シュート
【課題】錠剤等の被処理物の破損を適切に防止しつつ、短時間で効率良く、かつ、衛生的に被処理物を落下移送させる。
【解決手段】シュート10は、錠剤が通過する落下通路12を形成するシュート本体14と、落下通路12を横断するようにシュート本体14に取り付けられた複数のロッド20とを備えている。複数のロッドは、水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されて、落下する錠剤を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送する。複数のロッド20は、上下方向の各段毎に、上下の他段のロッド20とは水平方向の位置をずらして配置されている。
【解決手段】シュート10は、錠剤が通過する落下通路12を形成するシュート本体14と、落下通路12を横断するようにシュート本体14に取り付けられた複数のロッド20とを備えている。複数のロッドは、水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されて、落下する錠剤を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送する。複数のロッド20は、上下方向の各段毎に、上下の他段のロッド20とは水平方向の位置をずらして配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、錠剤や、カプセル剤等の固形状の薬剤等を、落下させて次工程へ移送するシュートの改良に関し、特に、薬剤等の被処理物の損傷を防止しつつ、被処理物を効率良く移送させることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、医薬品の製造においては、錠剤等の固形物については、これらの固形物を、各処理工程間において落下通路を有するシュート内を通過させて次工程に移送させている。この場合、落下の際の衝撃により、例えば、糖衣錠の糖衣部分が割れたり剥がれたりする等して錠剤に欠損や破損が生じるのを防止するため、各種の緩衝手段を設けることが多い。
【0003】
その一つとして、シュート内に螺旋状のガイドを形成して、被処理物を、このガイド上を滑走させることにより、直下させた場合に比し、落下速度を低下させて、落下衝撃を低減することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、この従来技術では、シュートの入り口から出口に至るまでの間、ガイド上を滑走するため、錠剤等の被処理物と滑走面との間の接触時間が長く、摩擦により錠剤等の被処理物の表面が摩耗するおそれがある。また、移送する被処理物の量や個数が多い場合には、被処理物が重なり合う等して、被処理物自体の全体の重量が被処理物に負荷を与えて錠剤等の被処理物の破損の原因のとなるおそれがあり、特に、移送の初期段階において重量の負荷の影響が大きく、破損が生じやすい傾向があった。加えて、シュート内部の螺旋状のガイドを洗浄することは容易ではなく、衛生面からも難点が存在した。
【0005】
この点、シュート内において偏心して配置された漏斗状部材により減速させながら、錠剤等の被処理物を落下させる技術も提案されており(例えば、特許文献2参照)、この技術によれば、被処理物の滑走時間は短縮することができる。
【0006】
しかし、この技術では、各漏斗状部材の斜面への落下衝突時の衝撃が大きく、錠剤が破損するおそれを充分に回避できない問題があった。また、その結果、斜面への衝突音も大きく、別途、防音対策を講じる必要もあった。この場合、漏斗状部材の斜面をウレタンフォーム・ラバーで被覆する等して対応することも考えられるが、落下衝撃を繰り返し受け止めているうちに、長い使用期間が経過すると、ラバーの素材が剥離するおそれがあり、衛生上安全的とはいえない問題が生ずる。何よりラバー等で被覆すると、被処理物とラバーとの間の滑り抵抗が大きくなり、移送に長時間を要する等移送効率が低下すると同時に、錠剤等の被処理物の表面も摩耗しやすくなるおそれがある。
【0007】
一方、シュートを可撓性を有するチューブから形成して、前記チューブを一対の押圧体により押圧して、又は、押圧を解除してチューブの開閉動作を段階的に繰り返して、あるいは、一対の押圧体のうち一方の押圧体のみを押圧することによりチューブをジグザグ状に開放して、被処理物を落下移送させることも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
この従来技術によれば、錠剤等の被処理物の破損は防止できる可能性が高いが、一方で、被処理物のシュートの排出口までの移送に時間を要する問題がある。このため、特に、大量の被処理物を、効率良く移送することができない。加えて、可撓性を有するチューブの経年劣化が早く訪れ、耐久性に欠けるとともに、チューブの素材が剥離等して被処理物に混在するおそれもあり、必ずしも衛生面で適切ではない問題があった問題もあった。
【0009】
上記のように、従来のシュートでは、錠剤等の被処理物の破損を適切に防止しつつ、短時間で効率良く、かつ、衛生的に被処理物を落下移送させることができるシュートは提案されていなかったのが実状である。
【特許文献1】特開平7−2326号公報
【特許文献2】特開平11−255334号公報
【特許文献3】特開2000−198548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、錠剤等の被処理物の破損を適切に防止しつつ、短時間で効率良く、かつ、衛生的に被処理物を落下移送させることができるシュートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、被処理物が落下して通過するシュートであって、このシュートは被処理物が通過する落下通路を形成するシュート本体と、落下通路を横断するようにシュート本体に取り付けられた複数の緩衝部材とを備え、複数の緩衝部材は、水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されて、落下する被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送することを特徴とするシュートを提供するものである。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、緩衝部材は、少なくとも一部に曲面状の周面を有するロッドであることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、複数の衝撃部材は、上下方向の各段毎に、上下の他段の緩衝部材とは水平方向の位置をずらして配置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、複数の緩衝部材は、上下方向の各段毎に水平方向には平行に配置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第1乃至第4のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、落下する被処理物がシュートの投入口から排出口までにわたって直下する直下通路部分が形成されないように配置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、各緩衝部材の水平方向の幅は、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(被処理物の通過流路の幅となる水平方向に配置された2つの緩衝部材間の周面間の最短距離:図12の矢印A参照)が被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍を超えるn倍である場合において、少なくとも被処理物の鉛直方向における最大厚みの(n−2)倍以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第1乃至第6のいずれかの解決手段において、各緩衝部材の水平方向の幅は、少なくとも複数の緩衝部材間の水平方向の間隔以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第1乃至第7のいずれかの解決手段において、各緩衝部材の水平方向の幅が、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔未満である場合には、複数の緩衝部材を、上下方向の各段毎に上下の他段の緩衝部材と被処理物の鉛直方向における最大厚み未満の距離をもって水平方向にずらして配置することを特徴とするシュートを提供するものである。
【0019】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第1乃至第8のいずれかの解決手段において、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)及び上下の緩衝部材間の間隔(被処理物の通過流路の幅となる上下方向に配置された2つのロッド20の周面間の最短距離:図12の矢印B参照)が、少なくとも被処理物の鉛直方向における最大厚みを越えることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0020】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第9の解決手段において、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、被処理物の水平方向における最大幅以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0021】
本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、上記第10の解決手段において、上下の緩衝部材間の間隔が、被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0022】
本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、上記第9の解決手段において、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、被処理物の水平方向の最大幅未満である場合には、緩衝部材の高さの1/2の距離と、上段の複数の緩衝部材の最下点と接する平面と次の下段の複数の緩衝部材の最上点と接する面との間の鉛直距離(図12の矢印C)とを合わせた長さ(図12の矢印D)が、被処理物の水平方向における最大幅以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0023】
本発明は、上記の課題を解決するための第13の手段として、上記第12の解決手段において、上段の複数の緩衝部材の最下点と接する平面と次の下段の複数の緩衝部材の最上点と接する面との間の鉛直距離とを合わせた長さ(図12の矢印D)が、被処理物の水平方向における最大幅の3倍以下であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0024】
本発明は、上記の課題を解決するための第14の手段として、上記第9乃至第13のいずれかの解決手段において、上下の緩衝部材間の間隔が、被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0025】
本発明は、上記の課題を解決するための第15の手段として、上記第9乃至第14のいずれかの解決手段において、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0026】
本発明は、上記の課題を解決するための第16の手段として、上記第1乃至第15のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、水平方向に移動可能に設置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0027】
本発明は、上記の課題を解決するための第17の手段として、上記第1乃至第16のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、上下方向に移動可能に設置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0028】
本発明は、上記の課題を解決するための第18の手段として、上記第1乃至第17のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂その他のプラスチック製材料から形成されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0029】
本発明は、上記の課題を解決するための第19の手段として、上記第1乃至第18のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、シュート本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0030】
本発明は、上記の課題を解決するための第20の手段として、上記第1乃至第19のいずれかの解決手段において、シュート本体は、透光性を有することを特徴とするシュートを提供するものである。
【0031】
本発明は、上記の課題を解決するための第21の手段として、上記第1乃至第20のいずれかの解決手段において、シュート本体は、特定の波長の光線を遮断する特定色を有することを特徴とするシュートを提供するものである。
【0032】
本発明は、上記の課題を解決するための第22の手段として、上記第1乃至第21のいずれかの解決手段において、被処理物が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤の薬剤であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、上記のように、複数のロッド等の緩衝部材を上下左右に重ねて配置して、落下する被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させているため、斜面を滑走させて搬送する場合と比べて、シュートと被処理物との接触機会が低減するので、錠剤等の破損を防止することができると同時に、充分な落下速度を確保することができるため、被処理物を効率良く移送することができる実益がある。
【0034】
この場合、特に、本発明によれば、上記のように、水平方向に配置された複数のロッド等の緩衝部材により、被処理物を分散して落下させることができるため、大量の被処理物であっても、効率良く落下させることができると同時に、被処理物同士の干渉をも低減して、被処理物同士の接触による破損をも防止することができる実益がある。
【0035】
同時に、上下方向に配置された複数のロッド等の緩衝部材により、所定の距離毎に落下させているため、長距離にわたって落下させる場合に比べて、落下による緩衝部材への衝突の際に被処理物に加わる衝撃を低減することができ、充分な落下速度を確保しつつ被処理物の破損を防止することができる実益がある。
【0036】
また、本発明によれば、上記のように、ロッドに少なくとも一部に曲面状の周面を形成しているため、被処理物を衝突させつつ、下方のロッドに向けて確実に落下させて、充分な落下速度を確保することができる実益がある。
【0037】
更に、本発明によれば、上記のように、上下の緩衝部材間の間隔、即ち、被処理物の緩衝部材への衝突後の次の緩衝部材への1回当たりの落下距離や、緩衝部材の幅(ロッドの場合には直径)、ひいては、水平方向における緩衝部材間の間隔(被処理物の通過幅)等を適切に調整しているため、被処理物を直下させることなく緩衝部材に確実に衝突させて被処理物の破損を防止しつつ、充分な落下速度を確保して、移送効率を向上させることができる実益がある。
【0038】
加えて、本発明によれば、複数のロッド等の緩衝部材を重ね合わせる等して適切に配置し、被処理物がシュートの投入口から排出口までにわたって直下しないように設定しているため、被処理物を緩衝部材に確実に衝突させて、落下衝撃を低減することができる実益がある。
【0039】
その他、本発明によれば、上記のように、ロッド等の緩衝部材を水平方向に移動可能に設置しているため、落下させるべき被処理物の大きさに合わせて、緩衝部材間の水平方向における距離や個数を適切に設定することができる実益がある。
【0040】
同様に、本発明によれば、上記のように、ロッド等の緩衝部材を上下方向に移動可能に設置しているため、落下させるべき被処理物の大きさに合わせて、緩衝部材間の上下方向における距離、ひいては、被処理物の1回当たりの落下距離や、個数を適切に設定することができる実益がある。
【0041】
本発明によれば、上記のように、ロッド等の緩衝部材をシュート本体に着脱自在に取り付けているため、シュート全体を分解して容易に清掃することができ、衛生を保持することができると同時に、複数のロッド等の緩衝部材をシュート本体の任意の位置に取り付けることにより、又は、任意の大きさの緩衝部材と交換することにより、落下させるべき被処理物の大きさに合わせて、緩衝部材間の距離を適切に設定することができる実益がある。
【0042】
本発明によれば、上記のように、ロッド等の緩衝部材を、充分な機械的強度を有しつつ、耐摩耗性に優れるポリオキシメチレン(商品名ジュラコン(登録商標))等のポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン(登録商標))等のフッ素樹脂等のプラスチック製材料から形成しているため、被処理物の繰り返しの衝突による剥離等が生じることがなく、衛生を適切に保持することができると同時に耐久性を賦与することができる上に、金属製材料から形成する場合と異なり、被処理物の衝突による衝撃音も低減することができる実益がある。
【0043】
本発明によれば、上記のように、シュート本体をポリカーボネート等の透明な材料等から形成することにより、シュート本体が透光性を有しているため、外部から移送状況を確認することができ、目詰まり等の障害が発生した場合に迅速に対応することができ、メンテナンスが容易となる実益がある。
【0044】
本発明によれば、上記のように、シュート本体は、特定の波長の光線のみ遮断する特定色を有しているため、被処理物が、特に薬剤等である場合には、光線による薬剤の変性を抑制しつつ、薬剤を適切に移送することができる実益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1乃至図3は、本発明のシュート10を示し、このシュート10は、図4に示すように、ホッパー1等の投入装置に連結されて、被処理物を落下させながら次工程等に移送するものである。従って、被処理物は、シュート10内を落下しながら通過する。なお、このシュート10は、落下移送を目的とすれば、その設置形態に特に限定はなく、図示したホッパー1等と連結する設置形態の他、例えば、被処理物の各工程間を直接連結する連結通路として設置することもできる。
【0046】
また、このシュート10により落下移送すべき被処理物は、固形物であれば、特に限定はないが、図5に示すように、特に、糖衣錠等のレンズ状の錠剤2や、その他カプセル剤、顆粒剤、丸剤の薬剤や、同様の形状を有する食品等の落下移送に適している。なお、この被処理物である固形物の形状にも特に限定はないが、レンズ状、紡錘状、円筒状若しくは球状である被処理物や、少なくとも角部等の一部に曲面を有する形状の被処理物であれば、本発明の効果を最大限に発揮することができる。また、これらの被処理物である固形物の大きさにも、特に限定はないが、一般に落下による移送の対象となる大きさ、例えば、水平方向における最大幅が、3mm〜30mmのものを対象とし、図示の実施の形態のように、被処理物が錠剤2等の薬剤である場合には、通常は、5mm〜15mm程度の大きさ、カプセル剤であれば、通常は、8mm〜25mm程度の大きさとなる。
【0047】
なお、本発明において、「被処理物の水平方向における最大幅」とは、被処理物を水平面に自然に静置させたとき、その水平面と平行な面における被処理物の横断面のうち、最大の断面積となる部分における水平方向の幅のうちの最大長さをいう。また、「被処理物の鉛直方向における最大厚み」とは、同様に、被処理物を水平面に自然に静置させたとき、その水平面からの垂直方向の最大長さをいう。従って、例えば、被処理物の形状が真円状であれば、「被処理物の鉛直方向における最大厚み」と「被処理物の水平方向における最大幅」は、その真円の直径として同一となる。
【0048】
このシュート10は、図1乃至図3に示すように、錠剤2等の被処理物が通過する落下通路12を形成するシュート本体14と、落下通路12を横断するようにシュート本体14に取り付けられた複数の緩衝部材16とを備えている。
【0049】
<1.シュート本体>
シュート本体14は、図1乃至図3に示すように、内部に略矩形状の空間、即ち、被処理物の落下通路12を形成する4面パネルから形成され、少なくとも前面パネル14Aを、略コの字状の形状を有する他の3面パネルにボルト15等の適宜の手段により着脱自在に取り付けられている。
【0050】
従って、この前面パネル14Aを取り外すことにより、内部の落下通路12にアクセスすることができるため、シュート本体14内部のメンテナンスが容易となると同時に、シュート10を分解して、清掃作業を行うことが容易となり、衛生を簡易に保持することができる。また、この前面パネル14Aの着脱により、後述する緩衝部材16のシュート本体14への着脱作業も容易に行うことができ、更には、この前面パネル14A等を取り付けるべき緩衝部材16の寸法等に合わせて適宜交換することにより、種々の被処理物の落下移送に適切に対応することもできる。なお、このシュート本体14の大きさは、被処理物の種類や大きさや設置箇所、被処理物の個数等に合わせて適宜設定すれば足りるが、錠剤2等の薬剤の処理を例とした図示の実施の形態においては、幅130mm前後、高さ160mm前後、奥行90mm前後、肉厚10mm前後とすることができる。
【0051】
このシュート本体14は、透光性を有することが望ましい。具体的には、透明な材料からシュート本体を形成することにより対応することができる。これにより、シュート10の外部から、錠剤2等の被処理物の移送状況を確認することができ、目詰まり等の障害が発生した場合に迅速に対応することができ、メンテナンスが容易となる。
【0052】
この場合、シュート本体14として、充分な強度を確保しつつ、同時に透光性を確保するためには、具体的には、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートからシュート本体14を形成することが好ましい。その他、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等も透明であるため、シュート本体14の材料として使用することができる。なお、必ずしも透光性を確保することが必要でない場合には、ステンレス等の金属製材料からシュート本体14を形成することもできる。
【0053】
また、このシュート本体14には、特定の波長の光線を遮断する特定色を付与することができる。シュート本体14に、上記の透光性と同時に特定色を付与する場合には、シュート本体14を有色透明とすることにより、対応することができる。これにより、被処理物が、特に錠剤2等の薬剤等である場合には、薬剤用の有色透明の瓶等と同様に、光線による錠剤2等の薬剤の変性を抑制しつつ、薬剤を適切に移送することができる。
【0054】
なお、このシュート本体14には、図1乃至図3に示すように、シュート10を他の設備に取り付けるための取付具18を設置することができる。また、このシュート本体14は、上方に落下通路12の入り口となる投入口12Aが、下方に落下通路12の出口となる排出口12Bが、開口して形成されている。この場合、排出口12Bには、図2に特に示すように、錠剤2等の被処理物を所定方向に向けて排出する傾斜部材14Bを形成すると、被処理物を適切に排出して、その後の被処理物の処理を円滑に行うことができ、好ましい。
【0055】
<2.緩衝部材>
一方、複数の緩衝部材16は、図1乃至図5に示すように、水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されて、落下する錠剤2等の被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送する。従って、本発明のシュート10では、錠剤2等の被処理物を斜面を滑走させて搬送する場合と比べて、シュート10と錠剤2等の被処理物との接触機会が低減するので、錠剤2等の破損を防止することができると同時に、充分な落下速度を確保することができるため、被処理物を効率良く移送することができる。
【0056】
この緩衝部材16は、錠剤2等の被処理物を、所定の距離毎に衝突させながら、即ち、斜面を滑走させて錠剤2等の被処理物を移送するのではなく、緩衝部材16への衝突を繰り返しながら、落下させることができれば、特に、その形態に限定はないが、図1乃至図5に示すように、ある程度の直径を有するロッド20とすることが、最も望ましい。
【0057】
この場合、このロッド20は、錠剤2等の被処理物と衝突しつつ、錠剤2等の被処理物を確実に下方に、即ち、下段の緩衝部材16であるロッド20に送るために、少なくとも一部に曲面状の周面を有することが望ましい。具体的には、図1乃至図5に示すように、断面が円形状のロッド20とすることが望ましいが、その他、断面が、楕円形状、あるいは、頂点が円弧状に形成された三角形状等のロッド20とすることもできる。
【0058】
これらの複数のロッド20、具体的には、図示の実施の形態では、図1に示すように、段によって5本又は6本のロッド20が、水平方向に所定の間隔毎に、平行に並べて配置されている。これにより、まず、錠剤2等の被処理物の落下通路12内における落下流路が分岐されるため、落下通路12に大量に投入された場合でも、錠剤2等の被処理物が分散されて、効率良く落下させることができると同時に、錠剤2等の被処理物同士の干渉をも低減して、錠剤2等の被処理物同士の接触による破損をも防止することができる。なお、水平方向におけるロッド20の本数、即ち、1段毎におけるロッド20の本数は、図示の本数に限定されるものではなく、被処理物の種類や大きさ、形状等の必要に応じて適宜の本数に設定することができる。
【0059】
また、このようにして水平方向に配置された複数のロッド20を、図1乃至図5に示すように、複数段、具体的には図1に示す実施の形態では、10段設置することにより、上下方向に所定の間隔毎に配置される。これらの上下方向に配置された複数のロッド20は、所定の間隔毎に設置されることにより、錠剤2等の被処理物を所定の距離毎に落下させて、即ち、1回当たりの落下距離を短く設定することにより、長距離にわたって落下させる場合に比べて、落下による緩衝部材16であるロッド20への衝突の際に錠剤2等の被処理物に加わる衝撃を低減させて、充分な落下速度を確保しつつ錠剤2等の被処理物の破損を防止する役割を有する。
【0060】
従って、これらの複数の緩衝部材16であるロッドは、第1に、錠剤2等の被処理物が確実に衝突して、落下する錠剤2等の被処理物が、シュート10の投入口12Aから排出口12Bまでにわたって直下する直下通路部分が形成されないように配置する。
【0061】
具体的には、図1乃至図3及び図5に示すように、緩衝部材16である複数のロッドを、上下方向の各段毎に、上下の他段のロッド20とは水平方向の位置をずらして配置することにより対応することができる。即ち、特に図5に示すように、とある段における水平方向における複数のロッド20間の間隙の下方に、下段のロッド20が位置するように設置する。これにより、錠剤2等の被処理物は、いずれの落下流路を通過しても、必ず、いずれかのロッド20に衝突することができる。
【0062】
もっとも、この場合、直下通路を閉塞するためには、緩衝部材16であるロッド20の配置だけではなく、緩衝部材16の水平方向の幅、即ち、図示の実施の形態のように、緩衝部材16が円形状のロッドである場合には、その直径との関係や、緩衝部材16であるロッド20の水平方向における間隔との関係も考慮する必要がある。即ち、緩衝部材16の水平方向の幅があまりに狭い場合(ロッド20の直径があまりに小さい場合)や、緩衝部材16であるロッド20の水平方向における間隔(被処理物の通過流路の幅となる水平方向に配置された2つのロッド20の周面間の最短距離:図12の矢印A参照)があまりに広い場合には、上下方向で緩衝部材16であるロッド20の水平方向の位置をずらしても、直下通路が形成されて、錠剤2等の被処理物がすり抜けてしまうおそれがある。
【0063】
この場合、図6(A)に示すように、緩衝部材16であるロッド20間の水平方向における間隔が、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以下である場合には、ロッド20の直径(緩衝部材16の水平方向の幅)が細くても、上段のロッド20間を通過した錠剤2等の被処理物は下段のロッド20に必ず衝突する。また、図6(B)に示すように、緩衝部材16であるロッド20間の水平方向における間隔が、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの3倍である場合には、ロッド20の直径(緩衝部材16の水平方向の幅)が少なくとも錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚み以上であれば(図6(B)のロッド20A参照)、上段のロッド20間を通過した錠剤2等の被処理物は下段のロッド20に必ず衝突する。同様に、図6(C)に示すように、緩衝部材16であるロッド20間の水平方向における間隔が、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの4倍である場合には、ロッド20の直径(緩衝部材16の水平方向の幅)が少なくとも錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以上であれば(図6(C)のロッド20A参照)、上段のロッド20間を通過した錠剤2等の被処理物は下段のロッド20に必ず衝突する。
【0064】
即ち、各緩衝部材16の水平方向の幅(ロッド20の直径)は、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔が被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍を超えるn倍である場合(n>2)においては、少なくとも被処理物の鉛直方向における最大厚みの(n−2)倍以上とすることにより、錠剤2等の被処理物を緩衝部材16であるロッド20に確実に衝突させることができる。
【0065】
但し、この場合、各緩衝部材16の水平方向の幅(ロッド20の直径)が、緩衝部材16である複数のロッド20間の水平方向の間隔未満である場合においては(図6(B)(C)におけるロッド20A参照)、図7に示すように、緩衝部材16である複数のロッド20を、上下方向の各段毎に上下の他段の緩衝部材16であるロッド20と、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚み未満の距離をもって水平方向にずらして配置することが好ましい。これにより、錠剤2等の被処理物を、少なくとも上下方向のいずれかの段において緩衝部材16であるロッド20に確実に衝突させることができる。
【0066】
もっとも、各緩衝部材16の水平方向の幅(ロッド20の直径)が小さい場合には、必然的に、後述する緩衝部材16である上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)も大きくなる傾向があるため、望ましくは、図6(B)(C)におけるロッド20Bのように、各緩衝部材16の水平方向の幅(ロッド20の直径)は、少なくとも複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)以上とすることが望ましい。これにより、錠剤2等の被処理物を、緩衝部材16であるロッド20により確実に衝突させて、特に所定の距離毎に、即ち、上下方向の各段のロッド20毎に衝突させて落下させて、1回当たりの落下距離を短くして、錠剤2等の被処理物の破損をより効果的に防止することができる。
【0067】
第2に、この錠剤2等の被処理物を所定の距離毎に落下させることにより、落下による緩衝部材16であるロッド20への衝突の際に錠剤2等の被処理物に加わる衝撃を低減させるために、これらの複数の緩衝部材16であるロッド20は、緩衝部材16である上下のロッド20間の間隔(被処理物の通過流路の幅となる上下方向に配置された2つのロッド20の周面間の最短距離:図12の矢印B参照)を適切に設定することが望ましい。
【0068】
この場合、まず、具体的には、図8(A)のように、まずは、上段のロッド20Xと下段のロッド20Yとの間の間隔(図12の矢印B)が、被処理物である錠剤2の鉛直方向における最大厚み以上はないと、被処理物である錠剤2が下方に落下していくことができない。勿論、緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)も、少なくとも錠剤2等の被処理部物の鉛直方向における最大厚み以上の間隔であることが必要である。
【0069】
但し、落下の際の衝撃の低減に配慮するあまり、この上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)を、狭く設定することのみに着目すると、錠剤2等の被処理物の流れが円滑でなくなり、目詰まり等を起こして、処理効率が低下するおそれがある。従って、後述する実験例から解るように、この上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍以上に設定することが望ましい。このことはまた、後述する実験例から解るように、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)が比較的小さな値であっても、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)をある程度充分に確保すれば、錠剤2等の被処理物の円滑な流れを確保することができることを意味する。
【0070】
一方、図8(C)に示すように、上段のロッド20Xと下段のロッド20Yとの間の距離があまりにも大きい場合には、錠剤2等の被処理物の1回当たりの落下距離が長くなり、それだけ緩衝部材16であるロッド20に衝突した場合の錠剤2等の被処理物に加わる衝撃が大きくなり、破損の確率が高まる。従って、後述する実験例から解るように、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が、被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅以上である場合には、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)を、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下に設定することが望ましい。
【0071】
即ち、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が比較的広い場合には、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)を所定以下の値に抑えることにより、錠剤2等の被処理物の落下速度を充分に減速して、落下による衝撃を低減することができる。このことはまた、後述する実験例から解るように、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)をある程度の範囲内に制限すれば、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)をある程度広げても、衝撃を低下させるのに充分な落下速度に抑えることができることを意味する。
【0072】
なお、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下とすることが特に望まれるのは、上記の通り、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅以上と比較的広く、落下速度が速くなりがちな場合であるが、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が、比較的狭い場合、具体的には、被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅未満である場合においても、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)があまりに広い場合には、同様に十分に減速することが困難となると思われるため、上記下限値(錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍)以上としつつ、一方で、上限としては、同様に、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下とすることが望ましい。
【0073】
一方、逆に、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が比較的狭い場合、具体的には、被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅未満である場合には、被処理物である錠剤2等が目詰まりを起こして、円滑な流れにより処理効率を確保することが困難となる可能性があるため、緩衝部材16であるロッド20の高さの1/2の距離と、上段の複数の緩衝部材16であるロッド20の最下点と接する平面と次の下段の複数の緩衝部材16であるロッド20の最上点と接する面との間の鉛直距離(図12の矢印C)とを合わせた長さ(図12の矢印D)を、所定値以上、具体的には、被処理物である錠剤2等の水平方向における最大幅以上とすることが望ましい。
【0074】
即ち、間隔D(図12参照)が短すぎると、次の下段のロッド20の上に、被処理物である錠剤2等が滞留して通過流路2に入り込めない場合がある。具体的には、間隔D(図12参照)が被処理物である錠剤2等の水平方向における最大幅の1/2以下となる場合である。従って、被処理物である錠剤2等が十分円滑に流れるには、少なくとも間隔D(図12参照)が被処理物である錠剤2等の水平方向における最大幅の1/2を超える必要があり、より円滑な流れを確保するには、被処理物である錠剤2等の水平方向における最大幅以上とすることが望ましい。
【0075】
一方、間隔D(図12参照)があまりに長すぎると、被処理物の減速効果による落下衝撃の低減効果が薄れるおそれがあるため、間隔D(図12参照)は、被処理物の水平方向における最大幅の3倍以下とすることが好ましく、より望ましくは2倍以下とする。後述する実験例においても、被処理物の水平方向における最大幅の1.78倍で十分に減速することが確認されている。
【0076】
なお、被処理物の直下通路を形成しないためには、緩衝部材16であるロッド20を等間隔に配置した場合、図13に示すように、シュート本体14の側壁パネル14Cと接触しうる緩衝部材16については、ロッド20を直径方向に中心線で半分に分割した形状のロッド21を配置することができる。このロッド21の配置により、シュート本体14の側壁側で被処理物が直接落下してしまうことを防止することができる。
【0077】
また、緩衝部材16であるロッド20とシュート本体14の側面パネル14Cとの間が、被処理物である錠剤2等の水平方向における最大厚み未満である場合は、被処理物である錠剤2等が、側面パネル14C側で目詰まりを起こし流路を閉塞してしまうおそれれがある。そのため、緩衝部材16であるロッド20の水平方向における間隔(図12の矢印A)を、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以上として、複数の緩衝部材16であるロッド20、21を等間隔で配置することにより、側面パネル14Cと緩衝部材16であるロッド20間の間隔も、少なくとも錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚み以上となるため、目詰まりを起こすことなく、円滑に流れることができる。
【0078】
なお、緩衝部材16であるロッド20の水平方向における間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍未満である場合、即ち、側面パネル14Cと緩衝部材16であるロッド20間の間隔が錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚み未満となる場合であっても、図13に示すように、側面パネル14Cとロッド20、21との間の落下通路12に錠剤2等の被処理物が進入しないよう、進入防止ロッド24や斜板25等を設けて、対応することができる。
【0079】
このようにして、例えば、図8(B)に示すように、緩衝部材16である上下のロッド20間の間隔を適切に設定して、落下速度の適切な調整により錠剤2等の被処理物の破損を防止しつつ、同時に目詰まりが生じることがない円滑な流れを確保して処理効率を確保することができる。なお、図1乃至図3に示す実施の形態では、上下方向に10段のロッド20を配置したが、その設置段数に特に限定はなく、被処理物の種類や大きさ、形状、また、緩衝部材16であるロッド20の直径、更には、各工程間の距離等に応じて、適宜任意の段数に設定することができる。
【0080】
また、これらのロッド20等の緩衝部材16の材質には、特に限定はないが、充分な機械的強度を有しつつ、耐摩耗性に優れるポリオキシメチレン(商品名ジュラコン(登録商標):ポリプラスチックス株式会社製 )等のポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン(登録商標):デュポン社製)テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂等のプラスチック製材料から形成することが望ましい。これらの材質を使用することにより、錠剤2等の被処理物の繰り返しの衝突による剥離等が生じることがなく、衛生を適切に保持することができると同時に耐久性を賦与することができる上に、金属製材料から形成する場合と異なり、錠剤2等の被処理物の衝突による衝撃音も低減することができる。
【0081】
同様の意味で、ポリブチレンテレフタレート樹脂や、ポリアミド樹脂も、緩衝部材16であるロッド20の材料として好適であるといえ、その他、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等も緩衝部材16の材料として使用することができる。
【0082】
また、これらの緩衝部材16であるロッド20は、シュート本体14に着脱自在に取り付けられている。具体的には、シュート本体14に形成された差込孔に、ロッド20の端部を嵌入氏、更には、必要に応じて、ビス等の適宜の手段により固定して、取り付けることができる。これにより、シュート10全体を分解して容易に清掃することができ、衛生を保持することができると同時に、複数のロッド20等の緩衝部材16をシュート本体14の任意の位置に取り付けることにより、又は、任意の大きさの緩衝部材16と交換することにより、落下させるべき錠剤2等の被処理物の大きさに合わせて、緩衝部材16間の距離を適切に設定することができる。
【0083】
<3.その他の実施の形態>
なお、図1乃至図8に示す実施の形態においては、緩衝部材16である複数のロッド20を、その軸線がすべて同方向を向くようにして配置したが、必ずしもこの形態に限定されるものではなく、錠剤2等の被処理物の破損を防止しつつ、円滑な流れによる充分な落下速度を確保することができれば、図9(A)乃至(C)に示すように、緩衝部材16である複数のロッド20の軸線が、上下方向の各段毎に交互に直交するように、配置することもできる。
【0084】
また、この場合、必ずしも、緩衝部材16である複数のロッド20の軸線を直交させる必要はなく、図9(D)に示すように、複数のロッド20の軸線を直角以外の角度で交差するように配置することもできる。
【0085】
更に、上記図示したいずれの実施の形態においても、上下方向の各段毎の複数のロッド20は、水平方向に平行に配列したが、錠剤2等の被処理物の流れを分散させつつ、錠剤2等の被処理物の排出口12Bまでの直下を防止することができれば、ハの字状等、多少の角度を設定して配置することもできる。
【0086】
同様に、図示の実施の形態では、いずれも緩衝部材16である複数のロッド20間の間隔は、均等に設置されているのが示されているが、錠剤2等の被処理物の破損を防止しつつ、充分な落下速度を確保することができれば、必ずしも均等とする必要はなく、上下左右を問わず各緩衝部材16間毎に間隔を異なるように配置することもできる。
【0087】
なお、緩衝部材16であるロッド20は、図10及び図11に示すように、水平方向に移動可能に設置することもできる(図10の矢印A参照)。具体的には、図10及び図11に示すように、シュート本体14に、ロッド20の端部を変位可能に支持する長孔22を形成し、ロッド20の端部を長孔22の任意の位置で固定することにより対応することができる。この場合、この長孔22は、シュート本体14自体に形成することもできるが、図10に示すように、長孔22が形成された桟23を介して、シュート本体に取り付けることもできる。これにより、落下させるべき錠剤2等の被処理物の大きさに合わせて、上述した緩衝部材16である複数のロッド20間の水平方向の距離(間隔)や個数を適切に設定、調整することができる。
【0088】
同様に、緩衝部材16であるロッド20は、図10及び図11に示すように、上下方向に移動可能に設置することもできる(図10及び図11の矢印B参照)。具体的には、図10及び図11に示すように、緩衝部材16であるロッド20を支持する桟23自体をシュート本体14に上下に変位可能に取り付け、任意の位置で固定することにより対応することができる。この場合、桟23を介して上下方向に移動可能とすることにより、上述した長孔22と併せて、緩衝部材16であるロッド20を水平方向及び上下方向のいずれへの変位をも可能とすることができる。もっとも、必ずしも水平方向への移動をを要しない場合には、シュート本体14自体に、シュート本体の上下方向に伸びるようにして形成され、ロッド20の端部を変位可能に支持する長孔22を形成することにより対応することもできる。これにより、落下させるべき錠剤2等の被処理物の大きさに合わせて、上述した緩衝部材16である複数のロッド20間の上下方向の距離の距離(間隔)、即ち、錠剤2等の被処理物の1回当たりの落下距離や個数を適切に設定、調整することができる。
【0089】
加えて、図示の実施の形態では、緩衝部材16が、ロッド20であるのが示されているが、緩衝部材16は、同様に、錠剤2等の被処理物の破損を防止しつつ、円滑な流れによる充分な落下速度を確保することができれば、特に限定はなく、他に、例えば、軸を中心に回転する回転板の如き形態とすることもできる。
【0090】
<4.移送方法>
以上の本発明のシュート10の使用方法、即ち、本発明のシュート10を使用した錠剤2等の被処理物の移送方法について説明すると、図5に示すように、錠剤2等の被処理物を落下によりシュート10内を通過させて移送する被処理物の移送方法であって、シュート本体14の内部に形成された落下通路12内に、落下通路12を横断するようにして水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されたロッド20等の複数の緩衝部材16に落下する錠剤2等の被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送する。
【実施例】
【0091】
本発明のシュート10において、緩衝部材16であるロッド20間の適切な間隔を求めるために設定した幾つかの実験例について説明する。具体的には、ロッド20間の間隔を下記の表1に示す値に設定した実験例1〜実験例10のシュート10に、試料として鉛直方向における最大厚みが4.0mm、水平方向における最大幅(直径)7.3mmの糖衣錠(断面楕円形状)を100錠投入し、その流れ状態(目詰まりの発生と減速状態)を確認した。なお、いずれの実験例においても、緩衝部材16であるロッド20は、直径16mmの断面が円形のロッド20とした。また、このロッド20は、ポリオキシメチレン(商品名ジュラコン(登録商標))から形成した。
【0092】
【表1】
【0093】
この表1から解るように、実験例3を除き、ロッド20間で目詰まりは発生しなかった。この場合、実験例1〜実験例10までの中で、実験例3とそれ以外の実験例との違いに着目すると、実験例3では、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が他の実験例より狭く、試料である錠剤2の鉛直方向における最大厚みと同じである。一方、実験例3に次いで上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)の値が小さい実験例7に着目すると、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)は、試料である錠剤2の鉛直方向における最大厚みの1.125倍であるにもかかわらず、良好な流れ状態を確保している。
【0094】
このことから、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍以上に設定すれば、良好な流れ状態を確保する上で望ましいことが判明した。
【0095】
また、この場合、特に、実験例3と実験例7との比較から解るように、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が比較的狭くても、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)を錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅以上とすれば、良好な流れ状態を確保することができるともいえる。但し、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が大きい場合において、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)もあまりに大きい場合においては、目詰まりは発生しないものの落下速度の上昇による落下衝撃の低減が十分に確保できないおそれがある。
【0096】
そこで、次に、この表1において、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅(直径)以上である実験例4〜実験例10までに、着目したところ、実験例10を除き、ロッド20間で目詰まりは発生せず、また、落下速度も落下による衝撃を低減するのに十分な速度に減速されていた。この場合、実験例4〜実験例10までの中で、実験例10とそれ以外の実験例との違いに着目すると、実験例10では、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が他の実験例より大きい。一方、実験例10に次いで上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)の値が大きい実験例8に着目すると、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)は、試料である錠剤2の鉛直方向における最大厚みの2.175倍であるにもかかわらず、良好な流れ状態を確保している。
【0097】
このことから、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅以上である場合には、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下に抑えれば、良好な流れ状態を確保する上で望ましいことが判明した。実際、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅(直径)以上である実験例4〜実験例10のうち、この条件を満たさない実験例10以外においては、全ての実験例において良好な流れ状態を実現できていることからも裏付けられる。
【0098】
なお、この場合、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅(直径)未満である実験例1〜実験例3においても、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔が下限値である錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍未満である実験例3を除き、いずれの実験例においても、同様に、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下であり、十分に良好な流れ状態を実現することができた。このことから、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅(直径)未満である場合においても、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔については、上記下限値(錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍)以上としつつ、一方で、上限値として、同様に、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下設定することが望ましい。
【0099】
なお、上記実験例1〜10のうち、実施例3及び実験例10を除く、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)及び上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)に関する条件を満たす実験例においては、間隔D(図12の矢印D参照)は、全て被処理物の水平方向における最大幅の1.78倍以下である。また、実験例1〜10のうち、実験例7〜9は側面パネル14Cとロッド20間でも詰まりは見られなかった。これらの実験例では、側面パネル14Cとロッド20間の距離(複数のロッド20間の水平方向の距離(図12の矢印A)の1/2に等しい)が、被処理物である錠剤2の鉛直方向における最大厚みを超えていることによるものであると考えられる。
【0100】
上記実験より、実験例3、実験例10以外の上記の条件を満たす実験例であれば、目詰まりの発生を防止すると共に落下衝撃を低減するのに十分な速度に減速して良好な流れ状態を確保する上で望ましいことが判明したため、次にこの条件を満たす範囲内でロッド20間の間隔を下記の表2のように設定した本発明の実施例1〜実施例4と、上記の条件を満たさない比較例を設定して、その効果を確認した。
【0101】
【表2】
【0102】
具体的には、表2を表1と比べると解るように、実施例1は、表1の実験例1に相当し、実施例2は、表1の実施例8に相当する。また、比較例は、表1における実験例10に相当する。なお、シュート10全体の長さ(高さ)は、160mmであった(最上段のロッド20から最下段のロッド20の可鍛までの距離は79mm)。まず、これらの実施例1、2及び比較例について、試料として、上記実験例と同じく、鉛直方向における最大厚みが4.0mm、水平方向における最大幅(直径)7.3mmの糖衣錠(断面楕円形状)を1錠、10回にわたりこれらの実施例及び比較例に投入して、その平均の落下時間をを求めた。その結果、表2に示すように、比較例においては、30msec(0.03s)と、殆ど減速されない状態であったのに対し、実施例1、2においては、100msec(0.1s)と比較例に比し約3倍程度減速され、落下衝撃を十分に低減することができるといえる。勿論、この落下速度は、効率良い処理をする上では、十分な速度であるといえる。
【0103】
一方、実施例3及び実施例4として、表2に示すように、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)を9mm(錠剤2の水平方向における最大幅以上で、かつ、錠剤2の鉛直方向における最大厚みの2.25倍)、上段の複数の緩衝部材16であるロッド20の最下点と接する平面と次の下段の複数の緩衝部材16であるロッド20の最上点と接する面との間の鉛直距離(図12の矢印C)を4mm(錠剤2の鉛直方向における最大厚みの1倍)に設定したシュート10を製造した。これらの実施例3及び実施例4においては、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の錠剤2の水平方向における最大幅以上で、かつ、鉛直方向における最大厚みの2倍以上であるため、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下、具体的には、錠剤2の鉛直方向における最大厚みの1.89倍に設定されており、上記条件を満たす範囲内に設定されている。
【0104】
この場合において、実施例3においては、上記の試料である錠剤2を12000錠/分、実施例4においては、上記の試料である錠剤2を45000錠/分、それぞれ3回にわたり繰り返し投入し、流れの状態及び被処理物への破損の影響を確認した。
【0105】
その結果、実施例3及び実施例4のいずれにおいても、上記の表2に示すように、錠剤2がシュート10内で目詰まりすることなく、全て適正に排出され、また、錠剤2の破損や摩耗は一切発見されなかった。これは、錠剤2の流路が分散されると共に、短距離落下の繰り返しにより落下による衝撃が低減されたためであると思われる。なお、この場合、実施例3においては、錠剤2の流れに隙間があり、また、実施例4においては隙間がないものの目詰まりを起こすことはなく、円滑に、かつ、充分な落下速度を持って効率よく、錠剤2を移送させることができた。これにより、本発明のシュート10によれば、大量の被処理物を落下移送させても、破損等が生じることがないことが確認された。
【0106】
また、この場合、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下であれば、間隔C(図12参照)が落下するために必要な最低限の幅(錠剤の鉛直方向における最大厚みの1倍)でも、円滑に処理できることも判明した。なお、上記のいずれの実験例、実施例においても、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)及び上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が決定されれば、緩衝部材16であるロッド20の上下方向の各段毎の間隔(図12の矢印C参照)は、必然的に決定する。換言すれば、この緩衝部材16であるロッド20の上下方向の各段毎の間隔(図12の矢印C参照)を設定してから、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)や、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)を適切な値に設定することができる。この場合、上記の通り、ロッド20を上下左右に移動可能とすれば、各ロッド20間の間隔を、迅速かつ円滑に、適切な値に調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明のシュートは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤の薬剤等の工程間等の落下移送の他、同様の固形物である食品等の落下移送にも、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明のシュートの概略正面図である。
【図2】本発明のシュートの概略側面図である。
【図3】本発明のシュートの概略平面図である。
【図4】本発明のシュートの設置状態の一例を示す概略斜視図である。
【図5】図5は本発明のシュートに使用されるロッドの配置状態を示し、同図(A)はその正面図、同図(B)はその側面図である。
【図6】本発明のシュートに使用されるロッドの直径と被処理物の幅との関係を示す正面図である。
【図7】本発明のシュートの他の実施の形態において使用されるロッドの直径と被処理物の幅との関係を示す正面図である。
【図8】本発明のシュートに使用されるロッドの上下方向における距離と被処理物の幅との関係を示す正面図である。
【図9】本発明のシュートに使用されるロッドの他の実施の形態における配置状態を示す図である。
【図10】本発明のシュートに使用されるロッドの他の実施の形態におけるシュート本体への取付状態を示す正面図である。
【図11】本発明のシュートに使用されるロッドの図10に示す実施の形態におけるシュート本体への取付状態を示す側面図である。
【図12】本発明のシュートに使用されるロッド間の関係を示す正面図である。
【図13】本発明のシュートにおける側面におけるロッドの配置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0109】
1 ホッパー
2 錠剤
10 シュート
12 落下通路
12A 投入口
12B 排出口
14 シュート本体
14A 前面パネル
14B 傾斜部材
14C 側面パネル
15 ボルト
16 緩衝部材
18 取付具
20 ロッド
21 ロッド
22 長孔
23 桟
24 進入防止ロッド
25 斜板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、錠剤や、カプセル剤等の固形状の薬剤等を、落下させて次工程へ移送するシュートの改良に関し、特に、薬剤等の被処理物の損傷を防止しつつ、被処理物を効率良く移送させることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、医薬品の製造においては、錠剤等の固形物については、これらの固形物を、各処理工程間において落下通路を有するシュート内を通過させて次工程に移送させている。この場合、落下の際の衝撃により、例えば、糖衣錠の糖衣部分が割れたり剥がれたりする等して錠剤に欠損や破損が生じるのを防止するため、各種の緩衝手段を設けることが多い。
【0003】
その一つとして、シュート内に螺旋状のガイドを形成して、被処理物を、このガイド上を滑走させることにより、直下させた場合に比し、落下速度を低下させて、落下衝撃を低減することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、この従来技術では、シュートの入り口から出口に至るまでの間、ガイド上を滑走するため、錠剤等の被処理物と滑走面との間の接触時間が長く、摩擦により錠剤等の被処理物の表面が摩耗するおそれがある。また、移送する被処理物の量や個数が多い場合には、被処理物が重なり合う等して、被処理物自体の全体の重量が被処理物に負荷を与えて錠剤等の被処理物の破損の原因のとなるおそれがあり、特に、移送の初期段階において重量の負荷の影響が大きく、破損が生じやすい傾向があった。加えて、シュート内部の螺旋状のガイドを洗浄することは容易ではなく、衛生面からも難点が存在した。
【0005】
この点、シュート内において偏心して配置された漏斗状部材により減速させながら、錠剤等の被処理物を落下させる技術も提案されており(例えば、特許文献2参照)、この技術によれば、被処理物の滑走時間は短縮することができる。
【0006】
しかし、この技術では、各漏斗状部材の斜面への落下衝突時の衝撃が大きく、錠剤が破損するおそれを充分に回避できない問題があった。また、その結果、斜面への衝突音も大きく、別途、防音対策を講じる必要もあった。この場合、漏斗状部材の斜面をウレタンフォーム・ラバーで被覆する等して対応することも考えられるが、落下衝撃を繰り返し受け止めているうちに、長い使用期間が経過すると、ラバーの素材が剥離するおそれがあり、衛生上安全的とはいえない問題が生ずる。何よりラバー等で被覆すると、被処理物とラバーとの間の滑り抵抗が大きくなり、移送に長時間を要する等移送効率が低下すると同時に、錠剤等の被処理物の表面も摩耗しやすくなるおそれがある。
【0007】
一方、シュートを可撓性を有するチューブから形成して、前記チューブを一対の押圧体により押圧して、又は、押圧を解除してチューブの開閉動作を段階的に繰り返して、あるいは、一対の押圧体のうち一方の押圧体のみを押圧することによりチューブをジグザグ状に開放して、被処理物を落下移送させることも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
この従来技術によれば、錠剤等の被処理物の破損は防止できる可能性が高いが、一方で、被処理物のシュートの排出口までの移送に時間を要する問題がある。このため、特に、大量の被処理物を、効率良く移送することができない。加えて、可撓性を有するチューブの経年劣化が早く訪れ、耐久性に欠けるとともに、チューブの素材が剥離等して被処理物に混在するおそれもあり、必ずしも衛生面で適切ではない問題があった問題もあった。
【0009】
上記のように、従来のシュートでは、錠剤等の被処理物の破損を適切に防止しつつ、短時間で効率良く、かつ、衛生的に被処理物を落下移送させることができるシュートは提案されていなかったのが実状である。
【特許文献1】特開平7−2326号公報
【特許文献2】特開平11−255334号公報
【特許文献3】特開2000−198548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、錠剤等の被処理物の破損を適切に防止しつつ、短時間で効率良く、かつ、衛生的に被処理物を落下移送させることができるシュートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、被処理物が落下して通過するシュートであって、このシュートは被処理物が通過する落下通路を形成するシュート本体と、落下通路を横断するようにシュート本体に取り付けられた複数の緩衝部材とを備え、複数の緩衝部材は、水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されて、落下する被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送することを特徴とするシュートを提供するものである。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、緩衝部材は、少なくとも一部に曲面状の周面を有するロッドであることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、複数の衝撃部材は、上下方向の各段毎に、上下の他段の緩衝部材とは水平方向の位置をずらして配置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、複数の緩衝部材は、上下方向の各段毎に水平方向には平行に配置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第1乃至第4のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、落下する被処理物がシュートの投入口から排出口までにわたって直下する直下通路部分が形成されないように配置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第1乃至第5のいずれかの解決手段において、各緩衝部材の水平方向の幅は、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(被処理物の通過流路の幅となる水平方向に配置された2つの緩衝部材間の周面間の最短距離:図12の矢印A参照)が被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍を超えるn倍である場合において、少なくとも被処理物の鉛直方向における最大厚みの(n−2)倍以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第1乃至第6のいずれかの解決手段において、各緩衝部材の水平方向の幅は、少なくとも複数の緩衝部材間の水平方向の間隔以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第1乃至第7のいずれかの解決手段において、各緩衝部材の水平方向の幅が、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔未満である場合には、複数の緩衝部材を、上下方向の各段毎に上下の他段の緩衝部材と被処理物の鉛直方向における最大厚み未満の距離をもって水平方向にずらして配置することを特徴とするシュートを提供するものである。
【0019】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第1乃至第8のいずれかの解決手段において、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)及び上下の緩衝部材間の間隔(被処理物の通過流路の幅となる上下方向に配置された2つのロッド20の周面間の最短距離:図12の矢印B参照)が、少なくとも被処理物の鉛直方向における最大厚みを越えることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0020】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第9の解決手段において、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、被処理物の水平方向における最大幅以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0021】
本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、上記第10の解決手段において、上下の緩衝部材間の間隔が、被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0022】
本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、上記第9の解決手段において、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、被処理物の水平方向の最大幅未満である場合には、緩衝部材の高さの1/2の距離と、上段の複数の緩衝部材の最下点と接する平面と次の下段の複数の緩衝部材の最上点と接する面との間の鉛直距離(図12の矢印C)とを合わせた長さ(図12の矢印D)が、被処理物の水平方向における最大幅以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0023】
本発明は、上記の課題を解決するための第13の手段として、上記第12の解決手段において、上段の複数の緩衝部材の最下点と接する平面と次の下段の複数の緩衝部材の最上点と接する面との間の鉛直距離とを合わせた長さ(図12の矢印D)が、被処理物の水平方向における最大幅の3倍以下であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0024】
本発明は、上記の課題を解決するための第14の手段として、上記第9乃至第13のいずれかの解決手段において、上下の緩衝部材間の間隔が、被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0025】
本発明は、上記の課題を解決するための第15の手段として、上記第9乃至第14のいずれかの解決手段において、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以上であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0026】
本発明は、上記の課題を解決するための第16の手段として、上記第1乃至第15のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、水平方向に移動可能に設置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0027】
本発明は、上記の課題を解決するための第17の手段として、上記第1乃至第16のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、上下方向に移動可能に設置されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0028】
本発明は、上記の課題を解決するための第18の手段として、上記第1乃至第17のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂その他のプラスチック製材料から形成されていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0029】
本発明は、上記の課題を解決するための第19の手段として、上記第1乃至第18のいずれかの解決手段において、緩衝部材は、シュート本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするシュートを提供するものである。
【0030】
本発明は、上記の課題を解決するための第20の手段として、上記第1乃至第19のいずれかの解決手段において、シュート本体は、透光性を有することを特徴とするシュートを提供するものである。
【0031】
本発明は、上記の課題を解決するための第21の手段として、上記第1乃至第20のいずれかの解決手段において、シュート本体は、特定の波長の光線を遮断する特定色を有することを特徴とするシュートを提供するものである。
【0032】
本発明は、上記の課題を解決するための第22の手段として、上記第1乃至第21のいずれかの解決手段において、被処理物が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤の薬剤であることを特徴とするシュートを提供するものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、上記のように、複数のロッド等の緩衝部材を上下左右に重ねて配置して、落下する被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させているため、斜面を滑走させて搬送する場合と比べて、シュートと被処理物との接触機会が低減するので、錠剤等の破損を防止することができると同時に、充分な落下速度を確保することができるため、被処理物を効率良く移送することができる実益がある。
【0034】
この場合、特に、本発明によれば、上記のように、水平方向に配置された複数のロッド等の緩衝部材により、被処理物を分散して落下させることができるため、大量の被処理物であっても、効率良く落下させることができると同時に、被処理物同士の干渉をも低減して、被処理物同士の接触による破損をも防止することができる実益がある。
【0035】
同時に、上下方向に配置された複数のロッド等の緩衝部材により、所定の距離毎に落下させているため、長距離にわたって落下させる場合に比べて、落下による緩衝部材への衝突の際に被処理物に加わる衝撃を低減することができ、充分な落下速度を確保しつつ被処理物の破損を防止することができる実益がある。
【0036】
また、本発明によれば、上記のように、ロッドに少なくとも一部に曲面状の周面を形成しているため、被処理物を衝突させつつ、下方のロッドに向けて確実に落下させて、充分な落下速度を確保することができる実益がある。
【0037】
更に、本発明によれば、上記のように、上下の緩衝部材間の間隔、即ち、被処理物の緩衝部材への衝突後の次の緩衝部材への1回当たりの落下距離や、緩衝部材の幅(ロッドの場合には直径)、ひいては、水平方向における緩衝部材間の間隔(被処理物の通過幅)等を適切に調整しているため、被処理物を直下させることなく緩衝部材に確実に衝突させて被処理物の破損を防止しつつ、充分な落下速度を確保して、移送効率を向上させることができる実益がある。
【0038】
加えて、本発明によれば、複数のロッド等の緩衝部材を重ね合わせる等して適切に配置し、被処理物がシュートの投入口から排出口までにわたって直下しないように設定しているため、被処理物を緩衝部材に確実に衝突させて、落下衝撃を低減することができる実益がある。
【0039】
その他、本発明によれば、上記のように、ロッド等の緩衝部材を水平方向に移動可能に設置しているため、落下させるべき被処理物の大きさに合わせて、緩衝部材間の水平方向における距離や個数を適切に設定することができる実益がある。
【0040】
同様に、本発明によれば、上記のように、ロッド等の緩衝部材を上下方向に移動可能に設置しているため、落下させるべき被処理物の大きさに合わせて、緩衝部材間の上下方向における距離、ひいては、被処理物の1回当たりの落下距離や、個数を適切に設定することができる実益がある。
【0041】
本発明によれば、上記のように、ロッド等の緩衝部材をシュート本体に着脱自在に取り付けているため、シュート全体を分解して容易に清掃することができ、衛生を保持することができると同時に、複数のロッド等の緩衝部材をシュート本体の任意の位置に取り付けることにより、又は、任意の大きさの緩衝部材と交換することにより、落下させるべき被処理物の大きさに合わせて、緩衝部材間の距離を適切に設定することができる実益がある。
【0042】
本発明によれば、上記のように、ロッド等の緩衝部材を、充分な機械的強度を有しつつ、耐摩耗性に優れるポリオキシメチレン(商品名ジュラコン(登録商標))等のポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン(登録商標))等のフッ素樹脂等のプラスチック製材料から形成しているため、被処理物の繰り返しの衝突による剥離等が生じることがなく、衛生を適切に保持することができると同時に耐久性を賦与することができる上に、金属製材料から形成する場合と異なり、被処理物の衝突による衝撃音も低減することができる実益がある。
【0043】
本発明によれば、上記のように、シュート本体をポリカーボネート等の透明な材料等から形成することにより、シュート本体が透光性を有しているため、外部から移送状況を確認することができ、目詰まり等の障害が発生した場合に迅速に対応することができ、メンテナンスが容易となる実益がある。
【0044】
本発明によれば、上記のように、シュート本体は、特定の波長の光線のみ遮断する特定色を有しているため、被処理物が、特に薬剤等である場合には、光線による薬剤の変性を抑制しつつ、薬剤を適切に移送することができる実益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1乃至図3は、本発明のシュート10を示し、このシュート10は、図4に示すように、ホッパー1等の投入装置に連結されて、被処理物を落下させながら次工程等に移送するものである。従って、被処理物は、シュート10内を落下しながら通過する。なお、このシュート10は、落下移送を目的とすれば、その設置形態に特に限定はなく、図示したホッパー1等と連結する設置形態の他、例えば、被処理物の各工程間を直接連結する連結通路として設置することもできる。
【0046】
また、このシュート10により落下移送すべき被処理物は、固形物であれば、特に限定はないが、図5に示すように、特に、糖衣錠等のレンズ状の錠剤2や、その他カプセル剤、顆粒剤、丸剤の薬剤や、同様の形状を有する食品等の落下移送に適している。なお、この被処理物である固形物の形状にも特に限定はないが、レンズ状、紡錘状、円筒状若しくは球状である被処理物や、少なくとも角部等の一部に曲面を有する形状の被処理物であれば、本発明の効果を最大限に発揮することができる。また、これらの被処理物である固形物の大きさにも、特に限定はないが、一般に落下による移送の対象となる大きさ、例えば、水平方向における最大幅が、3mm〜30mmのものを対象とし、図示の実施の形態のように、被処理物が錠剤2等の薬剤である場合には、通常は、5mm〜15mm程度の大きさ、カプセル剤であれば、通常は、8mm〜25mm程度の大きさとなる。
【0047】
なお、本発明において、「被処理物の水平方向における最大幅」とは、被処理物を水平面に自然に静置させたとき、その水平面と平行な面における被処理物の横断面のうち、最大の断面積となる部分における水平方向の幅のうちの最大長さをいう。また、「被処理物の鉛直方向における最大厚み」とは、同様に、被処理物を水平面に自然に静置させたとき、その水平面からの垂直方向の最大長さをいう。従って、例えば、被処理物の形状が真円状であれば、「被処理物の鉛直方向における最大厚み」と「被処理物の水平方向における最大幅」は、その真円の直径として同一となる。
【0048】
このシュート10は、図1乃至図3に示すように、錠剤2等の被処理物が通過する落下通路12を形成するシュート本体14と、落下通路12を横断するようにシュート本体14に取り付けられた複数の緩衝部材16とを備えている。
【0049】
<1.シュート本体>
シュート本体14は、図1乃至図3に示すように、内部に略矩形状の空間、即ち、被処理物の落下通路12を形成する4面パネルから形成され、少なくとも前面パネル14Aを、略コの字状の形状を有する他の3面パネルにボルト15等の適宜の手段により着脱自在に取り付けられている。
【0050】
従って、この前面パネル14Aを取り外すことにより、内部の落下通路12にアクセスすることができるため、シュート本体14内部のメンテナンスが容易となると同時に、シュート10を分解して、清掃作業を行うことが容易となり、衛生を簡易に保持することができる。また、この前面パネル14Aの着脱により、後述する緩衝部材16のシュート本体14への着脱作業も容易に行うことができ、更には、この前面パネル14A等を取り付けるべき緩衝部材16の寸法等に合わせて適宜交換することにより、種々の被処理物の落下移送に適切に対応することもできる。なお、このシュート本体14の大きさは、被処理物の種類や大きさや設置箇所、被処理物の個数等に合わせて適宜設定すれば足りるが、錠剤2等の薬剤の処理を例とした図示の実施の形態においては、幅130mm前後、高さ160mm前後、奥行90mm前後、肉厚10mm前後とすることができる。
【0051】
このシュート本体14は、透光性を有することが望ましい。具体的には、透明な材料からシュート本体を形成することにより対応することができる。これにより、シュート10の外部から、錠剤2等の被処理物の移送状況を確認することができ、目詰まり等の障害が発生した場合に迅速に対応することができ、メンテナンスが容易となる。
【0052】
この場合、シュート本体14として、充分な強度を確保しつつ、同時に透光性を確保するためには、具体的には、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートからシュート本体14を形成することが好ましい。その他、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等も透明であるため、シュート本体14の材料として使用することができる。なお、必ずしも透光性を確保することが必要でない場合には、ステンレス等の金属製材料からシュート本体14を形成することもできる。
【0053】
また、このシュート本体14には、特定の波長の光線を遮断する特定色を付与することができる。シュート本体14に、上記の透光性と同時に特定色を付与する場合には、シュート本体14を有色透明とすることにより、対応することができる。これにより、被処理物が、特に錠剤2等の薬剤等である場合には、薬剤用の有色透明の瓶等と同様に、光線による錠剤2等の薬剤の変性を抑制しつつ、薬剤を適切に移送することができる。
【0054】
なお、このシュート本体14には、図1乃至図3に示すように、シュート10を他の設備に取り付けるための取付具18を設置することができる。また、このシュート本体14は、上方に落下通路12の入り口となる投入口12Aが、下方に落下通路12の出口となる排出口12Bが、開口して形成されている。この場合、排出口12Bには、図2に特に示すように、錠剤2等の被処理物を所定方向に向けて排出する傾斜部材14Bを形成すると、被処理物を適切に排出して、その後の被処理物の処理を円滑に行うことができ、好ましい。
【0055】
<2.緩衝部材>
一方、複数の緩衝部材16は、図1乃至図5に示すように、水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されて、落下する錠剤2等の被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送する。従って、本発明のシュート10では、錠剤2等の被処理物を斜面を滑走させて搬送する場合と比べて、シュート10と錠剤2等の被処理物との接触機会が低減するので、錠剤2等の破損を防止することができると同時に、充分な落下速度を確保することができるため、被処理物を効率良く移送することができる。
【0056】
この緩衝部材16は、錠剤2等の被処理物を、所定の距離毎に衝突させながら、即ち、斜面を滑走させて錠剤2等の被処理物を移送するのではなく、緩衝部材16への衝突を繰り返しながら、落下させることができれば、特に、その形態に限定はないが、図1乃至図5に示すように、ある程度の直径を有するロッド20とすることが、最も望ましい。
【0057】
この場合、このロッド20は、錠剤2等の被処理物と衝突しつつ、錠剤2等の被処理物を確実に下方に、即ち、下段の緩衝部材16であるロッド20に送るために、少なくとも一部に曲面状の周面を有することが望ましい。具体的には、図1乃至図5に示すように、断面が円形状のロッド20とすることが望ましいが、その他、断面が、楕円形状、あるいは、頂点が円弧状に形成された三角形状等のロッド20とすることもできる。
【0058】
これらの複数のロッド20、具体的には、図示の実施の形態では、図1に示すように、段によって5本又は6本のロッド20が、水平方向に所定の間隔毎に、平行に並べて配置されている。これにより、まず、錠剤2等の被処理物の落下通路12内における落下流路が分岐されるため、落下通路12に大量に投入された場合でも、錠剤2等の被処理物が分散されて、効率良く落下させることができると同時に、錠剤2等の被処理物同士の干渉をも低減して、錠剤2等の被処理物同士の接触による破損をも防止することができる。なお、水平方向におけるロッド20の本数、即ち、1段毎におけるロッド20の本数は、図示の本数に限定されるものではなく、被処理物の種類や大きさ、形状等の必要に応じて適宜の本数に設定することができる。
【0059】
また、このようにして水平方向に配置された複数のロッド20を、図1乃至図5に示すように、複数段、具体的には図1に示す実施の形態では、10段設置することにより、上下方向に所定の間隔毎に配置される。これらの上下方向に配置された複数のロッド20は、所定の間隔毎に設置されることにより、錠剤2等の被処理物を所定の距離毎に落下させて、即ち、1回当たりの落下距離を短く設定することにより、長距離にわたって落下させる場合に比べて、落下による緩衝部材16であるロッド20への衝突の際に錠剤2等の被処理物に加わる衝撃を低減させて、充分な落下速度を確保しつつ錠剤2等の被処理物の破損を防止する役割を有する。
【0060】
従って、これらの複数の緩衝部材16であるロッドは、第1に、錠剤2等の被処理物が確実に衝突して、落下する錠剤2等の被処理物が、シュート10の投入口12Aから排出口12Bまでにわたって直下する直下通路部分が形成されないように配置する。
【0061】
具体的には、図1乃至図3及び図5に示すように、緩衝部材16である複数のロッドを、上下方向の各段毎に、上下の他段のロッド20とは水平方向の位置をずらして配置することにより対応することができる。即ち、特に図5に示すように、とある段における水平方向における複数のロッド20間の間隙の下方に、下段のロッド20が位置するように設置する。これにより、錠剤2等の被処理物は、いずれの落下流路を通過しても、必ず、いずれかのロッド20に衝突することができる。
【0062】
もっとも、この場合、直下通路を閉塞するためには、緩衝部材16であるロッド20の配置だけではなく、緩衝部材16の水平方向の幅、即ち、図示の実施の形態のように、緩衝部材16が円形状のロッドである場合には、その直径との関係や、緩衝部材16であるロッド20の水平方向における間隔との関係も考慮する必要がある。即ち、緩衝部材16の水平方向の幅があまりに狭い場合(ロッド20の直径があまりに小さい場合)や、緩衝部材16であるロッド20の水平方向における間隔(被処理物の通過流路の幅となる水平方向に配置された2つのロッド20の周面間の最短距離:図12の矢印A参照)があまりに広い場合には、上下方向で緩衝部材16であるロッド20の水平方向の位置をずらしても、直下通路が形成されて、錠剤2等の被処理物がすり抜けてしまうおそれがある。
【0063】
この場合、図6(A)に示すように、緩衝部材16であるロッド20間の水平方向における間隔が、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以下である場合には、ロッド20の直径(緩衝部材16の水平方向の幅)が細くても、上段のロッド20間を通過した錠剤2等の被処理物は下段のロッド20に必ず衝突する。また、図6(B)に示すように、緩衝部材16であるロッド20間の水平方向における間隔が、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの3倍である場合には、ロッド20の直径(緩衝部材16の水平方向の幅)が少なくとも錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚み以上であれば(図6(B)のロッド20A参照)、上段のロッド20間を通過した錠剤2等の被処理物は下段のロッド20に必ず衝突する。同様に、図6(C)に示すように、緩衝部材16であるロッド20間の水平方向における間隔が、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの4倍である場合には、ロッド20の直径(緩衝部材16の水平方向の幅)が少なくとも錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以上であれば(図6(C)のロッド20A参照)、上段のロッド20間を通過した錠剤2等の被処理物は下段のロッド20に必ず衝突する。
【0064】
即ち、各緩衝部材16の水平方向の幅(ロッド20の直径)は、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔が被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍を超えるn倍である場合(n>2)においては、少なくとも被処理物の鉛直方向における最大厚みの(n−2)倍以上とすることにより、錠剤2等の被処理物を緩衝部材16であるロッド20に確実に衝突させることができる。
【0065】
但し、この場合、各緩衝部材16の水平方向の幅(ロッド20の直径)が、緩衝部材16である複数のロッド20間の水平方向の間隔未満である場合においては(図6(B)(C)におけるロッド20A参照)、図7に示すように、緩衝部材16である複数のロッド20を、上下方向の各段毎に上下の他段の緩衝部材16であるロッド20と、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚み未満の距離をもって水平方向にずらして配置することが好ましい。これにより、錠剤2等の被処理物を、少なくとも上下方向のいずれかの段において緩衝部材16であるロッド20に確実に衝突させることができる。
【0066】
もっとも、各緩衝部材16の水平方向の幅(ロッド20の直径)が小さい場合には、必然的に、後述する緩衝部材16である上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)も大きくなる傾向があるため、望ましくは、図6(B)(C)におけるロッド20Bのように、各緩衝部材16の水平方向の幅(ロッド20の直径)は、少なくとも複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)以上とすることが望ましい。これにより、錠剤2等の被処理物を、緩衝部材16であるロッド20により確実に衝突させて、特に所定の距離毎に、即ち、上下方向の各段のロッド20毎に衝突させて落下させて、1回当たりの落下距離を短くして、錠剤2等の被処理物の破損をより効果的に防止することができる。
【0067】
第2に、この錠剤2等の被処理物を所定の距離毎に落下させることにより、落下による緩衝部材16であるロッド20への衝突の際に錠剤2等の被処理物に加わる衝撃を低減させるために、これらの複数の緩衝部材16であるロッド20は、緩衝部材16である上下のロッド20間の間隔(被処理物の通過流路の幅となる上下方向に配置された2つのロッド20の周面間の最短距離:図12の矢印B参照)を適切に設定することが望ましい。
【0068】
この場合、まず、具体的には、図8(A)のように、まずは、上段のロッド20Xと下段のロッド20Yとの間の間隔(図12の矢印B)が、被処理物である錠剤2の鉛直方向における最大厚み以上はないと、被処理物である錠剤2が下方に落下していくことができない。勿論、緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)も、少なくとも錠剤2等の被処理部物の鉛直方向における最大厚み以上の間隔であることが必要である。
【0069】
但し、落下の際の衝撃の低減に配慮するあまり、この上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)を、狭く設定することのみに着目すると、錠剤2等の被処理物の流れが円滑でなくなり、目詰まり等を起こして、処理効率が低下するおそれがある。従って、後述する実験例から解るように、この上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍以上に設定することが望ましい。このことはまた、後述する実験例から解るように、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)が比較的小さな値であっても、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)をある程度充分に確保すれば、錠剤2等の被処理物の円滑な流れを確保することができることを意味する。
【0070】
一方、図8(C)に示すように、上段のロッド20Xと下段のロッド20Yとの間の距離があまりにも大きい場合には、錠剤2等の被処理物の1回当たりの落下距離が長くなり、それだけ緩衝部材16であるロッド20に衝突した場合の錠剤2等の被処理物に加わる衝撃が大きくなり、破損の確率が高まる。従って、後述する実験例から解るように、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が、被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅以上である場合には、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)を、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下に設定することが望ましい。
【0071】
即ち、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が比較的広い場合には、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)を所定以下の値に抑えることにより、錠剤2等の被処理物の落下速度を充分に減速して、落下による衝撃を低減することができる。このことはまた、後述する実験例から解るように、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)をある程度の範囲内に制限すれば、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)をある程度広げても、衝撃を低下させるのに充分な落下速度に抑えることができることを意味する。
【0072】
なお、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下とすることが特に望まれるのは、上記の通り、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅以上と比較的広く、落下速度が速くなりがちな場合であるが、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が、比較的狭い場合、具体的には、被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅未満である場合においても、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)があまりに広い場合には、同様に十分に減速することが困難となると思われるため、上記下限値(錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍)以上としつつ、一方で、上限としては、同様に、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下とすることが望ましい。
【0073】
一方、逆に、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が比較的狭い場合、具体的には、被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅未満である場合には、被処理物である錠剤2等が目詰まりを起こして、円滑な流れにより処理効率を確保することが困難となる可能性があるため、緩衝部材16であるロッド20の高さの1/2の距離と、上段の複数の緩衝部材16であるロッド20の最下点と接する平面と次の下段の複数の緩衝部材16であるロッド20の最上点と接する面との間の鉛直距離(図12の矢印C)とを合わせた長さ(図12の矢印D)を、所定値以上、具体的には、被処理物である錠剤2等の水平方向における最大幅以上とすることが望ましい。
【0074】
即ち、間隔D(図12参照)が短すぎると、次の下段のロッド20の上に、被処理物である錠剤2等が滞留して通過流路2に入り込めない場合がある。具体的には、間隔D(図12参照)が被処理物である錠剤2等の水平方向における最大幅の1/2以下となる場合である。従って、被処理物である錠剤2等が十分円滑に流れるには、少なくとも間隔D(図12参照)が被処理物である錠剤2等の水平方向における最大幅の1/2を超える必要があり、より円滑な流れを確保するには、被処理物である錠剤2等の水平方向における最大幅以上とすることが望ましい。
【0075】
一方、間隔D(図12参照)があまりに長すぎると、被処理物の減速効果による落下衝撃の低減効果が薄れるおそれがあるため、間隔D(図12参照)は、被処理物の水平方向における最大幅の3倍以下とすることが好ましく、より望ましくは2倍以下とする。後述する実験例においても、被処理物の水平方向における最大幅の1.78倍で十分に減速することが確認されている。
【0076】
なお、被処理物の直下通路を形成しないためには、緩衝部材16であるロッド20を等間隔に配置した場合、図13に示すように、シュート本体14の側壁パネル14Cと接触しうる緩衝部材16については、ロッド20を直径方向に中心線で半分に分割した形状のロッド21を配置することができる。このロッド21の配置により、シュート本体14の側壁側で被処理物が直接落下してしまうことを防止することができる。
【0077】
また、緩衝部材16であるロッド20とシュート本体14の側面パネル14Cとの間が、被処理物である錠剤2等の水平方向における最大厚み未満である場合は、被処理物である錠剤2等が、側面パネル14C側で目詰まりを起こし流路を閉塞してしまうおそれれがある。そのため、緩衝部材16であるロッド20の水平方向における間隔(図12の矢印A)を、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以上として、複数の緩衝部材16であるロッド20、21を等間隔で配置することにより、側面パネル14Cと緩衝部材16であるロッド20間の間隔も、少なくとも錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚み以上となるため、目詰まりを起こすことなく、円滑に流れることができる。
【0078】
なお、緩衝部材16であるロッド20の水平方向における間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍未満である場合、即ち、側面パネル14Cと緩衝部材16であるロッド20間の間隔が錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚み未満となる場合であっても、図13に示すように、側面パネル14Cとロッド20、21との間の落下通路12に錠剤2等の被処理物が進入しないよう、進入防止ロッド24や斜板25等を設けて、対応することができる。
【0079】
このようにして、例えば、図8(B)に示すように、緩衝部材16である上下のロッド20間の間隔を適切に設定して、落下速度の適切な調整により錠剤2等の被処理物の破損を防止しつつ、同時に目詰まりが生じることがない円滑な流れを確保して処理効率を確保することができる。なお、図1乃至図3に示す実施の形態では、上下方向に10段のロッド20を配置したが、その設置段数に特に限定はなく、被処理物の種類や大きさ、形状、また、緩衝部材16であるロッド20の直径、更には、各工程間の距離等に応じて、適宜任意の段数に設定することができる。
【0080】
また、これらのロッド20等の緩衝部材16の材質には、特に限定はないが、充分な機械的強度を有しつつ、耐摩耗性に優れるポリオキシメチレン(商品名ジュラコン(登録商標):ポリプラスチックス株式会社製 )等のポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン(登録商標):デュポン社製)テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂等のプラスチック製材料から形成することが望ましい。これらの材質を使用することにより、錠剤2等の被処理物の繰り返しの衝突による剥離等が生じることがなく、衛生を適切に保持することができると同時に耐久性を賦与することができる上に、金属製材料から形成する場合と異なり、錠剤2等の被処理物の衝突による衝撃音も低減することができる。
【0081】
同様の意味で、ポリブチレンテレフタレート樹脂や、ポリアミド樹脂も、緩衝部材16であるロッド20の材料として好適であるといえ、その他、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等も緩衝部材16の材料として使用することができる。
【0082】
また、これらの緩衝部材16であるロッド20は、シュート本体14に着脱自在に取り付けられている。具体的には、シュート本体14に形成された差込孔に、ロッド20の端部を嵌入氏、更には、必要に応じて、ビス等の適宜の手段により固定して、取り付けることができる。これにより、シュート10全体を分解して容易に清掃することができ、衛生を保持することができると同時に、複数のロッド20等の緩衝部材16をシュート本体14の任意の位置に取り付けることにより、又は、任意の大きさの緩衝部材16と交換することにより、落下させるべき錠剤2等の被処理物の大きさに合わせて、緩衝部材16間の距離を適切に設定することができる。
【0083】
<3.その他の実施の形態>
なお、図1乃至図8に示す実施の形態においては、緩衝部材16である複数のロッド20を、その軸線がすべて同方向を向くようにして配置したが、必ずしもこの形態に限定されるものではなく、錠剤2等の被処理物の破損を防止しつつ、円滑な流れによる充分な落下速度を確保することができれば、図9(A)乃至(C)に示すように、緩衝部材16である複数のロッド20の軸線が、上下方向の各段毎に交互に直交するように、配置することもできる。
【0084】
また、この場合、必ずしも、緩衝部材16である複数のロッド20の軸線を直交させる必要はなく、図9(D)に示すように、複数のロッド20の軸線を直角以外の角度で交差するように配置することもできる。
【0085】
更に、上記図示したいずれの実施の形態においても、上下方向の各段毎の複数のロッド20は、水平方向に平行に配列したが、錠剤2等の被処理物の流れを分散させつつ、錠剤2等の被処理物の排出口12Bまでの直下を防止することができれば、ハの字状等、多少の角度を設定して配置することもできる。
【0086】
同様に、図示の実施の形態では、いずれも緩衝部材16である複数のロッド20間の間隔は、均等に設置されているのが示されているが、錠剤2等の被処理物の破損を防止しつつ、充分な落下速度を確保することができれば、必ずしも均等とする必要はなく、上下左右を問わず各緩衝部材16間毎に間隔を異なるように配置することもできる。
【0087】
なお、緩衝部材16であるロッド20は、図10及び図11に示すように、水平方向に移動可能に設置することもできる(図10の矢印A参照)。具体的には、図10及び図11に示すように、シュート本体14に、ロッド20の端部を変位可能に支持する長孔22を形成し、ロッド20の端部を長孔22の任意の位置で固定することにより対応することができる。この場合、この長孔22は、シュート本体14自体に形成することもできるが、図10に示すように、長孔22が形成された桟23を介して、シュート本体に取り付けることもできる。これにより、落下させるべき錠剤2等の被処理物の大きさに合わせて、上述した緩衝部材16である複数のロッド20間の水平方向の距離(間隔)や個数を適切に設定、調整することができる。
【0088】
同様に、緩衝部材16であるロッド20は、図10及び図11に示すように、上下方向に移動可能に設置することもできる(図10及び図11の矢印B参照)。具体的には、図10及び図11に示すように、緩衝部材16であるロッド20を支持する桟23自体をシュート本体14に上下に変位可能に取り付け、任意の位置で固定することにより対応することができる。この場合、桟23を介して上下方向に移動可能とすることにより、上述した長孔22と併せて、緩衝部材16であるロッド20を水平方向及び上下方向のいずれへの変位をも可能とすることができる。もっとも、必ずしも水平方向への移動をを要しない場合には、シュート本体14自体に、シュート本体の上下方向に伸びるようにして形成され、ロッド20の端部を変位可能に支持する長孔22を形成することにより対応することもできる。これにより、落下させるべき錠剤2等の被処理物の大きさに合わせて、上述した緩衝部材16である複数のロッド20間の上下方向の距離の距離(間隔)、即ち、錠剤2等の被処理物の1回当たりの落下距離や個数を適切に設定、調整することができる。
【0089】
加えて、図示の実施の形態では、緩衝部材16が、ロッド20であるのが示されているが、緩衝部材16は、同様に、錠剤2等の被処理物の破損を防止しつつ、円滑な流れによる充分な落下速度を確保することができれば、特に限定はなく、他に、例えば、軸を中心に回転する回転板の如き形態とすることもできる。
【0090】
<4.移送方法>
以上の本発明のシュート10の使用方法、即ち、本発明のシュート10を使用した錠剤2等の被処理物の移送方法について説明すると、図5に示すように、錠剤2等の被処理物を落下によりシュート10内を通過させて移送する被処理物の移送方法であって、シュート本体14の内部に形成された落下通路12内に、落下通路12を横断するようにして水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されたロッド20等の複数の緩衝部材16に落下する錠剤2等の被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送する。
【実施例】
【0091】
本発明のシュート10において、緩衝部材16であるロッド20間の適切な間隔を求めるために設定した幾つかの実験例について説明する。具体的には、ロッド20間の間隔を下記の表1に示す値に設定した実験例1〜実験例10のシュート10に、試料として鉛直方向における最大厚みが4.0mm、水平方向における最大幅(直径)7.3mmの糖衣錠(断面楕円形状)を100錠投入し、その流れ状態(目詰まりの発生と減速状態)を確認した。なお、いずれの実験例においても、緩衝部材16であるロッド20は、直径16mmの断面が円形のロッド20とした。また、このロッド20は、ポリオキシメチレン(商品名ジュラコン(登録商標))から形成した。
【0092】
【表1】
【0093】
この表1から解るように、実験例3を除き、ロッド20間で目詰まりは発生しなかった。この場合、実験例1〜実験例10までの中で、実験例3とそれ以外の実験例との違いに着目すると、実験例3では、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が他の実験例より狭く、試料である錠剤2の鉛直方向における最大厚みと同じである。一方、実験例3に次いで上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)の値が小さい実験例7に着目すると、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)は、試料である錠剤2の鉛直方向における最大厚みの1.125倍であるにもかかわらず、良好な流れ状態を確保している。
【0094】
このことから、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍以上に設定すれば、良好な流れ状態を確保する上で望ましいことが判明した。
【0095】
また、この場合、特に、実験例3と実験例7との比較から解るように、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が比較的狭くても、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)を錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅以上とすれば、良好な流れ状態を確保することができるともいえる。但し、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が大きい場合において、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)もあまりに大きい場合においては、目詰まりは発生しないものの落下速度の上昇による落下衝撃の低減が十分に確保できないおそれがある。
【0096】
そこで、次に、この表1において、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅(直径)以上である実験例4〜実験例10までに、着目したところ、実験例10を除き、ロッド20間で目詰まりは発生せず、また、落下速度も落下による衝撃を低減するのに十分な速度に減速されていた。この場合、実験例4〜実験例10までの中で、実験例10とそれ以外の実験例との違いに着目すると、実験例10では、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が他の実験例より大きい。一方、実験例10に次いで上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)の値が大きい実験例8に着目すると、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)は、試料である錠剤2の鉛直方向における最大厚みの2.175倍であるにもかかわらず、良好な流れ状態を確保している。
【0097】
このことから、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅以上である場合には、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下に抑えれば、良好な流れ状態を確保する上で望ましいことが判明した。実際、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅(直径)以上である実験例4〜実験例10のうち、この条件を満たさない実験例10以外においては、全ての実験例において良好な流れ状態を実現できていることからも裏付けられる。
【0098】
なお、この場合、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の水平方向における最大幅(直径)未満である実験例1〜実験例3においても、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔が下限値である錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍未満である実験例3を除き、いずれの実験例においても、同様に、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下であり、十分に良好な流れ状態を実現することができた。このことから、複数の緩衝部材間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が被処理物である錠剤2の水平方向における最大幅(直径)未満である場合においても、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔については、上記下限値(錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍)以上としつつ、一方で、上限値として、同様に、錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下設定することが望ましい。
【0099】
なお、上記実験例1〜10のうち、実施例3及び実験例10を除く、複数の緩衝部材16であるロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)及び上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)に関する条件を満たす実験例においては、間隔D(図12の矢印D参照)は、全て被処理物の水平方向における最大幅の1.78倍以下である。また、実験例1〜10のうち、実験例7〜9は側面パネル14Cとロッド20間でも詰まりは見られなかった。これらの実験例では、側面パネル14Cとロッド20間の距離(複数のロッド20間の水平方向の距離(図12の矢印A)の1/2に等しい)が、被処理物である錠剤2の鉛直方向における最大厚みを超えていることによるものであると考えられる。
【0100】
上記実験より、実験例3、実験例10以外の上記の条件を満たす実験例であれば、目詰まりの発生を防止すると共に落下衝撃を低減するのに十分な速度に減速して良好な流れ状態を確保する上で望ましいことが判明したため、次にこの条件を満たす範囲内でロッド20間の間隔を下記の表2のように設定した本発明の実施例1〜実施例4と、上記の条件を満たさない比較例を設定して、その効果を確認した。
【0101】
【表2】
【0102】
具体的には、表2を表1と比べると解るように、実施例1は、表1の実験例1に相当し、実施例2は、表1の実施例8に相当する。また、比較例は、表1における実験例10に相当する。なお、シュート10全体の長さ(高さ)は、160mmであった(最上段のロッド20から最下段のロッド20の可鍛までの距離は79mm)。まず、これらの実施例1、2及び比較例について、試料として、上記実験例と同じく、鉛直方向における最大厚みが4.0mm、水平方向における最大幅(直径)7.3mmの糖衣錠(断面楕円形状)を1錠、10回にわたりこれらの実施例及び比較例に投入して、その平均の落下時間をを求めた。その結果、表2に示すように、比較例においては、30msec(0.03s)と、殆ど減速されない状態であったのに対し、実施例1、2においては、100msec(0.1s)と比較例に比し約3倍程度減速され、落下衝撃を十分に低減することができるといえる。勿論、この落下速度は、効率良い処理をする上では、十分な速度であるといえる。
【0103】
一方、実施例3及び実施例4として、表2に示すように、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)を9mm(錠剤2の水平方向における最大幅以上で、かつ、錠剤2の鉛直方向における最大厚みの2.25倍)、上段の複数の緩衝部材16であるロッド20の最下点と接する平面と次の下段の複数の緩衝部材16であるロッド20の最上点と接する面との間の鉛直距離(図12の矢印C)を4mm(錠剤2の鉛直方向における最大厚みの1倍)に設定したシュート10を製造した。これらの実施例3及び実施例4においては、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)が錠剤2等の被処理物の錠剤2の水平方向における最大幅以上で、かつ、鉛直方向における最大厚みの2倍以上であるため、上下の緩衝部材16であるロッド20間の間隔(図12の矢印B)を錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下、具体的には、錠剤2の鉛直方向における最大厚みの1.89倍に設定されており、上記条件を満たす範囲内に設定されている。
【0104】
この場合において、実施例3においては、上記の試料である錠剤2を12000錠/分、実施例4においては、上記の試料である錠剤2を45000錠/分、それぞれ3回にわたり繰り返し投入し、流れの状態及び被処理物への破損の影響を確認した。
【0105】
その結果、実施例3及び実施例4のいずれにおいても、上記の表2に示すように、錠剤2がシュート10内で目詰まりすることなく、全て適正に排出され、また、錠剤2の破損や摩耗は一切発見されなかった。これは、錠剤2の流路が分散されると共に、短距離落下の繰り返しにより落下による衝撃が低減されたためであると思われる。なお、この場合、実施例3においては、錠剤2の流れに隙間があり、また、実施例4においては隙間がないものの目詰まりを起こすことはなく、円滑に、かつ、充分な落下速度を持って効率よく、錠剤2を移送させることができた。これにより、本発明のシュート10によれば、大量の被処理物を落下移送させても、破損等が生じることがないことが確認された。
【0106】
また、この場合、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が錠剤2等の被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下であれば、間隔C(図12参照)が落下するために必要な最低限の幅(錠剤の鉛直方向における最大厚みの1倍)でも、円滑に処理できることも判明した。なお、上記のいずれの実験例、実施例においても、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)及び上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)が決定されれば、緩衝部材16であるロッド20の上下方向の各段毎の間隔(図12の矢印C参照)は、必然的に決定する。換言すれば、この緩衝部材16であるロッド20の上下方向の各段毎の間隔(図12の矢印C参照)を設定してから、ロッド20間の水平方向の間隔(図12の矢印A)や、上下のロッド20間の間隔(図12の矢印B)を適切な値に設定することができる。この場合、上記の通り、ロッド20を上下左右に移動可能とすれば、各ロッド20間の間隔を、迅速かつ円滑に、適切な値に調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明のシュートは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤の薬剤等の工程間等の落下移送の他、同様の固形物である食品等の落下移送にも、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明のシュートの概略正面図である。
【図2】本発明のシュートの概略側面図である。
【図3】本発明のシュートの概略平面図である。
【図4】本発明のシュートの設置状態の一例を示す概略斜視図である。
【図5】図5は本発明のシュートに使用されるロッドの配置状態を示し、同図(A)はその正面図、同図(B)はその側面図である。
【図6】本発明のシュートに使用されるロッドの直径と被処理物の幅との関係を示す正面図である。
【図7】本発明のシュートの他の実施の形態において使用されるロッドの直径と被処理物の幅との関係を示す正面図である。
【図8】本発明のシュートに使用されるロッドの上下方向における距離と被処理物の幅との関係を示す正面図である。
【図9】本発明のシュートに使用されるロッドの他の実施の形態における配置状態を示す図である。
【図10】本発明のシュートに使用されるロッドの他の実施の形態におけるシュート本体への取付状態を示す正面図である。
【図11】本発明のシュートに使用されるロッドの図10に示す実施の形態におけるシュート本体への取付状態を示す側面図である。
【図12】本発明のシュートに使用されるロッド間の関係を示す正面図である。
【図13】本発明のシュートにおける側面におけるロッドの配置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0109】
1 ホッパー
2 錠剤
10 シュート
12 落下通路
12A 投入口
12B 排出口
14 シュート本体
14A 前面パネル
14B 傾斜部材
14C 側面パネル
15 ボルト
16 緩衝部材
18 取付具
20 ロッド
21 ロッド
22 長孔
23 桟
24 進入防止ロッド
25 斜板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物が落下して通過するシュートであって、前記シュートは前記被処理物が通過する落下通路を形成するシュート本体と、前記落下通路を横断するように前記シュート本体に取り付けられた複数の緩衝部材とを備え、前記複数の緩衝部材は、水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されて、前記落下する被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送することを特徴とするシュート。
【請求項2】
請求項1に記載されたシュートでって、前記緩衝部材は、少なくとも一部に曲面状の周面を有するロッドであることを特徴とするシュート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載されたシュートであって、前記複数の衝撃部材は、上下方向の各段毎に、上下の他段の緩衝部材とは水平方向の位置をずらして配置されていることを特徴とするシュート。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材は、上下方向の各段毎に水平方向には平行に配置されていることを特徴とするシュート。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、前記落下する被処理物が前記シュートの投入口から排出口までにわたって直下する直下通路部分が形成されないように配置されていることを特徴とするシュート。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたシュートであって、前記各緩衝部材の水平方向の幅は、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍を超えるn倍である場合において、少なくとも前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの(n−2)倍以上であることを特徴とするシュート。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載されたシュートであって、前記各緩衝部材の水平方向の幅は、少なくとも前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔以上であることを特徴とするシュート。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載されたシュートであって、前記各緩衝部材の水平方向の幅が、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔未満である場合には、前記複数の緩衝部材を、上下方向の各段毎に上下の他段の緩衝部材と前記被処理物の鉛直方向における最大厚み未満の距離をもって水平方向にずらして配置することを特徴とするシュート。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔及び上下の前記緩衝部材間の間隔が、少なくとも被処理物の鉛直方向における最大厚みを越えることを特徴とするシュート。
【請求項10】
請求項9に記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、前記被処理物の水平方向における最大幅以上であることを特徴とするシュート。
【請求項11】
請求項10に記載されたシュートであって、上下の前記緩衝部材間の間隔が、前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下であることを特徴とするシュート。
【請求項12】
請求項9に記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、前記被処理物の水平方向の最大幅未満である場合には、前記緩衝部材の高さの1/2の距離と、上段の前記複数の緩衝部材の最下点と接する平面と次の下段の前記複数の緩衝部材の最上点と接する面との間の鉛直距離とを合わせた長さが、前記被処理物の水平方向における最大幅以上であることを特徴とするシュート。
【請求項13】
請求項12に記載されたシュートであって、上段の前記複数の緩衝部材の最下点と接する平面と次の下段の前記複数の緩衝部材の最上点と接する面との間の鉛直距離とを合わせた長さが、前記被処理物の水平方向における最大幅の3倍以下であることを特徴とするシュート。
【請求項14】
請求項9乃至請求項13のいずれかに記載されたシュートであって、上下の前記緩衝部材間の間隔が、前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍以上であることを特徴とするシュート。
【請求項15】
請求項9乃至請求項14のいずれかに記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以上であることを特徴とするシュート。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、水平方向に移動可能に設置されていることを特徴とするシュート。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、上下方向に移動可能に設置されていることを特徴とするシュート。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂その他のプラスチック製材料から形成されていることを特徴とするシュート。
【請求項19】
請求項1乃至請求項18のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、前記シュート本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするシュート。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれかに記載されたシュートであって、前記シュート本体は、透光性を有することを特徴とするシュート。
【請求項21】
請求項1乃至請求項20のいずれかに記載されたシュートであって、前記シュート本体は、特定の波長の光線を遮断する特定色を有することを特徴とするシュート。
【請求項22】
請求項1乃至請求項21のいずれかに記載されたシュートであって、前記被処理物が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤の薬剤であることを特徴とするシュート。
【請求項1】
被処理物が落下して通過するシュートであって、前記シュートは前記被処理物が通過する落下通路を形成するシュート本体と、前記落下通路を横断するように前記シュート本体に取り付けられた複数の緩衝部材とを備え、前記複数の緩衝部材は、水平方向及び上下方向に所定の間隔毎に配置されて、前記落下する被処理物を衝突させながら所定の距離毎に落下させて移送することを特徴とするシュート。
【請求項2】
請求項1に記載されたシュートでって、前記緩衝部材は、少なくとも一部に曲面状の周面を有するロッドであることを特徴とするシュート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載されたシュートであって、前記複数の衝撃部材は、上下方向の各段毎に、上下の他段の緩衝部材とは水平方向の位置をずらして配置されていることを特徴とするシュート。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材は、上下方向の各段毎に水平方向には平行に配置されていることを特徴とするシュート。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、前記落下する被処理物が前記シュートの投入口から排出口までにわたって直下する直下通路部分が形成されないように配置されていることを特徴とするシュート。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたシュートであって、前記各緩衝部材の水平方向の幅は、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍を超えるn倍である場合において、少なくとも前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの(n−2)倍以上であることを特徴とするシュート。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載されたシュートであって、前記各緩衝部材の水平方向の幅は、少なくとも前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔以上であることを特徴とするシュート。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載されたシュートであって、前記各緩衝部材の水平方向の幅が、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔未満である場合には、前記複数の緩衝部材を、上下方向の各段毎に上下の他段の緩衝部材と前記被処理物の鉛直方向における最大厚み未満の距離をもって水平方向にずらして配置することを特徴とするシュート。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔及び上下の前記緩衝部材間の間隔が、少なくとも被処理物の鉛直方向における最大厚みを越えることを特徴とするシュート。
【請求項10】
請求項9に記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、前記被処理物の水平方向における最大幅以上であることを特徴とするシュート。
【請求項11】
請求項10に記載されたシュートであって、上下の前記緩衝部材間の間隔が、前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの2.175倍以下であることを特徴とするシュート。
【請求項12】
請求項9に記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、前記被処理物の水平方向の最大幅未満である場合には、前記緩衝部材の高さの1/2の距離と、上段の前記複数の緩衝部材の最下点と接する平面と次の下段の前記複数の緩衝部材の最上点と接する面との間の鉛直距離とを合わせた長さが、前記被処理物の水平方向における最大幅以上であることを特徴とするシュート。
【請求項13】
請求項12に記載されたシュートであって、上段の前記複数の緩衝部材の最下点と接する平面と次の下段の前記複数の緩衝部材の最上点と接する面との間の鉛直距離とを合わせた長さが、前記被処理物の水平方向における最大幅の3倍以下であることを特徴とするシュート。
【請求項14】
請求項9乃至請求項13のいずれかに記載されたシュートであって、上下の前記緩衝部材間の間隔が、前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの1.125倍以上であることを特徴とするシュート。
【請求項15】
請求項9乃至請求項14のいずれかに記載されたシュートであって、前記複数の緩衝部材間の水平方向の間隔が、前記被処理物の鉛直方向における最大厚みの2倍以上であることを特徴とするシュート。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、水平方向に移動可能に設置されていることを特徴とするシュート。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、上下方向に移動可能に設置されていることを特徴とするシュート。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂その他のプラスチック製材料から形成されていることを特徴とするシュート。
【請求項19】
請求項1乃至請求項18のいずれかに記載されたシュートであって、前記緩衝部材は、前記シュート本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするシュート。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれかに記載されたシュートであって、前記シュート本体は、透光性を有することを特徴とするシュート。
【請求項21】
請求項1乃至請求項20のいずれかに記載されたシュートであって、前記シュート本体は、特定の波長の光線を遮断する特定色を有することを特徴とするシュート。
【請求項22】
請求項1乃至請求項21のいずれかに記載されたシュートであって、前記被処理物が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤の薬剤であることを特徴とするシュート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−81312(P2008−81312A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266583(P2006−266583)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
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