説明

ショーケース

【課題】上面開口が開放された所謂平型のショーケースにおいて、外乱による冷却効率の低下を抑制しつつ、顧客とショーケース内の商品との距離を短くし、より一層、顧客が商品を手に取りやすい環境に商品を陳列することで、顧客の購買意欲向上を可能とする。
【解決手段】本発明のショーケース1は、本体2を構成する断熱壁3内に上面が開口する陳列室13を備えたものであって、陳列室13の上面開口4の奥側一部を開閉自在に閉塞する透明扉装置30を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体を構成する断熱壁内に上面が開口する陳列室を備えたショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、本体に上面に開口する陳列室を設けたショーケースが採用されており、当該陳列室内を所定温度に冷却しながら、陳列室内に陳列された商品の陳列販売が行われている。陳列室内に供給された冷気は、陳列室内下部に滞留する傾向があるが、陳列室の上面が開口されることにより、外気温度の影響を受けやすく、また、当該ショーケースが設置されている施設内の空調設備などによる空気流や、人の往来等に起因する外乱の影響を受けやすい。そのため、陳列室内の冷却効率が悪いという問題がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、係る陳列室を被うようにして斜め前下方へ傾斜した透明の前壁と、後壁と、左右側壁と、前壁と後壁とに渡る上壁とにより構成されるキャノピーを設けたショーケースが示されている。係るショーケースでは、キャノピーを構成する後壁に例えばスライド式の引き戸が設けられており、当該後壁から販売員が商品を取り出して商品の販売を行う対面販売方式を行うことができる。
【0004】
また、キャノピーを構成する前壁にも、後壁と同様にスライド式の引き戸が設けられており、当該前壁の引き戸を開放することによって、顧客自らに陳列室内に陳列された商品を取り出してもらう、所謂、セルフ販売方式を採用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−173932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のショーケースでは、上面に開口した陳列室の上方を、透明壁にて構成されたキャノピーによって閉塞していることから、陳列室内への外乱の影響や、冷気の漏出を抑制することができるが、顧客自らが商品を手にとって商品選択を行う場合、必ず、前壁に設けられた引き戸を開放しなければならない。
【0007】
そのため、顧客とショーケース内の商品との距離に隔たりが生じ、顧客が商品を手に取りにくい環境とされる。また、扉が設けられていることで、顧客がショーケース内の商品選択を行っている場合、他の顧客は、当該顧客がショーケースから離れてからでないとショーケース内の商品を手に取り難い環境でもあった。
【0008】
そこで、本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、上面開口が開放された所謂平型のショーケースにおいて、外乱による冷却効率の低下を抑制しつつ、顧客とショーケース内の商品との距離を短くし、より一層、顧客が商品を手に取りやすい環境に商品を陳列することで、顧客の購買意欲向上を可能とするショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、本体を構成する断熱壁内に上面が開口する陳列室を備えたショーケースであって、陳列室の上面開口の奥側一部を開閉自在に閉塞する透明扉装置を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、上記発明において、透明扉装置は、本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、上記各発明において、断熱壁の前壁上面に取り付けられた透明壁を備え、透明扉装置は透明壁とは反対側に位置する陳列室の上面開口の略半分の領域を開閉自在に閉塞することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、上記各発明において、透明扉装置は、本体に取り付けられた枠体と、この枠体に摺動自在に載置された引き違い式の複数の透明扉板とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、上記請求項1乃至請求項3の発明において、透明扉装置は、本体に取り付けられた枠体と、陳列室の上面開口の手前側の縁部が枠体に回動自在に枢支された回動式の透明扉板とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、上記請求項1乃至請求項3の発明において、透明扉装置は、本体に取り付けられた枠体と、透明扉板とを有し、枠体は、引き違い式の複数の透明扉板を摺動自在に載置する使用形態と、回動式の透明扉板の陳列室の上面開口の手前側の縁部を回動自在に枢支する使用形態とを選択的に実施可能とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、本体を構成する断熱壁内に上面が開口する陳列室を備えたショーケースであって、陳列室の上面開口の奥側一部を開閉自在に閉塞する透明扉装置を備えたので、陳列室前方に収納陳列された商品の顧客自らによる商品の取出性を確保、及び陳列室奥側に陳列収納された商品の視認性を確保しつつ、陳列室の上面開口からの冷気漏洩を著しく低減することができる。
【0016】
このように、透明扉装置を閉塞することで陳列室の上面開口面積を狭くすることができるため、外乱による影響を著しく低減することができ、陳列室内を低温使用、特に冷凍温度帯にて使用する場合に、従来の構成に比べて著しく冷却効率の向上を図ることができる。これにより、商品の効果的な販売促進を実現しつつ、商品をより効率的に適温範囲にて冷却し、陳列することができる。
【0017】
また、当該ショーケースを挟んで対面販売を行う場合、ショーケース後方には位置された販売員は、透明扉装置を開閉することにより、容易に奥側に位置する商品を取り出して、顧客に提供することができ、利便性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、上記発明において、透明扉装置は、本体に着脱可能に取り付けられているので、陳列室内に、一度に多くの商品の納出作業を行う場合、透明扉装置を本体から外して行うことにより、作業性の向上を図ることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、上記各発明において、断熱壁の前壁上面に取り付けられた透明壁を備え、透明扉装置は透明壁とは反対側に位置する陳列室の上面開口の略半分の領域を開閉自在に閉塞することにより、ショーケースの手前側に立つ顧客は、当該前壁上面に設けられた透明壁越しに陳列室内を視認することができ、商品の陳列効果を向上させることができる。また、透明壁とは反対側に位置する陳列室の上面開口の略半分の領域を透明扉装置にて開閉自在に閉塞することにより、透明扉装置の閉塞時であっても、顧客は、陳列室手前側の透明壁と透明扉装置との間から陳列室内に手を差し入れて商品を取り出すことが可能となる。
【0020】
これにより、顧客自らによる商品の取出性に支障を及ぼすことなく、陳列室内の冷気漏洩を効率的に改善することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、上記各発明において、透明扉装置は、本体に取り付けられた枠体と、この枠体に摺動自在に載置された引き違い式の複数の透明扉板とを有することにより、簡素な構造にて透明扉装置を実現することができる。特に、当該構成によれば、既存の上面開口のショーケースに当該透明扉装置を設けることで本願発明を構成することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0022】
また、本体に取り付けられた枠体に、透明扉板を摺動自在に載置するのみで構成されているため、取り外し作業が容易であり、陳列室内の清掃が容易となる。
【0023】
請求項5の発明によれば、上記請求項1乃至請求項3の発明において、透明扉装置は、本体に取り付けられた枠体と、陳列室の上面開口の手前側の縁部が枠体に回動自在に枢支された回動式の透明扉板とを有するので、当該透明扉板の開口側は、陳列室の奥側となり、対面販売を行う際に、陳列室の奥側に配置された販売員は、支障なく透明扉板を枠体を中心として回動自在に開放させることが可能となる。これにより、陳列室への商品の納出作業性を向上させることが可能となる。
【0024】
請求項6の発明によれば、上記請求項1乃至請求項3の発明において、透明扉装置は、本体に取り付けられた枠体と、透明扉板とを有し、枠体は、引き違い式の複数の透明扉板を摺動自在に載置する使用形態と、回動式の透明扉板の陳列室の上面開口の手前側の縁部を回動自在に枢支する使用形態とを選択的に実施可能とされているので、請求項4のような引き違い式の透明扉板を使用する場合と、請求項5のような回動式の透明扉板を使用する場合とで、枠体を兼用することが可能となり、部品コストの削減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した冷凍ショーケースの斜視図である。(実施例1)
【図2】図1のショーケースの平面図である。(実施例1)
【図3】図1のショーケースの側面図である。(実施例1)
【図4】図3のA−A断面図である。(実施例1)
【図5】他の実施例としての冷凍ショーケースの斜視図である。
【図6】冷凍ショーケースの斜視図である。(実施例2)
【図7】冷凍ショーケースの斜視図である。(実施例2)
【図8】図6の縦断側面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照して詳細に説明する。図1は本発明を適用した冷凍ショーケース1の斜視図、図2は図1のショーケース1の平面図、図3は図1のショーケース1の側面図、図4は図3のA−A断面図をそれぞれ示している。
【0027】
ショーケースであるオープン冷凍ショーケース1の本体2は、発泡合成樹脂、例えば硬質の発泡ポリウレタンなどから成る断面略コ字状の断熱壁3と、この断熱壁3の両側を閉塞する側板9、9とから構成されており、この断熱壁3は、上面に開口し、商品収納及び取出用の上面開口4が形成されている。
【0028】
ここで、断熱壁3は、図4に示すように前壁3Aよりも後壁3Bが高くなるように構成されており、当該断熱壁3の前壁3A上面には、左右に渡って延在して形成される保持板としての透明壁7が設けられている。また、断熱壁3の後壁3B上面には、左右に渡って延在して形成される保持板8が設けられている。
【0029】
断熱壁3の内部には、断熱壁3の後壁3Bとは間隔を存して、塗装鋼板やステンレスなどの錆びない金属板から成る背面板10が取り付けられ、当該後壁3Bと背面板10との間には、冷気ダクト12が形成される。また、断熱壁3の底壁3Cの上方には、底壁3Cと所定間隔を存してデッキパン11が取り付けられる。これにより、背面板10、デッキパン11、透明壁7及び両側板9、9の内側には、陳列室13が構成される。
【0030】
そして、断熱壁3の底壁3Cとデッキパン11との間には、前記冷気ダクト12と連通する冷却室12が形成されている。冷却室12内に位置する断熱壁3の底壁3C上にはファンケース15が設置されており、このファンケース15には図示しない送風機が取り付けられている。当該冷却室14内には、冷却装置を構成する冷却器16が設置されている。前記送風機が運転されると冷却器16と熱交換した冷気はダクト12内を上昇せられ、背面板10の上端と断熱壁3との間に形成された冷気吐出口17より陳列室13内に吐出される。そして、デッキパン11の前端と断熱壁3の底壁3Cとの間に形成された冷気吸込口18から吸い込まれた冷気は再び前記送風機によって加速され、陳列室13内に冷気が循環されて陳列室13内は所定の冷凍温度に冷却される。
【0031】
また、断熱壁3の底壁3Cの下方には、機械室20が形成されており、この機械室20内には、前記冷却器16と所謂冷凍サイクルを形成する図示しない凝縮器及び圧縮機等が設けられている。また、この凝縮器の後方には、図示しない凝縮器用送風機が取り付けられており、機械室20前面には、前面グリル21が形成され、前面グリル21より吸気され、後方より廃熱が外部に排出される。
【0032】
次に、実施例1及び実施例2を例に挙げて上述した如き冷凍ショーケース1に取り付けられる透明扉装置について詳述する。
【実施例1】
【0033】
先ず、実施例1に係る透明扉装置30について説明する。この透明扉装置30は、本体2に取り付けられた枠体31と、この枠体31に摺動自在に載置された引き違い式の複数、本実施例では、2枚のガラス板等の透明扉板35、36とから構成される。
【0034】
枠体31は、本体2の左右方向に渡って延在して構成される矩形状の枠部材により構成されており、前記断熱壁3の後壁3B上面に設けられた保持板8の前端から陳列室13の上面開口4の前後方向略中央部にまで延在して設けられている。この枠体31は、左右側端が本体2を構成する側板9、9の上面に載置され、固定部材などによって固定されている。本実施例では、当該固定には、既存のショーケース1においてキャノピーの取付などに用いられていた固定用の孔を用いることにより、既存のショーケース1に容易に当該透明扉装置30の枠体31を固定することが可能となる。
【0035】
そして、この枠体31の前辺(一辺)32の後縁部には、左右方向に渡って階段状に形成される複数段、この場合2段の第1のレール32Aと第2のレール32Bが上下に渡って形成されている。下側に位置する第2のレール32Bの後端は、上側に位置する第1のレール32Aの後端よりも枠体31内方にまで延在している。
【0036】
枠体31の後辺(一辺に対向する辺)33の前縁部には、同様に、左右に方向に渡って、前記第1のレール32Aと対向する位置に、第1のレール33Aが形成されると共に、前記第2のレール32Bと対向する位置に、第2のレール33Bが形成されている。この場合、下側に位置する第2のレール33Bの前端は、上側に位置する第1のレール33Aの前端よりも枠体31内方にまで延在している。
【0037】
そして、この枠体31には、第1のレール32A、33A上に摺動自在に第1の透明扉板35が載置されると共に、第2のレール32B、33B上に摺動自在に第2の透明扉板36が載置される。上述したように各第2のレール32B、33Bは、上側に位置する第1のレール32A、33Aよりも枠体31内方にまで延在して構成されているため、第2の透明扉板36は、第1の透明扉板35よりも前後方向の寸法が所定寸法だけ小さく形成されている。
【0038】
係る構成により、第2の透明扉板36は枠体31の下部に位置する第2のレール32B、33B上に載置され、その後、第1の透明扉板35が枠体31の上部に位置する第1のレール32A、33B上に載置することで、容易に各透明扉板35、36を枠体31に設置して、透明扉装置30を構成することができる。尚、図中、35A及び36Aは、各透明扉板35、36の開放側縁部(閉塞時側板9側)に設けられる把手部である。
【0039】
当該把手部35A、36Aを第1のレール32A、33A又は第2のレール32B、33Bに沿って摺動させることにより、枠体31内には、引き違い式の透明扉板35、36によって開閉自在に閉塞される。
【0040】
このように、陳列室13の上面開口4の奥側一部には、上面開口4後縁から所定寸法、前方に渡って延在する、本実施例では、上面開口4の後縁から略中央部に渡って延在する透明扉装置30が構成される。そのため、各透明扉板35、36が閉塞されている状態では、陳列室13の上面開口4の開口面積を透明壁7上端から上面開口4の略中央部までに狭くすることができる。
【0041】
これにより、陳列室13の上面開口4の奥側一部を透明扉装置30にて開閉自在に閉塞することで、従来の如く、陳列室13の上面開口4が全て開放されていた場合に比して、当該冷凍ショーケース1が設置される環境、例えば、空調設備による強制的な空気循環や、周囲を往来する人の流れなどに起因する外乱による影響を著しく低減することができる。特に、本実施例のように陳列室13内を冷凍温度帯にて使用する場合であっても、従来の構成に比べて著しく冷却効率の向上を図ることができる。
【0042】
また、透明扉装置30は透明壁7とは反対側に位置する陳列室13の上面開口4の略半分の領域を開閉自在に閉塞することにより、冷凍ショーケース1の前方に立った顧客は、前壁3A上面に設けられた透明壁7越しや、上方開放された上面開口4より陳列室13前部に陳列される商品を視認することができ、透明扉装置30の各透明扉板35、36越しに陳列室13奥部内に陳列される商品の視認性を確保することができる。これにより、陳列室内の商品陳列効果を向上させることができる。
【0043】
このとき、当該冷凍ショーケース1において販売員による対面販売が行われる場合には、販売員は本体2の後方に配置し、顧客の要望に応じて、陳列室13奥部上方に配置された透明扉装置30の透明扉板35、36を開閉することにより、陳列室13内の商品を取り出し、顧客に提供することができる。利便性の向上を図ることができる。
【0044】
陳列室13の前部上方は常時開放されているため、透明扉装置30が閉塞されている場合にも、顧客は、自ら陳列室13手前側の透明壁7と透明扉装置30との間から陳列室13内に手を差し入れて直接陳列室13内に陳列された商品を手に取ることができる。そのため、顧客自らによる商品の取出性を確保できることから、従来、陳列室と顧客との間に扉が設けられていることにより、顧客と陳列室13内の商品との距離に生じていた隔たりを効果的に解消でき、顧客は、陳列室13内の商品を手に取り易くなり、商品選択機会を増進させることができる。また、陳列室13の前部上方は、常時開放されていることから、他の顧客が商品選択を行っている場合であっても、支障なく陳列室13内の商品を手にとることが可能となる。これにより、販売促進効果を向上させることが可能となる。
【0045】
そのため、本実施例の如き構成とすることで、陳列室13における商品の効果的な販売促進を実現しつつ、商品をより効率的に適温範囲にて冷却し、陳列することができる。
【0046】
また、本実施例では、陳列室13奥部へ商品の納出作業を行う際には、透明扉装置30と透明壁7との間に形成される上面開口4から手を差し入れて行っても良いが、透明扉装置30を構成する一方の透明扉板35又は36を他方の透明扉板側に摺動させて、透明扉装置30の枠体31の一部を開放させて行う。この場合、収納物品を閉塞されている側に摺動された透明扉板35又は36上を作業台として使用することもでき、利便性が向上される。
【0047】
一方、陳列室13奥部への一度の商品納出量が多い場合には、両透明扉板35、36を枠体31から取り外し、枠体31の開口全域から行う。本実施例では、各透明扉板35、36は、枠体31に形成された階段状のレール32A、32B、33A、33Bにより摺動自在に載置されていることから、上側に位置する第1の透明扉板35を取り外し、その後、下側に位置する第2の透明扉板36を取り外す。
【0048】
これにより、一度に多くの商品を納出する際の作業性を著しく向上させることが可能となる。また、各透明扉板35、36は、格別な固定具などを使用していないため、載置されているだけの透明扉板35、36を取り外すのみで枠体31内を開放させることができる。そのため、陳列室13奥部を清掃する際における作業性を簡素化でき、清掃性を向上できる。
【0049】
このように、本実施例では、透明扉装置30は、本体2に取り付けられた枠体31と、この枠体31に摺動自在に載置された引き違い式の透明扉板35、36による簡素な構成にて構造にて実現することができる。特に、当該構成によれば、既存の上面開口のショーケースに当該透明扉装置30を設けることで本願発明を構成することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0050】
また、ショーケースの長手方向の寸法が異なる場合、例えば、図1の冷凍ショーケース1よりも所定寸法だけ長い冷凍ショーケース40の場合には、図5に示すように、陳列室13の上面開口4の奥側一部を閉塞する透明扉装置41を備える。この透明扉装置41は、上記透明扉装置30と同様に、当該長手寸法に応じて形成された枠体42(上記実施例の枠体31と略同様の構成)と、上記実施例における透明扉板35、36と、補正用の透明板43、44とから構成される。
【0051】
即ち、枠体42の両側方には、透明扉板35、36にて閉塞しきれない面積を閉塞する透明板43、44が嵌め込み式に設けられ、これら透明板43、44間に上記透明扉板35、36を載置する。これにより、寸法が異なるショーケースであっても、当該透明扉装置を構成することができ、汎用性の拡大を図ることができる。
【実施例2】
【0052】
次に、図6乃至図8を参照して実施例2に係る透明扉装置51について説明する。図6は透明扉装置51を備えた冷凍ショーケース50の斜視図(扉閉鎖状態)、図7は図6の扉開放状態を示す斜視図、図8は図6の縦断側面図をそれぞれ示している。この透明扉装置50は、本体2に取り付けられた枠体52と、この枠体52に回動自在に枢支された複数、係る実施例では2つの透明扉板54、54とから構成されている。
【0053】
当該枠体52も上記実施例1における枠体31と同様に、本体2の左右方向に渡って延在して構成される矩形状の枠部材により構成されており、前記断熱壁3の後壁3B上面に設けられた保持板8の前端から陳列室13の上面開口4の前後方向略中央部にまで延在して設けられている。そしてこの場合、枠体31の内縁には、透明扉板54縁部を下方から支持して閉塞状態を保持する支持枠55が形成されている。
【0054】
この枠体52の前辺53には、透明扉板54、54の陳列室13の上面開口4の手前側の縁部である前縁部がヒンジ部材56、56によって回動自在に枢支されている。この透明扉板54の後縁部上面には、当該透明扉板54を開閉自在に操作する把手部54Aである。これにより、透明扉装置50を構成する枠体52内が、手前側縁部を中心として回動自在に枢支される各透明扉板54、54によってそれぞれ独立して開閉自在に閉塞される。
【0055】
これにより、陳列室13の上面開口4の奥側一部には、上面開口4後縁から所定寸法、前方に渡って延在する、係る実施例では、上面開口4の後縁から略中央部に渡って延在する透明扉装置50が構成される。そのため、各透明扉板54、54にて枠体51内が閉塞されている状態では、陳列室13の上面開口4の開口面積を透明壁7上端から上面開口4の略中央部までに狭くすることができる。
【0056】
そのため、陳列室13の上面開口4の奥側一部を透明扉装置50にて開閉自在に閉塞することで、上記実施例1と同様、当該実施例においても、外乱による影響を著しく低減することができる。そのため、陳列室13内を冷凍温度帯にて使用する場合であっても、従来の構成に比べて著しく冷却効率の向上を図ることができる。
【0057】
また、透明扉装置50は透明壁7とは反対側に位置する陳列室13の上面開口4の略半分の領域を開閉自在に閉塞することにより、冷凍ショーケース1の前方に立った顧客は、前壁3A上面に設けられた透明壁7越しや、上方開放された上面開口4より陳列室13前部に陳列される商品を視認することができ、透明扉装置50の各透明扉板54、54越しに陳列室13奥部内に陳列される商品の視認性を確保することができる。これにより、陳列室内の商品陳列効果を向上させることができる。
【0058】
このとき、当該冷凍ショーケース1において販売員による対面販売が行われる場合には、販売員は本体2の後方に配置し、顧客の要望に応じて、陳列室13奥部上方に配置された透明扉装置50の透明扉板54、54を開閉する(図7の状態)ことにより、陳列室13内の商品を取り出し、顧客に提供することができる。
【0059】
この場合において、透明扉板54、54は、枠体52の前辺53を中心として回動自在に枢支されているため、当該透明扉板54の開口側は、陳列室13の奥側となり、対面販売を行う際に、陳列室13の奥側に配置された販売員は、支障なく透明扉板54を枠体52の前辺53を中心として回動自在に開放させることが可能となる。これにより、ショーケース60の後方に配置された販売員による商品の納出作業性の向上を図ることができる。また、各透明扉板54、54は、それぞれ独立して開閉可能とされているため、販売員は、提供する商品が収納された場所に応じて何れかの透明扉板54を開放することで、当該商品を陳列室13から取り出すことができる。これにより、必要以上に、上面開口4の奥側を閉塞する透明扉板54が開放されて、冷気の漏洩や外乱の影響を受ける不都合を低減することが可能となる。
【0060】
係る実施例では、上記実施例1と同様、陳列室13の前部上方は常時開放されているため、対面販売が行われていない場合にも、顧客は、自ら陳列室13手前側の透明壁7と透明扉装置50との間から陳列室13内に手を差し入れて直接陳列室13内に陳列された商品を手に取ることができる。そのため、顧客自らによる商品の取出性を確保できることから、従来、陳列室と顧客との間に扉が設けられていることにより、顧客と陳列室13内の商品との距離に生じていた隔たりを効果的に解消でき、顧客は、陳列室13内の商品を手に取り易くなり、商品選択機会を増進させることができる。また、陳列室13の前部上方は、常時開放されていることから、他の顧客が商品選択を行っている場合であっても、支障なく陳列室13内の商品を手にとることが可能となる。これにより、販売促進効果を向上させることが可能となる。
【0061】
そのため、本実施例の如き構成とすることで、陳列室13における商品の効果的な販売促進を実現しつつ、商品をより効率的に適温範囲にて冷却し、陳列することができる。
【実施例3】
【0062】
ここで、上記実施例2の透明扉装置51では、実施例1の透明扉装置30の枠体31とは異なる枠体52を用いたが、図1乃至図4に示された枠体31の前辺32にもヒンジ部材56、56は取付可能とされている。従って、実施例2の枠体として実施例1の枠体31を用いることができ、その場合は、枠体31の前辺32に透明扉板54、54の陳列室13の上面開口4の手前側の縁部となる前縁部がヒンジ部材56、56によって回動自在に枢支されることになる。そして、枠体31の第1のレール32A、33Aが枠体52の支持枠55の役割を果たし、透明扉板54、54の縁部を下方から支持して閉塞状態を保持することになる。
【0063】
即ち、同一の枠体31を用いて、実施例1の引き違い式の複数の透明扉板35、36を摺動自在に載置する使用形態と、実施例2の回動式の透明扉板54、54の陳列室13の上面開口4の手前側の縁部を回動自在に枢支する使用形態とを選択的に実施可能とされている。これにより、実施例1のような引き違い式の透明扉板35、36を使用する場合と、実施例2のような回動式の透明扉板54、54を使用する場合とで、枠体31を兼用することができるようになり、部品コストの削減を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
1、40、50 冷凍ショーケース
2 本体
3 断熱壁
3A 前壁
4 上面開口
7 透明壁
8 保持板
9 側板
13 陳列室
30、41、51 透明扉装置
31、42、52 枠体
32 前辺(一辺)
32A、32B、33A、33B レール
33 後辺(一辺に対向する辺)
35、36、54 透明扉板
35A、36A、54A 把手部
43、44 透明板
53 手前側縁部
55 支持枠
56 ヒンジ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体を構成する断熱壁内に上面が開口する陳列室を備えたショーケースにおいて、
前記陳列室の上面開口の奥側一部を開閉自在に閉塞する透明扉装置を備えたことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記透明扉装置は、前記本体に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記断熱壁の前壁上面に取り付けられた透明壁を備え、
前記透明扉装置は前記透明壁とは反対側に位置する前記陳列室の上面開口の略半分の領域を開閉自在に閉塞することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のショーケース。
【請求項4】
前記透明扉装置は、前記本体に取り付けられた枠体と、該枠体に摺動自在に載置された引き違い式の複数の透明扉板とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載のショーケース。
【請求項5】
前記透明扉装置は、前記本体に取り付けられた枠体と、前記陳列室の上面開口の手前側の縁部が前記枠体に回動自在に枢支された回動式の透明扉板とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載のショーケース。
【請求項6】
前記透明扉装置は、前記本体に取り付けられた枠体と、透明扉板とを有し、
前記枠体は、引き違い式の複数の前記透明扉板を摺動自在に載置する使用形態と、回動式の前記透明扉板の前記陳列室の上面開口の手前側の縁部を回動自在に枢支する使用形態とを選択的に実施可能とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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