説明

シャワー装置

【課題】意匠性を低下させることなく電磁弁などのメンテナンス作業が容易な点検口を設けることができるシャワー装置を提供する。
【解決手段】内部に空間を有する筐体と、前記筐体の内部に配置され、湯水を導く導水配管部と、前記筐体の内部に配置され、前記導水配管部の途上に設けられた電磁弁と、前記筐体の外面に形成された開口部に配置され、前記導水配管部からの湯水を吐水する吐水部と、前記電磁弁の動作を操作可能な操作パネルと、を備え、前記筐体は、前記電磁弁を点検可能な点検口を外面に有し、前記操作パネルは、前記点検口を掩蔽するように着脱可能に取り付けられたことを特徴とするシャワー装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、シャワー装置に関し、具体的には浴室などの壁面に埋め込まれるシャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、浴室などの壁面に埋め込まれるシャワー装置がある。このようなシャワー装置には、複数の水源の温度および圧力を制御可能なシステムがある(特許文献1)。特許文献1に記載された装置では、電磁弁は、壁内のハウジングに配置され、リモコンなどからの信号により制御されている。このような配管の途上に取り付けられた電磁弁については、一般的に、定期的なメンテナンス作業が必要である。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された装置では、ハウジングは、ねじなどにより壁の内部に固定されるため、電磁弁のメンテナンス作業の際には、そのねじなどを取り外してメンテナンス作業を行う必要がある。
【0004】
これに対して、壁面に点検口が設けられたシャワー装置がある(特許文献2)。特許文献2に記載されたシャワー装置では、壁面に点検口が形成され、その点検口を隠す前面カバーが取り外し自在に設けられている。
【0005】
しかしながら、点検口を隠す前面カバーが設けられているため、シャワー装置の意匠性が低下するという問題がある。また、その点検口の限られたスペースから電磁弁や配管などのメンテナンス作業を行うことについては、記載されていない。点検口から電磁弁などのメンテナンス作業を可能とするためには、電磁弁と点検口との位置を合わせたり、ある程度大きな開口を有する点検口を形成する必要がある。そのため、大きな前面カバーを設ける必要があり、シャワー装置の意匠性がさらに低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6691338号明細書
【特許文献2】実開平2−98791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、意匠性を低下させることなく電磁弁などのメンテナンス作業が容易な点検口を設けることができるシャワー装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、内部に空間を有する筐体と、前記筐体の内部に配置され、湯水を導く導水配管部と、前記筐体の内部に配置され、前記導水配管部の途上に設けられた電磁弁と、前記筐体の外面に形成された開口部に配置され、前記導水配管部からの湯水を吐水する吐水部と、前記電磁弁の動作を操作可能な操作パネルと、を備え、前記筐体は、前記電磁弁を点検可能な点検口を外面に有し、前記操作パネルは、前記点検口を掩蔽するように着脱可能に取り付けられたことを特徴とするシャワー装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、意匠性を低下させることなく電磁弁などのメンテナンス作業が容易な点検口を設けることができるシャワー装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態にかかるシャワー装置を備えた浴室を例示する斜視模式図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるシャワー装置を備えた浴室を例示する斜視模式図である。
【図3】本実施形態にかかるシャワー装置の一部を切断して内部を眺めた斜視模式図である。
【図4】本実施形態の操作パネルを取り外した状態を表す斜視模式図である。
【図5】本実施形態にかかるシャワー装置を表す斜視模式図である。
【図6】本実施形態にかかるシャワー装置を表す平面模式図である。
【図7】本実施形態にかかるシャワー装置の構成を例示するブロック図である。
【図8】本実施形態の操作パネルを拡大して眺めた斜視模式図である。
【図9】本実施形態の点検口から電磁弁ユニットを眺めた平面模式図である。
【図10】本実施形態の点検口から電磁弁ユニットを取り出す状態を表す斜視模式図である。
【図11】本実施形態の点検口から筐体の内部を拡大して眺めた斜視模式図である。
【図12】本実施形態の締結部材410を表す平面模式図である。
【図13】本実施形態にかかるシャワー装置を後側から眺めた斜視模式図である。
【図14】本実施形態の操作パネル近傍を切断して筐体の内部を眺めた斜視模式図である。
【図15】本実施形態の操作パネルを後側から眺めた斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、内部に空間を有する筐体と、前記筐体の内部に配置され、湯水を導く導水配管部と、前記筐体の内部に配置され、前記導水配管部の途上に設けられた電磁弁と、前記筐体の外面に形成された開口部に配置され、前記導水配管部からの湯水を吐水する吐水部と、前記電磁弁の動作を操作可能な操作パネルと、を備え、前記筐体は、前記電磁弁を点検可能な点検口を外面に有し、前記操作パネルは、前記点検口を掩蔽するように着脱可能に取り付けられたことを特徴とするシャワー装置である。
このシャワー装置によれば、操作パネルが取り付けられた状態では、点検口は、シャワー装置の外部には露出していない。すなわち、操作パネルが取り付けられた状態では、筐体の外部から点検口を見ることはできない。そのため、意匠性を低下させることなく電磁弁などのメンテナンス作業を行う点検口を設けることができる。
【0012】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記電磁弁は、前記導水配管部に対して着脱可能に取り付けられ、前記点検口から挿脱可能であることを特徴とするシャワー装置である。
このシャワー装置によれば、電磁弁を筐体の外部に取り外した状態で、その電磁弁のメンテナンス作業を行うことができる。
【0013】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記電磁弁および前記操作パネルの少なくともいずれかに対して電力を供給する電源部をさらに備え、前記電源部は、前記筐体の内部に着脱可能に取り付けられ、前記点検口から挿脱可能であることを特徴とするシャワー装置である。
このシャワー装置によれば、電源部を筐体の外部に取り外した状態で、その電源部のメンテナンス作業を行うことができる。
【0014】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記操作パネルは、前記点検口に対して水密的に取り付けられたことを特徴とするシャワー装置である。
このシャワー装置によれば、点検口を通して筐体の内部に水が侵入することを防止することができる。
【0015】
また、第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記電磁弁と、前記導水配管部と、を締結する締結部材をさらに備えたことを特徴とするシャワー装置である。
このシャワー装置によれば、締結部材を取り外すことで、電磁弁を導水配管部から容易に取り外すことができる。また、締結部材を取り付けることで、電磁弁と導水配管部とを容易に接続し締結することができる。
【0016】
また、第6の発明は、第5の発明において、前記締結部材と、前記筐体の内部の少なくとも一部と、に取り付けられ、前記締結部材が落下することを防止する紐をさらに備えたことを特徴とするシャワー装置である。
このシャワー装置によれば、締結部材が筐体の内部に落下し、その締結部材を取り出せなくなることを防止することができる。
【0017】
また、第7の発明は、第6の発明において、前記筐体の内部には、複数の前記締結部材が配置され、前記複数の締結部材の少なくともいずれかは、互いに1つの前記紐により数珠状に連結されたことを特徴とするシャワー装置である。
このシャワー装置によれば、締結部材が筐体の内部に落下し、その締結部材を取り出せなくなることを防止することができる。さらに、複数の締結部材同士が絡み合うことを防止することができる。
【0018】
また、第8の発明は、第5〜第7のいずれか1つの発明において、前記締結部材は、弾性変形することにより前記導水配管部に対して着脱可能な係止部と、前記係止部から突出した取手部と、を有することを特徴とするシャワー装置である。
このシャワー装置によれば、電磁弁や電源部などが密集し、締結部材の係止部に手が届きにくい場合であっても、作業者などは、取手部を引くことにより、その締結部材を容易に取り外すことができる。そのため、電磁弁を点検口からより容易に取り外すことができる。
【0019】
また、第9の発明は、第1の発明において、前記筐体の内部に配置され、前記導水配管部の途上に設けられた機能部品をさらに備え、前記電磁弁および前記機能部品は、前記電磁弁および前記機能部品の上流側と下流側とにおいて前記導水配管部に対してそれぞれ着脱可能に取り付けられ、前記導水配管部の少なくとも一部と一体となった状態で前記点検口から挿脱可能であることを特徴とするシャワー装置である。
このシャワー装置によれば、電磁弁と、流調弁や温度センサなどの機能部品と、を1つのユニットとして点検口から取り出すことができる。そのため、電磁弁や流調弁や温度センサなどをまとめて点検口から取り出すことができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1および図2は、本発明の実施の形態にかかるシャワー装置を備えた浴室を例示する斜視模式図である。
なお、図2は、浴室の壁面の一部を省略し、本実施形態にかかるシャワー装置が設けられた部分の壁の内部を表している。
【0021】
本実施形態にかかるシャワー装置100は、内部に空間を有する筐体101と、使用者が吐水温度を調整可能な温調操作部110と、使用者が吐水流量などを調整可能な操作パネル120と、後述する導水配管部からの湯水を吐水する吐水部130と、を備える。筐体101の内部には、後に詳述する電磁弁などが設けられている。また、温調操作部110と、操作パネル120と、吐水部130と、の少なくとも一部は、図1に表したように浴室の壁面10から前側に露出している。言い換えれば、温調操作部110、操作パネル120、および吐水部130以外のシャワー装置100の部分は、浴室の壁面10の後側(裏側)に設けられている。
【0022】
吐水部130は、壁面10から前側に露出しているため、壁面10の前側に吐水できる。つまり、使用者は、壁面10の前に立ったり座ったりすることにより、吐水部130からの湯水をシャワーとして浴びることができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。そして、使用者は、温調操作部110を操作することにより、吐水部130から吐水される水の温度(吐水温度)を調整できる。また、使用者は、操作パネル120を操作することにより、吐水部130から吐水される水の流量(吐水流量)を調整できる。
【0023】
また、使用者は、操作パネル120を操作することにより、吐水部130からの吐水箇所を制御することもできる。例えば、使用者は、図1および図2に表した上段の吐水部130を止水し、中段および下段の吐水部130から吐水させることができる。これにより、成人男性よりも背の低い子供や女性、あるいは座った状態で使用する使用者などは、上段の吐水部130からの水が不本意に顔にかかることを防止できる。なお、本実施形態では、6つの吐水部130が設けられた場合を例に挙げて説明するが、吐水部130の設置数は、これだけに限定されない。
【0024】
さらに、図1および図2に表した浴室の壁面10には、ヘッドシャワー310と、ハンドシャワー320と、が取り付けられている。ヘッドシャワー310は、図2に表したように、ヘッドシャワー接続部175および導水配管部380を介してシャワー装置100に接続されており、シャワー装置100の前にいる使用者の頭上から吐水できる。一方、ハンドシャワー320は、図2に表したように、ハンドシャワー接続部177および導水配管部390を介してシャワー装置100に接続されている。そして、使用者は、そのハンドシャワー320を手に持ち移動させることにより、任意の場所に吐水させることができる。また、シャワー装置100は、下端部に設けられた給湯接続部171を介して給湯源に接続されており、その給湯源から加熱された湯が供給される。これと同様に、シャワー装置100は、下端部に設けられた給水接続部172を介して給水源に接続されており、その給水源から水が供給される。これらについては、後に詳述する。但し、本発明においては、ヘッドシャワー310と、ハンドシャワー320と、は必ずしも設けられていなくともよい。
【0025】
このように、本実施形態にかかるシャワー装置100では、給湯接続部171、給水接続部172、ヘッドシャワー接続部175、およびハンドシャワー接続部177を現場において接続することにより、設備配管の接続が完了する。すなわち、筐体101内の配管の接続については、出荷前の工場において接続を完了できる。そのため、筐体101内の配管における漏水や接続の間違いなどを出荷前の工場において確認することが可能となり、シャワー装置100の信頼性および施工性を向上させることができる。
【0026】
図3は、本実施形態にかかるシャワー装置の一部を切断して内部を眺めた斜視模式図である。
また、図4は、本実施形態の操作パネルを取り外した状態を表す斜視模式図である。
【0027】
図3に表したように、筐体101の内部には、吐水部130、ヘッドシャワー310、およびハンドシャワー320への水の供給を開閉する電磁弁ユニット140と、電磁弁ユニット140および操作パネル120の少なくともいずれかに電力を供給する電源部190と、が設けられている。電磁弁ユニット140は、操作パネル120の後側(裏側)に設けられている。また、電源部190は、電磁弁ユニット140の側方に設けられている。
【0028】
操作パネル120を取り外すと、図4に表したように、その操作パネル120の後側の筐体101には、点検口(点検用開口)103が設けられている。この点検口103を通して、シャワー装置100の筐体101の内部と外部とは連通している。そして、電磁弁ユニット140は、操作パネル120の後側、すなわち点検口103の後側に設けられているため、例えば作業者などは、筐体101の外部から点検口103を通して、筐体101の内部に設けられた電磁弁ユニット140を見ることができる。
【0029】
そのため、後に詳述するように、その点検口103から電磁弁ユニット140のメンテナンス作業を行うことができる。さらに、その点検口103から電磁弁ユニット140や電源部190を取り外したり、取り付けたりすることができる。したがって、作業者などは、電磁弁ユニット140などを筐体101の外部に取り外した状態で、その電磁弁ユニット140などのメンテナンス作業を行うことができる。
【0030】
このように、操作パネル120は、点検口103の開口を掩蔽(えんぺい)しており、点検口103の蓋としての機能を有する。そのため、点検口103の開口を掩蔽するための蓋やカバーは、設けられていない。そのため、操作パネル120が、点検口103の部分に取り付けられた状態では、点検口103は、シャワー装置100(筐体101)の外部には露出していない。すなわち、操作パネル120が取り付けられた状態では、筐体101の外部から点検口103を見ることはできない。
【0031】
そのため、シャワー装置100には点検口103が設けられているが、その点検口103によりシャワー装置100の意匠性が低下することはない。また、点検口103には、開口を掩蔽するための蓋やカバーなどは取り付けられていないため、その蓋やカバーなどによりシャワー装置100の意匠性が低下することはない。そして、操作パネル120を取り外すことにより、点検口103から電磁弁ユニット140のメンテナンス作業を行うことができるため、浴室の壁面10に点検用の開口を設ける必要はない。そのため、浴室の意匠性が低下することもない。したがって、本実施形態にかかるシャワー装置100は、意匠性を低下させることなく、電磁弁ユニット140などのメンテナンス作業を点検口103から行うことができる。
【0032】
なお、点検口103の周縁部には、突壁105が設けられている。この突壁105は、例えば非吸水性を有する樹脂などから形成されている。そのため、突壁105は、点検口103から筐体101内への漏水を防止できる。また、電磁弁ユニット140の下側には、受け皿151が設けられている。この受け皿151は、電磁弁ユニット140から漏水した場合であっても、その漏水した水を受けて建築側に排水できる。これにより、電磁弁ユニット140からの漏水を確認することができ、また筐体101内に設置された部品などに水がかかることを抑制することができる。
【0033】
次に、本実施形態にかかるシャワー装置100の具体的な構造や効果について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態にかかるシャワー装置を表す斜視模式図である。
なお、図5においては、操作パネル120が有する操作パネルカバー121(図3参照)を省略している。
【0034】
本実施形態にかかるシャワー装置100は、図1および図2に関して前述したように、筐体101を備える。この筐体101は、浴室の壁面10側に設けられた筐体前部101aと、その筐体前部101aの後側に設けられた筐体後部101bと、を有する。そして、筐体前部101aと、筐体後部101bと、の間には、電磁弁ユニット140や電源部190などが内蔵される空間が形成されている。
【0035】
筐体前部101aは、例えば発泡スチロールなどの発泡材から形成されている。そのため、筐体前部101aは、シャワー装置100から発生する音が外部に漏れることを防いだり(防音)、筐体101内の湯水を温度を保持したり(保温)、シャワー装置100に結露が生ずることを防止することができる。一方、筐体後部101bは、金属あるいは樹脂などから形成されている。なお、作業者などは、筐体前部101aを図5に表した矢印Dの方向に取り外すことにより、設備配管を接続した後の通水確認時に、筐体101内の配管における漏水を確認できる。
【0036】
筐体101の左右側方には、取付部材107が付設されている。取付部材107は、例えば板状の金属から形成されており、ねじやボルトなどを通すことができる挿通孔107aを有する。そして、この挿通孔107aからねじやボルトなどの固定部材401を通し、建築壁などにその固定部材401を締結することにより、シャワー装置100を浴室の壁面10の裏側に固定することができる。
【0037】
また、筐体前部101aの外面には、吐水部130が取り付けられる開口部102が設けられている。シャワー装置100を浴室の壁面10の裏側に取り付ける際には、まず、吐水部130を筐体101から取り外す。そして、開口部102の位置を確認できるように、吐水部130の代替部材(図示せず)を開口部102の部分に取り付ける。この状態で、シャワー装置100を浴室の建築壁などに固定する。続いて、吐水部130の代替部材(図示せず)の位置に合わせて、浴室の壁面10に設けられた開口を配置し、その壁面10を固定する。その後、代替部材を取り外し、吐水部130を開口部102を通してシャワー装置100に取り付ける。つまり、筐体前部101aと、吐水部130の前面と、の間には、浴室の壁面10が配置される。
【0038】
これと同様に、操作パネル120および温調操作部110についても、まずは、操作パネル120および温調操作部110がシャワー装置100から取り外された状態で、そのシャワー装置100は、浴室の建築壁などに固定される。そして、浴室の壁面10が配置され固定された後に、操作パネル120および温調操作部110は、シャワー装置100に取り付けられる。そのため、筐体前部101aと、操作パネル120および温調操作部110の前面と、の間には、浴室の壁面10が配置される。なお、筐体前部101aの前面には、複数の凹部が設けられている。この凹部により、壁面10は、筐体前部101aに引っ掛かりやすく、配置されやすい。
【0039】
図6は、本実施形態にかかるシャワー装置を表す平面模式図である。
図7は、本実施形態にかかるシャワー装置の構成を例示するブロック図である。
なお、図6(a)は、本実施形態にかかるシャワー装置を前側から眺めた前面模式図であり、図6(b)は、本実施形態にかかるシャワー装置を後側から眺めた後面模式図である。また、図6(b)においては、筐体後部101bを省略している。
【0040】
図6および図7に表したように、まず、給湯源からの加熱された湯は、給湯接続部171を介して導水配管部181の内部に導かれ、サーモ115に供給される。一方、給水源からの水は、給水接続部172を介して導水配管部182の内部に導かれ、サーモ115に供給される。そして、サーモ115は、使用者からの温調操作部110の操作に基づいて加熱された湯と水とを混合し、その混合水を設定温度に保持する。なお、サーモ115は、温調操作部110に対して機械的に接続されていてもよいし、電気的に接続されていてもよい。
【0041】
続いて、サーモ115からの水は、導水配管部183により導かれ、電磁弁ユニット140に供給される。電磁弁ユニット140は、導水配管部184により導かれる水の温度を検知する温度センサ(機能部品)141と、吐水部130などからの吐水流量を調整する流調弁(機能部品)143と、吐水部130などへの水の給水を開閉する電磁弁144と、を有する。
【0042】
ここで、操作パネル120は、制御基板127(図3参照)を有する。制御基板127は、使用者からの吐水流量や吐水箇所などに関する操作内容に基づいて、電磁弁144および流調弁143に制御信号を送信する。そして、その制御信号に基づいて、電磁弁144および流調弁143は動作する。つまり、制御基板127は、電磁弁144および流調弁143に制御信号を送信することにより、電磁弁144および流調弁143の動作を制御できる。なお、流調弁143の動作は、隣接して設けられたモータ142により行われる。
【0043】
温度センサ141および流調弁143は、導水配管部184の途上に設置されている。また、電磁弁144は、吐水部130、ヘッドシャワー310、およびハンドシャワー320へ水を導く導水配管部185、186、187、188の途上にそれぞれ設置されている。そして、使用者からの操作パネル120の操作に基づいて、導水配管部185の途上に設置された電磁弁144が開放されると、導水配管部185により導かれた水は、ヘッドシャワー接続部175および導水配管部380を介してヘッドシャワー310から吐水される。これと同様にして、導水配管部186の途上に設置された電磁弁144が開放されると、導水配管部186により導かれた水は、上段の吐水部130から吐水される。また、導水配管部187の途上に設置された電磁弁144が開放されると、導水配管部187により導かれた水は、ハンドシャワー接続部177および導水配管部390を介してハンドシャワー320から吐水される。また、導水配管部188の途上に設置された電磁弁144が開放されると、導水配管部188により導かれた水は、中段および下段の吐水部130から吐水される。
【0044】
また、電磁弁ユニット140は、締結部材410により導水配管部183に接続されており、締結部材420により導水配管部185、186、187、188にそれぞれ接続されている。なお、締結部材410、420は、いわゆる「ジョイントクリップ」などと呼ばれる継手である。つまり、電磁弁ユニット140が締結部材420により導水配管部185、186、187、188にそれぞれ接続されることにより、電磁弁144は、導水配管部185、186、187、188の途上にそれぞれ配置される。一方、電磁弁ユニット140が締結部材410により導水配管部183に接続されることにより、導水配管部183と、導水配管部184と、は締結部材410を介して接続される。そして、作業者などは、締結部材410、420を取り外すことにより、電磁弁ユニット140を点検口103から取り外すことができる。次に、この電磁弁ユニット140の取り外しについて、図面を参照しつつ説明する。
【0045】
図8は、本実施形態の操作パネルを拡大して眺めた斜視模式図である。
また、図9は、本実施形態の点検口から電磁弁ユニットを眺めた平面模式図である。
また、図10は、本実施形態の点検口から電磁弁ユニットを取り出す状態を表す斜視模式図である。
なお、図8においては、操作パネル120が有する操作パネルカバー121(図3参照)を省略している。また、図10においては、説明の便宜上、シャワー装置100の上部を切断して表している。
【0046】
操作パネル120が有する操作パネルカバー121(図3参照)を適宜取り外すと、図8に表したように、ねじやボルトなどの固定部材403を前側から見ることができる。操作パネル120は、この固定部材403により固定されている。そのため、この固定部材403を取り外すと、操作パネル120を筐体101から取り外すことができる。そして、操作パネル120を筐体101から外すと、図4に関して前述したように、その操作パネル120の後側の筐体101には、点検口103が設けられている。
【0047】
点検口103をシャワー装置100の前側から平面視すると、図9に表したように、点検口103から電磁弁ユニット140を見ることができる。電磁弁ユニット140は、図6および図7に関して前述したように、締結部材410により導水配管部183に接続されており、締結部材420により導水配管部185、186、187、188にそれぞれ接続されている。
【0048】
そして、導水配管部183、185、186、187、188は、略同一方向に設けられている。より具体的には、本実施形態にかかるシャワー装置100では、導水配管部183、185、186、187、188は、略水平方向に設けられている。そのため、締結部材410、420を取り外し、図9に表した矢印Aの方向に電磁弁ユニット140を移動させることにより、電磁弁ユニット140を導水配管部183、185、186、187、188から取り外すことができる。そして、例えば図10に表したように、電磁弁ユニット140を斜めに向けつつ移動させることにより、点検口103から筐体101の外部に電磁弁ユニット140を取り出すことができる。一方、電磁弁ユニット140を導水配管部183、185、186、187、188に接続する場合には、図9に表した矢印Aとは反対方向に電磁弁ユニット140を移動させることにより取り付けることができる。
【0049】
そのため、本実施形態にかかるシャワー装置100によれば、電磁弁ユニット140を筐体101の外部に取り外した状態で、電磁弁ユニット140が有する電磁弁144などのメンテナンス作業を行うことができる。また、図8に表したように、操作パネル120が取り付けられた状態では、筐体101の外部から点検口103を見ることはできない。つまり、操作パネル120は、点検口103の開口を掩蔽しており、点検口103の蓋としての機能を有する。そのため、シャワー装置100には点検口103が設けられているが、その点検口103によりシャワー装置100の意匠性が低下することはない。したがって、本実施形態にかかるシャワー装置100によれば、意匠性を低下させることなく、電磁弁ユニット140が有する電磁弁144などのメンテナンス作業を点検口103から行うことができる。
【0050】
なお、締結部材420には、図9に表したように、紐430が取り付けられている。紐430の材質は、特に限定されるわけではないが、絶縁性を有する布やゴムであることがより好ましい。そして、導水配管部185、186、187、188と、電磁弁ユニット140と、をそれぞれ締結する締結部材420は、1つの紐430に対して数珠状に連結されている。
【0051】
一方、点検口103の四隅には、連結部材104が設けられている。この連結部材104は、操作パネル120を固定する固定部材403が締結される挿通孔104aを有する。そして、紐430は、点検口103の四隅に設けられた連結部材104の少なくともいずれかに取り付けられている。これによれば、締結部材420が筐体101の内部に落下し、その締結部材420を取り出せなくなることを防止できる。すなわち、例えば、作業者などは、締結部材420を筐体101の内部に落下させた場合であっても、紐430を引くことで、その締結部材420を取り出すことができる。
【0052】
図11は、本実施形態の点検口から筐体の内部を拡大して眺めた斜視模式図である。
また、図12は、本実施形態の締結部材410を表す平面模式図である。
【0053】
図6および図7に関して前述したように、導水配管部183と、電磁弁ユニット140の導水配管部184と、は締結部材410により接続され締結されている。締結部材410は、図12に表したように、導水配管部183、184に対して着脱自在に係合される係止部411と、係止部411から突出した取手部413と、を有する。
【0054】
係止部411は、取手部413に接続された基端部411aと、基端部411aから図12における左右側方に互いに開くように形成された先端部411b、411cと、を有する。係止部411は、弾性を有する金属あるいは樹脂などから形成されている。そのため、先端部411bは、図12に表した矢印Bの方向に弾性変形できる。一方、先端部411cは、図12に表した矢印Cの方向に弾性変形できる。
【0055】
取手部413は、係止部411の先端部411b、411cが弾性変形する方向と略直交する方向に突出している。すなわち、締結部材410が導水配管部183、184に装着された状態において、取手部413は、図11に表したように、点検口103から筐体101の外部に向かう方向に突出している。
【0056】
これによれば、作業者などは、締結部材410の取手部413を掴み、その取手部413を筐体101の外部に向かう方向に引くことにより、締結部材410を容易に取り外すことができる。すなわち、例えば、電磁弁ユニット140や電源部190などが密集し、締結部材410の係止部411に手が届きにくい場合であっても、作業者などは、取手部413を引くことにより、その締結部材410を容易に取り外すことができる。そのため、電磁弁ユニット140を点検口103からより容易に取り外すことができる。なお、導水配管部185、186、187、188と、電磁弁ユニット140と、を接続し締結する締結部材420は、締結部材410と同様に、取手部を有していてもよい。
【0057】
図13は、本実施形態にかかるシャワー装置を後側から眺めた斜視模式図である。
なお、図13においては、説明の便宜上、筐体後部101bを省略している。
【0058】
図13に表したように、電源部190は、電磁弁ユニット140の右側に設置されている。この電源部190は、電磁弁ユニット140および操作パネル120の少なくともいずれかに電力を供給する。そして、電源部190は、電磁弁ユニット140と同様に、メンテナンス作業を必要とされる場合がある。
【0059】
そこで、本実施形態にかかるシャワー装置100では、前述した方法で電磁弁ユニット140を点検口103から取り出すことにより、筐体101の外部から点検口103を通して、電源部190を見ることができる(図10参照)。そして、電源部190を固定する固定部材405を取り外すことにより、その電源部190を点検口103から取り出すことができる。したがって、作業者などは、電源部190を筐体101の外部に取り外した状態で、その電源部190のメンテナンス作業を行うことができる。
【0060】
なお、電源部190を筐体101の内部に固定する場合には、電磁弁ユニット140を筐体101の内部に取り付ける前に、電源部190を点検口103から挿入し固定部材405を適宜締結することにより、電源部190を筐体101の内部に取り付けることができる。
【0061】
図14は、本実施形態の操作パネル近傍を切断して筐体の内部を眺めた斜視模式図である。
また、図15は、本実施形態の操作パネルを後側から眺めた斜視模式図である。
【0062】
操作パネル120の後面(裏面)には、図14および図15に表したように、水密部材123、125が付設されている。水密部材123、125は、例えば、弾性を有するゴムやスポンジなどから形成されるパッキンなどである。そして、水密部材123と、水密部材125と、の間の隙間に突壁105が挿入されるように、操作パネル120は点検口103に対して取り付けられている。
【0063】
操作パネル120の前面、すなわち操作パネルカバー121と、筐体前部101aと、の間には、図14に表したように、浴室の壁面10が配置される。そして、浴室の壁面10と、操作パネル120と、の間においては、水密部材123により水密性が確保されている。さらに、突壁105と、操作パネル120と、の間においては、水密部材125により水密性が確保されている。すなわち、操作パネル120は、水密部材123および水密部材125により点検口103に対して水密的に取り付けられている。
【0064】
これにより、浴室の壁面10と、操作パネル120と、の間の隙間から点検口103を通して筐体101の内部に水が侵入することを防止できる。さらに、突壁105と、操作パネル120と、の間の隙間から点検口103を通して筐体101の内部に水が侵入することを防止できる。
【0065】
また、操作パネル120は、その後部に制御基板127を有する。この制御基板127は、図6および図7に関して前述したように、使用者からの操作パネル120の操作内容に基づいて、電磁弁144および流調弁143に制御信号を送信し、電磁弁144および流調弁143の動作を制御できる。そして、制御基板127の周囲には、制御基板127を覆うように保護部材129が設けられている。
【0066】
保護部材129は、制御基板127が導水配管部185、186、187、188などに接触しないように保護することができる。また、導水配管部185、186、187、188などの表面が結露した場合であっても、保護部材129は、その結露した水が制御基板127に付着することを防止できる。これによれば、保護部材129は、制御基板127が短絡することを防止できる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作パネル120が取り付けられた状態では、筐体101の外部から点検口103を見ることはできない。つまり、操作パネル120は、点検口103の開口を掩蔽しており、点検口103の蓋としての機能を有する。そのため、シャワー装置100および浴室の意匠性を低下させることなく、点検口103を設けることができる。そして、電磁弁ユニット140が有する電磁弁144などのメンテナンス作業を点検口103から行うことができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、筐体101や操作パネル120などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや吐水部130の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0069】
10 壁面、 100 シャワー装置、 101 筐体、 101a 筐体前部、 101b 筐体後部、 102 開口部、 103 点検口、 104 連結部材、 104a 挿通孔、 105 突壁、 107 取付部材、 107a 挿通孔、 110 温調操作部、 115 サーモ、 120 操作パネル、 121 操作パネルカバー、 123、125 水密部材、 127 制御基板、 129 保護部材、 130 吐水部、 140 電磁弁ユニット、 141 温度センサ、 142 モータ、 143 流調弁、 144 電磁弁、 171 給湯接続部、 172 給水接続部、 175 ヘッドシャワー接続部、 177 ハンドシャワー接続部、 181、182、183、184、185、186、187、188 導水配管部、 190 電源部、 310 ヘッドシャワー、 320 ハンドシャワー、 380、390 導水配管部、 401、403、405 固定部材、 410 締結部材、 411 係止部、 411a 基端部、 411b、411c 先端部、 413 取手部、 420 締結部材、 430 紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、湯水を導く導水配管部と、
前記筐体の内部に配置され、前記導水配管部の途上に設けられた電磁弁と、
前記筐体の外面に形成された開口部に配置され、前記導水配管部からの湯水を吐水する吐水部と、
前記電磁弁の動作を操作可能な操作パネルと、
を備え、
前記筐体は、前記電磁弁を点検可能な点検口を外面に有し、
前記操作パネルは、前記点検口を掩蔽するように着脱可能に取り付けられたことを特徴とするシャワー装置。
【請求項2】
前記電磁弁は、前記導水配管部に対して着脱可能に取り付けられ、前記点検口から挿脱可能であることを特徴とする請求項1記載のシャワー装置。
【請求項3】
前記電磁弁および前記操作パネルの少なくともいずれかに対して電力を供給する電源部をさらに備え、
前記電源部は、前記筐体の内部に着脱可能に取り付けられ、前記点検口から挿脱可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のシャワー装置。
【請求項4】
前記操作パネルは、前記点検口に対して水密的に取り付けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のシャワー装置。
【請求項5】
前記電磁弁と、前記導水配管部と、を締結する締結部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のシャワー装置。
【請求項6】
前記締結部材と、前記筐体の内部の少なくとも一部と、に取り付けられ、前記締結部材が落下することを防止する紐をさらに備えたことを特徴とする請求項5記載のシャワー装置。
【請求項7】
前記筐体の内部には、複数の前記締結部材が配置され、
前記複数の締結部材の少なくともいずれかは、互いに1つの前記紐により数珠状に連結されたことを特徴とする請求項6記載のシャワー装置。
【請求項8】
前記締結部材は、弾性変形することにより前記導水配管部に対して着脱可能な係止部と、前記係止部から突出した取手部と、を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載のシャワー装置。
【請求項9】
前記筐体の内部に配置され、前記導水配管部の途上に設けられた機能部品をさらに備え、
前記電磁弁および前記機能部品は、前記電磁弁および前記機能部品の上流側と下流側とにおいて前記導水配管部に対してそれぞれ着脱可能に取り付けられ、前記導水配管部の少なくとも一部と一体となった状態で前記点検口から挿脱可能であることを特徴とする請求項1記載のシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−172506(P2010−172506A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18660(P2009−18660)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】