説明

シャワー保持部材の取付構造

【課題】シャワーフックまたはホースクリップの位置を容易に変更でき、さらにシャワーフックまたはホースクリップの係合が容易に外れないシャワーフックの取付構造およびホースクリップの取付構造の提供。
【解決手段】浴室壁面に対して固定されたベース部材20と、ベース部材20に対して水平方向の任意位置に着脱自在に取り付け、シャワーヘッド又はシャワーホースを保持可能なシャワー保持部材40とを備え、ベース部材20およびシャワー保持部材40のいずれか一方には凹状嵌合部が形成され、他方には凹状嵌合部と嵌合する凸状嵌合部41が形成され、凹状嵌合部または凸状嵌合部の少なくともいずれか一方には、弾性変形可能な弾性部材が取り付けられ、シャワー保持部材40がベース部材20に取り付けた状態において、弾性部材が圧縮変形した状態で凹状嵌合部と凸状嵌合部との間隙に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に設けられるシャワー装置のシャワーヘッド、およびシャワーホースを保持するシャワー保持部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室に設けられる水栓には、シャワーホースが連結されており、シャワーホースの先端にはシャワーヘッドが取り付けられている。シャワーヘッドは浴室壁面などに取り付けられたシャワーフックに掛けて保持できるようになっており、シャワーホースは使用者がシャワーヘッドを手で持って使用している際に邪魔にならないように、シャワーホースの途上を浴室壁面などに取り付けられたホースクリップに掛けて保持できるようになっている。
【0003】
シャワーフックまたはホースクリップは、使用者の使い方に応じて位置が変えられるようにすることが好ましい。例えば、特許文献1(特に図1、図7参照)では、浴室の壁面に取り付けられた棚板の前端部に対して、シャワーノズルフックを水平方向の任意の位置に取り付けできる点が開示されている。また、特許文献2では、シャワーフックなどの機能部材を、浴室壁面に水平状に取り付けられた支持レールに対して着脱自在、且つスライド可能にして、水平方向の任意の位置に機能部材を移動できるようにした点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−32059号公報
【特許文献2】特開2003−97069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたシャワーノズルフックは、位置を変更する際に、都度、止めネジを回転させて緩めたり、固定したりする作業が必要となり、煩わしかった。一方、特許文献2に開示された機能部材の取付構造によれば、支持レールに対して係止させて着脱可能としているため、煩わしい作業をせずに、容易に機能部材の取付位置を変更できるという利点がある。しかし、特許文献2の構造では、下記のような難点があった。
【0006】
一般的に、別々に成形した部材を全く誤差なく製造することは困難であり、現実的には予め誤差が生じることを考慮して寸法設計する必要がある。また、使用者が大きな力をかけることなく容易にシャワーフックやホースクリップを着脱できるようにするためには、係合部間には、ある程度の間隙があることが好ましい。
【0007】
つまり、シャワーフックやホースクリップは、僅かな遊びがある状態で係止されることになる。ベース部材に対して強固に固定されていないと、シャワーヘッドをシャワーフックから取り外す際に、シャワーフックの係合が外れてしまうことがある。同様にホースクリップにおいても、強固に固定されていないと、ホースクリップに掛けられたシャワーホースが動いた際などに、ホースクリップの係合が外れてしまう虞がある。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、シャワーフックまたはホースクリップの位置を面倒な作業をすることなく容易に変更することができ、さらにシャワーフックまたはホースクリップの係合が容易に外れることのないシャワー保持部材の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係るシャワー保持部材の取付構造は、浴室壁面に対して固定されたベース部材と、前記ベース部材に対して水平方向の任意位置に着脱自在に取り付けられ、シャワーヘッド又はシャワーホースを保持可能なシャワー保持部材と、を備え、前記ベース部材および前記シャワー保持部材のいずれか一方には凹状嵌合部が形成され、他方には前記凹状嵌合部と嵌合する凸状嵌合部が形成されており、前記凹状嵌合部または前記凸状嵌合部の少なくともいずれか一方には、弾性変形可能な弾性部材が取り付けられており、前記シャワー保持部材が前記ベース部材に取り付けられた状態において、前記弾性部材が圧縮変形した状態で前記凹状嵌合部と前記凸状嵌合部との間隙に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ベース部材およびシャワー保持部材のいずれか一方に形成された凹状嵌合部に対して、ベース部材およびシャワー保持部材の他方に形成された凸状嵌合部を嵌合させる構造であるため、シャワー保持部材をベース部材に対して着脱することができる。また、シャワー保持部材は、ベース部材に対して、水平方向の任意位置に取り付けできるため、入浴スタイルに応じて、適宜、位置を変更することができる。尚、ベース部材およびシャワー保持部材の少なくともいずれか一方には、ベース部材およびシャワー保持部材の他方と当接するように弾性変形可能な弾性部材が突出して取り付けられているが、当該弾性部材はシャワー保持部材とベース部材との間に生じる間隙に収まるように変形するため、シャワー保持部材は着脱可能である。また、弾性部材を介して、ベース部材に対してシャワー保持部材を嵌合させる構成としたことにより、シャワーヘッドをシャワーフックから取り外す際や、ホースクリップに掛けられたシャワーホースが動いた際などに発生する外力程度では、嵌合が外れないようにすることができる。また、弾性部材があることにより、シャワーフックやホースクリップが不意にスライド移動することも防止できる。
【0011】
更に本発明では、前記弾性部材は、前記シャワー保持部材を前記ベース部材に対して嵌合させる際に、最後に当接する位置に取り付けられていることが好ましい。この好ましい態様によれば、シャワー保持部材をベース部材に対して着脱する際に、弾性部材が擦れる機会(せん断力がかかる機会)を最少限にすることができるため、弾性部材が切れたり、外れたりする虞が少なくなり、また摩耗しにくくなるとともに、比較的容易にシャワー保持部材の着脱操作ができる。
【0012】
更に本発明では、前記弾性部材は、前記シャワー保持部材に取り付けられていることが好ましい。この好ましい態様によれば、シャワー保持部材と一体になって弾性部材もベース部材から分離されるため、弾性部材のメンテナンスや、清掃が容易になる。
【0013】
更に本発明では、前記弾性部材は、着脱可能に取り付けられていることが好ましい。この好ましい態様によれば、弾性部材は、シャワー保持部材をベース部材から着脱する時に変形するが、想定以上の力が弾性部材に加わった場合、弾性部材が接着剤などで固定されていると、弾性部材が切れてしまう虞がある。それに対して、弾性部材が予め着脱可能になっていれば、弾性部材が切れる程の力がかかる前に、外れてくれるため、弾性部材が破損することがない。尚、仮に弾性部材が外れ落ちたとしても、また取り付けできるため、弾性部材を長期的に使用することができる。また、弾性部材のみを取り外して掃除することもできる。
【0014】
更に本発明では、前記弾性部材は間隔を空けて少なくとも2個以上取り付けられており、前記弾性部材の間には、前記凹状嵌合部内に流入した水を排水するための排水通路が形成されていることが好ましい。この好ましい態様によれば、ベース部材上から凹状嵌合部内に水が流れ込んだ場合であっても、排水通路から凹状嵌合部外に排水され、凹状嵌合部内に水が滞留することがない。
【0015】
更に本発明では、前記弾性部材は、曲面状に突出形成されていることが好ましい。この好ましい態様によれば、シャワー保持部材をベース部材に対して取り付け、および取り外しする、いずれの場合においても、抵抗が小さく、滑らかに弾性部材が変形させることができる。よって、使用者が大きな力をかけることなく、容易にシャワー保持部材をベース部材に対して着脱操作することができる。
【0016】
また、本発明の別実施形態に係るシャワー保持部材の取付構造は、浴室壁面に対して固定されるベース部材と、前記ベース部材に対して水平方向の任意位置に着脱自在に取り付けられ、シャワーヘッド又はシャワーホースを保持可能なシャワー保持部材と、を備え、前記ベース部材および前記シャワー保持部材のいずれか一方には凹状嵌合部が形成され、他方には前記凹状嵌合部と嵌合する凸状嵌合部が形成されており、前記凹状嵌合部または前記凸状嵌合部のいずれか一方は、弾性変形可能な材料から形成されているとともに、圧縮変形することで前記凹状嵌合部または前記凸状嵌合部の他方と嵌合されることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、ベース部材に対してシャワー保持部材を着脱することができる。また、シャワー保持部材は、ベース部材に対して、水平方向の任意位置に取り付けできるため、入浴スタイルに応じて、適宜、位置を変更することができる。また、凹状嵌合部または凸状嵌合部のいずれか一方は、弾性変形可能な材料から形成されており、圧縮変形することで嵌合される構成となっているため、シャワーヘッドをシャワーフックから取り外す際や、ホースクリップに掛けられたシャワーホースが動いた際など発生する外力程度では、係合が外れないようにすることができる。また、圧縮された状態で取り付けられることにより、シャワーフックやホースクリップが不意にスライド移動することも防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、シャワーフックまたはホースクリップの位置を面倒な作業をすることなく容易に変更することができ、さらにシャワーフックまたはホースクリップの係合が容易に外れることのないシャワー保持部材の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るシャワー保持部材が取り付けられた状態を表す斜視図である。
【図2】ベース部材にシャワー保持部材が取り付けられた状態を表す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るシャワー保持部材を下側から見た斜視図である。
【図4】ベース部材に対してシャワー保持部材を着脱する際の変遷を表す断面図である。
【図5】第2の実施形態に係るシャワー保持部材を背側から見た斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係るシャワー保持部材を背側から見た透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態における浴室ユニットの洗い場側壁面には、シャワーホースが接続された水栓部材10と、水栓部材10の下方に配置され、横幅の長いベース部材20と、が固定されている。また、水栓部材10とベース部材20との間には、給水・給湯配管を収納するための配管カバー30が取り付けられている。さらにベース部材20には、洗面器などを載置可能なカウンター部材401と、シャワーヘッドを保持可能なシャワーフック402と、シャワーホースを引っ掛けて保持可能なホースクリップ403と、が着脱可能に取り付けられている。シャワーフック402、およびホースクリップ403は、それぞれ機能的には異なるが、ベース部材20に対する取付構造は共通であるため、説明の便宜上、以下、シャワー保持部材40と総称して説明する。
【0022】
図2に示すように、ベース部材20の上面は、平面状に形成されており、カウンター部材401と共に、物を載置可能なカウンター面として機能する。つまり、ベース部材20の上面とカウンター部材401の上面は、面一になるように配置されている。また、ベース部材20の前端部には、幅方向全体に亘って前方側に開口した凹状嵌合部21が形成されている。凹状嵌合部21内は、全体が滑らかな曲面状に形成されており、上面奥側には、上面他部に比べて上方に窪んだ窪み部22が幅方向全体に亘って形成されている。
【0023】
一方、シャワー保持部材40の後端部には凹状嵌合部21内に挿脱可能に嵌合される凸状嵌合部41が形成されている。凸状嵌合部41は先端に向って斜め上方に傾斜しており、上面先端部側には、上面他部に比べて上方に膨出した膨出部42が形成されている。
【0024】
尚、ベース部材20に設けられた凹状嵌合部21内の最小となる開口高さh1は、シャワー保持部材40に設けられた凸状嵌合部41の最大となる厚み高さh2よりも僅かに大きくなるように形成されている。
【0025】
また、シャワー保持部材40の凸状嵌合部41における下面根元側には、下方に突出した状態で設けられた弾性部材50が取り付けられている。当該弾性部材50は、外力が加わると変形する性質を有しており、シャワー保持部材40をベース部材20に対して着脱する際も、外力のかかり方に応じて柔軟に変形可能になっている。弾性部材50の突出部は、曲面状に形成されている。
【0026】
尚、外力が加わっていない状態における凸状嵌合部41および弾性部材50の最大となる高さh3は、上述した凹状嵌合部21内の最小となる開口高さh1よりも大きくなるように形成されている。
【0027】
図3に示すように、弾性部材50は、凸状嵌合部41の下面根元側に設けられた取付孔に対して嵌挿されている。また、凸状嵌合部41の横幅方向に対して、間隔を空けて複数(本実施形態では2つ)取り付けられている。
【0028】
次に、図4を用いて、ベース部材20に対して、本弾性部材50を具備したシャワー保持部材40を取り付ける際の作用を説明する。まず、シャワー保持部材40を斜めに傾けて嵌合凸部41をベース部材の嵌合凹部21内に挿入する。この時、弾性部材50が嵌合凹部21と当たるタイミングがあるが、弾性部材50は外力が加わると挿入する際に邪魔にならないように圧縮変形するため、シャワー保持部材40をベース部材20に対して容易に取り付けることが可能となっている。つまり、弾性部材50が圧縮された状態における凸状嵌合部41および弾性部材50の最大となる高さh4が、上述した凹状嵌合部21内の最小となる開口高さh1と略同一となる程度に変形する。次いで、膨出部42を窪み部22に当接させるために奥側に押し込みながら上面が水平になるように回動させて所定位置に取り付ける。結果として、図3に示すように、凹状嵌合部21と凸状嵌合部41の間隙は、弾性部材50が圧縮された状態で配置されることになるため、シャワー保持部材40を強固にベース部材20に対して取り付けることができる
【0029】
次に、ベース部材20に対して、本弾性部材50を具備したシャワー保持部材40を取り外す際の作用を説明する。まず、シャワー保持部材40を回転させながら、嵌合凸部41をベース部材20の嵌合凹部21内から引き抜く。この時、弾性部材50が嵌合凹部22と当たるタイミングがあるが、弾性部材50は外力が加わると挿入する際に邪魔にならないように圧縮変形する。つまり、弾性部材50が圧縮された状態における凸状嵌合部41および弾性部材50の最大となる高さh4が、上述した凹状嵌合部21内の最小となる開口高さh1と略同一となる程度に変形するため、シャワー保持部材40をベース部材20から、容易に取り外しすることが可能となっている。
【0030】
以上の通り、ベース部材20に形成された凹状嵌合部21に対して、シャワー保持部材40に形成された凸状嵌合部41嵌合させているため、当該間隙がある分、シャワー保持部材40をベース部材20に対して着脱することができる。また、シャワー保持部材40は、ベース部材20に対して、水平方向の任意位置に取り付けできるため、入浴スタイルに応じて、適宜、位置を変更することができる。尚、シャワー保持部材40には、ベース部材20の凹状嵌合部21と当接する弾性変形可能な弾性部材50が突出して取り付けられているが、当該弾性部材50はシャワー保持部材40を取り付けた際に生じる間隙に収まるように変形するため、シャワー保持部材40は着脱可能である。また、弾性部材50を介して、ベース部材20とシャワー保持部材40を嵌合させる構成としたことにより、シャワーヘッドをシャワーフック402から取り外す際や、ホースクリップ403に掛けられたシャワーホースが動いた際など発生する外力程度では、係合が外れないようにできる。
【0031】
また、シャワー保持部材40にシャワーホースなどが引っ掛かった場合であっても、弾性部材50が滑り止めの機能を果たすため、シャワー保持部材40の水平方向の位置が不意にずれたりする心配もない。
【0032】
また、弾性部材50は、シャワー保持部材40を係合する際に、ベース部材20とシャワー保持部材40とが最後に当接する位置に設けられているため、シャワー保持部材40をベース部材20に対して着脱する際に、弾性部材50が擦れる機会(せん断力がかかる機会)を最少限にすることができるため、弾性部材50が切れたり、外れたりする虞が少なくなり、また摩耗しにくくなるとともに、比較的容易にシャワー保持部材40の着脱操作ができる。
【0033】
また、弾性部材50は、シャワー保持部材40に取り付けられているため、シャワー保持部材40と一体になって弾性部材50もベース部材20から分離されるため、弾性部材50のメンテナンスや、清掃が容易になる。
【0034】
また、弾性部材50は、着脱可能に取り付けられているため、想定以上の力が弾性部材50に加わった場合、弾性部材50が切れる程の力がかかる前に、外れてくれるため、弾性部材50が破損することがない。尚、仮に弾性部材50が外れ落ちたとしても、また容易に取り付けできるため、弾性部材50を長期的に使用することができる。
【0035】
また、弾性部材50は間隔を空けて複数個取り付けられており、弾性部材50の間には、凹状嵌合部21内に流入した水を排水するための排水通路が形成されているため、ベース部材20上から凹状嵌合部21内に水が流れ込んだ場合であっても、排水通路から凹状嵌合部21外に排水され、凹状嵌合部21内に水が滞留することがない。
【0036】
また、弾性部材50の凹状嵌合部21または凸状嵌合部41と当接する面は、曲面状に形成されているため、シャワー保持部材40をベース部材20に対して取り付け、および取り外しする、いずれの場合においても、抵抗が小さく、滑らかに弾性部材50を変形させることができる。よって、使用者が大きな力をかけることなく、容易にシャワー保持部材40をベース部材20に対して着脱操作することができる。
【0037】
尚、上述した実施形態においては、シャワー保持部材40に弾性部材50を取り付けているが、逆にベース部材20に弾性部材50を取り付けても良い。
【0038】
次に、本発明における変形例について説明する。図5に示すように、変形例によるシャワー保持部材60は、シャワーヘッドまたはシャワーホースを保持する機能部61と、ベース部材20に対して嵌合する凸状嵌合部62がそれぞれ別体で形成されている。機能部61と凸状嵌合部62とは、図6に示すように強固に係合されている。また、凸状嵌合部62はゴムなどの弾性変形可能な材料から形成されている。
【0039】
尚、外力が加わっていない状態における凸状嵌合部61の最大となる厚み高さh5は、上述した凹状嵌合部21内の最小となる開口高さh1よりも大きくなるように形成されている。
【0040】
次に、ベース部材20に対して、弾性変形可能な材料から形成された凸状嵌合部62を有するシャワー保持部材60を取り付ける際の作用を説明する。まず、シャワー保持部材60を斜めに傾けて凸状嵌合部62をベース部材20の嵌合凹部21内に挿入する。この時、凸状嵌合部62が凹状嵌合部21とぶつかるタイミングがあるが、凸状嵌合部62は外力が加わると挿入する際に邪魔にならないように圧縮変形するため、シャワー保持部材60をベース部材20から、容易に取り付けることが可能となっている。つまり、凸状嵌合部62が圧縮された状態における凸状嵌合部62の厚み高さh6が、上述した凹状嵌合部21内の最小となる開口高さh1と略同一となる程度に変形する。次いで、膨出部63を窪み部22に当接させるために奥側に押し込みながら上面が水平になるように回動させて所定位置に取り付ける。結果として、凹状嵌合部22と凸状嵌合部62は、強固に嵌合されることになる。
【0041】
次に、ベース部材20に対して、弾性変形可能な材料から形成された凸状嵌合部62を有するシャワー保持部材60を取り外す際の作用を説明する。まず、シャワー保持部材60を回転させながら、凸状嵌合部62をベース部材20の凹状嵌合部22内から引き抜く。この時、凸状嵌合部62が凹状嵌合部22と当たるタイミングがあるが、凸状嵌合部62は外力が加わると挿入する際に邪魔にならないように圧縮変形する。つまり、凸状嵌合部62が圧縮された状態における凸状嵌合部62および弾性部材50の最大となる高さh6が、上述した凹状嵌合部22内の最小となる開口高さh1と略同一となる程度に変形するため、シャワー保持部材60をベース部材20から、容易に取り外しすることが可能となっている。
【0042】
尚、上述した実施形態および変形例では、シャワー保持部材40、60に凸状嵌合部41、62を設け、ベース部材20に凹状嵌合部22を設けているが、逆に、シャワー保持部材40.60に凹状嵌合部を設け、ベース部材20に凸状嵌合部を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0043】
10…水栓部材、20…ベース部材、21…凹状嵌合部、22…窪み部、30…配管カバー、40…シャワー保持部材、41…凸状嵌合部、42…膨出部、50…弾性部材、60…シャワー保持部材、61…機能部、62…凸状嵌合部、401…カウンター部材、402…シャワーフック、403…ホースクリップ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室壁面に対して固定されたベース部材と、
前記ベース部材に対して水平方向の任意位置に着脱自在に取り付けられ、シャワーヘッド又はシャワーホースを保持可能なシャワー保持部材と、を備え、
前記ベース部材および前記シャワー保持部材のいずれか一方には凹状嵌合部が形成され、他方には前記凹状嵌合部と嵌合する凸状嵌合部が形成されており、
前記凹状嵌合部または前記凸状嵌合部の少なくともいずれか一方には、弾性変形可能な弾性部材が取り付けられており、
前記シャワー保持部材が前記ベース部材に取り付けられた状態において、前記弾性部材が圧縮変形した状態で前記凹状嵌合部と前記凸状嵌合部との間隙に配置されることを特徴とするシャワー保持部材の取付構造。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記シャワー保持部材を前記ベース部材に対して嵌合させる際に、最後に当接する位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のシャワー保持部材の取付構造。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記シャワー保持部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載のシャワー保持部材の取付構造。
【請求項4】
前記弾性部材は、着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャワー保持部材の取付構造。
【請求項5】
前記弾性部材は間隔を空けて少なくとも2個以上取り付けられており、前記弾性部材の間には、前記凹状嵌合部内に流入した水を排水するための排水通路が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシャワー保持部材の取付構造。
【請求項6】
前記弾性部材は、曲面状に突出形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシャワー保持部材の取付構造。
【請求項7】
浴室壁面に対して固定されるベース部材と、
前記ベース部材に対して水平方向の任意位置に着脱自在に取り付けられ、シャワーヘッド又はシャワーホースを保持可能なシャワー保持部材と、を備え、
前記ベース部材および前記シャワー保持部材のいずれか一方には凹状嵌合部が形成され、他方には前記凹状嵌合部と嵌合する凸状嵌合部が形成されており、
前記凹状嵌合部または前記凸状嵌合部のいずれか一方は、弾性変形可能な材料から形成されているとともに、圧縮変形することで前記凹状嵌合部または前記凸状嵌合部の他方と嵌合されることを特徴とするシャワー保持部材の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−183119(P2011−183119A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54715(P2010−54715)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】