説明

ショーケース

【課題】 隣接されるショーケースの連結作業性を向上することができると共に、外観の向上を図ることができる連結装置を備えたショーケースを提供する。
【解決手段】 断熱壁2の前壁2C下部が後退した後退部2Dの一側に隣接するショーケースとの連結装置を備えたショーケース1において、連結装置は、後退部2Dに固定された受け金具67と、受け金具67と隣接するショーケース1の受け金具67とに渡って取り付けられる連結金具72とから構成され、受け金具67は、後退部2Dの前側に位置して前方に面した取付面70を有し、取付面70には連結金具72を取り付けるための取付孔73が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接して設置されるショーケースと連結する連結装置を備えたショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりスーパーマーケット等の店舗内には内部に陳列室を構成するショーケースが複数台並設され、食品等の商品の展示販売に供される。一般に、複数台のショーケースが並設される場合、各陳列室内における商品の陳列に一体感を持たせるため、隣接する端部には、側板を設けずに、設置現場において直接、隣接するショーケースの端部とを突き合わせ、これらショーケースの内部に設けられる陳列室内を連通させた状態とし、連続した一つの陳列室を構成する(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、図9、図10を参照して従来のショーケースの連結構造について説明する。ショーケースの本体を構成する断熱壁100は、前面に開口する断面略コ字状に形成され、断熱壁の下側前壁101は、下部が後退した後退部102とされており、当該後退部102の下端は、断熱壁100を構成する底壁103前端と連続している。そして、この後退部102には、断面略L字状に形成される連結具105が固定され、隣接して設けられる他方のショーケースに取り付けられる連結具105と突き合わせ、これら連結具105にボルトを挿通し、ナットを螺合して相互に連結する構成とされる。
【0004】
また、これら後退部102の前面には、店舗内において使用されるカート等の台車の衝突からショーケースを保護する目的でバンパー106が設けられる。隣接するショーケースの連結部分においては、これらバンパー106を連結するため、後退部102の前面には、前面が略垂直となる断面略コ字状のバンパー連結具107が取り付けられる。そして、バンパー106の端部を突き合わせた状態で両ショーケースにバンパー106を取り付け、これらバンパー106の連結部分の前面には、バンパー連結カバー108を宛い、当該バンパー連結カバー108は、上記バンパー連結具107にネジにて螺合する。これによって、バンパー106部分の連結部は、バンパー連結カバー108によって被覆される。
【0005】
また、この断熱壁100の下側前壁101の上端には、長手方向に渡ってハンドレール110が設けられる。隣接するショーケースの連結部分においては、これらハンドレール110を被覆するように、ハンドレール連結カバー111が取り付けられる。
【特許文献1】特開平5−305019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した如き連結具105は、前壁101の下部が奥まった後退部102に取り付けられているため、他方の連結具105との連結作業が困難であった。また、これら連結具105は、突き合わせることで、ボルトとナットによって連結する構成をとっていたため、予めショーケース自体を断熱壁100の前壁が面一となるように配置し、その上で、連結具105、105を突き合わせる作業を行わなければならなかった。
【0007】
しかしながら、ショーケース自体は大型であるため、微妙な位置合わせが困難であり、当該ショーケースに設けられる連結具105をピッタリと面合わせすることは実際上困難であった。特にショーケースの両側に他のショーケースを並設する場合においては、それぞれの端部において位置合わせを行わなければならず、すべてのショーケースの前壁を面一とすることは、非常に困難となる。
【0008】
そのため、多少のずれを緩衝しながら連結具105によってボルトとナットとの螺合によりショーケースの連結を行うこととなり、ショーケースの突き合わせ面、即ち、バンパーの突き合わせ部分やハンドレールの突き合わせ部分においては、隙間が生じる。この隙間を隠蔽する必要があることから、バンパー連結カバー108やハンドレール連結カバー111を設けられる。
【0009】
しかしながら、このようなバンパー連結カバー108やハンドレール連結カバー111の存在は、並設されるショーケースの一体感を阻害するものであり、外観上好ましくないという問題がある。特に、ハンドレール連結カバー111は、ハンドレール110よりも上方に突出したかたちで設けられることとなるため、埃やゴミ等が堆積しやすく、清掃性が悪いことから、衛生上問題がある。また、顧客や作業者の袖口等が引っ掛かりやすいため、市場から当該連結カバーを削除したいとの要望がある。
【0010】
そこで、本発明は従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、隣接されるショーケースの連結作業性を向上することができると共に、外観の向上を図ることができる連結装置を備えたショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のショーケースは、断熱壁の前壁下部が後退しており、この後退部の一側に隣接するショーケースとの連結装置を備えたものであって、連結装置は、後退部に固定された受け金具と、当該受け金具と隣接するショーケースの受け金具とに渡って取り付けられる連結金具とから構成され、受け金具は、後退部の前側に位置して前方に面した取付面を有し、該取付面には連結金具を取り付けるための取付孔が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明のショーケースは、上記発明において、受け金具の取付面には、引き寄せ用の工具を係合するための係合孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、断熱壁の前壁下部が後退しており、この後退部の一側に隣接するショーケースとの連結装置を備えたショーケースにおいて、連結装置は、後退部に固定された受け金具と、当該受け金具と隣接するショーケースの受け金具とに渡って取り付けられる連結金具とから構成され、受け金具は、後退部の前側に位置して前方に面した取付面を有し、該取付面には連結金具を取り付けるための取付孔が形成されているので、連結作業を断熱壁の前側において行うことが可能となり、作業性を向上させることができる。
【0014】
特に、連結金具を両受け金具の取付面に渡って宛い、取付孔を用いてネジなどの固定具によって固定するため、両ショーケースの断熱壁前面の面合わせが容易となる。これにより、両ショーケースの断熱壁前面をピッタリと面合わせすることが可能となり、隙間なく連結することが可能となる。
【0015】
そのため、突き合わせ部分を被覆するためのカバー部材を設ける必要がなくなり、ショーケースの連結に一体感を持たせることが可能となる。また、バンパーの連結部分やハンドレールの連結部分に凹凸が形成されないことから、埃等の堆積を抑制することができると共に、清掃性が向上し、衛生的に使用することが可能となる。
【0016】
請求項2の発明によれば、上記発明において、受け金具の取付面には、引き寄せ用の工具を係合するための係合孔が形成されているので、連結金具を受け金具の取付面に宛った状態で、引き寄せ用の工具にて受け金具を連結金具側に引き寄せる作業を行うことにより、微細なずれを当該引き寄せ作業によって解消することが可能となり、より一層、両ショーケースの断熱壁前面を隙間なく連結することが可能となる。
【0017】
また、この引き寄せ用の工具を係合するための係合孔は、受け金具の取付面に形成されていることから、断熱壁の前側において、作業を行うことが可能となり、連結作業性の向上を図ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図面を参照して本発明の実施形態について詳述する。図1は本発明を適用したショーケースとしてのオープンショーケース1の斜視図、図2は図1のオープンショーケース1の縦断側面図をそれぞれ示している。
【0019】
オープンショーケース1は、例えばスーパーマーケットなどの店舗内に複数台並設されて据え付けられる縦型のオープンショーケースであり、前面に開口する断面略コ字状の断熱壁2と、据え付け現場において断熱壁2の側面に取り付けられた断熱性の側板5、5とから構成されている。尚、当該側板5は、隣接するオープンショーケース1が並設されていない側の断熱壁2の側面にのみ取り付けられ、隣接してオープンショーケース1が並設された側の断熱壁2の側面には、側板5は、取り付けられていないものとする。尚、当該ショーケース1の連結構造の詳細については後述する。
【0020】
各オープンショーケース1の断熱壁2の内側にはそれぞれ間隔を存して仕切板4及び図示しないもう一枚の仕切板が取り付けられ、これら仕切板4などと断熱壁2間に図示しない内外二層のダクトが形成されている。
【0021】
内側の仕切板を構成する背部仕切板10の下端前方には、底板9が断熱壁2の底壁2Aとの間にダクト用の間隔を存して取り付けられており、これら仕切板4及び底板9の内側を陳列室11としている。
【0022】
また、この陳列室11内には、高さ及び取付角度が変更可能であると共に、陳列室11内背部の図示しない支柱に取り付けられる一対のブラケット31及びこれらと共に棚装置を構成する棚板32が複数段に渡って架設されている。棚板32の前縁には、硬質合成樹脂により成形されるプライスレール34が取り付けられており、当該プライスレール34は、棚板32の装飾体を兼用している。また、この棚板32の前壁とプライスレール34との間には、所定の間隔が形成されており、当該間隔には棚板32上の商品が落下することを防止するためのガード35が取り付けられる。また、各棚板32の下面前部には、下方の棚板32上に陳列される商品を照明するための照明灯36が配設されている。
【0023】
断熱壁2の前面開口12の上縁にはハニカム材13、14がそれぞれ取り付けられた内層吐出口16及び外層吐出口17が並設されており、これら内層吐出口16及び外層吐出口17は、前記内層ダクト及び外層ダクトにそれぞれ連通している。また、開口12の下縁には、内層吸込口18と外層吸込口19が並設されている。
【0024】
一方、底板9下方後部には断熱壁2の底壁2A上に前記内層ダクト及び外層ダクトのそれぞれに対応する図示しない送風機が複数台設置されている。
【0025】
背部仕切板10後方の内層ダクト内には冷却装置の図示しない冷却器が縦設されており、前記内層ダクトに対応した送風機が運転されると冷却器と熱交換した冷気は内層ダクト内を上昇せられ、内層吐出口16より内層吸込口18に向かって吐出される。そして、内層吸込口18から吸い込まれた冷気は再び前記送風機によって加速される。
【0026】
一方、前記外層ダクトに対応した送風機が運転されると外層ダクト内の空気は外層ダクト内を上昇せられ、外層吐出口17より外層吸込口19に向かった吐出される。そして、外層吸込口19から吸い込まれた空気は再び前記送風機によって加速される。これによって、開口12には前後二重のエアーカーテンが形成され、内側の冷気エアーカーテンの一部が陳列室11内に循環されて陳列室11は冷却される。
【0027】
一方、断熱壁2の天壁2B前端にはパネル33が取り付けられており、このパネル33の前面には温度計38が設けられている。また、このパネル33の内側角隅部には、陳列室11全体を照明するための照明灯37が設けられていると共に、内層吐出口16の陳列室11側の天面仕切板8には、同じく陳列室11内を上方から照明するための照明灯39が設けられている。尚、図2において、40は夜間等の営業時間外において陳列室11内の冷気が外部に漏洩することを防止するためのナイトカバーであり、本実施例ではロールスクリーンにて構成され、外層吐出口17の前側に位置して前下方に指向した吐出口外壁41の上面と断熱壁2の上部前壁との間に形成される空間に設けられる。
【0028】
一方、断熱壁2の下側前壁2Cは、下部が底壁2Aの前端に渡って後退した後退部2Dとされており、当該後退部2Dは、底壁2Aの前端と連続して構成される。係る前壁2Cの上面には、ハンドレール20が取り付けられており、前壁2Cの前面には、前面下パネル21が取り付けられ、後退部2Dの前面には前面下パネル21と略面一となるようにバンパー22が取り付けられる。
【0029】
ここで、ハンドレール20の構成について図3及び図4を参照して説明する。図3はハンドレール20付近の縦断側面図、図4はフロントガラス7が取り付けられた状態のハンドレール20付近の縦断側面図を示している。
【0030】
ハンドレール20は、ハンドレール本体24と、前面上パネル25と、上カバー26とから構成される。ハンドレール本体24は、ショーケース1の開口12下縁の全幅に渡って設けられており、硬質合成樹脂によって構成される。このハンドレール本体24は、断熱壁2の下側前壁2Cの上面の前後に渡って設けられるものであり、当該ハンドレール本体24の前端及び後端には、それぞれ下方に向けて延出して構成される保持片41、42が形成される。これによって、ハンドレール本体24は、断熱壁2の下側前壁2Cに固定される。
【0031】
そして、断熱壁2の下側前壁2Cの上面に位置するハンドレール本体24は、上方に立設するフロントガラス保持部43が形成されており、当該フロントガラス保持部43は、上面に開口する凹陥溝44が形成されている。当該凹陥溝44は、詳細は後述するフロントガラス7の端部を挿入可能とし、当該凹陥溝44の内面、本実施例では、前側に位置する内面には、挿入されるフロントガラス7を保持するための複数の保持突起45が形成されている。尚、この保持突起45は、後述する上カバー26に形成される突起50と係合する被係合部を構成する。
【0032】
そして、このフロントガラス保持部43の前部を構成する前壁上端43Aは、少許前方に変位して、少なくとも上カバー26又はフロントガラス7が取り付けられた状態で、これら上カバー26等と所定の空間を構成する。
【0033】
また、このフロントガラス保持部43の後面には、後方に延出してダクト板取付部43Bが形成されており、当該ダクト板取付部43には、前述した内層吸込口18及び外層吸込口19が形成される図示しない吐出口ダクト板が挿入保持される。
【0034】
前面上パネル25は、上記ハンドレール本体24と同様にショーケース1の開口12下縁の全幅に渡って設けられており、化粧塗装が施された鋼板性材料にて構成されている。また、この前面上パネル25は、上端から下端に渡って所定曲率にて湾曲して形成されている。前面上パネル25の上端は、下方に略直角に折曲された係合部51が形成されている。前面上パネル25の下端は、下方に開口した断面略コ字状を呈しており、下方から前面下パネル21を係脱自在に係止する下パネル保持部53とされている。この下パネル保持部53を構成する外方側に位置する保持片下端及び断熱壁2側の保持片下端には、収容される前面下パネル21に向けて突出する保持部53A及び53Bが形成されている。そのため、当該下パネル保持部53に収容される前面下パネル21が容易に脱落しない構成とされる。
【0035】
また、この前面上パネル25の中程には、ハンドレール本体24の前側保持片41に対応する位置に、ハンドレール本体24側に突出した保持片54が形成されている。そして、この保持片54を挟んで上側と下側には、連結ピン収容部55が形成されている。この連結ピン収容部55は、複数のショーケース1を隣接して設置し、これらショーケース1を連結して使用する場合に両ショーケース1のハンドレール20の高さを合わせるために用いられる連結ピン56、56を挿入保持するための収容部である。尚、本実施例では、上側に位置する連結ピン収容部55は、ハンドレール本体24の前壁に近接した位置に形成されており、下側に位置する連結ピン収容部55は、下パネル保持部53を構成する上面と一体に形成されている。
【0036】
上カバー26は、ハンドレール本体24の凹陥溝44にフロントガラス7を取り付けない場合において凹陥溝44を被覆する部材であり、前記ハンドレール本体24と同様にショーケース1の開口12下縁の全幅に渡って設けられている。また、この上カバー26は、軟質合成樹脂にて形成されており、図3に示すように前面上パネル25の上縁部からフロントガラス保持部43の後部を形成する後壁上縁部に渡ってこれらを被覆するカバー部57と、このカバー部57の下面から下方に延出して構成される挿入部58とが一体に形成されて構成される。
【0037】
挿入部58は、本実施例では、前面に前方に向けて突出する突起50及び52が形成されており、突起50は、前記ハンドレール本体24の凹陥溝44に形成される複数の保持突起45との間に進入することで、係脱自在に係合される。また、突起52は、当該上カバー26とハンドレール本体24の前壁上端43Aとの間に挿入・係止される前面上パネル25の係合部51と当接する位置に形成されている。これにより、上カバー26の挿入部58は、ハンドレール本体24の凹陥溝44内に略きっちりと保持可能とされる。
【0038】
以上の構成により、断熱壁2の下側前壁2Cにハンドレール20を取り付ける際には、先ず、ハンドレール本体24を下側前壁2Cの上面を前後の保持片41、42にて挟持するように下側前壁2Cに取り付ける。その後、前面上パネル25の係合部51をハンドレール本体24の前壁上端43Aに係合させる。このとき、前面上パネル25に形成される保持片54は、ハンドレール本体24の保持片41上面に保持される。これによって、断熱壁2の下側前壁2Cにハンドレール本体24及び前面上パネル25が安定して取り付けられる。
【0039】
一方、フロントガラス7は、透明で前面開口12の略全幅に渡る寸法を有した横長の平板状ガラスであり、その上端には、ガラス枠7Aが取り付けられると共に、その下端には図示しないパッキンが取り付けられている。
【0040】
当該フロントガラス7をハンドレール20に取り付けて使用する場合には、図4に示されるように当該フロントガラス7の下端をハンドレール本体24に形成されるフロントガラス保持部43の凹陥溝44に挿入し、ハンドレール20に立設する。このとき、凹陥溝44内に収容されるフロントガラス7の後面は、フロントガラス保持部43の後部を構成する凹陥溝44の後側内面にて支持されると共に、フロントガラス7の前面は、フロントガラス保持部43の前部を構成する凹陥溝44の前側内面に形成される各保持突起45及び前面上パネル25の係合部51後面にて支持され、当該フロントガラス7はこれらによって挟まれるかたちとなり、安定して保持される。これにより、オープンショーケース1の開口12の下縁に位置するハンドレール20にフロントガラス7を立設することができる。
【0041】
他方、フロントガラス7を取り付けないで使用する場合には、図3に示されるようにハンドレール本体24に上カバー26を取り付ける。即ち、上カバー26の挿入部58をハンドレール本体24のフロントガラス保持部43に形成される凹陥溝44に挿入する。このとき、凹陥溝44内に収容される挿入部58の後面は、凹陥溝44の後側内面にて支持される。そして、挿入部58の前面に形成される突起50は、凹陥溝44の前側内面に形成される被係合部としての各保持突起45と係合され、突起52は、前面上パネル25の係合部51の後面にて支持される。
【0042】
これにより、上カバー26はこれらによって挟まれると共に、挿入部58の突起50が凹陥溝44側の被係合部としての各保持突起45と係合されることで、安定して凹陥溝44を閉塞する。特に、挿入部58の突起50は、凹陥溝44に形成される被係合部と係合することで、挿入部58の取付を確実なものとすることができ、当該上カバー26がハンドレール本体24から浮き上がり、陳列室11内への商品の出し入れ作業の際に、当該上カバー26が脱落してしまう不都合を回避することができる。
【0043】
当該上カバー26が凹陥溝44に取り付けられた状態で、挿入部58と一体に構成されるカバー部57は、前面上パネル25の上縁部からフロントガラス保持部43の後部を形成する後壁上縁部に渡ってこれらを被覆する。
【0044】
これにより、フロントガラス7を取り付けない状態においても凹陥溝44を挿入部58が進入してカバー部57により全体が覆われるため、当該凹陥溝44を隠蔽することが可能となる。そのため、上面に開口している凹陥溝44内に塵埃が堆積する不都合を解消することができる。
【0045】
また、上カバー26のカバー部57は、前面上パネル25の上縁部を被覆するため、当該前面上パネル25の上縁部及び付近の塗装面は、軟質合成樹脂にて構成される上カバー26にて保護される。そのため、陳列室11内への商品の出し入れ作業の際に、作業者や顧客等が直接前面上パネル25の上端に接触し難い構成とすることができる。従って、化粧塗装が施されている前面上パネル25に傷が付きにくくなり、塗装が剥がれてしまう不都合や、複数の傷が繰り返し付けられることにより生じる塗装面のささくれ立ちを抑制することが可能となる。これにより、当該前面上パネル25の塗装面の経年劣化を抑制され、使用年数が経過した場合であっても、外観低下を抑止することができ、美的外観の維持を図ることができる。
【0046】
尚、上記ハンドレール20を構成する上カバー26は、上述した如き構成に限定されるものではなく、例えば図5に示される上カバー60のような構成としてもよい。即ち、図5に示される上カバー60は、上記上カバー26を構成するカバー部57に代わってカード保持部61が上記挿入部58と一体に形成されている。
【0047】
当該カード保持部61は、前面上パネル25の上部からフロントガラス保持部43の後部を形成する後壁上面に渡って構成されている。そして、このカード保持部61は、前端が後端よりも低く形成され、後端には前方に向けて形成される係止片62が形成されると共に、前端には前記係止片62に向けて形成される係止片63が形成される。そして、こされ係止片62、63間は、凹状に湾曲して形成されており、これら係止片62、63によって陳列室11内に陳列された商品の品名や価格等を記載した紙又は樹脂シートから成る図示しない表示カードを係脱自在に保持する。
【0048】
係る構成により上カバー60を取り付ける際には、上記上カバー26の場合と同様に挿入部58をハンドレール本体24の凹陥溝44に挿入する。これにより、上カバー26の場合と同様に、挿入部58の突起50と凹陥溝44側の被係合部としての各保持突起45との係合により、安定して凹陥溝44が閉塞される。
【0049】
また、上カバー60が凹陥溝44に取り付けられた状態で、挿入部58と一体に構成されるカード保持部61は、前面上パネル25の上部からフロントガラス保持部43の後部を形成する後壁上面に渡ってこれらを被覆する。これにより、上記上カバー60の場合と同様にフロントガラス7を取り付けない状態においても凹陥溝44を挿入部58が進入してカード保持部61により全体が覆われるため、当該凹陥溝44を隠蔽することが可能となる。そのため、上面に開口している凹陥溝44内に塵埃が堆積する不都合を解消することができる。
【0050】
また、上カバー60のカード保持部61は、上カバー26のカバー部57よりも広い範囲に渡って前面上パネル25の上面を被覆するため、より一層広い範囲の当該前面上パネル25の上縁部及び付近の塗装面が、軟質合成樹脂にて構成される上カバー60にて保護される。そのため、陳列室11内への商品の出し入れ作業の際に、作業者や顧客等が直接前面上パネル25の上端に接触し難い構成とすることができる。従って、化粧塗装が施されている前面上パネル25に傷が付きにくくなり、塗装が剥がれてしまう不都合や、複数の傷が繰り返し付けられることにより生じる塗装面のささくれ立ちを抑制することが可能となる。これにより、当該前面上パネル25の塗装面の経年劣化を抑制され、使用年数が経過した場合であっても、外観低下を抑止することができ、美的外観の維持を図ることができる。
【0051】
更にまた、この上カバー60は、カード保持部61に表示カードを係脱自在に保持することが可能であるため、ショーケース全体の一体感を維持しつつ、陳列される商品についての情報等を任意に取り付けることが可能となり、利便性が向上される。
【0052】
次に、図6乃至図8を参照して、二台のオープンショーケース1を連結するための連結構造について説明する。図6は連結部分の分解斜視図、図7は連結状態の正面図、図8は連結されたオープンショーケース1の部分斜視図を示している。
【0053】
断熱壁2の底壁2Aの下端、又は下方に位置して、本実施例では、底壁2Aの前端下方に設けられる前面パネル65の上部には、前方に延出する下部保持板66が取り付けられている。この下部保持板66は、前端が斜め上方に向けて所定角度にて折曲形成された保持面66Aとされており、当該保持面66A上端は断熱壁2の下側前壁2Cと略面一とされる位置よりも少許後方の位置まで臨んでいる。
【0054】
そして、各オープンショーケース1の側端に位置する断熱壁2の後退部2Dには、後述する連結金具72と共に連結装置を構成する受け金具67が固定される。当該受け金具67は、鋼板にて形成されており、上端が後退部2Dの傾斜角度に沿って折曲される上部取付片68と、後退部2Dに取り付けられた状態で下側前壁2Cと略平行となる取付面70と、当該取付面70の下端が一旦前方に略直角に折曲された後、当該前端が、前記下部保持板66の保持面66Aの前面を被覆する角度にて折曲される下部取付片69とされる。この上部取付片68には、後退部2Dに固定するためのボルトを挿通する固定孔が複数形成されていると共に、下部取付片69のすぐ上方に位置する取付面70下部には、後述する取付部材76の取付面76Bに固定するためのボルトを挿通する固定孔が複数形成されている。
【0055】
そして、取付面70の上部には、切り起こしによって上端を中心に上方に略直角に折曲された支持片71が形成されると共に、当該支持片71の少許上方に位置する取付面70の両側部には、前面下パネル21及びバンパー22を共締めにて固定するための図示しない固定孔が形成されている。また、当該取付面70には、支持片71の下方に位置して両側部に連結金具72をボルト75にて固定するための取付孔73が左右それぞれ2箇所、合計4箇所、形成されている。また、この取付孔73の内方に位置して引き寄せ用の工具を挿入するための引寄孔74が形成されている。
【0056】
他方、断熱壁2の後退部2Dの下端には、取付部材76が取り付けられる。この取付部材76は、後端が後退部2Dの傾斜角度に沿って下方に向けて折曲される固定面76Aとされると共に、前端が前記受け金具67の取付面70後面の沿って略垂直に下方に向けて折曲される取付面76Bとされる。
【0057】
係る構成により、先ず、取付部材76の固定面76Aを断熱壁2の後退部2Dの下端にボルトによって固定する。これにより、取付部材76は、下部保持板66の上面に位置する。その後、受け金具67の下部取付片69を構成する水平面を下部保持板66の上端に載置する。この状態で、受け金具67の下部取付片69は、下部保持板66の下部保持片66Aの前側に位置し、受け金具67の取付面70下部は、後退部2Dに固定される取付部材76の取付面76Bに当接する。当該受け金具67の取付面70に形成される前記固定孔を用いて取付面76Bにボルトによって固定する。これにより、受け金具67の取付面70は、断熱壁2の後退部2Dの前側に位置して下側前壁2Cの前面より少許後退した位置で前方に面している。
【0058】
尚、この状態で断熱壁2の下側前壁2Cの前面に取り付けられる前面下パネル21は、上端をハンドレール20を構成する前面上パネル25の下パネル保持部53に挿入することで、当該前面下パネル21の下端は、受け金具67の支持片71にて支持される。そのため、長手方向に渡って構成される前面下パネル21を工具を使用することなく、仮に下側前壁2Cに取り付けることができ、作業性が向上される。またこれにより、前上パネル25の下側に前面下パネル21が連続して構成されることとなる。
【0059】
前記連結金具72は、鋼板性材料にて構成されており、上端には前方に略直角に折曲された後、当該前端が下方に略直角に折曲されたバンパー当接辺78が形成されており、当該バンパー当接辺78の中央には、両ショーケース1に取り付けられるバンパー22の端縁を収容し、係合するためのバンパー係合溝79が形成されている。
【0060】
そして、この連結金具72の前面には、隣接する両ショーケース1に取り付けられる受け金具67に固定するための複数の取付孔80が形成されている。この取付孔80は、本実施例では、各ショーケース1の受け金具67に形成される4箇所の取付孔73と重合可能な位置に、合計8箇所形成されており、これらはボルト75にて固定可能とされている。
【0061】
また、連結金具72の取付孔80の内方には、前記受け金具67に形成される引寄孔74と重合して、引き寄せ用の工具を挿入可能とする引寄孔81が形成されている。
【0062】
以上の構成により、隣接するオープンショーケース1の連結方法について説明する。先ず、オープンショーケース1、1を断熱壁2の側面同士を突き合わせ、当該断熱壁2の下側前壁2Cが略面一となるように配置する。そして、一方のショーケース1のハンドレール20を構成する前面上パネル25の連結ピン収容部55、55に連結ピン56、56を挿入する。
【0063】
両ショーケース1の後退部2D前面に取り付けられる受け金具67、67に渡って連結金具72を取り付ける。この場合において、先ず、始めに一方の受け金具67の各取付孔73と連結金具72の取付孔80とを重合させ、ボルト75にて螺合し固定する。その後、他方の受け金具67の各取付孔73と連結金具72の取付孔80とを重合させ、ボルト75にて螺合し固定する。
【0064】
この場合において、ショーケース1自体は重量が嵩むことから微妙な位置合わせが困難である。そのため、上述した如き断熱壁2の側面同士を突き合わせ、下側前壁2Cが略面一となるように配置した場合であっても、多少のずれが生じている。そこで、引き寄せ用の工具を用いて先ず連結金具72の引寄孔81に挿入し、その状態のまま受け金具67の引寄孔74に挿入し、これらがピッタリと重合するように工具を操作する。これによって、微妙に位置がずれていたショーケース1の下側前壁2Cを一方のショーケース1の下側前壁2Cと前面が略面一となるように引き寄せることが可能となる。
【0065】
これにより、微細なずれを当該引き寄せ作業によって解消することが可能となるため、容易に両ショーケース1の断熱壁2前面を隙間なく連結することが可能となる。
【0066】
また、この引寄用の工具を係合するための引寄孔74は、受け金具67の取付面70に形成されていることから、断熱壁2の前側において、作業を行うことが可能となり、引き寄せ作業を容易に行うことが可能となる。
【0067】
そして、上述した如く隙間なく且つ、下側前壁2Cが略面一となるように他方のショーケース1が連結金具72によって引き寄せられた状態で、受け金具67の各取付孔73と連結金具72の取付孔80とを重合させ、ボルト75にて螺合し固定する。
【0068】
これにより、隣接するショーケース1の連結作業を断熱壁2の下側前壁2Cから奥まった後退部2Dではなく、下側前壁2Cに面した前側において、行うことが可能となるため、作業性を向上することができる。また、当該連結金具72と各受け金具67との固定作業を確実に行うことが可能となり、一方のショーケース1が店舗内で使用されるカート等によって衝突された場合であっても、当該連結部分にずれが生じる不都合を解消することが可能となる。
【0069】
尚、この状態において、一方のショーケース1のハンドレール20を構成する前面下パネル21に取り付けられた連結ピン56は、上述した如く連結金具72によって連結される段階で、他方のショーケース1のハンドレール20を構成する前面下パネル21の連結ピン収容部55内に収容される。これにより、両ショーケース1のハンドレール20は、容易に高さ合わせを行うことが可能となり、段差なくハンドレール20の連結を行うことが可能となる。
【0070】
そして、連結金具72によって連結された両ショーケース1は、それぞれの断熱壁2の後退部2Dの前方に前述した如きバンパー22、22を取り付ける。このとき、バンパー22の上端は、前記前面下パネル21の下端が支持される受け金具67の支持片71に係止されると共に、下端は下部保持板66の下面に係止される。また、両バンパー22の連結部分に相当する端部は、連結金具72に形成されるバンパー係合溝79内に係合される。この状態で、バンパー22の後面は、連結金具72のバンパー当接辺78に当接し、当該バンパー22の強度が維持される。
【0071】
これにより、各ショーケース1に取り付けられる受け金具67、連結金具72により構成される連結装置を含む断熱壁2の後退部2Dは、各バンパー22によって隠蔽される。尚、当該後退部2D前面に位置する下部保持板66上面には、ショーケース1の一部の制御装置等の電装部品などが収容されるが、当該バンパー22が取り付けられることで、これらも隠蔽される。
【0072】
このように、連結金具72を用いて両ショーケース1の後退部2Dに取り付けられる両受け金具67を固定することで、両ショーケース1の断熱壁2前面の面合わせが容易となり、両ショーケース1の断熱壁2前面をピッタリと面合わせすることが可能。そのため、隙間なく連結することで、両ショーケース1の一体感、連続感が向上されることから、外観の向上を図ることができる。
【0073】
そのため、突き合わせ部分を被覆するためのカバー部材を設ける必要がなくなり、ショーケース1の連結により一層、一体感、連続感を持たせることが可能となる。また、バンパー22の連結部分やハンドレール20の連結部分に凹凸が形成されないことから、埃等の堆積を抑制することができると共に、清掃性が向上し、衛生的に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明を適用したオープンショーケースの斜視図である、
【図2】図1のオープンショーケースの縦断側面図である。
【図3】ハンドレール付近の縦断側面図である。
【図4】フロントガラスが取り付けられた状態のハンドレール付近の縦断側面図である。
【図5】他の実施例としての上カバーが取り付けられた状態のハンドレール付近の縦断側面図である。
【図6】連結部分の分解斜視図である。
【図7】連結状態の正面図である。
【図8】連結されたオープンショーケースの部分斜視図である。
【図9】従来のショーケースの連結部分の分解斜視図である。
【図10】従来のショーケースの連結部分の斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1 オープンショーケース
2 断熱壁
2A 底壁
11 陳列室
12 前面開口
20 ハンドレール
21 前面下パネル
22 バンパー
24 ハンドレール本体
25 前面上パネル
55 連結ピン収容部
56 連結ピン
65 前面パネル
66 下部保持板
66A 保持面66A
67 受け金具
68 上部取付片
69 下部取付片
70 取付面
72 連結金具
73、80 取付孔
74、81 引寄孔
75 ボルト
76 取付部材
76A 固定面
76B 取付面
78 バンパー当接辺
79 バンパー係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱壁の前壁下部が後退しており、この後退部の一側に隣接するショーケースとの連結装置を備えたショーケースにおいて、
前記連結装置は、前記後退部に固定された受け金具と、当該受け金具と前記隣接するショーケースの受け金具とに渡って取り付けられる連結金具とから構成され、
前記受け金具は、前記後退部の前側に位置して前方に面した取付面を有し、該取付面には前記連結金具を取り付けるための取付孔が形成されていることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記受け金具の取付面には、引き寄せ用の工具を係合するための係合孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−222307(P2007−222307A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45560(P2006−45560)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(503357920)株式会社プロデックス (19)
【Fターム(参考)】