シャワーフック
【課題】シャワーヘッドを保持する角度を二通りに変えることができる新規なシャワーフックを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のシャワーフックは、ベースプレートと前記ベースプレートに回動可能に取り付けられたシャワーフック本体とを有するシャワーフックであって、前記シャワーフック本体は、背面部と、背面部から正面側に突き出るように形成された一対の把持部とを有し、前記背面部と一対の把持部とが、正面側と上下方向に開口を有するシャワーヘッド保持用の貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔は、ベースプレートの背面に対してヘの字状に屈曲するとともに、屈曲部から一方の開口に貫通する第1貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度αと、屈曲部から他方の開口に貫通する第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とする。
【解決手段】本発明のシャワーフックは、ベースプレートと前記ベースプレートに回動可能に取り付けられたシャワーフック本体とを有するシャワーフックであって、前記シャワーフック本体は、背面部と、背面部から正面側に突き出るように形成された一対の把持部とを有し、前記背面部と一対の把持部とが、正面側と上下方向に開口を有するシャワーヘッド保持用の貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔は、ベースプレートの背面に対してヘの字状に屈曲するとともに、屈曲部から一方の開口に貫通する第1貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度αと、屈曲部から他方の開口に貫通する第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーフックに関するものであり、より詳細には、シャワーヘッドの保持角度を二通りに変更できるシャワーフックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャワーフックとしては、シャワーヘッドの基端部を掛止する一対の把持部を有し、正面側にシャワーヘッドの基端部に接続するシャワーホースが挿通可能なように開口が設けられたシャワーフックがよく知られている。シャワーフックがシャワーヘッドを掛止する傾斜角度は、浴室の壁面に対して0度と15度の主に2種類である。一方、シャワーヘッド本体のシャワー噴出角度は、製造メーカーによって異なる。そのため、シャワーヘッドをシャワーフックに掛止した状態では、シャワーヘッドの製造メーカーによってシャワーの吐水角度が異なる。一定の吐水角度に慣れたシャワーの使用者が、異なる吐水角度のシャワーを使用すると、シャワーの使用感が良くないという印象を受けるという問題があった。このような問題に対して、例えば、特許文献1〜4は、シャワーヘッドを保持する角度を可変にするシャワーフックを提案している。
【0003】
特許文献1には、取付面に固定した支持台に球状部材を任意の方向に自在に回動するように装着すると共にこの球状部材を弾機の弾力にて適宜制動する制動片を圧着させ、該球状部材の外側にはシャワーヘッドを着脱自在に保持する保持部材を設けたことを特徴とするシャワーホルダが開示されている。
【0004】
特許文献2には、シャワーの掛け部を受容する複数の貫通孔を有し、いずれの貫通孔が該掛け部を受容するかに応じて該シャワーの吐水口のシャワー角度を変えるよう、該貫通孔は掛け具取り付け壁に対する傾斜角度が異なるシャワー用多段式掛け具が開示されている。
【0005】
特許文献3には、表面が半円弧状に前方に突出した略かまぼこ形に形成され、裏面に設けられた吸着手段により浴室内壁面の所望の位置に吸着固定されるベース部材と、該ベース部材の前面に取り付けられ、シャワーヘッドを掛脱可能に掛支保持するフック部材とからなり、フック部材が、ベース部材の表面の湾曲により、その取付位置によって壁面に対する取付角度が変わり、このことでシャワーヘッドの掛支角度が変えられるようになされたことを特徴とするシャワーフックが開示されている。
【0006】
特許文献4には、浴室またはシャワールーム内に取付けられた保持部材と、この保持部材に回動可能に保持されたシャワーヘッド掛止用フック部材と、前記保持部材に対し前記フック部材が回動可能な状態と回動不能な状態とに切替えるための切替機構とよりなることを特徴とするシャワーフックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭51−37791号公報
【特許文献2】特開平7−216948号公報
【特許文献3】特開2005−90099号公報
【特許文献4】特開2003−119855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シャワーヘッドを保持する角度を二通りに変えることができる新規なシャワーフックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決することのできた本発明のシャワーフックは、ベースプレートと前記ベースプレートに回動可能に取り付けられたシャワーフック本体とを有するシャワーフックであって、前記シャワーフック本体は、背面部と、背面部から正面側に突き出るように形成された一対の把持部とを有し、前記背面部と一対の把持部とが、正面側と上下方向に開口を有するシャワーヘッド保持用の貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔は、ベースプレートの背面に対してヘの字状に屈曲するとともに、屈曲部から一方の開口に貫通する第1貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度αと、屈曲部から他方の開口に貫通する第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とする。本発明のシャワーフックは、シャワーフック本体が、ベースプレートの背面に対して垂直な軸周りに回動することにより、傾斜角度αを有する第1貫通孔と傾斜角度βを有する第2貫通孔のいずれか一方を選択して、シャワーヘッドを掛止することができる。その結果、シャワーヘッドを保持する角度を二通りに変えることができる。
【0010】
前記傾斜角度αと傾斜角度βの差の絶対値(|α−β|)は、5度〜35度であることが好ましい。前記傾斜角度αとしては、例えば、−5度〜10度が好ましく、前記傾斜角度βとしては、例えば、5度〜30度が好ましい。本発明のシャワーフックは、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを所定の位置で位置決めする位置決め機構を備えることが好ましく、第1貫通孔と前記第2貫通孔とを180度の間隔で位置決めする位置決め機構を備えることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシャワーフックによれば、シャワーヘッドを保持する角度を二通りに変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好ましい実施形態であるシャワーフックの分解斜視図。
【図2】図1のシャワーフックを正面側から見た斜視図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】本発明の別の好ましい実施形態であるシャワーフックの分解斜視図。
【図5】図4のシャワーフックを正面側から見た斜視図。
【図6】図5のA−A断面図。
【図7】シャワーフック本体とベースプレートの取付態様を説明する説明図。
【図8】板ばねを用いた位置決め機構を説明する説明図。
【図9】本発明の別の好ましい実施形態であるシャワーフックの分解斜視図。
【図10】図9のシャワーフックを正面側から見た斜視図。
【図11】図9のA−A断面図。
【図12】シャワーフック本体とベースプレートの取付態様を説明する説明図。
【図13】図11のB−B断面図。
【図14】本発明の別の好ましい実施形態であるシャワーフックの分解斜視図。
【図15】ニップルと止め輪の説明図。
【図16】図14のシャワーフックを正面側から見た斜視図。
【図17】シャワーフック本体とベースプレートの取付態様を説明する説明図。
【図18】図16のA−A断面図。
【図19】シャワーフック本体の回動機構を説明する説明図。
【図20】シャワーヘッドの回転状態を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のシャワーフックは、ベースプレートと前記ベースプレートに回動可能に取り付けられたシャワーフック本体とを有するシャワーフックであって、前記シャワーフック本体は、背面部と、背面部から正面側に突き出るように形成された一対の把持部とを有し、前記背面部と一対の把持部とが、正面側と上下方向に開口を有するシャワーヘッド保持用の貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔は、ベースプレートの背面に対してヘの字状に屈曲するとともに、屈曲部から一方の開口に貫通する第1貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度αと、屈曲部から他方の開口に貫通する第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とする。
【0014】
以下、本発明のシャワーフックについて、図面を参照しながら説明するが、本発明のシャワーフックは、図面に示された態様に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明のシャワーフックの要部を説明する分解斜視図である。本発明のシャワーフック1は、ベースプレート3と前記ベースプレート3に回動可能に取り付けられたシャワーフック本体5とを有する。図2に示すように、シャワーフック本体5は、背面部7と、背面部7から正面側に突き出るように形成された一対の把持部9,9とを有する。前記背面部7と一対の把持部9,9とが、正面側の開口11と上下方向に開口13a,13bを有するシャワーヘッド保持用の貫通孔15を形成する。図3は、図2のシャワーフック1のA−A断面図である。貫通孔15は、ベースプレート3の背面17に対してヘの字状に屈曲し、屈曲部19から一方の開口13aに貫通する第1貫通孔21aと、屈曲部19から他方の開口13bに貫通する第2貫通孔21bとが連通して形成されている。本発明のシャワーフック1では、第1貫通孔21aがベースプレート3の背面17となす傾斜角度αと、第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とする。なお、説明を簡略にするため、図1〜図3では、シャワーフック本体5とベースプレート3とを固定する手段は図示していない。
【0016】
第1貫通孔21aおよび第2貫通孔21bがそれぞれ、ベースプレート3の背面17となす傾斜角度α、βとは、第1貫通孔および第2貫通孔の中心軸が、ベースプレート3の背面17と交差する角度である。第1貫通孔21aの中心軸とは、第1貫通孔21aの開口13aに内接する最大内接円の中心と、屈曲部19の開口に内接する最大内接円の中心とを結ぶ軸である。第2貫通孔21bの中心軸とは、第1貫通孔21bの開口13bに内接する最大内接円の中心と、屈曲部19の開口に内接する最大内接円の中心とを結ぶ軸である。ベースプレート3の背面17は、浴室の壁面に容易に取り付ける観点から、平面であることが好ましい。前記傾斜角度α、βは、ベースプレートの背面からシャワーフック本体側に向かって正の符号を有する。
【0017】
前記傾斜角度αと傾斜角度βとの差の絶対値(|α−β|)は、5度以上であることが好ましく、10度以上であることがより好ましく、35度以下であることが好ましく、30度以下であることがより好ましく、20度以下であることがさらに好ましい。傾斜角度の差の絶対値が、5度未満では、シャワーヘッドを保持する角度の変化の大きさが不足するからである。傾斜角度の差が35度を超えると、角度の変化が大きすぎて、シャワーヘッドの使いやすさや安定性が保ち難くなるからである。
【0018】
前記第1貫通孔21aがベースプレート3の背面17となす傾斜角度αは、−5度以上が好ましく、0度以上がより好ましく、10度以下が好ましく、5度以下が好ましい。傾斜角度をマイナス方向に大きく傾けると、シャワーヘッドが浴室壁面に当たってしまったり、シャワーフックから取り出しにくくなるからである。前記第2貫通孔21bがベースプレート3の背面17となす傾斜角度βは、5度以上が好ましく、10度以上が好ましく、30度以下が好ましく、20度以下がより好ましい。傾斜角度が30度を超えると、シャワーヘッドが地面に対して、横向きに近い角度になるので使いづらくなるからである。
【0019】
前記第1貫通孔21aと第2貫通孔21bの形状は、それぞれ、「円柱状形状」、「開口13a、13bから屈曲部19に向かって径が小さくなるようにテーパーをつけた円錐状形状」、「開口13a、13bから始まって所定距離だけ屈曲部19側に隔てた位置までを円錐状とし、他の部位は別の形状、例えば円柱状とした開口部円錐状複合形状」とするのがよい。円錐状としたり、開口部円錐状複合形状とすることにより、シャワーヘッドをシャワーフックに差し込みやすくするとともに、シャワーヘッドをしっかりと保持できるからであり、特には円錐状とするのがよい。なお、上述の形状を基本として、前記第1貫通孔21aと第2貫通孔21bに、シャワーフックの把持性を高める為に、貫通孔の延在方向に延びる溝や、微小な突起などを付設しても良いが、繰り返し使用における耐摩耗性向上等の観点で、溝などは設けない方が好ましい。
【0020】
傾斜角度αが−5度〜10度である第1貫通孔の長さh1は、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、25mm以上がさらに好ましい。第1貫通孔の長さh1が、10mm未満であれば、第1貫通孔の長さが短すぎて、シャワーヘッドを安定的に掛止することが難しくなる。また、第1貫通孔の長さh1は、45mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、35mm以下がさらに好ましい。第1貫通孔の長さh1が、45mm超であると、第1貫通孔の長さが長すぎて、シャワーフックからシャワーヘッドの抜き差しが困難になる。また、シャワーフック本体が大型化してしまいコストアップの原因にもなる。
【0021】
傾斜角度βが5度〜30度である第2貫通孔の長さh2は、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、25mm以上がさらに好ましい。第2貫通孔の長さh2が、10mm未満であれば、第2貫通孔の長さが短すぎて、シャワーヘッドを安定的に掛止することが難しくなる。また、第2貫通孔の長さh2は、45mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、35mm以下がさらに好ましい。第2貫通孔の長さh2が、45mm超であると、第2貫通孔の長さが長すぎて、シャワーフックからシャワーヘッドの抜き差しが困難になる。また、シャワーフック本体が大型化してしまいコストアップの原因にもなる。
【0022】
なお、図3に示すように、第1貫通孔の長さh1は、第1貫通孔開口13aの正面側の端縁から、ベースプレート3の背面17に対して垂直で屈曲部19を通る直線までの最短距離であり、第2貫通孔の長さh2は、第2貫通孔開口13bの正面側の端縁から、ベースプレート3の背面17に対して垂直で屈曲部19を通る直線までの最短距離である。
【0023】
貫通孔15の正面側の開口11は、シャワーヘッドをシャワーフックに掛ける際に、シャワーホースが挿通可能なように設けられている。正面側の開口幅wは、15mm以上が好ましく、17mm以上がより好ましい。開口幅wが狭すぎると、シャワーホースの抜き差しが難しくなる。前記開口幅wは、20mm以下が好ましく、19mm以下がより好ましい。前記開口幅wが広すぎると、シャワーヘッドをシャワーフックに掛止することが難しくなる場合がある。
【0024】
シャワーフック本体を構成する材料としては、金属、樹脂のいずれを使用してもよい。コスト及び外観面からABS樹脂が好ましい。
【0025】
ベースプレートを構成する材料としては、金属、樹脂のいずれを使用してもよい。コスト面から、樹脂が好ましい。特に、シャワーフック本体をABS樹脂で形成した場合には、シャワーフック本体との摺動の観点から、ポリアセタール(POM)が好ましい。ベースプレートの平面形状は、特に限定されないが、円形状、多角形状、矩形状のいずれであってもよく、円形状が好ましい。
【0026】
本発明のシャワーフック1は、シャワーフック本体5が、ベースプレート3の背面7に対して垂直な軸周りに回動可能なようにベースプレート3に取り付けられている。本発明において「シャワーフック本体が回動可能である」とは、シャワーフック本体が、前記軸まわりの左右のどちらか一方方向に回転可能である、および、両方に回転可能である、両方の態様を含むものとする。また、シャワーフック本体の回転面は、ベースプレートの背面および/または浴室の壁面と平行であることが好ましい。本発明のシャワーフックは、例えば、シャワーフック本体を180度回転させることにより、傾斜角度αを有する第1貫通孔21aか、あるいは、傾斜角度βを有する第2貫通孔21bの一方を選択でき、シャワーヘッドを掛止する角度を二通りに変えることができる。
【0027】
シャワーフック本体をベースプレートに回動可能なように取り付ける手段は、特に限定されるものではないが、例えば、固定ビスを用いて、シャワーフック本体をベースプレートに回動可能なように取り付ける方法、および、ニップルと止め輪を用いる方法などが挙げられる。固定ビスの材質としては、金属、樹脂のいずれも使用できるが、耐錆性、耐久性の観点から、金属が好ましく、ステンレスがより好ましい。さらに、緩み防止として、ロックナットやビットインサートを設けることが好ましい。また、シャワーフック本体の回転性向上のため、ワッシャーを設けることが好ましい。ワッシャーの材質としては、金属、樹脂のいずれも使用できるが、コスト面から樹脂が好ましい。摺動性の観点から、ワッシャーの材質としては、ナイロンが好ましい。ニップル、固定ビスなどを用いて、シャワーフック本体とベースプレートとを固定した後は、外観面から、シャワーフック本体の背面部に形成されるビス挿入孔を、キャップで塞ぐことが好ましい。キャップの材質としては、金属、樹脂などが使用できる。コスト面や取付性を考えると、エラストマー製のスナップフィットが好ましく、樹脂製のスナップフィットがより好ましく、ABS樹脂製のスナップフィットがさらに好ましい。
【0028】
止め輪の材質としては、金属、樹脂のいずれも使用できるが、コスト面、柔軟性の観点から、樹脂が好ましい。特に、剛性、耐疲労性の観点から、ポリアセタール(POM)が好ましい。ニップルの材質としては、金属、樹脂のいずれも使用できるが、コスト面から樹脂が好ましい。特に、ポリアセタール製の止め輪を用いる場合には、剛性、耐疲労性、および、止め輪との摺動性の観点から、ニップルの材質として、ポリフェニレンスルフィド(PPS)を使用することが好ましい。
【0029】
本発明のシャワーフックは、第1貫通孔と第2貫通孔とを位置決めする位置決め機構が備えられていることが好ましい。位置決め機構としては、例えば、後述するような板ばねとロック解除ボタンを利用する態様、シャワーフック本体の内側面に凹部を設けて、ベースプレートの外側面に凸部を設けた乗り越え・嵌り込みのような態様、あるいは、異形断面を有するニップルと止め輪を利用する態様などが挙げられる。板ばねの材質としては、金属、樹脂のいずれも使用することができるが、剛性の観点から金属が好ましい。特に、耐錆性、耐久性の観点から、ステンレスがより好ましい。
【0030】
本発明のシャワーフックを浴室の壁面に取り付ける方法としては、特に限定されず、例えば、ビスで固定する方法、吸盤で固定する方法、マグネットで固定する方法、接着剤で固定する方法、両面テープで固定する方法、および、浴室にすでに取り付けられているシャワーフックに固定する方法などがある。
【0031】
以下、本発明のシャワーフックの好ましい実施形態を、さらに具体例に説明するが、本発明は、下記実施形態に限定されるものではない。
【0032】
図4〜図8には、本発明のシャワーフックの好ましい実施形態(第1実施形態)を示した。図4は、シャワーフックの分解斜視図である。図5は、シャワーフックを正面側からみた斜視図である。図6は、図5のA−A断面図である。図7は、シャワーフック本体をベースプレートに取り付ける態様を説明する説明図である。図8は、板ばねとロック解除ボタンを用いた位置決め機構を説明する説明図である。なお、図7では、説明を簡略化するために、板ばねとロック解除ボタンを用いた位置決め機構は省略されている。第1実施形態では、第1貫通孔の傾斜角度αが0度であり、第2貫通孔の傾斜角度βが15度である。
【0033】
図4、図5に示すように、ベースプレート3は、平面視で円形状である。ベースプレート3の底面23には、ベースプレート3を浴室壁面に固定するためのビス穴25,25と、底面から起立する円周壁27が設けられている。円周壁27は、ベースプレート3の同心円で円周状に設けられている。図4、図7に示すように、円周壁27の外径は、ベースプレート3の外径よりも小さく、ベースプレート3の円周には、シャワーフック本体5の外周壁47を載置する段差状の台座28が設けられている。ベースプレート3の中心には、シャワーフック本体を回動させる枢支軸を構成する枢支円筒部39が設けられている。
【0034】
図6、図7に示すように、シャワーフック本体5の背面部7には、固定ビス29を挿入するための挿入孔41が設けられている。挿入孔41は、シャワーフック本体5の裏面43から延設した円筒部45を有している。シャワーフック本体の円筒部45の内周径は、ベースプレート3の枢支円筒部39の外周径より大きい。また、シャワーフック本体5には、シャワーフック本体の外周に沿って、裏面43から延設する外周壁47が設けられている。シャワーフック本体の外周壁47の内周径は、ベースプレート3の円周壁27の外周径よりも大きく、ベースプレート3の外周径よりも小さい。図4に示すように、シャワーフック本体5の外周壁47には、ロック解除ボタン31が挿入するボタン挿入孔35が穿設されている。外周壁47のボタン挿入孔35の開口位置は、第1貫通孔および第2貫通孔の開口のいずれか一方と一致させるように設けられている。
【0035】
シャワーフック本体5とベースプレート3とは、挿入孔41に挿入した固定ビス29の先端部を、ベースプレート3の枢支円筒部39の内部に挿着することで固定される。シャワーフック本体5とベースプレート3とを固定ビスで固定すると、シャワーフック本体の外周壁47が、ベースプレート3の円周壁27に外嵌し、シャワーフック本体5の円筒部45が、ベースプレート3の枢支円筒部39に外嵌する。
【0036】
第1実施形態では、図8(a)、(b)に示すように、第1貫通孔および第2貫通孔の位置決め機構として、ロック解除ボタン31と板ばね33を用いる。板ばね33は、シャワーフック本体5の外周壁47から、内側に向かって延設する一対の保持部材49、49によって保持されている。
【0037】
図8(b)に示すように、ベースプレート3の円周壁27の内周面には、ボタン31の突起36が係合する溝37、37が対向するように180度の間隔で刻設されている。図8(a)に示すように、ボタン31は、ボタン31の脚部46が板ばね33と当接して、板ばね33の弾性によって、上下に可動できるように設けられている。ボタン31は、板ばね33によって上昇するように付勢されており、ボタン31が上昇してボタン挿入孔35に嵌合すると、突起36がベースプレート3の円周壁27の内周面に設けられた溝37に係合する。その結果、シャワーフック本体5とベースプレート3がそれぞれ、ボタン31によって固定されるので、第1貫通孔および第2貫通孔の位置が決定される。ボタン31を押圧すると、板ばね33が変形して、ボタン31が下降し、突起36とベースプレート3の円周壁27の溝37との係合が解除される。その結果、シャワーフック本体5が回動可能になる。
【0038】
ベースプレート3を浴室の壁面に取り付ける際に、ベースプレート3の円周壁27の内周面に設けられた溝37を上下方向(地面に対して垂直な方向)になるようにすれば、第1貫通孔および第2貫通孔の位置を上下方向の位置で決めることができる。
【0039】
図9〜図13には、本発明のシャワーフックの別の好ましい実施形態を示した(第2実施形態)。図9は、シャワーフックの分解斜視図である。図10は、シャワーフックを正面側からみた斜視図である。図11は、図10のA−A断面図である。図12は、シャワーフック本体をベースプレートに取り付ける態様を説明する説明図である。図13は、図11のB−B断面図である。第2実施形態では、第1貫通孔の傾斜角度αが0度であり、第2貫通孔の傾斜角度が15度である。第2実施形態は、第1実施形態とは異なる位置決め機構を備える。
【0040】
ベースプレート3は、平面視で円形状である。ベースプレート3の底面23には、ベースプレート3を浴室壁面に固定するためのビス穴25,25と、底面から起立する円周壁27が設けられている。円周壁27は、ベースプレート3の同心円で円周状に設けられている。円周壁27の外径は、ベースプレート3の外径よりも小さく、ベースプレート3の円周には、シャワーフック本体5の外周壁47を載置する段差状の台座28が設けられている。ベースプレート3の中心には、シャワーフック本体を回動させる枢支軸を構成する枢支円筒部39が設けられている。ベースプレート3の底面23には、板ばね53を係止するための係止片55,55が立設されている。
【0041】
シャワーフック本体5の背面部7には、固定ビス29を挿入するための挿入孔41が設けられている。挿入孔41は、シャワーフック本体5の裏面43から延設した円筒部45を有している。シャワーフック本体の円筒部45の内周径は、ベースプレート3の枢支円筒部39の外周径より大きい。シャワーフック本体5の裏面43からは、外周壁57と内周壁59とが延設している。外周壁57と内周壁59の間には、両者を架設する架設部材61が設けられている。
【0042】
シャワーフック本体5とベースプレート3とは、挿入孔41に挿入した固定ビス29の先端部を、ベースプレート3の枢支円筒部39の内部に挿着することで固定される。シャワーフック本体5とベースプレート3とを固定ビス29で固定すると、シャワーフック本体5の円筒部45が、ベースプレート3の枢支円筒部39に外嵌し、ベースプレート3の円周壁27が、シャワーフック本体5の外周壁57と内周壁59との間に挿入する。
【0043】
第2実施形態の位置決め機構は、ベースプレートに設置された突起状の板ばねとシャワーフック本体の内側面に設けられた凹部を利用する。板ばね53は、平坦な板ばねの両末端を折り返して、突起部51、51を有するように加工されている。図13に示すように、板ばね53は、一方の突起部51が外周方向に突出するように、係止片55、55によって係止されている。シャワーフック本体5の内周壁59の内周面には、180度の間隔で隙間63が2箇所設けられている。板ばねの突起部51がこの隙間63に係合することにより、シャワーフック本体5とベースプレート3とが固定される。シャワーフック本体5を回動させる方向にある程度の外力がかかると、板ばね53が弾性変形して係合が解除され、突起部51がシャワーフック本体5の内周壁59の内面を摺動しながら、シャワーフック本体5が回動する。ベースプレート3の外周方向に突出するように設置されている板ばねの突起部51が、浴室壁面の左右方向になるようにベースプレート3を浴室の壁面に取り付ければ、第1貫通孔21aと第2貫通孔21bの位置を上下方向で決めることができる。
【0044】
図14〜図18には、本発明のシャワーフックの別の好ましい実施形態を示した(第3実施形態)。図14は、シャワーフックの分解斜視図である。図15は、ニップルと止め輪の説明図である。図16は、シャワーフックを正面側からみた斜視図である。図17は、図16のA−A断面図である。図18は、シャワーフック本体をベースプレートに取り付ける態様を説明する説明図である。第3実施形態では、第1貫通孔の傾斜角度αが0度であり、第2貫通孔の傾斜角度が15度である。
【0045】
ベースプレート3は、平面視で円形状である。ベースプレート3の底面23には、ベースプレート3を浴室壁面に固定するためのビス穴25,25と、底面から起立する円周壁27が設けられている。円周壁27は、ベースプレート3の円周に沿って設けられている。ベースプレート3の中心には、シャワーフック本体を回動させる枢支軸39が設けられている。円周壁27には、止め輪67を嵌め込むための開口77が、スリット状に設けられている。スリット状開口77の両端の円周壁27の内周面には、止め輪67の係止爪76が係止する係止用突部78が、枢支軸39の軸方向に直線状に設けられている。
【0046】
シャワーフック本体5の背面部7には、ニップル65を挿入するための挿入孔41が設けられている。挿入孔41の形状は、ニップル65の頭部71に係合する形状であり、シャワーフック本体5とニップル65とが一緒に回動するように構成されている。
【0047】
シャワーフック本体5とベースプレート3とは、挿入孔41に挿入したニップル65の先端内部に、ベースプレート3の枢支軸39を挿嵌することで固定される。シャワーフック本体5とベースプレート3とをニップル65で固定すると、シャワーフック本体5の裏面43が、ベースプレート3の円周壁27の頂部に当接する。また、シャワーフック本体5とベースプレート3とは、後述するニップル65と止め輪67によっても固定されている。
【0048】
第3実施形態の位置決め機構は、ニップル65と止め輪67を用いる。図15に示すように、ニップル65は、軸部69と、軸部69より拡径した頭部71とを有する。ニップルの頭部71は、六角形状であり、シャワーフック本体5の背面部7に設けられた挿入孔41に係合して、シャワーフック本体5とニップル65とが一緒に回動するように構成されている。図15に示すように、ニップル65の軸部69の先端側には、止め輪67の挟持部75が係合する溝79が周設されている。止め輪67は、端部73と、端部73から立設した略U字形状の一対の挟持部75,75と、挟持部75,75の両側に係止爪76,76とを有する。止め輪67を、ベースプレート3の円周壁27に設けられた開口77から挿嵌すると、係止爪76,76が円周壁27の内周面に設けられた係止用突部78,78に係止する。これにより、止め輪67が、ベースプレート3から抜けるのが防止される。止め輪67を円周壁27の開口77に挿嵌すると、止め輪67の挟持部75がニップル65の溝79に嵌着する。これにより、ニップル65が、止め輪67から抜けるのが防止される。
【0049】
図19は、シャワーフック本体5の回動機構を説明する説明図であり、図17のB−B断面図である。図19に示すように、ニップル65の溝79が形成されている軸部の断面形状は、略四角形状であり、対向する二つの面81,81が平面であり、他の対向する二つの面83,83が、円弧状に形成されている。図19(a)は、シャワーフック本体5がロックされている状態を示している。ニップル65の軸部の平面81,81が、二本の挟持部75、75に挟持されて、挟持部75,75の弾性力によってニップル65の軸部69が固定されている。図19(b)に示すように、シャワーフック本体3を90度回転させると、ニップル65の軸部69の円形状の面83,83が、二本の挟持部75,75を押圧して、挟持部75,75の間隔を広げながら回転する。シャワーフック本体5をさらに90度回転させると、図19(c)に示すように、ニップル65の軸部の平面81,81が、二本の挟持部75,75に挟持されて、挟持部75,75の弾性力によって、ニップル65の軸部69が固定される。
【0050】
前記実施形態1〜3は、第1貫通孔と第2貫通孔の掛止位置を、浴室の上下方向に設定し、シャワーフック本体5を180度回転することにより、第1貫通孔と第2貫通孔のいずれかを選択する態様である。しかし、第1貫通孔と第2貫通孔の掛止位置を、さらに数箇所設けるようにしてもよい。第1貫通孔と第2貫通孔の掛止位置をさらに数箇所設けることによって、例えば、図20に示すように、シャワーヘッド85の吐水方向を数段階に変更することができる。
【0051】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態の形状、構成、配置、材料などを適宜変更することができる。また、各実施形態にて示した構成、配置、材料、形状、数値範囲などの規定は、各々独立に、或いは、何れか2以上の規定を組み合わせて、シャワーフックに適用可能である。
【0052】
本発明のシャワーフックは、上記の様に構成されているので、以下の様な作用効果を奏する。本発明のシャワーフックは、シャワーヘッドを保持する角度を二通りに変えることができる。本発明のシャワーフックは、シャワーフック本体を回転させるだけの構造でああるため、部品点数が少なく安価である。本発明のシャワーフックは、浴室壁面に対して垂直な軸周りに回転するため、シャワー挿入位置が変化しない。
【符号の説明】
【0053】
1:シャワーフック、3:ベースプレート、5:シャワーフック本体、7:背面部、9:把持部、11:正面側開口、13a、13b:貫通孔開口、15:貫通孔、17:ベースプレート背面、19:屈曲部、21a:第1貫通孔、21b:第2貫通孔、23:ベースプレート底面、25:ビス穴、27:ベースプレート円周壁、28:台座、29:固定ビス、31:ロック解除ボタン、33:板ばね、35:ボタン挿入孔、36:突起、37:溝、39:枢軸円筒部、41:ビス挿入孔、43:シャワーフック本体裏面、45:円筒部、46:脚部、47:外周壁、49:保持部、51:突起部、53:板ばね、55:係止片、57:外周壁、59:内周壁、61:架設部材、63:隙間、65:ニップル、67:止め輪、69:軸部、71:頭部、73:端部、75:挟持部、76:係止爪、77:開口、78:係止用突部、79:溝、81:平面、83:円弧状面、85:シャワーヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーフックに関するものであり、より詳細には、シャワーヘッドの保持角度を二通りに変更できるシャワーフックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャワーフックとしては、シャワーヘッドの基端部を掛止する一対の把持部を有し、正面側にシャワーヘッドの基端部に接続するシャワーホースが挿通可能なように開口が設けられたシャワーフックがよく知られている。シャワーフックがシャワーヘッドを掛止する傾斜角度は、浴室の壁面に対して0度と15度の主に2種類である。一方、シャワーヘッド本体のシャワー噴出角度は、製造メーカーによって異なる。そのため、シャワーヘッドをシャワーフックに掛止した状態では、シャワーヘッドの製造メーカーによってシャワーの吐水角度が異なる。一定の吐水角度に慣れたシャワーの使用者が、異なる吐水角度のシャワーを使用すると、シャワーの使用感が良くないという印象を受けるという問題があった。このような問題に対して、例えば、特許文献1〜4は、シャワーヘッドを保持する角度を可変にするシャワーフックを提案している。
【0003】
特許文献1には、取付面に固定した支持台に球状部材を任意の方向に自在に回動するように装着すると共にこの球状部材を弾機の弾力にて適宜制動する制動片を圧着させ、該球状部材の外側にはシャワーヘッドを着脱自在に保持する保持部材を設けたことを特徴とするシャワーホルダが開示されている。
【0004】
特許文献2には、シャワーの掛け部を受容する複数の貫通孔を有し、いずれの貫通孔が該掛け部を受容するかに応じて該シャワーの吐水口のシャワー角度を変えるよう、該貫通孔は掛け具取り付け壁に対する傾斜角度が異なるシャワー用多段式掛け具が開示されている。
【0005】
特許文献3には、表面が半円弧状に前方に突出した略かまぼこ形に形成され、裏面に設けられた吸着手段により浴室内壁面の所望の位置に吸着固定されるベース部材と、該ベース部材の前面に取り付けられ、シャワーヘッドを掛脱可能に掛支保持するフック部材とからなり、フック部材が、ベース部材の表面の湾曲により、その取付位置によって壁面に対する取付角度が変わり、このことでシャワーヘッドの掛支角度が変えられるようになされたことを特徴とするシャワーフックが開示されている。
【0006】
特許文献4には、浴室またはシャワールーム内に取付けられた保持部材と、この保持部材に回動可能に保持されたシャワーヘッド掛止用フック部材と、前記保持部材に対し前記フック部材が回動可能な状態と回動不能な状態とに切替えるための切替機構とよりなることを特徴とするシャワーフックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭51−37791号公報
【特許文献2】特開平7−216948号公報
【特許文献3】特開2005−90099号公報
【特許文献4】特開2003−119855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シャワーヘッドを保持する角度を二通りに変えることができる新規なシャワーフックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決することのできた本発明のシャワーフックは、ベースプレートと前記ベースプレートに回動可能に取り付けられたシャワーフック本体とを有するシャワーフックであって、前記シャワーフック本体は、背面部と、背面部から正面側に突き出るように形成された一対の把持部とを有し、前記背面部と一対の把持部とが、正面側と上下方向に開口を有するシャワーヘッド保持用の貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔は、ベースプレートの背面に対してヘの字状に屈曲するとともに、屈曲部から一方の開口に貫通する第1貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度αと、屈曲部から他方の開口に貫通する第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とする。本発明のシャワーフックは、シャワーフック本体が、ベースプレートの背面に対して垂直な軸周りに回動することにより、傾斜角度αを有する第1貫通孔と傾斜角度βを有する第2貫通孔のいずれか一方を選択して、シャワーヘッドを掛止することができる。その結果、シャワーヘッドを保持する角度を二通りに変えることができる。
【0010】
前記傾斜角度αと傾斜角度βの差の絶対値(|α−β|)は、5度〜35度であることが好ましい。前記傾斜角度αとしては、例えば、−5度〜10度が好ましく、前記傾斜角度βとしては、例えば、5度〜30度が好ましい。本発明のシャワーフックは、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを所定の位置で位置決めする位置決め機構を備えることが好ましく、第1貫通孔と前記第2貫通孔とを180度の間隔で位置決めする位置決め機構を備えることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシャワーフックによれば、シャワーヘッドを保持する角度を二通りに変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好ましい実施形態であるシャワーフックの分解斜視図。
【図2】図1のシャワーフックを正面側から見た斜視図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】本発明の別の好ましい実施形態であるシャワーフックの分解斜視図。
【図5】図4のシャワーフックを正面側から見た斜視図。
【図6】図5のA−A断面図。
【図7】シャワーフック本体とベースプレートの取付態様を説明する説明図。
【図8】板ばねを用いた位置決め機構を説明する説明図。
【図9】本発明の別の好ましい実施形態であるシャワーフックの分解斜視図。
【図10】図9のシャワーフックを正面側から見た斜視図。
【図11】図9のA−A断面図。
【図12】シャワーフック本体とベースプレートの取付態様を説明する説明図。
【図13】図11のB−B断面図。
【図14】本発明の別の好ましい実施形態であるシャワーフックの分解斜視図。
【図15】ニップルと止め輪の説明図。
【図16】図14のシャワーフックを正面側から見た斜視図。
【図17】シャワーフック本体とベースプレートの取付態様を説明する説明図。
【図18】図16のA−A断面図。
【図19】シャワーフック本体の回動機構を説明する説明図。
【図20】シャワーヘッドの回転状態を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のシャワーフックは、ベースプレートと前記ベースプレートに回動可能に取り付けられたシャワーフック本体とを有するシャワーフックであって、前記シャワーフック本体は、背面部と、背面部から正面側に突き出るように形成された一対の把持部とを有し、前記背面部と一対の把持部とが、正面側と上下方向に開口を有するシャワーヘッド保持用の貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔は、ベースプレートの背面に対してヘの字状に屈曲するとともに、屈曲部から一方の開口に貫通する第1貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度αと、屈曲部から他方の開口に貫通する第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とする。
【0014】
以下、本発明のシャワーフックについて、図面を参照しながら説明するが、本発明のシャワーフックは、図面に示された態様に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明のシャワーフックの要部を説明する分解斜視図である。本発明のシャワーフック1は、ベースプレート3と前記ベースプレート3に回動可能に取り付けられたシャワーフック本体5とを有する。図2に示すように、シャワーフック本体5は、背面部7と、背面部7から正面側に突き出るように形成された一対の把持部9,9とを有する。前記背面部7と一対の把持部9,9とが、正面側の開口11と上下方向に開口13a,13bを有するシャワーヘッド保持用の貫通孔15を形成する。図3は、図2のシャワーフック1のA−A断面図である。貫通孔15は、ベースプレート3の背面17に対してヘの字状に屈曲し、屈曲部19から一方の開口13aに貫通する第1貫通孔21aと、屈曲部19から他方の開口13bに貫通する第2貫通孔21bとが連通して形成されている。本発明のシャワーフック1では、第1貫通孔21aがベースプレート3の背面17となす傾斜角度αと、第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とする。なお、説明を簡略にするため、図1〜図3では、シャワーフック本体5とベースプレート3とを固定する手段は図示していない。
【0016】
第1貫通孔21aおよび第2貫通孔21bがそれぞれ、ベースプレート3の背面17となす傾斜角度α、βとは、第1貫通孔および第2貫通孔の中心軸が、ベースプレート3の背面17と交差する角度である。第1貫通孔21aの中心軸とは、第1貫通孔21aの開口13aに内接する最大内接円の中心と、屈曲部19の開口に内接する最大内接円の中心とを結ぶ軸である。第2貫通孔21bの中心軸とは、第1貫通孔21bの開口13bに内接する最大内接円の中心と、屈曲部19の開口に内接する最大内接円の中心とを結ぶ軸である。ベースプレート3の背面17は、浴室の壁面に容易に取り付ける観点から、平面であることが好ましい。前記傾斜角度α、βは、ベースプレートの背面からシャワーフック本体側に向かって正の符号を有する。
【0017】
前記傾斜角度αと傾斜角度βとの差の絶対値(|α−β|)は、5度以上であることが好ましく、10度以上であることがより好ましく、35度以下であることが好ましく、30度以下であることがより好ましく、20度以下であることがさらに好ましい。傾斜角度の差の絶対値が、5度未満では、シャワーヘッドを保持する角度の変化の大きさが不足するからである。傾斜角度の差が35度を超えると、角度の変化が大きすぎて、シャワーヘッドの使いやすさや安定性が保ち難くなるからである。
【0018】
前記第1貫通孔21aがベースプレート3の背面17となす傾斜角度αは、−5度以上が好ましく、0度以上がより好ましく、10度以下が好ましく、5度以下が好ましい。傾斜角度をマイナス方向に大きく傾けると、シャワーヘッドが浴室壁面に当たってしまったり、シャワーフックから取り出しにくくなるからである。前記第2貫通孔21bがベースプレート3の背面17となす傾斜角度βは、5度以上が好ましく、10度以上が好ましく、30度以下が好ましく、20度以下がより好ましい。傾斜角度が30度を超えると、シャワーヘッドが地面に対して、横向きに近い角度になるので使いづらくなるからである。
【0019】
前記第1貫通孔21aと第2貫通孔21bの形状は、それぞれ、「円柱状形状」、「開口13a、13bから屈曲部19に向かって径が小さくなるようにテーパーをつけた円錐状形状」、「開口13a、13bから始まって所定距離だけ屈曲部19側に隔てた位置までを円錐状とし、他の部位は別の形状、例えば円柱状とした開口部円錐状複合形状」とするのがよい。円錐状としたり、開口部円錐状複合形状とすることにより、シャワーヘッドをシャワーフックに差し込みやすくするとともに、シャワーヘッドをしっかりと保持できるからであり、特には円錐状とするのがよい。なお、上述の形状を基本として、前記第1貫通孔21aと第2貫通孔21bに、シャワーフックの把持性を高める為に、貫通孔の延在方向に延びる溝や、微小な突起などを付設しても良いが、繰り返し使用における耐摩耗性向上等の観点で、溝などは設けない方が好ましい。
【0020】
傾斜角度αが−5度〜10度である第1貫通孔の長さh1は、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、25mm以上がさらに好ましい。第1貫通孔の長さh1が、10mm未満であれば、第1貫通孔の長さが短すぎて、シャワーヘッドを安定的に掛止することが難しくなる。また、第1貫通孔の長さh1は、45mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、35mm以下がさらに好ましい。第1貫通孔の長さh1が、45mm超であると、第1貫通孔の長さが長すぎて、シャワーフックからシャワーヘッドの抜き差しが困難になる。また、シャワーフック本体が大型化してしまいコストアップの原因にもなる。
【0021】
傾斜角度βが5度〜30度である第2貫通孔の長さh2は、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、25mm以上がさらに好ましい。第2貫通孔の長さh2が、10mm未満であれば、第2貫通孔の長さが短すぎて、シャワーヘッドを安定的に掛止することが難しくなる。また、第2貫通孔の長さh2は、45mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、35mm以下がさらに好ましい。第2貫通孔の長さh2が、45mm超であると、第2貫通孔の長さが長すぎて、シャワーフックからシャワーヘッドの抜き差しが困難になる。また、シャワーフック本体が大型化してしまいコストアップの原因にもなる。
【0022】
なお、図3に示すように、第1貫通孔の長さh1は、第1貫通孔開口13aの正面側の端縁から、ベースプレート3の背面17に対して垂直で屈曲部19を通る直線までの最短距離であり、第2貫通孔の長さh2は、第2貫通孔開口13bの正面側の端縁から、ベースプレート3の背面17に対して垂直で屈曲部19を通る直線までの最短距離である。
【0023】
貫通孔15の正面側の開口11は、シャワーヘッドをシャワーフックに掛ける際に、シャワーホースが挿通可能なように設けられている。正面側の開口幅wは、15mm以上が好ましく、17mm以上がより好ましい。開口幅wが狭すぎると、シャワーホースの抜き差しが難しくなる。前記開口幅wは、20mm以下が好ましく、19mm以下がより好ましい。前記開口幅wが広すぎると、シャワーヘッドをシャワーフックに掛止することが難しくなる場合がある。
【0024】
シャワーフック本体を構成する材料としては、金属、樹脂のいずれを使用してもよい。コスト及び外観面からABS樹脂が好ましい。
【0025】
ベースプレートを構成する材料としては、金属、樹脂のいずれを使用してもよい。コスト面から、樹脂が好ましい。特に、シャワーフック本体をABS樹脂で形成した場合には、シャワーフック本体との摺動の観点から、ポリアセタール(POM)が好ましい。ベースプレートの平面形状は、特に限定されないが、円形状、多角形状、矩形状のいずれであってもよく、円形状が好ましい。
【0026】
本発明のシャワーフック1は、シャワーフック本体5が、ベースプレート3の背面7に対して垂直な軸周りに回動可能なようにベースプレート3に取り付けられている。本発明において「シャワーフック本体が回動可能である」とは、シャワーフック本体が、前記軸まわりの左右のどちらか一方方向に回転可能である、および、両方に回転可能である、両方の態様を含むものとする。また、シャワーフック本体の回転面は、ベースプレートの背面および/または浴室の壁面と平行であることが好ましい。本発明のシャワーフックは、例えば、シャワーフック本体を180度回転させることにより、傾斜角度αを有する第1貫通孔21aか、あるいは、傾斜角度βを有する第2貫通孔21bの一方を選択でき、シャワーヘッドを掛止する角度を二通りに変えることができる。
【0027】
シャワーフック本体をベースプレートに回動可能なように取り付ける手段は、特に限定されるものではないが、例えば、固定ビスを用いて、シャワーフック本体をベースプレートに回動可能なように取り付ける方法、および、ニップルと止め輪を用いる方法などが挙げられる。固定ビスの材質としては、金属、樹脂のいずれも使用できるが、耐錆性、耐久性の観点から、金属が好ましく、ステンレスがより好ましい。さらに、緩み防止として、ロックナットやビットインサートを設けることが好ましい。また、シャワーフック本体の回転性向上のため、ワッシャーを設けることが好ましい。ワッシャーの材質としては、金属、樹脂のいずれも使用できるが、コスト面から樹脂が好ましい。摺動性の観点から、ワッシャーの材質としては、ナイロンが好ましい。ニップル、固定ビスなどを用いて、シャワーフック本体とベースプレートとを固定した後は、外観面から、シャワーフック本体の背面部に形成されるビス挿入孔を、キャップで塞ぐことが好ましい。キャップの材質としては、金属、樹脂などが使用できる。コスト面や取付性を考えると、エラストマー製のスナップフィットが好ましく、樹脂製のスナップフィットがより好ましく、ABS樹脂製のスナップフィットがさらに好ましい。
【0028】
止め輪の材質としては、金属、樹脂のいずれも使用できるが、コスト面、柔軟性の観点から、樹脂が好ましい。特に、剛性、耐疲労性の観点から、ポリアセタール(POM)が好ましい。ニップルの材質としては、金属、樹脂のいずれも使用できるが、コスト面から樹脂が好ましい。特に、ポリアセタール製の止め輪を用いる場合には、剛性、耐疲労性、および、止め輪との摺動性の観点から、ニップルの材質として、ポリフェニレンスルフィド(PPS)を使用することが好ましい。
【0029】
本発明のシャワーフックは、第1貫通孔と第2貫通孔とを位置決めする位置決め機構が備えられていることが好ましい。位置決め機構としては、例えば、後述するような板ばねとロック解除ボタンを利用する態様、シャワーフック本体の内側面に凹部を設けて、ベースプレートの外側面に凸部を設けた乗り越え・嵌り込みのような態様、あるいは、異形断面を有するニップルと止め輪を利用する態様などが挙げられる。板ばねの材質としては、金属、樹脂のいずれも使用することができるが、剛性の観点から金属が好ましい。特に、耐錆性、耐久性の観点から、ステンレスがより好ましい。
【0030】
本発明のシャワーフックを浴室の壁面に取り付ける方法としては、特に限定されず、例えば、ビスで固定する方法、吸盤で固定する方法、マグネットで固定する方法、接着剤で固定する方法、両面テープで固定する方法、および、浴室にすでに取り付けられているシャワーフックに固定する方法などがある。
【0031】
以下、本発明のシャワーフックの好ましい実施形態を、さらに具体例に説明するが、本発明は、下記実施形態に限定されるものではない。
【0032】
図4〜図8には、本発明のシャワーフックの好ましい実施形態(第1実施形態)を示した。図4は、シャワーフックの分解斜視図である。図5は、シャワーフックを正面側からみた斜視図である。図6は、図5のA−A断面図である。図7は、シャワーフック本体をベースプレートに取り付ける態様を説明する説明図である。図8は、板ばねとロック解除ボタンを用いた位置決め機構を説明する説明図である。なお、図7では、説明を簡略化するために、板ばねとロック解除ボタンを用いた位置決め機構は省略されている。第1実施形態では、第1貫通孔の傾斜角度αが0度であり、第2貫通孔の傾斜角度βが15度である。
【0033】
図4、図5に示すように、ベースプレート3は、平面視で円形状である。ベースプレート3の底面23には、ベースプレート3を浴室壁面に固定するためのビス穴25,25と、底面から起立する円周壁27が設けられている。円周壁27は、ベースプレート3の同心円で円周状に設けられている。図4、図7に示すように、円周壁27の外径は、ベースプレート3の外径よりも小さく、ベースプレート3の円周には、シャワーフック本体5の外周壁47を載置する段差状の台座28が設けられている。ベースプレート3の中心には、シャワーフック本体を回動させる枢支軸を構成する枢支円筒部39が設けられている。
【0034】
図6、図7に示すように、シャワーフック本体5の背面部7には、固定ビス29を挿入するための挿入孔41が設けられている。挿入孔41は、シャワーフック本体5の裏面43から延設した円筒部45を有している。シャワーフック本体の円筒部45の内周径は、ベースプレート3の枢支円筒部39の外周径より大きい。また、シャワーフック本体5には、シャワーフック本体の外周に沿って、裏面43から延設する外周壁47が設けられている。シャワーフック本体の外周壁47の内周径は、ベースプレート3の円周壁27の外周径よりも大きく、ベースプレート3の外周径よりも小さい。図4に示すように、シャワーフック本体5の外周壁47には、ロック解除ボタン31が挿入するボタン挿入孔35が穿設されている。外周壁47のボタン挿入孔35の開口位置は、第1貫通孔および第2貫通孔の開口のいずれか一方と一致させるように設けられている。
【0035】
シャワーフック本体5とベースプレート3とは、挿入孔41に挿入した固定ビス29の先端部を、ベースプレート3の枢支円筒部39の内部に挿着することで固定される。シャワーフック本体5とベースプレート3とを固定ビスで固定すると、シャワーフック本体の外周壁47が、ベースプレート3の円周壁27に外嵌し、シャワーフック本体5の円筒部45が、ベースプレート3の枢支円筒部39に外嵌する。
【0036】
第1実施形態では、図8(a)、(b)に示すように、第1貫通孔および第2貫通孔の位置決め機構として、ロック解除ボタン31と板ばね33を用いる。板ばね33は、シャワーフック本体5の外周壁47から、内側に向かって延設する一対の保持部材49、49によって保持されている。
【0037】
図8(b)に示すように、ベースプレート3の円周壁27の内周面には、ボタン31の突起36が係合する溝37、37が対向するように180度の間隔で刻設されている。図8(a)に示すように、ボタン31は、ボタン31の脚部46が板ばね33と当接して、板ばね33の弾性によって、上下に可動できるように設けられている。ボタン31は、板ばね33によって上昇するように付勢されており、ボタン31が上昇してボタン挿入孔35に嵌合すると、突起36がベースプレート3の円周壁27の内周面に設けられた溝37に係合する。その結果、シャワーフック本体5とベースプレート3がそれぞれ、ボタン31によって固定されるので、第1貫通孔および第2貫通孔の位置が決定される。ボタン31を押圧すると、板ばね33が変形して、ボタン31が下降し、突起36とベースプレート3の円周壁27の溝37との係合が解除される。その結果、シャワーフック本体5が回動可能になる。
【0038】
ベースプレート3を浴室の壁面に取り付ける際に、ベースプレート3の円周壁27の内周面に設けられた溝37を上下方向(地面に対して垂直な方向)になるようにすれば、第1貫通孔および第2貫通孔の位置を上下方向の位置で決めることができる。
【0039】
図9〜図13には、本発明のシャワーフックの別の好ましい実施形態を示した(第2実施形態)。図9は、シャワーフックの分解斜視図である。図10は、シャワーフックを正面側からみた斜視図である。図11は、図10のA−A断面図である。図12は、シャワーフック本体をベースプレートに取り付ける態様を説明する説明図である。図13は、図11のB−B断面図である。第2実施形態では、第1貫通孔の傾斜角度αが0度であり、第2貫通孔の傾斜角度が15度である。第2実施形態は、第1実施形態とは異なる位置決め機構を備える。
【0040】
ベースプレート3は、平面視で円形状である。ベースプレート3の底面23には、ベースプレート3を浴室壁面に固定するためのビス穴25,25と、底面から起立する円周壁27が設けられている。円周壁27は、ベースプレート3の同心円で円周状に設けられている。円周壁27の外径は、ベースプレート3の外径よりも小さく、ベースプレート3の円周には、シャワーフック本体5の外周壁47を載置する段差状の台座28が設けられている。ベースプレート3の中心には、シャワーフック本体を回動させる枢支軸を構成する枢支円筒部39が設けられている。ベースプレート3の底面23には、板ばね53を係止するための係止片55,55が立設されている。
【0041】
シャワーフック本体5の背面部7には、固定ビス29を挿入するための挿入孔41が設けられている。挿入孔41は、シャワーフック本体5の裏面43から延設した円筒部45を有している。シャワーフック本体の円筒部45の内周径は、ベースプレート3の枢支円筒部39の外周径より大きい。シャワーフック本体5の裏面43からは、外周壁57と内周壁59とが延設している。外周壁57と内周壁59の間には、両者を架設する架設部材61が設けられている。
【0042】
シャワーフック本体5とベースプレート3とは、挿入孔41に挿入した固定ビス29の先端部を、ベースプレート3の枢支円筒部39の内部に挿着することで固定される。シャワーフック本体5とベースプレート3とを固定ビス29で固定すると、シャワーフック本体5の円筒部45が、ベースプレート3の枢支円筒部39に外嵌し、ベースプレート3の円周壁27が、シャワーフック本体5の外周壁57と内周壁59との間に挿入する。
【0043】
第2実施形態の位置決め機構は、ベースプレートに設置された突起状の板ばねとシャワーフック本体の内側面に設けられた凹部を利用する。板ばね53は、平坦な板ばねの両末端を折り返して、突起部51、51を有するように加工されている。図13に示すように、板ばね53は、一方の突起部51が外周方向に突出するように、係止片55、55によって係止されている。シャワーフック本体5の内周壁59の内周面には、180度の間隔で隙間63が2箇所設けられている。板ばねの突起部51がこの隙間63に係合することにより、シャワーフック本体5とベースプレート3とが固定される。シャワーフック本体5を回動させる方向にある程度の外力がかかると、板ばね53が弾性変形して係合が解除され、突起部51がシャワーフック本体5の内周壁59の内面を摺動しながら、シャワーフック本体5が回動する。ベースプレート3の外周方向に突出するように設置されている板ばねの突起部51が、浴室壁面の左右方向になるようにベースプレート3を浴室の壁面に取り付ければ、第1貫通孔21aと第2貫通孔21bの位置を上下方向で決めることができる。
【0044】
図14〜図18には、本発明のシャワーフックの別の好ましい実施形態を示した(第3実施形態)。図14は、シャワーフックの分解斜視図である。図15は、ニップルと止め輪の説明図である。図16は、シャワーフックを正面側からみた斜視図である。図17は、図16のA−A断面図である。図18は、シャワーフック本体をベースプレートに取り付ける態様を説明する説明図である。第3実施形態では、第1貫通孔の傾斜角度αが0度であり、第2貫通孔の傾斜角度が15度である。
【0045】
ベースプレート3は、平面視で円形状である。ベースプレート3の底面23には、ベースプレート3を浴室壁面に固定するためのビス穴25,25と、底面から起立する円周壁27が設けられている。円周壁27は、ベースプレート3の円周に沿って設けられている。ベースプレート3の中心には、シャワーフック本体を回動させる枢支軸39が設けられている。円周壁27には、止め輪67を嵌め込むための開口77が、スリット状に設けられている。スリット状開口77の両端の円周壁27の内周面には、止め輪67の係止爪76が係止する係止用突部78が、枢支軸39の軸方向に直線状に設けられている。
【0046】
シャワーフック本体5の背面部7には、ニップル65を挿入するための挿入孔41が設けられている。挿入孔41の形状は、ニップル65の頭部71に係合する形状であり、シャワーフック本体5とニップル65とが一緒に回動するように構成されている。
【0047】
シャワーフック本体5とベースプレート3とは、挿入孔41に挿入したニップル65の先端内部に、ベースプレート3の枢支軸39を挿嵌することで固定される。シャワーフック本体5とベースプレート3とをニップル65で固定すると、シャワーフック本体5の裏面43が、ベースプレート3の円周壁27の頂部に当接する。また、シャワーフック本体5とベースプレート3とは、後述するニップル65と止め輪67によっても固定されている。
【0048】
第3実施形態の位置決め機構は、ニップル65と止め輪67を用いる。図15に示すように、ニップル65は、軸部69と、軸部69より拡径した頭部71とを有する。ニップルの頭部71は、六角形状であり、シャワーフック本体5の背面部7に設けられた挿入孔41に係合して、シャワーフック本体5とニップル65とが一緒に回動するように構成されている。図15に示すように、ニップル65の軸部69の先端側には、止め輪67の挟持部75が係合する溝79が周設されている。止め輪67は、端部73と、端部73から立設した略U字形状の一対の挟持部75,75と、挟持部75,75の両側に係止爪76,76とを有する。止め輪67を、ベースプレート3の円周壁27に設けられた開口77から挿嵌すると、係止爪76,76が円周壁27の内周面に設けられた係止用突部78,78に係止する。これにより、止め輪67が、ベースプレート3から抜けるのが防止される。止め輪67を円周壁27の開口77に挿嵌すると、止め輪67の挟持部75がニップル65の溝79に嵌着する。これにより、ニップル65が、止め輪67から抜けるのが防止される。
【0049】
図19は、シャワーフック本体5の回動機構を説明する説明図であり、図17のB−B断面図である。図19に示すように、ニップル65の溝79が形成されている軸部の断面形状は、略四角形状であり、対向する二つの面81,81が平面であり、他の対向する二つの面83,83が、円弧状に形成されている。図19(a)は、シャワーフック本体5がロックされている状態を示している。ニップル65の軸部の平面81,81が、二本の挟持部75、75に挟持されて、挟持部75,75の弾性力によってニップル65の軸部69が固定されている。図19(b)に示すように、シャワーフック本体3を90度回転させると、ニップル65の軸部69の円形状の面83,83が、二本の挟持部75,75を押圧して、挟持部75,75の間隔を広げながら回転する。シャワーフック本体5をさらに90度回転させると、図19(c)に示すように、ニップル65の軸部の平面81,81が、二本の挟持部75,75に挟持されて、挟持部75,75の弾性力によって、ニップル65の軸部69が固定される。
【0050】
前記実施形態1〜3は、第1貫通孔と第2貫通孔の掛止位置を、浴室の上下方向に設定し、シャワーフック本体5を180度回転することにより、第1貫通孔と第2貫通孔のいずれかを選択する態様である。しかし、第1貫通孔と第2貫通孔の掛止位置を、さらに数箇所設けるようにしてもよい。第1貫通孔と第2貫通孔の掛止位置をさらに数箇所設けることによって、例えば、図20に示すように、シャワーヘッド85の吐水方向を数段階に変更することができる。
【0051】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態の形状、構成、配置、材料などを適宜変更することができる。また、各実施形態にて示した構成、配置、材料、形状、数値範囲などの規定は、各々独立に、或いは、何れか2以上の規定を組み合わせて、シャワーフックに適用可能である。
【0052】
本発明のシャワーフックは、上記の様に構成されているので、以下の様な作用効果を奏する。本発明のシャワーフックは、シャワーヘッドを保持する角度を二通りに変えることができる。本発明のシャワーフックは、シャワーフック本体を回転させるだけの構造でああるため、部品点数が少なく安価である。本発明のシャワーフックは、浴室壁面に対して垂直な軸周りに回転するため、シャワー挿入位置が変化しない。
【符号の説明】
【0053】
1:シャワーフック、3:ベースプレート、5:シャワーフック本体、7:背面部、9:把持部、11:正面側開口、13a、13b:貫通孔開口、15:貫通孔、17:ベースプレート背面、19:屈曲部、21a:第1貫通孔、21b:第2貫通孔、23:ベースプレート底面、25:ビス穴、27:ベースプレート円周壁、28:台座、29:固定ビス、31:ロック解除ボタン、33:板ばね、35:ボタン挿入孔、36:突起、37:溝、39:枢軸円筒部、41:ビス挿入孔、43:シャワーフック本体裏面、45:円筒部、46:脚部、47:外周壁、49:保持部、51:突起部、53:板ばね、55:係止片、57:外周壁、59:内周壁、61:架設部材、63:隙間、65:ニップル、67:止め輪、69:軸部、71:頭部、73:端部、75:挟持部、76:係止爪、77:開口、78:係止用突部、79:溝、81:平面、83:円弧状面、85:シャワーヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと
前記ベースプレートに回動可能に取り付けられたシャワーフック本体とを有するシャワーフックであって、
前記シャワーフック本体は、背面部と、背面部から正面側に突き出るように形成された一対の把持部とを有し、前記背面部と一対の把持部とが、正面側と上下方向に開口を有するシャワーヘッド保持用の貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔は、ベースプレートの背面に対してヘの字状に屈曲するとともに、屈曲部から一方の開口に貫通する第1貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度αと、屈曲部から他方の開口に貫通する第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とするシャワーフック。
【請求項2】
前記傾斜角度αと傾斜角度βの差の絶対値(|α−β|)が、5度〜35度である請求項1に記載のシャワーフック。
【請求項3】
前記傾斜角度αが−5度〜10度であって、前記傾斜角度βが5度〜30度である請求項1または2に記載のシャワーフック。
【請求項4】
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを所定の位置で位置決めする位置決め機構を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のシャワーフック。
【請求項5】
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを180度の間隔で位置決めする位置決め機構を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のシャワーフック。
【請求項1】
ベースプレートと
前記ベースプレートに回動可能に取り付けられたシャワーフック本体とを有するシャワーフックであって、
前記シャワーフック本体は、背面部と、背面部から正面側に突き出るように形成された一対の把持部とを有し、前記背面部と一対の把持部とが、正面側と上下方向に開口を有するシャワーヘッド保持用の貫通孔を形成するとともに、前記貫通孔は、ベースプレートの背面に対してヘの字状に屈曲するとともに、屈曲部から一方の開口に貫通する第1貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度αと、屈曲部から他方の開口に貫通する第2貫通孔がベースプレートの背面となす傾斜角度βとが異なることを特徴とするシャワーフック。
【請求項2】
前記傾斜角度αと傾斜角度βの差の絶対値(|α−β|)が、5度〜35度である請求項1に記載のシャワーフック。
【請求項3】
前記傾斜角度αが−5度〜10度であって、前記傾斜角度βが5度〜30度である請求項1または2に記載のシャワーフック。
【請求項4】
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを所定の位置で位置決めする位置決め機構を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のシャワーフック。
【請求項5】
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを180度の間隔で位置決めする位置決め機構を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のシャワーフック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−113050(P2013−113050A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262396(P2011−262396)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(592243553)株式会社タカギ (31)
【Fターム(参考)】
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