説明

シャワー装置

【課題】 本発明は、吐水部の反復運動を停止させた状態で吐水部から吐水をさせることができ、また、吐水部を反復運動させている状態から停止させている状態に切り換えた際の吐水量の減少を抑えることができるシャワー装置を提供する。
【解決手段】 流体を吐水する吐水部の反復運動の状態に対応して、弁体は、吐水部を反復運動させて吐水する際には、第1の流量を分岐部から第2の流体ルートに供給するとともに第1の流体ルートに供給される流体により水車を回転し、その流体も吐水部に供給し、且つ吐水部を反復運動させずに吐水する際には、第1の流量よりも大なる第2の流量を分岐部から第2の流体ルートに供給するように制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関し、特に、シャワー吐水部の吐水位置や吐水方向を自動で反復的に変化させることを可能としたシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室やシャワールームなどに設けられたシャワー装置では、使用者は、フレキシブルホースを介して給水栓に接続された吐水部を把持して身体の各部にシャワー吐水させる。このとき、使用者は、把持した吐水部を動かさなければならない。また、吐水部を把持した側の手を他の作業に使えなくなるなどの問題があった。この点に鑑み、特許文献1には、水力によって駆動する駆動部を用いて吐水部を自動で移動させ、シャワー吐水の方向や位置を変化させるシャワー装置が提案されている。これにより、使用者は変化に富んだ広範囲のシャワー吐水を手放しで浴びることができる。そして、駆動部を介さずに吐水部へ湯水を供給するバイパス流路を設けている。これにより、吐水部から吐水される流量を高めることができる(特許文献1の図6を参照)。
【0003】
一方、洗髪する時や、肩や腰などを集中的に暖めたり刺激したりする時には、シャワー吐水の方向や位置を固定して利用できることが好ましい。そのためには、駆動部に対して駆動に足る量の水を供給しないようにすることで実現することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、駆動部への水の流れを制御する切替弁を開いて吐水部を移動させている状態に比べて、切替弁を閉じて吐水部の移動を停止させている状態の方が吐水部からの吐水量が減少するおそれがある。
【特許文献1】特開昭63−3826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、吐水部の反復運動を停止させた状態で吐水部から吐水をさせることができ、また、吐水部を反復運動させている状態から停止させている状態に切り換えた際の吐水量の減少を抑えることができるシャワー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、流体を吐水する吐水部と、流体力によって回転する水車と、前記水車が内部に設けられた駆動部と、前記駆動部に連通し前記水車を回転させる流体力を発生させる第1の流体ルートと、前記駆動部を経由せずに前記吐水部に連通する第2の流体ルートと、前記第1の流体ルートと前記第2の流体ルートにルートを分岐する分岐部と、前記水車の回転力を前記吐水部に伝達し、前記吐水部を反復運動させる伝達機構と、前記吐水部の反復運動の状態に対応して、前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給される流体の流量を制御する弁体と、を備え、前記弁体は、前記吐水部を反復運動させて吐水する際には、第1の流量を前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給するとともに前記第1の流体ルートに供給される流体により前記水車を回転し、その流体も前記吐水部に供給し、且つ前記吐水部を反復運動させずに吐水する際には、前記第1の流量よりも大なる第2の流量を前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給するように制御することを特徴とするシャワー装置が提供される。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、流体を吐水する吐水部と、流体力によって回転する水車と、前記水車が内部に設けられた駆動部と、前記駆動部に連通し前記水車を回転させる流体力を発生させる第1の流体ルートと、駆動部を経由して前記吐水部に連通し前記水車を回転させる流体力を発生させない第2の流体ルートと、前記第1の流体ルートと前記第2の流体ルートにルートを分岐する分岐部と、前記水車の回転力を前記吐水部に伝達し、前記吐水部を反復運動させる伝達機構と、前記吐水部の反復運動の状態に対応して、前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給される流体の流量を制御する弁体と、を備え、
前記弁体は、前記吐水部を反復運動させて吐水する際には、第1の流量を前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給するとともに前記第1の流体ルートに供給される流体により前記水車を回転し、その流体も前記吐水部に供給し、且つ前記吐水部を反復運動させずに吐水する際には、前記第1の流量よりも大なる第2の流量を前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給するように制御することを特徴とするシャワー装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吐水部の反復運動を停止させた状態で吐水部から吐水をさせることができ、また、吐水部を反復運動させている状態から停止させている状態に切り換えた際の吐水量の減少を抑えることができるシャワー装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について例示をする。尚、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るシャワー装置の外観を例示する模式斜視図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置の構成を例示する模式図であり、図3は、本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置の模式断面図である。図4(a)は、シャワー装置の駆動切替バルブの回転位置Aでの模式断面図、図4(b)は、回転位置Bでの模式断面図である。
【0011】
図1〜図4を用いて説明する。シャワー装置1は、筐体6と吐水部3を有し、浴室やシャワールームの壁面に備え付けられる。吐水部3は、筐体6に対して矢印Rの方向に、反復運動ができるようになっている。筐体6には、給水源からの湯水を導く給水流路16、駆動切替バルブ4、水車25を内蔵する駆動部2、駆動切替バルブ4から駆動部2に連通する駆動部流路50、駆動部2から吐水部3に連通する出水流路55、駆動切替バルブ4から吐水部3に連通する吐水部流路60、水車25の回転運動を減速かつ反復運動に変換し吐水部3に伝達するギヤボックス37、が内部に収められ適宜固定されている。また、駆動切替バルブ4に内蔵された弁体13を動かせる操作ハンドル10が、筐体6から突出して設けられている。
【0012】
この第1の実施形態においては、分岐部は駆動切替バルブ4の内部(弁体13の内部)であり、第1の流体ルートは、弁体13の内部から駆動部流路50を経て駆動部2に至る流路であり、第2の流体ルートは、弁体13の内部から吐水部流路60を経て吐水部3に至る流路である。また、第1の流量制御部は、弁体13に形成されている第1絞り孔21であり、第2の流量制御部は、弁体13に形成されている第2絞り孔22a、22bである。また、伝達機構は、ギヤボックス37である。
【0013】
水路19aおよび湯路19bから給水流路16に至る途上には、湯と水を混合し湯温を変更できる温調弁7や、止水と給水および流量調整ができる止水弁8が、適宜設けられる。これらは、本実施形態においてはシャワー装置1の外部に設けられているが、筐体6内に設けられていてもよい。シャワー装置1の利用者は、温調弁7を操作して温度を調整し、止水弁8を操作してシャワーの吐水と止水を制御する。
【0014】
駆動部2には、回転自在な水車25が内蔵されており、駆動部流路50から駆動部2へ流入した湯水が発生する流体力によって水車25は回転する。水車25の水車軸30は、駆動部2から外部に突出しており、水車軸30には、水車25と同じくして回転する初段ギヤ36が設けられている。そして初段ギヤ36には、ギヤボックス37が連結されている。また、ギヤボックス37の最終ギヤ38は、吐水部3に設けられたギヤ(図示せず)とかみ合っている。ギヤボックス37内にはクランク要素が組み込まれており、水車の一方向の回転を複数のギヤにより減速した上で反復運動に変換するよう構成されている。すなわち、ギヤボックス37の最終ギヤ38から出力されるのは減速された反復運動であり、この反復運動が吐水部3へと伝達される。このとき、駆動部2に流入した湯水は、出水流路55を通じて吐水部3に導かれ、シャワー吐水の一部となって吐水される。
【0015】
吐水部3は、円筒状の本体3aの半径方向に平坦部を有し、平坦部には複数のノズル孔3cが設けられたノズルプレート3bが設けられている。吐水部3は、円筒状の軸方向端部においてそれぞれ出水流路55と吐水部流路60と回転自在に接続している。すなわち、出水流路55と吐水部流路60を軸として、吐水部3は回転することができる。また、出水流路55および吐水部流路60を通って吐水部3内に流入した湯水は、ノズル孔3cからシャワー吐水されることになる。
【0016】
駆動切替バルブ4は、給水流路16を通って流入してきた湯水を、駆動部流路50と吐水部流路60に分配する役割を担う。駆動切替バルブ4は、バルブ本体14と弁体13とを有する。
【0017】
バルブ本体14は、内部に円柱状の空間を有し、その空間に通じる、流入口15と第1流出口11と第2流出口12と軸取出口17とを有する。第1流出口11は駆動部流路50に連通しており、第2流出口12は吐水部流路60に連通している。そして、流入口15には、給水流路16が接続される。すなわち、バルブ本体14の内部空間が分岐部となる。
【0018】
弁体13は筒状形状をなしており、軸方向端面の一端は開放し、他端には軸部18を有している。また、弁体13の筒側面には第1絞り孔21と第2絞り孔22a、22bが設けられている。弁体13は、バルブ本体14内部の円筒状空間に、軸取出口17から軸部18を突出させた状態で収められており、軸部18まわりに回転自在となっている。すなわち、弁体13は分岐部に設けられている。また、バルブ本体14と給水流路16との間や、バルブ本体14と弁体13との間には、Oリング等のシール材が適宜設けられる。
【0019】
第1絞り孔21は第1流出口11に対応した位置に設けられており、また第2絞り孔22a、22bは第2流出口12に対応した位置に設けられている。ここで、弁体13のある回転位置Aでは、第1流出口11と第1絞り孔21が合うと共に第2流出口12と第2絞り孔22aが合い、弁体13の他の回転位置Bでは、第1流出口11に合う絞り孔は無く第2流出口12と第2絞り孔22bが合うように構成されている。
【0020】
弁体13の回転位置Aの状態では、給水流路16から駆動切替バルブ4内に流入した湯水は、弁体13の内部に入りここで分岐して、一方は第1絞り孔21及び第1流出口11から駆動部流路50を経由して駆動部2に運ばれ、そして出水流路55を経て吐水部3へと至り、もう一方は第2絞り孔22a及び第2流出口12から吐水部流路60を経て吐水部3へと至り、この2つの流路は吐水部3内で合流して、ノズル孔3cからシャワー吐水される。このとき、駆動部流路50からの湯水によって水車25が回転し、ギヤボックス37の働きによって、吐水部3は吐水部流路60および出水流路55を軸とした反復運動を行う。すなわち、吐水部3が上下方向に反復運動をしながらシャワー吐水を行う。
【0021】
弁体13の回転位置Bの状態では、給水流路16から駆動切替バルブ4内に流入した湯水は、弁体13の内部に入り、第2絞り孔22b及び第2流出口12から吐水部流路60を経て吐水部3へと至り、ノズル孔3cからシャワー吐水される。このとき、駆動部流路50には湯水が供給されないため水車25は回転せず、吐水部3は反復運動を行わない。すなわち、吐水部3が停止した状態でシャワー吐水を行う。
【0022】
こうして、シャワー装置1の使用者は、止水弁8を開けシャワー吐水を浴びる際に、操作ハンドル10を操作することで弁体13の回転位置を調整し、吐水部3を反復運動させたり停止させたりすることが可能となる。例えば、体全体に沿って広範囲に浴びたい場合には反復運動させシャワー吐水し、洗髪時に頭部に浴びたり腰部を集中的にマッサージさせたりしたい場合には停止させシャワー吐水し、と選択できる。すなわち、使用者は好みに応じて使い分けることが可能である。
【0023】
ここで、弁体13の第1絞り孔21と第2絞り孔22a、22bについて述べる。第1絞り孔は、駆動切替バルブ4の流入口15と第1流出口11とを連通する流路上に設けられており、第1絞り孔の流路抵抗を変化させることで後段に連通する駆動部流路50および駆動部2へ流れる流体の流量を制御する。また同様に、第2絞り孔は、駆動切替バルブ4の流入口15と第2流出口12とを連通する流路上に設けられており、第2絞り孔の流路抵抗を変化させることで後段に連通する吐水部流路60へ流れる流体の流量を制御する。
【0024】
このとき、分岐部(弁体13内部)から吐水部3までの2つの流路(第1の流体ルート経由、第2の流体ルート経由)のそれぞれの総流路抵抗によって、それぞれに流れる流量は決定されることになる。
【0025】
第1絞り孔は、回転位置A(第1絞り孔21)と回転位置B(孔無し)で、その断面積が減少するよう構成されており、また第2絞り孔は、回転位置A(第2絞り孔22a)と回転位置B(第2絞り孔22b)で、その断面積を増大するよう構成されている。すなわち、第1絞り孔と第2絞り孔とにおいて、断面積の変化の方向が逆になっている。
【0026】
回転位置Aにおいて、第1絞り孔21は流出口11を全開になるように設けられているのに対し、第2絞り孔22aは流出口12を一部開くように設けられている。このようにすることで、水車25が回転するために必要な流量が駆動部流路50に流れるように構成すると共に、吐水部流路60にも湯水を流すことでシャワー装置1全体の総圧力損失を抑えながら吐水部3からのシャワー吐水の流量を確保することができる。
【0027】
一方、回転位置Bにおいて、第1絞り孔は存在せず流出口11は全閉となるのに対し、第2絞り孔22bは流出口12を回転位置Aの状態よりも更に開くように設けられている。このようにすることで、水車25を回転させないと共に、吐水部流路60に流れる流量を増加させ吐水部3からのシャワー吐水の流量を確保することができる。このとき、吐水部3を反復運動させている状態(回転位置A)での吐水部流路60に流れる流量(第1の流量)よりも、吐水部3を停止させている状態(回転位置B)での吐水部流路60に流れる流量(第2の流量)の方が大きくなる。
【0028】
すなわち、第1絞り孔と第2絞り孔が協働し、反復運動と停止の状態を実現するために第1絞り孔により流量制御を行うと共に、第1絞り孔による流量制御で生じた流量の変化分を相殺するように、第2絞り孔によって流量制御を行っている。第1絞り孔にて制御された流量と第2絞り孔によって制御された流量は、合流して吐水部3からシャワー吐水として吐水されるため、協働によりシャワー吐水の流量変化を抑えることができる。
【0029】
このように構成されているシャワー装置1では、使用者が操作ハンドル10を操作して、吐水部3を反復運動させてシャワー吐水させている状態から停止させてシャワー吐水させる際に、吐水流量が減少することを防ぐことができ、使用者は快適にシャワーを浴び続けることができる。すなわち、操作ハンドル10の操作だけで、動作の切替を行うと共に、流量の調整も行っており、使用者にとって余計な手間がなく快適である。このとき、反復運動させている状態と、停止させている状態とで、吐水部3からシャワー吐水される流量は一定になるように第1絞り孔及び第2絞り孔の流路抵抗が設定されていることが望ましい。このようにすることで、更に連続性を確保し使いやすいシステムを実現できる。
【0030】
尚、吐水部3から吐水される流量が一定とは、使用者が不快感や違和感を感じない程度の流量の差がある場合も含んでいる。例えば吐水部から吐水される流量が10L/minの場合、9〜11L/min(1割程度)の変化を含むものである。
【0031】
駆動切替バルブ4の状態として、回転位置A(吐水部3は反復運動する)と回転位置B(吐水部3は停止する)を述べたが、切替動作の連続性を確保する為に、回転位置Aと回転位置Bの中間の状態を形成するとより好ましい。例えば、第1絞り孔および第2絞り孔をそれぞれ複数個設け、第1絞り孔では断面積が減少するように、また第2絞り孔では断面積が増加するように構成することで、中間の状態を形成できる。更に、第1絞り孔および第2絞り孔をそれぞれ、弁体13の回転方向に連続的に断面積が変化する1つの孔として構成することで、より連続性を確保できる。この中間の状態においては、吐水部3から吐水される流量を確保しつつ、反復運動の速度を調整できることになる。すなわち、使用者は、中間の状態で操作ハンドル10を固定することで、自分の好みの速度に調整して浴びることが可能となる。
【0032】
(分流の0034 どこに置くか?)
尚、ここでは、絞り孔の断面積を変化させることで流路抵抗を変化させて流量を制御を行う例を述べたが、絞り孔の流路進行方向の長さや、絞り孔の形状を変化させることによっても、流路抵抗を変化させることができ、これらを弁体13に設けてもよい。
【0033】
また、水車やギヤ列や吐水部には摩擦抵抗が存在するため、流出口11を全閉とせず摩擦抵抗以下の流体力を発生させる流量を駆動部流路に流しても、水車を回転させないことは可能である。但し、全閉とした方が、確実に水車の回転を停止させることができるため、動作の信頼性を鑑みると好ましい。
【0034】
続いて、本発明の第1の実施形態の変形例について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置の変形例の構成を例示する模式図である。
【0035】
第1の実施形態の変形例であるシャワー装置1aも、図1に例示する外観を有し、筐体6、吐水部3を有する。また、図4に例示する駆動切替バルブ4を有し、弁体13を操作する操作ハンドル10を有する。そして、筐体6内には、水車25を内蔵する駆動部2を有し、水車25の回転を減速及び反復運動に変換し吐水部3へと伝達する、初段ギヤ36、ギヤボックス37、最終ギヤ38を有する。これらの働きは、前述した通りである。そして、駆動部2から吐水部3へと至る流路構成が異なっている。
【0036】
すなわち、駆動部流路50から駆動部2内に導かれた流体は、流体力を発生し水車25を回転させた後、連結流路56を通って合流部57に至り、吐水部流路60を通じてきた流体と合流して、吐水部3へと至り、ノズル孔3cからシャワー吐水される。
【0037】
また、吐水部3は、円筒状の軸方向端部においてそれぞれ吐水部流路60と支持軸65と回転自在に接続している。支持軸65は筐体6に固定されている。このとき、吐水部3に連通する流路は吐水部流路60のみであるため、シール性を考慮した軸受け部は1箇所となり、信頼性が向上する。
【0038】
この第1の実施形態の変形例においても、分岐部は駆動切替バルブ4の内部(弁体13の内部)であり、第1の流体ルートは、弁体13の内部から駆動部流路50を経て駆動部2に至る流路であり、第2の流体ルートは、弁体13の内部から吐水部流路60を経て吐水部3に至る流路である。また、第1の流量制御部は、弁体13に形成されている第1絞り孔21であり、第2の流量制御部は、弁体13に形成されている第2絞り孔22a、22bである。また、伝達機構は、ギヤボックス37である。
【0039】
この第1の実施形態の変形例においても、操作ハンドル10を操作することによって、吐水部3の反復運動および停止の状態を切換えると共に、切換えの際に、吐水部3からシャワー吐水される流量変化を抑えることで、シャワーを浴びている際の連続性を確保できる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るシャワー装置の構成を例示する模式図である。
【0041】
第2の実施形態に係るシャワー装置1bも、図1に例示する外観を有し、筐体6、吐水部3を有する。また、図4に例示する駆動切替バルブ4を有し、弁体13を操作する操作ハンドル10を有する。そして、筐体6内には、水車25を内蔵する駆動部2を有し、水車25の回転を減速及び反復運動に変換し吐水部3へと伝達する、初段ギヤ36、ギヤボックス37、最終ギヤ38を有する。これらの働きは、前述した通りである。そして、駆動切替バルブ4から吐水部3へと至る流路構成が異なっている。
【0042】
すなわち、駆動切替バルブ4のバルブ本体14に形成されている第1流出口11は駆動部流路50に連通し、駆動部流路50は水車25を回転させる流体力を発生するように駆動部2に対して連通している。一方、第2流出口12は迂回流路70に連通し、迂回流路70は水車25を回転させるに足る流体力を発生させないように駆動部2に対して連通している。そして更に、駆動部2からは、送水流路75が吐水部3まで連通しており、駆動部流路50および迂回流路70を経由して駆動部2内に流入した湯水を、一括して吐水部3まで導く役割を担っている。このように、駆動部2にて駆動力の発生を行うと共に2流路の合流をも行い、流路構成がシンプルになり筐体6内での収納性が向上する。そして、吐水部3は、円筒状の軸方向端部においてそれぞれ送水流路75と支持軸65と回転自在に接続している。このとき、吐水部3に連通する流路は吐水部流路60のみであるため、シール性を考慮した軸受け部は1箇所となり、信頼性が向上する。
【0043】
この第2の実施形態においては、分岐部は駆動切替バルブ4の内部(弁体13の内部)であり、第1の流体ルートは、弁体13の内部から駆動部流路50を経て駆動部2に至る流路であり、第2の流体ルートは、弁体13の内部から迂回流路70、駆動部2、送水流路75を経て吐水部3に至る流路である。また、第1の流量制御部は、弁体13に形成されている第1絞り孔21であり、第2の流量制御部は、弁体13に形成されている第2絞り孔22a、22bである。また、伝達機構は、ギヤボックス37である。
【0044】
ここで、水車25を回転させるに足る流体力を発生させないように迂回流路70を駆動部2に対して連通させる例を、図7〜11を用いて説明する。
【0045】
図7は、第2の実施形態の駆動部の第1例を例示する模式図である。
この第1例では、駆動部2は水車室27とバッファ28を有し、水車室27内に水車25が収まっている。水車室27とバッファ28は連通している。そして、水車室27には駆動部流路50が連通しており、バッファ28には迂回流路70が連通している。また、バッファ28には送水流路75が連通している。
【0046】
水車25は、紙面に対して垂直な軸まわりに回転する遠心式の水車であり、駆動部流路50は、水車25の回転軸から離れた位置であり水車25の翼に垂直となる位置において水車室27に連通している。すなわち、駆動部流路50を経由して水車室27に流入した湯水は、水車25の翼に流体力を作用させ、水車25を回転させる。一方、迂回流路70を経由してバッファ28に流入した湯水は、水車25の翼に回転に足る流体力を及ぼすことなく送水流路75へと導かれる。
【0047】
第1例では、水車25は遠心式の水車に変えて軸流式の水車も使うことができる。この場合、紙面に対して垂直な軸まわりに回転する軸流式の水車とすると、駆動部流路50は紙面に対して垂直方向から水車室27へ連通することになる。
【0048】
図8は、第2の実施形態の駆動部の第2例を例示する模式図である。図8(a)は水車の回転軸に沿った方向から見た模式図、図8(b)は水車の回転軸に垂直な方向から見た模式図である。
この第2例では、駆動部2は水車室27を有し、水車室27内には水車25が収まっている。水車室27には駆動部流路50、迂回流路70、送水流路75が連通している。
【0049】
水車25は、紙面に対して垂直な軸まわりに回転する遠心式の水車であり、駆動部流路50の水車室27への連通位置やその働きは、第1例で前述したとおりである。一方、迂回流路70は、水車25の回転軸に対して垂直となるような位置において水車室27に連通している。すなわち、迂回流路70を経由して水車室27内に流入する湯水は、水車25の回転軸に対して垂直に水車室27内に入水されるため、水車25の翼に回転に足る流体力を及ぼすことなく送水流路75へと導かれる。このとき、送水流路75は、水車25の回転軸に対して対称となる位置に配置することで、より迂回流路70からの湯水による回転に影響する流体力を発生しにくくできるため、好ましい。例えば、水車室27の紙面奥側であって、迂回流路70の連通位置と回転軸を結ぶ線上である。
【0050】
図9は、第2の実施形態の駆動部の第3例を例示する模式図である。図9(a)は水車の回転軸に沿った方向から見た模式図、図9(b)は水車の回転軸に垂直な方向から見た模式図である。
この第3例では、駆動部2は水車室27を有し、水車室27内には水車25が収まっている。水車室27には駆動部流路50、迂回流路70、送水流路75が連通している。
【0051】
水車25は、紙面に対して垂直な軸まわりに回転する遠心式の水車であり、駆動部流路50の水車室27への連通位置やその働きは、第1例で前述したとおりである。一方、迂回流路70は、2つの流路に分岐し、水車25の回転軸に対して対称となるように水車室27に連通している。すなわち、迂回流路70を経由して分岐した後で水車室27内に流入する湯水は、水車25の回転軸に対して対称となるように水車室27内に入水されるため、それぞれから発生する流体力は打ち消され、結果、水車25の翼に回転に足る流体力を及ぼすことなく送水流路75へと導かれる。このとき、送水流路75も、水車25の回転軸に対して対称となる位置に配置することで、より迂回流路70からの湯水による回転に影響する流体力を発生しにくく構成できるため、好ましい。例えば、水車室27の紙面奥側であって、迂回流路70の分岐された2つの連通位置の中間線上である。
【0052】
図10は、第2の実施形態の駆動部の第4例を例示する模式図である。図10(a)は水車の回転軸に沿った方向から見た模式図、図10(b)は水車の回転軸に垂直な方向から見た模式図である。
この第4例では、駆動部2は水車室27を有し、水車室27内には水車25が収まっている。水車室27には駆動部流路50、迂回流路70、送水流路75が連通している。
【0053】
水車25は、紙面に対して垂直な軸まわりに回転する遠心式の水車であり、駆動部流路50の水車室27への連通位置やその働きは、第1例で前述したとおりである。一方、迂回流路70は、水車25の回転軸に対して平行に紙面手前側において水車室27に連通している。すなわち、迂回流路70を経由して水車室27内に流入する湯水は、水車25の回転軸に対して平行に水車室27内に入水されるため、水車25の翼に回転に足る流体力を及ぼすことなく送水流路75へと導かれる。このとき、送水流路75は、水車25の回転軸に対して対称となる位置に配置することで、より迂回流路70からの湯水による回転に影響する流体力を発生しにくく構成できるため、好ましい。例えば、水車室27の紙面奥側であって、迂回流路70の連通位置と回転軸を結ぶ線上である。
【0054】
また、迂回流路70を、水車25の回転軸に沿って水車室27に連通させると、水車25の回転軸に平行であると共に対称に水車室27内に入水されるため、より回転に影響する流体力を発生しにくくできるため、好ましい。
【0055】
図11は、第2の実施形態の駆動部の第5例を例示する模式図である。図11(a)は水車の回転軸に沿った方向から見た模式図、図11(b)は水車の回転軸に垂直な方向から見た模式図である。
この第5例では、駆動部2は水車室27を有し、水車室27内には水車25が収まっている。水車室27には駆動部流路50、迂回流路70、送水流路75が連通している。
【0056】
水車25は、紙面に対して垂直な軸まわりに回転する軸流式の水車であり、水車の中央部(ボス部26)には、水車の回転軸を形成しつつ貫通孔29が開いている。そして、駆動部流路50は、紙面に対して垂直方向手前から水車室27の半径方向外側の位置(水車のボス部26より外側の位置)において連通している。これにより、駆動部流路50を経由して水車室27に流入した湯水は、ボス部26周囲に設けられた翼に回転させる流体力を作用させ、水車25を回転させる。一方、迂回流路70は、紙面に対して垂直方向手前から水車室27の半径方向内側の位置(水車のボス部26に相当する位置)において連通している。これにより、迂回流路70を経由して水車室27に流入した湯水は、水車25の貫通孔29を通じて、水車25の翼に回転に足る流体力を及ぼすことなく送水流路75へと導かれる。このとき、送水流路75は、紙面奥側に設けられており、翼を経由した湯水も貫通孔29を経由した湯水も、合流して吐水部3へと導かれる。
【0057】
この第2の実施形態においても、操作ハンドル10を操作することによって、吐水部3の反復運動および停止の状態を切換えると共に、切替の際に、吐水部3からシャワー吐水される流量変化を抑えることで、シャワーを浴びている際の連続性を確保できる。
【0058】
本発明のシャワー装置によれば、吐水部を自動で反復運動させ、吐水位置や吐水方向を変化でき、使用者は変化に富んだ広範囲のシャワー吐水を手放しで浴びることができるとともに、吐水部を固定して集中して浴びることもできる。このとき、前述した弁体を設けることで、水車を回転させる流体力を発生させるよう配設された第1の流体ルートと、水車が回転しないように配設され、吐水部に流体が至る第2の流体ルートとの流路抵抗を一括して制御し、吐水部を反復運動させている場合と停止させている場合において、吐水部から吐水される流量を一定とするよう制御することができる。そのため、使用者は、シャワーを浴びている際の反復運動と停止との切替動作において不快感や違和感を感じることなく、連続性を維持できる。また、1つの弁体を操作することで、反復運動と停止の切替を行うと同時に流量調整も行うため、操作性に優れる。また、同一の吐水部にて、反復運動させながらのシャワー吐水と停止させてのシャワー吐水とを実現しているため、配管系統や外観を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係るシャワー装置の外観を例示する模式斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置の構成を例示する模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置の模式断面図である。
【図4】(a)シャワー装置の駆動切替バルブの回転位置Aでの模式断面図である。 (b)シャワー装置の駆動切替バルブの回転位置Bでの模式断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るシャワー装置の変形例の構成を例示する模式図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るシャワー装置の構成を例示する模式図である。
【図7】第2の実施形態の駆動部の第1例を例示する模式図である。
【図8】第2の実施形態の駆動部の第2例を例示する模式図である。
【図9】第2の実施形態の駆動部の第3例を例示する模式図である。
【図10】第2の実施形態の駆動部の第4例を例示する模式図である。
【図11】第2の実施形態の駆動部の第5例を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0060】
1 シャワー装置
1a シャワー装置
1b シャワー装置
2 駆動部
3 吐水部
4 駆動切替バルブ
6 筐体
7 温調弁
8 止水弁
10 操作ハンドル
11 第1流出口
12 第2流出口
13 弁体
14 バルブ本体
15 流入口
16 給水流路
17 軸取出口
18 軸部
19a 水路
19b 湯路
21 第1絞り孔
22a 第2絞り孔
22b 第2絞り孔
25 水車
26 ボス部
27 水車室
28 バッファ
29 貫通孔
30 水車軸
36 初段ギヤ
37 ギヤボックス
38 最終ギヤ
50 駆動部流路
55 出水流路
56 連結流路
57 合流部
60 吐水部流路
65 支持軸
70 迂回流路
75 送水流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を吐水する吐水部と、
流体力によって回転する水車と、
前記水車が内部に設けられた駆動部と、
前記駆動部に連通し前記水車を回転させる流体力を発生させる第1の流体ルートと、
前記駆動部を経由せずに前記吐水部に連通する第2の流体ルートと、
前記第1の流体ルートと前記第2の流体ルートにルートを分岐する分岐部と、
前記水車の回転力を前記吐水部に伝達し、前記吐水部を反復運動させる伝達機構と、
前記吐水部の反復運動の状態に対応して、前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給される流体の流量を制御する弁体と、を備え、
前記弁体は、
前記吐水部を反復運動させて吐水する際には、第1の流量を前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給するとともに前記第1の流体ルートに供給される流体により前記水車を回転し、その流体も前記吐水部に供給し、
且つ前記吐水部を反復運動させずに吐水する際には、前記第1の流量よりも大なる第2の流量を前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給するように制御する
ことを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
流体を吐水する吐水部と、
流体力によって回転する水車と、
前記水車が内部に設けられた駆動部と、
前記駆動部に連通し前記水車を回転させる流体力を発生させる第1の流体ルートと、
駆動部を経由して前記吐水部に連通し前記水車を回転させる流体力を発生させない第2の流体ルートと、
前記第1の流体ルートと前記第2の流体ルートにルートを分岐する分岐部と、
前記水車の回転力を前記吐水部に伝達し、前記吐水部を反復運動させる伝達機構と、
前記吐水部の反復運動の状態に対応して、前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給される流体の流量を制御する弁体と、を備え、
前記弁体は、
前記吐水部を反復運動させて吐水する際には、第1の流量を前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給するとともに前記第1の流体ルートに供給される流体により前記水車を回転し、その流体も前記吐水部に供給し、
且つ前記吐水部を反復運動させずに吐水する際には、前記第1の流量よりも大なる第2の流量を前記分岐部から前記第2の流体ルートに供給するように制御する
ことを特徴とするシャワー装置。
【請求項3】
前記第2の流体ルートは、前記駆動部への入水口と前記駆動部からの出水口との前記駆動部内での経路上において前記水車と干渉しないことを特徴とする請求項2記載のシャワー装置。
【請求項4】
前記水車は遠心式の水車であり、前記第2の流体ルートが、前記駆動部への入水口において前記水車の回転軸に対して対象位置となるよう配設されていることを特徴とする請求項2記載のシャワー装置。
【請求項5】
前記水車は遠心式の水車であり、前記第2の流体ルートが、前記駆動部への入水口において前記水車の回転軸に対して平行となるよう配設されていることを特徴とする請求項2記載のシャワー装置。
【請求項6】
前記水車は軸流式の水車であり、前記第2の流体ルートが、前記駆動部への入水口において前記水車の中央部を通過するよう配設されていることを特徴とする請求項2記載のシャワー装置。
【請求項7】
前記分岐部は、流体を供給する給水流路と接続することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のシャワー装置。
【請求項8】
前記弁体は、
前記第1の流体ルートに供給される流体の流量を制御する第1の流量制御部と、
前記分岐部から前記第2のルートに供給される流体の流量を制御する第2の流量制御部と、を有し、
前記第1及び第2の流量制御部は、流路抵抗を変化させることにより前記流量を制御することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のシャワー装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の流量制御部は、前記弁体が動くことで前記吐水部側につながる流路の流路断面積を変化させる絞りであることを特徴とする請求項8記載のシャワー装置。
【請求項10】
前記第1の流量制御部は、前記第1の流体ルート内に配置され、
前記第2の流量制御部は、前記第2の流体ルート内に配置されていることを特徴とする請求項8または9に記載のシャワー装置。
【請求項11】
前記第1の流量制御部及び前記第2の流量制御部は、前記分岐部に配置されていることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のシャワー装置。
【請求項12】
前記吐水部を反復運動させて吐水する際に、前記吐水部から吐水される吐水量と、前記吐水部を反復運動させずに吐水する際に、前記吐水部から吐水される吐水量と、は同一であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−12015(P2010−12015A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174398(P2008−174398)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】