説明

シミュレータ

【課題】信号の輻輳、輻輳、フルーツ干渉等の発生時における二次監視レーダ及びSIF装置の動作を検証する。
【解決手段】対象範囲に検証の対象として所定時刻に存在が想定される機体の位置と、当該機体が応答する信号の種別と、当該機体の送信信号の情報を関連付ける機体データを記憶する機体データ記憶部13eと、動作を検証する装置が機体に送信した所定形式の信号を入力すると、機体データから、入力した信号の送信対象である機体の位置及び信号の種別と関連付けられる送信信号の情報を検索する機体検索手段13fと、機体データから検索された送信信号の内容を合成して模擬信号を生成する応答発生手段13gとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の種別の機体に送信した質問信号に対して応答信号を受信し、対象範囲の機体の飛行状況を把握する装置の動作を検証するための模擬信号を生成するシミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の飛行状況等の把握に利用する装置として、二次監視レーダ(SSR:Secondary Surveillance Rader)や敵味方識別(SIF:Selective Identification Feature、IFF:Identification Friend or Foe)装置等が存在する。二次監視レーダは、民間航空機の飛行位置を把握する装置である。一方、敵味方識別装置(SIF装置又はIFF装置(以下、「SIF装置」))は、飛行している航空機が敵の航空機であるか味方の航空機であるかを把握する装置である。
【0003】
これらの装置は、いずれも同一の周波数にて受信する受信信号に対し、応答信号を送信するものであるが、二次監視レーダは、民間航空機に搭載されるモードSトランスポンダとの間で、「Mode3/A」又は「ModeC」のモードの信号を送受信する。一方、SIF装置は、軍用航空機に搭載されるSIFトランスポンダとの間で、「Mode1」、「Mode2」、「Mode3」又は「Mode4」のモードの信号を送受信する。
【0004】
このような二次監視レーダやSIF装置の周囲では多くの信号が送受信され、複雑な電波環境となることがある。二次監視レーダやSIF装置には、航空機の誘導等や敵味方の識別を正確に行なう必要があるため、複雑な電波環境でも正常に動作することが要求される。
【0005】
例えば、信号の輻輳、信号の干渉、フルーツ干渉等の発生時における二次監視レーダの動作を検証するために、Mode3/AやModeCの信号を発生する技術は様々ある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
これに対し、Mode3/AやModeCは軍用の航空機では利用できないため、従来、SIF装置の信号の輻輳、信号の干渉、フルーツ干渉等の発生時における動作を検証することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-240847号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“Aeronautical Telecommunications,ANNEX10,VOLUMEI”,1996年7月,27-40頁,ICAO
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来は、二次監視レーダとSIF装置の相互干渉下での信号の輻輳、輻輳、フルーツ干渉等の発生時における二次監視レーダ及びSIF装置の動作を検証することができなかった。
【0010】
したがって本発明は、本発明では、相互干渉下での信号の輻輳、輻輳、フルーツ干渉等の発生時における二次監視レーダ及びSIF装置の動作を検証することのできるシミュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るシミュレータは、特定の種別の機体に送信した質問信号に対して応答信号を受信し、対象範囲の機体の飛行状況を把握する装置の動作を検証するための模擬信号を生成するシミュレータであって、前記対象範囲に検証の対象として所定時刻に存在が想定される機体の位置と、当該機体が応答する信号の種別と、当該機体の送信信号の情報を関連付ける機体データを記憶する機体データ記憶部と、動作を検証する装置が機体に送信した所定形式の信号を入力すると、前記機体データから、入力した信号の送信対象である機体の位置及び信号の種別と関連付けられる送信信号の情報を検索する機体検索手段と、前記機体データから検索された送信信号の内容を合成して模擬信号を生成する応答発生手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、相互干渉下での信号の輻輳、輻輳、フルーツ干渉等の発生時における二次監視レーダ及びSIF装置の動作を検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るシミュレータについて説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシミュレータの構成を説明するブロック図である。
【図3】図2のシミュレータの応答発生手段について説明する図である。
【図4】図2のシミュレータとSIF装置/SSRの信号の送受信について説明する図である。
【図5】変形例に係るシミュレータとSIF装置/SSRの信号の送受信について説明する図である。
【図6】他の変形例に係るシミュレータとSIF装置/SSRの信号の送受信について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を用いて本発明の実施形態に係るシミュレータ1について説明する。本発明の実施形態に係るシミュレータ1は、特定の種別の機体に送信した質問信号に対して応答信号を送信(又は発信、発生)し、対象範囲の機体の飛行状況を把握する装置の動作を検証するための模擬信号を生成する。具体的には、航空機2のトランスポンダ21との間で信号を送受信するSIF装置/SSR3と信号を送受信し、SIF装置/SSR3の動作の検証に利用する。このSIF装置/SSR3は、所定の対象範囲に存在する航空機の敵味方識別を実行し、二次監視レーダの役割も備える装置である。
【0015】
SIF装置/SSR3が質問信号Qを送信すると、この質問信号Qを受信した航空機2のトランスポンダ21が応答信号A1を送信するように、シミュレータ1は、SIF装置/SSR3が送信した質問信号Qを受信すると、この質問信号Qに応答する応答信号A2を送信する。応答信号A2を送信するとき、シミュレータ1では、SIF装置/SSR3の周囲で起こり得る様々な電波環境を考慮した応答信号を生成して送信する。シミュレータ1は、例えば、信号の輻輳、信号の干渉、フルーツ干渉等、SIF装置/SSR3が信号を検出することが困難な状態の模擬信号である応答信号A2を生成して送信し、SIF装置/SSR3の動作を検証する。
【0016】
図2に示すように、シミュレータ1では、SIF装置/SSR3が送信した質問信号を受信すると、SIF装置/SSR3の動作を検証するための応答信号を生成し、生成した信号を送信する。具体的には、シミュレータ1は、信号の送受信に利用するアンテナ10と、信号の送受を切り替えるサーキュレータ11と、受信した質問信号をサーキュレータ11を介して入力するとRF信号からIF信号に変換するアップ/ダウンコンバータ12と、アップ/ダウンコンバータ12で変換された質問信号を入力して応答信号を生成するSIF装置/SSR3の動作を検証するための応答信号を生成する信号処理器13と、アップ/ダウンコンバータ12でIF信号からRF信号に変換された応答信号を増幅するパワーアンプ(HPA)14とを有している。シミュレータ1は、パワーアンプ14を介して増幅された模擬信号である応答信号を、サーキュレータ11及びアンテナ10を介してSIF装置/SSR3に送信する。
【0017】
図2に示す信号処理器13は、アップ/ダウンコンバータ12から入力する質問信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換器13aと、ディジタル信号に変換された質問信号を復号する質問復号手段13bと、アンテナ10からアンテナの回転に関する信号(アンテナ角パルス)を入力してアンテナ10の指向角度を特定するアンテナ角特定手段13cと、特定されたアンテナ10の指向角度を利用して質問信号に応答するタイミングを発生するタイミング発生手段13dと、シミュレータ1が対象としているSIF装置/SSR3の監視空域に存在すると想定される機体(航空機)に関する機体データを記憶する機体データ記憶部13eと、質問復号手段13bの復号結果及びアンテナ角特定手段13cで特定された角度に応じて、該当する機体を機体データから検索する機体検索手段13fと、機体検索手段13fで検索された機体のデータを反映した模擬信号である応答信号を発生する応答発生手段13gと、応答信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換器13hを有している。また、信号処理器13は、シミュレータ1で検証に利用する機体に関するシナリオデータを記憶するシナリオデータ記憶部13jと、シナリオデータに従った処理を実行する制御信号を出力するシナリオ実行手段13kと、シナリオ実行手段13kからの制御信号に従ってフルーツを発生するフルーツ発生手段13lを有している。また、シミュレータ1の信号処理器13には、CPU、入力装置、出力装置(例えば、表示器15a)、記憶装置等を有する情報処理装置15が接続されており、この情報処理装置15から制御信号やデータを入力することもできる。
【0018】
質問復号手段13bは、A/D変換器13aから質問信号を入力すると、入力した質問信号を復号する。この質問信号は、例えば、質問の送信先である機体が利用する種別(モード)を含んでおり、質問復号手段13bは、質問信号に含まれる種別を復号してタイミング発生手段13dに出力する。具体的には、この種別としては、機体の監視で利用されるMode3/A及びModeCと、敵味方識別に利用されるMode1、Mode2又はMode4とがある。
【0019】
タイミング発生手段13dは、質問復号手段13bから復号された質問信号を入力するとともにアンテナ指向角特定手段13cからアンテナ10の回転角度を入力すると、入力した質問信号に応答する応答信号の送信タイミング(送信時刻及び送信時のアンテナ10の指向角度)を決定し、入力した質問信号の種別と決定した応答信号の送信タイミングとを機体検索手段13fに出力する。
【0020】
機体データ記憶部13eが記憶する機体データは、シミュレータ1が対象としているSIF装置/SSR3の監視空域に存在すると想定される機体が飛行する「方位」、SIF装置/SSR3から当該機体までの「距離」、当該機体が応答する質問信号の「種別」、当該種別の質問信号に対して機体が送信する「応答信号(パルス列)」、当該応答信号の「強度」及び当該応答信号の「位相」とを関連付けたデータである。すなわち、シミュレータ1が送信する信号は、実際に飛行する航空機(機体)2に搭載されるトランスポンダ21が送信する応答信号ではなく、SIF装置/SSR3が正常に動作しているか否かの動作検証の目的で送信される信号である。したがって、機体データは、実際にSIF装置/SSR3の監視空域に実際に存在する機体に関するデータである必要はなく、信号の輻輳、信号の干渉等が生じるような位置や数で監視空域に機体が存在するように想定されて生成されている。
【0021】
機体検索手段13fは、機体データ記憶部13eで記憶されている機体データを読み出し、該当する機体に関するデータを抽出し、応答信号の送信タイミングとともに応答発生手段13gに出力する。具体的には、機体検索手段13fは、タイミング発生手段13dから入力した送信時刻にアンテナ10が向く方向に存在する機体、つまり、応答すると判断された機体であって、送信タイミングと同時に入力した機体の種別と関連付けられるデータ(「応答信号」、「強度」及び「位相」)を検索し、検索したデータと、応答信号の送信タイミングとを応答発生手段13gに出力する。このとき、複数の機体に関するデータが検索された場合、機体検索手段13fは、検索された複数の機体に関するデータを応答発生手段13gに出力する。
【0022】
応答発生手段13gは、機体検索手段13fから入力したデータを利用して応答信号を生成し、生成した応答信号をタイミング発生手段13dが発生した送信タイミングで送信するようにD/A変換器13hに出力する。具体的には、応答発生手段13gは、図3に示すように、機体検索手段13fから入力する複数の機体のデータである応答信号の強度A1〜Anと位相θ1〜θnを合成するベクトル合成手段131と、ベクトル合成手段131が求めた信号の強度A0や位相θ0を利用して信号の輻輳や信号の干渉を模擬した応答信号の信号強度(A0sinθ0)を生成する強度信号生成手段132とを有している。
【0023】
ベクトル合成手段131は、対象の機体の信号の強度A1〜An及び位相θ1〜θnとともに、応答信号のパルス列を表わすon/offの信号P1〜Pnを入力する。したがって、ベクトル合成手段131は、入力したパルス列のon/offの信号P1〜Pnに応じて式(1)〜式(4)を利用して信号の強度A1〜An及び位相θ1〜θn、を合成して応答信号のパルス列毎の強度A0と位相θ0とを求める。
【数1】

【0024】
その後、強度信号生成手段132は、ベクトル合成手段131から入力するパルス列毎の信号の強度A0と位相θ0から応答信号の信号強度(A0sinθ0)をパルス列毎に求める。
【0025】
例えば、信号の輻輳を模擬する応答信号を送信する場合、応答発生手段13gは、該当する複数の機体の応答信号の強度A1〜An及び位相θ1〜θnを入力し、これらを合成して応答信号の信号強度(A0sinθ0)を求める。また、応答発生手段13gは、信号の干渉を模擬する応答信号を送信する場合、該当する機体の応答信号の強度A1〜An及び位相θ1〜θnと、干渉する信号の強度A1〜An及び位相θ1〜θnを入力し、これらを合成して応答信号の信号強度(A0sinθ0)を求める。
【0026】
応答発生手段13gから出力した応答信号は、D/A変換器13h、アップ/ダウンコンバータ12、パワーアンプ14、サーキュレータ11及びアンテナ10を介して送信される。
【0027】
シナリオデータ記憶部13jで記憶するシナリオデータは、SIF装置/SSR3の監視空域に存在すると想定される機体の軌跡としてある時刻における「飛行位置」と、機体の「飛行速度」と、機体の進行する「方向」と、機体の「高度」と、機体の「故障状況」、機体の利用する「種別」と、「フルーツの発生状況」と、「アンテナ状態」等を関連付けたデータである。このシナリオデータを利用すれば、シミュレーションの際にある特定時刻の機体の状態を特定することができる。上述したように、シミュレータ1が送信する信号は、SIF装置/SSR3が正常に動作しているか否かの動作検証の目的で送信される信号であるため、シナリオデータは、信号の輻輳、信号の干渉等が生じるような位置や数でSIF装置/SSR3の監視空域に機体が存在するようにシミュレータ1によって動作検証したい状況が想定されて生成されている。このシナリオデータは、情報処理装置15のシナリオ作成手段15bによって、作成され、記録器15cを介してシナリオデータ記憶部13jに記憶される。
【0028】
シナリオ実行手段13kは、時刻に応じて機体データ記憶部13eの機体データを更新する。すなわち、機体は時刻に応じて飛行位置等の状況が刻々と変化するため、シナリオ実行手段13kは、時刻に応じて変化する機体の状況に応じて、機体データを更新する。また、シナリオ実行手段13kは、シナリオデータにフルーツの発生有と含まれている場合、フルーツを発生させる制御信号をフルーツ発生手段13lに出力する。このとき、シナリオ実行手段13kは、タイミング発生手段13dで発生したタイミングに応じて、機体データを更新し、フルーツを発生させる制御信号を出力する。
【0029】
フルーツ発生手段13lは、シナリオ実行手段13kからフルーツを発生させる制御信号を入力すると、フルーツに関するデータを応答発生手段13gに出力する。フルーツに関するデータは、上述した機体が送信する応答信号のデータと同様に、信号の強度、位相及びパルス列で特定されるデータである。したがって、応答発生手段13gは、機体検索手段13fから入力した信号から式(1)〜式(4)を利用して応答信号の信号強度を求める際、フルーツ発生手段13lから入力する強度、位相及びパルス列も同様に利用することで、フルーツが発生した場合の応答信号を送信することができる。
【0030】
このように、シミュレータ1が受信する質問信号を送信し、シミュレータ1が質問信号送信する応答信号を受信するSIF装置/SSR3も、図3に示すように、アンテナ30、サーキュレータ31、アップ/ダウンコンバータ32、信号処理器33及びパワーアンプ(HPA)34を有する。SIF装置/SSR3は、航空機2のトランスポンダ21やシミュレータ1から送信された応答信号を受信すると、信号処理器33で、受信した応答信号の復号等を実行する。このとき、応答信号に信号の輻輳、干渉、フルーツ干渉等が発生していると、動作不良が生じることがある。したがって、シミュレータ1から輻輳、干渉、フルーツ干渉等を模擬した信号を受信したSIF装置/SSR3が動作不良によって正常に処理しない場合、この動作不良を発見し、問題の解決に役立てることができる。
【0031】
上述したように、本発明に係るシミュレータ1によれば、SIF装置/SSR3の周囲の電波環境で発生する信号の干渉、信号の輻輳、フルーツ干渉等を模擬した信号を生成して送信することができる。したがって、シミュレータ1を利用することで、SIF装置/SSR3における動作を確認するとともに、早期に不良を発見して問題を解決することができる。
【0032】
なお、図1乃至図4を用いて上述した例では、シミュレータ1が検証する装置は、敵味方識別を実行することができるとともに、二次監視レーダの役割も備えるSIF装置と二次監視レーダが一体となったSIF装置/SSR3であるとして説明した。これに対し、本発明の実施形態に係るシミュレータ1は、敵味方識別を実行するためにMode3/A又はModeCの種別の信号を扱うSIF装置と、飛行する機体を監視するためにMode1、Mode2又はMode4の種別の信号を扱う二次監視レーダとの両方の装置を検証することができればよく、一体型のSIF装置/SSRのみが検証の対象ではない。
【0033】
〈第1変形例〉
図1乃至4を用いて上述した例では、SIF装置/SSR3と、シミュレータ1は、それぞれアンテナ30又はアンテナ10を介して信号を送受信していたが、SIF装置/SSR3とシミュレータ1とを信号線で接続する場合、シミュレータ1のアンテナ10は必須の構成ではない。
【0034】
例えば、図5に示すように、第2変形例に係るシミュレータ1aは、アンテナ10、サーキュレータ11及びパワーアンプ14を有さず、信号処理器13及びアップ/ダウンコンバータ12の他、減衰器(ATT)16のみを有する構成であってもよい。この場合、SIF装置/SSR3aは、信号処理器33で生成した質問信号をアップ/ダウンコンバータ32でIF信号からRF信号に変換し、減衰器(ATT)36で減衰した後、信号線を介してシミュレータ1aに出力する。シミュレータ1aでは、アップ/ダウンコンバータ12で質問信号をRF信号からIF信号に変換して信号処理器13で処理する。信号処理器13の構成は、図2を用いて上述したため説明を省略するが、入力した質問信号を復号後に応答信号を生成する。この場合、信号処理器13のアンテナ特定手段13cは、アンテナからの回転角度を入力することができないため、アンテナが回転していると想定してアンテナ角パルスを内部生成し、タイミング発生手段13dに出力する。減衰器16は、信号処理器13が生成した応答信号を減衰した後、信号線を介してSIF装置/SSR3aに出力する。SIF装置/SSR3aでは、入力した応答信号をアップ/ダウンコンバータ32でRF信号からIF信号に変換し、信号処理器33で処理する。
【0035】
この信号処理器33が入力した応答信号の処理で動作不良を発見することにより、SIF装置/SSR3aの問題の解決に役立てることができる。なお、SIF装置/SSR3aでは、航空機2のトランスポンダ21とも信号を送受信するため、アンテナ等の他の構成も有しているが、シミュレータ1との信号の送受信では利用されないため、図5では図示を省略している。
【0036】
上述したように、シミュレータ1aを利用した場合でも、SIF装置/SSR3aの周囲の電波環境で発生する信号の干渉、信号の輻輳、フルーツ干渉等を模擬した信号を生成して出力し、SIF装置/SSR3aにおける動作を確認するとともに、早期に不良を発見して問題を解決することができる。
【0037】
また、アンテナの角度を内部生成することにより、アンテナの異常状態(回転速度異常、回転停止、回転速度ゆらぎ等)を模擬することも可能となり、アンテナ異常時の動作の確認、不良の発見と検証により問題を解決することができる。
【0038】
〈第2変形例〉
また例えば、図6に示すように、第2変形例に係るシミュレータ1bは、アンテナ10、サーキュレータ11、アップ/ダウンコンバータ12及びパワーアンプ14を有さず、信号処理器13のみを有する構成であってもよい。この場合、SIF装置/SSR3bは、信号処理器33で生成した質問信号を、直接、信号線を介してシミュレータ1aに出力する。シミュレータ1aでは、入力した質問信号を、直接、信号処理器13に出力する。信号処理器13の構成は、図2を用いて上述したため説明を省略するが、入力した質問信号を復号後に応答信号を生成し、信号線を介してSIF装置/SSR3bに出力する。この場合、信号処理器13のアンテナ特定手段13cは、アンテナからの回転角度を入力することができないため、アンテナが回転していると想定してアンテナ角パルスを内部生成し、タイミング発生手段13dに出力する。SIF装置/SSR3bでは、応答信号を入力すると、信号処理器33で処理する。
【0039】
この信号処理器33が入力した応答信号の処理で動作不良を発見することにより、SIF装置/SSR3の問題の解決に役立てることができる。なお、SIF装置/SSR3bでは、航空機2のトランスポンダ21とも信号を送受信するため、アンテナ等の他の構成も有しているが、シミュレータ1との信号の送受信では利用されないため、図6では図示を省略している。
【0040】
上述したように、シミュレータ1bを利用した場合でも、SIF装置/SSR3bの周囲の電波環境で発生する信号の干渉、信号の輻輳、フルーツ干渉等を模擬した信号を生成して出力し、SIF装置/SSR3bにおける動作を確認するとともに、早期に不良を発見して問題を解決することができる。
【0041】
また、アンテナの角度を内部生成することにより、アンテナの異常状態(回転速度異常、回転停止、回転速度ゆらぎ等)を模擬することも可能となり、アンテナ異常時の動作の確認、不良の発見と検証により問題を解決することができる。
【符号の説明】
【0042】
1,1a,1b…シミュレータ
10…アンテナ
11…サーキュレータ
12…アップダウン/コンバータ
13…信号処理器
13a…A/D変換器
13b…質問復号手段
13c…アンテナ特定手段
13d…タイミング発生手段
13e…機体データ記憶部
13f…機体検索手段
13g…応答発生手段
131…ベクトル合成手段
132…強度信号生成手段
13h…D/A変換器
13j…シナリオデータ記憶部
13k…シナリオ実行手段
13l…フルーツ発生手段
14…パワーアンプ
15…情報処理装置
15a…表示器
15b…シナリオ作成手段
15c…記録器
16…減衰器
2…航空機
21…トランスポンダ
3,3a,3b…SIF装置/SSR
30…アンテナ
31…サーキュレータ
32…アップ/ダウンコンバータ
33…信号処理器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の種別の機体に送信した質問信号に対して応答信号を受信し、対象範囲の機体の飛行状況を把握する装置の動作を検証するための模擬信号を生成するシミュレータであって、
前記対象範囲に検証の対象として所定時刻に存在が想定される機体の位置と、当該機体が応答する信号の種別と、当該機体の送信信号の情報を関連付ける機体データを記憶する機体データ記憶部と、
動作を検証する装置が機体に送信した所定形式の信号を入力すると、前記機体データから、入力した信号の送信対象である機体の位置及び信号の種別と関連付けられる送信信号の情報を検索する機体検索手段と、
前記機体データから検索された送信信号の内容を合成して模擬信号を生成する応答発生手段と、
を備えることを特徴とするシミュレータ。
【請求項2】
前記対象範囲において飛行が想定される機体の軌跡と、当該機体の状況に関するシナリオデータを記憶するシナリオデータ記憶部と、
前記シナリオデータに基づいて、所定時刻に前記対象範囲に存在が想定される機体の位置と、当該機体が応答する信号の種別と、当該機体の送信信号の情報を生成して前記機体データを更新するシナリオ実行手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項3】
前記機体データは、送信信号の情報として、送信信号の位相、強度及び送信内容のパルス列を含み、
前記応答発生手段は、入力した位相、強度及びパルスを合成して模擬信号とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のシミュレータ。
【請求項4】
前記シナリオデータは、フルーツの発生に関する情報を含み、
前記シナリオデータに基づいて、フルーツの発生時刻に前記応答発生器にフルーツに関する情報を合成させる制御信号を出力するフルーツ発生手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のシミュレータ。
【請求項5】
前記受信信号の形式は、敵味方識別装置に送信される信号の形式又は二次監視レーダに送信される信号の形式であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載のシミュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−99699(P2011−99699A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252975(P2009−252975)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】