説明

シャワーヘッド

【課題】複数のシャワー水噴射孔を有し、シャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水を基準軸に対して異なる噴射角度でシャワー水を噴射できるとともに、成形金型を簡素化でき、かつ、組立性も向上するシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】曲線または直線上に並ぶ複数のシャワー水噴射孔を有し、これらのシャワー水噴射孔が、設定された基準軸に対して同じ交差角となるように形成されているとともに、各シャワー水噴射孔のシャワー水噴射方向には、シャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水が入り込むシャワー水ガイド溝がそれぞれ形成されており、これらのシャワー水ガイド溝のうち、少なくともいずれかのシャワー水ガイド溝が、シャワー水の噴射角度を他のシャワー水ガイド溝と異なる角度にガイドする溝形状に形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
シャワーヘッドが環状をしたシャワー用の湯あるいは水が通水される2つの通水路を有し、このシャワーヘッドの第1の通水路に設けられた多数のシャワー水噴射孔から噴射された多数の噴射シャワー水が使用者の頭部外径より大きな径をした環状あるいは略環状をしたカーテン状シャワーを形成するとともに、第2の通水路に設けられた多数のシャワー水噴射孔から通水路の中心軸方向に向かってシャワー水を噴射させるようにしたシャワー装置が既に提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、このシャワー装置の場合、第1の通水路のシャワー水噴射孔から噴射された噴射シャワー水によって環状をしたカーテン状シャワーを水膜状に形成するようにしたので、カーテン状シャワーの内側がシャワー水の熱によって暖かい雰囲気に保たれ、冬場においてもシャワー水のみで十分に身体を温めることができるとともに、頭を濡らすことなく身体を洗うことができる。
また、第2の通水路に設けられた多数のシャワー水噴射孔から通水路の中心軸方向に向かってシャワー水を噴射させるようにしたので、第2の通水路にシャワー水を通水するようにすれば、従来のシャワー装置のように手でシャワーヘッドを持ったりすることなく、両手で頭や身体を洗うことができる。
【0004】
しかしながら、上記のシャワー装置の場合、第2の通水路のシャワー水噴射孔から噴射される噴射シャワー水が放射状に拡がるようになっているため、使用者に直接当たるシャワー水は、分散されているため、洗髪等に使用するには効率が悪く、使用感に乏しい。
また、第1の通水路および第2の通水路を備えたシャワー装置本体部をスライドバー等に支持させて、シャワー装置本体部をスライドバーに沿って上下させて背の異なる使用者でも効率よく洗髪等を行えるようにすることもできるが、シャワー装置本体部はその直径が大きいため、シャワー装置本体部に手を掛けて上下させるためには、かなりの荷重に耐える支持構造としなければならず、コストがかかるという問題がある。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、本発明の発明者らは、環状あるいは略環状をしたシャワー用の湯あるいは水が通水される2つの通水路を有し、第1の通水路に設けられた多数のシャワー水噴射孔から噴射された多数の噴射シャワー水が使用者の頭部外径より大きな径をした環状あるいは略環状をしたカーテン状シャワーを形成するとともに、第2の通水路に設けられた多数のシャワー水噴射孔から通水路の中心軸方向に向かってシャワー水を噴射させるようにしたシャワーヘッドであって、第2の通水路に設けられた多数のシャワー水噴射孔からシャワー水を線状に噴射するとともに、これらの多数のシャワー水噴射孔のうち、一部の複数のシャワー水噴射孔は、噴射された噴射シャワー水が、第1仮想集合点で衝突して集合するように噴射角度で第2の通水路の壁面に穿設され、残部のシャワー水噴射孔は、残部のシャワー水孔の少なくとも一部の複数のシャワー水噴射孔が前記第1仮想集合点に対して高さ位置が異なる第2仮想集合点で衝突して集合するように噴射角度で第2の通水路の壁面に穿設されているシャワーヘッドを備えたシャワー装置を既に提案している(特願2005−147812号)。
【0006】
すなわち、上記シャワー装置によれば、第2の通水路から噴射された噴射シャワー水が少なくとも第1仮想集合点および第2仮想集合点の高さの異なる2箇所で集合し、太い流れになって落下する。したがって、シャワー装置本体部を上下させなくても、背丈の異なる使用者が快適に洗髪等を効率よく行えるようになる。
ところで、シャワー装置のシャワーヘッドは、通常樹脂成形品で形成されているが、上記のように、角度が異なるシャワー水噴射孔を備えたシャワーヘッドを1つの成形品で得ようとすると、噴射角度毎に異なる角度で離型する必要があり、成形金型構造が複雑になるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の発明者らは、シャワーヘッドを、シャワー水通水路となる溝状凹部を有し、この溝状凹部の側壁面に角度の異なるシャワー水噴射孔形成用溝が穿設されたシャワーヘッド本体と、前記溝状凹部の開口部入り口に嵌まり込んで、溝状凹部の開口部を閉じるとともに、蓋側壁面がシャワー水噴射孔形成用溝の開口部を水密に塞ぐ蓋部材とからなる複数の部材で構成しようと考えた。
【0008】
しかしながら、シャワーヘッドを上記のような構造とした場合、成形金型の構造は単純になるのであるが、角度の異なるシャワー水噴射孔形成用溝角度の溝部を形成する必要がある。よって、一つの円周又は直線上に配置された吐水部から数種類の角度に吐水する場合は、それぞれの部品の嵌合面(止水面)の形状が複雑になり、止水が難しく、組立性に問題がある。
【0009】
【特許文献1】特許第3612509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて、複数のシャワー水噴射孔を有し、シャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水を基準軸に対して異なる噴射角度でシャワー水を噴射できるとともに、成形金型を簡素化でき、かつ、組立性も向上するシャワーヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のシャワーヘッド(以下、「請求項1のシャワーヘッド」と記す)は、曲線または直線上に並ぶ複数のシャワー水噴射孔を有し、これらのシャワー水噴射孔が、設定された基準軸に対して同じ交差角となるように形成されているとともに、各シャワー水噴射孔のシャワー水噴射方向には、シャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水が入り込むシャワー水ガイド溝がそれぞれ形成されており、これらのシャワー水ガイド溝のうち、少なくともいずれかのシャワー水ガイド溝が、シャワー水の噴射角度を他のシャワー水ガイド溝と異なる角度にガイドする溝形状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
本発明の請求項2に記載のシャワーヘッド(以下、「請求項2のシャワーヘッド」と記す)は、請求項1のシャワーヘッドにおいて、シャワー水通水路となる溝状凹部を有し、シャワー水ガイド溝に連通するシャワー水噴射孔形成用溝が前記溝状凹部の側壁面に穿設されたシャワーヘッド本体と、前記溝状凹部の開口部入り口に嵌まり込んで、溝状凹部の開口部を閉じるとともに、側壁面によってシャワー水噴射孔形成用溝の開口部を水密に塞ぐ蓋部材とを備えることを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項3に記載のシャワーヘッド(以下、「請求項3のシャワーヘッド」と記す)は、請求項1請求項2のシャワーヘッドにおいて、シャワー水噴射孔が環状あるいは略環状に並んでいて、一部の複数のシャワー水ガイド溝が、シャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水を床面から所定高さの第1仮想集合点で衝突して集合するようにガイドする形状に形成され、残部のシャワー水ガイド溝のうちの少なくとも一部の複数のシャワー水ガイド溝がシャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水を前記第1仮想集合点に対して高さ位置が異なる第2仮想集合点で衝突して集合するようにガイドする形状に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるシャワーヘッドは、以上のように、曲線または直線上に並ぶ複数のシャワー水噴射孔を有し、これらのシャワー水噴射孔が、設定された軸に対して同じ交差角となるように形成されているとともに、各シャワー水噴射孔のシャワー水噴射方向には、シャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水が入り込むシャワー水ガイド溝がそれぞれ形成されており、これらのシャワー水ガイド溝のうち、少なくともいずれかのシャワー水ガイド溝が、シャワー水の噴射角度を他のシャワー水ガイド溝と異なる角度にガイドする溝形状に形成されているので、シャワー水噴射孔の噴射角度は、基準軸に対して一定とすることができる。すなわち、孔を成形するための成形型のピンを、生産面でより有利な向きに設置することが出来る。そして、シャワー水ガイド溝部分のみ角度を変えるようにすればよい。したがって、成形金型の構造を簡素化することができるとともに、耐久性向上・及び成形性の向上が図れる。
【0015】
また、請求項2のシャワーヘッドのように、シャワー水通水路となる溝状凹部を有し、シャワー水ガイド溝に連通するシャワー水噴射孔形成用溝が前記溝状凹部の側壁面に穿設されたシャワーヘッド本体と、前記溝状凹部の開口部入り口に嵌まり込んで、溝状凹部の開口部を閉じるとともに、側壁面によってシャワー水噴射孔形成用溝の開口部を水密に塞ぐ蓋部材とを備える構成とすれば、蓋部材のシャワーヘッド本体との嵌合面を一定の角度とすることができるとともに、成形金型にシャワー水噴射孔形成用ピンが不要となり、成形金型構造がさらに簡素化できるとともに、嵌合面での止水性がよく組立性も向上する。
また、分解可能な構造とすることによりシャワー水噴射孔内面の清掃も可能となるとともに、小径かつ複数の散水角度をもつシャワーヘッドを簡単に得ることができる。
【0016】
さらに、請求項3のシャワーヘッドのように、シャワー水噴射孔が環状あるいは略環状に並んでいて、一部の複数のシャワー水ガイド溝が、シャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水を床面から所定高さの第1仮想集合点で衝突して集合するようにガイドする形状に形成され、残部のシャワー水ガイド溝のうちの少なくとも一部の複数のシャワー水ガイド溝がシャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水を前記第1仮想集合点に対して高さ位置が異なる第2仮想集合点で衝突して集合するようにガイドする形状に形成されている構成とすれば、第2の通水路から噴射された噴射シャワー水が少なくとも第1仮想集合点および第2仮想集合点の高さの異なる2箇所で集合し、太い流れになって落下する。したがって、シャワー装置本体部を上下させなくても、背丈の異なる使用者が快適に洗髪等を効率よく行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1〜図8は、本発明にかかるシャワーヘッドの1つの実施の形態をあらわしている。。
【0018】
図1および図6〜図8に示すように、このシャワーヘッド1は、アクリロニトリルーブタジエンースチレン樹脂(ABS)等の樹脂を射出成形することによって形成されたシャワーヘッド本体2と、蓋部材3とを備えている。
シャワーヘッド本体2は、図2〜図4および図6〜図8に示すように、ほぼ真円のリング状をしていて、一方の面に溝状凹部21が設けられている。
【0019】
溝状凹部21は、溝状凹部21の外側の第1側壁22および内側の第2側壁23より高さが低い仕切り壁24によって内側溝状凹部21aと、外側溝状凹部21bとに仕切られている。
仕切り壁24は、リング状をしていて、所定ピッチ毎に後述する蓋部材3の固定ねじ4が螺合される円柱状をしたねじ受け部24aが設けられている。
【0020】
第1側壁22は、内壁面が、溝状凹部21の中間部から底側が小径環状部22a、開口端側が大径環状部22cとなっていて、小径環状部22aと大径環状部22cとの間に小径環状部22a側から大径環状部22c側に向かって徐々に拡径する拡径環状部22bが形成されているとともに、外壁面から後述するミストシャワーノズル支持部25が延出するように設けられている。
また、第1側壁22の内壁面のうち、ミストシャワーノズル支持部25が設けられている部分を除く部分には、小径環状部22aの第1側壁22の開口端側部分から拡径環状部22bの大径環状部22c側の開口端側にかけてシャワー水噴射孔形成用溝22dが、大径環状部22cにシャワー水噴射孔形成用溝22dに連通するシャワー水ガイド溝22eがそれぞれ溝状凹部21の周方向に等ピッチで穿設されている。
【0021】
シャワー水噴射孔形成用溝22dはその底面が小径環状部22aおよび拡径環状部22bの壁面に平行かつ全長にわたって同じ深さに形成されていて、拡経環状部22cに設けられた溝の底面が基準軸としてのシャワーヘッド本体2の中心軸Cに対して25度の傾斜角度に形成されている。
シャワー水ガイド溝22eは、その底面がすべてシャワーヘッド本体2の中心軸Cに対して平行かつ同じ深さに穿設されている。
【0022】
第2側壁23は、第1側壁22より高さが低く、内壁面が、溝状凹部21の中間部から底側が大径環状部23a、開口端側が小径環状部23cとなっているとともに、大径環状部23aと小径環状部23cとの間に大径環状部23a側から小径環状部23c側に向かって徐々に縮径する縮径環状部23bが形成されている。また、第2側壁23の外壁面側には、シャワーヘッド本体2の固定用リブ5が環状に形成されている。
縮径環状部23bは、上記拡径環状部22bと対称に形成されている。
【0023】
そして、第2側壁23の内壁面には、大径環状部23aの第2側壁23の開口端側部分から拡径環状部22bの第2側壁23の開口端側にかけてシャワー水噴射孔形成用溝23dが、溝状凹部21の周方向に等ピッチで穿設されている。シャワー水噴射孔形成用溝23dはその底面が大径環状部23aおよび縮径環状部23bの壁面に平行かつ全長にわたって同じ深さに形成されていて、縮径環状部23bに設けられた溝の底面がシャワーヘッド本体2の中心軸Cに対して25度の傾斜角度に形成されている。
また、小径環状部23cには、シャワー水噴射孔形成用溝23dに連通する第1シャワー水ガイド溝23e、第2シャワー水ガイド溝23f、第3シャワー水ガイド溝23gが交互にそれぞれ溝状凹部21の周方向に等ピッチで穿設されている。
【0024】
第1シャワー水ガイド溝23eは、図6に示すように、その底面がシャワー水噴射孔形成用溝23dの縮径環状部23b部分の底面と同じ傾斜角度でかつ面一になるように形成されている。
第2シャワー水ガイド溝23fは、図7に示すように、その底面がシャワーヘッド本体2の中心軸Cに対して17度の傾斜角度に形成されている。
【0025】
第3シャワー水ガイド溝23gは、図8に示すように、その底面がシャワーヘッド本体2の中心軸Cに対して9度の傾斜角度に形成されている。
また、図示していないが、内側溝状凹部21と、外側溝状凹部21とは、それぞれその壁面の一部にミストシャワーノズル支持部25内に開口するシャワー水の供給口を備えている。
【0026】
ミストシャワーノズル支持部25は、内部にシャワーヘッド本体2へのシャワー水供給配管と、ミストシャワーノズル70へのシャワー水供給配管が配管されるようになっている。
蓋部材3は、図5〜図8に示すように、溝状凹部21の開口端部に嵌まり込む大きさのリング状をしていて、環状溝部31側の面の中央部に仕切り壁24の先端部が嵌まり込む嵌合溝部32aを備えた突条部32が突設されている。
【0027】
嵌合溝部32aは、ねじ受け部24aに対応する部分が略リング状になっていて、その中央にボス状に突部32bが突設され、この突部32bの中央に固定ねじ4の挿通孔32cが穿設されている。
蓋部材3の外周面33および内周面34は、それぞれ対向する拡径環状部22bあるいは縮径環状部23bのテーパ角と同じテーパ角のテーパ面になっている。
【0028】
蓋部材3のリングの外縁部および内縁部には、後述する止水材6a、6bの係止突起35が突条部32に平行に所定ピッチで形成されている。
蓋部材3の他方の面には、挿通孔32cに対応する位置に、固定ねじ4の頭部を外部から隠す化粧キャップ15の嵌合凹部36が形成されている。
【0029】
止水材6a、6bは、たとえば、シリコーンゴム等の弾性材料で形成され、図6に示すように、それぞれ水平部61と折曲部62とを備えた断面略ヘ字形をしたリング状をしていて、水平部61にそれぞれ係止突起35と等ピッチに係止突起35の嵌合孔63が穿設されている。また、折曲部62は、それぞれ蓋部材3の外周面33および内周面34の傾斜に沿うように水平部61から折れ曲がって形成されている。
【0030】
そして、このシャワーヘッド1は、つぎのようにして、シャワーヘッド本体2と蓋部材3とが組み立てられる。
まず、係止突起35を止水材6a、6bの水平部61に穿設された嵌合孔63に嵌合させるとともに、折曲部62を蓋部材3の外周面33あるいは内周面34の傾斜に沿わせた状態に、止水材6a、6bを蓋部材3にセットするとともに、突部32bと同数のOリング部81が、図示していない連結部を介して突部32bのピッチと同じピッチでリング状に連結されたシリコーンゴム等の弾性材料で形成された止水材8を、Oリング部81が各突部32bの周囲を囲むように嵌合溝部32aに嵌合させる。
【0031】
つぎに、固定ねじ4を嵌合凹部36側から挿通孔32cに通し、ねじ頭部41とねじ受け部24aとの間に突部32bが挟まれた状態になるまで固定ねじ4をねじ受け部24aにインサート成形されたナット29にねじ込む。
嵌合凹部36に化粧キャップ15を嵌め込み、ねじ頭部41を外部から隠蔽する。
【0032】
すなわち、この組み立て状態で止水材8は、嵌合溝部32aの底面と、ねじ受け部24aとの間で挟着され、止水材6aの折曲部62が第1側壁22の拡経環状部22cと蓋部材3の外周面33との間で挟着され、止水材6aの折曲部62が第2側壁23の縮径環状部23bと蓋部材3の内周面34との間で挟着されて、シャワーヘッド本体2と、蓋部材3との間に、仕切り壁24によって水密に仕切られたリング状をした第1通水路11と、第2通水路12が形成される。そして、第1通水路11および第2通水路12は、それぞれ止水材6a(6b)を介して蓋部材の外周面33あるいは内周面34によってシャワー水噴射孔形成用溝22d(23d)の上部開口が閉じられて形成されたシャワー水噴射孔13(14)によってシャワー水供給口から供給されたシャワー水が噴射されるようになっている。
【0033】
なお、図1および図6中、Lは、シャワーヘッドのリング中央にはめ込まれた状態で天井面91に装着された照明器具である。
【0034】
このシャワーヘッド1は、以上のようになっており、図1および図6に示すように、シャワーヘッド本体2の固定用リブ5越しにビス51をねじ込むことによってシャワー室9の天井面91に固定されるとともに、シャワータワー92を介してシャワー水配管が第1通水路11、第2通水路12およびミストシャワーノズル70に接続される
【0035】
そして、第1通水路11にシャワー水が通水されると、各シャワー水噴射孔13からシャワー水が線状になって噴射される。シャワー水噴射孔13から噴射された線状のシャワー水は、図6に鎖線で示すように、シャワー水ガイド溝22eによってシャワーヘッド本体2の中心軸に平行な線状シャワー水S1になってほぼ垂直に流下する。したがって、図9に示すように、略C字形をしたシャワーカーテンSが形成される。また、このとき、ミストシャワーノズル70から温水ミストを噴射させるようにすれば、このシャワーカーテンS内に温水ミストが充満し、シャワーカーテン内に小さなミストサウナ室が形成されたようになり、シャワーカーテンS内に立つ使用者Mが効率よくミストサウナを楽しむことができる。
【0036】
一方、第2通水路12にシャワー水が通水されると、各シャワー水噴射孔14からシャワー水が線状になって噴射される。シャワー水噴射孔14から噴射された線状のシャワー水は、第1シャワー水ガイド溝23e、第2シャワー水ガイド溝23fおよび第3シャワー水ガイド溝23gによってそれぞれ所定の方向に向かってガイドされる。
すなわち、第1シャワー水ガイド溝23eは、図6に示すように、その底面がシャワー水噴射孔形成用溝23dの縮径環状部23b部分の底面と同じ傾斜角度でかつ面一になるように形成されているので、第1シャワー水ガイド溝23eによってガイドされた線状シャワー水S2はシャワーヘッド本体2の中心軸Cに向かって25度の角度で噴射され、図10に示すように、第1仮想集合点としての中心軸Cの浴室床面から1.8m付近で他の第1シャワー水ガイド溝23eによってガイドされた線状シャワー水S2と衝突し、絡み合いながら太い水流となって浴室床面に向かって略垂直に落下する。
【0037】
また、第2シャワー水ガイド溝23fは、図7に示すように、その底面がシャワーヘッド本体2の中心軸Cに対して17度の傾斜角度に形成されているので、第2シャワー水ガイド溝23fによってガイドされた線状シャワー水S3はシャワーヘッド本体2の中心軸Cに向かって17度の角度で噴射され、第2仮想集合点としての中心軸Cの浴室床面から1.5m付近で他の第2シャワー水ガイド溝23fによってガイドされた線状シャワー水S3と衝突し、絡み合いながら太い水流となって浴室床面に向かって略垂直に落下する。
【0038】
他方、第3シャワー水ガイド溝23gは、図8に示すように、その底面がシャワーヘッド本体2の中心軸Cに対して9度の傾斜角度に形成されているので、第3シャワー水ガイド溝23gによってガイドされた線状シャワー水S4はシャワーヘッド本体2の中心軸Cに向かって9度の角度で噴射され、第3仮想集合点としての中心軸Cの浴室床面から1.2m付近で他の第3シャワー水ガイド溝23gによってガイドされた線状シャワー水S4と衝突し、絡み合いながら太い水流となって浴室床面に向かって略垂直に落下する。
【0039】
本発明にかかるシャワーヘッドは、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、第2通水路に通水されたシャワー水が3つのガイド角度が異なるシャワー水ガイド溝によって3つの異なる噴射角度で噴射されるようになっているが、2つの異なる噴射角度、4つ以上の異なる噴射角度で噴射されるようにしても構わない。
また、上記の実施の形態では、ミストシャワーノズルが設けられていたが、ミストシャワーノズルは無くても構わない。
【0040】
上記の実施の形態では、シャワー室の天井面に取り付けられていたが、浴室の洗い場天井面に取り付けるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、シャワーヘッド本体がほぼ真円のリング状をしていたが、楕円形や、四角形、六角形等の多角形をしていても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明にかかるシャワーヘッドの1つの実施の形態であって、その使用状態の断面図である。
【図2】図1のシャワーヘッドのシャワーヘッド本体の斜視図である。
【図3】図2のシャワーヘッド本体の溝状凹部を拡大してあらわす斜視図である。
【図4】図2のシャワーヘッド本体の溝状凹部を図3と異なるアングルから見た状態を拡大してあらわす斜視図である。
【図5】図1のシャワーヘッドの蓋部材の斜視図である。
【図6】図1のシャワーヘッドを第1シャワー水ガイド溝部分で切断した拡大断面図である。
【図7】図1のシャワーヘッドを第2シャワー水ガイド溝部分で切断した拡大断面図である。
【図8】図1のシャワーヘッドを第3シャワー水ガイド溝部分で切断した拡大断面図である。
【図9】図1のシャワーヘッドの第1通水路にシャワー水を通水した場合のシャワー水の噴射状態を説明する模式図である。
【図10】図1のシャワーヘッドの第2通水路にシャワー水を通水した場合のシャワー水の噴射状態を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0042】
1 シャワーヘッド
11 第1通水路
12 第2通水路
13 シャワー水噴射孔
14 シャワー水噴射孔
2 シャワーヘッド本体
21 溝状凹部
21a 内側溝状凹部
21b 外側溝状凹部
22 第1側壁
22d シャワー水噴射孔形成用溝
22e シャワー水ガイド溝
23 第2側壁
23d シャワー水噴射孔形成用溝
23e 第1シャワー水ガイド溝
23f 第1シャワー水ガイド溝
23g 第1シャワー水ガイド溝
3 蓋部材
33 外周面(蓋側壁面)
34 内周面(蓋側壁面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲線または直線上に並ぶ複数のシャワー水噴射孔を有し、これらのシャワー水噴射孔が、設定された基準軸に対して同じ交差角となるように形成されているとともに、各シャワー水噴射孔のシャワー水噴射方向には、シャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水が入り込むシャワー水ガイド溝がそれぞれ形成されており、
これらのシャワー水ガイド溝のうち、少なくともいずれかのシャワー水ガイド溝が、シャワー水の噴射角度を他のシャワー水ガイド溝と異なる角度にガイドする溝形状に形成されていることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
シャワー水通水路となる溝状凹部を有し、シャワー水ガイド溝に連通するシャワー水噴射孔形成用溝が前記溝状凹部の側壁面に穿設されたシャワーヘッド本体と、
前記溝状凹部の開口部入り口に嵌まり込んで、溝状凹部の開口部を閉じるとともに、蓋側壁面がシャワー水噴射孔形成用溝の開口部を水密に塞ぐ蓋部材とを備える請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
シャワー水噴射孔が環状あるいは略環状に並んでいて、一部の複数のシャワー水ガイド溝が、シャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水を床面から所定高さの第1仮想集合点で衝突して集合するようにガイドする形状に形成され、残部のシャワー水ガイド溝のうちの少なくとも一部の複数のシャワー水ガイド溝がシャワー水噴射孔から噴射されたシャワー水を前記第1仮想集合点に対して高さ位置が異なる第2仮想集合点で衝突して集合するようにガイドする形状に形成されている請求項1または請求項2に記載のシャワーヘッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−61401(P2007−61401A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251940(P2005−251940)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(501362906)積水ホームテクノ株式会社 (89)
【Fターム(参考)】