説明

シュリンクラベルの容器への装着方法及び装置

【課題】 胴部にくびれ部を有する容器にシュリンクラベルを正確に装着することができ、良好な外観体裁を得ることができるシュリンクラベルの容器への装着方法を提供する。
【解決手段】 胴部にくびれ部を有する容器の少なくとも前記胴部に被嵌された熱収縮性を有する筒状のシュリンクラベルを加熱し収縮させて容器に装着させるシュリンクラベルの容器への装着方法であって、シュリンクラベルにおける前記くびれ部より下方の所定領域を他の領域に先行して収縮させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性を有するシュリンクラベルの容器への装着方法及び装置に関し、特に、胴部にくびれ部を有する容器に被嵌された筒状のシュリンクラベルを加熱し収縮させて容器に装着させる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビール瓶やPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル等のボトル型の容器には、その胴部に、熱収縮性を有する筒状のシュリンクラベルが装着されている。該シュリンクラベルを容器に装着する際には、シュリンク装置とも称されるシュリンクラベル収縮装置が用いられる。シュリンクラベルは容器に上方から被嵌され、シュリンクラベル収縮装置により加熱され、その熱で収縮して容器に装着される。
【0003】
該シュリンクラベル収縮装置は、蒸気(水蒸気及び水蒸気が結露した湯気)によって所定の温度雰囲気に維持された収縮室を有している。シュリンクラベルが被嵌された容器はコンベア(搬送装置)によって順次収縮室内に送られ、容器がコンベアで搬送されながら収縮室を通過する間に、シュリンクラベルは蒸気により加熱されて熱収縮し、容器に密着する。
【0004】
そして、このシュリンクラベル収縮装置の改良案を本出願人は先に提案している(下記特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−326934号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記シュリンクラベル収縮装置は、胴部に比して径の小さい首部を有する容器の略全体をシュリンクラベルで覆う場合に適したものである。しかしながら、胴部にくびれ部が存在する容器の胴部にシュリンクラベルを装着する場合には、シュリンクラベルがくびれ部に向かって位置ずれしたり、あるいはシュリンクラベルにシワが生じたりすることが判明した。
【0007】
それゆえに本発明は、胴部にくびれ部を有する容器にシュリンクラベルを正確に装着することができ、良好な外観体裁を得ることができるシュリンクラベルの容器への装着方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係るシュリンクラベルの容器への装着方法は、胴部にくびれ部を有する容器の少なくとも前記胴部に被嵌された熱収縮性を有する筒状のシュリンクラベルを加熱し収縮させて容器に装着させるシュリンクラベルの容器への装着方法であって、シュリンクラベルにおける前記くびれ部より下方の所定領域を他の領域に先行して収縮させることを特徴とする。
【0009】
該方法にあっては、従来のようにシュリンクラベルの全体を一度に加熱収縮させるのではなく、くびれ部より下方の所定領域を先ず収縮させてその領域においてシュリンクラベルを部分的に容器に密着させ、次いでくびれ部を含む他の領域にシュリンクラベルを密着させる。くびれ部にシュリンクラベルが密着する際には胴部の他の部分よりも大きな収縮量が必要であるが、くびれ部より下方の所定領域にシュリンクラベルが密着しているので、シュリンクラベルはくびれ部の形状に沿ってスムーズに収縮する。また、くびれ部より下方の所定領域にシュリンクラベルが密着しているので、シュリンクラベルはくびれ部に向けて上方に位置ずれすることなく所定の位置で収縮する。
【0010】
特に、加熱媒体を前記所定領域に向けて噴き付けると共に、噴き付けられた加熱媒体の上方への流動を遮蔽体により抑制することにより、シュリンクラベルの所定領域を他の領域に先行して収縮させることが好ましい。
【0011】
加熱媒体を所定領域に向けて噴き付けることにより所定領域を集中的に加熱することができる。更に、その加熱媒体の上方への流動を遮蔽体により抑制することで、加熱媒体がくびれ部に向かうことが抑制され、くびれ部においてシュリンクラベルが所定領域と同時に収縮を開始することが効果的に防止される。
【0012】
また、他の領域を加熱し収縮させる際に前記所定領域に冷却媒体をかけることが好ましい。先行して収縮しているシュリンクラベルの所定領域に冷却媒体をかけることで、シュリンクラベルの縦方向(軸線方向)の収縮が防止される。また、所定領域の熱による軟化が防止されるので、シュリンクラベルの上方へのずり上がりが防止される。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、くびれ部より下方の所定領域を先行して収縮させることにより、くびれ部においてシワが生じることなく美しい外観状態が得られ、位置ずれすることなくシュリンクラベルを正確な位置に装着できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るシュリンクラベルの容器への装着方法及び装置の一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。
まず、本実施形態においてラベル装着の対象となる容器について説明する。図3に、シュリンクラベル1が装着された容器10を示している。尚、収縮前のシュリンクラベル1は二点鎖線にて示している。容器10は、PETボトルであり、その口部11にはキャップ12が螺合されている。該容器10は、全長に亘って横断面が円形のボトル形状であり、口部11の下方には、鍔部13を介して口部11と略同一径の首部14があり、その首部14から徐々に径が大きくなった肩部15を介して胴部16となる。胴部16は、上下方向の略中央にくびれ部17を有し、そのくびれ部17の上下には、くびれ部17より相対的に大径である大径部18,19を有している。前記くびれ部17は鞍状に湾曲し、くびれ部17の最小径は、胴部16の大径部18,19の例えば70乃至80%である。また、胴部16と底部20との境界部分はR状に面取りされた面取り部21となっている。そして、このような形状を有する容器10の主として胴部16にシュリンクラベル1が装着されている。尚、くびれ部17は、例えば容器10の接地部分から上方に73mmの箇所を中心として設けられている。
【0015】
該シュリンクラベル1は、厚さ10乃至100μm(好ましくは厚さ30乃至80μm)のポリエチレンテレフタレートや共重合ポリエステル等の熱収縮性を有するポリエステルフィルムやポリスチレン系樹脂などのプラスチックフィルムからなる。そして、文字や図柄等が片面に印刷されたプラスチックフィルムは、その印刷面が内側になるようにして両端部同士が重ね合わせられ接着されることで筒状に形成される。筒状のシュリンクラベル1は図3に二点鎖線で示すように上方から容器10に被嵌され、後述するシュリンクラベル収縮装置50によって加熱されることにより収縮して容器10に密着する。シュリンクラベル1は、容器10の胴部16全体と肩部15の一部を被覆するように装着され、シュリンクラベル1の下端部は前記面取り部21を介して底部20の周縁を被覆する。
【0016】
次に、容器10に被嵌されたシュリンクラベル1を収縮させる方法と装置について説明する。
シュリンクベル1を収縮させて容器10に密着させるために、図1に示すようなシュリンクラベル収縮装置50を使用する。該収縮装置50は、シュリンクラベル1を加熱するための収縮室を有している。シュリンクベルが被嵌された容器10は、コンベア51(搬送装置)により搬送されて順次収縮室を通過する。収縮室を通過する間にシュリンクラベル1は収縮して容器10に密着する。収縮室は、コンベア51に沿って直列に配置された複数のゾーンから構成され、本実施形態においては第一乃至第四ゾーン61,62,63,64からなり、隣接するゾーン間には、容器10が通過可能な孔を有する区画壁(図示省略)が設けられている。
【0017】
図2(イ)乃至(ニ)は、それぞれ第一乃至第四ゾーン61,62,63,64を容器10が通過する状態を概略的に示したものである。各ゾーン内には、通過する容器10の両側に位置するように、ノズル孔が多数穿設されたパイプからなる蒸気噴出ノズル71,72,73a,73b,74a,74bが配設されている。該蒸気噴出ノズル71,72,73a,73b,74a,74bは、容器10の搬送方向に沿って水平に配設され、各ノズル孔から加熱媒体としての蒸気が容器10に向けて噴出するようになっている。尚、蒸気噴出ノズル71,72,73a,73b,74a,74bは、第一及び第二ゾーン61,62には一段、第三及び第四ゾーン63,64には二段設けられている。但し、例えば、全てのゾーンに蒸気噴出ノズルを多段(例えば5段)に設けて、使用しない蒸気噴出ノズルについては閉状態とするようにしても無論よい。
【0018】
第一及び第二ゾーン61,62の蒸気噴出ノズル71,72、並びに、第三及び第四ゾーン62,64の下段の蒸気排出ノズル73b,74bは、容器10のくびれ部17より僅かに下側に位置して、蒸気をシュリンクラベル1の下部に向けて噴出する。また、第三及び第四ゾーン63,64の上段の蒸気噴出ノズル73a,74aはくびれ部17より僅かに上側に位置して、蒸気をシュリンクラベル1の上部に向けて噴出する。
【0019】
尚、第一乃至第四ゾーン61,62,63,64における蒸気噴出圧力の一例を示すと、順に、0.01MPa、0.012MPa、0.005MPa、0.004MPaである。また、各ゾーンの温度雰囲気は、例えば、第一及び第二ゾーン61,62では45乃至85℃、第三ゾーン63では55乃至85℃、第四ゾーン64では70乃至95℃である。更に、第一及び第二ゾーン61,62には、蒸気噴出ノズル71,72から容器10に向けて噴出した蒸気が上方に流動することを抑制するための遮蔽板80(遮蔽体)が、下側の大径部19の両側に設けられている。尚、遮蔽板80は、蒸気噴出ノズル71,72から噴出される蒸気を容器10の下部の面取り部21付近に集中させるために僅かに傾斜しているのが好ましいが、略水平状態であってもよい。また、第三及び第四ゾーン63,64には、容器10のくびれ部17より僅かに上側でその両側に位置し、くびれ部17付近に向けて冷却媒体としての冷却水を出す水ノズル81が配設されている。尚、遮蔽板80は第三及び第四ゾーン63,64には設ける必要がない。
【0020】
尚、第一及び第二ゾーン61,62は、シュリンクラベル1の下端部を容器10に固定させるゾーンであり、第三及び第四ゾーン63,64は、シュリンクラベル1の全体を収縮させるゾーンである。
【0021】
以上のように構成された収縮装置50を使用してシュリンクラベル1を収縮させて容器10に密着させるのであるが、以下、各ゾーンにおける収縮状態について順に説明する。
まず、コンベア51によって第一ゾーン61に搬入された容器10には、蒸気噴出ノズル71から蒸気が噴き付けられる。該第一ゾーン61においては、シュリンクラベル1の下端部に向けて蒸気が噴出する。そのため、シュリンクラベル1の下端部が局部的に加熱されて収縮し、容器10の面取り部21に密着して容器10の底部20の周縁を被覆する。その際、容器10に噴き付けられた蒸気の上方への移動が遮蔽板80によって抑制されるので、シュリンクラベル1の上部は収縮しない。
【0022】
その後、第二ゾーン62においても第一ゾーン61と同様に蒸気噴出ノズル72から蒸気を容器10に向けて噴出して、引き続きシュリンクラベル1の下端部を局部的に加熱する。該第二ゾーン62における加熱によって、シュリンクラベル1は、容器10の胴部16の大径部19に密着する。但し、第二ゾーン62においても遮蔽板80で蒸気の上方への移動が抑制されているので、シュリンクラベル1の上部は僅かに収縮するのみであって、くびれ部17には密着しない。
【0023】
続いて第三ゾーン63と第四ゾーン64においては、上段及び下段の蒸気噴出ノズル73a,73b,74a,74bから蒸気がシュリンクラベル1全体に噴き付けられ、シュリンクラベル1の全体が収縮する。その際、既にシュリンクラベル1の下端部が収縮して容器10の下側の大径部19や面取り部21、底部20の周縁に密着しているので、シュリンクラベル1が上方に引っ張られて位置ずれするということはなく、スムーズに収縮する。また、水ノズル81からの冷却水を容器10のくびれ部17付近から流下させて、既に収縮しているシュリンクラベル1の下部を冷却するので、下部が再度加熱されて再収縮するということが防止される。即ち、冷却水を流下させることによって、シュリンクラベル1の縦方向の収縮が防止されると共に、シュリンクラベル1の下部の軟化を防止できるので、シュリンクラベル1の上方への位置ずれを効果的に防止することができる。そして、以上のように第四ゾーン64においてシュリンクラベル1の全体が収縮して容器10に密着状態となる。
【0024】
以上のように、容器10に被嵌されたシュリンクラベル1のうち、くびれ部17より下側の領域(本実施形態では下側の大径部19、面取り部21、底部20の周縁)を第一及び第二ゾーン61,62で先行して加熱してその領域を収縮させて容器10に密着させたうえで、第三及び第四ゾーン63,64においてシュリンクラベル1の他の領域を加熱し収縮させるので、容器10の胴部16にくびれ部17が存在しても、シュリンクラベル1がくびれ部17に向けて上方に位置ずれしたり、あるいは、くびれ部17においてシワ等が発生したりすることなく、容器10の形状に沿ってスムーズに収縮し密着するのである。
【0025】
尚、容器への液体充填工程等を経て容器の表面が濡れた状態でシュリンクラベル1の装着を行う場合には、特に、シュリンクラベル1の上方へのずり上がりが生じやすいので、上記方法を採用してこのずり上がりを防止することの効果が大きい。
【0026】
尚、くびれ部17の形状、ひいては、胴部16の形状は適宜設計変更可能である。また、断面が円形の容器のみならず多角形の容器であってもよく、PETボトル以外の容器にも無論適用可能である。
更に、上記実施形態では、合計四つのゾーンを備えた場合について説明したが、二つのゾーンからなる場合であってもよい。
また更に、容器10を回転させながらシュリンクラベル1を収縮させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態におけるシュリンクラベルの容器への装着方法を適用したシュリンクラベル収縮装置の一例を示す全体図。
【図2】(イ)乃至(ニ)は同装着方法の流れを示す収縮装置の概略断面図。
【図3】同方法の対象容器の一例を示す正面図。
【符号の説明】
【0028】
1…シュリンクラベル、10…容器、16…胴部、17…くびれ部、18,19…大径部、20…底部、21…面取り部、50…シュリンクラベル収縮装置、51…コンベア、71,72,73a,73b,74a,74b…蒸気噴出ノズル、80…遮蔽板(遮蔽体)、81…水ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部にくびれ部を有する容器の少なくとも前記胴部に被嵌された熱収縮性を有する筒状のシュリンクラベルを加熱し収縮させて容器に装着させるシュリンクラベルの容器への装着方法であって、
シュリンクラベルにおける前記くびれ部より下方の所定領域を他の領域に先行して収縮させることを特徴とするシュリンクラベルの容器への装着方法。
【請求項2】
加熱媒体を前記所定領域に向けて噴き付けると共に、噴き付けられた加熱媒体の上方への流動を遮蔽体により抑制することにより、シュリンクラベルの所定領域を他の領域に先行して収縮させる請求項1記載のシュリンクラベルの容器への装着方法。
【請求項3】
他の領域を加熱し収縮させる際に前記所定領域に冷却媒体をかける請求項1又は2記載のシュリンクラベルの容器への装着方法。
【請求項4】
胴部にくびれ部を有する容器の少なくとも前記胴部に被嵌された熱収縮性を有する筒状のシュリンクラベルを加熱し収縮させて容器に装着させるシュリンクラベルの容器への装着装置であって、
シュリンクラベルにおける前記くびれ部より下方の所定領域を他の領域に先行して収縮させるように構成されていることを特徴とするシュリンクラベルの容器への装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−1573(P2006−1573A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178481(P2004−178481)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】