シャワーヘッド
【課題】収容される浴用剤の溶解速度を調節することが可能な構成を備えるシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と、流路101aから直接流入した湯水(F1)とが攪拌され、浴用剤成分が混合された湯水(F3)となる。また、浴用剤130が収容された第1流通領域S1に流れ込む湯水は、流路101aを通過した湯水の全量が流れ込まず一部のみが流れ込む。さらに、外側開口部117と内側開口部123とを用いた流入量調整機構によって第1流通領域S1に流れ込む湯水の量の調節が可能であることから、浴用剤130の溶解速度を調節することが可能となる。
【解決手段】湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と、流路101aから直接流入した湯水(F1)とが攪拌され、浴用剤成分が混合された湯水(F3)となる。また、浴用剤130が収容された第1流通領域S1に流れ込む湯水は、流路101aを通過した湯水の全量が流れ込まず一部のみが流れ込む。さらに、外側開口部117と内側開口部123とを用いた流入量調整機構によって第1流通領域S1に流れ込む湯水の量の調節が可能であることから、浴用剤130の溶解速度を調節することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴室等において、湯水(湯または水)を吐出するシャワーヘッドの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−269427公報(特許文献1)には、浴用剤入りシャワーヘッドが開示されている。この浴用剤入りシャワーヘッドにおいては、シャワーヘッド内に設けられる通水路に浴用剤が載置され、湯水が浴用剤を通過することで、浴用剤が溶解した湯水が、ノズルヘッドから吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−269427公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、入浴においてお湯を張った浴槽に身体を浸けずに、シャワーのみで入浴を済ませるライフスタイルが多くなっている。この場合に、シャワーの使用時間は、約8分程度であるとの報告もある。
【0005】
一方、シャワーのみで入浴を済ませる場合であっても、入浴と同等の浴用効果を得たいという希望もある。しかし、上記特許文献1に記載のシャワーヘッドでは、ノズルヘッドから浴用剤が溶解した湯水を吐出させた場合には、通水路に流入された湯水の全量が浴用剤を通過するために、浴用剤は瞬時にして溶解される。その結果、シャワーの使用時間の全時間にわたって、十分な浴用剤の効能を期待することができないと考えられる。
【0006】
したがって、この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、シャワーヘッドに収容される浴用剤の溶解速度を調節することが可能な構成を備えるシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に基づいた、シャワーヘッドにおいては、内部に湯水を流通させる流路を設けた把持部と、上記把持部の先端側に設けられ、上記流路を流通した上記湯水を外部に吐出する複数の吐出孔が設けられたシャワーヘッド本体とを備え、上記シャワーヘッド本体は、上記湯水の一部が流れ込むとともに、浴用剤が収容される第1流通領域と、上記湯水の残りが流れ込む第2流通領域と、上記第1流通領域を通過し上記浴用剤が溶解した湯水と、上記第2流通領域を通過した湯水とが混合する混合領域と、上記混合領域に対して通過孔を有する隔壁で隔てられ、上記通過孔から上記混合領域にて混合された上記湯水が流入されるとともに、複数の上記吐出孔が設けられる湯水吐出領域とを含む。
【0008】
他の形態においては、上記第1流通領域および上記第2流通領域の、上記隔壁の表面に平行な平面でみた場合におけるそれぞれの面積の合計は、上記通過孔の開口面積よりも大きい。
【0009】
他の形態においては、上記第1流通領域は、上記第1流通領域へ流れ込む上記湯水の流入量を調整する流入量調整機構を含む。
【0010】
他の形態においては、上記第1流通領域は、上記湯水混合領域へ流れ出る上記湯水の流出量を調整する流出量調整機構を含む。
【0011】
他の形態においては、上記浴用剤が収容される上記第1流通領域において、上記浴用剤には固形形状の発泡性浴用剤が用いられる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の基づいたシャワーヘッドにおいては、収容される浴用剤の溶解速度を調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1におけるシャワーヘッドの構造を示す全体斜視図である。
【図2】実施の形態1におけるシャワーヘッドの内部構造を示す縦断面図である。
【図3】図2中のIII−III線矢視断面図である。
【図4】図2中のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】実施の形態1におけるシャワーヘッドに収容される浴用剤の形状を示す図である。
【図6】実施の形態1におけるシャワーヘッドの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための第1横断面図であり、図2中のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】実施の形態1におけるシャワーヘッドの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための第2横断面図であり、図2中のVI−VI線矢視に相当する断面図である。
【図8】実施の形態1におけるシャワーヘッドの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【図9】実施の形態2におけるシャワーヘッドの内部構造を示す縦断面図である。
【図10】実施の形態2におけるシャワーヘッドの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための模式図である。
【図11】実施の形態2におけるシャワーヘッドの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【図12】実施の形態3におけるシャワーヘッドの内部構造を示す縦断面図である。
【図13】実施の形態3におけるシャワーヘッドの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための模式図である。
【図14】実施の形態3におけるシャワーヘッドの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に基づいた各実施の形態におけるシャワーヘッドについて、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0015】
なお、以下に示す湯水とは、加温されていない水または所定の温度にまで加温された温水を意味する。
【0016】
(実施の形態1)
図1から図8を参照して、本実施の形態におけるシャワーヘッド100Aの構造について説明する。まず、図1および図2を参照して、シャワーヘッド100Aの概略構成について説明する。図1は、シャワーヘッド100Aの構造を示す全体斜視図、図2は、シャワーヘッド100Aの内部構造を示す縦断面図である。
【0017】
このシャワーヘッド100Aは、内部に湯水を流通させる流路101aを設けた把持部101と、この把持部101の先端側に設けられ、流路101aを流通した湯水を外部に吐出する複数の吐出孔hが設けられたシャワーヘッド本体110Aとを備えている。
【0018】
シャワーヘッド本体110Aの具体的な構造としては、把持部101が連結される円筒形状の外部ハウジング111を有する。外部ハウジング111の下端部には、複数の吐出孔hが設けられるノズル壁112が設けられている。
【0019】
外部ハウジング111の内部には、浴用剤130が収容され、湯水の一部が流れ込む第1流通領域S1を規定する浴用剤収容部115が設けられている。この浴用剤収容部115は、上端が開放するとともに有底のカップ形状を有する。浴用剤収容部115の内部には、浴用剤収容部115の上端を塞ぐキャップ120Aが上部から挿入されている。
【0020】
キャップ120Aは、浴用剤収容部115の内周面に沿って回転中心Aを中心として、摺動回転可能(図2中の矢印R方向)な円筒状ガイド部121と、円筒状ガイド部121の上端を塞ぐプレート部122を有している。円筒状ガイド部121の内側に、浴用剤130が収容されている。浴用剤130の形状、成分については後述する。
【0021】
図3に、図2中のIII−III線矢視断面図を示す。平面視において、浴用剤収容部115は、外部ハウジング111に対して先端側に偏芯した状態に設けられ、外部ハウジング111の内面部と浴用剤収容部115の外面との間に生じる空間において、一部の湯水の残りが流れ込む三日月型の第2流通領域S2が規定される。
【0022】
再び、図2を参照して、キャップ120Aの円筒状ガイド部121には、第2流通領域S2に向けて開放する内側開口部123が設けられ、この内側開口部123に対向する浴用剤収容部115の側壁115aにも、第2流通領域S2に向けて開放する外側開口部117が設けられている。外側開口部117と内側開口部123とにより流入量調整機構が構成される。
【0023】
キャップ120Aを回転中心Aを中心として回転さて、外側開口部117と内側開口部123との重なり程度を調整することで、流路101aから第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整することができる。詳細については後述する。
【0024】
浴用剤収容部115の底面115bには、底部開口部116が設けられている。また、浴用剤収容部115の底面115bの下方には所定の間隙を隔てて隔壁113が設けられている。
【0025】
浴用剤収容部115の底面115bと隔壁113との間の領域により、底部開口部116を通じて第1流通領域S1と連通し、また、第2流通領域S2とも連通する、湯水混合領域S3が規定される。
【0026】
図4に、図2中のIV−IV線矢視断面図を示す。図3および図4を参照して、隔壁113の略中央領域には通過孔114が設けられている。また、ノズル壁112と湯水混合領域S3との間にも所定の空間が形成され、この空間において湯水吐出領域S4が規定される。
【0027】
湯水混合領域S3に位置する湯水は、通過孔114から湯水吐出領域S4に流入され、ノズル壁112に設けられた複数の吐出孔hから外部に突出される。なお、本実施の形態におけるシャワーヘッド100A内部における湯水の流れの詳細については、後述する。
【0028】
(浴用剤130の形状および成分)
図5に、シャワーヘッド100Aに収容される浴用剤の形状を示す。浴用剤130の形状は、図5に示すように、円柱の固形形状を有している。高さは、約10mm〜約20mm、直径は、約20mm〜約40mmである。なお、形状はこの円柱形状に限定されるものではない。本実施の形態では、1回のシャワーに対して、1個の浴用剤130を用いることを想定しているが、1個の浴用剤130を用いて複数のシャワーを行なうことも可能である。
【0029】
浴用剤130の成分としては、たとえば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ホウ酸炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等をベース成分として用いても良い。また、これに配合される保温、保湿、皮膚清浄作用等を奏し得る成分としては、たとえば、トウガラシ、カミツレ、センキュウ、トウキ、ケイヒ、ハマボウフウ、ハッカ、ゴシュウ、トウヒ、ユズ、クスノキ、ケイガイ、ショウブ等の生薬成分や海藻エキス等の各種エキス類が挙げられる。
【0030】
上記ベース成分および配合成分等は、一般的処方に従って、たとえば、ベース成分90〜99.9質量%、配合成分0.1〜10質量%程度の範囲から適宜決定される量で用いると良い。また、この浴用剤は、上記各成分の所定量を単に混合(配合)するだけで容易に、錠剤等の適当な固剤形態することができる。
【0031】
浴用剤130には、遊離残留塩素を除去するために、L−アスコルビン酸(ビタミンC)を添加配合しても良い。また、溶解度の高いものの一例として、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどを用いると、必要量以上の薬剤を溶出させ、原水と混合することにより全量、浄水とすることができる。
【0032】
また、この浴用剤には、上記成分の他に、更に必要に応じてこの種浴用剤に使用できることの知られている他の薬効成分や各種の添加剤を添加配合しても良い。上記薬効成分としては、たとえばサリチル酸メチル、アロエエキス、カンゾウエキス等の消炎剤成分やメントール等の清涼剤成分が挙げられる。他の添加剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等の保存剤、EDTA等の水質改善剤、香料着色料等が挙げられる。
【0033】
また、発泡性の浴用剤とする場合には、発泡成分として、セスキ炭酸ナトリウム、重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等の炭酸塩と中和剤としてコハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、ピロリドンカルボン酸、リン酸、アミノ酸、フマル酸等の水溶性で固体の酸を配合すると良い。
【0034】
(湯水の第1流通領域S1への流入量調整機構)
次に、図6および図7を参照して、第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整する流入量調整機構について説明する。図6は、浴用剤収容部115に設けられた外側開口部117とキャップ120Aの円筒状ガイド部121に設けられた内側開口部123とが、完全に重なりあった状態を示している。この状態は、流入量調整機構が全開した状態となる。
【0035】
一方、図7は、キャップ120Aを、回転中心Aを中心として大きく回転さて状態を示し、外側開口部117と内側開口部123とが完全にずれた状態を示している。この状態は、流入量調整機構が全閉した状態となる。
【0036】
このように、外側開口部117と内側開口部123との重なりの程度を、キャップ120Aを、回転中心Aを中心に回転させて調節することで、流路101aから第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整することができる。
【0037】
また、本実施の形態におけるシャワーヘッド100Aにおいては、第1流通領域S1および第2流通領域S2の隔壁113の表面に平行な平面でみた場合におけるそれぞれの面積A1,A2(図3参照)の合計は、通過孔114の面積A3(図4参照)よりも大きく設けられている。
【0038】
(シャワーヘッド100Aの内部における湯水の流れ)
次に、図8を参照して、シャワーヘッド100Aの内部における湯水の流れについて説明する。把持部101の流路101aを通過した流水の一部は、外側開口部117および内側開口部123を通過し、第1流通領域S1の内部に流れ込む。
【0039】
S1の内部に流れ込んだ湯水は、第1流通領域S1に収容された浴用剤130を溶解する。浴用剤成分を含む湯水(F2)は、底部開口部116を通過して湯水混合領域S3に流れ出る。
【0040】
一方、把持部101の流路101aを通過した残りの湯水(F1)は、第2流通領域S2を流れ、湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と混合される。湯水混合領域S3において混合された湯水(F3)は、隔壁113に設けられた通過孔114から湯水吐出領域S4に流出する。
【0041】
湯水吐出領域S4に流出した湯水(F3)は、ノズル壁112に設けられた複数の吐出孔hから、外部に吐出される。
【0042】
(作用・効果)
本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Aを用いたシャワーヘッド100Aによれば、湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と、流路101aから直接流入した湯水(F1)とが湯水混合領域S3において攪拌され、浴用剤成分が混合された湯水(F3)となる。
【0043】
また、浴用剤130が収容された第1流通領域S1に流れ込む湯水は、流路101aを通過した湯水の全量が流れ込まず一部のみが流れ込む。さらに、外側開口部117と内側開口部123とを用いた流入量調整機構によって第1流通領域S1に流れ込む湯水の量の調節が可能であることから、浴用剤130の溶解速度を調節することが可能となる。
【0044】
これにより、シャワーのみで入浴を済ませる場合であっても、シャワーの使用時間の全時間にわったて、浴用剤の効能を得ることが可能となる。その結果、シャワーを浴びる効果に加え、浴槽につかる場合と同等の効能を期待することができる。
【0045】
また、第1流通領域S1および第2流通領域S2の隔壁113の表面に平行な平面でみた場合におけるそれぞれの面積A1,A2(図3参照)の合計は、通過孔114の面積A3(図4参照)よりも大きく設けられている。
【0046】
これにより、流路101aから直接流入した湯水(F1)と浴用剤成分を含む湯水(F2)とが、湯水混合領域S3において滞留することで十分に攪拌され、浴用剤成分が十分に混合された湯水(F3)を得ることができる。
【0047】
なお、本実施の形態のシャワーヘッド専用に製造した浴用剤のみ限らず、市販されている入浴用の浴用剤を用いた場合であっても、浴用剤の溶解速度を調節することが可能である。したがって、市販の入浴用の浴用剤を用いた場合であっても、シャワーを浴びる効果に加え、浴槽につかる場合と同等の効能を期待することができる。
【0048】
また、シャワーヘッドの使用者の用いる流量や水温が異なる場合でも、浴用剤の溶解速度を調節することが可能であることから、シャワーヘッドの使用者の好みに応じた、最適な使用時間において、浴用剤の効能を得ることが可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
次に、図9から図11を参照して、本実施の形態におけるシャワーヘッド100Bの構造について説明する。なお、上記実施の形態おけるシャワーヘッド100Aとの相違点は、シャワーヘッド本体110Bの構造の相違にあることから、ここではシャワーヘッド本体の構造の相違について詳細に説明する。
【0050】
図9は、シャワーヘッド100Bの内部構造を示す縦断面図、図10は、シャワーヘッド100Bの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための模式図、図11は、シャワーヘッド100Bの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【0051】
本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Bにおいては、浴用剤収容部115の内部に、浴用剤収容部115の上端を塞ぐキャップ120Bが上部から挿入されている。
【0052】
キャップ120Bは、浴用剤収容部115の内周面に沿って回転中心Aを中心として、摺動回転可能(図2中の矢印R方向)な円筒状ガイド部121と、円筒状ガイド部121の上端を塞ぐプレート部122を有している。さらに、キャップ120Aの円筒状ガイド部121には、第2流通領域S2に向けて開放する内側開口部123に加え、下方側にさらに内側開口部124が設けられている。
【0053】
また、内側開口部123および内側開口部124に対向する浴用剤収容部115の側壁115aにも、それぞれ第2流通領域S2に向けて開放する外側開口部117および外側開口部118が設けられている。外側開口部117と内側開口部123とにより流入量調整機構が構成され、外側開口部118と内側開口部124とにより流出量調整機構が構成される。
【0054】
なお、実施の形態1において浴用剤収容部115の底面115bに設けられた底部開口部116は、本実施の形態のシャワーヘッド本体110Bには設けられていない。
【0055】
(第1流通領域S1への流入量調整機構/湯水混合領域S3への流出量調整機構)
次に、図10を参照して、第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量調整機構および湯水混合領域S3へ流れ出す湯水の流出量調整機構について説明する。
【0056】
実施の形態1と同様に、外側開口部117と内側開口部123との重なりの程度を、キャップ120Bを、回転中心Aを中心に回転させて調節することで、流路101aから第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整することができる。同時に、外側開口部118と内側開口部124との重なりの程度も調節されることで、湯水混合領域S3へ流れ出す湯水の流出量を調整することができる。
【0057】
(シャワーヘッド100Bの内部における湯水の流れ)
次に、図11を参照して、シャワーヘッド100Bの内部における湯水の流れについて説明する。把持部101の流路101aを通過した流水の一部は、外側開口部117および内側開口部123を通過し、第1流通領域S1の内部に流れ込む。
【0058】
S1の内部に流れ込んだ湯水は、第1流通領域S1に収容された浴用剤130を溶解する。浴用剤成分を含む湯水(F2)は、外側開口部118および内側開口部124を通過して湯水混合領域S3に流れ出る。
【0059】
一方、把持部101の流路101aを通過した残りの湯水(F1)は、第2流通領域S2を流れ、湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と混合される。湯水混合領域S3において混合された湯水(F3)は、隔壁113に設けられた通過孔114から湯水吐出領域S4に流出する。
【0060】
湯水吐出領域S4に流出した湯水(F3)は、ノズル壁112に設けられた複数の吐出孔hから、外部に吐出される。
【0061】
このように、本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Bを用いたシャワーヘッド100Bによっても、実施の形態1におけるシャワーヘッド100Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
(実施の形態3)
次に、図12から図14を参照して、本実施の形態におけるシャワーヘッド100Cの構造について説明する。なお、上記実施の形態おけるシャワーヘッド100Aとの相違点は、シャワーヘッド本体110Cの構造の相違にあることから、ここではシャワーヘッド本体の構造の相違について詳細に説明する。
【0063】
図12は、シャワーヘッド100Cの内部構造を示す縦断面図、図13は、シャワーヘッド100Cの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための模式図、図14は、シャワーヘッド100Cの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【0064】
本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Cにおいては、浴用剤収容部115の内部に、浴用剤収容部115の上端を塞ぐキャップ120Cが上部から挿入されている。
【0065】
キャップ120Cは、浴用剤収容部115の内周面に沿って回転中心Aを中心として、摺動回転可能(図2中の矢印R方向)な円筒状ガイド部121と、円筒状ガイド部121の上端を塞ぐプレート部122を有している。さらに、キャップ120Aの円筒状ガイド部121には、第2流通領域S2に向けて開放する上下方向に延びた長孔形状の内側開口部123Lが設けられている。
【0066】
また、内側開口部123Lに対向する浴用剤収容部115の側壁115aにも、第2流通領域S2に向けて開放する上下方向に延びた長孔形状の外側開口部117Lが設けられている。外側開口部117Lと内側開口部123Lとにより、その上方側において流入量調整機構が構成されるとともに、その下方側において流出量調整機構が構成される。
【0067】
なお、実施の形態1において浴用剤収容部115の底面115bに設けられた底部開口部116は、本実施の形態のシャワーヘッド本体110Cには設けられていない。
【0068】
(第1流通領域S1への流入量調整機構/湯水混合領域S3への流出量調整機構)
次に、図13を参照して、第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量調整機構および湯水混合領域S3へ流れ出す湯水の流出量調整機構について説明する。
【0069】
実施の形態1と同様に、外側開口部117Lと内側開口部123Lとの重なりの程度を、キャップ120Cを、回転中心Aを中心に回転させて調節することで、流路101aから第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整するとともに、湯水混合領域S3へ流れ出す湯水の流出量を調整することができる。
【0070】
(シャワーヘッド100Cの内部における湯水の流れ)
次に、図14を参照して、シャワーヘッド100Cの内部における湯水の流れについて説明する。把持部101の流路101aを通過した流水の一部は、外側開口部117Lおよび内側開口部123Lの上方側を通過し、第1流通領域S1の内部に流れ込む。
【0071】
S1の内部に流れ込んだ湯水は、第1流通領域S1に収容された浴用剤130を溶解する。浴用剤成分を含む湯水(F2)は、外側開口部117Lおよび内側開口部123Lの下方側を通過して湯水混合領域S3に流れ出る。
【0072】
一方、把持部101の流路101aを通過した残りの湯水(F1)は、第2流通領域S2を流れ、湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と混合される。湯水混合領域S3において混合された湯水(F3)は、隔壁113に設けられた通過孔114から湯水吐出領域S4に流出する。
【0073】
湯水吐出領域S4に流出した湯水(F3)は、ノズル壁112に設けられた複数の吐出孔hから、外部に吐出される。
【0074】
このように、本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Cを用いたシャワーヘッド100Cによっても、実施の形態1におけるシャワーヘッド100Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
100A,100B,100C シャワーヘッド、101 把持部、101a 流路、110A,110B,110C シャワーヘッド本体、111 外部ハウジング、112 ノズル壁、113 隔壁、114 通過孔、115 浴用剤収容部、115a 側壁、115b 底面、116 底部開口部、117,117L,118 外側開口部、120A,120B,120C キャップ、121 円筒状ガイド部、122 プレート部、123,123L,124 内側開口部、130 浴用剤、S1 第1流通領域、S2 第2流通領域、S3 湯水混合領域、S4 湯水吐出領域、h 吐出孔。
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴室等において、湯水(湯または水)を吐出するシャワーヘッドの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−269427公報(特許文献1)には、浴用剤入りシャワーヘッドが開示されている。この浴用剤入りシャワーヘッドにおいては、シャワーヘッド内に設けられる通水路に浴用剤が載置され、湯水が浴用剤を通過することで、浴用剤が溶解した湯水が、ノズルヘッドから吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−269427公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、入浴においてお湯を張った浴槽に身体を浸けずに、シャワーのみで入浴を済ませるライフスタイルが多くなっている。この場合に、シャワーの使用時間は、約8分程度であるとの報告もある。
【0005】
一方、シャワーのみで入浴を済ませる場合であっても、入浴と同等の浴用効果を得たいという希望もある。しかし、上記特許文献1に記載のシャワーヘッドでは、ノズルヘッドから浴用剤が溶解した湯水を吐出させた場合には、通水路に流入された湯水の全量が浴用剤を通過するために、浴用剤は瞬時にして溶解される。その結果、シャワーの使用時間の全時間にわたって、十分な浴用剤の効能を期待することができないと考えられる。
【0006】
したがって、この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、シャワーヘッドに収容される浴用剤の溶解速度を調節することが可能な構成を備えるシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に基づいた、シャワーヘッドにおいては、内部に湯水を流通させる流路を設けた把持部と、上記把持部の先端側に設けられ、上記流路を流通した上記湯水を外部に吐出する複数の吐出孔が設けられたシャワーヘッド本体とを備え、上記シャワーヘッド本体は、上記湯水の一部が流れ込むとともに、浴用剤が収容される第1流通領域と、上記湯水の残りが流れ込む第2流通領域と、上記第1流通領域を通過し上記浴用剤が溶解した湯水と、上記第2流通領域を通過した湯水とが混合する混合領域と、上記混合領域に対して通過孔を有する隔壁で隔てられ、上記通過孔から上記混合領域にて混合された上記湯水が流入されるとともに、複数の上記吐出孔が設けられる湯水吐出領域とを含む。
【0008】
他の形態においては、上記第1流通領域および上記第2流通領域の、上記隔壁の表面に平行な平面でみた場合におけるそれぞれの面積の合計は、上記通過孔の開口面積よりも大きい。
【0009】
他の形態においては、上記第1流通領域は、上記第1流通領域へ流れ込む上記湯水の流入量を調整する流入量調整機構を含む。
【0010】
他の形態においては、上記第1流通領域は、上記湯水混合領域へ流れ出る上記湯水の流出量を調整する流出量調整機構を含む。
【0011】
他の形態においては、上記浴用剤が収容される上記第1流通領域において、上記浴用剤には固形形状の発泡性浴用剤が用いられる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の基づいたシャワーヘッドにおいては、収容される浴用剤の溶解速度を調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1におけるシャワーヘッドの構造を示す全体斜視図である。
【図2】実施の形態1におけるシャワーヘッドの内部構造を示す縦断面図である。
【図3】図2中のIII−III線矢視断面図である。
【図4】図2中のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】実施の形態1におけるシャワーヘッドに収容される浴用剤の形状を示す図である。
【図6】実施の形態1におけるシャワーヘッドの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための第1横断面図であり、図2中のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】実施の形態1におけるシャワーヘッドの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための第2横断面図であり、図2中のVI−VI線矢視に相当する断面図である。
【図8】実施の形態1におけるシャワーヘッドの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【図9】実施の形態2におけるシャワーヘッドの内部構造を示す縦断面図である。
【図10】実施の形態2におけるシャワーヘッドの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための模式図である。
【図11】実施の形態2におけるシャワーヘッドの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【図12】実施の形態3におけるシャワーヘッドの内部構造を示す縦断面図である。
【図13】実施の形態3におけるシャワーヘッドの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための模式図である。
【図14】実施の形態3におけるシャワーヘッドの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に基づいた各実施の形態におけるシャワーヘッドについて、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0015】
なお、以下に示す湯水とは、加温されていない水または所定の温度にまで加温された温水を意味する。
【0016】
(実施の形態1)
図1から図8を参照して、本実施の形態におけるシャワーヘッド100Aの構造について説明する。まず、図1および図2を参照して、シャワーヘッド100Aの概略構成について説明する。図1は、シャワーヘッド100Aの構造を示す全体斜視図、図2は、シャワーヘッド100Aの内部構造を示す縦断面図である。
【0017】
このシャワーヘッド100Aは、内部に湯水を流通させる流路101aを設けた把持部101と、この把持部101の先端側に設けられ、流路101aを流通した湯水を外部に吐出する複数の吐出孔hが設けられたシャワーヘッド本体110Aとを備えている。
【0018】
シャワーヘッド本体110Aの具体的な構造としては、把持部101が連結される円筒形状の外部ハウジング111を有する。外部ハウジング111の下端部には、複数の吐出孔hが設けられるノズル壁112が設けられている。
【0019】
外部ハウジング111の内部には、浴用剤130が収容され、湯水の一部が流れ込む第1流通領域S1を規定する浴用剤収容部115が設けられている。この浴用剤収容部115は、上端が開放するとともに有底のカップ形状を有する。浴用剤収容部115の内部には、浴用剤収容部115の上端を塞ぐキャップ120Aが上部から挿入されている。
【0020】
キャップ120Aは、浴用剤収容部115の内周面に沿って回転中心Aを中心として、摺動回転可能(図2中の矢印R方向)な円筒状ガイド部121と、円筒状ガイド部121の上端を塞ぐプレート部122を有している。円筒状ガイド部121の内側に、浴用剤130が収容されている。浴用剤130の形状、成分については後述する。
【0021】
図3に、図2中のIII−III線矢視断面図を示す。平面視において、浴用剤収容部115は、外部ハウジング111に対して先端側に偏芯した状態に設けられ、外部ハウジング111の内面部と浴用剤収容部115の外面との間に生じる空間において、一部の湯水の残りが流れ込む三日月型の第2流通領域S2が規定される。
【0022】
再び、図2を参照して、キャップ120Aの円筒状ガイド部121には、第2流通領域S2に向けて開放する内側開口部123が設けられ、この内側開口部123に対向する浴用剤収容部115の側壁115aにも、第2流通領域S2に向けて開放する外側開口部117が設けられている。外側開口部117と内側開口部123とにより流入量調整機構が構成される。
【0023】
キャップ120Aを回転中心Aを中心として回転さて、外側開口部117と内側開口部123との重なり程度を調整することで、流路101aから第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整することができる。詳細については後述する。
【0024】
浴用剤収容部115の底面115bには、底部開口部116が設けられている。また、浴用剤収容部115の底面115bの下方には所定の間隙を隔てて隔壁113が設けられている。
【0025】
浴用剤収容部115の底面115bと隔壁113との間の領域により、底部開口部116を通じて第1流通領域S1と連通し、また、第2流通領域S2とも連通する、湯水混合領域S3が規定される。
【0026】
図4に、図2中のIV−IV線矢視断面図を示す。図3および図4を参照して、隔壁113の略中央領域には通過孔114が設けられている。また、ノズル壁112と湯水混合領域S3との間にも所定の空間が形成され、この空間において湯水吐出領域S4が規定される。
【0027】
湯水混合領域S3に位置する湯水は、通過孔114から湯水吐出領域S4に流入され、ノズル壁112に設けられた複数の吐出孔hから外部に突出される。なお、本実施の形態におけるシャワーヘッド100A内部における湯水の流れの詳細については、後述する。
【0028】
(浴用剤130の形状および成分)
図5に、シャワーヘッド100Aに収容される浴用剤の形状を示す。浴用剤130の形状は、図5に示すように、円柱の固形形状を有している。高さは、約10mm〜約20mm、直径は、約20mm〜約40mmである。なお、形状はこの円柱形状に限定されるものではない。本実施の形態では、1回のシャワーに対して、1個の浴用剤130を用いることを想定しているが、1個の浴用剤130を用いて複数のシャワーを行なうことも可能である。
【0029】
浴用剤130の成分としては、たとえば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ホウ酸炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等をベース成分として用いても良い。また、これに配合される保温、保湿、皮膚清浄作用等を奏し得る成分としては、たとえば、トウガラシ、カミツレ、センキュウ、トウキ、ケイヒ、ハマボウフウ、ハッカ、ゴシュウ、トウヒ、ユズ、クスノキ、ケイガイ、ショウブ等の生薬成分や海藻エキス等の各種エキス類が挙げられる。
【0030】
上記ベース成分および配合成分等は、一般的処方に従って、たとえば、ベース成分90〜99.9質量%、配合成分0.1〜10質量%程度の範囲から適宜決定される量で用いると良い。また、この浴用剤は、上記各成分の所定量を単に混合(配合)するだけで容易に、錠剤等の適当な固剤形態することができる。
【0031】
浴用剤130には、遊離残留塩素を除去するために、L−アスコルビン酸(ビタミンC)を添加配合しても良い。また、溶解度の高いものの一例として、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどを用いると、必要量以上の薬剤を溶出させ、原水と混合することにより全量、浄水とすることができる。
【0032】
また、この浴用剤には、上記成分の他に、更に必要に応じてこの種浴用剤に使用できることの知られている他の薬効成分や各種の添加剤を添加配合しても良い。上記薬効成分としては、たとえばサリチル酸メチル、アロエエキス、カンゾウエキス等の消炎剤成分やメントール等の清涼剤成分が挙げられる。他の添加剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等の保存剤、EDTA等の水質改善剤、香料着色料等が挙げられる。
【0033】
また、発泡性の浴用剤とする場合には、発泡成分として、セスキ炭酸ナトリウム、重炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等の炭酸塩と中和剤としてコハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、ピロリドンカルボン酸、リン酸、アミノ酸、フマル酸等の水溶性で固体の酸を配合すると良い。
【0034】
(湯水の第1流通領域S1への流入量調整機構)
次に、図6および図7を参照して、第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整する流入量調整機構について説明する。図6は、浴用剤収容部115に設けられた外側開口部117とキャップ120Aの円筒状ガイド部121に設けられた内側開口部123とが、完全に重なりあった状態を示している。この状態は、流入量調整機構が全開した状態となる。
【0035】
一方、図7は、キャップ120Aを、回転中心Aを中心として大きく回転さて状態を示し、外側開口部117と内側開口部123とが完全にずれた状態を示している。この状態は、流入量調整機構が全閉した状態となる。
【0036】
このように、外側開口部117と内側開口部123との重なりの程度を、キャップ120Aを、回転中心Aを中心に回転させて調節することで、流路101aから第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整することができる。
【0037】
また、本実施の形態におけるシャワーヘッド100Aにおいては、第1流通領域S1および第2流通領域S2の隔壁113の表面に平行な平面でみた場合におけるそれぞれの面積A1,A2(図3参照)の合計は、通過孔114の面積A3(図4参照)よりも大きく設けられている。
【0038】
(シャワーヘッド100Aの内部における湯水の流れ)
次に、図8を参照して、シャワーヘッド100Aの内部における湯水の流れについて説明する。把持部101の流路101aを通過した流水の一部は、外側開口部117および内側開口部123を通過し、第1流通領域S1の内部に流れ込む。
【0039】
S1の内部に流れ込んだ湯水は、第1流通領域S1に収容された浴用剤130を溶解する。浴用剤成分を含む湯水(F2)は、底部開口部116を通過して湯水混合領域S3に流れ出る。
【0040】
一方、把持部101の流路101aを通過した残りの湯水(F1)は、第2流通領域S2を流れ、湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と混合される。湯水混合領域S3において混合された湯水(F3)は、隔壁113に設けられた通過孔114から湯水吐出領域S4に流出する。
【0041】
湯水吐出領域S4に流出した湯水(F3)は、ノズル壁112に設けられた複数の吐出孔hから、外部に吐出される。
【0042】
(作用・効果)
本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Aを用いたシャワーヘッド100Aによれば、湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と、流路101aから直接流入した湯水(F1)とが湯水混合領域S3において攪拌され、浴用剤成分が混合された湯水(F3)となる。
【0043】
また、浴用剤130が収容された第1流通領域S1に流れ込む湯水は、流路101aを通過した湯水の全量が流れ込まず一部のみが流れ込む。さらに、外側開口部117と内側開口部123とを用いた流入量調整機構によって第1流通領域S1に流れ込む湯水の量の調節が可能であることから、浴用剤130の溶解速度を調節することが可能となる。
【0044】
これにより、シャワーのみで入浴を済ませる場合であっても、シャワーの使用時間の全時間にわったて、浴用剤の効能を得ることが可能となる。その結果、シャワーを浴びる効果に加え、浴槽につかる場合と同等の効能を期待することができる。
【0045】
また、第1流通領域S1および第2流通領域S2の隔壁113の表面に平行な平面でみた場合におけるそれぞれの面積A1,A2(図3参照)の合計は、通過孔114の面積A3(図4参照)よりも大きく設けられている。
【0046】
これにより、流路101aから直接流入した湯水(F1)と浴用剤成分を含む湯水(F2)とが、湯水混合領域S3において滞留することで十分に攪拌され、浴用剤成分が十分に混合された湯水(F3)を得ることができる。
【0047】
なお、本実施の形態のシャワーヘッド専用に製造した浴用剤のみ限らず、市販されている入浴用の浴用剤を用いた場合であっても、浴用剤の溶解速度を調節することが可能である。したがって、市販の入浴用の浴用剤を用いた場合であっても、シャワーを浴びる効果に加え、浴槽につかる場合と同等の効能を期待することができる。
【0048】
また、シャワーヘッドの使用者の用いる流量や水温が異なる場合でも、浴用剤の溶解速度を調節することが可能であることから、シャワーヘッドの使用者の好みに応じた、最適な使用時間において、浴用剤の効能を得ることが可能となる。
【0049】
(実施の形態2)
次に、図9から図11を参照して、本実施の形態におけるシャワーヘッド100Bの構造について説明する。なお、上記実施の形態おけるシャワーヘッド100Aとの相違点は、シャワーヘッド本体110Bの構造の相違にあることから、ここではシャワーヘッド本体の構造の相違について詳細に説明する。
【0050】
図9は、シャワーヘッド100Bの内部構造を示す縦断面図、図10は、シャワーヘッド100Bの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための模式図、図11は、シャワーヘッド100Bの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【0051】
本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Bにおいては、浴用剤収容部115の内部に、浴用剤収容部115の上端を塞ぐキャップ120Bが上部から挿入されている。
【0052】
キャップ120Bは、浴用剤収容部115の内周面に沿って回転中心Aを中心として、摺動回転可能(図2中の矢印R方向)な円筒状ガイド部121と、円筒状ガイド部121の上端を塞ぐプレート部122を有している。さらに、キャップ120Aの円筒状ガイド部121には、第2流通領域S2に向けて開放する内側開口部123に加え、下方側にさらに内側開口部124が設けられている。
【0053】
また、内側開口部123および内側開口部124に対向する浴用剤収容部115の側壁115aにも、それぞれ第2流通領域S2に向けて開放する外側開口部117および外側開口部118が設けられている。外側開口部117と内側開口部123とにより流入量調整機構が構成され、外側開口部118と内側開口部124とにより流出量調整機構が構成される。
【0054】
なお、実施の形態1において浴用剤収容部115の底面115bに設けられた底部開口部116は、本実施の形態のシャワーヘッド本体110Bには設けられていない。
【0055】
(第1流通領域S1への流入量調整機構/湯水混合領域S3への流出量調整機構)
次に、図10を参照して、第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量調整機構および湯水混合領域S3へ流れ出す湯水の流出量調整機構について説明する。
【0056】
実施の形態1と同様に、外側開口部117と内側開口部123との重なりの程度を、キャップ120Bを、回転中心Aを中心に回転させて調節することで、流路101aから第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整することができる。同時に、外側開口部118と内側開口部124との重なりの程度も調節されることで、湯水混合領域S3へ流れ出す湯水の流出量を調整することができる。
【0057】
(シャワーヘッド100Bの内部における湯水の流れ)
次に、図11を参照して、シャワーヘッド100Bの内部における湯水の流れについて説明する。把持部101の流路101aを通過した流水の一部は、外側開口部117および内側開口部123を通過し、第1流通領域S1の内部に流れ込む。
【0058】
S1の内部に流れ込んだ湯水は、第1流通領域S1に収容された浴用剤130を溶解する。浴用剤成分を含む湯水(F2)は、外側開口部118および内側開口部124を通過して湯水混合領域S3に流れ出る。
【0059】
一方、把持部101の流路101aを通過した残りの湯水(F1)は、第2流通領域S2を流れ、湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と混合される。湯水混合領域S3において混合された湯水(F3)は、隔壁113に設けられた通過孔114から湯水吐出領域S4に流出する。
【0060】
湯水吐出領域S4に流出した湯水(F3)は、ノズル壁112に設けられた複数の吐出孔hから、外部に吐出される。
【0061】
このように、本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Bを用いたシャワーヘッド100Bによっても、実施の形態1におけるシャワーヘッド100Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
(実施の形態3)
次に、図12から図14を参照して、本実施の形態におけるシャワーヘッド100Cの構造について説明する。なお、上記実施の形態おけるシャワーヘッド100Aとの相違点は、シャワーヘッド本体110Cの構造の相違にあることから、ここではシャワーヘッド本体の構造の相違について詳細に説明する。
【0063】
図12は、シャワーヘッド100Cの内部構造を示す縦断面図、図13は、シャワーヘッド100Cの流入量調整機構および流出量調整機構を説明するための模式図、図14は、シャワーヘッド100Cの内部における湯水の流れを示す縦断面図である。
【0064】
本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Cにおいては、浴用剤収容部115の内部に、浴用剤収容部115の上端を塞ぐキャップ120Cが上部から挿入されている。
【0065】
キャップ120Cは、浴用剤収容部115の内周面に沿って回転中心Aを中心として、摺動回転可能(図2中の矢印R方向)な円筒状ガイド部121と、円筒状ガイド部121の上端を塞ぐプレート部122を有している。さらに、キャップ120Aの円筒状ガイド部121には、第2流通領域S2に向けて開放する上下方向に延びた長孔形状の内側開口部123Lが設けられている。
【0066】
また、内側開口部123Lに対向する浴用剤収容部115の側壁115aにも、第2流通領域S2に向けて開放する上下方向に延びた長孔形状の外側開口部117Lが設けられている。外側開口部117Lと内側開口部123Lとにより、その上方側において流入量調整機構が構成されるとともに、その下方側において流出量調整機構が構成される。
【0067】
なお、実施の形態1において浴用剤収容部115の底面115bに設けられた底部開口部116は、本実施の形態のシャワーヘッド本体110Cには設けられていない。
【0068】
(第1流通領域S1への流入量調整機構/湯水混合領域S3への流出量調整機構)
次に、図13を参照して、第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量調整機構および湯水混合領域S3へ流れ出す湯水の流出量調整機構について説明する。
【0069】
実施の形態1と同様に、外側開口部117Lと内側開口部123Lとの重なりの程度を、キャップ120Cを、回転中心Aを中心に回転させて調節することで、流路101aから第1流通領域S1へ流れ込む湯水の流入量を調整するとともに、湯水混合領域S3へ流れ出す湯水の流出量を調整することができる。
【0070】
(シャワーヘッド100Cの内部における湯水の流れ)
次に、図14を参照して、シャワーヘッド100Cの内部における湯水の流れについて説明する。把持部101の流路101aを通過した流水の一部は、外側開口部117Lおよび内側開口部123Lの上方側を通過し、第1流通領域S1の内部に流れ込む。
【0071】
S1の内部に流れ込んだ湯水は、第1流通領域S1に収容された浴用剤130を溶解する。浴用剤成分を含む湯水(F2)は、外側開口部117Lおよび内側開口部123Lの下方側を通過して湯水混合領域S3に流れ出る。
【0072】
一方、把持部101の流路101aを通過した残りの湯水(F1)は、第2流通領域S2を流れ、湯水混合領域S3において、浴用剤成分を含む湯水(F2)と混合される。湯水混合領域S3において混合された湯水(F3)は、隔壁113に設けられた通過孔114から湯水吐出領域S4に流出する。
【0073】
湯水吐出領域S4に流出した湯水(F3)は、ノズル壁112に設けられた複数の吐出孔hから、外部に吐出される。
【0074】
このように、本実施の形態におけるシャワーヘッド本体110Cを用いたシャワーヘッド100Cによっても、実施の形態1におけるシャワーヘッド100Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
100A,100B,100C シャワーヘッド、101 把持部、101a 流路、110A,110B,110C シャワーヘッド本体、111 外部ハウジング、112 ノズル壁、113 隔壁、114 通過孔、115 浴用剤収容部、115a 側壁、115b 底面、116 底部開口部、117,117L,118 外側開口部、120A,120B,120C キャップ、121 円筒状ガイド部、122 プレート部、123,123L,124 内側開口部、130 浴用剤、S1 第1流通領域、S2 第2流通領域、S3 湯水混合領域、S4 湯水吐出領域、h 吐出孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に湯水を流通させる流路を設けた把持部と、
前記把持部の先端側に設けられ、前記流路を流通した前記湯水を外部に吐出する複数の吐出孔が設けられたシャワーヘッド本体と、を備えるシャワーヘッドであって、
前記シャワーヘッド本体は、
前記湯水の一部が流れ込むとともに、浴用剤が収容される第1流通領域と、
前記湯水の残りが流れ込む第2流通領域と、
前記第1流通領域を通過し前記浴用剤が溶解した前記湯水と、前記第2流通領域を通過した前記湯水とが混合する湯水混合領域と、
前記湯水混合領域に対して通過孔を有する隔壁で隔てられ、前記通過孔から前記湯水混合領域にて混合された前記湯水が流入されるとともに、複数の前記吐出孔が設けられる湯水吐出領域と、
を含む、シャワーヘッド。
【請求項2】
前記第1流通領域および前記第2流通領域の前記隔壁の表面に平行な平面でみた場合におけるそれぞれの面積の合計は、前記通過孔の開口面積よりも大きい、請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記第1流通領域は、前記第1流通領域に流れ込む前記湯水の流入量を調整する流入量調整機構を含む、請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記第1流通領域は、前記湯水混合領域へ流れ出る前記湯水の流出量を調整する流出量調整機構を含む、請求項1から3のいずれかに記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記浴用剤が収容される前記第1流通領域において、前記浴用剤には固形形状の発泡性浴用剤が用いられる、請求項1から4のいずれかに記載のシャワーヘッド。
【請求項1】
内部に湯水を流通させる流路を設けた把持部と、
前記把持部の先端側に設けられ、前記流路を流通した前記湯水を外部に吐出する複数の吐出孔が設けられたシャワーヘッド本体と、を備えるシャワーヘッドであって、
前記シャワーヘッド本体は、
前記湯水の一部が流れ込むとともに、浴用剤が収容される第1流通領域と、
前記湯水の残りが流れ込む第2流通領域と、
前記第1流通領域を通過し前記浴用剤が溶解した前記湯水と、前記第2流通領域を通過した前記湯水とが混合する湯水混合領域と、
前記湯水混合領域に対して通過孔を有する隔壁で隔てられ、前記通過孔から前記湯水混合領域にて混合された前記湯水が流入されるとともに、複数の前記吐出孔が設けられる湯水吐出領域と、
を含む、シャワーヘッド。
【請求項2】
前記第1流通領域および前記第2流通領域の前記隔壁の表面に平行な平面でみた場合におけるそれぞれの面積の合計は、前記通過孔の開口面積よりも大きい、請求項1に記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記第1流通領域は、前記第1流通領域に流れ込む前記湯水の流入量を調整する流入量調整機構を含む、請求項1または2に記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
前記第1流通領域は、前記湯水混合領域へ流れ出る前記湯水の流出量を調整する流出量調整機構を含む、請求項1から3のいずれかに記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記浴用剤が収容される前記第1流通領域において、前記浴用剤には固形形状の発泡性浴用剤が用いられる、請求項1から4のいずれかに記載のシャワーヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−5861(P2013−5861A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139287(P2011−139287)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(501408835)株式会社日本食品薬化 (1)
【出願人】(592072377)株式会社ウォーターエージェンシー (15)
【出願人】(000237972)富田製薬株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(501408835)株式会社日本食品薬化 (1)
【出願人】(592072377)株式会社ウォーターエージェンシー (15)
【出願人】(000237972)富田製薬株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
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