説明

シャッター用ガイドレールの防火構造

【課題】従来の構成部材を変更せずに防火性能を向上させることのできるシャッター用ガイドレールの防火構造を提供する。
【解決手段】シャッター用ガイドレール11の防火構造において、アルミ合金製のレール部27及び外枠29からなり躯体19に固定されるシャッター用ガイドレール11と、躯体19から垂直に起立する外枠29の支持壁45と、支持壁基部53から躯体19と平行に曲がって連続し外枠29を躯体19へ固定する複数の固定穴59が穿設される鍔状固定縁部55と、鍔状固定縁部55と躯体19との間に挟み入れられる熱発泡材65と、を設けた。熱発泡材65は、鍔状固定縁部55の長手方向に沿って延在するテープ状に形成されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター用ガイドレールの防火構造に関する。
【背景技術】
【0002】
防火性能を向上させたシャッター装置が提案されている。例えば特許文献1に開示される防火シャッターのシャッターカーテンは、火災時に加熱されて発泡する不燃性発泡材で形成された未発泡の断熱プレートが、スラットカーテンを構成するスラット本体の上下インターロック部の間に取り付けられる。当該スラットカーテンの全面には、不燃シートが断熱プレートを介して接着される。これにより、シャッターカーテンを閉じたときの断熱効果を高め、加熱された場合でもスラットが反ったり捩れたりしてインターロックが外れることがないようにしている。
【0003】
また、特許文献2に開示されるシートシャッターは、耐熱シートが、建物開口部の両側に設けられたガイドレールに沿って昇降する。周囲が火災により加熱されると、ガイドレール内に配置されている発泡材が発泡して、耐熱シートの端部をガイドレールの内壁に押さえ込んで、風圧により耐熱シートがガイドレールから抜け出ることを防止する。同時に、発泡した発泡材によって、耐熱シートとガイドレールとの隙間を埋めて、防煙効果を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−10575号公報
【特許文献2】特開平10−331553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した技術は、従来のシャッター装置の構成部材を変更する必要があり、部品コストや製造コストが高くなる場合がある。また、シャッターカーテンの両側縁をガイドするガイドレールは、アルミ合金等による押出成形品が用いられることが多い。アルミ合金よりなることで、ガイドレールは意匠性を持たせることができ、またその素材により防錆性もあり住宅用には好適である。ところが、アルミ合金等によるガイドレールは、火災発生時に過度の熱を受けると変形を起こす可能性がある。ガイドレールは、所定間隔が固定ネジによって躯体に固定されるが、熱膨張による変形によって、固定ネジ同士間が膨らみ、その結果、躯体との間に生じた隙間から炎が通る虞がある。さらに、加熱が進むと、ガイドレールを躯体に固定する固定ネジを通すためのネジ穴が拡がり、ガイドレールが固定ネジから外れて、脱落する虞もある。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、従来の構成部材を変更せずに防火性能を向上させることのできるシャッター用ガイドレールの防火構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のシャッター用ガイドレールの防火構造は、アルミ合金製のレール部27及び外枠29からなり躯体19に固定されるシャッター用ガイドレール11と、
前記躯体19から垂直に起立する前記外枠29の支持壁45と、
支持壁基部53から前記躯体19と平行に曲がって連続し前記外枠29を前記躯体19へ固定する複数の固定穴59が穿設される鍔状固定縁部55と、
前記鍔状固定縁部55と前記躯体19との間に挟み入れられる熱発泡材65と、
を具備することを特徴とする。
【0008】
このシャッター用ガイドレール11の防火構造では、外枠29の鍔状固定縁部55が、熱発泡材65を挟んで、鍔状固定縁部55の表面から貫通する固定ネジ57によって躯体19に固定される。鍔状固定縁部55は、外枠29の長手方向が複数の固定ネジ57によって所定の間隔で固定される。火災の熱により鍔状固定縁部55が熱膨張し、固定ネジ同士間の鍔状固定縁部55が躯体19から離れて隙間67が生じると、同時にその熱により熱発泡材65が膨張し、膨張した熱発泡材65によって隙間67が埋められることになる。
【0009】
本発明の請求項2記載のシャッター用ガイドレールの防火構造は、請求項1記載のシャッター用ガイドレール11の防火構造であって、
前記熱発泡材65が、前記鍔状固定縁部55の長手方向に沿って延在するテープ状に形成されることを特徴とする。
【0010】
このシャッター用ガイドレール11の防火構造では、鍔状固定縁部55が熱膨張すると、固定ネジ同士の間の隙間67が複数発生する可能があるが、その全ての隙間67に対応させて熱発泡材65がテープ状となって簡単に配設可能となる。
【0011】
本発明の請求項3記載のシャッター用ガイドレールの防火構造は、請求項1または2記載のシャッター用ガイドレール11の防火構造であって、
ネジ貫通穴73を有して前記鍔状固定縁部55の表面を覆い固定ネジ57によって前記鍔状固定縁部55と前記躯体19に共締め固定されるスチール製のベース部材69と、
前記ベース部材69に設けられる取付片75と、
前記取付片75に係合して取り付けられ前記ベース部材69及び前記鍔状固定縁部55を覆う化粧部材71と、
を具備することを特徴とする。
【0012】
このシャッター用ガイドレール11の防火構造では、スチール製のベース部材69がネジ貫通穴73を、鍔状固定縁部55の固定穴59に一致させてこの鍔状固定縁部55に重ねて配置される。ベース部材69のネジ貫通穴73から挿入された固定ネジ57は、鍔状固定縁部55の固定穴59を通り、熱発泡材65を貫通して躯体19に固定される。従って、アルミ合金製の鍔状固定縁部55に形成された固定穴59は、スチール製のベース部材69によって覆われた状態で固定ネジ57が通される。これにより、外部からの火災による熱よって鍔状固定縁部55の固定穴59が変形しても、鍔状固定縁部55がベース部材69と躯体19とに挟まれ、容易に躯体19から脱落しなくなる。また、これらの固定ネジ57、ベース部材69は、火災でない通常時には、化粧部材71によって覆われて露出しなくなる。
【0013】
本発明の請求項4記載のシャッター用ガイドレールの防火構造は、請求項3記載のシャッター用ガイドレール11の防火構造であって、
前記鍔状固定縁部55と前記ベース部材69との間に薄板耐火材81が挟まれていることを特徴とする。
【0014】
このシャッター用ガイドレール11の防火構造では、鍔状固定縁部55の長手方向に部分的にベース部材69が重ねて設けられることで、その部分がベース部材69によって覆われるのに加え、ベース部材同士の間の鍔状固定縁部55も、薄板耐火材81によって覆われ、アルミ合金製の鍔状固定縁部55の全てが露出しなくなる。
【0015】
本発明の請求項5記載のシャッター用ガイドレールの防火構造は、請求項4記載のシャッター用ガイドレール11の防火構造であって、
前記薄板耐火材81には、前記支持壁45と平行に曲がって該支持壁45を覆う折曲延出部83が設けられていることを特徴とする。
【0016】
このシャッター用ガイドレール11の防火構造では、薄板耐火材81に、支持壁45と平行に曲がった折曲延出部83が設けられ、鍔状固定縁部55に加えて、支持壁45も覆われて、アルミ合金製の外枠29の表出部分がより少なくなる。
【0017】
本発明の請求項6記載のシャッター用ガイドレールの防火構造は、請求項5記載のシャッター用ガイドレール11の防火構造であって、
前記化粧部材71には、前記折曲延出部83を覆う被覆片部85が設けられていることを特徴とする。
【0018】
このシャッター用ガイドレール11の防火構造では、外枠29の支持壁45を覆う折曲延出部83が、固定ネジ57やベース部材69を覆う化粧部材71に設けられた被覆片部85によって覆われる。これにより、防火性能を高めるために増設した複数の作用部材が一括して覆え、見栄えを低下させることがない。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る請求項1記載のシャッター用ガイドレールの防火構造によれば、躯体と鍔状固定縁部との間に熱発泡材が挟まれ、この熱発泡材が火災時には膨張して躯体と外枠とに生じてしまう隙間を塞ぐので、従来の構成部材を変更せずに防火性能を向上させることができる。
【0020】
本発明に係る請求項2記載のシャッター用ガイドレールの防火構造によれば、幅狭な鍔状固定縁部に対して容易に取り付けることができ、火災時に、躯体と鍔状固定縁部との間に発生する隙間を、外枠の長手方向に渡って容易に塞ぐことができる。
【0021】
本発明に係る請求項3記載のシャッター用ガイドレールの防火構造によれば、アルミ合金製の鍔状固定縁部を覆ったスチール製のベース部材が、鍔状固定縁部とともに躯体に共締めされるので、火災時に、固定ネジが外枠から容易に抜けなくなる。また、化粧部材によってベース部材や固定ネジが隠され、見栄えを低下させることがない。
【0022】
本発明に係る請求項4記載のシャッター用ガイドレールの防火構造によれば、ベース部材に覆われる部分以外の鍔状固定縁部も、薄板耐火材で覆えるので、鍔状固定縁部を熱変形し難くして、防火性能を高めることができる。
【0023】
本発明に係る請求項5記載のシャッター用ガイドレールの防火構造によれば、折曲延出部によって薄板耐火材の剛性が向上し外枠の補強構造となり、また、この折曲延出部が、外枠の支持壁も覆うので、外枠の防火性能をさらに高めることができる。
【0024】
本発明に係る請求項6記載のシャッター用ガイドレールの防火構造によれば、外枠の支持壁を覆う折曲延出部が、化粧部材の被覆片部によって覆われるので、防火性能を高めつつ、見栄えの低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る防火構造を備えたシャッター装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示したレール部の平面図である。
【図3】図2に示した外枠が躯体に固定される前の断面図である。
【図4】図2に示した外枠の側面図である。
【図5】図4に示した外枠が火災の熱で変形した際の状況を例示する側面図である。
【図6】鍔状固定縁部にベース部材と化粧部材が取り付けられた変形例に係る防火構造の平断面図である。
【図7】図6に示した防火構造の躯体に固定される前の平面図である。
【図8】ベース部材による取付状況を表した外枠の斜視図である。
【図9】薄板耐火材が挟まれる変形例に係る防火構造の平断面図である。
【図10】図9に示した防火構造の躯体に固定される前の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る防火構造を備えたシャッター装置の外観斜視図である。
本実施形態に係るシャッター用ガイドレール11の防火構造は、例えばカーテン部13を用いて建物開口部15を開閉するシャッター装置17に好適に用いることができる。シャッター装置17は、例えば住宅の窓部を構成するサッシ窓21の外側に取り付けられる。建物開口部15の上方にはシャッター装置17の収納部23が取り付けられている。カーテン部13は、アルミ製やスチール製のスラット25を複数連結した一般的なカーテン部13の他、パネル材や樹脂製シート状のカーテン部13とすることもできる。
【0027】
なお、シート状のカーテン部13は、他の樹脂にて構成されるシート材や、ゴムシート材、織布や、樹脂製ネットスクリーン、金属製ネットスクリーン、シリカクロス、ガラスクロス等を素材とする構成や、これら素材を複合や積層させた素材等としてもよく、このカーテン部13を構成する素材を、耐火性,防火性,防炎性を有する素材とすることができる。
【0028】
図2は図1に示したレール部27の平面図、図3は図2に示した外枠29が躯体19に固定される前の断面図である。
シャッター用ガイドレール11は、カーテン部13を案内するレール部27と、レール部27を支持して躯体19に固定される外枠29と、を有する。レール部27と外枠29とは、アルミ押出成形材よりなる。レール部27は、カーテン部13の操出巻取方向に沿うカーテン縁部31のそれぞれをスリット33に抜け止め規制して案内する。抜け止め規制は、断面T字状の樹脂材よりなる抜け止め部材35をカーテン縁部31に取り付け、この抜け止め部材35をスリット33に係合して行われる。
【0029】
レール部27は、外枠29と連結部分にて連結される。連結部分は、レール部27に形成される凹状爪37と、外枠29に形成されるL字状爪39と、からなる。レール部27と外枠29とは、この凹状爪37とL字状爪39とを係合して連結される。また、レール部27には開口側延出片41が形成され、開口側延出片41は外枠29に形成される開口側起立片43にネジ等の固定手段にて固定される。これにより、レール部27は、固定手段のみにより取り外し可能に外枠29に固定される。
【0030】
外枠29は、躯体19から垂直に起立する支持壁45を有する。L字状爪39は、この支持壁45の起立先端側に形成されている。また、支持壁45の途中からは上記の開口側起立片43が突出している。支持壁45には開口側起立片43の下方にさらに、サッシ接続片47が突設される。サッシ接続片47は、外枠29が固定されると、パッキン49を介してサッシ窓21のサッシ枠51に接続される。なお、このパッキン49は、サッシ接続片47の長手方向に沿って延在する略テープ状に形成されており、例えば、ゴム、発泡樹脂材を素材とされている。このパッキン49は、サッシ枠51とサッシ接続片47の隙間から浸入する雨水などを抑制するとともに、サッシ枠51の取付精度の影響を少なくするためのものであり、また、外部からの火災や火災による熱によって外枠29が変形した場合でも、支持壁45の倒れを抑制することが可能となる。
【0031】
外枠29は、サッシ接続片47よりも下方が、支持壁基部53となる。支持壁基部53には、躯体19と平行に外側へ曲がって連続し外枠29を躯体19へ固定する鍔状固定縁部55が形成されている。鍔状固定縁部55には、外枠29を固定ネジ57にて躯体19へ固定するための複数の固定穴59が穿設されている。また、鍔状固定縁部55の躯体19に対向する面には、支持壁基部53の剛性を保つように幅方向(図3の左右方向)両側にリブ61が形成される。鍔状固定縁部55は、固定ネジ57により固定される際、このリブ61を躯体19に当接して固定される。つまり、躯体19に固定された鍔状固定縁部55は、躯体19との間に空隙63を形成する。
【0032】
本防火構造では、この空隙63に熱発泡材65が設けられている。つまり、熱発泡材65は、鍔状固定縁部55と躯体19との間に挟み入れられることになる。熱発泡材65は、シート状のもの、あるいは塗料であってもよい。塗料としては、例えばSK化研株式会社製の「SKタイカコート」を用いることができる。SKタイカコートは、発泡性耐火塗料で、数ミリで耐火性能を発揮する。火災の熱により20〜30倍に発泡して断熱層を形成する。また、熱発泡材65としては、積水化学工業株式会社製のフィブロック(商品名)を用いることができる。この熱膨張耐火材は、プラスチック系の耐火材料であり、厚み方向にのみ膨張する。熱膨張耐火材は、厚み方向に、5〜40倍に膨張し、高断熱層を形成する。
【0033】
本実施形態では、この熱発泡材65が、鍔状固定縁部55の長手方向に沿って延在するテープ状に形成される。テープ状は、塗膜によって形成されてもよく、あるいは粘着面を有したシート状のものをテープ状に形成して得てもよく、このような形状とすることで、容易に取り付けることが可能となる。
【0034】
次に、上記防火構造の作用を説明する。
図4は図2に示した外枠29の側面図、図5は図4に示した外枠29が火災の熱で変形した際の状況を例示する側面図である。
上記のように構成される防火構造では、図4に示すように、外枠29の鍔状固定縁部55が、熱発泡材65を挟んで、鍔状固定縁部55の表面から貫通する固定ネジ57によって躯体19に固定される。鍔状固定縁部55は、外枠29の長手方向が複数の固定ネジ57によって所定の間隔で固定される。
【0035】
図5に示すように、火災の熱により鍔状固定縁部55が熱変形、熱膨張し、固定ネジ同士間の鍔状固定縁部55が躯体19から浮き離れて隙間67が生じると、同時にその熱により熱発泡材65が膨張する。膨張した熱発泡材65は、鍔状固定縁部55と躯体19との隙間67を埋めることになる。これにより、熱膨張の変形によって鍔状固定縁部55と躯体19との間に生じてしまった隙間67から、炎の通ることが防止される。
【0036】
また、上記のように、熱発泡材65は、テープ状に形成されている。鍔状固定縁部55が熱膨張すると、固定ネジ同士の間の隙間67が複数発生する可能があるが、連続したテープ状の熱発泡材65であれば、その全ての隙間67に簡単に対応させて配設が可能となる。これにより、火災時に、躯体19と鍔状固定縁部55との間に発生する全ての隙間67を、外枠29の長手方向に渡って容易に塞ぐことができる。
【0037】
次に、上記防火構造の変形例を説明する。
図6は鍔状固定縁部55にベース部材69と化粧部材71が取り付けられた変形例に係る防火構造の平断面図、図7は図6に示した防火構造の躯体19に固定される前の平面図、図8はベース部材69による取付状況を表した外枠29の斜視図である。
なお、図1〜図5に示した部材と同等の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略するものとする。
この変形例では、鍔状固定縁部55の固定穴59がスチール製(例えばステンレス鋼)のベース部材69によって覆われる。図8に示すように、ベース部材69は、ネジ貫通穴73を有して鍔状固定縁部55の表面を覆い、固定ネジ57によって鍔状固定縁部55と躯体19に共締め固定される。ベース部材69は、中央部が幅狭に括れた短冊状に形成され、長手方向両端にネジ貫通穴73が形成される。
【0038】
ベース部材69の中央部左右には一対のバネ性を有する取付片75が起立して設けられ、各取付片75は中途がく字状に折曲形成され、それぞれの折曲部分であるく字状係止部79が外側に膨らむように配置構成される。この取付片75には、アルミ合金製の化粧部材71が取り付けられる。化粧部材71は、断面コ字状の長尺に形成され、内面には複数の係止溝77が形成される。取付片75は、く字状係止部79を係止溝77に係止して化粧部材71を係止する。
【0039】
取付片75を備えたベース部材69は、図8に示すように、所定の間隔、例えば約35cm間隔で鍔状固定縁部55に沿って複数のものが固定される。鍔状固定縁部55と共締めされたベース部材69の取付片75には、化粧部材71が取り付けられる。取付片75に取り付けられた化粧部材71は、図6に示すように、ベース部材69、固定ネジ57、鍔状固定縁部55を覆い隠すことになる。
【0040】
この変形例による防火構造では、スチール製のベース部材69がネジ貫通穴73を、鍔状固定縁部55の固定穴59に一致させてこの鍔状固定縁部55に重ねて配置される。ベース部材69のネジ貫通穴73から挿入された固定ネジ57は、鍔状固定縁部55の固定穴59を通り、熱発泡材65を貫通して躯体19に固定される。従って、アルミ合金製の鍔状固定縁部55に形成された固定穴59は、スチール製のベース部材69によって覆われた状態で固定ネジ57が通される。これにより、外部からの火炎や火災による熱によって鍔状固定縁部55の固定穴59が変形しても、鍔状固定縁部55がベース部材69と躯体19とに挟まれ、容易に躯体19から脱落しなくなる。また、これらの固定ネジ57、ベース部材69は、火災でない通常時には、化粧部材71によって覆われて露出しなくなる。
【0041】
従って、この変形例に係る防火構造によれば、アルミ合金製の鍔状固定縁部55を覆ったスチール製のベース部材69が、鍔状固定縁部55とともに躯体19に共締めされるので、火災時に、固定ネジ57が外枠29から容易に抜けなくなる。また、化粧部材71によってベース部材69や固定ネジ57が隠され、見栄えを低下させることがなく、すなわち防火構造を表出させることがない。
【0042】
次に、上記防火構造の他の変形例を説明する。
図9は薄板耐火材81が挟まれる変形例に係る防火構造の平断面図、図10は図9に示した防火構造の躯体19に固定される前の平面図である。
この変形例に係る防火構造は、鍔状固定縁部55とベース部材69との間にスチール製の薄板耐火材81が挟まれる。薄板耐火材81は、帯板であってもよい。この変形例では、薄板耐火材81に、支持壁45と平行に曲がって支持壁45に沿い、この支持壁45の一部分を覆う折曲延出部83が設けられている。
【0043】
この変形例では、鍔状固定縁部55の長手方向に部分的にベース部材69が重ねて設けられることで、その部分がベース部材69によって覆われる。これに加え、ベース部材同士の間の鍔状固定縁部55も、薄板耐火材81によって覆われ、アルミ合金製の鍔状固定縁部55の全てが露出しなくなる。
【0044】
従って、ベース部材69に覆われる部分以外の鍔状固定縁部55も、薄板耐火材81で覆えるので、鍔状固定縁部55を熱変形し難くして、防火性能を高めることができる。
【0045】
これに加え、薄板耐火材81に、支持壁45と平行に曲がった折曲延出部83が設けられ、剛性が向上することとなり、鍔状固定縁部55に加えて、支持壁45も覆われるので、アルミ合金製の外枠29の表出部分がより少なくなる。従って、外枠29の防火性能をさらに高めることができる。また、サッシ枠51とサッシ接続片47の隙間から浸入する雨水などの抑制や、サッシ枠51の取付精度の影響を少なくするパッキン49により、外部からの火災や火災による熱によって外枠29が変形した場合に、支持壁45の倒れを抑制することが可能となるとともに、薄板耐火材81の折曲延出部83による火炎や熱からの支持壁45の保護に加え、このパッキン49がサッシ接続片47を支えることとなり、より変形を抑えることができる。
【0046】
この折曲延出部83を備えた変形例では、化粧部材71に、折曲延出部83を覆う被覆片部85が設けられていることが好ましい。外枠29の支持壁45を覆う折曲延出部83が、化粧部材71に設けられた被覆片部85によって覆われることになる。これにより、防火性能を高めるために増設した複数の作用部材が一括して覆え、見栄えを低下させることがない。従って、防火性能を高めつつ、見栄えの低下を防止することができる。
【0047】
従って、本実施形態に係るシャッター用ガイドレール11の防火構造によれば、躯体19と鍔状固定縁部55との間に熱発泡材65が挟まれ、この熱発泡材65が火災時には膨張して躯体19と外枠29との隙間67(図5参照)を塞ぐので、従来の構成部材を変更せずに防火性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
11…シャッター用ガイドレール
19…躯体
27…レール部
29…外枠
45…支持壁
53…支持壁基部
55…鍔状固定縁部
57…固定ネジ
59…固定穴
65…熱発泡材
69…ベース部材
71…化粧部材
73…ネジ貫通穴
75…取付片
81…薄板耐火材
83…折曲延出部
85…被覆片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ合金製のレール部及び外枠からなり躯体に固定されるシャッター用ガイドレールと、
前記躯体から垂直に起立する前記外枠の支持壁と、
支持壁基部から前記躯体と平行に曲がって連続し前記外枠を前記躯体へ固定する複数の固定穴が穿設される鍔状固定縁部と、
前記鍔状固定縁部と前記躯体との間に挟み入れられる熱発泡材と、
を具備することを特徴とするシャッター用ガイドレールの防火構造。
【請求項2】
請求項1記載のシャッター用ガイドレールの防火構造であって、
前記熱発泡材が、前記鍔状固定縁部の長手方向に沿って延在するテープ状に形成されることを特徴とするシャッター用ガイドレールの防火構造。
【請求項3】
請求項1または2記載のシャッター用ガイドレールの防火構造であって、
ネジ貫通穴を有して前記鍔状固定縁部の表面を覆い固定ネジによって前記鍔状固定縁部と前記躯体に共締め固定されるスチール製のベース部材と、
前記ベース部材に設けられる取付片と、
前記取付片に係合して取り付けられ前記ベース部材及び前記鍔状固定縁部を覆う化粧部材と、
を具備することを特徴とするシャッター用ガイドレールの防火構造。
【請求項4】
請求項3記載のシャッター用ガイドレールの防火構造であって、
前記鍔状固定縁部と前記ベース部材との間に薄板耐火材が挟まれていることを特徴とするシャッター用ガイドレールの防火構造。
【請求項5】
請求項4記載のシャッター用ガイドレールの防火構造であって、
前記薄板耐火材には、前記支持壁と平行に曲がって該支持壁を覆う折曲延出部が設けられていることを特徴とするシャッター用ガイドレールの防火構造。
【請求項6】
請求項5記載のシャッター用ガイドレールの防火構造であって、
前記化粧部材には、前記折曲延出部を覆う被覆片部が設けられていることを特徴とするシャッター用ガイドレールの防火構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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