説明

シャワーヘッド

【課題】通常のシャワーヘッドの機能に加えて、狭い部位及び広い部位を洗浄することに適するシャワーヘッドを提供すること
【解決手段】ヘッド本体13の内部に、流路12を設ける。その流路12に導入口37を介して筒状の吐出口14を接続する。前記ヘッド本体13の先端部にはフェース部材17を設けるとともに、そのフェース部材17には前記吐出口14からの水を外部に吐出するためのノズル18を設ける。前記吐出口14とノズル18との間には、前記吐出口14からノズル18に向かう水を整流するストレーナ38を配置する。吐出口14の内径rを1として、前記導入口37からノズル18に至るまでの距離Lとの比率を1.21以上に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常のシャワーヘッドとしての機能に加えて、浴室内の目地、壁面等の部位の洗浄に適する吐水を行うことができるシャワーヘッドに関する。なお、ここで、水とは湯を含むものである。
【背景技術】
【0002】
この種のシャワーヘッドとして、本出願の出願人は、以前、吐水形態の切換機構を備えたシャワーヘッドを提案している(特許文献1を参照)。このシャワーヘッドは複数の吐水形態を選択できる機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−131143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浴室内の壁の目地やコーナ等の狭い部位を洗浄する場合には、吐水形態がストレートで、拡散しないことが望ましい。一方、目地やコーナ以外の壁面を洗浄する場合には拡散して、広い面積に散水できる形態が望ましい。ところが、特許文献1に記載されているシャワーヘッドにおいては、吐水形態がストレートになることなく、吐水用の孔から拡散する形態である。このため、前記目地やコーナを効率良く洗浄することができなかった。その一方、前記壁面を洗浄するときには、水が孔の位置から拡散することから、その水が遠くまで到達し難い。そのため、壁面を適切に洗浄することにも適さないものであった。
【0005】
本発明は以上のような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、その目的とするところは、通常のシャワーヘッドの機能に加えて、狭い部位及び広い部位を洗浄することに適するシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明のシャワーヘッドは、ヘッド本体の内部に、流路と、その流路に連通路を介して接続された筒状の吐出口とを設け、前記ヘッド本体の先端部にはフェース部材を設けるとともに、そのフェース部材には前記吐出口からの水を外部に吐出するためのノズルを設けたシャワーヘッドであって、前記吐出口とノズルとの間には、前記吐出口からノズルに向かう水を整流する整流部材を配置し、吐出孔の内径に対して、前記連通路からノズルに至るまでの距離の比率が、前記内径を1として、1.21以上に設定されていることを特徴とする。
【0007】
以上のように構成された本発明においては、吐出口の内径と、導入口からノズルまでの距離との比率が適正に設定されていることから、吐出口内の水が整流される。このため、連通路から吐出口に導入された水はノズルからストレート状に整流された吐水形態を示し、その先で放射状に広がる吐水形態を示す。ストレート状の吐水で浴室内の細く、狭い部位を、拡散状の吐水で広い部位をそれぞれ有効に洗浄することができる。しかも、吐水はノズルからストレートに吐出されるため、遠くまで到達する。
【0008】
前記の構成において、前記内径に対する前記距離の比率が3.0以下であることが好ましい。
前記の構成において、前記整流部材は30〜100メッシュの網目を有するストレーナで構成されていることが好ましい。
【0009】
前記の構成において、前記整流部材は複数枚のストレーナを間隔を介して重ねて配置されていることが好ましい。
前記の構成において、前記ノズルの内側に球面状の第1凹部が設けられ、ノズルの外側には溝状の第2凹部が前記第1凹部に連通するように設けられていることが望ましい。
【0010】
前記の構成において、前記ノズルは、水を斜め上に向けて吐出する形状に形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ストレート状の吐水形態で細く、狭い部位を、拡散状の吐水形態で広い部位をそれぞれ適切に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態におけるシャワーヘッドの吐出口及び吐水形態を示す要部拡大縦断面図。
【図2】シャワーヘッドの吐出口及び吐水形態を示す横断面図。
【図3】シャワーヘッドの吐出口のフェース部材を示す正面図。
【図4】シャワーヘッドを示す斜視図。
【図5】ノズルの傾斜状態を示す断面図。
【図6】シャワーヘッドの側面図。
【図7】シャワーヘッドの作用を示す図であって、ストレート状の吐出で浴室の目地を洗浄する状態を示す斜視図。
【図8】シャワーヘッドの作用を示す図であって、放射状の吐出で浴室の壁面を洗浄する状態を示す斜視図。
【図9】実施形態で用いたストレーナを示す正面図。
【図10】ノズルの変形例を示す正面図。
【図11】ノズルの別の変形例を示す正面図。
【図12】吐出された水を示す平断面図。
【図13】ストレーナの変形例を示す平面図。
【図14】ストレーナの別の変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態について説明する。
図1及び図4に示すように、本実施形態のシャワーヘッド10は、把持部11を有するとともに、水を流通させる流路12を内部に設けたヘッド本体13を備えている。前記ヘッド本体13の先端部には筒状の吐出口14が備えられている。ヘッド本体13にはボタン15が設けられ、このボタン15を一方向へ押すことにより前記流路12が遮断され、ボタン15を逆方向へ押すことにより流路12が開放される。従って、このボタン15により、シャワーヘッド10が水の吐出状態と、吐出停止状態とに切替えられる。前記吐出口14には前記流路12に連通された通路16が形成されている。シャワーヘッド10の先端にはフェース部材17が取り付けられている。前記フェース部材17の中心部には、壁面の洗浄等のために水を外部に吐出するためのノズル18が形成されている。
【0014】
前記通路16は、吐出口14の中心に位置する第1部分16a、その外周に位置する第2部分16b及びさらにその外周に位置する第3部分16cを備えている。そして、切替機構19によりいずれかの第1〜第3部分16a、16b、16cが前記流路12と択一的に連通される。前記切替機構19はフェース部材17の外周とヘッド本体13との間の位置に回動可能に設けられたリング20を回動操作することにより切替え動作される。摘み21はリング20を回動操作するためのものである。
【0015】
すなわち、切替機構19は収容室22内に収容された球状の弁体23と、その弁体23を閉弁(図1の左方)へ付勢するコイルスプリング24と、前記リング20に一体形成された切替部材25とを含んでいる。そして、リング20が回動されることにより、切替部材25が回動される。この切替部材25の回動によって、弁体23と図示しない複数の弁孔との対応関係が切替えられて、第1〜第3部分16a、16b、16cのいずれかと流路12とが接続される。
【0016】
前記吐出口14の周壁14aであって、第1部分16aの底部には、流路12から水が導入される連通路としての導入口37が開口されている。この導入口37から第1部分16a内に導入された水が前記ノズル18の方向,すなわち吐出方向xへ流れる。このとき、この水が整流されるようにするために、第1部分16aの内径rと、前記導入口37からノズル18までの距離Lとの比率が、1:1.21〜1:3.0に設定されている。内径rに対する距離Lの比率が1.21より小さい場合には、第1部分16aの長さが不足する。このため、後述のストレーナ38が存在しても、第1部分16a内で水の整流を図ることが困難になって、ノズル18からの吐水が乱れて拡散される。その結果、ストレート状の水流32aが得られなくなる。その一方、内径rに対する距離Lの比率が3.0を超える場合には、吐出口14の長さが長くなり過ぎてシャワーヘッド10が大形化して、シャワーヘッド10の取扱性が悪くなる。
【0017】
また、第1部分16aにおいて吐出口14の周壁14aの先端とフェース部材17との間には整流部材としての2枚のストレーナ38が設けられている。図9に示すように、前記ストレーナ38はステンレス鋼により形成され、円環状のリング38aと、その内側の網38bとにより構成されている。2枚のストレーナ38のリング38aは吐出口14の周壁14aとフェース部材17との間に挟持されている。網38bに使用されているステンレスワイヤは線径0.1〜0.3mm,例えば0.2mmであって、同網38bは経緯のワイヤが織成されて構成される。また、2枚の網38b間には、1〜0.5mmの間隔が設けられている。
【0018】
前記ストレーナ38は導入口37から前記第1部分16a内に導入された水を吐出方向xへ向かって整流するためのものである。水の流れに対する抵抗を抑えつつ良好な整流効果を発現するために、吐出口14内の水圧が0.025〜0.075Mpa(メガパスカル)において、網38bの線径が0.1〜0.3mmの範囲内であれば、30〜100メッシュ,例えば70メッシュの網目を有することが好ましい。この網目が30メッシュ未満の場合には網目が粗くなり過ぎて水の整流効果が十分に得られない。網目が100メッシュを超える場合には網目が細かくなり過ぎて、水の流れに対する抵抗が高くなりすぎ、その結果、吐出量が減少して好ましくない。また、ストレーナ38は1枚でも整流効果を有効に発現できるが、2枚以上の複数枚とすることにより、その効果を一層向上させることができる。ストレーナ38が複数枚の場合、網目の位置関係は整流効果にほとんど影響を与えない。すなわち、吐出方向において、網目がずれていても、あるいは対応していても、整流効果において差はほとんど見られない。また、複数枚のストレーナ38間の間隔の大小も整流効果にほとんど影響を与えないが、この間隔は0.5mm以上であることが望ましい。
【0019】
図1及び図3に示すように、前記ノズル18はフェース部材17の中心位置において前方へ向かう突出部26に設けられ、フェース部材17の内側の球面状をなす第1凹部27と、外側の横長溝状の第2凹部28とにより構成されている。前記第2凹部28は、内奥部から開口側へ向かって拡がるように、上面28a及び下面28bを有している。第2凹部28はその中央位置で前記第1凹部27に連通されている。そのため、第1凹部27に到達した水は第2凹部28で横方向に膜状に拡げられた状態で吐出される。図5に示すように、前記第2凹部28の上面28aと下面28bとの間において、それらの面28a,28bに等距離のところに位置する面28eは、前記突出部26の先端面に直交する面26aに対して水の吐出方向の前方側が上になるように傾斜している。この実施形態では面28eの面26aに対する角度θは20度である。従って、図1に2点鎖線で示すように、ノズル18からの水は、前記突出部26の先端面に直交する面26aが水平の場合、斜め上方向に向かって吐出される。
【0020】
すなわち、前記第1部分16aからの水はノズル18に到り、第1凹部27から第2凹部28を通って斜め上方向へストレート状で、かつ扇形をなす膜状の形態(図1及び図7参照)で吐出される。その後、吐出水流は空気抵抗を受けて、水滴化して拡散状の形態(図1の左側位置参照)となる。この拡散状の吐水形態は、図8に示すように、正面から見て横長の長円状を形成するようになっている。そして、ストレート状の水流32aにより浴室33内の目地35、コーナ36等の細く、狭い部位を効果的に洗浄することができ、拡散状の水流32bにより、浴室33内の壁面34等の広い部位を効果的に洗浄することができる。
【0021】
図1〜図3に示すように、前記フェース部材17のノズル18より外側の環状位置には複数の孔43が貫通され、これらの孔43から吐出される複数筋の細い水流によって、いわゆるハードシャワーが形成される。フェース部材17の孔43よりも外側の環状位置には複数の孔44が透設され、これらの孔44からの霧状の吐水によって、いわゆるソフトシャワーが形成される。そして、前記切替機構19の摘み21を操作することにより、前記流路12と前記吐出口14の第1〜第3部分16a〜16cのいずれかが接続されて、ストレート状の水流32a、ハードシャワー及びソフトシャワーのいずれかが選択される。
【0022】
図4に示すように、フェース部材17の上端部にはリング20の回動位置を確認するための指標45が設けられる一方、リング20にはノズル18からの吐水形態を示すマーク、すなわちストレート水流32aを示すマーク46、ハードシャワーを示すマーク47及びソフトシャワーを示すマーク48が設けられている。そして、摘み21が最下部に位置しているときにはストレート水流32aのマーク46が指標45に対向し、その位置から摘み21を図3の反時計方向へ所定角度回動させたときにはハードシャワーのマーク47が指標45に対向し、図3の時計方向へ所定角度回動させたときにはソフトシャワーのマーク48が指標45に対向するようになっている。そして、マーク46,47,48の位置に従って前記切替機構19が動作され、前記のように、ストレート状の水流32a、ハードシャワー及びソフトシャワーのいずれかが選択される。
【0023】
次に、本実施形態のシャワーヘッド10についてその機能を説明する。
さて、図7に示すように、シャワーヘッド10を使用する場合には、ヘッド本体13の把持部11を把持し、フェース部材17のリング20を回動操作し、所望の吐水形態を示すマーク46〜48が指標45に対向するように設定する。例えば、ハードシャワーのマーク47が指標45に対向するように設定することにより、ハードシャワーで体を洗ったり、髪を濯いだりすることができる。
【0024】
浴室33内の壁面34、目地35、コーナ36等の部位を洗浄する場合には、前記リング20を最下部に位置させてストレート水流32aのマーク46が指標45に対向するように設定する。図1に示すように、その状態で第1部分16aからの水はノズル18の第1凹部27から第2凹部28へと流れる。このとき、吐出口14とノズル18との間には2枚のストレーナ38が重ねて配置されていることから、導入口37から第1部分16a内へ導入された水はストレーナ38を通過することによって整流される。この場合、ストレーナ38の網38bは金属ワイヤを織成して構成されているため、各ワイヤの周囲では水が回り込んで乱流となるが、その乱流の撹拌効果によって網38b全体では整流されるとともに、ストレーナ38の前後における圧力差はほとんど生じない。加えて、第1部分16aの内径rに対して、ノズル18から導入口37までの距離Lの比率が、内径rを1として1.21〜3.0に設定されていることから、導入口37から第1部分16a内へ導入された水はノズル18に向かうに従って適切に整流される。このため、ノズル18からの吐水は、ストレート状の形態をなし、その先端側は拡散形態になる。
【0025】
このため、図7に示すように、シャワーヘッド10を浴室33の目地35に近づければ、ストレート状の水流32aにより目地35やコーナ36等の狭い部分を集中的に洗浄することができる。シャワーヘッド10を目地35やコーナ36から離間させれば、図8に示すように、拡散状の水流32bにより浴室33の広い壁面34を効率良く洗浄することができる。
【0026】
以上の実施形態により発揮される効果について以下にまとめて記載する。
(1) 実施形態におけるシャワーヘッド10においては、吐出口14の第1部分16aの内径rと、導入口37からノズル18までの距離Lとの比率が、内径rを1として1.21〜3.0に設定されていることから、第1部分16aはその内部の水の流れが整うに足る形状となっている。しかも、ノズル18の上流側に整流部材としてのストレーナ38が配置されている。このため、導入口37から第1部分16aに導入された水は整流されて吐出方向xへ流れる。そして、ノズル18から吐出される水はノズル18からストレートな膜状に整流された吐水形態を示し、その先で放射状に広がる吐水形態を示す。
【0027】
よって、実施形態のシャワーヘッド10によれば、ストレート状の水流32aで浴室33内の細く、狭い部位を、拡散状の水流32bで広い部位をそれぞれ有効に洗浄することができる。
【0028】
(2) 整流部材は、線径が0.1〜0.3mmのステンレスワイヤを織成して、30〜100メッシュの網目を有するストレーナ38で構成されていることから、水がストレーナ38を通過する際の流通抵抗を抑えつつ、吐出口14からの吐出方向xへ有効に整流することができる。
【0029】
(3) 整流部材は2枚(複数枚)のストレーナ38で構成されていることから、水は1枚目のストレーナ38を通過するときにノズル18の吐出方向xへ整流され、整流された水が2枚目のストレーナ38を通過するときにノズル18の吐出方向xへさらに整流される。従って、水の整流効果を一層向上させることができる。
【0030】
(4) シャワーヘッド10は、人の頭部や体に対してその上方から給水するように使用されることが多い。このため、図6に示すように、シャワーヘッド10は、直立状態において、その上部側が下向きになるように形成されている。このため、フェース部材17も下向きに配置され、ハードシャワー及びソフトシャワー用の孔43,44は斜め下方を指向する。しかしながら、ノズル18から吐出される水は壁面等の洗浄に供される。従って、ノズル18が孔43,44と同方向を指向する構成においては、壁面等を洗浄する場合、特に壁面等の上部を洗浄する場合は、シャワーヘッド10を上向きに保持する必要がある。このような場合は、上腕や手首に大きな負担がかかり、洗浄作業は楽ではない。これに対し、本実施形態におけるノズル18は、水を斜め上方に向かって吐出するように構成されている。このため、シャワーヘッド10を上向きに保持する必要が少なくなり、洗浄作業を楽に行うことができる。
【実施例1】
【0031】
次に、前記実施形態のシャワーヘッド10に関し、第1部分16aの内径rと、導入口37からノズル18までの距離Lとの関係について、条件を各種変更して試験を行った。
すなわち、第1部分16aの内径r及び導入口37からノズル18までの距離Lを表1に示すように変化させた。そして、流路12からノズル18に向かって所定の圧力の水道水を供給した。そして、吐水形態を下記の判断基準によって目視評価した。それらの結果を表1に示した。なお、この場合、ノズル18の第2凹部28の横長方向,すなわち左右寸法(図3の左右方向)の寸法は10〜30mm(例えば20mm),上下寸法は2〜6mm例えば4mm,第1凹部27と第2凹部28との境界の上下寸法は1〜5mm(例えば2.5mm)、境界の左右寸法は3〜10(例えば7mm)が採用される。
【0032】
「○」はストレート水流32aが得られた場合を示し、「×」は得られなかった場合を示す。
【0033】
【表1】

表1に示した結果より、第1部分16aの内径rが例えば8mmの場合に、導入口37からノズル18までの距離Lが10mm以上であれば、つまり、内径rと距離Lとの比率が1:1.25であれば、ストレート水流32aが得られた。距離Lが10mm未満の場合は、有効な整流が実行されないため、水流がノズル18から吐出直後に拡散し、ストレート状の水流32aを得ることができない。
【0034】
また、第1部分16aの内径rが15mmの場合に、導入口37からノズル18までの距離Lが19mm以上であれば、つまり、前記比率が1:1.27であれば、ストレート水流32aが得られた。距離Lが18mm以下の場合は、水流がノズル18から吐出直後に拡散し、ストレート状の水流32aを得ることができない。
【0035】
さらに、第1部分16aの内径rが19mmの場合に、導入口37からノズル18までの距離Lが23mm以上であれば、つまり、比率が1:1.21であれば、ストレート水流32aが得られた。距離Lが22mm以下の場合は、水流がノズル18から吐出直後に拡散し、ストレート状の水流32aを得ることができない。
【0036】
表1に示した結果は、前記内径rと距離Lとの比率が1:1.21以上であれば、ストレート状の水流32aを得ることができるということを示している。ただし、比率が1:3を越えると、前記Lが長くなって、シャワーヘッド10が大形化して使いづらい。
【0037】
なお、ノズル18の寸法が前記数値(第2凹部28の横長方向寸法20mm,上下寸法4mm,第1凹部27と第2凹部28との境界の上下寸法2.5mm、境界の左右寸法7mm)の場合、吐出口14内の水圧が0.03MPaを下回ると、ストレート水流32aを得ることはできたが、そのストレート水流32aは勢いが弱く、拡散状態に移行することなく落下した。従って、吐出口14内の水圧は0.03MPa以上が必要で、0.05MPa以上であることが望ましい。ここで、前記寸法が大きくなると、吐出口14内の水圧が低下するため、このような場合はストレート水流32aを得るために、水道水の給水圧を高くする必要がある。なお、吐出口14内の水圧が高くなるのにともなって、ストレート水流の長さαが延長される。
【0038】
なお、前記各実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 図10に示すように、第2凹部28の上側に凹部28cを形成すること。あるいは、図11に示すように、第2凹部28の上側に突起28dを形成すること。このようにすれば、図12に示すように、ストレート水流32aの幅方向の中央部に筋が見えるため、目地35等に対する狙いを定めやすくなる。
【0039】
・ 図13に示すように、整流部材として、リング38aの内側に星型等の凹凸形状の整流用板材50を有するストレーナ38cを用いることができる。あるいは、図14に示すように、整流部材としてリング38aの内側に円環状をなす複数の環状孔51を有するストレーナ38dを用いることができる。これらのストレーナ38c,38dは、複数枚を相互間隔をおいて配置することが好ましい。
【0040】
・ 前記第1部分16aに設けられる導入口37を、吐出口14の周壁14aの周方向において複数箇所に均等間隔で設けることができる。
・ 前記ノズル18の第2凹部28を図3の縦長方向に延びるように構成することもできる。
【0041】
吐出口14の第1部分16aを水の下流側ほど内径rが小さくなるようによってテーパ状に形成することも可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…シャワーヘッド、12…流路、13…ヘッド本体、14…吐出口、17…フェース部材、18…ノズル、27…第1凹部、28…第2凹部、38、38c、38d…整流部材としてのストレーナ、r…内径、L…距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体の内部に、流路と、その流路に連通路を介して接続された筒状の吐出口とを設け、
前記ヘッド本体の先端部にはフェース部材を設けるとともに、そのフェース部材には前記吐出口からの水を外部に吐出するためのノズルを設けたシャワーヘッドであって、
前記吐出口とノズルとの間には、前記吐出口からノズルに向かう水を整流する整流部材を配置し、
吐出孔の内径に対して、前記連通路からノズルに至るまでの距離の比率が、前記内径を1として、1.21以上に設定されていることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記内径に対する前記距離の比率が3.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記整流部材は30〜100メッシュの網目を有するストレーナで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記整流部材は複数枚のストレーナを間隔を介して重ねて配置されていることを特徴とする請求項3に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記ノズルの内側に球面状の第1凹部が設けられ、ノズルの外側には溝状の第2凹部が前記第1凹部に連通するように設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のシャワーヘッド。
【請求項6】
前記ノズルは、水を斜め上に向けて吐出する形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のシャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−87921(P2011−87921A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209677(P2010−209677)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】