説明

シャワーヘッド

【課題】
シャワーフェイスの先端寄りの散水孔からの散水も他の部位の散水孔からの散水と同様に、水勢を損なわないようにして、シャワーフェイス全体から水勢の均一な散水を得ることができる快適なシャワーヘッドを提供すること。
【解決手段】
散水孔76全体が細長状に配置されたシャワーフェイス70を有するとともに、内部に湯水を流通させるパイプ30を備えたシャワーヘッド1において、シャワーフェイス70の裏側に配置されパイプ30に連通する開口部60を、散水孔76全体の長手方向にその長手方向を一致させた細長状に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に備えられるシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シャワーヘッドのデザインニーズは多様化しており、これに伴って、図9に示すように、シャワーフェイス101の平面視形状(及びシャワーフェイス101に開設される多数の散水孔102の分布位置)も多様化している。具体的には、従来はほぼ真円形状のものが多かったのであるが、シャワーヘッド先端に向かって細長の矩形形状や、同じく細長の長円形状・楕円形状のものなども用いられるようになっている。ところで従来、このような矩形形状や長円形状など、細長のシャワーフェイス101を備えたシャワーヘッドであっても、シャワーフェイス101裏側に湯水を供給するためにシャワーフェイス101裏側に開設された開口部104は、その平面視形状がほぼ真円形状であったり、あるいは、シャワーフェイスの先端側まで十分に延設されず正方形に近いような形状のものであった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特表2000−513987号公報(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したようなシャワーヘッドでは、細長に形成されたシャワーフェイス101の先端寄りの散水孔102には十分な量・水圧の湯水を供給することが困難であり、このようなシャワーフェイス101の先端寄りの散水孔102からの散水の勢いが落ち、シャワーフェイス全体から均一の散水を吐出できないと言う問題を生じていた。
【0005】
本発明は上記した従来のシャワーヘッドの問題点を解消するものであり、シャワーフェイスの先端寄りの散水孔からの散水も他の部位の散水孔からの散水と同様に、水勢を損なわないようにして、シャワーフェイス全体から水勢の均一な散水を得ることができる快適なシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために本発明の採った手段を以下に説明する。本発明のシャワーヘッドは「散水孔全体が細長状に配置されたシャワーフェイスを有するとともに、内部に湯水を流通させる内部流路部材を備えたシャワーヘッドにおいて、前記シャワーフェイスの裏側に配置され前記内部流路部材に連通する開口部が、散水孔全体の長手方向にその長手方向を一致させた細長状に形成されていることを特徴とするシャワーヘッド。」(請求項1)である。
【0007】
シャワーフェイス裏側に配設される開口部が、散水孔全体の配置に沿わせて細長状に形成されているので、散水孔全体の先端付近の部位においても十分な量・水圧の湯水が供給される。よって、このような部位における散水孔からの散水の水勢は、他の部位(例えば、散水孔全体の基端寄りの部位)からの散水と同様に、十分な水勢を得ることができる。
【0008】
本発明において、開口部の形状は、矩形形状、楕円形状、長円形状など、散水孔全体の配置形状に合わせた細長に形成されていればよい。
【0009】
また、上記したシャワーヘッドにおいて、前記開口部内の先端寄りの部位に、前記開口部の後方の部位を遮るように形成された隔壁を設けることとしても良い(請求項2)。
【0010】
このような「隔壁」を設けることにより、開口部内の特に先端付近の湯水の封水性を向上させることができる。よって、散水孔からの散水を止めたときに起こる水垂れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明はシャワーヘッドの開口部が上記のように散水孔全体の配置形状に合わせて細長状に形成されているので、各散水孔からの水勢を均一にすることができ、使用者に快適なシャワー散水を提供することができるシャワーヘッドとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明のシャワーヘッドの実施の形態を図を参考にして説明する。図1に示すように、本発明のシャワーヘッド1には、シャワーフェイスカバー80と、シャワーフェイス70と、インナー50と、シャワーヘッド1の本体2とが備えられている。また、本体2の把持部3内には、本体2のヘッド部4方向に湯水を供給するためのパイプ30と、このパイプ30を把持部3基端側内に収容固定するジョイント10が備えられている。そしてこのジョイント10の基端部には、図示しないシャワーホースが接続されて、シャワーヘッド1に湯水が供給される。
【0013】
シャワーヘッド1全体は、図5にも示すように、ヘッド部4がやや屈曲形成された縦長の有底筒状に形成されており、その断面が長円形状に形成されて全体として扁平な形状に形成されている。
【0014】
ジョイント10は、断面が長円形状の円筒状に形成されており、シャワーヘッド1の本体2の把持部3内に摺接嵌合する形状に形成され、把持部3内に収容保持可能に設けられている。ジョイント10の基端側にはジョイント10の本体外径よりも小径に形成された周溝12が設けられている。また、先端側の端部には、後述するパイプ30の突条40が嵌合する凹部13が設けられている。凹部13は、ジョイント10の断面短手方向の対向する位置に二つ、それぞれジョイント10の軸心方向に沿って凹設されている。
【0015】
また、周溝12が設けられた部位よりもやや先端側のジョイント10内部には、パイプ30の基端部32が挿嵌接続可能に設けられた接続口14が形成されている。接続口14の奥側内周面には内方向に突設された突起16が設けられており、パイプ30が接続口14に挿嵌接続される際には、パイプ30基端側の端面がこの突起16に係止されることにより、接続口14内におけるパイプ30の位置決めがなされる。また、周溝12よりも基端側のジョイント10の外周面には、係止突起17が突設されており、ジョイント10が把持部3内に挿嵌される際に、係止突起16が把持部3基端側の段部8に係止されることにより、ジョイント10の把持部3に対する位置決めがなされる。また、ジョイント10の基端側には、図示しないシャワーホースの接続金具が固定可能に設けられた接続口18が設けられている。
【0016】
パイプ30は、本発明に言う「内部流路部材」の一例であり、先端がやや屈曲形成された筒状に形成されており、基端外周面には、前述したジョイント10の接続口14との水密を図るシール部材33が、先端外周面には、後述するインナー50の接続部52との水密を図るシール部材33がそれぞれ取り付けられている。また、屈曲部34の基端外周面には、屈曲部34が挿嵌接続される接続部52に対して位置決めを行うために接続部52端面に当接可能な突条36が周設されている。また、パイプ30のストレート部38のほぼ中央付近外周面の上下には、前述したジョイント10の凹部13と嵌合する突条40が、ストレート部38の軸心方向に沿ってそれぞれ突設されている。
【0017】
このように構成されたジョイント10及びパイプ30は、前述したように、パイプ30の基端部32がジョイント10の接続口14に挿嵌接続されるとともに、突条40が凹部13に嵌合されることによりジョイント10に対するパイプ30の軸心周り方向の位置決めがなされつつ、パイプ30とジョイント10が固定される。また、このようにして固定されたパイプ30とジョイント10は、パイプ30先端側よりシャワーヘッド1の把持部3基端側の開口部7から把持部3内に挿嵌される。ジョイント10は、開口部7奥側に収容保持されるが、この際に、把持部3の取付孔5よりブッシュ11が周溝12に嵌合取り付けされて、把持部3に対するジョイント10の抜け止めを行う。
【0018】
また、シャワーヘッド1の本体2の先端側のヘッド部4は、把持部3に対して若干屈曲形成されているが、このヘッド部4の屈曲形成された部位の内側面には、インナー50などが収容される収容室6が開口されている。次いで、この収容室6に収容されるインナー50などについて説明する。
【0019】
図2に示すように、インナー50は、横断面がほぼ長円形状の円筒状の全体形状に形成されており、その下面には、前述したパイプ30の先端側が挿嵌接続される接続部52が突設されている。また、接続部52寄りのインナー50の軸心周り外周面には、インナー50に被せられるシャワーフェイス70との水密を図るためのシール部材54が装着されている。
【0020】
また、インナー50の側面には、ストレーナ56を取付固定するために僅かに凹設された矩形状の凹部58が形成されている。そして、この凹部58の中央付近に開口部60が開設されている。開口部60は、インナー50外側に向けて、縦長のほぼ矩形形状に開設されており、幅約13mm、長さ約40.9mmに形成されている。また、この開口部60は、図3及び図4に示すように、パイプ30が接続される接続部52と、インナー50内の中央部に円筒状に形成された流入室62にて連通されている。
【0021】
また、図3に示すように、流入室62の開口部60寄りの上端面からは、開口部60に向き合うように約10mm垂下された隔壁64が突設されている。隔壁64は、開口部60の上方寄りの後方の部位を遮るように形成されており、開口部60内の先端付近の湯水の封水性を向上させることができ、散水孔76からの散水を止めたときに起こる水垂れを抑制している。
【0022】
次いで、シャワーフェイス70について説明する。シャワーフェイス70は、横断面がほぼ長円形状の円筒状の全体形状に形成されており、内部にインナー50を収容保持可能に、インナー50が底部開口部72から挿嵌可能な有底円筒状に形成されている。シャワーフェイス70の正面側には、幅約31.6mm、長さ約51.6mmの長円形状のフェイス部74が正面側に突設されている。このフェイス部74には65個の散水孔76がほぼ均一に配設されており、散水孔76全体も細長のほぼ長円形状に配設されている。また、このフェイス部74を挟んだシャワーフェイス70の本体の左右には、上下にそれぞれ、後述するシャワーフェイスカバー80の係止孔82に係止する係止突起78が設けられている。そして、ストレーナ56を取り付けられたインナー50がシャワーフェイス70に挿嵌され、これらが一体となったものが、ヘッド部4の開口部7から収容室6内へ収容されつつ、インナー50の接続部52内にパイプ30の先端部が挿嵌接続される。
【0023】
次いで、シャワーフェイスカバー80について説明する。シャワーフェイスカバー80は、横断面がほぼ長円形状の円筒を縦方向に半割した全体形状に形成されており、前述したシャワーフェイス70のフェイス部74側に被覆可能な形状に設けられている。シャワーフェイスカバー80の正面側中央には、フェイス部74が嵌合かつ露呈可能に開設された長円形状の開口部84が形成されている。
【0024】
また、シャワーフェイスカバー80の左右側部には、上下にそれぞれ、前述したシャワーフェイス70の係止突起78が係止される係止孔82が設けられている。また、図1にも示すように、シャワーフェイスカバー80の上端面からシャワーフェイスカバー80後方に向かって舌片86が突設されており、この舌片86に、シャワーヘッド1の収容室6の開口部7付近の上部壁面から突設される係止突起9が係止される係止孔88が開設されている。また、シャワーフェイスカバー80の下端内側には、収容室6の開口部7下部に係止される係止突起90が二つ突設されている。シャワーフェイスカバー80は、係止孔82がシャワーフェイス70に係止され、係止孔88及び係止突起90がヘッド部4に係止されることにより、シャワーヘッド1に固定されている。
【0025】
このように構成されたシャワーヘッド1では、シャワーフェイス70のフェイス部74、より正確に言えば、フェイス部74に配設された各散水孔76の配置に合わせて、フェイス部74に湯水を吐出するインナー50の開口部60の形状が細長の矩形形状に形成されているので、フェイス部74の先端側にも十分な湯水が供給される。よって、図5に示すように、フェイス部74の先端側の散水孔76も含めて、フェイス部74の各散水孔76からは十分な水勢の散水を得ることができる。また、隔壁64により圧力損失を低減し、フェイス部74の先端側の水勢をより確実に得ることができる。
【0026】
本発明は上記した実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、インナー50の開口部60の形状は矩形形状に限られず、図6に示すように、細長の楕円形状に形成することとしても良い。また、図7に示すように、細長の長円形状としても良い。また、図8に示すように、上下に長い鼓状に設けることとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のシャワーヘッドの縦断面図である。
【図2】シャワーフェイスカバー、シャワーフェイス、ストレーナー及びインナーの分解斜視図である。
【図3】インナーの側面視縦断面図である。
【図4】インナーの正面視縦断面図である。
【図5】散水状態を示すシャワーヘッドの一部斜視図である。
【図6】別のインナーの正面図である。
【図7】さらに別のインナーの正面図である。
【図8】さらに別のインナーの正面図である。
【図9】従来のシャワーヘッドの構成部品の一部の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1;シャワーヘッド、2;本体、3;把持部、4;ヘッド部、5;取付孔、6;収容室、7;開口部、8;段部、9;係止突起、10;ジョイント、11;ブッシュ、12;周溝、13;凹部、14;接続口、16;突起、17;係止突起、18;接続口、30;パイプ、32;基端部、33;シール部材、34;屈曲部、36;突条、38;ストレート部、40;突条、50;インナー、52;接続部、54;シール部材、56;ストレーナ、58;凹部、60;開口部、62;流入室、64;隔壁、70;シャワーフェイス、72;底部開口部、74;フェイス部、76;散水孔、78;係止突起、80;シャワーフェイスカバー、82;係止孔、84;開口部、86;舌片、88;係止孔、90;係止突起。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水孔全体が細長状に配置されたシャワーフェイスを有するとともに、内部に湯水を流通させる内部流路部材を備えたシャワーヘッドにおいて、前記シャワーフェイスの裏側に配置され前記内部流路部材に連通する開口部が、散水孔全体の長手方向にその長手方向を一致させた細長状に形成されていることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記開口部内の先端寄りの部位に、前記開口部の後方の部位を遮るように形成された隔壁を設けたことを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−307468(P2007−307468A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138147(P2006−138147)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】