説明

シナプス形成の調節

シナプスは、ニューロンとニューロンの間、および末梢では、ニューロンとエフェクター細胞、例えば筋肉、との間に生ずる。2ニューロン間の機能的接点は、軸索と細胞体の間、軸索と樹状突起の間、細胞体と細胞体の間、または樹状突起と樹状突起の間に生じ得る。神経伝達を可能にするのがこの機能性接点である。多くの神経および神経疾患が、神経伝達の病的過活動または活動低下によって引き起こされる。本発明は、シナプス形成ならびに軸索および/または樹状突起成長を調節するための方法および組成物を記載するものである。本方法は、トロンボスポンジンおよび/またはカルシウムチャネルのα2δサブユニットを調節する薬剤の使用を含む。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
シナプス形成が必要な個体に少なくとも1つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含むポリペプチドの有効用量を投与することを含み、前記ポリペプチドがトロンボスポンジンではなく、および該個体におけるシナプス形成が増加される、個体におけるシナプス形成を促進する方法。
【請求項2】
前記トロンボスポンジンEGF様ドメインが、少なくとも6個のシステインアミノ酸を含む、長さ約35から約65アミノ酸のトロンボスポンジンアイソタイプから誘導されたポリペプチドであり、その主構造が、2本鎖ベータシート、それに続く、C末端の短い2本鎖シートへのループである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
トロンボスポンジンEGF様ドメインが、ヒトTSP1、アミノ酸551−586、588−636、もしくは650−689、ヒトTSP2アミノ酸553−588、590−635、もしくは652−691、ヒトTSP3アミノ酸316−368、370−412、もしくは418−455、ヒトTSP4アミノ酸290−324、326−377、379−418もしくは424−461、またはヒト軟骨オリゴマー基質アミノ酸87−126、127−179、180−222、もしくは225−267との少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、少なくとも2つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、少なくとも3つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリペプチドが、EGF様ドメイン以外のトロンボスポンジン配列を欠く、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記個体が、老衰の結果としてシナプス消失に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記個体が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、多発性硬化症、または緑内障の結果としてシナプス消失に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記個体が、黄斑変性、聴力損失、糖尿病性神経障害、または化学療法誘発性神経障害に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記個体が、うつ病、統合失調症、自閉症、および攻撃性から成る群より選択される精神障害の結果としてシナプス消失に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記シナプスの形成が、神経筋接合部でのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
トロンボスポンジンのシナプス形成活性を阻害するトロンボスポンジンアンタゴニスト剤の有効量を個体に投与することを含む、個体における疼痛を治療または予防する方法。
【請求項13】
前記薬剤が、トロンボスポンジンに結合し、該トロンボスポンジンと、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択される1つ以上のカルシウムチャネルサブユニットとの間の相互作用を遮断する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤が、トロンボスポンジンに特異的に結合する抗体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤が、トロンボスポンジンのEGF様ドメインに特異的に結合する抗体である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤が、トロンボスポンジンの第三EGF様ドメインに特異的に結合する抗体である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記トロンボスポンジンが、TSP1、TSP2、TSP3、TSP4、または軟骨オリゴマー基質である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記薬剤が、トロンボスポンジンに特異的に結合する足場誘導結合タンパク質である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記薬剤が、トロンボスポンジンの発現を特異的に阻害するsiRNA、アンチセンスRNAまたはマイクロRNAである、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
TSP1、TSP2、TSP4または軟骨オリゴマー基質の発現が阻害される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記薬剤が、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1の細胞外部分を含むポリペプチドである、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリペプチドが、ヒトα2δ1の約253から約430のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記薬剤が、カルシウムチャネルサブユニットα2δ2の細胞外部分を含むポリペプチドである、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリペプチドが、ヒトα2δ2の約291から約469のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記薬剤が、カルシウムチャネルサブユニットα2δ3の細胞外部分を含むポリペプチドである、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリペプチドが、ヒトα2δ3の約256から約438のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記薬剤が、カルシウムチャネルサブユニットα2δ4の細胞外部分を含むポリペプチドである、請求項13に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリペプチドが、ヒトα2δ4の約291から約473のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリペプチドが、イムノアドヘシンである、請求項21、23、25および27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記疼痛が、体性疼痛、神経因性疼痛、内蔵痛、癌疼痛、突発的癌疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛、骨痛、関節痛、偏頭痛、または幻痛である、請求項12に記載の方法。
【請求項31】
前記疼痛が、異痛または痛覚過敏である、請求項12に記載の方法。
【請求項32】
α2δ1、α2δ2、αα2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットのVWFAドメインに特異的に結合し、トロンボスポンジンと前記カルシウムチャネルサブユニットとの間の相互作用を遮断する抗体の有効量を個体に投与することを含む、個体における疼痛を治療または予防する方法。
【請求項33】
前記疼痛が、体性疼痛、神経因性疼痛、内蔵痛、癌疼痛、突発的癌疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛、骨痛、関節痛、偏頭痛、または幻痛である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットのVWFAドメインに特異的に結合し、トロンボスポンジンと前記カルシウムチャネルサブユニットとの間の相互作用を遮断する抗体の有効量を個体に投与することを含む、個体におけるてんかんを治療する方法。
【請求項35】
トロンボスポンジンアンタゴニストの有効量をその必要がある個体に投与することを含む、個体における軸索成長を促進する方法。
【請求項36】
前記個体が、脊髄損傷に罹患している、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記個体が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSまたは多発性硬化症の結果として軸索または樹状突起変性に罹患している、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記個体が、黄斑変性、聴力損失、糖尿病性神経障害、または化学療法誘発性神経障害に罹患している、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記個体が、うつ病、統合失調症、自閉症、および攻撃性から成る群より選択される精神障害の結果として軸索または樹状突起変性に罹患している、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
トロンボスポンジンに特異的に結合し、該トロンボスポンジンとα2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムサブユニットとの間の相互作用を遮断する薬剤の有効量を個体に投与することを含む、個体におけるカルシウムインフラックスの過剰を特徴とする疾患を治療するための方法。
【請求項41】
前記疾患が、筋痙攣、偏頭痛、脳卒中、およびパーキンソン病から成る群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
シナプス形成の増進における活性について候補薬剤をスクリーニングする方法であって、
a)α2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインへの候補薬剤の結合を測定する工程;
b)工程a)において候補薬剤がα2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインに結合した場合、該候補薬剤の存在下での神経細胞培養におけるシナプスの形成を定量する工程であって、ここで、該候補薬剤の不在下でのシナプスの形成と比較して該候補薬剤の存在下でのシナプスの形成増加は、該候補薬剤がシナプス形成の増進における活性を有することを示す工程、
を含む方法。
【請求項43】
シナプス形成の阻害における活性について候補薬剤をスクリーニングする方法であって、
a)α2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインへの候補薬剤の結合を測定する工程;
b)段階a)において該候補薬剤がα2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインに結合した場合、該候補薬剤およびトロンボスポンジンアゴニストの存在下での神経細胞培養におけるシナプスの形成を定量する工程であって、該候補薬剤の不在下でのシナプスの形成と比較して該候補薬剤の存在下でのシナプスの形成減少は、該候補薬剤がシナプス形成の阻害における活性を有することを示す工程、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【公表番号】特表2010−536852(P2010−536852A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521856(P2010−521856)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/009747
【国際公開番号】WO2009/029173
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(503115205)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リランド スタンフォード ジュニア ユニヴァーシティ (69)
【Fターム(参考)】