説明

シャワー装置

【課題】コンパクト且つシンプルな構造で、浴室などで用いられるシャワー装置のシャワ
ー散水位置や散水方向を反復的に変化させる自動往復動作を可能とした。

【解決手段】駆動部と、シャワー部を備え、前記駆動部は、内部に空間を有するハウジン
グと、空間内を移動可能とされ、内部に中子内流路を有する中子と、前記中子内流路に連
通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、第1の入水口と、第2の
入水口と、前記中子内流路に湯水を導入する第1の導入口と、前記中子内流路に湯水を導
入する第2の導入口と、前記第1及び第2の導入口の開度を変化させる弁体と、前記中子
の移動方向の反転時に前記第1及び第2の導入口の開度の大小関係を逆転させる制御手段
と、を有し、前記シャワー部は、前記吐水流路を通じてきた湯水を外部に放出する散水口
を有し、前記吐水筒体に連結され前記中子と連動して動くことを特徴するシャワー装置を
提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室やシャワーブース等で用いられる、シャワーの散水位置や散水方向を反
復的に変化させる自動往復動作を可能としたシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リラクゼーションや美容健康増進などを目的としたシャワー装置のニーズが高まってい
る。この用途においては、例えば、旋回流などを利用して数10ヘルツ以上の比較的高速
で水流を変調させることにより、マッサージ効果などを促進するアプローチがある。また
一方、例えば数ヘルツ以下の比較的ゆっくりとした速度でシャワーノズルなどの散水位置
や散水方向を反復的に変化させると、例えば人体の所定範囲に均一に湯水を噴射してリラ
クゼーション効果などを促進することが可能である。
【0003】
往復動作のために、モータやソレノイドなどの電動手段を用いることも可能であるが、
浴室やシャワーブース等で用いられるシステムに搭載するためには、電源の確保や、感電
や漏電などに対する対策が必要とされ、コストや信頼性の点でも解決すべき課題が多い。
【0004】
これに対して、往復動作を水力により実現できれば、電気や潤滑オイルなどが不要とな
り、初期コスト、ランニングコスト、信頼性、メンテナンス性などの多くの観点で、改善
が期待できる。
【0005】
上下往復動作を可能としたシャワー装置として、ピストンと4方弁とを組み合わせたも
のが開示されている(特許文献1)。このシャワー装置は、シリンダー内に設けられたピ
ストンを水圧により上下動作させ、ワイヤーを介してシャワーヘッドを上下に移動させる
。ピストンの上下動作の切替は、シリンダーに対する給水流路を4方弁により切り替える
ことにより実施される。
【0006】
【特許文献1】特開平2−134119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このシャワー装置の場合、シリンダーと4方弁とが別体として設けられ、シス
テムが大型且つ複雑である。また、流路が長くなるために、圧力損失が大きく、散水力が
低下するという点でも改善の余地がある。
【0008】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、新規な発想に
基づき、コンパクト且つシンプルな構造で、水力を利用した反復的な直線動作あるいは回
動動作を可能としたシャワー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシャワー装置は、
浴室などで用いられるシャワー装置であって、
駆動部と、
シャワー部を備え、
前記駆動部は、
内部に空間を有するハウジングと、
前記空間を第1及び第2の圧力室に分割しつつ前記空間内を移動可能とされ、内部に中
子内流路を有する中子と、
前記中子内流路に連通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、
前記第1の圧力室に湯水を導入する第1の入水口と、
前記第2の圧力室に湯水を導入する第2の入水口と、
前記第1の圧力室から前記中子内流路に湯水を導入する第1の導入口と、
前記第2の圧力室から前記中子内流路に湯水を導入する第2の導入口と、
前記第1及び第2の導入口の開度を変化させる弁体と、
前記中子の移動方向の反転時に前記第1及び第2の導入口の開度の大小関係を逆転させ
る制御手段と、
を有し、
前記シャワー部は、
前記吐水流路を通じてきた湯水を外部に放出する散水口を有し、
前記吐水筒体に連結され、前記中子と連動して動く
ことを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、水力による中子の往復移動に連動してシャワー部を往復移動させる
ことができ、シャワーの散水口の位置を水力により変化させるシャワー装置を提供できる
。このときの往復移動動作は、先行例のように2つの入水口への流路を直接切替える手段
を必要とせず、第1及び第2の導入口の開度の大小関係を逆転させることにより実現して
おり、コンパクトでシンプルな構成を実現できる。また、吐水流路からの湯水を散水口か
ら放出しており、中子や吐水筒体およびシャワー部を往復移動させる原動力である湯水を
シャワー散水に使用しているので、捨て水がない。
【0011】
またここで、前記散水口の散水位置が変化するようにシャワー装置を構成すると、シャ
ワー散水を広範囲に作用させることが可能となる。
【0012】
またここで、前記散水口の散水方向が変化するようにシャワー装置を構成すると、より
コンパクトな構成にてシャワー散水を広範囲に作用させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンパクト且つシンプルな構造で、水力を利用してシャワー散水位置
や散水方向を反復的に変化させる自動往復動作を可能としたシャワー装置を提供すること
ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置1の斜視図であり、図2はシャワ
ー装置1の流路構成を示す模式図であり、図3は、シャワー装置1のシャワー散水状態を
示す模式図である。また、図4は、シャワー装置1のボディシャワー部周辺の断面図であ
り、図5は、シャワー装置1のオーバーヘッドシャワー部周辺の断面図である。
【0015】
本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置1は、中空の本体ボディ11、本体ボディ
11の背面に設けられた支持部12、給湯支持部13、給水支持部14、本体ボディ11
の上部に設けられたオーバーヘッドシャワー部61、本体ボディ11の前面中央部に設け
られたボディシャワー部51、本体ボディ11に設けられたホース接続部20に可撓性の
ホースを介して接続されたハンドシャワー部41、本体ボディ11に設けられたシャワー
フック15、を有している。
【0016】
本体ボディ11は、支持部12、給湯支持部13、給水支持部14によって、浴室やシ
ャワーブースなどの壁面900に固定される。
【0017】
また、本体ボディ11の前面には、切替操作部18、流調操作部17が設けられており
、本体ボディ11の下部には、温調操作部16が設けられている。
【0018】
ハンドシャワー部41は、通常、シャワーフック15に引っ掛けられており、この状態
で散水すれば固定シャワーとして利用でき、また、使用者がシャワーフック15から外し
て手にとって利用することで、好みの場所にシャワー散水をすることができる。
【0019】
給湯支持部13の内部には給湯管路22が、給水支持部14の内部には給水管路21が
設けられ、また、本体ボディ11の内部には、温調操作部16によって操作される温水混
合部23、混合管路26、流調操作部17によって操作される流量調節部24、切替操作
部18によって操作される流路切替部25、第一管路27、第二管路28、第三管路29
、そしてオーバーヘッドシャワー部61を往復回動させる駆動部200と、ボディシャワ
ー部51を往復直動させる駆動部100が設けられている。
【0020】
給湯管路22と給水管路21は、温水混合部23に通じている。温水混合部23からは
混合管路26が流路切替部25まで通じており、混合管路26の途中には流量調節部24
が設けられている。流路切替部25には、第一管路27、第二管路28、第三管路29が
接続されている。
【0021】
図示しない給湯設備(例えば給湯器)から送られてきた湯は、給湯管路22を通って温
水混合部23に入り、図示しない給水設備(例えば上水)から送られてきた水は、給水管
路21を通って温水混合部23に入る。温調操作部16によって設定された温度に応じて
温水混合部23にて湯と水が混合され、混合管路26へと湯水が送られる。そして、流調
操作部17にて設定された流量に応じて流量調節部24にて流量が調整される。尚、流量
調節部24は湯水を止める能力も備わっている。そして流路切替部25に送られ、切替操
作部18によって設定された管路(第一管路27、第二管路28、第三管路29)に湯水
が送られる。
【0022】
第一管路27は、ハンドシャワー部41に湯水を送る管路である。すなわち、本体ボデ
ィ11の内部から、ホース接続部20及び可撓性のホース19の内部を通って、ハンドシ
ャワー部41の内部に通じている。ハンドシャワー部41には、その内部にハンドシャワ
ー管路42(図示せず)が設けられており、ハンドシャワー散水部43に開けられた複数
のハンドシャワー散水口44へと通じている。こうして第一管路27に送られた湯水は、
ハンドシャワー管路42を通って、ハンドシャワー散水口43から外部に放出される。
【0023】
第二管路28は、駆動部100に通じており、駆動部100に通じているボディシャワ
ー部51に湯水を送る管路である。第二管路28は、二股に分岐して後述する駆動部10
0の二つの入水口112、114にそれぞれ通じている。
【0024】
駆動部100は、駆動部支持リブ31を介して、本体ボディ11の内部に固定されてい
る。駆動部100の詳細については後述するが、ハウジング102内部を上下に移動可能
な中子120を有しており、中子120に連結されハウジング102の外部に突出してい
る吐水筒体180を有している。また、中子120には中子内流路124が、吐水筒体1
80には吐水流路182が設けられている。入水口112、114からハウジング102
内に導入された湯水は、中子内流路124を通って、吐水流路182へ送られる。このと
き、中子120および吐水筒体180は、上下に往復運動する。
【0025】
ボディシャワー部51は、内部にボディシャワー管路52を有するボディシャワー本体
55と、複数のボディシャワー散水口54を有するボディシャワー散水部53を有する。
尚、本実施例の場合、ボディシャワー散水部53は、鉛直方向に3ヶ並んで設けられてい
る。そして、ボディシャワー本体55は、吐水筒体180と連結されており、ボディシャ
ワー管路52は、吐水流路182と連通している。ボディシャワー本体55は、本体ボデ
ィ11内部に上下方向に移動可能に収められており、本体ボディ11の開けられた開口窓
30から、ボディシャワー散水部53が突出している。尚、開口窓30を通って本体ボデ
ィ11内への湯水の浸入を防ぐために、適宜、ボディシャワー本体55と本体ボディ11
の間にシール材が設けられたり、開口窓30にカバーが設けられたりする。また、ボディ
シャワー散水部53は、ボディシャワー本体55に対して、ボディシャワー散水口54の
散水向きを変えるよう、手動で動かせるようにしてもよい。
【0026】
こうして、第二管路28に送られた湯水は、駆動部100の内部を通ってボディシャワ
ー管路52に導かれ、ボディシャワー散水口54から外部に放出される。このとき、ボデ
ィシャワー部51は、駆動部100の動作により、中子120および吐水筒体180に連
動して鉛直方向に往復直線運動(矢印M)をすることができる(詳細は後述する)。すな
わち、ボディシャワー散水口54から湯水を散水しつつ、ボディシャワー散水口54の位
置を上下に自動的に往復運動させることができる。
【0027】
第三管路29は、駆動部200に通じており、駆動部200に通じているオーバーヘッ
ドシャワー部61に湯水を送る管路である。第三管路29は、二股に分岐して後述する駆
動部200の二つの入水口212、214にそれぞれ通じている。
【0028】
駆動部200は、駆動部支持リブ32を介して、本体ボディ11の内部に固定されてい
る。このとき、本体ボディ11の中心鉛直軸901と駆動部200の中子回動軸902は
一致するよう固定されている。駆動部200の詳細については後述するが、ハウジング2
02内部を中子回動軸902を軸として回動可能な中子220を有しており、中子220
に連結されハウジング202の外部に突出している吐水筒体280を有している。また、
中子220には中子内流路224が、吐水筒体280には吐水流路282が設けられてい
る。入水口212、214からハウジング202内に導入された湯水は、中子内流路22
4を通って、吐水流路282へ送られる。このとき、中子220および吐水筒体280は
、中子回動軸902を軸として往復回動運動する。
【0029】
オーバーヘッドシャワー部61は、内部にオーバーヘッドシャワー管路62を有するオ
ーバーヘッドシャワー本体65と、複数のオーバーヘッドシャワー散水口64を有するオ
ーバーヘッドシャワー散水部63を有する。尚、本実施例の場合、オーバーヘッドシャワ
ー散水部63は、同心円上に3ヶ並んで設けられている。そして、オーバーヘッドシャワ
ー本体65は、吐水筒体280と連結されており、オーバーヘッドシャワー管路62は、
吐水流路282と連通している。オーバーヘッドシャワー本体65は、本体ボディ11の
上端部に蓋をするように設けられ、中心鉛直軸901を軸として回動可能に設けられてい
る。本体ボディ11の上端部から本体ボディ11内への湯水の浸入を防ぐために、適宜、
オーバーヘッドシャワー本体65と本体ボディ11の間にシール材が設けられたり、カバ
ーが設けられたりする。また、オーバーヘッドシャワー散水部63は、オーバーヘッドシ
ャワー本体65に対して、オーバーヘッドシャワー散水口64の散水向きを変えるよう、
手動で動かせるようにしてもよい。
【0030】
こうして、第三管路29に送られた湯水は、駆動部200の内部を通ってオーバーヘッ
ドシャワー管路62に導かれ、オーバーヘッドシャワー散水口63から外部に放出される
。このとき、オーバーヘッドシャワー部61は、駆動部200の動作により、中子220
および吐水筒体280に連動して本体ボディ11の中心鉛直軸901を軸とした往復回動
運動(矢印R)をすることができる(詳細は後述する)。尚、図2において、駆動部20
0によるオーバーヘッドシャワー部61の動作は、便宜上、鉛直方向に回動しているよう
に図示されているが、実際は図3のように、水平方向に回動する。
【0031】
上述した構成により、ハンドシャワー部41からの通常のシャワー散水と、ボディシャ
ワー部51からの上下方向に往復移動するシャワー散水と、オーバーヘッドシャワー部6
1からの中心鉛直軸901を軸とした往復回動運動をするシャワー散水を得ることができ
る。
【0032】
ボディシャワー部51からのシャワー散水は、使用者の側方から散水されるものである
が、上下方向(M方向)の往復直線運動により、身体の広範囲に散水することが可能とな
り、洗浄範囲が広範囲となるとともに、使用者は手放しでシャワーを効率的に浴びること
ができる。また、周期的に往復移動することから、身体に対してシャワー散水が作用する
場所が変化し、単調にならず心地よさが増しマッサージ感が向上する。
【0033】
オーバーヘッドシャワー部61からのシャワー散水は、使用者の頭上から降り注ぐもの
であるが、中心鉛直軸901を軸としたR方向の往復回動運動により、広範囲に降り注ぐ
ことが可能となり、洗浄範囲が広範囲となるとともに、使用者は手放しでシャワーを効率
的に浴びることができる。また、周期的に往復回動することから、身体に対してシャワー
散水が作用する場所が変化し、単調にならず心地よさが増しマッサージ感が向上するとと
もに、使用者が自ら身を揺すって作用部位を変化させる必要が無く、使用感が向上する。
【0034】
このようなシャワー装置1を利用する場合、使用者は、温調操作部16を操作して湯温
を設定し、切替操作部18を操作して散水するシャワー部を設定し、そして流調操作部1
7を操作してシャワー散水を開始する。そしてシャワー散水を浴びながら更に各操作部を
操作して好みの状態に調整する。尚、切替操作部18による切替動作は、ハンドシャワー
部41、ボディシャワー部51、オーバーヘッドシャワー部61、それぞれからのシャワ
ー散水を、択一的に切替るようにしてもよいし、また組み合わせて同時に散水できるよう
に切替るようにしてもよい。
【0035】
そして以下に述べる本発明のシャワー装置の駆動部により、このようなシャワー散水部
の往復動作をシャワー散水に用いられる湯水を用いて実現し、捨て水がなくコンパクト且
つシンプルな構造のシャワー装置を実現している。
【0036】
以下、本実施形態の駆動部100の構造および動作について詳細に説明する。
図6乃至図9は、本実施形態の駆動部100の動作メカニズムを説明するための模式図で
ある。尚、便宜上、駆動部100は横向きにしてあり、中子120及び吐水筒体180は
紙面左右方向に往復移動可能となっている。
【0037】
駆動部100は、ハウジング102と、ハウジング102から突出した吐水筒体180
と、を有する。そして、吐水筒体180の中には吐水流路182が設けられている。ハウ
ジング102には、2つの入水口112、114が設けられている。これら入水口112
、114を並列に接続し、湯水をこれら入水口112、114にほぼ同圧に供給すると、
吐水筒体180が矢印Mで表したように、左右に往復運動をしながら、吐水流路182か
ら吐水を外部に送り出す。
【0038】
駆動部100は、ハウジング102の中に移動可能に設けられた中子(なかご)120
を有する。ハウジング102の内部は、中子120によって第1の圧力室116と第2の
圧力室118とに分割されている。中子120は中空構造を有し、その中空空間は、吐水
筒体180に設けられた吐水流路182と連通した中子内流路124を構成している。ま
た、中子内流路124は、導入口132、134を介してそれぞれ圧力室116、118
と連通する。
【0039】
中子120には、導入口132、134の開度を変化させる弁体142、144が設け
られている。また、中子120には、これら弁体142、144を制御する制御手段が設
けられている。制御手段によって導入口132、134の開度に差を設けることにより、
入水口から中子内流路124に至る左右の流路の流路抵抗を異ならせ、これにより左右の
圧力室116、118に生ずる圧力差を利用して中子120を移動させることができる。
【0040】
図6に表した状態においては、制御手段は弁体142、144をそれぞれ右端に付勢さ
れた状態とし、中子120の右側に湯水の導入口134が開かれている。従って、入水口
114から供給された湯水は、圧力室118から矢印Cで表した経路で中子120の中子
内流路124に流入し、吐水筒体180に設けられた吐水流路182を通って矢印Dで表
したように流出する。一方、ハウジングの入水口112から供給された湯水は流出経路が
なく、圧力室116の圧力は圧力室118の圧力よりも高くなる。その結果として、中子
120は矢印Mの方向に動く。
【0041】
図10は、導入口132、134の開度に差を設けることの作用効果を説明するための
模式図である。
図10(a)に例示したように、弁体142、144が中立的な状態にあり、導入口1
32、134の開度がほぼ同一の状態においては、これら導入口132、134を介した
流路の流路抵抗もほぼ同一となるので、中子120の左右で圧力差は生じない。従って、
何らかの外力が作用しないと中子120は動かない。
【0042】
これに対して、図10(b)に例示したように、弁体142、144が中立的な状態か
ら外れて導入口132、134の開度に差が生ずると、流路抵抗にも差が生ずるために、
中子120の左右で圧力差が生ずる。
【0043】
なお、本願明細書において、導入口の「開度」とは、導入口と弁体との間を流れる湯水
の流路抵抗を決定するパラメータであるものとする。例えば、図10(b)に表した状態
においては、導入口132と弁体142との間に形成される流路の流路抵抗は、導入口1
34と弁体144との間に形成される流路の流路抵抗よりも大きい。この場合、導入口1
32の開度は、導入口134の開度よりも小さいものとする。
図10(b)に表した具体例の場合には、導入口134の開度が導入口132の開度よ
りも大きいので、導入口132を介した流路のほうが流路抵抗が大きくなる。その結果と
して、中子120の左側のほうが右側よりも圧力が高くなる。その結果として、中子12
0及び弁体142に圧力差による力がそれぞれ作用する。
【0044】
従って、中子120にかかる力が摺動抵抗を上回る時には、中子120は右側に動くこ
ととなる。また一方、弁体142も中子120に対して移動可動であるので、弁体142
にかかる力が弁体142の摺動抵抗を上回る時には、弁体142が中子120に対して相
対的に右側に移動する。弁体142が右側に移動すると導入口132を介する流路抵抗が
ますます大きくなるために圧力差が拡大する。つまり、中子120及び弁142にかかる
それぞれの力は増加することとなり、中子120と弁体142の移動が促進される。
そして遂には、図10(c)に表したように、導入口132が全閉状態となる。この時
、左右の流路抵抗の差が最も大きい状態となり、中子120及び弁体142には、最大の
圧力差に対応した力がそれぞれ作用する。
【0045】
以上説明したように、本発明の本実施形態の駆動部100において中子120を動かす
ためには、導入口132、134の開度に差を設けて移動に必要な圧力差を生じさせれば
よい。このとき、導入口の一方を開状態、他方を閉状態とすることで最大の圧力差が得ら
れ、最も確実且つ安定的な移動力が得られる。
【0046】
再び図7に戻って説明を続けると、同図に表したように中子120がハウジング102
内をその移動ストロークの右端または右端近傍まで動くと、制御手段の制御によって、弁
体142、144が左側に移動する。すると、中子120の右側の導入口134は閉じら
れ、左側の導入口132が開かれる。この状態においては、入水口112から供給された
湯水は矢印Cで表したように圧力室116から導入口132を介して中子120の中子内
流路124に流入し、矢印Dで表したように吐水筒体180から流出する。一方、入水口
114から供給された湯水は流出経路がなく、圧力室118の圧力は圧力室116の圧力
に比べて高くなる。その結果として、中子120は、図5及び図6に矢印Mで表したよう
に左方向に動く。
【0047】
中子120が左側に動き続け、図9に表したように、ハウジング102の左端または左
端近傍に至ると、制御手段の制御によって、弁体142、144が右側に移動する。する
と、図6に関して前述したように、中子120の左側の導入口132が閉じて右側の導入
口134が開く。その結果として、圧力室116の圧力が圧力室118に比べて高くなり
中子120は矢印Mで表したように右側に動く。この後、図6乃至図9に関して前述した
動作を繰り返すことにより、中子120は、ハウジング102の中を左右に反復して動き
続ける。
【0048】
以下、本実施形態のシャワー装置1の駆動部100の構造について、具体例を参照しつ
つさらに詳細に説明する。
図11は、本具体例の駆動部100の斜視図であり、図12は、その斜視切断図、図1
3は、断面図、図14は、図13のA-A線断面図である。
本具体例の駆動部100は、ハウジング本体103とハウジング蓋104により形成さ
れるハウジング102から吐水筒体180が突出した例を有する。吐水筒体180は、内
部に吐水流路182を有する中空構造となっており、先端にて開口している。なお、吐水
筒体180は、必ずしも円柱状である必要はなく、角柱状や偏平形状など、各種の形状を
与えることができる。
【0049】
ハウジング本体103に設けられた入水口112、114に湯水を導入すると、左右に
突出した吐水筒体180が矢印Mの方向に往復直線運動をする。
【0050】
その内部構造について説明すると、図12乃至図14に表したように、ハウジング本体
103及びハウジング蓋104により形成されるハウジング102内部の筒状の空間に、
中子本体121と中子蓋122とからなる中子120が移動可能に収容されている。中子
120は、ハウジング102から突出する吐水筒体180に連結され、ハウジング102
内部の筒状の空間を第1の圧力室116と第2の圧力室118とに分割してピストンのよ
うに動く。これら圧力室116、118のそれぞれには、入水口112、114からそれ
ぞれ湯水が導入される。中子120とハウジング102の内壁との摺動部には、液密を維
持しつつ摺動を円滑にするためのシール126が設けられている。また、吐水筒体180
とハウジング102との摺動部にも、同様の目的でシール184が設けられている。これ
らシール126、184の材料は、液密を維持しつつ摺動を円滑にするものであり、例え
ば、テフロン(登録商標)、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴ
ム)やPOM(ポリアセタール)などを用いることができる。なお、ここでいう「液密」
とは、左右の圧力室に圧力差を生じさせるに足る状態を確保できればよい。
【0051】
次に、中子120の構造について説明する。
中子本体121に中子蓋122を組合せることにより中子内流路124が形成され、こ
の中子内流路124は、吐水筒体180に設けられた吐水流路182に連通している。中
子本体121及び中子蓋122には、中子内流路124と圧力室116、118とを連通
させる導入口132、134が設けられている。
【0052】
そして、本具体例においては、制御手段として板ばね160とスライドバー146、1
48とが中子120に設けられている。スライドバー146、148は、主弁と共に、中
子内流路124を横断するように設けられている。
【0053】
図15は、これら主弁及びスライドバーを表す斜視図である。
左右の主弁142、144は連結棒149により連結され、中子本体121及び中子蓋
122に設けられた導入口132、134を貫通して左右に移動可能に設置されている。
つまり、弁体としての主弁142、144は、中子120に対して、所定のストロークで
左右に移動可能に設置されている。主弁142、144にはリブ143が形成されており
、主弁142、144が導入口132、134に対して同軸に移動するように構成されて
いる。主弁142、144がそれぞれ中子120から離れる方向に移動すると、これらリ
ブ143の間に設けられている溝部145が導入口132、134の開口部となり湯水の
流路を形成する。そして、これら主弁142、144を同軸状に貫通するスライドバー1
46、148が、やはり左右に移動可能に設置されている。つまり、スライドバー146
、148は、主弁142、144の動作ストロークよりも長いストロークで左右に移動可
能に設置されている。
【0054】
図13乃至図14に例示したように、主弁146が中子120から離れる方向に移動す
ると導入口132が開かれる。一方、これとは逆に、主弁144が中子120から離れる
方向に移動すると導入口134が開かれる。
これら導入口132、134は、いずれも中子内流路124に連通している。つまり、
導入口132は、ハウジング内の圧力室116と中子内流路124とを連通させ、導入口
134は、圧力室118と中子内流路124とを連通させる。
【0055】
そして、これら導入口132、134の開度を変化させる主弁142、144の動作は
、同軸に設置されたスライドバー146、148により決定される。すなわち、図14に
表したように、左右のスライドバー146、148は圧縮された板ばね160をはさんで
連結され、板ばね160の湾曲方向に応じて右端あるいは左端に向けた付勢力を受ける。
尚、板ばね160は、その両端が中子120に支持されており、スライドバー146、
148は、板ばね160を介して中子120に対して相対的に移動する。主弁142、1
44は、スライドバー146、148からこの付勢力を受けて、導入口132、134を
全開状態あるいは全閉状態の択一的な状態にする。すなわち、スライドバー146、14
8と板ばね160が制御手段として作用し、弁体である主弁142、144を制御する。
【0056】
以下、本具体例の駆動部の動作について説明する。
図16は、本具体例の駆動部の往復動作を表す模式図である。
すなわち、図16(a)は、スライドバー146、148が板ばね160の作用により向
かって右側に向けて付勢された状態を表す。この時、主弁142、144もスライドバー
146により右側に向けて付勢されるので、導入口132は閉じ、導入口134が開いた
状態が形成される。
【0057】
この状態で入水口112、114にほぼ同圧に湯水を供給すると、矢印Bで表したよう
に入水口114から圧力室118に導入された湯水は、矢印Cで表したように導入口13
4から中子内流路124に流入し、吐水流路182を介して矢印Dで表したように流出す
る。
これに対して、矢印Aで表したように入水口112から圧力室116に導入された湯水
は、導入口132が閉じているために流出経路がなく、圧力室116の圧力は圧力室11
8の圧力に比べて高くなる。つまり、導入口132、134の開度に差を設けることによ
り流路抵抗に差が生じ圧力差が生ずる。その結果として、中子120は矢印Mの方向に押
されて移動する。
【0058】
なお、中子120が矢印Mの方向に移動すると、圧力室116の容積が増大し、その分
だけ圧力室118の容積が縮小する。このため、矢印Aの経路による圧力室116への湯
水の流入量の分、圧力室118内の湯水も押し出され、流路182から流出する湯水の吐
水量に含まれることとなる。
【0059】
図16(a)に表した状態から中子120が矢印Mの方向にさらに移動を続け、スライ
ドバー148がハウジング102の内壁に当接し、中子に対して押されると、板ばね16
0の湾曲方向が反転し、図16(b)に表したように、スライドバー146、148は、
向かって左側に向けて付勢される。すると、スライドバー148が主弁144を押すこと
により、主弁142、144も左側に移動する。すなわち、導入口132が開き、導入口
134が閉じる。
図16(b)に表した状態においては、矢印Aで表したように入水口112から圧力室
116に導入された湯水は、矢印Cで表したように、導入口132から中子内流路124
に流入し、吐水流路182を介して矢印Dで表したように流出する。これに対して、矢印
Bで表したように、入水口114から圧力室118に導入された湯水は、導入口134が
閉じているために流出経路がなく、圧力室118の圧力は圧力室116の圧力に比べて高
くなる。その結果として、圧力室116、118に圧力差が生じ、中子120は矢印Mで
表したように左側に向けて移動を開始する。
【0060】
中子120が移動を続けると、図16(c)に表したように、スライドバー146がハ
ウジング102の内壁に当接する位置まで移動する。この状態からさらに中子120が移
動し、スライドバー146が中子120に対して押されることにより、板ばね160の湾
曲方向が反転して、右側に付勢される。すると、図16(a)に表した状態と同様に、導
入口132が閉じて導入口134が開いた状態となり、中子120は右側に向けて移動を
開始する。
【0061】
以上説明したように、本具体例によれば、中子120に弁体としての主弁142、14
4と、スライドバー146、148及び板ばね160からなる制御手段を設けることによ
り、中子120の移動に応じて導入口132、134の開度差の大小関係を適宜逆転させ
、中子120を左右に反復的に動作させることができる。本具体例における中子120の
往復運動のストロークは、ハウジング102の内部空間の長さと、中子120の厚み(幅
)と、により適宜設定できる。
【0062】
次に、本具体例における制御手段の作用についてさらに詳しく説明する。
図17は、本実施例における制御手段の動作を説明するための模式図である。
すなわち、図17(a)は、板ばね160が向かって右側に湾曲してスライドバー14
6、148をこの方向に付勢している状態を表す。この時、主弁142により導入口13
2は閉じ、主弁144により導入口134は開いた状態とされる。
さて、この状態で中子120が向かって右側に移動していくと、同図(a)に表したよ
うにハウジング102の内壁にスライドバー148が当接する。中子120には圧力差が
働いているため、スライドバー148をハウジング内壁に当接した状態で、中子120は
さらに右に移動し、図17(b)に表した状態になる。すなわち、板ばね160の付勢力
に打ち勝って中子120とスライドバー148との相対位置を変化させ、中子120に対
してスライドバー148が押される。この結果、板ばね160も左側に押されて変形し、
同図に例示したような略S字状の状態となる。このとき、主弁142、144には中子1
20と同様に圧力差が働いており、導入口132、134の開閉状態を変化させない。
【0063】
この後、中子120がさらに移動することにより、中子120に対してスライドバー1
48がさらに押されると、図17(c)に表したように、板ばね160の湾曲方向が左側
に反転を開始し、スライドバー146、148を左側に付勢する。
【0064】
すると、図17(d)に表したように、板ばね160の付勢力によって主弁142、1
44が左側に移動し、導入口132が全開となり導入口134が全閉の状態となる。
【0065】
以上説明したように、本具体例においては、圧縮した板ばね160の湾曲方向をスライ
ドバー146、148により適宜反転させ、その付勢力を利用して主弁142、144を
動作させることにより導入口132、134を全開及び全閉のいずれかの状態に択一的に
制御する。つまり、板ばね160の付勢力を利用することで、中子120の反転のために
左右の導入口132、134の開度差を確実に形成している。
【0066】
スライドバー146、148を介して主弁142、144を制御する本具体例の機構は
、本実施例の吐水装置の円滑な動作に対して極めて重要な役割を有する。すなわち、圧縮
された板ばね160は、右側あるいは左側に湾曲した状態が安定状態であるが、図17(
b)に表したようにこれら安定状態の中間付近において、準安定な中立状態となる場合が
ある。つまり、この状態において、板ばね160には、左あるいは右への付勢力があまり
発生しない。従って、この状態において、仮に導入口132、134の開度がほぼ同一の
状態となると、中子の両側の導入口132、134から湯水が流入するために圧力差が無
くなり、中子120の移動が停止してしまう。つまり、主弁142、144の動作開始の
タイミングが板ばね160の反転のタイミングよりも早いと、中子120の動作が停止し
てしまうことがある。
【0067】
これに対して、本具体例によれば、スライドバー146、148を設け、そのストロー
クを適宜調整することにより、図17(b)のような準安定な中立状態においては、主弁
142、144がまだ移動せず、中子120に圧力がかかって動き続ける状態を維持でき
る。そして、この中立状態を越えて板ばね160が反転を開始した時に主弁142、14
4が移動を始めるようにすることができる。つまり、主弁142、142の動作開始のタ
イミングを、板ばね160の反転のタイミングに同期させることができる。
【0068】
言い換えれば、中子120を移動させるに足る開度差がなくなる前に板ばね160を反
転させ、その反転力(付勢力)によりスライドバー146、148を介して主弁142、
144を移動させ、導入口132、134の開度差を、中子120を逆方向に移動させる
に足る開度差に逆転させることができる。
【0069】
このようにすれば、板ばね160が中立状態の時に導入口132、134の開度がほぼ
等しい状態となり中子120が停止してしまう、という問題を解消して、円滑な反復運動
を実現できる。
【0070】
また、このようにすると、中子120がその移動ストロークの中間付近などに停止して
いる状態からシャワー散水を開始させるような場合においても、シャワー散水開始時に板
ばね160により主弁142、144を制御して導入口132、134のいずれかが択一
的に開かれた状態にあり、中子120の両側に圧力差を形成させて安定した初期動作を開
始させることができる。つまり、導入口132の開度よりも導入口134の開度が大なる
状態と、導入口134の開度よりも導入口132の開度が大なる状態と、を択一的に保持
可能とすることができる。
【0071】
以上説明したように、本具体例においては、中子120の移動方向と、主弁142、1
44の可動方向、スライドバー146、148の可動方向、板ばね160の付勢方向を略
同一とすることにより、力の働き方に無駄がなく、受圧面積の大きな中子の移動力を有効
に活用でき、円滑かつ安定した動作が可能となる。つまり、中子120の移動動作と開度
制御動作とを連動させることにより、中子120の反転のための導入口132、134の
開度の大小関係を逆転させる制御動作を確実且つ容易なものとし、シンプルでコンパクト
な弁体と制御手段を実現している。
【0072】
なお、図11乃至図17に表した具体例の場合、中子120の反転に際して、スライド
バー146、148をハウジング102の内壁に当接させているが、本発明はこれに限定
されない。例えば、スライドバー146、148に磁石を設け、一方、ハウジング102
の内壁にも磁石を設け、これらの間に作用する反発力を利用してスライドバー146、1
48をハウジング102に対して相対的に停止させることも可能である。つまりこの場合
には、図17(a)乃至(c)に対応する状態において、スライドバー146、148が
ハウジング102の内壁に当接せず、磁石(図示せず)の反発力によりハウジング102
の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることとなる。このようにすれば、非接触で中
子120の反転が可能となる。
【0073】
本実施形態の駆動部100の往復直線動作において得られる推力は、中子120に負荷
される湯水の圧力と中子の受圧面積との積により決定される。従って、中子120の受圧
面積を増加させれば、それに応じた大きな推力を得ることが可能となる。
【0074】
また、図12乃至図14においては、ハウジング内に設けられた略円筒状の空間に円形
の中子120を収容した具体例を表したが、本発明はこれには限定されない。例えば、ハ
ウジング120の内部空間は、角柱状でも偏平柱状でもよく、中子120もこれら形状に
合わせて各種の形状とすることができる。
【0075】
また、吐水筒体180の外周形状も円形である必要はなく、多角形状や偏平形状であっ
てもよい。またさらに、吐水筒体180は中子120の中心に設ける必要はなく、中子1
20の中心から偏心させて設けてもよい。このようにすれば、中子120の小型化が容易
であり、駆動部100を小型化できる。
【0076】
なお、本具体例の如くハウジング120の内部空間を円柱状とし、吐水筒体180を円
筒状の中子120の中心に設けた場合には、吐水筒体180を回転できる。このようにす
れば、中子120の往復直線運動によってシャワー散水位置を反復的に変化させることが
できると同時に、シャワー散水方向を変化させることも可能である。例えば、図4におい
ては、ボディシャワー部51を回転させ、ボディシャワー散水口54の散水方向を変化さ
せることができる。
【0077】
ところで、本発明においては、中子120の反転のための導入口132、134の開度
の大小関係を逆転させる制御手段として、板バネとスライドバーとを利用する方法の他に
も、例えば、磁石を利用する方法もある。
【0078】
図18は、磁石によって中子120の反転動作を制御するメカニズムを説明するための
模式図である。
すなわち、図18(a)は、中子120が向かって左側から右側に向けて移動し、ハウ
ジング102の内壁に弁体144が当接した状態を表す。なお、この具体例の場合、中子
120には磁石170が設けられ、ハウジング102には磁石(または強磁性体)174
が設けられている。図18(a)の状態においては、中子120に対して圧力差による力
が働くので、中子120はさらに右側に移動する。すなわち、弁体144をハウジング1
02に当接させ移動方向に対して固定した状態で、中子120はさらに右側に移動する。
【0079】
すると遂には図18(b)に表した状態になる。この状態においては、導入口132、
134の開度はほぼ同一であるので、流路抵抗の差による圧力差は生じない。しかしこの
時、磁石170と磁石(または強磁性体)174との間に作用する引力によって中子12
0をさらに右側に引き寄せることが可能である。
【0080】
尚この場合、中子120の摺動抵抗の値によっては、図18(b)に表した状態になる
前に中子120が停止することもあり得る。このような場合には、図18(a)と図18
(b)の間の状態において磁石170と磁石(または強磁性体)174との間に作用する
引力により中子120を引き寄せることが望ましい。
【0081】
さて、図18(b)に表した状態から中子120が磁石の引力によって右側に引き寄せ
られると、図18(c)に表したように導入口132の開度が導入口134の開度よりも
大きい状態が形成される。すると、これら導入口132、134の流路抵抗に差が生じ、
圧力差が生ずる。すなわち、中子120の右側の圧力のほうが高くなり、中子120は向
かって左側に動き始める。つまり、導入口132、134の開度差の大小関係を逆転させ
ることにより、中子120を反転させることが可能となる。
【0082】
またこの時、図10に関して前述したように、圧力差は弁体144にも作用し、弁体1
44を閉じる方向の力が働く。その結果として、図18(d)に表したように、弁体14
4が完全に閉じられ、中子120の右側の圧力は最大値に上昇する。つまり、中子120
を反転させた後、左側への最大の駆動力が得られる。
【0083】
以上説明したように、磁石170と磁石(または強磁性体)174との間に作用する引
力によって、中子120を図18(c)に表した状態まで引き寄せることができれば、導
入口132、134の開度差の大小関係を逆転させることができ、中子120を反転させ
ることができる。つまり、中子120をハウジング102の中で往復直線運動させること
ができる。
【0084】
尚、この場合、反転後に中子120が磁石の引力に打ち勝って移動する必要がある。つ
まり、圧力差により中子120に作用する力と、磁石により得られる引力とのバランスを
適宜設定することが望ましい。
【0085】
また、図18に表した具体例の場合、弁体142、144の表面(ハウジング102との
当接面)は曲面状に突出し、ハウジング102に当接した状態でも隙間が生ずるようにし
ている。このように、ハウジング102への当接面積を小さくすることによって、弁体が
受ける圧力差を有効に活用でき、開度の大小を逆転させるという弁体の反転動作を円滑に
行うことができる。
【0086】
また、図18に表した具体例の場合、中子120の反転に際して、弁体142、144
をハウジング102の内壁に当接させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
弁体142、144に磁石を設け、一方、ハウジング102の内壁にも磁石を設け、これ
らの間に作用する反発力を利用して弁体142、144をハウジング2に対して相対的に
停止させることも可能である。つまりこの場合には、図18(a)乃至(c)に対応する
状態において、弁体142、144がハウジング102の内壁に当接せず、磁石(図示せ
ず)の反発力によりハウジング102の内壁から所定の距離だけ離れた状態にあることと
なる。このようにすれば、非接触で中子を反転させることができる。
【0087】
以上説明したように、中子120を動かすためには、導入口132、134の開度に差
を設けて移動に必要な圧力差を生じさせればよい。また同様に、中子120の移動方向を
反転させる際にも、制御手段によって、導入口132、134の開度の大小関係を逆転さ
せればよい。例えば、導入口132及び134の開度の比率を制御手段によって、70:
30から30:70に変化させることにより、反転動作が可能である。またさらに、制御
手段によって、開度を100:0から0:100に変化させれば、最も確実且つ安定的反
転動作が可能となる。
【0088】
本実施形態の駆動部100によれば、ハウジング102に収容した中子に弁体142、
144と制御手段を設け、両側の圧力室に湯水を供給することにより、中子120を往復
運動させることができる。このとき、中子120の移動方向と弁体142、144の可動
方向とを略同一とすることにより、中子120の移動動作と開度制御動作とを連動させ、
中子120の反転のための導入口132、134の開度の大小関係を逆転させるという弁
体の反転動作を確実且つ容易なものとし、シンプルでコンパクトな弁体と制御手段を実現
している。
【0089】
図19は、駆動部100の変型例を表す模式断面図である。
同図については、図11乃至図14に関して前述したものと同様の要素には同一の符号
を付して詳細な説明は省略する。
本変型例の駆動部100aにおいては、吐水筒体180が中子120の両側に設けられ
ている。すなわち、吐水筒体180は、ハウジング102の両側から突出している。これ
ら一対の吐水筒体180は、それぞれ吐水しながら同一方向に同期して往復運動をする。
本変型例は、両端から散水を得たい場合に特に便利である。例えば、ボディシャワー部5
1をボディ本体11の上下二箇所に配置し、より広範囲に対して往復運動するシャワー散
水を同時に作用させることができる。
【0090】
次に、本実施形態のシャワー装置1の駆動部200の構造と動作について、詳細に説明
する。
図20乃至図24は、本実施形態の駆動部200の要部を表す模式図である。すなわち
、図20は、本実施例の駆動部200の斜視図であり、図21は、その斜視切断図、図2
2は、底面側から眺めた斜視図及び切断図、図23は、縦断面図、図24は、図23のB
-B線断面図である。
【0091】
本実施形態の駆動部200は、ハウジング本体203とハウジング蓋204、205に
より形成されるハウジング202から一方に吐水筒体280が突出した例を有する。吐水
筒体280は、内部に吐水流路282を有する中空構造となっており、先端にて開口して
いる。ハウジング202に設けられた入水口212、214に湯水を導入すると、吐水筒
体280が矢印Rの方向に往復回動運動をする。
【0092】
その内部構造について説明すると、図21乃至図24に表したように、ハウジング本体
203及びハウジング蓋204、205により形成されるハウジング202内部の扇状の
空間に、中子本体221と中子蓋222とからなる中子220が中子回動軸902を中心
軸として回動可能に収容されている。中子220は、ハウジング蓋204を貫通する吐水
筒体280と連結され、ハウジング202内部の扇状の空間を第1の圧力室216と第2
の圧力室218に分割して回動する。これら圧力室216、218のそれぞれには、入水
口212、214からそれぞれ湯水が導入される。中子220とハウジング202の内壁
との摺動部には、液密を維持しつつ摺動を円滑にするためのシール227が設けられてい
る。また、吐水筒体280とハウジング202との摺動部にも、同様の目的でシール22
6が設けられている。これらシール227、226の材料も、液密を維持しつつ摺動を円
滑にするものであり、例えば、テフロン(登録商標)、NBR(ニトリルゴム)、EPD
M(エチレンプロピレンゴム)やPOM(ポリアセタール)などを用いることができる。
なお、ここでいう「液密」とは、左右の圧力室に圧力差を生じさせるに足る状態を確保で
きればよい。
【0093】
次に、中子220の構造について説明する。
本実施形態においても、中子220は、前述した駆動部100と同様の弁体と制御手段
とを備える。中子220の中には中子内流路224が形成され、この中子内流路224は
、吐水筒体280に設けられた吐水流路282に連通している。中子220には、中子内
流路224と圧力室216、218とを連通させる導入口232、234が設けられてい
る。そして、この中子内流路224を横断するように、主弁242、244、スライドバ
ー246、248が設けられている。これら主弁及びスライドバーの形状は、図15に関
して前述した如くである。また、これら要素からなる弁体と制御手段の動作についても、
駆動部100に関して前述したものと同様である。
【0094】
すなわち、板ばね260は、その両端が中子220に支持されており、スライドバー2
46、248は、板ばね260を介して中子220に対して相対的に移動する。そして、
導入口232、234の開度を変化させる主弁242、244の動作は、同軸に設置され
たスライドバー246、248により決定される。板ばね260の湾曲方向に応じてスラ
イドバー246、248は付勢力を受け、結果、主弁242、244は、スライドバー2
46、248からこの付勢力を受けて、導入口232、234を全開状態あるいは全閉状
態の択一的な状態に制御する。
【0095】
以下、駆動部200の動作について説明する。
図25は、駆動部200の動作を説明するための模式図である。
【0096】
まず、図25(a)は、スライドバー246、248が板ばね260の作用により向か
って左側に向けて付勢された状態を表す。この時、主弁242、244もスライドバー2
46により左側に向けて付勢されるので、導入口232は閉じ、導入口234が開いた状
態が形成される。
【0097】
この状態で入水口212、214にほぼ同圧に湯水を供給すると、矢印Aで表したよう
に入水口214から圧力室218に導入された湯水は、矢印Cで表したように導入口23
4から中子内流路224に流入し、矢印Dで表したように吐水流路282を介して流出す
る。
これに対して、矢印Bで表したように入水口212から圧力室216に導入された湯水
は、導入口232が閉じているために流出経路がなく、圧力室216の圧力は圧力室21
8の圧力より高くなる。つまり、導入口232、234の開度に差を設けることにより流
路抵抗に差が生じ圧力差が生ずる。その結果として、中子220は矢印Rの方向に押され
て回動する。
【0098】
尚、中子220が矢印Rの方向に回動すると、圧力室216の容積が増大し、その分だ
け圧力室218の容積が縮小する。このため、矢印Bの経路による圧力室216への湯水
の流入量の分、圧力室218内の湯水も押し出され、流路282から流出する湯水の吐水
量に含まれることとなる。
【0099】
そしてさらに中子220が回動を続け、スライドバー248がハウジング202の内壁
に当接し、中子220に対して押されると、板ばね260の湾曲方向が反転し、図25(
b)に表したように、スライドバー246、248は、反対側に向けて付勢される。する
と、スライドバー248が主弁244を押すことにより、主弁242、244も右側(向
かって時計回り方向)に移動する。すなわち、導入口232が開き、導入口234が閉じ
る。図25(b)に表した状態においては、矢印Bで表したように入水口212から圧力
室216に導入された湯水は、矢印Cで表したように、導入口232から中子内流路22
4に流入し、矢印Dで表したように吐水流路282を介して流出する。これに対して、矢
印Aで表したように、入水口214から圧力室218に導入された湯水は、導入口234
が閉じているために流出経路がなく、圧力室218の圧力は圧力室216の圧力より高く
なる。こうして、圧力室216、218に圧力差が生じ、中子220は矢印Rで表したよ
うに右側に向けて回動を開始する。
【0100】
中子220がさらに回動すると、図25(c)に表したように、スライドバー246が
ハウジング202の内壁に当接する位置まで移動する。この状態からさらに中子220が
移動し、スライドバー246が中子220に対して押されることにより、板ばね260の
湾曲方向が反転して、反対側に付勢される。すると、図25(a)に表した状態と同様に
、導入口232が閉じて導入口234が開いた状態となり、中子220は左側に向けて回
動を開始する。
【0101】
以上説明したように、駆動部200においても、中子220に主弁242、244から
なる弁体と、板ばね260とスライドバー246、248からなる制御手段とを設けるこ
とにより、中子220の回動に応じて導入口の開度差の大小関係を適宜逆転させ、中子2
20を左右に反復的に動作させることができる。尚、駆動部200においても、図17に
関して前述したように、主弁242、242の反転動作開始のタイミングを、板ばね26
0の反転のタイミングに同期させることができる。このようにすれば、板ばね260が中
立状態の時に主弁242、244の開度がほぼ等しい状態となり中子220が停止してし
まう、という問題を解消して、円滑な反復運動を実現できる。
【0102】
言い換えれば、中子220を移動させるに足る開度差がなくなる前に板ばね260を反
転させ、その反転力(付勢力)によりスライドバー246、248を介して主弁242、
244を移動させ、導入口232、234の開度差を、中子220を逆方向に移動させる
に足る開度差に逆転させることができる。
【0103】
駆動部200においても、中子220の回動方向と、主弁242、244の可動方向、
スライドバー246、248の可動方向、板ばね260の付勢方向を略同一とすることに
より、力の働き方に無駄がなく、受圧面積の大きな中子の移動力を有効に活用でき、円滑
かつ安定した動作が可能となる。つまり、中子220がハウジング202に内壁に接近し
た時、中子220の動く方向と、主弁242、244の可動方向、板ばね260の付勢方
向、スライドバー246、248の可動方向とを略同一とすることにより、中子220の
回動動作と開度制御動作とを連動させる、中子220の反転のための導入口232、23
4の開度の大小関係の反転動作を確実且つ容易なものとし、シンプルでコンパクトな弁体
と制御手段を実現している。
【0104】
また、このようにすると、中子220がその回動ストロークの中間付近などに停止して
いる状態からシャワー散水を開始させるような場合においても、シャワー散水開始時に板
ばね260により主弁242、244を制御して導入口232、234のいずれかが択一
的に開かれた状態にあり、中子220の両側に圧力差を形成させて安定した初期動作を開
始させることができる。つまり、導入口232の開度よりも導入口234の開度が大なる
状態と、導入口234の開度よりも導入口232の開度が大なる状態と、を択一的に保持
可能とすることができる。
【0105】
尚、駆動部200における中子220の回動運動のストローク(回動角度)は、ハウジ
ング202の内部の扇状空間の開き角度により適宜設定できる。
【0106】
また、駆動部200における回動動作により得られる推力は、中子220に付加される
湯水の圧力と中子の受圧面積との積により決定される。従って、中子220の受圧面積を
増加させれば、それに応じた大きな推力を得ることが可能となる。
【0107】
上述した駆動部100および駆動部200を用いることにより、本発明のシャワー装置
は、電気などの機械動力を必要とせず、湯水の供給圧力のみで円滑な往復直線運動及び往
復回動運動を可能としており、さらにこの湯水をシャワー部からシャワー散水させること
で、無駄水のないシャワー装置を実現している。
【0108】
またさらに、本発明のシャワー装置は、往復運動を可能とする弁体や制御手段が中子に
付属して設けられているので、例えば外付けの4方弁などが不要となり、シンプルな構成
で円滑な往復反転運動を実現できる。その結果として、装置全体の小型化が容易となり、
浴室空間の美観、レイアウトの点で有利である。
【0109】
また、往復運動する吐水筒体にシャワー部を接続し、かつ吐水筒体の内部から湯水を送
り出す構成となっているため、流路がシンプルになり、シャワー装置内での流路の圧力損
失を抑えることができ、シャワー散水量やシャワー圧を確保できる点でも有利である。
【0110】
また、弁体や制御手段がハウジングの中に内蔵されている構造であるため、外乱に強く
円滑な動作を実現できるとともに、シャワー装置の組み立て性に優れる。その結果として
、信頼性の高い、安定したシャワー散水動作を実現できている。
【0111】
また、駆動部への湯水の供給に関しても、同一の管路から分岐して2つの入水口に接続
するだけでよく、施工性に優れる。尚、入水口に関して左右の圧力室に対応した入水口が
それぞれ形成されていればよく、例えばハウジング内で分岐した流路を形成しそれぞれの
入水口に接続されるようにし、ハウジングへの入水接続口は一つとすることで配管を更に
簡素化することもできる。
【0112】
以上、駆動部100および駆動部200を有し、駆動部100に連結され往復直線運動
を行うボディシャワー部51と、駆動部200に連結され往復回動運動を行うオーバーヘ
ッドシャワー部61と、を有するシャワー装置1について説明した。
【0113】
次に、本発明の第2の実施形態のシャワー装置について説明する。
図26は、本発明の第2の実施形態に係るシャワー装置2を示す模式図である。
本実施形態においては、シャワー装置2は、図19に前述した駆動部100aを有してい
る。すなわち、駆動部100aのハウジングの両端部からそれぞれ吐水筒体が突出した構
成を有しており、吐水筒体には肩湯シャワー部71が接続されている。シャワー装置2は
、浴室などの壁面900に設置され、駆動部100aの吐水筒体は水平方向に往復運動可
能に設置されている。
【0114】
駆動部100aの吐水筒体には吐水流路が設けられており、駆動部100aの内部に供
給された湯水を吐水流路を通って肩湯シャワー部71a、71bの内部へと湯水を送り、
肩湯シャワー部71に設けられた肩湯シャワー散水口から湯水を散水させる構造は、前述
の第1の実施形態のシャワー装置1と同様である。こうして、前述の第1の実施形態のシ
ャワー装置1と同様、駆動部100aの働きにより、吐水筒体が矢印M1で示すように往
復運動を行い、結果肩湯シャワー部71a、71bも湯水を散水させながら往復運動を行
うことができる。すなわち、シャワー散水位置を周期的に変化することができる。
【0115】
このようなシャワー散水を、使用者の肩などにあてると、シャワー散水位置が周期的に
変化するので、いわゆる「打たせ湯」のマッサージ効果をより広範囲に効果的に作用させ
ることができると共に、使用者が自ら身体を揺すって作用部位を変化させる必要がなく、
使用感が向上する。また、噴霧状の吐水を広範囲にあてることにより、リラクゼーション
効果を得ることも可能であり、使用感が向上する。また一方、肩湯シャワー部71a、7
1bを壁面900に対して固定し、駆動部100aが固定されているシャワー装置本体ボ
ディを壁面900に対して移動可能とすることで、シャワー装置本体ボディが往復運動す
ることとなり、この動作をマッサージなどに利用することも可能である。つまり、左右に
動くシャワー装置本体ボディに身体を押し当てることにより、「もみほぐし」などのマッ
サージ効果が得られる。
なお、本実施形態においては、肩湯シャワー部71a、71bを矢印M2の方向に回転
させることにより、吐水位置のみのならず、吐水方向も使用者の好みに応じて変化させる
ことが可能である。
【0116】
次に、本発明の第3の実施形態のシャワー装置について説明する。
図27は、本発明の第3の実施形態に係るシャワー装置3を示す模式図である。
本実施形態においては、第1実施形態のシャワー装置1に関して前述した駆動部200を
有している。シャワー装置3は、浴室等の壁面900に設置され、駆動部200の吐水筒
体にボディシャワー部81が接続されている。そして、ボディシャワー部81の駆動部2
00側とは別の端部は、支持部82にて支えられている。
【0117】
駆動部200の吐水筒体には吐水流路が設けられており、駆動部100の内部に供給さ
れた湯水を吐水流路を通ってボディシャワー部81の内部へと湯水を送り、ボディシャワ
ー部81に設けられたボディシャワー散水口から湯水を散水させる構造は、前述の第1の
実施形態のシャワー装置1と同様である。こうして、前述の第1の実施形態のシャワー装
置1と同様、駆動部200の働きにより、吐水筒体が矢印MRで示すように往復回動運動
を行い、結果ボディシャワー部81も湯水を散水させながら往復回動運動を行うことがで
きる。すなわち、シャワー散水方向を周期的に変化することができる。
【0118】
本実施形態のシャワー装置3は、ボディシャワー部81が矢印Rで表したように往復回
動運動をすることにより、コンパクトな形状にてシャワー散水を広範囲に散水させること
ができ、使用者の身体を広範囲に洗浄するとともに、使用者は手放しでシャワーを効率的
に浴びることができる。また、反復的に変化するシャワーの刺激によるマッサージ効果や
リラクゼーション効果も期待できる。また、このように回動動作にてシャワー散水方向を
変化させることにより、往復運動によるボディシャワー部81が存在可能な領域を抑える
ことができ、浴室全体の美観、レイアウトなどのデザイン性に優れる。
【0119】
以上本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態に限定
されるものではない。
すなわち、本発明のシャワー装置を構成するいずれかの要素について当業者が設計変更
を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含され
る。例えば、シャワー装置の駆動部及びシャワー部の外形や、構成部品の形状あるいは配
置、ストロークや回動角度、などについて当業者が適宜変更を加えたものであっても、本
発明の要旨を含む限り、本発明の範囲に包含される。
【0120】
また、上述の各実施形態において、駆動部によるシャワー部の往復回動速度又は往復直
線運動速度を調整する速度調整手段を設けていても良い。このような速度調整手段は、例
えば、吐水筒体に可変の摺動抵抗を与える摺動部材を設けることや、2つの圧力室管にバ
イパス水路を設け、このバイパス水路の流量を制御する開閉弁を設けることによって、実
現することができる。このような速度調整手段を設けることにより、駆動部に接続された
シャワー部からのシャワー散水をさせたまま、シャワー部の往復運動の速度を変化させた
り、更にはシャワー部の往復運動を停止させることが可能となる。すなわち、使用者は、
好みの散水位置や散水方向でシャワー部を停止させてシャワー散水を浴びることが可能と
なり、例えば集中的に身体部位に作用させてマッサージ効果を得たり、集中的に頭部にシ
ャワー散水を当てて洗髪したり、といった行為が可能となり、より使いやすいシャワー装
置を提供できる。
【0121】
また、上述の各実施形態において、駆動部によるシャワー部の往復回動運動の角度範囲
又は往復直線運動のストロークを調整するストローク調整手段を設けていても良い。この
ようなストローク調整手段は、例えば、駆動部のハウジング部に、圧力室内に突出する可
変終端を設け、中子のスライドバーに当接するようにすることで実現できる。このような
ストローク調整手段を設けることにより、駆動部に接続されたシャワー部の回動範囲や移
動範囲を調整でき、シャワー散水の位置や方向の変化範囲を調整することができる。すな
わち、使用者は、シャワー散水の作用する領域を好みに応じて調整することができ、また
各個人の体格に合わせて変化範囲を調整することで無駄な領域にシャワー散水をすること
がなく、使いやすく効率のよいシャワー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置1の斜視図である。
【図2】シャワー装置1の流路構成を示す模式図である。
【図3】シャワー装置1のシャワー散水状態を示す模式図である。
【図4】シャワー装置1のボディシャワー部周辺の断面図である。
【図5】シャワー装置1のオーバーヘッドシャワー部周辺の断面図である。
【図6】駆動部100の動作メカニズムを説明するための模式図である。
【図7】駆動部100の動作メカニズムを説明するための模式図である。
【図8】駆動部100の動作メカニズムを説明するための模式図である。
【図9】駆動部100の動作メカニズムを説明するための模式図である。
【図10】導入口132、134の開度に差を設けることの作用効果を説明するための模式図である。
【図11】駆動部100の斜視図である。
【図12】駆動部100の斜視切断図である。
【図13】駆動部100の断面図である。
【図14】図13のA-A線断面図である。
【図15】主弁及びスライドバーを表す斜視図である。
【図16】駆動部100の往復動作を表す模式図である。
【図17】制御手段の動作を説明するための模式図である。
【図18】磁石によって中子120の反転動作を制御するメカニズムを説明するための模式図である。
【図19】駆動部100の変型例を表す模式断面図である。
【図20】駆動部200の斜視図である。
【図21】駆動部200の斜視切断図である。
【図22】駆動部200を底面側から眺めた斜視図及び切断図である。
【図23】駆動部200の縦断面図である。
【図24】図23のB-B線断面図である。
【図25】駆動部の動作を説明するための模式図である。
【図26】本発明の第2の実施形態に係るシャワー装置2を示す模式図である。
【図27】本発明の第3の実施形態に係るシャワー装置3を示す模式図である。
【符号の説明】
【0123】
1、2、3 シャワー装置
11 本体ボディ
12 支持部
13 給湯支持部
14 給水支持部
15 シャワーフック
16 温調操作部
17 流調操作部
18 切替操作部
19 ホース
20 ホース接続部
21 給水管路
22 給湯管路
23 湯水混合部
24 流量調節部
25 流路切替部
26 混合管路
27 第一管路
28 第二管路
29 第三管路
30 開口窓
31 駆動部支持リブ
32 駆動部支持リブ
41 ハンドシャワー部
42 ハンドシャワー管路
43 ハンドシャワー散水部
44 ハンドシャワー散水口
51 ボディシャワー部
52 ボディシャワー管路
53 ボディシャワー散水部
54 ボディシャワー散水口
55 ボディシャワー本体
61 オーバーヘッドシャワー部
62 オーバーヘッドシャワー管路
63 オーバーヘッドシャワー散水部
64 オーバーヘッドシャワー散水口
65 オーバーヘッドシャワー本体
71 肩湯シャワー部
81 ボディシャワー部
82 支持部
100、100a、200 駆動部
102、202 ハウジング
103、203 ハウジング本体
104、204、205 ハウジング蓋
112、114、212、214 入水口
116、118、216、218 圧力室
120、220 中子
121、221 中子本体
122、222 中子蓋
124、224 中子内流路
126、184、226、227 シール
132、134、232、234 導入口
142、144、242、244 主弁
146、148、246、248 スライドバー
149 連結棒
160、260 板ばね
180、280 吐水筒体
182、282 吐水流路
900 壁面
901 中心鉛直軸
902 中子回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室などで用いられるシャワー装置であって、
駆動部と、
シャワー部を備え、
前記駆動部は、
内部に空間を有するハウジングと、
前記空間を第1及び第2の圧力室に分割しつつ前記空間内を移動可能とされ、内部に中
子内流路を有する中子と、
前記中子内流路に連通し前記ハウジングの外側に至る吐水流路を有する吐水筒体と、
前記第1の圧力室に湯水を導入する第1の入水口と、
前記第2の圧力室に湯水を導入する第2の入水口と、
前記第1の圧力室から前記中子内流路に湯水を導入する第1の導入口と、
前記第2の圧力室から前記中子内流路に湯水を導入する第2の導入口と、
前記第1及び第2の導入口の開度を変化させる弁体と、
前記中子の移動方向の反転時に前記第1及び第2の導入口の開度の大小関係を逆転させ
る制御手段と、
を有し、
前記シャワー部は、
前記吐水流路を通じてきた湯水を外部に放出する散水口を有し、
前記吐水筒体に連結され、前記中子と連動して動く
ことを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
前記散水口の散水位置が変化することを特徴とする請求項1に記載のシャワー装置。
【請求項3】
前記散水口の散水方向が変化することを特徴とする請求項1または2に記載のシャワー
装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−260388(P2007−260388A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41613(P2007−41613)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】