シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む抗ウイルス用組成物
本発明は、シナアブラギリ(Aleurites fordii)またはコショウノキ(Daphne kiusiana)の抽出物、またはその分画物を有効成分として含む抗ウイルス用組成物に関するもので、より詳細にはシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、ナチュラルキラー(NK)細胞で免疫関連サイトカインであるインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)の分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、抗ウイルス用組成物に有用に用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シナアブラギリ(Aleurites fordii)またはコショウノキ(Daphne kiusiana)の抽出物、またはその分画物を有効成分として含む抗ウイルス用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人類が病んでいる多くの感染性疾患はウイルスによるもので、狂犬病、天然痘、脊髄炎、肝炎、黄熱、免疫欠乏症、脳炎及びエイズなどいろいろ深刻な疾病の原因になる。このようなウイルスによる感染性疾患は、風邪、はしか、お多福風邪及び水痘等のように非常に伝染性が強くて急性病勢を示すだけでなく、呼吸器、消化器障害を示したり、はしか及びサイトメガロウイルスのようなものは先天性異常を誘発して、腫瘍ウイルスとして知られたウイルスは、人体に腫瘍及び癌を誘発する。したがって、抗ウイルス剤に対する研究はずいぶん以前から現在まで活発に行なわれている。抗ウイルス剤は、人体内に侵入したウイルスの作用を弱化させたり消滅するようにしたりする薬剤であり、オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)、インターフェロン、免疫グロブリン製剤などがある。しかし、ウイルス感染による疾病の予防及び治療に用いてきた既存の抗ウイルス剤は、これら薬物に対する突然変異ウイルスによるウイルスの耐性及び副作用によって、持続的な使用には問題がある。したがって、前記従来の抗ウイルス剤が有する問題点を解決することができる新しい天産物由来の抗ウイルス剤の開発が求められていて、特に医薬品及び食品添加物としての使用に相応しいて毒性がない天然素材の開発が求められている。
【0003】
一方、インターフェロン・ガンマ(IFN−γ)は、免疫システムの活性化したT細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞が、ウイルス、寄生虫及び腫瘍細胞のような外部物質の侵入に対応して生成する天然タンパク質である。IFN−γは、ウイルス感染の重要な指示因子である二重螺旋RNAの存在に対応してTh1細胞、細胞傷害性T(Tc)細胞、樹枝状細胞またはNK細胞などによって分泌する二量体サイトカインであり、タイプIIインターフェロンに属する。IFN−γは、元来、大食細胞活性化因子と呼ばれるほど食細胞活性作用が強くて、現在の研究によると約30個程度の遺伝子の転写変化を誘導して多様な免疫及び細胞反応(大食細胞の抗原提示増加、大食細胞でリソソーム(lysosome)活性増加及び活性化、Th2細胞活性抑制、正常細胞でクラスI MHC分子の発現増加、白血球細胞の移動性増加及びNK細胞活性の増加)を生成することが知られている。IFN−γは、宿主細胞内のウイルス複製を抑制して、NK細胞を活性化させて、リンパ細胞に対する抗原提示を増加させて、宿主細胞のウイルス感染に対する耐性を増加させることで免疫反応を助ける。抗原がマッチングされるT細胞及びB細胞に提示されれば、これら細胞が増殖して外部物質を戦略的で特異的な方法で除去する。このような点で抗原提示は、免疫反応で非常に重要な機序である。
【0004】
NK細胞は、先天及び獲得免疫反応に関与することが知られている。NK細胞は、細胞毒性及びサイトカイン生成を通じてその効能(effector function)を媒介して、受容体及び標的細胞に対するリガンドによって媒介される細胞毒性効能細胞に機能する。細胞毒性に対するNK特異受容体としては、自然細胞毒性受容体(natural cytotoxic receptors、NCRs)と呼ばれるNKp46(非特許文献1),NKp30(非特許文献2)及びNKp44(非特許文献3)などがある。NCRsに対するリガンドは、インフルエンザウイルス(IV)のヘマグルチニン(hemagglutinin,HA)、センダイウイルス(Sendai virus,SV)のヘマグルチニン・イノラミニダーゼ(hemagglutinin−neuraminidase,HN)(非特許文献4)及び膜結合されたヘパリンスルファートプロテオグリカン(membrane−associated heparin sulfate proteoglycans)(非特許文献5)などが知られている。また、NK細胞は、IFN−γのようなサイトカイン分泌を通じて獲得免疫反応の発達を助けるのに重要な役割をして(非特許文献6)、IFN−γがネズミサイトメガロウイルス(murine cytomegalovirus)感染で抗ウイルス活性を有するということが報告された。NK細胞は、直接的な先天防御及び獲得免疫反応の形成にともに関与している。何種類かのマウスモデルで、NK細胞が腫瘍の発達と微生物感染を抑制した。特に、NK細胞は、マウスサイトメガロウイルス(mouse cytomegalovirus,MCMV)感染の初期工程で直接ウイルス感染した細胞を死滅させて、IFN−γを生成させることによって調節する役割をする。NK細胞内でIFN−γ生成に対する主要経路は、プロティンキナーゼCθ(Protein kinase C,PKCθ)の活性化に依存する。Tassi研究陣は、免疫受容体タイロシン活性化部位(immunoreceptor tyrosine−based activationmotif,ITAMs)を通じて信号を伝達するNK細胞受容体が関与することで、PKCθが速かに活性化すると報告した。PKCθ欠乏マウスからNK細胞を分析した結果、PKCθはITAM媒介IFN−γ分泌において必須要素であるということが明らかにされた(非特許文献7)。
【0005】
ホスホリパーゼCγ(phospholipase Cγ,PLCγ)は、IFN−γ分泌で非常に本質的な基礎因子である。IFN−γの基底水準は、PLCγ2−欠乏NK細胞内で著しく減少し、野生型細胞とは異なり、抗NK1.1による刺激によってもIFN−γ分泌が増加する結果を示さなかった(非特許文献8)。PLCγ2欠乏NK細胞は、IFN−γまたは顆粒球マクファージコロニー刺激因子(granulocyte−macrophage colony stimulating factor,GM−CSF)生成能力が大きく損傷され、PLCγ2は、NK1.1媒介サイトカイン生成だけではなくNKG2Dでも重要な役割をする(非特許文献9)。マウス内でFc受容体(FcRs)のγ−鎖を含み、この受容体は結合されたアダプターITAMs(adaptor’s ITAMs)のチロシン残基リン酸化結果に至るようになり、それは再び脾臓チロシンキナーゼ(spleen tyrosine kinase,Syk)が集まるようにする。前記キナーゼは、T細胞活性化用リンカー、76kDa、PLC、PI3K及びErkキナーゼを含む多数の下部シグナル伝達メディエーターを活性化させる。総合的にこの信号伝達媒介者は、遺伝子転写、NK細胞が標的細胞を溶解させるのに用いる溶解性顆粒のエキソサイトーシス(exocytosis)のための細胞プログラムを開示して、親炎症性ケモカイン及びサイトカイン、特にIFN−γを生成させる(非特許文献10)。前記のように、IFN−γは抗ウイルス作用、抗増殖作用及び免疫調節作用をするので、肝炎、多様なウイルス感染性疾患及び癌治療に利用されている。
【0006】
一方、大部分のウイルスは、宿主のIFN反応に対して自体を保護するため、免疫回避戦略を示す。特に、ウイルスによるIFN−γ信号抑制に対する多様な機序が報告されている。例えば、エプスタイン・バー(Epstein−barr)ウイルスは、IFN−γ受容体遺伝子発現を阻害して抗ウイルス性IFN反応を防ぎ(非特許文献11)、ヒト腫瘍誘導ヘルペスウイルスによってIFN−γ受容体1が阻害(非特許文献12)されると報告している。ゆえに、IFNの分泌及び活性を促進させて抗ウイルス活性及び免疫活性を高めることができる物質の開発が必要である。
【0007】
シナアブラギリ(Aleurites fordii)は、双子葉植物ふうろそう目トウダイグサ科の落葉高木で学名は、Aleurites fordiiで、よく油桐とも呼ばれる。中国が原産地で韓国の南部海岸地方でも育つ。木の高さは約7.5〜10mまで伸びて、樹皮は灰色を帯びた茶色で皮目があって太い枝が四方に広がる。葉は互い違いに育ち心臓模様または丸い形で、花は5月に赤味を帯びた白で咲く。実は朔果で9月になると成熟するが丸くて三つの種子が入っている。南部脂肪ではシナアブラギリを緑陰樹や庭木として植えて、種子からは油を採取するが、この油を「桐油」と言う。東洋では桐油を伝統的に火を灯すのに用いられ、現代も産業用に重要に用いられている。
【0008】
シナアブラギリの実は、東洋伝統医学で統土風痰、消腫毒、利二便意効能があり、風痰喉痺(喉頭結核、喉頭梅毒など)、疥癬、丹毒、やけど、膿疱瘡、食積腹脹、大小便不利を治療するのに用いた。根は、少食、利水、痰火、殺虫の効能があり、食積肥満、水腫、鼓脹、暁天、瘰癧、蛔虫症を治療するのに用いた。葉は、よう(癰)、解毒の効能があって癰瘡、丹毒、(つきへんに兼)瘡、凍瘡、疥癬、痢疾治療に用いた(非特許文献13)。
【0009】
シナアブラギリの化学成分研究を通じてシナアブラギリにジテルペノイドエステル、ステロール、タンニン、オイル、クマリン、コウマロリグナン(coumarolignan)系化合物が含有されているという研究結果が知られている(非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18)。シナアブラギリに対する生理活性研究では、ヒト多形核白血球活性因子(human polymorphonuclear leukocyte activating factor)、ヒト好中球活性因子(human neutrophil−activating factor)などが明らかにされ、シナアブラギリの抽出物及びジテルペンエステル(diterpene esters)によってエプスタイン−バーウイルス(Epstein−Barr virus)活性が誘導されると報告された。また、シナアブラギリの12−O−ヘキサデカノイル−16−ヒドロキシホルボール13−アセテート(12−O−hexadecanoyl−16−hydroxyphorbol 13−acetate)は、ヒトT−リンパ球親和性ウイルスタイプI(human T−lymphotrophic virus type I,HTLV−I)によって誘導されるリンパ球のコロニー形成を増大させる効能があると報告された。シナアブラギリの12−O−パルミトイル−16−ヒドロキシホルボール13−アセテート(12−O−Palmitoyl−16−hydroxyphorbol 13−acetate)、12−O−パルミトイル−4−ジオキシ−4β−16−ヒドロキシホルボール13−アセテート(12−O−palmitoyl−4−deoxy−4β−16−hydroxyphorbol 13−acetate)は、魚類に対する毒性がロテノン(rotenone)と類似の程度であるということが明らかにされた(非特許文献17、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23)。
【0010】
一方、コショウノキ(Daphne kiusiana)は、双子葉植物桃金嬢目沈丁花科の常緑かつ葉潅木で、学名は、Daphne kiusianaで白沈丁花とも言う。原産地は韓国で、慶南巨済島と全南黒山島、チェジュドの標高50〜1,300mの海辺の山すそで主に育ち、その高さは約1mである。葉は互い違いに延びてだ円形または倒披針形で長さは約3〜8cm、幅は約1.2〜3.5cm程度で、端がのっぺりしていてつやがあり下部が細くなって短い葉の柄と連続する。花は雌雄異体で2〜4月に白い花が咲き、枝の先に集まって付いて香りが濃い。包葉は、広い披針形で花袋は短くて白色の綿毛があり、萼も綿毛があり4つに割れている。実は漿果でたまごのような球形で、長さは8mm程度である。5〜6月に朱色に熟する。茎は直立して紺色で、枝がたくさん出て被覆形の樹形を成す。
【0011】
コショウノキ花は、東洋伝統医学で、咽喉疼痛、歯痛、リウマチ痛、天然痘、初期の乳腺癌を治療するのに用いられ、根は、咽喉炎治療に、葉は創傷、通風、慢性皮膚炎を治療するのに用いられてきたが、その生物学的活性はいまだに明確に知られていなかった(非特許文献13)。コショウノキの化学成分研究によってコショウノキにアントシアニン系及びクマリン系化合物が含有されていることが報告された(非特許文献24、非特許文献25)。
【0012】
しかし、まだ前記シナアブラギリまたはコショウノキの抗ウイルス活性及び免疫活性作用に関して報告されたことはない。
【0013】
それで、本発明者等は、従来の抗ウイルス剤が有する問題点を解決することができる、植物に由来した天然抽出物から抗ウイルス用物質を発掘するために研究中、シナアブラギリの葉、幹及び実の抽出物、コショウノキの葉、幹、花及び根の抽出物、またはそれらの分画物がナチュラルキラー(NK)細胞でインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)の分泌を顕著に増加させて抗ウイルス効能を有することを確認することによって本発明を完成した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Sivori,S.等.,J Exp Med,1997年,第186巻,p.1129−1136
【非特許文献2】Pende,D.等.,J Exp Med,1999年,第190巻,p.1505−1516
【非特許文献3】Cantoni,C.等.,J Exp Med,1999年,第189巻,p.787−796
【非特許文献4】Arnon,T.I.等.,Eur J Immunol,2001年,第31巻,p.2680−2689
【非特許文献5】Bloushtain,N.等.,J Immunol,2004年,第173巻,p.2392−2401
【非特許文献6】Stetson,D.B.等.,J Exp Med,2003年,第198巻,p.1069−1076
【非特許文献7】Tassi,I.等.,Blood,2008年,第112巻,p.4109−4116
【非特許文献8】Caraux,A.等.,Blood,2006年,第107巻,p.994−1002
【非特許文献9】Regunathan,J.等.,J Immunol,2006年,第177巻,p.5365−5376
【非特許文献10】Tassi,I.等.,J Immunol,2005年,第175巻,p.749−754
【非特許文献11】Morrison,T.E.,等.,Immunity,2001年,第15巻,p.787−799
【非特許文献12】Li,Q.,J Virol,2007年,第81巻,p.2117−2127
【非特許文献13】ジョン・ボソプ、シン・キンキョウ、図解郷薬大辞典、営林社、ソウル、1998年,pp.741−742
【非特許文献14】Ishikura,N.等.,I.Botanical Magazine,1975年,第88巻,p.41−45
【非特許文献15】Nonaka,G.等.,Chem.Pharm.Bull.,1990年,第38巻,p.861−865
【非特許文献16】Fozdar,B.I.等.,Phytochemistry,1989年,第28巻,p.2459−2461
【非特許文献17】Hiroto,M.等.,Agricultural and Biological Chemistry,1979年,第43巻,p.2523−2529
【非特許文献18】Okuda,T.等.,Phytochemistry,1975年,第14巻,p.509−515
【非特許文献19】Okuda,T.等.,Phytochemistry,1975年,第14巻,p.2513−2514
【非特許文献20】Shichijo,S.等,Journal of Clinical+Laboratory Immunology,1988年,第27巻,p.183−189
【非特許文献21】Matsuda,S.等.,International Journal of Cancer,1986年,第38巻,p.859−865
【非特許文献22】Shichijo,S.等.,Arerugi,1985年,第34巻,p.190−197
【非特許文献23】Ito,Y.等.,Cancer Letters,1983年,第18巻,p.87−95
【非特許文献24】Ishikura,N,I.Botanical Magazine,1975年,第88巻,p.41−45
【非特許文献25】Nakabayashi,T,Yakugaku Zasshi,1954年,第74巻,p.192−193
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、シナアブラギリ(Aleurites fordii)またはコショウノキ(Daphne kiusiana)の抽出物、またはその分画物を有効成分として含む抗ウイルス用組成物を提供することである。
【0016】
また、本発明のまた他の目的は、薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む組成物をウイルス性疾患にかかった個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の改善または治療方法を提供する。
【0017】
同時に、本発明のまた他の目的は、薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む組成物を個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の予防方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するために、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防も治療用薬学的組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を追加的に有機溶媒で抽出して製造された有機溶媒分画物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0020】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または改善用健康食品を提供する。
【0021】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または改善用飼料添加剤を提供する。
【0022】
また、本発明は薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む組成物をウイルス性疾患にかかった個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の改善または治療方法を提供する。
【0023】
また、本発明は薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む組成物を個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の予防方法を提供する。
【0024】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または治療用薬学的組成物の製造に用いる用途を提供する。
【0025】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用健康食品の製造に用いる用途を提供する。
【0026】
同時に、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用飼料添加剤の製造に用いる用途を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、ナチュラルキラー(NK)細胞で免疫関連サイトカインであるインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)の分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、抗ウイルス用組成物の有効成分として有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、シナアブラギリの葉、幹及び実それぞれのメタノール抽出物、それから分画したn−ヘキサン、エチルアセテート、ブタノールまたは水分画物をNK92細胞に処理した後、IFN−γの分泌量を分析したグラフである:M:シナアブラギリのメタノール抽出物;H:シナアブラギリのn−ヘキサン分画物;E:シナアブラギリのエチルアセテート分画物;B:シナアブラギリのブタノール分画物;W:シナアブラギリの水分画物;NC:陰性対照群;及びPC:陽性対照群。
【図2】図2は、シナアブラギリの葉、幹及び実それぞれの抽出物を分画した分画物をNK92細胞に処理した後、IFN−γの分泌量を分析したグラフである:A:シナアブラギリの葉のn−ヘキサン分画物;B:シナアブラギリの実のn−ヘキサン分画物;C:シナアブラギリの幹のn−ヘキサン分画物;及びD:シナアブラギリの実のエチルアセテート分画物。
【図3】図3は、コショウノキの葉、幹、花及び根それぞれのメタノール抽出物、それから分画したn−ヘキサン、エチルアセテート、ブタノールまたは水分画物をNK92細胞に処理した後、IFN−γの分泌量を測定したグラフである:A:コショウノキのメタノール抽出物;及びB:コショウノキのメタノール抽出物の有機溶媒分画物:M:コショウノキのメタノール抽出物;H:コショウノキのn−ヘキサン分画物;E:コショウノキのエチルアセテート分画物;B:コショウノキのブタノール分画物;W:コショウノキの水分画物;NC:陰性対照群;及びPC:陽性対照群。
【図4】図4は、コショウノキの葉、幹、花及び根それぞれの抽出物を分画した分画物をNK92細胞に処理した後、IFN−γの分泌量を分析したグラフである:A:コショウノキのメタノール抽出物の有機溶媒分画物(DKCS:コショウノキの幹の栽培試料;及びDKCL:コショウノキの葉の栽培試料);B:コショウノキの葉の栽培試料のn−ヘキサン分画物;及びC:コショウノキの葉の栽培試料のエチルアセテート分画物。
【図5】図5は、シナアブラギリの葉、幹及び実それぞれのメタノール抽出物をNK92細胞に濃度別に処理した後、IFN−γの分泌量を分析したグラフである。
【図6】図6は、コショウノキの抽出物のIFN−γ生成能力の最低活性濃度を測定したグラフである。
【図7】図7は、シナアブラギリの抽出物が処理されたNK92細胞でIFN−γmRNAの発現をRT−PCRを通じて時間帯別に確認した図である。
【図8】図8は、コショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞で、IFN−α及びγ mRNAの発現をRT−PCRを通じて時間帯別に確認した図である。
【図9】図9は、Bay−ll(NF−κB活性抑制因子)またはロテリン(PKC活性抑制因子)の処理によってシナアブラギリの抽出物によって誘導されるIFN−γ生成変化を示した図である。
【図10】図10は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞の活性に関与する細胞表面物質の発現変化をFACSで分析した図である。
【図11】図11は、インフルエンザウイルスが感染した肺上皮細胞株A549細胞でシナアブラギリの抽出物の処理によるIFN−α及びβのmRNA発現をRT−PCRを通じて確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明で用いた用語を説明する。
【0030】
本明細書で用いる用語「抽出物」は、当業界で粗抽出物(crude extract)として通用する意味を有するが、広義的には下記の分画物も含む。
【0031】
本明細書で用いる用語「分画物」は、抽出時に用いた溶媒と異なる溶媒を用いて本発明で目的とする活性を分画して得た活性分画物(fraction)を意味する。
【0032】
本発明で用いる用語「予防」は、本発明の組成物の投与でウイルス性疾患を抑制したり進行を遅延させたりするすべての行為を意味する。
【0033】
本発明で用いる用語「治療」及び「改善」は、本発明の組成物の投与によってウイルス性疾患の症状が好転または有利に変更されるすべての行為を意味する。
【0034】
本発明で用いる用語「投与」は、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0035】
本発明で用いる用語「個体」は、本発明の組成物を投与してウイルス性疾患の症状が好転し得る疾患を有したヒト、猿、犬、山羊、豚または鼠などすべての動物を意味する。
【0036】
本明細書で用いる用語「飼料」は、家畜の生命を維持して乳、肉、卵、毛皮などを生産するのに必要な有機または無機栄養素を供給する物質を意味する。
【0037】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0038】
本発明は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0039】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、当業界で公知された多様な抽出方法によって得ることができる。
【0040】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物は、下記の工程を含む製造方法によって製造することが好ましいが、これに限定されない:
1)シナアブラギリまたはコショウノキに抽出溶媒を加えて抽出する工程;
2)工程1)の抽出物を冷却後にろ過する工程;及び
3)工程2)のろ過した抽出物を減圧濃縮した後に乾燥する工程。
【0041】
前記方法において、工程1)のシナアブラギリまたはコショウノキは、栽培したものまたは市販のものなど制限なしに使用することができる。前記シナアブラギリは、乾燥した葉、幹または実のすべてが使用可能で、前記コショウノキは乾燥した葉、幹、花または根がすべて使用可能である。
【0042】
前記抽出溶媒は、当業界で通常使用するどのような抽出溶媒も使用可能であり、水、アルコールまたはそれらの混合物を使用することが好ましい。前記アルコールとしては、C1〜C2低級アルコールを用いるのが好ましく、低級アルコールではエタノールまたはメタノールを用いることが好ましい。抽出方法では、振とう抽出、還流抽出、超臨界抽出または亜臨界抽出を用いることが好ましいが、これに限定されない。前記抽出溶媒を乾燥したシナアブラギリまたはコショウノキの分量の2〜20倍添加して抽出することが好ましい。抽出温度は、20〜50°Cであることが好ましいがこれに限定されない。また、抽出時間は、10〜48時間であることが好ましく、24時間がさらに好ましいがこれに限定されない。同時に、抽出回収は、3〜5回であることが好ましく、3回反復抽出することがさらに好ましいが、これに限定されない。
【0043】
前記方法において、工程3)の減圧濃縮は、真空減圧濃縮機または真空回転蒸発きを用いることが好ましいが、これに限定されない。また、乾燥は、減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥または凍結乾燥することが好ましいが、これに限定されない。
【0044】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物の分画物は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物に、追加で有機溶媒を加えて有機溶媒分画物を製造する工程を含む製造方法によって製造することが好ましいが、これに限定されない。
【0045】
前記方法において、前記有機溶媒は当業界で通常使用されるどのような抽出溶媒も使用可能であり、C1〜C4の無水または含水低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールまたはn−ブタノールなど)、前記低級アルコールと水との混合溶媒、アセトン、エチルアセテート、クロロホルム、1,3−ブチレングリコール、ヘキサン、ジエチルエーテルまたはブチルアセテートなどを使用することができる。前記有機溶媒は、ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノールであることが好ましいが、これに限定されない。
【0046】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物に極性が低いものから高いものの順にヘキサン、エチルアセテート、ブタノール、水を順次に加えて各有機溶媒層の分画物を得ることが好ましく、分画物は分別ロートを用いて分画することが好ましいが、これに限定されない。具体的に、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を蒸留水に懸濁してヘキサンを加えてヘキサン層を分離して、残った水層に再びエチルアセテートを加えてエチルアセテート層を分離して、残った水層に再びブタノールを加えてブタノール層を分離することができる。各有機溶媒層の分画物をすべて用いることができる。
【0047】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、ナチュラルキラー(NK)細胞でインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)の分泌誘導作用を通じて抗ウイルス活性を示すことが好ましいが、これに限定されない。
【0048】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(Swine Influenza virus、SIV)、インフルエンザウイルス(influenza virus)、新型インフルエンザA(Influenza A virus subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス(avian influenza virus)、ライノウイルス(rhinovirus)、アデノウイルス(adenovirus)、コロナウイルス(coronavirus)、パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus)、呼吸器合抱体ウイルス(respiratory syncytial virus)、疱疹ウイルス(Herpesvirus,HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(human immunodeficiency virus,HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染される疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0049】
本発明の組成物は、前記成分に追加で同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上含むことができる。
【0050】
本発明の組成物は、総重量に対して前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、0.1〜50重量部であることが好ましいが、これに限定されない。
【0051】
本発明の組成物は、前記説明された有効成分以外に薬剤学的に許容される担体を含むことができる。本発明の組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常使用されるもので、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、ここに限定されない。本発明の組成物は、前記成分以外に滑剤、湿潤剤、甘味料、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを追加で含むことができる。相応しい薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995年)に詳しく記載されている。
【0052】
本発明の組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食物、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって多様に処方され得る。一方、本発明の組成物の経口投与量は、1日当り0.0001〜100mg/kg(体重)であることが好ましいが、これに限定されない。
【0053】
本発明の組成物は、経口または非経口で投与することができ、非経口投与する場合、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与などで投与することができる。本発明の組成物は、適用される疾患の種類によって、投与経路を決定することが好ましい。
【0054】
本発明の組成物は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者が容易に実施することができる方法によって、薬剤学的に許容される担体及び/または賦形剤を用いて製剤化することによって、単位用量形態で製造するかまたは多用量容器内に入れて製造することができる。ここで、剤形はオイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液形態かエキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤の形態も可能で、分散剤または安定化剤を追加で含むことができる。
【0055】
本発明者等は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物またはその分画物の抗ウイルス活性を調べるため、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはそれらの分画物のインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)分泌誘導能を酵素結合免疫吸収分析(enzyme−linked immunosorbent assay,ELISA)を通じて確認した。その結果、シナアブラギリの葉、幹または実の抽出物、またはその分画物(n−ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノール分画物)は、NK細胞でIFN−γの分泌を顕著に増加させ(表1、図1及び図2参照)、シナアブラギリの抽出物の濃度依存的にIFN−γの分泌が増加することを確認した(図5参照)。また、それぞれのコショウノキの葉、幹、花または根の抽出物、またはその分画物(n−ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノール分画物)は、NK細胞でIFN−γの分泌を顕著に増加させることが示され(表2、図3及び図4参照)、コショウノキの抽出物の濃度に依存的にIFN−γの分泌が増加することを確認した(図6参照)。IFN−γのmRNAもまたシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞で顕著に増加した(図7及び図8参照)。一方、シナアブラギリの抽出物によるIFN−γ生成の誘導は、BayII処理によってNK92細胞内で減少することを確認することによって、シナアブラギリの抽出物によるIFN−γ生成の誘導がNF−κB信号伝達によって媒介されるということを確認し、PKC信号伝達抑制因子であるロテリンの処理によってIFN−γ生成が減少されることでNF−κB信号伝達の上位信号伝達因子は、PKCの活性によるものであることを確認した(図9)。シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物がNK92細胞の表面物質の発現に及ぼす影響をFACS分析を通じて確認した結果、NK細胞の活性に関与するNKG2C及びDの発現が顕著に増加し、NK細胞のナチュラルキラー活性と関連したNKp44の発現が顕著に増加したことを確認した(図10参照)。同時に、シナアブラギリの抽出物をインフルエンザウイルスに感染したA529細胞に処理することで、IFN−β発現の増加がさらに早くなることを確認した(図11参照)。ここで、前記IFN−γはナチュラルキラー(NK)細胞で大食細胞活性因子と呼ばれるほど食細胞活性作用が強く、免疫及び細胞反応を生成することが知られたサイトカインである。それで、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物がIFN−γの分泌を誘導することによって強力な抗ウイルス活性を有することを確認した。
【0056】
したがって、本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、ウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物として有用に用いられることが分かる。
【0057】
また、本発明は薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む薬学的組成物をウイルス性疾患にかかった個体に投与する工程を含む、ウイルス性疾患の改善または治療方法を提供する。
【0058】
また、本発明は薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む薬学的組成物を個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の予防方法を提供する。
【0059】
前記薬学的に有効な量というのは、0.0001〜100mg/kgで、好ましくは、0.001〜10mg/kgであるが、これに限定されない。投与量は、特定患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与期間、投与方法、除去率、疾患の重症度等によって変化し得る。
【0060】
前記個体は、脊椎動物であり、好ましくは哺乳動物で、より好ましくはネズミ、ウサギ、ギニアピッグ、ハムスター、犬、猫のような実験動物で、最も好ましいのはチンパンジー、ゴリラのような類人猿動物である。
【0061】
前記投与方法は、経口または非経口投与することができ、非経口投与時には腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射、子宮内硬膜注射、脳血管内(intracerebroventricular)注射または胸部内注射によって投与することができる。
【0062】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザA(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染される疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0063】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、ナチュラルキラー(NK)細胞で免疫関連サイトカインであるIFN−γの分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、ウイルス性疾患の予防または治療に有用に用いることができる。
【0064】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または改善用健康食品を提供する。
【0065】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザA(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染される疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0066】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をそのまま添加するか他の食品または食品成分とともに用いることができ、通常的な方法によって適切に用いることができる。
【0067】
本発明の健康食品は、食品製造時に通常的に添加される成分を含み、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素及び調味剤を含む。
【0068】
前記食品の種類には、特別な制限はない。前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含んだ酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常的な意味での健康食品をすべて含む。
【0069】
本発明の健康飲料組成物は、通常の飲料のようにさまざまな香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含むことができる。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのようなジサッカライド、及びデキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド、キリシトール、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコールである。甘味剤としてはタウマチン、ステビア抽出物のような天然甘味料や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用することができる。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100ml当り一般的に約0.01〜0.04g、好ましくは約0.02〜0.03gである。
【0070】
前記の他に本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物はさまざまな営養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いる炭酸化剤などを含むことができる。その他に本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含むことができる。このような成分は、独立的にまたは混合して使用することができる。このような添加剤の割合は、大きく重要ではないが本発明の組成物100重量部当たり0.01〜0.1重量部の範囲で選択することが一般的である。
【0071】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、NK細胞で免疫関連サイトカインであるIFN−γの分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、ウイルス性疾患の予防または改善用健康食品に有用に用いることができる。
【0072】
また、本発明は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、ウイルス性疾患の予防または改善用飼料添加剤を提供する。
【0073】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザA(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染さる疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0074】
前記飼料添加剤は、抗ウイルス効能を有するので、家擒類、家畜などに倦まず弛まずに摂取するようにすることでウイルス性疾患を予防することができ、すでに発生したウイルス性疾患を改善することができる。飼料は、栄養価、主成分、流通、水分含量配合状態及び加工形態などによっていろいろに分類することができ、前記飼料は、粗飼料、濃厚飼料、補充飼料、タンパク質飼料、デンプン飼料、脂肪質飼料または繊維質飼料が使用可能であるが、これに限定されない。
【0075】
本発明の飼料添加剤にはシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物が0.1〜20%重量部、脂肪分解酵素(リパーゼ)が0.001〜0.01%重量部、第3リン酸カルシウムが1〜20%重量部、ビタミンEが0.01〜0.1%重量部、酵素粉末が1〜10%重量部、乳酸菌が0.1〜10%重量部、バシラス培養液が0.01〜10%重量部及びブドウ糖は20〜90%重量部で構成されていることが好ましいが、特別にこれに限定するのではなく、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物が有効量で添加されていれば、本発明の飼料添加剤として可能である。
【0076】
前記有効量というのは、家擒類、家畜などが倦まず弛まず摂取するようにすることでウイルス性疾患を予防したり、すでに発生したウイルス性疾患を改善したりすることができる量を意味する。また、添加による利点を越す悪影響が生じない量が好ましい。
【0077】
また前記飼料添加剤は、追加的に家擒類及び家畜等に許容される担体を含むことができる。本発明においては前記飼料添加剤をそのまままたは公知の担体、安定剤などを加えることができ、必要によってビタミン、アミノ酸類、ミネラル等の各種養分、抗酸化剤、抗生物質、抗菌剤及びその他の添加剤などを加えることもでき、その形状としては粉体、顆粒、ペレット、懸濁液等の適当な状態であり得る。本発明の飼料添加剤を供給する場合は、家擒類及び家畜等に対して単独でまたは飼料に混合して供給することができる。
【0078】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、NK 細胞で免疫関連サイトカインであるIFN−γの分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、ウイルス性疾患の予防または改善用飼料添加剤として有用に用いることができる。
【0079】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または治療用薬学的組成物の製造に用いる用途を提供する。
【0080】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用健康食品の製造に用いる用途を提供する。
【0081】
同時に、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用飼料添加剤の製造に用いる用途を提供する。
【0082】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザA(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染される疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0083】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、NK細胞で免疫関連サイトカインであるIFN−γの分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、ウイルス性疾患の予防、改善または治療用薬学的組成物、健康食品、または飼料添加剤の製造に有用に用いることができる。
【0084】
以下、本発明を実施例及び製造例によって詳しく説明する。
【0085】
ただし、下記の実施例及び製造例は本発明を具体的に例示するだけのものであり、本発明の内容が実施例及び製造例によって限定されるのではない。
【0086】
<実施例1>シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物の製造
<1−1>シナアブラギリ(Aleurites fordii)の葉、幹または実のメタノール抽出物の製造
シナアブラギリは、チェジュドの西帰浦で採取して、乾燥したシナアブラギリの葉、幹及び実それぞれ2kgにメタノール4lを加えた後、常温で循環させながら24時間抽出してろ過上澄み液を回収した。抽出後、溶媒を減圧濃縮してシナアブラギリの葉、幹及び実のメタノール抽出物をそれぞれ276g、120g及び100g得た。
【0087】
<1−2>コショウノキの葉、幹、花または根のメタノール抽出物
コショウノキ(Daphne kiusiana)は、全羅南道の務安で採取して、乾燥したコショウノキの葉、幹、花または根それぞれ1kgにメタノール4lを加えた後、常温で循環させながら24時間抽出してろ過上澄み液を回収した。抽出後、溶媒を減圧濃縮してコショウノキの葉、幹、花及び根のメタノール抽出物をそれぞれ118g、140g、80g及び105g得た。
【0088】
<比較例1>フジモドキのメタノール抽出物の製造
抗インフルエンザウイルス活性が報告されたフジモドキ(Daphne genkwa)(韓国特許出願番号:10−2009−0034132)は、京畿道の竜仁で採取し、フジモドキ乾燥物を用いて前記<実施例1>抽出物製造方法によってフジモドキのメタノール抽出物を製造した。
【0089】
<実施例2>シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物から分画物の製造
<2−1>シナアブラギリの分画物の製造
<2−1−1>シナアブラギリのn−ヘキサン分画物
前記実施例<1−1>で得たシナアブラギリの葉、幹及び実のメタノール抽出物をそれぞれ蒸留水1.5lに懸濁させて、n−ヘキサン1.5lを加えて混合後、n−ヘキサン可溶性分画部と水可溶性分画部を分離し、この過程を3回反復実施してn−ヘキサン可溶性分画部をろ過、減圧濃縮してシナアブラギリの葉、幹及び実のn−ヘキサン分画物をそれぞれ27.6g、28g及び4g得た。
【0090】
<2−1−2>シナアブラギリのエチルアセテート分画物
前記実施例<2−1−1>のシナアブラギリの葉、幹及び実のn−ヘキサン分画物を分離して残ったそれぞれの残り分画部にエチルアセテート1.5lを加えて混合後、エチルアセテート分画部を分離し、この過程を3回反復実施してエチルアセテート分画部をろ過、減圧濃縮してシナアブラギリの葉、幹及び実のエチルアセテート分画物をそれぞれ80g、18g及び40g得た。
【0091】
<2−1−3>シナアブラギリのブタノール分画物
前記実施例<2−1−2>のシナアブラギリの葉、幹及び実のエチルアセテート分画物を分離して残ったそれぞれの残り分画部にブタノール1.5lを加えて混合後、ブタノール分画部を分離し、この過程を3回反復実施してブタノール分画部をろ過、減圧濃縮してシナアブラギリの葉、幹及び実のブタノール分画物をそれぞれ55g、24g、及び12g得た。
【0092】
<2−2>コショウノキの分画物の製造
<2−2−1>コショウノキのn−ヘキサン分画物
前記実施例<1−2>で得たコショウノキの葉、幹、花及び根のメタノール抽出物から、前記実施例<2−1−1>に記載した方法によってコショウノキのn−ヘキサン分画物を製造して、コショウノキの葉、幹、花及び根のn−ヘキサン分画物をそれぞれ31g、36g、21g及び27g得た。
【0093】
<2−2−2>コショウノキのエチルアセテート分画物
前記実施例<2−1−2>に記載した方法によってコショウノキのエチルアセテート分画物を製造して、コショウノキの葉、幹、花及び根のエチルアセテート分画物をそれぞれ7g、8.4g、5g及び6g得た。
【0094】
<2−2−3>コショウノキのブタノール分画物の製造
前記実施例<2−1−3>に記載した方法によってコショウノキのブタノール分画物を製造して、コショウノキの葉、幹、花及び根のブタノール分画物をそれぞれ20g、24g、14g及び18g得た。
【0095】
<実施例3>シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物のインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)分泌誘導活性確認
<3−1>ナチュラルキラー(NK)細胞の培養
インターロイキン−2(IL−2)依存性ナチュラルキラー(NK)細胞株NK92(human NK lymphoma)は、米国微生物保存センター(American Type Culture Collection,ATCC)から購入した。NK92細胞は、20%ウシ胎児血清(FCS)(HyClone,Logan,UT)、2mM L−グルタメート、100μg/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies)を含み、100U/mlのIL−2(Chiron,Emeryville,CA)が添加されたα−MEM(α−minimal essential medium)(Life Technologies,Karlsruhe,ドイツ)培地で37°C、5%CO2条件下で培養した。
【0096】
<3−2>酵素結合免疫吸収分析(enzyme−linked immunosorbent assay,ELISA)を通じたシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物のインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)分泌誘導性確認
前記実施例<3−1>によって培養したNK92細胞の細胞培養液に2μg/mlのシナアブラギリの葉、幹または葉の抽出物、またはそれらの分画物(n−ヘキサン、エチルアセテート、ブタノールまたは水分画物)、またはコショウノキの葉、幹、花または根の抽出物、またはそれらの分画物をそれぞれ処理して37°Cで18時間培養した後、細胞を除去して上澄み液を得た。それぞれのNK92細胞の細胞培養液に存在するヒトIFN−γの定量は、商業的に購入可能なモノクローナル抗体(mAb)(Endogen)を用いて製造者が指示したプロトコールによって酵素結合免疫吸収分析(ELISA)を遂行した。ここで、フジモドキの抽出物及びジメチルスルホキシド(DMSO)をそれぞれ陽性(PC)及び陰性(NC)対照群として用いた。IFN−γの定量値は、3回分析した値の平均±標準偏差として表示した。
【0097】
その結果、シナアブラギリの抽出物またはその分画物の場合、表1及び図1に示したように、シナアブラギリの葉、幹及び実のメタノール抽出物を処理したそれぞれのNK92細胞では、約1.7〜2.0ng/mlのIFN−γを分泌した。シナアブラギリの葉、幹または実の抽出物の分画物である、水層を除いた有機溶媒分画物(n−ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノール)を処理した場合には、n−ヘキサン分画物は約1.7〜2.1ng/ml、エチルアセテート分画物は約1.5〜2.0ng/ml、ブタノール分画物は約1.2〜1.7ng/mlのIFN−γを分泌した。シナアブラギリの水分画物は約0.3〜0.4ng/mlのIFN−γを分泌して、シナアブラギリの抽出物または有機溶媒分画物に比べて顕著に低い分泌量を示し、IFN−γ分泌誘導性がほとんどないことが示された。シナアブラギリの抽出物またはその分画物を処理した細胞は、すべて陰性対照群(0.3ng/ml)に比べて顕著に高いIFN−γ分泌量を示した(表1及図1)。また、図2に示したように、シナアブラギリの葉、幹または実の抽出物の分画物のIFN−γ分泌効果を確認した(図2)。このことから、シナアブラギリの葉、幹または実の抽出物、またはその分画物は、NK細胞でIFN−γの分泌誘導活性を有することを確認した。
【0098】
一方、コショウノキの抽出物またはその分画物の場合、下記の表2及び図3に示したように、コショウノキのメタノール抽出物(葉、幹、花または根)で処理したそれぞれのNK92細胞では約2.4〜2.6ng/mlのIFN−γが分泌した。コショウノキの葉、幹、花及び根の抽出物の分画物である、水層を除いたそれぞれの有機溶媒分画物(n−ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノール)を処理した場合には、n−ヘキサン分画物が約1.7〜1.8ng/ml、エチルアセテート分画物が約1.4〜1.8ng/ml、ブタノール分画物が1.6〜1.9ng/mlのIFN−γ分泌効果が示された。水分画物の場合には、約0.2〜0.4ng/mlのIFN−γを分泌して、IFN−γ分泌誘導性がほとんどないことが示された。コショウノキの抽出物または分画物を処理した細胞は、すべて陰性対照群(0.3ng/ml)に比べて顕著に高いIFN−γ分泌量を示した(表2及び図3)。また、図4に示したように、コショウノキの葉、幹、花または根の抽出物の分画物のIFN−γ分泌効果を確認した(図4)。このことから、コショウノキの葉、幹、花または根の抽出物、またはその分画物は、NK細胞でIFN−γの分泌を促進することを確認した。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
<3−3>ELISA分析を通じたシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物の濃度によるインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)分泌誘導活性確認
シナアブラギリの葉、幹及び実のメタノール抽出物、コショウノキのメタノール抽出物それぞれの濃度によるINF−γ分泌量を前記実施例<3−2>の方法によって遂行した。ここで、メタノール抽出物はそれぞれ0.01、0.1、1または、10μg/mlの濃度で添加した。
【0102】
その結果、図5に示したように、シナアブラギリの葉のメタノール抽出物は、1μg/ml以上の濃度でINF−γの分泌量が顕著に増加し、シナアブラギリの幹または実のメタノール抽出物では、10μg/mlの濃度でINF−γ分泌が急激な増加を示した(図5)。また、図6に示したように、コショウノキのメタノール抽出物は、1μg/ml以上の濃度でINF−γの分泌量が顕著に増加した(図6)。このことから、シナアブラギリまたはコショウノキのメタノール抽出物の濃度に依存的にINF−γ分泌が増加することを確認した。
【0103】
<3−4>インターフェロン−ガンマ分泌誘導に関連する遺伝子発現に対するシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物またはその分画物の効果
NK92細胞でIFN−α及びγ誘導に関連するmRNA発現の変化を調べるために、RT−PCRを遂行した。NK92細胞または肺上皮細胞株であるA549を2ngのシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物で12時間培養した。培養後、15分、30分、45分、1時間、4時間、及び12時間後に細胞を溶解させた後に公知されたプロトコールにしたがってRNAを分離して、RT−PCRを通じてIFN−γmRNA発現を分析した。ここで、用いたIFN−γのプライマーは、正方向プライマーが5’−TCCCATGGGTTGTGTGTTTA−3’で、逆方向プライマーは、5’−GTCAGGGTGCAGCCGG−3’であり、GAPDHを内部標準として用いたが、ここで用いたGAPDH正方向プライマーは、5’−CCATCACCATCTTCCAGGAG−3’で、逆方向プライマーは、5’−ACAGTCTTCTGGGTGGCAGT−3’を用いた。
【0104】
前記RT−PCR反応は、前記プライマー対とTaqポリマラーゼ(Takara,Shiga,日本)を用いて遂行した。総RNAは、標準プロトコールによって分離し、cDNAは製造者の指示にしたがってAccuScript High Fidelity 1st Strand cDNA Synthesisキット(Stratagene)を用いて合成した。合成した1μlのcDNAを0.5U ExTaq DNAポリメラーゼ、1×buffer及び1mM dNTP mix(Takara)と前記プライマー対からなる20μlのPCR反応に用いた。PCR反応による増幅は、次のような条件でGeneAmp PCRシステム2700(Applied Biosystems,Foster city,CA,米国)を用いて遂行した;94°Cで5分、続いて94°Cで45秒、56°Cで45秒及び72°Cで1分を25〜40サイクル行った後、最終延長反応は、72°Cで7分間遂行した。PCRプライマーは、Bioneer社(韓国、大田)から購入し、Primer3プログラムを用いてデザインした。PCR生成物は、1.5%アガロースゲル上で分離して臭化エチジウム(EtBr)で染色してGel Doc 2000UV trans−illuminator(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA,米国)で視覚化した後、Quantity One software(Bio−Rad Laboratories)を用いて分析した。各サンプルは、3回以上テストして代表データを提示した。
【0105】
その結果、図7に示したように、IFN−γの転写体は、シナアブラギリの抽出物が処理されたNK92細胞で2時間後に著しく増加した。これは、IFN−γ誘導のためのシナアブラギリの抽出物に対する反応は、転写水準で1〜2時間以内に誘導されたことが分かった(図7)。一方、図8に示したように、コショウノキが処理されたNK92細胞及び肺上皮細胞株であるA549細胞でIFN−γ及びIFN−α mRNAの発現様相を時間帯別に確認した結果、IFN−γの転写体はコショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞で3時間後から著しく増加した。これは、IFN−γ誘導のためのコショウノキの抽出物に対する反応は、転写水準で3時間以内に誘導されたことが分かった。A549細胞においては、コショウノキの抽出物がIFN−α mRNAの発現水準を増加させることが示された(図8)。
【0106】
<実施例4>シナアブラギリの抽出物のIFN−γ生成誘導効果に対するNF−κB信号伝達経路依存性確認
シナアブラギリの抽出物のIFN−γ生成誘導効果が、NF−κB信号伝達経路に依存的であるということを立証するために、NF−κB抑制因子であるBayII、または、PKC信号伝達抑制因子であるロッテリン(Rotterin)をシナアブラギリの抽出物とともにNK92細胞に処理した。
【0107】
その結果、図9に示したように、シナアブラギリの抽出物によるIFN−γ生成の誘導は、BayII処理によってNK92細胞内で減少した。これは、BayII濃度に依存的だった。このことから、シナアブラギリの抽出物によるIFN−γ生成の誘導が、NF−κB信号伝達によって媒介されるということが分かった。また、PKC信号伝達抑制因子であるロッテリンの処理によってIFN−γ生成が減少されることで、NF−κB信号伝達の上位信号伝達因子は、PKCの活性によるものであることが分かった(図9)。
【0108】
<実施例5>シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物の細胞表面物質に対する影響確認
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞の活性に関与する細胞表面物質の変化を確認するために、蛍光活性化細胞選別機(FACS)で分析した。ここで、NK細胞の活性リガンド(ligand)として作用する NKG2A、C、及びD、自然殺害活性と関連するNKp30、NKp44及びNkp46細胞表面物質の発現を分析した。
【0109】
その結果、図10に示したように、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物は類似のNK92細胞の表面物質発現様相を示し、NK細胞の活性に関与するNKG2C及びDの発現が著しく増加し、NK細胞のナチュラルキラー活性と関連したNKp44の発現も顕著に増加したことが確認された(図10)。
【0110】
<実施例6>ウイルスが感染された肺上皮細胞株に対するシナアブラギリの抽出物の影響確認
インフルエンザウイルスに感染した細胞に対するシナアブラギリの抽出物の効果を確認するために、インフルエンザウイルスが浸透した肺上皮細胞株であるA549細胞にシナアブラギリの抽出物を処理した後、前記実施例<3−4>の方法によってRT−PCRを実施してIFN−α及びβ転写活性度を確認した。
【0111】
その結果、図11に示したように、インフルエンザウイルスが処理されたA549細胞で24時間後にIFN−α及びβの発現が示され、シナアブラギリの抽出物を前記ウイルスが処理されたA529細胞に処理することでIFN−αの発現量は減少し、IFN−α発現の増加がさらに早くなる現象を示した(図11)。
【産業上の利用可能性】
【0112】
前記のように、本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、抗ウイルスに卓越した効果があるのでウイルス性疾患の予防及び治療用薬剤、またはウイルス性疾患の予防及び改善用健康食品及び飼料添加剤の開発と、これらを用いた予防または治療方法の研究に有用に用いることができる。
【配列表フリーテキスト】
【0113】
配列番号1:インターフェロン−ガンマ正方向プライマー
配列番号2:インターフェロン−ガンマ逆方向プライマー
配列番号3:GAPDH正方向プライマー
配列番号4:GAPDH逆方向プライマー
【技術分野】
【0001】
本発明は、シナアブラギリ(Aleurites fordii)またはコショウノキ(Daphne kiusiana)の抽出物、またはその分画物を有効成分として含む抗ウイルス用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人類が病んでいる多くの感染性疾患はウイルスによるもので、狂犬病、天然痘、脊髄炎、肝炎、黄熱、免疫欠乏症、脳炎及びエイズなどいろいろ深刻な疾病の原因になる。このようなウイルスによる感染性疾患は、風邪、はしか、お多福風邪及び水痘等のように非常に伝染性が強くて急性病勢を示すだけでなく、呼吸器、消化器障害を示したり、はしか及びサイトメガロウイルスのようなものは先天性異常を誘発して、腫瘍ウイルスとして知られたウイルスは、人体に腫瘍及び癌を誘発する。したがって、抗ウイルス剤に対する研究はずいぶん以前から現在まで活発に行なわれている。抗ウイルス剤は、人体内に侵入したウイルスの作用を弱化させたり消滅するようにしたりする薬剤であり、オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)、インターフェロン、免疫グロブリン製剤などがある。しかし、ウイルス感染による疾病の予防及び治療に用いてきた既存の抗ウイルス剤は、これら薬物に対する突然変異ウイルスによるウイルスの耐性及び副作用によって、持続的な使用には問題がある。したがって、前記従来の抗ウイルス剤が有する問題点を解決することができる新しい天産物由来の抗ウイルス剤の開発が求められていて、特に医薬品及び食品添加物としての使用に相応しいて毒性がない天然素材の開発が求められている。
【0003】
一方、インターフェロン・ガンマ(IFN−γ)は、免疫システムの活性化したT細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞が、ウイルス、寄生虫及び腫瘍細胞のような外部物質の侵入に対応して生成する天然タンパク質である。IFN−γは、ウイルス感染の重要な指示因子である二重螺旋RNAの存在に対応してTh1細胞、細胞傷害性T(Tc)細胞、樹枝状細胞またはNK細胞などによって分泌する二量体サイトカインであり、タイプIIインターフェロンに属する。IFN−γは、元来、大食細胞活性化因子と呼ばれるほど食細胞活性作用が強くて、現在の研究によると約30個程度の遺伝子の転写変化を誘導して多様な免疫及び細胞反応(大食細胞の抗原提示増加、大食細胞でリソソーム(lysosome)活性増加及び活性化、Th2細胞活性抑制、正常細胞でクラスI MHC分子の発現増加、白血球細胞の移動性増加及びNK細胞活性の増加)を生成することが知られている。IFN−γは、宿主細胞内のウイルス複製を抑制して、NK細胞を活性化させて、リンパ細胞に対する抗原提示を増加させて、宿主細胞のウイルス感染に対する耐性を増加させることで免疫反応を助ける。抗原がマッチングされるT細胞及びB細胞に提示されれば、これら細胞が増殖して外部物質を戦略的で特異的な方法で除去する。このような点で抗原提示は、免疫反応で非常に重要な機序である。
【0004】
NK細胞は、先天及び獲得免疫反応に関与することが知られている。NK細胞は、細胞毒性及びサイトカイン生成を通じてその効能(effector function)を媒介して、受容体及び標的細胞に対するリガンドによって媒介される細胞毒性効能細胞に機能する。細胞毒性に対するNK特異受容体としては、自然細胞毒性受容体(natural cytotoxic receptors、NCRs)と呼ばれるNKp46(非特許文献1),NKp30(非特許文献2)及びNKp44(非特許文献3)などがある。NCRsに対するリガンドは、インフルエンザウイルス(IV)のヘマグルチニン(hemagglutinin,HA)、センダイウイルス(Sendai virus,SV)のヘマグルチニン・イノラミニダーゼ(hemagglutinin−neuraminidase,HN)(非特許文献4)及び膜結合されたヘパリンスルファートプロテオグリカン(membrane−associated heparin sulfate proteoglycans)(非特許文献5)などが知られている。また、NK細胞は、IFN−γのようなサイトカイン分泌を通じて獲得免疫反応の発達を助けるのに重要な役割をして(非特許文献6)、IFN−γがネズミサイトメガロウイルス(murine cytomegalovirus)感染で抗ウイルス活性を有するということが報告された。NK細胞は、直接的な先天防御及び獲得免疫反応の形成にともに関与している。何種類かのマウスモデルで、NK細胞が腫瘍の発達と微生物感染を抑制した。特に、NK細胞は、マウスサイトメガロウイルス(mouse cytomegalovirus,MCMV)感染の初期工程で直接ウイルス感染した細胞を死滅させて、IFN−γを生成させることによって調節する役割をする。NK細胞内でIFN−γ生成に対する主要経路は、プロティンキナーゼCθ(Protein kinase C,PKCθ)の活性化に依存する。Tassi研究陣は、免疫受容体タイロシン活性化部位(immunoreceptor tyrosine−based activationmotif,ITAMs)を通じて信号を伝達するNK細胞受容体が関与することで、PKCθが速かに活性化すると報告した。PKCθ欠乏マウスからNK細胞を分析した結果、PKCθはITAM媒介IFN−γ分泌において必須要素であるということが明らかにされた(非特許文献7)。
【0005】
ホスホリパーゼCγ(phospholipase Cγ,PLCγ)は、IFN−γ分泌で非常に本質的な基礎因子である。IFN−γの基底水準は、PLCγ2−欠乏NK細胞内で著しく減少し、野生型細胞とは異なり、抗NK1.1による刺激によってもIFN−γ分泌が増加する結果を示さなかった(非特許文献8)。PLCγ2欠乏NK細胞は、IFN−γまたは顆粒球マクファージコロニー刺激因子(granulocyte−macrophage colony stimulating factor,GM−CSF)生成能力が大きく損傷され、PLCγ2は、NK1.1媒介サイトカイン生成だけではなくNKG2Dでも重要な役割をする(非特許文献9)。マウス内でFc受容体(FcRs)のγ−鎖を含み、この受容体は結合されたアダプターITAMs(adaptor’s ITAMs)のチロシン残基リン酸化結果に至るようになり、それは再び脾臓チロシンキナーゼ(spleen tyrosine kinase,Syk)が集まるようにする。前記キナーゼは、T細胞活性化用リンカー、76kDa、PLC、PI3K及びErkキナーゼを含む多数の下部シグナル伝達メディエーターを活性化させる。総合的にこの信号伝達媒介者は、遺伝子転写、NK細胞が標的細胞を溶解させるのに用いる溶解性顆粒のエキソサイトーシス(exocytosis)のための細胞プログラムを開示して、親炎症性ケモカイン及びサイトカイン、特にIFN−γを生成させる(非特許文献10)。前記のように、IFN−γは抗ウイルス作用、抗増殖作用及び免疫調節作用をするので、肝炎、多様なウイルス感染性疾患及び癌治療に利用されている。
【0006】
一方、大部分のウイルスは、宿主のIFN反応に対して自体を保護するため、免疫回避戦略を示す。特に、ウイルスによるIFN−γ信号抑制に対する多様な機序が報告されている。例えば、エプスタイン・バー(Epstein−barr)ウイルスは、IFN−γ受容体遺伝子発現を阻害して抗ウイルス性IFN反応を防ぎ(非特許文献11)、ヒト腫瘍誘導ヘルペスウイルスによってIFN−γ受容体1が阻害(非特許文献12)されると報告している。ゆえに、IFNの分泌及び活性を促進させて抗ウイルス活性及び免疫活性を高めることができる物質の開発が必要である。
【0007】
シナアブラギリ(Aleurites fordii)は、双子葉植物ふうろそう目トウダイグサ科の落葉高木で学名は、Aleurites fordiiで、よく油桐とも呼ばれる。中国が原産地で韓国の南部海岸地方でも育つ。木の高さは約7.5〜10mまで伸びて、樹皮は灰色を帯びた茶色で皮目があって太い枝が四方に広がる。葉は互い違いに育ち心臓模様または丸い形で、花は5月に赤味を帯びた白で咲く。実は朔果で9月になると成熟するが丸くて三つの種子が入っている。南部脂肪ではシナアブラギリを緑陰樹や庭木として植えて、種子からは油を採取するが、この油を「桐油」と言う。東洋では桐油を伝統的に火を灯すのに用いられ、現代も産業用に重要に用いられている。
【0008】
シナアブラギリの実は、東洋伝統医学で統土風痰、消腫毒、利二便意効能があり、風痰喉痺(喉頭結核、喉頭梅毒など)、疥癬、丹毒、やけど、膿疱瘡、食積腹脹、大小便不利を治療するのに用いた。根は、少食、利水、痰火、殺虫の効能があり、食積肥満、水腫、鼓脹、暁天、瘰癧、蛔虫症を治療するのに用いた。葉は、よう(癰)、解毒の効能があって癰瘡、丹毒、(つきへんに兼)瘡、凍瘡、疥癬、痢疾治療に用いた(非特許文献13)。
【0009】
シナアブラギリの化学成分研究を通じてシナアブラギリにジテルペノイドエステル、ステロール、タンニン、オイル、クマリン、コウマロリグナン(coumarolignan)系化合物が含有されているという研究結果が知られている(非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18)。シナアブラギリに対する生理活性研究では、ヒト多形核白血球活性因子(human polymorphonuclear leukocyte activating factor)、ヒト好中球活性因子(human neutrophil−activating factor)などが明らかにされ、シナアブラギリの抽出物及びジテルペンエステル(diterpene esters)によってエプスタイン−バーウイルス(Epstein−Barr virus)活性が誘導されると報告された。また、シナアブラギリの12−O−ヘキサデカノイル−16−ヒドロキシホルボール13−アセテート(12−O−hexadecanoyl−16−hydroxyphorbol 13−acetate)は、ヒトT−リンパ球親和性ウイルスタイプI(human T−lymphotrophic virus type I,HTLV−I)によって誘導されるリンパ球のコロニー形成を増大させる効能があると報告された。シナアブラギリの12−O−パルミトイル−16−ヒドロキシホルボール13−アセテート(12−O−Palmitoyl−16−hydroxyphorbol 13−acetate)、12−O−パルミトイル−4−ジオキシ−4β−16−ヒドロキシホルボール13−アセテート(12−O−palmitoyl−4−deoxy−4β−16−hydroxyphorbol 13−acetate)は、魚類に対する毒性がロテノン(rotenone)と類似の程度であるということが明らかにされた(非特許文献17、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23)。
【0010】
一方、コショウノキ(Daphne kiusiana)は、双子葉植物桃金嬢目沈丁花科の常緑かつ葉潅木で、学名は、Daphne kiusianaで白沈丁花とも言う。原産地は韓国で、慶南巨済島と全南黒山島、チェジュドの標高50〜1,300mの海辺の山すそで主に育ち、その高さは約1mである。葉は互い違いに延びてだ円形または倒披針形で長さは約3〜8cm、幅は約1.2〜3.5cm程度で、端がのっぺりしていてつやがあり下部が細くなって短い葉の柄と連続する。花は雌雄異体で2〜4月に白い花が咲き、枝の先に集まって付いて香りが濃い。包葉は、広い披針形で花袋は短くて白色の綿毛があり、萼も綿毛があり4つに割れている。実は漿果でたまごのような球形で、長さは8mm程度である。5〜6月に朱色に熟する。茎は直立して紺色で、枝がたくさん出て被覆形の樹形を成す。
【0011】
コショウノキ花は、東洋伝統医学で、咽喉疼痛、歯痛、リウマチ痛、天然痘、初期の乳腺癌を治療するのに用いられ、根は、咽喉炎治療に、葉は創傷、通風、慢性皮膚炎を治療するのに用いられてきたが、その生物学的活性はいまだに明確に知られていなかった(非特許文献13)。コショウノキの化学成分研究によってコショウノキにアントシアニン系及びクマリン系化合物が含有されていることが報告された(非特許文献24、非特許文献25)。
【0012】
しかし、まだ前記シナアブラギリまたはコショウノキの抗ウイルス活性及び免疫活性作用に関して報告されたことはない。
【0013】
それで、本発明者等は、従来の抗ウイルス剤が有する問題点を解決することができる、植物に由来した天然抽出物から抗ウイルス用物質を発掘するために研究中、シナアブラギリの葉、幹及び実の抽出物、コショウノキの葉、幹、花及び根の抽出物、またはそれらの分画物がナチュラルキラー(NK)細胞でインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)の分泌を顕著に増加させて抗ウイルス効能を有することを確認することによって本発明を完成した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Sivori,S.等.,J Exp Med,1997年,第186巻,p.1129−1136
【非特許文献2】Pende,D.等.,J Exp Med,1999年,第190巻,p.1505−1516
【非特許文献3】Cantoni,C.等.,J Exp Med,1999年,第189巻,p.787−796
【非特許文献4】Arnon,T.I.等.,Eur J Immunol,2001年,第31巻,p.2680−2689
【非特許文献5】Bloushtain,N.等.,J Immunol,2004年,第173巻,p.2392−2401
【非特許文献6】Stetson,D.B.等.,J Exp Med,2003年,第198巻,p.1069−1076
【非特許文献7】Tassi,I.等.,Blood,2008年,第112巻,p.4109−4116
【非特許文献8】Caraux,A.等.,Blood,2006年,第107巻,p.994−1002
【非特許文献9】Regunathan,J.等.,J Immunol,2006年,第177巻,p.5365−5376
【非特許文献10】Tassi,I.等.,J Immunol,2005年,第175巻,p.749−754
【非特許文献11】Morrison,T.E.,等.,Immunity,2001年,第15巻,p.787−799
【非特許文献12】Li,Q.,J Virol,2007年,第81巻,p.2117−2127
【非特許文献13】ジョン・ボソプ、シン・キンキョウ、図解郷薬大辞典、営林社、ソウル、1998年,pp.741−742
【非特許文献14】Ishikura,N.等.,I.Botanical Magazine,1975年,第88巻,p.41−45
【非特許文献15】Nonaka,G.等.,Chem.Pharm.Bull.,1990年,第38巻,p.861−865
【非特許文献16】Fozdar,B.I.等.,Phytochemistry,1989年,第28巻,p.2459−2461
【非特許文献17】Hiroto,M.等.,Agricultural and Biological Chemistry,1979年,第43巻,p.2523−2529
【非特許文献18】Okuda,T.等.,Phytochemistry,1975年,第14巻,p.509−515
【非特許文献19】Okuda,T.等.,Phytochemistry,1975年,第14巻,p.2513−2514
【非特許文献20】Shichijo,S.等,Journal of Clinical+Laboratory Immunology,1988年,第27巻,p.183−189
【非特許文献21】Matsuda,S.等.,International Journal of Cancer,1986年,第38巻,p.859−865
【非特許文献22】Shichijo,S.等.,Arerugi,1985年,第34巻,p.190−197
【非特許文献23】Ito,Y.等.,Cancer Letters,1983年,第18巻,p.87−95
【非特許文献24】Ishikura,N,I.Botanical Magazine,1975年,第88巻,p.41−45
【非特許文献25】Nakabayashi,T,Yakugaku Zasshi,1954年,第74巻,p.192−193
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、シナアブラギリ(Aleurites fordii)またはコショウノキ(Daphne kiusiana)の抽出物、またはその分画物を有効成分として含む抗ウイルス用組成物を提供することである。
【0016】
また、本発明のまた他の目的は、薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む組成物をウイルス性疾患にかかった個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の改善または治療方法を提供する。
【0017】
同時に、本発明のまた他の目的は、薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む組成物を個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の予防方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するために、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防も治療用薬学的組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を追加的に有機溶媒で抽出して製造された有機溶媒分画物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0020】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または改善用健康食品を提供する。
【0021】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または改善用飼料添加剤を提供する。
【0022】
また、本発明は薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む組成物をウイルス性疾患にかかった個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の改善または治療方法を提供する。
【0023】
また、本発明は薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む組成物を個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の予防方法を提供する。
【0024】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または治療用薬学的組成物の製造に用いる用途を提供する。
【0025】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用健康食品の製造に用いる用途を提供する。
【0026】
同時に、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用飼料添加剤の製造に用いる用途を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、ナチュラルキラー(NK)細胞で免疫関連サイトカインであるインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)の分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、抗ウイルス用組成物の有効成分として有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、シナアブラギリの葉、幹及び実それぞれのメタノール抽出物、それから分画したn−ヘキサン、エチルアセテート、ブタノールまたは水分画物をNK92細胞に処理した後、IFN−γの分泌量を分析したグラフである:M:シナアブラギリのメタノール抽出物;H:シナアブラギリのn−ヘキサン分画物;E:シナアブラギリのエチルアセテート分画物;B:シナアブラギリのブタノール分画物;W:シナアブラギリの水分画物;NC:陰性対照群;及びPC:陽性対照群。
【図2】図2は、シナアブラギリの葉、幹及び実それぞれの抽出物を分画した分画物をNK92細胞に処理した後、IFN−γの分泌量を分析したグラフである:A:シナアブラギリの葉のn−ヘキサン分画物;B:シナアブラギリの実のn−ヘキサン分画物;C:シナアブラギリの幹のn−ヘキサン分画物;及びD:シナアブラギリの実のエチルアセテート分画物。
【図3】図3は、コショウノキの葉、幹、花及び根それぞれのメタノール抽出物、それから分画したn−ヘキサン、エチルアセテート、ブタノールまたは水分画物をNK92細胞に処理した後、IFN−γの分泌量を測定したグラフである:A:コショウノキのメタノール抽出物;及びB:コショウノキのメタノール抽出物の有機溶媒分画物:M:コショウノキのメタノール抽出物;H:コショウノキのn−ヘキサン分画物;E:コショウノキのエチルアセテート分画物;B:コショウノキのブタノール分画物;W:コショウノキの水分画物;NC:陰性対照群;及びPC:陽性対照群。
【図4】図4は、コショウノキの葉、幹、花及び根それぞれの抽出物を分画した分画物をNK92細胞に処理した後、IFN−γの分泌量を分析したグラフである:A:コショウノキのメタノール抽出物の有機溶媒分画物(DKCS:コショウノキの幹の栽培試料;及びDKCL:コショウノキの葉の栽培試料);B:コショウノキの葉の栽培試料のn−ヘキサン分画物;及びC:コショウノキの葉の栽培試料のエチルアセテート分画物。
【図5】図5は、シナアブラギリの葉、幹及び実それぞれのメタノール抽出物をNK92細胞に濃度別に処理した後、IFN−γの分泌量を分析したグラフである。
【図6】図6は、コショウノキの抽出物のIFN−γ生成能力の最低活性濃度を測定したグラフである。
【図7】図7は、シナアブラギリの抽出物が処理されたNK92細胞でIFN−γmRNAの発現をRT−PCRを通じて時間帯別に確認した図である。
【図8】図8は、コショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞で、IFN−α及びγ mRNAの発現をRT−PCRを通じて時間帯別に確認した図である。
【図9】図9は、Bay−ll(NF−κB活性抑制因子)またはロテリン(PKC活性抑制因子)の処理によってシナアブラギリの抽出物によって誘導されるIFN−γ生成変化を示した図である。
【図10】図10は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞の活性に関与する細胞表面物質の発現変化をFACSで分析した図である。
【図11】図11は、インフルエンザウイルスが感染した肺上皮細胞株A549細胞でシナアブラギリの抽出物の処理によるIFN−α及びβのmRNA発現をRT−PCRを通じて確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明で用いた用語を説明する。
【0030】
本明細書で用いる用語「抽出物」は、当業界で粗抽出物(crude extract)として通用する意味を有するが、広義的には下記の分画物も含む。
【0031】
本明細書で用いる用語「分画物」は、抽出時に用いた溶媒と異なる溶媒を用いて本発明で目的とする活性を分画して得た活性分画物(fraction)を意味する。
【0032】
本発明で用いる用語「予防」は、本発明の組成物の投与でウイルス性疾患を抑制したり進行を遅延させたりするすべての行為を意味する。
【0033】
本発明で用いる用語「治療」及び「改善」は、本発明の組成物の投与によってウイルス性疾患の症状が好転または有利に変更されるすべての行為を意味する。
【0034】
本発明で用いる用語「投与」は、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0035】
本発明で用いる用語「個体」は、本発明の組成物を投与してウイルス性疾患の症状が好転し得る疾患を有したヒト、猿、犬、山羊、豚または鼠などすべての動物を意味する。
【0036】
本明細書で用いる用語「飼料」は、家畜の生命を維持して乳、肉、卵、毛皮などを生産するのに必要な有機または無機栄養素を供給する物質を意味する。
【0037】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0038】
本発明は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0039】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、当業界で公知された多様な抽出方法によって得ることができる。
【0040】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物は、下記の工程を含む製造方法によって製造することが好ましいが、これに限定されない:
1)シナアブラギリまたはコショウノキに抽出溶媒を加えて抽出する工程;
2)工程1)の抽出物を冷却後にろ過する工程;及び
3)工程2)のろ過した抽出物を減圧濃縮した後に乾燥する工程。
【0041】
前記方法において、工程1)のシナアブラギリまたはコショウノキは、栽培したものまたは市販のものなど制限なしに使用することができる。前記シナアブラギリは、乾燥した葉、幹または実のすべてが使用可能で、前記コショウノキは乾燥した葉、幹、花または根がすべて使用可能である。
【0042】
前記抽出溶媒は、当業界で通常使用するどのような抽出溶媒も使用可能であり、水、アルコールまたはそれらの混合物を使用することが好ましい。前記アルコールとしては、C1〜C2低級アルコールを用いるのが好ましく、低級アルコールではエタノールまたはメタノールを用いることが好ましい。抽出方法では、振とう抽出、還流抽出、超臨界抽出または亜臨界抽出を用いることが好ましいが、これに限定されない。前記抽出溶媒を乾燥したシナアブラギリまたはコショウノキの分量の2〜20倍添加して抽出することが好ましい。抽出温度は、20〜50°Cであることが好ましいがこれに限定されない。また、抽出時間は、10〜48時間であることが好ましく、24時間がさらに好ましいがこれに限定されない。同時に、抽出回収は、3〜5回であることが好ましく、3回反復抽出することがさらに好ましいが、これに限定されない。
【0043】
前記方法において、工程3)の減圧濃縮は、真空減圧濃縮機または真空回転蒸発きを用いることが好ましいが、これに限定されない。また、乾燥は、減圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥または凍結乾燥することが好ましいが、これに限定されない。
【0044】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物の分画物は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物に、追加で有機溶媒を加えて有機溶媒分画物を製造する工程を含む製造方法によって製造することが好ましいが、これに限定されない。
【0045】
前記方法において、前記有機溶媒は当業界で通常使用されるどのような抽出溶媒も使用可能であり、C1〜C4の無水または含水低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノールまたはn−ブタノールなど)、前記低級アルコールと水との混合溶媒、アセトン、エチルアセテート、クロロホルム、1,3−ブチレングリコール、ヘキサン、ジエチルエーテルまたはブチルアセテートなどを使用することができる。前記有機溶媒は、ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノールであることが好ましいが、これに限定されない。
【0046】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物に極性が低いものから高いものの順にヘキサン、エチルアセテート、ブタノール、水を順次に加えて各有機溶媒層の分画物を得ることが好ましく、分画物は分別ロートを用いて分画することが好ましいが、これに限定されない。具体的に、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を蒸留水に懸濁してヘキサンを加えてヘキサン層を分離して、残った水層に再びエチルアセテートを加えてエチルアセテート層を分離して、残った水層に再びブタノールを加えてブタノール層を分離することができる。各有機溶媒層の分画物をすべて用いることができる。
【0047】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、ナチュラルキラー(NK)細胞でインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)の分泌誘導作用を通じて抗ウイルス活性を示すことが好ましいが、これに限定されない。
【0048】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(Swine Influenza virus、SIV)、インフルエンザウイルス(influenza virus)、新型インフルエンザA(Influenza A virus subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス(avian influenza virus)、ライノウイルス(rhinovirus)、アデノウイルス(adenovirus)、コロナウイルス(coronavirus)、パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus)、呼吸器合抱体ウイルス(respiratory syncytial virus)、疱疹ウイルス(Herpesvirus,HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(human immunodeficiency virus,HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染される疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0049】
本発明の組成物は、前記成分に追加で同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上含むことができる。
【0050】
本発明の組成物は、総重量に対して前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、0.1〜50重量部であることが好ましいが、これに限定されない。
【0051】
本発明の組成物は、前記説明された有効成分以外に薬剤学的に許容される担体を含むことができる。本発明の組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常使用されるもので、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイルなどを含むが、ここに限定されない。本発明の組成物は、前記成分以外に滑剤、湿潤剤、甘味料、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを追加で含むことができる。相応しい薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995年)に詳しく記載されている。
【0052】
本発明の組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食物、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって多様に処方され得る。一方、本発明の組成物の経口投与量は、1日当り0.0001〜100mg/kg(体重)であることが好ましいが、これに限定されない。
【0053】
本発明の組成物は、経口または非経口で投与することができ、非経口投与する場合、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与などで投与することができる。本発明の組成物は、適用される疾患の種類によって、投与経路を決定することが好ましい。
【0054】
本発明の組成物は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者が容易に実施することができる方法によって、薬剤学的に許容される担体及び/または賦形剤を用いて製剤化することによって、単位用量形態で製造するかまたは多用量容器内に入れて製造することができる。ここで、剤形はオイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液形態かエキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤の形態も可能で、分散剤または安定化剤を追加で含むことができる。
【0055】
本発明者等は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物またはその分画物の抗ウイルス活性を調べるため、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはそれらの分画物のインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)分泌誘導能を酵素結合免疫吸収分析(enzyme−linked immunosorbent assay,ELISA)を通じて確認した。その結果、シナアブラギリの葉、幹または実の抽出物、またはその分画物(n−ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノール分画物)は、NK細胞でIFN−γの分泌を顕著に増加させ(表1、図1及び図2参照)、シナアブラギリの抽出物の濃度依存的にIFN−γの分泌が増加することを確認した(図5参照)。また、それぞれのコショウノキの葉、幹、花または根の抽出物、またはその分画物(n−ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノール分画物)は、NK細胞でIFN−γの分泌を顕著に増加させることが示され(表2、図3及び図4参照)、コショウノキの抽出物の濃度に依存的にIFN−γの分泌が増加することを確認した(図6参照)。IFN−γのmRNAもまたシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞で顕著に増加した(図7及び図8参照)。一方、シナアブラギリの抽出物によるIFN−γ生成の誘導は、BayII処理によってNK92細胞内で減少することを確認することによって、シナアブラギリの抽出物によるIFN−γ生成の誘導がNF−κB信号伝達によって媒介されるということを確認し、PKC信号伝達抑制因子であるロテリンの処理によってIFN−γ生成が減少されることでNF−κB信号伝達の上位信号伝達因子は、PKCの活性によるものであることを確認した(図9)。シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物がNK92細胞の表面物質の発現に及ぼす影響をFACS分析を通じて確認した結果、NK細胞の活性に関与するNKG2C及びDの発現が顕著に増加し、NK細胞のナチュラルキラー活性と関連したNKp44の発現が顕著に増加したことを確認した(図10参照)。同時に、シナアブラギリの抽出物をインフルエンザウイルスに感染したA529細胞に処理することで、IFN−β発現の増加がさらに早くなることを確認した(図11参照)。ここで、前記IFN−γはナチュラルキラー(NK)細胞で大食細胞活性因子と呼ばれるほど食細胞活性作用が強く、免疫及び細胞反応を生成することが知られたサイトカインである。それで、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物がIFN−γの分泌を誘導することによって強力な抗ウイルス活性を有することを確認した。
【0056】
したがって、本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、ウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物として有用に用いられることが分かる。
【0057】
また、本発明は薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む薬学的組成物をウイルス性疾患にかかった個体に投与する工程を含む、ウイルス性疾患の改善または治療方法を提供する。
【0058】
また、本発明は薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む薬学的組成物を個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の予防方法を提供する。
【0059】
前記薬学的に有効な量というのは、0.0001〜100mg/kgで、好ましくは、0.001〜10mg/kgであるが、これに限定されない。投与量は、特定患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与期間、投与方法、除去率、疾患の重症度等によって変化し得る。
【0060】
前記個体は、脊椎動物であり、好ましくは哺乳動物で、より好ましくはネズミ、ウサギ、ギニアピッグ、ハムスター、犬、猫のような実験動物で、最も好ましいのはチンパンジー、ゴリラのような類人猿動物である。
【0061】
前記投与方法は、経口または非経口投与することができ、非経口投与時には腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射、子宮内硬膜注射、脳血管内(intracerebroventricular)注射または胸部内注射によって投与することができる。
【0062】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザA(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染される疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0063】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、ナチュラルキラー(NK)細胞で免疫関連サイトカインであるIFN−γの分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、ウイルス性疾患の予防または治療に有用に用いることができる。
【0064】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または改善用健康食品を提供する。
【0065】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザA(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染される疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0066】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をそのまま添加するか他の食品または食品成分とともに用いることができ、通常的な方法によって適切に用いることができる。
【0067】
本発明の健康食品は、食品製造時に通常的に添加される成分を含み、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素及び調味剤を含む。
【0068】
前記食品の種類には、特別な制限はない。前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、お菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含んだ酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常的な意味での健康食品をすべて含む。
【0069】
本発明の健康飲料組成物は、通常の飲料のようにさまざまな香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含むことができる。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのようなジサッカライド、及びデキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド、キリシトール、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコールである。甘味剤としてはタウマチン、ステビア抽出物のような天然甘味料や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用することができる。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100ml当り一般的に約0.01〜0.04g、好ましくは約0.02〜0.03gである。
【0070】
前記の他に本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物はさまざまな営養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いる炭酸化剤などを含むことができる。その他に本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含むことができる。このような成分は、独立的にまたは混合して使用することができる。このような添加剤の割合は、大きく重要ではないが本発明の組成物100重量部当たり0.01〜0.1重量部の範囲で選択することが一般的である。
【0071】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、NK細胞で免疫関連サイトカインであるIFN−γの分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、ウイルス性疾患の予防または改善用健康食品に有用に用いることができる。
【0072】
また、本発明は、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、ウイルス性疾患の予防または改善用飼料添加剤を提供する。
【0073】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザA(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染さる疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0074】
前記飼料添加剤は、抗ウイルス効能を有するので、家擒類、家畜などに倦まず弛まずに摂取するようにすることでウイルス性疾患を予防することができ、すでに発生したウイルス性疾患を改善することができる。飼料は、栄養価、主成分、流通、水分含量配合状態及び加工形態などによっていろいろに分類することができ、前記飼料は、粗飼料、濃厚飼料、補充飼料、タンパク質飼料、デンプン飼料、脂肪質飼料または繊維質飼料が使用可能であるが、これに限定されない。
【0075】
本発明の飼料添加剤にはシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物が0.1〜20%重量部、脂肪分解酵素(リパーゼ)が0.001〜0.01%重量部、第3リン酸カルシウムが1〜20%重量部、ビタミンEが0.01〜0.1%重量部、酵素粉末が1〜10%重量部、乳酸菌が0.1〜10%重量部、バシラス培養液が0.01〜10%重量部及びブドウ糖は20〜90%重量部で構成されていることが好ましいが、特別にこれに限定するのではなく、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物が有効量で添加されていれば、本発明の飼料添加剤として可能である。
【0076】
前記有効量というのは、家擒類、家畜などが倦まず弛まず摂取するようにすることでウイルス性疾患を予防したり、すでに発生したウイルス性疾患を改善したりすることができる量を意味する。また、添加による利点を越す悪影響が生じない量が好ましい。
【0077】
また前記飼料添加剤は、追加的に家擒類及び家畜等に許容される担体を含むことができる。本発明においては前記飼料添加剤をそのまままたは公知の担体、安定剤などを加えることができ、必要によってビタミン、アミノ酸類、ミネラル等の各種養分、抗酸化剤、抗生物質、抗菌剤及びその他の添加剤などを加えることもでき、その形状としては粉体、顆粒、ペレット、懸濁液等の適当な状態であり得る。本発明の飼料添加剤を供給する場合は、家擒類及び家畜等に対して単独でまたは飼料に混合して供給することができる。
【0078】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、NK 細胞で免疫関連サイトカインであるIFN−γの分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、ウイルス性疾患の予防または改善用飼料添加剤として有用に用いることができる。
【0079】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または治療用薬学的組成物の製造に用いる用途を提供する。
【0080】
また、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用健康食品の製造に用いる用途を提供する。
【0081】
同時に、本発明はシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用飼料添加剤の製造に用いる用途を提供する。
【0082】
前記ウイルス性疾患は、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザA(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染される疾患であることが好ましいが、これに限定されない。
【0083】
本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、NK細胞で免疫関連サイトカインであるIFN−γの分泌誘導性を通じて強力な抗ウイルス活性を示してウイルス性疾患に卓越した効果があるので、ウイルス性疾患の予防、改善または治療用薬学的組成物、健康食品、または飼料添加剤の製造に有用に用いることができる。
【0084】
以下、本発明を実施例及び製造例によって詳しく説明する。
【0085】
ただし、下記の実施例及び製造例は本発明を具体的に例示するだけのものであり、本発明の内容が実施例及び製造例によって限定されるのではない。
【0086】
<実施例1>シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物の製造
<1−1>シナアブラギリ(Aleurites fordii)の葉、幹または実のメタノール抽出物の製造
シナアブラギリは、チェジュドの西帰浦で採取して、乾燥したシナアブラギリの葉、幹及び実それぞれ2kgにメタノール4lを加えた後、常温で循環させながら24時間抽出してろ過上澄み液を回収した。抽出後、溶媒を減圧濃縮してシナアブラギリの葉、幹及び実のメタノール抽出物をそれぞれ276g、120g及び100g得た。
【0087】
<1−2>コショウノキの葉、幹、花または根のメタノール抽出物
コショウノキ(Daphne kiusiana)は、全羅南道の務安で採取して、乾燥したコショウノキの葉、幹、花または根それぞれ1kgにメタノール4lを加えた後、常温で循環させながら24時間抽出してろ過上澄み液を回収した。抽出後、溶媒を減圧濃縮してコショウノキの葉、幹、花及び根のメタノール抽出物をそれぞれ118g、140g、80g及び105g得た。
【0088】
<比較例1>フジモドキのメタノール抽出物の製造
抗インフルエンザウイルス活性が報告されたフジモドキ(Daphne genkwa)(韓国特許出願番号:10−2009−0034132)は、京畿道の竜仁で採取し、フジモドキ乾燥物を用いて前記<実施例1>抽出物製造方法によってフジモドキのメタノール抽出物を製造した。
【0089】
<実施例2>シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物から分画物の製造
<2−1>シナアブラギリの分画物の製造
<2−1−1>シナアブラギリのn−ヘキサン分画物
前記実施例<1−1>で得たシナアブラギリの葉、幹及び実のメタノール抽出物をそれぞれ蒸留水1.5lに懸濁させて、n−ヘキサン1.5lを加えて混合後、n−ヘキサン可溶性分画部と水可溶性分画部を分離し、この過程を3回反復実施してn−ヘキサン可溶性分画部をろ過、減圧濃縮してシナアブラギリの葉、幹及び実のn−ヘキサン分画物をそれぞれ27.6g、28g及び4g得た。
【0090】
<2−1−2>シナアブラギリのエチルアセテート分画物
前記実施例<2−1−1>のシナアブラギリの葉、幹及び実のn−ヘキサン分画物を分離して残ったそれぞれの残り分画部にエチルアセテート1.5lを加えて混合後、エチルアセテート分画部を分離し、この過程を3回反復実施してエチルアセテート分画部をろ過、減圧濃縮してシナアブラギリの葉、幹及び実のエチルアセテート分画物をそれぞれ80g、18g及び40g得た。
【0091】
<2−1−3>シナアブラギリのブタノール分画物
前記実施例<2−1−2>のシナアブラギリの葉、幹及び実のエチルアセテート分画物を分離して残ったそれぞれの残り分画部にブタノール1.5lを加えて混合後、ブタノール分画部を分離し、この過程を3回反復実施してブタノール分画部をろ過、減圧濃縮してシナアブラギリの葉、幹及び実のブタノール分画物をそれぞれ55g、24g、及び12g得た。
【0092】
<2−2>コショウノキの分画物の製造
<2−2−1>コショウノキのn−ヘキサン分画物
前記実施例<1−2>で得たコショウノキの葉、幹、花及び根のメタノール抽出物から、前記実施例<2−1−1>に記載した方法によってコショウノキのn−ヘキサン分画物を製造して、コショウノキの葉、幹、花及び根のn−ヘキサン分画物をそれぞれ31g、36g、21g及び27g得た。
【0093】
<2−2−2>コショウノキのエチルアセテート分画物
前記実施例<2−1−2>に記載した方法によってコショウノキのエチルアセテート分画物を製造して、コショウノキの葉、幹、花及び根のエチルアセテート分画物をそれぞれ7g、8.4g、5g及び6g得た。
【0094】
<2−2−3>コショウノキのブタノール分画物の製造
前記実施例<2−1−3>に記載した方法によってコショウノキのブタノール分画物を製造して、コショウノキの葉、幹、花及び根のブタノール分画物をそれぞれ20g、24g、14g及び18g得た。
【0095】
<実施例3>シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物のインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)分泌誘導活性確認
<3−1>ナチュラルキラー(NK)細胞の培養
インターロイキン−2(IL−2)依存性ナチュラルキラー(NK)細胞株NK92(human NK lymphoma)は、米国微生物保存センター(American Type Culture Collection,ATCC)から購入した。NK92細胞は、20%ウシ胎児血清(FCS)(HyClone,Logan,UT)、2mM L−グルタメート、100μg/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies)を含み、100U/mlのIL−2(Chiron,Emeryville,CA)が添加されたα−MEM(α−minimal essential medium)(Life Technologies,Karlsruhe,ドイツ)培地で37°C、5%CO2条件下で培養した。
【0096】
<3−2>酵素結合免疫吸収分析(enzyme−linked immunosorbent assay,ELISA)を通じたシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物のインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)分泌誘導性確認
前記実施例<3−1>によって培養したNK92細胞の細胞培養液に2μg/mlのシナアブラギリの葉、幹または葉の抽出物、またはそれらの分画物(n−ヘキサン、エチルアセテート、ブタノールまたは水分画物)、またはコショウノキの葉、幹、花または根の抽出物、またはそれらの分画物をそれぞれ処理して37°Cで18時間培養した後、細胞を除去して上澄み液を得た。それぞれのNK92細胞の細胞培養液に存在するヒトIFN−γの定量は、商業的に購入可能なモノクローナル抗体(mAb)(Endogen)を用いて製造者が指示したプロトコールによって酵素結合免疫吸収分析(ELISA)を遂行した。ここで、フジモドキの抽出物及びジメチルスルホキシド(DMSO)をそれぞれ陽性(PC)及び陰性(NC)対照群として用いた。IFN−γの定量値は、3回分析した値の平均±標準偏差として表示した。
【0097】
その結果、シナアブラギリの抽出物またはその分画物の場合、表1及び図1に示したように、シナアブラギリの葉、幹及び実のメタノール抽出物を処理したそれぞれのNK92細胞では、約1.7〜2.0ng/mlのIFN−γを分泌した。シナアブラギリの葉、幹または実の抽出物の分画物である、水層を除いた有機溶媒分画物(n−ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノール)を処理した場合には、n−ヘキサン分画物は約1.7〜2.1ng/ml、エチルアセテート分画物は約1.5〜2.0ng/ml、ブタノール分画物は約1.2〜1.7ng/mlのIFN−γを分泌した。シナアブラギリの水分画物は約0.3〜0.4ng/mlのIFN−γを分泌して、シナアブラギリの抽出物または有機溶媒分画物に比べて顕著に低い分泌量を示し、IFN−γ分泌誘導性がほとんどないことが示された。シナアブラギリの抽出物またはその分画物を処理した細胞は、すべて陰性対照群(0.3ng/ml)に比べて顕著に高いIFN−γ分泌量を示した(表1及図1)。また、図2に示したように、シナアブラギリの葉、幹または実の抽出物の分画物のIFN−γ分泌効果を確認した(図2)。このことから、シナアブラギリの葉、幹または実の抽出物、またはその分画物は、NK細胞でIFN−γの分泌誘導活性を有することを確認した。
【0098】
一方、コショウノキの抽出物またはその分画物の場合、下記の表2及び図3に示したように、コショウノキのメタノール抽出物(葉、幹、花または根)で処理したそれぞれのNK92細胞では約2.4〜2.6ng/mlのIFN−γが分泌した。コショウノキの葉、幹、花及び根の抽出物の分画物である、水層を除いたそれぞれの有機溶媒分画物(n−ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノール)を処理した場合には、n−ヘキサン分画物が約1.7〜1.8ng/ml、エチルアセテート分画物が約1.4〜1.8ng/ml、ブタノール分画物が1.6〜1.9ng/mlのIFN−γ分泌効果が示された。水分画物の場合には、約0.2〜0.4ng/mlのIFN−γを分泌して、IFN−γ分泌誘導性がほとんどないことが示された。コショウノキの抽出物または分画物を処理した細胞は、すべて陰性対照群(0.3ng/ml)に比べて顕著に高いIFN−γ分泌量を示した(表2及び図3)。また、図4に示したように、コショウノキの葉、幹、花または根の抽出物の分画物のIFN−γ分泌効果を確認した(図4)。このことから、コショウノキの葉、幹、花または根の抽出物、またはその分画物は、NK細胞でIFN−γの分泌を促進することを確認した。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
<3−3>ELISA分析を通じたシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物の濃度によるインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)分泌誘導活性確認
シナアブラギリの葉、幹及び実のメタノール抽出物、コショウノキのメタノール抽出物それぞれの濃度によるINF−γ分泌量を前記実施例<3−2>の方法によって遂行した。ここで、メタノール抽出物はそれぞれ0.01、0.1、1または、10μg/mlの濃度で添加した。
【0102】
その結果、図5に示したように、シナアブラギリの葉のメタノール抽出物は、1μg/ml以上の濃度でINF−γの分泌量が顕著に増加し、シナアブラギリの幹または実のメタノール抽出物では、10μg/mlの濃度でINF−γ分泌が急激な増加を示した(図5)。また、図6に示したように、コショウノキのメタノール抽出物は、1μg/ml以上の濃度でINF−γの分泌量が顕著に増加した(図6)。このことから、シナアブラギリまたはコショウノキのメタノール抽出物の濃度に依存的にINF−γ分泌が増加することを確認した。
【0103】
<3−4>インターフェロン−ガンマ分泌誘導に関連する遺伝子発現に対するシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物またはその分画物の効果
NK92細胞でIFN−α及びγ誘導に関連するmRNA発現の変化を調べるために、RT−PCRを遂行した。NK92細胞または肺上皮細胞株であるA549を2ngのシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物で12時間培養した。培養後、15分、30分、45分、1時間、4時間、及び12時間後に細胞を溶解させた後に公知されたプロトコールにしたがってRNAを分離して、RT−PCRを通じてIFN−γmRNA発現を分析した。ここで、用いたIFN−γのプライマーは、正方向プライマーが5’−TCCCATGGGTTGTGTGTTTA−3’で、逆方向プライマーは、5’−GTCAGGGTGCAGCCGG−3’であり、GAPDHを内部標準として用いたが、ここで用いたGAPDH正方向プライマーは、5’−CCATCACCATCTTCCAGGAG−3’で、逆方向プライマーは、5’−ACAGTCTTCTGGGTGGCAGT−3’を用いた。
【0104】
前記RT−PCR反応は、前記プライマー対とTaqポリマラーゼ(Takara,Shiga,日本)を用いて遂行した。総RNAは、標準プロトコールによって分離し、cDNAは製造者の指示にしたがってAccuScript High Fidelity 1st Strand cDNA Synthesisキット(Stratagene)を用いて合成した。合成した1μlのcDNAを0.5U ExTaq DNAポリメラーゼ、1×buffer及び1mM dNTP mix(Takara)と前記プライマー対からなる20μlのPCR反応に用いた。PCR反応による増幅は、次のような条件でGeneAmp PCRシステム2700(Applied Biosystems,Foster city,CA,米国)を用いて遂行した;94°Cで5分、続いて94°Cで45秒、56°Cで45秒及び72°Cで1分を25〜40サイクル行った後、最終延長反応は、72°Cで7分間遂行した。PCRプライマーは、Bioneer社(韓国、大田)から購入し、Primer3プログラムを用いてデザインした。PCR生成物は、1.5%アガロースゲル上で分離して臭化エチジウム(EtBr)で染色してGel Doc 2000UV trans−illuminator(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA,米国)で視覚化した後、Quantity One software(Bio−Rad Laboratories)を用いて分析した。各サンプルは、3回以上テストして代表データを提示した。
【0105】
その結果、図7に示したように、IFN−γの転写体は、シナアブラギリの抽出物が処理されたNK92細胞で2時間後に著しく増加した。これは、IFN−γ誘導のためのシナアブラギリの抽出物に対する反応は、転写水準で1〜2時間以内に誘導されたことが分かった(図7)。一方、図8に示したように、コショウノキが処理されたNK92細胞及び肺上皮細胞株であるA549細胞でIFN−γ及びIFN−α mRNAの発現様相を時間帯別に確認した結果、IFN−γの転写体はコショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞で3時間後から著しく増加した。これは、IFN−γ誘導のためのコショウノキの抽出物に対する反応は、転写水準で3時間以内に誘導されたことが分かった。A549細胞においては、コショウノキの抽出物がIFN−α mRNAの発現水準を増加させることが示された(図8)。
【0106】
<実施例4>シナアブラギリの抽出物のIFN−γ生成誘導効果に対するNF−κB信号伝達経路依存性確認
シナアブラギリの抽出物のIFN−γ生成誘導効果が、NF−κB信号伝達経路に依存的であるということを立証するために、NF−κB抑制因子であるBayII、または、PKC信号伝達抑制因子であるロッテリン(Rotterin)をシナアブラギリの抽出物とともにNK92細胞に処理した。
【0107】
その結果、図9に示したように、シナアブラギリの抽出物によるIFN−γ生成の誘導は、BayII処理によってNK92細胞内で減少した。これは、BayII濃度に依存的だった。このことから、シナアブラギリの抽出物によるIFN−γ生成の誘導が、NF−κB信号伝達によって媒介されるということが分かった。また、PKC信号伝達抑制因子であるロッテリンの処理によってIFN−γ生成が減少されることで、NF−κB信号伝達の上位信号伝達因子は、PKCの活性によるものであることが分かった(図9)。
【0108】
<実施例5>シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物の細胞表面物質に対する影響確認
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物が処理されたNK92細胞の活性に関与する細胞表面物質の変化を確認するために、蛍光活性化細胞選別機(FACS)で分析した。ここで、NK細胞の活性リガンド(ligand)として作用する NKG2A、C、及びD、自然殺害活性と関連するNKp30、NKp44及びNkp46細胞表面物質の発現を分析した。
【0109】
その結果、図10に示したように、シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物は類似のNK92細胞の表面物質発現様相を示し、NK細胞の活性に関与するNKG2C及びDの発現が著しく増加し、NK細胞のナチュラルキラー活性と関連したNKp44の発現も顕著に増加したことが確認された(図10)。
【0110】
<実施例6>ウイルスが感染された肺上皮細胞株に対するシナアブラギリの抽出物の影響確認
インフルエンザウイルスに感染した細胞に対するシナアブラギリの抽出物の効果を確認するために、インフルエンザウイルスが浸透した肺上皮細胞株であるA549細胞にシナアブラギリの抽出物を処理した後、前記実施例<3−4>の方法によってRT−PCRを実施してIFN−α及びβ転写活性度を確認した。
【0111】
その結果、図11に示したように、インフルエンザウイルスが処理されたA549細胞で24時間後にIFN−α及びβの発現が示され、シナアブラギリの抽出物を前記ウイルスが処理されたA529細胞に処理することでIFN−αの発現量は減少し、IFN−α発現の増加がさらに早くなる現象を示した(図11)。
【産業上の利用可能性】
【0112】
前記のように、本発明のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物は、抗ウイルスに卓越した効果があるのでウイルス性疾患の予防及び治療用薬剤、またはウイルス性疾患の予防及び改善用健康食品及び飼料添加剤の開発と、これらを用いた予防または治療方法の研究に有用に用いることができる。
【配列表フリーテキスト】
【0113】
配列番号1:インターフェロン−ガンマ正方向プライマー
配列番号2:インターフェロン−ガンマ逆方向プライマー
配列番号3:GAPDH正方向プライマー
配列番号4:GAPDH逆方向プライマー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シナアブラギリ(Aleurites fordii)またはコショウノキ(Daphne kiusiana)の抽出物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物が、シナアブラギリまたはコショウノキの乾燥物を水、C1〜C2の低級アルコールまたはそれらの混合溶媒で抽出したことを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記シナアブラギリ乾燥物が、シナアブラギリの葉、幹または実であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記コショウノキ乾燥物が、コショウノキの葉、幹、花または根であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記低級アルコールが、エタノールまたはメタノールであることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
請求項1に記載のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を追加的に有機溶媒で抽出して製造された有機溶媒分画物を有効成分として含む、ウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項7】
前記有機溶媒が、ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノールであることを特徴とする、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記ウイルス性疾患が、豚インフルエンザウイルス(Swine Influenza virus、SIV)、インフルエンザウイルス(influenza virus)、新型インフルエンザAウイルス(Influenza A virus subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス(avian influenza virus)、ライノウイルス(rhinovirus)、アデノウイルス(adenovirus)、コロナウイルス(coronavirus)、パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus)、呼吸器合抱体ウイルス(respiratory syncytial virus)、疱疹ウイルス(Herpesvirus,HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(human immunodeficiency virus,HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染する疾患であることを特徴とする、請求項1または請求項6のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項9】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、ウイルス性疾患の予防または改善用健康食品。
【請求項10】
前記ウイルス性疾患が、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザAウイルス(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染する疾患であることを特徴とする、請求項9に記載の健康食品。
【請求項11】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、ウイルス性疾患の予防または改善用飼料添加剤。
【請求項12】
前記ウイルス性疾患が、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザAウイルス(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染する疾患であることを特徴とする、請求項11に記載の飼料添加剤。
【請求項13】
薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、薬学的組成物をウイルス性疾患にかかった個体に投与する工程を含む、ウイルス性疾患の改善または治療方法。
【請求項14】
薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、薬学的組成物を個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の予防方法。
【請求項15】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または治療用薬学的組成物の製造に対する使用。
【請求項16】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用健康食品の製造に対する使用。
【請求項17】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用飼料添加剤の製造に対する使用。
【請求項1】
シナアブラギリ(Aleurites fordii)またはコショウノキ(Daphne kiusiana)の抽出物を有効成分として含むウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物が、シナアブラギリまたはコショウノキの乾燥物を水、C1〜C2の低級アルコールまたはそれらの混合溶媒で抽出したことを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記シナアブラギリ乾燥物が、シナアブラギリの葉、幹または実であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記コショウノキ乾燥物が、コショウノキの葉、幹、花または根であることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記低級アルコールが、エタノールまたはメタノールであることを特徴とする、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
請求項1に記載のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物を追加的に有機溶媒で抽出して製造された有機溶媒分画物を有効成分として含む、ウイルス性疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項7】
前記有機溶媒が、ヘキサン、エチルアセテートまたはブタノールであることを特徴とする、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記ウイルス性疾患が、豚インフルエンザウイルス(Swine Influenza virus、SIV)、インフルエンザウイルス(influenza virus)、新型インフルエンザAウイルス(Influenza A virus subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス(avian influenza virus)、ライノウイルス(rhinovirus)、アデノウイルス(adenovirus)、コロナウイルス(coronavirus)、パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus)、呼吸器合抱体ウイルス(respiratory syncytial virus)、疱疹ウイルス(Herpesvirus,HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(human immunodeficiency virus,HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染する疾患であることを特徴とする、請求項1または請求項6のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項9】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、ウイルス性疾患の予防または改善用健康食品。
【請求項10】
前記ウイルス性疾患が、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザAウイルス(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染する疾患であることを特徴とする、請求項9に記載の健康食品。
【請求項11】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、ウイルス性疾患の予防または改善用飼料添加剤。
【請求項12】
前記ウイルス性疾患が、豚インフルエンザウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、新型インフルエンザAウイルス(subtype H1N1)、鳥インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合抱体ウイルス、疱疹ウイルス(HSV)、後天性免疫欠乏症侯群ウイルス(HIV)及び肝炎ウイルスからなる群から選択されるいずれか一つ以上のウイルスによって感染する疾患であることを特徴とする、請求項11に記載の飼料添加剤。
【請求項13】
薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、薬学的組成物をウイルス性疾患にかかった個体に投与する工程を含む、ウイルス性疾患の改善または治療方法。
【請求項14】
薬学的に有効な量のシナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物を有効成分として含む、薬学的組成物を個体に投与する工程を含むウイルス性疾患の予防方法。
【請求項15】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または治療用薬学的組成物の製造に対する使用。
【請求項16】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用健康食品の製造に対する使用。
【請求項17】
シナアブラギリまたはコショウノキの抽出物、またはその分画物をウイルス性疾患予防または改善用飼料添加剤の製造に対する使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−510083(P2013−510083A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536710(P2012−536710)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007724
【国際公開番号】WO2011/055979
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508139457)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007724
【国際公開番号】WO2011/055979
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508139457)コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー (19)
【Fターム(参考)】
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