機する(S301)。ここでは、第1のカメラの動作モードを消費電力の小さいローパワーモードから消費電力の大きいハイパワーモードへ変更するイベントが発生したことを検出するまで待機する。上記イベントを検出する方法としては、内部に設定されたタイマーや、外部からの操作等により検出する方法などが挙げられる。
【0020】
S301でイベントを検出すると、ハブ登録テーブル205とMIB204とを参照してハブ101の給電能力を確認する(S302)。そして、第1のカメラがハイパワーモードであっても給電能力に余裕があるか否かを判断する(S303)。給電能力に余裕があり、給電可能と判断する条件としては、ハブ101に接続されている全てのネットワークカメラに対してハイパワーモードで給電可能な場合である。もしくは、第1のカメラへ電力を供給する優先順位が他の接続されているネットワークカメラがハイパワーモードとなっても大丈夫なランクに設定されている場合である。
【0021】
S303の判断の結果、給電能力に余裕がある場合は、第1のカメラに対してハイパワーモードへの移行を指示する指示コマンドをSNMPにより送信する(S304)。そして、MIB204の第1のカメラの情報要素の消費電力に該当する項目を変更する(S305)。
【0022】
一方、S302の判断の結果、給電能力に余裕がない場合は、MIB204を参照し、第1のカメラ以外でハイパワーモードに現在設定されており、かつ優先度がハイパワーモードに設定されているカメラを探索する。そして、このカメラをローパワーモードに落とす処理を行うことになる。以下の説明では、ローパワーモードの落とすカメラを第2のカメラとして説明する。
【0023】
S302の判断の結果、給電能力に余裕がない場合は、第1の指示として、サーバ装置102は第2のカメラに対してローパワーモードへ変更するとともに給電の優先順位を下げる指示コマンドをSNMPにより送信する(S306)。このとき、空いている順位であって、第1のカメラ以外のネットワークカメラが全てハイパワーモードになっても給電能力に支障が出ない優先順位を設定する。
【0024】
図4は、本実施形態において、第2のカメラによる動作モードの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図4に示す各処理は、制御部242の制御により行われる。
まず、第2のカメラはハイパワーモードで動作しており、図3のS306により送信された指示コマンドを受信するまで待機する(S401)。そして、第2のカメラがサーバ装置102からの指示コマンドを受信すると、ハブ101に対してLLDPによりローパワーモードの給電容量へ変更するととともに給電の優先順位を変更する変更要求を送信する(S402)。
【0025】
次に、ハブ101から応答を受信し、ハブ101からACK(変更OK)を受信したか否かを判断する(S403)。この判断の結果、ACKを受信した場合は、動作モードをローパワーモードに変更する(S404)。そして、自身のMIB207を変更し(S405)、ローパワーモードへの変更と給電の優先順位の変更とが完了した完了応答をSNMPでサーバ装置102へ送信する(S406)。このとき、ハブ101から第2のカメラに対して送られたコマンドに対する応答としてACKを送信する。
【0026】
一方、S403の判断の結果、ハブ101からNACK(変更不可)を受信した場合は、ローパワーモードへの変更と給電の優先順位の変更とが失敗したことをSNMPでサーバ装置102へ送信する(S407)。このとき、ハブ101から第2のカメラに対して送られたコマンドに対する応答としてNACKを送信する。
【0027】
図3の説明に戻り、S306で第2のカメラに対して指示コマンドを送信した後、第2のカメラからの応答が図4のS406で送信するACKであるか否かを判断する(S307)。この判断の結果、第2のカメラからの応答が図4のS406で送信するACKではなく、S407で送信するNACKである場合は、エラー処理を実施する(S308)。上記エラー処理は画面上への表示、登録している管理者へのエラーメールの送信等が挙げられる。
【0028】
一方、S307の判断の結果、第2のカメラからの応答がACKである場合は、MIB204内の第2のカメラの情報要素を変更する(S309)。そして、第2の指示として、第1のカメラに対してハイパワーモードへ変更するとともに給電の優先順位を上げるように変更する指示コマンドをSNMPで送信する(S310)。そして、第1のカメラでは、図4に示した手順と同様に、ハブ101に対して動作モード及び変更を要求する。そして、ACKを受信した場合には、ACKをサーバ装置102に送信し、ハブ101からNACKを受信した場合には、NACKをサーバ装置102に送信する。
【0029】
次に、第1のカメラからの応答がACK応答であるか否かを判断する(S311)。この判断の結果、第1のカメラからの応答がNACK応答である場合は、エラー処理を実施する(S312)。S312におけるエラー処理は、S308におけるエラー処理と同等である。
【0030】
S308のエラー処理は、ハブ101が第2のカメラに対する給電容量を下げるのを拒絶したことによって行われる処理である。これに対してS312のエラー処理が行われる条件は、ハイパワーモードで動作していた第2のカメラがローパワーモードに変更されていることが条件である。このことからハブ101は第1のカメラに対してハイパワーモードで給電可能である。それにもかかわらず、第1のカメラに対してハイパワーモードで給電することを拒絶するような場合には、S312のエラー処理が行われる。したがって、S312のエラー処理は通常は起こらないエラー処理である。
【0031】
一方、S311の判断の結果、第1のカメラからの応答がACK応答である場合は、MIB204内の第1のカメラの情報要素を変更する(S313)。S305での変更と異なる点は、S305では変更される項目がカメラの動作モードに応じた給電容量だけなのに対して、S313ではカメラの動作モードに応じた給電容量と給電の優先順位との2項目が変更される点である。
【0032】
次に、第1のカメラをローパワーモードからハイパワーモードに変更する場合のシーケンス例について図5を参照しながら説明する。
第1のカメラの動作モードをローパワーモードからハイパワーモードへ変更するイベントが発生し、ハブ101側で給電能力に余裕がない場合は、以下のような処理が行われる。まず、第2のカメラをローパワーモードにする必要があるため、サーバ装置102は第2のカメラに対して動作モードをローパワーモードにして給電の優先順位を下位にする指示(Power:L/Pri:L)をSNMPのコマンドで送信する(S501)。この処理は、図3のS306に相当する処理である。
【0033】
S501によるコマンドを受信した第2のカメラは、ハブ101に対してLLDPを使用し、ローパワーモードの給電容量にして給電の優先順位を下位にする変更を要求する(S502)。この処理は、図4のS402に相当する処理である。S502で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S503)。ACKを受信した第2のカメラは、S501によるコマンドに対しての完了応答としてSNMPによりACKを送信する(S504)。このS504の処理は、図4のS406に相当する処理である。
【0034】
次に、サーバ装置102は、第2のカメラからACK応答を受信すると、第1のカメラに対して動作モードをハイパワーモードにして給電の優先順位を上位にする指示(Power:H/Pri:H)をSNMPのコマンドで送信する(S505)。この処理は、図3のS310に相当する処理である。S505によるコマンドを受信した第1のカメラは、ハブ101に対してLLDPを使用し、ハイパワーモードの給電容量にして給電の優先順位を上位にする変更を要求する(S506)。S506で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S507)。ACKを受信した第1のカメラは、S505によるコマンドに対しての完了応答としてSNMP上でACKを送信する(S508)。
【0035】
次に、図5に示したシーケンスに従ったサーバ装置102内のMIB204の変更履歴について図6を参照しながら説明する。
図6に示すように、図5のシーケンスを開始する前の状態のMIB204では、第1のカメラはローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位であり、第2のカメラはハイパワーモードの給電容量で給電の優先順位が上位である。
【0036】
第2のカメラから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図3のS309でサーバ装置102はMIB204において第2のカメラの情報要素を変更する。したがって、図5の状態X1の段階では、第1のカメラ及び第2のカメラは、ともにローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位である。
【0037】
この後、第1のカメラから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図3のS313で第1のカメラの情報要素を変更する。したがって、図5の状態X2の段階でMIB204の内容は、第1のカメラはハイパワーモードの給電容量で給電の優先順位が上位となり、第2のカメラはローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位となる。
【0038】
図7は、ハブ101の管理テーブル201の構成例を示す図である。図7に示すように、管理テーブル201にはポート番号ごとにPower Class(給電容量)とPriority(優先順位)とが設定されている。この管理テーブル201も、第1のカメラ及び第2のカメラからの変更要求を受信し、ACKを返した段階でそれぞれ変更される。
【0039】
以上のように本実施形態によれば、動作モードに応じた給電容量を変更するとともに給電の優先順位も変更することにより、第1のカメラのハイパワーモードでの動作を保障することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、図1、図6、及び図7〜図10を参照して、本発明の第2の実施形態におけるPoEの給電容量の切替制御及び給電優先順位の変更制御について説明する。なお、本実施形態におけるネットワークカメラシステム及びプロトコルスタックの構成についてはそれぞれ図1及び図2と同様であるため、説明は省略する。また、以下の説明では、ネットワークカメラ103cをローパワーモードからハイパワーモードへ変更する第1のカメラとし、ネットワークカメラ103aをハイパワーモードからローパワーモードへ変更する第2のカメラとして説明する。
【0041】
図8は、本実施形態において、第1のカメラにおける動作モードの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図8に示す各処理は、制御部242の制御により行われる。
まず、第1のカメラはハイパワーモードへ切り替えるイベントが発生するまで待機する(S801)。なお、上記イベントは内部に設定されたタイマー、動き検出等の設定されているトリガー等が挙げられる。そして、イベントが発生すると、ハブ101に対してローパワーモードの給電容量からハイパワーモードの給電容量に変更するようにLLDPを使用して変更要求を送信する(S802)。
【0042】
次に、ハブ101から応答を受信し、ハブ101から給電容量の切替完了を示すACKを受信したか否かを判断する(S803)。この判断の結果、ACKを受信した場合は、第2のカメラは動作モードをローパワーモードからハイパワーモードへ変更する(S804)。そして、サーバ装置102へSNMPを使用して動作モードを変更した旨を送信する(S805)。これにより、サーバ装置102では、MIB204内の第1のカメラの情報要素を変更することになる。
【0043】
一方、S803の判断の結果、ハブ101からNACK(切替不可)を受信した場合は、サーバ装置102に対してSNMPを使用してローパワーモードからハイパワーモードへの変更要求を送信する(S806)。
【0044】
図9は、本実施形態において、サーバ装置102におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図9に示す各処理は、制御部221の制御により行われる。
まず、図8のS806の処理により第1のカメラから変更要求を受信するまで待機する(S901)。変更要求を受信すると、サーバ装置102はMIB204を参照する(S902)。そして、第1のカメラ以外で、ハイパワーモードで現在動作していてローパワーモードに変更可能なカメラの有無を確認する(S903)。この確認の結果、ローパワーモードに変更可能なカメラが存在しない場合は、第1のカメラに対して変更不可を示すNACKを送信する(S904)。この場合、第1のカメラはハイパワーモードへ変更することができない。
【0045】
一方、S903の確認の結果、ローパワーモードへ変更可能なカメラが存在する場合は、第1の指示として、サーバ装置102は第2のカメラに対してローパワーモードへの変更と給電の優先順位の変更とを指示する指示コマンドをSNMPで送信する(S905)。このとき、空いている順位であって、第1のカメラ以外のカメラが全てハイパワーモードになっても給電能力に支障が出ない優先順位を設定する。なお、第2のカメラにおける動作モード及び給電の優先順位の変更手順は図4と同様であるため、説明は省略する。
【0046】
次に、第2のカメラから応答を受信し、動作モード及び給電の優先順位を変更したことを示すACKを受信したか否かを判断する(S906)。この判断の結果、第2のカメラからNACKを受信した場合は、エラー処理を行う(S907)。上記エラー処理は、画面上への表示、登録している管理者へのエラーメールの送信等が挙げられる。
【0047】
一方、S906の判断の結果、第2のカメラからACKを受信した場合は、ハブ101では第2のカメラの動作モードに係る給電容量及び給電の優先順位の変更が完了していることになる。したがって、サーバ装置102はMIB204内の第2のカメラの情報要素を変更する(S908)。そして、第2の指示として、第1のカメラに対してハイパワーモードへの変更と給電の優先順位の変更とを許可する指示コマンドとしてACKをSNMPにより送信する(S909)。
【0048】
図8の説明に戻り、S806でサーバ装置102に変更要求を送信した後、サーバ装置102からの応答が、図9のS909で送信するACKであるか否かを判断する(S807)。この判断の結果、サーバ装置102からの応答が、図9のS909で送信するACKではなく図9のS904で送信するNACKである場合は、ハイパワーモードへの変更ができないため、処理を終了する。
【0049】
一方、S807の判断の結果、サーバ装置102からの応答が図9のS909で送信するACKである場合は、第1のカメラは、ハブ101にハイパワーモードの給電容量への変更と給電の優先順位の変更とを要求する変更要求をLLDPで送信する(S808)。そして、ハブ101からの応答がACKであるか否かを判断する(S809)。この判断の結果、NACKである場合は、第1のカメラはサーバ装置102へ変更不可の応答としてNACKを送信する(S810)。
【0050】
一方、S809の判断の結果、ハブ101からの応答がACKである場合は、第1のカメラは動作モードをハイパワーモードに変更するとともに自身のMIB207を更新する(S811)。そして、サーバ装置102へ動作モードの切替が完了した完了応答としてACKを送信する(S812)。なお、S805では、動作モードのみを変更内容としてサーバ装置102に送信するのに対し、S812では、動作モード及び給電の優先順位の変更内容をサーバ装置102に送信する。
【0051】
再び図9の説明に戻り、S909で第1のカメラに指示コマンドを送信した後、指示コマンドに対する応答を受信し、この応答が図8のS812で送信するACKであるか否かを判断する(S910)。この判断の結果、図8のS812で送信するACKではなく、図8のS810で送信するNACKである場合は、エラー処理を行う(S911)。このエラー処理はS907のエラー処理と同様である。一方、S910の判断の結果、図8のS812で送信するACKである場合は、サーバ装置102はMIB204内の第1のカメラの情報要素を変更する(S912)。
【0052】
次に、第1のカメラからの起動によりローパワーモードからハイパワーモードに変更する場合のシーケンス例について図10を参照しながら説明する。以下の説明では、ハブ101側で給電能力に余裕がない状況を前提として説明する。
第1のカメラにおいて動作モードをローパワーモードからハイパワーモードへ変更するイベントが発生した場合、第1のカメラはハブ101に対してハイパワーモードの給電容量へ変更する変更要求(Power:H)をLLDPにより送信する(S1001)。この処理は、図8のS802に相当する処理である。
【0053】
次に、ハブ101は給電能力に余裕がないため、第1のカメラに拒否を示すNACKを送信する(S1002)。そこで、他のネットワークカメラをローパワーモードにするために、第1のカメラは、サーバ装置102にハイパワーモードへの変更要求を送信する(S1003)。この処理は、図8のS806に相当する処理である。
【0054】
一方、サーバ装置102は、第2のカメラに対してローパワーモードへ変更するとともに給電の優先順位を下位に変更する指示(Power:L/Pri:L)をSNMPのコマンドで送信する(S1004)。この処理は、図9のS905に相当する処理である。S1004により送信されたコマンドを受信した第2のカメラは、ハブ101に対してLLDPを使用してローパワーモードの給電容量へ変更するとともに給電の優先順位を下位に変更するよう変更要求を送信する(S1005)。S1005で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1006)。そして、ACKを受信した第2のカメラは、S1004で送信されたコマンドに対する完了応答として、SNMP上でACKをサーバ装置102に送信する(S1007)。
【0055】
サーバ装置102は、第2のカメラからACKを受信すると、第1のカメラに対してハイパワーモードに変更するとともに給電の優先順位を上位にすることを指示するコマンドとしてSNMPによりACKを送信する(S1008)。この処理は、図9のS909に相当する処理である。
【0056】
サーバ装置102からACKを受信すると、第1のカメラは、ハブ101に対してLLDPを使用してハイパワーモードの給電容量に変更するとともに給電の優先順位を上位にする変更要求を送信する(S1009)。この処理は、図8のS808に相当する処理である。そして、S1009で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1010)。ハブ101からACKを受信した第1のカメラは、S1008で送信されたコマンドに対する完了応答としてSNMP上でACKをサーバ装置102に送信する(S1011)。この処理は、図8のS812に相当する処理である。
【0057】
次に、図10に示したシーケンスに対するサーバ装置102内のMIB204の変更履歴について説明する。
図10のシーケンスを開始する前の状態のMIB204では、第1のカメラは、ローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位であり、第2のカメラは、ハイパワーモードの給電容量で給電の優先順位が上位である。
【0058】
第2のカメラから動作モードの切替の完了応答を受信すると、図9のS908でサーバ装置102は第2のカメラの情報要素を変更する。したがって、図10の状態X1'の段階では、第1のカメラ及び第2のカメラは、ともにローパワーモードの給電容量で給電の優先順位が下位である。
【0059】
この後、第1のカメラから動作モードの切替の完了応答を受信すると、図9のS912でサーバ装置102は第1のカメラの情報要素を変更する。したがって、図10の状態X2'の段階でMIB204の内容は、第1のカメラはハイパワーモードの給電容量で給電の優先順位が上位となり、第2のカメラはローパワーモードの給電容量で宮殿の優先順位が下位となる。
【0060】
以上のように本実施形態によれば、動作モードに応じた給電容量を変更するとともに給電の優先順位も変更することにより、第1のカメラのハイパワーモードでの動作を保障することができる。
【0061】
(第3の実施形態)
以下、図11〜図15を参照して、本発明の第3の実施形態におけるPoEの給電容量の切替制御及び給電の優先順位の変更制御について説明する。なお、本実施形態においては、図1と同様のネットワークカメラシステムの構成例であるため、その説明は省略する。
【0062】
図11は、本実施形態に係るネットワークカメラシステムの内部構成例を示すブロック図である。なお、図2と重複する構成については説明を省略し、図2と異なる点について説明する。
図11において、サーバ装置1102は、ネットワークカメラの動作モードとその動作モードに対応した消費電力(給電容量)とを登録するカメラ登録テーブル1101を記憶部222に記憶している。
【0063】
図14は、カメラ登録テーブル1101の一例を示す図である。本実施形態では、ネットワークカメラとしてカメラi、カメラk及びカメラnがネットワークカメラシステムに接続されている例について説明する。
カメラi、カメラk及びカメラnはモード1〜3へ動作モードを設定することが可能である。ここで、図14に示すように、カメラiのモード1、2、3に対応する消費電力(給電容量)をそれぞれA、B、Cとする。同様に、カメラkのモード1、2、3に対応する消費電力(給電容量)をそれぞれD、E、Fとし、カメラnのモード1、2、3に対応する消費電力(給電容量)をそれぞれX、Y、Zとする。また、カメラi、カメラk及びカメラnはともにモード1、2、3の順序でハブ101の給電容量が小さくなり、給電容量の関係では、以下の式(1)かつ式(2)の条件を満たすものとする。
A>B>C、D>E>F、X>Y>Z ・・・(1)
(X−Z)>(A−B)、(X−Z)>(D−E)、(X−Z)<(A−B)+(D−E) ・・・(2)
【0064】
本実施形態においては、カメラnをモード3からモード1へ変更し、カメラi及びカメラkをモード1からモード2へ変更する例について説明する。
【0065】
図12は、本実施形態において、サーバ装置1102におけるMIBの変更処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図12に示す各処理は、制御部221の制御により行われる。
まず、サーバ装置1102はイベントの発生を検出するまで待機する(S1201)。ここでは、カメラnの動作モードをモード3からモード1へ変更するイベントの待ち状態となる。上記イベントを検出する方法としては、内部に設定されたタイマーや、外部からの操作等により検出する方法などが挙げられる。
【0066】
S1201でイベントの発生を検出すると、ハブ登録テーブル205とMIB204とを参照してハブ101の給電能力を確認する(S1202)。そして、カメラnがモード1であっても給電能力に余裕があるか否かを判断する(S1203)。給電能力に余裕があり、給電可能と判断する条件としては、ハブ101に接続されている全てのネットワークカメラに対してモード1で給電可能な場合である。もしくは、カメラnの給電の優先順位が他の接続されているネットワークカメラがモード1となっても大丈夫なランクに設定されている場合である。
【0067】
S1203の判断の結果、給電能力に余裕がある場合は、カメラnに対してSNMPコマンドを使用してモード1への移行を指示する指示コマンドを送信する(S1204)。そして、MIB204のカメラnの情報要素を変更する(S1205)。
【0068】
一方、S1203の判断の結果、給電能力に余裕がない場合は、MIB204とカメラ登録テーブル1101とを参照する(S1206)。そして、カメラn以外でモード1又はモード2に設定されていて、かつ優先度がカメラnよりも上位に設定されているネットワークカメラ、すなわち設定変更が可能なネットワークカメラが存在するか否かを判断する(S1207)。
【0069】
S1207の判断の結果、設定変更が可能なネットワークカメラが存在しない場合、或いは変更してもカメラnがモード1に移行できない場合は、カメラnに対して、動作モードの変更ができないことを示す応答としてNACKを返す(S1208)。この場合、カメラnでは動作モードの変更が行わないことになる。
【0070】
一方、S1207の判断の結果、設定変更が可能なネットワークカメラが存在する場合は、このネットワークカメラを現状よりも消費電力の低い動作モードに落とす処理を行うことになる。そこで、カメラi及びカメラkをそれぞれモード1からモード2に変更するカメラとして選定する(S1209)。次に、第1の指示として、サーバ装置1102はカメラi及びカメラkそれぞれに対して、動作モードをモード1からモード2へ変更するとともに給電の優先順位を変更する指示コマンドをSNMPにより送信する(S1210)。このとき、空いている順位であって、カメラn以外のネットワークカメラが全てモード1になっても給電能力に支障が出ない優先順位を設定する。
【0071】
S1210の処理が行われる時点では、カメラi及びカメラkはそれぞれモード1で動作し、コマンド待ち状態である。カメラi及びカメラkは、サーバ装置1102からモード1からモード2への指示コマンドを受信すると、制御部242によりハブ101に対してLLDPによりそれぞれの消費電力に該当する値への給電容量の変更と給電の優先順位の変更とを要求する。
【0072】
そして、ハブ101からACK(変更OK)を受信した場合は、動作モードをモード2に変更するとともに、自身のMIB207を変更する。さらに、動作モード及び給電の優先順位の変更が完了したことを示す完了応答としてSNMPでサーバ装置1102へACKを送信する。一方、ハブ101からNACK(変更不可)を受信した場合は、動作モード及び給電の優先順位の変更が失敗したことを示すNACKをSNMPでサーバ装置1102へ送信する。
【0073】
サーバ装置1102は、S1210により指示コマンドをカメラi及びカメラkに送信した後にそれぞれのカメラから応答を受信し、いずれも応答がACKであるか否かを判断する(S1211)。この判断の結果、少なくとも何れかからNACKを受信した場合は、エラー処理を実施する(S1212)。上記エラー処理は、画面上への表示、登録している管理者へのエラーメールの送信等が挙げられる。
【0074】
一方、S1211の判断の結果、いずれも応答がACKである場合は、MIB204内のカメラi及びカメラkの情報要素を変更する(S1213)。そして、第2の指示として、カメラnに対してモード1へ変更するとともに給電の優先順位を上位へ変更する指示コマンドをSNMPで送信する(S1214)。
【0075】
カメラnでは、S1214により送信された指示コマンドを受信すると、前述したカメラi及びカメラkと同様の手順によりハブ101に変更要求を行い、その応答結果に応じてサーバ装置1102にACKまたはNACKを送信する。
【0076】
サーバ装置1102は、カメラnから応答を受信し、応答がACKであったか否かを判断する(S1215)。この判断の結果、応答がNACKである場合は、エラー処理を実施する(S1216)。なお、S1216におけるエラー処理は、S1212におけるエラー処理と同等である。
【0077】
一方、S1215の判断の結果、応答がACKである場合は、MIB204内のカメラnの情報要素を変更する(S1217)。S1205での変更と異なる点は、S1205では変更される項目がカメラの動作モードに応じた給電容量だけなのに対して、S1217ではカメラの動作モードに応じた給電容量と給電の優先順位との2項目が変更される点である。
【0078】
次に、カメラnをモード3からモード1に変更する場合のシーケンス例について図13を参照しながら説明する。
カメラnの動作モードをモード3からモード1へ変更するイベントが発生し、ハブ101側で給電能力に余裕がない場合は、以下のような処理が行われる。まず、カメラi及びカメラkをそれぞれモード1からモード2に変更する必要がある。そこで、サーバ装置1102はカメラi及びカメラkに対して動作モードをモード2に変更するとともに給電の優先順位を下位にする指示(Mode2/Pri:L)をSNMPのコマンドで送信する(S1301及びS1302)。この処理は、図12のS1210に相当する処理である。
【0079】
S1301によるコマンドを受信したカメラiは、ハブ101に対してLLDPを使用し、モード2の給電容量(B)に変更するとともに給電の優先順位を下位に変更する変更要求(Power:B/Pri:L2)を送信する(S1303)。なお、L2の"2"は、単に移行した順序で付されているものである。S1303で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1304)。
【0080】
さらに、S1302によるコマンドを受信したカメラkは、ハブ101に対してLLDPを使用し、モード2の給電容量(E)に変更するとともに給電の優先順位を下位に変更する変更要求(Power:E/Pri:L3)を送信する(S1305)。S1305で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1306)。
【0081】
次に、ACKを受信したカメラiは、S1301により送信されたコマンドに対する完了応答として、SNMP上でACKをサーバ装置1102に送信する(S1307)。さらにACKを受信したカメラkは、S1302により送信されたコマンドに対する完了応答としてSNMP上でACKをサーバ装置1102に送信する(S1308)。
【0082】
次に、サーバ装置1102は、カメラi及びカメラkからACKを受信すると、カメラnに対して動作モードをモード1に変更するとともに給電の優先順位を上位にする指示(Mode1/Pri:H0)をSNMPのコマンドで送信する(S1309)。
【0083】
S1309によるコマンドを受信したカメラnは、ハブ101に対してLLDPを使用し、モード1の給電容量(X)に変更するとともに給電の優先順位を上位に変更する変更要求(Power:X/Pri:H0)を送信する(S1310)。S1310で送信された変更要求を受信したハブ101は、通常は電力供給制御部211により給電容量及び給電の優先順位を変更してACKを返す(S1311)。ACKを受信したカメラnは、S1309により送信されたコマンドに対する完了応答としてSNMP上でACKをサーバ装置1102に送信する(S1312)。
【0084】
次に、図13に示したシーケンスに従ったサーバ装置1102内のMIB204の変更履歴について図15を参照しながら説明する。
図15に示すように、図13のシーケンスを開始する前の状態のMIB204の内容は、以下の通りである。すなわち、カメラiはモード1で動作しており、給電容量はAで給電の優先順位は上位のH1であり、カメラkはモード1で動作しており、給電容量はDで給電の優先順位は上位のH2である。また、カメラnはモード3で動作しており、給電容量はZで給電の優先順位は下位のL1である。
【0085】
カメラiから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図12のS1213でサーバ装置1102はMIB204においてカメラiの情報要素を変更する。したがって、図13の状態Y1の段階では、カメラiはモード2で動作し、給電容量はBで給電の優先順位は下位のL2となる。
【0086】
さらに、カメラkから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図12のS1213でサーバ装置1102はMIB204においてカメラkの情報要素を変更する。したがって、図13の状態Y2の段階では、カメラkはモード2で動作し、給電容量はEで給電の優先順位は下位のL3となる。
【0087】
この後、カメラnから動作モードの切替完了の完了応答を受信すると、図12のS1217でサーバ装置1102はMIB204においてカメラnの情報要素を変更する。したがって、図13の状態Y3の段階では、MIB204の内容は、以下の通りである。すなわち、カメラiはモード2で動作しており、給電容量はBで給電の優先順位は下位のL1であり、カメラkはモード2で動作しており、給電容量はEで給電の優先順位は下位のL2である。また、カメラnはモード1で動作し、給電容量はXで給電の優先順位は上位のH0となる。
【0088】
以上のように本実施形態によれば、動作モードに応じた給電容量に変更するとともに給電の優先順位も変更することにより、カメラnのモード1での動作を保障することができる。
【0089】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0090】
204 MIB
205 ハブ登録テーブル
221 制御部
222 記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワークカメラと、前記ネットワークカメラに電力を供給するハブを介して接続されたシステム制御装置であって、
前記複数のネットワークカメラの中の第1のカメラの動作モードをより消費電力の大きいモードに変更する場合の前記ハブの給電能力を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断の結果、前記ハブの給電能力を超える場合に、前記複数のネットワークカメラの中の第2のカメラに対して動作モードをより消費電力の小さいモードへ変更するよう指示する第1の指示手段と、
前記第1の指示手段による指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された後に、前記第1のカメラに対して動作モードをより消費電力の大きいモードに変更するよう指示する第2の指示手段と、
前記第1の指示手段による指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された旨、及び前記第2の指示手段による指示に応じて前記第1のカメラの動作モードが変更された旨の情報を受信する受信手段とを有することを特徴とするシステム制御装置。
【請求項2】
前記第1の指示手段は、動作モードを変更するとともに給電の優先順位をより下位に変更するよう指示することを特徴とする請求項1に記載のシステム制御装置。
【請求項3】
前記第2の指示手段は、動作モードを変更するとともに給電の優先順位をより上位に変更するよう指示することを特徴とする請求項1または2に記載のシステム制御装置。
【請求項4】
前記複数のネットワークカメラに対する前記ハブの給電容量及び給電の優先順位の情報を管理する管理手段を有し、
前記判断手段は、前記管理手段により管理された情報に基づいて前記ハブの給電能力を判断することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項5】
前記管理手段は、前記受信手段によって受信された情報に従って前記ハブの給電容量及び給電の優先順位の情報を更新することを特徴とする請求項4に記載のシステム制御装置。
【請求項6】
複数のネットワークカメラと、前記ネットワークカメラに電力を供給するハブを介して接続されたシステム制御装置のシステム制御方法であって、
前記複数のネットワークカメラの中の第1のカメラの動作モードをより消費電力の大きいモードに変更する場合の前記ハブの給電能力を判断する判断工程と、
前記判断工程における判断の結果、前記ハブの給電能力を超える場合に、前記複数のネットワークカメラの中の第2のカメラに対して動作モードをより消費電力の小さいモードへ変更するよう指示する第1の指示工程と、
前記第1の指示工程における指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された後に、前記第1のカメラに対して動作モードをより消費電力の大きいモードに変更するよう指示する第2の指示工程と、
前記第1の指示工程における指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された旨、及び前記第2の指示工程における指示に応じて前記第1のカメラの動作モードが変更された旨の情報を受信する受信工程とを有することを特徴とするシステム制御方法。
【請求項7】
複数のネットワークカメラと、前記ネットワークカメラに電力を供給するハブを介して接続されたシステム制御装置を制御するためのプログラムであって、
前記複数のネットワークカメラの中の第1のカメラの動作モードをより消費電力の大きいモードに変更する場合の前記ハブの給電能力を判断する判断工程と、
前記判断工程における判断の結果、前記ハブの給電能力を超える場合に、前記複数のネットワークカメラの中の第2のカメラに対して動作モードをより消費電力の小さいモードへ変更するよう指示する第1の指示工程と、
前記第1の指示工程における指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された後に、前記第1のカメラに対して動作モードをより消費電力の大きいモードに変更するよう指示する第2の指示工程と、
前記第1の指示工程における指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された旨、及び前記第2の指示工程における指示に応じて前記第1のカメラの動作モードが変更された旨の情報を受信する受信工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
複数のネットワークカメラと、前記ネットワークカメラに電力を供給するハブを介して接続されたシステム制御装置であって、
前記複数のネットワークカメラの中の第1のカメラの動作モードをより消費電力の大きいモードに変更する場合の前記ハブの給電能力を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断の結果、前記ハブの給電能力を超える場合に、前記複数のネットワークカメラの中の第2のカメラに対して動作モードをより消費電力の小さいモードへ変更するよう指示する第1の指示手段と、
前記第1の指示手段による指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された後に、前記第1のカメラに対して動作モードをより消費電力の大きいモードに変更するよう指示する第2の指示手段と、
前記第1の指示手段による指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された旨、及び前記第2の指示手段による指示に応じて前記第1のカメラの動作モードが変更された旨の情報を受信する受信手段とを有することを特徴とするシステム制御装置。
【請求項2】
前記第1の指示手段は、動作モードを変更するとともに給電の優先順位をより下位に変更するよう指示することを特徴とする請求項1に記載のシステム制御装置。
【請求項3】
前記第2の指示手段は、動作モードを変更するとともに給電の優先順位をより上位に変更するよう指示することを特徴とする請求項1または2に記載のシステム制御装置。
【請求項4】
前記複数のネットワークカメラに対する前記ハブの給電容量及び給電の優先順位の情報を管理する管理手段を有し、
前記判断手段は、前記管理手段により管理された情報に基づいて前記ハブの給電能力を判断することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のシステム制御装置。
【請求項5】
前記管理手段は、前記受信手段によって受信された情報に従って前記ハブの給電容量及び給電の優先順位の情報を更新することを特徴とする請求項4に記載のシステム制御装置。
【請求項6】
複数のネットワークカメラと、前記ネットワークカメラに電力を供給するハブを介して接続されたシステム制御装置のシステム制御方法であって、
前記複数のネットワークカメラの中の第1のカメラの動作モードをより消費電力の大きいモードに変更する場合の前記ハブの給電能力を判断する判断工程と、
前記判断工程における判断の結果、前記ハブの給電能力を超える場合に、前記複数のネットワークカメラの中の第2のカメラに対して動作モードをより消費電力の小さいモードへ変更するよう指示する第1の指示工程と、
前記第1の指示工程における指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された後に、前記第1のカメラに対して動作モードをより消費電力の大きいモードに変更するよう指示する第2の指示工程と、
前記第1の指示工程における指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された旨、及び前記第2の指示工程における指示に応じて前記第1のカメラの動作モードが変更された旨の情報を受信する受信工程とを有することを特徴とするシステム制御方法。
【請求項7】
複数のネットワークカメラと、前記ネットワークカメラに電力を供給するハブを介して接続されたシステム制御装置を制御するためのプログラムであって、
前記複数のネットワークカメラの中の第1のカメラの動作モードをより消費電力の大きいモードに変更する場合の前記ハブの給電能力を判断する判断工程と、
前記判断工程における判断の結果、前記ハブの給電能力を超える場合に、前記複数のネットワークカメラの中の第2のカメラに対して動作モードをより消費電力の小さいモードへ変更するよう指示する第1の指示工程と、
前記第1の指示工程における指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された後に、前記第1のカメラに対して動作モードをより消費電力の大きいモードに変更するよう指示する第2の指示工程と、
前記第1の指示工程における指示に応じて前記第2のカメラの動作モードが変更された旨、及び前記第2の指示工程における指示に応じて前記第1のカメラの動作モードが変更された旨の情報を受信する受信工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−105394(P2013−105394A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249964(P2011−249964)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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