説明

シトクロムP450についての基質活性を持つ上皮内及び全体的な曝露の増大のための方法、及び膜流出系それに次ぐ鞘及び口腔の管理

代謝性シトクロムP-450酵素についての基質親和性を持つ治療上の薬剤の鞘又は頬の配送及び膜流出輸送体システムである。シトクロムP-450酵素についての基質親和性を持つ治療上の薬剤に対する全体曝露の増大のための方法及び膜流出輸送体システムであり、前記薬剤を、全体循環に鞘又は頬の粘膜を通じて配送することによるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は概して代謝性シトクロムP-450酵素について基質親和性を持つ治療上の薬剤の鞘又は頬での管理及び膜流出輸送体系に関連する。とりわけ、本発明は、上皮内の及び/又は全体的な、シトクロムP-450酵素について基質親和性を持つ治療上の薬剤に対する曝露の増大のための方法及び膜流出輸送体系に関連し、前記薬剤を鞘又は口腔に配送することによる。
【背景技術】
【0002】
(背景及び関連する開示)
癌及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)/後天性免疫不全症候群(AIDS、エイズ)のウイルス性疾病は、医学界の対処を必要とする世界的な問題になった。
【0003】
5300万人よりも多くが世界中でHIV/AIDSのウイルスに感染する。女性の間でのウイルス感染の劇的に増加した発生率は、特にその危険性が、子宮内での生まれていない子供たちを感染させ、及び従ってHIV/AIDSの拡大についての主要な原因の1種として提示され、厄介である。
【0004】
癌はまた世界中での首位の死因の1種となり、及び心臓病からの死亡率をほとんどすべての集団で低下させ、それがそうであり、又はすぐに世界的な集団での最も大きな死因になる。
【0005】
HIVウイルスの拡大の増加する危険性に向け、HIV/AIDSの効果的な予防、処置、制御及び運営のための多くの新しい製剤が、過去10年間に開発された。これらの新しい製剤は、異なる生物学的、物理学的及び/又は化学的な特性を持つ新しい薬物の部類(クラス)を包含する。新薬部類は、例えば及び数ある中で、ヌクレオシド類似体、逆転写酵素抑制剤及びHIVプロテアーゼ抑制剤が含まれる。多くの場合、同じ又は異なる部類の少なくとも3種の異なる薬物で調製される薬物混合体(カクテル)は、受動体(患者)へ治療上の効果を達成するために与えられる必要がある。これらの処置の費用は、高く、及び世界保健機構の数字によると、年/患者につき3,000ドルを上回る。
【0006】
同様に、過去20年間には、癌の治療の主要な改善は、癌の根絶のために及び/又はその転移の可能性を抑制及び制限する双方のために新しい細胞増殖抑止性(cytostatic)及び/又は細胞障害性の薬剤の開発で達成された。HIV感染の場合におけるように、ほとんどの場合、いくつかの(5又は6種くらいの)薬物の組合せが、十分な治療上の効果を手に入れるために管理される。
【0007】
経口経路を通して管理される薬物の全体的な曝露が固有の水溶性、腸の膜の透過性によって、並びに肝臓での排除によって量的に制限されることが長く知られ、及び認められている。薬物の開発の効率を改善し、及びそれらの生物学的利用能に従う方法を薬物分類のための方法を勧めるために、種々の薬物が、Biopharmaceutical Classification System(生物製剤の分類系)(Amidon et al.(アミドン等), Pharm. Res.(ファーマシューティカル・リサーチ), 12: 413-420 (1995))を用いるそれらの水溶性及び腸の膜透過性によって、4種の範疇に示される部類I-IV中に定められた。部類Iの薬物は高い透過性及び高い溶解性(可溶性)を持つ。部類IIの薬物は高い透過性及び低い溶解性を持つ。部類IIIの薬物は低い透過性及び高い溶解性を持つ。部類IVの薬物は低い透過性及び低い溶解性を持つ。
【0008】
結果的に、双方の高い水溶性及び腸の膜透過性を持つ部類Iの薬物はまた、高い生物学的利用能を持つ。他方、部類II-IVは、それらの溶解性及び/又は透過性の程度に応じて、低く、受け入れ可能でないことが多い生物学的利用能を持つ。最も低い生物学的利用能は、部類IVに分類される薬物を持つ。
【0009】
典型的に、薬物の部類II-IVに分類される多数の薬物において、消化管中に管理される用量の少数の画分だけが、最終的に体循環に達するに過ぎない。薬物動態学的に、これは限られた又は低い経口の生物学的利用能として定められる。そのような低い経口の生物学的利用能は、特にHIV/AIDS及び多種多様な癌の処置において広く用いられる薬物について観察される。
【0010】
多くの制癌性薬物及びHIVの治療学は、腸の細胞及び肝臓における代謝性酵素及び流出系に共通する分子の調節機構を誘導する能力を持ち、それらは、これらのタンパク質の増加した発現を導く。結果として、薬物治療の有効性は、薬物-誘導化流出活性及び代謝活性のために、しばらくして減少する。これは、受動体の処置においてより一層大きな変動性を、及び治療量以下の薬物濃度をさえ導くことがあり、それは、薬剤耐性、より一層大きな治療の失敗性と臨床的に関係付けられる現象の発達を高め得る。上述の薬物誘導化調節経路は、流出系の固有の低い発現水準(レベル)及びこれらの組織における代謝性酵素のために、全体の薬物水準それに次ぐ鞘(膣)及び頬(頬側)の投与上に最小の影響(インパクト)を持つことが期待される。
【0011】
加えて、及び直接的に、それらの生物学的利用能に左右され、これらの薬物の経費、及び特にHIV/AIDS及び癌、個々又はその組合せの双方の処置のために用いる薬物混合体について必要とされるそれらは、禁制(prohibitive)である。このことは特に、経口的に管理される薬物の膨大な量が体循環に入ることなく消化器系を通過し、及び排出されるかのいずれもある薬物にとっては正しく、又は少なくとも部分的に代謝され、薬物がその目的とする標的組織を手に入れる前に、肝臓によって不活化される。
【0012】
上記にもかかわらず、更にHIV/AIDS及び癌の処置を複雑にするのに、これらの薬物の多くは、高度に細胞障害性でもあり、又は胃腸(GI)系の刺激のような他の望ましくない二次的徴候を持ち、及び従ってそれらの量は他の非-疾病化(non-diseased)組織に及ぼす望ましくない細胞障害性の効果を防ぎ、又は望ましくない二次的徴候で、受動体の悪心(nausea)、嘔吐又は他の不快(discomforts)を防ぐために最小に制限されなければならない。
【0013】
このように、これらの細胞障害性、刺激、低い生物学的利用能及び/又は高価な薬物の全体的な配送を増大させる利用可能な系を持ち、及びより一層低い投薬量の使用が同じ治療上の効果を得るのを許すことが望まれる。
【0014】
試みは、以前、発明者により行われ、雌性受動体に化学療法上の薬物を配送するための効果的な方法及び組成物が提供された。そのような努力は、例えば2006年1月3日に発行された米国特許第6,982,091号明細書に記述される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以前開示した方法は、優れた手段を、部類IでBCSによって分類される薬物の配送のために提供し、それは、高い腸の膜透過性及び水溶性を持つ。しかし、目下抗ウイルス性又は制癌性の処置として用いる薬物の多くは、それらの低い水溶性及び/又は低い腸の膜透過性のため、低い生物学的利用能を持つ。さらに、部類II-IVの薬物の多くも、主要な胃腸毒性及び低い経口吸収を示し、及び上記に言及する特許出願に記載するこれらの薬物の鞘の配送がこれらの徴候をかなり改善したが、まだ更にそれらの吸収及び毒性における改善の必要がある。
【0016】
制癌性及び抗ウイルス性の薬物のより一層大きな全体的曝露それに次ぐ頬及び鞘の管理の治療上の利益に加え、この発明において記載する方法は、口及び鞘の空洞を介して接近可能な粘膜において存在する腫瘍形成又は前癌病変(pre-cancerous lesions)の局所的処置をも高める。これには、上皮の形成異常(dysplasia)及び雌性の下部の生殖管、子宮頸癌及び膣の上皮内腫瘍形成のようなもの、並びに口の鱗片細胞癌腫(squamous cell carcinoma)が包含される。疫学的に、それらの悪性の流行(prevalence)は、それぞれ、特にヒト乳頭腫ウイルス(HPV)及びサイトメガロウイルス(CMV)の部分集合(サブセット)での慢性ウイルス感染と相関する(Ogura(オグラ) et al., Pathol. Int.(パソロジー・インターナショナル), 56: 301-308 (2006); Furrer(フラー) et al., J. Oral Pathol. Med. (ジャーナル・オブ・オーラル・パソロジー・アンド・メディシン), 35, 338-344 (2006))。経口投与後の制癌性及び抗ウイルス性の薬物の治療上の有効性は、限られた全体的な曝露のため、これらの場合において不十分である。しかし、局所的な薬物投与の後でさえ、薬理学的な薬剤の細胞内濃度はHPV及びCMVの複製を制限するために要求され、それは、高度に活性な膜流出系及び代謝性シトクロムP450イソ酵素の結果として達成されることがない。結果的に、感染した口又は生殖器の領域における上皮内薬物濃度を増加させる新しい配送の取組みがこのまだ満たされてない医療の必要性について対応することを求められる。
【0017】
したがって、この発明の主たる目的は、抗ウイルス性及び/又は制癌性の薬物の、上皮細胞へ及び/又は体循環への薬物配送を増大させる方法を、そのような薬物を、その必要がある対象体に経鞘的に又は頬を介して、特にそれらの治療上の有効性が薬物の溶解性及び透過性を増加させるための手段を提供することにより増加されるように調剤された組成物において配送することによって提供することである。
【0018】
本明細書に言及するすべての特許、特許出願及び出版物は、参照として本明細書に組込む。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(概要)本発明の1種の局面は、シトクロムP-450酵素について基質親和性を持つ治療上の薬剤の鞘(膣)又は頬(頬側)の配送及び膜流出輸送体(efflux transporter)系(システム)である。
【0020】
本発明の別の局面は、シトクロムP-450酵素について基質親和性を持つ治療上の薬剤の上皮での濃度及び全体的な曝露の増大のための方法、及び鞘又は頬の薬物配送組成物及び/又は装置を用いての膜流出輸送体系である。
【0021】
本発明の更に別の局面は、シトクロムP-450酵素について基質親和性を持つ抗ウイルス性及び/又は制癌性の治療上の薬剤の上皮での濃度及び/又は全体的な生物学的利用能の増大のための方法、及びこれらの薬物の、体循環への鞘又は頬の薬物配送を用いての膜流出輸送体系であり、そこでは、それを必要とする対象体に対し鞘的に又は頬を介して、特に薬物の溶解性及び透過性を鞘又は頬の粘膜を通して増加させるための手段を提供することによって、薬物の生物学的利用能を増加させるように調剤された組成物において配送すること(delivering)による。特に、非-イオン性のグリコールエーテル及び/又は植物性の生物学的利用能調節物質(モジュレータ)の組込みである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(図の簡潔な記載)図面の簡単な説明の項に移す。
【0023】
(定義)
本明細書に用いるように、即ち
“薬物”、“製剤上の薬剤”、“治療上の薬剤”“治療上効果的な薬剤”又は“薬剤”は、癌又はHIV/AIDSの処置、運営又は制御のために適する治療上有効な化合物を、又は任意の他の製剤上許容可能な及び治療上活性な薬剤又はその混合物を意味する。
“化学療法薬(Chemotherapeutic)”は、腫瘍細胞に対する細胞増殖抑制及び/又は細胞障害性の効果を示す化学物質又は薬物によって癌の疾病、典型的に悪性のものの処置に関与する薬剤を意味する。
“膜流出系の抑制剤”は、化学的な化合物を意味し、それは、膜流出輸送体系の機能的な活性を部分的又は完全に阻止する(ブロックする)のに適する。そのような抑制剤は典型的に膜輸送タンパク質、P-糖タンパク質(P-gp)及び多種薬物-耐性関連タンパク質(MRP)のようなもののための基質であり、薬物の細胞流出に関与する。
“MRP”は多種薬物-耐性関連タンパク質を意味する。
“MDR”は多種薬物耐性を意味する。
“連続配送”は、連続的な様式においてそのような薬物を調剤物又は装置から連続的に及び途切れないで放出し、及び配送することを意味する。
“律動的な配送”は、断続的な間隔における薬物の放出及び配送を意味する。そのような律動的な配送は、例えば、薬物を個々の層において溶解性被膜(コーティング)の不活性な層を用いて調剤することによって、又は異なる調剤性薬剤を用いることによって提供し得る。
“エステル交換した石油(stone oil)”は、植物(野菜)油に含まれるグリセリドのグリセロールの1部分をポリオキシエチレン-グリコールによって置換することでエトキシル化した植物油を意味する。そのような置換は、親水性の特性を招く。エステル交換した石油の例には、LABRAFIL(R)(ラブラフィル(商標))、特にLABRAFIL(R)(R) M 1944 CSであり、Gattefosse(ガテフォッセ社)、Paramus(パラマス)、N.J.(ニュージャージー州米国)から商業上入手可能である。
“粘膜”又は“粘膜接着剤”は、粘膜組織への管理及びかかる粘膜組織への付着に適する組成物を意味する。
“収着(sorption)増進物質(プロモータ)”、“侵入(penetration)増強物質(エンハンサ)”又は“透過性増強物質”は、薬物の侵入性を、又はそれを通じて、粘膜組織の浸透性を増進する化合物を意味し、それは、薬物の又は化合物の粘膜組織中への吸収を増進し、並びに組織を通して薬物を輸送する。
“BCS”は、the U.S. Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research(米国食品医薬品局)のthe Office of Pharmaceutical Scienceによって開発されたBiopharmaceutical Classification Systemを意味する。
“植物性生物学的利用能調節物質”は、植物、微生物、及び動物の供給源から由来する自然の生成物を意味し、それは、膜流出系及び/又はシトクロムP450イソ酵素の機能的な活性を調節する。
【0024】
(発明の詳細な開示)
本発明は、概して一定の治療上の薬剤の改善された鞘又は頬での配送のための方法に関連し、それは、治療上効果的で、及び癌及びHIV/AIDSの疾病の処置、制御及び運営のために緊急に必要とされる。問題の治療上の薬剤は、中でも例えば、ヌクレオシドの類似体、逆転写酵素抑制剤、HIVプロテアーゼ抑制剤及び他の化合物で、薬物-代謝性シトクロムP-450酵素/イソ酵素、及び膜流出輸送体系にとって基質親和性を持つものである。
【0025】
種々の治療上の薬剤の包括的な薬物動態学的査定(assessment)において、P-糖タンパク質、及びシトクロムP450イソ酵素族(ファミリ)からの薬物-代謝性酵素、並びに相II共役酵素(conjugation enzyme、抱合酵素)系において関与する酵素のような膜流出系が、部類II、部類III及び部類IVにおいてBiopharmaceutical Classification System(BCS)によって分類される経口管理薬物の臨床的な利益を劇的に制限することが最近発見された。同様に、これらのタンパク質は、局所的な管理(投与)に続く上皮細胞における治療上効果的な薬物の細胞内蓄積を劇的に制限する。すでに上記に議論するように、特にこれらの薬物の経口的管理は更に制限され、それは、これらの薬物のほぼすべてが、主要な胃腸毒性と関係付けられるという事実によるもので、それは、特に各々の部類からの1種よりも多くの薬剤が薬物混合体として組合せ投与計画(combination regimen)の一部として管理されるとき、受動体が耐えることができないことである。部類II-IVの薬物評価の詳しい記載について、例1を参照。
【0026】
受動体の重篤な臨床条件を処置するため、及び制癌性及び/又は抗ウイルス性の薬剤の消化管に及ぼす刺激及び有毒な効果のため、多くの薬剤が、静脈内でだけか、又は経口的に管理されるときのいずれでも管理され、受動体が重大な胃腸毒性を受け入れなければならない。
【0027】
癌及びHIV/AIDSの治療において用いられる多くの制癌性及び抗ウイルス性の薬物及び薬剤は、これらの3種の範疇のうちの1種に分類され、結果的にこれらの部類のうちの1種に属する1種又はそれよりも多くの代表的な薬物が本発明の特徴を例示するのに用いられる。
【0028】
本発明は、このように薬物-代謝性のシトクロムP-450酵素/イソ酵素について基質親和性を持つ治療上の薬剤に対する上皮内及び/又は全体的な曝露の増大のための方法、及び経鞘的に又は頬を介して配送される膜流出輸送体系に関連する。
(I.体循環への薬物配送を増大させるための方法)
【0029】
本発明の方法は低い生物学的利用能を持つ治療上効果的な薬物、特にBCSの部類II-IVにおいて分類される薬物を、鞘又は頬の経路のいずれでもによって配送するための新しい戦略を提供する。この方法は、2種の特定の、及び主要な生理的観察に基づく。
【0030】
最初の観察は、鞘及び頬の粘膜が、腸の粘膜及び肝臓と比較して膜流出輸送体系及び薬物代謝性酵素の発現を著しく、及び顕著に減少させ、それによって鞘又は頬の粘膜表面を通してのより一層効率的な薬物輸送及び配送のための条件が提供されるという知見に関連する。
【0031】
腸、鞘、及び頬の粘膜障壁の間で膜流出活性の機能的な違いを実験的に例示するために、プロテアーゼ抑制剤のリトナビルの双方向性輸送が量的に査定され、及び図1において見られる結果が得られ得る(図1)。実験的な手法を例2に記載する。
【0032】
図1は、リトナビルの先端流動(apical flux)への基底外側(basolater)が反対方向でのものより9.2-倍大きい腸の障壁のために得られ得るグラフである。これは、腸の粘膜を横切るこのプロテアーゼ抑制剤の移行(transfer)が膜流出系の機能的な活性によって著しく制限されることを暗示する。対照的に、R流出(Reffiux)値は、鞘及び頬の上皮試料を横切る同じ薬物について算出されるとき、それぞれの組織の障壁における膜流出系で、腸でのものより低い発現水準を著しくより一層小さく示唆する。
【0033】
第2の観察は、鞘の空洞から、並びに頬の領域から流れる血液が肝臓を迂回するという所謂第2の通路循環(pass circulation)に関連する。この第2の通路循環は、経口投与され、及び媒介される薬物の肝臓の初回通過(hepatic first pass)の生体内変換(biotransformation)を、流出輸送体系及び薬物-代謝性酵素の協調作用(concerted action)によって減少させ、又は排除する。実際、HIV/AIDS及び/又は癌の受動体のための標準的な診療(medical care)は、種々の主要な抗ウイルス性薬物の経口投与を、同時に所謂混合体において、この組合せ(混合体)投与計画における少なくとも1種の成分によって、関連した代謝性及び流出系の作用を抑制することの意図を伴って、必要とする。この種類の模範的な薬物は、リトナビル、プロテアーゼ抑制剤であり、Abbott Laboratories(アボット・ラボラトリーズ社)から商業上入手可能で、混合体の混合物の1種の成分として普通に用いられる。この方法は、鞘及び頬での配送装置及び/又は経粘膜組成物の双方に関与する革新的な調剤戦略の利用を許容し、それは、管理の部位を囲む上皮組織及び/又は体循環中に配送される活性な薬物(類)の増加した部分を経上皮の吸収に次いで招く。これらの新しい薬物配送経路は、侵襲的な静脈内注入のための必要性がなく、及び肝臓における薬物の初回通過の代謝性非活性化(metabolic deactivation)が伴われずに、薬物のより一層大きな部分の体循環への直接的な配送が許される。鞘又は頬の薬物配送は、このようにしてより一層有効であり、及び非経口的な注入のための医療設備の訪問の必要条件を伴わずに、自己管理を通して改善された治療上の効果及びより一層良好な受動体の応諾が提供される。
【0034】
簡潔には、この方法は、鞘又は頬の配送のための粘膜組成物として調剤される抗ウイルス性又は制癌性の薬物の物理的な特性に基づく。各々の特定の薬物は、その物理的な及び生物学的利用能の特性に基づき、その上皮及び/又は全体的な生物学的利用能を、その水溶性及び/又は鞘又は頬の粘膜を通しての透過性を増加させ/変化することによって増加させるという、特定の狙いを用いて調剤される。
【0035】
粘液組成物は更に、望ましい薬物安定性、生物学的利用能、及び薬物放出特性について最適化される他の賦形剤の適切な組合せを包含する。
【0036】
このように、例えば、鞘又は頬の粘膜組成物からの望ましい薬物放出を達成するため、鞘又は頬の粘膜組成物、典型的に、親油性の抗ウイルス性又は制癌性の薬物は親水性担体において調剤され、及び親水性の抗ウイルス性又は制癌性の薬物は親油性担体において調剤される。薬物は、賦形剤中に、この場合、親油性又は親水性の担体において、組込まれ、それらは薬物に低い親和性を持つ。しかし、この原則には例外があり、例えば、それは薄膜(フィルム)及び泡状物(フォーム)のような迅速-溶解性の技術が、親水性、高い溶解性/低い透過性の薬物(BCSIII)に適用されるときである。これらの薬物を備える泡状物及び薄膜の調剤物は、親水性の賦形剤を用いて調製し得る。
【0037】
組成物において、薬物の溶解性を、薬物の性質に依存して増加させるために、陰イオン、陽イオン又は非イオン性の表面活性剤が添加される。代表的な陰イオン表面活性剤には、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムがあり、代表的な陽イオン表面活性剤には、例えば、セトリミド及び塩化ベンザルコニウムがあり、及び代表的な非イオン性表面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル又はグリコールエーテル類がある。溶解性は更に、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、シクロデクストリン(cyclodextrin)、等を添加することによって増加させ得る。
【0038】
透過性はまた、例えば、侵入増強物質又は収着増進物質を添加し、鞘又は頬の粘膜を横切る薬物の透過性を高めることによって、これらの粘膜接着性(mucoadhesive)組成物において増加させることができる。
【0039】
好ましい収着増進物質には、非イオン性の表面活性薬剤、胆汁酸塩、有機溶媒、エステル交換化石油、及び特にエトキシジグリコール、例えば、商業上入手可能な、GattefosseからのTRANSCUTOL(R)(トランスカトール(商標))のようなもの、又はエステル交換化石油、例えば、商業上入手可能な、GattefosseからのLABRAFIL(R) M1944CSのようなものが含まれる。
【0040】
膜流出輸送体系及び薬物-代謝性酵素のための鞘及び頬の経路を介する治療上の基質の配送効率を高めるために、組成物を更に、流出輸送体系及び薬物-代謝性酵素、それぞれの薬理学的抑制剤として作用する非イオン性グリコールエーテル誘導体を用いて補われる。
【0041】
得られ得る膜流出系の機能的な活性に及ぼす非イオン性グリコール誘導体の抑制剤効果の実験的な例証を、図2において含める。制癌性薬物のパクリタキセルの基底外側(basolateral)の輸送体に対する先端は、腸の粘膜においてP-糖タンパク質のための有意な基質活性を見せ(Sparreboom(シュパルブーム) et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミイ・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・USA), 94, 2031-2034(1997年))、ウサギの腸の粘膜を横切り、種々のグリコールエーテル類及びベラパミル、従来のP-糖タンパク質抑制剤の存在及び不存在において測定される。組織灌流調査を、14C-パクリタキセルを用いる例1において記載するように実行する。
【0042】
輸送緩衝剤中へのベラパミル(500μM)の包含は、有意に6.4倍パクリタキセルの経上皮流動を増加する。この対照(コントロール)実験は、この制癌性の薬物の基底外側輸送への先端がP-gpのような先端に(apically)局在する流出系のために減少することを確認する。同様に、輸送緩衝剤への5%のジエチレングリコールモノ2-エチルエーテル(DGMEE)、1%のジエチレングリコールモノプロピルエーテル(DGMPE)、及び1%のジエチレングリコールモノブチルエーテル(DGMBE)の包含は、1.8-2.5、及び4.1-倍、それぞれによって、パクリタキセルの腸の吸収を高める。これらの仮定的な結果に基づき、グリコールエーテル類が、膜流出系の機能的な活性を減らし、及び結果的に、抗ウイルス性及び制癌性の薬物の上皮内及び/又は全体的な生物学的利用能を増強するための鞘及び頬の組成物における使用に適することが結論付けられる。
【0043】
シトクロムP450-媒介代謝に及ぼすグリコールエーテル類の効果を評価するため、クマリンの、その7α-ヒドロキシクマリン酸化生成物への酵素変換を、5%のDGMEE、1%のDBMPE、及び1%のDGMBEの存在及び不存在においてウサギ肝ミクロソームによって、Pearce(ピアース)及び共働者により以前に記述される手順(プロトコル)に従って定めた(Arch. Biochem. Biophys.(アチーブス・オブ・バイオケミストリ・アンド・バイオフィジクス), 298, 211-225 (1992年))。
【0044】
図3は、ウサギ肝ミクロソームによるクマリンヒドロキシル化が、10μMの8-メトキシプソラレン(methoxypsoralen(8-MP))、強力なシトクロムP450抑制剤の包含後、減少することを例示する。同様に、温置混合物(incubation mixture)への種々のグリコールエーテル類の包含は、7α-ヒドロキシクマリン代謝物質の形成を減少させる。試験するグリコールエーテル類の間で、DBMBEは、約42%の7α-ヒドロキシクマリン代謝物質の形成を減少させることによって最も強力にクマリン酸化を抑制する。これは、グリコールエーテル類がシトクロムP450-媒介代謝を制限し、及び従って抗ウイルス性及び制癌性の薬物の上皮内及び/又は全体的な生物学的利用能を増強し、それらは、粘膜の鞘及び頬での組成物において含まれるとき、このイソ酵素族の構成員(メンバー)によって代謝され易いものであるという結論を支持する。
【0045】
非イオン性グリコールエーテル類は、約0.01から50までの%で、最も好ましくは0.5から10までの%で、重量によって、膜流出系及びシトクロムP450の代謝性酵素の機能的な活性を制限し、水性環境における親油性の制癌性及び抗ウイルス性の薬物の可溶化を促進し、及び/又は体循環中に上皮性の障壁を横切る浸透性を増強する本質的な賦形剤として、粘膜接着性組成物中に含まれる。なるべくなら、表1に挙げる群から選ばれる非イオン性グリコールエーテル類である。
模範的な非イオン性グリコールエーテル類の一覧を表1において見れる。
【0046】
【表1】

【0047】
最も好ましい非イオン性グリコール誘導体は、その商品名TRANSCUTOL(R)の下で知られ、Gattefosse、Paramus、NJ.から商業上入手可能であるジエチレングリコールモノエチルエーテル又はエトキシジグリコールである。
【0048】
鞘/頬の管理に次ぐ制癌性及び抗ウイルス性の薬剤の上皮内又は全体的な配送を増強するために、膜流出系又は薬物代謝性シトクロムP450酵素の機能的な活性を、約0.001から約10までの重量%での、非-毒性の植物、微生物又は動物の供給源から由来する精製又は非精製の抽出した自然の生成物の包含によって抑制され得る。好ましい出発物質には、表2に挙げる化合物が含まれる。
【0049】
【表2−1】

【0050】
【表2−2】

【0051】
植物性生物学的利用能調節物質供給源から分離される最も好ましい精製した構成成分は、鞘又は頬の組成物中に組み込まれ、約0.01及び約750の間のmgで、(1)アクテイン(actein)、(2)エスシン、(3)アジマリシン(ajmalicine)、(4)アリシン、(5)ベルベリン、(6)ベルガモチン、(7)ベルガプテン、(8)ビロバライド、(9)カテキン、(10)シミラセモシド(cimiracemosides)A-F、(11)シス-リノール酸、(12)クルクミン、(13)デスメトキシヤンゴニン(desmethoxyyangonin)、(14)ジヒドロカバイン(dihydrokavain)、(15)ジヒドロメチスチシン(dihydromethysticin)、(16)脂肪酸エステル、(17)ゲニステイン、(18)グアールガム、(19)ギンコール酸(ginkolic acid)I及びII、(20)3,3’,4’,5,6,7,8-ヘプタメトキシフラボン、(21)ヒドラスチン、(22)ハイパホリン(hyperforin)、(23)I3、II8-ビアピゲニン(biapigenin)、(24)イソベルガプテン(isobergapten)、(25)イソレムネチン(isorhemnetin)、(26)ケンペロール(kaempferol)、(27)カバイン(kavain)、(28)リモニン、(29)メチスチシン(methysticin)、(30)ナリンゲニン、(31)ナリンギン、(32)ノビレチン、(33)オバクノン(obacunone)、(34)オレアノール酸、(35)ペクチン、(36)ピペリン、(37)ケルセチン、(38)キニジン、(39)S-アリル-L-システイン、(40)サーパンタイン、(41)シリビニン(silibinin)、(42)シリクリスチン(silichristin)、(43)シリジアニン(silidianin)、(44)シリビン(silybin)、(45)S-メチルL-システイン、(46)酪酸ナトリウム、(47)タンゲレチン(tangeretin)、(48)タクシホリン(taxifolin)、(49)ウルソル酸(ursolic acid)、(50)バレレン酸(valerenic acid)、(51)ビンドリン、(52)ビンテキシン(vintexin)、(53)6,7-ジヒドロキシベルガモチン、及び(54)ヤンゴニン(yangonin)である。
【0052】
概して、鞘又は頬の配送のための各々の粘膜接着性組成物は異なって調剤され、それは抗ウイルス性又は制癌性の薬物の特性に依存し、薬物の最大の上皮内又は全体的な生物学的利用能を達成する狙いを伴う。
【0053】
鞘又は頬の粘膜組成物は、鞘の坐剤、ゲル、錠剤(タブレット)、蓋状物(キャップ)、海綿状物(スポンジ)、泡状物、薄膜、細条(ストリップ)又は噴霧物(スプレイ)としていずれでも配送され、可溶性又は非-可溶性のいずれでもよく、又はそれなりに、又は鞘又は頬の装置と併せたもので配送され得る。そのような選択肢において、組成物はそのような鞘又は頬の装置中に組込まれ、又はそのような装置はかかる組成物で覆われ、又は被覆され、又はそのような組成物は鞘又は頬の装置と接触する。鞘の装置は、タンポン、タンポン-様の装置、鞘坐剤(ペッサリ)、環(リング)、小容器(カプセル)、海綿状物、泡状物又は薄膜である。頬の装置は、海綿状物、泡状物、薄膜、枕状物(ピロウ)、細条、小容器又は生分解性錠剤であり得る。
【0054】
各々の薬剤の用量は、薬理学的に効果的な薬物濃度を達成するために選ばれる。特定の経粘膜調剤物が多数の薬理学的な薬剤の高い生物学的利用能を許容することが見出された。本発明の方法は、侵襲的手法のための必要性なしに受動体に配送される薬物の増加した生物学的利用能の蓄積効果を招く3種の独立した特色の組合せから構成される。
【0055】
最初の特質は、肝臓及び消化管を迂回する鞘又は頬の薬物配送のための静脈排出(drainage)経路である。鞘のための静脈排出経路は、鞘及び子宮静脈を介して下大静脈中に入る。頬の静脈排水(draining)は最後にまた、消化管及び肝臓の初回通過効果を迂回する上大静脈を介する。
【0056】
第2の特質は、腸粘膜及び肝臓と比較して鞘及び頬の粘膜において見出される膜流出系及び薬物代謝性酵素のより一層低い発現である。
【0057】
第3の特質は、鞘又は頬の配送に独特で、及び膜流出輸送体系及び薬物代謝性酵素についての基質親和性を用い、経口投与の後よりも治療上の薬剤によるより大きな全体的な曝露を確実にするもので、製薬上許容可能な非イオン性グリコール誘導体及び/又は植物性生物学的利用能調節物質の包含であり、それは、流出輸送体系及び薬物代謝性酵素、並びに他の調剤性薬剤及び賦形剤の機能的な活性を抑制し、すべての薬物の上皮及び/又は全体の生物学的利用能を蓄積して実質増加させ得る。
【0058】
有利には、すべての3種の上記の特質を、抗ウイルス性又は制癌性の薬物の鞘又は頬の配送のための経粘膜組成物及び/又は装置において組み込むことによって、本発明は、これらの薬物のより一層大きな濃度を望ましい標的組織又は血液循環系において達成する。薬物のそのようなより一層高い全体的な濃度は、望まれない胃腸毒性副作用についての減少した危険性で受動体への治療上の利益を最終的に増強する。
(II.治療上効果的な薬剤)
【0059】
本発明の治療上効果的な薬剤は、化学療法的な制癌性又は抗ウイルス性の薬剤であり、好ましくは部類II-IVに属するものである。
【0060】
本発明に従う粘膜組成物を用いる経口の薬物配送について取り替える鞘又は頬の薬物配送から導き出す最も高い利益は、BCSの部類II-IVにおいて分類される薬物について観察される。本発明が十分な治療上の利益を提供する特定の抗ウイルス性又は制癌性の薬物の一覧は、表3-15において見られる。
【0061】
部類IIの代表的な薬は、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、セクイナビル(sequinavir)及びタモキシフェンである。部類IIの代表的な薬物はザルシタビンである。部類IVの代表的な薬物はジドブジンである。
【0062】
表3は、抗ウイルス性薬剤を、それらの商標名、一般名、省略形又は実験的な符号(コード)及び供給源について挙げる。薬物は、挙げられる製薬会社から商業上入手可能である。
【0063】
【表3−1】

【0064】
【表3−2】

【0065】
表3は、HIVの処置のために普通に用いる薬物の英語式(アルファベット)の一覧である。実験的な(非認可の)薬物を、括弧[ ]内(原文では斜体)にする。治療上の使用のためのFDA認可の薬物は正規の種類におけるものである。
【0066】
付着及び融合の抑制剤は、ウイルスが新しい細胞に付着し、及び細胞膜を通して蘇生(breathing、呼吸)するのを妨げることによってHIVによる感染から細胞を保護することを意図する抗-HIV薬物の新しい部類である。治療上、これらの薬物が遊離のウイルス(血液中における)によってか、又は感染した細胞との接触によってのどちらでも細胞の感染を防ぐことができると期待される。
【0067】
表4は、付着及び融合の抑制剤で、目下、非専売の又は実験的な薬物として利用できるものの一覧である。
【0068】
【表4】

【0069】
より一層効率的にウイルスに対抗するため、新しい分子標的を、将来の抗ウイルス性薬物として予想を伴い評価し、別の点を、HIVの生活環(ライフサイクル)において見出し、それは治療上の薬剤を用いてウイルスの複製及び/又は感染を抑制するのに用いることができる。これらの薬物を表5において挙げる。
【0070】
【表5】

【0071】
ヌクレオシド/ヌクレオチドの逆転写酵素抑制剤(NRTIs)は、概して他の抗HIV性薬物と組み合わせて、典型的に薬物混合体における合計で3種の薬物で用いられる抗HIV性薬物類の部類である。この組合せは、受動体の血液においてHIVの複製を阻止し、及び物体における健康なT細胞がHIVで感染されるのを防ぐように設計される。
【0072】
表6は抗HIV性のヌクレオシド/ヌクレオチドの逆転写酵素抑制剤の一覧である。
【0073】
【表6】

【0074】
【表7】

【0075】
表7において挙げるプロテアーゼ抑制剤は、受動体の血液においてHIVの複製を抑制する併用(組合せ)療法の1種の成分として用いる抗HIV性薬物類の部類のものである。HIVが細胞に感染するとき、それは自然の細胞のDNA中にそれ自身のRNAを複写する。自然な細胞は次いで、侵襲性HIVのDNAを、逆転写酵素を用いて複製する。抗HIV性処置での1種の工程は、かかるRNAのDNAへの変換を、逆転写酵素抑制剤で、表7に挙げるようなものを用いて防止することである。併用療法では、プロテアーゼ抑制剤は、HIVに感染するT細胞を、プロテアーゼの阻止作用によってウイルスの新しい複写が生成することについて防止する。
【0076】
表8は、目下、種々の態様(モード)の作用を利用して、種々の癌の処置において臨床的に用いるFDA-認可の制癌性の薬物の情報をまとめる。表8は、制癌性薬物類について、それらの商標名、一般名、省略形又は実験的符号、及び供給源を挙げる。薬物は挙げられる製薬会社から商業上入手可能である。
【0077】
【表8−1】

【0078】
【表8−2】

【0079】
【表8−3】

【0080】
表8は、制癌性薬物をそれらの一般名によって挙げる。
制癌性薬物で、それらの化学的又は生理学的な機能性によって分けられるいくつかのものがある。これらの薬物を表9に挙げる。
【0081】
【表9】

【0082】
上記に挙げたすべての薬物、並びに同じ生物学的利用能の問題を持つ他の疾病の処置に適する薬物は、本発明の方法を用いる鞘又は頬の粘膜組成物及び装置によって有利に管理され得る。
【0083】
本発明に従って管理され得る化合物の他の部類は、例えばビスホスホネート類(bisphosponates)で、例えばアレンドロネート、リセドロネート及びイバンドロネートのようなもの、非-ステロイド性の抗-炎症性薬物類で、例えばジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン及びインドメタシンのようなもの、制吐剤類で、例えばメトクロプラミドのようなもの、及び抗菌性薬剤類、ケトコナゾール及び中でもリファンビシンである。
(III.流出輸送体及び薬物代謝性酵素及び基質)
【0084】
本発明は、鞘及び頬の粘膜の流出輸送体系及び薬物代謝性酵素の機能的な活性が胃腸粘膜のものとは異なるという知見に基づく。これは、部類II、III及びIVに分類される薬物の配送のための重要な事実である。
【0085】
腸において、及び同様に他の非-角化の上皮性障壁において、シトクロムP4503A(CYP3A)のような代謝性酵素、P-糖タンパク質(PGP)のような流出輸送体タンパク質、及び多種薬物耐性関連のタンパク質(MRP2)は、多くの臨床的に重要な薬物の吸収に対する重要な障壁として働く。腸において流出輸送体及び代謝性酵素の近接する細胞局在性(Close cellular localization)は、これらのタンパク質が、経口的に管理され、又は消化された生体異物で、生物学的系には異質な化学物質の吸収に対する協調保護(coordinate protective)機構として機能することを指し示す。
【0086】
経口の薬物管理の間、腸の流出輸送体系及び薬物代謝性酵素は、薬物、特に低い溶解性及び低い透過性を有するそれらのための経口的吸収の率(速度)及び範囲に著しい影響を与えるように思われる。部類II、III及びIVの薬物の低い溶解性及び低い透過性は、先端流出輸送体及び腸の代謝性酵素を飽和させる機会を制限し、及びこれらの輸送体及び酵素の発現を変える。流出輸送体の発現、並びに膜流出及び薬物代謝性タンパク質の抑制又は誘導における変化は、腸の代謝を劇的に変化させ、及びこのようにして経口的に管理された薬物の薬物配送を変え、及び従ってそれらの全体的な曝露を変える。小腸においておよそ70%のシトクロムP450含量を占めるシトクロムP450の3Aは、目下、市場でのおよそ50%の薬物の代謝性の浄化(クリアランス)に関与する(Drug Metab. Disp.(ドラッグ・メタボリズム・アンド・ディスポジション)、32:20-26(2004年))。P-糖タンパク質、ATP-依存性薬物流出輸送体タンパク質は、肝臓、腎臓及び腸からの親油性陽イオン性の薬物類又はそれらの接合体(conjugate)の活発な泄物の原因である。多種薬物耐性-関連のタンパク質2は、親油性陰イオン及びそれらの接合体の排除に関与する。これらの代謝性酵素及び流出輸送体は、このようにして臨床上重要な薬物で、抗ウイルス性及び制癌性の薬剤のようなものの吸収についての重要な障壁を形成する。吸収性(absorptive)処理及び腸の代謝の間の相互的作用(interplay)の特徴付けは、多数の部類II、III及びIVの化合物を明らかにし、それらは、シトクロムP450イソ酵素、並びに基質を代謝させるための主要な基質又は流出輸送体P-糖タンパク質の抑制剤である。次いで腸の吸収後、経口的に管理された薬物への全体的な曝露は、類似する整列(アレイ)の流出系及び肝臓での代謝性酵素の相互作用によって更に制限される。同じようにして、鞘及び頬の粘膜に対し局所的に管理される薬物の上皮内濃度は、先端に現れる膜流出系及び細胞内シトクロムP450イソ酵素の協調した活性によってひどく制限される。
【0087】
高い抽出率及び薬物の血液循環中への肝臓浄化を経験する部類Iの化合物を除いては、流出系及び代謝性酵素の機能的な発現における変化は、部類II、部類III及び部類IVの薬物のそれぞれで、経口的な管理の臨床的な成績(clinical performance)に否定的な影響を与える。これは、1種又はいくつかの経口的に管理される薬物によっての、又は薬物によって又は流出系又は代謝性酵素の機能的な活性に影響を与える薬物の調剤物における不活性な賦形剤によって誘導される分子調節(レギュレーション)機構によっての直接の抑制のためである。
【0088】
典型的に、有機体で施されるあらゆる薬物は生体内変換を経る。そのような生体内変換は、薬物活性の調節及び特に停止(ターミネーション)及びその物体からの排除のために本質的である。若干の薬物はこのように、生体内変換により、不活性になり、それは薬物がそれ自体で活性であったか、又は活発である場合、薬物が不活性な前駆体であった場合である。
【0089】
ほとんどの薬物のための代謝の主要部位は、肝臓及び腸であり、及び若干の場合には腎臓である。このように、薬物は典型的にこれらの組織の1種において初回通過代謝を受ける。
【0090】
初回通過の代謝、また第I相の生体内変換と呼ばれるものには、典型的に薬物酸化、還元又は加水分解が含まれる。第I相酵素は小胞体において見出される。
【0091】
生合成の第II相の生体内変換には、第I相の代謝物質の官能基及び内因性分子の間の共有結合の形成が関与する。第II相酵素は典型的に細胞質ゾルにおいて見出される。
【0092】
第II相共役反応には、グルクロン酸化、硫酸化、グルタチオン共役(抱合)、アセチル化、メチル化、アミノ酸及びH2O共役が含まれる。関与する酵素があり、それには、UDP-グルクロンシル転移酵素(glucuronsyltransferase)、硫酸転移酵素、GSH S-転移酵素、アセチル転移酵素、メチル(基)転移酵素、α-アセチル転移酵素及びエポキシド加水分解酵素が含まれる。これらの酵素系のための薬物基質は、フェノール類、アルコール類、カルボン酸類、ヒドロキシルアミン類、アミン類、芳香族アミン類、種々の求電子性炭素原子、カテコールアミン類、アリールカルボン酸類、アレーン酸化物類、オキシラン類、アルケン酸化物類及びロイコトリエン類A4である。
【0093】
第II相反応を引き起こす第II相酵素は、例えばグルクロニド共役を招くUDP-グルクロンシル転移酵素、硫酸化を招く硫酸転移酵素、グルタチオン共役を招くGSH S-転移酵素、アセチル化を招くアセチル転移酵素、メチル化を招くメチル(基)転移酵素及びアミノ酸共役を招くN-アシル転移酵素である。グルクロン酸化のための薬物基質は、フェノール類、アルコール類、カルボン酸類及びヒドロキシルアミン類である。硫酸化のための薬物基質は、フェノール類、アルコール類及び芳香族アミン類である。グルタチオン共役のための薬物基質は求電子性炭素原子である。アセチル化のための薬物基質はアミン類である。メチル化のための薬物基質は、フェノール類、カテコールアミン類及びアミン類である。アミノ酸共役のための薬物基質はアリールカルボン酸類である。
【0094】
第I及びII相の酵素の多くはイソ酵素として存在する。
【0095】
生体内変換の第I相及び第II相の反応は、脂質-可溶性の薬物のもので、より一層簡単であり得及びより一層効率的に物体から除去され得るイオンを含むように変化されたより一層可溶性の化合物にまでの変換を招く。
【0096】
薬物の生体内変換による抑制、修飾又は干渉は、体循環における薬物の高められた水準、及びその長期の薬理学的な治療上の効果を招く。しかし、それはまた、増加した薬物の毒性をも招き得る。
【0097】
第I相及び第II相の酵素及びタンパク質で、既に胎仔組織において見出されるもの(J. Pharmacol. Exp. Ther.(ジャーナル・オブ・ファーマコロジ・アンド・エクスペリメンタル・セラペウティクス), 300(2):361-6(2002年))は、癌及びHIVに対して物体の防御(defense)の第一線である。これらの酵素及びタンパク質は、食餌(ダイエット)、感染又は環境を通して日常的に物体に入るあらゆる種類の発癌性物質及びウイルスからそれ自身を保護する物体の能力にとっての中心である。しかし、同じ理由により、これらの酵素及びタンパク質も、これらの疾病の処置を損ない、それは低い溶解性又は透過性を持つ薬物を活発に代謝させることにより、これらの薬物を循環から迅速に除去し、それによってそれらの治療上の効果を制限することによる。
【0098】
革新的な取組みを、本明細書に記載し、それは、抗ウイルス性及び制癌性の薬物配送に対し、鞘又は頬の粘膜を通し、物体の生体内変換系を操作し得、薬物のより一層大きな治療上の効果を許容し、より一層小量の薬物で、より一層少ない毒性及びより一層大量の薬物の経口的配送と関連付けられる望ましくない二次的徴候のより一層小さい発生で達成される。
(IV.経粘膜組成物及び調剤物)
【0099】
本発明の方法は、制癌性及び抗ウイルス性の治療の配送に適し、次の工程の、少なくとも1種の制癌性又は抗ウイルス性の薬剤を備える特に調剤された経粘膜組成物、又は前記組成物を組み込まれる鞘又は頬の装置を提供する工程、前記組成物又は装置を鞘中に又は口腔中に挿入する工程、及び前記組成物又は装置をその場で、前記粘膜組成物から薬物放出の治療上の効果のために必要な時間の期間の間維持し、それを起こす工程を具える。組成物は、調剤され、制癌性又は抗ウイルス性の薬剤を周囲の上皮における標的組織に対し、又は次いで全体的な吸収後に、癌又はHIV/AIDSの処置のための異なる器官に対し配送される。薬物又は処置の各々のために、薬物は異なって調剤される。
【0100】
癌又はHIV/AIDSの治療のための薬物の体循環への経粘膜配送を用いる方法は、本発明に従う鞘又は頬の粘膜を通しての薬物の吸収及び/又は輸送及び侵入を増進する成分を組成物に添加することに関係する。そのような成分は、一般的な循環(全身循環)への経粘膜配送を促進するのに十分な量において添加される。
【0101】
経粘膜処置は、上側の鞘及び子宮が、門脈の種類(portal type)の循環によって、又は静脈によってのいずれかでも、特定血流の特徴を持ち、及びリンパのチャネル(リンパ管)が、薬理学上の薬剤の鞘からの直接的な血液循環への優先的な輸送及び配送を許容し、それによって消化管の吸収及び肝臓の解毒を迂回する概念に基づく。頬の循環は同様に、直接薬剤を上大静脈に配送することによって、肝臓を迂回することができる。
【0102】
最も具体的な経鞘の概念の例証は、いくつかの種類の薬物を用いて発明者等によって達成され、それらは、本明細書に参考として組込む、特許(米国)第6,086,909号、第6,527,874号、第6,905,701号、第6,982,091号、第6,197,327号及び第6,416,779Bl号に記載するようなものである。
【0103】
制癌性又は抗ウイルス性の薬物は、適切に調剤するとき、上記の特許において記載するのと同じやり方において鞘又は頬の粘膜を通して輸送される。
【0104】
管理の部位に近接する粘膜の領域の局所的な処置のために、調剤物は、膜流出系並びに薬物代謝性酵素の安定化剤及び抑制剤の十分な量を含み、治療上効果的な上皮内薬物の濃度を達成する。
【0105】
組成物は、単独型の処置であり、又はそれは適する鞘又は粘膜の配送装置中に組込まれ、粘膜と接触するのが確かにされる。
【0106】
方法に従う組成物又は薬用の装置は、適用され、即ち、鞘に又は頬に対して挿入され、約10分から、好ましくは30分の間で、必要に応じて、数時間につき、1回、2回又はいくつかの回数、1日又は1週に、又は処置の投与計画に従って、又はそれに代わるものであるが、それは、その場で、薬物放出が達成されるのが必要である限り、放置される。装置は典型的に乾燥又は湿潤の形態において提供され、又は挿入に先立ち濡らされ得る。
【0107】
本発明の方法は、本明細書に記載するように、制癌性又は抗ウイルス性の薬剤の経口又は静脈の管理を超えるいくつかの利益を提供する。
【0108】
まず、鞘又は頬の粘膜に、及び初回通過の肝臓又は腸代謝を迂回する血液循環に対して、配送される薬物の連続的な濃度がある。これは、薬物のより一層高い上皮性又は全体的な生物学的利用能、及び腸の粘膜において及び肝臓において存在する代謝性酵素及び流出輸送体によって薬物の初回通過の非活性化(deactivation)及び排除の防止を提供する。加えて、本発明の装置は、長期の時間にわたって鞘の粘膜に薬物の連続的な、及び途切れない配送を許す連続的な薬物貯蔵物(depot)を提供する。
【0109】
本発明の別の重要な局面は、薬物の繰り返し静脈内管理又は代謝性酵素及び流出輸送体の抑制の回避による副作用の減少である。
(A.経粘膜及び粘膜接着性組成物)
【0110】
経粘膜配送のための本発明の粘膜接着性組成物は典型的に5種の本質的な成分からなる。これらの成分は以下の通りであり、即ち、治療上活性な制癌性又は抗ウイルス性の薬剤、親油性又は親水性の担体、粘膜接着性の薬剤、非イオン性グリコールエーテル又は植物性生物学的利用能調節物質及び収着増進物質/侵入増強物質である。追加の賦形剤及び成分を、必要に応じて添加し得る。
【0111】
管理の鞘又は頬の部位を囲む粘膜領域への局所的な薬物配送のため、組成物は少なくとも1種の治療上活性な制癌性又は抗ウイルス性の薬剤、親油性又は親水性の担体、粘膜接着性薬剤及び非イオン性グリコールエーテル又は植物性生物学的利用能調節物質から構成される。これらの薬剤は、単独で、又は混合物体のいずれでも、別の製薬上の薬剤又は製薬上許容可能な賦形剤と共に調剤される。組成物の上述の成分のすべては、鞘への又は頬の空洞への管理のため、又は一般的循環への粘膜を通しての薬物の鞘又は頬の経粘膜配送のための経鞘装置中への組込みのために、適切でなければならない。
【0112】
治療上活性な制癌性又は抗ウイルス性の薬剤は、その治療上の効果が確かにされるのに十分な量において、典型的に約0.001から約3000までのmg、好ましくは1から1000までのmg、最も好ましくは、100から約500までのmgで存在する。
【0113】
粘膜接着性組成物は、典型的に投薬量単位の形態で調剤され、及び一般的に制癌性又は抗ウイルス性の選択された薬剤を含み、表3-15に挙げられ、単独で、組合せにおいて、又はヒトの対象体への膣又は頬の配送に適する他の製薬上の薬剤又は製薬上許容可能な成分及び賦形剤と組み合わせられる。
【0114】
組成物は、典型的に0.001から約3000までのmg、好ましくは1から1000までのmgの制癌性及び抗ウイルス性の薬剤を、少なくとも5-25%の粘膜接着性薬剤で、組成物の鞘/頬の粘膜への付着を増進するもの、約5から約25までの%の非イオン性グリコールエーテル及び/又は植物性の生物学的利用能調節物質で、膜流出系及びシトクロムP450の代謝性酵素の抑制が確かにされるもの、及び約40から約95までの%の親油性又は親水性の担体で、薬物に依存させて、薬物のための運搬体(ベヒクル)として役に立たせ、及び任意に、約0から約30までの%、好ましくは約1から5までの%の、薬剤の体循環への鞘/頬の粘膜を通しての経粘膜配送のための浸透性増強物質又は収着増進物質を含む。
【0115】
本発明に従い上記の組成を用いる配送に適する具体的な治療上の制癌性及び抗ウイルス性の薬物を、表3-9に挙げる。
【0116】
経粘膜又は粘膜の組成物は、乳脂状物、水薬(ローション)、泡状物、薄膜、軟膏、坐剤、リポソーム懸濁物、微乳濁物(マイクロエマルジョン)、生物学的接着性(bioadhesive)微粒子、生物学的接着性ナノ粒子、小容器、微粒子を含有する小容器、溶液、ゲル又は錠剤として調剤され、及び独立型で又は鞘/頬の装置内で組み込まれて配送され得る。
【0117】
代わりに、組成物は鞘/頬の装置又はそのような装置の被膜、例えば、タンポン又はタンポン-様の装置の被膜中に組み込まれ、又は海綿状物、泡状物、薄膜、蓋状物、杯状物(カップ)、枕状物、細条、鞘坐剤、又は双方の鞘又は頬の配送に適するそのような装置中に組み込まれることができる。吸収性物質又はそのような装置の媒体は、液体溶液、懸濁物、水薬、乳脂状物、リポソームの微乳濁物又懸濁物、生物学的接着性のナノ粒子、又は生物学的接着性の微粒子の形態のおける薬物を含有する組成物を用いて含浸させ得る。本発明の装置は、以下の区分Vにおいて更に詳しく説明する。
【0118】
制癌性及び抗ウイルス性の薬剤を管理での鞘又は頬の部位を囲む粘膜領域に対して、及び経粘膜敵に鞘又は頬の粘膜を通して体循環中に効果的に配送する薬物配送系の任意の形態が、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
(B.製薬上の組成物及び調剤物)
【0119】
望ましい薬物放出を、それが上皮細胞の先端膜を横切り又は鞘又は頬の粘膜を通して経粘膜的に体循環中に輸送される部位で達成されるように、制癌剤及び抗ウイルス剤を、その治療上の薬剤の、鞘又は頬の粘膜への上皮の付着が許される他の成分と併せて調剤し、膜流出系が含まれる先端細胞膜の横切る移行を促進し、及び/又は上皮内で、又は有機体において遠い部位で鞘又は頬の粘膜を通した吸収の後、その薬理学的効果を発揮させるために、シトクロムP450酵素による細胞内薬物代謝を避ける。
【0120】
したがって、治療上の薬剤に加え、得られる組成物は、典型的に少なくとも非-毒性の親油性又は疎水性の担体、粘膜接着性の薬剤、非イオン性グリコールエーテル又は植物性生物学的利用能調節物質、及び随意に収着増進物質/透過性増強物質及び/又は可溶化性薬剤及び/又は別の製薬上許容可能な賦形剤であり、鞘又は頬の配送に適するもので、緩衝剤、酸化防止剤、可塑剤、潤滑剤、充填材、安定剤(スタビライザ)、乳化剤、及びこれらの目的に有用であるこの技術において既知のような任意の他の賦形剤のようなものを含む。
【0121】
本発明に従う調剤物において用いる任意の成分及び/又は賦形剤は、ヒトの使用のために、及び経口の使用のために承認されるすべての賦形剤が鞘の使用のために承認されるというわけではないし、及び/又は鞘の使用に適切でないかもしれないという理解と共に、認められる必要がある。
(1.個々の成分)
【0122】
鞘/頬の経粘膜配送のため、本発明に従う調剤物は、以下の成分を含む。
(a.制癌性及び抗ウイルス性の薬剤)
【0123】
制癌性及び抗ウイルス性の薬剤は、表3-9に挙げる薬物から選ばれ、及び典型的にその望ましい治療上の効果を確かにするのに十分な量で存在し、典型的に、約0.001から約3000までのmgで、好ましくは約1から約1000までのmgで、最も好ましくは約100から約500までのmgである。薬剤は典型的に、親油性又は親水性のいずれでもよく、そのそれぞれのlogP値によって記載されるようであり、及びその親和性に依存し、それは異なる調剤手順を必要とする。
(b.親油性及び親水性の担体)
【0124】
薬物親和性に依存し、本発明に従う組成物は更に、製薬上の薬剤について適切な親油性又は親水性の担体のいずれでも含む。そのような担体は、典型的に、重量によって約30から約95までの%で存在する。
【0125】
担体は、治療上の薬剤との化学的適合性及び望ましい放出プロファイ(側面)に基づいて選ばれる。概して、担体への薬物の低い親和性は、より一層迅速な薬物放出に対応する。
(i.親油性担体)
【0126】
好適な親油性担体には、脂肪酸の任意の中鎖トリグリセリド及び/又は飽和のモノ-、ジ-又はトリグリセリドを含む、水素化された植物性(野菜)グリセリド及び半合成グリセリドが包含され、特に8から18までの炭素の炭素鎖を持つもの又はそれらの混合物である。特別な等級は、添加剤を含み、それは蜜蝋、レシチン、ポリソルベート類、エトキシル化脂肪アルコール類、及び部分的なエトキシル化脂肪グリセリドのようなものであり得る。親油性担体の例は、既知の及び商品名SUPPOCIRE(R)(スポシレ(商標))AS2又はCS2の下で入手可能な飽和グリセリドであり、及び例えば、Gattefosse、Paramus、NJから商業上入手可能な関連する化合物である。
(ii.親水性担体)
【0127】
好適な親水性担体は、約200及び8000の間の分子量のポリエチレングリコール類、低-粘性セルロース誘導体であり、10,000及び100,000の間の分子量を持つメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなもの、アルギン酸及びその塩類及びエステル類であり、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸プロピレングリコールのようなもの、部分的に加水分解されたポリビニルアルコール、及び約100,000及び9,000,000の間の分子量の酸化ポリエチレンであり、例えば、Dow Chemical Company(ダウケミカル社)、Midland(ミッドランド)、MI(ミシガン州米国)所在から商業上入手可能なものを含む。さらに、誘導体及びそのような化学的に関連したホモマの共重合体であり、PEG6000/PEG1500、又はPEG6000/PEG1500/PEG400、又はPEG6000/PEG400、又はPEG8000/PEG1500(例えば、Sigma/Aldrich(シグマ/アルドリッチ、St. Louis(セントルイス)、MO(ミズーリ州)から商業上入手可能である)、又はポリエチレングリコール及びアクリル酸、酢酸ビニル、及びアクリル酸メチルのような化学的に無関係なホモマを用い得る。
(c.粘膜接着性薬剤)
【0128】
経粘膜配送のため、組成物は、本質的な成分として、粘膜接着性薬剤を備える。粘膜接着性薬剤は組成物の近接した及び拡がった接触を、又は前記組成物から放出される薬物が、前記組成物又は薬物の粘膜への付着を増進することによる粘膜表面を伴って許容される。粘膜接着性薬剤は好ましくは重合体化合物であり、好適には、セルロース誘導体であるが、それはまた、天然ゴム、アルギン酸塩、ペクチン、又はそのような似た重合体でよい。最も適するセルロース誘導体は、商品名METHOCEL(メトセル)(R)の下で入手可能なヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、Dow Chemical Co.から商業的に入手できる。
【0129】
粘膜接着性薬剤は、約5から約25までの%、重量で、好ましくは約10から約15までの%で、及び最も好ましくは約10%において存在する。
(d.非イオン性グリコールエーテル類)
【0130】
粘膜接着性組成物は付加的に非イオン性グリコールエーテルを含み、約0.01から約50までの%で、最も好ましくは約0.5から約10までの%の重さによって存在する。グリコールエーテルは、膜流出系及びシトクロムP450代謝性酵素の機能的な活性を制限する本質的な賦形剤である。さらに、非イオン性グリコールエーテル類の表面活性の特性は、水性環境において親油性の制癌性及び抗ウイルス性の薬物の可溶化を促進し、及び体循環への上皮性障壁を横切る透過性を増強する。好ましい非イオン性グリコールエーテルは次の群から選ばれ、それは、(1)エチレングリコールモノメチルエーテル、(2)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(3)トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(4)ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(5)エチレングリコールモノエチルエーテル、(6)ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(7)トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(8)エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、(9)エチレングリコールモノブチルエーテル、(10)ジエチレングリコールモノブチルエーテル、(11)トリエチレングリコールモノブチルエーテル、(12)エチレングリコールモノイソブチルエーテル、(13)ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、(14)エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、(15)ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、(16)エチレングリコールモノアリルエーテル、(17)エチレングリコールモノフェニルエーテル、(18)エチレングリコールモノベンジルエーテル、(19)ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、(20)プロピレングリコールモノメチルエーテル、(21)ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、(22)トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、(23)ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、(24)プロピレングリコールモノブチルエーテル、(25)ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、(26)プロピレングリコールモノフェニルエーテル、(27)エチレングリコールジメチルエーテル、(28)ジエチレングリコールジメチルエーテル、(29)トリエチレングリコールジメチルエーテル、(30)ジエチレングリコールジエチルエーテル、(31)ジエチレングリコールジブチルエーテル及び(32)ジプロピレングリコールジメチルエーテルであり、最も好ましくは(33)ジエチレングリコールモノエチルエーテル又は(34)エトキシジグリコールであり、その商標名TRANSCUTOL(R)の下で既知で、Gattefosse、Paramus、NJから商業上入手可能である。
(e.植物性生物学的利用能調節物質)
【0131】
鞘/頬の管理後、制癌性及び抗ウイルス性の薬剤の上皮内又は全体的な配送を増強するために、膜流出系又は薬物代謝性シトクロムP450酵素の機能的な活性は、0.001-10重量%の非毒性の、植物、微生物又は動物の供給源から由来する精製又は未精製の抽出した自然の生成物の包含によって抑制され得る。
好ましい出発物質には、(1)Actaea racemosa L. (Ranunculaceae、キンポウゲ科)、(2)Aesculus hippocastanum L.(セイヨウトチノキ)(Hippocastanaceae、トチノキ科)、(3)Allium ampeloprasum L.(アリウム属ネギ類)(Liliaceae、ユリ科)、(4)Allium sativum L.(ニンニク類)(Liliaceae)、(5)Allium tuberosum Rottl. (Liliaceae)、(6)Alpinia galangal L.(Zingiberaceae、ショウガ科)、(7)Boswellia carteri Birdw. (ニュウコウジュ)(Burseraceae、カンラン科)、(8)Boswellia frereana Birdw.(Burseraceae)、(9)Boswellia sacra Flueckiger(Burseraceae)、(10)Boswellia serrata Roxb.(Burseraceae)、(11)Camelia sinensis Kuntze(カメリア類)(Theaceae、ツバキ科)、(12)Catharanthus roseus L.(ニチニチソウ類)(Apocyanaceae、キョウチクトウ科)、(13)Cinnamomum burmani Blume(Lauraceae、クスノキ科)、(14)Citrus aurantium L.(Rutaceae、ミカン科)、(15)Citrus paradisi Macfad.(Rutaceae)、(16)Crataegus oxyacantha Rehd.(Rosaceae)、(17)Curcuma longa L.(ウコン属)(Zingiberaceae)、(18)Echinacea angustifolia DC.(ホソババレンギク)(Asteraceae、キク科)、(19)Echinacea pallida Nutt.(ムラサキバレンギク属)(Asteraceae)、(20)Echinacea purpurea Moench.(ムラサキバレンギク)(Asteraceae)、(21)Eleutherococcus senticosus Maxim.(エレウテロコックス・マキシム.)(Araliaceae、ウコギ科)、(22)Foeniculum vulgare P. Mill.(Apiaceae、セリ科)、(23)Gingko biloba L.(イチョウ)(Ginkoaceae)、(24)Glycine max Merr.(ダイズ類)(Fabaceae、マメ科)、(25)Hydrastis Canadensis L.(ヒドラスチス根、キンポウゲ科)(Ranunculaceae)、(26)Hypericum perforatum L.(セイヨウオトギリソウ、オトギソウ属)(Clausiaceae)、(27)Hypoxis hemerocallidea L.(Iridaceae、アヤメ科)、(28)Matricaria recutita L.(シカギク属)(Asteraceae)、(29)Melaleuca leucadendra L.(コバノブラッシノキ)(Myrtaceae、フトモモ科)、(30)Oenothera biennis L.(メマツヨイグサ)(アカバナ科マツヨイグサ属) (Myrtaceae)、(31)Panax guinquefolius L.(Araliaceae)、(32)Piper methysticum G. Forst.(Piperaceae、コショウ科)、(33)Piper nigrum L. (Piperaceae)、(34)Salvia miltiorrhiza L.(サルビア属)(Lamiaceae、シソ科)、(35)Serenoa repens Small(アレカ属)(Arecaceae)、(36)Serenoa serrulata Nichols(ノコギリヤシ)(Arecaceae)、(37)Silybum marianum Gaertn.(オオアザミ)(Asteraceae)、(38)Strychnos ligustrina Zipp.(フジウツギ科マチン属)(Loganiaceae、フジウツギ科)、(39)Sutherlandia frutescens R. Br.(Fabaceae)、(40)Tinospora crispa Hook. f. & Thomson (Menispermaceae、ツヅラフジ科)、(41)Uncaria tomentosa Roxb.(キャッツクロー)(Rubiaceae、アカネ科)、(42)Valeriana officinalis L.(セイヨウカノコソウ)(Valerianaceae、オミナエシ科)、(43)Vitis vinifera L(ヨーロッパブドウ)(Vitaceae、ブドウ科)、及び(44)Zingiber cassumunar Roxb.(ショウガ科ショウガ属)(Zingiberaceae、ショウガ科)、(45)Zingiber officinale(ショウガ)Roscoe(Zingiberaceae)が含まれる。
【0132】
最も好ましい精製した構成成分は、鞘又は頬の組成物中に、約0.01及び約750の間のmgにおいて組込まれ、上記に挙げた供給源のものから分離され、(1)アクテイン(actein)、(2)エスシン、(3)アジマリシン(ajmalicine)、(4)アリシン、(5)ベルベリン、(6)ベルガモチン、(7)ベルガプテン、(8)ビロバライド、(9)カテキン、(10)シミラセモシド(cimiracemosides)A-F、(11)シス-リノール酸、(12)クルクミン、(13)デスメトキシヤンゴニン(desmethoxyyangonin)、(14)ジヒドロカバイン(dihydrokavain)、(15)ジヒドロメチスチシン(dihydromethysticin)、(16)脂肪酸エステル、(17)ゲニステイン、(18)グアールガム、(19)ギンコール酸(ginkolic acid)I及びII、(20)3,3’,4’,5,6,7,8-ヘプタメトキシフラボン、(21)ヒドラスチン、(22)ハイパホリン(hyperforin)、(23)I3、II8-ビアピゲニン(biapigenin)、(24)イソベルガプテン(isobergapten)、(25)イソレムネチン(isorhemnetin)、(26)ケンペロール(kaempferol)、(27)カバイン(kavain)、(28)リモニン、(29)メチスチシン(methysticin)、(30)ナリンゲニン、(31)ナリンギン、(32)ノビレチン、(33)オバクノン(obacunone)、(34)オレアノール酸、(35)ペクチン、(36)ピペリン、(37)ケルセチン、(38)キニジン、(39)S-アリル-L-システイン、(40)サーパンタイン、(41)シリビニン(silibinin)、(42)シリクリスチン(silichristin)、(43)シリジアニン(silidianin)、(44)シリビン(silybin)、(45)S-メチルL-システイン、(46)酪酸ナトリウム、(47)タンゲレチン(tangeretin)、(48)タクシホリン(taxifolin)、(49)ウルソル酸(ursolic acid)、(50)バレレン酸(valerenic acid)、(51)ビンドリン、(52)ビンテキシン(vintexin)、(53)6,7-ジヒドロキシベルガモチン、及び(54)ヤンゴニン(yangonin)である。
(f.収着増進物質/侵入増強物質)
【0133】
全身性血液循環に非角化上皮性障壁を横切る制癌性及び抗ウイルス性の薬剤の透過を促進するために、経粘膜組成物は、更に少なくとも1種の収着増進物質/侵入増強物質を含み、通常、約0.001から約30までの重量%で存在する。収着増進物質には、表1に含まれるような非イオン性グリコールエーテル類、並びにグリコールエステル誘導体で、GattefosseからLABRASOL(R)として既知のポリエチレングリコールカプリル酸/カプリン酸グリセリドのようなもの、及びグリコール誘導体で、グリセロールエステル類を伴い、プロピレングリコールのオレイン酸エステル類及びImperial Chemical Industries(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ)からのARLACEL(アルラセル)(R)186として既知のグリセロールのようなものが含まれる。特に好ましいものは、非イオン性グリコールエーテル誘導体で、そのようなもの、又はエステル交換した石油、例えば、LABRAFIL M 1944CSで、Gattefosseから商業上入手可能なものである。エステル交換された石油は、植物油において含まれるグリセリドのグリセロールの部分をポリオキシエチレン-グリコールにより置換することによってエトキシル化される植物油である。
【0134】
特に好ましい非イオン性グリコールエーテルは、以下からなる群より選ばれ、それは、(1)エチレングリコールモノメチルエーテル、(2)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(3)トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(4)ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(5)エチレングリコールモノエチルエーテル、(6)ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(7)トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(8)エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、(9)エチレングリコールモノブチルエーテル、(10)ジエチレングリコールモノブチルエーテル、(11)トリエチレングリコールモノブチルエーテル、(12)エチレングリコールモノイソブチルエーテル、(13)ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、(14)エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、(15)ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、(16)エチレングリコールモノアリルエーテル、(17)エチレングリコールモノフェニルエーテル、(18)エチレングリコールモノベンジルエーテル、(19)ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、(20)プロピレングリコールモノメチルエーテル、(21)ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、(22)トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、(23)ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、(24)プロピレングリコールモノブチルエーテル、(25)ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、(26)プロピレングリコールモノフェニルエーテル、(27)エチレングリコールジメチルエーテル、(28)ジエチレングリコールジメチルエーテル、(29)トリエチレングリコールジメチルエーテル、(30)ジエチレングリコールジエチルエーテル、(31)ジエチレングリコールジブチルエーテル及び(32)ジプロピレングリコールジメチルエーテルである。
【0135】
侵入増強物質はこのように、薬物又はそれらの混合物の表面特性、又は溶液又は懸濁物に含まれる薬物を変化させることによってそれらの混合物の侵入特性を改善する際に援助する化合物である。これらの合成物は、このようにある意味で可溶化剤として働く。
(g.可溶化性薬剤)
【0136】
組成物はまた、随意に可溶化性薬剤で、複合体(錯体)形成性可溶化剤のクエン酸、エチレンジアミン四酢酸塩、メタリン酸ナトリウム、コハク酸、尿素、シクロデクストリン、ポリビニルピロリドン、ジエチルアンモニウム-オルト-ベンゾアート(安息香酸塩)又はミセル形成性可溶化剤で、Tweens(トゥイーン)及びSpans(スパン)、例えば、Tween80のようなものを含む。本発明に従う組成物のために有用な他の可溶化剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンn-アルキルエーテル、n-アルキルアミンn-酸化物、ポロキサマ類(poloxamers)、有機溶媒、リン脂質及びシクロデキストリン類である。
(h.付加的な賦形剤)
【0137】
本発明に従う組成物は追加的に、他の賦形剤を含み、それは、緩衝剤、酸化防止剤、可塑剤、潤滑剤、充填材、安定剤、乳化剤のようなものであり、及び他のものを適切であるように含み得る。これらの賦形剤の例は、酢酸、アスコルビン酸、炭酸、クエン酸、乳酸、及びソルビン酸の水溶性無機及び有機塩類、クエン酸アセチルトリエチル、ブチル(化)ヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、カルボマ934又は940P、エリソルビン酸塩、グリセリン、グリセリド、水素化パーム油、ステアリン酸イソステアリル(isostearylstearate)、ミリスチン酸イソプロピル、マンニトール、鉱油、ポリカルボフィル、プロピレングリコール、没食子酸プロピル、精製水、水酸化ナトリウム、ソルビトール、α-トコフェロール、α-トコフェリル琥珀酸ポリエチレングリコール1000、チモール、及びトリアセチンである。
(2.好適な調剤物)
【0138】
上記に与える範囲において本発明に従う成分を含む任意の及びすべての調剤物は、本発明の範囲内にあることが意図される。本明細書に好ましい調剤物として現すわずかの(2又は3種の)組成物は、模範的なだけでなく、どんな形であれ本発明の範囲を制限することを意図していない。
【0139】
親水性の制癌性及び抗ウイルス性の薬物の即時の放出のための好ましい調剤物は、約0.01-10%の間の、重さによっての薬物を、30-90の%で、重さによっての親水性担体、約1-25%の間の、重さによっての粘膜接着性薬剤、0.01及び25の間の%での、非イオン性グリコールエーテル又は植物性生物学的利用能調節物質、及び随意に約25-65%の緩衝性薬剤、及び0.001-5%の、重量での可溶化性薬剤及び/又は透過性増強物質を含む。
【0140】
親水性の制癌性及び抗ウイルス性の薬物の時間-遅延化放出のための好ましい調剤物は、約0.01-10%の間の、重さによっての薬物、約60-90%の、重さによっての親油性担体、約5-25%の間の、重さによっての粘膜接着性薬剤、約1-25%の間の、重さによっての非イオン性グリコールエーテル又は植物性生物学的利用能調節物質を含み、及び随意に、酸化防止剤、緩衝化薬剤、侵入増強物質又は可溶化性薬剤は、通常0.005-30%の重量において存在する。
【0141】
本発明の別の好適例において、0.01-10%の薬物を他の成分と共に調剤し、それは、60から90までの%の間の、重量によっての親油性担体、約5及び約20の間の%の粘膜接着性薬剤、約10及び約20の間の%の非イオン性グリコールエーテル、約0及び約30の間の%の可溶化性薬剤、約0.01から約5までの間の%の透過性増強物質、及び約0.01及び約4の間の%の酸化防止剤である。
【0142】
親水性の制癌性及び抗ウイルス性の薬物のための好適な調剤物は、約0.01-10の間の%の、重さによっての薬物、約60-90%の、重さによっての親油性担体、約5-25の間の%の重さによっての粘膜接着性薬剤、約1-25の間の%の重さによっての収着増進物質を含み、及び随意に侵入増強物質又は可溶化性薬剤を、通常1-30%の重量において存在させる。
【0143】
親油性の制癌性及び抗ウイルス性の薬物のための好適な調剤物は、約0.01-10の間の%の、重さによっての薬、約30-90%の、重さによっての親水性担体、約1-25の間の%の、重さによっての粘膜接着性薬剤、1及び25の間の%の収着増進物質、及び随意に約1-30の間の%の、重さによっての可溶化性薬剤及び/又は透過性増強物質を含む。
【0144】
本発明の別の好適例において、0.01-10%の薬物を、約30及び約60の間の%の、重量によっての親油性担体、約5から20までの間の%の粘膜接着性薬剤、約1及び約15の間の%の非イオン性グリコールエーテル及び、随意に0及び約10の間の%の可溶化性薬剤、及び約35及び約65の間の%の緩衝性薬剤のような他の成分と共に調剤する。
【0145】
本発明の別の好適例において、0.01-10%の薬物を、約60から90までの%の、重さによっての親水性担体、約5及び約20の間の%の粘膜接着性薬剤、約10及び15の間の%の収着増進物質、及び随意に0-30の間の%の可溶化性薬剤及び/又は約1及び30の間の%の透過性増強物質と共に混合物体において調剤する。
【0146】
本発明の別の好適例では、薬物を、0.01-10%の薬物、75%の親油性担体SUPPOCIRE(R) AS2、2%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び15%のエトキシジグリコール(TRANSCUTOL(R))を含む鞘坐剤又は頬丸薬(ペレット)として調剤する。坐剤は独立型装置であり得、又はタンポン又はタンポン様の装置中に組み込まれ得る。
【0147】
本発明の別の好適例では、薬物を、約0.01-10%の薬物、約45-55%の親水性担体で、PEG6000/酸化ポリエチレン200,000のようなもの、約25%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び15%のエトキシジグリコール(TRANSCUTOL(R))を含む、鞘又は頬の粘膜接着性薄膜として調剤する。薄膜は独立型装置でよく、又は別の装置中に組み込まれ、又はそれを覆い得る。
【0148】
本発明の更に別の好適例では、低い透過性及び高い溶解性を持つBCS IIIの薬物の、速く溶解する泡又は薄膜において調剤したものを、粘膜接着剤、親水性賦形剤で、組み込まれる非イオン性グリコールエーテル及び/又は植物性生物学的利用能調節物質をそれぞれ伴って調製する。
(3.親水性又は親油性の薬物を調剤する方法)
【0149】
親油性又は親水性の制癌性及び抗ウイルス性の薬剤を以下の処理を用いて調剤する。
【0150】
親油性担体で薬物調剤物を調製する一般的な方法では、固い脂肪の座剤基剤を、加熱容器において45-50℃で溶融する。粘膜接着性薬剤を担体に激しく攪拌しながら添加する。好ましい親水性薬物を、非イオン性グリコールエーテルにおいて溶解し、植物性生物学的利用能調節物質、及び酸化防止剤と共に組み合わせる。
【0151】
この混合物を、担体/粘膜接着性薬剤の懸濁物に添加する。最終的な調剤物を、望ましい寸法及び形状の型中に注ぎ、又は本発明の装置中に組み込む。型を4-6℃で冷蔵庫に保存する。一般的な方法において、薬物含有調剤物を親水性担体にて調製するため、水溶性重合体を、水中において、粘膜接着性薬剤及び緩衝剤成分と共に溶解する。この溶液を、非イオン性グリコールエーテル、酸化防止剤及び、随意に、可溶化性薬剤、及び/又は侵入増強物質と組み合わせる。この薄膜前駆体溶液を、ゲル乾燥機を用いて乾燥する。残りの薄膜を、慎重にガラス板状体(プレート)から剥がし、及び規定した用量単位において切断する。
(4.徐放)
【0152】
1種の具体例において、組成物を、持続させ及び制御された放出の薬物系として調剤することができる。
【0153】
制御され及び持続される放出のために調剤される薬物は、連続する放出のため、又は律動的な配送のためのいずれでもについて調剤される。
【0154】
連続的放出又は配送は、薬物の調剤物又は装置から連続的な及び途切れないない放出を意味し、そこでは、薬物は、媒体、微粒子、生物学的接着性粒子、リポソーム型懸濁物又はそのような放出のために典型的に用いる任意の別の系においていずれでも調剤される。
【0155】
律動的な放出又は配送は、断続的な間隔の薬物の配送である。そのような律動的な配送は、例えば、薬物を、媒体、微粒子、生物学的接着性粒子、リポソーム型懸濁物又は任意の別の系において、連続する配送のために記載したように調剤することによって、不活性な不活性層を用いて間をあけられる個々の層、例えば、溶解可能な被膜において、又は異なる調剤性薬剤を用いることによって提供し得る。持続配送のための方法及び調剤性薬剤はこの技術において既知である。
【0156】
制御される放出、薬物配送系はいくらかの分、時間又はそれよりも長い間にわたり、薬物の鞘/頬の粘膜への制御される放出を可能にしなければならない。これは、ヒドロゲル-形成性重合体、非-腐食性媒体等、この技術で既知のような時間放出添加剤の添加によって達成される。
【0157】
その上、管理の部位において、薬物-特異的なイオン化特性に順応させるために、薬物配送系は付加的に、緩衝剤を含み、吸収を高めるのに優先してpHを安定化させ得る。さらに、酸化防止剤を組み込み、薬物の化学安定性を増加させ得る。
【0158】
本発明の徐放組成物は、典型的に、乳脂状物、水薬、泡状物、薄膜、坐剤、錠剤、微粒子、ナノ粒子、微粒子を含有する小容器、リポソーム型懸濁物流体、生物学的接着性系及び微乳濁物の形態にある。
(5.生物学的接着性系及び微乳濁物)
【0159】
生物学的接着剤性系及び微乳濁物は、特に制癌及び抗ウイルス性の薬物の局所的及び経粘膜配送それに次ぐ鞘及び/又は頬の空洞での管理で適する調剤物である。
【0160】
微乳濁物は、製薬上許容可能な表面活性剤、例えば、LABRASOL(R)、PLUROL(R)イソステアリン酸塩(Gattefosse)、共-溶媒で、イソプロパノー又はエタノール、及び水を含み得る。1種又はいくつかの上記成分を含む微乳濁物は、制癌性及び抗ウイルス性の薬物の生物学的利用能を改善することが示された。
【0161】
生物学的接着性微粒子又は生物学的接着性ナノ粒子は、本発明における使用のために適する更に別の鞘内の薬物配送系を構成する。
【0162】
生物学的接着性系は、ヒドロキシプロピルセルロース及びポリアクリル酸のようなセルロースの誘導体を用いる。それらは、それらが一旦適切な調剤物において置かれるなら、最高で5日間薬理学的な薬剤を放出する。微粒子又はナノ粒子は、鞘/頬の粘膜にしがみついて、いくつかの時間からいくつかの日数までの期間にわたって薬物を緩徐に放出する。これらの系の多くは鼻での使用のために設計され、米国特許第4,756,907号及び第6,200,590号で記述され、これらは参考として本明細書に組込むが、鞘/頬の空洞での使用のために簡単に修飾することができる。生物学的接着性系は制癌性及び抗ウイルス性の薬物を充填される微粒子又はナノ粒子を備え得、可溶性及び/又は薬物の取り込みを高めるための表面活性剤を含み得る。微粒子は1-100μmの直径を持ち、一方でナノ粒子は10-1000nmの直径を持つ。微粒子及びナノ粒子は自然な重合体で、澱粉、ゼラチン、アルブミン、コラーゲン及び/又はデキストランのようなもの、及び合成重合体で、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)のようなもの、アクリル酸ナトリウム、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、又はそれらの混合物から、イヌリンマルチ-メタクリル酸塩、シスチンビスアクリルアミドを含め、この技術において既知の方法に従い調製することができる。
【0163】
生物学的接着性の錠剤は経粘膜配送に適する別の薬物配送系である。これらの生物学的接着性系はヒドロキシプロピルセルロース及びポリアクリル酸を用いる。それらは、一旦それらが適切な調剤物において置かれるならば、最高で5日間薬物を放出する。本発明に従う錠剤は、鞘/頬の粘膜及び錠剤の間の表面接触を最大にするように、形状において適合されるのが最も好ましい。それは、装置への組込みに適するように、そのような形状を持ち得る。
【0164】
薬物は、乳脂状物、水薬、泡状物、薄膜、糊状物(ペースト)、軟膏、微乳濁物、リポソーム型懸濁物及びゲル中に組み込むことができ、それらは塗布具(アプリケータ)を用いて鞘/頬の空洞に投与することができる。これらの運搬体における製剤物を調製する方法は文献を通して見出すことができる。
【0165】
本発明に従う組成物における使用のための適切な非毒性の製薬上許容可能な賦形剤は製薬上の調剤物の技術における熟練した者(当業者)にとって明らかであり、及び例は、REMINGTON(レミントン): The Science and Practice of Pharmacy(ザ・サイエンス・アンド・プラクティス・オブ・ファーマシ)、第20版、A.R. Gennaro(ジェンナーロ)、ed.(編集)、(2000年)に記述される。適切な担体の選定は、望まれる特定の剤形の正確な性質に、例は、制癌性及び抗ウイルス性の薬剤が、乳脂状物、水薬、泡状物、薄膜、軟膏、糊状物、溶液、微乳濁物、リポソーム型懸濁物(サスペンジョン)、微粒子、ナノ粒子、ゲル又は錠剤中に調剤されるかどうか、並びに活性原料(群)及び望ましい放出動力学の物理化学的な特性に依存する。
【0166】
上述の組成物は典型的に、癌及びHIV/AIDSの処置のための制癌性及び抗ウイルス性の薬剤の群からの1種の製薬上活性な原料を含むが、そのような組成物は追加的に、他の製薬上の薬剤又はその組合せ、例えば主たる薬物の治療上の効果を高め得る鎮痛剤、抗ウイルス剤、かゆみ止め剤、副腎皮質ステロイド及び他の薬剤のようなものを含み得る。
【0167】
上述のすべての生物学的接着性系は、直接的に又は鞘/頬の装置を介して管理され得る。
(II.治療上の薬剤の鞘/頬の配送のための装置)
【0168】
本発明に従う装置、鞘のタンポン、鞘のタンポン様の装置、鞘の泡状物、鞘の薄膜、鞘の海綿状物、鞘の膣坐剤、鞘の坐剤、鞘の錠剤、鞘の丸薬又は鞘の環、又は頬の泡状物、頬の薄膜、頬の海綿状物、頬の膣坐剤、頬の坐剤、頬の錠剤又は頬の丸薬のようなものは、以前に記載する装置に対して改善を提供する。とりわけ、本発明に従う装置は、それは好ましくは分解可能又は非分解性の装置であり、完全に被覆され、又は好ましくは単に部分的にその近位又は遠位末端部で、又は層又は被膜の層を伴う中央において、覆われ、又はそのような覆い(カバリング)と結合される。被膜は、薄膜、泡状物、海綿状物、細条、杯状物、蓋状物又は粒子の形態でよく、又はそれは、添付の図面に記載するか、又は例示するように、泡状物、薄膜、細条、蓋状物、杯状物又は丸薬、錠剤又は坐剤の形態の覆いでよい。
【0169】
材料は異なる物質の層又は層群で間をあけられる1種の層又はいくつかの層として装置に適用され得、それは、タンポン、丸薬又は錠剤の近位又は遠位の部分を覆う蓋状物又は杯状物を形成し得、又はそれは、タンポンを取り囲む被膜の細条、紐状物(ストリング)又は縁(リム)であり得る。鞘のタンポン又は鞘の泡状物は多孔性物質で、通常は綿又は重合体で作成されるので、少なくとも近位の部分、典型的にタンポンの近位末端を覆う被膜物質は、多孔性材料を、被膜層で被覆される物質から分離し、及び制癌性又は抗ウイルス性の治療上の薬剤を備える部分からそのような多孔性物質の部分を被膜内で隔離する。被膜は、層、層群、細条、細条群、蓋状物又は杯状物、泡状物又は薄膜が治療上の薬剤を備える粘膜接着性組成物で組み込まれるかどうかであり、又はそのような組成物は種種の手段によってそのような被膜に付着する。
【0170】
全体の装置の被膜は、装置の多孔質部分への粘膜接着性組成物の吸収を防ぐ。装置の部分的な被膜は、より一層小さな領域への薬物の隔離を許容し、及び装置の多孔質部分への粘膜接着性組成物の吸収を防ぐ。このように、装置の多孔質部分への再吸収のための薬物の損失は、排除され、又は大幅に減少するかのいずれでもある。付加的に、治療上のものを備える粘膜接着性組成物が装置の近位の末端に適用される被膜内で隔離されるので、それは、装置から子宮の付近に優先して放出され、そこでは粘膜上皮が薬剤をより一層吸収しがちである。
【0171】
薬物は従って、より一層多く量的に粘膜に配送され、それが粘膜接着性薬剤の存在のためそれに接着し、そこでそれが周囲の上皮中に分配され、又は収着増進物質及び/又は侵入増強物質の存在のために一般的な体循環に粘膜を通して輸送される。親油性又は親水性の担体は付加的に、粘膜表面との薬物相互作用を修飾し、及び薬物表面の暴露を高める。
(A.被覆鞘装置)
【0172】
本発明に従う鞘装置は、鞘のタンポンであり、溶解し、又は非溶解であり、分解可能又は非分解性の鞘のタンポンで、又はタンポン様の形付けられた装置であり、鞘の泡状物、鞘の薄膜、鞘の海綿状物、鞘の環、鞘の膣坐剤、鞘の錠剤、鞘の丸薬又は鞘の膣坐剤のようなものであり、前記被膜中に組み込み又はそれに付着する粘膜組成物から装置の本体を分ける被膜の層ですべてを被覆し、又は少なくとも部分的に被覆する。最も好ましい具体例は、鞘のタンポン又はタンポン様形状の装置又は泡状物である。
【0173】
鞘のタンポンの変形物は、同様に、口腔の特定の解剖学的及び生理学的要件に順応する頬の使用のために調製される。
(1.鞘のタンポン)
【0174】
鞘の薬物配送のための1種の好適例は鞘のタンポンである。鞘のタンポンは典型的に、本発明に従い、完全に又は、部分的にのいずれでも、典型的に約3分の1又は半分、つまり、鞘の壁と接触することになる部分まで被覆される商業上入手可能な鞘のタンポンである。タンポンの近位又は遠位の末端部、又は中央部分は、層、層群、蓋状物、杯状物、薄膜、泡状物、粒子又は細条を、タンポンの上側の近位頂部分の周りで形成する被膜で被覆され、又はタンポンに、別に調製した蓋状物、杯状物、細条、泡状物、薄膜、錠剤、坐剤、柔軟(ソフト)ゲル小容器又は丸薬の形態における覆いとして付着される。しかし、全体のタンポンはまた、被膜で被覆されてよく、望ましい場合、及び次いで組成物は、タンポンの全体に、近位の又は遠位の部分に、又は先端に付着される。
(2.鞘の泡状物)
【0175】
別の好適例は、タンポン様の成形された鞘の泡状物であり、それは鞘において十分に、又は部分的に溶解性又は非溶解性、又は分解可能であり得、又はそれは非分解性でもよい。しかし、泡状物はまた、タンポン様構造と異なって成形され得る。
【0176】
鞘の装置として用いる泡状物は、固形(ソリッド)構造又は半固形又は液体の調製物の特定の形状に予備形成される。後者の2種は、組成物が便利に組み込まれ得る層、細条、杯状物又は蓋状物被膜の形態において適用される粘膜接着性組成物のための貯蔵所(receptacle)として用いられ得る。
【0177】
鞘の泡状物、並びに薄膜は、分解可能又は非分解性であるか、及び鞘の装置又は被膜として用いるかに関係なく、従って、この技術における既知の処理、それは重合体媒体中に空隙率を導入することによって、即ち凍結乾燥、通気、冷凍乾燥、炭化水素鋳型(templating)、塩又は粒状物洗脱(particulate leaching)、ゲル又は溶媒鋳造、ガス膨張(gas expansion)、焼成、高い内部相乳濁物類の重合、及び三次元重合体印刷のような自由形態の製造技術によって調製される。
【0178】
泡状物を製造する最も好ましい処理は凍結乾燥であり、それは詳細を2003年6月30日出願の同時係属出願番号第10/600,849号に記載し、参考として本明細書に組み込む。凍結乾燥された泡状物は開口細胞であり、高い-表-面積、様々な重合体から製造することができる生物学的に分解可能又は非分解性の構築物であり、好ましくは親水性重合体からのものである。泡物質は、それらの意図された適用によって仕立てることができる制御された化学的及び物理的な特性によって特徴付けられる。整調可能な(Tuneable)特性には、親水性、吸収の速度、分解側面(プロファイル)及び溶解率が含まれ、その尺度は泡状物の溶解を完了させるのに必要な時間である。
【0179】
典型的に、凍結乾燥された泡状物は、適切な重合体、好ましくは親水性重合体、又はそれらの混合物を溶解し、次に挙げるように、基質物質として役に立たせ、1から10までの%(w/w)の溶液を水性又は非水性の溶媒で、メタノール、エタノール、グリセリン、メチレン、塩化物、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、グリコフロール、セチルアルコール、ジフルオロエタン及びイソプロピルアルコール、好ましくは精製水において調製するのに必要な量におけるものによって調製する。
【0180】
あるいはまた、薬物及び添加剤の重合体溶液は、酢酸、シクロヘキサン、アセトニトリル、タート-ブタノール、エタノール、及びイソプロパノールにおいて、又は水性及び非-水性溶媒の混合物において調製し得る。
【0181】
本発明に従う泡状物組成物の調製のための基質物質は、疎水性又は、好ましくは、親水性重合体である。これらの重合体は、互いに単独又は組合せで用い得る。2種又はいくつかの重合体の混合物体においての場合、それらは変動性の濃度及び互いに対する比率で用いられ得る。
【0182】
基質重合体の排他的でない一覧には、セルロース及びセルロース誘導体、微結晶セルロース、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジビニルグリコール、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレンが包含される。他の可能な重合体には、セルロース誘導体で、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなもの、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリメタクリル酸、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミン酸塩、フマル酸ポリプロピレン、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリブチレンテレフタル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリ-1-ビニル-2-ピロリジノン、2,5-ジメチル-l,5-ヘキサジエン、ジビニルベンゼン、ポリスチレン-ジビニルベンゼン、ポリアンヒドライド(polyanhydrides)で、ポリ-ビス-p-カルボキシ-フェノキシプロパン-コ-セバシン酸のようなもの、ポリヒドロキシアルカノエートで、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸塩又はポリ-β-ブチロラクトンのようなもの、及びアルキル-置換シリカゲルで、テトラエチルオルトシリケート及びジメチルジエトキシシランが含まれる。
【0183】
泡製造に適する親水性重合体の例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム塩、ペクチン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルピロリドン、ポロキサマ、アクリル酸に基づく重合体で、カルボポル(carbopol)、ノベオン(noveon)のようなもの、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化ポリエチレン、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、多糖類ガム類で、カラヤゴムのようなもの、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、デキストラン、キサンタンゴム、(ポリアクリルアミド)、(ポリアクリルアミド)、架橋結合ポリメチルビニルエーテル-コ-無水マレイン酸で、GentrezTM(ジェントレッツ(商標))として商業上入手可能なもの、ゼラチン、コーン澱粉及びそれらの混合物が含まれる。
【0184】
泡状物の形成に適する疎水性重合体の例は、中でも、酸化ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリスチレン及びポリメタクリル酸である。
【0185】
タンポン様の鞘の泡状物は、鞘における小さな単位又は重合体への溶解又は分解を、種々の機構によって受け、分解可能又は溶解性の泡状物として分類される。この種の泡状物は好ましく、それは、それらの分解又は溶解性が制御され、及び分解可能又は溶解性の鞘の泡状物に付着する被膜から薬物の完全な放出のために必要とされる時間に一致し又は上回る限りである。
【0186】
非分解性又は非溶解性の鞘の泡状物は、三次元構造の分解に耐える泡状物である。代表的であるが、制限されない例の非-生物学的分解性又は非-溶解性の重合体は、排他的に、又は、選択的に用い得、それはまた、生物学的分解性又は溶解性の重合体の泡状物で被覆され得、ポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸、及びそれらの誘導体を、単独で、又はそれらのコ-重合体の混合物として含められる。
【0187】
溶解性又は非溶解性、分解可能な又は非分解性の双方の泡状物は、鞘の装置又はその被膜としての使用に適する寸法及び様々な形状において調製し得、枕状物、管状物(チューブ)、筒状物(シリンダ)、球状物(スフィア)、錠剤又は環(装置)又は薄膜、薄板状物(シート)又は玉状物(ビーズ)又は他の任意の望ましい形状(被膜)が含まれ、重合体媒体において空隙率を導入するこの技術において既知の適切な処理が用いられる。
【0188】
鞘の装置としての泡状物は、タンポン、タンポン様の筒状物、細条、当てもの(パッド)、枕状物、管状物、球状物、錠剤又は環又は他の任意の形状のようなものとして装置中に予備形成を、望ましいものとしてされ、又はそれは、薄膜、薄板状物又は玉状物として、異なる物質で作成されるより一層複雑な鞘の装置で、例えば前記被膜の泡状物によって覆われる従来の鞘のタンポン、タンポン様の装置、膣坐剤、環、細条、当てもの、枕状物、薄板状物、管状物、球状物又は錠剤のようなものの表面への被膜として、適用され得る。この配置において、泡状物は、より一層詳細に次の被覆区分において記載するように、粘膜接着性組成物のための貯蔵所として適用される。
【0189】
鞘のタンポン様の装置の変形物は、それらの調製のための物質及び方法を用いる頬での使用についてと同じやり方で調製される。
(3.鞘の薄膜)
【0190】
本発明の別の具体例は、治療上の薬剤の局所的な又は経上皮的な鞘での又は頬での配送のための薄膜中に調剤される重合体に関連する。本発明に従う重合体の薄膜は、薄膜中に処理される様々な重合体溶液から調製される高い表面積の薄板状物である。
【0191】
泡状物と同様に、本発明に従う薄膜は、それらの制御された化学的及び物理的な特性によって特徴付けられ、それらの意図された用途によって仕立てることができる。整調特性には、親水性、流体吸収、及び溶解率を含む分解側面が包含される。本発明に従う薄膜はそのようにして、活性原料を、溶解又は浸食又はこれらの機構の組合せによって放出し、それが薄膜組成物と管理の部位での成分で、制限されないが、流体及びイオンが包含されるものとの相互作用に依存し得る。これは、薄膜の望ましい生物学的接着性の特性を達成し、及び薬剤の放出率を時間又は日の間の治療上の投与計画によって必要に応じて制御する。
【0192】
典型的に、薄膜は、適する重合体で、好ましくは親水性重合体、又はそれらの混合物で、基質物質として役立つ、次に挙げるものを、約1から約10までの%(w/w)での溶液を調製するのに必要な量において、溶解することによって調製され、それは、水性又は非水性の溶媒で、メタノール、エタノール、グリセリン、メチレン、塩化物、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、グリコフロール、セチルアルコール、ジフルオロエタン及びイソプロピルアルコール、好ましくは精製水のようなものにおいてである。選ばれる薬理学上の薬剤又は2種又はそれよりも多くのかかる薬剤の混合物を、適切な量の約0.01から約3000までのmgでのものを、次いで水性又は非水性の溶媒、好ましくは精製水において溶解する。双方の溶液は、約10分からいくらかの約数時間までの間、好ましくは約15-60分について、互いに混合され、前記混合物を、平らな表面又は板状物上に広げ、ガラス板状物の0.5から約2までのmmの層においてのようにし、好ましくは約1mmで、例えば、ゲル乾燥機を用いて、水が完全に蒸発することが行われる限り、乾くようにしておかれる。薄膜層は典型的に、約24から約148までの時間において、通常約70時間において乾く。あるいは、薄膜は前記混合物の噴霧及び乾燥によって調製され得る。
【0193】
代わりの具体例において、重合体溶液は薬物及び添加剤と共に、酢酸、シクロヘキサン、アセトニトリル、タート-ブタノール、エタノール、及びイソプロパノールにおいて、又は水性及び非水性の溶媒の混合物において調製され得る。
(1.単一層薄膜及び多重層薄膜)
【0194】
薬物を含む単一層薄膜は、特に有用な適用であり、そこでは薄膜が組織と両側で接触する。このように、薬物は薄膜の両側から外へ拡散し得る。
【0195】
2-層又は2-層よりも多くの薄膜は、別個の機能が第2の層から必要とされるときに有用である。例えば、頬の適用のために、薬物-溶離性層は、粘性膜に対して最も望ましい。反対側で、しかし、第2の障壁薄膜層は、唾液及び消化器系中への薬物の損失を防ぐのに有用であり得る。有用な障壁薄膜層の重合体には、テレフタル酸ポリエチレン、ポリエチレン、及びナイロンが含まれる。
【0196】
多重層薄膜の機能的な例として、多重層薄膜は、上述するように障壁薄膜であり、薬物のための主たる貯蔵部(reservoir)として役立つ中央層であり、及び粘膜接着剤及び/又は放出修飾物質を備える第3層であり、それは物体に接触し、薄膜の組織への付着、及び薬物が貯蔵部から放出される率を制御するものから構成される。
(4.鞘の海綿状物)
【0197】
タンポン様の装置の別の例は鞘の海綿状物である。望ましい治療上の及び健康を増強する薬剤を備える粘膜組成物は、シリコーン媒体中に組み込むことができ、それは、筒状の薬物を含まないポリウレタンの鞘の海綿状物上に被覆される。
【0198】
鞘の海綿状物の変形物は、頬の使用についてと同じやり方において調製される。
(5.鞘の環)
【0199】
鞘の装置の別の例は鞘の環である。鞘の環は通常、不活性な弾性物質(エラストマ)を、配送されるべき薬物を含む別の弾性物質の層によって被覆したものから構成される。環は容易に挿入することができ、望ましい時間の期間、最高7日の間、その位置に置かれ、次いで使用者によって取り除かれる。環は、治療上の及び/又は健康を増強する薬剤を含む固形(中実)物又は中空物でよく、及びそれはそこから薬物を放出する活性な層物質で被覆され得る。環は随意に、第3の、外側の、速度を制御する弾性物質の不活性な層被膜を含むことができ、それは薬物を含まないものである。随意に、第3の環はまた二重放出(dual release)環のための第2の薬物を含むこともできる。薬物は、配送されるべき薬物のための貯蔵部として働くように、シリコーン弾性物質環中でポリエチレングリコール中に組み込むことができる。
(6.他の鞘の装置)
【0200】
鞘の膣坐剤、鞘の筒状物、鞘の錠剤、鞘の小容器、鞘の丸薬、鞘の当てもの、鞘の貼布(パッチ)、鞘の膣坐剤又は鞘の管状物は、本発明において用いることができる薬物配送系の他の例である。これらの系は以前、鞘の避妊具での配送のために用いられ、及び文献において広範囲に記述されている。
【0201】
これらの他の種類の鞘の装置は、同様に、被膜を有する子宮に面する側上に又は末端部上に被覆される。例えば、膣坐剤又は環は、子宮に面する側上を他の側で非-被覆のまま被覆することができ、例えば、海綿状物又は当てものは、子宮に最も近接する部分で被覆し得る一方、他の側で例えば、月経の血液のための多孔性及び吸着性であり得る。
【0202】
鞘の装置は乾燥又は湿潤の形態において提供され、又は挿入に先立ち湿らせてよい。
上述の鞘の装置の変形物は、頬の使用のための同じやり方で調製される。
(B.頬の配送)
【0203】
頬の組成物、装置及びそれらの配送は、鞘での使用のために記述されるそれらと、設計、調剤及び製造の点で幾分似ている。しかし、鞘の調剤と対照的に、口の生理学的機能と干渉しないように、頬の配送系は寸法において十分により一層小さく、及び性質においてより一層親水性である。結果的に、鞘での使用のために上述したSuppocireに基づく配送系は、頬の配送及び頬の装置で、粘膜接着性の泡状物、薄膜及び貼布への組み込みのためにあまり適切ではない。
【0204】
経粘膜の泡状物及び薄膜は、特に薬物の頬の配送に有用であり、それらが直接粘膜を通して体循環への薬の輸送を許容し、それによって侵襲性の静脈内での又はあまり効果的でない経口投与を避けられるからである。
【0205】
1具体例において、本発明は、口腔の内側を覆っている非-角化された上皮と相互作用するように設計される頬の配送系に関連し、そこではこれらの装置から放出される薬物が局所的に頬の粘膜に作用し、又は首尾よく頬の上皮の障壁を横断し、及び粘膜及び粘膜下組織領域に達し、そこで、それらが、投与の部位から明確に分かれる標的に対する配布のための体循環への接近を獲得する。
【0206】
頬の経路を経る薬物配送は、双方の性の受動体に適用でき、それが非侵襲性で、管理の部位への簡単な接近を提供するので、高い応諾を達成する。頬の粘膜は、体循環への接近を促進する血管が豊富である。さらにまた、頬の粘膜から吸収される薬物は、鞘の経路に似て、肝臓の初回通過の代謝を避けられる。
【0207】
本発明に従う治療上の組成物で、上述のようなものは、特に泡状物又は薄膜の組成物は、単独型で頬の装置であり得、又は、それらはより一層複雑な組立て体(アセンブリ)の1部分となり得、それは1種の成分として、泡状物、薄膜、乳脂状物、水薬、錠剤、等、及び第2の成分として、装置又は調剤物は異なる物質で作成されるものを備える。かかる他の装置は、その形態において、例えば、構造的装置で、細条、当てもの、球状物、枕状物、タンポン、タンポン様の装置、鞘の環、海綿状物又は膣坐剤のようなものでよく、又はそれは、調剤物の形態で、錠剤、糊状物、坐剤、生物学的接着性の錠剤、生物学的接着性の微粒子、乳脂状物、水薬、軟膏又はゲルのようなものであってよい。
【0208】
頬の丸薬のような構造装置は完全に、又は部分的に、泡状物又は薄膜で被覆され、又は覆われ得、又は泡状物又は薄膜は装置の内側に、又は任意の便利な配置において装置の特定部分中に挿入され得る。
【0209】
代わりに、薬物は泡状物でない(非-泡)、薄膜でない(非-薄膜)の装置で、丸薬のようなもの中に組み込むことができ、及び空の泡状物又は薄膜の組成物を、放出率の調節の目的だけのためのそのような装置を被覆し、又は覆うために用いることができる。
【0210】
参考として本明細書に組み込む関連した特許及び特許出願に記述されるこれらの、及び他の鞘又は頬の装置は、制癌性又は抗ウイルス性の薬物の配送のために、首尾よく利用し得る。
(有用性)
【0211】
本発明はHIV/AIDS及び癌の処置のために有用である。
【0212】
制癌性又は抗ウイルス性の薬物が経口の経路によって投与されるとき、HIV/AIDS及び癌の処置のための薬物の生物学的利用能は著しく制限される。この制限は2種の特定の関連した問題による。
【0213】
最初に、薬物の吸収は、胃腸粘膜からの薬物の迅速な排除(expulsion)のために著しく制限される。そのような排除は、腸の流出系によって媒介され、例えば、P-糖タンパク質によってのようなものであり、それは薬物の腸での吸収を制限し、体循環に達するこれらの薬物の顕著に低い濃度に導く。
【0214】
第2に、薬物の広範囲での分解が、前体系的に(presystemically)、胃腸粘膜において及びより一層大部分、肝臓における多数の代謝性酵素によって行われる。主なこれらの酵素はシトクロムP450イソ酵素類であり、それらは、高濃度で腸の粘膜において、及び肝臓において存在する。
【0215】
薬物の経口管理は更に、それらのもののほとんどすべてが、主要な胃腸毒性を持つという事実によって制限され、その毒性は、受動体が各々の部類において各々の薬剤の1種よりも多くの投与で特に耐えることができないものである。
【0216】
本発明は、これらの問題を、鞘/頬の薬物配送のための方法を提供し、それによって、経口の薬物投与で遭遇する問題を排除することで解決する。
【0217】
本発明は更に、低い生物学的利用能を持つ他の薬物、ビスホスホネート類、NSAIDS(非ステロイド抗炎症薬)、抗片頭痛及び制吐の薬物、抗菌物質又は他のこの種の薬物のようなものに適用可能である。
【実施例】
【0218】
(例1)
(薬物部類の決定)
薬物開発及び再検討処理の効率を、消費できる臨床生物学的等価性試験を確認するための戦略を推奨することによって改善するために、Biopharmaceutical Classification System(BCS)の手引きがPharmaceutical Sciencesのオフィスによって開発された。
【0219】
この系のための原理的説明は、生物学的等価性が試験管内溶出試験に基づいて査定され得る即時の放出(immediate-release、IR)の固形経口剤形の部類を推奨すること、溶解性及び薬物質の透過性の特徴と共に、剤形の溶出に従う分類のための方法を推奨することであった。
【0220】
BCSに従い、薬物質は以下のように分類される。即ち、
部類I-高い透過性、高い溶解性
部類II-高い透過性、低い溶解性
部類III-低い透過性、高い溶解性
部類IV-低い透過性、低い溶解性
【0221】
薬物質は、最も高い用量強度が≦250mLの水で1〜7.5のpH範囲にわたって溶解するとき、高度に可溶性であると考える。溶解性は、1〜7.5のpH範囲で、水性媒質において試験薬物のpH溶解性側面によって定める。
【0222】
薬物質は、ヒトでの吸収の範囲が≧90%の投与用量であるとき、薬物質は高度に透過性であると考え、質量バランス又は静脈内の対照用量との比較に基づく。透過性は、ヒトでの吸収の範囲によって、質量-バランスの薬物動態学的な調査によって、絶対的な生物学的利用能の調査によって、腸の透過性の方法によって、ヒトでの生体内腸の灌流調査によって、動物での生体内又は原位置の腸の灌流調査によって、切除された人間又は動物の腸の組織を用いる試験管内の透過性実験によって、上皮細胞単分子層を横切る試験管内の透過性実験によって、定められる。
【0223】
薬物生成物は、≧85%の標識量の薬物質が30分以内に、USP(米国薬局方)装置I又はIIを用い、≦900mLの緩衝剤溶液の容量において溶解するとき、迅速に溶解するものと考える。溶解性は、USP装置I(かご)を用いて100rpmで又はUSP装置II(かい)の50rpmで、溶解媒質(900mL): 0.1NのHCl又は模擬された胃液、pH4.5の緩衝液、及びpH6.8の緩衝液又は模擬された腸液、及び類似性因子(f2)を用いる試験及び対照生成物の溶解側面を比較することによって定める。
(例2)
(膜流出活性の決定)
【0224】
この例は、腸、膣又は口腔の粘膜における膜流出活性の違いを決定するために用いることができる実験的な手法を記載する。
【0225】
簡潔には、新鮮な粘膜試料を、雌性の、白いニュージーランドウサギから収集し、下にある結合組織から分け、及び修飾されたFranz(フランツ)-型拡散セル(5mmの直径)に装着する。先端から基底外側への、並びに反対方向への透過性の調査は、粘膜組織について設計される連続的流れ灌流室(チャンバ)を使って実行する(Squier(スクワイア)et al. J. Pharm. Sci.(ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシーズ)、86、82-84(1997年))。1mLの0.01MのPBS(pH7.4)において溶解される3H-リトナビル(〜3μCi/mL)を、提供側物区画に適用され、及び受取られる区画における灌流液を16時間中閃光小びん中に収集する。放射能を、Beckman(ベックマン)LS 6500を用いる液体閃光計数によって定める。各々の輸送実験を、4種の反復組織試料において実行する。見かけの透過係数P(見かけ)(Papp)をPapp[cm/分]=(ΔQ/Δt)/Axe(0)[式中、ΔQ/Δt=受取り物での質量の線形出現速度、Aは=断面領域(即ち、0.20cm2)、及びc(0)=提供側物区画のt=0における初期のリトナビル濃度]に従い定常状態流出から算出する。個々及び中央値のPappは、対応する標準偏差(S. D.)と共に、各群について算出する。統計的有意性は、p(危険率)<0.05でのTukey's family error(チューキーの族誤差)を使う1-方向-分散分析(分散分析)によって試験する。リトナビルの透過性に及ぼす膜流出系の貢献を評価するために、R(流出)(Reffiux)をPapp(基底外側-先端)/Papp(先端-基底外側)の比率として算出する。
(例3)
(膣のパクリタキセル坐剤)
【0226】
この例は、パクリタキセルから構成される膣坐剤の調製を例示する。
【0227】
10種の坐剤を調製するために、3.5gのパクリタキセル(Beijing Zhongshuo Pharmaceutical Technology Development Company, Ltd.(ペイチン・チョンウショ・ファーマシューティカル・テクノロジ・デベロップメント社)、Beijing(北京)、China(中国))を、11.5mLのジエチレングリコールモノエチルエーテル:ミリスチン酸イソプロピル:α-トコフェロール(90:8:2(v/v))、及び115mgのゲニステインを補充したものにおいて溶解する。この薬を含有する混合物は、50℃に維持される15.6gの液化されたSuppocire(R) CM(Gattefosse、Paramus、NJ)に緩徐に添加する。激しく攪拌しながら、懸濁物をPE/PVDC-被覆PVC坐剤のそで(スリーブ)中に包装するのに先立ち更に冷却する前に、Daw Chemical Company(ダウケミカル社)(Midland(ミッドランド)、MI)からのMethocel(R) Kとして得られる300mgのヒドロキシプロピルメチルセルロースを添加する。
【0228】
膣のパクリタキセル坐剤の量的組成は、以下の通りである。即ち、350mgの抗癌薬剤パクリタキセル(11.5%、(w/w))、1560mgの親油性担体Suppocire(R) CM(51.1%、(w/w))、30mgの粘膜接着性薬剤のヒドロキシプロピルメチルセルロース(1.0%、(w/w))、990mgの非イオン性グリコールエーテルジエチレングリコールモノエチルエーテル(32.4%、(w/w))、11.5mgの植物性生物学的利用能調節物質ゲニステイン(0.4%、(w/w))及び110mgの追加の賦形剤で、可溶化性薬剤及び酸化防止剤(3.6%、(w/w))。
(例4)
(膣のロピナビル泡状物)
【0229】
この例は、ロピナビルから構成される膣の泡状物の調製のための処理を例示する。
【0230】
アルギン酸ナトリウム(Sigma-Aldrich、Corp.、St. Louis、MO)の5%(w/w)の重合体混合物及びDaw Chemical Company(Midland、MI)からのMethocel(R) Kとして得られるヒドロキシプロピルメチルセルロースを、50:50の比率の、0.5Mのリン酸塩緩衝剤で、pH7.8で70-85℃の間に加熱して調製する。この懸濁物を、ほぼ45℃に冷却させ、その前に350mgのイソベルガプテン(isobergapten)(ChromaDex, Inc.(クロマデックス社), Santa Ana(サンタ・アナ), CA(カリフォルニア州米国))、260mgのナリンゲニン(R&S Pharmchem Company, Ltd.(R&Sファームケム社)、Hangzhou City(ハンチョウ・シティ、杭州市)、China)及び1.86gの抗ウイルス薬物ロピナビル(Aquatic Remedis Pvt., Ltd.(アクアティク・レミディス社)、Mumbai(ムンバイ)、India(インド))を濁った混合物において分散させる。部分(アリコート)を、10mLの注射筒に充填し、及び組成物を-80℃で少なくとも12時間凍らせる前に冷却させる。凍った円筒形の用量単位を予備冷却した金属盆(トレイ)に移し、冷凍乾燥処理に少なくとも72時間-20℃でかける。次いで、付加的に6時間室温での乾燥工程を続け、30mmの長さにつき各々の約285mgに秤量する膣のロピナビル泡状物を注射筒から取り出し、及び水分-不浸透性の小袋(ポーチ)において密閉する。
(例5)
(膣のドキソルビシン薄膜)
【0231】
この例は、ドキソルビシンから構成される膣の薄膜の調製を例示する。
【0232】
薄膜前駆体溶液を、14.0mLの重合体溶液(4.1gの水溶性酸化ポリエチレン(MW〜200,000、12-15cPs/l%(w/v)溶液の25℃でのもの及び0.9gのKlucel(R)(クルセル) HF(Hercules, Inc.(ヘーラクレース社)、Wilmington(ウィルミントン)、DE(デラウエア州米国))を0.5Mのリン酸塩緩衝剤pH7.8のUSP無菌水において調製するもの)を、2.5gの塩酸ドキソルビシンと共に調製されるドキソルビシン溶液の6.0mL(Aquatic Remedis Pvt., Ltd.、Mumbai、India)、Tween 20/Brij(ブリジ) 30混合物(45:55、v/v)の350mg、1.2mLのジエチレングリコールモノエチルエーテル、500mgのタンゲレチン(tangeretin)、及びUSP無菌水中での150mgのエリソルビン酸ナトリウムと一緒のもの)を混ぜることによって調製する。次いで、5分間の3000rpmの低速遠心分離に続け、薄膜前駆体溶液を、0.05mmの隙間によって分けられる2種のSigmacote(シグマコテ)処置するガラス板状物の間で矩形の領域中に配置され、及びゲル乾燥系(Hoefer Scientific Instruments(ヘファ・サイエンティフィク・インスツルメント社)、San Francisco(サンフランシスコ)、CA)を用いて<3%(w/w)の残留水にまで乾燥する。乾燥薄膜層を、慎重にガラス板状物から剥がし、200から250までのmgの間でおよその重さを有する矩形の単位(1x3インチ(1インチ=約2.54cm))に切断する。
(例6)
(頬のサキナビル薄膜)
【0233】
この例は、頬のサキナビル薄膜の調製を例示する。
【0234】
抗ウイルス薬サキナビル(Aquatic Remedis Pvt., Ltd., Mumbai, Indiaから得られる5.2g)のメシラート塩を、5mLのジエチレングリコールモノエチルエーテルの水溶液: Tween60: エタノール(35:10:32(v/v))で、25mg及び15mgの酸化防止剤のブチル化ヒドロキシアニソール及びブチル化ヒドロキシトルエンをそれぞれ補充したものに添加する。この薬懸濁物を、重合体溶液の10.5mLと結合する(300mgの水溶性の酸化ポリエチレン(MW〜300,000、25℃で20cPs/l%(w/v)溶液、Walocel(R)(ワロセル) HM-6PAの1860mg、及びUSP無菌水中で465mgのWalocel HM-50PA(Bayer Corporation、West Heaven(ウエスト・ヘブン)、CT(コネティカット州米国))。次いで、5分間の3000rpmの低速遠心分離に続き、薄膜前駆体混合物を1mmの隙間によって分けられる2種のSigmacote処置するガラス板状物の間の矩形領域中に配置し、ゲル乾燥系(Hoefer Scientific Instruments、San Francisco、CA)を用いて<3%(w/w)の残留水にまで乾燥する。乾燥薄膜層を、ガラス板状物から慎重に剥がし、及び200-250の間のmgでおよその重さを有する個々の1cm2くらいの用量単位を薄膜シートから切断し、及びエチルセルロースの裏打ち薄膜と積層する。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【図1】試験管内(インビトロ)での腸、膣、頬のウサギ(ラビット)粘膜を横切るリトナビルの経上皮輸送を制限する膜流出系の貢献を例示するように得られ得るグラフである。
【図2】試験管内で腸のウサギ粘膜を横切るパクリタキセルの経上皮輸送に及ぼすグリコールエーテル類による膜流出活性の抑制を例示するように得られ得るグラフである。
【図3】試験管内でウサギ肝ミクロソームを用いるクマリンのシトクロムP450によって媒介される酸化の抑制をグリコールエーテル類で例示するように得られ得るグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)/後天性免疫不全症候群(AIDS)の処置に適する抗ウイルス性又は制癌性の組成物であって、その必要性のある対象体について経鞘的に又は口腔を通して管理する粘膜組成物を提供することによるものであり、前記組成物は、各々単独又は組合せで、少なくとも1種の抗ウイルス性又は1種の制癌性の薬剤を、非イオン性グリコールエーテルと又は植物性生物学的利用能調節物質との組合せ、又は双方の組合せで備え、前記抗ウイルス性の薬物は表3-7において挙げる化合物からなる群より選ばれ、及び前記制癌性の薬物は表8及び9において挙げる化合物からなる群より選ばれる、組成物。
【請求項2】
前記抗ウイルス性薬物は、付着抑制剤、融合抑制剤、抗レトロウイルス性薬物、ヌクレオシド又はヌクレオチド逆転写酵素抑制剤又は抗HIVプロテアーゼ抑制剤である、請求項1の組成物。
【請求項3】
前記制癌性薬物は、アルキル化薬剤、代謝拮抗物質、DNA切断物質又はDNA結合剤、トポイソメラーゼI又はトポイソメラーゼIIの有害物質、又は、タクソール(商標)又はタクソール誘導体である、請求項1の組成物。
【請求項4】
前記非イオン性グリコールエーテルは、(1)エチレングリコールモノメチルエーテル、(2)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(3)トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(4)ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(5)エチレングリコールモノエチルエーテル、(6)ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(7)トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(8)エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、(9)エチレングリコールモノブチルエーテル、(10)ジエチレングリコールモノブチルエーテル、(11)トリエチレングリコールモノブチルエーテル、(12)エチレングリコールモノイソブチルエーテル、(13)ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、(14)エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、(15)ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、(16)エチレングリコールモノアリルエーテル、(17)エチレングリコールモノフェニルエーテル、(18)エチレングリコールモノベンジルエーテル、(19)ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、(20)プロピレングリコールモノメチルエーテル、(21)ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、(22)トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、(23)ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、(24)プロピレングリコールモノブチルエーテル、(25)ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、(26)プロピレングリコールモノフェニルエーテル、(27)エチレングリコールジメチルエーテル、(28)ジエチレングリコールジメチルエーテル、(29)トリエチレングリコールジメチルエーテル、(30)ジエチレングリコールジエチルエーテル、(31)ジエチレングリコールジブチルエーテル、(32)ジプロピレングリコールジメチルエーテル、(33)ジエチレングリコールモノエチルエーテル及び(34)エトキシジグリコールからなる群より選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項5】
前記植物性生物学的利用能調節物質は、(1)Actaea racemosa L. (Ranunculaceae)、(2)Aesculus hippocastanum L. (Hippocastanaceae)、(3)Allium ampeloprasum L. (Liliaceae)、(4)Allium sativum L. (Liliaceae)、(5)Allium tuberosum Rottl. (Liliaceae)、(6)Alpinia galangal L. (Zingiberaceae)、(7)Boswellia carteri Birdw. (Burseraceae)、(8)Boswellia frereana Birdw. (Burseraceae)、(9)Boswellia sacra Flueckiger (Burseraceae)、(10)Boswellia serrata Roxb. (Burseraceae)、(11)Camelia sinensis Kuntze (Theaceae)、(12)Catharanthus roseus L. (Apocyanaceae)、(13)Cinnamomum burmani Blume (Lauraceae)、(14)Citrus aurantium L. (Rutaceae)、(15)Citrus paradisi Macfad. (Rutaceae)、(16)Crataegus oxyacantha Rehd. (Rosaceae)、(17)Curcuma longa L. (Zingiberaceae)、(18)Echinacea angustifolia DC. (Asteraceae)、(19)Echinacea pallida Nutt. (Asteraceae)、(20)Echinacea purpurea Moench. (Asteraceae)、(21)Eleutherococcus senticosus Maxim. (Araliaceae)、(22)Foeniculum vulgare P. Mill. (Apiaceae)、(23)Gingko biloba L. (Ginkoaceae)、(24)Glycine max Merr. (Fabaceae)、(25)Hydrastis Canadensis L. (Ranunculaceae)、(26)Hypericum perforatum L. (Clausiaceae)、(27)Hypoxis hemerocallidea L. (Iridaceae)、(28)Matricaria recutita L. (Asteraceae)、(29)Melaleuca leucadendra L. (Myrtaceae)、(30)Oenothera biennis L. (Myrtaceae)、(31)Panax guinquefolius L. (Araliaceae)、(32)Piper methysticum G. Forst. (Piperaceae)、(33)Piper nigrum L. (Piperaceae)、(34)Salvia miltiorrhiza L. (Lamiaceae)、(35)Serenoa repens Small (Arecaceae)、(36)Serenoa serrulata Nichols (Arecaceae)、(37)Silybum marianum Gaertn. (Asteraceae)、(38)Strychnos ligustrina Zipp. (Loganiaceae)、(39)Sutherlandia frutescens R. Br. (Fabaceae)、(40)Tinospora crispa Hook. f. & Thomson (Menispermaceae)、(41)Uncaria tomentosa Roxb. (Rubiaceae)、(42)Valeriana officinalis L. (Valerianaceae)、(43)Vitis vinifera L (Vitaceae)、及び(44)Zingiber cassumunar Roxb. (Zingiberaceae)、(45)Zingiber officinale Roscoe (Zingiberaceae)、及び前記調節物質から分離される構成成分からなる群より選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項6】
前記構成成分は、(1)アクテイン、(2)エスシン、(3)アジマリシン、(4)アリシン、(5)ベルベリン、(6)ベルガモチン、(7)ベルガプテン、(8)ビロバライド、(9)カテキン、(10)シミラセモシドA-F、(11)シス-リノール酸、(12)クルクミン、(13)デスメトキシヤンゴニン、(14)ジヒドロカバイン、(15)ジヒドロメチスチシン、(16)脂肪酸エステル、(17)ゲニステイン、(18)グアールガム、(19)ギンコール酸I及びII、(20)3,3’,4’,5,6,7,8-ヘプタメトキシフラボン、(21)ヒドラスチン、(22)ハイパホリン、(23)I3、II8-ビアピゲニン、(24)イソベルガプテン、(25)イソレムネチン、(26)ケンペロール、(27)カバイン、(28)リモニン、(29)メチスチシン、(30)ナリンゲニン、(31)ナリンギン、(32)ノビレチン、(33)オバクノン、(34)オレアノール酸、(35)ペクチン、(36)ピペリン、(37)ケルセチン、(38)キニジン、(39)S-アリル-L-システイン、(40)サーパンタイン、(41)シリビニン、(42)シリクリスチン、(43)シリジアニン、(44)シリビン、(45)S-メチルL-システイン、(46)酪酸ナトリウム、(47)タンゲレチン、(48)タクシホリン、(49)ウルソル酸、(50)バレレン酸、(51)ビンドリン、(52)ビンテキシン、(53)6,7-ジヒドロキシベルガモチン、及び(54)ヤンゴニンからなる群より選ばれる精製又は未精製の化合物で、前記構成成分は前記組成物中に約0.01から約750までのmgの量で組み込まれる、請求項3の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、単独で又は組合せにおいて、更に親油性担体、親水性担体、粘膜接着性薬剤、侵入増強物質、収着増進物質、可溶化性薬剤、酸化防止剤、緩衝剤、可塑剤、潤滑剤、充填材、安定剤又は乳化剤を含む、請求項1の組成物。
【請求項8】
坐剤、ゲル、噴霧物、薄膜、泡状物、海綿状物、乳脂状物、錠剤、小容器、乳濁物、溶液、水薬、懸濁物、粒子、微粒子又は生物学的接着性微粒子として調剤される、請求項7の組成物。
【請求項9】
鞘装置又は口腔中に挿入可能な装置中に組み込まれ、付随され、それを覆い又は前記装置と接触する、請求項8の組成物。
【請求項10】
前記鞘装置は、タンポン、タンポン様の装置、環、鞘坐剤、海綿状物、泡、錠剤又は丸薬であり、及び前記口腔中に挿入可能な装置は、丸薬、錠剤、泡状物、薄膜、枕状物又は細条である、請求項9の組成物。
【請求項11】
癌及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)/後天性免疫不全症候群(AIDS)の処置のための方法であって、その必要性のある対象体について、表3-9において挙げる薬物からなる群より選ばれる少なくとも1種の抗ウイルス性又は1種の制癌性の薬剤を各々単独又は組合せで備える請求項1の粘膜の組成物の提供によるものである、方法。
【請求項12】
前記組成物は、経鞘的に又は口腔中に治療上有効な量で管理され、前記抗ウイルス性又は制癌性の薬物は、約0.001から約3000までのmgにおいて存在する、請求項11の方法。
【請求項13】
前記組成物は、坐剤、ゲル、噴霧物、薄膜、泡状物、海綿状物、乳脂状物、錠剤、小容器、乳濁物、溶液、水薬、懸濁物、粒子、微粒子又は生物学的接着性微粒子として調剤され、及び経鞘的に管理され、又は鞘装置に組み込まれ、付随され、又はそれを覆い、前記鞘装置は、タンポン、タンポン様の装置、環、鞘坐剤、海綿状物、泡状物、錠剤又は丸薬である、請求項12の方法。
【請求項14】
前記組成物は、ゲル、噴霧物、薄膜、泡状物、海綿状物、乳脂状物、錠剤、小容器、乳濁物、溶液、水薬、懸濁物、粒子、微粒子又は生物学的接着性微粒子として調剤され、及び口腔中に管理され、又は口腔中に挿入可能な装置に組み込まれ、付随され、又はそれを覆い、又は前記装置と接触され、前記挿入可能な装置は、丸薬、錠剤、泡状物、薄膜、枕状物又は細条である、請求項12の方法。
【請求項15】
代謝性酵素を調節するための方法であって、流出輸送体系の機能的な活性の抑制によるものであり、次の工程、即ち
a.粘膜接着性の経鞘的又は経口的に挿入可能な組成物を調製する工程であり、組成物は、単独で又はその組合せで、表3-9に挙げる合成物からなる群より選ばれる抗ウイルス性又は制癌性の薬物を備え、及び更に表1に挙げる化合物からなる群より選ばれる非イオン性グリコールエーテル誘導体、表2に挙げる化合物からなる群より選ばれる植物性生物学的利用能調節物質を備える工程、及び
b.前記組成物を鞘又は口腔の粘膜に配送する工程
を備える、方法。
【請求項16】
前記組成物は、経鞘的に又は口腔中に治療上有効な量で管理され、前記抗ウイルス性又は制癌性の薬物は、約0.001から約3000までのmgにおいて存在する、請求項15の方法。
【請求項17】
前記組成物は、坐剤、ゲル、噴霧物、薄膜、泡状物、海綿状物、乳脂状物、錠剤、小容器、乳濁物、溶液、水薬、懸濁物、粒子、微粒子又は生物学的接着性微粒子として調剤され、及び経鞘的に管理され、又は鞘装置に組み込まれ、付随され、又はそれを覆い、前記鞘装置は、タンポン、タンポン様の装置、環、鞘坐剤、海綿状物、泡状物、錠剤又は丸薬である、請求項16の方法。
【請求項18】
前記組成物は、ゲル、噴霧物、薄膜、泡状物、海綿状物、乳脂状物、錠剤、小容器、乳濁物、溶液、水薬、懸濁物、粒子、微粒子又は生物学的接着性微粒子として調剤され、及び口腔中に管理され、又は口腔中に挿入可能な装置に組み込まれ、付随され、又はそれを覆い、又は前記装置と接触され、前記挿入可能な装置は、丸薬、錠剤、泡状物、薄膜、枕状物又は細条である、請求項16の方法。
【請求項19】
前記抗ウイルス性又は制癌性の薬物は、低い透過性及び低い溶解性(部類IV)、又は低い溶解性及び高い透過性(部類II)又は高い溶解性及び低い透過性(部類III)を持つ、請求項18の方法。
【請求項20】
口腔中に又は経鞘的に挿入可能な装置であって、前記装置は請求項1の粘膜接着性組成物を備える、装置。
【請求項21】
前記装置は、鞘のタンポン、タンポン様の装置、環、鞘坐剤、海綿状物、泡状物、錠剤又は丸薬であり、前記装置は、前記組成物を組み込まれ、付随され、又はそれで被覆される、請求項20の装置。
【請求項22】
前記装置は、前記組成物を組み込まれ、付随され、又はそれで被覆される、丸薬、錠剤、泡状物、薄膜、枕状物又は細条として経口的に挿入可能である、請求項20の装置。
【請求項23】
前記組成物は、ゲル、噴霧物、薄膜、泡状物、海綿状物、溶液、懸濁物、粒子、微粒子、又は生物学的接着性微粒子として調剤される、請求項20の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−508869(P2009−508869A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531372(P2008−531372)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/036087
【国際公開番号】WO2007/035515
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(503014528)ユーエムディー, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】