説明

シミュレーション装置、及びシミュレーション方法

【課題】糸の変化挙動を高い精度で予測し得るシミュレーション装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るシミュレーション装置は、複数の繊維300が撚られた糸201の長手方向に一定の張力Tを加えた状態で、糸201の側面に圧縮力Fを加えた際の、糸201の断面における複数の繊維300の位置の変化挙動をシミュレーションするシミュレーション装置100であって、複数の繊維300が互いに反発する力である第1の力を算出する第1算出部143と、複数の繊維300が糸201の中心に集束する力である第2の力を算出する第2算出部144と、複数の繊維300の速度に比例する抵抗力である第3の力を算出する第3算出部145と、複数の繊維300に、第1の力と、第2の力と、第3の力とが働くとしてたてた運動方程式を解くことで、複数の繊維300の位置を算出する第4算出部146とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション装置、及びシミュレーション方法に関し、特に、糸の断面における変化挙動をシミュレーションするシミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
織物は、引張り及び圧縮などの力が加えられると、何らかの変形をする。引張り及び圧縮などの力による織物の立体構造の変化は、織物を構成する糸の特性等により、それぞれ異なる。よって、織物の設計段階で、引張り及び圧縮などの力による織物の立体構造の変化を予測することは非常に困難であり、従来、織物の製造は経験的な技術に基づき行われていた。また、織物の立体構造の変化を予測することが困難なため、従来、所望の形状及び特性の織物を作成するためには、試作を行う必要があった。
【0003】
これに対して、織物の立体構造の変化を予測する方法として、コンピュータシミュレーションを用いる方法が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。シミュレーションを用いることにより、試作を行わなくても織物の形状を予測でき、織物の設計を効率的に行うことができる。
【0004】
特許文献1には、織物の密度及び撚係数などの織物規格を考慮しシミュレーションを行う方法が開示されている。また、特許文献2には、織物を伸張した場合等の織物の変化を予測するシミュレーション方法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−209706号公報
【特許文献2】特開2006−274521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の織物の立体構造の変化を予測するシミュレーションでは、十分な精度を得ることができないという問題がある。
【0006】
また、シミュレーションにより織物の立体構造の変化を予測するためには、織物を構成する糸の変化挙動を予測する必要がある。すなわち、糸の変化挙動をより高い精度で予測することで、織物の立体構造の変化をより高い精度で予測することができる。
【0007】
そこで、本発明は、糸の変化挙動を高い精度で予測し得るシミュレーション装置、及びシミュレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るシミュレーション装置は、複数の繊維が撚られた糸の長手方向に一定の張力を加えた状態で、前記糸の側面に圧縮力を加えた際の、前記糸の断面における前記複数の繊維の位置の変化挙動をシミュレーションするシミュレーション装置であって、前記複数の繊維が互いに反発する力である第1の力を算出する第1算出手段と、前記複数の繊維が前記糸の中心に集束する力である第2の力を算出する第2算出手段と、前記複数の繊維の速度に比例する抵抗力である第3の力を算出する第3算出手段と、前記複数の繊維に、前記第1算出手段により算出された前記第1の力と、前記第2算出手段により算出された前記第2の力と、前記第3算出手段により算出された前記第3の力とが働くとしてたてた運動方程式を解くことで、前記複数の繊維の位置を算出する第4算出手段とを備える。
【0009】
この構成によれば、本発明に係るシミュレーション装置は、複数の繊維が互いに反発する力と、繊維が糸の中心に集束する力と、繊維の速度に比例する抵抗力とが、繊維に働くとしてたてた運動方程式を解くことで、糸に含まれる複数の繊維の位置を算出する。これにより、本発明に係るシミュレーション装置は、糸の変化挙動をより高い精度で予測することができる。
【0010】
また、前記第2算出手段は、前記糸の断面における前記糸の中心と前記繊維との距離が予め定められた第1の距離より大きい場合に該繊維に前記糸の中心に集束する力が働くとし、前記糸の中心と前記繊維との距離が前記第1の距離より小さい場合に該繊維に前記糸の中心に集束する力が働かないとして、前記第2の力を算出してもよい。
【0011】
この構成によれば、本発明に係るシミュレーション装置は、繊維が糸の中心から離れた場合に、繊維に、糸の中心に集束する力が働くとして、第2の力を算出する。これにより、本発明に係るシミュレーション装置は、糸の変化挙動をより高い精度で予測することができる。
【0012】
また、前記第1の距離は、前記糸の中心と、前記糸に前記圧縮力が加わっていない状態の前記繊維との距離であってもよい。
【0013】
この構成によれば、本発明に係るシミュレーション装置は、繊維が、糸に圧縮力が加わっていない状態における繊維の位置より、糸の中心に対して外方向に位置する場合に、繊維に、糸の中心に集束する力が働くとして、第2の力を算出することができる。
【0014】
また、前記第2算出手段は、前記糸の断面における前記糸の中心から前記繊維までの距離と、予め定められた第2の距離との差分に比例する前記第2の力を算出してもよい。
【0015】
この構成によれば、本発明に係るシミュレーション装置は、糸の中心と繊維との間に、距離に比例する力が働くばねが設置されているとして、第2の力を算出することができる。これにより、本発明に係るシミュレーション装置は、糸の変化挙動をより高い精度で予測することができる。
【0016】
また、前記第2の距離は、前記糸の中心と、前記糸に前記圧縮力が加わっていない状態の前記繊維との距離であってもよい。
【0017】
この構成によれば、本発明に係るシミュレーション装置は、糸に圧縮力が加わっていない状態の繊維の位置を基準とする、糸の中心から離れる方向の繊維の位置の変化量に比例する第2の力を算出することができる。
【0018】
また、前記シミュレーション装置は、さらに、前記圧縮力の方向に対する前記糸の直径の変化の速度を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された速度から第1の時刻における前記直径を算出する直径算出手段と、前記直径算出手段により算出された前記直径内に前記複数の繊維が配置されるとして、前記第1算出手段、前記第2算出手段、前記第3算出手段、及び前記第4算出手段を制御し前記複数の繊維の位置を算出する制御手段とを備えてもよい。
【0019】
この構成によれば、本発明に係るシミュレーション装置は、入力された圧縮力の方向に対する糸の直径の変化の速度に基づき、圧縮力が加えられた場合の糸の変化挙動を算出する。これにより、本発明に係るシミュレーション装置は、所定の時刻における圧縮力の方向に対する糸の直径から、糸に含まれる複数の繊維の位置を算出することができる。
【0020】
また、本発明に係るシミュレーション方法は、複数の繊維が撚られた糸の長手方向に一定の張力を加えた状態で、前記糸の側面に圧縮力を加えた際の、前記糸の断面における前記複数の繊維の位置の変化挙動をシミュレーションするシミュレーション方法であって、前記複数の繊維が互いに反発する力である第1の力を算出する第1算出ステップと、前記複数の繊維が前記糸の中心に集束する力である第2の力を算出する第2算出ステップと、前記複数の繊維の速度に比例する抵抗力である第3の力を算出する第3算出ステップと、前記複数の繊維に、前記第1算出ステップで算出された前記第1の力と、前記第2算出ステップで算出された前記第2の力と、前記第3算出ステップで算出された前記第3の力とが働くとしてたてた運動方程式を解くことで、前記複数の繊維の位置を算出する第4算出ステップとを含む。
【0021】
これによれば、本発明に係るシミュレーション方法は、複数の繊維が互いに反発する力と、繊維が糸の中心に集束する力と、繊維の速度に比例する抵抗力とが、繊維に働くとしてたてた運動方程式を解くことで、糸に含まれる複数の繊維の位置を算出する。これにより、本発明に係るシミュレーション方法は、糸の変化挙動をより高い精度で予測することができる。
【0022】
なお、本発明は、このようなシミュレーション装置及びシミュレーション方法として実現することができるだけでなく、シミュレーション方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、糸の変化挙動を高い精度で予測し得るシミュレーション装置、及びシミュレーション方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るシミュレーション装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置は、糸に含まれる複数の繊維が互いに反発する力と、繊維が糸の中心に集束する力と、繊維の速度に比例する抵抗力とが、繊維に働くとしてたてた運動方程式を解くことで、複数の繊維の位置の変化を算出する。これにより、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置は、糸の変化挙動を高い精度で予測することができる。
【0026】
まず、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置が、予測する糸の変化挙動について説明する。
【0027】
図1は、糸に圧縮力が加えられた状態を示す図である。図1に示すように糸201及び糸202は、張力Tで長手方向に引っ張られる。糸201及び糸202は、側面(図1の上下)をガラス板203とガラス板204とに挟まれる。また、ガラス板204から糸201及び糸202の側面(図1の上側)に圧縮力Fが加えられる。
【0028】
なお、糸202の変化挙動は、糸201と同様であり、以下、糸201の変化挙動についてのみ説明する。
【0029】
図2は、圧縮力Fが加えられていない状態における糸201の断面構造を示す図である。図2に示すように、圧縮力Fが加えられていない状態において、糸201の断面形状は、略真円形状である。また、糸201の直径は、圧縮力Fが加えられていない状態において、初期直径d0である。
【0030】
図3は、圧縮力Fが加えられた状態における糸201の断面構造を示す図である。図3に示すようにガラス板204に圧縮力Fが加えられることにより、糸201は圧縮される。圧縮力Fが加えられた状態における糸201の圧縮力Fの方向と垂直な方向(図3における横方向)の直径は、初期直径d0より大きい直径d1となる。圧縮力Fが加えられた状態における糸201の圧縮力Fの方向(図3における縦方向)の直径は、初期直径d0より小さい直径d2となる。
【0031】
図4は、糸201の詳細な構造を示す側面図である。図4に示すように、糸201は、複数の繊維300を含む。複数の繊維300が撚られることで、糸201を構成している。なお、複数の繊維300は、長繊維であってもよいし、短繊維であってもよい。
【0032】
図5は、図4に示すA0−A1に面における糸201の断面構造を示す図である。図5に示すように、糸201の断面において、複数の繊維300が等間隔に配置される。
【0033】
次に、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置の構成を説明する。
【0034】
図6は、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置の構成を示すブロック図である。図6に示すシミュレーション装置100は、複数の繊維300が撚られた糸201の長手方向に一定の張力Tを加えた状態で、糸201の側面に圧縮力Fを加えた際の、糸201の断面における複数の繊維300の位置の変化挙動をシミュレーションする。シミュレーション装置100は、入力部110と、保持部120と、表示部130と、シミュレーション部140とを備える。例えば、シミュレーション装置100は、パーソナルコンピュータ等である。
【0035】
入力部110は、ユーザからの入力を受け付ける。例えば、入力部110は、キーボード及びマウス等である。
【0036】
保持部120は、シミュレーション部140により用いられるプログラムを保持する。例えば、保持部120は、ハードディスク又はRAM等である。
【0037】
表示部130は、シミュレーション部140により算出されたシミュレーション結果をユーザに表示する。例えば、表示部130は、パーソナルコンピュータのディスプレイ等である。
【0038】
シミュレーション部140は、複数の繊維300が撚られた糸201の長手方向に一定の張力Tを加えた状態で、糸201の側面に圧縮力Fを加えた際の、糸201の断面における複数の繊維300の位置の変化挙動をシミュレーションする。シミュレーション部140は、糸201に含まれる複数の繊維300が互いに反発する力fと、複数の繊維300が糸201の中心に集束する力fcと、複数の繊維300の速度に比例する抵抗力fvとが、複数の繊維300に働くとしてたてた運動方程式を解くことにより、複数の繊維300の位置の変化を算出する。シミュレーション部140は、取得部141と制御部142と、第1算出部143と、第2算出部144と、第3算出部145と、第4算出部146と、出力部147とを備える。シミュレーション部140は、例えば、CPU等のプロセッサであり、保持部120等の保持されるプログラムを実行することにより、図6に示す機能ブロックの機能を実現する。
【0039】
取得部141は、入力部110に入力されたシミュレーションの計算条件等を取得する。
【0040】
制御部142は、第1算出部143、第2算出部144、第3算出部145、及び第4算出部146の制御を行う。
【0041】
第1算出部143は、糸201に含まれる複数の繊維300が互いに反発する力fを算出する。糸201に含まれる各繊維300間の距離が所定の距離以内になると、繊維間に互いに反発する力fが働く。第1算出部143は、下記(式1)及び(式2)により、各繊維300間に働く力fを算出する。
【数1】

【数2】

【0042】
上記(式2)において、xiは、糸201の断面における繊維iの中心の2次元座標であり、xjは、糸201の断面における繊維jの中心の2次元座標である。ここで、繊維i及び繊維jは、複数の繊維300に含まれる任意の繊維を示す。よって、rijは、繊維iと繊維jとの間の距離及び方向を示すベクトルである。
【0043】
また、上記(式1)において、fijは繊維iと繊維jとが互いに反発する力である。r0は、糸201に圧縮力Fが加わっていない状態の各繊維300間の距離である初期繊維間距離である。kは、計算パラメータである。
【0044】
図7は、圧縮力Fが加えられていない状態における糸201の断面構造の一部を示す図である。図8は、圧縮力Fが加えられている状態における糸201の断面構造の一部を模式的に示す図である。図7及び図8に示す繊維301〜307は、糸201に含まれる複数の繊維300に含まれる繊維である。
【0045】
図7に示すように圧縮力Fが加えられていない状態において、繊維301の中心と、繊維302〜307の中心との距離は、初期繊維間距離r0となる。
【0046】
上記(式1)に示すように、第1算出部143は、繊維iと繊維jとの間の距離rijが初期繊維間距離r0より小さい場合に、初期繊維間距離r0と距離rijとの差分に比例する互いに反発する力が繊維i及び繊維jに働くとして、力fijを算出する。また、第1算出部143は、繊維iと繊維jとの間の距離rijが初期繊維間距離r0より大きい場合に、互いに反発する力が繊維i及び繊維jに働かないとして力fijを算出する。すなわち、繊維iと繊維jとの間の距離rijが初期繊維間距離r0より小さい場合には、図8に示すように、繊維iと繊維jとの間にばねが設置されていると考えることができる。例えば、図8に示す例では、繊維301との距離が初期繊維間距離r0より小さい繊維302、繊維303、繊維305、及び繊維307と、繊維301との間には互いに反発する力が働く。また、繊維301との距離が初期繊維間距離r0より大きい繊維304、及び繊維306と、繊維301との間には互いに反発する力が働かない。
【0047】
なお、上記(式1)及び(式2)において、初期繊維間距離r0は、圧縮力Fが加えられていない状態における繊維iの中心と、繊維jの中心との距離であるとしたが、初期繊維間距離r0は、圧縮力Fが加えられていない状態における繊維iの中心と、繊維jの中心との距離から所定の範囲内の距離であってもよい。例えば、初期繊維間距離r0は、圧縮力Fが加えられていない状態における繊維i内又は外郭上の点と、繊維j内又は外郭上の点との距離であってもよい。
【0048】
第2算出部144は、糸201に含まれる複数の繊維300が、糸201の中心に集束する力fcを算出する。
【0049】
図9は、繊維300が糸201の中心に集束する力を模式的に示す図である。図9に示すように、らせん状の繊維300に張力Tを加えた場合、複数の繊維300の撚り構造により、各繊維300に、糸201の中心方向に集束しようとするfcが働く。第2算出部144は、下記(式3)及び(式4)により、各繊維300に働く力fcを算出する。
【数3】

【数4】

【0050】
上記(式4)において、xiは、糸201の断面における繊維iの中心の2次元座標であり、xgは糸201の断面における糸201の中心の2次元座標である。よって、rgiは、糸201の中心と繊維iとの間の距離及び方向を示すベクトルである。ここで、糸201の中心とは、圧縮力Fにより糸201が変形している場合には、変形後の糸の中心(重心)を意味する。
【0051】
また、上記(式3)において、fciは繊維iが糸201の中心に集束する力である。rgi(0)は、糸201の中心と、糸201に圧縮力Fが加わっていない状態の繊維iの中心との距離である初期中心距離である。なお、rgi(0)は、中心からの距離が最も近い繊維群に対する初期中心距離であり、中心からの距離が2番目に近い繊維群に対する初期中心距離をrgi(1)で示し、中心からの距離が3番目に近い繊維群に対する初期中心距離をrgi(2)で示す。kcは、計算パラメータである。
【0052】
図10は、圧縮力Fが加えられていない状態における糸201の断面構造の一部を示す図である。図11は、圧縮力Fが加えられている状態における糸201の断面構造の一部を模式的に示す図である。
【0053】
図10に示すように圧縮力Fが加えられていない状態において、糸の中心Gと繊維302〜307との距離は、初期中心距離rgi(0)となる。また、糸の中心Gと繊維310〜315との距離は、初期中心距離rgi(1)となる。糸の中心Gと繊維320〜325との距離は、初期中心距離rgi(2)となる。
【0054】
上記(式3)に示すように、第2算出部144は、糸201の断面における糸の中心Gから繊維iまでの距離rgiと、初期中心距離rgi(0)との差分に比例する力fciを算出する。また、第2算出部144は、糸201の断面における繊維iと糸の中心Gとの間の距離rgiが初期中心距離rgi(0)より大きい場合に、繊維iに、糸の中心に集束する力が働くとして、力fciを算出する。また、第2算出部144は、糸201の断面における繊維iと糸の中心Gとの間の距離rgiが初期中心距離rgi(0)より小さい場合には、繊維iに、糸の中心に集束する力が繊維iに働かないとして力fciを算出する。すなわち、図11に示すように、繊維iと糸の中心Gとの間の距離rgiが初期中心距離rgi(0)より大きい場合には、中心Gと繊維iとの間にばねが設置されていると考えることができる。例えば、図11に示す例では、中心Gとの間の距離rgiが初期中心距離rgi(0)より大きい繊維302、繊維303、繊維304、及び繊維306には、糸201の中心に集束する力が働く。また、中心Gとの間の距離rgiが初期中心距離rgi(0)より大きい繊維301、繊維305、及び繊維307には、糸201の中心に集束する力が働かない。
【0055】
なお、第2算出部144は、中心からの距離が2番目に近い繊維群に対しては、上記説明における初期中心距離初期rgi(0)の代わりに、中心距離rgi(1)を用いることで、繊維iに対する糸201の中心に集束する力fciを算出する。また、同様に、第2算出部144は、中心からの距離が3番目以上の繊維群に対しても、初期中心距離をrgi(2)及びrgi(3)等を用いることで、力fciを算出する。
【0056】
また、上記(式3)及び(式4)において、初期中心距離rgi(0)は、糸201の中心Gと、糸201に圧縮力Fが加わっていない状態の繊維iの中心との距離であるとしたが、初期中心距離rgi(0)は、糸201の中心Gと、糸201に圧縮力Fが加わっていない状態の繊維iの中心との距離から所定の範囲内の距離であってもよい。例えば、初期中心距離rgi(0)は、糸201の中心Gと、圧縮力Fが加えられていない状態における繊維i内又は外郭上の点との距離であってもよい。
【0057】
第3算出部145は、糸201に含まれる複数の繊維300の速度に比例する抵抗力fvを算出する。すなわち、抵抗力fvは、糸201の変形の速度に比例する抵抗力である。第3算出部145は、下記(式5)及び(式6)により、各繊維300に働く力fvを算出する。
【数5】

【数6】

【0058】
上記(式5)において、fviは繊維iが糸201の速度に比例する抵抗力である。cは、計算パラメータである。
【0059】
上記(式5)及び(式6)に示すように、第3算出部145は、繊維300の速度に比例する抵抗力fviを算出する。
【0060】
第4算出部146は、第1算出部143により算出された繊維300が互いに反発する力fijと、第2算出部144により算出された繊維300が糸201の中心に集束する力fciと、第3算出部145により算出された抵抗力fviとが、繊維iに働くとしてたてた運動方程式を解くことで、繊維iの位置を算出する。第4算出部146は、下記(式7)、(式8)、(式9)、及び(式10)により、各繊維300の位置を算出する。
【数7】

【数8】

【数9】

【数10】

【0061】
上記(式7)において、Fiは繊維iに加わる力を示す。また、nは糸201に含まれる繊維300の数を示す。
【0062】
上記(式7)に示すように、第4算出部146は、繊維iが他の繊維と互いに反発する力fijの和と、繊維iが糸201の中心に集束する力fciと、抵抗力fviとの和である力Fiを算出する。
【0063】
さらに、第4算出部146は、(式8)、(式9)及び(式10)に示す運動方程式を解くとで、糸201の断面における繊維iの座標xiを算出する。なお、(式8)において、mは繊維300の単位長さ当りの質量を示す。
【0064】
出力部147は、第4算出部146により算出された繊維iの位置(座標)を示す情報を表示部130に出力する。
【0065】
次に、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置100の動作を説明する。
【0066】
図12は、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置100によるシミュレーション動作の流れを示すフローチャートである。
【0067】
図12に示すように、まず、取得部141は、入力部110を介して入力された糸201の初期配置に関する情報を取得する(S101)。具体的には、取得部141が取得する初期配置に関する情報は、糸201に含まれる繊維300の本数である繊維本数n、繊維300の直径df、初期繊維間距離r0、及び糸201の初期直径d0等である。なお、初期配置に関する情報は、糸201の線密度、糸201の撚係数及び張力T等を含んでもよい。
【0068】
次に、取得部141は、入力部110を介して入力された計算条件を取得する。具体的には、計算条件は、計算パラメータk、kc、c、圧縮速度、計算時間間隔Δt、計算終了時刻、及び糸201の単位長さあたりの質量m等を含む。ここで、圧縮速度とは、圧縮力Fの方向のガラス板204の移動速度であり、圧縮力Fの方向に対する糸201の直径d2の変化の速度に対応する。
【0069】
なお、ステップS101及びS102において、取得部141が取得する初期配置に関する情報及び計算条件の一部又は全部は、保持部120等に保持されており、取得部141は、保持部120等に保持される初期配置に関する情報及び計算条件の一部又は全部を取得してもよい。また、取得部141は、ネットワーク又は記録媒体等を介して初期配置に関する情報及び計算条件の一部又は全部を取得してもよい。
【0070】
また、ステップS101及びステップS102を行う順序は任意でよい。例えば、ステップS102を行った後にステップS101を行ってもよいし、ステップS101とステップS102とを並列に行ってもよい。
【0071】
図13は、糸201に含まれる複数の繊維300の初期位置の一例を示す図である。例えば、取得部141は、図13に示す断面形状に対応する情報をステップS101及びステップS102において取得する。
【0072】
次に、シミュレーション部140は、初期状態から時間Δt後の時刻Δtにおける複数の繊維300の位置を算出する。制御部142は、圧縮速度(ガラス板204の速度)、及び計算時間間隔Δtに基づき、時刻Δtにおけるガラス板204の位置を算出する(S103)。ここで、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置100は、圧縮力Fとして圧縮力Fが加えられる方向(図13の下方向)におけるガラス板204の速度を入力値として、複数の繊維300の変化挙動を算出する。すなわち、シミュレーション部140は、ガラス板204が移動することによりガラス板204に隣接する繊維300が押し下げられるとして、複数の繊維300の位置を算出する。なお、上記(式7)に、さらに、圧縮力Fを加え、運動方程式を解くことで、繊維300の位置を算出してもよい。
【0073】
まず、シミュレーション部140は、複数の繊維300のうちのいずれかである繊維iの時刻Δtにおける位置を算出する。例えば、シミュレーション部140は、まず、ガラス板204に隣接する繊維の位置を算出する。その後、シミュレーション部140は、ガラス板204側の繊維から、順次、位置を算出する。具体的には、シミュレーション部140は、ガラス板204により押し下げられた繊維iの位置において、繊維iに加えられる力を算出し、運動方程式を解くことで、繊維iの位値を算出する。また、シミュレーション部140は、算出した繊維iの位置を考慮し、次の繊維i+1に加えられる力を算出し、運動方程式を解くことで、繊維i+1の位置を算出する。
【0074】
まず、制御部142は、繊維iに加えられる力Fiの初期化を行う(S104)。また、制御部142は、取得部141により取得されたガラス板204の速度から、初期状態から時間Δt後の時刻Δtにおけるガラス板204の位置を算出する。すなわち、制御部142は、取得部141により取得されたガラス板204の速度から、時刻Δtにおける糸の直径d2を算出する。制御部142は、算出された直径d2内に複数の繊維300が配置されるとして、第1算出部143、第2算出部144、第3算出部145、及び第4算出部146を制御し繊維iの位置を算出する。
【0075】
具体的には、第1算出部143は、上記(式1)及び(式2)を用いて繊維iと他の繊維jとが互いに反発する力fijを算出する(S105)。第1算出部143は、糸201に含まれる全ての繊維に対して力fijを算出する。なお、第1算出部143は、糸201に含まれる繊維300のうちいくつかに対してのみ力fijを算出してもよい。例えば、第1算出部143は、糸201に含まれる繊維300のうち繊維iに対して所定の距離内に位置する繊維jに対してのみ力fijを算出してもよい。
【0076】
次に、第2算出部144は、上記(式3)及び(式4)を用いて繊維iが糸201の中心に集束する力fciを算出する(S105)。
【0077】
次に、第3算出部145は、上記(式5)及び(式6)を用いて繊維iの速度に比例する抵抗力fviを算出する(S107)。
【0078】
なお、ステップS105〜S107の処理の順序は、任意の順序でよい。さらに、ステップS105〜S107の処理を並列に行ってもよい。
【0079】
次に、第4算出部146は、上記(式7)を用いて、ステップS105で第1算出部143により算出された力fijの和と、ステップS106で第2算出部144により算出された力fciと、ステップS106で第3算出部により算出された抵抗力fviとの和である力Fiを算出する。さらに、第4算出部146は、算出された力Fiを用いて上記(式8)、(式9)及び(式10)に示す運動方程式を解くことにより、糸201の断面における繊維iの座標xiを算出する(S108)。
【0080】
糸201に含まれる全ての繊維300に対する時刻Δtにおける位置の算出が終了していないので(S109でNo)、シミュレーション部140は、算出された繊維iの位置を考慮し、次の繊維i+1に対して、ステップS104〜S108の処理を行い、繊維i+1の位置を算出する。また、シミュレーション部140は、ステップS104〜S108の処理を繰り返し、糸201に含まれる全ての繊維300に対する時刻Δtにおける位置を算出する。すなわち、制御部142は、第1算出部143、第2算出部144、第3算出部145、及び第4算出部146を制御し時刻Δtにおける複数の繊維300の位置を算出する。
【0081】
全ての繊維300の位置が算出されると(S109でYes)、出力部147は、算出された時刻Δtにおける全ての繊維300の位置に対応するデータを出力する(S110)。例えば、出力部147は、算出された時刻Δtにおける全ての繊維300の位置に基づき、糸201の断面構造の2次元画像を生成し、表示部130に表示する。
【0082】
図14は、シミュレーション部140により算出された糸201の断面構造の一例を示す図である。出力部147は、例えば、図14に示す2次元画像を生成し、表示部130に表示する。なお、出力部147は、繊維300の位置に対応するデータをそのまま出力してもよい。また、出力部147は、算出されたデータを保持部120等に保持してもよい。さらに、出力部147は、計算終了時刻までの処理が終了した後に、保持部120等に保持されるデータを、一括して出力してもよい。また、出力部147は、算出されたデータを、ネットワーク等を介して外部の機器に出力してもよい。
【0083】
ステップS102で取得された計算終了時刻まで各時刻における繊維300の位置の算出が終わっていない場合(S111でNo)、シミュレーション部140は、時刻Δtから時間Δt後の時刻2×Δtにおける糸201の変化挙動を算出する(S103〜S110)。すなわち、制御部142、算出された時刻Δtにおける複数の繊維300の位置に基づき、第1算出部143、第2算出部144、第3算出部145、及び第4算出部146を制御し時刻2×Δtにおける複数の繊維300の位置を算出する。さらに、シミュレーション部140は、ステップS102で取得部141により取得された計算終了時刻まで時間Δt間隔の時刻毎に対してステップS103〜S110の処理を繰り返し、時刻毎の複数の繊維300の位置を算出する。
【0084】
以上より、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置100は、ステップS104で第1算出部143により算出された繊維300が互いに反発する力fと、ステップS105で第2算出部144により算出された繊維300が糸201の中心Gに集束する力fcと、ステップS106で第3算出部により算出された繊維300の速度に比例する抵抗力fvとが繊維300に働くとしてたてた運動方程式を各繊維ごとに解くことで、複数の繊維300の各位置を算出する。これにより、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置100は、糸201の変化挙動を高い精度で予測することができる。
【0085】
以下、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置100のシミュレーション結果と実測値との比較結果を示す。
【0086】
図15は、シミュレーション装置100による計算結果と実測値とを示す図である。図15において、Δd1は、圧縮力Fの方向と垂直な方向(図3における横方向)における初期直径d0と、圧縮力Fが加えられた状態の直径d1との差分である。Δd2は、圧縮力Fの方向(図3における縦方向)における初期直径d0と、圧縮力Fが加えられた状態の直径d2との差分である。図15の横軸は、初期直径d0と差分Δd2の比であり、入力された条件から算出されるガラス板204の位置に対応する。図15の縦軸は、初期直径d0と差分Δd1の比であり、シミュレーション装置100により算出されたシミュレーション結果に対応する。
【0087】
シミュレーション装置100によるシミュレーションの初期配置の条件は、繊維本数n=73本であり、繊維直径df=20.7μmであり、繊維間隔r0=33.12μmであり、初期直径d1=285.66μm、d2=307.53μmである。また、計算条件は、圧縮速度=10μm/sであり、計算時間間隔Δt=1msである。また、計算パラメータk、kc、cには、最適な値を用いている。なお、シミュレーションにおいては、初期直径d1とd2との値が異なるが、これは、図13に示すように糸201に含まれる繊維300を対称に配置したためである。
【0088】
実測条件は、繊維本数n=72本であり、繊維直径df=df=20.7μmであり、初期直径d0=284μmである。また、糸201の線密度Td=300Dであり、糸の撚係数=33.8であり、単位面積当たりの張力T=9.81cNである。
【0089】
図15に示すように、シミュレーション装置100による計算結果と、実測値とはよく一致している。すなわち、本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置100は、糸201の変化挙動を高い精度で予測することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、シミュレーション装置、及びシミュレーション方法に適用でき、特に糸の変化挙動、及び糸を用いた織物の変化挙動を予測するシミュレーション装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】糸に圧縮力が加えられた状態を示す図である。
【図2】圧縮力が加えられていない状態における糸の断面構造を示す図である。
【図3】圧縮力が加えられた状態における糸の断面構造を示す図である。
【図4】糸の詳細な構造を示す側面図である。
【図5】糸の断面構造を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図7】圧縮力が加えられていない状態における糸の断面構造を示す図である。
【図8】圧縮力が加えられている状態における糸の断面構造を示す図である。
【図9】繊維が糸の中心に集束する力を模式的に示す図である。
【図10】圧縮力が加えられていない状態における糸の断面構造を示す図である。
【図11】圧縮力が加えられている状態における糸の断面構造を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置によるシミュレーション動作の流れを示すフローチャートである。
【図13】糸に含まれる複数の繊維の初期位置の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置により算出された糸の断面構造の一例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るシミュレーション装置による計算結果と実測値とを示す図である。
【符号の説明】
【0092】
100 シミュレーション装置
110 入力部
120 保持部
130 表示部
140 シミュレーション部
141 取得部
142 制御部
143 第1算出部
144 第2算出部
145 第3算出部
146 第4算出部
147 出力部
201、202 糸
203、204 ガラス板
300、301、302、303、304、305、306、307、310、311、312、313、314、315、320、321、322、323、324、325 繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維が撚られた糸の長手方向に一定の張力を加えた状態で、前記糸の側面に圧縮力を加えた際の、前記糸の断面における前記複数の繊維の位置の変化挙動をシミュレーションするシミュレーション装置であって、
前記複数の繊維が互いに反発する力である第1の力を算出する第1算出手段と、
前記複数の繊維が前記糸の中心に集束する力である第2の力を算出する第2算出手段と、
前記複数の繊維の速度に比例する抵抗力である第3の力を算出する第3算出手段と、
前記複数の繊維に、前記第1算出手段により算出された前記第1の力と、前記第2算出手段により算出された前記第2の力と、前記第3算出手段により算出された前記第3の力とが働くとしてたてた運動方程式を解くことで、前記複数の繊維の位置を算出する第4算出手段とを備える
ことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】
前記第2算出手段は、前記糸の断面における前記糸の中心と前記繊維との距離が予め定められた第1の距離より大きい場合に該繊維に前記糸の中心に集束する力が働くとし、前記糸の中心と前記繊維との距離が前記第1の距離より小さい場合に該繊維に前記糸の中心に集束する力が働かないとして、前記第2の力を算出する
ことを特徴とする請求項1記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記第1の距離は、前記糸の中心と、前記糸に前記圧縮力が加わっていない状態の前記繊維との距離である
ことを特徴とする請求項2記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記第2算出手段は、前記糸の断面における前記糸の中心から前記繊維までの距離と、予め定められた第2の距離との差分に比例する前記第2の力を算出する
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記第2の距離は、前記糸の中心と、前記糸に前記圧縮力が加わっていない状態の前記繊維との距離である
ことを特徴とする請求項4記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記シミュレーション装置は、さらに、
前記圧縮力の方向に対する前記糸の直径の変化の速度を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された速度から第1の時刻における前記直径を算出する直径算出手段と、
前記直径算出手段により算出された前記直径内に前記複数の繊維が配置されるとして、前記第1算出手段、前記第2算出手段、前記第3算出手段、及び前記第4算出手段を制御し前記複数の繊維の位置を算出する制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
複数の繊維が撚られた糸の長手方向に一定の張力を加えた状態で、前記糸の側面に圧縮力を加えた際の、前記糸の断面における前記複数の繊維の位置の変化挙動をシミュレーションするシミュレーション方法であって、
前記複数の繊維が互いに反発する力である第1の力を算出する第1算出ステップと、
前記複数の繊維が前記糸の中心に集束する力である第2の力を算出する第2算出ステップと、
前記複数の繊維の速度に比例する抵抗力である第3の力を算出する第3算出ステップと、
前記複数の繊維に、前記第1算出ステップで算出された前記第1の力と、前記第2算出ステップで算出された前記第2の力と、前記第3算出ステップで算出された前記第3の力とが働くとしてたてた運動方程式を解くことで、前記複数の繊維の位置を算出する第4算出ステップとを含む
ことを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項8】
複数の繊維が撚られた糸の長手方向に一定の張力を加えた状態で、前記糸の側面に圧縮力を加えた際の、前記糸の断面における前記複数の繊維の位置の変化挙動をシミュレーションするシミュレーション方法のプログラムであって、
前記複数の繊維が互いに反発する力である第1の力を算出する第1算出ステップと、
前記複数の繊維が前記糸の中心に集束する力である第2の力を算出する第2算出ステップと、
前記複数の繊維の速度に比例する抵抗力である第3の力を算出する第3算出ステップと、
前記複数の繊維に、前記第1算出ステップで算出された前記第1の力と、前記第2算出ステップで算出された前記第2の力と、前記第3算出ステップで算出された前記第3の力とが働くとしてたてた運動方程式を解くことで、前記複数の繊維の位置を算出する第4算出ステップとをコンピュータに実行させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
複数の繊維が撚られた糸の長手方向に一定の張力を加えた状態で、前記糸の側面に圧縮力を加えた際の、前記糸の断面における前記複数の繊維の位置の変化挙動をシミュレーションするシミュレーション方法のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記複数の繊維が互いに反発する力である第1の力を算出する第1算出ステップと、
前記複数の繊維が前記糸の中心に集束する力である第2の力を算出する第2算出ステップと、
前記複数の繊維の速度に比例する抵抗力である第3の力を算出する第3算出ステップと、
前記複数の繊維に、前記第1算出ステップで算出された前記第1の力と、前記第2算出ステップで算出された前記第2の力と、前記第3算出ステップで算出された前記第3の力とが働くとしてたてた運動方程式を解くことで、前記複数の繊維の位置を算出する第4算出ステップとを含む
プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−242666(P2008−242666A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80249(P2007−80249)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年2月14日に平成18年度機能機械科学専攻修士論文口頭発表会にて発表
【出願人】(504160781)国立大学法人金沢大学 (282)
【出願人】(000116622)愛知県 (99)
【Fターム(参考)】