説明

シャワー装置

【課題】操作部の集約的配置を可能にし、本体をコンパクトに構成することができるシャワー装置を提供する。
【解決手段】本発明は、複数のシャワーヘッドから吐出させるシャワー装置(1)であって、シャワー装置本体(2)と、第1シャワーヘッド(4)と、ハンドシャワーヘッド(6)と、湯水を上方に向けて導く湯水供給通路(28)と、この湯水供給通路の途中に配置され、第1シャワーヘッドからの吐止水を切り替える第1バルブ(30a)と、第1バルブの鉛直上方に配置され、ハンドシャワーヘッドからの吐止水を切り替える第2バルブ(30b)と、第1バルブの流出口から下方に延びて第1シャワーヘッドに湯水を供給する第1通水路(36)と、湯水供給通路の背面側に配置され、第2バルブの流出口から第1バルブを迂回して下方に延び、ハンドシャワーヘッドに湯水を供給する第2通水路(38)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関し、特に、壁面に概ね鉛直方向に延びるように設置され、供給された湯水を複数のシャワーヘッドから吐出させるシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−299589号公報には、シャワー装置が記載されている。このシャワー装置は、鉛直方向に延びるシャワーバーを有し、このシャワーバー上に、上から順に、ヘッドシャワーノズル、シャワー切替ハンドル、ボディーシャワーノズル、ボディーシャワー用流量調整ハンドル、シャワーノズル用流量調整ハンドルが夫々配置されている。このシャワー装置は、スリムな本体に複数のシャワーノズルが集約配置され、意匠的にも優れたものとなっている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−299589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開2003−299589号公報に記載されたシャワー装置では、各シャワーの複数の操作部が離れた位置に分散して配置されているため、操作し難い場合があるほか、操作部と吐水が行われるシャワーノズルの関係が直感的に理解しにくいという問題がある。
【0005】
そこで、操作部を集約的に配置すると共に、操作部の位置と吐水されるシャワーヘッドの位置との関係を直感的に理解しやすいものとすることが求められている。しかしながら、供給された湯水は、各操作部の近傍に夫々配置されたバルブを通ってシャワーヘッドから吐出されるため、操作部の位置と湯水を吐出させる位置との関係を任意に設定することは困難である。特に、操作部を集約的に配置すると、シャワー装置本体内部の通水路の形状が複雑になり、スリムで優れた外観を有するシャワーバーを構成することが困難になるという問題がある。
【0006】
従って、本発明は、操作部の集約的配置を可能にしながら、本体をコンパクトに構成することができるシャワー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、壁面に概ね鉛直方向に延びるように設置され、供給された湯水を複数のシャワーヘッドから吐出させるシャワー装置であって、縦長に形成されたシャワー装置本体と、このシャワー装置本体内に配置され、シャワー装置の下部から供給された湯水を上方に向けて導く湯水供給通路と、この湯水供給通路の途中に配置され、湯水供給通路から流入した湯水を湯水供給通路の背面側に通過させ、又は停止させる第1バルブと、湯水供給通路の、第1バルブの鉛直上方に配置され、湯水供給通路から流入した湯水を湯水供給通路の背面側に通過させ、又は停止させる第2バルブと、第1バルブを通過した湯水を吐出させるように、第1バルブよりも下方に配置された第1シャワーヘッドと、第2バルブを通過した湯水を吐出させるように、シャワーホース接続部から延びるシャワーホースに接続されたハンドシャワー用のハンドシャワーヘッドと、基端が第1バルブの流出口に連通され、シャワー装置本体内の湯水供給通路の背面側を、第1シャワーヘッドまで延びる第1通水路と、基端が第2バルブの流出口に連通され、シャワー装置本体内の湯水供給通路の背面側を、第1バルブを迂回して、第1バルブよりも下方に位置決めされたシャワーホース接続部まで延びる第2通水路と、を有することを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、シャワー装置の下部から供給された湯水は、湯水供給通路によって上方に向けて導かれる。この湯水供給通路によって導かれた湯水は、湯水供給通路の途中に配置された第1バルブによって吐水・止水が切り替えられる。第1バルブが吐水状態にされると、湯水は、第1バルブから下方に延びる第1通水路を通って第1シャワーヘッドに供給される。一方、湯水供給通路によって導かれた湯水は、湯水供給通路の、第1バルブの鉛直上方に配置された第2バルブによって吐水・止水が切り替えられる。第2バルブが吐水状態にされると、湯水は、シャワー装置本体内の湯水供給通路の背面側に配置され、第2バルブから、第1バルブを迂回して下方に延び、第1バルブよりも下方に位置決めされたシャワーホース接続部に至る第2通水路を通ってハンドシャワーヘッドに供給される。
【0009】
このように構成された本発明によれば、第2通水路が、第1バルブの鉛直上方の第2バルブから、第1バルブを迂回して下方に延び、第1バルブよりも下方に位置決めされたシャワーホース接続部に連通しているので、操作部の集約的配置を可能にしながら、シャワーホース接続部を第1バルブ等の側面に設ける必要がなくシャワー装置本体をコンパクトに構成することができる。また、このように構成された本発明によれば、シャワーホース接続部が第1バルブよりも下方に配置されているので、操作性の良いハンドシャワーと、視認性の良い位置への操作部の配置と、を両立させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、第1シャワーヘッドが、シャワー装置本体前面のボディーシャワー用のボディーシャワーヘッドであり、さらに、第1通水路が、湯水供給通路の側面を越えて前面側に延び、ボディーシャワーヘッドに湯水を導く側面迂回通水部を有する。
【0011】
このように構成された本発明においては、第1バルブを通過した湯水は、湯水供給通路の背面側から、その側面を越えて前面側に延びる側面迂回通水部を通って、シャワー装置本体前面のボディーシャワー用のボディーシャワーヘッドに供給される。
【0012】
このように構成された本発明によれば、湯水供給通路の背面側から延びる第1通水路が湯水供給通路の側面を越えて前面側に延びる側面迂回通水部を有するので、シャワー装置本体の大型化を回避しながら、シャワー装置本体前面に配置されたボディーシャワー用のボディーシャワーヘッドに湯水を供給することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、第1バルブを迂回して延びる第2通水路の一部分である第2通水路迂回部と、側面迂回通水部は、夫々、第1バルブの両側に位置決めされている。
【0014】
このように構成された本発明によれば、第1通水路の側面迂回通水部と、第2通水路の第2通水路迂回部が、夫々、第1バルブの両側に位置決めされているので、第1及び第2通水路が両方とも第1バルブを迂回しながら、シャワー装置本体の大型化を回避することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、第1バルブを迂回して延びる第2通水路の一部分である第2通水路迂回部は、概ね第1バルブの軸線を中心とする半円形状に形成されている。
【0016】
このように構成された本発明によれば、第1バルブの上方から第1バルブを迂回して延びる第2通水路の第2通水路迂回部が、概ね第1バルブの軸線を中心とする半円形状に形成されているので、第1バルブを迂回する第2通水路を、非常にコンパクトに構成することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、第1バルブ及び第2バルブは、押圧操作により吐水状態と止水状態が切り替えられるプッシュ式の水栓である。
このように構成された本発明によれば、使用者による視認性の良い位置に操作部を配置することを可能にしながら、押圧操作により吐水状態と止水状態を切り替えることができるので、操作性を更に向上させることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、ボディーシャワーヘッドの散水板は、湯水供給通路及びボディーシャワーヘッドの通水部を貫通して延びる散水板固定用部品により、シャワー装置の背面側から固定されている。
【0019】
このように構成された本発明によれば、ボディーシャワーヘッドの散水板が、散水板固定用部品によってシャワー装置の背面側から固定されているので、表面にねじの頭等を露出させることなく散水板を固定することができ、シャワー装置の美観を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のシャワー装置によれば、操作部の集約的配置を可能にしながら、本体をコンパクトに構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるシャワー装置を説明する。
図1は本発明の実施形態によるシャワー装置全体を示す斜視図であり、図2はその側面断面図である。また、図3は、本実施形態によるシャワー装置の分解斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態によるシャワー装置1は、シャワー装置本体2と、第1シャワーヘッドであるボディーシャワー用のボディーシャワーヘッド4と、第2シャワーヘッドであるハンドシャワー用のハンドシャワーヘッド6と、オーバーヘッドシャワー用のオーバーシャワーヘッド8と、を有する。
【0023】
シャワー装置本体2は、縦長の棒状に形成されており、鉛直方向に延びるように壁面に設置される。また、シャワー装置本体2の前面には、下から順に、ボディーシャワー吐水用の操作部であるボディーシャワーボタン10aと、ハンドシャワー吐水用の操作部であるハンドシャワーボタン10bと、オーバーヘッドシャワー吐水用の操作部であるオーバーヘッドシャワーボタン10cが配置されている。これらのボタンは、概ね使用者の顔よりもやや下方の高さに位置決めされており、視認性の良いものとなっている。また、各ボタンの表面には、各ボタンの機能を図形的に示したインデックスが表示されている。
【0024】
さらに、シャワー装置本体2は、その下端部に配置された第1脚部12と、その中央よりもやや上側に配置された第2脚部14と、を有し、これらの脚部で壁面に固定されている。また、シャワー装置本体2の下端には、吐水温度を調整するための温度調整用ツマミ16が設けられている。
【0025】
ボディーシャワー用のボディーシャワーヘッド4は、シャワー装置本体2前面の中央よりもやや下側のシャワー装置本体2に組み込まれている。ボディーシャワー用のボディーシャワーヘッド4は、鉛直方向に並べられた3つの散水板4aを備え、その各々に多数の散水孔4bが設けられている。
【0026】
ハンドシャワー用のハンドシャワーヘッド6は、シャワー装置本体2の第2脚部14の側面に取り付けられたハンドシャワーレスト6aに掛けられており、シャワー装置本体2の背面から延びるシャワーホース6bに連結されている。このシャワーホース6bの基端は、概ね使用者の胸の高さに相当する、ボディーシャワーボタン10aとボディーシャワーヘッド4の中間の高さに位置決めされ、ハンドシャワーの使用感を向上させている。
【0027】
オーバーヘッドシャワー用のオーバーシャワーヘッド8は薄い正方形状に形成されており、シャワー装置本体2の上端から前方に突出したアーム8aの先端に取り付けられている。オーバーヘッドシャワー使用時には、オーバーシャワーヘッド8の下面に設けられた多数の散水孔から鉛直下方にシャワー吐水される。
【0028】
本実施形態によるシャワー装置1は、ボディーシャワーボタン10aを押圧操作することによりボディーシャワーヘッド4から吐水され、ハンドシャワーボタン10bを押圧操作することによりハンドシャワーヘッド6から吐水され、オーバーヘッドシャワーボタン10cを押圧操作することによりオーバーシャワーヘッド8から吐水されるように構成されている。即ち、各ボタンの背面にはプッシュ式の水栓が配置されており、ボタンを押圧操作することにより吐水、止水が切り替えられる。また、各シャワーヘッドから吐水される湯水の温度は、温度調整用ツマミ16により調整できるようになっている。なお、本実施形態によるシャワー装置1は、任意の複数のボタンを操作することにより、複数のシャワーヘッドから同時に吐水ができるように構成されている。
【0029】
図2及び図3に示すように、シャワー装置本体2は、下から順に、第1本体部材18a、第2本体部材18b、第3本体部材18c、及び第4本体部材18dの4つに分割して構成されている。なお、本実施形態においては、第1乃至第3本体部材は黄銅製の鋳物で形成され、第4本体部材は黄銅板で形成されている。
【0030】
第1本体部材18aは、シャワー装置本体2の下端部に配置され、第1脚部12を形成する。また、第1本体部材18aは、シャワー装置1を設置する壁面から突出するように取り付けられた給水用アダプタ20a、及び給湯用アダプタ20bの先端部を受け入れ、これらに接続されるように構成されている。さらに、第1本体部材18aの下端部には、温調用サーモ水栓22が内蔵されており、温度調整用ツマミ16により、温調用サーモ水栓22から鉛直下方に延びる温度調整用スピンドルを回動させることができるようになっている。また、第1本体部材18aには、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bから流入した水及び湯を、夫々温調用サーモ水栓22に導くように通水路が形成されている。温調用サーモ水栓22では供給された水及び湯が混合され、適温に混合された湯水が、第1本体部材18a内に形成された第1湯水管路24の中を鉛直上方に上昇するように構成されている。また、第1湯水管路24の途中には、流量調整用バルブ24aが配置されている。
【0031】
第2本体部材18bには、第1湯水管路24に連通する湯水供給通路である第2湯水管路26と、第2湯水管路26の前面側に配置されたボディーシャワーヘッド4の通水部4cが形成されている。また、第2本体部材18bは、第1本体部材18aの上端に接続されており、第1湯水管路24から流入した湯水を第2湯水管路26によって鉛直上方に導くように構成されている。さらに、ボディーシャワーヘッド4の通水部4cは、第3本体部材18cから流入した湯水を受け入れ、各散水板4aに導くように構成されている。
【0032】
第3本体部材18cは、第2脚部14を構成すると共に、その内部には、第2湯水管路26に接続された湯水供給通路である第3湯水管路28が形成されている。この第3湯水管路28上には、第1バルブであるボディーシャワー用プッシュ水栓30aと、第2バルブであるハンドシャワー用プッシュ水栓30bと、オーバーヘッドシャワー用プッシュ水栓30cが配置されている。さらに、第3本体部材18cには、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aを通過した湯水をボディーシャワーヘッド4に導く第1通水路であるボディーシャワー誘導管路36と、ハンドシャワー用プッシュ水栓30bを通過した湯水をハンドシャワーヘッド6に導く第2通水路であるハンドシャワー誘導管路38と、オーバーヘッドシャワー用プッシュ水栓30cを通過した湯水をオーバーシャワーヘッド8に導くオーバーヘッドシャワー誘導管路40(以上、図2には図示せず)と、を有する。第3本体部材18cの詳細な構成は後述する。
【0033】
第4本体部材18dは、第3本体部材18cの上端に接続されており、その内部には第4湯水管路34が形成されている。第4本体部材18dの上端部にはオーバーシャワーヘッド8のアーム8aが取り付けられている。第4湯水管路34は、第3本体部材18cのオーバーヘッドシャワー誘導管路40から流入した湯水を、アーム8a内の通水路に導くように構成されている。
【0034】
次に、図4及び図5を参照して、シャワー装置1下部の第1本体部材18aの部分の構成を説明する。図4はシャワー装置1下部の断面図であり、図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。
【0035】
図4に示すように、第1本体部材18aは、壁面W内に埋め込まれた給水用配管42a、給湯用配管42bに夫々接続された給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bの先端を受け入れるように構成されている。また、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bの先端には、夫々2本のOリングが配置されており、各アダプタと第1本体部材18aとの間の水密性を確保している。また、給水用アダプタ20aの、給水用配管42aに接続される管の中心軸線と、第1本体部材18aに接続される管の中心軸線は約5mm偏心されている。同様に、給湯用アダプタ20bの各管の軸線も約5mm偏心されている。この構成により、壁面Wに埋め込まれた給水用配管42a及び給湯用配管42bの位置決め誤差を吸収することができる。即ち、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bの、給水用配管42a及び給湯用配管42bに対する回転位置を変えることにより、各アダプタの管先端の間隔、及び整列を適宜調整することができる。また、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bの先端を第1本体部材18aに挿入する挿入距離により、各アダプタの壁面からの突出量の誤差が吸収される。
【0036】
また、第1本体部材18aには、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bから流入した水及び湯を、夫々第1本体部材18a内のサーモ水栓受入部18eに導くように通水路が形成されている。サーモ水栓受入部18eに流入した水及び湯は、夫々温調用サーモ水栓22の中に流入し、ここで混合され、適温の湯水に調整される。
【0037】
温調用サーモ水栓22は、主弁体22aと、この主弁体22aの両側に夫々配置された形状記憶合金ばね22b、及びバイアスばね22cを有する。温調用サーモ水栓22は、主弁体22aを、形状記憶合金ばね22b及びバイアスばね22cの付勢力が釣り合う位置に移動させ、これにより、水及び湯の流入量を変化させて湯水の温度を調整している。即ち、流出される湯水の温度が設定温度よりも上昇したときは、形状記憶合金ばね22bが延びて主弁体22aを移動させ、湯の流入量を減らし、水の流入量を増加させる。逆に、流出される湯水の温度が設定温度よりも低下したときは、形状記憶合金ばね22bが収縮して主弁体22aを逆方向に移動させ、湯の流入量を増加させ、水の流入量を減少させる。これにより、流出される湯水の温度は設定温度に維持される。また、流出される湯水の設定温度は、温度調整用ツマミ16を操作して、温調用サーモ水栓22下端の調整用スピンドル22dを回転させることにより変更することができる。
【0038】
温調用サーモ水栓22において混合された湯水は、サーモ水栓受入部18eに連通した第1湯水管路24に流入し、第1本体部材18aの内部を上昇するように構成されている。この第1湯水管路24の途中には、流量調整用バルブ24aが配置されている。
【0039】
図5に示すように、流量調整用バルブ24aは、側面に通水孔が形成されたシリンダ部材24bと、このシリンダ部材24bを回動させるためのツマミ24cと、を有する。シリンダ部材24bのシリンダの側面には、対向する2つの通水孔が形成されている。また、シリンダ部材24bは、第1湯水管路24内で回動可能に配置されている。流量調整用バルブ24aは、シリンダ部材24bの通水孔と第1湯水管路24が整合する位置で流量最大となり、ツマミ24cを操作することにより流量を減少させることができるように構成されている。
【0040】
次に、図6を参照して、第1本体部材18aの上部に連結された第2本体部材18bの部分の構成を説明する。図6は第2本体部材18bの断面図である。
図6に示すように、第2本体部材18bの内部には、その背面側に配置された第2湯水管路26と、その前面側に配置されたボディーシャワーヘッド4の通水部4cが形成されている。第2湯水管路26の下端は、第1本体部材18aの第1湯水管路24に連結され、第2湯水管路26の上端は、第3本体部材18cの第3湯水管路28に連結されている。これにより、第1湯水管路24から流入した湯水は、第2湯水管路26を通って上昇し、第3湯水管路28に流入するように構成されている。
【0041】
また、ボディーシャワーヘッド4の通水部4cは、第3本体部材18cのボディーシャワー誘導管路36に接続されている。ボディーシャワー誘導管路36から流入した湯水は、通水部4c内を下降しながら、各散水板4aの散水口4bから吐水される。
【0042】
また、ボディーシャワーヘッド4の各散水板4aは、第2湯水管路26及び通水部4cを貫通して延びる散水板固定用部品である固定ねじ44で夫々固定されている。各固定ねじ44の先端部には、雄ねじ44aが形成され、この雄ねじ44aは、散水板4aの裏面に形成された雌ねじに螺合される。これにより、散水板4aは第2本体部材18b前面の壁に引きつけられ、散水板4aは背面側から第2本体部材18bに固定される。この構造により、散水板4aの正面には取り付け用のねじが露出せず、シャワー装置1の外観を優れたものにしている。また、固定ねじ44の中間部には、Oリング44bが配置されており、このOリング44bにより、第2湯水管路26及び通水部4cの水密性を確保している。さらに、固定ねじ44の基端部には、Oリング44cが配置されており、このOリング44cにより、第2湯水管路26の水密性を確保している。
【0043】
次に、図7乃至図9を参照して、第2本体部材18bの上部に連結された第3本体部材18cの部分の構成を説明する。図7は第3本体部材18cの下部を拡大して示す断面図である。図8は第3本体部材18c全体を示す側面図であり、図9は第3本体部材18c全体を示す背面図である。
【0044】
図7及び図8に示すように、第3本体部材18cの前面側には、ボディーシャワー用プッシュ水栓30a、ハンドシャワー用プッシュ水栓30b、及びオーバーヘッドシャワー用プッシュ水栓30cを夫々収容するための3つの水栓収容凹部18fが形成されている。各水栓収容凹部18fには、夫々プッシュ水栓が収容され、これらのプッシュ水栓を挿入した状態で、円筒状のバルブ押さえ31を水栓収容凹部18fの内壁面に形成された雌ねじに螺合させることにより、各プッシュ水栓を固定している。また、第3本体部材18c内に形成された第3湯水管路28は、第3本体部材18cの下端から、これら3つの水栓収容凹部18fを連通させるように上方に向かって延び、最も上方に位置するオーバーヘッドシャワー用プッシュ水栓30cを収容する水栓収容凹部18fまで延びている。なお、第3湯水管路28は、各プッシュ水栓の開閉に関わらず、下端から、最も上側の水栓収容凹部18fまで常時連通するように構成されている。
【0045】
次に、図7を参照して、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aの構成を説明する。
ボディーシャワー用プッシュ水栓30aは、主弁体32aと、この主弁体32aの圧力開放穴を開閉するパイロット弁32bと、このパイロット弁32bを移動させ、圧力開放穴を開閉するための操作部32cと、を有する。操作部32cは、一回押圧操作する毎にパイロット弁32bを圧力開放穴の閉鎖位置又は開放位置に交互に移動させるラッチ機構として構成されている。
【0046】
第3湯水管路28から水栓収容凹部18fに流入した湯水は、水栓入口32dから、主弁体32aに設けられた小穴32eを通って、圧力室32f内に流入する。主弁体32aの圧力開放穴がパイロット弁32bによって閉鎖されている場合には、小穴32eから流入した湯水の圧力により圧力室32f内の圧力が上昇する。圧力室32f内の圧力が上昇すると、この圧力により主弁体32aが第3本体部材18cの背面側(図7における右側)に向かって押圧され、主弁体32aが弁座32gに着座して止水状態となる。
【0047】
次いで、操作部32cを操作することにより、パイロット弁32bが第3本体部材18cの前面側(図7における左側)に向かって移動されると、主弁体32aの圧力開放穴が開放されて圧力室32f内の圧力が低下する。圧力室32f内の圧力が低下すると、主弁体32aは第3本体部材18cの前面側に向かって移動され、主弁体32aが弁座32gから離れて吐水状態となる。吐水状態となると、水栓入口32dから流入した湯水は、圧力室32f内を通らずに、流出口である水栓出口32hに直接流出する。即ち、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aの下部側面(図7における右側)の水栓入口32dから流入した湯水は、主弁体32aと弁座32gの間の隙間を通り、水栓出口32hからプッシュ水栓30aの下方(第3本体部材18cの背面側)に向かって流出する。
【0048】
また、ボディーシャワーボタン10aは、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aの操作部32c前面を覆うように配置され、ヒンジ部10dを中心に回動可能に取り付けられている。ボディーシャワーボタン10aを押圧操作することにより、その裏側に位置する操作部32cが押圧され、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aが止水状態又は吐水状態に交互に切り替えられる。
【0049】
さらに、ボディーシャワーボタン10aの下方には、オイルダンパー46が配置されている。また、ボディーシャワーボタン10aの下部には、係合歯46aが取り付けられており、係合歯46aはオイルダンパー46と係合される。オイルダンパー46は、ボディーシャワーボタン10aの動きに粘性抵抗を与えるように構成されており、これにより、ボディーシャワーボタン10aの動きが適度に減速され、ボタンの操作感が向上される。
【0050】
以上、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aの構成を説明したが、ハンドシャワー用プッシュ水栓30b、オーバーヘッドシャワー用プッシュ水栓30c及びこれらに関連した部分も同様に構成されている。
【0051】
次に、図7乃至図9を参照して、第3本体部材18c内に形成されている通水路の構成を説明する。
図8に示すように、第3湯水管路28は、第3本体部材18cの前面側中央に、下方から上方に向けて延びるように形成されている。また、第3湯水管路28には3つの水栓収容凹部18fが等間隔に形成されており、そのうちの1つは第3湯水管路28の上端に、残りの2つはその途中に形成されている。また、各水栓収容凹部18fは、そこに収容される各プッシュ水栓の中心軸線が、第3湯水管路28の中心線を通るように形成されている。さらに、第3湯水管路28の水栓収容凹部18fが形成された部分は、第3本体部材18cの背面側に向かって湾曲されている。
【0052】
また、図9に示すように、ボディーシャワー誘導管路36は、第3本体部材18cの最下段の水栓収容凹部18fから、第3本体部材18cの前面側下端部まで延びるように構成されている。即ち、ボディーシャワー誘導管路36は、基端がボディーシャワー用プッシュ水栓30aの背面側の水栓出口32hに連通され、この基端から、第3本体部材18cの側部に向かって斜め下方に延びる(図9)。次いで、ボディーシャワー誘導管路36は、第3本体部材18cの中央に位置する第3湯水管路28の側面を越えて第3本体部材18cの前面側に延びる側面迂回通水部36aを介して第3本体部材18cの前面側下端部まで延びている(図7)。
【0053】
また、図8及び図9に示すように、ハンドシャワー誘導管路38は、基端がハンドシャワー用プッシュ水栓30bの背面側の水栓出口32hに連通され、ハンドシャワーヘッド6に湯水を誘導するように形成されている。ハンドシャワー誘導管路38は、まず、第3本体部材18cの中段の水栓収容凹部18fから、第3湯水管路28の背面に沿って、第3本体部材18cの中央を、即ち、第3湯水管路28の真後ろを下方に向かって延びる。次いで、ハンドシャワー誘導管路38は、ボディーシャワー誘導管路36の基端部を迂回する第2通水路迂回部であるボディーシャワー迂回部38aを介してさらに下方に延びる。このボディーシャワー迂回部38aは、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aの軸線を中心とする半円形状に形成されている(図9)。さらに、ハンドシャワー誘導管路38は、第3本体部材18c中央の背面側下部に配置された第2通水路の出口であるシャワーホース接続部38bまで延びている。また、本実施形態においては、ボディーシャワー迂回部38aは、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aを、側面迂回通水部36aの反対側に迂回するように延びている(図9)。即ち、側面迂回通水部36aとボディーシャワー迂回部38aは、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aの両側に位置決めされている。
【0054】
さらに、図8に示すように、オーバーヘッドシャワー誘導管路40は、まず、第3本体部材18cの最上段の水栓収容凹部18fから、第3湯水管路28の背面側を上方に延びた後、第3本体部材18cの前面に向かって前方斜め上方に延びる。次いで、オーバーヘッドシャワー誘導管路40は、第3本体部材18cの前面に沿って鉛直上方に延びる。オーバーヘッドシャワー誘導管路40の上端部は、第4本体部材18dの第4湯水管路34に接続されている(図2)。
【0055】
次に、図10及び図11を参照して、本発明の実施形態によるシャワー装置1の壁面への取り付け手順を説明する。図10は、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bの位置調整を説明する斜視図である。図11は、第1脚部12、及び第2脚部14のカバーの取り付けを示す斜視図である。
【0056】
図10に示すように、まず、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bを、シャワー装置1を設置すべき壁面Wに埋め込まれた給水用配管42a及び給湯用配管42bに取り付ける。次に、取付用治具48から突出した2つの円柱部48aを、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bの先端の管内に挿入する。取付用治具48は、細長い平板部48bから2本の円柱部48aが突出するように構成されている。2本の円柱部48aは、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bの先端に隙間なく挿入される太さに形成されている。また、2本の円柱部48aの間隔は、第1本体部材18aの各アダプタを受け入れる部分のピッチと同一に構成されている。従って、2本の円柱部48aが給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bに同時に挿入されるように、各アダプタの回転位置を調整することにより、各アダプタの先端部の間隔を所定の間隔に調整することができる。さらに、取付用治具48の平板部48bが鉛直方向に向けられるように、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bの回転位置を調整することにより、各アダプタの先端の間隔が所定間隔になると共に、各アダプタの先端が鉛直方向に整合する。
【0057】
次に、シャワー装置受け金具50a、50b(図3)を、タッピングビスにより壁面Wの所定の位置に固定する。さらに、シャワー装置本体2を、壁面Wから突出する給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bが、第1本体部材18aの所定の位置に挿入されるように配置する。これにより、シャワー装置本体2の第1脚部12及び第2脚部14が、シャワー装置受け金具50a、50bの上端面に当接する(図2)。
【0058】
さらに、図4に示すように、第1本体部材18aの、給水用アダプタ20a及び給湯用アダプタ20bの挿入部に夫々取り付けられた袋ナット52を、各アダプタの中間部に形成された雄ねじ20cに螺合させる。これにより、第1本体部材18aは、壁面Wに引きつけられる。さらに、第1本体部材18aが壁面Wに引きつけられ、第1脚部12の端部が壁面Wに当接するまで、袋ナット52を締め付ける。この状態で、ビス50c(図3)により、第1脚部12及び第2脚部14を、シャワー装置受け金具50a、50bの上端面にねじ止めする(図11)。最後に、4枚の脚部カバー54a、54bを、第1脚部12及び第2脚部14の側面に夫々ねじ止めし、第1本体部材18a及び第3本体部材18cの側面をカバーする。
【0059】
次に、本発明の実施形態によるシャワー装置1の作用を説明する。
まず、止水状態において、ボディーシャワーボタン10aを一回押圧操作すると、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aの操作部32cが、パイロット弁32bを主弁体32aから引き離す(図7)。これにより、圧力室32f内の圧力が低下して、主弁体32aが弁座32gから離れ、吐水状態となる。ボディーシャワー用プッシュ水栓30aが吐水状態になると、給水用配管42a及び給湯用配管42bから水及び湯が、夫々第1本体部材18a内に流入する。第1本体部材18a内に流入した水及び湯は、温調用サーモ水栓22内で適温に混合され、第1湯水管路24に流入する。第1湯水管路24に流入した湯水は、流量調整用バルブ24aを介して第2本体部材18bの第2湯水管路26内を上昇する。
【0060】
第2湯水管路26から流出した湯水は、第3本体部材18cの第3湯水管路28内に流入する。第3湯水管路28に流入した湯水は、第3本体部材18cの最下段の水栓収容凹部18f内に流入し、ここに配置された開放状態にあるボディーシャワー用プッシュ水栓30aを通過する(図7)。ボディーシャワー用プッシュ水栓30aを通過した湯水は、ボディーシャワー誘導管路36に流入し、側面迂回通水部36aを経て、第3本体部材18c下端のボディーシャワー誘導管路36の下流端に到達する。なお、他の2つのプッシュ水栓が止水状態にある場合には、それらの下流側のハンドシャワー誘導管路38、及びオーバーヘッドシャワー誘導管路40内には、湯水は流入しない。
【0061】
ボディーシャワー誘導管路36から流出した湯水は、第2本体部材18bに組み込まれたボディーシャワーヘッド4の通水部4cに流入する(図6)。通水部4cに流入した湯水は、各散水板4aの散水口4bからボディーシャワーとして吐出される。また、シャワー装置本体2の下部側面に設けられた流量調整用ツマミ24c(図5)を回動操作することにより、シャワーの使用者はボディーシャワーヘッド4から吐出する湯水の流量を調整することができる。また、シャワー装置本体2下端部の温度調整用ツマミ16(図2)を回動操作することにより、使用者はボディーシャワーヘッド4から吐出する湯水の温度を調整することができる。さらに、ボディーシャワーボタン10aをもう一回押圧操作することにより、ボディーシャワー用プッシュ水栓30aは止水状態に切り替えられ、ボディーシャワーヘッド4からの吐水が停止される。
【0062】
同様に、ハンドシャワーボタン10bが一回押圧操作された場合には、ハンドシャワー用プッシュ水栓30bが吐水状態となる。これにより、給水用配管42a及び給湯用配管42bから流入した湯及び水は混合され、第3湯水管路28に流入する。第3湯水管路28に流入した湯水は、第3本体部材18cの最下段の水栓収容凹部18fを通過し、中段の水栓収容凹部18fに流入する(図7)。この水栓収容凹部18fに流入した湯水は、ハンドシャワー用プッシュ水栓30bを通過して、ハンドシャワー誘導管路38に流入する。ハンドシャワー誘導管路38に流入した湯水は、ハンドシャワー誘導管路38のボディーシャワー迂回部38aを経て下方に流れ、シャワーホース接続部38bに到達する。シャワーホース接続部38bに達した湯水は、シャワーホース6bを通過して、ハンドシャワーヘッド6から吐水される。さらに、ハンドシャワーボタン10bをもう一回押圧操作すると、ハンドシャワーヘッド6からの吐水が停止される。
【0063】
さらに、オーバーヘッドシャワーボタン10cが一回押圧操作された場合には、オーバーヘッドシャワー用プッシュ水栓30cが吐水状態となる。これにより、給水用配管42a及び給湯用配管42bから湯及び水が流入して混合され、第3湯水管路28に流入する。第3湯水管路28に流入した湯水は、第3本体部材18cの最下段及び中段の水栓収容凹部18fを通過し、最上段の水栓収容凹部18fに流入する(図8)。この水栓収容凹部18fに流入した湯水は、オーバーヘッドシャワー用プッシュ水栓30cを通過して、オーバーヘッドシャワー誘導管路40に流入する。オーバーヘッドシャワー誘導管路40に流入した湯水は上方に流れ、第4本体部材18dの第4湯水管路34に到達する。第4湯水管路34に達した湯水は、アーム8aを通過して、オーバーシャワーヘッド8から吐水される。さらに、オーバーヘッドシャワーボタン10cをもう一回押圧操作すると、オーバーシャワーヘッド8からの吐水が停止される。
【0064】
なお、上述した例では、各シャワーヘッドから別々に吐水させていたが、本実施形態によるシャワー装置1は、複数のボタンを操作して、複数のシャワーヘッドから同時に吐水させることもできる。
【0065】
本発明の実施形態のシャワー装置によれば、ハンドシャワー誘導管路が、ボディーシャワー用プッシュ水栓の鉛直上方のハンドシャワー用プッシュ水栓から、ボディーシャワー用プッシュ水栓を迂回して下方に延びているので、操作用のボタンを集約的に配置しながら、シャワー装置本体をコンパクトに構成することができる。
【0066】
特に、本実施形態のシャワー装置においては、第3本体部材を鋳物によって形成しているので、シャワー装置内の管路を複数の可撓性のあるホースを連結して構成した場合に比べ、シャワー装置全体をコンパクトに構成することができる。また、ホースを急激に湾曲させて配管することによるホースのつぶれや、破損を防止することができる。
【0067】
また、本実施形態のシャワー装置によれば、第3湯水管路の背面側から延びるボディーシャワー誘導管路が第3湯水管路の側面を越えて前面側に延びる側面迂回通水部を有するので、シャワー装置本体の大型化を回避しながら、シャワー装置本体前面に配置されたボディーシャワー用のボディーシャワーヘッドに湯水を供給することができる。
【0068】
さらに、本実施形態のシャワー装置によれば、ボディーシャワー誘導管路の側面迂回通水部と、ハンドシャワー誘導管路のボディーシャワー迂回部が、夫々、ボディーシャワー用プッシュ水栓の両側に位置決めされているので、ボディーシャワー誘導管路及びハンドシャワー誘導管路が両方ともボディーシャワー用プッシュ水栓を迂回しながら、シャワー装置本体の大型化を回避することができる。
【0069】
また、本実施形態のシャワー装置によれば、シャワーホースの基端をボディーシャワー用プッシュ水栓よりも下方に配置することができるので、操作性の良いハンドシャワーと、視認性の良い位置へのボディーシャワー、ハンドシャワー、及びオーバーヘッドシャワーボタンの配置と、を両立させることができる。
【0070】
また、本実施形態のシャワー装置によれば、シャワーホース接続部をボディーシャワー用プッシュ水栓よりも下方に配置しているので、ボディーシャワー用プッシュ水栓の側方にシャワーホース接続部を設ける必要がなく、シャワー装置本体をスリムに構成することができる。
【0071】
さらに、本実施形態のシャワー装置によれば、ボディーシャワー用プッシュ水栓の上方からボディーシャワー用プッシュ水栓を迂回して延びるハンドシャワー誘導管路のボディーシャワー迂回部が、概ねボディーシャワー用プッシュ水栓の軸線を中心とする半円形状に形成されているので、ボディーシャワー用プッシュ水栓を迂回するハンドシャワー誘導管路を、非常にコンパクトに構成することができる。
【0072】
また、本実施形態のシャワー装置によれば、使用者による視認性の良い位置にボディーシャワー、ハンドシャワー、及びオーバーヘッドシャワーボタンを配置することを可能にしながら、押圧操作により吐水状態と止水状態を切り替えることができるので、操作性を更に向上させることができる。
【0073】
さらに、本実施形態のシャワー装置によれば、ボディーシャワーヘッドの散水板が、固定ねじによってシャワー装置の背面側から固定されているので、表面にねじの頭を露出させることなく散水板を固定することができ、シャワー装置の美観を向上させることができる。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、シャワー装置に3つのシャワーヘッドが備えられていたが、本発明は、任意のシャワーヘッドが2つ以上備えられたシャワー装置に適用することができる。
【0075】
また、上述した実施形態においては、各シャワーヘッドからの吐水、止水を、プッシュ式の水栓によって切り替えていたが、本発明のシャワー装置に他の任意の形式の水栓を使用することができる。或いは、本発明のシャワー装置に、流量調整機能を備えたプッシュ式の水栓を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態によるシャワー装置全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態によるシャワー装置の側面断面図である。
【図3】本発明の実施形態によるシャワー装置の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態によるシャワー装置下部の断面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】第2本体部材の断面図である。
【図7】第3本体部材の下部を拡大して示す断面図である。
【図8】第3本体部材全体を示す側面図である。
【図9】第3本体部材全体を示す背面図である。
【図10】給水用アダプタ及び給湯用アダプタの位置調整を説明する斜視図である。
【図11】第1脚部及び第2脚部のカバーの取り付けを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
W 壁面
1 本発明の実施形態によるシャワー装置
2 シャワー装置本体
4 ボディーシャワーヘッド(第1シャワーヘッド)
4a 散水板
4b 散水口
4c 通水部
6 ハンドシャワーヘッド(第2シャワーヘッド)
6a ハンドシャワーレスト
6b シャワーホース
8 オーバーシャワーヘッド
8a アーム
10a ボディーシャワーボタン
10b ハンドシャワーボタン
10c オーバーヘッドシャワーボタン
10d ヒンジ部
12 第1脚部
14 第2脚部
16 温度調整用ツマミ
18a 第1本体部材
18b 第2本体部材
18c 第3本体部材
18d 第4本体部材
18e サーモ水栓受入部
18f 水栓収容凹部
20a 給水用アダプタ
20b 給湯用アダプタ
20c 雄ねじ
22 温調用サーモ水栓
22a 主弁体
22b 形状記憶合金ばね
22c バイアスばね
22d 調整用スピンドル
24 第1湯水管路
24a 流量調整用バルブ
24b シリンダ部材
24c 流量調整用ツマミ
26 第2湯水管路(湯水供給通路)
28 第3湯水管路(湯水供給通路)
30a ボディーシャワー用プッシュ水栓(第1バルブ)
30b ハンドシャワー用プッシュ水栓(第2バルブ)
30c オーバーヘッドシャワー用プッシュ水栓
31 バルブ押さえ
32a 主弁体
32b パイロット弁
32c 操作部
32d 水栓入口
32e 小穴
32f 圧力室
32g 弁座
32h 水栓出口
34 第4湯水管路
36 ボディーシャワー誘導管路(第1通水路)
36a 側面迂回通水部
38 ハンドシャワー誘導管路(第2通水路)
38a ボディーシャワー迂回部(第2通水路迂回部)
38b シャワーホース接続部(第2通水路の出口)
40 オーバーヘッドシャワー誘導管路
42a 給水用配管
42b 給湯用配管
44 固定ねじ(散水板固定用部品)
46 オイルダンパー
48 取付用治具
48a 円柱部
48b 平板部
50a、50b シャワー装置受け金具
50c ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に概ね鉛直方向に延びるように設置され、供給された湯水を複数のシャワーヘッドから吐出させるシャワー装置であって、
縦長に形成されたシャワー装置本体と、
このシャワー装置本体内に配置され、上記シャワー装置の下部から供給された湯水を上方に向けて導く湯水供給通路と、
この湯水供給通路の途中に配置され、上記湯水供給通路から流入した湯水を上記湯水供給通路の背面側に通過させ、又は停止させる第1バルブと、
上記湯水供給通路の、上記第1バルブの鉛直上方に配置され、上記湯水供給通路から流入した湯水を上記湯水供給通路の背面側に通過させ、又は停止させる第2バルブと、
上記第1バルブを通過した湯水を吐出させるように、上記第1バルブよりも下方に配置された第1シャワーヘッドと、
上記第2バルブを通過した湯水を吐出させるように、シャワーホース接続部から延びるシャワーホースに接続されたハンドシャワー用のハンドシャワーヘッドと、
基端が上記第1バルブの流出口に連通され、上記シャワー装置本体内の上記湯水供給通路の背面側を、上記第1シャワーヘッドまで延びる第1通水路と、
基端が上記第2バルブの流出口に連通され、上記シャワー装置本体内の上記湯水供給通路の背面側を、上記第1バルブを迂回して、上記第1バルブよりも下方に位置決めされた上記シャワーホース接続部まで延びる第2通水路と、
を有することを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
上記第1シャワーヘッドが、上記シャワー装置本体前面のボディーシャワー用のボディーシャワーヘッドであり、さらに、上記第1通水路が、上記湯水供給通路の側面を越えて前面側に延び、上記ボディーシャワーヘッドに湯水を導く側面迂回通水部を有する請求項1記載のシャワー装置。
【請求項3】
上記第1バルブを迂回して延びる上記第2通水路の一部分である第2通水路迂回部と、上記側面迂回通水部は、夫々、上記第1バルブの両側に位置決めされている請求項2記載のシャワー装置。
【請求項4】
上記第1バルブを迂回して延びる上記第2通水路の一部分である第2通水路迂回部は、概ね上記第1バルブの軸線を中心とする半円形状に形成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のシャワー装置。
【請求項5】
上記第1バルブ及び上記第2バルブは、押圧操作により吐水状態と止水状態が切り替えられるプッシュ式の水栓である請求項1乃至4の何れか1項に記載のシャワー装置。
【請求項6】
上記ボディーシャワーヘッドの散水板は、上記湯水供給通路及び上記ボディーシャワーヘッドの通水部を貫通して延びる散水板固定用部品により、上記シャワー装置の背面側から固定されている請求項2乃至5の何れか1項に記載のシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−220822(P2008−220822A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66646(P2007−66646)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】