説明

シャワー装置

【課題】 シャワーの使用開始前に、除去した残水(冷水)を浴室内に排水する場合に、洗い場床面の中央付近が排水で濡れないように工夫して、入浴時等の不快感を解消できるようにしたシャワー装置を提供する。
【解決手段】 浴室1に設置したシャワー装置19の残水を排水する排水管21,22は、浴槽6のエプロン15近傍の浴室用側壁パネル20の裏面側に垂れ下がらせて、この浴室用側壁パネル20に形成したパネル開口20aから浴槽6とエプロン15との間に導入して、洗い場7側に向けて形成したエプロン15のエプロン排水口15aに連結する。これにより、シャワー装置19の残水(冷水)は、シャワーの開始時に、排水管21,22によって、エプロン排水口15aからエプロン15と洗い場7との境目付近に排水されて、エプロン15と洗い場7との境目付近の洗い場床面に設けられた床面排水口16に最短距離で流れ込むようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーの使用開始前に、残水(冷水)を除去する機能を備えたシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽を設置した浴室にシャワー(温水)を噴射するシャワー装置がある。
【0003】
このようなシャワー装置には、天井からシャワーを噴射する打たせ湯タイプと、側壁からシャワーを噴射するボディシャワータイプとがある。また、シャワーの噴射方法としては、間欠的なストレート状の噴射、連続的なストレート状の噴射、スプレー状の噴射、ミスト(霧)状の噴射等がある。
【0004】
前記シャワー装置には、前回の残水が冷水として残っているから、シャワーの使用開始時には、給湯器から温水が供給されてくるまでの間は、シャワーから浴室内に冷水のシャワーが噴射されることになり、冷水が身体にかかるので、不快感を感じることがある。
【0005】
そこで、シャワーの使用開始前に、残水(冷水)を除去する機能を備えたシャワー装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
ところで、除去した残水(冷水)をそのまま浴室外(屋外)に排水できれば問題は生じないが、浴室内に排水しなければならないことが多々ある。そして、浴室内に排水する場合には、浴槽パン近傍の浴室用側壁パネルに排水口を設けたり、洗い場近傍の浴室用側壁パネルに排水口を設けることになる。
【特許文献1】特開平5−23261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、浴槽パン近傍の浴室用側壁パネルに排水口を設けて、浴槽パン内に排水する場合には、浴槽パンは、極力水を浸入させずに乾燥状態を保って水垢やカビの発生を抑え、清掃性を保つためにドライエリアとしていることが多いので、何らかの防水処理や清掃性の向上を確保する必要がある。
【0008】
そこで、洗い場近傍の浴室用側壁パネルに排水口を設けて、洗い場に排水する場合には、前記した浴槽パン内に排水する場合のような問題は生じないが、排水口から洗い場の床面排水口まで距離があるタイプが多いから、洗い場床面の中央付近が排水で濡れるため、入浴時等に不快感が生じるという問題がある。
【0009】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、シャワーの使用開始前に、除去した残水(冷水)を浴室内に排水する場合に、洗い場床面の中央付近が排水で濡れないように工夫して、入浴時等の不快感を解消できるようにしたシャワー装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は、浴槽を設置した浴室の天井または側壁からシャワーを噴射するシャワー装置において、
浴室外に設置したシャワー装置の残水を排水する排水管は、前記浴槽のエプロン近傍の浴室用側壁パネルの裏面側に垂れ下がらせて、この浴室用側壁パネルに形成したパネル開口から浴槽とエプロンとの間に導入して、前記エプロンの洗い場側に向けて形成したエプロン排水口に連結したことを特徴とするシャワー装置を提供するものである。
【0011】
施工性を良好にするために、前記排水管は、第1排水管と第2排水管とに分割して、第1排水管は、前記シャワー装置に一端部を連結するとともに、前記浴室用側壁パネルの裏面側に沿わせて前記パネル開口付近まで垂れ下がらせ、第2排水管は、前記エプロン排水口に一端部を連結するとともに、前記パネル開口付近まで延長して、前記パネル開口付近で、第1排水管と第2排水管の他端部同士を連結した構成とすることができる。
【0012】
施工性をより良好にするために、前記パネル開口に、第1接続金具を貫通させて取付けるとともに、前記エプロン排水口に、外端部に排水口金具を有する第2接続金具を取付けて、第1排水管の他端部を第1接続金具の外端部に連結するとともに、第2接続金具の内端部に一端部を連結した第2排水管の他端部を第1接続金具の内端部に連結した構成とすることができる。
【0013】
清掃性を良好にするために、第2排水管は、フレキシブル管であり、第1排水管と脱着可能である構成とすることができる。
【0014】
美観性を良好にするために、前記エプロン排水口は、前記浴室内に設置された物置き用カウンターで覆われる位置に形成している構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、浴室に設置したシャワー装置の残水(冷水)は、シャワーの開始前に、排水管によって、エプロン排水口から洗い場に排水することができる。このとき、エプロン排水口からの排水は、エプロンの外面をほぼ真下に伝い落ちることから、このエプロンと洗い場との境目付近に排水されるようになる。通常、エプロンと洗い場との境目付近の洗い場床面に床面排水口が設けられているから、エプロン排水口からエプロンの外面をほぼ真下に伝い落ちた排水は、エプロンと洗い場との境目付近から最短距離で床面排水口に流れ込むので、エプロンと洗い場との境目付近の洗い場床面だけが排水で濡れるのみであるので、入浴時等の不快感が解消されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は浴室1の平面断面図、図2は浴室1の正面断面図、図3は浴室1の内部斜視図である。前記浴室1はボックス状にユニット化され、基礎2に立てた4本の支柱3で区画される空間の中に配置して、基礎2の上に置いた複数の支持台4で浴室1の底下部を支持している。
【0018】
前記浴室1は、平面視で略四角形状に形成して左右にほぼ2分割し、一方側(各図では左側)に浴槽6を設置し、他方側(各図では右側)が洗い場7としている。
【0019】
前記浴室1の手前側(図1では下側)に浴室扉8を設け、奥側(図1では上側)には、浴室用ミラー9、ハンドシャワー10、上カウンター11、下カウンター(物置き用カウンター)12をそれぞれ設置している。
【0020】
前記上カウンター11の前部には、前記下カウンター12に置いた洗面器(図示せず。)やハンドシャワー10に給湯・給水するためのカラン(混合水栓)13を設け、前記浴槽6の奥側の上部には、浴槽6内に給湯・給水するためのカラン(混合水栓)14を設けている。
【0021】
前記浴槽6の洗い場7側の側部に取付けたエプロン15と、洗い場7との境目付近の洗い場7の床面には床面排水口16を設け、この床面排水口16は、図2に示したように、浴室1の底下部で下水用排水管17に連結して、洗い場7の湯水を浴室1外に排出するようになっている。なお、前記エプロン15は、清掃等のために浴槽6から取外すことができる。
【0022】
前記浴室1の天井1aの外上部(浴室外)には、シャワー装置19を設置して、このシャワー装置19から浴室1にシャワーを噴射するようになっている。
【0023】
前記天井1aにシャワー装置19を設置すると打たせ湯タイプとなり、浴室用側壁パネル20にシャワー装置19を設置するとボディシャワータイプとなる。また、シャワーの噴射方法として、スイッチ操作によって、間欠的なストレート状の噴射、連続的なストレート状の噴射、スプレー状の噴射、ミスト(霧)状の噴射等を適宜に選択することができる。
【0024】
前記シャワー装置19には、残水(冷水)を排水する残水排水口19aを設け、この残水排水口19aに一端部21aを差し込み連結した第1排水管21は、図4および図5に詳細に示すように、前記浴槽6のエプロン15の近傍の奥側の浴室用側壁パネル20の裏面側に沿わせて垂れ下がらせている。この第1排水管21は、天井1aの上面や浴室用側壁パネル20の裏面の適所にサドルバンド等26で固定することが好ましい。
【0025】
前記浴槽6に近い浴室用側壁パネル20に形成したパネル開口20aには、第1接続金具(ニップル)23を貫通させて取付けて、この第1接続金具23の外端部に第1排水管21の他端部21bを差し込み連結している。
【0026】
前記浴槽6のエプロン15の下部には、図6および図7に詳細に示すように、前記下カウンター(物置き用カウンター)12で覆われる位置に、洗い場7側に向いたエプロン排水口15aを形成し、このエプロン排水口15aに、外端部に排水口金具25を有する第2接続金具(ニップル)24を取付けている。この第2接続金具24の内端部に、浴槽6とエプロン15との間に導入したフレキシブルな第2排水管22の一端部22aを差し込み連結するとともに、第2排水管22の他端部22bを第1接続金具23の内端部に差し込み連結している。なお、第2排水管22の他端部22bは、第1接続金具23の内端部に対して容易に脱着可能になっている。
【0027】
上記のように浴室1のシャワー装置19に、シャワーの使用開始前に残水(冷水)を除去する機能を備えた構成であれば、シャワーの使用開示前に、例えば、スイッチ操作等でシャワー装置19の残水排水口19aの閉止弁等を開くと、シャワー装置19の残水(冷水)は、図3に一点鎖線aで示すように、自重で第1排水管21から第2排水管22を通って、エプロン排水口15aの排水口金具25から洗い場7側に排水されるようになる。
【0028】
このとき、エプロン排水口15aの排水口金具25からの排水は、エプロン15の外面をほぼ真下に伝い落ちることから、このエプロン15と洗い場7との境目付近に排水されるようになる。
【0029】
洗い場7の床面排水口16は、エプロン15と洗い場7との境目付近の洗い場床面に設けられているから、エプロン排水口15aの排水口金具25からエプロン15の外面をほぼ真下に伝い落ちた排水は、エプロン15と洗い場7との境目付近から最短距離で床面排水口16に流れ込むので、エプロン15と洗い場7との境目付近の洗い場床面だけが排水で濡れるのみであるので、入浴時等の不快感が解消されるようになる。
【0030】
特に、エプロン15と洗い場7との境目付近の洗い場床面に排水溝を形成して、この排水溝が床面排水口16につながっているタイプでは、エプロン15と洗い場7との境目付近に伝い落ちた排水は、排水溝を通って床面排水口16に流れ込むから、洗い場床面の全面が排水で濡れなくなるので、より有利である。
【0031】
また、エプロン排水口15aの排水口金具25は、下カウンター12で覆われる位置に設けているから、エプロン排水口15aの排水口金具25からエプロン15の外面を伝い落ちる排水は、下カウンター12で目隠しされるので、美観性が良好になる。
【0032】
さらに、第2排水管22がフレキシブル管であり、この第2排水管22の他端部22bを第1接続金具23の内端部に対して容易に脱着可能であるから、長めの第2排水管22を撓ませてエプロン15の裏側に収納しておくことができるので、清掃等のために浴槽6からエプロン15を取外す時に、エプロン15を手前に取外しやすくなり、第2排水管22の他端部22bを第1接続金具23の内端部から抜き取って取外せば、エプロン15とともに第2排水管22も取り外せるから、第2排水管22が清掃の邪魔にならなくなって、清掃性が良好になる。
【0033】
前記実施形態は、シャワー装置19の残水排水口19aとエプロン15のエプロン排水口15aとの間を2本の排水管21,22に分割して連結したものであったが、1本のフレキシブルな排水管の一端部をシャワー装置19の残水排水口19aに連結して、浴槽6のエプロン15の近傍の浴室用側壁パネル20の裏面側に沿わせて垂れ下がらせて、この浴室用側壁パネル20に形成したパネル開口20aから浴槽6とエプロン15との間に導入して、この排水管の他端部をエプロン15のエプロン排水口15aに連結することもできる。
【0034】
前記実施形態のように、排水管を第1排水管21と第2排水管22とに分割すれば、浴室外のシャワー装置19の残水排水口19aに第1排水管21を連結しておき、浴室1内のエプロン15のエプロン排水口15aに第2排水管22を連結しておいて、浴室1内に浴槽6を組み込むときに、浴室用側壁パネル20のパネル開口20a付近で第1排水管21と第2排水管22とを連結できるから、施工性が良好になる。
【0035】
これに加えて、浴室用側壁パネル20のパネル開口20aに、第1接続金具23を貫通させて取付け、エプロン15のエプロン排水口15aに、排水口金具25を有する第2接続金具24を取付けておくと、浴室1外の施工時に、第1排水管21の一端部21aをシャワー装置19の残水排水口19aに差し込み連結し、第1排水管21の他端部21bを第1接続金具23の外端部に差し込み連結しておくことができ、浴室1内の施工時に、第2排水管22の一端部22aを第2接続金具24の内端部に差し込み連結し、第2排水管22の他端部22bを第1接続金具23の内端部に差し込み連結できるから、施工性がより良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係るシャワー装置を備えた浴室の平面断面図である。
【図2】図1の浴室の正面断面図である。
【図3】図1の浴室の内部斜視図である。
【図4】図1のA−A線側面断面図である。
【図5】図4のB部分の拡大図である。
【図6】図2のC部分の拡大図である。
【図7】図1のD部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0037】
1 浴室
1a 天井
6 浴槽
7 洗い場
12 下カウンター(物置き用カウンター)
15 エプロン
15a エプロン排出口
16 床面排水口
19 シャワー装置
20 浴室用側壁パネル
20a パネル開口
21 第1排水管
21a 一端部
21b 他端部
22 第2排水管
22a 一端部
22b 他端部
23 第1接続金具
24 第2接続金具
25 排水口金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽を設置した浴室の天井または側壁からシャワーを噴射するシャワー装置において、
浴室外に設置したシャワー装置の残水を排水する排水管は、前記浴槽のエプロン近傍の浴室用側壁パネルの裏面側に垂れ下がらせて、この浴室用側壁パネルに形成したパネル開口から浴槽とエプロンとの間に導入して、前記エプロンの洗い場側に向けて形成したエプロン排水口に連結したことを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
前記排水管は、第1排水管と第2排水管とに分割して、第1排水管は、前記シャワー装置に一端部を連結するとともに、前記浴室用側壁パネルの裏面側に沿わせて前記パネル開口付近まで垂れ下がらせ、第2排水管は、前記エプロン排水口に一端部を連結するとともに、前記パネル開口付近まで延長して、前記パネル開口付近で、第1排水管と第2排水管の他端部同士を連結したことを特徴とする請求項1記載のシャワー装置。
【請求項3】
前記パネル開口に、第1接続金具を貫通させて取付けるとともに、前記エプロン排水口に、外端部に排水口金具を有する第2接続金具を取付けて、第1排水管の他端部を第1接続金具の外端部に連結するとともに、第2接続金具の内端部に一端部を連結した第2排水管の他端部を第1接続金具の内端部に連結したことを特徴とする請求項2記載のシャワー装置。
【請求項4】
第2排水管は、フレキシブル管であり、第1排水管と脱着可能であることを特徴とする請求項2または3記載のシャワー装置。
【請求項5】
前記エプロン排水口は、前記浴室内に設置された物置き用カウンターで覆われる位置に形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−141852(P2006−141852A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338756(P2004−338756)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】