説明

シャワー水栓装置

【課題】エルボの加工が容易であって、製造コストの低減を図ることができるシャワー水栓装置を提供する。
【解決手段】シャワー水栓装置10を構成する水栓本体12にはエルボ18を介してシャワーホース19が接続され、該シャワーホース19の先端部にシャワーヘッド20が連結されている。前記エルボ18の上流側には減圧装置17を設けられ、該エルボ18がポリ塩化ビニル樹脂等の樹脂で構成されている。前記シャワーヘッド20には、湯水の吐出を開閉する押しボタン21が設けられるとともに、減圧装置17は吐水が停止されたときにシャワーホース19内の水圧上昇により湯水の流れを遮断するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室等に設けられるシャワー水栓装置に係り、特にシャワーホースが接続されるエルボを樹脂化することができるシャワー水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シャワー水栓装置は、湯水混合栓にシャワーホースが接続され、そのシャワーホースの先端部にシャワーヘッドが連結されて構成されている。このシャワーヘッドには、湯水の吐出を停止するための止水用の押しボタンが設けられることが多く、この場合には、シャワーホースに過度な圧力が作用しないように、止水時にシャワーホース内の水圧により作動する止水バルブが設けられている。
【0003】
この種のシャワー水栓装置として、例えば特許文献1に記載のシャワー装置が知られている。このシャワー装置は、シャワーヘッドに流量調整機構を備えるとともに、シャワーホースの基端部と湯水供給側との間に、シャワーヘッド側へ向かう湯水を減圧する減圧弁が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−5588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載されている従来構成のシャワー装置では、湯水の供給側からエルボを介してシャワーホースが接続されるとともに、エルボとシャワーホースとの間に減圧弁が配置されている。このため、止水用の押しボタンを操作してシャワーヘッドからの吐水を停止したとき、エルボには高い水圧が作用する。従って、エルボはそのような高い水圧に耐え得るように銅合金等の金属で形成しなければならず、手間のかかる切削加工が必要になって加工が面倒で、製造コストの上昇を招くという問題があった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、エルボの加工が容易で、製造コストの低減を図ることができるシャワー水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明のシャワー水栓装置は、湯水を供給する水栓本体にはエルボを介してシャワーホースを接続し、該シャワーホースの先端部にシャワーヘッドを連結したシャワー水栓装置であって、前記シャワーヘッドには、湯水の吐出を開閉する開閉バルブを設けるとともに、前記エルボの上流側には開閉バルブで吐水が停止されたときにシャワーホース内の水圧上昇により湯水の流れを遮断するようにした減圧装置を設けたことを特徴とする。なお、本発明及び実施形態において、湯水とは、水、湯及び水と湯との混合水を指す。
【0008】
請求項2に記載の発明のシャワー水栓装置では、請求項1に係る発明において、前記減圧装置を、給水配管及び給湯配管に接続される水栓本体の給水ジョイント部及び給湯ジョイント部間の空間内に配置したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明のシャワー水栓装置では、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記エルボを合成樹脂で構成したことを特徴とする。
請求項4に記載の発明のシャワー水栓装置では、請求項1〜3のうちのいずれか一項に係る発明において、前記エルボをカバーによって覆ったことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明のシャワー水栓装置では、水栓本体にはエルボを介してシャワーホースが接続され、該シャワーホースの先端部にシャワーヘッドが連結される。そして、前記エルボの上流側に減圧装置が設けられている。このため、シャワーホースからの吐水が停止されたときには減圧装置が作動し、エルボの上流側で止水される。従って、エルボには湯水の供給側からの水圧は作用しない。その結果、エルボは耐圧強度の高い金属でなく、合成樹脂で構成することができる。
【0011】
よって、本発明のシャワー水栓装置によれば、エルボの加工が容易であって、製造コストの低減を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は実施形態のシャワー水栓装置を示す要部平断面図、(b)はシャワー水栓装置を示す正面図、(c)はシャワー水栓装置を示す側断面図。
【図2】エルボと減圧装置とを拡大して示す断面図。
【図3】減圧装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を、図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
図1(a)〜(c)に示すように、本実施形態のシャワー水栓装置10は浴室の壁11に取付けられ、その水栓本体12の給水ジョイント部13及び給湯ジョイント部14には壁11に埋設された図示しない給湯配管及び給水配管がそれぞれ接続されている。水栓本体12にはシャワー用吐水部15及びカラン用吐水部16が設けられ、水栓本体12の一側部に突設された吐水切替ハンドル45により吐水形態がシャワー吐水及びカラン吐水のいずれか一方に切替可能になっている。水栓本体12の他側部には、温度調節ハンドル23が突設され、シャワー用吐水部15及びカラン用吐水部16から吐出される湯水の温度を調節できるようになっている。
【0014】
前記カラン用吐水部16にはカラン吐水管24が接続されている。シャワー用吐水部15には、減圧装置17及びエルボ18を介してシャワーホース19が接続され、該シャワーホース19の先端部にはシャワーヘッド20が取付けられている。このシャワーヘッド20には押しボタン21が設けられ、その押しボタン21の押し込み操作により図示しない開閉バルブが切り替えられてシャワーヘッド20からの吐水及び吐水の停止ができるようになっている。この押しボタン21は、周知の開閉バルブの操作部を構成している。前記減圧装置17及びエルボ18は、給水ジョイント部13及び給湯ジョイント部14間の空間内に位置している。
【0015】
このようにエルボ18の上流側に減圧装置17が配置され、シャワー用吐水部15からの湯水の水圧が減圧装置17で受承されることから、エルボ18には高い耐圧強度は必要とされず、このエルボ18は合成樹脂で形成されている。斯かる合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられ、成形を簡単に行うことができる。
【0016】
図3に示すように、前記減圧装置17内にはバルブシート40が取り付けられるとともに、そのバルブシート40に対して接離可能な弁体35が設けられている。この弁体35はコイルばね37,39によりバルブシート40から離間される方向に付勢されている。
【0017】
図1(c)に示すように、水栓本体12には、前記減圧装置17、エルボ18、水栓本体12全体及びシャワーホース19の基端部側を覆う合成樹脂製のカバー22が固定されている。
【0018】
次に、以上のように構成された本実施形態のシャワー水栓装置10について作用を説明する。
さて、通常の状態においては、図2に示すように、減圧装置17の弁体35がコイルばね37,39の付勢力によりバルブシート40から離間した開放位置に保持されている。このシャワー水栓装置10を使用する場合には、温度調節ハンドル23を操作して湯水の温度を所望温度に設定した後、吐水切替ハンドル45でシャワー又はカランのいずれかに設定する。吐水切替ハンドル45をシャワーに切り替えた場合には、湯水はシャワー用吐水部15から開放状態の減圧装置17を経てエルボ18からシャワーホース19へと流れ、シャワーヘッド20から吐水される。
【0019】
このとき、シャワーヘッド20の押しボタン21を押して開閉バルブを閉鎖し、シャワーヘッド20からの吐水を停止すると、図3に示すようにシャワーホース19内の圧力が上昇し、その圧力により減圧装置17の弁体35が移動してバルブシート40に当り、閉弁され、その状態が保持される。この状態では、シャワー用吐水部15側からの水圧がエルボ18やシャワーホース19に作用することを回避でき、過大な圧力がエルボ18やシャワーホース19に加わることを防止することができる。前記押しボタン21を再度押して開閉バルブを開放すれば、シャワーホース19内の湯水がシャワーヘッド20から外部に出るために、エルボ18及びシャワーホース19内の圧力が低下して、減圧装置17の弁体35がコイルばね37,39の付勢力によって開放側に移動される。このため、シャワー用吐水部15側からの湯水がシャワーヘッド20から吐出される。
【0020】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のシャワー水栓装置10では、エルボ18の上流側に減圧装置17が設けられている。このため、シャワーヘッド20の押しボタン21によりシャワーホース19からの吐水が停止されたときには減圧装置17が作動し、エルボ18の上流側で止水される。従って、エルボ18には湯水の供給側であるシャワー用吐水部15からの水圧は作用しない。その結果、エルボ18は耐圧強度の高い金属でなく、合成樹脂で構成することができる。
【0021】
よって、本実施形態のシャワー水栓装置10によれば、エルボ18の加工が容易になって、製造コストの低減を図ることができるという効果を発揮する。
(2)減圧装置17及びエルボ18は、給水ジョイント部13及び給湯ジョイント部14間の空間内に位置している。このため、水栓本体12の壁11からの突出量を抑えることができて、邪魔になることを抑えることができる。
(3)前記エルボ18を合成樹脂で構成しても、そのエルボ18はカバー22によって隠蔽されているため、装置全体として良好な外観を得ることができる。
【0022】
なお、前記各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記エルボ18を形成する樹脂として、架橋ポリオレフィン樹脂、ポリブテン樹脂等を用いることも可能である。
【0023】
・ 本発明を前記実施形態の構成以外のシャワー水栓装置、例えばカラン吐水管24を有しないシャワー水栓装置に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0024】
10…シャワー水栓装置、12…水栓本体、13…給水ジョイント部、14…給湯ジョイント部、17…減圧装置、18…エルボ、19…シャワーホース、20…シャワーヘッド、22…カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を供給する水栓本体にはエルボを介してシャワーホースを接続し、該シャワーホースの先端部にシャワーヘッドを連結したシャワー水栓装置であって、
前記シャワーヘッドには、湯水の吐出を開閉する開閉バルブを設けるとともに、前記エルボの上流側には開閉バルブで吐水が停止されたときにシャワーホース内の水圧上昇により湯水の流れを遮断するようにした減圧装置を設けたことを特徴とするシャワー水栓装置。
【請求項2】
前記減圧装置を、給水配管及び給湯配管に接続される水栓本体の給水ジョイント部及び給湯ジョイント部間の空間内に配置したことを特徴とする請求項1に記載のシャワー水栓装置。
【請求項3】
前記エルボを合成樹脂で構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシャワー水栓装置。
【請求項4】
前記エルボをカバーによって覆ったことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のシャワー水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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