シャワーヘッド
【課題】 本発明は、シャワーヘッド本体を金属管で製造することにより、シャワーヘッド本体の一体感、空間的な統一感のあるスタイリッシュで高い質感を有するシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】 シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の断面形状が下方から上方に向かうにつれて略円形から扁平形状に変形し、本体の下端は解放されると共に上端は平らな金属板によって封鎖され、本体の表面は研磨されて鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッド。
【解決手段】 シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の断面形状が下方から上方に向かうにつれて略円形から扁平形状に変形し、本体の下端は解放されると共に上端は平らな金属板によって封鎖され、本体の表面は研磨されて鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室やシャワールームにて、手に持って使用するシャワーのシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザーの嗜好は、従前の機能重視からデザイン・質感といった感性に重きを置いた嗜好へと変化しつつある。これに伴い、浴室のデザインも浴槽、床、壁、水栓機器といった個々の構成要素が独自の個性を主張するものから、空間全体としての一体感、まとまり感が大切にされるようになってきた。
壁や床といった比較的大きな面積を占有する部位に用いられる材質も樹脂素材からタイルや大理石へと変化するにつれ、これに同調してシャワーヘッドも樹脂素材からメタル調素材へと変化がみられる。
このような市況の変化に伴い、従来から広く知られている合成樹脂製のシャワーヘッドは、安価、軽量、熱伝達防止等の利点がある一方で、質感に乏しく全体的に高級感に欠けるものであった。
この課題を解決すべく、樹脂製のシャワーヘッド本体の表面にニッケルクロムめっきなどの装飾メッキを施すことで美感と高級感を向上させたものが存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−272191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシャワーヘッドは、シャワーヘッド本体に着脱自在に取り付けられた切替部材を有し、無機質なメタル調の本体と機能的な切替部材が混在しており、材質の統一感、高級感、美感に欠けると共に、金属製の手すり、シャワーフック、カランを有する浴室に設置された場合には、素材の不一致によって浴室全体の空間デザインを乱す(調和しない)といった課題を有していた。
そこで、本発明は、シャワーヘッド本体を金属管で製造することにより、シャワーヘッド本体の一体感、空間的な統一感のあるスタイリッシュで高い質感を有するシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための、請求項1の発明は、シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の断面形状が、下方から上方に向かうにつれて略円形から扁平形状に変形し、本体の下端は解放されると共に上端は平らな金属板によって封鎖され、本体の表面は研磨されて鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0006】
これによれば、単一素材による金属の質感と本体表面の鏡面仕上げによる優れた美感の双方を有するシャワーヘッドを提供すると共に、本体下方の略円形状から得られる握り易さと、本体上方の扁平形状から得られるスタイリッシュなデザイン性を両立したシャワーヘッドを提供することができる。
【0007】
上記目的を達成するための、請求項2の発明は、シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の側面視の形状が上方から下方に向かうにつれて末広がりの形状を有し、本体の上端は平らな金属板によって封鎖され、少なくとも側面部の表面は研磨されて鏡面状態を有すると共に継ぎ目の無い一体的な形状を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0008】
これによれば、単一素材による金属の質感と、側面部表面の鏡面仕上げと継ぎ目を無くした形状による優れた美感の双方を有するシャワーヘッドを提供することができる。
【0009】
上記目的を達成するための、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部近傍で前傾に屈曲していることを特徴とするシャワーヘッドである。
【0010】
これによれば、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部近傍で前傾に屈曲させたことにより使い勝手のよいシャワーヘッドを提供することができる。
【0011】
上記目的を達成するための、請求項4の発明は、請求項1または2の発明において、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部より上方で前傾に屈曲していることを特徴とするシャワーヘッドである。
【0012】
これによれば、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部より上方で前傾に屈曲させたことによりシャワーヘッドの握り代が十分に確保され使い勝手のよいシャワーヘッドを提供することができる。
【0013】
上記目的を達成するための、請求項5の発明は、請求項1または2の発明において、側面視の形状が緩やかな弓形形状を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0014】
これによれば、単一素材による金属の質感と本体表面の鏡面仕上げによる優れた美感の双方を有するシャワーヘッドを提供すると共に、弓形のスタイリッシュなシャワーヘッドを提供することができる。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかにおいて、シャワーヘッドの本体表面は研磨されて算術平均粗さRaが0.03μm以下の鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0016】
これによれば、樹脂素材にメッキを施した際には実現が困難な、金属素材ならではの非常に平滑な鏡面からなる表面を有する美しいシャワーヘッドを提供することができる。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかにおいて、シャワーヘッドの本体の金属素材はステンレスであることを特徴とするシャワーヘッドである。
【0018】
これによれば、ステンレスならではの美しい金属製のシャワーヘッドを提供することができる。
【0019】
また、請求項8の発明は、1〜7のいずれかにおいて、シャワーヘッドの本体上端を封鎖する平らな金属板と本体側面との接点に角部を形成するとともに、接点の継ぎ目が研磨されて鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0020】
これによれば、天板と本体側面が金属によって一体的に形成された美しいフルメタルのシャワーヘッドを提供するとともに、金属ならではのシャープな角部(エッジが立った)形状を提供することができる。
【0021】
また、請求項9の発明は、請求項8において、シャワーヘッド本体の角部は半径0.8mm以下に形成されていることを特徴とするシャワーヘッドである。
【0022】
これによれば、樹脂素材では実現が難しいシャープな角部(エッジ)形状を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、シャワーヘッド本体の一体感、空間的な統一感のあるスタイリッシュで高い質感を有するシャワーヘッドを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドを示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの正面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの右側面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの左側面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの平面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの背面図である。
【図7】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの底面図である。
【図8】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドのC−C部分拡大図である。
【図9】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドのA−A断面図である。
【図10】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドのB−B断面図である。
【図11】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの使用状態を示す参考斜視図である。
【図12】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの正面図である。
【図13】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの右側面図である。
【図14】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの左側面図である。
【図15】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの平面図である。
【図16】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの背面図である。
【図17】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの底面図である。
【図18】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドのC−C部分拡大図である。
【図19】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの底面図の拡大図である。
【図20】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの参考斜視図である。
【図21】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの正面図である。
【図22】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの右側面図である。
【図23】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの左側面図である。
【図24】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの平面図である。
【図25】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの背面図である。
【図26】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの底面図である。
【図27】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドのC−C部分拡大図である。
【図28】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドのA−A断面図である。
【図29】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドのB−B断面図である。
【図30】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す正面図である。
【図31】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す右側面図である。
【図32】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す左側面図である。
【図33】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す平面図である。
【図34】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す背面図である。
【図35】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す底面図である。
【図36】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表すA−A断面図である。
【図37】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す正面図である。
【図38】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す右側面図である。
【図39】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す左側面図である。
【図40】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す平面図である。
【図41】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す背面図である。
【図42】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す底面図である。
【図43】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表すA−A断面図である。
【図44】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表すB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明にかかる金属製のシャワーヘッドについて説明する。
【0026】
本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドについて説明する。
図1〜10、図30〜36は第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの詳細を示す図である。なお、図1〜10の各図面はCGにより作成した図面であり、各図面の表面部全面に表された濃淡は立体の表面形状及びシャワーヘッドの質感を示す濃淡であり、模様を構成するものではなく、また色彩を表すものでもない。
【0027】
シャワーヘッド1は、外郭が0.5mm〜1mm程度の薄肉のSUS304等の金属で形成され、研磨によって表面が鏡面仕上げとなっている。シャワーヘッド1のソケット接続部3には不図示のソケット及び湯水混合水栓のシャワー側吐出口に連結されたシャワーホースが連結される。そして、ユーザーはシャワーヘッド1を手で持って使用することができる。
【0028】
シャワーヘッド本体2は、図1、3、7、9、10に記載のとおり、シャワーヘッドの下方近傍5の断面形状を略円形の形状とし、下方近傍5から本体中央部近傍に向かうにつれて断面形状が略円形から扁平形状へと変形する(図7、図10)。シャワーヘッド本体2の中央部近傍から上方に向かう断面形状は扁平形状を両側面方向に緩やかに拡大する形状となっている。
【0029】
図3、4に記載のシャワーヘッド本体2の側面図からも明らかなように、シャワーヘッド本体2の側面視の形状は、上方から下方に向かうにつれて末広がりの形状を備えている。また、本体中央部より上方に位置する正面部分には、散水孔6を設けると共にこの部分を正面側に前傾させた形状となっている。
【0030】
シャワーヘッド本体2の上端に位置する天板7と本体側面との接点部分には使用者が明確にエッジを意識できる程度の角部8を形成している。好ましくは、この角部8は半径0.5mm〜1.0mm程度に形成され、樹脂素材では実現が難しいシャープな角部(エッジ)形状を提供可能としている。この角部8に関しても、本体の質感と合わせるために研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっている。
【0031】
シャワーヘッド本体2の表面は、好ましくは算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられている。このような金属製の本体ゆえに実現できる表面の平滑化は、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーヘッドと比べて、深みのある光沢と、表面の映り込みがとてもシャープな美しいシャワーヘッドを提供可能とするものである。
【0032】
次に、上述したように、全体を金属で構成したシャワーヘッド本体2の製造方法について説明する。
【0033】
まず、ステンレス製の平板を準備し、その平板に散水孔を開けて散水孔加工板を形成する工程を実行する。平板にプレス加工等により多数の孔を同時に加工するのがコスト的に好ましい。
そして、散水孔加工板を塑性変形させて筒状に丸めるロールフォーミング加工を行う。そして、丸めた散水孔加工板の端部同士を接合して両端が開口した直管状の素管と成す溶接を行う。
その後、両端が開口した素管の一方に平たい天板部材7を接合して開口を封止して閉塞管と成す溶接を行う。すなわち、シャワーヘッド本体の天面は、素管に溶接された他部材により構成される。
これらロールフォーミング加工と合わせ面の溶接と天板部材7で開口を封止する溶接の工程が、本発明の金属管形成工程に該当する。
【0034】
なお、溶接痕が残ってしまうと、シャワーヘッドの見栄えが悪くなるので、溶接痕を除去する研磨工程を実行する。溶接痕が周囲からほとんど盛り上がっていない場合には、この研磨工程は、任意のタイミングで実行すればよい。しかし、溶接痕が周囲よりも大きく盛り上がった形状の場合には、この溶接を終えた段階で、溶接痕を除去する研磨工程を実行するのが好ましい。
【0035】
溶接痕の除去には、表面全体を一律に研磨するバレル研磨よりも、任意の範囲に亘って一度の研磨で大きな除去力を得ることができるベルト研磨が適している。ベルト研磨を行うことにより、溶接痕を短時間で除去することができる。また、溶接痕除去後の溶接部分は、閉塞管の表面のうち、溶接されていない部分と同じ程度の表面粗さにするのが好ましい。砥材や粒度を適切に選択して数段階に分けてベルト研磨を行うことにより、溶接痕を平坦にし、さらにステンレス鋼板の表面と同等の粗さ(例えば、算術平均粗さRa=0.2μm程度)にすることが可能である。
なお、表面全体を同時に且つ平均的に研磨するバレル研磨のような研磨方法を用いて溶接痕を除去した場合、数十μmレベルの高低差を有する凹凸形状が溶接痕に残ってしまい、外観不良となる可能性があるが、ベルト研磨によればそのような凹凸形状が残る恐れはなく、外観不良率を下げることができる。
【0036】
次に、必要に応じて、閉塞管の側面に一方向に圧力を加えることにより、閉塞管を塑性変形させて曲げ管と成す曲げ加工を行う。なお、後述するバルジ加工用の金型を締める際に素管を曲げ変形させることも可能である。
【0037】
そして、次に、曲げ管あるいは閉塞管を所定の形状に塑性変形させてバルジ加工品と成すバルジ加工を行う。このバルジ加工は、金型に曲げ管あるいは閉塞管を装填して金型を締め、曲げ管あるいは閉塞管の内部に液体等の充填物を注入し、充填物に最大200Mpa程度の高圧力を加えて曲げ管あるいは閉塞管をシャワーヘッド本体2の形を成すよう、所定の形状に拡管させるものである。なお、このバルジ加工においては、最初は充填物に小さく圧力をかけて、曲げ管あるいは閉塞管を軸方向に圧縮させて(軸押し)一次変形を起こさせ、その後、充填物に高い圧力をかけて、曲げ管あるいは閉塞管を径方向に大きく変形させる二次変形を起こさせる、いわゆるハンマリング成形を行うことにより、シャワーヘッド本体2の外観形状を曲面を利用した意匠性の高いものにすることが可能となる。
【0038】
なお、図1に示したシャワーヘッド本体2は、散水部が扁平で且つ幅広の薄体状とされている。シャワーヘッド本体をこのような形状にするために、バルジ加工の金型を締めた際に、曲げ管あるいは閉塞管が扁平な形状になるように塑性変形している。
また、シャワー装置では、散水孔から散水領域が広がるように散水させる必要があるため、各散水孔はそれぞれ異なる方向を指向している。この例では、バルジ加工によって、散水孔が形成された面を所定の曲面形状に変形することにより、複数の散水孔を異なる方向に向けることができ、シャワー装置としての散水性能を付与することができる。
【0039】
以上のような形状を有するシャワーヘッド1は、主に次のような特徴を有する。
【0040】
まず、シャワーヘッド本体を金属素材で形成し、その表面を研磨して鏡面仕上げとしたことにより、これまで主流であった樹脂製のシャワーと比べて、美しく、高品位なシャワーを提供することが可能となった。さらに、好ましい態様においては、算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられることから、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーと比しても、深みのある光沢を備えたシャワーヘッドを提供することができる。
【0041】
また、シャワーヘッドの形状を、下方から上方に向けて断面形状が略円形から扁平形状へと変化する“ホースの先を指でつぶしたような形状”としたことから、使用者に対し水が勢いよく飛び出るような印象を与えることができる。加えて、金属の強度を活かした(樹脂素材では実現が難しい程度まで)シャワーヘッドの上部を扁平形状にスリム化したことにより、全体的にとても洗練された印象を与えることができる。また、一方では、シャワーヘッドの下部形状を使用者が握り易い形状とすることで十分な実用性も兼ね備えている。
【0042】
また、シャワーヘッドの上端には角部が設けられ、薄く扁平にした散水部のすっきりとした印象と相まって、シャープで洗練された印象を奏している。さらに、好ましい態様においては、角部が極めて鋭角に形成され、ひときわシャープなアクセントを使用者に与えることができる。そして、どちらの態様にしても角部は研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっていることから、上記の鋭角さと相まって、直線状の光の反射が角部の存在を一層際立たせることができる。
【0043】
最も特徴的なのは、シャワーヘッドが設置される浴室などの照明が鏡面仕上げされたシャワーヘッドの表面に反射した際、シャワーヘッドを動かしたり、使用者が移動したりすると、その反射光がシャワーヘッドの表面形状に沿って滑らかな連続した光の流れを作りだし、極めて美しくシャワーヘッドを際立たせることにある。
従前のオール樹脂製のシャワーヘッドや本体の一部にメッキ処理を施したシャワーヘッドにおいては、樹脂素材の切替部や継ぎ目の凹凸により、光の流れが断続的になることから、上述の作用効果は、本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッド特有の極めて特徴的なものである。
【0044】
したがって、本発明の第一実施形態にかかるシャワーヘッドにおいては、ホースの先を潰したような形状を基本としつつ、その表面全体を継ぎ目のない鏡面仕上げとし、上端部近傍に直線的な輝きを放つエッジ(角部)を備えたところに形状的な特徴があり、より詳しくは、角部を含む上端部近傍の形状、側面形状、および下端部近傍の形状に特徴的な形状が集約されていると言える(図30〜36)。図30〜36の各図面において、実線で表した部分が、特徴部を表す部分である。一点鎖線は、特徴部を表す部分ととその他の部分との境界のみを示す線である。
【0045】
続いて、本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドについて図11〜19に基づいて説明する。なお、図11〜19に記載の各図面はCGにより作成した図面であり、各図面の表面部全面に表された濃淡は立体の表面形状及びシャワーヘッドの質感を示す濃淡であり、模様を構成するものではなく、また色彩を表すものでもない。
この第二の実施形態にかかるシャワーヘッド21は、外郭が0.5mm〜1mm程度の薄肉のSUS304等の金属で形成され、研磨によって表面が鏡面仕上げとなっている。シャワーヘッド21は、シャワーヘッド本体22とソケット24から構成され、ソケット接続部23にはソケット24及び湯水混合水栓のシャワー側吐出口に連結されたシャワーホース29が連結される。そして、ユーザーはシャワーヘッド21を手で持って使用することができる。
【0046】
シャワーヘッド本体22は、前述の工程あるいはバルジ加工の工程を省略して作成され、図11、12、13、15、17に記載のとおり、シャワーヘッド本体22の下方近傍25の断面形状を略円形の形状とし、下方近傍25から上方に向かうにつれて断面形状が略円形から楕円形状へと変形する。
【0047】
図13、14に記載のシャワーヘッド本体22の側面図からも明らかなように、シャワーヘッド本体22の側面視の形状は、上方から下方に向けて緩やかな末広がりの形状を備えている。また、本体中央部より上方に位置する正面部分には、散水孔26を設けると共にこの部分を正面側に前傾させた形状となっている。
【0048】
シャワーヘッド本体22の上端に位置する天板27と本体側面との接点部分には使用者が明確にエッジを意識できる程度の角部28を形成している。好ましくは、この角部28は半径0.5mm〜1.0mm程度に形成され、樹脂素材では実現が難しいシャープな角部(エッジ)形状を提供可能としている。この角部に関しても、本体の質感と合わせるために研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっている。
【0049】
シャワーヘッド本体22の表面は、好ましくは算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられている。このような金属製の本体ゆえに実現できる表面の平滑化は、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーヘッドと比べて、深みのある光沢と、表面の映り込みがとてもシャープな美しいシャワーヘッドを提供可能とするものである。
【0050】
以上のような形状を有するシャワーヘッド21は、主に次のような特徴を有する。
【0051】
まず、シャワーヘッドを金属素材で形成し、その表面を研磨して鏡面仕上げとしたことにより、これまで主流であった樹脂製のシャワーと比べて、美しく、高品位なシャワーを提供することが可能となった。さらに、好ましい態様においては、算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられることから、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーと比しても、深みのある光沢を備えたシャワーヘッドを提供することができる。
【0052】
また、シャワーヘッドの形状を、下方から上方に向けて断面形状が略円形から扁平形状へと変化する“ホースの先を指でつぶしたような形状”としたことから、使用者に対し水が勢いよく飛び出るような印象を与えることができる。また、本体中央部より上方において正面部を前傾させたことと相まってシャワーヘッドの下部形状を使用者が握り易い形状とすることで十分な実用性も兼ね備えている。
【0053】
また、シャワーヘッドの上端には角部が設けられ、全体的に柔らかな曲線形状が多用される形状のなかで鋭角的なアクセント作用を奏している。さらに、好ましい態様においては、角部が極めて鋭角に形成されひときわシャープなアクセントを使用者に与えることができる。そして、どちらの態様にしても角部は研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっていることから、上記の鋭角さと相まって、光の反射が角部の存在を一層際立たせることができる。
【0054】
最も特徴的なのは、シャワーヘッドが設置される浴室などの照明が鏡面仕上げされたシャワーヘッドの表面に反射した際、シャワーヘッドを動かしたり、使用者が移動したりすると、その反射光がシャワーヘッドの表面形状に沿って滑らかな連続した光の流れを作りだし、極めて美しくシャワーヘッドを際立たせることにある。
従前のオール樹脂製のシャワーヘッドや本体の一部にメッキ処理を施したシャワーヘッドにおいては、樹脂素材の部分や継ぎ目の凹凸により、光の流れが断続的になることから、上述の作用効果は、本発明の第二実施形態にかかるシャワーヘッド特有の極めて特徴的なものである。
したがって、本発明の第二実施形態にかかるシャワーヘッドにおいては、ホースの先を潰したような形状を基本としつつ、その表面全体を継ぎ目のない鏡面仕上げとし、上端部近傍に直線的な輝きを放つエッジ(角部)を備えたところに形状的な特徴があり、本実施例において第一実施例の図30〜36にて特定した特徴的な部位に相当する部分、即ち、より詳しくは、角部を含む上端部近傍の形状、側面形状、および下端部近傍の形状に特徴的な形状が集約されていると言える。
【0055】
続いて、本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドについて図20〜29、図37〜44に基づいて説明する。図20、27はCGにより作成した図面であり、各図面の表面部全面に表された濃淡は立体の表面形状及びシャワーヘッドの質感を示す濃淡であり、模様を構成するものではなく、また色彩を表すものでもない。
この第三の実施形態にかかるシャワーヘッド31は、外郭が0.5mm〜1mm程度の薄肉のSUS304等の金属で形成され、研磨によって表面が鏡面仕上げとなっている。シャワーヘッド31は、シャワーヘッド本体32とソケット34から構成され、ソケット接続部33にはソケット34と不図示の湯水混合水栓のシャワー側吐出口に連結されたシャワーホースが連結される。そして、ユーザーはシャワーヘッド31を手で持って使用することができる。
【0056】
シャワーヘッド本体32は、前述の工程あるいはバルジ加工の工程を省略して作成され、図20、21、22、28、29に記載のとおり、シャワーヘッド本体32の下方近傍35の断面形状を略円形の形状とし、下方近傍35から上方に向かうにつれて楕円状の断面形状の扁平率が高まる方向で変形する(図28、29)。
【0057】
図22、23に記載のシャワーヘッド本体32の側面図からも明らかなように、シャワーヘッド本体32の側面視の形状は、緩やかな弓形形状を有すると共に上方から下方に向けて緩やかな末広がりの形状を備えている。また、本体中央部より上方に位置する正面部分には、散水孔36を設けている。
【0058】
シャワーヘッド本体32の上端に位置する天板37と本体側面との接点部分には使用者が明確にエッジを意識できる程度の角部38を形成している。好ましくは、この角部38は半径0.5mm〜1.0mm程度に形成され、樹脂素材では実現が難しいシャープな角部(エッジ)形状を提供可能としている。この角部に関しても、本体の質感と合わせるために研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっている。
【0059】
シャワーヘッド本体32の表面は、好ましくは算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられている。このような金属製の本体ゆえに実現できる表面の平滑化は、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーヘッドと比べて、深みのある光沢と、表面の映り込みがとてもシャープな美しいシャワーヘッドを提供可能とするものである。
【0060】
以上のような形状を有するシャワーヘッド31は、主に次のような特徴を有する。
【0061】
まず、シャワーヘッドを金属素材で形成し、その表面を研磨して鏡面仕上げとしたことにより、これまで主流であった樹脂製のシャワーと比べて、美しく、高品位なシャワーを提供することが可能となった。さらに、好ましい態様においては、算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられることから、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーと比しても、深みのある光沢を備えたシャワーヘッドを提供することができる。
【0062】
また、シャワーヘッドの形状を、下方から上方に向けて断面形状が略円形から扁平形状へと変化する“ホースの先を指でつぶしたような形状”としたことから、使用者に対し水が勢いよく飛び出るような印象を与えることができる。また、シャワーヘッドの下部形状を使用者が握り易い形状とすることで十分な実用性も兼ね備えている。
【0063】
また、シャワーヘッドの上端には角部が設けられ、全体的に柔らかな曲線形状が多用される形状のなかで鋭角的なアクセント作用を奏している。さらに、好ましい態様においては、角部が極めて鋭角に形成されひときわシャープなアクセントを使用者に与えることができる。そして、どちらの態様にしても角部は研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっていることから、上記の鋭角さと相まって、光の反射が角部の存在を一層際立たせることができる。
【0064】
最も特徴的なのは、シャワーヘッドが設置される浴室などの照明が鏡面仕上げされたシャワーヘッドの表面に反射した際、シャワーヘッドを動かしたり、使用者が移動したりすると、その反射光がシャワーヘッドの表面形状に沿って滑らかな連続した光の流れを作りだし、極めて美しくシャワーヘッドを際立たせることにある。
従前のオール樹脂製のシャワーヘッドや本体の一部にメッキ処理を施したシャワーヘッドにおいては、樹脂素材の部分や継ぎ目の凹凸により、光の流れが断続的になることから、上述の作用効果は、本発明の第三実施形態にかかるシャワーヘッド特有の極めて特徴的なものである。
したがって、本発明の第三実施形態にかかるシャワーヘッドにおいては、ホースの先を潰したような形状を基本としつつ、その表面全体を継ぎ目のない鏡面仕上げとし、上端部近傍に直線的な輝きを放つエッジ(角部)を備えたところに形状的な特徴があり、より詳しくは、角部を含む上端部近傍の形状、側面形状、および下端部近傍の形状に特徴的な形状が集約されていると言える(図37〜44)。図37〜44の各図面において、薄墨を施した部分以外の部分が特徴部を表している。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
例えば、散水孔形成工程としては、バルジ加工後に、バルジ加工品を金型から取り出して後に、プレス加工によって散水孔をあけることも可能である。この場合、複数の散水孔が同じ方向を指向することになるが、散水孔からの吐水の方向を規定する吐水方向規定部材を散水部の内部に装着することにより、複数の散水孔からの吐水が広がるようにすることが可能である。なお、孔開け加工としては、プレス加工のほかに、ドリルやレーザーによる孔開け加工を行っても良い。
【0066】
さらに、金属管形成工程を行わずに、汎用のステンレス管を購入して、外郭形状形成工程から製造方法を行うようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1、21、31…シャワーヘッド
2、22、32…シャワーヘッド本体
3、23、33…ソケット接続部
24、34…ソケット
5、25、35…下方近傍
6、26、36…散水孔
7、27、37…天板
8、28、38…角部
29…シャワーホース
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室やシャワールームにて、手に持って使用するシャワーのシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザーの嗜好は、従前の機能重視からデザイン・質感といった感性に重きを置いた嗜好へと変化しつつある。これに伴い、浴室のデザインも浴槽、床、壁、水栓機器といった個々の構成要素が独自の個性を主張するものから、空間全体としての一体感、まとまり感が大切にされるようになってきた。
壁や床といった比較的大きな面積を占有する部位に用いられる材質も樹脂素材からタイルや大理石へと変化するにつれ、これに同調してシャワーヘッドも樹脂素材からメタル調素材へと変化がみられる。
このような市況の変化に伴い、従来から広く知られている合成樹脂製のシャワーヘッドは、安価、軽量、熱伝達防止等の利点がある一方で、質感に乏しく全体的に高級感に欠けるものであった。
この課題を解決すべく、樹脂製のシャワーヘッド本体の表面にニッケルクロムめっきなどの装飾メッキを施すことで美感と高級感を向上させたものが存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−272191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシャワーヘッドは、シャワーヘッド本体に着脱自在に取り付けられた切替部材を有し、無機質なメタル調の本体と機能的な切替部材が混在しており、材質の統一感、高級感、美感に欠けると共に、金属製の手すり、シャワーフック、カランを有する浴室に設置された場合には、素材の不一致によって浴室全体の空間デザインを乱す(調和しない)といった課題を有していた。
そこで、本発明は、シャワーヘッド本体を金属管で製造することにより、シャワーヘッド本体の一体感、空間的な統一感のあるスタイリッシュで高い質感を有するシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための、請求項1の発明は、シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の断面形状が、下方から上方に向かうにつれて略円形から扁平形状に変形し、本体の下端は解放されると共に上端は平らな金属板によって封鎖され、本体の表面は研磨されて鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0006】
これによれば、単一素材による金属の質感と本体表面の鏡面仕上げによる優れた美感の双方を有するシャワーヘッドを提供すると共に、本体下方の略円形状から得られる握り易さと、本体上方の扁平形状から得られるスタイリッシュなデザイン性を両立したシャワーヘッドを提供することができる。
【0007】
上記目的を達成するための、請求項2の発明は、シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の側面視の形状が上方から下方に向かうにつれて末広がりの形状を有し、本体の上端は平らな金属板によって封鎖され、少なくとも側面部の表面は研磨されて鏡面状態を有すると共に継ぎ目の無い一体的な形状を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0008】
これによれば、単一素材による金属の質感と、側面部表面の鏡面仕上げと継ぎ目を無くした形状による優れた美感の双方を有するシャワーヘッドを提供することができる。
【0009】
上記目的を達成するための、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部近傍で前傾に屈曲していることを特徴とするシャワーヘッドである。
【0010】
これによれば、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部近傍で前傾に屈曲させたことにより使い勝手のよいシャワーヘッドを提供することができる。
【0011】
上記目的を達成するための、請求項4の発明は、請求項1または2の発明において、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部より上方で前傾に屈曲していることを特徴とするシャワーヘッドである。
【0012】
これによれば、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部より上方で前傾に屈曲させたことによりシャワーヘッドの握り代が十分に確保され使い勝手のよいシャワーヘッドを提供することができる。
【0013】
上記目的を達成するための、請求項5の発明は、請求項1または2の発明において、側面視の形状が緩やかな弓形形状を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0014】
これによれば、単一素材による金属の質感と本体表面の鏡面仕上げによる優れた美感の双方を有するシャワーヘッドを提供すると共に、弓形のスタイリッシュなシャワーヘッドを提供することができる。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかにおいて、シャワーヘッドの本体表面は研磨されて算術平均粗さRaが0.03μm以下の鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0016】
これによれば、樹脂素材にメッキを施した際には実現が困難な、金属素材ならではの非常に平滑な鏡面からなる表面を有する美しいシャワーヘッドを提供することができる。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかにおいて、シャワーヘッドの本体の金属素材はステンレスであることを特徴とするシャワーヘッドである。
【0018】
これによれば、ステンレスならではの美しい金属製のシャワーヘッドを提供することができる。
【0019】
また、請求項8の発明は、1〜7のいずれかにおいて、シャワーヘッドの本体上端を封鎖する平らな金属板と本体側面との接点に角部を形成するとともに、接点の継ぎ目が研磨されて鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッドである。
【0020】
これによれば、天板と本体側面が金属によって一体的に形成された美しいフルメタルのシャワーヘッドを提供するとともに、金属ならではのシャープな角部(エッジが立った)形状を提供することができる。
【0021】
また、請求項9の発明は、請求項8において、シャワーヘッド本体の角部は半径0.8mm以下に形成されていることを特徴とするシャワーヘッドである。
【0022】
これによれば、樹脂素材では実現が難しいシャープな角部(エッジ)形状を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、シャワーヘッド本体の一体感、空間的な統一感のあるスタイリッシュで高い質感を有するシャワーヘッドを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドを示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの正面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの右側面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの左側面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの平面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの背面図である。
【図7】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの底面図である。
【図8】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドのC−C部分拡大図である。
【図9】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドのA−A断面図である。
【図10】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドのB−B断面図である。
【図11】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの使用状態を示す参考斜視図である。
【図12】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの正面図である。
【図13】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの右側面図である。
【図14】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの左側面図である。
【図15】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの平面図である。
【図16】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの背面図である。
【図17】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの底面図である。
【図18】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドのC−C部分拡大図である。
【図19】本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドの底面図の拡大図である。
【図20】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの参考斜視図である。
【図21】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの正面図である。
【図22】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの右側面図である。
【図23】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの左側面図である。
【図24】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの平面図である。
【図25】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの背面図である。
【図26】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの底面図である。
【図27】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドのC−C部分拡大図である。
【図28】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドのA−A断面図である。
【図29】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドのB−B断面図である。
【図30】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す正面図である。
【図31】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す右側面図である。
【図32】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す左側面図である。
【図33】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す平面図である。
【図34】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す背面図である。
【図35】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す底面図である。
【図36】本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表すA−A断面図である。
【図37】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す正面図である。
【図38】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す右側面図である。
【図39】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す左側面図である。
【図40】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す平面図である。
【図41】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す背面図である。
【図42】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表す底面図である。
【図43】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表すA−A断面図である。
【図44】本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドの特徴部分を表すB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明にかかる金属製のシャワーヘッドについて説明する。
【0026】
本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッドについて説明する。
図1〜10、図30〜36は第一の実施形態にかかるシャワーヘッドの詳細を示す図である。なお、図1〜10の各図面はCGにより作成した図面であり、各図面の表面部全面に表された濃淡は立体の表面形状及びシャワーヘッドの質感を示す濃淡であり、模様を構成するものではなく、また色彩を表すものでもない。
【0027】
シャワーヘッド1は、外郭が0.5mm〜1mm程度の薄肉のSUS304等の金属で形成され、研磨によって表面が鏡面仕上げとなっている。シャワーヘッド1のソケット接続部3には不図示のソケット及び湯水混合水栓のシャワー側吐出口に連結されたシャワーホースが連結される。そして、ユーザーはシャワーヘッド1を手で持って使用することができる。
【0028】
シャワーヘッド本体2は、図1、3、7、9、10に記載のとおり、シャワーヘッドの下方近傍5の断面形状を略円形の形状とし、下方近傍5から本体中央部近傍に向かうにつれて断面形状が略円形から扁平形状へと変形する(図7、図10)。シャワーヘッド本体2の中央部近傍から上方に向かう断面形状は扁平形状を両側面方向に緩やかに拡大する形状となっている。
【0029】
図3、4に記載のシャワーヘッド本体2の側面図からも明らかなように、シャワーヘッド本体2の側面視の形状は、上方から下方に向かうにつれて末広がりの形状を備えている。また、本体中央部より上方に位置する正面部分には、散水孔6を設けると共にこの部分を正面側に前傾させた形状となっている。
【0030】
シャワーヘッド本体2の上端に位置する天板7と本体側面との接点部分には使用者が明確にエッジを意識できる程度の角部8を形成している。好ましくは、この角部8は半径0.5mm〜1.0mm程度に形成され、樹脂素材では実現が難しいシャープな角部(エッジ)形状を提供可能としている。この角部8に関しても、本体の質感と合わせるために研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっている。
【0031】
シャワーヘッド本体2の表面は、好ましくは算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられている。このような金属製の本体ゆえに実現できる表面の平滑化は、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーヘッドと比べて、深みのある光沢と、表面の映り込みがとてもシャープな美しいシャワーヘッドを提供可能とするものである。
【0032】
次に、上述したように、全体を金属で構成したシャワーヘッド本体2の製造方法について説明する。
【0033】
まず、ステンレス製の平板を準備し、その平板に散水孔を開けて散水孔加工板を形成する工程を実行する。平板にプレス加工等により多数の孔を同時に加工するのがコスト的に好ましい。
そして、散水孔加工板を塑性変形させて筒状に丸めるロールフォーミング加工を行う。そして、丸めた散水孔加工板の端部同士を接合して両端が開口した直管状の素管と成す溶接を行う。
その後、両端が開口した素管の一方に平たい天板部材7を接合して開口を封止して閉塞管と成す溶接を行う。すなわち、シャワーヘッド本体の天面は、素管に溶接された他部材により構成される。
これらロールフォーミング加工と合わせ面の溶接と天板部材7で開口を封止する溶接の工程が、本発明の金属管形成工程に該当する。
【0034】
なお、溶接痕が残ってしまうと、シャワーヘッドの見栄えが悪くなるので、溶接痕を除去する研磨工程を実行する。溶接痕が周囲からほとんど盛り上がっていない場合には、この研磨工程は、任意のタイミングで実行すればよい。しかし、溶接痕が周囲よりも大きく盛り上がった形状の場合には、この溶接を終えた段階で、溶接痕を除去する研磨工程を実行するのが好ましい。
【0035】
溶接痕の除去には、表面全体を一律に研磨するバレル研磨よりも、任意の範囲に亘って一度の研磨で大きな除去力を得ることができるベルト研磨が適している。ベルト研磨を行うことにより、溶接痕を短時間で除去することができる。また、溶接痕除去後の溶接部分は、閉塞管の表面のうち、溶接されていない部分と同じ程度の表面粗さにするのが好ましい。砥材や粒度を適切に選択して数段階に分けてベルト研磨を行うことにより、溶接痕を平坦にし、さらにステンレス鋼板の表面と同等の粗さ(例えば、算術平均粗さRa=0.2μm程度)にすることが可能である。
なお、表面全体を同時に且つ平均的に研磨するバレル研磨のような研磨方法を用いて溶接痕を除去した場合、数十μmレベルの高低差を有する凹凸形状が溶接痕に残ってしまい、外観不良となる可能性があるが、ベルト研磨によればそのような凹凸形状が残る恐れはなく、外観不良率を下げることができる。
【0036】
次に、必要に応じて、閉塞管の側面に一方向に圧力を加えることにより、閉塞管を塑性変形させて曲げ管と成す曲げ加工を行う。なお、後述するバルジ加工用の金型を締める際に素管を曲げ変形させることも可能である。
【0037】
そして、次に、曲げ管あるいは閉塞管を所定の形状に塑性変形させてバルジ加工品と成すバルジ加工を行う。このバルジ加工は、金型に曲げ管あるいは閉塞管を装填して金型を締め、曲げ管あるいは閉塞管の内部に液体等の充填物を注入し、充填物に最大200Mpa程度の高圧力を加えて曲げ管あるいは閉塞管をシャワーヘッド本体2の形を成すよう、所定の形状に拡管させるものである。なお、このバルジ加工においては、最初は充填物に小さく圧力をかけて、曲げ管あるいは閉塞管を軸方向に圧縮させて(軸押し)一次変形を起こさせ、その後、充填物に高い圧力をかけて、曲げ管あるいは閉塞管を径方向に大きく変形させる二次変形を起こさせる、いわゆるハンマリング成形を行うことにより、シャワーヘッド本体2の外観形状を曲面を利用した意匠性の高いものにすることが可能となる。
【0038】
なお、図1に示したシャワーヘッド本体2は、散水部が扁平で且つ幅広の薄体状とされている。シャワーヘッド本体をこのような形状にするために、バルジ加工の金型を締めた際に、曲げ管あるいは閉塞管が扁平な形状になるように塑性変形している。
また、シャワー装置では、散水孔から散水領域が広がるように散水させる必要があるため、各散水孔はそれぞれ異なる方向を指向している。この例では、バルジ加工によって、散水孔が形成された面を所定の曲面形状に変形することにより、複数の散水孔を異なる方向に向けることができ、シャワー装置としての散水性能を付与することができる。
【0039】
以上のような形状を有するシャワーヘッド1は、主に次のような特徴を有する。
【0040】
まず、シャワーヘッド本体を金属素材で形成し、その表面を研磨して鏡面仕上げとしたことにより、これまで主流であった樹脂製のシャワーと比べて、美しく、高品位なシャワーを提供することが可能となった。さらに、好ましい態様においては、算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられることから、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーと比しても、深みのある光沢を備えたシャワーヘッドを提供することができる。
【0041】
また、シャワーヘッドの形状を、下方から上方に向けて断面形状が略円形から扁平形状へと変化する“ホースの先を指でつぶしたような形状”としたことから、使用者に対し水が勢いよく飛び出るような印象を与えることができる。加えて、金属の強度を活かした(樹脂素材では実現が難しい程度まで)シャワーヘッドの上部を扁平形状にスリム化したことにより、全体的にとても洗練された印象を与えることができる。また、一方では、シャワーヘッドの下部形状を使用者が握り易い形状とすることで十分な実用性も兼ね備えている。
【0042】
また、シャワーヘッドの上端には角部が設けられ、薄く扁平にした散水部のすっきりとした印象と相まって、シャープで洗練された印象を奏している。さらに、好ましい態様においては、角部が極めて鋭角に形成され、ひときわシャープなアクセントを使用者に与えることができる。そして、どちらの態様にしても角部は研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっていることから、上記の鋭角さと相まって、直線状の光の反射が角部の存在を一層際立たせることができる。
【0043】
最も特徴的なのは、シャワーヘッドが設置される浴室などの照明が鏡面仕上げされたシャワーヘッドの表面に反射した際、シャワーヘッドを動かしたり、使用者が移動したりすると、その反射光がシャワーヘッドの表面形状に沿って滑らかな連続した光の流れを作りだし、極めて美しくシャワーヘッドを際立たせることにある。
従前のオール樹脂製のシャワーヘッドや本体の一部にメッキ処理を施したシャワーヘッドにおいては、樹脂素材の切替部や継ぎ目の凹凸により、光の流れが断続的になることから、上述の作用効果は、本発明の第一の実施形態にかかるシャワーヘッド特有の極めて特徴的なものである。
【0044】
したがって、本発明の第一実施形態にかかるシャワーヘッドにおいては、ホースの先を潰したような形状を基本としつつ、その表面全体を継ぎ目のない鏡面仕上げとし、上端部近傍に直線的な輝きを放つエッジ(角部)を備えたところに形状的な特徴があり、より詳しくは、角部を含む上端部近傍の形状、側面形状、および下端部近傍の形状に特徴的な形状が集約されていると言える(図30〜36)。図30〜36の各図面において、実線で表した部分が、特徴部を表す部分である。一点鎖線は、特徴部を表す部分ととその他の部分との境界のみを示す線である。
【0045】
続いて、本発明の第二の実施形態にかかるシャワーヘッドについて図11〜19に基づいて説明する。なお、図11〜19に記載の各図面はCGにより作成した図面であり、各図面の表面部全面に表された濃淡は立体の表面形状及びシャワーヘッドの質感を示す濃淡であり、模様を構成するものではなく、また色彩を表すものでもない。
この第二の実施形態にかかるシャワーヘッド21は、外郭が0.5mm〜1mm程度の薄肉のSUS304等の金属で形成され、研磨によって表面が鏡面仕上げとなっている。シャワーヘッド21は、シャワーヘッド本体22とソケット24から構成され、ソケット接続部23にはソケット24及び湯水混合水栓のシャワー側吐出口に連結されたシャワーホース29が連結される。そして、ユーザーはシャワーヘッド21を手で持って使用することができる。
【0046】
シャワーヘッド本体22は、前述の工程あるいはバルジ加工の工程を省略して作成され、図11、12、13、15、17に記載のとおり、シャワーヘッド本体22の下方近傍25の断面形状を略円形の形状とし、下方近傍25から上方に向かうにつれて断面形状が略円形から楕円形状へと変形する。
【0047】
図13、14に記載のシャワーヘッド本体22の側面図からも明らかなように、シャワーヘッド本体22の側面視の形状は、上方から下方に向けて緩やかな末広がりの形状を備えている。また、本体中央部より上方に位置する正面部分には、散水孔26を設けると共にこの部分を正面側に前傾させた形状となっている。
【0048】
シャワーヘッド本体22の上端に位置する天板27と本体側面との接点部分には使用者が明確にエッジを意識できる程度の角部28を形成している。好ましくは、この角部28は半径0.5mm〜1.0mm程度に形成され、樹脂素材では実現が難しいシャープな角部(エッジ)形状を提供可能としている。この角部に関しても、本体の質感と合わせるために研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっている。
【0049】
シャワーヘッド本体22の表面は、好ましくは算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられている。このような金属製の本体ゆえに実現できる表面の平滑化は、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーヘッドと比べて、深みのある光沢と、表面の映り込みがとてもシャープな美しいシャワーヘッドを提供可能とするものである。
【0050】
以上のような形状を有するシャワーヘッド21は、主に次のような特徴を有する。
【0051】
まず、シャワーヘッドを金属素材で形成し、その表面を研磨して鏡面仕上げとしたことにより、これまで主流であった樹脂製のシャワーと比べて、美しく、高品位なシャワーを提供することが可能となった。さらに、好ましい態様においては、算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられることから、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーと比しても、深みのある光沢を備えたシャワーヘッドを提供することができる。
【0052】
また、シャワーヘッドの形状を、下方から上方に向けて断面形状が略円形から扁平形状へと変化する“ホースの先を指でつぶしたような形状”としたことから、使用者に対し水が勢いよく飛び出るような印象を与えることができる。また、本体中央部より上方において正面部を前傾させたことと相まってシャワーヘッドの下部形状を使用者が握り易い形状とすることで十分な実用性も兼ね備えている。
【0053】
また、シャワーヘッドの上端には角部が設けられ、全体的に柔らかな曲線形状が多用される形状のなかで鋭角的なアクセント作用を奏している。さらに、好ましい態様においては、角部が極めて鋭角に形成されひときわシャープなアクセントを使用者に与えることができる。そして、どちらの態様にしても角部は研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっていることから、上記の鋭角さと相まって、光の反射が角部の存在を一層際立たせることができる。
【0054】
最も特徴的なのは、シャワーヘッドが設置される浴室などの照明が鏡面仕上げされたシャワーヘッドの表面に反射した際、シャワーヘッドを動かしたり、使用者が移動したりすると、その反射光がシャワーヘッドの表面形状に沿って滑らかな連続した光の流れを作りだし、極めて美しくシャワーヘッドを際立たせることにある。
従前のオール樹脂製のシャワーヘッドや本体の一部にメッキ処理を施したシャワーヘッドにおいては、樹脂素材の部分や継ぎ目の凹凸により、光の流れが断続的になることから、上述の作用効果は、本発明の第二実施形態にかかるシャワーヘッド特有の極めて特徴的なものである。
したがって、本発明の第二実施形態にかかるシャワーヘッドにおいては、ホースの先を潰したような形状を基本としつつ、その表面全体を継ぎ目のない鏡面仕上げとし、上端部近傍に直線的な輝きを放つエッジ(角部)を備えたところに形状的な特徴があり、本実施例において第一実施例の図30〜36にて特定した特徴的な部位に相当する部分、即ち、より詳しくは、角部を含む上端部近傍の形状、側面形状、および下端部近傍の形状に特徴的な形状が集約されていると言える。
【0055】
続いて、本発明の第三の実施形態にかかるシャワーヘッドについて図20〜29、図37〜44に基づいて説明する。図20、27はCGにより作成した図面であり、各図面の表面部全面に表された濃淡は立体の表面形状及びシャワーヘッドの質感を示す濃淡であり、模様を構成するものではなく、また色彩を表すものでもない。
この第三の実施形態にかかるシャワーヘッド31は、外郭が0.5mm〜1mm程度の薄肉のSUS304等の金属で形成され、研磨によって表面が鏡面仕上げとなっている。シャワーヘッド31は、シャワーヘッド本体32とソケット34から構成され、ソケット接続部33にはソケット34と不図示の湯水混合水栓のシャワー側吐出口に連結されたシャワーホースが連結される。そして、ユーザーはシャワーヘッド31を手で持って使用することができる。
【0056】
シャワーヘッド本体32は、前述の工程あるいはバルジ加工の工程を省略して作成され、図20、21、22、28、29に記載のとおり、シャワーヘッド本体32の下方近傍35の断面形状を略円形の形状とし、下方近傍35から上方に向かうにつれて楕円状の断面形状の扁平率が高まる方向で変形する(図28、29)。
【0057】
図22、23に記載のシャワーヘッド本体32の側面図からも明らかなように、シャワーヘッド本体32の側面視の形状は、緩やかな弓形形状を有すると共に上方から下方に向けて緩やかな末広がりの形状を備えている。また、本体中央部より上方に位置する正面部分には、散水孔36を設けている。
【0058】
シャワーヘッド本体32の上端に位置する天板37と本体側面との接点部分には使用者が明確にエッジを意識できる程度の角部38を形成している。好ましくは、この角部38は半径0.5mm〜1.0mm程度に形成され、樹脂素材では実現が難しいシャープな角部(エッジ)形状を提供可能としている。この角部に関しても、本体の質感と合わせるために研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっている。
【0059】
シャワーヘッド本体32の表面は、好ましくは算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられている。このような金属製の本体ゆえに実現できる表面の平滑化は、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーヘッドと比べて、深みのある光沢と、表面の映り込みがとてもシャープな美しいシャワーヘッドを提供可能とするものである。
【0060】
以上のような形状を有するシャワーヘッド31は、主に次のような特徴を有する。
【0061】
まず、シャワーヘッドを金属素材で形成し、その表面を研磨して鏡面仕上げとしたことにより、これまで主流であった樹脂製のシャワーと比べて、美しく、高品位なシャワーを提供することが可能となった。さらに、好ましい態様においては、算術平均粗さRaが0.03μm程度となるまで磨きあげられることから、従来の樹脂製の本体にメッキを施したシャワーと比しても、深みのある光沢を備えたシャワーヘッドを提供することができる。
【0062】
また、シャワーヘッドの形状を、下方から上方に向けて断面形状が略円形から扁平形状へと変化する“ホースの先を指でつぶしたような形状”としたことから、使用者に対し水が勢いよく飛び出るような印象を与えることができる。また、シャワーヘッドの下部形状を使用者が握り易い形状とすることで十分な実用性も兼ね備えている。
【0063】
また、シャワーヘッドの上端には角部が設けられ、全体的に柔らかな曲線形状が多用される形状のなかで鋭角的なアクセント作用を奏している。さらに、好ましい態様においては、角部が極めて鋭角に形成されひときわシャープなアクセントを使用者に与えることができる。そして、どちらの態様にしても角部は研磨処理が施されて鏡面仕上げとなっていることから、上記の鋭角さと相まって、光の反射が角部の存在を一層際立たせることができる。
【0064】
最も特徴的なのは、シャワーヘッドが設置される浴室などの照明が鏡面仕上げされたシャワーヘッドの表面に反射した際、シャワーヘッドを動かしたり、使用者が移動したりすると、その反射光がシャワーヘッドの表面形状に沿って滑らかな連続した光の流れを作りだし、極めて美しくシャワーヘッドを際立たせることにある。
従前のオール樹脂製のシャワーヘッドや本体の一部にメッキ処理を施したシャワーヘッドにおいては、樹脂素材の部分や継ぎ目の凹凸により、光の流れが断続的になることから、上述の作用効果は、本発明の第三実施形態にかかるシャワーヘッド特有の極めて特徴的なものである。
したがって、本発明の第三実施形態にかかるシャワーヘッドにおいては、ホースの先を潰したような形状を基本としつつ、その表面全体を継ぎ目のない鏡面仕上げとし、上端部近傍に直線的な輝きを放つエッジ(角部)を備えたところに形状的な特徴があり、より詳しくは、角部を含む上端部近傍の形状、側面形状、および下端部近傍の形状に特徴的な形状が集約されていると言える(図37〜44)。図37〜44の各図面において、薄墨を施した部分以外の部分が特徴部を表している。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
例えば、散水孔形成工程としては、バルジ加工後に、バルジ加工品を金型から取り出して後に、プレス加工によって散水孔をあけることも可能である。この場合、複数の散水孔が同じ方向を指向することになるが、散水孔からの吐水の方向を規定する吐水方向規定部材を散水部の内部に装着することにより、複数の散水孔からの吐水が広がるようにすることが可能である。なお、孔開け加工としては、プレス加工のほかに、ドリルやレーザーによる孔開け加工を行っても良い。
【0066】
さらに、金属管形成工程を行わずに、汎用のステンレス管を購入して、外郭形状形成工程から製造方法を行うようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1、21、31…シャワーヘッド
2、22、32…シャワーヘッド本体
3、23、33…ソケット接続部
24、34…ソケット
5、25、35…下方近傍
6、26、36…散水孔
7、27、37…天板
8、28、38…角部
29…シャワーホース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の断面形状が、下方から上方に向かうにつれて略円形から扁平形状に変形し、本体の下端は解放されると共に上端は平らな金属板によって封鎖され、本体の表面は研磨されて鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の側面視の形状が上方から下方に向かうにつれて末広がりの形状を有し、本体の上端は平らな金属板によって封鎖され、少なくとも側面部の表面は研磨されて鏡面状態を有すると共に継ぎ目の無い一体的な形状を有することを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項3】
前記シャワーヘッドは、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部近傍で前傾に屈曲していることを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記シャワーヘッドは、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部より上方で前傾に屈曲していることを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記シャワーヘッドは、側面視の形状が緩やかな弓形形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項6】
前記シャワーヘッドの本体表面は研磨されて算術平均粗さRaが0.03μm以下の鏡面状態を有することを特徴とする請求項1〜5に記載のシャワーヘッド。
【請求項7】
前記シャワーヘッドの本体の金属素材はステンレスであることを特徴とする請求項1〜6に記載のシャワーヘッド。
【請求項8】
前記シャワーヘッドの本体上端を封鎖する平らな金属板と本体側面との接点に角部を形成するとともに、接点の継ぎ目が研磨されて鏡面状態を有することを特徴とする請求項1〜7に記載のシャワーヘッド。
【請求項9】
前記シャワーヘッド本体の角部は半径0.8mm以下に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のシャワーヘッド。
【請求項1】
シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の断面形状が、下方から上方に向かうにつれて略円形から扁平形状に変形し、本体の下端は解放されると共に上端は平らな金属板によって封鎖され、本体の表面は研磨されて鏡面状態を有することを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
シャワーヘッド本体の材質に金属素材を用いたシャワーヘッドであって、金属管からなる本体の側面視の形状が上方から下方に向かうにつれて末広がりの形状を有し、本体の上端は平らな金属板によって封鎖され、少なくとも側面部の表面は研磨されて鏡面状態を有すると共に継ぎ目の無い一体的な形状を有することを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項3】
前記シャワーヘッドは、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部近傍で前傾に屈曲していることを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記シャワーヘッドは、散水孔を備えた本体正面部分が本体中央部より上方で前傾に屈曲していることを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記シャワーヘッドは、側面視の形状が緩やかな弓形形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項6】
前記シャワーヘッドの本体表面は研磨されて算術平均粗さRaが0.03μm以下の鏡面状態を有することを特徴とする請求項1〜5に記載のシャワーヘッド。
【請求項7】
前記シャワーヘッドの本体の金属素材はステンレスであることを特徴とする請求項1〜6に記載のシャワーヘッド。
【請求項8】
前記シャワーヘッドの本体上端を封鎖する平らな金属板と本体側面との接点に角部を形成するとともに、接点の継ぎ目が研磨されて鏡面状態を有することを特徴とする請求項1〜7に記載のシャワーヘッド。
【請求項9】
前記シャワーヘッド本体の角部は半径0.8mm以下に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のシャワーヘッド。
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図27】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図27】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公開番号】特開2012−115525(P2012−115525A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268698(P2010−268698)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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