説明

ショーケースのカバー装置

【課題】磁石によりショーケースに取り付けるようにしたカバー装置において、ショーケースの取付面を損傷させずに、かつ装置本体がずり落ちないようにする。
【解決手段】磁石(4)の周囲に、この磁石(4)の吸着面(11)より突出するよう当接部材(12)を設ける。この当接部材(12)は、シリコーンゴム等の軟質性材料で作られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースのカバー装置に関し、特に保冷用カバー(ナイトカバー)において、カバー部材を展開可能に収納したカバー装置本体を着脱可能にショーケースに取り付けできるようにしたショーケースのカバー装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
新鮮度を維持する必要のある野菜、果物、肉類その他の食料品は、通常冷蔵機能等を有するショーケースに収納して店頭に陳列され、夜間等には該ショーケースの開口部を保冷用カバー(ナイトカバー)で遮蔽していることが多い。そのようなショーケースのカバー装置は、ショーケースに組み込まれて固定的に設けられたり、磁石を用いて該ショーケースに着脱可能に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
磁石を用いて取り付ける装置の場合は、例えば図4、図5に示すように、カバー装置(1)は、カバー部材(2)を展開可能に収納したカバー装置本体(3)を有し、その裏面に磁石(4)を設け、該磁石(4)をショーケース(5)の適宜部位に吸着させて取り付けるよう構成されている。また、カバー部材(2)の先端に設けた枠片(6)は、適宜の掛止具でショーケースに掛止めることが多いが、この枠片(6)にも磁石(4)を設けて展開状態でショーケースの適宜部位に吸着させることもある。
【0004】
上記のように磁石を用いた場合、カバー装置本体(3)をショーケース(5)に取り付ける際、該本体から突出する磁石(4)がショーケース(5)の取付面(7)に直接当るから、該取付面の外面は磁石の縁部等で損傷をうけやすい欠点があった。また、図6に示すように磁石(4)を取付面(7)に吸着させても、該磁石の作用は吸着面に沿う方向には弱いので、カバー装置本体の重量やカバー部材を引き出すときの引っ張り力により矢印(8)方向にずれるおそれも多かった。
【特許文献1】特開平9−65958号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、上記のように磁石を用いてショーケースに取り付けるようにしたカバー装置において、ショーケースの取付面に損傷を与えることがなく、かつ取付後にずり落ちたりしないようにしたショーケースのカバー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、カバー部材を展開可能に収納したカバー装置本体を有し、該カバー装置本体に磁石を設け、該磁石によりショーケースに該カバー装置本体を取り付けるようにしたショーケースのカバー装置において、該磁石の周囲に、該磁石の吸着面より突出し軟質性材料で形成された当接部材を設けたことを特徴とするショーケースのカバー装置が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記のように構成され、磁石の吸着面の周囲に該吸着面より突出する軟質性材料製の当接部材を設けたので、カバー装置本体をショーケースの取付面に当てがう際、磁石が直接該取付面に接しないようにでき、該取付面の損傷を防止することができる。また、当接部材をたわませながら上記磁石の吸着面をショーケースの取付面に吸着させると、上記当接部材は軟質性材料で形成されているから、滑り止め作用があり、上記装置本体がずり落ちないようにすることができる。
【0008】
また、上記当接部材の起立部の背面の一部とカバー装置本体の側面の間に空間が存するように形成すると、上記磁石をショーケースの取付面に吸着させるとき上記起立部が容易に変形し、磁石の吸着面を上記取付面に確実に接触させることができる。さらに、上記当接部材の起立部の基端と一体的に基板部を設けて該基板部が磁石とカバー装置本体の間に挟着されるようにすると、該基板部が軟質性材料で形成されているから、カバー部材をカバー装置本体から引き出したり、収納したりする際の振動、衝撃等が緩和され、上記カバー装置本体が一層ずり落ちたり、脱落しにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
公知のように、カバー装置(1)は、図5に示すように、その本体(3)内に、カバー部材(2)が巻回状態で収納され、ばね部材(図示略)に抗して該カバー部材(2)を引き出して該カバー部材(2)の枠片(6)を適宜の掛止具(図示略)でショーケース(5)の縁部等に掛け止めたり、磁石(4)で吸着させて展開状態に保持し、該枠片(6)をショーケースの縁部から外すと上記ばね部材の作用でカバー部材(2)が上記本体内に巻き込まれて収納されるよう構成されている。
【0010】
上記カバー装置本体(3)は、適宜の態様でショーケース(5)に取り付けることができ、図に示す実施例では、上記図5に図示するものと同様に、本体(3)の背面に磁石(4)を設けてショーケースの取付面(7)に吸着させるようにしてある。
【0011】
上記磁石(4)は、図1に示す実施例ではカバー装置本体(3)の長手方向に沿う長辺(9)と該長辺の端部を結ぶ短辺(10)を有する略直方体形状に形成してあるが、その他適宜の形状に形成することもでき、上記本体(3)の長手方向に沿って適宜数、間隔をあけて設けられている。
【0012】
上記磁石(4)の吸着面(11)の周囲、図1に示す実施例では、上記各長辺(9)に沿って、該吸着面(11)より突出する当接部材(12)が形成されている。該当接部材(12)は、シリコーンゴム材料その他のゴム材料、エラストマー材料、軟質プラスチック材料等の軟質性材料で作られ、その先端面(13)と磁石(4)の吸着面(11)の間隔(a)は、約0.5mm〜2.0mm程度、好ましくは約1mm程度に設けられている。
【0013】
上記当接部材(12)は、上記磁石の長辺に沿って延びる起立部(14)と、該起立部の基端に一体的に連結された基板部(15)を有する断面略コ字状に形成され、該起立部(14)間に上記磁石(4)を収納する磁石収納部(16)が設けられ、磁石(4)と共に適宜のビスやリベット等の止着具(17)で上記本体(3)に固定される。なお、該当接部材の形状は、磁石の形状や強さ等に応じて適宜の形状に形成することができ、磁石の周囲の一部若しくは全周を断続的に囲むように設けたり、該磁石の周囲の全体を突縁状に囲むように設けてもよい(図示略)。
【0014】
また、上記当接部材(12)は、上記基板部(15)の全面がカバー装置本体(3)の側面に当るように設けてあるが、所望により起立部(14)と本体(3)の側面の間に微少空間が形成されるようにしてもよい。例えば、図2等に示すように、当接部材(12)の基板部(15)の一端がカバー装置本体(3)の外面より少し突出するように当接部材を取り付ければ、上記空間は簡単に形成される。このような空間を設ければ、上記ショーケースの取付面に磁石を吸着させる際、上記当接部材の起立部が変形しやすいから取り付けが容易である。
【0015】
上記磁石(4)及び当接部材(12)は、上記カバー装置本体(3)の他の側面にも設けることができる。また、図5に示すようなカバー部材(2)の枠片(6)にも、上述の如き磁石(4)と当接部材(12)を設けてもよい(図示略)。
【0016】
上記カバー装置本体(3)をショーケース(5)に取り付けるとき、該磁石(4)の周囲は当接部材(12)で囲まれているので、該磁石の縁部や吸着面(11)が直接ショーケース(5)の取付面(7)に接しないようにできる(図2)。
【0017】
そして、上記カバー装置本体(3)を上記取付面(7)に接触させると、上記当接部材(12)が図3に示すように変形しつつ上記磁石(4)の吸着面(11)がショーケース(5)の取付面(7)に吸着され、該本体(3)をショーケースに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【図2】ショーケースの取付面に取り付ける前の状態を示す説明図。
【図3】ショーケースの取付面に取り付けた状態の説明図。
【図4】ショーケースとカバー装置の関係を示す説明図。
【図5】従来のショーケースのカバー装置の一例を示す斜視図。
【図6】従来のカバー装置をショーケースに取り付けた状態の説明図。
【符号の説明】
【0019】
1 カバー装置
2 カバー部材
3 カバー装置本体
4 磁石
5 ショーケース
6 枠片
7 取付面
11 吸着面
12 当接部材
14 起立部
15 基板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部材を展開可能に収納したカバー装置本体を有し、該カバー装置本体に磁石を設け、該磁石によりショーケースに該カバー装置本体を取り付けるようにしたショーケースのカバー装置において、該磁石の周囲に、該磁石の吸着面より突出し軟質性材料で形成された当接部材を設けたことを特徴とするショーケースのカバー装置。
【請求項2】
上記当接部材は、磁石の側辺に沿って延びる起立部と、該起立部の基端に一体的に連結し磁石とカバー装置本体間に挟着される基板部を含む請求項1に記載のショーケースのカバー装置。
【請求項3】
上記磁石はカバー装置本体の長手方向に沿う長辺と該長辺の端部を結ぶ短辺を有する略直方体形状に形成され、上記当接部材の起立部は上記長辺に沿って設けられている請求項1に記載のショーケースのカバー装置。
【請求項4】
上記磁石の外方の長辺に沿う上記起立部の背面の一部とカバー装置本体の側面の間には空間が形成されている請求項3に記載のショーケースのカバー装置。
【請求項5】
上記当接部材はシリコーンゴム材料で形成されている請求項1に記載のショーケースのカバー装置。
【請求項6】
上記カバー部材は、先端に枠片を有し、該枠片に設けた磁石には、磁石の吸着面より突出し軟質性材料で形成された当接部材が設けられている請求項1に記載のショーケースのカバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−111395(P2007−111395A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307940(P2005−307940)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(503456979)タカクラ販売株式会社 (1)
【Fターム(参考)】