説明

シャッター装置集合体

【課題】本発明の目的は、小型で、複数の振動子の共振周波数の調整をほぼ等しい条件にて行うことができるシャッター装置集合体を提供する。
【解決手段】シャッター装置集合体10は、複数のシャッター装置1を有している。各シャッター装置1は、x軸方向に往復移動可能なシャッター部2と、シャッター部2をx軸方向へ移動させる駆動部3と、駆動部3とシャッター部2とをy軸方向にずれた状態にて連結し、駆動部3の駆動力をシャッター部2に伝達する連結部4とを有している。各シャッター装置1が有するシャッター部2は、y軸方向に並設されるとともに、同一のxy平面上に位置していること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置集合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、振動子の共振周波数を調整(変更)する方法として、振動子の質量を変化(増加または減少)させる方法が知られている。このような方法は、例えば、振動子と、イオンビームを振動子に照射することにより振動子の一部を除去して振動子の質量を減少させるイオンガンと、振動子とイオンガンとの間に設けられたシャッターとを有する装置を用いて行われる(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の装置では、複数のシャッター板が重ねられた状態にて鉄芯に軸支されており、各シャッター板は、鉄芯を中心として回動可動となっている。また、各シャッター板は、対応するソレノイドの駆動により回動するように構成されている。特許文献1に記載の装置では、このようなシャッター板の回動を利用して、シャッターを開状態または閉状態とすることができる。
【0004】
このような装置では、イオンガンからイオンビームが発射されている状態にて、シャッターを開状態とする。これにより、イオンビームがシャッターを通過して振動子に照射され、振動子の一部が除去されることにより、振動子の共振周波数が変化(減少)する。そして、振動子の周波数が所定の周波数となった時点でシャッターを閉状態とすることにより、振動子へのイオンビームの照射を阻止する。このような方法により、振動子の共振周波数を調整する。
【0005】
しかしながら、特許文献1のシャッターでは、各シャッター板を駆動する複数のソレノイドが高さ方向に高く重ねられているため、シャッターの大型化を招いてしまう。シャッターの大型化を招くと、その分、チャンバー等を大きくしなければならず、振動子の周波数調整の効率が低下する。また、シャッターと振動子との離間距離が大きくなり、その分、イオンビームの回り込み等が発生しやすくなり、振動子の共振周波数の調整の精度が悪化する。
【0006】
また、複数のシャッター板が高さ方向に配列されているため、シャッター板と当該シャッター板に対応する振動子との離間距離が複数のシャッター間で異なってしまう。シャッター板と振動子の離間距離が異なっていると、振動子9へのイオンビームの照射状態が異なるため、特許文献1のシャッターでは、複数の振動子の共振周波数の調整を同条件にて行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−118156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、小型で、複数の振動子の共振周波数の調整をほぼ等しい条件にて行うことができるシャッター装置集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明のシャッター装置集合体は、開状態と閉状態とを切り替えることのできるシャッター装置を複数備えるシャッター装置集合体であって、
互いに直交する2軸を第1軸および第2軸とし、前記第1軸と平行な方向を第1軸方向とし、前記第2軸と平行な方向を第2軸方向としたとき、
前記シャッター装置は、それぞれ、
シャッター部と、
前記シャッター部を前記第1軸方向に移動するための駆動部と、
前記駆動部の駆動力を前記シャッター部に伝達するために、前記駆動部と前記シャッター部を連結している連結部とを有し、
前記複数のシャッター部は前記第2軸方向に並設されるとともに、前記第1軸および前記第2軸を含む同一平面上に位置し、
前記複数の駆動部が第2軸方向に対して傾斜して配列していることを特徴とする。
これにより、複数のシャッター部の配置と、複数の駆動部の配置とを独立して設定することができる。言い換えれば、複数のシャッター部の配置を設定する際に、複数の駆動部の配置を考慮する必要がない。したがって、シャッター部の小型化を図りつつ、複数のシャッター部を第2軸方向により狭いピッチで並設することができ、シャッター装置集合体の小型化を図ることができる。また、シャッター部と当該シャッター部に対応する振動子との離間距離を複数のシャッター装置間でほぼ等しくすることができ、複数の振動子の共振周波数の調整をほぼ同条件で行うことができる。
【0010】
[適用例2]
本発明のシャッター装置集合体では、前記連結部は、それぞれ、前記第1軸方向に延在して前記シャッター部と連結する第1連結部と、前記第1連結部と前記駆動部とを連結し、前記第2軸方向の成分を有する方向に延在する第2連結部とを有していることが好ましい。
これにより、連結部の構成が簡単となる。
【0011】
[適用例3]
本発明のシャッター装置集合体では、前記第1連結部および前記第2連結部の一方が他方に対して搖動可能となっていることが好ましい。
駆動部とシャッター部とが第2軸方向にずれているため、駆動部からの力の一部は、円運動としてシャッター部に伝達される。そのため、第1連結部と第2連結部とある程度のぐらつきを持って連結することにより、当該ぐらつきによって前記円運動を吸収することができ、第2連結部から第1連結部へ円運動が伝達されるのを防止または抑制することができる。その結果、第1連結部へは、第1軸方向の直線運動のみが伝達され、シャッター部をより円滑に第1軸方向へ移動させることができる。
【0012】
[適用例4]
本発明のシャッター装置集合体では、前記第2連結部は、前記第1軸および前記第2軸を含む平面視にて、前記第1軸および前記第2軸に対して傾斜した方向に延在する部分を有していることが好ましい。
これにより、第2連結部から第1連結部へ円運動が伝達されるのを防止または抑制することができる。その結果、第1連結部へは、第1軸方向の直線運動のみが伝達され、シャッター部をより円滑に第1軸方向へ移動させることができる。
【0013】
[適用例5]
本発明のシャッター装置集合体では、前記複数の連結部は、配列に従って前記第1連結部の長さが長くなるに連れて、前記第2連結部の長さが短くなるように構成されていることが好ましい。
これにより、複数のシャッター装置間での、連結部の全長のずれを少なくすることができる。そのため、複数のシャッター装置間で、例えば、連結部の重量のずれを少なくすることができ、複数のシャッター装置の動作性(シャッター部の移動速度等)を互いにほぼ等しくすることができる。
【0014】
[適用例6]
本発明のシャッター装置集合体では、前記複数の駆動部を前記第1軸および前記第2軸の両軸に直交する方向に複数段に分けて配置することが好ましい。
これにより、シャッター装置集合体の平面的な広がりを抑えることができ、より一層の小型化を図ることができる。
【0015】
[適用例7]
本発明のシャッター装置集合体では、前記シャッター部の移動を規制する規制手段を有していることが好ましい。
これにより、シャッター部の移動を規制することができ、シャッター部を毎回同様の移動距離で移動させることができる。これにより、振動子の共振周波数の調整を毎回同様に行うことができるため、高精度な周波数調整が可能となる。
【0016】
[適用例8]
本発明のシャッター装置集合体では、前記駆動部は、自己保持型かつ直動型のソレノイドアクチュエーターであって、前記第1軸方向に往復移動可能なシャフトを有し、前記シャフトと前記連結部とが連結していることが好ましい。
これにより、シャッター部の移動速度を高めることができる。また、作動時のみの通電であるため、省電力駆動を実現することができ、さらには、駆動部の発熱を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるシャッター装置集合体を適用した周波数調整装置の概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるシャッター装置集合体の平面図(上面図)である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるシャッター装置集合体の平面図(上面図)である。
【図4】図2に示すシャッター装置集合体の断面図である。
【図5】図2に示すシャッター装置集合体の作動を説明するための図(側面図)である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るシャッター装置集合体の各シャッター装置が有する連結部の斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係るシャッター装置集合体が有するシャッター装置の上面図である。
【図8】図2に示すシャッター装置集合体を複数配置した構成を示す上面図である。
【図9】図2に示すシャッター装置集合体を複数配置した構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のシャッター装置集合体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかるシャッター装置集合体を適用した周波数調整装置の概略図、図2および図3は、本発明の第1実施形態にかかるシャッター装置集合体の平面図(上面図)、図4は、図2に示すシャッター装置集合体の断面図、図5は、図2に示すシャッター装置集合体の作動を説明するための図(側面図)である。
【0019】
なお、図1は、周波数調整装置の概略を説明するための図であるため、図1に示すシャッター装置集合体10が有するシャッター装置1の数は、図2以降に示すシャッター装置集合体が有するシャッター装置1の数と異なっている。また、図1に示すように、互いに直交する3軸をx軸(第1軸)、y軸(第2軸)およびz軸(第3軸)とし、x軸と平行な方向を「x軸方向」と言い、y軸と平行な方向を「y軸方向」と言い、z軸と平行な方向を「z軸方向」と言う。また、以下では、説明の都合上、図1〜図5中の上側を「上」、下側を「下」と言い、図5中の右側を「右」、左側を「左」として説明する。
【0020】
以下では、本発明のシャッター装置集合体を、振動子9の共振周波数を調整するための周波数調整装置100に適用した場合について説明する。ただし、本発明のシャッター装置集合体の用途は、これに限定されない。
1.周波数調整装置100
図1に示す周波数調整装置100は、内部を所望の環境とすることのできるチャンバー110と、複数のシャッター装置1が並設してなるシャッター装置集合体10と、イオンガン120と、遮蔽板130とを有している。なお、シャッター装置1の枚数は、特に限定されず、例えば、10〜50程度とすることができる。
【0021】
イオンガン120は、例えば、Ar、Ne等の不活性ガスに電界を作用させて加速させることにより、イオンビームを発射するものであり、振動子9の質量を変化させる質量変化手段を構成するものである。このようなイオンガン120は、チャンバー110内にてシャッター装置集合体10よりも下側に位置しており、上方(z軸の+側)へ向けてイオンビームIBを照射する。
【0022】
また、遮蔽板130は、チャンバー110内にてシャッター装置集合体10よりも上側(z軸の+側)に位置しており、隣り合うシャッター装置1の間(隙間)から上方へ漏れるイオンビームIBを遮断する。すなわち、隣り合うシャッター装置1の間(隙間)から上方へ漏れるイオンビームIBが振動子9に照射されるのを防止する。
複数のシャッター装置1は、それぞれ、独立して駆動が制御されており、イオンビームIBの通過を許容する開状態と、イオンビームIBを遮断する閉状態とを切り替えることができる。
【0023】
このような周波数調整装置100では、1つのシャッター装置1の上方(z軸の+側)に1つの振動子9を配置し、すなわち、1つのシャッター装置1と1つの振動子9とが対になるように複数の振動子9を配置する。そして、イオンガン120からイオンビームIBを発射するとともに、シャッター装置1を開状態とすることにより、振動子9にイオンビームIBを照射し、振動子9の一部(例えば、電極の一部)を除去する。
【0024】
これにより、振動子9の質量を減らし、その共振周波数を調整する。そして、イオンビームIBの照射により、振動子9の共振周波数が所定値となったら、速やかにシャッター装置1を閉じ、それ以上イオンビームIBが振動子9に照射されるのを阻止する。周波数調整装置100によれば、このようにして振動子9の共振周波数を調整することができる。なお、周波数調整装置100を用いた振動子9の周波数調整方法については、後に、詳しく説明する。
【0025】
次に、シャッター装置集合体10について詳しく説明する。
図2に示すように、シャッター装置集合体10は、複数(本実施形態では8つ)のシャッター装置1と、これら複数のシャッター装置1を支持する支持部8とを有している。また、複数のシャッター装置1は、それぞれ、x軸方向に往復移動(摺動)可能なシャッター部2と、シャッター部2をx軸方向へ往復移動させる駆動部3と、シャッター部2と駆動部3とを連結し、駆動部3からの駆動力をシャッター部2に伝達する連結部4と、シャッター部2の移動を規制する規制手段6とを有している。
【0026】
支持部8は、第1ベース板81と、第2ベース板82とを有している。第1、第2ベース板81、82は、それぞれ、z軸方向を厚さ方向とし、xy平面に広がりを有する板状をなしている。また、第2ベース板82は、第1ベース板81よりも小さく、かつ、第1ベース板81の上方に重なって設けられている。第2ベース82は、複数の支柱83を介して第1ベース板81に固定されている。
【0027】
このような支持部8(第1、第2ベース板81、82)の構成材料としては、特に限定されず、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、アルミニウム、マグネシウム等の各種金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金または金属間化合物、さらには、これらの金属の酸化物、窒化物、炭化物等が挙げられる。
次いで、シャッター装置1の構成について説明するが、複数のシャッター装置1の構成は、互いに同様であるため、以下では、1つのシャッター装置1について代表して説明し、他のシャッター装置については、その説明省略する。
【0028】
[シャッター部]
シャッター部2は、z軸方向を厚さとする板状をなし、x軸方向に延在している。シャッター部2の幅(y軸方向の長さ)としては、特に限定されず、振動子9の大きさ等によって異なるが、例えば、1mm以上、2mm以下程度であるのが好ましい。このような幅とすることにより、シャッター部2を十分に小さくすることができる。
【0029】
このようなシャッター部2は、例えば、耐スパッタ性に優れる炭素、チタン等を構成材料として構成されている。これにより、イオンビームIBによるシャッター部2の損傷を効果的に抑制することができる。また、このような材料で構成することにより、シャッター部2の軽量化を図ることができ、シャッター部2の反応性や移動速度を向上させることができる。
【0030】
なお、シャッター部2は、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、アルミニウム、マグネシウム等の各種金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金または金属間化合物、さらには、これらの金属の酸化物、窒化物、炭化物等で構成された本体の表面に、耐スパッタ性に優れるDLC(ダイアモンドライクカーボン)膜を形成した構成とすることもできる。
【0031】
[駆動部]
駆動部3は、シャッター部2をx軸方向に摺動(往復移動)させるための駆動源である。このような駆動部3としては、シャッター部2をx軸方向に摺動させることができれば特に限定されない。
本実施形態では、駆動部3として、直動型のソレノイドアクチュエーターを用いており、本体31と、本体31に対してx軸方向に往復移動することのできるシャフト32とを有している。このようなリニア型ソレノイドアクチュエーターを用いることにより、駆動部3の小型化を図ることができるとともに、駆動部3からの駆動力を効率的にシャッター部2に伝達することができる。
【0032】
駆動部3を構成するソレノイドアクチュエーターとしては、さらには、自己保持型のソレノイドアクチュエーターであるのが好ましい。自己保持型ソレノイドアクチュエーターとは、例えば、ソレノイドアクチュエーターに永久磁石を内蔵させたものであり、無通電状態でも永久磁石の磁力による吸着保持力(無励磁吸着力)が得られ、長時間の連続保持が可能となる。また、永久磁石の吸着力を利用するため、吸着方向へのシャフト32の移動速度を高めることができる。また、作動時のみの通電であるため、省電力駆動を実現することができ、さらには、コイルの発熱が抑えられる。
【0033】
このような自己保持型ソレノイドアクチュエーターでは、内蔵の永久磁石の磁気力に励磁コイルによる電磁力が加算されるように通電し、吸引力を増加させ可動鉄芯を吸引する。一方、無励時保持(吸着状態)の可動鉄芯を復帰(開放)させるには、永久磁石の磁力を打ち消すように、吸引動作と逆極性の電流をコイルに加えて吸着保持力を小さくし、スプリング等の戻し力によって可動鉄芯を引き離す。このような可動鉄心の移動を利用してシャフト32をx軸方向に移動させる。
【0034】
後述するように、駆動部3のシャフト32は、連結部4を介してシャッター部2と連結している。そのため、駆動部3のシャフト32を本体31から突出させるように図2中右側へ(x軸の+側)移動させると、それに連動してシャッター部2が図2中右側に移動し、当該移動によって、シャッター装置1が開状態から閉状態となる。これと反対に、駆動部3のシャフト32を本体31内へ退避させるように図2中左側(x軸の−側)へ移動させると、それに連動してシャッター部2が図2中左側に移動し、当該移動によって、シャッター装置1が閉状態から開状態となる。
【0035】
駆動部3では、シャフト32の図2中右側への移動を、前記可動鉄心を永久磁石に吸引する動作によって行うのが好ましい。前述したように、このような可動鉄心の移動は、永久磁石の吸着力を利用するができ、その移動速度を反対側への移動よりも高くすることができる。そのため、より短い時間で、シャッター装置1を開状態から閉状態とすることができ、振動子9が所定の共振周波数となった際にイオンビームIBをより素早く遮断することができる。すなわち、シャッター装置1を閉状態とする命令を出した時刻と、シャッター装置1が実際に閉状態となった時刻との時間差をより短くすることができるため、振動子9の周波数をより精度よく所定値に合わせ込むことができる。
このような駆動部3は、支持部8が有する第1、第2ベース板81、82のいずれか一方に支持されている。
【0036】
[連結部]
連結部4は、駆動部3のシャフト32とシャッター部2とを連結し、駆動部3からの駆動力、すなわちシャフト32のx軸方向への変位をシャッター部2に伝達する機能を有する。
図2に示すように、このような連結部4は、第1連結部41と第2連結部42とにより構成されている。
【0037】
第1連結部41は、x軸方向に延在し、その先端部にてシャッター部2を支持している。具体的には、図4に示すように、第1連結部41の先端部には、x軸方向に離間するとともに、上側に突出する一対の突起411、412が形成されている。一方、シャッター部2には、一対の突起411、412に係合する一対の貫通孔21、22が形成されており、この貫通孔21、22内に突起411、412を挿入することにより、シャッター部2が第1連結部41に支持されている。ここで、シャッター部2は、第1連結部41に対して着脱自在に支持されているのが好ましい。これにより、消耗品であるシャッター部2の交換を簡単に行うことができる。
【0038】
第2連結部42は、y軸方向に延在しており、第1連結部41の基端部とシャフト32とを連結している。
このような形状の連結部4によれば、簡単な構成で、駆動部3のシャフト32と、シャッター部2とをy軸方向にずらすことができる。より具体的には、図2に示すように、シャフトの駆動軸(中心軸)x1と、シャッター部2の駆動軸(中心軸)x2とをy軸方向にずらすことができる。そのため、駆動部3の大きさに関わらず、複数のシャッター装置1のシャッター部2をy軸方向に狭ピッチで並設することができる。なお、このような効果については、後に詳細に説明する。
【0039】
本実施形態の連結部4では、第1連結部41と第2連結部42とが一体的に形成されている。これにより、連結部4を簡単に形成することができる。このような連結部4は、例えば、板状の長尺部材を、その途中で折り曲げることにより簡単に形成することができる。
なお、図4に示すように、連結部4は、シャフト32とのz軸方向の位置合わせを行うために、必要に応じて、その途中にてz軸方向に延在する部分を有していてもよい。すなわち、z軸方向に段差を有するような形状であってもよい。
【0040】
このような連結部4の構成材料としては、特に限定されず、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、アルミニウム、マグネシウム等の各種金属を用いることができる。これらの中でも、アルミニウムのような軽量で加工性の良い材料を用いるのが好ましい。
以上のような連結部4は、第1ベース板81に支持されている。第1ベース板81には、x軸方向に離間し、上面から突出する突出部811、812が設けられており、この突出部811、812の頂面に連結部4の下面が接触している。このような構成とすることにより、連結部4と第1ベース板81との接触面積を小さくすることができ、その分、連結部4と第1ベース板81との間の摩擦抵抗が低減される。そのため、連結部4の摺動性が向上し、シャッター装置1をより円滑に作動させることができる。
また、シャッター部2のx軸方向の往復移動を円滑に行うために、第1ベース板81には、連結部4を挟んで両側に位置するガイド部84、85が設けられている。これにより、連結部4のy軸方向の変位が抑制され、シャッター部2をx軸方向に円滑に摺動させることができる。
【0041】
[規制手段]
規制手段6は、シャッター部2の移動を規制する機能を有する。図2に示すように、このような規制手段6は、ストッパー61を有している。第2連結部42がストッパー61に接触し、シャフト32のそれ以上の突出、すなわち、シャッター部2のそれ以上の先端側への移動が規制される。これにより、シャッター部2の移動を規制することができ、シャッター部2を毎回同様の移動距離で移動させることができる。これにより、振動子9の共振周波数の調整を毎回同様に行うことができるため、高精度な周波数調整が可能となる。
【0042】
仮に、シャッター部2の移動距離が変化すると、シャッター装置1を開状態から閉状態となるまでの時間、より具体的には、シャッター装置1を閉状態とするための命令(信号)を出した時刻から、実際にシャッター装置1が完全に閉状態となるまでの時間が変化する。このようにシャッター装置1を閉じる時間が変化すると、それに伴って、振動子9へのイオンビームIBの照射時間が変化し、振動子9の質量が必要以上に減少したり、目的値まで減少していなかったりし、振動子9の共振周波数が所定の周波数からずれてしまう。すなわち、シャッター部2の移動距離が変化してしまうと、振動子9の共振周波数を高精度に調整することができなくなるおそれがある。
【0043】
シャッター部2の移動距離(変位長さ)としては、特に限定されないが、例えば、1〜5mm程度であるのが好ましい。これにより、イオンビームIBの通過の許容と遮断とを選択するのに十分な移動距離とすることができるとともに、シャッター部2の移動距離を抑えることができる。そのため、より素早く短時間で、シャッター装置1を開状態から閉状態または閉状態から開状態とすることができる。
【0044】
なお、前述したように本実施形態の規制手段6は、シャッター部2の先端側への移動を規制するストッパー61のみを有しているが、さらに、シャッター部2の基端側への移動を規制するストッパーを有していてもよい。これにより、シャッター部2の両方向の移動を確実に規制することができ、シャッター部2の移動をより効果的に規制することができる。
【0045】
以上、シャッター装置1の構成について詳細に説明した。このような構成のシャッター装置1は、第2連結部42がストッパー61に当接した状態、すなわち、図5(a)に示す状態がイオンビームIBの振動子9への照射を遮断する閉状態である。この閉状態から、駆動部3を駆動してシャッター部2を基端側へ移動させると、図5(b)に示すように、シャッター部2がイオンビームIBの振動子9への照射を許容する開状態となる。反対に、開状態から、駆動部3を駆動してシャッター部2を先端側へ移動させると、シャフト32の先端がストッパー61に接触し、シャッター部2のそれ以上の移動が規制される。これにより、図5(a)に示すように、前述した閉状態となる。
【0046】
次いで、複数のシャッター装置1の配置について説明するが、まず、複数のシャッター部2の配置について説明する。
図2に示すように、複数のシャッター部2は、y軸方向に沿って並設されている。なお、隣り合う一対のシャッター部2の離間距離としては、特に限定されないが、0.1mm以上、0.5mm以下程度であるのが好ましい。これにより、複数のシャッター部2を十分に狭いピッチで配列することができるため、シャッター装置集合体10の小型化を図ることができる。また、定められた領域内により多くのシャッター部2を配置することができるため、同時に共振周波数を調整することのできる振動子9の数を多くすることができ、振動子9の共振周波数調整を効率的に行うことができる。
【0047】
また、複数のシャッター部2は、xy平面(x軸とy軸とで形成される面)と平行な同一平面上に位置している。これにより、シャッター部2とそれに対応する振動子9との離間距離を、複数のシャッター部2間で互いに等しくすることができる。そのため、各振動子9にイオンビームIBを等しい条件で照射することができ、振動子9の共振周波数調整を効率的に行うことができる。
【0048】
仮に、シャッター部2と振動子9との離間距離が複数のシャッター部2間で異なっている場合、すなわち、あるシャッター装置1ではシャッター部2と振動子9との離間距離が短く、他のシャッター装置1ではシャッター部2と振動子9との離間距離が長い場合、次のような問題が生じる。
離間距離が長い方のシャッター装置1では、離間距離が短い方のシャッター装置1よりも、開状態のシャッター装置1を通過したイオンビームIBの回り込みが大きくなる。イオンビームIBの回り込みが大きくなるに連れて、イオンビームIBが振動子9の所定位置に効率的に照射されず振動子9の単位時間当たりの質量減少量が減少したり、振動子9の側面や裏面等の除去を望んでいない部分が除去されたりし、振動子9の共振周波数調整の精度が悪化する。
そのため、複数のシャッター装置1間で振動子9との離間距離が異なっていると、複数の振動子9間で質量が減少する速度や、除去される領域が異なり、複数の振動子9を等しい条件で処理することができない。これにより、振動子9の共振周波数調整の精度が低下したり、共振周波数調整が煩雑化したりする。
【0049】
次いで、複数の駆動部3の配置について説明する。
第1のベース板81には、図2、図3中の下側から奇数番目に当たる複数のシャッター部2(2’)と連結する駆動部3(3’)が、シャッター部2’の並び順と同順で配置されている。一方、第2のベース板82には、図2、図3中の下側から偶数番目に当たる複数のシャッター部2(2”)と連結する駆動部3(3”)が、シャッター部2”の並び順と同順で配置されている。
【0050】
第1のベース板81に配置されている複数の駆動部3’について説明すると、各駆動部3’の幅(y軸方向の長さ)は、シャッター部2’の幅よりも広い。また、隣り合う一対の駆動部3’の離間距離は、隣り合う一対のシャッター部2’の離間距離よりも広い。そのため、複数の駆動部3’は、複数のシャッター部2’よりもy軸方向に広い領域に広がって配置されている。
【0051】
また、駆動部3’のシャフト32の移動軸x1と当該駆動部3’に対応するシャッター部2’の移動軸x2のy軸方向の離間距離は、図3中下側(y軸の+側)のシャッター装置1’から上側(y軸の−側)のシャッター装置1’に向けて漸増している。そのため、これらを連結する連結部4’の第2連結部42’の長さも、図3中下側のシャッター装置1’から上側のシャッター装置1’に向けて漸増している。
【0052】
また、複数の駆動部3’は、x軸およびy軸に対して傾いた方向に沿って配列されており、駆動部3’と当該駆動部3’に対応するシャッター部2’とのx軸方向の離間距離は、図3中下側のシャッター装置1’から上側のシャッター装置1’に向けて漸減している。そのため、これらを連結する連結部4’の第1連結部41’の長さも、図3中下側のシャッター装置1’から上側のシャッター装置1’に向けて漸減している。
【0053】
このように、複数の連結部4’を、第2連結部42の長さが長くなるに連れて、第1連結部41の長さが短くなるように構成することにより、複数のシャッター装置1’間での、連結部4’の全長(第1連結部41の長さと第2連結部42の長さの和)のずれを少なくすることができる。そのため、複数のシャッター装置1’間で、例えば、連結部4’の重量のずれを少なくすることができ、複数のシャッター装置1’の動作性(シャッター部2’の移動速度等)を互いにほぼ等しくすることができる。なお、複数の連結部4’の全長は、互いに等しいのが好ましい。
【0054】
これと同様に、第2のベース板82に配置されている複数の駆動部3”について説明すると、各駆動部3”の幅(y軸方向の長さ)は、シャッター部2”の幅よりも広く、隣り合う一対の駆動部3”の離間距離は、隣り合う一対のシャッター部2”の離間距離よりも広い。そのため、複数の駆動部3”は、複数のシャッター部2”よりもy軸方向に広い領域に広がって配置されている。
【0055】
また、駆動部3”のシャフト32の移動軸x1と当該駆動部3”に対応するシャッター部2”の移動軸x2のy軸方向の離間距離は、図2中下側(y軸の+側)のシャッター装置1”から上側(y軸の−側)のシャッター装置1”に向けて漸増している。そのため、これらを連結する連結部4”の第2連結部42”の長さも、図2中下側のシャッター装置1”から上側のシャッター装置1”に向けて漸増している。
【0056】
また、複数の駆動部3”は、x軸およびy軸に対して傾いた方向に沿って配列されており、駆動部3”と当該駆動部3”に対応するシャッター部2”とのx軸方向の離間距離は、図2中下側のシャッター装置1”から上側のシャッター装置1”に向けて漸減している。そのため、これらを連結する連結部4”の第1連結部41”の長さも、図2中下側のシャッター装置1”から上側のシャッター装置1”に向けて漸減している。
【0057】
このように、複数の連結部4”を、第2連結部42の長さが長くなるに連れて、第1連結部41の長さが短くなるように構成することにより、複数のシャッター装置1”間での、連結部4”の全長(第1連結部41の長さと第2連結部42の長さの和)のずれを少なくすることができる。そのため、複数のシャッター装置1”間で、例えば、連結部4”の重量のずれを少なくすることができ、複数のシャッター装置1”の動作性(シャッター部2”の移動速度等)を互いにほぼ等しくすることができる。なお、複数の連結部4”の全長は、互いに等しいのが好ましく、また、連結部4’の全長とも等しいのが好ましい。
以上、複数のシャッター装置1の配置について説明した。
【0058】
前述したように、各シャッター装置1は、駆動部3の移動軸x1とシャッター部2の移動軸x2とがy軸方向にずれている。移動軸x1、x2のy軸方向へのずれ量(離間距離)は、第2連結部42の長さを調節することにより、各シャッター装置1で独立して設定することができる。このような構成によれば、複数のシャッター部2の配置と、複数の駆動部3の配置とを独立して設定することができる。言い換えれば、複数のシャッター部2の配置を設定する際に、複数の駆動部3の配置を考慮する必要がない。
【0059】
したがって、シャッター部2の小型化を図りつつ、複数のシャッター部2をy軸方向により狭いピッチで並設(配列)することができる。これにより、シャッター装置集合体10の小型化を図ることができる。また、定められた領域内により多くのシャッター部2を配置することができる。
また、本実施形態では、複数の駆動部3が、z軸方向に複数段(2段)に分かれて支持部8に支持されているため、シャッター装置集合体10のxy平面の広がりを抑えることができ、より一層の小型化を図ることができる。なお、複数の駆動部3は、3段以上に分かれて支持部8に支持されていてもよいし、1段にすべてが支持されていてもよい。何段に分けて支持するかは、チャンバー110の形状や、駆動部3の数、大きさ等によって適宜設定することができる。
【0060】
2.周波数調整方法
次に、周波数調整装置100を用いた振動子9の周波数調整方法について説明する。
周波数調整装置100による振動子9の周波数調整は、1つのシャッター装置1の直上に1つの振動子9が位置するように、複数の振動子9をチャンバー110内に配置し、チャンバー110内を減圧状態(好ましくは、真空状態)とした状態にて行われる。また、振動子9の共振周波数を断続的に検知しながら行われ、この検知結果は、リアルタイムに図示しない制御手段に送られる。
【0061】
なお、複数の振動子9は、それぞれ、板状またはシート状のキャリアに支持されている。そして、この状態にて、以下のようにして、振動子9の周波数を調整する。各振動子9の周波数調整の方法は、互いに同様であるため、以下では、1つの振動子9の周波数を調整する方法について説明し、他の振動子9の周波数を調整する方法については、その説明を省略する。
【0062】
まず、シャッター装置1を閉状態とする。次に、イオンガン120をONとし、イオンビームIBを上方に向けて発射する。そして、イオンビームIBが安定するまで、シャッター装置1を閉状態としたまま放置する。次に、シャッター装置1を開状態とする。シャッター装置1を開状態とすると、イオンビームIBが振動子9に照射され、振動子9の一部、より具体的には電極の一部が除去され、これに伴う振動子9の質量の減少によって、振動子9の共振周波数が徐々に上昇する。次に、振動子9の共振周波数が所定の周波数となったときに、シャッター装置1を閉状態とする。以上の工程により、振動子9の共振周波数の調整が終了する。
【0063】
<第2実施形態>
次に、本発明のシャッター装置集合体の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るシャッター装置集合体の各シャッター装置が有する連結部の斜視図である。
以下、第2実施形態のシャッター装置集合体について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0064】
本発明の第2実施形態にかかるシャッター装置集合体は、各シャッター装置が有する連結部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。なお、シャッター装置集合体が有する複数のシャッター装置は、互いに構成が同様であるため、以下では、1つのシャッター装置について代表して説明し、他のシャッター装置については、その説明を省略する。
【0065】
図6(a)、(b)に示すように、各シャッター装置1の連結部4Aは、第1連結部41Aと、第1連結部41の基端部に連結する第2連結部42Aとを有している。これら第1連結部41A、第2連結部42Aは、別体として形成されている。
具体的には、第1の連結部41Aの基端部には、上面に開放する凹部411Aが形成されており、第2の連結部42Aの先端部には、下面に開放する凹部421Aが形成されている。そして、これら凹部411A、421が互いに係合することにより、第1連結部41Aと第2連結部42Aとが連結している。
【0066】
凹部411A、421の係合は、比較的緩やかな係合であり、第1連結部41Aと第2連結部42Aは、ある程度のぐらつきを持って連結している。これにより、第1連結部41Aおよび第2連結部42Aの一方の姿勢を他方に対して変化させること、特に図6(b)の矢印で示すように、第2連結部42Aを第1連結部41Aに対して、z軸まわりに搖動させることができる。
【0067】
ここで、前述したように、駆動部3のシャフト32(移動軸x1)と、シャッター部2(移動軸x2)とがy軸方向にずれているため、駆動部3のシャフト32のx軸方向の直線運動の一部は、z軸周りの円運動としてシャッター部2(第1連結部41A)に伝達される。そのため、本実施形態のように、第1連結部41Aと第2連結部42Aとある程度のぐらつきを持って連結することにより、当該ぐらつきによって前記円運動を吸収することができ、第2連結部42Aから第1連結部へ前記円運動が伝達されるのを防止または抑制することができる。その結果、第1連結部41Aへは、x軸方向の直線運動のみが伝達され、シャッター部2をより円滑にx軸方向へ移動させることができる。
【0068】
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、第1連結部41Aと第2連結部42Aの連結方法は、上記のような効果を発揮することができれば、特に限定されない。例えば、第1の連結部41Aの基端部にy軸方向に貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔に第2連結部42Aの先端部を挿入することにより、第1連結部41Aと第2連結部42Aとを連結してもよい。
【0069】
<第3実施形態>
次に、本発明のシャッター装置集合体の第3実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3実施形態に係るシャッター装置集合体が有するシャッター装置の上面図である。なお、図7では、説明の便宜上、1つのシャッター装置を図示しており、その他の構成については、図示を省略している。
【0070】
以下、第3実施形態のシャッター装置集合体について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第3実施形態にかかるシャッター装置集合体は、各シャッター装置が有する連結部の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。なお、シャッター装置集合体が有する複数のシャッター装置は、互いに構成が同様であるため、以下では、1つのシャッター装置について代表して説明し、他のシャッター装置については、その説明を省略する。
【0071】
図7に示すように、シャッター装置1Bの連結部4Bが有する第2連結部42Bは、y軸に対して傾斜した方向に延在する延在部423Bを有している。
ここで、前述したように、駆動部3のシャフト32(移動軸x1)と、シャッター部2(移動軸x2)とがy軸方向にずれているため、駆動部3のシャフト32のx軸方向の直線運動の一部は、z軸周りの円運動としてシャッター部2(第1連結部41B)に伝達される。
【0072】
そこで、第2連結部42Bが延在部423Bを有することにより、例えば、前述した第1実施形態のように、ほぼ全域がy軸方向に延在する第2連結部42と比較して、第1連結部42に円運動が伝達するのを効果的に抑制することができる。その結果、第1連結部41Bへは、x軸方向の直線運動のみが伝達され、シャッター部2をより円滑にx軸方向へ移動させることができる。
【0073】
なお、第2連結部42Bの延在部423Bのy軸に対する傾斜角θは、特に限定されないが、30〜60°程度であるのが好ましい。これにより、円運動の伝達を効果的に抑制することができる。さらに、連結部4Bのx軸方向の長さを抑えることができ、シャッター装置1の小型化を図ることができる。
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0074】
以上、本発明のシャッター装置集合体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、イオンビームによって振動子の質量を減少させることにより振動子の共振周波数を変更する方法について説明したが、これに限定されず、例えば蒸着によって金属粒子を振動子に付着させ、振動子の質量を増加させることにより、振動子の共振周波数を変更してもよい。
【0075】
また、前述した実施形態では、周波数調整装置には、1つのシャッター装置集合体が設けられているが、周波数調整装置に複数のシャッター装置集合体が設けられていてもよい。この場合、図8に示すように、y軸方向に並べて配置してもよいし、図9に示すように、x軸方向に対向して配置してもよい。これにより、より多くの振動子9の共振周波数の調整を同時に行うことができる。また、このような場合には、複数のシャッター装置集合体の第1ベース板や第2ベース板は、一体的に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1、1’、1”、1A、1B……シャッター装置 2、2’、2”……シャッター部 21、22…貫通孔 3、3’、3”……駆動部 31……本体 32……シャフト 4、4’、4”、4A、4B……連結部 41、41’、41”、41A、41B……第1連結部 411、412……突起 411A……凹部 42、42’、42”、42A、42B……第2連結部 421A……凹部 423B……延在部 6……規制手段 61……ストッパー 8……支持部 81……第1ベース板 811、812……突出部 82……第2ベース板 83……支柱 84、85……ガイド部 9…振動子 10……シャッター装置集合体 100……周波数調整装置 110……チャンバー 120……イオンガン 130……遮蔽板 x1……移動軸 x2……移動軸 IB……イオンビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開状態と閉状態とを切り替えることのできるシャッター装置を複数備えるシャッター装置集合体であって、
互いに直交する2軸を第1軸および第2軸とし、前記第1軸と平行な方向を第1軸方向とし、前記第2軸と平行な方向を第2軸方向としたとき、
前記シャッター装置は、それぞれ、
シャッター部と、
前記シャッター部を前記第1軸方向に移動するための駆動部と、
前記駆動部の駆動力を前記シャッター部に伝達するために、前記駆動部と前記シャッター部を連結している連結部とを有し、
前記複数のシャッター部は前記第2軸方向に並設されるとともに、前記第1軸および前記第2軸を含む同一平面上に位置し、
前記複数の駆動部が第2軸方向に対して傾斜して配列していることを特徴とするシャッター装置集合体。
【請求項2】
前記連結部は、それぞれ、前記第1軸方向に延在して前記シャッター部と連結する第1連結部と、前記第1連結部と前記駆動部とを連結し、前記第2軸方向の成分を有する方向に延在する第2連結部とを有している請求項1に記載のシャッター装置集合体。
【請求項3】
前記第1連結部および前記第2連結部の一方が他方に対して搖動可能となっている請求項2に記載のシャッター装置集合体。
【請求項4】
前記第2連結部は、前記第1軸および前記第2軸を含む平面視にて、前記第1軸および前記第2軸に対して傾斜した方向に延在する部分を有している請求項2または3に記載のシャッター装置集合体。
【請求項5】
前記複数の連結部は、配列に従って前記第1連結部の長さが長くなるに連れて、前記第2連結部の長さが短くなるように構成されている請求項2ないし4のいずれかに記載のシャッター装置集合体。
【請求項6】
前記複数の駆動部を前記第1軸および前記第2軸の両軸に直交する方向に複数段に分けて配置する請求項1ないし5のいずれかに記載のシャッター装置集合体。
【請求項7】
前記シャッター部の移動を規制する規制手段を有している請求項1ないし6のいずれかに記載のシャッター装置集合体。
【請求項8】
前記駆動部は、自己保持型かつ直動型のソレノイドアクチュエーターであって、前記第1軸方向に往復移動可能なシャフトを有し、前記シャフトと前記連結部とが連結している請求項1ないし7のいずれかに記載のシャッター装置集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−77785(P2013−77785A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218328(P2011−218328)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】