説明

シャンプーボール装置

【課題】 従来のように温度調節摘み、止水摘みおよびシャワーヘッドが配置されたものにあっては、被施術者の後方から洗髪を行う場合に温度調節摘みや止水摘みおよびシャワーヘッドが施術者の手や肘に干渉して洗髪の妨げになり、従って、被施術者によって行う側面方向および後方からの洗髪とを選択して行うことができないといった問題があった。
【解決手段】 シャンプーボール1における被施術者の首後ろ部を載せる凹部11と反対側の縁の略半周にわたる内周面に段部12を形成し、この段部の両端に温度調節摘み3と止水摘み4を取付け、また、中央部にシャワーヘッド2を引き出し可能に配置すると共に前記温度調節摘み、止水摘みおよびシャワーヘッドの上面がシャンプーボールの縁より上方に突出しないようにしたシャンプーボール装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプーボールにおける温度調節摘みと止水摘みおよびシャワーヘッドの配置に工夫を施して、施術者が被施術者の洗髪を行う際に洗髪作業が行い易いようにしたシャンプーボール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるシャンプーボール装置としては、例えば、本出願人会社が出願した特開2002−282045に開示されている発明がある。この発明におけるシャンプーボールは壁面に固定され被施術者の洗髪は側面方向から行うことを前提としているものであって、温度調節摘みと止水摘みおよびシャワーヘッドの位置関係は、前記側面方向からの洗髪が行い易いようにシャンプーボールにおける縁の中央に温度調節摘みと止水摘みを近接して配置し、シャワーヘッドは前記温度調節摘みと止水摘みより離れた位置に配置されていた。
【特許文献1】特開2002−282045
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年になって移動式のシャンプーボールや理美容椅子の背凭れ部にシャンプーボールが一体に取付けたものが開発されている。これは従来と同様に被施術者の側面方向からの洗髪と、被施術者の頭部後方からの洗髪とが行えるものである。ところで、前記した従来例のような温度調節摘み、止水摘みおよびシャワーヘッドが配置されたものにあっては、被施術者の後方から洗髪を行う場合に温度調節摘みや止水摘みおよびシャワーヘッドが施術者の手や肘に干渉して洗髪の妨げになり、従って、被施術者によって行う側面方向および後方からの洗髪とを選択して行うことができないといった問題があった。
【0004】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、側面側からの洗髪と後方からの洗髪の両作業において温度調節摘み、止水摘みおよびシャワーヘッドが邪魔になることがなく洗髪作業が行い易く、かつ、洗髪時に施術者が濡れた手で前記各摘みを操作してもシャンプーボールの外側に温水が滴り落ちることがないシャンプーボール装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のシャンプーボール装置は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、シャンプーボールにおける被施術者の首後ろ部を載せる凹部と反対側の縁の略半周にわたる内周面に段部を形成し、この段部の両端に温度調節摘みと止水摘みを取付け、また、中央部にシャワーヘッドを引き出し可能に配置すると共に前記温度調節摘み、止水摘みおよびシャワーヘッドの上面がシャンプーボールの縁より上方に突出しないようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の手段は、前記請求項1において、前記温度調節摘みおよび止水摘みは前記シャンプーボールの内側に向けて傾斜して取付けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の手段は、前記した請求項1または2において、前記シャンプーボールから引き出し自在に配置されているシャワーヘッドのホースは、シャンプーボールの下部に取付けられているローラーを有する案内部材で案内され、該案内されているホースの給湯器側においてスプリングによって引っ張られシャワーヘッドをシャンプーボールに戻した状態でホースが弛まないようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項4の手段は、前記した請求項3において、前記案内部材で案内されているホースから滴り落ちる温水を受ける水受けパットが着脱自在に取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は前記したように、シャンプーボールにおける被施術者の首後ろ部を載せる凹部と反対側の縁の略半周にわたる内周面に段部を形成し、この段部の両端に温度調節摘みと止水摘みを取付けると共に前記温度調節摘み、止水摘みおよびシャワーヘッドの上面がシャンプーボールの縁より上方に突出しないようにしたので、側面側からの洗髪と後方からの洗髪の両作業において温度調節摘み、止水摘みおよびシャワーヘッドが邪魔になることがなく洗髪作業が行い易く、かつ、洗髪時に施術者が濡れた手で前記各摘みを操作してもシャンプーボールの外側に温水が滴り落ちることがない。
【0010】
また、温度調節摘みおよび止水摘みは前記シャンプーボールの内側に向けて傾斜して取付けることにより、あらゆる方向からの操作が行い易く作業性の向上を図ることができる。
【0011】
さらに、ホースを引き出す時および収納時においてホースが案内部材で支持されているので、シャワーヘッドの引き出しおよびスプリングによる引っ張り時の負荷が小さくなってスムーズなシャワーヘッドの引き出しと収納が行え、また、ホースの中間部がスプリングによって引っ張られているので、シャワーヘッドをシャンプーボールへ収納した時にホースが弛んで床面に着いたりすることがないので床面を濡らすこともなく、かつ、ホースの弛みによる美観が損なわれることがない。
【0012】
また、ホースから滴り落ちる温水を受ける水受けパットが着脱自在に取付けられているので、ホースからの水滴が床面に落ちて床面を汚すことがないと共に施術者が水で濡れることがなく、かつ、水受けを本体側から取り外すことが可能なので溜まった水の処分を簡単に行うことができる等の効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、シャンプーボールにおける縁の略半周にわたる内周面に段部を形成し、この段部の両端に温度調節摘みと止水摘みを取付け、中央部にシャワーヘッド配置すると共に前記温度調節摘み、止水摘みおよびシャワーヘッドの上面がシャンプーボールの縁より上方に突出しないようにした。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明のシャンプーボール装置の一実施例を図面と共に説明する。
図1〜図3において、1はシャンプーボールにして、該シャンプーボール1における被施術者の首後ろ部を載せる凹部11と反対側の縁の略半周にわたる内周面に段部12が形成されている。2は前記段部12の中央部にホースが引き出し自在に取付けられたシャワーヘッド、3は前記段部11の一方の端部に前記シャワーヘッド2に供給する湯の温度調節するための温度調節摘み、4は前記段部11の他方の端部に前記シャワーヘッド2に湯を供給するための止水摘みにして、該止水摘み4と前記温度調節摘み3とはシャンプーボール1の左右位置に対向して配置されている。なお、前記段部12は温度調節摘み3や止水摘み4が取付けられる部分は図3に示すように後述する頭部支持装置5とは反対側の縁に向かって傾いている。従って、温度調節摘み3や止水摘み4も傾くので何れの方向からの施術者による操作が行い易くなっている。
【0015】
また、前記シャワーヘッド2、温度調節摘み3および止水摘み4の上面はシャンプーボール1の縁より上方には突出しないような深さに前記段部12は形成されており、かつ、温度調節摘み3および止水摘み4は前記シャンプーボール1の内側に向けて傾斜して取付けられている。なお、13は排水口である。
【0016】
このようにシャンプーボール1に取付けられたシャワーヘッド2、温度調節摘み3および止水摘み4は側面側からの洗髪と後方からの洗髪の両作業において温度調節摘み3、止水摘み4およびシャワーヘッド2が邪魔になることがなく洗髪作業が行い易く、かつ、洗髪時に施術者が濡れた手で前記各摘みを操作してもシャンプーボールの外側に温水が滴り落ちることがないといった効果が得られ、また、温度調節摘み3および止水摘み4は前記シャンプーボール1の内側に向けて傾斜して取付けることにより、あらゆる方向からの操作が行い易く作業性の向上を図ることができるという効果も得られる。
【0017】
次に、図4〜図6のシャワーヘッド2のホース21が垂れ下がらないように収容する構造について説明する。
ホース21の一端はシャワーヘッド2の基部に接続され、該基部はシャンプーボール1における段部12に設けられたヘッド受けに挿入することで固定されるようになっている(図3参照)。また、ホース21の他端は中間部に余裕を持った状態で止水摘み4が取付けられている止水栓41に接続されている。
【0018】
シャンプーボール1は支持部材14によって固定されており、この支持部材14にはホース21を案内する第1、第2の案内部材15,16が取付けられている。
第1のホース案内部材15は水平方向に配置されると共に水平方向の2つのローラー15aとホース21の振れを防止するための2つのローラー15bとが取付けられ、ホース21はローラー15a,15bとの間に案内されている。
【0019】
また、第2の案内部材16はL状に形成されており、垂直方向の部材には垂直方向の2つのローラー16aとホース21の振れを防止する1つのローラー16bとが取付けられ、さらに、水平方向の部材には1つのローラー16c(図6を参照)が前記ローラー16aの1つのローラーと水平状態となるように取付けられている。そして、ホース21は第1の案内部材15のローラー間と第2の案内部材16のローラー間に案内されている。
【0020】
17は一端が前記支持部材14から垂下されている支持片14aに取付けられ、他端が止水栓41と前記第2の案内部材16の垂直状態で配置されたローラー16aの間から止水栓41側に位置するホース21の部分に摺動自在に取付けられたスプリングである。18はシャンプーボール1の下部に配置されている排水口12、ホース21、第1、第2の案内部材等が外部から見えないよう覆うカバーにして、少なくともホース21の下側に位置する部分には開口部18aが形成されており、この開口部18aにはホース21から滴り落ちる水を溜めるための水受けパット19が引き出し自在に取付けられている。
【0021】
洗髪作業を行っていない初期状態にあっては、ホース21はスプリング17によって引っ張られ弛んだ状態にあるが、この時、弛んでいる部分のホース21は第2の案内部材16における水平状態のローラー16a,16cとの上に載置され、また、第1の案内部材15における水平状態のローラー15aの一方(図4における右側のローラー)と接した状態となっている。
【0022】
この初期状態においてヘッド受けに収容されている状態のシャワーヘッド2を持ってスプリング17のバネ力に抗して引き出すと、第1の案内部材15における水平状態のローラー15aの左側ローラーと、第2の案内部材16における垂直状態のローラー16aの上側ローラーとにホース21は当接する(図5と図6を参照)ので、引っ張られるホース21は当接しているローラーが回転することよって摩擦抵抗が小さくなり、従ってホース21を容易に引き上げることが可能となる。しかも、ローラー15b、16bによってホース21が振れることがないので、よりホース21の引き出しがスムーズに行える。
【0023】
そして、引き出したホース21を戻すには、ホース21を引き出していた力を緩めることにより、スプリング17のバネ力によって引き戻されるが、この時、ホース21は図4に示す右側のローラー15aと下側のローラー16aとに当接し、かつ、ローラー15bと16bとによって振れないように案内されるので、ホース21の戻しりもスムーズに行われる。なお、ホース21の引き出しおよび収容時においてホース21に付着し落下する水滴は水受けパット19に溜まるので床面を汚すのを防止でき、かつ、溜まった水は水受けパット19をカバー18より引き出すことで排水できる。
【0024】
次に、シャンプーボール1の凹部11に取付けられている頭部支持装置5について説明する。この頭部支持装置5は被施術者が仰向けになって洗髪を受けると時に、被施術者の後頭部と首後ろ部を支持して洗髪時に安楽な姿勢で行えるようにするための装置である。以下、図7〜図12と共に詳細に説明する。
【0025】
前記シャンプーボール1に形成された凹部11に固定されるコの字状に形成された固定部材51と、該固定部材51の下部側における両側部において回動自在に軸支されたコの字状に形成された回動部材52と、該回動部材52における水平部の中央寄りの2ヵ所に上方に突出して一体的に形成された頭部支持部材53と、前記回転部材52の垂直部の上端両側から突出している軸52aに対して上部において回動自在に軸支された頸部支持部材54とから構成されている。
【0026】
前記回転部材52が固定部材51に当接して図6の側面視において反時計方向に所定の角度以上回転するのを防止するためのゴム等の弾性体によるストッパ突起51bが前記固定部材51に取付けられ、また、回転部材52が時計方向に所定角度以上回転するのを防止するための回転部材52の垂直部と当接する爪51cが固定部材51と一体的に形成されている。
【0027】
なお、前記頭部支持部材53の被施術者の頭部と当接する部分および前記頸部支持部材54の被施術者の頸部と当接する部分には、ジェルや発泡材等のクッション材をウレタン等ので覆った頭部受け53a、頸部受け54aが取付けられている。そして、頭部受け53aは頭部支持部材53に対して着脱自在に、また、頸部受け54aは頸部支持部材54に対して該頸部支持部材54を表皮で覆った状態で表皮の裏面どうしを適宜手段で一体化することで取付けられている。従って、頭部受け53aおよび頸部受け54aが汚損したり破損した場合には交換が可能なようになっている。
【0028】
このように構成した頭部支持装置5にあっては、椅子の背凭れを伏倒して被施術者の頭部を頭部支持装置5に位置させると、被施術者の後頭部は頭部支持部材53に当接し、また、被施術者の首後ろ部は頸部支持部材54に載置される。この時、被施術者の後頭部と首後ろ部との高低差あるいは形状における個人差があった場合には、頭部支持部材53と頸部支持部材54とが独立して回動するので、前記高低差や個人差があっても頭部支持部材53は後頭部にフィットし、また、頸部支持部材54は首後ろ部にフィットした状態となるので、被施術者が不快感や苦痛を感じることなく快適な洗髪姿勢で洗髪を受けることが可能となる。
【0029】
また、頭部支持部材53は被施術者における後頭部の中央部分の一部を支持しているので、シャワーヘッド2よりの温水を後頭部の殆ど全体に当てることができ、かつ、施術者の手も届くので洗髪作業を容易に行うことができる。さらに、被施術者の後頭部や首後ろ部に当接する頭部支持部材53や頸部支持部材54の当接部分にクッション材53a,54aを設けることで、より被施術者は局部的な苦痛を感じることがないものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るシャンプーボール装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】同上のA−A線断面図である。
【図4】シャンプーボール下部のホース収容部分を示しホースが収容されている状態の側面図である。
【図5】同上のホースが引き出された状態の側面図である。
【図6】同上の背面図である。
【図7】頭部支持装置の初期状態を示す斜視図である。
【図8】同上の短手方向の中央断面図である。
【図9】図7において頭部支持部材のみが回動した状態の斜視図である。
【図10】同上の短手方向の中央断面図である。
【図11】図9において頸部支持部材も回動した状態の斜視図である。
【図12】同上の短手方向の中央断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 シャンプーボール
11 凹部
12 段部
15,16 案内部材
17 スプリング
19 水受けパット
2 シャワーヘッド
21 ホース
3 温度調節摘み
4 止水摘み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンプーボールにおける被施術者の首後ろ部を載せる凹部と反対側の縁の略半周にわたる内周面に段部を形成し、この段部の両端に温度調節摘みと止水摘みを取付け、また、中央部にシャワーヘッドを引き出し可能に配置すると共に前記温度調節摘み、止水摘みおよびシャワーヘッドの上面がシャンプーボールの縁より上方に突出しないようにしたことを特徴とするシャンプーボール装置。
【請求項2】
前記温度調節摘みおよび止水摘みは前記シャンプーボールの内側に向けて傾斜して取付けられていることを特徴とする請求項1記載のシャンプーボール装置。
【請求項3】
前記シャンプーボールから引き出し自在に配置されているシャワーヘッドのホースは、シャンプーボールの下部に取付けられているローラーを有する案内部材に案内され、該案内されているホースの給湯器側においてスプリングによって引っ張られシャワーヘッドをシャンプーボールに戻した状態でホースが弛まないようにしたことを特徴とする請求項1または2記載のシャンプーボール装置。
【請求項4】
前記ローラーでガイドされているホースから滴り落ちる温水を受ける水受けパットが着脱自在に取付けられていることを特徴とする請求項3記載のシャンプーボール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−159674(P2007−159674A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357013(P2005−357013)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)