説明

シャンプー組成物

【課題】 本発明は、原液においてハンドリング性や低温安定性が良く、また水で希釈した際には、粘度上昇により使用性が良く、泡立ちや泡質に優れ、かつ、洗髪時やすすぎ時の指通り性が良く、乾燥後にきしまず滑らかで、まとまり性のある毛髪に仕上げる、水で希釈して使用することが可能なシャンプー組成物を提供する。
【解決手段】 (A)アルキルエーテルサルフェート型界面活性剤を7〜15質量%、(B)アルカノールアミド型界面活性剤を8〜18質量%、(C)アミドベタイン型界面活性剤またはアルキルベタイン型界面活性剤を2〜7質量%、(D)単糖類または二糖類を0.3〜5質量%、(E)カチオン性ポリマー0.1〜1.5質量%を含有し、(A)および(B)の含有量が(B)≧(A)であることを特徴とするシャンプー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用のシャンプー組成物に関するものであり、さらに詳しくは原液においてハンドリング性や低温安定性が良く、また水で希釈した際には、粘度上昇により使用性が良く、泡立ちや泡質に優れ、かつ、洗髪時やすすぎ時の指通り性が良く、乾燥後にきしまず滑らかで、まとまり性のある毛髪に仕上げる、水で希釈して使用することが可能なシャンプー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、旅行や出張による外泊の機会が増加することに伴い、携帯型のシャンプーが数多く市販されている。通常、このようなシャンプーは内容液を50〜100ml程度の容器に小分けされたものである。しかしながら、嵩張らず、携帯に適した容量としているため、長期の外泊や大人数での使用など使用回数または頻度の高い場面においては十分な使用量をまかなうことができず、満足のいくものではなかった。
一方、消費者の環境に対する意識の高まりにより、シャンプーを始めるとする洗浄剤においても、省資源や環境への負荷の小さなものが求められている。例えば、物流時における輸送エネルギーの効率化や排出ガスの低減、また一回当たりの使用量の低減や包装容器などの廃棄物の低減などを可能とする洗浄剤である。
そのような背景から、シャンプーにおける主洗浄成分であるアニオン性界面活性剤や両性界面活性剤を高濃度に配合した濃縮型のシャンプー組成物が提案されている。(特許文献1)このような洗浄剤組成物によれば、輸送コストの削減や一回当たりの使用量の低減、また包装容器のコンパクト化が期待される。
【0003】
一般的に、濃縮型のシャンプー組成物は、原液での使用、あるいは水で希釈して使用される。原液で使用する場合には、少量使用でも十分な泡立ちや泡質だけでなく、良好なハンドリング性、洗髪時やすすぎ時の良好な感触が求められる。また水で希釈して使用する場合には、泡立ちや泡質が損なわれず、また容器からの液ダレをおこさない等の性能が必要となる。しかし、界面活性剤を高濃度に配合すると高粘度の高次会合構造を形成するため流動性が低下し、ハンドリング性が悪くなってしまう。また水で希釈すると、一回使用当たりの界面活性剤の有効分が少なくなるため、十分な泡立ちや泡質が得られないことがある。
このようなことから、主洗浄成分として、高い起泡性と洗浄力を有するアルキルエーテルサルフェート型界面活性剤を配合した洗浄剤が各種提案されている。例えば、特許文献2では、アルキルエーテルサルフェート型界面活性剤を含むアニオン性界面活性剤と両性界面活性剤、高分子系増粘剤を組み合わせた皮膚毛髪用濃縮型洗浄剤が提案されている。しかしながら、この洗浄剤では、泡立ちや泡質が不十分な上、希釈した時の粘度が低いため、使用性において満足のいくものではなかった。また、特許文献3ではアルキルエーテルサルフェート型界面活性剤と両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を組み合わせた高濃度界面活性剤組成物が提案されているが、高粘度であるため原液におけるハンドリング性や低温安定性が悪く、また毛髪に使用した場合には洗髪時およびすすぎ時の指通り性において満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−316488号公報
【特許文献2】特開2001−316227号公報
【特許文献3】特表2010−511761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、原液においてハンドリング性や低温安定性が良く、また水で希釈した際には、粘度上昇により使用性が良く、泡立ちや泡質に優れ、かつ、洗髪時やすすぎ時の指通り性が良く、乾燥後にきしまず滑らかで、まとまり性のある毛髪に仕上げる、水で希釈して使用することが可能なシャンプー組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、(A)アルキルエーテルサルフェート型界面活性剤、(B)アルカノールアミド型界面活性剤、(C)アミドベタイン型界面活性剤またはアルキルベタイン型界面活性剤、(D)単糖類または二糖類、(E)カチオン性ポリマーを特定の比率で組み合わせることで、上記課題を解決できるシャンプー組成物が得られることを見出し、完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)式1で示されるアルキルエーテルサルフェート型界面活性剤を7〜15質量%、(B)式2で示されるアルカノールアミド型界面活性剤を8〜18質量%、(C)式3で示されるアミドベタイン型界面活性剤または式4で示されるアルキルベタイン型界面活性剤を2〜7質量%、(D)単糖類または二糖類を0.3〜5質量%、(E)カチオン性ポリマーを0.1〜1.5質量%を含有ることを特徴とするシャンプー組成物である。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基、またはアルケニル基、Mはアルカリ金属、または有機アミン、アンモニウム、nは1〜8の整数を表す。)
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基、Rは水素原子、または−COHを表す。)
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは2〜4の整数を表す。)
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基、またはアルケニル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【発明の効果】
【0016】
本発明のシャンプー組成物によれば、原液においてハンドリング性や低温安定性が良く、水で希釈した際に、適度な粘度を有するため使用性が良く、泡立ちや泡質に優れ、かつ、洗髪時やすすぎ時の指通り性が良く、乾燥後にきしまず滑らかで、まとまり性のある毛髪に仕上げるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明のシャンプー組成物は、下記(A)成分〜(E)成分を含有する。
本発明に用いられる(A)成分は、アルキルエーテルサルフェート型の陰イオン性界面活性剤であり、式1で示される。炭素数8〜22の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基に、1分子当たり1〜8モルのエチレンオキシドを付加し硫酸化した陰イオン性の界面活性剤である。式中のRは炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基であり、好ましくは炭素数10〜20、より好ましくは炭素数12〜18の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基である。炭素数が8未満の場合は起泡性および泡質が悪くなり、22を越えると保存安定性が悪くなる。Mはアルカリ金属、または有機アミン、アンモニウムである。アルカリ金属としては、ナトリウムやカリウム等が挙げられる。有機アミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルギニン等が挙げられる。好ましくはアルカリ金属である。nはエチレンオキサイドの付加モル数であって、1〜8の整数であり、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3の整数である。具体的な市販品として、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(三洋化成工業株式会社製の「シノリンSPE−1200K」)、ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(日油株式会社製の「パーソフトEF」)等がある。
【0018】
本発明に用いられる(B)成分はアルカノールアミド型の非イオン性界面活性剤であり、式2で示される。式中のRCOは炭素数8〜20のアシル基であり、好ましくは炭素数10〜18、より好ましくは炭素数12〜18のアシル基である。また、Rは水素原子、または−COHを表す。なお、式2で示されるアルカノールアミド型界面活性剤には、一般的に1:1型と1:2型があり、泡質や安定性の点から1:1型が好ましい。具体的な市販品として、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(日油株式会社製の「スタホームMF」)、ラウリン酸ジエタノールアミド(日油株式会社製の「スタホームDL」)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(日油株式会社製の「スタホームDF−2」)等がある。なお、式2で示されるアルカノールアミド型界面活性剤は塩基性であるため、使用感の点において、本発明の洗浄剤組成物はクエン酸などでpHを弱酸性から中性に調整することが好ましい。pHの調整には、クエン酸、グルタミン酸や乳酸などの有機酸、塩酸やリン酸などの無機酸を用いることができる。
【0019】
本発明に用いられる(C)成分はアミドベタイン型またはアルキルベタイン型の両性界面活性剤であり、式3または式4で示される。アミドベタイン型界面活性剤は、前記式3において、RCOは炭素数8〜20のアシル基であり、好ましくは炭素数10〜18、より好ましくは炭素数12〜18のアシル基である。炭素数が8未満の場合は起泡性が悪くなり、炭素数が20を超える場合は安定性が悪くなる。式中のR、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。nは2〜4の整数であり、好ましくは3である。具体的な市販品として、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(日油株式会社製の「ニッサンアノンBDL−SF」)やヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(日油株式会社製の「ニッサンアノンBDF−R」)等がある。
【0020】
また、式4において、Rは炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、好ましくは炭素数10〜18、より好ましくは炭素数12〜18の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基である。炭素数が8未満の場合は起泡性が悪くなり、炭素数が20を超える場合は安定性が悪くなる。式中のR、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。具体的な市販品として、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(日油株式会社製の「ニッサンアノンBL」)等がある。
【0021】
本発明に用いられる(D)成分の糖類は、単糖類、または単糖2分子が脱水縮合し、グリコシド結合を形成して1分子となった二糖類である。具体的には、単糖類としてはグルコース、キシロース、ガラクトース、フルクトース等が挙げられ、二糖類としてはスクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、サッカロース等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる(E)成分は、第4級窒素含有基を有するカチオン性を示す高分子化合物であり、例えばカチオン化セルロース、カチオン化グァーガム、アクリル系カチオン化ポリマー(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウムアクリルアミド共重合体)等が挙げられる。これらの内、すすぎ時の指通りの点でカチオン化セルロースが好ましい。カチオン性ポリマーとして具体的には、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、グァーガムヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル等が挙げられる。
【0023】
本発明において、上記の(A)アルキルエーテルサルフェート型界面活性剤の含有量は、組成物中に7〜15質量%であり、好ましくは8〜13質量%であり、さらに好ましくは8〜11質量%である。7質量%未満では希釈時の粘度、泡立ちや泡質、洗髪時およびすすぎ時の指通り性が不十分であり、15質量%を超えると洗髪時およびすすぎ時の指通り性や乾燥後のまとまり性が悪くなる。
【0024】
本発明において、上記の(B)アルカノールアミド型界面活性剤の含有量は、組成物中に8〜18質量%であり、好ましくは9〜15質量%であり、さらに好ましくは10〜14質量%である。8質量%未満では希釈時の粘度、泡立ちや泡質が不十分であり、18質量%を超えると原液時のハンドリング性や低温安定性が悪く、また泡立ちが不十分であり、洗髪時およびすすぎ時の指通り性や、乾燥後のまとまり性が悪くなる。
【0025】
本発明において、上記の(C)アミドベタイン型界面活性剤またはアルキルベタイン型界面活性剤の含有量は、組成物中に2〜7質量%であり、好ましくは3〜6質量%であり、さらに好ましくは3〜5質量%である。2質量%未満では泡立ちや泡質が不十分であり、7質量%を超えると乾燥後のまとまり性が悪くなる。
【0026】
本発明において、(D)単糖類および二糖類の含有量は、組成物中に0.3〜5質量%であり、好ましくは0.5〜4質量%であり、さらに好ましくは0.8〜3質量%である。0.3質量%未満では泡質が不十分であり、5質量%を超えると低温安定性や、洗髪時およびすすぎ時の指通り性が悪くなる。
【0027】
本発明において、(E)カチオン性ポリマーの含有量は、組成物中に0.1〜1.5質量%であり、好ましくは0.2〜1.3質量%であり、さらに好ましくは0.3〜1.2質量%である。0.1質量%未満では洗髪時およびすすぎ時の指通り性や乾燥後のまとまり性が悪くなり、1.5質量%を超えると泡立ちが悪くなる。
【0028】
本発明において、(A)および(B)の含有量が(B)≧(A)である。(A)の含有量が(B)の含有量を超えていると、水で希釈した際に適度な粘度が得られず、泡質の点において不十分である。
【0029】
本発明のシャンプー組成物は、原液で使用した場合少量でも十分な性能が得られ、2〜5倍の水で希釈して使用しても良い。5倍を超えると適度な粘度が得られ難く、また泡立ちや泡質、洗髪時およびすすぎ時の指通り性において不十分である。
【実施例】
【0030】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1〜6および比較例1〜8〕
シャンプー組成物として表1に示すシャンプーを調製した後、水で希釈したものを、下記の方法により評価を行った。その結果を表1に示す。なお、下記表記中の%とあるのは、質量%を意味する。各シャンプー組成物は、クエン酸によりpHを5.0に調整した。
【0031】
(1)低温安定性
各シャンプー組成物を5℃の恒温槽に入れ1週間静置する。静置後、目視にて下記の基準で評価した。◎または○であれば、低温安定性が良好であると判断する。
◎:組成物が完全に透明である。
○:組成物がほぼ透明、あるいはやや白濁している。
×:組成物が白濁、固化したり、沈殿を生じている。
【0032】
(2)ハンドリング性(原液時の粘度)
各シャンプー組成物を原液時の粘度を測定し、下記の基準で評価した。粘度は、B型粘度計を用いて測定した。○であれば、ハンドリング性が良好であると判断する。
○:粘度が100mPa・s以上3000mPa・s未満のとき
×:粘度が100mPa・s未満、あるいは3000mPa・s以上のとき
【0033】
(3)4倍希釈時の粘度
各シャンプー組成物を4倍量の水で希釈した時の粘度を測定し、下記の基準で評価した。粘度は、B型粘度計を用いて測定した。○であれば、水で希釈した際の使用性が良好であると判断する。
○:粘度が2000mPa・s以上6000mPa・s未満のとき
×:粘度が2000mPa・s未満、あるいは6000mPa・s以上のとき
【0034】
(4)泡立ち
20人の男女(24〜47才)をパネラーとして、4倍に希釈した各シャンプー組成物を使用してもらい、泡立ちについて下記の基準で判定してもらった。
2点:泡立ちが良いと感じた場合。
1点:やや泡立ちが悪いと感じた場合。
0点:明らかに泡立ちが悪いと感じた場合。
20人の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたモニターがいない:泡立ちが良好なシャンプー組成物である。
○:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:泡立ちがおおむね良好なシャンプー組成物である。
△:合計点が20点以上30点未満:泡立ちがやや良好なシャンプー組成物である。
×:合計点が20点未満:泡立ちが悪いシャンプー組成物である。
【0035】
(5)泡質
20人の男女(24〜47才)をパネラーとして、4倍に希釈した各洗浄剤組成物を使用してもらい、泡質について下記の基準で判定してもらった。
2点:泡質が良いと感じた場合。
1点:やや泡質が悪いと感じた場合。
0点:明らかに泡質が悪いと感じた場合。
20人の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたモニターがいない:泡質が良好なシャンプー組成物である。
○:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:泡質がおおむね良好なシャンプー組成物である。
△:合計点が20点以上30点未満:泡質がやや良好なシャンプー組成物である。
×:合計点が20点未満:泡質が悪いシャンプー組成物である。
【0036】
(6)洗髪時およびすすぎ時の指通り性
20人の男女(24〜47才)をパネラーとして、4倍に希釈した各シャンプー組成物で洗髪してもらい、洗髪時およびすすぎ時の感触について下記の基準で判定してもらった。
2点:指通りがスムーズで髪がひっかからないと感じた場合。
1点:髪ややや指にひっかかると感じた場合。
0点:指通りが非常に悪いと感じた場合。
20人の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたモニターがいない:洗髪時およびすすぎ時の指通り性が良好なシャンプー組成物である。
○:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:洗髪時およびすすぎ時の指通り性がおおむね良好なシャンプー組成物である。
△:合計点が20点以上30点未満:洗髪時およびすすぎ時の指通り性がやや良好なシャンプー組成物である。
×:合計点が20点未満:洗髪時およびすすぎ時の指通り性が悪いシャンプー組成物である。
【0037】
(7)乾燥後のまとまり性
20人の男女(24〜47才)をパネラーとして、4倍に希釈した各シャンプー組成物で洗髪してもらい、乾燥した後の髪のまとまり性について下記の基準で判定してもらった。
2点:まとまりに優れていると感じた場合。
1点:まとまりがやや得られると感じた場合。
0点:まとまりが得られないと感じた場合。
20人の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたモニターがいない:乾燥後のまとまり性が良好なシャンプー組成物である。
○:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:乾燥後のまとまり性がおおむね良好なシャンプー組成物である。
△:合計点が20点以上30点未満:乾燥後のまとまり性がやや良好なシャンプー組成物である。
×:合計点が20点未満:乾燥後のまとまり性が悪いシャンプー組成物である。
【0038】
【表1】

【0039】
※1 「シノリンSPE−1200K」(新日本理化株式会社製) 表中の数字は「シノリンSPE−1200K」に含まれる成分A−1の含有量を表す。(シノリンSPE−1200K中約25%)
〔A−1は式1において、R:C12、C14のアルキル基、 M:ナトリウム、 n=2〕
※2 「パーソフトEF」(日油株式会社製) 表中の数字は「パーソフトEF」に含まれる成分A−2の含有量を表す。(パーソフトEF中約25%)
〔A−2は式1において、R:C12、C14のアルキル基、 M:ナトリウム、 n=3〕
※3 「パーソフトEFT」(日油株式会社製) 表中の数字は「パーソフトEFT」に含まれる成分A−3の含有量を表す。(パーソフトEFT中約36%)
〔A−3は式1において、R:ラウリン酸残基、 M:トリエタノールアミン、 n=3〕
※4 「スタホームDL」(日油株式会社製)
〔A−4は式2において、RCO:C12、C14のアルキル基、 R:−COH〕
【0040】
※5 「ニッサンアノンBDF−R」(日油株式会社製) 表中の数字は「ニッサンアノンBDF−R」に含まれる成分C−1の含有量を表す。(ニッサンアノンBDF−R中約30%)
〔A−5は式3において、RCO:ヤシ油脂肪酸残基、 R:メチル基、 R:メチル基、 n=3〕
※6 「ニッサンアノンBL」(日油株式会社製) 表中の数字は「ニッサンアノンBL」に含まれる成分C−2の含有量を表す。(ニッサンアノンBL中約35%)
〔A−6は式4において、R:C12のアルキル基、 R:メチル基、 R:メチル基〕
※7 塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、「カチナールLC−100」(東邦化学工業株式会社製)
※8 アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、「マーコート3331」(ナルコ・ジャパン株式会社製)
【0041】
実施例1〜5より、本発明のシャンプー組成物はいずれも原液においてハンドリング性や低温安定性が良く、また水で希釈した際には、粘度上昇により使用性が良く、泡立ちや泡質に優れ、かつ、洗髪時やすすぎ時の指通り性が良く、乾燥後にきしまず滑らかで、まとまり性のあるといった効果が得られていた。一方、比較例1〜8では十分な性能が得られていない。
【0042】
比較例1では、(D)成分が配合されていないことから、泡質が不十分であった。比較例2では、(B)成分の配合量が本発明規定の下限値を下回っており、かつ、(A)成分の含有量が(B)成分の含有量を超えていることから、4倍希釈時の粘度が低く、泡立ちや泡質が不十分であった。比較例3では、(B)成分の配合量が本発明規定の上限値を超えていることから、原液時のハンドリング性や低温安定性が悪く、また泡立ちや洗髪時およびすすぎ時の指通り性、乾燥後のまとまり性が不十分であった。比較例4では、(E)成分の配合量が本発明規定の上限値を超えていることから、泡立ちが不十分であった。比較例5では、(D)成分の配合量が本発明規定の上限値を超えていることから、低温安定性が悪く、洗髪時およびすすぎ時の指通り性が不十分であった。比較例6では、(A)成分の配合量が本発明規定の上限値を超えており、かつ、(A)成分の含有量が(B)成分の含有量を超えていることから、4倍希釈時の粘度が低く、泡質や洗髪時およびすすぎ時の指通り性、乾燥後のまとまり性が不十分であった。比較例7では、(A)成分の配合量が本発明規定の下限値を下回っており、かつ、(C)成分の配合量が本発明規定の上限値を超えていることから、4倍希釈時の粘度が低く、泡立ちや泡質、洗髪時およびすすぎ時の指通り性や乾燥後のまとまり性が不十分であった。比較例8では、(C)成分と(E)成分が配合されていないことから、泡立ちや泡質が不十分であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式1で示されるアルキルエーテルサルフェート型界面活性剤を7〜15質量%、(B)式2で示されるアルカノールアミド型界面活性剤を8〜18質量%、(C)式3で示されるアミドベタイン型界面活性剤または式4で示されるアルキルベタイン型界面活性剤を2〜7質量%、(D)単糖類または二糖類を0.3〜5質量%、(E)カチオン性ポリマー0.1〜1.5質量%を含有し、(A)および(B)の含有量が(B)≧(A)であることを特徴とするシャンプー組成物。
【化1】

(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基、またはアルケニル基、Mはアルカリ金属、または有機アミン、アンモニウム、nは1〜8の整数を表す。)
【化2】

(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基、Rは水素原子、または−COHを表す。)
【化3】

(式中、RCOは炭素数8〜20のアシル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは2〜4の整数を表す。)
【化4】

(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基、またはアルケニル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)

【公開番号】特開2012−206945(P2012−206945A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71384(P2011−71384)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】