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シトラール含有飲料
説明

シトラール含有飲料

【課題】シトラール含有飲料におけるシトラールの光による劣化を効果的にかつ低コストで抑制する手段を提供すること。
【解決手段】セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンを含有し、かつ酸性であることを特徴とする、シトラール含有飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光による劣化が抑制されたシトラール含有飲料およびその製造方法、ならびに飲料中のシトラールの光による劣化を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シトラールは、レモンやライムなどの柑橘系の果物などに含まれる独特の香気・香味を有する成分である。シトラールは光の照射を受けると異性化、酸化、分解などによって化学構造が変化して劣化臭成分が生成され、シトラール自体が減少することが知られている(非特許文献1)。そのため、シトラールを含有する製品は、製造、流通、保存などの各段階で光に暴露されると、本来のフレッシュなシトラス感が失われるだけでなく、生成した劣化臭により製品の品質が著しく低下する。
【0003】
最近では、透明ガラス容器や透明プラスチック容器入りの飲料が増加しており、更にそうした飲料をコンビニエンスストア、スーパーなどでは長時間、蛍光灯または日光の下に陳列する販売形態が一般的になっている。その結果、シトラールの減少と劣化臭の生成に起因する製品の品質低下や劣化臭の発生の問題が従来に比べてより頻繁に起こる傾向にあり、その早期の解決が望まれるところである。
【0004】
そこで、光によるシトラールの劣化に対して、酸化防止剤としてビタミンCの添加(非特許文献2)や植物の溶媒抽出物の添加(特許文献1〜2)などの対策が検討されている。しかし、充分な劣化抑制効果を期待するには多量にこれらの成分を添加する必要があり、それによって香味が損なわれることもある。また、光透過性を抑えた容器や袋などの包装手段の改良による劣化抑制方法も提案されているが、これもコストと劣化抑制効果の両面から考えると充分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−255778号公報
【特許文献2】特開2004−292778号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】R.C.Cookson et al., Tetrahedron, 19, 1995(1963)
【非特許文献2】H.Terada et al., The proceedings of the EighthWeuruman Flavour Reserch Symposium, held in Reading, UK on 23-26 July 1996 p82-85
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、シトラール含有飲料におけるシトラールの光による劣化を効果的にかつ低コストで抑制する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の(1)〜(6)の発明を包含する。
(1) セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンを含有し、かつ酸性であることを特徴とする、シトラール含有飲料。
(2) セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンの含有量が、それぞれ0.0025〜0.2重量%であって、かつ合計で0.01〜0.8重量%である(1)記載の飲料。
(3) 飲料のpHが4未満である、(1)または(2)記載の飲料。
(4) 飲料が、透明又は半透明容器に充填されていることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の飲料。
(5) シトラールを含有しかつ酸性である飲料に、セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンを含有させることを特徴とする、シトラール含有飲料の製造方法。
(6) シトラールを含有しかつ酸性である飲料に、セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンを含有させることを特徴とする、シトラール含有飲料中のシトラールの光劣化抑制方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光によるシトラールの減少と劣化臭の生成が抑制されたシトラール含有飲料が提供される。本発明のシトラール含有飲料は、透明ガラス容器や透明プラスチック容器入りの飲料の販売形態で店頭に長期間おいても品質低下や劣化臭の発生がなく、また光劣化抑制剤などの添加剤を使用していないので飲料本来の香味が損なわれず、安全性にも優れる。また、本発明のシトラール含有飲料は、酵素処理やマスキング処理などの特別な処理や光遮断のための特別な包装を行うことなく製造できるのでコストがかからず経済的である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のシトラール含有飲料は、セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンを含有し、かつ酸性であることを特徴とする。
【0011】
本発明のシトラール含有飲料に用いる上記4種のアミノ酸のうち、セリン、アラニン、およびシトルリンは、D体およびL体のいずれを用いてもよいが、L体が好ましく用いられる。
【0012】
また、上記アミノ酸は、その塩であってもよい。アミノ酸の塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩があげられる。
【0013】
本発明のシトラール含有飲料における上記それぞれのアミノ酸の含有量は、0.0025〜0.2重量%、好ましくは0.01〜0.15重量%であって、かつ合計で0.01〜0.8重量%、好ましくは0.1〜0.4重量%である。
【0014】
また、本発明のシトラール含有飲料のpHは、pH7未満の酸性であればいずれのpHでもよいが、シトラールの劣化が促進されるpH2.5〜4.5が好ましく、pH2.5〜4がより好まししい。
【0015】
本発明のシトラール含有飲料は、シトラールを含有しかつ酸性である飲料であれば、特に限定がされず、非アルコール飲料およびアルコール飲料のいずれも含む。非アルコール飲料としては、例えば、炭酸飲料、ミネラルウォーター(硬水・軟水)、スポーツドリンク、ニアーウォーター、茶飲料(緑茶飲料・紅茶飲料・ウーロン茶飲料・麦茶飲料)、コーヒー飲料、乳飲料、果汁入り飲料(特に、柑橘果汁および/または柑橘果肉入り飲料)、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁飲料などがあげられる。また、アルコール飲料としては、例えば、ビール、発泡酒、酎ハイ、ウイスキー、バーボン、スピリッツ、リキュール、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎などがあげられる。上記飲料のなかでも、特にシトラールの劣化による影響の大きいものが好ましく、具体的にはスポーツドリンクや炭酸飲料が好ましい。
【0016】
本発明でいうシトラールとは、ゲラニアール(geranial)とネラール(neral)の総称をいい、天然物由来であっても、合成により製造されたものであってもよいが、天然物由来のものが好ましい。天然物由来のシトラールは、レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘類の果皮や、レモングラスやその同属種の植物の葉から圧搾または水蒸気蒸留により得られる精油から単離することができるが、精油をそのまま用いてもよい。
【0017】
本発明のシトラール含有飲料は、シトラールをそのまま添加したものであっても、シトラス香料(レモン香料、オレンジ香料、ライム香料、グレープフルーツ香料など)中に含まれる形で添加されたものであってもよい。
【0018】
飲料中のシトラールの濃度に特に限定はなく、それぞれの飲料に応じた濃度を適宜設定することができるが、通常は、10〜100ppm程度である。
【0019】
本発明のシトラール含有飲料は、適量のシトラールと、前記所定範囲の量のセリン、アラニン、およびシトルリンを含有させる以外は、その飲料の種類に応じた原料を用い、その飲料の製造で通常用いられている方法及び条件に従って製造することが出来る。上記アミノ酸を含有させる方法は、たとえば上記アミノ酸を飲料に添加する方法があげられるが、これに限定されるものではない。
【0020】
本発明のシトラール含有飲料は、代表的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸味料とショ糖、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、オリゴ糖類などの糖類を基本処方とする酸性飲料に、上記アミノ酸を含有させたものであるが、飲料において許容され、通常使用される添加物、例えば、アスパルテーム、スクラロース、ステビア等の甘味料、ビタミン類、着色料、安定剤、酸化防止剤、pH調整剤、乳化剤、保存料、防腐剤、防かび剤、発色剤などを含有してもよい。
【0021】
本発明のシトラール含有飲料は、PETボトル、ガラスビンなど光透過性を有する透明容器又は半透明容器に充填した形態で提供するのが好適である。充填される容量は制限されない。
【実施例】
【0022】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
【0023】
[実施例1]
シトラス香料、糖および酸味料を用いて、シトラールを含有させたスポーツドリンク(対照区)を調製した。セリンを0.06重量%、グリシンを0.03重量%、アラニンを0.03重量%およびシトルリンを0.02重量%含有させる以外は同様の操作を行って、アミノ酸およびシトラールを含有するスポーツドリンク(試験区)を調製した。また、アスパラギン酸を0.11重量%、アルギニンを0.04重量%、リジンを0.04重量%、その他8種のアミノ酸(セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンを含まない)を0.036重量%含有させる以外は同様の操作を行って、アミノ酸およびシトラールを含有するスポーツドリンク(比較区)を調製した。なお、これらの飲料におけるアミノ酸の含有量はいずれも13mmol/lである。該アルギニン等の11種のアミノ酸の組成は、市販のアミノ酸含有飲料の組成を参考にした。
【0024】
これらのシトラール含有飲料をそれぞれUHT殺菌(106.5℃で30秒間)に供し、280mlのペットボトルに充填した。
【0025】
充填後、3つの曝光条件下(15℃3000Lxで4または6週間、15℃12000Lxで1週、15℃9000Lxで1週または2週)で保存した。保存後、習熟したパネラー5人を選んで、各飲料の香気について官能評価を実施した。官能評価は、香気成分の曝光劣化の抑制の程度に着目して行った。
【0026】
結果を表1に示す。なお、表中の各記号の説明は以下のとおりである。
○:曝光劣化が抑制されて、フレッシュな香気が残存している
△:曝光劣化が官能的に感じられるが、やや抑制されている
×:曝光劣化が抑制されておらず、香気のフレッシュ感が減少している
【0027】
【表1】

【0028】
表1に示すとおり、いずれの保存条件においても、アミノ酸4種を添加した試験区ではシトラールの光による劣化が抑制されており、フレッシュな香気が保持されていた。一方、アミノ酸を添加しない対照区では、カメムシ様の光劣化臭を感じ、フレッシュな香気も減少していた。また、セリン、アラニン、グリシンおよびシトルリンを含まないアミノ酸11種を添加した比較区では、シトラールの光による劣化の抑制効果が少なく、フレッシュな香気が大きく減少していた。
【0029】
[製造例1]
下記表2に示す組成でシトラール含有飲料を製造する。
【0030】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、スポーツドリンクなどのシトラール含有飲料の製造分野において利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンを含有し、かつ酸性であることを特徴とする、シトラール含有飲料。
【請求項2】
セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンの含有量が、それぞれ0.0025〜0.2重量%であって、かつ合計で0.01〜0.8重量%である請求項1記載の飲料。
【請求項3】
飲料のpHが4未満である、請求項1または2記載の飲料。
【請求項4】
飲料が、透明又は半透明容器に充填されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の飲料。
【請求項5】
シトラールを含有しかつ酸性である飲料に、セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンを含有させることを特徴とする、シトラール含有飲料の製造方法。
【請求項6】
シトラールを含有しかつ酸性である飲料に、セリン、グリシン、アラニンおよびシトルリンを含有させることを特徴とする、シトラール含有飲料中のシトラールの光劣化抑制方法。

【公開番号】特開2013−70669(P2013−70669A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212465(P2011−212465)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】