説明

シャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法

【課題】鋼板の不揃いなシャー切断エッジを突合せて両面溶接する。
【解決手段】定盤10上に配置した一対の鋼板11のシャー切断エッジ13の間に、カットワイヤ15を配置し、鋼板11を接近させてシャー切断エッジ13間にカットワイヤ15を挟み込み、不揃いなルート空間14に効果的にカットワイヤ15を充填して均し表面溶接し、反転した後、ルート空間14にカットワイヤ15を補充して均した後、裏面溶接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャー切断された鋼板のエッジを突合せて溶接するシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、厚板鋼板にY形開先を形成して片面で突合せ溶接する時に、裏面に形成されるルート間隔によるビード不良を改善するために、開先部から裏面のルート空間に達するように、カットワイヤを充填して溶接する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−267175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、4本の電極を用いて十分な溶け込み深さを確保し、裏面までビードを及ぼすもので、大型の溶接設備を必要とすること、大型鋼板の溶接作業では、開先形成工程に時間と精度が要求され、コストを押し上げる要因になること、などの問題があった。
【0005】
そこで本発明者等は、開先形成工程を無くして、直接鋼板のミルエッジを溶接することでコストの削減を考えた。しかしながら、圧延成形された大型鋼板で、たとえば板厚が50mm以下のものは、ミルエッジがシャー切断機により切断されており、その断面は、凹凸のある特異な断面に形成され、ミルエッジの突合せ状態では不規則なルート間隔が形成される。
【0006】
また小型の溶接設備では、大きい溶け込み深さを確保できないために、板厚の大きい鋼板は、反転して両面溶接を行うが、この両面溶接では、反転回数が少ないほど作業時間とコストとを削減できる。
【0007】
本発明は上記問題点を解決して、ルート間隔が不揃いのシャー切断エッジを容易かつ良好に溶接できるシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、
シャー切断機によりエッジが切断された鋼板のシャー切断エッジを突合せて両面を溶接するに際し、
定盤上に、カットワイヤを溶接予定線に沿って配置するとともに、一対の鋼板を、そのシャー切断エッジが前記溶接予定線を挟んで両側に対峙するか、または前記溶接予定線上とその外側になるように配置し、
一対の鋼板の両方を互いに接近させるか、または前記外側に配置された鋼板を溶接予定線上の鋼板に接近させて、シャー切断エッジ間のルート空間にカットワイヤを挟み込んで充填し、
ルート空間のカットワイヤを補充または除去してその高さを均一に均した後、表面溶接を行い、
鋼板を反転した後、ルート空間内にカットワイヤを補充してその高さを均一に均した後、裏面溶接を行うものである。
【0009】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、
鋼板の厚みを8mm以上、20mm以下の範囲とし、
シャー切断エッジ間の裏面のルート間隔が7mmを越える場合に、シャー切断エッジの当接部を研磨するか、または裏面のルート間隔の部分に肉盛り溶接して7mm以下とするものである。
【0010】
さらに請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、
カットワイヤを、その頂部が少なくとも鋼板の板厚中心レベル以上に盛り上げて定盤上に配置し、
表面溶接前のカットワイヤの頂部を、
裏面のルート間隔が5mm未満の場合に、鋼板の表面レベルから鋼板の板厚の1/2の板厚中心レベルまでの範囲に均し、
裏面のルート間隔が5mm以上の場合に、鋼板の表面レベルから裏面側に2mmまでの範囲に均し、
裏面溶接前のカットワイヤの頂部を、鋼板の裏面レベルから表面側に2mmまでの範囲に均すものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成において、
シャー切断エッジの断面は、表面に近接する位置に外方に突出する頂部を有し、
前記頂部により表面のルート間隔が前記頂部により狭い状態で、表面溶接を行い、
裏面のルート間隔が表面のルート間隔より広い状態で、裏面溶接を行うものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、定盤上に配置されたカットワイヤを、鋼板のシャー切断エッジ間に挟み込むことで、不揃いなルート空間にカットワイヤを均一かつ効果的に充填することができ、表面溶接をカットワイヤによる十分な溶接金属量で行うことができる。また反転後の裏面溶接により、カットワイヤによる十分な溶接金属量で行うことができ、ブローホールや溶け落ちなどの溶接欠陥もなく、十分な溶け込み深さと接合強度で鋼板を溶接することができる。また反転回数を1回とし、ガウジングによるハツリ工程も不要で、作業時間とコストを削減することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、板厚が8〜20mmの鋼板の裏面のルート間隔を7mm以下とすることで、ブローホールや溶け落ちなどの溶接欠陥もなく、シャー切断エッジの突合せ両面溶接を良好に行うことができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、ルート空間内のカットワイヤの上面を、裏面のルート間隔に対応して所定範囲に均すことで、余盛り高さの不足や抜け落ちの発生、溶接ビードの不整などの溶接欠陥を防止することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、シャー切断エッジの突合せ溶接時に、反転後の裏面溶接前に、裏面のルート間隔が広くなるように鋼板の裏面を上面としたので、反転時に落下したカットワイヤを容易に補充でき、精度良く均すことができ、裏面溶接を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)〜(e)は本発明に係るシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法の実施の形態を説明する断面図で、(a)(b)はカットワイヤ充填工程、(c)は表面溶接工程、(d)は反転、カットワイヤ補充工程、(e)は裏面溶接工程を示す。
【図2】(a)〜(d)は図1の要部拡大断面図で、(a)はカットワイヤ充填工程、(b)は表面溶接工程、(c)は反転、カットワイヤ補充工程、(d)は裏面溶接工程を示す。
【図3】(a)および(b)はカットワイヤ充填工程の動作説明図で、(a)は充填前、(b)は充填後を示す。
【図4】(a)および(b)はカットワイヤ充填工程の実施例2を説明する要部拡大断面図で、(a)は充填前、(b)は充填後を示す。
【図5】カットワイヤ充填工程の実施例3を説明する要部拡大断面図である。
【図6】(a)〜(c)はシャー切断エッジの拡大断面図で、(a)はエッジの第1例、(b)はエッジの第2例、(c)は第1例の突合せ状態を示す。
【図7】(a)〜(e)は比較例のI開先突合せ両面溶接方法を説明する要部拡大断面で、(a)はシーリングビード形成工程、(b)はカットワイヤ充填工程、(c)は表面溶接工程、(d)はハツリ工程、(e)は裏面溶接工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(比較例)
まず比較例として、エッジにI開先を形成した鋼板を突合せ、ルート空間にカットワイヤを充填して両面溶接を行う場合の手順を図7を参照して説明する。
【0018】
1.鋼板1,1の表面を上向きに定盤上に配置して、溶接により表面のルート空間にシーリングビード3を形成する。[図7(a)シーリングビード形成工程]
2.鋼板1,1を反転後、ルート空間にカットワイヤ2を充填する。[図7(b)カットワイヤ充填工程]
3.十分な溶け込み深さで表面溶接して表面ビード4を形成する。[図7(c)表面溶接工程]
4.鋼板1,1を反転後、ガウジングにより裏面ハツリ5を行い、シーリングビード3を削除する。[図7(d)ハツリ工程]
5.裏面ハツリ5から十分な溶け込み深さで裏面溶接して裏面ビード6を形成する。[図7(e)裏面溶接工程]
上記の比較例によれば、表面ビード4および裏面ビード6とも、十分な溶け込み深さとビード幅、十分な強度を確保でき、溶接欠陥も見られなかった。
【0019】
ところで、大型の圧延鋼板の場合、一般的に板厚が50mm以下の鋼板は、エッジがシャー切断されて寸法が揃えられており、そのエッジは、図6(a)(b)に示すように、特異な断面形状となる。またシャー切断部の継ぎ目にも、段部が形成される。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例1を図1〜図3および図6に基づいて説明する。
(シャー切断エッジ)
図1、図2に示すように、定盤10の上面には、鋼板11の高さ位置を設定するとともに、移動を案内する所定高さのガイド部材12が溶接予定線WLに平行に複数本突設されている。これら鋼板11の板厚:tは、8mm〜20mmが好適である。
【0021】
鋼板11のシャー切断エッジ13は、図6に示すように、表面から裏面側に、小さい勾配の表面傾斜部Qと、表面に接近して形成され外側に突出する頂部Rと、裏面内側に傾斜する裏傾斜部Sとを有し、この裏傾斜部Sに凹状部Tが形成されることもある。たとえば板厚17mm、幅2000mm×長さ12000mmの複数枚の大型圧延鋼板の複数個所を実測した結果、σ1=1.4〜2.0mm、σ2=0.1〜1.2mmであり、またシャー切断の継ぎ目も2.0mm未満であることがわかった。
【0022】
これにより、シャー切断エッジ13を付き合わせた場合に、凹状部Tがある場合に最大となる中間部のルート間隔Gと、表面のルート間隔Gaおよび裏面のルート間隔Gbとが形成される。またシャー切断エッジ13の断面は長さ方向に沿ってそれぞれ変化しているが、シャー切断エッジ13を突合せた場合の裏面のルート間隔Gbが7mmを越えると、溶け落ちやブローホールなどの欠陥が多く発生することが予想される。ここで鋼板11のシャー切断エッジ13を突合せた時に、裏面のルート間隔Gbが7mmを越える場合には、予め、シャー切断エッジ13の接触部を研磨具で除去したり、また最大のルート間隔部分を予め溶接により肉盛りし、裏面のルート間隔Gbを7mm以下にしておく必要がある。なお、中間部のルート間隔Gが裏面のルート間隔Gbより広く7mmを越えることがあっても、肉盛り溶接する必要はない。これは、後述するように、7mmを越えるルート空間14に、板厚tの1/2以上にカットワイヤ15を充填することにより、溶接時の溶け落ちを防止できるからである。
【0023】
シャー切断エッジ13間のルート空間14に充填するカットワイヤ15は、鋼板11をサブマージアーク溶接する溶接ワイヤと同一成分で同一直径のものを、直径と同一の長さで切断したものが使用され、たとえば直径が1mmで、長さが1mmのものが使用される。
【0024】
(溶接工程)
大型鋼板11の溶接工程を図1〜図3を参照して説明する。
A.カットワイヤ充填工程
a.定盤10上に一対の鋼板11を、その表面を上面とし、シャー切断エッジ13が溶接予定線WLの両側で互いに対向するように所定間隔をあけて配置する。ここで、鋼板11の表面を上面としたことで、突合せ状態で、頂部Rが互いに接近しており、表面のルート間隔Gaが裏面のルート間隔Gbより狭い。[図6(c)参照]
b.定盤10上でシャー切断エッジ13の間の溶接予定線WLに沿って、カットワイヤ15をその頂部が鋼板11の板厚:tの1/2、板厚中心レベルCLより少なくとも上位となるように盛り上げて配置する。[図1(a)、図3(a)参照]
c.一対の鋼板11を互いに接近させてシャー切断エッジ13のルート空間14内にカットワイヤ15を挟み込み充填する。この当接または近接状態で、裏面のルート間隔Gbは、少なくとも7mm以下とする。[図1(b)、図3(b)参照]さらに、表ルート空間Gaから鋼板11の表面にはみ出したカットワイヤ15を取り除くとともに、ルート空間14内で不足するカットワイヤ15を補充する。[図2(a)参照]
ここで、裏面のルート間隔Gbが5mm未満の場合は、カットワイヤ15の上面レベルTLが、鋼板11の表面レベルSLから板厚中心レベルCLまでの範囲となるように均等に均す。これは、カットワイヤ15の上面レベルTLが板厚中心レベルCL未満であった場合には、余盛り高さが不足し、また表面レベルSLを超えると、均一に散布することが困難となり、溶接金属量が一定せず、溶接ビードの不整の原因となるという問題があるためである。
【0025】
また裏面のルート間隔Gbが5mm以上の場合は、カットワイヤ15の上面レベルTLが、鋼板11の表面レベルSLと、表面レベルSLから裏面側に2mmまでの範囲となるように均等に均す。これは、カットワイヤ15の上面から裏面側に2mm未満であった場合には、余盛り高さが不足するか、または抜け落ちが発生し、また表面レベルSLを超えると、均一に散布することが困難となり、溶接金属量が一定せず、表面ビード16の不整の原因となるためである。[図2(a)参照]
ここで、中間部のルート間隔Gが裏面のルート間隔Gbの7mmを越えて大きくても、カットワイヤ15を鋼板11の表面レベルSLから板厚中心レベルCLまでの範囲に充填して均等に均すことにより、溶接時の溶け落ちを防止することができる。
【0026】
B.表面溶接工程
サブマージアーク溶接により表面溶接を行い、表面傾斜部Qから頂部Rを介して裏傾斜部Sの中間部に至る十分な溶け込み深さの表面ビード16を形成する。表面溶接での溶接電流は、たとえば700〜750Amp、溶接電圧38〜42Volt、溶接速度40〜42cm/分である。[図1(c)、図2(b)参照]
C.反転、カットワイヤ補充工程
鋼板11を吊り上げて反転させる。さらに表面のルート間隔Gaより広い裏面のルート間隔Gbを利用して、ルート空間14内にカットワイヤ15を補充し、均等な高さに均す。この時のカットワイヤ15の上面レベルULは、裏面レベルBLから表面側に2mmまでの範囲である。ここで、カットワイヤ15の上面レベルULが、表面側に2mm未満であった場合には、余盛り高さが不足し、また裏面レベルBLを超えると、均一に散布することが困難となり、溶接金属量が一定せず、裏面ビード17の不整の原因となるという問題があるためである。[図1(d)、図2(c)参照]
D.裏面溶接工程
サブマージアーク溶接により裏面溶接を行い、裏面から裏傾斜部Sに至る十分な溶け込み深さの裏面ビード18を形成する。裏面溶接での溶接電流は、たとえば800〜830Amp、溶接電圧38〜42Volt、溶接速度36〜42cm/分である。[図1(e)、図2(d)参照]
上記実施例1によれば、定盤10上に配置されたカットワイヤ15を、対峙されたシャー切断エッジ13で挟み込むことにより、シャー切断エッジ13の不揃いなルート空間14にカットワイヤ15を均一かつ効果的に充填することができる。したがって、表面溶接により、カットワイヤ15と溶接ワイヤからなる十分な量の溶接金属を十分な深さまで溶け込ませて表面ビード16を形成することができる。また反転後の裏面溶接により、カットワイヤ15と溶接ワイヤからなる十分な量の溶接金属を十分な深さまで溶け込ませて、表面ビード16に達する裏面ビード17を形成することができる。したがって、小型の溶接設備により、ブローホールや溶け落ちなどの溶接欠陥もなく、十分な接合強度で鋼板11を溶接することができる。また比較例のI開先の両面突合せ溶接に比較して、鋼板11の反転回数は1回と少なく、またシーリングビード4を形成せず、さらにハツリ加工も無くすことができ、コストを削減することができる。
【0027】
またルート空間14内のカットワイヤ15の上面TL,ULを、裏面のルート間隔Gbに対応して所定範囲に均すことで、溶接金属量を適量に調整して、余盛り高さの不足や抜け落ちの発生、溶接ビードの不整などの溶接欠陥を防止することができる。
【0028】
さらに、シャー切断エッジ13を突合せた時に、裏面のルート間隔Gbが広くなるように鋼板11を配置したので、反転時に落下したカットワイヤ15をルート空間14内に容易にかつ精度良く補充することができる。
【0029】
(カットワイヤ充填工程の実施例2)
次に、カットワイヤ充填工程の他の実施例2を図4を参照して説明する。
d.定盤10上でシャー切断エッジ13の溶接予定線WLに沿って、カットワイヤ15をその頂部が鋼板11の板厚中心レベルCLより少なくとも上位となるように盛り上げて配置する。
【0030】
e.表面を上面とした一方の鋼板11を、そのシャー切断エッジ13が溶接予定線WLの上方でカットワイヤ15の頂部に対応する位置に配置し、さらに定盤10上に降下させる。これにより、一方の鋼板11のシャー切断エッジ13は、少なくとも板厚中心レベルCLを含むシャー切断エッジ13の大部分がカットワイヤ15に覆われる。
【0031】
f.表面を上面とした他方の鋼板11を、定盤10上にシャー切断エッジ13が互いに対向するように溶接予定線WLの外側に配置する。[図4(a)参照]
g.他方の鋼板11を一方の鋼板11に接近させてシャー切断エッジ13のルート空間14内にカットワイヤ15を充填する。(以下、カットワイヤ充填工程cと同様にカットワイヤ15の上面レベルTLを均す。)[図4(b)参照]
上記カットワイヤ充填工程の他の実施例2によれば、先の実施例と同様の作用効果を奏することができる。
【0032】
(カットワイヤ充填工程の実施例3)
次に、カットワイヤ充填工程の他の実施例3を図5を参照して説明する。
h.定盤10上に表面を上面とした一対の鋼板11を、溶接予定線WLの両側にシャー切断エッジ13が互いに対向するように配置する。
【0033】
i.定盤10上で一方の鋼板11のシャー切断エッジ13に沿って、カットワイヤ15をその頂部が板厚中心レベルCLより少なくとも上位となるように盛り上げて配置する。
j.他方の鋼板11を一方の鋼板11に接近させてシャー切断エッジ13間にカットワイヤ15を挟み込み、ルート空間14内に充填する。(以下、カットワイヤ充填工程cと同様にカットワイヤ15の上面レベルTLを均す。)
上記カットワイヤ充填工程の他の実施例3によれば、先の実施例と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 定盤
11 鋼板
12 ガイド部材
13 シャー切断エッジ
14 ルート空間
15 カットワイヤ
16 表面ビード
17 裏面ビード
R 頂部
Gb 裏面のルート間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャー切断機によりエッジが切断された鋼板のシャー切断エッジを突合せて両面を溶接するに際し、
定盤上に、カットワイヤを溶接予定線に沿って配置するとともに、一対の鋼板を、そのシャー切断エッジが前記溶接予定線を挟んで両側に対峙するか、または前記溶接予定線上とその外側になるように配置し、
一対の鋼板の両方を互いに接近させるか、または前記外側に配置された鋼板を溶接予定線上の鋼板に接近させて、シャー切断エッジ間のルート空間にカットワイヤを挟み込んで充填し、
ルート空間のカットワイヤを補充または除去してその高さを均一に均した後、表面溶接を行い、
鋼板を反転した後、ルート空間内にカットワイヤを補充してその高さを均一に均した後、裏面溶接を行う
ことを特徴とするシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法。
【請求項2】
鋼板の厚みを8mm以上、20mm以下の範囲とし、
シャー切断エッジ間の裏面のルート間隔が7mmを越える場合に、シャー切断エッジの当接部を研磨するか、または裏面のルート間隔の部分に肉盛り溶接して7mm以下とする
ことを特徴とする請求項1記載のシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法。
【請求項3】
カットワイヤを、その頂部が少なくとも鋼板の板厚中心レベル以上に盛り上げて定盤上に配置し、
表面溶接前のカットワイヤの頂部を、
裏面のルート間隔が5mm未満の場合に、鋼板の表面レベルから鋼板の板厚の1/2の板厚中心レベルまでの範囲に均し、
裏面のルート間隔が5mm以上の場合に、鋼板の表面レベルから裏面側に2mmまでの範囲に均し、
裏面溶接前のカットワイヤの頂部を、鋼板の裏面レベルから表面側に2mmまでの範囲に均す
ことを特徴とする請求項1または2記載のシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法。
【請求項4】
シャー切断エッジの断面は、表面に近接する位置に外方に突出する頂部を有し、
前記頂部により表面のルート間隔が前記頂部により狭い状態で、表面溶接を行い、
裏面のルート間隔が表面のルート間隔より広い状態で、裏面溶接を行う
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシャー切断鋼板の突合せ両面サブマージアーク溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−184244(P2010−184244A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27953(P2009−27953)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】