説明

シャワー浴装置

【課題】座った楽な姿勢でシャワー流を受けつつ入浴感や温熱効果を高め、座った姿勢で体全体を温めることができるシャワー装置を提供する。
【解決手段】凹状の座部と、前記座部の後方の上方に設けられ、前記座部の前方方向に吐水する吐水部と、を備え、前記座部に着座者が着座しない状態において、前記吐水の少なくとも一部が前記座部に直接あたるように、前記吐水部からの吐水の方向と、前記吐水部と前記座部との位置関係と、が調整されたことを特徴とするシャワー浴装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー浴装置に関し、特に使用者が座った姿勢でシャワー浴を受けることができるシャワー浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が座った姿勢でシャワー浴を受けることができるシャワー浴装置として、例えば特許文献1に開示されるものがある。特許文献1によれば、座った姿勢の使用者の背面から肩越しに前方にせり出したアームに設けられた噴霧ノズルから使用者に向けて噴霧がかけられる。
【特許文献1】国際公開第97/30619号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、生活習慣が多様化すると共に入浴習慣も多様化している。すなわち、シャワーで体を洗い流し、浴槽で体を温めるといった従来の入浴のしかた以外にも、シャワーであっても浴槽に浸かるのと同じような入浴感や、体をしっかりと温めるといった機能が求められるようになってきている。
【0004】
また、シャワー浴装置に対しては、単に体を洗うこと以外に、特に浴槽への出入り動作が困難な高齢者や身体に障害がある人にとっては、体を温める役割も期待される。しかし、座部に座った状態では、その座部の上方から吐水される吐水流だけでは、その吐水流が座部に遮られて下肢裏に届きにくく、全身に高い温熱効果を得ることは難しい。
【0005】
本発明は、座った楽な姿勢でシャワー流を受けつつ入浴感や温熱効果を高めたシャワー浴装置を提供する。
【0006】
または、本発明は、座った姿勢で体全体を温めることができるシャワー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、凹状の座部と、前記座部の後方の上方に設けられ、前記座部の前方方向に吐水する吐水部と、を備え、前記座部に着座者が着座しない状態において、前記吐水の少なくとも一部が前記座部に直接あたるように、前記吐水部からの吐水の方向と、前記吐水部と前記座部との位置関係と、が調整されたことを特徴とするシャワー浴装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、座った楽な姿勢でシャワー流を受けつつ入浴感や温熱効果を高めたシャワー浴装置が提供される。
または、本発明によれば、座った姿勢で体全体を温めることができるシャワー装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面において、同様の要素には同一の符号を付した。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシャワー浴装置の外観を模式的に例示する斜視図である。
図2は、図1におけるA−A断面図である。
図3は、図1におけるB−B断面図である。
図4は、図1におけるC−C断面図である。
【0011】
本実施形態に係るシャワー浴装置は、主として、浴室の壁面100に設けられた背面部2と、浴室の床面110上に設けられた台部3と、を備える。本具体例においては、台部3は、背面部2の下部に一体的に設けられている。ただし、本発明はこれに限定されず、台部3と、背面部2とを、別体で設けてもよい。
【0012】
台部3は、背面部2の前方側(図1における矢印yの方向)に出張っている。台部3の上面には、その上面の他の部分よりも床面110側にくぼんだ凹状の座部4が形成されている。すなわち、浴室壁面100及び浴室床面110に対して略平行な第1の方向x(台部3の幅方向)にみた台部3上面の両端部と、座部4との間には、壁部6を介して、段差が形成され、これが湯水を溜める堰部の一部として作用する。また、座部4には、その後方から前方に向かって鉛直上方方向に傾斜する傾斜部4Sが設けられている。
【0013】
背面部2には、その背面部2の他の部分よりも浴室壁面100側にくぼんだ凹状の背もたれ部5が形成されている。すなわち、第1の方向xにみた背面部2の両端部と、背もたれ部5との間には、壁部7を介して、段差が形成されている。
【0014】
背もたれ部5および座部4は、ひとつながりの凹部として形成されている。背もたれ部5の第1の方向x(幅方向)にみた両端に設けられた壁部7、および座部4の第1の方向x(幅方向)にみた両端に設けられた壁部6も、ひとつながりになっている。
【0015】
座部4は、図3(a)、(b)に表されるように、第1の方向x(幅方向)にみて凹状に形成されている。また、座部4は、第2の方向y(図1参照)にみても凹状に形成されている。つまり、座部4の周囲には湯水を溜めるための堰部が形成されている。そして、これら堰部のうちで、背もたれ部5に対向する側すなわち前方の堰部は、他の3方の堰部よりも低く形成されている。このようにすると、座部4に溜まった湯水は、横方向に漏れ出ることなく、着座者200の足に向けて落下する。
そして、さらに図3(b)に表したように一対の凹部4Aを設けてもよい。これら凹部4Aは、第2の方向yに延在して形成され、座部4に座った着座者の大腿部に対応する。このような凹部4Aを設けることにより、着座者の大腿部をより安定して支持することができ、また、座部4に溜まった湯水を着座者の脚に向けて流すことができる。
【0016】
また、座部4は、図2に表されるように、奥行き方向に向かって(背もたれ部5に向かって)下向き傾斜している。すなわち、座部4のくぼみ深さが、奥行き方向に向かって(背もたれ部5に向かって)徐々に深くなっている。
【0017】
背面部2の上部であって、第1の方向x(幅方向)にみた略中央部には、座部4に座った着座者の頭部、または首から頭部にかけての部分を支持するための頭部支持部25が設けられている。頭部支持部25は、背面部2に対して第2の方向(台部3の出張り方向)yに出張っている。
【0018】
背もたれ部5よりも上方の背面部2には、1対の第1の吐水部21が設けられている。第1の吐水部21は、第1の方向xにみて頭部支持部25を挟むように頭部支持部25の左右両側に、それぞれ1つずつ設けられている。第1の吐水部21は、使用者が座部4に着座した状態で、その着座者の肩よりも上方に位置する。また、座部4と第1の吐水部21との間の高さは、浴室床面110からの座部4の高さよりも大きい。使用者が座部4に着座した際に、1対の第1の吐水部21間に、着座者の顔または頭部を位置させることができるように、2つの第1の吐水部21は、第1の方向xに互いに離間している。すなわち、1対の第1の吐水部21は、使用者が座部に着座した状態で、着座者の顔または頭部を挟む位置に設けられている。ただし、第1の吐水部21は、座部4に着座した使用者の頭部よりも高い位置に設けられていてもよい。第1の吐水部21の吐水方向は、略水平方向、または水平方向よりやや下方に設定されている。
【0019】
ここで、「略水平方向」とは、 水平面に対してプラスマイナス45°以内であることが望ましく、プラスマイナス30°以内であることがさらに望ましい。また、水平面に対してプラスマイナス20°以内であることが、よりさらに望ましい。
【0020】
すなわち、後に詳述するように、座部4に着座した着座者の肩よりも上方に設けられた第1の吐水部21からは、着座者の下肢近傍に落下するシャワー流が吐水される。この場合、第1の吐水部21の取付位置が低い場合には、着座者の肩越しにほぼ水平方向に向けてシャワー流を吐水させ着座者の下肢近傍に落下させることができる。一方、第1の吐水部21の取付位置が高い場合には、水平方向に吐水させるとシャワー流は着座者の下肢よりも遠方に落下してしまうため、水平方向から下向きに吐水させる必要がある。つまり、第1の吐水部21の取付位置が低い場合にはほぼ水平方向に吐水させ、取付位置が高くなるほど吐水方向を水平方向よりも下向きにする必要がある。
【0021】
例えば、第1の吐水部21の取付位置が低く、略水平方向に吐水させる場合には、シャワー流が着座者の下肢近傍に落下するまでの飛距離が短くなり、その結果、シャワー流の温度低下が起こりにくい。また、第1の吐水部21の取付位置を低くすることによりシャワー浴装置を小型化できる。また、シャワー流が着座者の下肢近傍に落下する時の速度も遅くなる(下向きに吐水する際に加わる加速の影響が少ないからである)ため、シャワー流による着座者への刺激および水跳ねが低減され、着座者は快適に長時間全身シャワーを浴びることが可能となる。
【0022】
なお、本具体例においては、左右一対の第1の吐水部21が設けられているが、本発明はこれには限定されず、第1の吐水部21はひとつでもよい。この場合には、第1の吐水部21は、頭部支持部25の左右両側に渡り設けてもよく、頭部支持部25の上方に設けてもよい。
【0023】
背もたれ部5よりも上方の背面部2であって、1対の第1の吐水部21のそれぞれの下方には、1対の第2の吐水部22が設けられている。第2の吐水部22の吐水方向は、第1の吐水部21の吐水方向よりも下方に設定され、着座者の肩に向かって吐水を行うように設定されている。なお、本具体例においては、左右一対の第2の吐水部22が設けられているが、本発明はこれには限定されず、第2の吐水部22はひとつでもよい。この場合には、第2の吐水部22は中心付近に設けられる。
【0024】
第2の吐水部22とほぼ同じ高さあるいは第2の吐水部22よりも少し上方の背面部2であって、第1、第2の吐水部21、22及び背もたれ部5よりも、第1の方向x(背もたれ部2の幅方向)にみて外側には、1対の第3の吐水部23が設けられている。第3の吐水部23の吐水方向は、第1の吐水部21の吐水方向よりも第1の方向xにみて内側に設定され、着座者の肩峰部に向けて吐水を行うように設定されている。
【0025】
各吐水部21〜23からは、例えば40〜45℃程度のシャワー流が吐水される。なお、各吐水部21〜23は、2対以上設けてもよい。また、図示された具体例では、各吐水部21〜23は背面部2に対して個別に突出して設けられているが、図5に表すように、各吐水部(図5には、例えば第1及び第2の吐水部21、22を図示した)を1つのユニット体14に内蔵させてもよい。
【0026】
次に、本実施形態に係るシャワー浴装置の作用について説明する。
図6は、着座者200に対する各吐水部21〜23からのシャワー流の吐水の様子を模式的に表す斜視図である。
【0027】
図2、6に表されるように、第1の吐水部21からは、略水平方向に噴出し座部4の前縁近傍に落下するシャワー流が吐水される。すなわち、着座者200の肩越しに着座者200の前方へと自重により弧を描く軌跡でシャワー流が吐水され、着座者200の特に大腿部を中心とした下肢近傍にシャワー流が落下する。なおこの時、シャワー流は、着座者200の下肢だけでなく腹部にも落下するようにしてもよい。そして、このシャワー流は、着座者200の膝から足に向けて下肢の表面を流れる。このような吐水方向に設定することで、着座者200の後方であって、且つ第1の吐水部21が着座者200の下肢から遠い頭部付近に設けられた構成であっても、着座者200の肩越しに吐水を行うことで、その吐水流が着座者200に遮られることなく確実に下肢まで到達させて、膝から下の下肢までも温めることができる。また、このように高い位置から吐水させることにより「打たせ湯」のように、シャワー流によるマッサージ効果も下肢に作用させることができる。また、背もたれ部5の角度や着座者200の姿勢によっては、第1の吐水部21から吐水されるシャワー流を着座者200の下腹部に落下させることもできる。
【0028】
なお、第1の吐水部21からのシャワー流が着座者200の肩の真上を通過する場合に限らず、着座者200の肩口(肩先)付近を通過する場合も、「肩越し吐水」に含まれる。ただし、着座者200の肩の真上をシャワー流が通過するようにすれば、着座者200の背面側に設けられた第1の吐水部21から最短距離で下肢にまでシャワー流を到達させることができる。すなわち、第1の吐水部21から吐水されたシャワー流が下肢に至るまでの飛翔中の温度低下を抑制でき、下肢を所望の温度のシャワー流で温めることができる。
【0029】
第2の吐水部22からは、着座者200の首の付け根の近くの肩部に向けてシャワー流が吐水される。肩部にあたったシャワー流の一部は、着座者200の胸部から胴部にかけての側部を中心とした体の前側表面を流れ、シャワー流の他の一部は、背中に回り込む。このようにして、着座者200の体の前側と背中とをいずれも温めることができる。また、シャワー流によるマッサージ効果も肩部に作用させることができる。なお、前述したように第2の吐水部22がひとつだけ設けれる場合には、例えば着座者200の首の後ろから首の付け根の近くの両肩部に向けてシャワー流が吐水され、同様の効果が得られる。
【0030】
第2の吐水部22から着座者200の首の付け根の近くの肩部に向けてシャワー流を吐水し着座者200の上半身の前面と背中とにシャワー流を流すことにより、着座者200の後方に設けた1対の第2の吐水部22だけであっても、着座者200の上半身全体を効率よく温めることができる。すなわち、吐水部を最小限にして低コスト化を図りつつ、高い温熱効果が得られる。
【0031】
着座者200の背面側に回り込んだ湯水は、着座者200の背中または背もたれ部5を伝って、座部4に向けて連続的に流れる。すなわち、第2の吐水部22から吐水された湯水が、背もたれ部5へ次々と流れ込むため着座者200の背中と背もたれ部5との間に温度境界層ができず、湯水の熱が着座者200の背中に伝わりやすくなる。身体の前面だけでなく背中側も同時に暖めることができるため、少ない流量でも温熱効果を高くでき、使用湯量の節約による節水及び省エネルギーにもなる。
【0032】
また、背もたれ部5は、第1の方向x(幅方向)の両端に形成された壁部7で仕切られ、また座部4へとつながる凹状に形成されているため、背もたれ部5に流れ込んだ湯水の飛散や流出を抑えて、無駄なく確実に座部4へと湯水を導くことができる。すなわち、少ない流量でも温熱効果を損なうことなく、また、使用湯量の節約による節水及び省エネルギーにもなる。
【0033】
第3の吐水部23からは、着座者200の肩峰部(肩頂部)に向けてシャワー流が吐水される。肩峰部にあたったシャワー流は、第1及び第2の吐水部21、22からのシャワー流によってカバーしきれない、腕部の中央付近を中心とした部分に流れて、その部分を温める。また、肩峰から胸に向かってもシャワー流をあてることができる。第3の吐水部23から肩峰部に向けてシャワー流を吐水することで、第1及び第2の吐水部21、22でカバーしきれない腕部などを、1対だけの吐水部23でカバーでき、低コストである。
【0034】
第1〜第3の吐水部21〜23から吐水された湯水は、着座者200の体表面もしくは背もたれ部5を伝って、凹状の座部4に溜まる。つまり、座部4の周囲には湯水を溜めるための堰部が設けられている。座部4に湯水が溜まることで、着座者200の臀部、および大腿部における少なくとも裏側が確実に湯水に接触した状態となる。これにより、各吐水部21〜23からの吐水流が直接当たらない腰部付近を効率的に温めることができる。また、腰部から臀部を温めることで、腸内運動の活性化も図れる。
【0035】
座部4は、第1の方向x(幅方向)の両端に形成された壁部6で仕切られ、また背もたれ部5からつながるくぼみとして形成されているため、湯水の横漏れを抑えて、各吐水部21〜23からの湯水を無駄なく効率的に利用できる。すなわち、使用湯水量の節約による節水及び省エネルギーが図れる。
【0036】
座部4にも、着座者200の体表面もしくは背もたれ部5を伝って次々と湯水が流れ込むため、着座者200と座部4との間に温度境界層が発達せず、湯水の熱が着座者200の臀部および大腿部に伝わりやすくなり、温熱効果を高めることができる。
【0037】
またさらに、座部4に溜まった湯水は、前方(図1の方向y)に向けて流出し、着座者200の脚部から足を流れる。その結果として、湯水を無駄にせずに足まで温めることができる。特に、図3(b)に例示したような凹部4Aを設けると、座部4に溜まった湯水は着座者200の脚部に向けて流れやすくなるので効率的である。
【0038】
また、座部4に溜まった湯水に浸かりつつ、第1〜第3の吐水部21〜23によるシャワー流を体全体に受けることで、浴槽への入浴と同様なお湯に浸かる感覚(入浴感)を得ることができ、シャワー浴でありながら高い温熱効果を得られる。しかも、浴槽に浸かる場合に比べて水圧が体にかからず体への負担が少ない。浴槽の中に出入りする動作が必要なく、着座した状態で使用できるので、高齢者や身体動作に障害を有する使用者でも高い温熱効果を楽に得ることができる。また、体の部分ごとにシャワーをかけるのではなく、全身にシャワーを同時にかけられるため、短時間で節水しながらシャワーを浴びて体を温めることができる。
【0039】
また、各吐水部21〜23から吐水されるのは噴霧ではなく連続的な水流からなるシャワー流であるため、ミスト(噴霧)を噴出させる場合のように周辺の空間が高温高湿雰囲気にならず、逆上せを防げる。またさらに、気化熱による吐水の温度低下が少ないので、シャワーの設定温度を必要以上に高く設定する必要がなく、経済的である。
【0040】
なお、本実施形態のシャワー浴装置において第1〜第3の吐水部21〜23から吐水されるシャワー流は、各吐水部に設けられた複数のシャワー穴から吐水される。その穴径は、例えば0.2mm〜4mmの範囲内であることが望ましく、この範囲であれば、少ない流量で広範囲に渡り効率的に温めることができる。
【0041】
また、複数の吐水部を設けたアームが着座者の前方にせり出す特許文献1に比べて、本実施形態では、各吐水部21〜23を着座者200の後方の浴室壁面に一体に設けることにより、限られたスペースの浴室空間内で、設置スペースの省スペース化が図れ、またコンパクトですっきりした構成であるため浴室内での鬱陶しさがなくなり、デザイン性も損なわない。また、前方にせり出すアームがないため、例えば使用者を車いすからシャワー浴装置の座部4へと移乗させる作業も安全且つ容易に行え、使い勝手がよい。
【0042】
また、各吐水部21〜23からのシャワー流の吐水方向を前述したように適切に設定することで、着座者200の前方に多数の吐水部を設けなくても、着座者の後方に最小限の吐水部を設けるだけで、少量の湯でも効率的に着座者200の体全体を温めるシャワー浴が実現できる。吐水部を最小限にすることで、低コスト化も図れる。また、必要湯量を抑えることで、節水及び省エネルギーにもなる。
【0043】
図7は、座部の他の具体例を表す模式断面図である。
本具体では、台部3の上面に壁部26を立設することで、その壁部26によって台部3の他の上面と仕切られた凹状の座部4を設けている。
【0044】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前述したものと同様の要素については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態に係るシャワー浴装置における背もたれ部5の模式正面図である。
図9は、図8におけるD−D断面図である。
【0046】
本実施形態では、背もたれ部5に凹凸を設けている。図8に表される具体例では、例えば複数の円柱状の凸部17を背もたれ部5に設けている。
【0047】
図10に表されるように、背もたれ部5に凹凸がないと、背もたれ部5と着座者200の背中とが密着して、着座者200の背中に湯水が流れにくい。これに対して、図9に表されるように、背もたれ部5に凹凸(凸部17)を設けると、背もたれ部5と着座者200の背中との間に、湯水が流れるための流路13を確保できる。これにより、着座者200の背中に接触しながら流れる湯水の流れを確実に確保でき、その湯水の流れによって着座者200の背中を温めながら、座部4へと湯水を流し込むことができる。
【0048】
なお、凸部17の数や配列は、本具体例には限定されない。例えば、図8に例示した具体例とは異なり、凸部17を千鳥格子状に配置すると、上下方向の流路が分断され、湯水を横方向に拡散させやすくなり、着座者200の背中全体を偏りなく温めることができる。
【0049】
また、凸部17の形状やサイズも本具体例には限定されず、楕円柱状や角柱状などの各種の形状を与えることができる。また、その先端や角を適宜丸めることにより、着座者200に与える刺激を調節することができる。凸部17は、例えば、半球状のような曲面から構成されるものであってもよい。このような凸部17を適宜配置すると、「つぼ押し」の効果も得られる。
【0050】
図11〜図13は、背もたれ部5に設けられる凹凸の他の具体例を表す。
図11は、四角形状の凸部17aを背もたれ部5に設けた具体例を表す。
図12は、図11と同じく四角形状の凸部17bを設けているが、凸部17bと凸部17bとの間に形成される縦方向(背もたれ部5の高さ方向)の流路の途中にも凸部17bを設けることで、流路が上から下までひとつながりとはならず、背もたれ部5の横方向に流水を拡散させやすい。すなわち、背もたれ部5全体に流水の流れを形成して、着座者200の背中全体を偏りなく温めることができる。
図13は、凸部17cと凸部17cとの間の流路が、背もたれ部5の高さ方向に対して傾斜しており、この構成も、背もたれ部5全体に流水の流れを形成しやすい。
【0051】
[第3の実施形態]
図14は、本発明の第3の実施形態に係るシャワー浴装置の外観を模式的に例示する斜視図である。
【0052】
本実施形態では、台部3において、その出張り方向(第2の方向y)にみた前方側に位置する前面部27には、浴室壁面100側にくぼんだ凹部28が形成されている。第1の方向xにみた前面部27の両端部と、凹部28との間には、壁部8を介して、段差が形成されている。凹部28は座部4とつながっており、壁部8は座部4の両端に形成された壁部6とつながっている。
【0053】
また、凹部28の前方の浴室床面110上には、足浴槽29が設けられている。第1〜第3の吐水部21〜23から吐水された湯水は、着座者の体表面を伝って、もしくは背もたれ部5および座部4を経て足浴槽29に溜まる。
【0054】
図15に表されるように、着座者200はその足部を、足浴槽29に溜まった湯水に浸けることにより、第1〜第3の吐水部21〜23から最も遠く、また血流が流れにくく、皮膚温が低い足部の温熱効果を高めることができる。また、足部には、動静脈吻合(AVA:arteriovenous anastomosis)があり、足部を足浴槽29の湯水に浸けることでAVAが開いて血流が増大し、これにより全身の温熱効果がさらに高まる。
【0055】
また、台部3の前面部27に、座部4とつながった凹部28を設けたことで、座部4に溜まった湯水があふれても横漏れせずに凹部28を流れて足浴槽29に溜まるため、吐水部21〜23からの湯水を無駄なく利用することができる。
【0056】
[第4の実施形態]
図16、17は、本発明の第4の実施形態に係るシャワー浴装置の外観を模式的に例示する斜視図である。
【0057】
本実施形態では、台部3の凹部28に、台部3の中の空間とつながる開口30を形成して、その開口30を介して、足浴槽29を台部3の中に出し入れできるようにしている。
【0058】
シャワー浴装置を使用しないときは、図17に表されるように、足浴槽29を台部3の中に収納することで、浴室床面上から足浴槽29がなくなり、例えば清掃のときなどにじゃまにならない。また、デザイン的にすっきりして浴室内の見栄えを損ねない。また、例えば車椅子と座部4との間で使用者を移乗する際に、足浴槽29がじゃまにならず、移乗性が向上する。
【0059】
図18、19は、足浴槽29の収納構造の他の具体例を表す。
本具体例では、足浴槽29がその後端部に設けられた軸部材34を中心に回動可能となっており、足浴槽29を、軸部材34を中心として回動させることにより、足浴槽29を台部3の中に収納したり、浴室床面上に設置したりできる。このようにしても、清掃などの際にじゃまにならず、見栄えもすっきりし、移乗性にも優れる。
【0060】
[第5の実施形態]
図20は、本発明の第5の実施形態に係るシャワー浴装置の模式側断面図である。
【0061】
台部3の前面部に形成された凹部28は、座部4から足浴槽29へと湯水を導く案内部として機能するが、本実施形態では、さらにその凹部28の上部に、前方に向けて下向き傾斜させた案内部35を設け、この案内部35によって、座部4から落下する湯水を、着座者200のふくらはぎに導くようにしている。すなわち、座部4からの湯水が、着座者200のふくらはぎに接触しながら足浴槽29に流れるようにしており、これにより、ふくらはぎの温熱効果を高め、また、湯水がふくらはぎをさするようにして流れることによるマッサージ効果が得られる。
【0062】
また、例えば図3(a)や(b)に例示したような壁部6を案内部35の両側に設けると、座部4から前方に溢れ出た湯水を横方向に漏らすことなく着座者200のふくらはぎにあて、足浴槽29に導くことができる。このような案内部35を備えたものも、本発明の範囲に包含される。
【0063】
[第6の実施形態]
図21は、本発明の第6の実施形態に係るシャワー浴装置の模式側断面図である。
【0064】
本実施形態では、背もたれ部5にミラーMなどを適宜設け、シャワー浴装置を洗面カウンターとして用いることができるようにしている。すなわち、座部4が凹状に形成されているためこれに湯水が溜まり洗面器として使用できる。洗面カウンターおよび洗面器を別途設けなくてもよいので、省スペース且つ低コストである。また、座部4は、人が座っても耐えられる強度に設計されるため手すりとしても利用可能である。
【0065】
(実施例)
表1は、背もたれ部5及び座部4を凹状とした場合(凹部あり)と、平坦にした場合(凹部なし)とで、シャワー浴を行っている着座者の背中の皮膚表面温度を測定した結果を表す。また、表2は、足浴槽29を設けた場合(足浴槽あり)と、設けなかった場合(足浴槽なし)とで、シャワー浴を行っている着座者の足の皮膚表面温度を測定した結果を表す。
【表1】


【表2】

【0066】
表1の結果より、背もたれ部5及び座部4を凹状とした場合の方が、平坦な場合よりも背中の温熱効果を高められることがわかる。また、表2の結果より、足浴槽29を設けた方が、設けない場合よりも足の温熱効果を高められることがわかる。
【0067】
また、図22に表されるように、座部36は、その四方を壁部37a〜37cによって囲まれる箱状に設けられた構成であってもよい。この場合、前端側(着座者の足側)の壁部37cを、側部の壁部37a、37bよりも低くすることで、座部36に溜まった湯水は、横漏れせずに前端側の壁部37cを越えて着座者の足部や足浴槽に流れるため、湯水を無駄にすることなく足部を温めることができる。
【0068】
[第7の実施形態]
図23は、本発明の第7の実施形態に係るシャワー浴装置を模式的に表す側面図である。
【0069】
本実施形態では、前述した背面部2に設けた吐水部21〜23の代わりに、背面部2の上部に、背面部2の前方にせり出したアーム76を設け、そのアーム76に複数の吐水部77を設けている。それら複数の吐水部77からは、座部4に着座した着座者の肩、腕、胸部、下肢に向けてシャワー流が吐水される。
【0070】
そして、本実施形態においても、座部4に溜まった湯水に浸かりつつ、吐水部77から吐水されるシャワー流を体全体に受けることで、浴槽への入浴と同様なお湯に浸かる感覚(入浴感)を得ることができ、シャワー浴でありながら高い温熱効果を得られる。しかも、浴槽に浸かる場合に比べて水圧が体にかからず体への負担が少ない。浴槽の中に出入りする動作が必要なく、着座した状態で使用できるので、高齢者や身体動作に障害を有する使用者でも高い温熱効果を楽に得ることができる。また、体の部分ごとにシャワーをかけるのではなく、全身にシャワーを同時にかけられるため、短時間で節水しながらシャワーを浴びて体を温めることができる。
【0071】
[第8の実施形態]
図24は、本発明の第8の実施形態に係るシャワー装置を側面方向から見た模式図である。
図25は、同シャワー装置を正面方向から見た模式図である。
図26は、同シャワー装置における要部を模式的に表す斜視図である。
【0072】
本実施形態に係るシャワー装置は、浴室壁部に設けられた背部11と、その背部11が設けられた浴室壁部の下部に設けられた台部12とを備えている。なお、背部11を浴室壁部で構成、すなわち浴室壁部自体を着座者の背を受ける背部11として機能させてもよい。
【0073】
台部12は、背部11から浴室内方に向かって出張っている。台部12の上面には、凹状にくぼんだ貯留部16を有する座部14が設けられている。貯留部16の底面は、使用者が臀部を接触させて腰を下ろす座面18として機能する。
【0074】
座面18は、奥行き方向に向かって(背部11に向かって)下向き傾斜している。すなわち、貯留部16のくぼみ深さが、奥行き方向に向かって(背部11に向かって)徐々に深くなっている。
【0075】
座部14よりも上方の背部11には、図25に表すように一対の吐水部20が設けられている。一対の吐水部20は、座部14の中心Cを挟んで、その中心Cの左右両側に設けられている。使用者は、座部14に着座した状態で、その頭部を一対の吐水部20間に位置させることができる。各吐水部20は、使用者が座部14に着座した状態で、その着座者の肩よりも上方に位置する。
【0076】
各吐水部20は、第1〜第3の吐水部21〜23を有する。第1〜第3の吐水部21〜23は、高さ方向に対して略垂直に交差する横方向に並んで設けられている。第1〜第3の吐水部21〜23のそれぞれは、複数の吐水口を有する。
【0077】
座部14の中心Cに対して最も内側に第3の吐水部23が設けられ、第3の吐水部23の外側に第2の吐水部22が設けられ、第2の吐水部22の外側に第1の吐水部21が設けられている。第1〜第3の吐水部21〜23は、略同じ高さに設けられている。もしくは、第1の吐水部21及び第3の吐水部23に対して、第2の吐水部22は若干高い位置に設けられている。各吐水部21〜23からは、例えば40〜45℃程度の湯のシャワー流が吐水される。
【0078】
第2の吐水部22からのシャワー流の吐水方向は、水平方向よりやや下方に設定されている。
【0079】
第1の吐水部21からのシャワー流の吐水方向は、座部14に着座した着座者よりも外側(図25において横方向に見た場合の外側)から、着座者の肩峰部付近に向くよう設定されている。
【0080】
第3の吐水部23からのシャワー流の吐水方向は、座部14に着座した着座者の首の付け根近傍の肩部に向くよう設定されている。
【0081】
前述した吐水部21〜23は、座部14よりも上方からシャワー流を吐水して、そのシャワー流を座部14に着座した着座者の体(首より下の部分)の前側に浴びせる。さらに本実施形態では、前述した吐水部21〜23からのシャワー流が届きにくい着座者の下肢の裏側を温める下肢裏温め手段を備えている。
【0082】
下肢裏温め手段は、具体的には、貯留部16に臨んで設けられた開口部31と、その開口部31に一端が連通する下肢裏給水路32と、下肢裏給水路32の他端に連通し、座面18より下方に設けられた下肢裏吐水部33とを有する。下肢裏給水路32は、例えば、座面18よりも下方の台部12の中に設けられ、開口部31と下肢裏吐水部33とを接続する配管である。
【0083】
図26に表すように、貯留部16の底面(座面)18における背部11側(背部11と座面18との境界部近傍)に、例えば2つの開口部31が設けられている。2つの開口部31に対応して、下肢裏吐水部33および下肢裏給水路32も2つずつ設けられている。なお、開口部31、下肢裏給水路32、下肢裏吐水部33の数は2つに限らず、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0084】
台部12において座部14より下方には、浴室に臨む前方から浴室壁部が設けられた後方に向かう方向に下る勾配となっている傾斜部19が設けられ、その傾斜部19と浴室床面110との間には、後方(浴室壁部側)に向かうにしたがって徐々に高さ寸法が小さくなる空間が存在する。この空間があるため、座部に着座した着座者は、脚を後方に引いてもかかとが台部12にぶつからない。
【0085】
下肢裏吐水部33は、傾斜部19の上部(前方側)に設けられ、座面18近傍の高さに位置している。下肢裏吐水部33は、貯留部16に貯留される湯の水位レベル及び開口部31よりも下方に位置している。後述するように、貯留部16に貯留される湯の水位と、下肢裏吐水部33との間の水頭差によって、貯留部に溜められた湯が、開口部31および下肢裏給水路32を流れて下肢裏吐水部33から前方(浴室側)に吐水されるため、下肢裏吐水部33は、貯留部に貯留される湯の水位レベルより下方であればよく、開口部31と同じ高さあるいは開口部31より高い位置に設けてもよい。
【0086】
また、下肢裏吐水部33は、座部14(台部12)の前縁15よりも後方(浴室壁部側)に設けられ、座部14(台部12)の前縁15よりも前方(浴室側)に突き出ていない。
【0087】
図25に表すように、一対の下肢裏吐水部33は、略同じ高さに設けられ、且つ高さ方向に対して略直角に交差する横方向に離間して設けられている。各々の下肢裏吐水部33は、複数の吐水口33aを有する。
【0088】
次に、本実施形態に係るシャワー装置の作用について説明する。
図24、2において各吐水部21〜23、33から吐水されるシャワー流、および貯留部16の前縁から溢れて落下する湯を破線で表す。
【0089】
座部14より上方の背部11に設けられた一対の吐水部20において、各々の第2の吐水部22からは、水平方向よりやや下方に噴出し座部14の前縁15近傍に落下する湯のシャワー流が吐水される。別の視点から表現すれば、第2の吐水部22からは、着座者の肩越しに着座者の前方へと自重により弧を描く軌跡でシャワー流が吐水され、着座者の特に大腿部を中心とした下肢近傍にシャワー流が落下する。なおこの時、シャワー流は、着座者の下肢だけでなく腹部にも落下するようにしてもよい。そして、このシャワー流は、着座者の膝から足に向けて下肢の表面を流れる。
【0090】
第2の吐水部22が、着座者の後方であって且つ着座者の下肢から遠い頭部付近に設けられた構成であっても、着座者の肩越しに吐水を行うことで、その吐水流が着座者に遮られることなく確実に下肢まで到達させて、膝から下の下肢を確実に温めることができる。
【0091】
第3の吐水部23からは、着座者の首の付け根の近くの肩部に向けてシャワー流が吐水される。肩部にあたったシャワー流の一部は、着座者の胸部から胴部にかけての体の前側及び側部を流れ、また、肩部にあたったシャワー流の他の一部は背中に回り込む。このようにして、着座者の体の前側と背中とをいずれも温めることができる。また、シャワー流によるマッサージ効果も肩部に作用させることができる。
【0092】
第1の吐水部21からは、着座者の肩峰部に向けてシャワー流が吐水される。肩峰部にあたったシャワー流は、第2の吐水部22及び第3の吐水部23からのシャワー流によってカバーしきれない、腕部の中央付近を中心とした部分や胴部の側部に流れて、その部分を温める。
【0093】
着座者の背面側に回り込んだ湯は、着座者の背中または背部11を伝って、座部14に向けて次々と流れ込み、着座者の背中と背部11との間に温度境界層が発達せず、湯の熱が着座者の背中に伝わりやすくなる。身体の前面だけでなく背中側も同時に暖めることができるため、少ない流量でも温熱効果を高くでき、使用湯量の節約による節水及び省エネルギーにもなる。
【0094】
各吐水部21〜23から吐水された湯は、着座者の体表面もしくは背部11を伝って、座部14に設けられた凹状の貯留部16に溜まる。貯留部16に湯が溜まることで、着座者の臀部、および大腿部における少なくとも裏側が確実に湯に接触した状態となる。これにより、各吐水部21〜23からのシャワー流が直接当たらない臀部及び腰部付近を効率的に温めることができる。また、腰部から臀部を温めることで、腸内運動の活性化も図れる。
【0095】
貯留部16には、着座者の体表面もしくは背部11を伝って次々と湯が流れ込むため、着座者と座面18との間に温度境界層が発達せず、湯の熱が着座者の臀部および大腿部に伝わりやすくなり、温熱効果を高めることができる。
【0096】
貯留部16は、図26に表すように、浴室側の前縁以外の三方を囲まれたくぼみとして形成されているため、湯の横漏れを抑えて、各吐水部21〜23からの湯を無駄なく効率的に利用できる。
【0097】
貯留部16に溜まった湯の一部は、浴室側の前縁から着座者の下肢裏に向けて流出し、下肢裏を温める。ただし、これは、貯留部16から自然に溢れる湯を使うため、各吐水部21〜23からの吐水量や貯留部16に溜められる湯量によっては、貯留部16前縁から湯が勢いよく流出せず、下肢裏にあたらないことがあり得る。
【0098】
しかし、本実施形態では、貯留部16に貯留される湯の水位と、下肢裏吐水部33との間の水頭差によって、貯留部16に溜められた湯が、開口部31および下肢裏給水路32を介して下肢裏吐水部33から吐水される。これは、貯留部16から自然と湯が溢れる現象を利用するのではなく、前述した水頭差を利用して積極的に、下肢の裏側に向き合う部分に設けられた下肢裏吐水部33からシャワー流を噴出させて、着座者の下肢裏に確実に浴びせることができる。
【0099】
この結果、座部14に着座した状態において、座部14よりも上方からの吐水では座部14に遮られてシャワー流が届かない下肢裏(ふくらはぎの裏、アキレス腱、かかとなど)を温めることができ、下肢の血行促進、リンパ液の滞り改善、むくみ改善等を図ることができる。
【0100】
一般に、座面18に臀部を接触させて着座すると、膝裏は座面18(の前縁)近傍の高さに位置する。したがって、下肢裏吐水部33を、座面18(の前縁)近傍の高さに設けることで、下肢裏吐水部33からの吐水流がふくらはぎに当たりやすくなり、ふくらはぎを確実に温めることができる。また、ふくらはぎに吐水流が当たれば、自然とそのふくらはぎよりも下方にあるかかとや足先にも湯が流れ、それらに直接吐水流が当たらなくてもそれらを間接的に温めることができる。上方からシャワー流を落下させて体の前側に浴びせる吐水部21〜23からの吐水流の吐水角度(鉛直線を基準とした角度)よりも、下肢裏吐水部33からの吐水流の吐水角度(鉛直線を基準とした角度)が大きくなるよう設計することが望ましい。
【0101】
下肢裏吐水部33は、座部14に着座した着座者の下肢との干渉(下肢裏によって吐水口33aが塞がれることなど)を防ぐ観点から、座部14の前縁15よりも後方(浴室壁部側)に設けるのが望ましい。
【0102】
また、図25に表すように、下肢裏吐水部33は、高さ方向に対して略直角に交差する横方向に離間して2つ設けられている。これら2つの下肢裏吐水部33間の距離は、一般に、人が座部14に着座したときの両脚の間隔に対応した距離に設計されているため、着座者の両脚に対して同時に湯を浴びせることができる。
【0103】
また、各々の下肢裏吐水部33は、複数の吐水口33aを有し、各々の下肢裏吐水部33からは、広がりを持ったシャワー流が吐水される。これにより、着座姿勢の多様性に対応可能となる。例えば、一般に、男性は座ったとき、図27に表すように両脚が膝のところで外側に開くがに股になることが多く、女性は座ったとき、図28に表すようにふくらはぎ部分を「ハ」の字状に開く内股になることが多いが、横方向に複数設けられた下肢裏吐水部33から広がりのあるシャワー流を吐水することで、着座者は無理な姿勢を強いられずに自然な着座姿勢で、下肢裏にお湯を受けることができる。
【0104】
なお、下肢裏吐水部は円形ヘッド状のものに限らず、図29に表すように、横方向に沿って並んで設けられた複数の吐水口47aを有する横長の下肢裏吐水部47を用いてもよい。
【0105】
以上説明したように本実施形態によれば、貯留部16に溜まった湯に浸かりつつ着座した状態で、各吐水部21〜23、33からのシャワー流を、首より上の部分を除く体全体に受けることで、お湯に浸かる感覚(入浴感)を得ることができ、シャワー浴でありながら高い温熱効果を得られる。しかも、浴槽に浸かる場合に比べて水圧が体にかからず体への負担が少ない。さらに、浴槽に比べて立ち座りの落差が小さいのでさらに血圧変動が少なく安全である。また、浴槽の中に出入りする動作が必要なく、着座した状態で使用できるので、高齢者や身体動作に障害を有する使用者でも高い温熱効果を楽に得ることができる。また、体の部分ごとにシャワーをかけるのではなく、全身にシャワーを同時にかけられるため、短時間で節水しながらシャワーを浴びて体を温めることができる。
【0106】
前述した「シャワー流」とは、吐水部21〜23、33から吐水された瞬間が線状となって吐水されるものも、流滴状となって吐水されるもの(ミスト流)も含む。各吐水部21〜23、33から噴霧ではなく連続的な水流からなるシャワー流を吐水すれば、ミスト(噴霧)を噴出させる場合のように周辺の空間が高温高湿雰囲気にならず、逆上せを防げる。またその場合のシャワー流は、ミストに比べて気化熱による吐水の温度低下が小さいので、シャワー流の設定温度を必要以上に高く設定する必要がなく、経済的である。
【0107】
また、下肢裏を温めるのに使うお湯は、下肢裏以外を温めるための吐水部21〜23から吐水され、座部14の貯留部16に溜まった湯を再利用しているので経済的である。
【0108】
また、貯留部16の底面は、浴室側の前方から背部11側の後方に向かって下り勾配がつけられ、開口部31は、その貯留部16底面における背部11側の部分に設けられたため、開口部31、下肢裏給水路32および下肢裏吐水部33を介して、使用後、貯留部16に残ったお湯を排水することが可能である。これにより、使用後、貯留部16に湯水が残らず、清掃性がよく、また水垢が付きにくい。
【0109】
開口部31が設けられる貯留部16の底面は、座面18としても機能する。したがって、開口部31が着座者の臀部や大腿部の裏側で塞がれないように、座面18と背部11との境界近傍に開口部31を設けるのが望ましい。また、この場合、前述した座面18の勾配を利用して、貯留部16に残った湯水を開口部31に導くことができ、水抜きもしやすい。
【0110】
また、図29に表すように、座面18における背部11との境界近傍に、横方向に延在する溝38を設けて、その溝38内に開口部31を形成すれば、開口部31の上に着座者の臀部が位置しても、溝38を介して、貯留部16に溜められた湯を開口部31に導くことができる。この場合、開口部31及び溝38は、必ずしも背部11側に設けなくてもよい。
【0111】
[第9の実施形態]
本実施形態に係るシャワー装置では、下肢裏吐水部33の吐水方向を調整可能としている。吐水方向を適切に設定することで、使用者の好みに応じた下肢裏温めを行うことができる。
【0112】
例えば、図30に表すように、下肢裏吐水部33の吐水口が形成された吐水面を斜め上方に向けることで、下肢裏吐水部33から吐水されるシャワー流が着座者の膝裏近傍にあたりやすくなり、膝裏を確実に温めることができる。膝裏は、脂肪や筋肉が少ないので、膝裏に直接湯の吐水流がかかれば血行を促進しやすく、大きな温熱効果が得られる。
【0113】
また、例えば図31に表すように、下肢裏吐水部33の吐水面を斜め下方に向ければ、ふくらはぎからそれより下の足部を重点的に温めることができる。
【0114】
また、下肢裏吐水部33からのシャワー流を直接受けたくない場合には、下肢裏吐水部33の吐水方向を浴室床面110に向け、浴室床面110に着水した湯が足先に流れること、さらには浴室床面110上から立ち上る湯気によって、足裏、ふくらはぎ、膝裏などを間接的に温めることができる。また、この場合、足先近傍に集中して湯が流れるので、足裏も温めることができる。
【0115】
下肢裏吐水部33の吐水方向は、上下方向だけでなく横方向にも調整可能である。例えば、図32に表すがに股座りの人と、図33に表す内股座りの人で、吐水方向の横方向の開き具合を調整することで、効率よく吐水流を着座者の下肢裏に浴びせることができる。
【0116】
[第10の実施形態]
本実施形態に係るシャワー装置では、下肢裏吐水部33の位置を調整可能としている。下肢裏吐水部33の前後方向の位置や、横方向の位置を調整することで、使用者の体格、座り方、脚の置き方などの違いに柔軟に対応でき、確実に着座者の下肢裏に吐水流を浴びせることが可能となる。
【0117】
例えば、着座者が体を後方に倒すようにして腰掛けた場合、浅く腰掛けた場合、脚を前方に投げ出して着座した場合などには、下肢裏が座部14(台部12)から前方に離れて位置することが想定されるが、この場合、図34に表すように、下肢裏吐水部33を座部14(台部12)前縁よりも前方に突出させて下肢裏との距離を縮めて、下肢裏に確実に吐水流があたるようにできる。
【0118】
また、下肢裏吐水部33の前後方向の位置を変えることで、吐水されたシャワー流が着座者の下肢裏に到達するまでの飛距離を変えることができ、これにより、吐水流が下肢裏にあたるときの温度を好みに応じて変えることができる。
【0119】
図35は、例えば前後方向の位置調整が可能に設けられた下肢裏吐水部43を表す模式図である。
【0120】
下肢裏吐水部43における浴室側に臨む横長の吐水面には、横方向に沿って並んだ複数の吐水口44が形成されている。下肢裏吐水部43は、吐水口44を浴室側の空間に臨ませた状態で座部14の下方に収容可能であり(図35(a))、且つその収容状態から図35(b)に表すように前方に引き出し可能に設けられている。下肢裏吐水部43の引き出し位置を調整することで、下肢裏吐水部43の前後方向の位置を調整できる。
【0121】
[第11の実施形態]
下肢裏吐水部33からの吐水流の流量を調節することで、下肢裏にあたる吐水流による刺激感、吐水方向などを調整することができる。
【0122】
例えば、図36に表す具体例では、開口部31から下肢裏吐水部33へと続く下肢裏給水路32の途中に、流量調整手段(例えばバルブ)41を設けて、下肢裏吐水部33からの吐水流量を調整可能としている。
【0123】
また、流量調整手段41の開度調整によって、貯留部16に溜められる湯の貯留量を調整することもできる。例えば、夏は貯留部16に湯を溜めないもしくは貯留量を少なくし、冬は貯留部16に湯を溜めるもしくは貯留量を多くするなど好みに対応できる。
【0124】
[第12の実施形態]
図37は、本発明の第12の実施形態に係るシャワー装置を側面方向から見た模式図である。
図38は、同シャワー装置を正面方向から見た模式図である。
【0125】
本実施形態に係るシャワー装置は、座部14より上方に設けられ着座者の体の前側に湯のシャワー流を浴びせる吐水部が前述した実施形態と異なる。
【0126】
すなわち、本実施形態では、背部11の上部に前方にせり出したアーム81を設け、そのアーム81に複数の吐水部を設けている。それら複数の吐水部からは、座部に着座した着座者の肩、腕、胸部、下肢に向けてシャワー流が吐水される。
【0127】
本実施形態においても、貯留部16に溜まった湯に浸かりつつ着座した状態で、アーム81に設けた吐水部及び下肢裏吐水部33からのシャワー流を、首より上の部分を除く体全体に受けることで、お湯に浸かる感覚(入浴感)を得ることができ、シャワー浴でありながら高い温熱効果を得られる。
【0128】
[第13の実施形態]
図39は、本発明の第13の実施形態に係るシャワー装置を側面方向から見た模式図である。
【0129】
本実施形態では、下肢裏温め手段として、座部14(台部12)の前縁15に、前方に突出した案内部91を設けている。案内部91は、座部14の前縁15から斜め前方下方に傾斜した傾斜面91aを有する。
【0130】
座部14の貯留部16から溢れた湯は、前縁15から案内部91の傾斜面91aに案内されて、着座者の下肢裏に向けて吐水される。これにより、本実施形態においても、座部14より上方に設けた吐水部20ではカバーしきれない下肢裏に対して湯を確実に浴びせて下肢裏を温めることができる。
【0131】
[第14の実施形態]
図40(a)及び(b)は、本発明の第14の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
本実施形態のシャワー浴装置は、着座者200の頭部またはそれよりも上方において設けられた一対の第1の吐水部21と、その下に設けられた第2の吐水部22と、を有する。第1の吐水部21の吐水方向は、略水平方向または斜め下方に設定され、吐水されたシャワー流の少なくとも一部は、図40(b)に表したように、座部4に着座した着座者200の大腿部を中心とした下肢近傍に落下する。
【0132】
一方、第2の吐水部22は、座部4に着座した着座者200の首から両肩の背後に2次元的に設けられた複数のシャワー孔を有する。これらシャワー孔からの吐水方向も、略水平方向または斜め下方に設定されている。第2の吐水部22から吐水されるシャワー流は、図40(b)に表したように、着座者200の首、肩、肩峰部(肩頂部)を含む範囲をカバーする。第2の吐水部22は、着座者200の真後ろにも設けられているので、着座者200の首や背中の真後ろにもむらなくシャワー流をあてることができる。このようにして、着座者200の首から下のほぼ全身をむらなく温めることができる。
【0133】
そして、本実施形態においても、座部4の周囲には湯水を溜めるための堰部が形成されている。そして、これら堰部のうちで、前方の堰部は、他の3方の堰部よりも低く形成されている。このようにすると、座部4に溜まった湯水は、横方向に漏れ出ることなく、着座者200の足に向けて落下する。その結果、着座者200の足をより効果的に暖めることができる。
【0134】
なお、第1の吐水部21と第2の吐水部22は、一体的に形成してもよい。すなわち、共通の基体(図示せず)に第1の吐水部21と第2の吐水部22を形成してもよい。この場合、この基体の角度や位置を変えることで、第1の吐水部21と第2の吐水部22の吐水方向や吐水位置を同時に調節することが可能となる。
【0135】
または、図40(a)及び(b)に表したように、第1の吐水部21と第2の吐水部22とを別体として形成してもよい。すなわち、第1の吐水部21と第2の吐水部22を別々の基体にそれぞれ形成してもよい。この場合には、第1の吐水部21の吐水方向や吐水位置と、第2の吐水部22の吐水方向や吐水位置と、を独立に調節可能とすることができる。
【0136】
[第15の実施形態]
図41(a)及び(b)は、本発明の第15の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
本実施形態のシャワー浴装置も、第14の実施形態のシャワー装置と同様に、座部4に着座した着座者200の頭部またはそれよりも上方において設けられた一対の第1の吐水部21と、その下に設けられた第2の吐水部22と、を有する。第1の吐水部21の吐水方向は、略水平方向または斜め下方に設定され、吐水されたシャワー流の少なくとも一部は、図41(b)に表したように、着座者200の大腿部を中心とした下肢近傍に落下する。
【0137】
一方、第2の吐水部22は、座部4に着座した着座者200の首から両肩の背後に横方向に一列に並んだ複数のシャワー孔を有する。これらシャワー孔からの吐水方向も、略水平方向または斜め下方に設定されている。第2の吐水部22から吐水される一列のシャワー流は、図41(b)に表したように、座部4に着座した着座者200の首、肩、肩峰部(肩頂部)を含む範囲をカバーする。また、肩峰から胸に向かってもシャワー流をあてることができる。本実施形態においても、第2の吐水部22は、着座者200の真後ろにも設けられているので、着座者200の首や背中の真後ろにもむらなくシャワー流をあてることができる。このようにして、着座者200の首から下のほぼ全身をむらなく温めることができる。
【0138】
そして、本実施形態においても、座部4の周囲には湯水を溜めるための堰部が形成されている。そして、これら堰部のうちで、前方の堰部は、他の3方の堰部よりも低く形成されている。このようにすると、座部4に溜まった湯水は、横方向に漏れ出ることなく、着座者200の足に向けて落下する。その結果、着座者200の足をより効果的に暖めることができる。
【0139】
また、本実施形態においても、第1の吐水部21と第2の吐水部22を一体的に形成して同時に吐水方向や吐水位置を調節可能としてもよく、または、図41(a)及び(b)に表したように、第1の吐水部21と第2の吐水部22とを別体として、これらの吐水方向や吐水位置を独立に調節可能とすることもできる。
【0140】
[第16の実施形態]
図42(a)及び(b)は、本発明の第16の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
本実施形態のシャワー浴装置は、座部4に着座した着座者200の頭部またはそれよりも上方において設けられた一対の第1の吐水部21と、その下方に設けられた一対の第2の吐水部22と、これら第2の吐水部22の間に設けられた第3の吐水部23と、を有する。これら吐水部21、22、23は、2次元的に設けられた複数のシャワー孔をそれぞれ有する。
【0141】
第1の吐水部21の吐水方向は、略水平方向または斜め下方に設定され、吐水されたシャワー流の少なくとも一部は、図42(b)に表したように、着座者200の大腿部を中心とした下肢近傍に落下する。第2の吐水部22から吐水されるシャワー流は、着座者200の首から肩の範囲をカバーする。第2の吐水部22は、着座者200の真後ろにも設けられているので、着座者200の首や背中の真後ろにもむらなくシャワー流をあてることができる。そして、第3の吐水部23からのシャワー流は、着座者200の両側から着座者200を包み込むように吐水され、着座者200の肩峰部(肩頂部)から上肢の前後を含む範囲をカバーする。また、肩峰から胸に向かってもシャワー流をあてることができる。このようにして、着座者200の首から下のほぼ全身をむらなく温めることができる。
【0142】
そして、本実施形態においても、座部4の周囲には湯水を溜めるための堰部が形成されている。そして、これら堰部のうちで、前方の堰部は、他の3方の堰部よりも低く形成されている。このようにすると、座部4に溜まった湯水は、横方向に漏れ出ることなく、着座者200の足に向けて落下する。その結果、着座者200の足をより効果的に暖めることができる。
【0143】
また、本実施形態においても、第1の吐水部21と第2の吐水部22を一体的に形成して同時に吐水方向や吐水位置を調節可能としてもよく、第1の吐水部21と第2の吐水部22とを別体として、これらの吐水方向を独立に調節可能とすることもできる。
【0144】
本実施形態においても、図42(a)及び(b)に表したように、第1〜第3の吐水部21、22、23を共通の基体150に形成し、基体150の向きを変えることにより、これら吐水部の吐水方向や吐水位置を同時に調節可能とすることができる。
【0145】
[第17の実施形態]
図43は、本発明の第17の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
また、図44は、このシャワー浴装置の座部4の模式図である。
【0146】
本実施形態のシャワー浴装置は、シャワーブース300に設けられている。すなわち、シャワーブース300の壁面には、前述した各実施の形態のいずれかの吐水部21、22、23が設けられている。そして、これら吐水部21、22、23の下方には、座部4が設けられている。図44(a)は、座部4の使用状態を表し、図44(b)は、座部4を収納した状態を表す。このように座部4を収納可能とすれば、シャワーブースで立位の状態でシャワーを浴びる際に座部4が邪魔になることもない。
【0147】
そして、本実施形態においても、座部4の周囲には湯水を溜めるための堰部が形成されている。そして、これら堰部のうちで、前方の堰部は、他の3方の堰部よりも低く形成されている。このようにすると、座部4に溜まった湯水は、横方向に漏れ出ることなく、着座者200の足に向けて落下する。その結果、着座者200の足をより効果的に暖めることができる。
【0148】
[第18の実施形態]
図45〜図48は、本発明の第18の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。 本実施形態のシャワー浴装置は、背面部2と、台部3と、を有する椅子の形態を有する。背面部2には背もたれ部5が設けられ、台部3には座部4が設けられている。背面部2の上部には、背もたれ部5の両側から斜め前方に延出した一対の翼部2Wが設けられている。
【0149】
これら翼部2Wには、図46に表したように、第1の吐水部21、第2の吐水部22、第3の吐水部23が設けられている。これら吐水部21、22、23のそれぞれからは、一条または複数状のシャワー状の吐水が可能とされている。一方、座部4は、その前縁から背もたれ部5に向かって下方に傾斜した傾斜面を有する。このように形成された座部4は、その両側端に設けられた壁部6及び背もたれ部5と協働して、湯水を貯留可能としている。
【0150】
そして、本実施形態においても、座部4の周囲には湯水を溜めるための堰部が形成されている。そして、これら堰部のうちで、前方の堰部は、他の3方の堰部よりも低く形成されている。このようにすると、座部4に溜まった湯水は、横方向に漏れ出ることなく、着座者200の足に向けて落下する。その結果、着座者の足をより効果的に暖めることができる。
【0151】
また、座部4の鉛直最下部には、開口部31が設けられている。一方、台部3の前面には、一対の下肢裏吐水部33が設けられている。これら下肢裏吐水部33は、開口部31と連通している。つまり、吐水部21、22、23から吐水され座部4に落下した湯水は、開口部31から下肢裏吐水部33に導かれ、図48に矢印Dで表したように、座部4に座った着座者の下肢の裏側に向けて吐水される。このようにして、着座者の下肢の裏側までまんべんなくシャワー流をあてて暖めたりマッサージ効果を与えることができる。なお、座部4に落下した湯水を下肢裏吐水部33から吐水させるのではなく、給湯源から供給される湯水を下肢裏吐水部33に導いて吐水させてもよい。
【0152】
第1の吐水部21からは吐水された湯水は、図48に矢印Aで表したように、座部4に座った着座者の大腿部を中心とした下肢近傍に落下する。また、第2の吐水部22から吐水された湯水は、図48に矢印Bで表したように、座部4に座った着座者の首から肩の範囲にあたる。また、第3の吐水部23から吐水された湯水は、図48に矢印Cで表したように、座部4に座った着座者を両側からを包み込むように肩峰部(肩頂部)から上肢の前後を含む範囲をカバーする。また、肩峰から胸に向かってもシャワー流をあてることができる。また、吐水された湯水の一部は、座部4に貯留される。つまり、座部4に着座した着座者の臀部や大腿部の下側は、座部4に貯留された湯水により暖められる。このようにして、着座者200の首から下のほぼ全身をむらなく温めることができる。
【0153】
本実施形態のシャワー浴装置は、独立した椅子の形態を有するので、シャワーブースや浴室などを工事することなく、手軽に設置することができる。そして、ソファのようにリラックスした着座姿勢で、心地よい全身シャワー浴の恩恵に浴することができる。また、このシャワー浴装置の座部4や背もたれ部5の裏側に振動発生装置を設けると、着座者に振動のマッサージ効果を与えることも可能である。このようにすれば、シャワー浴によるリラックス効果やマッサージ効果と、振動によるマッサージ効果と、を重畳させてさらに高い効果が得られる。
【0154】
[実施例]
次に、本発明者が実施した実施例について説明する。
本発明者は、第1実施形態のシャワー浴装置によるシャワー浴と、湯を溜めた浴槽による入浴と、従来のハンドシャワーによるシャワー浴と、特許文献1に開示されているシャワー浴装置によるシャワー浴と、による暖まり効果をそれぞれ測定する実験を実施した。
【0155】
ここで、第1実施形態のシャワー浴装置においては、吐水部21、22、23に供給する湯水の温度を43℃とし、これら吐水部から吐水される湯水の合計量を毎分10リッターとした場合(ケースA)について実験した。また、湯を溜めた浴槽による入浴(ケースC)は、浴槽に40℃の湯を230リッター溜めて入浴を実施した。また、一方、従来のハンドシャワーの場合(ケースD)も、シャワーヘッドに供給する湯水の温度を43℃とし、流量は毎分8リッターとした。一方、特許文献1に開示されたシャワー浴装置(ケースE)においては、毎分10リッターの湯をミスト状に噴出させてシャワー浴を実施した。そして、これらいずれのケースにおいても、入浴の直前と、5分間入浴した後に、被験者の体表面の温度の変化を放射温度計により測定した。
【0156】
図49は、被験者の全身の体表面の温度の変化を表すグラフ図である。ここで、縦軸は、入浴直前の温度からの上昇分を表す。ここでは、首よりも下の全身の体表面の温度の平均を全身の温度とした。
入浴直前と比較すると、5分間の入浴直後の温度上昇は、浴槽(C)で3.5℃、本実施形態のシャワー浴装置で(A)で3.2℃、特許文献1のシャワー浴装置(E)で2.2℃、従来のシャワー(D)で1.8℃であった。つまり、浴槽(C)に入浴した場合が最も高く、本実施形態(A)においてはそれに近い温度が得られていることがわかる。一方、これらに比べて、特許文献1に開示されているシャワー浴装置(E)と従来のオーバーヘッドシャワーの場合(D)の場合には、温度上昇は小さいことが分かる。
【0157】
また、出浴後5分が経過した時には、それぞれ、2.9℃(C)、2.5℃(A)、2.2℃(E)、1.7℃(D)であった。そして、出浴後10分が経過した時には、それぞれ、2.4℃(C)、2.2℃(A)、2.0℃(E)、1.5℃(D)であった。つまり、出浴後10分が経過すると、本実施形態のシャワー浴装置によるシャワー浴が浴槽への入浴と同じ温度になる。これは、本実施形態のシャワー浴装置の場合には、湯水による温熱効果だけではなく、リラックスした姿勢で全身にシャワーをまんべんなく浴びることによるマッサージ効果や血行促進効果が得られるからであると考えられる。
【0158】
図50は、被験者の肩の体表面の温度の変化を表すグラフ図である。ここでも、縦軸は、入浴直前の温度からの上昇分を表す。
入浴直前と比較すると、5分間の入浴直後の肩の温度上昇は、本実施形態のシャワー浴装置で(A)で2.9℃であり、特許文献1のシャワー浴装置(E)で1.6℃、浴槽(C)で1.1℃、従来のシャワー(D)で0.8℃であった。つまり、本実施形態のシャワー浴装置による場合が飛び抜けて高く、特許文献1に開示されているシャワー浴装置(E)、浴槽(C)、従来のハンドシャワー(D)は、いずれも相対的に低いことが分かる。これは、本実施形態のシャワー浴装置の場合、第2の吐水部22及び第3の吐水部23(図1参照)からのシャワー流が着座者の肩にまんべんなくかかり、十分に温めることができるからであると考えられる。これに対して、例えば、特許文献1に開示されたシャワー浴装置の場合(E)、アームから噴射されるミストでは着座者の肩まで十分に暖めることができないと考えられる。一方、浴槽(A)の場合、肩が湯の中に完全に沈んだ状態を長時間維持することは入浴者に苦しく、肩を湯から出した姿勢で入浴せざるを得ない。このため、身体は暖まっても肩は温まりにくい。また、従来のハンドシャワーの場合(D)は、シャワーヘッドからのシャワー流は必ずしも入浴者の身体にあたるとは限らず、入浴者の全身をむらなく効率的に暖めることは容易ではない。
【0159】
出浴後5分が経過した時には、それぞれ、2.3℃(A)、1.8℃(E)、1.4℃(D)、1.1℃(C)であった。そして、出浴後10分が経過した時には、それぞれ、1.9℃(A)、1.8℃(E)、1.5℃(D)、1.0℃(C)であった。つまり、出浴後10分が経過しても、本実施形態のシャワー浴装置(A)の場合が最も高い温度が得られている。なお、従来のハンドシャワー(D)と特許文献1に開示されているシャワー浴装置(E)の場合、出浴直後からみて5分後と10分後に温度が徐々に上昇している。これは、これらの方法の場合には、身体の他の部分と比べて肩の温まりが特に低く、出浴後に血流によって身体の他の部分からの熱が肩に伝えられたからであると考えられる。
【0160】
図51は、被験者の下肢の体表面の温度の変化を表すグラフ図である。ここでも、縦軸は、入浴直前の温度からの上昇分を表す。
入浴直前と比較すると、5分間の入浴直後の下肢の温度上昇は、浴槽(C)の場合で3.5℃と一番高かったが、本実施形態のシャワー浴装置(A)では、3.2℃であり、浴槽(C)とほぼ同等の温度上昇が得られた。つまり、本実施形態によれば、第1の吐水部21(図1参照)から着座者の下肢に直接落下する吐水や、第2の吐水部22及び第3の吐水部23から吐水され着座者の身体にあたって座部4の前縁から流れ落ちる湯水などよって、着座者の下肢まで十分に暖めることができることが分かる。
【0161】
これに対して、従来のハンドシャワー(D)と特許文献1のシャワー浴装置(E)の場合、入浴直後の温度はそれぞれ2.3℃、2.1℃と低い。従来のハンドシャワーの場合(C)、入浴者の下肢までまんべんなく湯水をかけることが容易ではない。また、特許文献1に開示されたシャワー浴装置の場合、アームから噴出したミストにより着座者の下肢の全体を包み込むことは容易でなく、また、アームから噴出したミストは温度の低下が急速であるために、着座者の下肢の全体をまんべんなく暖めることが困難であると考えられる。
【0162】
以上説明したように、本実施例によれば、全身、肩、下肢のいずれについても、本実施形態のシャワー浴装置により高い暖まり効果が得られることが分かった。例えば、全身と下肢については、本実施形態のシャワー浴装置は、浴槽による入浴と同等の暖まり効果が得られる。ここで、浴槽の場合には、例えば230リッター程度の湯水を必要とするが、本実施形態によれば、5分間の入浴で50リッター(ケースA)と非常に少ない湯水で済む。つまり、高い節水効果も得られる。また仮に4人が続けて入浴したとしても、浴槽(ケース)よりも少ない湯水で同等の暖まり効果が得られる。
【0163】
また、肩についてみると、浴槽よりも高い暖まり効果が得られる。またさらに、本実施形態によれば、着座者の身体に吐水を落下させることによるマッサージ効果も得られる。これにより、例えば肩の「こり」や痛みなどを緩和する効果も得られる。
【0164】
以上、本発明の第1〜第18の実施の形態と、実施例について説明した。
前述した各実施形態において、各吐水部の座部4からの高さは、例えば、400〜1400(mm)であり、より確実に前述の効果を得るべく好ましくは500〜1000(mm)であり、さらに好ましくは650〜900(mm)である。
また、座部4の床面からの高さは、例えば、250〜800(mm)であり、より確実に前述の効果を得るべく好ましくは300〜500(mm)であり、さらに好ましくは350〜450(mm)である。
また、シャワーブース内での使用を想定した場合には、床面から座部4までの高さは、250〜800(mm)程度の腰を掛けられる高さの範囲であればよい。
【0165】
また、座部4の中心を挟んで対をなす最外側の第3の吐水部間の距離(幅)は、例えば、340〜1200(mm)であり、より確実に前述の効果を得るべく好ましくは500〜800(mm)であり、さらに好ましくは550〜650(mm)である。
【0166】
また、前述した各具体例において、吐水部21、22、23のうちで、着座者の下肢近傍に落下するシャワー流の湯水の平均粒径は、その他の吐水部から吐水された湯水の平均粒径よりも大きいものとすることができる。具体的には、例えば、図1に関して前述したシャワー浴装置の第1の吐水部21から吐水された湯水の平均粒径は1400〜3000マイクロメータの範囲とし、第2の吐水部22と第3の吐水部23から吐水された湯水の平均粒径は500〜1400マイクロメータの範囲とすることができる。このようにすれば、第1の吐水部21から吐水され、着座者の下肢部に落下するシャワー流の吐水後の温度の低下を抑制し、暖かい湯水を着座者の下肢部にあてることができる。また、同時に第1の吐水部21から吐水され、着座者の下肢部に落下するシャワー流による刺激を適度に与え、マッサージ効果を得ることができる。なお、湯水の粒径は、吐水孔のサイズや形状を調節することにより制御できる。
【0167】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこ前述した各具体例に限定されるものではない。
例えば、前述した各実施形態は、技術的に可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、これらも本発明の範囲に包含される。また、給湯圧力やその変動によらずに常に吐水を安定して下肢などに到達させるために、吐水流量または吐水圧力を調整可能とした流量調整手段または圧力調整手段を設けてもよい。
また、各具体例における各要素の構造、形状、機能、配置関係、材料などについて当業者が適宜変更あるいは追加したものであっても、本発明の要旨を含む限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシャワー浴装置の外観を模式的に例示する斜視図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】図1におけるB−B断面図である。
【図4】図1におけるC−C断面図である。
【図5】吐水部の他の具体例を表す模式側面図である。
【図6】着座者に対する各吐水部からのシャワー流の吐水の様子を模式的に表す斜視図である。
【図7】座部の他の具体例を表す模式断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るシャワー浴装置における背もたれ部の模式正面図である。
【図9】図8におけるD−D断面図である。
【図10】背もたれ部に凹凸を設けない場合の背もたれ部の模式断面図である。
【図11】背もたれ部に設けた凹凸の他の具体例を表す模式平面図である。
【図12】背もたれ部に設けた凹凸のさらに他の具体例を表す模式平面図である。
【図13】背もたれ部に設けた凹凸のさらに他の具体例を表す模式平面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るシャワー浴装置の外観を模式的に例示する斜視図である。
【図15】同第3の実施形態において、着座者に対する各吐水部からのシャワー流の吐水の様子を模式的に表す斜視図である。
【図16】本発明の第4の実施形態に係るシャワー浴装置の外観を模式的に例示する斜視図であり、足浴槽が浴室床面上に設置されている状態を表す。
【図17】本発明の第4の実施形態に係るシャワー浴装置の外観を模式的に例示する斜視図であり、足浴槽が台部の中に収納された状態を表す。
【図18】足浴槽の収納構造の他の具体例を表す斜視図であり、足浴槽が浴室床面上に設置されている状態を表す。
【図19】図18に表される足浴槽の回動途中の状態を表す斜視図である。
【図20】本発明の第5の実施形態に係るシャワー浴装置の模式側断面図である。
【図21】本発明の第6の実施形態に係るシャワー浴装置の模式側断面図である。
【図22】座部の他の具体例を表す模式斜視図である。
【図23】本発明の第7の実施形態に係るシャワー浴装置の模式側断面図である。
【図24】本発明の第8の実施形態に係るシャワー装置を側面方向から見た模式図である。
【図25】同シャワー装置を正面方向から見た模式図である。
【図26】同シャワー装置における要部を模式的に表す斜視図である。
【図27】着座者のがにまた姿勢を表す模式図である。
【図28】着座者の内股姿勢を表す模式図である。
【図29】本発明の実施形態において下肢裏吐水部の他の具体例を表す模式図である。
【図30】本発明の第9の実施形態に係るシャワー装置において下肢裏吐水部が斜め上方に向けられた状態を表す模式図である。
【図31】同第9の実施形態に係るシャワー装置において下肢裏吐水部が斜め下方に向けられた状態を表す模式図である。
【図32】同第9の実施形態に係るシャワー装置において、がにまた座りの着座者に対応した下肢裏吐水部からの吐水方向を表す模式図である。
【図33】同第9の実施形態に係るシャワー装置において、内股座りの着座者に対応した下肢裏吐水部からの吐水方向を表す模式図である。
【図34】本発明の第10の実施形態に係るシャワー装置において、下肢裏吐水部が座部前縁よりも前方に突出した状態を表す模式図である。
【図35】本発明の第10の実施形態に係るシャワー装置において、前後方向の位置を調整可能な下肢裏吐水部を表す模式図である。
【図36】下肢裏給水路に流量調整手段が設けられた本発明の第11の実施形態に係るシャワー装置の模式図である。
【図37】本発明の第12の実施形態に係るシャワー装置を側面方向から見た模式図である。
【図38】同シャワー装置を正面方向から見た模式図である。
【図39】本発明の第13の実施形態に係るシャワー装置を側面方向から見た模式図である。
【図40】本発明の第14の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
【図41】本発明の第15の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
【図42】本発明の第16の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
【図43】本発明の第17の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
【図44】図40に表したシャワー浴装置の座部4の模式図である。
【図45】本発明の第18の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
【図46】本発明の第18の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
【図47】本発明の第18の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
【図48】本発明の第18の実施形態に係るシャワー浴装置の模式図である。
【図49】被験者の全身の体表面の温度の変化を表すグラフ図である。
【図50】被験者の肩の体表面の温度の変化を表すグラフ図である。
【図51】被験者の下肢の体表面の温度の変化を表すグラフ図である。
【符号の説明】
【0169】
2 背面部
2W 翼部
3 台部
4 座部
4A 凹部
6 壁部
7 壁部
8 壁部
11 背部
12 台部
13 流路
14 ユニット体
14 座部
15 前縁
16 貯留部
17 凸部
17a 凸部
17b 凸部
17c 凸部
18 座面
19 傾斜部
20 吐水部
21 吐水部
22 吐水部
23 吐水部
25 頭部支持部
27 前面部
28 凹部
29 足浴槽
30 開口
31 開口部
32 下肢裏給水路
33 下肢裏吐水部
33a 吐水口
34 軸部材
35 案内部
36 座部
37a 壁部
37b 壁部
37c 壁部
38 溝
41 流量調整手段
43 下肢裏吐水部
44 吐水口
47 下肢裏吐水部
47a 吐水口
51 吐水部
52 吐水部
76 アーム
77 吐水部
81 アーム
91 案内部
91a 傾斜面
100 壁面
100 浴室壁面
110 床面
110 浴室床面
150 基体
200 着座者
300 シャワーブース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状の座部と、
前記座部の後方の上方に設けられ、前記座部の前方方向に吐水する吐水部と、
を備え、
前記座部に着座者が着座しない状態において、前記吐水の少なくとも一部が前記座部に直接あたるように、前記吐水部からの吐水の方向と、前記吐水部と前記座部との位置関係と、が調整されたことを特徴とするシャワー浴装置。
【請求項2】
前記座部に着座者が着座した状態において、前記吐水部からの吐水の少なくとも一部は、前記座部に着座した着座者の体表面を流れて前記凹状の座部に溜まることを特徴とする請求項1記載のシャワー浴装置。
【請求項3】
前記座部は、湯水が溜まる部分の周囲に設けられた堰部を有し、
前記堰部の高さは、前記座部の前方方向において最も低いことを特徴とする請求項1または2に記載のシャワー浴装置。
【請求項4】
前記座部は、後方から前方に向かって鉛直上方方向に傾斜する傾斜部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のシャワー浴装置。
【請求項5】
前記座部の後方に背もたれ部が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のシャワー浴装置。
【請求項6】
前記背もたれ部は、凹状に形成され、
前記吐水部から吐水された湯水の少なくとも一部は、前記背もたれ部を流れて前記凹状の座部に導かれることを特徴とする請求項5記載のシャワー浴装置。
【請求項7】
前記背もたれ部は、凹凸を有し、前記凹凸の凹部により形成される流路を介して前記座部に湯水が導かれることを特徴とする請求項6記載のシャワー浴装置。
【請求項8】
前記座部は、凹凸を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のシャワー浴装置。
【請求項9】
前記座部の下方に、湯水が溜まる足浴槽を設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のシャワー浴装置。
【請求項10】
前記座部から溢れた湯水を前方に導く案内部を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載のシャワー浴装置。
【請求項11】
前記座部に貯留される湯水を排水する開口部が設けられたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のシャワー浴装置。
【請求項12】
前記座部に貯留された湯を吐水させ、前記座部に着座した着座者の下肢の裏側を温める下肢裏温め手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のシャワー浴装置。
【請求項13】
前記下肢裏温め手段は、
前記座部に貯留される湯水の水位レベルより下方において前記座部に臨んで設けられた開口部と、
前記開口部に連通する下肢裏吐水部と、
を有することを特徴とする請求項12記載のシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【公開番号】特開2008−178650(P2008−178650A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93726(P2007−93726)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【特許番号】特許第4126723号(P4126723)
【特許公報発行日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】