説明

シプロフロキサシンおよびデキサメタゾンを含有する局所用懸濁処方物

【課題】局所的に投与可能な、シプロフロキサシンおよびデキサメタゾンの眼および耳の処方物を提供すること。
【解決手段】デキサメタゾンおよびシプロフロキサシンを含有する懸濁処方物が開示される。処方物は、非イオン性ポリマー、非イオン性界面活性剤、およびイオン性張性剤を含むが、物理的に安定でありかつ容易に再懸濁される。処方物は、眼、耳、または鼻への局所的な適用について意図される。本発明の組成物は、凝集を回避するコルチコステロイド(デキサメタゾン)の水性懸濁処方物である。コルチコステロイドに加えて、これらの処方物は抗生物質(シプロフロキサシン)を第2の活性な薬剤として含む。本発明の処方物は、イオン性張性剤を含むが、それにもかかわらず、所望されるときに、即座におよび容易に再懸濁されるように安定である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、局所的に投与可能な、シプロフロキサシンおよびデキサメタゾンの眼および耳の処方物に関する。本発明の処方物は、優れた物理的安定性を有し、およびそれらの容易なおよび迅速な再懸濁能によって特徴付けられる懸濁物である。具体的には、本発明は、グリセロールまたはマンニトールのような非イオン性張性剤(tonicity agent)を欠くシプロフロキサシンおよびデキサメタゾンの安定な懸濁処方物に関する。
【0002】
特許文献1(1995年2月16日)は、局所的に投与可能な眼および耳の抗生物質/ステロイドの組み合わせの生成物を開示する。実施例1〜3は、非イオン性ポリマーおよび非イオン性界面活性剤を含む賦形剤とともに、特定の薬物の組み合わせを含有する目の懸濁処方物を説明する。実施例1は、非イオン性張性剤(グリセリン)を含有するクロベタゾンおよびロメフロキサシンの処方物である。実施例2は、イオン性張性剤(塩化ナトリウム)を含有するフルオロメトロンおよびノルフロキサシンの処方物である。実施例3は、非イオン性張性剤(マンニトール)を含有するシプロフロキサシンおよびデキサメタゾンの処方物である。
【0003】
特許文献2および特許文献3(’061特許)は、非イオン性ポリマー、非イオン性界面活性剤、および非イオン性張性剤を含有する、局所的に投与可能なステロイド懸濁処方物を開示する。この特許は、「所望される場合、長期間の沈殿の後であっても、即時の懸濁を許容するような状態のままである、粒径15μm以下の水不溶性のステロイド薬物の安定な懸濁液」に指向される(’061特許の要約を参照のこと)。この特許は、「予期しないことに、0.9% NaCl、0.1% EDTA、またはリン酸緩衝液を含有する水溶液のような一般的な張性剤が、1mM程の低い濃度においてでさえ、[ロテプレドノールエタボネート(loteprednol etabonate)(LE)]のようなコルチコステロイドの安定な懸濁水溶液を提供するために用いられ得ない」という知見に基づく(’061特許、第2欄、52〜56行目)。
【0004】
’061特許は、「凝集を伴わずに処方され得るLEのようなコルチコステロイドの懸濁水溶液」についての必要性を解決する処方物を目指す(第2欄、57〜59行目)。’061特許の処方物は、(A)約15ミクロン未満の平均直径を好ましくは有する粒子として存在するLEのような軟性ステロイド、(B)懸濁化剤として非イオン性ポリマー、(C)非イオン性界面活性剤、および(D)非イオン性張性剤を含有する。’061特許は、「軟性」薬物を、これがその治療的効果を提供した後に、非毒性誘導体への予測されるインビボ代謝によって特徴付けられる生物学的に活性な化学成分として規定する。’061特許は、「イオンの存在が固化の主要な原因であることが今や発見されたので、これらの成分(A)〜(D)は可能な限り非イオン性であることが必要不可欠である」ことを教示する(第3欄、51〜53行目)。「一般に使用される塩化ナトリウムよりも」グリセリンまたはマンニトールのようなのような非イオン性ジオールは、好ましい張性剤として同定される(第3欄、53〜56行目)。非イオン性張性剤は好ましくは、約0.5〜10重量%の量において存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】スペイン国特許出願公開第2,065,846 A1号明細書
【特許文献2】米国特許第5,540,930号明細書
【特許文献3】米国特許第5,747,061号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
そうでないと示されない限りパーセントとして示される全ての成分量は重量%の単位においてである。
本発明の組成物は、凝集を回避するコルチコステロイド(デキサメタゾン)の水性懸濁処方物である。コルチコステロイドに加えて、これらの処方物は抗生物質(シプロフロキサシン)を第2の活性な薬剤として含む。本発明の処方物は、イオン性張性剤を含むが、それにもかかわらず、所望されるときに、即座におよび容易に再懸濁されるように安定である。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) 眼、耳、または鼻への適用のために意図される局所的に投与可能な懸濁組成物であって、以下
a)0.01〜0.5%(重量)デキサメタゾン;
b)0.1〜0.4%(重量)シプロフロキサシン;
c)組成物が約250〜350mOsmの重量モル浸透圧濃度を有するのに十分な量のNaClから本質的になる張性剤;
d)0.1〜0.5%(重量)の非イオン性ポリマー;
e)0.01〜0.2%(重量)の非イオン性界面活性剤;および
f)緩衝液、
を含み、ここで該組成物が約3〜5のpHを有する、組成物。
(項目2) 項目1に記載の組成物であって、ここで前記デキサメタゾンが、デキサメタゾンアルコールおよびデキサメタゾンアセテートからなる群より選択され;そしてシプロフロキサシンがシプロフロキサシン塩酸塩一水和物である、組成物。
(項目3) 項目1に記載の組成物であって、ここで前記デキサメタゾンが0.1%(重量)の濃度で存在し、そして前記シプロフロキサシンが0.3%の濃度で存在する、組成物。
(項目4) 項目1に記載の組成物であって、ここで前記非イオン性ポリマーがヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;メチルセルロース;カルボキシメチルセルロース;ポリビニルピロリドン、およびポリビニルアルコールからなる群より選択される、組成物。
(項目5) 項目1に記載の組成物であって、ここで前記非イオン性界面活性剤が、チロキサポール;ポリオキシエチレンソルビタンエステル;ポリエトキシ化ヒマシ油;ポリエトキシ化水素化ヒマシ油;およびポロキサマーからなる群より選択される、組成物。
(項目6) 項目4に記載の組成物であって、ここで前記非イオン性ポリマーがヒドロキシエチルセルロースであり、該ヒドロキシエチルセルロースが、0.2%(重量)の濃度で存在し、前記非イオン性界面活性剤がチロキサポールであり、そして前記チロキサポールが0.05%(重量)の濃度で存在する、組成物。
(項目7) 項目1に記載の組成物であって、さらに0.005〜0.3%(重量)の第四級アンモニウムハロゲン化物;0.001〜0.1%(重量)のキレート化剤;および0.1〜1.5%(重量)のホウ酸を含有する、組成物。
(項目8) 項目7に記載の組成物であって、ここで前記第四級アンモニウムハロゲン化物が、ポリクオタニウム−1およびベンザルコニウムハロゲン化物からなる群より選択され;そしてキレート化剤がエデト酸二ナトリウム;エデト酸三ナトリウム;エデト酸四ナトリウム;およびジエチレンアミンペンタアセテートからなる群より選択される、組成物。
(項目9) 項目8に記載の組成物であって、ここで前記第四級アンモニウムハロゲン化物が塩化ベンザルコニウムであり、そしてキレート化剤がエデト酸二ナトリウムである、組成物。
(項目10) 眼、耳、および鼻への適用のために意図される、局所的に投与可能な懸濁組成物であって、以下
a)0.1%(重量)デキサメタゾンアルコール;
b)0.35%(重量)シプロフロキサシン塩酸塩一水和物;
c)約250〜350mOsmの重量モル浸透圧濃度を有するのに十分な量のNaCl;
d)0.2%(重量)ヒドロキシエチルセルロース;
e)0.05%(重量)チロキサポール;
f)酢酸ナトリウムおよび酢酸を含有する緩衝液;
g)0.01%(重量)塩化ベンザルコニウム;
h)0.01%(重量)エデト酸二ナトリウム;および
i)0.6%(重量)ホウ酸、
から本質的になり、そしてここで該組成物が約4.5のpHを有する、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明の処方物は、コルチコステロイドおよび抗生物質を含む。コルチコステロイドはデキサメタゾンであり、抗生物質はシプロフロキサシンである。デキサメタゾンは、得られる処方物が懸濁処方物であるように、不十分な水溶性を有する任意の眼または耳に受容される形態で存在し得る。デキサメタゾンの適切な形態は、デキサメタゾンアルコールおよびデキサメタゾンアセテートを含む。デキサメタゾンアルコールは、デキサメタゾンの好ましい形態である。シプロフロキサシンは、シプロフロキサシン成分が最終処方物において溶液中にあるように、任意の目または耳に受容される形態において存在し得る。シプロフロキサシンの好ましい形態は、シプロフロキサシン塩酸塩、一水和物である。
【0008】
デキサメタゾン成分は、本発明の処方物の約0.01〜0.5%を構成し、そしてシプロフロキサシン成分は、約0.1〜0.4%を構成する。本発明の処方物におけるデキサメタゾンおよびシプロフロキサシンの好ましい量は、それぞれ、0.1%および0.3%である。
【0009】
活性な薬剤に加えて、本発明の処方物は、イオン性張性剤として塩化ナトリウムを含む。NaClの量は、最終処方物について所望される張性に依存するが、一般に0.1〜0.9%の範囲である。眼および耳の適用について、本発明の懸濁処方物は好ましくは、処方物が約250〜350mOsmの重量モル浸透圧濃度を有するのに十分なNaClの量を含む。
【0010】
懸濁処方物はまた、非イオン性ポリマーを含む。多くの目および耳に受容され得る非イオン性ポリマーが公知である。これらのポリマーにはヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;メチルセルロース;カルボキシメチルセルロース;ポリビニルピロリドン、およびポリビニルアルコールが挙げられる。好ましい非イオン性ポリマーはヒドロキシエチルセルロースである。非イオン性ポリマーは、約0.1〜0.5%の量において本発明の処方物中に存在する。ヒドロキシエチルセルロースの場合、非イオン性ポリマーの好ましい濃度は0.2%である。
【0011】
本発明の処方物はまた、約0.01%〜0.2%の量において非イオン性界面活性剤を含む。多くの眼および耳に受容され得る非イオン性の界面活性剤が公知である。適切な非イオン性界面活性剤には、チロキサポール;ポリソルベート20、ポリソルベート60、およびポリソルベート80のようなポリオキシエチレンソルビタンエステル;Cremaphor ELのようなポリエトキシ化ヒマシ油;HCO−40のようなポリエトキシ化水素化ヒマシ油;およびポロキサマーが挙げられる。好ましい界面活性剤はチロキサポールである。
【0012】
所望される場合、処方物は、保存剤として四級アンモニウムハロゲン化物を含有し得る。適切な四級アンモニウムハロゲン化物には、ポリクオタニウム−1(polyquaternium−1)およびベンザルコニウムハロゲン化物が挙げられる。好ましいベンザルコニウムハロゲン化物は、塩化ベンザルコニウム(「BAC」)および臭化ベンザルコニウムでる。一般に保存剤成分の量は、約0.005〜0.3%の範囲である。保存剤がBACである好ましい場合において、これは好ましくは0.01%の濃度で存在する。
【0013】
所望される場合、キレート化剤また、本発明の懸濁処方物に存在し得る。適切なキレート化剤には、エデト酸二ナトリウム(「EDTA」);エデト酸三ナトリウム;エデト酸四ナトリウム;およびジエチレンアミンペンタアセテートが挙げられる。最も好ましいのはEDTAである。キレート化剤は、もしあれば、0.001〜0.1%の量において存在する。典型的にEDTAの場合において、、キレート化剤は好ましくは0.01%の濃度で存在する。
【0014】
保存されるまたは多用量の処方物において、本発明の懸濁処方物は0.1〜1.5%の量においてホウ酸を含み得る。
【0015】
本発明の処方物は、3〜5、好ましくは4.5のpHを有する。pHは、NaOH/HClで調製され得る。処方物についての好ましい緩衝系は、酢酸ナトリウムおよび酢酸の組み合わせである。酢酸ナトリウムの濃度は一般に、0.015〜0.06%の範囲であり、好ましくは約0.03%である。酢酸の濃度は一般に、0.02〜0.08の範囲であり、好ましくは約0.04%である。
【0016】
デキサメタゾン成分の平均粒径(平均容量基準)は、刺激作用または不快感を回避するために10μm未満であるべきである。平均粒径は好ましくは6μm未満、および最も好ましくは3μm未満である。デキサメタゾン粒子は、ボールミル、微量流動化(microfluidization)、および超音波処理のようなの公知の技術を使用してある大きさに作られ得る。
【0017】
本発明の懸濁処方物は、眼、耳、または鼻への局所投与について意図される。
【0018】
以下の実施例は、本発明を説明するために意図され、制限することは意図されない。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
【0020】
【表1】

処方物A〜Eを、以下の方法を使用して作製した:
(1)500mlの処方物バッチサイズについて、75gの3mmジルコニウムビーズ、12gのチロキサポール、1.0%ストック溶液、および0.5gデキサメタゾンアルコールを、30mlポリプロピレンミルボトル中で合わせることによってスラリーを形成する(チロキサポールの最終バッチ要件の約48%が使用される);
(2)ビーズを含む、スラリーを蒸気滅菌(オートクレイヴ)する;
(3)18時間、50〜55rpmで滅菌されたスラリーを無菌的にボールミルする;
(4)チロキサポールの残りの要件および全ての残りの成分の必要とされる量を含有する水溶液を調製する(例えば、処方物Dの場合において、残りの成分はシプロフロキサシン塩酸塩一水和物、塩化ベンザルコニウム、酢酸ナトリウム、酢酸、塩化ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ホウ酸、エデト酸二ナトリウム、および精製水である);
(5)工程(4)において調製された水溶液を蒸気滅菌(オートクレイヴ)する;
(6)工程3において得られた滅菌スラリーを、スラリーを、滅菌ふるいを介して工程5において得られた溶液に(ビーズを除去するために)無菌的に注ぐことによって、工程5において得られた滅菌溶液に合わせる;
(7)滅菌濾過された精製水を使用して、バッチ重量の80〜90%に処方物の重量を調節する;
(8)最終pHを確認し、そして必要である場合、滅菌濾過された水酸化ナトリウムまたは塩酸によってpH4.5±0.2に調節する;ならびに
(9)滅菌濾過された精製水を使用して処方物を100%のバッチ重量にする。
【0021】
特に、所望される粒径仕様をすでに満たすデキサメタゾン原料が供給されるか、または利用可能である場合、処方物A〜Eを調製する代替の方法は、以下のようである:
(1)デキサメタゾン原料を乾熱滅菌する(推奨される仕様:7〜11時間、130〜140℃(内部粉末温度)で);
(2)精製水中にバッチ要件のチロキサポールを含有するチロキサポール溶液を調製する;
(3)これを0.2μmフィルターを通過させることによってチロキサポール溶液を滅菌する;
(4)滅菌されたデキサメタゾンと、滅菌されたチロキサポール溶液とを無菌的に合わせて滅菌スラリーを形成し、そして均一になるまで攪拌する;
(5)必要とされる量の残りの成分を含有する水溶液を調製する(例えば、処方物Dの場合において、残りの成分はシプロフロキサシン塩酸塩一水和物、塩化ベンザルコニウム、酢酸ナトリウム、酢酸、塩化ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ホウ酸、エデト酸二ナトリウム、および精製水である);
(6)工程(5)において調製された水溶液を蒸気滅菌(オートクレイヴ)する;
(7)工程(4)において調製された滅菌スラリーを、工程6において調製された滅菌溶液と無菌的に合わせる;
(8)滅菌濾過された精製水を使用して、バッチ重量の80〜90%に処方物の重量を調節する;
(9)最終pHを確認し、そして必要である場合、滅菌濾過された水酸化ナトリウムまたは塩酸によってpH4.5±0.2に調節する;ならびに
(10)滅菌濾過された精製水を使用して処方物を100%のバッチ重量にする。
【0022】
(実施例2)
処方物A〜Eを、「加速された」および「実時間」沈殿研究において、再懸濁時間について試験した。
【0023】
加速された沈殿研究は、別々の16×125mm平底ガラス管中の5gの各処方物を、IEC CENTRA−7遠心分離機を使用して、30分間、3100rpmでの遠心分離に供することによって行った。沈殿された材料の再懸濁能を、沈殿を完全に再懸濁するために必要とされる数秒間のリスト振盪の数を測定することによって試験する。
【0024】
実時間沈殿研究は、16×125mm平底ガラス管中の5gの各処方物を、7日間の自然な沈殿(重力下)を受けさせることによって行った(処方物Bを除く、これは4日後に試験した)。沈殿された材料の再懸濁能は、沈殿を完全に再懸濁するために必要とされる反転の数を測定することによって試験する。表2は、試験された処方物の再懸濁能の結果を含む。
【0025】
【表2】

(実施例3)
保存剤有効性試験:
本発明のポリマー性第四級アンモニウム化合物/ホウ酸の組み合わせの抗微生物保存剤有効性を、米国薬局方(USP)および欧州薬局方(Ph.Eur.)において記載される方法に従って生物負荷試験を使用して決定した。サンプルを、既知レベルのグラム陽性栄養性細菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538)およびグラム陰性栄養性細菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027およびEscherichia coli ATCC 8739)、酵母(Candida albicans ATCC 10231)、およびカビ(Aspergillus niger ATCC 16404)を接種し、そして特定された間隔でサンプリングして、抗微生物保存剤系が処方物中に故意に導入された生物の殺傷または繁殖の阻害をなし得るか否かを決定した。抗微生物活性の速度またはレベルは、眼の調製物についてUSPおよび/またはPh.Eur.の保存剤効力基準に従うか(compliance)を決定した。
【0026】
眼の調製物についての簡潔な保存剤基準の要件は以下に示される:
【0027】
【化1】

実施例1〜4の処方物に対して行われた保存剤負荷研究の結果は、表3において示される。これらの結果は、所望される場合、本発明の懸濁処方物がこれが眼および耳の処方物についての米国薬局方(USP)と欧州薬局方(Ph.Eur.)との最小の保存剤要件の両方を満たすように保存され得ることを示す。
【0028】
【表3】

表3において列挙される処方物のそれぞれは、細菌およびCandida alblcansに対するPh.Eur.のA保存基準を合格したが、ホウ酸を欠く処方物は、Aspergillus nigerに対するPh.Eur.のB保存基準を合格すには困難であった。ホウ酸および塩化ベンザルコニウムの組み合わせは、Aspergillus nigerに対する保存剤活性を改善し、そして処方物は容易にPh.Eur.のB保存剤有効性基準を満たした。処方物B(ホウ酸を伴わない)は、USP基準のみを満たし、そして最小のPh.Eur.保存要件に失格した。処方物C(ホウ酸を伴わない)は、USPおよびPh.Eur.B(最小)要件を満たした、処方物Aは、最初にPh.Eur.B要件を満たしたが、52週目で再試験された場合、Aspergillus nigerに対して減少された活性を示した。処方物Aについての最初の結果および52週目の結果は表4において示される。
【0029】
【表4】

本発明は、ある好ましい実施形態に関して記載されたが、他の特定の形態またはその改変が、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく実現され得ることが理解されるべきである。それゆえ、上記の実施形態は、全ての点において例示的であり、制限的ではないと考慮され、本発明の範囲は、上述の記載によってではなくむしろ添付される特許請求の範囲によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2011−32293(P2011−32293A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258386(P2010−258386)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【分割の表示】特願2001−526148(P2001−526148)の分割
【原出願日】平成12年8月10日(2000.8.10)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】