説明

シャワー装置

【課題】シャワーホースが入浴具に当たる恐れを低減する。シャワー装置の左右勝手にも容易に対応可能にする。
【解決手段】継手部材4の回転領域を正面視左側の左回転領域Aと正面視右側の右回転領域Bとに区分けして設ける。継手部材4の回転領域を左回転領域Aまたは右回転領域Bに設定する回転領域設定手段9を設ける。左回転領域Aにある継手部材4が正面視で反時計廻りに所定以上回転することを規制する左回転領域用規制部11と、右回転領域Bにある継手部材4が正面視で時計廻りに所定以上回転することを規制する右回転領域用規制部12とを混合水栓3の背面3aに設ける。継手部材4が左回転領域に位置した際に左回転領域用規制部11に当接する左回転領域用当接部14と、継手部材4が右回転領域に位置した際に右回転領域用規制部12に当接する右回転領域用当接部15とを継手部材4に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から図6のように浴室の洗い場25にはシャワー装置1が配設されている(たとえば特許文献1参照)。このシャワー装置1は、浴室の浴室壁2から混合水栓3を前方に突設し、混合水栓3の背面の左右中央部に継手部材4を介してシャワーホース7を垂直面内で回転自在に接続し、シャワーホース7の先端部にシャワーヘッド8を接続すると共にこのシャワーヘッド8を浴室壁2に配設されたヘッド保持具17に引っ掛けて収納可能にしている。詳しくは、上記シャワー装置1の収納状態におけるシャワーホース7は、自重や内部に残留する浴水の重量によって、一旦混合水栓3から下方に垂れた後に上方に反転してシャワーヘッド8を介してヘッド保持具17に吊り支持された状態になっている。なお、浴室のレイアウトによってヘッド保持具17は混合水栓3の左右のいずれかの側に配設されるのであって、つまりシャワー装置1には左右勝手があるが、上記構成のシャワー装置1では一旦混合水栓3から下方に垂れた後にシャワーホース7が上方に反転する際に左右いずれかの上方に向けることで対応されている。
【0003】
ところで、シャワー装置1の使用形態としては、ヘッド保持具17から外したシャワーヘッド8からシャワー水を吐出させる使用形態や、ヘッド保持具17に引っ掛けた状態のシャワーヘッド8からシャワー水を吐出させる使用形態がある。ここで、洗髪や身体を洗うための石鹸や洗髪剤等の入浴具30は、ヘッド保持具17に引っ掛けた状態のシャワーヘッド8から吐出したシャワー水がかかりにくい位置、すなわち混合水栓3よりもヘッド保持具17の反対側の位置に置かれることが多いのであるが、ヘッド保持具17からシャワーヘッド8を外してシャワー水を使用する際には、図6(b)のようにシャワーホース7の撓み反力等がシャワーホース7を伝って継手部材4に伝播されて継手部材4がヘッド保持具17の反対側に向けて回転してしまいシャワーホース7が混合水栓3からヘッド保持具17の反対側に大きく膨らむように撓むといった場合があり、この場合、シャワーホース7が石鹸や洗髪剤等の入浴具30に当たって倒してしまったり予期しない方向に突き飛ばしてしまうことがあった。
【0004】
また、混合水栓3にはその前面や下面に浴水をストレート状に吐出する吐水部16も設けられることが多く、吐水部16から吐出された吐水は混合水栓3の下方域で洗面器29に溜めるなどして使用されるのであるが、上記シャワー装置1の収納状態において混合水栓3から垂れた状態のシャワーホース7は混合水栓3の下方域に位置するために、シャワーホース7が混合水栓3の下方域にある洗面器29に当たるなどして吐水部16から吐出された吐水の使用を妨げてしまうことがあった。更に言うと、ヘッド保持具17からシャワーヘッド8を外してシャワー装置1を使用する場合にも、図6(b)のようにヘッド保持具17からシャワーヘッド8を外した際にシャワーホース7が混合水栓3の下方域を横切って混合水栓3からヘッド保持具17の反対側に大きく膨らむように撓むことがあり、この混合水栓3の下方域を横切るシャワーホース7が、混合水栓3の下方域に位置させようとする洗面器29の邪魔になったり、混合水栓3の下方域に位置した洗面器29に当たって倒してしまったり予期しない方向に突き飛ばしてしまうものであった。
【特許文献1】特開平6−142000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて為したものであって、シャワーホースが石鹸や洗髪剤等の入浴具に当たる恐れを低減すると共にシャワー装置の左右勝手にも容易に対応可能にし、更にシャワーホースが混合水栓に設けた吐水部からの吐水の使用を妨げないようにしたシャワー装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係るシャワー装置は、浴室の浴室壁2から混合水栓3を前方に突設し、継手部材4に水栓取付部5を設けると共にこの水栓取付部5を軸方向が前後方向を向く回転軸廻りに回転自在にして混合水栓3の背面3aに取付け、継手部材4に回転軸Kに交差する方向に向けてホース接続部6を設けると共にこのホース接続部6にシャワーホース7を接続し、継手部材4の回転領域を正面視左側の左回転領域Aと正面視右側の右回転領域Bとに区分けして設けると共に、継手部材4の回転領域を左回転領域Aまたは右回転領域Bに設定する回転領域設定手段9を設け、左回転領域Aにある継手部材4が正面視で反時計廻りに所定以上回転することを規制する左回転領域用規制部11と、右回転領域Bにある継手部材4が正面視で時計廻りに所定以上回転することを規制する右回転領域用規制部12とを混合水栓3の背面3aに設け、継手部材4が左回転領域に位置した際に左回転領域用規制部11に当接する左回転領域用当接部14と、継手部材4が右回転領域に位置した際に右回転領域用規制部12に当接する右回転領域用当接部15とを継手部材4に設けたことを特徴とする。
【0007】
これによると、シャワーホース7を混合水栓3に接続する継手部材4の回転領域を区分けした左回転領域Aまたは右回転領域Bに回転領域設定手段9によって設定可能にしたので、混合水栓3の左側または右側にシャワーヘッド8を保持するヘッド保持具17を配設することで生じるシャワー装置1の左右勝手に対応して回転領域設定手段9によって継手部材4の回転領域を適宜の左回転領域Aまたは右回転領域Bに容易に設定できるのであり、つまりシャワー装置1の左右勝手への汎用性を向上できたものであり、また、混合水栓3に左回転領域用規制部11を設け、継手部材4に左回転領域用当接部14を設け、継手部材4が左回転領域に位置した際に左回転領域用規制部11に左回転領域用当接部14を当接させて継手部材4が正面視で反時計廻りに所定以上回転することを規制したので、継手部材4が左回転領域Aにある際にシャワーホース7を混合水栓3の右側には位置させにくくできるのであり、また、混合水栓3に右回転領域用規制部12を設け、継手部材4に右回転領域用当接部15を設け、継手部材4が右回転領域に位置した際に右回転領域用規制部12に右回転領域用当接部15を当接させて継手部材4が正面視で時計廻りに所定以上回転することを規制したので、継手部材4が右回転領域Bにある際にシャワーホース7を混合水栓3の左側には位置させにくくできるのであり、つまり、シャワー水が直接当たらないように左勝手のシャワー装置1の場合には混合水栓3の右側に、右勝手のシャワー装置1の場合には混合水栓3の左側に置かれることの多い洗髪剤等の入浴具30に対してシャワーホース7を当てる恐れを低減することができるのである。
【0008】
また、請求項2に係るシャワー装置は、請求項1において、左回転領域用規制部11及び右回転領域用規制部12を混合水栓3の背面3aから後方に突設し、回転領域設定手段9を継手部材4に前後方向に移動可能にして設けた当接突部13で構成し、左回転領域用規制部11及び右回転領域用規制部12の後端位置を境に前後に位置可能にした当接突部13の前端部に、継手部材4が左回転領域に位置すると共に当接突部13が前方位置に位置した際に左回転領域用規制部11に当接する左回転領域用当接部14と、継手部材4が右回転領域に位置すると共に当接突部13が前方位置に位置した際に右回転領域用規制部12に当接する右回転領域用当接部15とを設けたことを特徴とする。これによると、左回転領域用当接部14や右回転領域用当接部15を備えて継手部材4の混合水栓3に対する回転を規制するための当接突部13を継手部材4の回転領域を左回転領域Aまたは右回転領域Bに設定するための回転領域設定手段9としても用いたので、つまり異なる機能を1つの部材で兼用できてシャワー装置1の構成を簡略化できるのである。
【0009】
また、請求項3に係るシャワー装置は、請求項1または2において、左回転領域Aを正面視でホース接続部6が左方に向く状態で回転する継手部材4の回転領域とし、右回転領域Bを正面視でホース接続部6が右方に向く状態で回転する継手部材4の回転領域とし、混合水栓3の前面3bまたは下面3cに浴水を吐出する吐水部16を設け、上記吐水部16と混合水栓3に取り付けた継手部材4の水栓取付部5とを左右方向における同位置に配置したことを特徴とする。これによると、継手部材4の回転領域となる左回転領域Aと右回転領域Bとをホース接続部6が左方または右方に向く領域に設定したので、ホース接続部6に接続したシャワーホース7が混合水栓3から垂下した位置に位置されることを回避でき、混合水栓3の下方域での吐水部16からの吐水の使用をシャワーホース7で妨げることを無くすることができるのである。
【0010】
また、請求項4に係るシャワー装置は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、当接突部13を継手部材4に前後方向に穿設したネジ孔19に前後方向に螺進されるネジ具20で構成したことを特徴とする。これによると、継手部材4に前後に移動可能にして設ける当接突部13を単純な構造で構成できたのであり、シャワー装置1の構成の簡略化に資することができるのである。
【0011】
また、請求項5に係るシャワー装置は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、当接突部13を継手部材4に前方に付勢するバネ材22を介して設けた当接棒23で構成し、左回転領域用規制部11及び右回転領域用規制部12を継手部材4の背面3aから後方に突設した規制突部10の左右の側面部10a,10bで構成し、上記規制突部10の左右の側面部10a,10bを左右中央側ほど後方に位置する傾斜面24に形成したことを特徴とする。これによると、継手部材4を強く回転させると、たとえばバネ材22の付勢に抗って後方に移動された当接棒23を左回転領域用規制部11の傾斜面24に昇らせて規制突部10の後面を経て右回転領域用規制部12に至らしめることができるのであり、つまり、継手部材4の左回転領域Aと右回転領域Bとの切替設定が簡単操作でできるのである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、シャワーホースが石鹸や洗髪剤等の入浴具に当たる恐れを低減すると共にシャワー装置の左右勝手にも容易に対応可能にし、更にシャワーホースが混合水栓に設けた吐水部からの吐水の使用を妨げないようにもできる、といった利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0014】
図1乃至図4に本発明の実施の形態の例を示す。本例のシャワー装置1は、浴室の洗い場25に臨む浴室壁2から混合水栓3を隙間を介して前方に突設し、上記隙間に臨む混合水栓3の背面3aに継手部材4を介してシャワーホース7の基端を接続し、シャワーホース7の先端に接続したシャワーヘッド8を浴室壁2に配設したヘッド保持具17に保持可能にして構成されている。便宜上、以下の説明では、シャワー装置1の正面視(前方から後方を見た視界)における左側を左方向、右側を右方向として説明していく(なお、図中の矢印aは前方、矢印bは後方、矢印cは左方、矢印dは右方をそれぞれ示す)。
【0015】
図1のように本例の継手部材4は横管部4aと縦管部4bとをL字状に連結したエルボ管材で構成されており、横管部4aの開口端に混合水栓3に取付ける水栓取付部5が設けられ、縦管部4bの開口端にシャワーホース7の基端を接続するホース接続部6が設けられている。水栓取付部5は軸方向が略水平で且つ前後方向を向く回転軸Kの軸廻りに回転自在にして混合水栓3の背面3aに取付けられるのであり、ホース接続部6は上記隙間内の略垂直面内で回転するようにされる。具体的に回転軸Kは横管部4aの管軸が構成している。なお、継手部材4は混合水栓3の背面3aにおける左右方向の略中央部分に設けた継手取付部28に水栓取付部5が取り付けられており、混合水栓3の背面3aにおける左側部位及び右側部位には浴室壁2から至る給水管26や給湯管27がそれぞれ接続されている。
【0016】
また、本例の継手部材4の横管部4aには縦管部4bの突出方向と反対方向に突片18が突設されており、この突片18には前後方向に貫通するネジ孔19が穿設されており、このネジ孔19には後方からネジ具20が螺合構造で着脱自在に設けられている。このネジ具20はネジ孔19に前後方向に螺進されるのであり、継手部材4に前後方向に移動可能にして設けた当接突部13を構成している。また、混合水栓3の背面3aにおける継手部材4の取付部位の上方位置にはブロック突起状の規制突部10が後方に突設されている。この規制突部10は背面視で継手部材4と共に回転軸廻りに回転するネジ具20の回転軌跡上に位置するのであり、ネジ具20をその頭部が突片18の背面3aに当たるような前後の移動範囲の前方位置に位置させたときにはネジ具20の前端部が規制突部10の後面よりも前方に位置し、つまりネジ具20の前端部が規制突部10の左右の側面部10a,10bに当接可能になっている。なお、ネジ具20をネジ孔19から取り外したり、取り外さないまでもネジ具20を継手部材4に対して後方に移動させ、その前端部を規制突部10の後端面10cよりも後方位置に位置させると、ネジ具20は規制突部10に当接しないようにできるようになっている。
【0017】
ここで、図3(a)のように前端位置に位置させたネジ具20の左側部20aを規制突部10の右側面部10bに当接した状態では、継手部材4はホース接続部6が左方を向く状態となると共に、図3(b)のように背面視で反時計廻り(正面視で時計廻り)方向には回転可能であるが、背面視で時計廻り(正面視で反時計廻り)方向には回転不能にされる。また、図4のように前端位置に位置させたネジ具20の右側部20bを規制突部10の左側面部10aに当接した状態では、継手部材4はホース接続部6が右方を向く状態となると共に、背面視で時計廻り(正面視で反時計廻り)方向には回転可能であるが、背面視で反時計廻り(正面視で時計廻り)方向には回転不能にされる。つまり、継手部材4の回転領域は、ネジ具20の規制突部10への当接構造によって、ホース接続部6が左方を向く状態となる左回転領域Aと、ホース接続部6が右方を向く状態となる右回転領域Bとに区分けされている。詳しくは、左回転領域Aと右回転領域Bとは後述する混合水栓3の吐水部16からの吐水の使用空間としての混合水栓3の下方域を挟むようにして設定されている。
【0018】
換言すると、規制突部10の右側面部10bは左回転領域Aにある継手部材4が正面視で反時計廻りに所定以上回転することを規制する左回転領域用規制部11を構成するのであり、規制突部10の右側面部10bに当接するネジ具20の左側部20aは継手部材4が左回転領域に位置した際に左回転領域用規制部11に当接する左回転領域用当接部14を構成している。また、規制突部10の左側面部10aは右回転領域Bにある継手部材4が正面視で時計廻りに所定以上回転することを規制する右回転領域用規制部12を構成するのであり、規制突部10の左側面部10aに当接するネジ具20の右側部20bは継手部材4が右回転領域に位置した際に右回転領域用規制部12に当接する右回転領域用当接部15を構成している。また、ネジ具20の規制突部10への当接方向によって継手部材4の左回転領域Aまたは右回転領域Bが決定されるのであり、つまり、ネジ具20を後方に螺進させてネジ具20を規制突部10に当接不可にした後にネジ具20を前方に螺進させて所望の方向から規制突部10に当接させることで継手部材4の回転領域を左回転領域Aまたは右回転領域Bに設定することができるから、継手部材4に前後方向に移動可能に設られたネジ具20は回転領域設定手段9を構成している。
【0019】
ここで、ヘッド保持具17は浴室のレイアウトによって混合水栓3の左側または右側の浴室壁2に適宜配設されるのであるが、ヘッド保持具17が混合水栓3の左側に配設された左勝手のシャワー装置1を形成する際には回転領域設定手段9の操作によって図2(a)のように継手部材4の回転領域はホース接続部6に接続したシャワーホース7が左方を向く左回転領域Aに設定されるのであり、ヘッド保持具17が混合水栓3の右側に配設された右勝手のシャワー装置1を形成する際には回転領域設定手段9の操作によって図2(b)のように継手部材4の回転領域はホース接続部6に接続したシャワーホース7が左方を向く左回転領域Aに設定される。つまり本例のシャワー装置1は回転領域設定手段9の操作によって左勝手、右勝手に対応できるのである。また、上述のように回転領域設定手段9は継手部材4に前後方向に螺進可能に設けられたネジ具20であり、回転領域設定手段9の操作はネジ具20の継手部材4に対する前後への螺進作業であるから容易な作業であり、つまり左勝手、右勝手に容易に対応可能にされている。
【0020】
また、従来技術の項で述べたように、シャワー装置1の使用形態として、石鹸や洗髪剤等の入浴具30はヘッド保持具17に係止させたシャワーヘッド8から吐出されるシャワー水に直接当たらないように混合水栓3よりヘッド保持具17の反対側に置くことが多いのであり、つまり、入浴具30は左勝手のシャワー装置1では混合水栓3の右側に置かれ、右勝手のシャワー装置1では混合水栓3の左側に置かれることが多い。従来技術の例のシャワー装置1ではヘッド保持具17からシャワーヘッド8を取り外して使用する際にシャワーホース7が混合水栓3よりヘッド保持具17の反対側にまで撓むように至って入浴具30をなぎ倒したりする問題があったが、本例のシャワー装置1では上記問題を有効に解決している。つまり、本例のシャワー装置1では、たとえば左勝手のシャワー装置1の場合には図1,図2(a),図3のように継手部材4の回転領域が左回転領域Aに設定されるのであって継手部材4のホース接続部6が左方を向く状態にされると共に当接突部13の左回転領域用当接部14(ネジ具20の左側部20a)が規制突部10の左回転領域用規制部11(規制突部10の右側面部10b)によって継手部材4が正面視で反時計廻りに所定以上回転することが規制されるのであり、つまり継手部材4のホース接続部6に接続したシャワーホース7が左方を向く状態にあるように規制されるのであるから、ヘッド保持具17からシャワーヘッド8を取り外して使用する場合であってもシャワーホース7が混合水栓3の右側に至るように撓みにくくされており、混合水栓3の右側に置かれる入浴具30にシャワーホース7が当たることがほとんど無いようにされているのである。一方、右勝手のシャワー装置1の場合も図2(b)、図4のように、継手部材4の回転領域が右回転領域Bに設定されるのであって継手部材4のホース接続部6が右方を向く状態にされると共に当接突部13の右回転領域用当接部15(ネジ具20の右側部20b)が規制突部10の右回転領域用規制部12(規制突部10の左側面部10a)によって継手部材4が正面視で時計廻りに所定以上回転することが規制されるのであり、つまり継手部材4のホース接続部6に接続したシャワーホース7が右方を向く状態にあるように規制されるのであるから、ヘッド保持具17からシャワーヘッド8を取り外して使用する場合であってもシャワーホース7が混合水栓3の左側に至るように撓みにくくされており、混合水栓3の右側に置かれる入浴具30にシャワーホース7が当たることがほとんど無いようにされているのである。
【0021】
また、本例のシャワー装置1の混合水栓3には図2のようにストレート状の吐水を吐出する吐水部16も設けられている。本例の吐水部16は混合水栓3の前面3bにおける左右中央部から前方に突出した前突部の下面3cに下方に開口するように設けられている。吐水部16は混合水栓3に取り付けた継手部材4の水栓取付部5と同様の混合水栓3の左右中央部に位置するのであって、つまり継手部材4の水栓取付部5と左右方向における同位置に設けられている。吐水部16から鉛直下方に吐出される吐水は混合水栓3の下方域でたとえば洗面器29に溜められたりして使用されるのであるが、この吐水部16からの吐水の使用に際しても本例のシャワー装置1ではシャワーホース7が妨げることがないようにされている。つまり、本例のシャワー装置1では左勝手や右勝手に対応して継手部材4の回転領域を左回転領域Aや右回転領域Bに設定することが行われるが、左回転領域Aではホース接続部6が左方を向くとともに右回転領域Bではホース接続部6が右方に向くようにされており、つまりホース接続部6は吐水部16からの吐水方向である鉛直下方には向かないようにされているのであって、しかしてホース接続部6に接続したシャワーホース7は吐水部16からの吐水の使用域(混合水栓3の下方域)に位置しないのであり、吐水部16からの吐水の使用をシャワーホース7で妨げることが防止されているのである。なお、ヘッド保持具17からシャワーヘッド8を取り外した状態のシャワーホース7にあっても、左勝手や右勝手に対応してシャワーホース7が左方や右方を向く状態に規制されるのであって、つまりシャワーホース7は吐水部16からの吐水の使用域(混合水栓3の下方域)に位置しにくくなっているから、吐水部16からの吐水の使用をシャワーホース7で妨げることの防止が図られているのである。
【0022】
図5には本発明の実施の形態の他例を示す。本例は先例と比較して回転領域設定手段9を構成する当接突部13の構造を変更した例であり、その余の部位は先例と同構成を備えている。しかして、先例と同構成の部位には同符合を付して説明を省き、先例と異なる部位につき説明をしていく。
【0023】
本例の当接突部13は継手部材4に前方に付勢するバネ材22を介して設けた当接棒23で構成されている。詳しくは、本例では先例の突片18の代わりに前方に開口せる部屋状空間を有した箱部21を継手部材4の横管部4aから突設し、箱部21内にコイルバネで構成したバネ材22、当接棒23を順に収納し、当接棒23の前端部を箱部21の前方開口21aから前方に突出させている。なお、当接棒23の後端部にはフランジ突起状の被抜止部23cが設けられ、箱部21の前方開口縁に設けた突起状の抜止部21bに上記被抜止部23cを後方から当接させることで、バネ材22で前方に付勢された当接棒23の箱部21からの抜け落ちが防止されている。当接棒23はバネ材22によって前方に付勢されているが、上記バネ材22の付勢に抗って後方に移動することも可能であり、つまり当接棒23は継手部材4に対して前後方向に移動可能に設けられていて回転領域設定手段9を構成している。バネ材22の付勢により前後の移動範囲の前方位置に位置された当接棒23の前端部は混合水栓3の規制突部10の左右の側面部10a,10bが構成する左回転領域用規制部11及び右回転領域用規制部12に当接可能にされている。つまり当接棒23の前端部の左側部23aは左回転領域用規制部11に当接する左回転領域用当接部14を構成しており、当接棒23の前端部の右側部23bは右回転領域用規制部12に当接する右回転領域用当接部15を構成している。なお、バネ材22の付勢に抗って継手部材4に対して後方に移動させた当接棒23の前端部は上記左回転領域用規制部11及び右回転領域用規制部12に当接しないことが可能にされている。
【0024】
ここで、本例の規制突部10の左右の側面部10a,10bが構成する左回転領域用規制部11及び右回転領域用規制部12はそれぞれ左右中央側ほど後方に位置する傾斜面24に形成されている。しかして、本例では、シャワー装置1の左右勝手に対応して継手部材4の回転領域を左回転領域Aまたは右回転領域Bに回転領域設定手段9で設定するには、施工者は継手部材4を力を入れて回転させ、たとえば当接棒23の前端を規制突部10の左側面部10aの傾斜面24に昇らせてバネ材22の付勢に抗って後方に移動させ、当接棒23の前端を規制突部10の後端面10cに沿って摺動させ、当接棒23の前端を規制突部10の右側面部10bに至らせるといった作業で行うことができる。つまり、本例では、シャワー装置1の左右勝手に対応して行う回転領域設定手段9の操作が、継手部材4を力を入れて回転させるといった極めて簡単な操作で行うことが可能にされているのである。
【0025】
なお、上記実施形態では混合水栓3は浴室の洗い場25の端部から略垂直に立ち上がる浴室壁2から突設されたものを示したが、浴室壁2の一部に洗い場25側(前方)に突出させたカウンター部を設けてこのカウンター部の前面から混合水栓3を前方に突設してもよいのは言うまでもない。また、上記実施形態では、継手部材4が左回転領域Aに位置した場合のシャワーホース7は給湯管27に干渉し、継手部材4をそれ以上正面視で時計廻りに回転不能にさせている。つまり、実質的には継手部材4の左回転領域Aは、時計廻り方向の端部がシャワーホース7の給湯管27への接触位置で規定されると共に反時計廻り方向の端部が左回転領域用当接部14の左回転領域用規制部11への当接位置で規定されている。また、継手部材4が右回転領域Bに位置した場合のシャワーホース7は給水管26に干渉し、継手部材4をそれ以上正面視で反時計廻りに回転不能にさせている。つまり、実質的には継手部材4の右回転領域Aは、時計廻り方向の端部がシャワーホース7の給水管26への接触位置で規定されると共に時計廻り方向の端部が右回転領域用当接部15の右回転領域用規制部12への当接位置で規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の例のシャワー装置であり、(a)はシャワー装置の要部の後方から見た斜視図であり、(b)はシャワー装置の要部の分解斜視図である。
【図2】同上のシャワー装置であり、(a)は左勝手に対応したシャワー装置全体の正面図であり、(b)は右勝手に対応したシャワー装置全体の正面図である。
【図3】(a)(b)は継手部材が左回転領域にあるシャワー装置における動作を説明するシャワー装置の要部の後面図である。
【図4】継手部材が右回転領域にあるシャワー装置における動作を説明するシャワー装置の要部の後面図である。
【図5】本発明の実施の形態の他例のシャワー装置であって、(a)はシャワー装置の要部の分解斜視図であり、(b)は継手部材の一部切欠側面図である。
【図6】従来技術の例のシャワー装置であり、(a)はシャワー装置全体の正面図であり、(b)は問題点を説明するシャワー装置の要部の正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 シャワー装置
2 浴室壁
3 混合水栓
3a 背面
4 継手部材
5 水栓取付部
6 ホース接続部
7 シャワーホース
9 回転領域設定手段
10 規制突部
11 左回転領域用規制部
12 右回転領域用規制部
13 当接突部
14 左回転領域用当接部
15 右回転領域用当接部
A 左回転領域
B 右回転領域
K 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の浴室壁から混合水栓を前方に突設し、継手部材に水栓取付部を設けると共にこの水栓取付部を軸方向が前後方向を向く回転軸廻りに回転自在にして混合水栓の背面に取付け、継手部材に回転軸に交差する方向に向けてホース接続部を設けると共にこのホース接続部にシャワーホースを接続し、継手部材の回転領域を正面視左側の左回転領域と正面視右側の右回転領域とに区分けして設けると共に、継手部材の回転領域を左回転領域または右回転領域に設定する回転領域設定手段を設け、左回転領域にある継手部材が正面視で反時計廻りに所定以上回転することを規制する左回転領域用規制部と、右回転領域にある継手部材が正面視で時計廻りに所定以上回転することを規制する右回転領域用規制部とを混合水栓の背面に設け、継手部材が左回転領域内に位置した際に左回転領域用規制部に当接する左回転領域用当接部と、継手部材が右回転領域内に位置した際に右回転領域用規制部に当接する右回転領域用当接部とを継手部材に設けたことを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
左回転領域用規制部及び右回転領域用規制部を混合水栓の背面から後方に突設し、回転領域設定手段を継手部材に前後方向に移動可能にして設けた当接突部で構成し、左回転領域用規制部及び右回転領域用規制部の後端位置を境に前後に位置可能にした当接突部の前端部に、継手部材が左回転領域内に位置すると共に当接突部が前方位置に位置した際に左回転領域用規制部に当接する左回転領域用当接部と、継手部材が右回転領域内に位置すると共に当接突部が前方位置に位置した際に右回転領域用規制部に当接する右回転領域用当接部とを設けたことを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項3】
左回転領域を正面視でホース接続部が左方に向く状態で回転する継手部材の回転領域とし、右回転領域を正面視でホース接続部が右方に向く状態で回転する継手部材の回転領域とし、混合水栓の前面または下面に浴水を吐出する吐水部を設け、上記吐水部と混合水栓に取り付けた継手部材の水栓取付部とを左右方向における同位置に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載のシャワー装置。
【請求項4】
当接突部を継手部材に前後方向に穿設したネジ孔に前後方向に螺進されるネジ具で構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシャワー装置。
【請求項5】
当接突部を継手部材に前方に付勢するバネ材を介して設けた当接棒で構成し、左回転領域用規制部及び右回転領域用規制部を継手部材の背面から後方に突設した規制突部の左右の側面部で構成し、上記規制突部の左右の側面部を左右中央側ほど後方に位置する傾斜面に形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシャワー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−195749(P2007−195749A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18188(P2006−18188)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(505154956)松下電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】