説明

シャワー装置

【課題】 給水された水を整流化させて吐水し、整流化させた吐水状態を維持することにより、吐水の流れの直進性を向上させると共に当り音発生現象を抑制して当り音を低減させるシャワー装置を提供する。
【解決手段】 本発明のシャワー装置1は、給水された水を吐水するシャワー装置であって、複数の水を吐水する散水ノズル26が形成された吐水ユニット6を有し、この吐水ユニットの複数の散水ノズルの各々が、ノズル入口部32をその上流側端部に備えほぼ円筒状に形成された円筒部38と、この円筒部の下流側端部からその下流側端部に形成されたノズル出口部34までほぼ先細り形状に形成された先細り部40とから構成されたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に係り、特に、給水された水を整流化させて吐水するシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キッチン用の湯水混合栓等に使用されるシャワー装置においては、使用者がシャワー装置から吐水された水を利用してシンク内で食器洗いや手洗い等の洗浄作業を行っている際に、シャワー装置からシャワー状に吐水された水が食器やシンクの表面等に当たって当り音を発生させる、いわゆる「当り音発生現象」が生ずる。キッチン周りの静音性が要求されている現在、この当り音発生現象によって発生する当り音をできるだけ低減させることが従来から要請された課題となっている。
キッチン用の湯水混合栓等に使用される従来のシャワー装置では、例えば、特許文献1に記載されているように、シャワー状の水が吐水される複数の散水孔の各々を細孔に設定したものが知られている。このような従来のシャワー装置では、各散水孔から細い流れの吐水を行うようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−1948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のシャワー装置では、各散水孔が細い円筒孔であるため、その中心部の水流の流速が周囲の流速に比べて早くなり、流路断面における流速分布が均一ではない。したがって、散水孔から吐水された細い流れの水はすぐにちぎれて粒状になるため、これらの粒状の水によって当り音がさらに発生してしまうという問題がある。
また、ちぎれた水粒状の吐水を食器洗いや手洗い等の洗浄作業に使用した場合には、連続的に整流化された非粒状の吐水を使用した場合に比べ、食器等に当たった時に飛び散りが大きくなり、食器の汚れを洗い流す洗浄力も小さくなる場合もあるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、従来技術の課題を解決するためになされたものであり、給水された水を整流化させて吐水し、整流化させた吐水状態を維持することにより、当り音発生現象を抑制して洗浄物やシンクへの当り音を大幅に低減させるシャワー装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、吐水の当り音発生現象を抑制して効果的な洗浄を行うことができるシャワー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、給水された水を吐水するシャワー装置であって、複数の水を吐水するノズルが形成された吐水部を有し、この吐水部の複数のノズルの各々が、ノズル入口部をその上流側端部に備えほぼ円筒状に形成された円筒部と、この円筒部の下流側端部からその下流側端部に形成されたノズル出口部までほぼ先細り形状に形成された先細り部とから構成されたことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、吐水部に給水された水は、吐水部の各ノズルのノズル入口部からノズル内に流入する。ノズル内に流入した水は、円筒部から先細り部に流れることにより整流化されて、ノズル出口部の流路断面内においてほぼ均一な速度分布を有する流れの状態で吐水される。このことにより、ノズル出口部から吐水された水は整流化された分離しにくい状態が維持されるため、吐水の流れの直進性を向上させると共に、吐水が物に接触した場合でも当り音がほとんど発生しなくなる。
【0007】
本発明において、先細り部は、先細り入口部と、先細り出口部と、を備え、その流路が、先細り入口部から先細り出口部に向かって所定の先細り角度αで先細りしたほぼ円錐台形状となっていることが好ましい。
このような構成により、所定の先細り角度αで先細りしたほぼ円錐台形状の先細り部を流れた水は、ノズル出口部の流路断面内においてほぼ均一な速度分布を有する流れの状態で整流化されて吐水される。このことにより、ノズル出口部から吐水された水は整流化された分離しにくい状態が維持されるため、吐水の流れの直進性を向上させると共に、吐水が物に接触した場合でも当り音がほとんど発生がほとんど発生しなくなる。また、断続的な当りによる当り音をほとんど無くすことができる。
【0008】
本発明において、先細り部の先細り角度αは、ほぼ10°〜20°であることが好ましい。
このような構成により、所定の先細り角度αで先細りしたほぼ円錐台形状の先細り部を流れた水は、ノズル出口部の流路断面内においてほぼ均一な速度分布を有する流れの状態で整流化されて吐水される。このことにより、ノズル出口部から吐水された水は整流化された分離しにくい状態が維持されるため、吐水の流れの直進性を向上させると共に、吐水が物に接触した場合でも当り音がほとんど発生しなくなる。さらに、水撥ねもある程度抑制することができる。
【0009】
本発明において、先細り部は、先細り入口部と、先細り出口部と、を備え、その流路が、先細り入口部から先細り出口部に向かって曲面状に先細り形成された曲面部を備えていてもよい。
このような構成により、先細り部の曲面部を流れた水は、ノズル出口部の流路断面内においてほぼ均一な速度分布を有する流れの状態で整流化されて吐水される。このことにより、ノズル出口部から吐水された水は整流化された分離しにくい状態が維持されるため、吐水の流れの直進性を向上させると共に、吐水が物に接触した場合でも水撥ねがしにくくなる。また、水撥ねによる撥ね返り音も低減させることができる。
【0010】
本発明において、円筒部は、その流路断面積が上記入口部から下流側に向かって段階的に減少するように流路を形成する段部を備えていてもよい。
このような構成により、ノズル内に流入した水を円筒部の流路断面内のほとんどの部分における流れがほぼ均一な速度分布を有する状態に整流化することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシャワー装置によれば、給水された水を整流化させて吐水し、整流化させた吐水状態を維持することにより、吐水の流れの直進性を向上させると共に、当り音発生現象を抑制して当り音を低減させることができる。また、吐水の当り音発生現象を抑制するため、効果的な洗浄を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明のシャワー装置の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置が組み込まれている水栓装置を示す概略斜視図である。図1に示すように、本実施形態のシャワー装置1は、特にキッチン等で使用される、いわゆる「シングルレバー湯水混合栓」と呼ばれる水栓装置2の吐水側に組み込まれたものである。
また、水栓装置2は操作レバー4を備え、この操作レバー4を操作することにより、シャワー装置1の吐水部を構成する吐水ユニット6から吐水される湯水の温度や吐水量を調整することができるように構成されている。
さらに、シャワー装置1の吐水ユニット6の下流側端部には、その中央に開口する単一の吐水孔8が形成され、吐水孔8の周囲には、吐水孔8の直径よりも小さい直径を有する複数の散水孔10が形成されている。また、シャワー装置1の吐水ユニット6には、吐水ユニット6における吐水状態をシャワー状態または非シャワー状態に切り替える切替ハンドル12が回動可能に設けられている。切替ハンドル12を回動操作することにより、複数の散水孔10のみからシャワー状の吐水を行う設定(以下「シャワー設定」と呼ぶ)と、単一の吐水孔8のみから太くて一本状となる非シャワー状の吐水を行う設定(以下「非シャワー設定」と呼ぶ)に切り替えることができるように構成されている。
【0013】
図2は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置を示す拡大側面断面図である。ここで、図2に示すシャワー装置1は、切替ハンドル12をシャワー設定にした状態を示している。また、図2では、シャワー装置内部の水の流れを実線矢印で示している。
図2に示すように、シャワー装置1の内部には、シャワー装置1の流入部14より流入した水が流れる通水路16が形成されている。シャワー装置1の吐水ユニット6は、切替ハンドル12に一体的に設けられた流路切替ユニット18を備えている。
流路切替ユニット18には、最終的には各散水孔10へと連通するシャワー用通水路20と、単一の吐水孔8に連通する非シャワー用通水路22が形成されている。シャワー装置1がシャワー設定の状態では、流路切替ユニット18の上流側に位置する通水路16aと流路切替ユニット18のシャワー用通水路20のみが連通し、通水路16aと非シャワー用通水路22は連通しないようになっている(図2参照)。これとは逆に、シャワー装置1が非シャワー設定の状態では、流路切替ユニット18の上流側に位置する通水路16aと非シャワー用通水路22のみが連通し、通水路16aとシャワー用通水路20は連通しないようになっている。
また、シャワー用通水路20の下流側は、各散水孔10が形成された吐水ユニット6の下流側端部の散水板24によって仕切られている。
さらに、散水板24は、シャワー用通水路20側から各散水孔10に向けてそれぞれ延びるように形成された散水ノズル26を含む。
【0014】
図3は、本実施形態によるシャワー装置の吐水ユニットの内部における散水板の散水ノズルの部分を斜め上方から見た部分断面斜視図である。
図3に示すように、散水板24から上流側のシャワー用通水路20には、所定高さhのスペーサー28が設けられており、スペーサー28には1枚又は複数枚の整流網30が配置されている。このスペーサー28により、散水ノズル26の入口部32と整流網30との間の所定のスペースが形成されている。スペーサー28の高さhについては、できるだけ大きく設定することが好ましいが、現実的には2mm〜5mm程度が好ましい。
また、散水板24の各散水ノズル26は、互いに密接に配置されており、隣接する散水ノズル26同士の間隔(中心軸間距離)sは、製造上の制約を考慮した上でできるだけ小さく設定することが好ましい。その理由として、各散水ノズル26から流出した整流状態の吐水が洗浄物等に当ったとき、各整流状態の吐水は洗浄物上に水膜を形成し、これらの水膜同士が干渉することにより水撥ねが発生してしまうが、これらの整流状態の吐水ができるだけ密接していると、その水撥ね同士もぶつかり合ったり、周囲の整流吐水に吸収されるからである。
【0015】
図4は、本実施形態によるシャワー装置の散水ノズルを示す拡大縦断面図である。
図4に示すように、各散水ノズル26は、入口部32と、散水孔10と一致する出口部34と、入口部32と出口部34との間に形成された整流部36を備えている。
整流部36は、入口部32に流入した水を整流して、出口部34から吐水される水を出口部34の流路断面内においてほぼ均一な速度分布を有する流れにするように構成されている。
また、整流部36は、入口部32から出口部34へ向かってほぼ円筒状に形成された円筒部38と、この円筒部38の下流側端部38aから出口部34までほぼ先細り形状に形成された先細り部40を備えている。すなわち、整流部36の入口部32の直径d1は、整流部36の出口部34の直径d2よりも大きく設定されている。
【0016】
先細り部40は、その入口部40aから出口部34に向かって流路断面(縦断面)形状が所定の先細り角度αで先細りしたほぼ円錐台形状となっている。すなわち、先細り部40の入口部40aの直径d3は、整流部36の出口部34の直径d2よりも大きく設定され、円筒部38の下流側端部38aの直径(整流部36の入口部32の直径d1)よりも小さく設定されている。円筒部38の下流側端部38aから先細り部40にかけて段部41が形成されている。
また、円筒部38の流路断面(縦断面)形状の長さL1は、先細り部40の流路断面(縦断面)形状の長さL2よりも長く設定されている。
【0017】
一例として、上述した整流部36の各部分の寸法について説明する。
まず、整流部36の入口部32の直径d1は、整流部36の出口部34の直径d2に応じて決定される。整流部36の出口部34の直径d2については、一例として、0.5mmであり、この場合、整流部36の入口部32の直径d1は、好ましくは1.2mm〜2.2mmであり、本実施形態では、水撥ねの影響を考慮して各散水ノズル26同士をできるだけ密接に配列させるため1.4mmに設定している。
なお、上述した隣接する散水ノズル26同士の間隔(中心軸間距離)sについては、整流部36の入口部32の直径d1に基づいて、隣接する散水ノズル26同士が重ならないように設定される。
また、円筒部38の流路断面(縦断面)形状の長さL1については、その最低寸法がd2に応じて変化し、本実施形態のようにd2=0.5mmの場合には、L1=3mmであり、最低2mmの寸法は必要である。
さらに、先細り部40の流路断面(縦断面)形状の先細り角度αについては、その最少寸法がd2とL2に応じて変化し、本実施形態のようにd2=0.5mm、L2=1mmの場合、αの最小寸法は10°となる。ちなみに、αを10°未満に設定すると、先細り部40の流路が円筒形状に近づき、流路内の中心部の水流の流速が周囲の流速に比べて早くなり、流路断面において均一な速度分布をもたなくなるため、吐水はちぎれて粒状になりやすくなる。また、αが20°を超えて設定されたとしても、αが大きくなるにつれて先細り部40の流路スペースも大きくなるばかりで、吐水の効果は変わらなくなるため、本実施形態のようにd2=0.5mm、L2=1mmの場合、αの最大寸法は20°程度に設定しておくのがよい。
【0018】
さらに、入口部32の直径d1と出口部34の直径d2との比d1/d2は、ほぼ4〜5であることが好ましい。これらの理由として、d1/d2が4未満になると流れの中心部の均一速度分布域に対し直径d2が大きくなりすぎてしまい、流速の遅い流れ分布の影響を受けやすくなるため徐々に整流効果が減少すると考えられ、d1/d2が5以上になっても整流効果がほとんど変わらないことが経験的に明らかになっているからである。
【0019】
つぎに、本実施形態のシャワー装置1の作用について説明する。
シャワー設定にされたシャワー装置1の流入部14から通水路16に流入した湯水は、流路切替ユニット18の上流側に位置する通水路16aを経て、流路切替ユニット18のシャワー用通水路20に流れる。
シャワー用通水路20内の水は、整流網30を通過してスペーサー28の流路区間を流れて各散水ノズル26に流入する。
【0020】
図5は、散水ノズル内の水流の状態を模式的に示す概略縦断面図であり、図6は、散水ノズルの先細り部における水流の状態を模式的に示す部分拡大斜視図である。ここで、図5及び図6では、散水ノズル内の水流を概略的に実線矢印で示している。
図5及び図6に示すように、各散水ノズル26の入口部32に流入する水は、整流網30を通過してきてはいるが、やや乱れていて方向の定まらない流れもあり、完全には円筒部38の軸方向(直進方向)の流れの状態にはなっていない。
つぎに、散水ノズル26の整流部36における円筒部38の水流は、円筒部38の壁面38bに沿って円筒部38の流路断面(横断面)の法線方向の流れに矯正されて整流化される。特に、円筒部38の流路断面(横断面)の中央部分38c付近では、ほぼ均一な速度分布を有する整流化された流れとなり、流路断面(横断面)の半径方向外方につれて、中央部分38の付近の流速に比べてやや遅い流れとなるため、図5に示すように、円筒部38の流れを流路断面(縦断面)において概略的に示すと、ほぼU字型の流速分布を有する整流化された流れとなっている。
【0021】
このようなほぼU字型の流速分布を有する整流化された水流が整流部36の円筒部38の下流側端部38a(先細り部40の入口部40a)に差し掛かると、円筒部38の流路断面(横断面)の中央部分38c付近の水流については、そのままの流速を維持して、先細り部40の流路断面(横断面)の中央部分40b付近をその法線方向に流れ、出口部34(散水孔10)より吐水される。一方、円筒部38の流路断面(横断面)の中央部分38cよりも外側(円筒部38の壁面38b側)付近の水流は、円筒部38の下流側端部38aから先細り部40のテーパー状の壁面40cに沿って流れることによって加速され、出口部34(散水孔10)において、先細り部40の流路断面(横断面)の中央部分40b付近の流れとほぼ同じ流速となって吐水される(図6参照)。
すなわち、各散水ノズル26の出口部34(散水孔10)における水流は、流路断面(横断面)内においてほぼ均一な速度分布を有する整流化された流れとなって吐水される。
【0022】
上述した本発明の第1実施形態のシャワー装置1によれば、各散水ノズル26に流入した水は、散水ノズル26の整流部36の円筒部38から先細り部40に流れることによって、各散水孔10において、流路断面(横断面)内においてほぼ均一な速度分布を有する整流化された流れの状態で吐水が行われるため、吐水そのものが分離しにくく粒状の水になりくい。このため、吐水の乱れを低減させて流れの直進性を向上させることができる。また、整流化された状態を維持する吐水の整流域(散水孔10からの整流化された状態の吐水の長さ)を拡張することができる。
また、本実施形態によるシャワー装置1によれば、吐水の流れの直進性を向上させることができるため、小流量で低水圧の水がシャワー装置1に給水された場合でも、各散水孔10より乱れることなく整った吐水を行うことができる。
さらに、本実施形態によるシャワー装置1によれば、食器洗いや手洗い等の洗浄作業を行った場合、分離しくい整流化された吐水が被洗浄物に接触すると、これにまとわりつくように流れるため、当り音発生現象を抑制することができる。また、各散水ノズル26が互いに密接して配置されているため、仮に、各散水ノズル26からの整流化された吐水が各々で水撥ねが生じてしまったとしても、各水撥ね同士がぶつかり合ったり他の吐水に吸収されるため、飛び散ることもない。
参考までに、従来のシャワー装置の散水ノズルでは、入口部から出口部にかけて散水孔の直径をほぼ一定に維持するように、ほぼ円筒状に延びるように形成されたノズルの形態が一般的に採用されているが、本実施形態のシャワー装置1を使用して食器洗いの洗浄作業を行った場合、従来のシャワー装置を使用した場合に比べて約6dBの当り音を低減させることができることが確認されている。
【0023】
なお、上述した本発明の第1実施形態によるシャワー装置1では、一例として、各散水ノズル26の整流部36が、ほぼ円筒状に形成された円筒部38と、流路断面(縦断面)がほぼ円錐台形状に形成された先細り部40を備えた形態について説明したが、このような形態に限定されず、各散水ノズル26の整流部36の円筒部38と先細り部40における各流路の形態については、他の形態に変形可能である。
以下、図7〜図11を参照して、本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの変形例について説明する。
【0024】
図7は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第1変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。ここで、図7において、図4に示す第1実施形態のシャワー装置1の散水ノズル26の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図7に示すように、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズルの第1変形例として、散水ノズルにおける整流部50の先細り部52の下流側端部にわずかな距離だけ円筒状の流路54を形成してもよい。
このような構成により、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズル26と同様の作用効果が得られる。
【0025】
図8は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第2変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。ここで、図8において、図4に示す第1実施形態のシャワー装置1の散水ノズル26の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図8に示すように、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズルの第2変形例として、散水ノズルにおける整流部60における先細り部62の入口部62aの直径を整流部60の入口部32の直径とほぼ等しい大きさに設定してもよい。
このような構成により、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズル26と同様の作用効果が得られる。
【0026】
図9は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第3変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。ここで、図9において、図4に示す第1実施形態のシャワー装置1の散水ノズル26の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図9に示すように、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズルの第3変形例として、散水ノズルにおける整流部70における先細り部72をこの入口部72aから整流部70の出口部34に向かってほぼ半球状の曲面72bによって先細り形状に形成してもよい。
このような構成により、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズル26と同様の作用効果が得られる。
【0027】
図10は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第4変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。ここで、図10において、図4に示す第1実施形態のシャワー装置1の散水ノズル26の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図10に示すように、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズルの第4変形例として、散水ノズルにおける整流部80における先細り部82をこの入口部82aから整流部80の出口部34に向かって接線の傾きが大きくなるように窄まるの曲面82bによって先細り形状に形成してもよい。
このような構成により、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズル26と同様の作用効果が得られる。
【0028】
図11は、本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第5変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。ここで、図11において、図4に示す第1実施形態のシャワー装置1の散水ノズル26の部分と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図11に示すように、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズルの第4変形例として、散水ノズルにおける整流部90における円筒部92の途中に段部94を設けることにより、大小2つの円筒状の流路92a,92bを形成して整流部90の入口部32から下流側に向かって流路を段階的に減少させるように設定してもよい。
このような構成により、第1実施形態によるシャワー装置1の散水ノズル26と同様の作用効果が得られる。
【0029】
上述した本発明の第1実施形態によるシャワー装置1では、吐水ユニット6が単一の吐水孔8と複数の散水孔10を備え、切替ハンドル12によって、吐水ユニット6における吐水状態を複数の散水孔10のみから吐水するシャワー状態と単一の吐水孔8のみから吐水する非シャワー状態に切り替えるような形態について説明したが、このような形態に限定されず、吐水ユニット6に単一の吐水孔8を設けずに、吐水ユニット6の全体にわたって複数の散水孔10のみを配置した形態にしてもよい。
さらに、本実施形態のシャワー装置1は、シングルレバー湯水混合栓タイプの水栓装置2に適用した形態について説明したが、このような形態に限定されず、他のタイプのシャワー水栓装置についても適用可能である。
また、単一の吐水孔から非シャワー状(一本状)の吐水を行う他の吐水装置においても、本実施形態のシャワー装置1の散水孔10からの吐水を行う原理を適用することができる。
【0030】
つぎに、本発明の第2実施形態のシャワー装置について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態によるシャワー装置を示す斜視図である。ここで、図12において、第1実施形態のシャワー装置の部分と同一の部分については、同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図12に示すように、本実施形態のシャワー装置100は、第1実施形態のシャワー装置1とは異なり、いわゆる「自動水栓」と呼ばれる水栓装置102の吐水側に組み込まれたものである。この水栓装置102のような自動水栓は、一般的には、節水が要求されている洗面台(図示せず)等において低水圧で小流量の吐水を行う目的に使用されているものである。
シャワー装置100の吐水ユニット104は、第1実施形態のシャワー装置1の吐水ユニット6と同様に、吐水ユニット104の散水板105に散水孔10を含む複数の散水ノズル26が形成されている。
また、吐水ユニット104の周囲の一部分には、使用者の手を検出するセンサー106が設けられており、使用者が吐水ユニット104の散水孔10の付近に手を差し出すと、センサー106が手の存在を検出し、この検出した信号に基づいて各散水孔10から自動的に低水圧で小流量の吐水が行われるように構成されている。
【0031】
本実施形態のシャワー装置100によれば、第1実施形態のシャワー装置1の作用効果と同様に、吐水ユニット104の散水ノズル26に流入した水は、各散水孔10において、流路断面(横断面)内においてほぼ均一な速度分布を有する整流化された流れの状態で吐水が行われるため、吐水そのものが分離しにくく粒状の水になりくい。このため、吐水の乱れを低減させて流れの直進性を向上させることができ、小流量で低水圧の水がシャワー装置100に給水された場合でも、各散水孔10より乱れることなく整った吐水を行うことができる。
【0032】
つぎに、本発明の第3実施形態のシャワー装置について説明する。
図13は、本発明の第3実施形態によるシャワー装置を示す斜視図である。ここで、図13において、第1実施形態のシャワー装置の部分と同一の部分については、同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
図13に示すように、本実施形態のシャワー装置110では、散水孔10を含む複数の散水ノズル26が形成された吐水ユニット112の散水板114が、ほぼ四角形状となっている構成が、第1及び第2実施形態のシャワー装置の構成と異なっている。また、散水板114における複数の散水孔10の全体的な配列についても、散水板114の形状にならってほぼ四角形状の配列となって各散水ノズル26が密接に配置されている。
本実施形態のシャワー装置110によれば、各散水孔10から整流化させた状態を維持した直進性を有するシャワー吐水をほぼ四角形状の輪郭を保った吐水にすることができ、特殊な輪郭形状を呈するシャワー吐水についても当り音発生現象を抑制して、当り音を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態によるシャワー装置が組み込まれている水栓装置を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるシャワー装置を示す拡大側面断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるシャワー装置の吐水ユニットの内部における散水板の散水ノズルの部分を斜め上方から見た部分断面斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルを示す拡大縦断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズル内の水流の状態を模式的に示す概略縦断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの先細り部における水流の状態を模式的に示す部分拡大斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第1変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第2変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第3変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第4変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態によるシャワー装置の散水ノズルの第5変形例を示す、図4と同様な拡大縦断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるシャワー装置を示す斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態によるシャワー装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1,100,110 シャワー装置
2,102 水栓装置
4 操作レバー
6,104,112 吐水ユニット
8 吐水孔
10 散水孔
12 切替ハンドル
14 シャワー装置の流入部
16,16a 通水路
18 流路切替ユニット
20 シャワー用通水路
22 非シャワー用通水路
24,105,114 散水板
26 散水ノズル
28 スペーサー
30 整流網
32 散水ノズルの入口部
34 散水ノズルの出口部
36,50,60,70,80,90 整流部
38,92 円筒部
40,52,62,72,82 先細り部
54 円筒状の流路
94 段部
106 センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水された水を吐水するシャワー装置であって、
複数の水を吐水するノズルが形成された吐水部を有し、
この吐水部の複数のノズルの各々が、ノズル入口部をその上流側端部に備えほぼ円筒状に形成された円筒部と、この円筒部の下流側端部からその下流側端部に形成されたノズル出口部までほぼ先細り形状に形成された先細り部とから構成されたことを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
上記先細り部は、先細り入口部と、先細り出口部と、を備え、その流路が、先細り入口部から先細り出口部に向かって所定の先細り角度αで先細りしたほぼ円錐台形状となっている請求項1記載のシャワー装置。
【請求項3】
上記先細り部の流路断面形状の先細り角度αは、ほぼ10°〜20°である請求項2記載のシャワー装置。
【請求項4】
上記先細り部は、先細り入口部と、先細り出口部と、を備え、その流路が、先細り入口部から先細り出口部に向かって曲面でほぼ先細り形状に形成された曲面部を備えている請求項1記載のシャワー装置。
【請求項5】
上記円筒部は、その流路断面積が上記入口部から下流側に向かって段階的に減少するように流路を形成する段部を備えている請求項1乃至4の何れか1項に記載のシャワー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−56558(P2007−56558A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243812(P2005−243812)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】