説明

シャワーヘッド保持装置

【課題】ネジ機構等により、シャワーヘッドホルダーの位置を容易かつ簡便に調節することができるシャワーヘッド保持装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、長手方向にスリットを有し、内周面に雌ネジが形成されるガイドバーと、このガイドバーの内部に配設される基部、ガイドバーの外部に配設され、シャワーヘッドを係合可能なフック部及びガイドバーのスリットを通じて基部とフック部とを連結する連結部を有するシャワーヘッドホルダーとを備え、上記シャワーヘッドホルダーの基部が、基部本体と、この基部本体に回転自在に軸支され、上記雌ネジに螺合する雄ネジが外周面に形成された円柱状のネジ部とを有し、上記連結部が基部本体に固定されているシャワーヘッド保持装置である。上記基部が、ネジ部を回転駆動するモーターを内蔵するとよい。上記モーターとして、独立駆動可能な複数のモーターを有するとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッド保持装置に関し、詳細には、ネジ機構等によってシャワーヘッドホルダーの位置を容易かつ簡便に調節することができるシャワーヘッド保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、浴室やシャワールーム等には、シャワーヘッドを保持するシャワーヘッドホルダーが壁面等に設置されている。シャワー使用者は、シャワーヘッドをシャワーヘッドホルダーから取り外して使用するほか、シャワーヘッドをシャワーヘッドホルダーに取り付けたまま使用することができる。
【0003】
シャワーヘッドをシャワーヘッドホルダーに取り付けたまま使用する場合、使用者の体格や姿勢等に合わせてシャワーヘッドホルダーの位置が調節できると利便性が高くなる。そこで従来から、浴室やシャワールームの壁面等に縦方向に伸長したガイドバーを固定し、このガイドバーに装着して位置を調節できるようにした可動型シャワーヘッドホルダーが用いられている。
【0004】
この従来の可動型シャワーヘッドホルダーは、まず使用者がシャワーヘッドホルダーをガイドバーに固定するレバー機構等を操作して固定を解除し、その後シャワーヘッドホルダーを任意の位置にスライドさせ、最後に再びレバー機構等を操作してシャワーヘッドホルダーをスライドバーに固定することによって位置を調節する(特開2010−106557号公報等参照)。しかしながら、高齢者や身体の不自由な人等にとっては、レバー機構等の操作や、任意の位置にシャワーヘッドホルダーをスライドさせる動作等を行うことが困難な場合があり、シャワーヘッドホルダーを任意の位置に調節できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−106557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、ネジ機構等によって容易かつ簡便にシャワーヘッドホルダーの位置を調節することができるシャワーヘッド保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、
長手方向にスリットを有し、内周面に雌ネジが形成されるガイドバーと、
このガイドバーの内部に配設される基部、ガイドバーの外部に配設され、シャワーヘッドを係合可能なフック部及びガイドバーのスリットを通じて基部とフック部とを連結する連結部を有するシャワーヘッドホルダーと
を備え、
上記シャワーヘッドホルダーの基部が、基部本体と、この基部本体に回転自在に軸支され、上記雌ネジに螺合する雄ネジが外周面に形成された円柱状のネジ部とを有し、
上記連結部が基部本体に固定されているシャワーヘッド保持装置である。
【0008】
当該シャワーヘッド保持装置は、内周面に雌ネジが形成されるガイドバーと、これに装着されるシャワーヘッドホルダーとを備え、このシャワーヘッドホルダーの基部が、基部本体と、この基部本体に回転自在に軸支され、上記雌ネジに螺合する雄ネジが外周面に形成された円柱状のネジ部とを有するため、シャワーヘッドホルダーのネジ部を回転させることによって、シャワーヘッドホルダーの位置をガイドバーの長手方向に沿って任意に進退させることができる。また、このネジ機構によって、固定機構等を用いることなくシャワーヘッドホルダーの位置を保持することができる。
【0009】
また、当該シャワーヘッド保持装置は、ガイドバーのスリットを通じて基部本体とフック部とを連結する連結部を有する。このため、例えば、この連結部とスリットが当接することによって、ネジ部を除くシャワーヘッドホルダー全体が回転することを防止してネジ部だけを回転させることができる。結果として、シャワーヘッドホルダーをガイドバーの長手方向に移動させることができる。
【0010】
上記基部が、ネジ部を回転駆動するモーターを内蔵するとよい。このように基部がネジ部を回転駆動するモーターを内蔵することによって、シャワーヘッドホルダーを動力で移動させることができる。そのため、シャワーヘッドホルダーの位置操作の容易性を向上させることができる。
【0011】
上記モーターとしては、独立駆動可能な複数のモーターを有するとよい。このように当該シャワーヘッド保持装置が独立駆動可能な複数のモーターを有することによって、モーターの故障に対する当該シャワーヘッド保持装置の冗長性を高めることができる。
【0012】
上記シャワーヘッドホルダーが、フック部を回転可能な枢軸機構を有するとよい。このようにシャワーヘッドホルダーがフック部を回転可能な枢軸機構を有することによって、シャワーヘッドを任意の方向に傾斜させることができる。さらに、シャワーヘッドを当該シャワーヘッド保持装置に装着したままシャワーヘッドホルダーを移動させた場合に、シャワーホースによる引張方向と、シャワーヘッドがフック部に挿通される方向とが一致するようにフック部が回転することができる。結果として、シャワーヘッドがフック部から脱落することを防ぐことができる。
【0013】
上記ガイドバーの中心軸が湾曲しているとよい。このようにガイドバーの中心軸が湾曲していることによって、ガイドバーを任意の三次元方向に曲げて設置することができる。結果として、シャワーヘッドホルダーが移動できる範囲を拡大することができる。
【0014】
上記シャワーヘッドホルダーが、基部の長手方向端に上記モーターの駆動を制御する停止スイッチを備えるとよい。このように上記シャワーヘッドホルダーが基部の長手方向端に上記モーターの駆動を制御する停止スイッチを備えることによって、シャワーヘッドホルダーがガイドバーの終端に達したときに、この停止スイッチが押下されることで上記モーターの回転を停止し、ネジ部の回転を自動的に停止させることができる。
【0015】
上記ガイドバーが、内周面に長手方向の溝を有し、上記シャワーヘッドホルダーの基部が、上記溝に挿入される突出部を有しているとよい。このようにガイドバーが内周面に長手方向の溝を有し、シャワーヘッドホルダーの基部が上記溝に挿入される突出部を有していることによって、シャワーヘッドホルダー全体の回転を防ぐストッパの役割をこの突出部と溝とが担い、連結部とガイドバーのスリットとの当接を避けることができる。そのため、連結部及びスリットの摩耗を防止することができ、結果として、シャワーヘッドホルダーの耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明のシャワーヘッド保持装置は、容易かつ簡便にシャワーヘッドホルダーの位置を調節することができ、高齢者や身体の不自由な人等がシャワーを使用する際の利便性を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るシャワーヘッド保持装置の模式的説明図であって、(a)は当該シャワーヘッド保持装置の模式的平面図であり、(b)は(a)とは異なる方向から見た当該シャワーヘッド保持装置の模式的平面図であり、(c)は当該シャワーヘッド保持装置の模式的斜視図である。
【図2】図1のシャワーヘッド保持装置を構成するガイドバー及びシャワーヘッドホルダーの模式的説明図であって、(a)はガイドバーの模式的平面図であり、(b)はシャワーヘッドホルダーの模式的平面図である。
【図3】図2のシャワーヘッドホルダーとは異なる形態に係るシャワーヘッドホルダーの模式的平面図である。
【図4】図2及び図3のシャワーヘッドホルダーとは異なる形態に係るシャワーヘッドホルダーの模式的平面図である。
【図5】図1のシャワーヘッド保持装置とは異なる形態に掛かるシャワーヘッド保持装置の模式的平面図である。
【図6】図1及び図5のシャワーヘッド保持装置とは異なる形態に掛かるシャワーヘッド保持装置を構成するガイドバー及びシャワーヘッドホルダーの模式的説明図であって、(a)はガイドバーの模式的平面図であり、(b)はシャワーヘッドホルダーの模式的平面図ある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳説する。
図1のシャワーヘッド保持装置1は、ガイドバー2と、シャワーヘッドホルダー3とを備えるシャワーヘッド保持装置である。
【0019】
<ガイドバー2>
図1及び図2に示したガイドバー2は、シャワーヘッドホルダー3が装着される円筒である。ガイドバー2は、内周面に雌ネジ2aが形成されており、長手方向にスリット2b、長手方向の両終端にそれぞれ蓋部2cを有している。ガイドバー2の中心軸は湾曲せず直線状である。ガイドバー2は浴室やシャワールーム等の壁面等に支持棒等を介して固定される。また、ガイドバー2の内部にシャワーヘッドホルダー3の基部4を配設することによってシャワーヘッドホルダー3が装着される。
【0020】
雌ネジ2aは、ガイドバー2の内周面に設けられた雌ネジ(ネジ溝)であり、後述のシャワーヘッドホルダー3のネジ部7が螺合される。
【0021】
スリット2bはガイドバー2の長手方向にその全長に渡って設けられており、後述のシャワーヘッドホルダー3の連結部6を貫通させることができる一定の幅を有している。スリット部の面取り形状は、特に限定されるものではないが、連結部6との摺動性を考慮して適宜決定することが望ましい。
【0022】
蓋部2cは、ガイドバー2の長手方向の両終端に設けられており、この蓋部2cによってシャワーヘッドホルダー3がガイドバー2の終端から脱落することを防ぐことができる。蓋部2cの構造形状はヘッドホルダー3の脱落、つまり基部4の脱落を防ぐことができれば特に限定されるものではなく、例えば、終端部に仕切板を嵌合した構造形状を用いることができる。この仕切板としては円板やドーナツ状板を用いることができる。また、剛性の高い網等を終端部に張架した構造形状を用いることもできる。特に、水切り性の点からはドーナツ状板や網等を用いた構造形状が好ましい。なお、浴室やシャワールーム等の壁面、床面、天井面等に垂直にガイドバー2の終端が当接する場合は、この終端とこの終端に当接する面とによって蓋部2cが形成される。
【0023】
<シャワーヘッドホルダー3>
図1及び図2に示したシャワーヘッドホルダー3は、シャワーヘッドを係合することができるホルダーである。シャワーヘッドホルダー3は、ガイドバー2に格納される基部4と、シャワーヘッドを係合するフック部5と、ガイドバー2のスリット2bを通じて基部4の基部本体4aとフック部5とを連結する連結部6とを有する。
【0024】
基部4は、基部本体4a、ネジ部7及び停止スイッチ8を備える。基部本体4aは、例えば、ガイドバーの内径よりも小径の円柱形状を有する。ネジ部7は雌ネジ2aに螺合する雌ネジが外周面に形成されている。このネジ部7は、基部本体4aの長手方向の一端に備えられ、基部本体4aの長手方向を回転軸として基部本体4aに軸支されている。この軸支の方法としては、例えば、ネジ部7に固定され基部4の長手方向に突出した軸を基部本体4a内部に遊貫させ、この軸を基部本体4a内部に設けた軸受機構で支持し、軸方向には移動しないように拘束する方法等を用いることができる。なお、後述のモーターを基部本体4aに内蔵する場合には、このモーターが軸受機構としての役割を果たす。また、停止スイッチ8は、基部4の長手方向の両端に設けられており、1つは基部本体4aの長手方向端に、もう1つはネジ部7の長手方向端に設けられている。ここで、基部4又は基部本体4aの長手方向とは、ガイドバー2の長手方向と一致する方向を意味する。なお、基部本体4aの形状としては円柱形状に限定されるものではない。基部本体4aの形状は、ガイドバー2の内周面の雌ネジ2aに接触せず、ガイドバー2内に配設できる大きさであればよく、例えば、角柱形状であってもよい。
【0025】
ネジ部7は、雌ネジ2aに螺合される雄ネジを外周面に有する。このネジ部7は回転によってガイドバー2の内部を長手方向に進退することができる。雌ネジ2a及びネジ部7のリードの大きさ(ピッチの大きさ及び条数)は、特に限定されるものではないが、シャワーヘッドホルダー3の、ネジ部7の回転速度に対する移動速度及び静止時の位置保持性を考慮して適宜決定することが望ましい。このシャワーヘッドホルダー3の移動速度は、操作性と迅速性とを考慮して、10m/分以上50m/分以下とすることが望ましい。また特に、位置保持性の観点から雌ネジ2a及びネジ部7の、直径に対するピッチの比は、1以下であることが望ましい。
【0026】
また、シャワーヘッドホルダー3は、基部4が有するネジ部7が雌ネジ2aに螺合されることによって、ネジ部7が回転しない限り、シャワーヘッドの重量やシャワー吐出時の反動力が加わっても長手方向の位置を保持することができる。ネジ部7の厚さ(ガイドバー2の長手方向の長さ)は特に限定されるものではないが、ピッチの大きさを考慮して十分な位置保持性が発揮される厚さを適宜決定することが望ましい。
【0027】
なお、ネジ部7と基部本体4aとの間にはいくらかの空隙が設けられている。また、ネジ部7を基部本体4aに軸支する軸は、ガイドバー2の中心軸に対してある程度傾斜することができる遊びを有する。これによって、ガイドバー2がある程度の湾曲を有していても、ネジ部7と基部本体4aとの間にガイドバー2の中心軸に対する傾斜が生じるため、ガイドバーの内面に沿って基部4を支障なく移動させることができる。
【0028】
シャワーヘッドホルダー3は、モーターを基部4に内蔵しており、このモーターによってネジ部7が回転される。これによって、上述のようにガイドバー2の雌ネジ2aに螺合されているネジ部7がガイドバー2の長手方向に進退する。ネジ部7は基部本体4aに上述の方法で軸支されているため、ネジ部7の進退により基部4もガイドバー2の長手方向に進退し、結果としてシャワーヘッドホルダー3がガイドバー2の長手方向に沿って移動する。また、ネジ部7の回転方向を逆向きにすることによって、シャワーヘッドホルダー3を逆方向に移動させることができる。
【0029】
上記モーターとしては、例えば、整流子モーターやブラシレスモーター等を用いることができる。また、このモーターは基部4a、ネジ部7のいずれに内蔵されてもよい。また、モーターの出力軸をネジ部7に直接接続してもよいし、回転速度を調節するためにギア等の伝達機構を介して接続してもよい。
【0030】
上記モーターの数は、特に限定されるものではなく、1個でもよいし、独立駆動可能なモーターを複数内蔵してもよい。独立駆動可能なモーターを複数内蔵する場合、1つのモーターに故障が生じた場合にも、他のモーターにより動力が確保されるため、故障に対する冗長性を高めることができる。なお、モーターを1個内蔵する場合又は回転方向が全て同じである複数のモーターを内蔵する場合は、モーターの内部又は外部に逆転機構を設けることによりネジ部7の回転方向を変えることができる。一方で、複数のモーターを内蔵し、この中に回転方向の異なるモーターを有する場合は、ネジ部7と接続されるモーターを切り替えるクラッチ機構を設けることにより、ネジ部7の回転方向を変えることができる。
【0031】
また、上記モーターの電源としては、電池を用いることができる。具体的には、例えば、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、リチウム電池等の一次電池、リチウムイオン電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・水素電池等の二次電池等を用いることができる。この電池は、シャワーヘッドホルダー3に内蔵してもよく、外部に配設してもよいが、当該シャワーヘッド保持装置1への電力供給用の配線が不要となって施工性及び意匠的価値を高めることができることから、シャワーヘッドホルダー3に電池を内蔵することが好ましい。
【0032】
上記モーターの駆動・停止・回転方向変更等の制御は、別置のリモートコントローラー等による遠隔操作としてもよいし、シャワーヘッドホルダー3に直接操作ボタン等を設けて行ってもよい。また、予めガイドバー2上の位置を記憶させたメモリー等を制御機構内に用意しておき、上記リモートコントローラーや操作ボタン等を用いてこの記憶させた位置を使用者が指定すると、指定した位置にシャワーヘッドホルダー3が到達するまでモーターが駆動し、指定位置に到達後に自動的にモーターが停止する自動運転機能を持たせることもできる。なお、リモートコントローラーを用いる場合は、操作性向上および意匠的価値維持の観点から、無線方式とすることが好ましい。
【0033】
停止スイッチ8は、基部4の長手方向の両端にそれぞれ設けられ、ネジ部7の回転によりガイドバー2内を進退する基部4がガイドバー2の終端に達した際に、蓋部2cと基部4とに挟まれることによって押下される停止スイッチである。この停止スイッチ8の押下により、ネジ部7を回転させるモーターが停止し、ネジ部7、モーター、軸等に過トルクが加わってこれらが破損することを防ぐことができる。停止スイッチ8の押下でモーターを停止させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、上記停止スイッチ8の押下によって電源とモーター間の電力供給回路が操作され、モーターへの電力が遮断される機構等を用いることができる。なお、停止スイッチ8の形状は、図1及び図2では平面状スイッチとしたが、蓋部2cと当接して反応するものであれば特に限定されるものではなく、棒状の突出スイッチでもよく、感圧式のセンサ等を用いてもよい。
【0034】
フック部5は、中央部に上下に貫通する貫通口を有し、この貫通口の周方向の一部にシャワーホースが挿通可能な挿通口が形成されている。また、この貫通口は、下端部の内径が上端部の内径よりも小さくなったテーパ形状に形成されている。この貫通口にシャワーヘッドが上側から挿入され、貫通口の内面や上端縁で支持されることによりシャワーヘッドを係合することができる。
【0035】
上記フック部5は、枢軸機構によって、基部4との連結方向(ガイドバー2の半径方向)を回転軸として、この回転軸に垂直な面内で無段階に回転することができる。これによって、シャワーヘッドを任意の方向に傾斜させることができる。さらに、シャワーヘッドを装着したシャワーヘッドホルダー3がガイドバー2に沿って移動するときに、シャワーホースによる引張力等が作用する方向と貫通口の貫通方向が一致する向きにフック部5が回転し、シャワーヘッドに掛かるこの引張力等を貫通口のテーパで受けることができる。結果として、フック部5からシャワーヘッドが脱落することを防ぐことができる。この枢軸機構としては、例えば、フック部5及び連結部6を遊貫する軸と、フック部5及び連結部6内に設けた軸受とからなる機構等を用いることができる。
【0036】
連結部6は、スリット2bを介してガイドバー2を内部から外部へ貫通し、基部本体4aとフック部5とを連結している。この連結部6及びスリット2bは、これらの部位が当接することによってネジ部7から基部4に伝わる回転運動を受け止め、ネジ部7を除いたシャワーヘッドホルダー3全体が回転することを防ぐストッパの役割を果たす。これによって、シャワーヘッドホルダー3がガイドバー2の円周方向に回転することを防いでネジ部7だけを回転させることができ、結果として、シャワーヘッドホルダー3をガイドバー2の長手方向に移動させることができる。この連結部6の形状は、上述の働きを奏するものであれば特に限定されるものではないが、シャワーヘッドの重量及びシャワーヘッドホルダー3の移動時(ネジ部7の回転時)にスリット2bから受ける力に対する強度、スリット2bとの摺動性等を考慮して適宜決定することが望ましい。また、スリット2bの幅がシャワーホースの径よりも大きいと、シャワーホースがスリット2bを介してガイドバー2の内部に侵入し、シャワーヘッドホルダー3の移動機能を阻害するおそれがあるため、スリット2bの幅がシャワーホースの径よりも小さくなるような形状を連結部6が有することが好ましい。
【0037】
当該シャワーヘッド保持装置1は、モーターでネジ部7を回転させることによってガイドバー2の長手方向にシャワーヘッドホルダー3を移動させることができ、またこのネジ部7の回転を停止させることによってシャワーヘッドホルダー3の位置を保持することができる。そのため、モーターの駆動・停止等の操作のみで、シャワー使用者がシャワーヘッドホルダー3の位置調整を容易かつ簡便に行うことができる。さらに、当該シャワーヘッド保持装置1は、従来のシャワーヘッド保持装置と同等の構成品から構成されているため、従来の浴室やシャワールーム等への施工が容易であり、また、意匠的価値を損なうことなく適用することができる。
【0038】
<その他の実施形態>
本発明のシャワーヘッド保持装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、以下のような実施形態とすることもできる。
【0039】
上記シャワーヘッド保持装置1は図2に示すように基部4の長手方向の端にネジ部7を備えているが、ネジ部7の位置はこの位置に限定されるものではない。例えば、図3に示すように、基部4の長手方向中央付近に設けることもできる。このようにネジ部7を基部4の長手方向中央付近に設けることによって、重心が基部4の長手方向の中心に近づくため、シャワーヘッドホルダー3の移動時及び静止時の揺動を防止することができる。
【0040】
また、基部4はネジ部7を複数備えることもできる。例えば、図4に示すように、基部4に2つのネジ部7a及び7bを設けることもできる。このように2つのネジ部7a及び7bを有することで、移動時及び静止時の揺動を防止することができる。基部4は1個のモーターを内蔵してもよく、独立駆動する複数のモーターを内蔵してもよい。1個のモーターを内蔵する場合は、モーターの出力軸にギア機構等を接続し、このギア機構等によって出力軸を分岐させてネジ部7a及び7bに接続し、ネジ部7a及び7bをそれぞれ回転させることができる。独立駆動可能な複数のモーターを内蔵する場合には、各モーターの出力軸を上述のようにそれぞれ分岐してネジ部7a及び7bに接続してもよいし、出力軸を分岐させずネジ部7a及び7bのどちらか1つに各モーターを振り分けて接続してもよい。また、ネジ部は3つ以上設けてもよい。
【0041】
図5のシャワーヘッド保持装置11は、ガイドバー12と、シャワーヘッドホルダー3とを備えるシャワーヘッド保持装置である。シャワーヘッドホルダー3は、上記図1のシャワーヘッド保持装置1と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
【0042】
ガイドバー12は、シャワーヘッドホルダー3が装着される円筒である。ガイドバー12は、内周面に雌ネジが形成されており、長手方向にスリット12b、長手方向の両終端にそれぞれ蓋部12cを有しており、さらに湾曲部12dを有する。上記雌ネジ、スリット12b、蓋部12cは、図2のガイドバー2と同様である。
【0043】
湾曲部12dは、ガイドバー12の中心軸が湾曲を有している部位である。この湾曲部12dは、シャワーヘッドホルダー3の基部4(ネジ部7)が、ガイドバー12内を支障なく進退できる範囲内の曲率を有している。
【0044】
この湾曲部12dをシャワーヘッドホルダー3が円滑に移動できるように、ネジ部7の厚さ(ガイドバー12の長手方向の長さ)を小さくすることが好ましい。そのために、モーター等は基部本体4aに内蔵されることが好ましい。
【0045】
当該シャワーヘッド保持装置11は、ガイドバー12が湾曲部12dを有することによって、直線(1次元)方向のみでなく、任意の3次元方向にガイドバー12を曲げて設置することができる。これによって、シャワーヘッドホルダー3を移動させることができる範囲を飛躍的に拡大することができる。結果として、シャワー使用者の利便性が格段に向上する。
【0046】
また、ガイドバー12は可撓性を有していてもよい。ガイドバー12が可撓性を有することによって、シャワー使用者は、ガイドバー12の湾曲部12dの曲率、位置、方向等を調整することができる。結果として、シャワー使用者の利便性を向上させることができる。
【0047】
なお、図5ではガイドバー12が、スリット12bが内側を向く方向に中心軸が湾曲しているが、スリット12bが側面側又は外側を向くように湾曲させてもよい。
【0048】
図6のガイドバー22及びシャワーヘッドホルダー23は、上述のシャワーヘッド保持装置とは異なる実施形態のシャワーヘッド保持装置を構成する。
【0049】
ガイドバー22は、シャワーヘッドホルダー23が装着される円筒である。ガイドバー22は、内周面に雌ネジ22aが形成されており、長手方向にスリット22b、長手方向の両終端にそれぞれ蓋部22cを有しており、さらに溝22eを有する。雌ネジ22a、スリット22b、蓋部22cは、図1のガイドバー2と同様である。
【0050】
溝22eは、ガイドバー22の内周面に、スリット22bと平行に長手方向全長に渡って設けられている。この溝22eは、後述のシャワーヘッドホルダー23の基部24が有する突出部9が挿入可能な幅を有する。
【0051】
シャワーヘッドホルダー23は、基部24、フック部5、連結部6を有する。基部24は、基部本体4a、ネジ部7、停止スイッチ8、突出部9を備える。フック部5、連結部6、基部本体4a、ネジ部7、停止スイッチ8は、上記図1及び図2のシャワーヘッドホルダー3と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
【0052】
突出部9は、基部24からガイドバー22の内周面に向かってガイドバー22の半径方向に突出しており、上記溝22eに挿入される。この突出部9が溝22eに挿入されることによって、ネジ部7から基部24に伝わる回転運動が突出部9と溝22eとで受け止められ、シャワーヘッドホルダー23全体の回転が防止される。これによって、連結部6とスリット22bとの当接を避けることができ、シャワーヘッドホルダー23の移動時に連結部6とスリット22bとが摺動して摩耗することを防止することができる。結果として、シャワーヘッドホルダー23の耐久性を向上させることができる。この突出部9の形状としては、例えば、ガイドバー22の半径方向に突出し、突出した側の端を半球状とした円柱形状とすることができる。突出部9がこのような形状を有することによって、溝22eとの接触面を最小限にすることができ、シャワーヘッドホルダー23の移動時における突出部9及び溝22eの摺動性を高めることができる。
【0053】
なお、ガイドバー22の円周方向における突出部9及び溝22eの位置は特に限定されるものではなく、加工性等を考慮して適宜決定することができる。また、溝22eは図5ではガイドバー22の外側まで貫通していないが、外側まで貫通していてもよい。
【0054】
また、基部24は、図3に示すように長手方向中央付近にネジ部7を備えてもよいし、図4に示すようにネジ部7を複数備えてもよい。また、ガイドバー22が、図5に示すような湾曲部を有してもよい。
【0055】
本発明のシャワーヘッド保持装置は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、モーターを内蔵せずに、当該シャワーヘッド保持装置の外部に動力機構を設けて、動力伝達ワイヤでネジ部7を回転させてもよい。また、モーターの電源として上述の電池以外に、家庭用電源を用いることもできる。モーターや電源を浴室やシャワールーム等の外部に設置した場合は、モーターや電源の耐水構造等が不要となり、当該シャワーヘッド保持装置の製造コストを低減させることができる。
【0056】
さらに、手動でネジ部7を回転させる機構を付加することもできる。具体的には、例えば、ネジ部7に、回転軸方向にガイドバーの外部まで延伸させたクランク式のハンドルを取り付け、これを手動で回転させる機構等を用いることができる。ネジ部7の回転を手動で行うことで、モーターや停止スイッチが不要となりコスト低減ができるほか、モーター等の故障による不具合を低減することができる。
【0057】
また、シャワーヘッドホルダーがフック部を回転可能な枢軸機構を有さず、フック部が連結部と一体形成されていてもよい。フック部と連結部とを一体形成することにより、当該シャワーヘッド保持装置の製造コストを低減させることができる。
【0058】
また、シャワーヘッドホルダーの基部が停止スイッチを有さず、別の動力停止機構を備えていてもよい。この動力停止機構としては、例えば、一定値以上のトルクがモーターに加わった時にモーターへの電力供給を遮断するセンサを有する機構等を用いることができる。
【0059】
また、ガイドバーのスリットはガイドバーの中心軸に対して平行である必要はなく、全体的又は部分的に傾斜を有していてもよい。スリットがこのような傾斜を有することで、シャワーヘッドホルダーのガイドバー円周方向の向きを調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明のシャワーヘッド保持装置は容易かつ簡便にシャワーヘッドホルダーの位置を調節することができ、高齢者や身体の不自由な人等のシャワー使用時の利便性を格段に向上させることができる。そのため、そのような人等が使用する浴室やシャワールーム等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1、11、21 シャワーヘッド保持装置
2、12、22 ガイドバー
2a、22a 雌ネジ
2b、12b、22b スリット
2c、12c、22c 蓋部
3、23 シャワーヘッドホルダー
4、24 基部
4a 基部本体
5 フック部
6 連結部
7 ネジ部
8 停止スイッチ
9 突出部
12d 湾曲部
22e 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向にスリットを有し、内周面に雌ネジが形成されるガイドバーと、
このガイドバーの内部に配設される基部、ガイドバーの外部に配設され、シャワーヘッドを係合可能なフック部及びガイドバーのスリットを通じて基部とフック部とを連結する連結部を有するシャワーヘッドホルダーと
を備え、
上記シャワーヘッドホルダーの基部が、基部本体と、この基部本体に回転自在に軸支され、上記雌ネジに螺合する雄ネジが外周面に形成された円柱状のネジ部とを有し、
上記連結部が基部本体に固定されているシャワーヘッド保持装置。
【請求項2】
上記基部が、ネジ部を回転駆動するモーターを内蔵する請求項1に記載のシャワーヘッド保持装置。
【請求項3】
上記モーターとして、独立駆動可能な複数のモーターを有する請求項2に記載のシャワーヘッド保持装置。
【請求項4】
上記シャワーヘッドホルダーが、フック部を回転可能な枢軸機構を有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載のシャワーヘッド保持装置。
【請求項5】
上記ガイドバーの中心軸が湾曲している請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシャワーヘッド保持装置。
【請求項6】
上記シャワーヘッドホルダーが、基部の長手方向端に上記モーターの駆動を制御する停止スイッチを備える請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のシャワーヘッド保持装置。
【請求項7】
上記ガイドバーが、内周面に長手方向の溝を有し、
上記シャワーヘッドホルダーの基部が、上記溝に挿入される突出部を有している請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシャワーヘッド保持装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−2232(P2013−2232A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137235(P2011−137235)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【特許番号】特許第5043214号(P5043214)
【特許公報発行日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【出願人】(598114848)
【Fターム(参考)】