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シトルリンを使用する治療
説明

シトルリンを使用する治療

【課題】血中アルギニンレベルを上昇させ又は維持し、現在のアルギニンの補給を超えて改善された味覚特性を有することが利点となる病態の治療又は維持のための方法及び製剤の提供。
【解決手段】L−シトルリンを個体に投与するステップを含む。有効量のL−シトルリンは、経口投与可能な栄養補助食品で個体に投与できる。該補助食品は、個体に栄養的、生理学的又は医療的に利点を提供する、さまざまな原料をさらに含んで良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血中アルギニンレベルを上昇させ又は維持し、現在のアルギニンの補給を超えて改善された味覚特性を有することが利点となる病態の治療又は維持に関する。さらに本発明は、全般に早期満腹感の治療に、より具体的には胃の平滑筋の弛緩を促進するためのL−シトルリンの投与に関する。加えて本発明は全般に、透析開始前若しくは透析を受けている間又は両方において投与する場合の、腎機能の低下した患者における創傷治癒の増進及び微小循環の改善の利点のためのシトルリンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
早期満腹感は、十分なカロリー及び/又は液体を摂取する前に充足を感じることである。消化不良は、食物摂取後の早期満腹感、不快感、胸やけ及び/又は吐き気を含む、慢性又は再発性の上腹部の症状を特徴とする消化器系の障害である。急性又は長期の早期満腹感又は消化不良は、栄養失調及び/又は脱水症状をもたらす可能性がある。癌患者、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)などの慢性疾患の患者及び高齢者などの一部の個体は、早期満腹感及び/又は消化不良をしばしば体験する。したがって、これらの個体は、不十分なカロリー又は液体の摂取を体験する可能性がより高く、既存の健康問題をさらに複雑にする可能性がある。
【0003】
早期満腹感及び消化不良の既知の治療方法は、一般的に、個体の食欲を刺激する、或いは低容量の、栄養価及びカロリーの高い補助食品を投与するかのどちらかに焦点を合わせる。どちらの方法も十分ではない。早期満腹感又は消化不良を体験する個体の食欲増進は、単に個体が満腹感を感じた後も食べ続ける、又は消化不良症状が始まる可能性を増すだけであり、多くの場合大きな不快感を引き起こす。栄養価及びカロリーの高い補助食品は、一般的に個体の普通の食事のように風味豊かではなく、したがって早期満腹感又は消化不良の栄養失調及び/又は脱水症状の影響を軽減するための必要量は摂取できそうもない。
【0004】
胃の筋肉は、伸展及び栄養の受容体の刺激を介して脳にフィードバックを提供する。食物摂取の結果として胃が膨張すると、伸展受容体が胃の筋肉において活性化され、迷走神経において阻害シグナルを誘発し、食べることをやめたいと欲する。このような膨張は、基底部の調節反射において特に明らかである。胃の筋肉、特に基底部の筋肉が弛緩した場合、満腹に達する前に個体により多くの食物を摂取させることが可能になる、満腹感の減少が起こる。したがって、胃の平滑筋の弛緩により、早期満腹感は抑制され、伸展受容体の活性化の前に胃に存在する食物の量が増加する。
【0005】
早期満腹感の他の治療法は、したがって胃の筋肉の弛緩に焦点が当てられる。胃の平滑筋を弛緩させる生化学的機序は公知である。一酸化窒素(NO)が、タンパク質の金属イオン又はシステインの硫黄原子のどちらかとの相互作用を介して、細胞タンパク質受容体(例えば、グアニル酸シクラーゼ)に結合する。NOの結合により、タンパク質の変性が生じ、これにより順に、第2のメッセンジャーである環状グアノシン一リン酸(cGMP)の濃度が増加する。cGMPは、下部食道括約筋、基底部、幽門、オッディ括約筋、腸及び肛門の平滑筋などの、平滑筋の弛緩を起こす。したがって、NOの増加は、胃の、特に基底部の平滑筋を含む、平滑筋の弛緩の増進をもたらす。
【0006】
NOの主な供給源は、アミノ酸のアルギニンである。アルギニンは、酵素の一酸化窒素シンターゼ(NOS)により、シトルリンとNOとに代謝される。したがって、胃の筋肉の弛緩を介した早期満腹感の治療法は、アルギニンの摂取の増加を含み得る。しかしこのような方法の難点は、個体によって摂取されたアルギニンの一部のみが、NOへの代謝に利用可能に残るだけである。循環に入る前に、摂取アルギニンの60%ほどが肝臓でアルギナーゼにより代謝され、循環中に残存アルギニンはいずれもシトルリンとNOに代謝され得る。したがって、このような方法は、胃の筋肉の弛緩を誘導するために、アルギニンに富んだ補助食品を大量に摂取する必要があるだろう。このような大量の栄養補助食品は、それ自体で満腹効果を誘導し、その後のNO産生により生じるいずれの弛緩効果にも対抗するであろう。アルギニンの代替の供給源は、アミノ酸のシトルリンからアルギニンを、内部で産生することである。この経路は、全身のアルギニン産生に対して約20%を提供する。シトルリンは腸で産生され、肝臓により代謝されずに循環に入り、腎臓においてほぼ完全にアルギニンに転換される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この点で、上記の欠点に悩まされない早期満腹感の治療方法の必要性がある。
【0008】
さらに、L−アルギニンを含む、いくつかの食事性アミノ酸の、経口栄養組成物への使用は、pHがアルカリ性で好ましくない風味を有する。L−アルギニンの場合、そのことは、その塩基性側鎖の直接の結果である。米国特許出願公開第20020193342号明細書、Hamman及びCalton(2002)「Modifyingundesirable tastes」には、遊離アミノ酸の風味を隠すためのスクラロースの使用が記載されている。米国特許第5780039号明細書、Greenberg他(1998)には、経口栄養組成物のアルギニンの風味の改善及び脂肪酸のカプセル化が記載されている。米国特許出願公開第20020068365号明細書、Kuhrts(2002)では、80%のL−アルギニンと20%のコーティングとの、コーティングされた小顆粒が使用されている。コーティングにより、L−アルギニンの苦味が隠され、持続放出性の、粉末ドリンクミックスが製造される。しかし、従来の方法は風味を隠すことにおいてはいくらか効果的ではあるが、L−アルギニンの風味の問題は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、個体の満腹感及び消化不良の少なくとも1つを治療する方法を提供する。一実施形態において、その方法は、個体に有効量のL−シトルリンを投与するステップを含む。
【0010】
本発明の第1の態様は、個体の満腹感及び消化不良の少なくとも1つを治療する方法を提供し、その方法は個体の細胞において一酸化窒素(NO)濃度を上昇させるステップを含み、NO濃度の上昇により胃の平滑筋が弛緩する。
【0011】
本発明の第2の態様は、個体の細胞において一酸化窒素(NO)濃度を上昇させるのに有効な量のL−シトルリンを含む、経口投与可能な栄養補助食品を提供する。
【0012】
本発明の第3の態様は、塩基性アミノ酸L−アルギニンの苦味を含む組成物の風味を改善することである。溶液のpHは通常、リン酸などの酸を添加することによって平衡を保つが、この酸の添加により、飲料の安定性に問題が増えることがある。しかし、L−アルギニンを完全に、又は部分的にL−シトルリンで代用することにより、pHの平衡を保つために酸(例えばリン酸)を添加する必要のない、pHがより中性の飲料がもたらされる。
【0013】
本発明の第4の態様は、L−シトルリン又はL−オルニチンの経口補給を使用して、血中アルギニンレベルを上昇又は維持するための有効な機序である。アルギニンは、免疫機能、創傷治癒、ホルモン分泌、血管緊張、インスリン感受性及び内皮機能の調節を含む、体内における多くの効果を有する。アルギニンレベルを維持するためのシトルリンの使用が、同様の利点をもたらすことは、本発明の範囲内である。
【0014】
本発明の第5の態様は、哺乳動物、特にヒトにおける、シトルリンからアルギニンへの転換速度が通常より低いことを特徴とする急性又は慢性の疾患の治療又は予防の効果の機序であって、前記哺乳動物について少なくともシトルリンからアルギニンへの転換速度を減少させる量の1日量のシトルリン又はシトルリンの前駆体の少なくとも1つを含む機序である。
【0015】
本発明の第6の態様は、透析開始前若しくは透析を受けている間又は両方において投与する場合の、腎機能の低下した患者における創傷治癒の増進及び微小循環の改善の利点のためのシトルリンの使用である。これは、少なくとも部分的に、哺乳動物による尿素及び/又はアンモニア産生を減少させることによって達成される。
【0016】
本発明の例示的態様は、本明細書中に記載の問題、及び当業者により見出し得る、本明細書中には述べていない他の問題が解決するように設計されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記のように、本発明は、個体における早期満腹感及び/又は消化不良の治療方法を提供する。さらに本発明は、このような治療のための製品を提供する。
【0018】
本明細書中で使用する場合、「治療」「処理」及び「治療する」という用語は、疾患にかかる危険性にある、又は疾患にかかっていると疑われる患者、並びに病気である、或いは疾患又は病状を患っていると診断された患者の治療を含む、予防的な又は防止的な治療及び治癒的な又は疾患修飾的な治療の両方を指す。「治療」「処理」及び「治療する」という用語は、疾患を患ってはいないが、早期満腹感又は消化不良などの不健康な病態を発症しやすい個体の健康維持及び/又は促進をさらに指す。このため、「有効量」は、個体の疾患又は病状を治療する量、或いはより一般的には、個体に栄養的、生理学的又は医療的な利点を提供する量である。
【0019】
本明細書中で使用する場合、哺乳動物は、限定するものではないが、げっ歯類、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの家畜、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマなどの農業家畜並びにヒトを含む。哺乳動物という用語を使用する場合、哺乳動物により提示される、又は提示されることを意図される効果のある他の動物にもまた適用することを企図する。
【0020】
上記のように、ほとんどのアミノ酸と同様に、アルギニンは循環系に進入する前に大部分が肝臓において代謝される。このことが、平滑筋を弛緩させるための一酸化窒素(NO)供給源としてのアルギニンの有用性を限定する。
【0021】
しかし、少数のアミノ酸はほとんど又は全く代謝されずに肝臓を通過する。このようなアミノ酸の1つは、アルギニンの前駆体であるL−シトルリンである。アルギニンがシトルリンとNOに転換されるように、L−シトルリンは、ミトコンドリアにおいてアルギニンに転換される。循環するL−シトルリンの大部分は、高度な代謝活性組織からなる腎臓において転換される。血流中を循環するL−シトルリン、それ自体が、まずアルギニンに転換され、その後細胞においてシトルリンとNOとに転換される。
【0022】
有意なことに、L−シトルリンが血流中を循環している間は、L−シトルリンからアルギニンへの転換は連続して起こる。結果として、循環するL−シトルリンは、経時的に上昇したアルギニン濃度を維持することが可能であり、それにより細胞においてNOの安定した放出を維持でき、胃の筋肉の弛緩及び早期満腹感の減少又は回避を起こす。消化不良の少なくとも一部の例において、消化系の平滑筋、特に胃の平滑筋の収縮を伴う。したがって、L−シトルリンの投与は、消化不良の治療にも使用できる。
【0023】
本発明によれば、有効量のL−シトルリンは、当分野の普通の技術者により認識されるであろうように、さまざまな方法により個体に投与できる。一実施形態において、有効量のL−シトルリンは、経口投与可能な栄養補助食品で個体に投与できる。本発明による補助食品は、個体に栄養的、生理学的又は医療的に利点を提供する、さまざまな原料をさらに含んで良い。このような原料は、例えばタンパク質、可溶性及び/又は不溶性の繊維、脂肪酸、ビタミン、ミネラル、糖及び/又は他の炭水化物、香料並びに薬剤又は他の治療薬を含む。
【0024】
経口栄養組成物における、L−アルギニンを含む一部の食事性アミノ酸の使用は、pHがアルカリのため好ましくない風味を有する。L−アルギニンの場合、その塩基性側鎖の直接の結果である。経口組成物の風味を改善するために、組成物の高い/アルカリのpHを、酸(低pH)の添加を介して、中和する。高度の酸性もまた、塩基性アミノ酸(例えばL−アルギニン)に伴う苦味を減少させることによって、これらの組成物の風味を改善する。
【0025】
酸を栄養組成物に使用した場合、さらなる問題が起こる。例えば、リン酸が多くの場合に使用されるが、組成物のリン含有量の増加をもたらす。アミノ酸のL−シトルリンは、L−アルギニンの前駆体である。結果として、本発明者らは、栄養組成物においてL−シトルリンをL−アルギニンに代用できることを提唱する。アルギニンとは異なり、シトルリンは、食事からの吸収又は新たな腸内での産生を介して血流に進入した後で、肝臓により代謝されない。シトルリンは、尿素サイクルの一部を介してミトコンドリアにより、酵素的にアルギニンに転換される。
【0026】
シトルリンの使用により、pHの中和のために酸を使用する必要性がなくなり、塩基性アミノ酸L−アルギニンにより起こる苦味が消失するため、栄養組成物中に食事性脂肪を含むことが容易になる。pHが非常に高い又は低い組成物に食事性脂肪を加えることは大きな課題である。結果として、処方において選択肢が増えるので、シトルリンが食事組成物においてアルギニンの有望な代替品であることを提唱する。結果として、シトルリン使用の利点は、酸の減少及び組成物の栄養価を改善するための、組成物への食事性油脂の組み込み能力を含む。
【0027】
pHが非常に高い又は低い組成物に食事性脂肪を加えることは大きな課題である。L−アルギニンを含む液体栄養組成物は、L−アルギニンのアルカリpHにより与えられる苦味を消失するために酸の含有を必要とする。L−アルギニンをL−シトルリンで、完全に又は部分的に代用することにより、組成物における大量の酸の必要性がそれぞれ除去又は減少される。
【0028】
本発明のさらなる態様は、哺乳動物、特にヒトにおける、シトルリンからアルギニンへの転換速度が通常より低いことを特徴とする急性又は慢性の疾患の治療又は予防に適した組成物であって、前記哺乳動物について少なくともシトルリンからアルギニンへの転換速度を減少させる量の1日量のシトルリン又はシトルリンの前駆体の少なくとも1種を含む組成物である。
【0029】
損傷を負った体に対する生理学的変化の結果として、外科手術又は他の外傷の数時間のうちにアルギニンの欠乏が生じる。欠乏は、敗血症の間にも起こり得る。アルギニンの欠乏は、少なくとも部分的にはアルギナーゼ酵素活性の増加、したがってアルギニン活性の増加によって起こる。
【0030】
シトルリンは、経口及び経腸製品で消化管を介して与えることができる。シトルリンは、内生的な、腸におけるグルタミンの代謝産物であり、尿素サイクルの一部としてオルニチンから生成され、体内に分布する一酸化窒素合成酵素により形成される。アルギニンは、シトルリンから、主に腎臓においてアルギノコハク酸合成酵素(EC6.3.4.5)及びアルギノコハク酸リアーゼ(EC 4.3.2.1)によりその代謝を介して生成される。
【0031】
敗血症患者は、アルギニンからシトルリンの産生の減少及びさらに食事による摂取が不十分である結果として、アルギニン欠乏であると考えられる。このことは、アルギニンに富んだ経腸製剤の使用をもたらした。アルギニンは、一酸化窒素の前駆体であり、血管拡張剤として周知である。アルギニンの注入による一酸化窒素産生の増強は、血行動態の不安定化及びタンパク質のニトロシル化が予想されるため、有害であると考えられている。したがって、これらの効果を、重篤な敗血症の患者において単一成分として長期継続の静脈内アルギニン補給の間研究した。
【実施例】
【0032】
実施例1
方法:プラセボ対照二重盲検比較試験の設計に従って、重篤な敗血症性ショックのICU患者(<48時間;APACHEII スコア、18〜41)を、L−アルギニン−HCl(1.2μmol/kg・min、n=9)又は等カロリーのL−アラニン(プラセボ;n=9)の72時間静脈内投与で治療したグループにランダム化した。全患者を、ノルエピネフリンを0.08〜0.9g/kg・minの範囲で用いて、試験の初めに治療した。血行動態を、プロトコルを通して2時間おきに記録した。血液を基線及び24時間おきに採取し、血漿ニトロチロシンレベルを分析した。反復測定ANOVAを使用した。データは、平均±SEMである。結果:血漿ニトロチロシンは、アルギニン又はプラセボを用いて処理した患者間で差はなかった(比較のために、正常値は約1nMである)。全身の血圧及びノルエピネフリン用量は、両方のグループ間で有意な差は観察されなかった。
【表1】



【0033】
結論:アルギニンの注入は、血漿タンパク質に対する酸化効果を増強せず、全身の血圧にも影響はない。したがって、重篤な敗血症患者の酸化的ストレス又は血行動態の状態に対するアルギニンの有害な影響は存在しない。それ故、シトルリンの投与により、アルギニン欠乏が補正され、一部の例においてアルギニンレベルを、確立された正常レベルを超えて上昇でき、この上昇が、一部の生理学的にストレスの多い状態における過剰な要求に対処する身体の方法であることが理論化される。身体はシトルリンを過剰にアルギニンに転換しないと考えられているので、これらの濃度は安全であると思われる。
【0034】
最近の研究により、血液透析患者におけるアルギニンレベルが、透析前及び透析後の両方で上昇することが示されている(Chuang他ClinicaChimica Acta 364;216,2006)。シトルリンもまた、透析前及び透析後の両方で上昇する。しかし、同じ透析治療の間に、アルギニンレベルは36%減少したのに対してシトルリンレベルは258%減少した。このシトルリンの大幅な減少は、糖尿病及び移動度の不足により創傷治癒に改善の必要がある透析患者に関して、アルギニンの代用としてシトルリンを使用することの可能性を提起する。
【0035】
過剰なアルギニンは、腎臓に障害のある患者において、腎臓にさらなる問題を起こすことが示されている(Efronand Barbul,J.Renal Nutr.9(3)142,1999)。シトルリンは、体内における転換を介してアルギニンの補給に使用できる。さらに、シトルリンはアルギニンよりアミノ基が1つ少ない。このことは、産生されるアンモニア及び尿素の量を減少させ、すでに障害を持つ腎臓へのストレスを軽減する。
【0036】
それ故、透析開始前及び透析を受ける間の両方で、腎機能の低下した患者の創傷治癒及び微小循環の利点を増加するために、アルギニンの代わりにシトルリンの使用が可能である。
【0037】
本発明のさらなる態様において、アルギニンは、免疫機能、創傷治癒、ホルモン分泌、血管緊張、インスリン感受性及び内皮機能の調節を含む、体内における多くの効果を有する。アルギニンレベルを維持するためのシトルリンの使用が、同様の利点をもたらすであろうことは本発明の範囲内である。
【0038】
本発明のさまざまな態様の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示している。それは網羅的であり、又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではなく、多くの修正及び変更が可能であることは明らかである。当業者にとって明らかとなり得るこのような修正及び変更は、添付の特許請求の範囲により規定される、本発明の範囲内に含まれることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において満腹感及び消化不良の少なくとも1つを治療、具体的には減少又は抑制する方法であって、哺乳動物の細胞において一酸化窒素(NO)濃度を上昇させるステップを含み、NO濃度の上昇により胃の平滑筋が弛緩する方法。
【請求項2】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記上昇させるステップが、個体にある量のL−シトルリンを投与するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ある量のL−シトルリンが、哺乳動物の細胞においてNO濃度を上昇させるのに有効である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ある量のL−シトルリンの少なくとも一部が代謝されて、アルギニンが形成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アルギニンの少なくとも一部が代謝されて、シトルリン及びNOが形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ある量のL−シトルリンが経口投与可能な栄養補助食品に含まれる、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記補助食品が、タンパク質、可溶性繊維、不溶性繊維、脂肪酸、ビタミン、ミネラル、炭水化物、香料、薬剤及び治療薬の少なくとも1つをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記炭水化物が少なくとも1種の糖を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記哺乳動物が、早期満腹感を増進させている又は消化不良を起こす病態又は疾患の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記哺乳動物が慢性疾患を患っている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記慢性疾患が、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、栄養失調、癌、COPD、慢性消耗病、食欲不振、高齢者によく見られる加齢関連の食欲不振、サルコペニア、うつ病を含む精神疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病又はこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記哺乳動物が、非経口栄養投与治療、胃バイパス手術の後である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記哺乳動物が癌の治療中である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記哺乳動物が、栄養失調及び脱水症状の少なくとも1つを患っている、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
哺乳動物の細胞において一酸化窒素(NO)濃度を上昇させるのに有効なある量のL−シトルリンを含む、経口投与可能な栄養補助食品。
【請求項17】
前記NO濃度上昇が、胃の平滑筋の弛緩を起こすのに有効である、請求項16に記載の栄養補助食品。
【請求項18】
前記胃の平滑筋の弛緩が、個体の満腹感の感覚を軽減するのに有効である、請求項17に記載の栄養補助食品。
【請求項19】
タンパク質、可溶性繊維、不溶性繊維、脂肪酸、ビタミン、ミネラル、炭水化物、香料、薬剤及び治療薬の少なくとも1つをさらに含む、請求項16に記載の栄養補助食品。
【請求項20】
血中アルギニンレベルを上昇又は維持するための補助食品の風味を改善するための方法であって、L−シトルリン若しくはL−オルニチン、L−シトルリン若しくはL−オルニチンの前駆体若しくは塩又はこれらの組み合わせを含む組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項21】
前記風味を、L−アルギニンをL−シトルリンで代用することを介する、L−アルギニンを含む組成物のアルカリpHの中和を介して改善する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記風味の改善が苦味の減少である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記風味の改善が食事性脂肪の添加に起因する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
血中アルギニンレベルを上昇又は維持するための補助食品に、食事性脂肪を添加することを容易にするための方法であって、L−シトルリン若しくはL−オルニチン、L−シトルリン若しくはL−オルニチンの前駆体若しくは塩又はこれらの組み合わせを含む組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項25】
シトルリンからアルギニンへの転換速度が通常より低いことを特徴とする、急性又は慢性の疾患の治療又は予防のための方法であって、L−シトルリン若しくはL−オルニチン、L−シトルリン若しくはL−オルニチンの前駆体若しくは塩又はこれらの組み合わせを含む組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項26】
L−シトルリン若しくはL−オルニチン、L−シトルリン若しくはL−オルニチンの前駆体若しくは塩又はこれらの組み合わせの含有量が、少なくともシトルリンからアルギニンへの転換速度を減少させる量である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物を哺乳動物に投与する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記哺乳動物がヒトである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
哺乳動物における、シトルリンからアルギニンへの転換速度が通常より低いことを特徴とする急性又は慢性の疾患の治療又は予防に適した組成物であって、
前記哺乳動物について少なくともシトルリンからアルギニンへの転換速度を減少させる量の1日量のシトルリン又はシトルリンの前駆体の少なくとも1つ
を含む方法。
【請求項30】
前記哺乳動物がヒトである、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
哺乳動物における、シトルリンからアルギニンへの転換速度が通常より低いことを特徴とする急性又は慢性の疾患の治療又は予防のための方法であって、前記哺乳動物について少なくともシトルリンからアルギニンへの転換速度を減少させる量の1日量のシトルリン又はシトルリンの前駆体の少なくとも1つを投与するステップを含む方法。
【請求項32】
前記哺乳動物がヒトである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ある量のL−シトルリンが個体の細胞においてNO濃度を上昇させるのに有効である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ある量のL−シトルリンの少なくとも一部が代謝されて、アルギニンが形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記アルギニンの少なくとも一部が代謝されて、シトルリン及びNOが形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記ある量のL−シトルリンが経口投与可能な栄養補助食品に含まれる、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記補助食品が、タンパク質、可溶性繊維、不溶性繊維、脂肪酸、ビタミン、ミネラル、炭水化物、香料、薬剤及び治療薬の少なくとも1つをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
免疫機能、創傷治癒、ホルモン分泌、血管緊張、インスリン感受性及び内皮機能を治療又は調節する方法であって、哺乳動物に、L−シトルリン若しくはL−オルニチン、L−シトルリン若しくはL−オルニチンの前駆体若しくは塩又はこれらの組み合わせを含む組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項39】
前記哺乳動物がヒトである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記L−シトルリン若しくはL−オルニチン、L−シトルリン若しくはL−オルニチンの前駆体若しくは塩又はこれらの組み合わせが、インスリン感受性を調節する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記ある量のL−シトルリン若しくはL−オルニチン、L−シトルリン若しくはL−オルニチンの前駆体若しくは塩又はこれらの組み合わせの少なくとも一部が代謝されて、アルギニンが形成される、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記哺乳動物の腎機能が低下している、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記哺乳動物に、前記組成物を、透析開始前若しくは透析を受けている間に、又は透析開始前及び透析を受けている間に投与する、請求項43に記載の方法。
【請求項44】
哺乳動物により産生されるアンモニア若しくは尿素又はアンモニア及び尿素の量が減少する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
腎臓に対するストレスが減少する、請求項43に記載の方法。

【公開番号】特開2012−197283(P2012−197283A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115906(P2012−115906)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2009−504245(P2009−504245)の分割
【原出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】