説明

シャワー装置

【課題】吐水部の反復運動停止状態で吐水部から吐水ができ、吐水部を反復運動状態と、停止状態で吐水部からの吐水量を同一にできるシャワー装置を提供する。
【解決手段】反復運動可能な吐水部と、流体の力で吐水部を反復運動可能にさせる水力駆動装置と、流体の給水流路と吐水部に連通する主流路と、第1の駆動部流路と、第2の駆動部流路とを有する駆動部流路と、主流路と駆動部流路に分岐する分岐部と、吐水部反復運動状態に対応し、分岐部から主流路への流体流量を制御する第1の弁体と、を備え、第1の弁体は、吐水部が反復運動吐水時には、流体を分岐部から主流路に供給せず、反復運動させずに吐水する際には、流体を分岐部から主流路に供給するように制御し、第1の弁体は、吐水部N反復運動時の吐水流量と、反復運動させていない際の吐水流量とが同一となるように分岐部から主流路に供給される流体の流量を制御すること、を特徴とするシャワー装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室やシャワーブース等で用いられるシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室やシャワールームなどに設けられたシャワー装置は、フレキシブルホースを介して給水栓に接続された吐水部を使用者が把持して身体の各部にシャワー吐水させている。このとき、使用者は、把持した吐水部を動かさなければならない。また、吐水部を把持した側の手を他の作業に使えなくなるなどの問題があった。この点に鑑み、特許文献1には、水力を利用して吐水部を自動で移動させ、吐水位置を変化させるシャワー装置が提案されている。また、駆動部を介さずに別の吐水部へ湯水を供給する流路を設けている。これにより、別の吐水部を固定して利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−3826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャワー装置の使用を鑑みると、体の広範囲にシャワーを浴びて石鹸等を洗い流したりリラックスしたりするシーンと、体の特定箇所にシャワーを浴びて洗髪したり肩や腰などを集中的に暖めたり刺激したりするシーンと、がある。すなわち、吐水部が反復運動するシャワー装置としては、吐水の方向や位置を変化させる状態と、吐水の方向や位置を固定させる状態と、が必要となる。
このとき、上記2つの状態を切り替える際に、シャワーの浴び感の連続性を確保したいという要望があり、それを解決するには、より一層の工夫が必要であった。
【0005】
本発明は、吐水部の反復運動を停止させた状態で吐水部から吐水をさせることができ、また、吐水部を反復運動させている状態と、停止させている状態と、で吐水部からの吐水量を同一にすることができるシャワー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、反復運動可能に設けられた吐水部と、流体が流れる力を利用して前記吐水部を反復運動させることが可能な水力駆動装置と、流体が供給される給水流路と連通し且つ前記吐水部に連通する主流路と、前記給水流路と連通し且つ前記水力駆動装置に連通する第1の駆動部流路と、前記水力駆動装置と前記吐水部とを直接または間接的に連通する第2の駆動部流路とを有する駆動部流路と、前記主流路と前記駆動部流路に流路を分岐する分岐部と、前記吐水部の反復運動の状態に対応して、前記分岐部から前記主流路に供給される流体の流量を制御する第1の弁体と、を備え、前記第1の弁体は、前記吐水部を反復運動させて吐水する際には、流体を前記分岐部から前記主流路に供給せず、且つ前記吐水部を反復運動させずに吐水する際には、流体を前記分岐部から前記主流路に供給するように制御し、前記第1の弁体は、前記吐水部を反復運動させている際に吐水される流体の流量と、前記吐水部を反復運動させていない際に吐水される流体の流量とが同一となるように前記分岐部から前記主流路に供給される流体の流量を制御すること、を特徴とするシャワー装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐水部の反復運動を停止させた状態で吐水部から吐水をさせることができ、また、吐水部を反復運動させている状態と、停止させている状態と、で吐水部からの吐水量を同一にすることができるシャワー装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
【図2】本実施の形態に係るシャワー装置の外観を例示するための模式斜視図である。
【図3】図2に例示をするシャワー装置の模式正面図である。
【図4】図3におけるA−A矢視断面図である。
【図5】水力駆動装置を例示するための模式図である。
【図6】水力駆動装置を例示するための模式図である。
【図7】水力駆動装置を例示するための模式図である。
【図8】水力駆動装置の動作を説明するための模式図である。
【図9】切換ユニットを例示するための模式斜視図である。
【図10】弁体による流量制御を例示するための模式図である。
【図11】円筒状の弁体を分岐部分に設ける場合を例示するための模式断面図である。
【図12】水力駆動装置を最高速度で駆動する場合における弁体の状態を例示するための模式図である。
【図13】水力駆動装置の駆動を停止させる場合における弁体の状態を例示するための模式図である。
【図14】シャワー装置の作用を例示するための模式断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
【図16】本実施の形態に係るシャワー装置の外観を例示するための模式斜視図である。
【図17】図16に例示をするシャワー装置の模式分解図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
【図19】流量制御を例示するための模式図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
【図21】流量制御を例示するための模式図である。
【図22】本発明の第5の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
【図23】本実施の形態に係るシャワー装置の外観を例示するための模式分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。尚、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
また、図2は、本実施の形態に係るシャワー装置の外観を例示するための模式斜視図である。
また、図3は、図2に例示をするシャワー装置の模式正面図であり、図4は、図3におけるA−A矢視断面図である。
【0010】
図1乃至図4に示すように、シャワー装置1は、水力駆動装置2と、吐水部3と、弁体13(図9を参照)が内蔵された切換ユニット4と、定流量弁5と、筐体6と、を備えている。また、シャワー装置1への給水流路16を形成する配管には、止水弁7と、温調弁8と、が設けられている。給水流路16は、水力駆動装置2に至る駆動部流路(第1の駆動部流路)9aと、吐水部3に至る主流路9bと、に分岐している。またさらに、水力駆動装置2と吐水部3と連通する流路(第2の駆動部流路)282が設けられている。
温調弁8の入水口に供給された湯水などの流体は、吐水部3のノズル孔3cから吐水W2(シャワー吐水)として吐出可能とされている。
尚、本実施の形態においては、切換ユニット4が、主流路9bと駆動部流路9aに流路を分岐する分岐部となるが、切換ユニット4は分岐部ではなく分岐部より下流に設けることもできる。
【0011】
図2に示すように、吐水部3は、円筒状の本体3aの半径方向に平坦部を有し、平坦部には複数のノズル孔3cが設けられたノズルプレート3bが設けられている。また、図4に示すように、本体3aの内部に設けられた空間3dとノズル孔3cとが連通されている。本体3aの一方の軸方向端面には、内部に流路を有する軸3eが突出するように設けられ、他方の軸方向端面には、円形断面の孔3fが設けられている。そして、軸3eに設けられた流路と孔3fとは、本体3aの内部に設けられた空間3dと連通されている。
【0012】
軸3eと、孔3fに液密となるように装着された吐水筒体280(詳細は、図5を参照)とにより、本体3aが矢印R(図2参照)の方向に反復運動(本実施形態によれば、スイング)自在に保持されている。また、軸3eに設けられた流路と吐水筒体280に設けられた流路282とを介して、流体W1が空間3d内に流入可能となっている。そして、空間3d内に流入した流体W1は、吐水W2としてノズル孔3cから吐出可能とされている。すなわち、本実施の形態において例示をしたものでは、流路282が、水力駆動装置2から流出した流体を吐水部3に供給するための第2の駆動部流路としての機能を果たす。
【0013】
水力駆動装置2は、所定量の流体が供給されると、吐水部3の本体3aを矢印Rの方向に反復運動させる。つまり、吐水部3は、反復運動をしながら吐水する。そして、本実施形態においては、後に詳述するように、切換ユニット4を切り換えることにより、水力駆動装置2の駆動を停止させることができる。またさらに、水力駆動装置2を駆動させ本体3aを反復運動させながら吐水させる状態(第1状態)と、水力駆動装置2を停止させつつ本体3aから吐水させる状態(第2の状態)と、において本体3aから吐水される吐水量を同一とすることができる。これらの点については、後に詳述する。尚、第1状態と第2の状態において、湯水は同じノズル孔から吐水されるものである。
【0014】
次に、水力駆動装置2について具体例を参照しつつ説明する。
図5乃至図7は、水力駆動装置を例示するための模式図である。また、図8は、水力駆動装置の動作を説明するための模式図である。尚、図7は、図6におけるB−B矢視断面図である。
【0015】
図5乃至図7に示すように、水力駆動装置2は、ハウジング本体202とハウジング蓋203、204により形成されるハウジングから一方に吐水筒体280を突出した形態を有している。吐水筒体280は、内部に流路282を有する中空構造となっており、先端にて開口している。ハウジング本体202に設けられた入水口212、214に流体W1を導入すると、吐水筒体280が矢印Mの方向(図8を参照)に反復運動をする。また、吐水筒体280は、吐水部3の孔3fに液密となるように装着されており、吐水筒体280と吐水部3とが連動して、吐水部3が反復運動するようになっている。そして、流路282から流出した流体W1が吐水部3に供給され、吐水W2としてノズル孔3cから吐出されるようになっている。
【0016】
その内部構造について説明すると、図5乃至図7に示したように、ハウジング本体202及びハウジング蓋203、204により形成される扇状のハウジング空間に中子本体220と中子蓋222とからなる中子が吐水筒体280を中心軸としてスイング可能に収容されている。
【0017】
そして、中子には、中子本体220と中子蓋222とを組合せることにより中子内流路224が形成され、この中子内流路224は、吐水筒体280に設けられた流路282に連通している。中子本体220及び中子蓋222には、中子内流路224と圧力室216、218とを連通させる導入口232、234が設けられている。そして、この中子内流路224を横断するようにして、主弁242、244、スライドバー246、248が設けられている。
【0018】
図7に例示するように、主弁244が中子本体220から離れる方向に移動すると、導入口234が開かれる。一方、これとは逆に、主弁242が中子本体220から離れる方向に移動すると、導入口232が開かれる。
これら導入口232、234は、いずれも中子内流路224に連通している。つまり、導入口232は、ハウジング内の圧力室216と中子内流路224とを連通させ、導入口234は、圧力室218と中子内流路224とを連通させている。
【0019】
そして、これら導入口232、234の開度を変化させる主弁242、244の動作は、同軸に設置されたスライドバー246、248により決定される。すなわち、図5及び図6に示したように、左右のスライドバー246、248は、圧縮された板ばね260をはさんで連結され、板ばね260の湾曲方向に応じて右端あるいは左端に向けた付勢力を受ける。尚、板ばね260は、その両端が中子本体220に支持されており、スライドバー246、248は、板ばね260を介して中子本体220に対して相対的に移動する。主弁242、244は、スライドバー246、248からこの付勢力を受けて、導入口232、234を全開状態あるいは全閉状態の択一的な状態に制御する。
【0020】
次に、水力駆動装置2の動作について例示をする。
図8は、水力駆動装置の動作を例示するための模式図である。
同図(a)は、スライドバー246、248が板ばね260の作用により向かって左側に向けて付勢された状態を表す。この時、主弁242、244もスライドバー246により左側に向けて付勢されるので、導入口232は閉じ、導入口234が開いた状態となっている。
【0021】
この状態で入水口212、214にほぼ同圧の流体W1を導入すると、矢印aで表したように入水口214から圧力室218に導入された水は、矢印cで表したように導入口234から中子内流路224に流入し、矢印dで表したように流路282を介して流出する。
【0022】
これに対して、矢印bで表したように入水口212から圧力室216に導入された水は、導入口232が閉じているために流出経路がなく、圧力室216の圧力を上昇させる。
つまり、導入口232、234の開度に差を設けることにより流路抵抗に差が生じ圧力差が生ずる。その結果として、圧力室218よりも圧力室216の圧力のほうが高くなり、中子は矢印Mの方向に押されて移動する。
【0023】
尚、中子本体220が矢印Mの方向に移動すると、圧力室216の容積が増大し、その分だけ圧力室218の容積が縮小する。そのため、矢印bの経路による圧力室216への流体W1の流入量の分、圧力室218内の流体W1が押し出され、流路282から流出する流体W1の吐水量に含まれることとなる。
【0024】
そしてさらに中子が移動を続け、スライドバー248がハウジング本体202の内壁に当接し、中子に対して押されると、板ばね260の湾曲方向が反転し、図8(b)に表したように、スライドバー246、248は、反対側に向けて付勢される。すると、スライドバー248が主弁244を押すことにより、主弁242、244も右側(向かって時計回り方向)に移動する。すなわち、導入口232が開き、導入口234が閉じる。
【0025】
図8(b)に表した状態においては、矢印bで表したように入水口212から圧力室216に導入された流体W1は、矢印cで表したように、導入口232から中子内流路224に流入し、矢印dで表したように流路282を介して流出する。これに対して、矢印aで表したように、入水口214から圧力室218に導入された流体W1は、導入口234が閉じているために流出経路がなく、圧力室218の圧力を上昇させる。その結果として、圧力室216、218に圧力差が生じ、中子は矢印Mで表したように右側に向けて移動を開始する。
【0026】
そして、中子がさらに移動すると、図8(c)に表したように、スライドバー246がハウジング本体202の内壁に当接する位置まで移動する。この状態からさらに中子が移動し、スライドバー246が中子に対して押されることにより、板ばね260の湾曲方向が反転して、反対側に付勢される。すると、図8(a)に表した状態と同様に、導入口232が閉じて導入口234が開いた状態となり、中子は左側に向けて移動を開始する。
【0027】
すなわち、水力駆動装置2は、吐水部3に連結され、所定量以上の流体が流入することで、吐水部3の反復運動を行うことができる(第1の状態)。
【0028】
また、移動速度を調整するための図示しない速度調整機構を設けるようにすることもできる。速度調整機構としては、例えば、水力駆動装置2に供給される流体W1の流量を調整する流量調整弁、圧力室216と圧力室218との間に設けられるバイパス流路、摺動ブレーキなどを例示することができる。
【0029】
このような速度調整機構を設けるようにすれば、製造誤差などにより移動速度にバラツキが生じても、調整により所望の移動速度にすることができる。尚、速度調整機構は、メンテナンス時や出荷時に行われる微調整のためのものとされ、シャワー装置1の使用者が通常使用しないものとすることもできる。
【0030】
尚、本発明の水力駆動装置は図5乃至図8において例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、反復運動自在に取り付けられた吐水部3と水力により回転する水車とを減速歯車列を介して連結し、吐水部3の移動方向を反転させる切換機構を備えるようにすることもできる。切換機構としては、例えば、支点を中心として左右に移動する弁と反転子とを備え、弁の倒れる方向が変化すると導入口の閉塞側が切り換えられるようなものであってもよい。また、例えば、シリンダー内に設けられたピストンを水圧により往復直線運動させ、ピストンの往復直線運動をリンクやワイヤーなどを用いて吐水部3の反復運動に変換し、吐水部3の移動方向を切換機構により反転させるようにすることもできる。切換機構としては、例えば、前述した中子に設けられているような導入口の切換機構などを用いることができる。
【0031】
尚、切換機構として電気モータやソレノイドなどを用いることもできるが、このような水力を利用した水路の自動切換機構を用いるものとすれば、吐水源と反復運動の動力源との統一化がなされ機構の簡略化が図れると伴に、コスト低下や信頼性向上にも寄与することができる。
【0032】
次に、図1乃至図4に戻って、シャワー装置1に備えられた他の要素について例示をする。
給水流路16の途上には、定流量弁5が取り付けられている。尚、定流量弁5は必ずしも必要ではなく省くこともできる。ただし、定流量弁5を設けるものとすれば、高水圧環境にシャワー装置1を設ける場合においては、いわゆるリミッタとしての機能を果たさせることもできる。そのため、定流量弁5を設けるようにすることが好ましい。
【0033】
また、定流量弁5の流量制御方式は特に限定されるわけではなく適宜選択することができる。例えば、ゴムの弾性力を利用して、差圧によりオリフィスの内径を変化させるゴム式、ニードルに組み込まれたスプリングの弾性力を利用してニードルをスライドさせ、オリフィスの内径を変化させるスプリング式などとすることができる。
【0034】
筐体6には、水力駆動装置2、切換ユニット4、定流量弁5などを取り付けるフレーム6aと、これらや配管部材などを覆うようにして収納するカバー6bとが設けられている。フレーム6aは、例えば、浴室やシャワー室などの壁面に取り付けられ、フレーム6aを介してシャワー装置1が壁面などに固定されるようになっている。また、フレーム6a、カバー6bは、耐食性材料からなるものとすることが好ましく、例えば、合成樹脂や、ステンレスなどの耐食性金属などからなるものとすることができる。
【0035】
図9は、切換ユニット4を例示するための模式斜視図である。尚、図中の矢印は、流水方向を表している。
図9に示すように、切換ユニット4には、ハンドル10、本体11、軸受け12、弁体13が設けられている。
【0036】
本体11は、流入口11aと流出口11b、11cとを有し、流入口11aには配管を介して定流量弁5が接続されている。また、流出口11bには主流路9bを介して吐水部3が接続され、流出口11cには駆動部流路9aを介して水力駆動装置2が接続されている。また、本体11の内部において、流入口11aに連通する流路が2分岐され、分岐された流路がそれぞれ流出口11b、11cと連通するようになっている。
【0037】
弁体13は、円柱状を呈し、流量制御部として例示をする絞り13aが半径方向を直線状に貫通し、絞り13bが半径方向をL字状に屈曲して貫通している(図12、図13を参照)。尚、後述するように、弁体13を回転させることで、絞り13a、13bが設けられた部分において流路断面積が可変とされる。
【0038】
そして、本体11の内部において、流入口11aと流出口11bとを連通する流路上には絞り13aが設けられ、流入口11aと流出口11cとを連通する流路上には絞り13bが設けられている。そのため、絞り13bは、流路抵抗を変化させることで駆動部流路9aを流れる流体の流量を制御し、絞り13aは、流路抵抗を変化させることで主流路9bを流れる流体の流量を制御することができるようになっている。
【0039】
尚、流路抵抗を変化させて流量の制御を行うものとして、絞り13a、13bを例示したが、これに限定されるわけではない。流路断面積を可変とし流路抵抗を変化させて流量の制御を行うことができるものを適宜選択することができる。
【0040】
また、弁体13の半径方向を直線状に貫通する絞り13aを挟んで設けられた流路は、互いに同一軸線上になるようにして設けられ、半径方向をL字状に屈曲して貫通する絞り13bを挟んで設けられた流路は、互いの軸線が略直交するようにして設けられている。そのため、弁体13を挟んで設けられた流路同士が、絞り13a、絞り13bを介してそれぞれ連通するようになっている。
【0041】
軸受け12は、円環状を呈し、中心側に設けられた孔には弁体13が回転自在に挿通されている。また、軸受け12の外周は、本体11に設けられた孔に嵌合されている。また、弁体13の溝部には保持体14(図12を参照)が摺動自在に設けられ、保持体14は軸受け12の中心側に設けられた孔に嵌合されている。そのため、弁体13の軸方向の位置が保持され、絞り13a、絞り13bと流路との位置がずれることを防止できるようになっている。
弁体13の一方の端部は、本体11から突出し、その端面付近にはハンドル10が設けられている。
【0042】
このハンドル10を回して弁体13に設けられた絞り13bの位置を回転移動させ、流路断面積を変えることで駆動部流路9a側へ流出する流体の流量を制御することができるようになっている。そして、駆動部流路9a側へ流出する流体の流量を制御することで、水力駆動装置2を制御することができ、同時に、吐水部3の移動速度を調整したり、停止させたりすることができる。このように、ハンドルの1操作で、水力駆動装置の駆動と停止を切り替えることができるため、使い勝手が良い。
【0043】
このとき、本実施の形態においては、弁体13を回転移動させることで駆動部流路9a側へ流出する流体の流量制御を行うとともに、主流路9b側へ流出する流体の流量制御をも行うことができるようになっている。
すなわち、絞り13bと、絞り13aが協働して、絞り13bによる制御で生じた流量の変化分を相殺するように、絞り13aにより主流路9bを流れる流体の流量が制御されるようになっている。
【0044】
図10は、弁体13による流量制御を例示するための模式図である。すなわち、図10(a)は駆動部流路9a側を全開とした場合(水力駆動装置2を最高速度で駆動させる場合)、図10(b)は駆動部流路9a側を全閉(閉塞)とした場合(水力駆動装置2の駆動を停止させる場合)、図10(c)は駆動部流路9a側を絞った場合(水力駆動装置2を遅い速度で駆動させる場合)である。尚、図中の矢印は、流水方向を表している。
【0045】
図10(a)、(b)、(c)に示すように、切換ユニット4には前述した弁体13が内蔵されており、弁体13を回転方向に動かすことで、駆動部流路9a側の絞り量(流路抵抗の値)と主流路9b側の絞り量(流路抵抗の値)とを一括して制御することができるようになっている。このように構成したことで、配管の接続箇所が少なく、コンパクトな構成を実現している。
【0046】
図10(a)に示すように、水力駆動装置2を最高速度で駆動する場合(第1の状態)には、駆動に必要な流量が最大限確保できるように駆動部流路9a側の絞り13bを全開とし、主流路9b側の絞り13aを全閉(閉塞)とする。このようにすれば、シャワー装置1に導入された流体のすべてが駆動部流路9a側に流れ、水力駆動装置2の速度を最速にすることができる。
【0047】
図10(b)に示すように、水力駆動装置2の駆動を停止させる場合(第2の状態)には、駆動部流路9a側の絞り13bを全閉(閉塞)にする。そして、水力駆動装置2の駆動を停止させた状態で吐水部3から吐水をさせるために、主流路9b側の絞り13aを開く。
【0048】
ここで、水力駆動装置2に導入された流体W1は、導入口232、234や流路282を介してノズル孔3cから吐出される。そのため、主流路9bを介してノズル孔3cから直接吐出される主流路9b側の流路抵抗の総和よりも、駆動部流路9a側の流路抵抗の総和の方が大きくなる。
【0049】
このような場合、図10(b)に示した主流路9b側の絞り量を図10(a)に示した駆動部流路9a側の絞り量と同様とすれば、流路抵抗の総和が少なくなり吐水部3から吐出する流体の吐水量が増加してしまう。
【0050】
本実施の形態においては、主流路9b側の絞り13aを全開とした場合に絞り量が所定の値A1となるようにすることで、吐水部3から吐出する流体の吐水量を抑制するようにしている。この場合、主流路9b側の総流路抵抗と駆動部流路9a側の総流路抵抗とのバランスを考慮して絞り量A1が決定される。すなわち、主流路9b側の総流路抵抗値と駆動部流路9a側の総流路抵抗値とが同一となるような絞り量A1とされる。尚、総流路抵抗とは、駆動部流路9a側または主流路9b側における分岐部から吐水部3までの間の流路抵抗の総和をいう。
【0051】
このようにすれば、水力駆動装置2を最高速度で駆動する場合の流量Vaと、水力駆動装置2の駆動を停止させた場合の流量Vbとが同一(吐水部3から吐出される吐水の量が同一)とすることができる。
【0052】
図10(c)に示すように、水力駆動装置2を遅い速度で駆動する場合(水力駆動装置2の速度を調整する場合)(第3の状態)には、駆動部流路9a側の絞り13bを絞る。そして、吐水部3から吐出される吐水の量が同一となるように、主流路9b側の流路の絞り13aが絞られる。例えば、図10(c)に示す場合には、駆動部流路9a側の絞り13bを絞り量A2、主流路9b側の絞り13aを絞り量A3としている。この場合、吐水部3から吐出される吐水の量は、それぞれの流路を流れる流体の流量の和(Vc1+Vc2)となり、これが前述した流量Vaや流量Vbと同一となっている。
【0053】
以上説明したように、水力駆動装置2が駆動しているか否かや速度にかかわらず、吐水部3から吐出される吐水の量が一定となるように、駆動部流路9a側の絞り量(流路抵抗の値)と主流路9b側の絞り量(流路抵抗の値)とが一括して制御されるようになっている。
【0054】
尚、本明細書において、吐水部3から吐出される吐水の量が一定、同一とは、使用者が不快感や違和感を感じない程度の流量の差がある場合をも含んでいる。例えば、吐水部から吐水される総流量の振れ幅としては、20%以内、より好ましくは10%以内にあることをいう。
【0055】
また、シャワーの浴び感は、流量が多い方がより好ましい浴び感を得る傾向にあるが、反復運動を行うことで、少ない流量でも浴び感を得ることが可能である。吐水流量としては、それに限定されるものではないが、9.5L/min以下、より好ましくは8.0L/min以下、更に好ましくは6.5L/min以下でも十分な浴び感を得ることができる。このように、反復運動により節水効果が得られる。
【0056】
また、図10(a)、(b)に例示をしたものでは、分岐部分の下流側に弁体13を設けているが、いわゆるロータリー型の弁体(円盤状の弁体)や円筒状の弁体(円筒面に複数の面積の異なる絞り孔が設けられている)を分岐部分に設けるようにすることもできる。
【0057】
図11は、円筒状の弁体を分岐部分に設ける場合を例示するための模式断面図である。尚、図中の矢印は、流水方向を表している。
図11に示すように、切換ユニット4cの本体11には、流出口11b、11cが設けられている。流出口11bには主流路9bを介して吐水部3が接続され、流出口11cには駆動部流路9aを介して水力駆動装置2が接続されている。
本体11の内部には、弁体73が設けられている。弁体73は、一端が塞がれた円筒状を呈している。弁体73の外周面には、第1の流量制御部として例示をする絞り73aと、第2の流量制御部として例示をする絞り73bが開口している。
また、弁体73を回転させることで、絞り73a、73bが設けられた部分において流路断面積が可変とされている。そのため、絞り73bは、流路抵抗を変化させることで駆動部流路9aを流れる流体の流量を制御し、絞り73aは、流路抵抗を変化させることで主流路9bを流れる流体の流量を制御することができるようになっている。
尚、本実施の形態においては、弁体73が分岐部としての役割をも果たしている。
【0058】
図11(a)は水力駆動装置2に反復運動を行わせる場合を表し、図11(b)は水力駆動装置2の反復運動を停止させる場合を表している。
図11(a)に示すように、水力駆動装置2に反復運動を行わせる場合には、弁体73の内部と流出口11cとを絞り73bを介して連通させるようにする。またこの際、弁体73の内部と流出口11bとの連通が遮断されるようになっている。
図11(b)に示すように、水力駆動装置2の反復運動を停止させる場合には、弁体73を回転させて弁体73の内部と流出口11cとの連通が遮断されるようにする。またこの際、吐水部3への流体の供給が遮断されないように弁体73の内部と流出口11bとが絞り73aを介して連通されるようになっている。
そして、水力駆動装置2を反復運動させながら吐水させる状態(第1状態)と、水力駆動装置2を停止させつつ吐水させる状態(第2の状態)と、において吐水される吐水量が同一となるように、絞り73a、絞り73bの開口面積がそれぞれ設定されている。尚、弁体の内部と流出口11cとの連通を遮断(閉塞)しなくても、摩擦抵抗などがあるため水力駆動装置2の駆動を停止させることができるが、説明の便宜上、ここでは遮断(閉塞)させるものとしている。
【0059】
また、弁体13、弁体73における流路抵抗が連続的に変化するようなものとすることもできる。そのようにすれば、シャワー吐水部を反復運動させている状態と停止させている状態を切替えている最中にも、吐水量を一定とできるため好ましい。また、水力駆動装置2の速度の調整が容易となる。
【0060】
図12は、水力駆動装置2を最高速度で駆動する場合(駆動部流路9a側を全開とした場合)における弁体の状態を例示するための模式図である。
また、図13は、水力駆動装置2の駆動を停止させる場合(駆動部流路9a側を全閉(閉塞)とした場合)における弁体の状態を例示するための模式図である。尚、図12、図13は、図9に示すC−C矢視断面部分をそれぞれの場合において表した図である。
【0061】
図12(a)に示すように、水力駆動装置2を最高速度で駆動する場合には、駆動に必要な流量が最大限確保できるように、流入口11aと流出口11cとを連通する流路上に設けられた絞り13bを「全開状態」としている。すなわち、絞り13bの軸線と絞り13bに連通する流路の軸線とを合わせるようにして、流路抵抗が最小となるようにしている。また、絞り13aが設けられた部分における弁体13の外周面13cにより、主流路9b側の開口15が塞がれ、流入口11aと流出口11bとの連通が遮断されるようになっている。尚、図12(b)は、この時の弁体13の様子を例示するための模式斜視図である。
【0062】
図13(a)に示すように、水力駆動装置2の駆動を停止させる場合には、流入口11aと流出口11cとを連通する流路上に設けられた絞り13bを「全閉(閉塞)状態」とする。すなわち、絞り13bが設けられた部分における弁体13の外周面で、流入口11aと流出口11cとの連通が遮断されるようになっている。この場合、絞り13bがL字状に屈曲して設けられているので、外周面のうちの絞り13bが開口していない部分により流入口11aと流出口11cとの連通が遮断される。
【0063】
また、流入口11aと流出口11bとを連通する流路上に設けられた絞り13aを「全開状態」としている。すなわち、絞り13aの軸線と絞り13aに連通する流路の軸線とを合わせるようにしている。そのため、絞り13bを全閉(閉塞)として駆動部流路9a側への流出を停止しても、主流路9b側を流体が流れるので、吐水部3から吐出される吐水の量を確保することができる。
【0064】
この場合、前述したように、絞り13aを「全開状態」としても、所定の絞り量A1(流路抵抗値)が与えられるような絞りの大きさとなっている。また、絞り13aを「全開状態」とすることにより与えられる絞り量A1(流路抵抗値)は、水力駆動装置2を最高速度で駆動する場合(図12の場合)と同一の吐水量が吐水部3から吐出されるような値となっている。尚、図13(b)は、この時の弁体13の様子を例示するための模式斜視図である。
【0065】
また、水力駆動装置2を遅い速度で駆動する場合(水力駆動装置2の速度を調整する場合)、すなわち、図10(c)に例示をした場合は、図12と図13に例示をしたものの間の状態となる。この場合においても、駆動部流路9a側の絞り量A2と、主流路9b側の絞り量A3とが所定の値にされるので、吐水部3から吐出される吐水の量が同一となる。
なお、切換ユニット4を分岐部または分岐部より下流に配置すれば、流量調整を容易とすることができる。また、切換ユニット4を分岐部に配置すれば、構成をよりコンパクトとすることができる。
なお、切換ユニット4を第2の駆動部流路に配置することもできる。ただし、切換ユニット4を分岐部より下流側の第1の駆動部流路9aに配置すれば、吐水部3の反復運動が停止している際に水力駆動装置2にかかる水圧による負荷を低減することができる。
【0066】
シャワー装置1への流路を形成する配管には、上流側から順に温調弁8と止水弁7とが設けられている。また、温調弁8には、給水配管16a、給湯配管16bが接続されている。
止水弁7は、流路の開閉を行うことでシャワー装置1への流体W1の流入を制御する。 温調弁8は、供給された水と湯とを混合し、その混合比率を変化させることでシャワー装置1へ流入させる流体W1の温度を調整する。
尚、止水弁7、温調弁8の形式は特に限定されるわけではなく、適宜選択することができる。また、止水弁7が温調弁8の上流側に設けられていてもよいし、温調弁8に止水弁7の機能を併せ持たせるようにしてもよい。また、止水弁7、温調弁8の少なくともいずれかをシャワー装置1に内蔵させるようにすることもできる。
【0067】
次に、シャワー装置1の作用について例示をする。
図14は、シャワー装置1の作用を例示するための模式断面図である。
図示しない温調弁8により温度の調整がされた流体W1(湯水)は、シャワー装置1の入水部に設けられた定流量弁5に導入される。定流量弁5に導入された流体W1は、切換ユニット4に向けて流出する。定流量弁5から流出した流体W1は、流入口11aから切換ユニット4の本体11内部に導入される。本体11の内部に導入された流体W1は、2分岐された流路を介して流出口11b、11cから流出する。
この際、切換ユニット4により水力駆動装置2の駆動と停止の切換、速度の調整を行うことができる。
【0068】
また、前述したように、水力駆動装置2が駆動しているか否かや速度にかかわらず吐水部3から吐出される吐水の量が一定となるように、駆動部流路9a側の絞り量(流路抵抗の値)と主流路9b側の絞り量(流路抵抗の値)とが一括して制御される。この場合、絞り量(流路抵抗の値)の制御は、絞り13a、絞り13bが設けられた弁体13を回転方向に動かすことで、絞り部分(絞り13a、絞り13b)の流路断面積を変化させることにより行う。
【0069】
流出口11bから流出した流体W1は吐水部3に導入され、ノズルプレート3bに設けられたノズル孔3cから外部に向けて吐出される。
【0070】
流出口11cから流出した流体W1は、駆動部流路9aを介して水力駆動装置2に導入される。水力駆動装置2に導入された流体W1は、水力駆動装置2を駆動させた後、吐水部3に向けて流出する。尚、水力駆動装置2の作用については、図8において例示をしたものと同様のためその説明は省略する。
そして、水力駆動装置2から流出して吐水部3に導入された流体W1も、ノズルプレート3bに設けられたノズル孔3cから外部に向けて吐出される。
【0071】
使用者は、ハンドル10を操作することで、吐水部の反復運動状態と停止状態とを切り替えることができる。このとき、吐水流量をほぼ同一にできるため、運動状態を切り替える際に、わずらわしい流量調整を行う必要がなく、流量が変化することによる違和感がなく、シャワーの浴び感の連続性を確保できる。
【0072】
このように、水力駆動装置2へ供給される流量を減ずることで、中子に働く流体力を減じ、中子を停止させ、吐水部3の反復運動を確実に停止できる。また、水力駆動装置2を経由する流量が減ることで、水質(微少な砂やゴミ)などによる不具合が起こりにくくなり、信頼性の高いシステムを構築できる。弁体13において、流路の切替と流量の制御とを行っており、コンパクトな構成を実現している。尚、中子に働く流体力とは、中子を運動させるために中子に作用する力であり、流体の静圧や動圧や流れに起因する力である。
【0073】
また、流体力を減じているため、吐水部3を停止した状態において、使用者は吐水部3の散水方向を手動で動かすことができる。これにより、停止状態において、使用者は当てたい部位に精度よく吐水を位置決めできる。このとき、中子と吐水部3は連結したままであり、連動して動く。すなわち、使用者が手動で吐水部3をどのように位置調整しても、中子との連結関係は継続する。よって、吐水部3の反復運動を再開するときに、連結不良、再開に時間がかかる、運動の中心位置がずれる、といった不具合が生じず、反復運動状態をスムーズに正確に再現できる。
【0074】
このとき、中子を挟んで両側に圧力室が設けられている水圧駆動装置の場合は、圧力室内にある湯水によって中子にはダンパー効果が働くため、吐水部3を手動で動かす際に、急激に動くことなく位置決めが容易であり、また、適度な操作感が得られ、より好ましい。また、水車に比べて中子の動きが低速であるため、多段ギヤといった減速機構を必要とせず、動力伝達部がシンプルとなる。よって、手動でシャワー部を動かすために必要なトルクが小さく、より好ましい。
【0075】
また、ハンドル10を操作し吐水部の運動状態を変化させている過程においても、吐水が一定に継続され、連続性が維持できるよう構成すると尚よい。例えば、弁体13における流路抵抗が連続的に変化するように構成する。このとき、中子に作用する流体力を調整しており、吐水部の運動速度を制御可能となるので、使用者の好みに応じることができる。
さらに、流量が一定に保たれることによって、給湯能力(着火判定)の影響を受けず、吐水部から吐水される湯水の温度が不本意にも変化してしまうことを予防することができる。
また、本実施の形態によれば、非常にコンパクトなシャワー装置を構成することができる。
【0076】
図15は、本発明の第2の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
また、図16は、本実施の形態に係るシャワー装置の外観を例示するための模式斜視図である。
また、図17は、図16に例示をするシャワー装置の模式分解図である。
図15乃至図17に示すように、シャワー装置30は、水力駆動装置32と、吐水部33と、弁体13または弁体73が内蔵された切換ユニット4または4cと、筐体36と、リンク機構37と、支持体38と、速度調整機構39と、を備えている。また、シャワー装置30への流路を形成する配管には、止水弁7と、温調弁8と、が設けられている。そして、これらは配管により接続され、温調弁8の入水口に供給された湯水などの流体が、吐水部33のノズル孔33cから吐水W2(シャワー吐水)として吐出可能とされている。
【0077】
図16、図17に示すように、吐水部33は、内部に空間を有する直方体形状の本体33aと、本体33aの前面に設けられ複数のノズル孔33cを有するノズルプレート33bを備えている。そして、本体33aの内部に設けられた図示しない空間とノズル孔33cとが連通されている。
【0078】
本体33aの軸方向端面には円形断面の孔33fが設けられ、一方の軸方向端面に設けられた孔33fには切換ユニット4に設けられた支持部31が液密となるよう装着され、他方の軸方向端面に設けられた孔33fには内部に流路を備えた支持体38の流出部38aが液密となるよう装着されている。このとき、支持部31の内部にも流路が形成されており、主流路9bの一部を担っている。
【0079】
そして、孔33fに装着された支持部31、支持体38により、本体33aが反復運動自在に保持されるとともに、支持体38の流出部38aを介して、流体W1が吐水部33の内部に設けられた図示しない空間内に流入可能となっている。また、図示しない空間内に流入した流体W1は、吐水W2としてノズル孔33cから吐出可能とされている。
【0080】
水力駆動装置32においては、中子の軸32a、32bをハウジングの両側に突出させ、一方の軸32aには前述の吐水筒体280と同様に内部に図示しない流路を設け、他方の軸32bには流路を設けないようにしている。そして、軸32aに設けられた図示しない流路と、支持体38に設けられた図示しない流路とが図示しない配管などで接続されている。また、他方の軸32bは、リンク機構37と機械的に連結され水力駆動装置32の駆動力がリンク機構37に伝達されるようになっている。また、吐水部33と、水力駆動装置32と、の連結は、リンク機構37を介して行われている。尚、水力駆動装置32のその他の構成や作用は、前述した水力駆動装置2と同様のため、その説明は省略する。
【0081】
切換ユニット4は、支持部31を備えており、その内部に形成された流路は吐水部33の内部と連通している。
筐体36には、水力駆動装置32、切換ユニット4、支持体38、速度調整機構39などを取り付けるフレーム36aと、これらや配管部材などを覆うようにして収納するカバー36bとが設けられている。フレーム36aは、例えば、浴室やシャワー室などの壁面に取り付けられ、フレーム36aを介してシャワー装置30が壁面などに固定されるようになっている。また、フレーム36a、カバー36bは、耐食性材料からなるものとすることが好ましく、例えば、合成樹脂、ステンレスなどの耐食性金属などとすることができる。
【0082】
リンク機構37は、入力側が、前述したように軸32bと機械的に連結され、出力側が、本体33aと機械的に連結されている。また、リンク機構37の一部に一段または多段の歯車列を備えていてもよく、この場合、水力が弱い場合でも吐水部33の円滑な反復運動を行わせることができる。
【0083】
支持体38には、流出部38aと流入部38bとが設けられ、流出部38aの端面に設けられた開口と流入部38bの端面に設けられた開口とが連通するように、その内部に図示しない流路が設けられている。また、前述したように、流出部38aにより本体33aが反復運動自在に保持されている。
【0084】
速度調整機構39は、駆動部流路9aに設けられ、水力駆動装置32に供給される流体の流量を調整することで、水力駆動装置32の速度を調整するためのものである。速度調整機構39を設けるようにすれば、製造誤差などにより速度にバラツキがあっても、調整により所望の速度にすることができる。尚、速度調整機構39としては、例えば、内部に絞り弁などを備えた速度調整弁とすることができる。ただし、これに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。また、速度調整機構39は、メンテナンス時や出荷時に行われる微調整のためのものとされ、シャワー装置30の使用者が通常使用しないものとすることもできる。
【0085】
その他、図1において例示をした定流量弁5などを適宜設けるようにすることもできる。尚、速度調整機構39や定流量弁5は必ずしも必要ではなく省略することもできる。
また、シャワー装置30の作用については、前述したシャワー装置1と同様のため、その説明は省略する。
【0086】
また、本実施の形態においても、図1において例示をしたものと同様の効果を享受することができる。例えば、水力駆動装置32を駆動させ本体33を反復運動させながら吐水させる状態(第1状態)と、水力駆動装置32を停止させつつ本体33から吐水させる状態(第2の状態)と、において本体33から吐水される吐水量を同一とすることができる。また、吐水流量をほぼ同一にできるため、運動状態を切り替える際に、わずらわしい流量調整を行う必要がなく、流量が変化することによる違和感がなく、シャワーの浴び感の連続性を確保できる。また、流量が一定に保たれることによって、給湯能力(着火判定)の影響をうけず、吐水部から吐水される湯水の温度が不本意にも変化してしまうことを予防することができる。すなわち、吐水部から吐水される流量および湯温を一定に保つことができる。よって、切替動作の過程においてシャワー浴び感の連続性をより維持できる。水力駆動装置32へ供給される流量を減ずることで、中子に働く流体力を減じているため、吐水部33を停止した状態において、使用者は吐水部33の散水方向を手動で動かすことができる。また、弁体において、流路の切替と流量の制御とを行っているのでコンパクトな構成を実現することができる。また、中子を挟んで両側に圧力室が設けられている水圧駆動装置の場合は、圧力室内にある湯水によって中子にはダンパー効果が働くため、吐水部33を手動で動かす際に、急激に動くことなく位置決めが容易であり、また、適度な操作感が得られる。また、水車に比べて中子の動きが低速であるため、動力伝達部がシンプルとなる。よって、手動でシャワー部を動かすために必要なトルクが小さくなる。また、本実施の形態によれば、非常にコンパクトなシャワー装置を構成することができる。
【0087】
図18は、本発明の第3の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
また、図19は、流量制御を例示するための模式図である。尚、図19(a)は駆動部流路9a側を全開とした場合(水力駆動装置32を駆動する場合)、図19(b)は駆動部流路9a側を全閉(閉塞)とした場合(水力駆動装置32の駆動を停止させる場合)である。尚、図中の矢印は、流水方向を表している。
図18に示すように、シャワー装置40は、水力駆動装置32と、吐水部33と、切換ユニット4と、筐体36と、リンク機構37と、支持体38と、抵抗体45と、定流量弁5と、を備えている。また、シャワー装置40への流路を形成する配管には、止水弁7と、温調弁8と、が設けられている。そして、これらは配管により接続され、温調弁8の入水口に供給された湯水などの流体が、吐水部33のノズル孔から吐水W2(シャワー吐水)として吐出可能とされている。
【0088】
切換ユニット4は、内部に弁体43(図19を参照)を備え、弁体43を回転方向に動かすことで、駆動部流路9a側の流路の開閉と主流路9b側の流路の開閉とを一括して制御することができるようになっている。この場合、駆動部流路9a側の流路が開かれれば主流路9b側の流路が閉じられ(図19(a)の状態)、駆動部流路9a側の流路が閉じられれば主流路9b側の流路が開かれる(図19(b)の状態)ようになっている。すなわち、択一的な流路の切換(水力駆動装置32の駆動と停止の切換)ができるようになっている。
【0089】
ここで、前述したように、主流路9bを介して吐水部33から直接吐出される主流路9b側の流路抵抗の総和よりも、駆動部流路9aと水力駆動装置32とを介して吐水部33から吐出される駆動部流路9a側の流路抵抗の総和の方が大きくなる。
【0090】
このような場合、切換ユニット4を用いて単に流路の開閉だけを行えば、図19(a)の状態と、図19(b)の状態とで、吐水部33から吐出される吐水の量や勢いが変化してしまう。すなわち、図19(b)の状態(水力駆動装置32の駆動を停止させる場合)の方が、吐水部33から吐出される吐水の量や勢いが増加することになる。
本実施の形態においては、絞り45aを有する抵抗体45を主流路9bに設け、抵抗体45により所定の流路抵抗値A4を付与して、主流路9bを流れる流体の流量を抑制するようにしている。この場合、主流路9b側の総流路抵抗と駆動部流路9a側の総流路抵抗とのバランスを考慮して流路抵抗値A4が決定される。すなわち、主流路9b側の総流路抵抗値と駆動部流路9a側の総流路抵抗値とが同一となるような流路抵抗値A4とされる。
【0091】
そのようにすれば、水力駆動装置32を駆動する場合(図19(a)の場合)と、水力駆動装置32の駆動を停止させる場合(図19(b)の場合)とにおいて、吐水部33から同一の吐水量を吐出させることができる。すなわち、水力駆動装置32を駆動する場合の流量Vdと、水力駆動装置32の駆動を停止させる場合の流量Veとが同一となる。
【0092】
抵抗体45は、切換ユニット4の下流側の主流路9bに設けられ、所定の流路抵抗値A4を付与する。絞り45aとしては、例えば、所定の流路断面積を有する固定絞り(例えば、所定の流路断面積を有する部材を配管内に設けたり、配管径を絞ったりする場合など)、流路断面積を可変とし流路抵抗を調整可能な可変絞り(例えば、ニードルバルブなどの各種バルブなど)、配管径や配管長さなどを調整することで流路抵抗を所定の値にすることなどを例示することができる。
【0093】
この場合、バルブなどの可変絞りを用いるものとすれば、製造誤差などを調整により吸収することができる。また、シャワー装置40の設置環境に合わせた調整も可能となる。また、固定絞りや、配管径・配管長さなどにより流路抵抗を付与するものとすれば、構造の簡素化を図ることができる。特に、配管径や配管長さなどにより所定の流路抵抗値を付与するものとすれば、別途部品を必要としないので製造コストの削減を図ることができる。配管径や配管長さなどにより流路抵抗値を付与する場合は、主流路9b自体が抵抗体45となる。ただし、これらに限定されるわけではなく、所定の流路抵抗を付与可能なものを適宜選択することができる。
尚、シャワー装置40の作用については、前述したシャワー装置1と同様のため、その説明は省略する。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態によれば、水力駆動装置32が駆動しているか否かにかかわらず(吐水部33が反復運動をしているか否かにかかわらず)吐水部33から吐出される吐水の量が同一となるようにすることができる。
【0095】
また、本実施の形態においても、図1において例示をしたものと同様の効果を享受することができる。例えば、水力駆動装置32を駆動させ本体33を反復運動させながら吐水させる状態(第1状態)と、水力駆動装置32を停止させつつ本体33から吐水させる状態(第2の状態)と、において本体33から吐水される吐水量を同一とすることができる。また、吐水流量をほぼ同一にできるため、運動状態を切り替える際に、わずらわしい流量調整を行う必要がなく、流量が変化することによる違和感がなく、シャワーの浴び感の連続性を確保できる。また、流量が一定に保たれることによって、給湯能力(着火判定)の影響をうけず、吐水部から吐水される湯水の温度が不本意にも変化してしまうことを予防することができる。すなわち、吐水部から吐水される流量および湯温を一定に保つことができる。よって、切替動作の過程においてシャワー浴び感の連続性をより維持できる。水力駆動装置32へ供給される流量を減ずることで、中子に働く流体力を減じているため、吐水部33を停止した状態において、使用者は吐水部33の散水方向を手動で動かすことができる。また、弁体において、流路の切替と流量の制御とを行っているのでコンパクトな構成を実現することができる。また、中子を挟んで両側に圧力室が設けられている水圧駆動装置の場合は、圧力室内にある湯水によって中子にはダンパー効果が働くため、吐水部33を手動で動かす際に、急激に動くことなく位置決めが容易であり、また、適度な操作感が得られる。また、水車に比べて中子の動きが低速であるため、動力伝達部がシンプルとなる。よって、手動でシャワー部を動かすために必要なトルクが小さくなる。また、本実施の形態によれば、非常にコンパクトなシャワー装置を構成することができる。
【0096】
図20は、本発明の第4の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
また、図21は、流量制御を例示するための模式図である。尚、図21(a)は駆動部流路9a側を全開とした場合(水力駆動装置32を駆動する場合)、図21(b)は駆動部流路9a側を全閉(閉塞)とした場合(水力駆動装置32の駆動を停止させる場合)である。尚、図中の矢印は、流水方向を表している。
【0097】
図20に示すように、シャワー装置50は、水力駆動装置32と、吐水部33と、切換ユニット4と、可変抵抗体55と、連動機構56と、筐体36と、リンク機構37と、支持体38と、定流量弁5と、を備えている。また、シャワー装置50への流路を形成する配管には、止水弁7と、温調弁8と、が設けられている。そして、これらは配管により接続され、温調弁8の入水口に供給された湯水などの流体が、吐水部33のノズル孔から吐水W2(シャワー吐水)として吐出可能とされている。
【0098】
切換ユニット4と可変抵抗体55とは、連動機構56で連結されている。切換ユニット4、可変抵抗体55は、通水と止水の切換のみならず、流量の制御を行うことができるようになっている。また、切換ユニット4は分岐部に設けられ、可変抵抗体55は分岐部より上流側に設けられている。そして、図示しないハンドルを回転操作することにより、ハンドルと連結されている連動機構56が切り換わり、分岐部より下流側の第1の駆動部流路9aに供給される流体の流量と、分岐部より下流側の主流路9bに供給される流体の流量と、がそれぞれ制御される。
【0099】
本実施の形態においても、前述した切換ユニット4を備え、駆動部流路9a側の流路が開かれれば主流路9b側の流路が閉じられ(図21(a)の状態)、駆動部流路9a側の流路が閉じられれば主流路9b側の流路が開かれる(図21(b)の状態)ようになっている。
【0100】
そして、切換ユニット4の上流側の給水流路16に可変抵抗体55を設け、切換ユニット4と可変抵抗体55とを連動機構56により連動させることで、主流路9b側の流路が開かれた場合には、所定の流路抵抗値A5が可変抵抗体55により付与されるようになっている。尚、切換ユニット4の下流側の主流路9bに可変抵抗体55を設けるようにすることもできる。
【0101】
この場合、流路抵抗値A5は、主流路9b側の総流路抵抗と駆動部流路9a側の総流路抵抗とのバランスを考慮して決定される。すなわち、主流路9b側の総流路抵抗値と駆動部流路9a側の総流路抵抗値とが同一となるような流路抵抗値A5とされる。
【0102】
そのようにすれば、水力駆動装置32を駆動させる場合(図21(a)の場合)と、水力駆動装置32の駆動を停止させる場合(図21(b)の場合)とにおいて、吐水部33から同一の吐水量を吐出させることができる。すなわち、水力駆動装置32を駆動する場合の流量Vfと、水力駆動装置32の駆動を停止させる場合の流量Vgとが同一となる。
【0103】
可変抵抗体55の形式は、特に限定されるわけではなく、所定の流路抵抗値A5が付与できるものであればよい。例えば、切換ユニット4のように円柱の半径方向を貫通する孔を有する弁体を回転させて所定の流路抵抗値A5を与えるようなものであってもよい。
【0104】
連動機構56の形式は、特に限定されるわけではなく、切換ユニット4と可変抵抗体55とが連動することで、流路の切換と流路抵抗値の付与が行えるようなものであればよい。例えば、歯車、リンク、ワイヤーなどの機械的な連動機構とすることもできるし、切換ユニット4と可変抵抗体55のそれぞれにモータやソレノイドなどを設けて、それらを電気信号で連動させるような電気的な連動機構とすることもできる。また、切換ユニット4の動作に連動して可変抵抗体55が動作してもよく、可変抵抗体55の動作に連動して切換ユニット4が動作してもよい。また、歯車の歯数、リンクのレバー比、モータの回転角度などを選択することで、流路抵抗値A5を調整することもできる。
尚、シャワー装置50の作用については、前述したシャワー装置1と同様のため、その説明は省略する。
【0105】
本実施の形態によれば、切換ユニット4と可変抵抗体55とを連動機構56により連動させることで、主流路9b側の流路が開かれた場合には、可変抵抗体55により所定の流路抵抗値A5が付与されるようになっている。そのため、水力駆動装置32が駆動しているか否かにかかわらず吐水部33から吐出される吐水の量が同一となるようにすることができる。
【0106】
また、水力駆動装置から流出した流体を吐水部に直接供給する場合を例示したが、水力駆動装置から流出した流体を間接的に吐水部に供給するようにしてもよい。例えば、水力駆動装置から流出した流体を主流路を介して吐水部に供給するようにしてもよい。尚、この場合、水力駆動装置から流出した流体の流路は、弁体が設けられた位置よりも下流側において主流路と連通するようにすればよい。
【0107】
また、本実施の形態においても、図1において例示をしたものと同様の効果を享受することができる。例えば、水力駆動装置2を駆動させ本体3を反復運動させながら吐水させる状態(第1状態)と、水力駆動装置2を停止させつつ本体3から吐水させる状態(第2の状態)と、において本体3から吐水される吐水量を同一とすることができる。また、吐水流量をほぼ同一にできるため、運動状態を切り替える際に、わずらわしい流量調整を行う必要がなく、流量が変化することによる違和感がなく、シャワーの浴び感の連続性を確保できる。また、流量が一定に保たれることによって、給湯能力(着火判定)の影響をうけず、吐水部から吐水される湯水の温度が不本意にも変化してしまうことを予防することができる。すなわち、吐水部から吐水される流量および湯温を一定に保つことができる。よって、切替動作の過程においてシャワー浴び感の連続性をより維持できる。水力駆動装置2へ供給される流量を減ずることで、中子に働く流体力を減じているため、吐水部3を停止した状態において、使用者は吐水部3の散水方向を手動で動かすことができる。また、弁体において、流路の切替と流量の制御とを行っているのでコンパクトな構成を実現することができる。また、中子を挟んで両側に圧力室が設けられている水圧駆動装置の場合は、圧力室内にある湯水によって中子にはダンパー効果が働くため、吐水部3を手動で動かす際に、急激に動くことなく位置決めが容易であり、また、適度な操作感が得られる。また、水車に比べて中子の動きが低速であるため、動力伝達部がシンプルとなる。よって、手動でシャワー部を動かすために必要なトルクが小さくなる。また、制御対象の流路を流れる流量を2つの流量制御部の協働にて制御するため、制御の分解能を増すことができる。
【0108】
次に、水力駆動装置から流出した流体を間接的に吐水部に供給する場合、具体的には主流路を介して吐水部に供給する場合について例示をする。
図22は、本発明の第5の実施の形態に係るシャワー装置の構成を例示するための模式図である。
図23は、本実施の形態に係るシャワー装置の外観を例示するための模式分解図である。尚、図15、図17において例示をしたものと同様の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図22、図23に示すように、シャワー装置60は、水力駆動装置62と、吐水部33と、弁体13が内蔵された切換ユニット4と、筐体36と、リンク機構37と、支持体68と、を備えている。また、シャワー装置60への流路を形成する配管には、止水弁7と、温調弁8と、が設けられている。そして、これらの各構成要素が配管により接続されている。そのため、温調弁8の入水口に供給された湯水などの流体が、吐水部33のノズル孔33cから吐水W2(シャワー吐水)として吐出することができるようになっている。
尚、本実施の形態においては、切換ユニット4が、主流路9bと駆動部流路9aに流路を分岐する分岐部となるが、切換ユニット4は分岐部ではなく分岐部より下流に設けることもできる。
【0109】
吐水部33に備えられた本体33aの軸方向端面には円形断面の孔33fが設けられている。一方の軸方向端面に設けられた孔33fには後述する流出部65bが液密となるよう装着されている。
また、他方の軸方向端面に設けられた孔33fには、支持体68の支持部68aが液密となるよう装着されている。尚、支持部68aが装着される側の孔33fは、本体33a内部の図示しない空間とつながっている必要はない。この場合、支持部68aが装着される側の孔33fには底部に蓋が設けられているようにすることができる。また、孔33fと本体33a内部の図示しない空間とがつながっていない場合には、支持部68aが液密となるように装着される必要はない。
【0110】
また、孔33fに装着された流出部65b、支持部68aにより、本体33aが反復運動できるように保持されている。また、流出部65bを介して、流体W1が本体33aの内部に設けられた図示しない空間内に流入できるようになっている。そして、図示しない空間内に流入した流体W1は、吐水W2としてノズル孔33cから吐出できるようになっている。
【0111】
水力駆動装置62の片側の端面からは中子の軸62bが突出している。軸62bには前述の吐水筒体280と同様に内部に図示しない流路が設けられている。また、軸62bは、リンク機構37と機械的に連結されている。そのため、水力駆動装置62の駆動力がリンク機構37に伝達されるようになっている。また、吐水部33と、水力駆動装置62と、の連結は、リンク機構37を介して行われている。尚、水力駆動装置62のその他の構成や作用は、前述した水力駆動装置2と同様のため、その説明は省略する。
【0112】
切換ユニット4の端面には、合流部65が設けられている。
合流部65の内部には、流路が形成されている。合流部65の内部に形成された流路は、切換ユニット4に形成された流路とつながっている。本実施の形態においては、合流部65の内部に形成された流路が、主流路9bを形成している。
また、合流部65には、流入部65aと流出部65bが設けられている。流入部65a、流出部65bの軸方向端面は開口されており、それぞれが合流部65の内部に形成された流路とつながっている。
また、流入部65aと軸62bは、図示しない配管により接続されている。本実施の形態においては、流入部65aと軸62bとを接続することで形成される流路が駆動部流路19(第2の駆動部流路)となる。そのため、合流部65により、主流路9bと駆動部流路19とを吐水部33の上流側で合流させることができるようになっている。
本実施の形態のように、合流部65を設けるものとすれば、本体33aへの流路の接続部分を少なくすることができる。そのため、接続部分における摺動抵抗を減らすことができる。また、水力駆動装置62の負荷を低減させることもでき、水力駆動装置62の小型化およびシャワー装置60の小型化が可能となる。
【0113】
筐体36には、水力駆動装置62、切換ユニット4、支持体68、合流部65などを取り付けるフレーム36aが設けられている。また、これらや配管部材などを覆うようにして収納するカバー36bが設けられている。フレーム36aは、例えば、浴室やシャワー室などの壁面に取り付けられる。そして、フレーム36aを介してシャワー装置60が壁面などに固定されるようになっている。フレーム36a、カバー36bは、耐食性材料からなるものとすることが好ましい。例えば、合成樹脂、ステンレスなどの耐食性金属などとすることができる。
【0114】
リンク機構37は、入力側が、前述したように軸62bと機械的に連結されている。また、出力側が、本体33aと機械的に連結されている。また、リンク機構37の一部に一段または多段の歯車列を備えていてもよい。そのようにすれば、水力が弱い場合でも吐水部33の円滑な反復運動を行わせることができる。
【0115】
その他、図1において例示をした定流量弁5などを適宜設けるようにすることもできる。尚、定流量弁5は必ずしも必要ではなく省略することもできる。
また、シャワー装置60の作用については、前述したシャワー装置1と同様のため、その説明は省略する。
【0116】
また、本実施の形態においても、図1において例示をしたものと同様の効果を享受することができる。例えば、水力駆動装置62を駆動させ本体33を反復運動させながら吐水させる状態(第1状態)と、水力駆動装置62を停止させつつ本体33から吐水させる状態(第2の状態)と、において本体33から吐水される吐水量を同一とすることができる。また、吐水流量をほぼ同一にできるため、運動状態を切り替える際に、わずらわしい流量調整を行う必要がなく、流量が変化することによる違和感がなく、シャワーの浴び感の連続性を確保できる。また、流量が一定に保たれることによって、給湯能力(着火判定)の影響をうけず、吐水部から吐水される湯水の温度が不本意にも変化してしまうことを予防することができる。すなわち、吐水部から吐水される流量および湯温を一定に保つことができる。よって、切替動作の過程においてシャワー浴び感の連続性をより維持できる。水力駆動装置62へ供給される流量を減ずることで、中子に働く流体力を減じているため、吐水部33を停止した状態において、使用者は吐水部33の散水方向を手動で動かすことができる。また、弁体において、流路の切替と流量の制御とを行っているのでコンパクトな構成を実現することができる。また、中子を挟んで両側に圧力室が設けられている水圧駆動装置の場合は、圧力室内にある湯水によって中子にはダンパー効果が働くため、吐水部33を手動で動かす際に、急激に動くことなく位置決めが容易であり、また、適度な操作感が得られる。また、水車に比べて中子の動きが低速であるため、動力伝達部がシンプルとなる。よって、手動でシャワー部を動かすために必要なトルクが小さくなる。また、本実施の形態によれば、非常にコンパクトなシャワー装置を構成することができる。
【0117】
本発明のシャワー装置によれば、吐水部を自動で反復運動させ、吐水位置や吐水方向を変化でき、使用者は変化に富んだ広範囲のシャワー吐水を手放しで浴びることができるとともに、吐水部を固定して集中的に浴びることもできる。このとき、主流路と駆動部流路の流路抵抗を一括して制御し、吐水部を反復運動させている時と停止させている時において、吐水部から吐水される流量が同一となるように制御することができる。そのため、移動と停止を切り換えても吐水量を同一とすることができ、使用者は不快感、違和感、流量不足感などを感じることなくシャワーを浴びることができる。
また、弁体と流量制御部を連動させることで、1操作で切換を行うことができるので、操作性に優れている。
また、移動しながら吐水する吐水部と、停止しながら吐水する吐水部とが共通であるため、吐水部の運動状態を切り替える際のシャワー浴び感の連続性を確保し、配管系統や外観を簡素化することができる。
また、吐水流量が変わらないため、使用者が流量調整をその都度行う必要がない。
【0118】
以上、本発明の実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
例えば、反復運動の一例としてスイングを挙げているが、特許文献1に開示がされているような往復直線運動であってもよい。
【0119】
また、前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0120】
例えば、シャワー装置1、シャワー装置30、シャワー装置40、シャワー装置50、シャワー装置60などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0121】
1 シャワー装置、2 水力駆動装置、3 吐水部、3c ノズル孔、4 切換ユニット、5 定流量弁、6 筐体、9a 駆動部流路、9b 主流路、10 ハンドル、11 本体、12 軸受け、13 弁体、13a 絞り、13b 絞り、16 給水流路、30 シャワー装置、32 水力駆動装置、33 吐水部、33c ノズル孔、36 筐体、37 リンク機構、38 支持体、39 速度調整機構、40 シャワー装置、43 弁体、45 抵抗体、50 シャワー装置、55 可変抵抗体、56 連動機構、60 シャワー装置、65 合流部、A1〜A3 絞り量、A4〜A5 流路抵抗値、Va〜Vg 流量、W1 流体、W2 吐水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反復運動可能に設けられた吐水部と、
流体が流れる力を利用して前記吐水部を反復運動させることが可能な水力駆動装置と、
流体が供給される給水流路と連通し且つ前記吐水部に連通する主流路と、
前記給水流路と連通し且つ前記水力駆動装置に連通する第1の駆動部流路と、前記水力駆動装置と前記吐水部とを直接または間接的に連通する第2の駆動部流路とを有する駆動部流路と、
前記主流路と前記駆動部流路に流路を分岐する分岐部と、
前記吐水部の反復運動の状態に対応して、前記分岐部から前記主流路に供給される流体の流量を制御する第1の弁体と、を備え、
前記第1の弁体は、前記吐水部を反復運動させて吐水する際には、流体を前記分岐部から前記主流路に供給せず、
且つ前記吐水部を反復運動させずに吐水する際には、流体を前記分岐部から前記主流路に供給するように制御し、
前記第1の弁体は、前記吐水部を反復運動させている際に吐水される流体の流量と、前記吐水部を反復運動させていない際に吐水される流体の流量とが同一となるように前記分岐部から前記主流路に供給される流体の流量を制御すること、を特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
前記第2の駆動部流路は、主流路を介して吐水部と連通するよう構成されていること、を特徴とする請求項1記載のシャワー装置。
【請求項3】
前記第2の駆動部流路は、前記第1の弁体が設けられた位置よりも下流側において前記主流路と連通していること、を特徴とする請求項1または2に記載のシャワー装置。
【請求項4】
前記吐水部を反復運動させて吐水させている状態と、前記吐水部を反復運動させずに吐水させている状態と、を切り換える過程において、前記吐水部から吐水される吐水量が一定であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のシャワー装置。
【請求項5】
前記吐水部の反復運動の状態に対応して、前記分岐部から前記主流路および前記分岐部から前記第1の駆動部流路の少なくともいずれかに供給される流体の流量を制御する第2の弁体と、
前記第1の弁体と前記第2の弁体とを連動させる連動機構と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のシャワー装置。
【請求項6】
前記第1の弁体は、前記分岐部から前記主流路に供給される流体の流量を制御する第1の流量制御部と、
前記分岐部から前記第1の駆動部流路、または前記第2の駆動部流路に供給される流体の流量を制御する第2の流量制御部と、
を有し、
前記第1及び前記第2の流量制御部は、流路抵抗を変化させることにより前記流量を制御すること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のシャワー装置。
【請求項7】
前記第1および第2の流量制御部は、前記第1の弁体が動くことで流路の流路断面積を変化させる絞りであることを特徴とする請求項6記載のシャワー装置。
【請求項8】
前記第2の流量制御部は、前記分岐部より下流側の前記第1の駆動部流路内または前記第2の駆動部流路内に配置され、
前記第1の流量制御部は、前記分岐部より下流側の前記主流路内に配置されていることを特徴とする請求項6または7に記載のシャワー装置。
【請求項9】
前記第2の流量制御部は、前記分岐部より下流側の前記第1の駆動部流路内に配置されていることを特徴とする請求項8記載のシャワー装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の流量制御部は、前記分岐部に配置されていること、を特徴とする請求項6または7記載のシャワー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−213877(P2009−213877A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31289(P2009−31289)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】